(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】配分液体用システム
(51)【国際特許分類】
A61M 1/28 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61M1/28 100
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022026955
(22)【出願日】2022-02-24
(62)【分割の表示】P 2018550536の分割
【原出願日】2017-05-05
【審査請求日】2022-03-25
(32)【優先日】2016-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】501473877
【氏名又は名称】ガンブロ・ルンディア・エービー
【氏名又は名称原語表記】GAMBRO LUNDIA AB
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィースランデル, アンデシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン, オロフ
(72)【発明者】
【氏名】カールション, オラ
(72)【発明者】
【氏名】ホブロ, ストゥーレ
(72)【発明者】
【氏名】サンディン, カリン
(72)【発明者】
【氏名】エナション, サイモン
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特表平05-502614(JP,A)
【文献】特開2002-145782(JP,A)
【文献】特表2008-541927(JP,A)
【文献】国際公開第2012/129501(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用準備済み腹膜透析液体を調製するためのシステムであって、
a) 配分デバイスと、
b) 前記配分デバイスと接続するのに適合された少なくとも1つの水源と、
c) a)およびb)と接続するのに適合された少なくとも1つの第1濃縮物の源と、
d) a)およびb)と接続するのに適合された少なくとも1つの第2濃縮物の源と、
随意に、e) a)およびb)と接続するのに適合された少なくとも1つのさらなる濃縮物の源と、を備え、
前記第1濃縮物がバッファを含まず、1.5から4Mの濃度でグルコ-スと、強酸と、を含み、かつ1.5と4の間のpHを有し、前記第2濃縮物が、
5.5と9.0の間のpHを有する、生理的に許容可能なバッファを含
み、前記第2濃縮物が、1:10と1:40の間の比で、水、前記第1濃縮物、および随意に前記さらなる濃縮物で希釈して使用されるよう構成される、システム。
【請求項2】
前記第1濃縮物が2.0と3.5の間のpHを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1濃縮物が2.2と3.0の間のpHを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2濃縮物が6.0と8.5の間のpHを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記生理的に許容可能なバッファは、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、およびアミノ酸バッファ、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記生理的に許容可能なバッファは、乳酸塩、重炭酸塩、またはそれらの混合物である、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1濃縮物は、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびカリウムからなる群から選択される少なくとも1つの電解質をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2濃縮物は、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびカリウムからなる群から選択される少なくとも1つの電解質をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記さらなる濃縮物は、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびカリウムからなる群から選択される少なくとも1つの電解質を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記さらなる濃縮物は、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、およびアミノ酸バッファ、またはそれらの混合物からなる群から選択される生理的に許容可能なバッファを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1濃縮物および前記第2濃縮物は、カルシウムを各々含み、かつナトリウム、マグネシウム、およびカリウムからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる電解質を各々含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2濃縮物および前記さらなる濃縮物は、カルシウムを各々含み、かつナトリウム、マグネシウム、およびカリウムからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる電解質を各々含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1濃縮物および前記第2濃縮物は、カルシウムを各々含み、かつ、ナトリウム、マグネシウムおよびカリウムからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる電解質を各々含み、および随意に、前記さらなる濃縮物は、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムおよびカリウムからなる群から選択される少なくとも1つの電解質を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1濃縮物および/または前記第2濃縮物および/または前記さらなる濃縮物は最終滅菌される、請求項1から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2濃縮物が1:10と1:33の間の
比で、水、前記第1濃縮物、および随意に前記さらなる濃縮物で希釈
して使用されるように構成される、請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2濃縮物が10×、20×、25×、30×、および33×から選択される
率で、水、前記第1濃縮物、および随意に前記さらなる濃縮物で希釈
して使用されるように構成される、請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記使用準備済み腹膜透析液体は、
ナトリウム(Na
+) 100-140mM、
カリウム(K
+) 0-4mM、
カルシウム(Ca
2+) 0-2mM、
マグネシウム(Mg
2+) 0-0.75mM、
乳酸塩 0-40mM、
重炭酸塩 0-35mM、
グルコ-ス 0-5%、
を含有する、請求項1から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
随意に、前記第1および第2濃縮物の少なくとも1つが最終滅菌され、前記第1および第2濃縮物が混合され、
ナトリウム(Na
+) 100-140mM、
カリウム(K
+) 0-4mM、
カルシウム(Ca
2+) 0-2mM、
マグネシウム(Mg
2+) 0-0.75mM、
乳酸塩 0-40mM、
グルコ-ス 0-5%、
を含有する、使用準備済み腹膜透析溶液を形成する、請求項1から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記使用準備済み腹膜透析溶液は、
ナトリウム(Na
+) 132mM、
カリウム(K
+) 0-4mM、
カルシウム(Ca
2+) 0.5-2mM、
マグネシウム(Mg
2+) 0.25-0.50mM、
乳酸塩 0-40mM
グルコ-ス 1.5-5%、
を含有する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記使用準備済み腹膜透析溶液は、
ナトリウム(Na
+) 132mM、
カリウム(K
+) 0-4mM、
カルシウム(Ca
2+) 1.25-1.75mM、
マグネシウム(Mg
2+) 0.25-0.50mM、
乳酸塩 0-40mM、
グルコ-ス 1.5-5%、
を含有する、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記使用準備済み腹膜透析溶液は乳酸塩を含まない、請求項18から20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記使用準備済み腹膜透析溶液は30mMの乳酸塩を含む、請求項18から20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記使用準備済み腹膜透析溶液は40mMの乳酸塩を含む、請求項18から20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記第1濃縮物が0.95未満の水分活性(a
w)、およびpH<3.2を有する、請求項1から23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記第2濃縮物が0.89以下の水分活性(a
w)を有する、請求項1から24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1濃縮物が100μS/cm超の導電率、および1.5と3の間のpHを有する、請求項1から25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1濃縮物が400μS/cm超の導電率、および2.3のpHを有する、請求項1から25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記強酸がHClおよび有機酸から選択される、請求項1から27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記第1濃縮物は、塩化物、およびナトリウムからなる群から選択される1以上の電解質をさらに含む、請求項1から28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記第1濃縮物は、2.4と2.8の間のpHを有し、前記第2濃縮物は、乳酸塩、カルシウム、および随意に、ナトリウム、マグネシウム、カリウムからなる群から選択される1以上の電解質を含み、かつクエン酸塩をさらに含み、前記クエン酸塩は、安定効果を提供する量で存在し、前記第2濃縮物は6.0と8.5の間のpHを有する、請求項1から29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記クエン酸塩の濃度は、10mMまでである、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記クエン酸塩の濃度は、0.01から10mMの間である、請求項30または31に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を調製するために、特に、腎不全の治療用のために、調合する液体の分野に関する。具体的には、本発明は、透析液として使用のため、1、2、または複数の濃縮物から最終液体を調合するために構成された、腎不全の治療用のシステムに関する。特に、本発明は、腹膜透析用の液体を調製するために、特に、現場で液体を調製するために、使用され得る。
【背景技術】
【0002】
急性または慢性の腎不全を有する患者は、体からの老廃物および過剰の液体の除去のため、透析の形態で治療を支援する必要があり得る。透析は、拡散搬送または対流搬送の使用によって、患者から液体および老廃物を除去するプロセスである。透析液体に関連する種々の透析技術は区別され得る。どの透析技術を使用するかは、患者のニ-ズ、治療要求、および利用可能な資源、次第である。
【0003】
異なる透析治療が利用可能であり、血液透析(HD)、血液濾過(HF)、血液透析濾過(HDF)、および腹膜透析(PD)がある。血液透析の通院患者は、通常、週に約3回、3から5時間の透析療法を受ける。透析療法は、通常、透析施設で実施されるが、在宅透析も可能である。在宅透析が実施されるとき、患者は、より頻繁に透析を実施することができ、および、例えば、治療当たり4から8時間、かつ週に5から7回の治療である、通常、長い持続時間でより優しい治療でもある。投与量、および治療持続時間は、各患者の要求およびニ-ズに応じて調節され得る。
【0004】
急性腎不全に罹患している患者の場合、患者は、HDまたはPDのいずれかで治療され得、特別な種類のHDは、持続的腎代替療法(CRRT)であり、1日を通しての、および、いつくかの場合においては数週間の間の持続的な治療である。代替的には、患者は、また、通常のHD治療(間欠式治療)または長期透析(SLED)と呼ばれるHDのより時間のかかる形態で治療され得る。
【0005】
腹膜透析は、腎不全を有する患者のための1つの利用可能な透析技術である。この治療の間、無菌の腹膜透析液体が腹壁を通り挿入されたカテ-テルを介して、患者の腹膜腔中に注入される。腹膜透析において、腹膜は透析膜として働く。浸透圧勾配は、浸透物質の添加によって、血液からの液体除去を引き起こす透析液体に適用される。透析治療の間に除去された液体の量は、使用された液体中の選択された浸透物質の濃度に依存し、高濃度で、多量の液体が除去される。
【0006】
利用可能な腹膜透析治療の異なる方法があり、例えば、持続携行式腹膜透析(CAPD)、および自動腹膜透析(APD)がある。
【0007】
自動腹膜透析においては、自動サイクラが、透析液体を注入するために、および排出させるために使用される。治療のこの形態は、患者が眠っている間の夜に自動的に行われ得る。サイクラは、除去された正味の液体を計算するために、注入された液体の量、および除去された量を測定する。治療順序は、通常、初期排出サイクルで始まり、腹膜腔の透析液(使用済み透析液体とも呼ばれる)を空にする。それから、サイクラは、一連の充填、滞留、および排出サイクルを実施し、通常、充填サイクルで終わる。
【0008】
腹膜透析は、一般に、多量の透析液体を必要とする。一般に、各用途、または交換で、ある患者は、0.5から3リットルの透析液体を腹膜膣内に注入されることになる。液体は、およそ3から4時間滞留することを許されるとともに、それは排出され、および新しい液体と交換される。一般に、そのような交換の4つが毎日実施される。およそ8から20リットルの透析液体が、各患者のため、1日当たり必要とされ、週7日、年365日である。
【0009】
腹膜透析液体は、慣例上、バッグで提供され、多くの場合、1.5L、2L、3L、5L、または6Lバッグであり、および最終滅菌されている。必要とされる液体の膨大な量の輸送および貯蔵は、すさまじく不便で、かつ高価でもある。さらに、患者のために、非常に多くの液体容器の繰り返しの接続および切り離しは、接続点で微生物の汚染の実質的な危険性を与える。付加的に、空容器およびパッケージの形態における、非常に多量の廃棄物、およびそれらの適正処分が、ますます心配事になっている。
【0010】
これらの心配事を減少させること、および大量の透析液体を伴う問題を解決することが望まれている。本発明は、少量の濃縮透析液体が、ポイントオブケア、つまり、患者の近くで、精製水と配合され、および希釈される、システムを提供することによって問題に対する液体を提供する。使用準備済みの腹膜透析液体を調製するための成分の濃縮物が、約1Lの体積で各々提供され、および、今日、一般に使用される腹膜透析液体の8から55Lに取って代わることになる。さらに、APDまたはCAPDで使用されるように、腹膜透析液体のための液体の現地での調製を提供する必要があり、および現在の利用可能な治療より大きく、安全、無菌、および正確に要件を実行する治療を提供する必要がある。
【0011】
国際公開第2013/1141896号は、腹膜透析のためのシステム、デバイスおよび方法を記載している。システムは、バッチの液体の導電率を比較するように構成された制御手段を含み得る。
【0012】
国際公開第2012/129501号は、腹膜透析のシステム、デバイス、および方法を記載しており、処方箋駆動透析液体調製を含んでいる。
【0013】
濃縮物を腎臓透析溶液として使用のための溶液中に配分および調合するための装置が、米国特許第5,344,392号明細書から知られている。
【0014】
また、この装置中で使用される濃縮物は、その中に記載されている。濃縮物1は、以下を含んでいる。
・ 11.34g/100ml NaCl - (Mw=58.44g/mol);1940mM
・ 7.84g/100ml 乳酸ナトリウム(Mw=112.06g/mol);700mM
・ 514mg/100ml 塩化カルシウム(Mw(CaCl2・2H2O=147.01g/mol);35.0mM
・ 304mg/100ml 塩化マグネシウム(Mw=203.31g/mol(6水和物));14.95mM
【0015】
濃縮物はおよそ6.4のpHを有する。
【0016】
濃縮物1は、50%デキストロ-スの溶液を含む濃縮物2と混合されるように意図される。結果の溶液は、1対20(1+19)希釈のためであり、得られた腹膜透析液体を使用するための準備を得る。
【0017】
しかしながら、グルコ-ス溶液のpHが特定されていないので、記載された溶液はグルコ-ス分解生成物(GDPs)の許容不可能なレベルを生成するように構成される。液体を含むグルコ-スの滅菌は、滅菌プロセスの間に、いくらかのグルコ-スが分解および細胞傷害性のGDPsを形成するので挑戦的である。その上の必要性は、十分な貯蔵安定性および生物的適合性を有し、および注入の苦痛を減少させる生理的/中性に近い使用準備済みのpHを生じる、腹膜透析液体の現場での調製のために適切な濃縮物を備えるシステムを提供することであり、GDPsおよび沈殿物を含む不純物の清浄であり、微生物学的に安全であり、および、透析および/または限外濾過のための患者の要求に合う浸透勾配を提供する。
【発明の概要】
【0018】
本発明の対象は、使用準備済みの腹膜透析液体を調製するためのシステムを提供することであった。
【0019】
本発明の一実施形態において、システムが提供され、システムは、
a) 配分デバイスと、
b) 前記配分デバイスと接続するのに適合された少なくとも1つの水源と、
c) a)およびb)と接続するのに適合された少なくとも1つの第1濃縮物源と、
d) a)およびb)と接続するのに適合された少なくとも1つの第2濃縮物源と、
随意に、e) a)およびb)と接続するのに適合された少なくとも1つのさらなる濃縮物源と、を備え、
および、前記第1濃縮物がグルコ-スを含み、かつ1.5と4の間のpH、例えば2と3.5の間のpH、または2.2と3.2の間のpHを有し、および前記第2濃縮物が生理的に許容可能なバッファを含み、かつ5.5と9.0の間のpHを有する、ことによってさらに特定される。
【0020】
使用準備済みの腹膜液体は、また、5.5から8の間のpH、例えば、6.5から7.5の間、または6.8から7.5の間のpHを有するように調製され得る。
【0021】
本発明の一実施形態において、システムは、1.5と4の間のpH、または2と3.5の間のpH、または2.2と3.2の間のpHを有する、グルコ-スを含む第1濃縮物を含み、第2濃縮物が6.0と8.5の間のpHを有する生理的に許容可能なバッファを含む。
【0022】
調製された使用準備済み腹膜透析液体は次の内容物を有する。
ナトリウム(Na+) 100-140mM
カリウム(K+) 0-4mM
カルシウム(Ca2+) 0-2mM
マグネシウム(Mg2+)0-0.75mM
乳酸塩 0-40mM
重炭酸塩 0-35mM
グルコ-ス 0-5%
【0023】
本発明の一実施形態において、生理的に許容可能なバッファは、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、およびアミノ酸バッファ、またはそれらの混合物を含む群から選択される。
【0024】
本発明の一実施形態において、生理的に許容可能なバッファは乳酸塩である。
【0025】
本発明の一実施形態において、生理的に許容可能なバッファは重炭酸塩である。
【0026】
本発明の別の実施形態において、生理的に許容可能なバッファは乳酸塩と重炭酸塩の混合物である。
【0027】
本発明の一実施形態において、第1濃縮物は、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、および随意にカリウムを含む群から選択される少なくとも1つの電解質をさらに含む。
【0028】
本発明の一実施形態において、第2濃縮物は、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、および随意にカリウムを含む群から選択される少なくとも1つの電解質をさらに含む。
【0029】
本発明の別の実施形態において、さらなる濃縮物は、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、および付随的にカリウムを含む群から選択される少なくとも1つの電解質を含む。
【0030】
電解質、例えば、カルシウムのプロファイリングに対して柔軟性および能力を有する使用準備済みの腹膜液体を調製するためのシステムが本発明によって提供される。
【0031】
本発明の別の実施形態において、さらなる濃縮物は、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、およびアミノ酸バッファ、またはそれらの混合物を含む群から選択される生理的に許容可能なバッファを含む。これは、腹膜透析液体を調製するために、さらなる柔軟性を与えることになる。
【0032】
別の実施形態において、第1濃縮物および第2濃縮物は、カルシウムを含み、かつナトリウム、マグネシウム、および随意にカリウムを含む群から選択される少なくとも1つのさらなる電解質を含む。
【0033】
別の実施形態において、第2濃縮物およびさらなる濃縮物は、カルシウムを含み、かつナトリウム、マグネシウム、および随意にカリウムを含む群から選択される少なくとも1つのさらなる電解質を含む。
【0034】
別の実施形態において、第1濃縮物および第2濃縮物は、カルシウムを含み、かつナトリウム、マグネシウム、および随意にカリウムを含む群から選択される少なくとも1つのさらなる電解質を含み、および随意にさらなる濃縮物は、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、および随意にカリウムを含む群から選択される少なくとも1つの電解質を含む。
【0035】
第2濃縮物中と同時に第1濃縮物中に、カルシウム、および随意にマグネシウムを含むシステムが、カルシウムのプロファイリングが達成されるシステムを提供する。カルシウムの柔軟性は、カルシウムが、第1、第2またはさらなる濃縮物である、濃縮物の1つ内にだけ存在する、システム内より広い範囲内で変化し得る。第2濃縮物、例えば、濃縮物を含む乳酸塩において、カルシウムの濃縮物、および随意にマグネシムの濃縮物を減少させることによって、第2濃縮物の安定性は改善され得る。
【0036】
本発明の別の実施形態は、第1濃縮物、および/または第2濃縮物、および/またはさらなる濃縮物が最終滅菌されるシステムである。
【0037】
本発明の一実施形態において、システムが提供され、システムは、
a) 配分デバイスと、
b) 前記配分デバイスと接続するのに適合された少なくとも1つの水源と、
c) a)およびb)と接続するのに適合され、かつ最終滅菌された少なくとも1つの第1濃縮物源と、
d) a)およびb)と接続するのに適合され、かつ最終滅菌された少なくとも1つの第2濃縮物源と、
随意に、e) a)およびb)と接続するのに適合され、かつ最終滅菌された少なくとも1つのさらなる濃縮物源と、を含み、
および、前記第1濃縮物がグルコ-スを含み、かつ1.5と4の間のpH、例えば2と3.5の間のpH、または2.2と3.2の間のpHを有し、および前記第2濃縮物が生理的に許容可能なバッファを含み、かつ5.5と9.0の間、例えば6.0と8.5の間のpHを有する、ことによってさらに特定される。
【0038】
本願明細書に記載されるシステムは、1以上の水源を含み、好ましくは、精製水を提供する。第1濃縮物、第2濃縮物、および/またはさらなる濃縮物の最終滅菌によって、非常に高品質の腹膜透析液体を提供することが可能となる。
【0039】
本発明の1つの実施形態において、第2濃縮物は、水および第1、および随意にさらなる濃縮物で希釈を要求する。およそ1:10から1:33の間の、およそ1:10をおよそ1:40に希釈されることが意図され、また、10×、20×、25×、30×、33×、35×、および40×として表示される。
【0040】
別の実施形態において、第1濃縮物がグルコ-スを含み、かつ1.5と4の間のpH、例えば、2.2と3.0の間のpH、または2.2と2.8の間のpHのような、2と3.5の間のpHを有し、および第2濃縮物が乳酸ナトリウム、塩化カルシウム、および塩化マグネシウムを含み、かつ5.5と8.5の間のpH、例えば6.5と8.5の間のpH、または6.8と8.5の間のpHを有し、および、本願明細書に記載されるように、随意に、第1濃縮物および第2濃縮物の少なくとも1つが最終滅菌され、および使用準備済み腹膜透析液体を形成するように混ぜられる。
【0041】
具体的には、使用準備済み腹膜透析液体は次のものを含有する。
ナトリウム(Na+) 100-140mM、好ましくは132mM
カリウム(K+) 0-4mM
カルシウム(Ca2+) 0-2mM、好ましくは0.5-2mM
特に、1.25-1.75mM
マグネシウム(Mg2+) 0-0.75mM、好ましくは0.25-0.50mM
乳酸塩 0-45mM、好ましくは0-40mM
より好ましくは、0、30、35、または40mM
グルコ-ス 0-5%、1.5-5%
【0042】
別の実施形態において、第1濃縮物は、グルコ-スを含み、1.5と4の間のpH、2と3.5の間のpH、2.2と2.8の間のpHを有し、第2濃縮物は、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、および随意に乳酸ナトリウムを含み、かつ6.0と8.5の間のpHを有し、およびさらなる濃縮物は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、および随意に乳酸を含み、および随意に第1および第2濃縮物の少なくとも1つは最終滅菌される。
【0043】
本発明の別の実施形態において、第1濃縮物は、0.95未満の水分活性(aw)、およびpH<3.2を有する。
【0044】
本発明の別の実施形態は、0.89以下、例えば、0.85未満、または0.8未満の水分活性(aw)を有する第2濃縮物である。
【0045】
別の実施形態において、第1濃縮物は、グルコ-スを含み、および100μS/cm超の導電率、および1.5と3の間のpHを有し、具体的には、第1濃縮物は、400μS/cm超の導電率、およびpH2.3を有する。具体的には、第1濃縮物は、グルコ-スを含み、および100μS/cm超の導電率、1.5と3の間のpHを有し、第2濃縮物は、生理的に許容可能なバッファ、および随意にナトリウム、カルシウム、マグネシウム、および随意にカリウムを含む群から選択される少なくとも1つの電解質を含み、および6.5と8.5の間のpHを有する。
【0046】
100μS/cm超の導電率を有する、グルコ-スを含む第1濃縮物で、濃縮物を区別できる可能性が提供される。したがって、濃縮物を含有するグルコ-スを、システムおよび水源内に含まれる他の濃縮物から確認および区別することができる。
【0047】
本発明の別の利点は、その液体中のグルコ-ス濃縮物中に大きな柔軟性を提供することができることである。ナトリウムイオンがグルコ-ス濃縮物に添加される選択肢と比較したとき、大きな柔軟性が提供される。使用準備済み腹膜透析液体中のナトリウムイオンの量は、ヨ-ロッパ薬局方中の制限によって制限される(±2.5%)。したがって、グルコ-ス濃縮物中のナトリウムイオンを避けることによって、グルコ-ス濃縮物を変更および調節する柔軟性がより大きい。
【0048】
一実施形態において、グルコ-スを含む第1濃縮物は、好ましくは、塩酸(HCl)および有機酸から選択される、強酸をさらに含む。有機酸の例は、クエン酸、酢酸等である。
【0049】
別の実施形態において、第1濃縮物は、塩化物、およびナトリウムからなる群から選択される1以上の電解質をさらに含む。
【0050】
一実施形態において、第1濃縮物は、グルコ-スを含み、かつ1.5と3の間のpHで100μS/cm超の導電率を有し、第2濃縮物は、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、および随意に乳酸ナトリウムを含み、かつ6.5と8.5のpHを有し、および、第3濃縮物は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、および随意に乳酸を含む。随意に、この実施形態に含まれる濃縮物の少なくとも1つは、滅菌され、好ましくは最終滅菌される。
【0051】
一実施形態において、第1濃縮物は、グルコ-スを含み、1.5と4の間、例えば、2.4と2.8の間のような、2と3.5の間のpHを有し、第2濃縮物は、生理的に許容可能なバッファ乳酸塩、電解質としてカルシウム、および随意にナトリウム、マグネシウム、およびカリウムを含む群から選択される1以上の電解質、安定化効果を有する量のクエン酸塩を含み、かつ6.0と8.5の間のpHを有する。
【0052】
特に、クエン酸塩の濃度は、10mMまでである。しかしながら、クエン酸塩の濃度は、濃縮物の希釈比で調節され得る。例は、1:40の希釈比である、10mMの濃度のクエン酸塩であり、および乳酸塩を含む第2濃縮物中に50mMのカルシウムの濃度である。別の例は、1:20の希釈比である、10mMの濃度のクエン酸塩であり、および乳酸塩を含む第2濃縮物に35mMのカルシウムの濃度である。
【0053】
低い量のクエン酸塩が、濃縮物および使用準備済み液体のpHを安定にする目的で、さらなる濃縮物に添加される。カルシウム含有液体にクエン酸塩の添加は、乳酸カルシウムの沈殿の恐れを制限する。クエン酸塩の添加によって、粒子形成が減少し得る。さらに、使用準備済み腹膜透析液体のpHは、クエン酸塩の添加で、生理的pH、または中性により近くなる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】
図1は、使用準備済み腹膜透析液体を調製するシステムを示す模式
図100を提供する。第1濃縮物を含む容器10、および第2濃縮物を含む容器12が、導管によって混合するために配分デバイス16に各々接続されている。精製水源14も導管によって混合機16に接続されている。配分デバイス16は、ユ-ザインタフェイス20からの入力に基づき、制御器18によって制御される。そのようなユ-ザ入力、および制御器18からの制御信号に応じて、配分デバイス16は、第1および随意に第2濃縮物、加えて源10、12、14から水の特定量を受け取り、および出力/容器22を介して送られる、使用準備済み透析液体を生成する。
【0055】
【
図2】
図2は、既知のグルコ-ス分解生成物、およびD-グルコ-スから始まる分解経路を表す。
【0056】
【
図3】
図3は、4.25gのグルコ-ス、538mgの塩化ナトリウム、448mgの乳酸ナトリウム、18.3mgの塩化カルシウム二水和物、5.08mgの塩化マグネシウム六水和物、および水からなる(100mLの溶液当たり)、本発明に係る第1および第2濃縮物の再構成され、および滅菌された腹膜溶液における、UPLC/UVによって実施例32に従い決定された、μmol/lにおけるグルコ-ス分解生成物の濃度を示す(サンプル1および2で全く同じ)。使用された略語は
図2に見つけられる。従来の生成物の比較状態に認められる平均GDP濃縮物と比較して、Himmeleら(2012)参照、本願明細書中の本発明のようなシステムに基づく溶液中のGDP濃縮物は、極めて低い。
【発明を実施するための形態】
【0057】
(定義)
技術用語「第1濃縮物」は、本願明細書において、グルコ-ス源を意味する。源は、液体濃縮物、または、乾燥粉末濃縮物の形態で提供され得る。
【0058】
技術用語「第2濃縮物」は、本願明細書において、生理的に許容可能なバッファの源を意味する。生理的に許容可能なバッファの例は、別段特定されていないなら、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、およびアミノ酸バッファである。さらに、バッファは、アルカリの形態であることを意図しており、例えば、乳酸ナトリウム、および重炭酸ナトリウムのような、乳酸アルカリ、および重炭酸アルカリである。
【0059】
技術用語「クエン酸塩」は、クエン酸、またはそれの任意の塩を意味する。塩は、ナトリウム、マグネシウム、またはカリウムで形成され得る。クエン酸ナトリウムは、クエン酸三ナトリウム(「Na-cit」)、クエン酸水素二ナトリウム、またはクエン酸二水素ナトリウムとして存在し得る。
【0060】
技術用語「最終滅菌」は、本願明細書において、生成物がその最終パッケ-ジ中で滅菌されることを意味するように意図される。最終滅菌は、加熱滅菌、および/または放射線滅菌を含み得るが、好ましくは、少なくとも100℃の温度で、好ましくは少なくとも121℃の温度で、オートクレーブ中で成し遂げられる加熱滅菌である。
【0061】
本願明細書で使用される、技術用語「希釈」は、大量の、例えば、滅菌水、生理食塩水、または希釈液または希釈ブランクと呼ばれる他の適切な液体で、少ない測定サンプルの混合を示す。単一希釈は、以下のように計算される。
希釈=サンプルの体積/(サンプルの全体積+希釈液の体積)
【0062】
例えば、1mLの9mLへの希釈は、1/1+9に等しく、1/10と同じであり、1/10、またh10-1と書かれる。それから、これは、1対10希釈と呼ばれる。
【0063】
(発明の詳細な説明)
本発明によって、使用準備済み腹膜透析溶液を調製するためのシステムが提供される。システムは、以下の
a) 配分デバイスと、
b) 前記配分デバイスと接続するのに適合された少なくとも1つの水源と、
c) a)およびb)と接続するのに適合された少なくとも1つの第1濃縮物源と、
d) a)およびb)と接続するのに適合された少なくとも1つの第2濃縮物源と、を含む。
【0064】
システムは、また、随意に、a)およびb)と接続するのに適合された少なくとも1つのさらなる濃縮物源を備える。第1濃縮物は、グルコ-スを含み、かつ1.5と4の間のpHを有する。例えば、pHは、2と3.5の間、具体的には、pHは2.2と3.0の間である。第2濃縮物は、生理的に許容可能なバッファを含み、かつ5.5と9.0の間、例えば、6.5と9、6.0と8.5、または6.5と8.5の間のpHを有する。
【0065】
本願明細書に記載されたシステムは、使用準備済み腹膜透析液体を調製するために適切である。腹膜透析液体は、第2濃縮物と共に、随意に1以上のさらなる濃縮物と共に、第1濃縮物から調製され得る。
【0066】
本願明細書に記載されるシステムは、配分デバイスを含む。配分デバイスにおいて、濃縮物は、混合され、例えば、配分され、および調合され、使用準備済み腹膜透析液体を形成する。本願明細書で特定されるシステムで、腹膜透析治療のための透析液体を調製する簡単な方法が提供される。少ない量および少ない体積の濃縮物が、患者の治療に関して扱われることになる。
【0067】
上述のように、腹膜透析用のシステムは、国際公開第2013/1141896号、および国際公開第2012/129501号に記載されている。また、配分デバイスは、本願明細書に記載される。さらに、市販の配分デバイスがあり、例えば、AMIA(バクスタ-インタ-ナショナルインク)がある。
【0068】
さらに、本願明細書に記載されるシステムは、少なくとも1つの水源を含む。この製品に含まれる濃縮物に添加される水は、その用途に適切な特定の化学的または微生物学的特性(例えば、ヨ-ロッパ薬局方で規定される)を有するであろう。
【0069】
水源に含まれることになる水は、微生物学的および化学的見地から安全である制限内にあるべきで、この水は、例えば、「精製水」、「高度精製水」、「超純水」、「注射用水」(WFI)、「滅菌WFI」、「血液透析用水」、「蒸留水」、「滅菌精製水」、および「医療用水」であり得る。
【0070】
本願明細書で特定された、第1濃縮物、第2濃縮物、およびさらなる濃縮物は、それらがシステム内に含まれる前に最終滅菌され得る。システム中に含まれる、例えば、最終滅菌によって、滅菌された濃縮物を有することによって、それらは、上記で特定されるような特性を有する水と混合され得、および高品質の使用準備済み腹膜透析液体が提供される。使用準備済み腹膜透析液体の滅菌の必要はない。本発明によって、ポイントオブケアに接して使用準備済み腹膜透析液体を提供することができる。
【0071】
図1は、使用準備済み腹膜透析液体を調製するためのシステムを示す模式
図100を提供する。第1濃縮物を含む容器10、および第2濃縮物を含む容器12が、導管によって混合するための配分デバイス16に各々接続されている。一実施形態において(図面には示されていない)、また、さらなる濃縮物を含む容器がシステムに含まれる。精製水の源14も導管によって混合機16に接続されている。配分デバイス16は、ユ-ザインタフェイス20からの入力に基づき、制御器18によって制御される。そのようなユ-ザ入力および制御器18からの制御信号に応じて、配分デバイス16は、第1および随意に第2濃縮物、加えて源10、12、14から水の特定量を受け取り、および出力/容器22を介して送られる、使用準備済み透析液体を生成する。
【0072】
本願明細書に特定されるシステムによって、使用準備済み腹膜透析溶液は、次の内容物を含み得、
ナトリウム(Na+) 100-140mM
カリウム(K+) 0-4mM
カルシウム(Ca2+) 0-2mM
マグネシウム(Mg2+)0-0.75mM
乳酸塩 0-40mM
重炭酸塩 0-35mM
グルコ-ス 0-5%
が提供される。使用準備済み腹膜透析溶液のpHは、5.5-8の間、例えば、6.5-7.5の間、または6.8-7.5の間である。
【0073】
さらに、好ましくは、使用準備済み腹膜透析液体は、
ナトリウム(Na+) 120-140mM、より好ましくは132mM、
カリウム(K+) 0-4mM、例えば、0、1、2、3、4mM、
カルシウム(Ca2+) 0-2mM、好ましくは、0.5-2mM、
特に、1.25、1.5mM、または1.75mM、
マグネシウム(Mg2+)0-0.75mM、好ましくは、0.25-0.5mM、
例えば、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、
および0.5、
乳酸塩 0-40mM、好ましくは0、30、35、または40mM、
重炭酸塩 0-35mM、好ましくは0、30、35mM、
グルコ-ス 0-5%を含有する。
【0074】
本発明の別の実施形態において、乳酸塩、および重炭酸塩バッファを含む使用準備済み腹膜透析液体が提供される。例えば、液体は、次の内容物を有する。
ナトリウム(Na+) 100-140mM、好ましくは120-140mM、
より好ましくは132mM、
カリウム(K+) 0-4mM、例えば、0、1、2、3、4mM、
カルシウム(Ca2+) 0-2mM、好ましくは、0.5-2mM、
特に、1.25、1.5mM、または1.75mM、
マグネシウム(Mg2+)0-0.75mM、好ましくは、0.25-0.5mM、
例えば、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、
および0.5、
乳酸塩 10mM
重炭酸塩 25mM
グルコ-ス 0-5%
【0075】
例えば、液体は、次の内容物を有する。
ナトリウム(Na+) 100-140mM、好ましくは120-140mM、
より好ましくは132mM、
カリウム(K+) 0-4mM、例えば、0、1、2、3、4mM、
カルシウム(Ca2+) 0-2mM、好ましくは、0.5-2mM、
特に、1.25、1.5mM、または1.75mM、
マグネシウム(Mg2+)0-0.75mM、好ましくは、0.25-0.5mM、
例えば、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、
および0.5、
乳酸塩 15mM
重炭酸塩 25mM
グルコ-ス 0-5%
【0076】
別の例において、液体は、
ナトリウム(Na+) 100-140mM、好ましくは120-140mM、
より好ましくは132mM、
カリウム(K+) 0-4mM、例えば、0、1、2、3、4mM、
カルシウム(Ca2+) 0-2mM、好ましくは、0.5-2mM、
特に、1.25、1.5mM、または1.75mM、
マグネシウム(Mg2+)0-0.75mM、好ましくは、0.25-0.5mM、
例えば、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、
および0.5、
乳酸塩 15mM
重炭酸塩 15mM
グルコ-ス 0-5%を含有する。
【0077】
使用準備済み腹膜透析液体の例のリストは、網羅的でなく、または本発明を制限するように意図されない。
【0078】
本願明細書に記載された第1濃縮物は、グルコ-スを含み、かつpH1.5-4に調節される。濃縮物は、例えば、塩酸(HCl)の添加によって、酸性化される。濃縮物は、1.5-4Mのグルコ-ス、例えば、1.5-3.9Mの間、または1.6-3.9Mの間を含む。第1濃縮物は、0-0.05Mのカルシウム(Ca2+)、0-0.01Mのマグネシウム(Mg2+)、および0-0.05Mのナトリウム(Na+)を随意に含有し得る。
【0079】
本願明細書に記載された第2濃縮物は、生理的に許容可能なバッファを含み、および随意に1以上の電解質を含む。第2濃縮物は、1.0-5.5Mのナトリウム(Na+)、0-0.12Mのカルシウム(Ca2+)のような0-0.15Mのカルシウム(Ca2+)、0-0.03Mのマグネシウム(Mg2+)、0-1.60Mの乳酸塩、および0-1.60Mの重炭酸塩を含有し得る。随意に、第2濃縮物は、0-0.1Mのカリウム(K+)を含有する。随意に、第2濃縮物は、0-15mMのクエン酸塩、例えば、0-10mMのクエン酸塩を含有する。
【0080】
さらなる濃縮物は、本願明細書に記載されたシステムに含まれ得、さらなる濃縮物は、例えば、0-2Mのナトリウム(Na+)、0-0.06Mのカルシウム(Ca2+)、および0-0.15Mのマグネシウム(Mg2+)を含み得る。
【0081】
さらに、システムは、生理的に許容可能なバッファを含む少なくとも1つの第2濃縮物源を含む。バッファは、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、またはそれの混合物を含む群から選択され得る。生理的に許容可能なバッファは、また、ヒスチジン、その異性体類、ポリマ-類、およびそれの誘導体類のような、1以上のアミノ酸を含む。ヒスチジンの例は、L-ヒスチジンである。
【0082】
本願明細書に含まれる濃縮物は、特定された水分活性を有する。水分活性、またはawは、同じ温度での、純H2Oの蒸気圧(PO)に対する生成物中のH2Oの蒸気圧の比率である。濃縮物の水分活性を特定すること、および変更することによって、微生物の生育に対する高い抵抗が得られ得る。細菌生育および増殖のための一般制限は、細菌/微生物の生育が遅くなる制限より低い、0.91の水分活性である。したがって、細菌生育を制限する水分活性を備える濃縮物を提供することが目的である。
【0083】
特定された水分活性を有する濃縮物は、特定された水分活性を有さない濃縮物と比較して長期間の間使用すること(「長期間使用」)を可能にし得る。
【0084】
本願明細書に記載される第1濃縮物は、長期間の間使用されるとき、0.95未満の水分活性(aw)、および3.3より低いpHを有することなる。
【0085】
本願明細書に記載される第2濃縮物は、0.9未満、好ましくは、0.89未満、例えば、0.85未満、または0.8未満の水分活性(aw)を有することなる。
【0086】
上記のように、GDPsを含む不純物を取り除く、腹膜透析液体の現場調製に適切な濃縮物を含むシステムを提供することが必要である。本願明細書に記載される本発明によって、3,4-DGEの<20μmol/L、例えば、3,4-DGEの<15μmol/L、3,4-DGEの<10μmol/L、または3,4-DGEの<5μmol/Lのグルコ-ス分解生成物の濃縮物を有する使用準備済みの腹膜透析液体を提供するシステムが提供される。本発明の別の実施形態において、使用準備済み腹膜透析液体は、グルコソンの<8μmol/L、例えば、グルコソンの<5μmol/L、またはグルコソンの<3μmol/Lのグルコ-ス分解生成物の濃縮物を有する。本発明の別の実施形態において、使用準備済み腹膜透析液体は、5-HMFの<17μmol/L、例えば、5-HMFの<14μmol/L、または5-HMFの<10μmol/L、または5-HMFの<8μmol/Lのグルコ-ス分解生成物の濃縮物を有する。本発明の別の実施形態において、使用準備済み腹膜透析液体は、3-DGの<25μmol/L、例えば、3-DGの<20μmol/L、または3-DGの<15μmol/L、または3-DGの<10μmol/Lのグルコ-ス分解生成物の濃縮物を有する。
【0087】
本発明の別の実施形態は、本願明細書に記載される第2濃縮物を含むシステムであり、生理的に許容可能なバッファ、および随意にナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびカリウムを含む群から選択される少なくとも1つの電解質を含み、第2濃縮物が、およそ6.4のpHを有する、以下の組成物を含まないことを条件とする。
・11.34g/100ml NaCl (Mw=58.44g/mol);1940mM
・7.84g/100ml 乳酸ナトリウム(Mw=112.06g/mol);700mM
・514mg/100ml 塩化カルシウム(Mw(CaCl2・2H2O=147.01g/mol);35.0mM
・304mg/100ml 塩化マグネシウム(Mw=203.31g/mol(6水和物));14.95mM
【0088】
本発明の一実施形態において、システムが提供され、システムは、
a) 配分デバイスと、
b) 前記配分デバイスと接続するのに適合された少なくとも1つの水源と、
c) a)およびb)と接続するのに適合された少なくとも1つの第1濃縮物源と、
d) a)およびb)と接続するのに適合された少なくとも1つの第2濃縮物源と、
随意に、e) a)およびb)と接続するのに適合された少なくとも1つのさらなる濃縮物源と、を含み、
および、前記第1濃縮物がグルコ-スを随意に含み、かつ1.5と4の間のpH、例えば2と3.5の間のpH、または2.2と3.2の間のpHを有し、および前記第2濃縮物が生理的に許容可能なバッファを含み、かつ5.5と9.0の間のpHを有する、ことによってさらに特定される。
【0089】
使用準備済の腹膜液体は、また5.5-8.0の間のpH、例えば、6.5-7.5の間、または6.8-7.5の間、または6.0-8.5の間のpHを有するように調製され得る。
【実施例】
【0090】
実施例として、および限定でなく、次の実施例が種々の濃縮物候補を証明し、最終腹膜透析液体を提供するためのシステムで使用される。これらは実施例1-18の中に示される。水分活性は、濃縮物の試験がされ、および実施例19-20の中に示される。液体の安定性は、試験され、実施例21-22の中に示す。使用準備済み透析液体のpHは、測定され、および実施例23-29の中に示される。滅菌前後の第1濃縮物のpHの試験が実施され、実施例30の中に示される。滅菌前後の第2濃縮物のpHの試験が実施され、実施例31の中に示される。実施例32は、グルコ-ス分解生成物の生成、および使用準備済み溶液中のそれらの濃度のデータを提供する。
【0091】
実施例1
濃縮物A1
グルコ-ス 2.775M
塩酸 ad.pH 2.0-3.2
【0092】
濃縮物B1
塩化ナトリウム 3.68M
塩化カルシウム 0.07M
塩化マグネシウム 0.01M
乳酸ナトリウム 1.60M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0093】
【0094】
実施例2
濃縮物A2
グルコ-ス 2.775M
塩酸 ad.pH 2.0-3.2
【0095】
濃縮物B2
塩化ナトリウム 3.22M
塩化カルシウム 0.0437M
塩化マグネシウム 0.00875M
乳酸ナトリウム 1.40M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0096】
【0097】
実施例3
濃度物A3
グルコ-ス 2.775M
塩酸 ad.pH 2.0-3.2
【0098】
濃度物B3
塩化ナトリウム 2.76M
塩化カルシウム 0.053M
塩化マグネシウム 0.008M
乳酸ナトリウム 1.20M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0099】
【0100】
実施例4
濃度物A4
グルコ-ス 2.775M
塩酸 ad.pH 2.0-3.2
【0101】
濃度物B4
塩化ナトリウム 1.84M
塩化カルシウム 0.035M
塩化マグネシウム 0.005M
乳酸ナトリウム 0.80M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0102】
【0103】
実施例5
濃度物A5
グルコ-ス 2.775M
塩酸 ad.pH 2.0-3.2
【0104】
濃度物B5
塩化ナトリウム 1.84M
塩化カルシウム 0.025M
塩化マグネシウム 0.005M
乳酸ナトリウム 0.80M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0105】
【0106】
実施例6
濃度物A6
グルコ-ス 2.775M
塩化カルシウム 0.010M
塩化マグネシウム 0.0032M
塩酸 ad.pH 2.0-3.2
【0107】
濃度物B6
塩化ナトリウム 3.68M
塩化カルシウム 0.038M
塩化マグネシウム 0.010M
乳酸ナトリウム 1.60M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0108】
【0109】
実施例7
濃度物A7
グルコ-ス 2.775M
塩化カルシウム 0.015M
塩化マグネシウム 0.007M
塩酸 ad.pH 2.0-3.2
【0110】
濃度物B7
塩化ナトリウム 3.68M
塩化カルシウム 0.06M
塩化マグネシウム 0.0015M
乳酸ナトリウム 1.60M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0111】
【0112】
実施例8
濃度物A8
グルコ-ス 2.775M
塩酸 ad.pH 2.0-3.2
【0113】
濃度物B8
塩化ナトリウム 1.84M
塩化カリウム 0.08M
塩化カルシウム 0.035M
塩化マグネシウム 0.010M
乳酸ナトリウム 0.80M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0114】
【0115】
実施例9
濃度物A9
グルコ-ス 2.775M
塩酸 ad.pH 2.0-3.2
【0116】
濃度物B9
塩化ナトリウム 2.76M
塩化カルシウム 0.053M
塩化マグネシウム 0.015M
乳酸ナトリウム 1.20M
クエン酸三ナトリウム 0.0075M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0117】
【0118】
実施例10
濃度物A10
グルコ-ス 2.775M
塩化ナトリウム 0.01M
塩酸 ad.pH 2.0-3.2
【0119】
濃度物B10
塩化ナトリウム 2.76M
塩化カルシウム 0.052M
塩化マグネシウム 0.0075M
乳酸ナトリウム 1.20M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0120】
【0121】
実施例11
濃度物A11
グルコ-ス 3.885M
塩酸 ad.pH 2.0-3.2
【0122】
濃度物B11
塩化ナトリウム 2.76M
塩化カルシウム 0.053M
塩化マグネシウム 0.015M
乳酸ナトリウム 1.20M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0123】
【0124】
実施例12
濃度物A12
グルコ-ス 2.775M
塩化カルシウム 0.015M
塩化マグネシウム 0.007M
塩酸 ad.pH 2.0-3.2
【0125】
濃度物B12
塩化ナトリウム 2.74M
塩化カルシウム 0.030M
塩化マグネシウム 0.0020M
乳酸ナトリウム 1.20M
クエン酸三ナトリウム 0.0075M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0126】
【0127】
実施例13
濃度物A13
グルコ-ス 2.775M
塩酸 ad.pH 2.0-3.2
【0128】
濃度物B13
塩化ナトリウム 1.84M
塩化カルシウム 0.05M
塩化マグネシウム 0.01M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0129】
濃度物C13
塩化ナトリウム 1.84M
乳酸ナトリウム 1.60M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0130】
【0131】
実施例14
濃度物A14
グルコ-ス 2.775M
塩酸 ad.pH 2.0-3.2
【0132】
濃度物B14
塩化ナトリウム 1.84M
塩化カルシウム 0.05M
塩化マグネシウム 0.01M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0133】
濃度物C14
塩化ナトリウム 0.80M
塩化ナトリウム 0.70M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0134】
【0135】
実施例15
濃度物A15
グルコ-ス 2.775M
塩酸 ad.pH 2.0-3.2
【0136】
濃度物B15
塩化ナトリウム 1.84M
塩化カルシウム 0.0526M
塩化マグネシウム 0.015M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0137】
濃度物C15
塩化ナトリウム 1.0M
乳酸ナトリウム 0.28M
重炭酸ナトリウム 0.70M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0138】
【0139】
実施例16
濃度物A16
グルコ-ス 2.775M
塩酸 ad.pH 2.0-3.2
【0140】
濃度物B16
塩化ナトリウム 2.76M
塩化カルシウム 0.060M
塩化マグネシウム 0.024M
乳酸ナトリウム 1.20M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0141】
濃度物C16
塩化ナトリウム 3.31M
重炭酸ナトリウム 0.70M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0142】
【0143】
実施例17
濃度物A17
グルコ-ス 2.775M
塩酸 ad.pH 2.0-3.2
【0144】
濃度物B17
塩化ナトリウム 2.694M
塩化カルシウム 0.120M
塩化マグネシウム 0.020M
乳酸ナトリウム 1.20M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0145】
濃度物C17
塩化ナトリウム 2.694M
重炭酸ナトリウム 0.70M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0146】
【0147】
実施例18
濃縮物A18 30%グルコ-ス
グルコ-ス 1.665M
塩酸 ad.pH 2.0-3.2
【0148】
濃縮物B18 35×
塩化ナトリウム 3.68M
塩化カルシウム 0.07M
塩化マグネシウム 0.02M
乳酸ナトリウム 1.60M
水酸化ナトリウム ad.pH 6.5-9.0
【0149】
【0150】
実施例 -水分活性
次の実施例19-は、第1濃縮物および第2濃縮物の水分活性を調査するために行われた。
【0151】
本発明に係る腹膜透析液体の水分活性は、25℃で測定された(DCC-307014,ver.1.0に従い)。
【0152】
実施例19
濃度物A19
50%グルコ-ス(無水物)
2.4-2.8にHClで調節されたpH
【0153】
濃縮物は、希釈20×で調製された。
水分活性aw=0.92
(加熱滅菌前後に測定された)
【0154】
濃度物B19
塩化ナトリウム 3.68M
塩化マグネシウム 10mM
塩化カルシウム 54mM
乳酸ナトリウム 1.6M
pH 7.5
【0155】
水分活性aw=0.75
(加熱滅菌前後に測定された)
【0156】
実施例20-比較例
第1濃度は、米国特許第5,344,392号明細書に記載されるような濃縮物1と比較された。
【0157】
濃縮物1
濃縮物1は、およそ6.4のpHに調節された次の組成を有する。
塩化ナトリウム 11.34g/100ml
乳酸ナトリウム 7.84g/100ml
塩化カルシウム 514mg/100ml
塩化マグネシウム 304mg/100ml
【0158】
濃縮物1の水分活性が測定され、aw=0.90であった。
【0159】
実施例21
候補濃縮物を示す試験液体は、特定される異なる量の固体成分を容器に添加し、かつ最終的に精製水を所望の体積まで添加することで調製された。試験溶液は、加熱滅菌され、および2月超の間、+4℃でインキュベ-トされた。
【0160】
第1濃縮物および第2濃縮物に基づく、使用準備済み腹膜透析液体が、また示される。
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
最終使用準備済み透析液体中のカルシウムの濃度は1.75mMである。
【0165】
沈殿物は、X(第2濃縮物に相当)中に確認されなかった。
【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
最終使用準備済み透析液体中のカルシウムの濃度は1.75mMである。
【0170】
沈殿物は、A(第2濃縮物に相当)中に確認されなかった。
【0171】
実施例23- 29- 腹膜透析液体のpH
候補濃縮物を示す試験液体は、特定される異なる量の固体成分を添加し、および精製水を所望の体積まで最終的に添加することによって調製された。試験液体のpHは測定された。第1濃縮物および第2濃縮物に基づく、得られた使用準備済み腹膜透析液体のpHは、また、表の中に示される。
【0172】
実施例23
濃縮物A23:1-5が、グルコ-ス含有量を変更し、およびpHを変更することで調製された。
【0173】
1.25mMのカルシウムの最終濃度(例えば、使用準備済み液体中として)を備える、濃縮物B23:1-5、バッファを含有する乳酸塩、希釈40×が、pHを変更することで調製された。pHが測定された。結果は、表に示される。
【0174】
【0175】
実施例24
濃縮物A24:1-4が、一定のpH3.0で、グルコ-ス含有量を変更することで調製された。
【0176】
濃縮物B24:1-4、バッファを含有する乳酸塩、希釈40×、1.25mMのカルシウムの最終濃度を備え、クエン酸塩の濃度を変更(濃縮物中の量で特定される)、pHを変更。pHが測定された。結果は、表に示される。
【0177】
【0178】
実施例25
濃縮物A25:1-5が、一定のpH3.0で、グルコ-ス含有量を変更することで調製された。
【0179】
濃縮物B25:1-5、バッファを含有する乳酸塩、希釈10×-40×を変更、1.25mMのカルシウムの最終濃度を備え、pH7.5.液体のpHが測定され、および結果は、表に示される。
【0180】
【0181】
実施例26
濃縮物A26:1-2が、一定のpH3.0で、グルコ-ス含有量を変更することで調製された。
【0182】
濃縮物B26:1-2、バッファを含有する乳酸塩、希釈40×、pH7.5、カルシウム濃度は使用準備済み透析液体中に1.25mMで提供、およびクエン酸塩濃度を変更(濃縮物中のクエン酸塩量で特定)。液体のpHが測定され、および結果は表に示される。
【0183】
【0184】
実施例27
濃縮物A27:1-4が、pH3.0で、グルコ-ス含有量を変更することで調製された。
【0185】
1.25mMのカルシウムの最終濃度を備える、濃縮物B27:1-4、バッファを含有する乳酸塩、希釈10×-40×で変更が、pH7.5で調製された。pHが測定され、および結果が表に示された。
【0186】
【0187】
実施例28
濃縮物A28:1-5が、pH3.0で、グルコ-ス含有量を変更することで調製された。
【0188】
濃縮物B28:1-5、バッファを含有する乳酸塩、希釈20×-35×、1.25mMのカルシウムの最終濃度を備え、0mM、5.71mM、8.57mM、および10mMのクエン酸塩を備え、pH7.5。使用準備済み透析液体のpHが測定された。結果は、表に示される。
【0189】
【0190】
実施例29
濃縮物A29:1-5が、pH3.0で、グルコ-ス含有量を変更することで調製された。
【0191】
濃縮物B29:1-5、バッファを含有する乳酸塩、希釈20×-30×のため、1.25mMのカルシウムの最終濃度を備え、0mM、および10mMのクエン酸を備え(濃縮物中に含まれる)、pH7.5、およびpH6.6が調製された。使用準備済み透析液体のpHが測定された。結果は表に示される。
【0192】
【0193】
実施例30-最終滅菌(加熱滅菌)後のpH測定
本願明細書に記載される第1濃縮物が加熱滅菌によって最終滅菌された。滅菌のためpHの変更が調査された。
【0194】
50%および60%のグルコ-スを含む第1濃縮物が、1.0と4.0の間のpHを変更することで、試験された。結果は次の表の中に示される。
【0195】
【0196】
実施例31
本願明細書に記載される第2濃縮物が加熱滅菌によって最終滅菌された。滅菌のためpHの変更が調査された。
【0197】
希釈10×、20×、30×、および40×で適切であり、pH6.6、7.5、8.0、9.0を目指し、1.25mM、または1.75mMのカルシウムを使用準備済み透析液体中に提供されるようにカルシウム、および0mM、1mM、5mM、5.71mM、8.57mMのクエン酸塩を含む、第2濃縮物が試験された。結果は次の表の中に示される。
【0198】
【0199】
【0200】
第2濃縮物のpHは滅菌の間に減少すると結論付けられ得る。
【0201】
本発明は、最も実用的な実施形態であるように現在考慮されたことと関連して記載されているが、本発明が開示された実施形態に制限されることがないことは理解されることになり、反して、添付の請求項の精神と範囲内に含まれる種々の変更物および均等物をカバ-することが意図される。
【0202】
実施例32
使用準備済み腹膜溶液が、本発明に係る濃縮物から調製され、および4.25gのグルコ-ス、538mgの塩化ナトリウム、448mgの乳酸ナトリウム、18.3mgの塩化カルシウム二水和物、5.08mgの塩化マグネシウム六水和物、および水の最終含有量(溶液100mmL当たり)を有していた。溶液のpHは6.3であった。10グルコ-ス分解生成物(GDP)のレベルが、3つの検証方法の全てを使用して測定された。UPLC/UVが、残余5-ヒドロキシメチルフルフラ-ル(5-HMF)、およびフルフラ-ルの決定のため使用された。方法は、任意の誘導体化を利用しなかった。UPLC/USは、また、グルコソン、グリオキサ-ル、メチルグリオキサ-ル、3-デオキシグルコソン(3-DG)、3-デオキシガラクタソン(3-DGal)、および3,4-ジ-デオキシグルコソン-3-エン(3,4-DGE)の決定のため使用され、およびこの方法は、紫外-検知可能モジュ-ルを引き起こす1,2フェニレンジアミンで誘導体化に依存した。UPLC/UVは、アセトアルデヒド、およびホルムアルデヒドの決定のために使用され、この方法は、2,4-ジニトロフェニルヒドラジンで誘導体化に依存し、紫外-検知可能モジュ-ルを引き起こす。3-DGal、GO、ホルムアルデヒド、およびアセトアルデヒドの濃縮物(μmol/L)は、定量限界より下であったことが確認された。さらに、上記溶液ため実施された2つの試験の1つにおいて定量限界より上であった。したがって、希釈されたバッファ濃縮物(グルコ-スが含有されない)は、また、GDPsの存在のため試験された。GDPsがバッファ溶液中に検出され得なかった。GDPの検出された濃縮物は、
図3に示される。グルコソンは、試験された2つのサンプル中に、5.200および5.383μmol/Lの濃度で検出された。3-DGは、各々、20.840および17.863μmol/Lの濃度で検出された。3,4-DGEは、各々、17.595および16.043μM/Lの濃度で検出された。5-HMFは、各々、16.061および12.365μM/Lの濃度で検出された。最後に、0.345μM/Lのフルフラ-ルが2つのサンプルの1つで確認され得た。従来の生成物の比較状態に確認される平均GDP濃縮物と比較して、例えば、Himmeleら,Peritoneal Dialysis International,Vol.32,p.444-452(2012)参照、本願明細書中の本発明のような、濃縮物に基づき、かつ濃縮物から調製された溶液中のGDP濃縮物は極めて低い。例えば、Himmeleら(2012)の表3参照。