(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】発電管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20241219BHJP
【FI】
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2022027870
(22)【出願日】2022-02-25
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 桂一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 喜代太
(72)【発明者】
【氏名】乾 真也
(72)【発明者】
【氏名】最相 美穂
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 礼
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-084421(JP,A)
【文献】特開2012-157132(JP,A)
【文献】特開2012-212347(JP,A)
【文献】特開2013-051326(JP,A)
【文献】特開2023-072589(JP,A)
【文献】特開2021-022244(JP,A)
【文献】特開2023-068809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H02J 3/00- 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーを利用した発電設備における発電を管理する発電管理装置であって、
前記発電設備の経時的な発電量の変化が記録された発電量データを取得する処理を実行する第1取得部と、
前記発電設備の経時的な発電量の変化が記録された発電量データに対応する参照用データであって前記発電設備における前記自然エネルギーの供給量の経時変化が記録された参照用データを取得する処理を実行する第2取得部と、
前記取得した発電量データと前記
取得した参照用データとを比較する処理を実行する比較部と、
前記比較処理により得られた比較結果に基づいて、前記発電量データの信頼性を判定する判定処理を実行する判定部と、
前記判定処理で前記信頼性があると判定されたときに、前記発電設備で得られた電力を蓄電する蓄電装置に対してグリーン電力を要求する需要者への送電を指令する通信部と、
を備えており、
ここで前記判定処理は、前記取得した参照用データである前記自然エネルギーの供給量の経時変化と、前記取得した発電量データである前記発電設備の経時的な発電量の変化とが、対応関係にあるときに、前記発電量データは前記自然エネルギーによる発電量を示すものとして信頼性があると判定し、前記対応関係がないときは、前記発電量データは前記自然エネルギーによる発電量を示すものとして信頼性がないと判定する、発電管理装置。
【請求項2】
前記判定処理で、信頼性があると判定された場合に、証明書を発行する処理が実行されるように構成された、請求項1に記載された発電管理装置。
【請求項3】
前記発電設備は太陽光パネルを備えており、
前記太陽光パネルの近傍には、前記太陽光パネルが受光する様子を観測するように、デジタル撮影機器が配置されており、
前記参照用データは、前記デジタル撮影機器が撮影した画像を解析して得られた光量の経時変化を記録したデータである、請求項1または2に記載された発電管理装置。
【請求項4】
前記発電設備は太陽光パネルを備えており、
前記参照用データが、前記太陽光パネルの近傍に配置された予め定められた太陽光パネルの発電量の経時変化を記録したデータである、請求項1または2に記載された発電管理装置。
【請求項5】
前記発電設備は、羽根を備える風力発電装置であり、
前記風力発電装置の近傍には、前記風力発電装置の前記羽根の回転状態の画像を撮影するように、デジタル撮影機器が配置されており、
前記参照用データは、前記デジタル撮影機器が撮影した前記画像を解析して得られる前記羽根の回転速度の経時変化を記録したデータである、請求項1または2に記載された発電管理装置。
【請求項6】
前記発電設備が風力発電装置であり、
前記参照用データが、前記風力発電装置の近傍に配置された予め定められた風力発電装置の発電量の経時変化を記録したデータである、請求項1または2に記載された発電管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2011-164900号公報には、再生可能エネルギーまたは低環境負荷の発電資源を利用したグリーン発電で得た電力であることを証明する技術が開示されている。同公報には、かかる技術の一例として、グリーン発電部と、該グリーン発電部での発電量を測定する発電量測定部と、該発電量測定部で測定された発電量情報を取得する情報取得部と、該情報取得部により取得された発電量情報の正当性を証明するための証明書を発行する発電証明書発行部と、を備えるグリーン発電装置が開示されている。同公報では、発電証明書は、発電量の情報に、秘密鍵を利用して該情報に電子署名が付加された状態で発行されることが提案されている。同公報では、かかる秘密鍵は、信頼できる認証機関により認証された公開鍵とペアを成すものであり、公開鍵を用いることで、発電証明書に付加された電子署名を検証できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、グリーン電力取引の信頼性を高めたい、と考えている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで開示される発電管理装置は、自然エネルギーを利用した発電設備の経時的な発電量の変化が記録された発電量データを取得する処理と、上記発電設備に対して予め定められた参照用データを取得する処理と、上記参照用データと上記発電量データとに基づいて、上記発電量データの信頼性を判定する判定処理と、が実行されるように構成されている。かかる発電管理装置によって、グリーン電力取引の信頼性を高めることができる。
【0006】
判定処理で、信頼性があると判定された場合に、証明書を発行する処理が実行されるように構成されてもよい。
【0007】
発電設備は太陽光パネルを備えていてもよい。太陽光パネルの近傍には、太陽光パネルが受光する様子を観測するデジタル撮影機器が配置されてもよい。参照用データは、デジタル撮影機器が観測した光量の経時変化を記録したデータであってもよい。
【0008】
参照用データは、太陽光パネルの近傍に配置された予め定められた太陽光パネルの発電量の経時変化を記録したデータであってもよい。
【0009】
発電設備は、羽根を備える風力発電装置であってもよい。風力発電装置の近傍には、風力発電装置の羽根の回転を観測するように、デジタル撮影機器が配置されてもよい。参照用データは、デジタル撮影機器が観測した風力の経時変化を記録したデータであってもよい。
【0010】
参照用データは、風力発電装置の近傍に配置された予め定められた風力発電装置の発電量の経時変化を記録したデータであってもよい。
【0011】
発電設備が太陽光パネルを備えた発電設備、または、風力発電装置であってもよい。参照用データは、太陽光パネルまたは風力発電装置の設置地域の気象データであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図2は、発電管理装置100のブロック図である。
【
図3】
図3は、発電管理装置100のフロー図である。
【
図4】
図4は、発電管理装置200のブロック図である。
【
図5】
図5は、発電管理装置200のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、ここで開示される発電管理装置の一実施形態について図面を参照して説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特にここでの開示を限定することを意図したものではない。ここでの開示は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。また、同一の作用を奏する構成要素には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略される。
【0014】
〈第1実施形態〉
図1は、発電管理の概略図である。ここで開示される発電管理装置は、
図1に示されているように、発電量データD1を取得する処理S1と、参照用データD2を取得する処理S2と、発電量データD1の信頼性を判定する判定処理S3と、が実行されるように構成されている。発電量データD1を取得する処理S1では、例えば、自然エネルギーを利用した発電設備10の経時的な発電量の変化が記録された発電量データD1が取得される。参照用データD2を取得する処理S2では、例えば、発電設備10に対して予め定められた参照用データD2が取得される。判定処理S3では、例えば、参照用データD2と発電量データD1とに基づいて、発電量データD1の信頼性が判定される。以下、発電管理装置および該装置に接続された各装置を説明する。なお、以下、発電管理装置を単に「管理装置」とも称する。
【0015】
図2は、発電管理装置100のブロック図である。
図2には、管理装置100および管理装置100に接続された発電設備10および各装置における機能ブロックが示されている。
図2に示されているように、管理装置100は、発電設備10と、蓄電装置20と、検知装置30と、に接続されている。
【0016】
管理装置100は、処理プログラムを実行するCPUと、該処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートおよび通信ポートと、各種センサとを備えている。管理装置100の各構成および処理は、コンピュータによって具現化されるデータを予め定められた形式で記憶するデータベース、データ構造、予め定められたプログラムに従って所定の演算処理を行う処理モジュール等として、または、それらの一部として具現化され得る。また、管理装置100の処理は、このような外部のコンピュータと協働で行われてもよい。例えば、管理装置100に記憶される情報または一部の情報を、外部のコンピュータが記憶してもよいし、管理装置100が実行する処理または処理の一部を、外部のコンピュータが実行してもよい。
【0017】
管理装置100は、例えば、発電設備10における発電を管理する。
図2に示されているように、管理装置100は、通信部101a~101dと、取得部102a,102bと、記憶部103a,103bと、比較部104と、判定部105と、証明書発行部106と、を有している。
【0018】
通信部は、
図2に示されているように、第1通信部101aと、第2通信部101bと、第3通信部101cと、第4通信部101dと、を有している。第1通信部101aは、例えば、発電設備10の第1測定部12と第2測定部13と接続されている。この実施形態では、第1通信部101aは、第1測定部12で測定された第1発電部11の発電量の情報と、第2測定部13で測定された時間情報と、を受信する。第2通信部101bは、例えば、検知装置30の第3測定部32と第4測定部33と接続されている。この実施形態では、第2通信部101bは、第3測定部32で測定された、検知部31が観測した情報と、第4測定部33で測定された時間情報と、を受信する。第3通信部101cは、例えば、蓄電装置20と接続されている。この実施形態では、第3通信部101cは、証明書発行部106から証明書が発行されたときに、蓄電装置20から需要者Xへの送電を指示する。第4通信部101dは、例えば、必要に応じて需要者Xとの通信を行う。例えば、第4通信部101dは、証明書発行部106で発行された電子証明書を需要者Xに送信する。なお、本明細書において「需要者X」は、例えば、電力取引にてグリーン電力を要求する者をいう。
【0019】
取得部は、
図2に示されているように、第1取得部102aと、第2取得部102bと、を有している。この実施形態では、第1取得部102aは、発電量データD1を取得する処理S1を行う(
図1参照)。発電量データD1は、この実施形態では、発電設備10の経時的な発電量の変化が記録されたデータである。第1取得部102aは、例えば、第1通信部101aを介して管理装置100に送信された第1発電部11の発電量と、時間情報とに基づいて、発電量データD1を取得する。この実施形態では、第2取得部102bは、参照用データD2を取得する処理S2を行う(
図1参照)。参照用データD2は、例えば、発電設備10に対して予め定められたデータである。参照用データD2は、この実施形態では、後でさらに述べるが、第1発電部11が受光する光量の経時変化を記録したデータである。例えば、第2取得部102bは、第2通信部101bを介して管理装置100に送信された検知装置30が観測した光量の経時的な変化が記録されたデータを、参照用データD2として取得する。
【0020】
記憶部は、
図2に示されているように、第1記憶部103aと、第2記憶部103bと、を有している。第1記憶部103aは、例えば、発電量データD1を記憶する。第2記憶部103bは、例えば、参照用データD2を記憶する。
【0021】
比較部104は、例えば、発電量データD1と、参照用データD2とを比較する処理を行う。比較部104は、例えば、光量の経時変化のデータである参照用データD2のプロファイルと、発電量の経時変化のデータである発電量データD1(実測データ)のプロファイルとを比較する。判定部105は、例えば、比較部104による比較結果に基づいて、判定処理を行う。この実施形態では、比較部104と判定部105とによって、判定処理S3が実行される(
図1参照)。証明書発行部106は、例えば、判定処理で、発電量データD1に信頼性があると判定された場合に、証明書を発行する。
【0022】
発電設備10は、例えば、自然エネルギーを利用した発電設備である。本明細書において「自然エネルギー」とは、自然によって定常的又は反復的に補充されるエネルギーをいい、太陽光エネルギー、風力エネルギー、波力エネルギー、潮力エネルギー、流水エネルギー、潮汐エネルギー、地熱エネルギー等が例示される。自然エネルギーを利用した発電には、例えば、太陽光発電、風力発電、水力発電、波力発電、地熱発電等がある。この実施形態では、発電設備10は、自然エネルギーとして太陽光エネルギーを利用した発電設備(例えば、太陽光発電装置)である。
【0023】
図2に示されているように、発電設備10は、第1発電部11と、第1測定部12と、第2測定部13と、第1送電部14と、を有している。第1発電部11は、例えば、自然エネルギー(ここでは、太陽光エネルギー)を受けて、該自然エネルギーを電気エネルギー(電力(W))に変換する。この実施形態では、第1発電部11は、太陽光パネルである。かかる太陽光パネルとしては、この種の用途で用いられる太陽光パネルを制限なく使用することができる。第1測定部12は、例えば、第1発電部11における発電量(W)を測定する。この実施形態では、第1測定部12は、電力量計である。かかる電力量計としては、この種の用途で用いられる電力量計を制限なく使用することができる。第1測定部12は、例えば、管理装置100の第1通信部101aと接続されている。第2測定部13は、例えば、第1発電部11における発電に関する時間情報を取得する。この実施形態では、第2測定部13は、タイマーであり、例えばGPS衛星電波や標準電波の受信装置を用いることができる。第2測定部13は、例えば、第1通信部101aと接続されている。第1送電部14は、第1発電部11で得られた電力を蓄電装置20に送電する。第1送電部14は、例えば、この種の発電設備に設けられる送電手段と同様であってよく、その構成は限定されない。
【0024】
蓄電装置20は、例えば、発電設備10で発電された電力を蓄電する装置である。
図2に示されているように、蓄電装置20は、受電部21と、蓄電部22と、第2送電部23と、を有している。受電部21は、例えば、第1送電部14から送電された電力を受電する。受電部21は、この種の蓄電装置に設けられる受電手段と同様であってよく、その構成は限定されない。蓄電部22は、例えば、受電部21が受電した電力を蓄電する。蓄電部22は、例えば、定置型のリチウムイオン二次電池である。第2送電部23は、例えば、蓄電部22に蓄電された電力を需要者Xに送電する。第2送電部は、例えば、管理装置100の第3通信部101cと接続されている。第2送電部23は、例えば、この種の蓄電装置に設けられる送電手段と同様であってよく、その構成は限定されない。
【0025】
ところで、自然エネルギーの供給量は、例えば、天候、地形等の環境に依存する。そのため、自然エネルギーを利用した発電設備による発電量は、例えば、発電設備が設置された場所の環境の変化に依存しうる。本発明者は、発電設備が設置された場所の環境の変化を検知することで、自然エネルギーを利用した発電の信頼性を高めることができる、と考えた。
【0026】
検知装置30は、例えば、発電設備10が設置された場所の環境の変化を検知する装置である。検知装置30は、この実施形態では、参照用データD2の取得に用いられる(
図1参照)。検知装置30は、少なくとも発電設備10に対する環境変化の影響と同様の影響を受ける場所に配置される。この実施形態では、検知装置30は、例えばデジタルカメラのようなデジタル撮影機器を備える。この実施形態では、検知装置30は、第1発電部11が受光する様子を観測するように、発電設備10の近傍に配置される。本明細書において「発電設備10の近傍に配置される」とは、例えば、発電設備10を中心とした半径10km以内(好ましくは5km以内、より好ましくは3km以内、さらに好ましくは1km以内)の領域をいい、発電設備10と一体的に配置されることを含む。
【0027】
検知装置30は、
図2に示されているように、検知部31と、第3測定部32と、第4測定部33と、を有している。検知部31は、例えば、発電設備10で利用される自然エネルギーによる発電状態を観測する。検知部31は、例えば、デジタルカメラであり、撮影部でもありうる。この実施形態では、検知部31(ここでは、デジタルカメラ)で発電設備10付近の画像を連続的に撮影する。この実施形態では、検知部31が撮影した画像は、第3測定部32で逐次画像処理されて光量データに変換される。第3測定部32は、例えば、管理装置100の第2通信部101bと接続されている。第4測定部33は、例えば、検知部31が観測した時間の情報を取得する。この実施形態では、第4測定部33は、タイマーであり、例えばGPS衛星電波や標準電波の受信装置である。第4測定部33は、上記時間情報を取得できればよく、必ずしも検知装置30に装着されているものでなくてもよい。第4測定部33は、例えば、管理装置100の第2通信部101bと接続されている。第4測定部33で測定した時間情報は、第2測定部13で測定した時間情報と略一致していることが好ましい。
【0028】
図3は、発電管理装置100のフロー図である。以下、管理装置100による発電管理を説明する。
【0029】
図3に示されているように、まず、発電設備10の第1発電部11が、太陽光を受光する(ステップS11)。次いで、第1発電部11は、ステップS11で受光した太陽光エネルギーを利用して発電する(ステップS12)。次いで、第1測定部12は、ステップS12における発電量を測定する(ステップS13)。この実施形態では、同時に、第2測定部13がステップS12での発電に関する時間情報を取得する。測定された発電量情報と時間情報とは、第1通信部101aを介して管理装置100に送信される。このようにして管理装置100に送信された情報に基づいて、第1取得部102aが発電量データD1を取得する(ステップS14)。ステップS14は、発電量データD1を取得する処理S1の一例である。かかる発電量データD1は、第1記憶部103aに記憶される。なお、ステップS12の発電によって得られた電力は、第1送電部14によって蓄電装置20の蓄電部22に蓄電される。
【0030】
この実施形態では、ステップS11で第1発電部11が太陽光を受光している状態を、検知装置30の検知部31が観測する(ステップS15)。次いで、第3測定部32は、ステップS11で検知部31が観測した状態を光量データに変換する。この実施形態では、同時に、第4測定部33がステップS11での受光に関する時間情報を取得する。測定された受光量情報と時間情報とは、第2通信部101bを介して管理装置100に送信される。このようにして管理装置100に送信された情報に基づいて、第2取得部102bが参照用データD2を取得する(ステップS16)。ステップS16は、参照用データD2を取得する処理S2の一例である。かかる参照用データD2は、第2記憶部103bに記憶される。
【0031】
次いで、比較部104は、発電量データD1と参照用データD2とを比較する(ステップS17)。比較部104での比較結果に基づいて、判定部105は、発電量データD1の信頼性を判定する判定処理を行う(ステップS18)。ステップS17およびステップS18は、判定処理S3の一例である。かかる判定処理において、発電量データD1に信頼性がある(Yes)と判定された場合は、証明書発行部106が発電量データD1の信頼性を証明する証明書を発行する(ステップS19)。例えば、管理装置100は、第3通信部101cを介して、蓄電装置20に需要者Xへの送電を指示し、管理装置100による発電管理が終了する(END)。必要に応じて、証明書が第4通信部101dを介して需要者Xに送信されてもよい。なお、ステップS18の判定処理において、発電量データD1に信頼性がない(No)と判定された場合は、例えば、証明書発行部106が証明書を発行しないで、発電管理が終了する(END)。この場合、蓄電装置20に蓄電された電力は、需要者Xに送電されなくてもよい。かかる電力は、例えば、需要者Xとは異なる他の電力需要者に送電される。「他の電力需要者」とは、例えば、特にグリーン電力取引を要求しない電力需要者をいう。
【0032】
上記のとおり、管理装置100は、発電量データD1を取得する処理S1と、参照用データD2を取得する処理S2と、発電量データD1の信頼性を判定する判定処理S3と、が実行されるように構成されている。管理装置100が参照用データD2を取得して判定処理S3に用いることによって、発電設備10の発電を客観的に評価することができ、グリーン電力取引の信頼性を向上させることができる。
【0033】
さらに、この実施形態では、判定処理(ステップS18)で、信頼性がある(Yes)と判定された場合に、証明書を発行する処理(ステップS19)が実行されるように構成されている。このため、管理装置100のユーザ(例えば、電力会社、リソースアグリゲータ等)は、発電量データD1の信頼性を証明する証明書を、第三者に示すことができる。これにより、グリーン電力取引の信頼性をさらに向上させることができる。
【0034】
上記のように発行された証明書は、例えば、需要者Xがエコ活動を行っていることを宣伝するのに用いられうる。また、証明書は、例えば、発電設備10を有する電力供給者(例えば、電力会社)が、発電設備10のメンテナンスのために用いられうる。
【0035】
この実施形態では、発電設備10は太陽光パネル(第1発電部11)を備えている。太陽光パネルの近傍には、デジタルカメラ(検知装置30)が配置されている。参照用データD2は、かかるデジタルカメラが撮影した画像を解析して得られた光量の経時変化を記録したデータである。発電設備10が第1発電部11として太陽光パネルを備えることによって、太陽光発電を行うことができる。デジタルカメラ(検知装置30)を、太陽光パネルが受光する状態を撮影するように、太陽光パネルの近傍に配置することによって、該デジタルカメラは、太陽光パネルが受光する光量の変動を撮影することができる。このため、画像から解析される光量の経時変化データと、太陽光発電の発電量の経時変化とを比較して照合することができ、グリーン電力取引の信頼性を向上させることができる。
【0036】
また、検知装置30の検知部31としてデジタルカメラ、第4測定部としてGPS衛星電波受信装置を用いることで、発電設備10の位置や状態が特定される。グリーン電力取引の信頼性を一層向上させることができる。また、検知装置30の第3測定部32で画像処理を行う代わりに管理装置100の第2取得部102bで画像処理を行うことで、検知装置30の処理負荷を低減することもできる。
【0037】
また、上述のように、この実施形態では、検知装置30としてデジタルカメラを備えた検知装置を用いたが、検知装置30は、必ずしもかかる検知装置に限定されない。検知装置30として、デジタル撮影機器に替えて光量を測定する測定器(例えば光量センサ)を用いてもよい。例えば、発電設備10は太陽光パネル(第1発電部11)を備えており、太陽光パネルの近傍には、該太陽光パネルが受光する光を検知するように、光電センサ(検知装置30)が配置されている。このとき、参照用データD2は、光電センサが受光した光量の経時変化を記録したデータである。検知装置30として光電センサを用いる場合、検知部31が光量を検知し、第3測定部32によって、かかる光量が測定される。測定された光量は、第2通信部101bを介して管理装置100に送信される。
【0038】
検知装置30として光電センサを用いると、検知した光量を直接データに変化することができるため、画像解析処理を省略することができる。このため、光電センサの使用によって、検知装置30の処理負荷を低減することができる。なお、かかる態様において、「第1発電部11が受光するように光を検知する」とは、例えば、第1発電部11の受光量の80%以上120%以下(好ましくは、90%以上110%以下)の光を検知することをいう。
【0039】
以上、ここで開示される技術の具体的な一実施形態を詳細に説明したが、かかる実施形態は例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。以下、ここで開示される技術の他の実施形態について説明する。なお、下記実施形態において上述した以外のことは、上記第1実施形態で説明したことと同様であるため、ここでの重複した説明は省略する。
【0040】
〈第2実施形態〉
上記第1実施形態では、参照用データD2は、検知装置30で検知された太陽光の光量時間情報と、に基づいて取得された。しかし、これに限定されない。
図4は、発電管理装置200のブロック図である。
図4に示されているように、管理装置200は、発電設備10と、蓄電装置20と、発電装置40と、に接続されている。
【0041】
この実施形態では、発電装置40が、参照用データD2の取得に用いられる。発電装置40は、少なくとも発電設備10に対する環境変化の影響と同様の影響を受ける場所に配置される。この実施形態では、発電装置40は、発電設備10の近傍に配置される。
【0042】
図4に示されているように、発電装置40は、第2発電部41と、第5測定部42と、第6測定部43と、を有している。第2発電部41は、例えば、発電設備10の第1発電部11と同じ太陽光パネルである。第5測定部42は、例えば、第2発電部41における発電量(W)を測定する。この実施形態では、第5測定部42は、電力量計である。第6測定部43は、例えば、第2発電部41における発電に関する時間情報を取得する。この実施形態では、第6測定部43は、タイマーであり、例えばGPS衛星電波や標準電波の受信装置を用いることができる。第5測定部42と、第6測定部43とは、例えば、管理装置200の第2通信部201bと接続されている。
【0043】
図5は、発電管理装置200のフロー図である。以下、管理装置200による発電管理を説明する。
【0044】
図4,5に示されているように、まず、発電設備10の第1発電部11が、太陽光を受光する(ステップS21)。次いで、第1発電部11は、ステップS21で受光した太陽光エネルギーを利用して第1発電を行う(ステップS22)。次いで、第1測定部12は、ステップS22における発電量を測定する(ステップS23)。この実施形態では、同時に、第2測定部13がステップS22での第1発電に関する時間情報を取得する。測定された発電量情報と時間情報とは、第1通信部201aを介して管理装置200に送信される。このようにして管理装置200に送信された情報に基づいて、第1取得部202aが発電量データD1を取得する(ステップS24)。ステップS24は、発電量データD1を取得する処理S1の一例である。かかる発電量データD1は、第1記憶部203aに記憶される。なお、ステップS22の第1発電によって得られた電力は、第1送電部14によって、蓄電装置20の受電部21を介して蓄電部22に蓄電される。
【0045】
この実施形態では、ステップS21では、発電装置40の第2発電部41も同様に、太陽光を受光する。次いで、第2発電部41は、ステップS21で受光した太陽光エネルギーを利用して第2発電を行う(ステップS25)。この実施形態では、第5測定部42がステップS25での第2発電における発電量を取得する。この実施形態では、同時に、第6測定部43がステップS25での第2発電に関する時間情報を取得する。測定された発電量情報と時間情報とは、第2通信部201bを介して管理装置200に送信される。このようにして管理装置200に送信された情報に基づいて、第2取得部202bが参照用データD2を取得する(ステップS26)。ステップS26は、参照用データD2を取得する処理S2の一例である。かかる参照用データD2は、第2記憶部203bに記憶される。
【0046】
次いで、比較部204は、発電量データD1と参照用データD2とを比較する(ステップS27)。このとき、比較部204は、例えば、第2発電部41の発電量の経時変化データである参照用データD2のプロファイルと第1発電部11の発電量の経時変化データである発電量データD1のプロファイルとを比較している。比較部204での比較結果に基づいて、判定部205は、発電量データD1の信頼性を判定する判定処理を行う(ステップS28)。ステップS27およびステップS28は、判定処理S3の一例である。かかる判定処理において、発電量データD1に信頼性がある(Yes)と判定された場合は、証明書発行部206が発電量データD1の信頼性を証明する証明書を発行する(ステップS29)。例えば、管理装置200は、第3通信部201cを介して、蓄電装置20に第2送電部23を介した需要者Xへの送電を指示し、管理装置200による発電管理が終了する(END)。必要に応じて、証明書が第4通信部201dを介して需要者Xに送信されてもよい。なお、ステップS8の判定処理において、発電量データD1に信頼性がない(No)と判定された場合は、例えば、証明書発行部206が証明書を発行しないで、発電管理が終了する(END)。この場合、蓄電装置20に蓄電された電力は、需要者Xに送電されなくてもよい。
【0047】
この実施形態では、発電設備10は太陽光パネル(第1発電部11)を備えている。参照用データD1は、太陽光パネルの近傍に配置された予め定められた太陽光パネル(第2発電部41)の発電量の経時変化を記録したデータである。発電設備10が第1発電部11として太陽光パネルを備えることによって、太陽光発電を行うことができる。予め定められた太陽光パネル(第2発電部41)を、発電設備10の太陽光パネル(第2発電部41)の近傍に配置することによって、発電設備10による発電(第1発電)と同様の気象条件の下で、発電装置40による発電(第2発電)を行うことができる。このため、参照用データD2として、第1発電と同様の気象条件の下で得られた発電データを取得することができ、グリーン電力取引の信頼性を向上させることができる。
【0048】
〈第3実施形態〉
上記第1実施形態では、発電設備10が利用した自然エネルギーが太陽光エネルギーであった。しかし、これに限定されない。自然エネルギーは、例えば、風力エネルギーであってもよい。この実施形態では、発電設備10は、風力発電装置である。かかる風力発電装置は、例えば、第1発電部11として羽根(例えば、風車の羽根)を備えている。
【0049】
この実施形態では、検知装置30は、デジタルカメラなどのデジタル撮影機器を備える。検知装置30は、例えば、第1発電部11の状態を撮影できるように、発電設備10の近傍に配置される。
【0050】
この実施形態における検知装置30では、検知部31(ここでは、デジタルカメラ)は、例えば風を受けて回転する羽根の回転状態を撮影する。この実施形態では、第3測定部32は、検知部31が撮影した画像から羽根の回転速度を解析してデータ化する。第4測定部33は、例えば、検知部31で風を受けた時間の情報を取得する。この実施形態では、管理装置100の第2取得部43bは、検知部31が検知した羽根の回転速度、および検知部31で風を受けた時間の情報に基づいて、参照用データD2を取得する。
【0051】
上記のとおり、この実施形態では、発電設備10は、羽根を備える風力発電装置である。この風力発電装置の近傍には、該風力発電装置が受ける風力すなわち羽根の回転を検知するように、デジタルカメラ(検知装置30)が配置されている。参照用データD2は、かかるデジタルカメラが撮影した画像の解析結果から得られる羽根の回転速度の経時変化を記録したデータである。発電設備10が風力発電装置であることによって、風力発電を行うことができる。風力発電装置が受ける風力を検知するように、デジタルカメラ(検知装置30)を風力発電装置の近傍に配置することによって、デジタルカメラは、風力発電装置の羽根の回転状態を撮影することができる。このため、参照用データD2として、画像から解析される風力発電装置の羽根の回転状態から得られた経時変化データと、風力発電装置の発電量の経時変化データとを比較して照合することができ、グリーン電力取引の信頼性を向上させることができる。
【0052】
また、検知装置30の検知部31としてデジタルカメラ、第4測定部としてGPS衛星電波受信装置を用いることで、風力発電設備の位置や状態が特定される。グリーン電力取引の信頼性を一層向上させることができる。また、第3測定部32で画像処理を行う代わりに管理装置100の第2取得部102bで画像処理を行うことで、検知装置30の処理負荷を低減することもできる。
【0053】
また、上述のように、第3実施形態では、検知装置30としてデジタルカメラを備えた検知装置を用いたが、検知装置30は、必ずしもかかる検知装置に限定されない。検知装置30として、デジタル撮影機器に替えて風量(風力)を測定する測定器(例えば風力センサ)を用いてもよい。例えば、発電設備10は風力発電装置であり、風力発電装置の近傍には、該風力発電装置が受ける風力を検知するように、風力センサ(検知装置30)が配置されている。このとき、参照用データD2は、風力センサが受けた風力の経時変化を記録したデータである。検知装置30として風力センサを用いる場合、検知部31が風を検知し、第3測定部32によって、かかる風力が測定される。測定された風力は、第2通信部101bを介して管理装置100に送信される。
【0054】
検知装置30として風力センサを用いると、検知した風力を直接データに変化することができるため、画像解析処理を省略することができる。換言すれば、風力発電装置の羽根の回転状態を、画像を撮影して観測し、かかる観測に基づいて、羽根の回転速度のデータを取得するのを省略することができる。このため、風力センサの使用によって、検知装置30の処理負荷を低減することができる。なお、かかる態様において、「発電設備10が受ける風力を検知する」とは、例えば、発電設備10(ここでは風力発電装置)が受ける風力の80%以上120%以下(好ましくは、90%以上110%以下)の風力を検知することをいう。
【0055】
〈第4実施形態〉
上記第2実施形態における第1発電および第2発電は、いずれも太陽光発電であった。しかし、これに限定されない。第1発電および第2発電は、例えば、風力発電であってもよい。この実施形態では、発電設備10および発電装置40は、いずれも風力発電装置である。
【0056】
この実施形態では、参照用データD2は、発電設備10の風力発電装置の近傍に配置された予め定められた風力発電装置(発電装置40)の発電量の経時変化を記録したデータである。発電設備10が風力発電装置であることによって、風力発電を行うことができる。予め定められた風力発電装置(発電装置40)を、発電設備10の風力発電装置の近傍に配置することによって、発電設備10による発電(第1発電)と同様の気象条件の下で、発電装置40による発電(第2発電)を行うことができる。このため、参照用データD2として、第1発電と同様の気象条件の下で得られた発電データを取得することができ、グリーン電力取引の信頼性を向上させることができる。
【0057】
〈第5実施形態〉
上述の実施形態では、発電設備10の近傍に、かかる発電設備が設置された場所の気象条件の影響を受ける検知装置30または発電装置40が配置された。しかし、これに限定されない。この実施形態では、参照用データD2が、発電設備10の設置地域の気象データである。例えば、管理装置は、発電設備10の設置地域の気象データ(参照用データD2)を取得し、参照用データD2に基づいて、当該設置地域における発電設備10の発電量の経時変化を予測した予測データを作成する。管理装置は、例えば、かかる予測データと発電設備10の発電量データD1とを比較し、発電量データD1の信頼性を判定する。気象データは、例えば気象レーダー観測の解析データ、気象衛星が撮影した雲画像の解析データや発電地域に設置された風力測定装置が利用できる。
【0058】
この実施形態では、発電設備10が太陽光パネル(第1発電部11)を備えた発電設備、または、風力発電装置である。参照用データD2は、太陽光パネルまたは風力発電装置の設置地域の気象データである。発電設備10が太陽光パネルを備えた発電設備、または、風力発電装置であることによって、太陽光発電または風力発電を行うことができる。参照用データD2として太陽光パネルまたは風力発電装置の設置地域の気象データを用いることで、参照用データD2を取得するための装置を別途設ける必要がない。換言すれば、より簡便にグリーン電力取引の信頼性を高めることができる。
【0059】
〈その他の実施形態〉
上述の実施形態では、発電に利用される自然エネルギーが太陽光エネルギーまたは風力エネルギーであった。しかし、これに限定されない。かかる自然エネルギーは、例えば、波力発電であってもよい。発電設備10が波力発電装置である場合、検知装置30は、例えば、デジタルカメラを備える検知装置であり、発電設備10近傍の水位の経時的な変化を、撮影した画像に基づいて観測する。あるいは、検知装置30は、例えば、水位センサであるとよい。また、発電設備10が波力発電装置である場合、発電装置40は、例えば、波力発電装置であるとよい。
【0060】
また、上述の実施形態では、電子証明書が発行された。しかし、これに限定されない。証明書として、紙媒体の証明書が発行されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 発電設備
20 蓄電装置
30 検知装置
40 発電装置
100,200 管理装置
X 需要者