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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】点灯制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/46 20060101AFI20241219BHJP
   B60Q 1/38 20060101ALI20241219BHJP
   B60Q 1/52 20060101ALI20241219BHJP
   B60Q 1/34 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B60Q1/46
B60Q1/38 B
B60Q1/52
B60Q1/34 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022087079
(22)【出願日】2022-05-27
(65)【公開番号】P2023174306
(43)【公開日】2023-12-07
【審査請求日】2024-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】菊地 聡
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-111856(JP,A)
【文献】特開2017-094757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00-1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両において複数の発光素子を含むランプユニットを制御する点灯制御装置であって、
第一信号と前記第一信号よりも波長が短い第二信号とを受信する受信部と、
前記受信部で前記第一信号が受信された場合に、前記複数の発光素子を全て点灯させた後に前記複数の発光素子を個々に順次点灯させ、前記受信部で前記第二信号が受信された場合に、前記複数の発光素子を全て点灯させた後に前記複数の発光素子を全て点滅させる制御部と、を備えた
ことを特徴とする点灯制御装置。
【請求項2】
前記第一信号は、前記車両の右左折時に使用されるターンシグナルランプ又は前記車両の駐停車時に使用されるハザードランプとして前記ランプユニットを作動させる信号であり、
前記第二信号は、前記車両の緊急制動時に使用される緊急制動表示灯として前記ランプユニットを作動させる信号である
ことを特徴とする請求項1に記載の点灯制御装置。
【請求項3】
前記第一信号は、閾値未満の減速度における前記車両の制動時に使用されるストップランプ及びハイマウントストップランプの少なくとも一方として前記ランプユニットを作動させる信号であり、
前記第二信号は、前記閾値以上の減速度における前記車両の緊急制動時に使用される緊急制動表示灯として前記ランプユニットを作動させる信号である
ことを特徴とする請求項1に記載の点灯制御装置。
【請求項4】
前記受信部は、前記第一信号及び前記第二信号を共通の信号線から受信する
ことを特徴とする請求項1に記載の点灯制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記受信部で前記第一信号が受信された場合に、前記第一信号の波長に相関する第一時間だけ前記複数の発光素子を全て点灯させた後に前記複数の発光素子を個々に順次点灯させ、前記受信部で前記第二信号が受信された場合に、前記第二信号の波長に相関すると共に前記第一時間よりも短い第二時間だけ前記複数の発光素子を全て点灯させた後に前記複数の発光素子を全て点滅させる
ことを特徴とする請求項1に記載の点灯制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、複数の発光素子を含むランプユニットの点灯制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、制動時に点灯するストップランプ(制動灯)、右左折時や進路変更の際に使用されるターンシグナルランプ(方向指示器)といった種々のランプが装備される。一般にターンシグナルランプは、車両の左右に設けられ、双方が同時に点滅させられることでハザードランプとしても使用される。ターンシグナルランプとしては、複数の発光素子が内側から外側に向かって流れるように順次点灯する連鎖点灯式のもの(いわゆる流れるウィンカー、シーケンシャルウィンカー)が普及している。
【0003】
また近年、ブレーキペダルの急踏込み操作又は自動ブレーキシステムによる急制動時に、ストップランプ又はターンシグナルランプ(ハザードランプ)を高周波数(高速)で点滅させることで緊急制動表示灯として兼用する技術も開発されている(例えば特許文献1,2参照)。このような緊急制動表示灯によれば、自車両の急減速を後続車に報知できるため、後続車の追突防止を図れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-24487号公報
【文献】特開2020-82942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、連鎖点灯式のランプユニットを制御する点灯制御装置には、複数の発光素子を個々に順次点灯させる逐次点灯を指示する第一信号が入力される。一方、緊急制動表示灯として兼用される連鎖点灯式のランプユニットの点灯制御装置には、上記の第一信号だけでなく、複数の発光素子を全て高速で点滅させる高速点滅を指示する第二信号も入力される。
【0006】
このように第一信号及び第二信号の双方が入力される点灯制御装置は、入力された信号を判別したうえで、その判別結果に応じてランプユニットを制御する。ただし、入力された信号に対する応答性を高めるためには、第一信号及び第二信号のいずれを受信した場合であっても、まずランプユニットの点灯を開始することが有効である。例えば、何らかの信号を受信した場合にまずランプユニットの逐次点灯を開始させ、この逐次点灯中に信号を判別する制御手法が考えられる。このような制御手法では、判別結果に基づき、第一信号の受信時には逐次点灯を維持し、第二信号の受信時には逐次点灯を高速点滅に切り替えればよい。
【0007】
しかしながら、上記のような制御手法では、第二信号の受信時にランプユニットが逐次点灯から高速点滅に突如切り替えられることとなる。このため、ランプユニットにおける複数の発光素子は、途中まで個々に順次点灯した後に全てが高速で同時に点滅することとなり、緊急制動表示灯としての機能が十分に確保されない虞がある。よって、従来の制御手法は、複数の発光素子を個々に順次点灯させる場合と全て点滅させる場合との双方においてランプユニットの点灯状態を適正化するうえで、改善の必要がある。
【0008】
本件は、上記のような課題に鑑み創案されたものであり、複数の発光素子を個々に順次点灯させる場合と全て点滅させる場合との双方において、ランプユニットの点灯状態を適正化することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本件は上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現できる。
(1)本適用例に係る点灯制御装置は、車両において複数の発光素子を含むランプユニットを制御する点灯制御装置であって、第一信号と前記第一信号よりも波長が短い第二信号とを受信する受信部と、前記受信部で前記第一信号が受信された場合に、前記複数の発光素子を全て点灯させた後に前記複数の発光素子を個々に順次点灯させ、前記受信部で前記第二信号が受信された場合に、前記複数の発光素子を全て点灯させた後に前記複数の発光素子を全て点滅させる制御部と、を備えている。
【0010】
本適用例によれば、第一信号及び第二信号のいずれが受信された場合であっても、まず発光素子を全て点灯させることで、第二信号の受信時に逐次点灯が高速点滅に突如切り替えられることを防止できる。よって、複数の発光素子を個々に順次点灯させる逐次点灯の場合と、複数の発光素子を全て点滅させる高速点滅の場合との双方において、ランプユニットの点灯状態を適正化できる。
【0011】
(2)本適用例に係る点灯制御装置において、前記第一信号は、前記車両の右左折時に使用されるターンシグナルランプ又は前記車両の駐停車時に使用されるハザードランプとして前記ランプユニットを作動させる信号であってもよく、前記第二信号は、前記車両の緊急制動時に使用される緊急制動表示灯として前記ランプユニットを作動させる信号であってもよい。
このような構成によれば、ターンシグナルランプ又はハザードランプと緊急制動表示灯とのいずれとしても、ランプユニットの点灯状態を適正化できる。よって、ターンシグナルランプ又はハザードランプと緊急制動表示灯との信頼性を高められる。
【0012】
(3)本適用例に係る点灯制御装置において、前記第一信号は、閾値未満の減速度における前記車両の制動時に使用されるストップランプ及びハイマウントストップランプの少なくとも一方として前記ランプユニットを作動させる信号であってもよく、前記第二信号は、前記閾値以上の減速度における前記車両の緊急制動時に使用される緊急制動表示灯として前記ランプユニットを作動させる信号であってもよい。
このような構成によれば、ストップランプ及びハイマウントストップランプの少なくとも一方と緊急制動表示灯とのいずれとしても、ランプユニットの点灯状態を適正化できる。よって、ストップランプ及びハイマウントストップランプの少なくとも一方と緊急制動表示灯との信頼性を高められる。
【0013】
(4)本適用例に係る点灯制御装置において、前記受信部は、前記第一信号及び前記第二信号を共通の信号線から受信してもよい。
このように第一信号及び第二信号が共通の信号線から受信される場合には、第一信号及び第二信号が互いに異なる信号線から受信される場合と比べて、第一信号及び第二信号の判別が困難となる。これに対し、本適用例では、上記のとおり第一信号及び第二信号のいずれの受信時にもまず発光素子を全て点灯させるため、信号の判別中に逐次点灯が実施されることを回避できる。これにより、たとえ信号の判別が困難であっても、逐次点灯と高速点滅との双方の場合においてランプユニットの点灯状態を適正化できる。また、第一信号及び第二信号に共通の信号線を用いれば、第一信号及び第二信号の各々に専用の信号線を設ける場合と比べて、信号線の本数を削減できるとともに、信号線の配索ルートを簡素化できる。
【0014】
(5)本適用例に係る点灯制御装置において、前記制御部は、前記受信部で前記第一信号が受信された場合に、前記第一信号の波長に相関する第一時間だけ前記複数の発光素子を全て点灯させた後に前記複数の発光素子を個々に順次点灯させてもよく、前記受信部で前記第二信号が受信された場合に、前記第一時間よりも短い第二時間だけ前記複数の発光素子を全て点灯させた後に前記複数の発光素子を全て点滅させてもよい。
このような構成によれば、逐次点灯の場合よりも高速点滅の場合に発光素子の全点灯を短く実施できる。このため、高速点滅におけるランプユニットの点灯状態をより適正化できる。
【発明の効果】
【0015】
本件によれば、複数の発光素子を個々に順次点灯させる場合と全て点滅させる場合との双方において、ランプユニットの点灯状態を適正化できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第一実施形態に係る点灯制御装置が適用された車両の後面図である。
図2図1の点灯制御装置のブロック図である。
図3】第一信号及び第二信号と図1の点灯制御装置で制御されるランプユニットの点灯状態とを表すグラフ(タイムチャート)である。
図4図1の点灯制御装置で制御されるランプユニットの逐次点灯を例示する模式図である。
図5図1の点灯制御装置で制御されるランプユニットの高速点滅を例示する模式図である。
図6図1の点灯制御装置で実施される制御の手順を例示するフローチャートである。
図7】第二実施形態に係る点灯制御装置が適用された車両の後面図である。
図8】第一信号及び第二信号と従来の制御手法によるランプユニットの点灯状態とを表すグラフ(タイムチャート)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本件の実施形態(適用例)について説明する。以下の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。下記の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、必要に応じて取捨選択でき、あるいは適宜組み合わせられる。
【0018】
[1.第一実施形態]
[1-1.装置構成]
図1に示すように、第一実施形態に係る点灯制御装置1は、複数の発光素子2を含むランプユニット3を備えた車両10に適用される。本実施形態では、トラック(貨物車)である車両10を例示する。図面では、各ランプユニット3に設けられる複数の発光素子2のうちの一つのみに符号を付す。
【0019】
ランプユニット3は、複数の発光素子2を順次点灯させる連鎖点灯式の照明器具である。本実施形態のランプユニット3は、車両10の右左折時に使用されるターンシグナルランプ(いわゆる流れるウィンカー、シーケンシャルウィンカー)として機能する。このようにターンシグナルランプとして機能するランプユニット3は、車両10の前面部と後面部との各々において左右に配置される。なお、ランプユニット3は、ターンシグナルランプに加えて(あるいは代えて)、車両10の駐停車時に使用されるハザードランプとして機能してもよい。
【0020】
複数の発光素子2は、各ランプユニット3において、例えば車幅方向(左右方向)に沿って配列される。本実施形態では、互いに等しく構成された十個の発光素子2が車幅方向に沿って配列されたランプユニット3を例示する。ただし、各ランプユニット3における発光素子2の個数や配置は、ここで示す例に限定されない。
【0021】
本実施形態のランプユニット3は、車両10の緊急制動時に使用される緊急制動表示灯としても機能する。緊急制動表示灯は、車両10の急制動時に高周波数(高速)で点滅することで車両10の周囲に注意を促す。緊急制動表示灯は、例えば、閾値Th以上の減速度における車両10の緊急制動時に使用される。
【0022】
ランプユニット3は、ターンシグナルランプとして機能する場合には、複数の発光素子2が個々に順次点灯する逐次点灯の様態をなすのに対し、緊急制動表示灯として機能する場合には、複数の発光素子2が全て高速で同時に点滅する高速点滅の様態をなす。各ランプユニット3の点灯状態は、点灯制御装置1で制御される。
【0023】
本実施形態の車両10には、車両10の制動時に使用されるストップランプ7及びハイマウントストップランプ8が更に設けられている。ストップランプ7は、車両10の後面部において左右に配置される。また、ハイマウントストップランプ8は、車両10の後面部においてストップランプ7よりも上方に配置される。図1では、車両10の後面部において左右のランプユニット3の下方にそれぞれ配置された二つのストップランプ7と、車両10の後面部における上端中央部に配置された一つのハイマウントストップランプ8とを例示する。
【0024】
ストップランプ7及びハイマウントストップランプ8は、車両10の運転席に装備された図示しないブレーキペダルの踏み込み操作に応じて点灯するように制御される。ストップランプ7及びハイマウントストップランプ8は、例えば、閾値Th未満の減速度における車両10の制動時に使用される。なお、ストップランプ8は制動灯(ブレーキランプ)とも呼ばれ、ハイマウントストップランプ8は補助制動灯とも呼ばれる。
【0025】
車両10には、ランプユニット3を逐次点灯させるためのトリガーを検出する第一センサ4と、ランプユニット3を高速点滅させるためのトリガーを検出する第二センサ5とが設けられる。第一センサ4は、例えば、車両10の運転席に装備された図示しないウィンカーレバー(ターンシグナルレバー)の位置を検出するセンサである。また、第二センサ5は、例えば、車両10の急制動を検出するセンサである。より具体的にいえば、第二センサ5は、ブレーキペダルの急踏込み操作を検出するブレーキセンサ、自動ブレーキシステムを作動させるために車両10の前突の可能性を検出する前方センサ、車両10の急減速を検出する減速度センサ等であってもよい。
【0026】
第一センサ4及び第二センサ5は、共通(同一)の信号線6を介して点灯制御装置1に接続されている。第一センサ4は、逐次点灯のトリガー(例えば、ウィンカーレバーの所定位置への操作)を検出した場合に、信号線6を通じて点灯制御装置1に第一信号Saを送信する。同様に、第二センサ5は、高速点滅のトリガー(例えば、ブレーキペダルの急踏込み操作)を検出した場合に、信号線6を通じて点灯制御装置1に第二信号Sbを送信する。このように、第一信号Sa及び第二信号Sbは、共通(同一)の信号線6から点灯制御装置1に入力される。
【0027】
点灯制御装置1は、車両10に搭載された各種装置を統合制御する電子制御装置(例えばVCU;Vehicle Control Unit)である。点灯制御装置1は、例えば、マイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成され、車両10に設けられた車載ネットワーク網の通信ラインに接続される。
【0028】
図2に示すように、本実施形態の点灯制御装置1は、その入力側に第一センサ4及び第二センサ5が接続され、その出力側にランプユニット3が接続されている。点灯制御装置1は、第一センサ4及び第二センサ5からそれぞれ入力される第一信号Sa及び第二信号Sbに応じて、ランプユニット3を逐次点灯させる逐次点灯制御とランプユニット3を高速点滅させる高速点滅制御とを実施する。
【0029】
[1-2.制御構成]
点灯制御装置1は、逐次点灯制御及び高速点滅制御を実施するための要素として、受信部11及び制御部12を備えている。受信部11及び制御部12は、ソフトウェアやハードウェアとして設けられてもよいし、点灯制御装置1が実行可能なコンピュータプログラムの機能として設けられてもよい。
【0030】
受信部11は、第一信号Sa及び第二信号Sbを受信する。本実施形態の受信部11は、第一センサ4及び第二センサ5から共通の信号線6を通じて第一信号Sa及び第二信号Sbをそれぞれ受信する。本実施形態の第一信号Saは、ランプユニット3をターンシグナルランプとして作動させる信号である。また、本実施形態の第二信号Sbは、ランプユニット3を緊急制動表示灯として作動させる信号である。第一信号Saは、ランプユニット3の逐次点灯を指示する信号であるともいえ、第二信号Sbは、ランプユニット3の高速点滅を指示する信号であるともいえる。なお、ランプユニット3がハザードランプとして機能する場合には、第一信号Saがランプユニット3をハザードランプとして作動させる信号であってもよい。
【0031】
図3は、第一信号Sa及び第二信号Sbの波形と、これらの信号Sa,Sbにそれぞれ応じたランプユニット3の点灯状態の波形とを表すグラフ(タイミングチャート)である。図3中のグラフ(A),(C)にそれぞれ例示するように、本実施形態の第一信号Sa及び第二信号Sbはいずれもオンオフ信号である。より具体的にいえば、第一信号Sa及び第二信号Sbは、デューティ比が50%のパルス波(矩形波)であって、同様の波形をなす。ただし、第一信号Sa及び第二信号Sbは、波長λa,λbが互いに異なり、これに伴いパルス幅τa,τbも互いに異なる。
【0032】
図3中のグラフ(B)は、第一信号Saに応じてターンシグナルランプとして作動するランプユニット3の点灯状態を表している。また、図3中のグラフ(D)は、第二信号Sbに応じて緊急制動表示灯として作動するランプユニット3の点灯状態を表している。グラフ(B)において、右上がりの斜線L1は複数の発光素子2が順次点灯していく状態を表している。また、グラフ(B),(D)において、振幅Aを有する(A≠0である)水平線L2は複数の発光素子2が全て点灯している状態(全点灯)を表し、振幅Aを有しない(A=0である)水平線L3は複数の発光素子2が全て消灯している状態(全消灯)を表している。
【0033】
一般に、ターンシグナルランプは1~2Hzの周波数で点滅する。したがって、グラフ(A)に示す第一信号Saのパルス幅τaは、通常250~333msである。これに対応して、グラフ(B)に示すランプユニット3の逐次点灯における各周期で、少なくとも一つの発光素子2が点灯する点灯時間Xaは、通常250~333msとなる。
【0034】
一方、緊急制動表示灯は3~5Hzの周波数で点滅する。したがって、グラフ(C)に示す第二信号Sbのパルス幅τbは、通常100~167msである。これに対応して、グラフ(D)に示すランプユニット3の高速点滅における各周期で、全ての発光素子2が同時に点灯する点灯時間Xbは、通常100~167msとなる。
【0035】
このように、高速点滅を指示する第二信号Sbの波長λb及びパルス幅τbは、逐次点灯を指示する第一信号Saの波長λa及びパルス幅τbよりもそれぞれ短い(λb<λa,τb<τa)。また、これに伴い、高速点滅の各周期の点灯時間Xbは、逐次点灯の各周期の点灯時間Xaよりも短くなる(Xb<Xa)。
【0036】
制御部12は、受信部11で受信された信号に応じて複数の発光素子2を制御する。詳細にいえば、制御部12は、受信部11で何らかの信号が受信された場合に、この信号が第一信号Sa及び第二信号Sbのいずれであるかを判別する。そして、制御部12は、受信部11で受信された信号が第一信号Saであれば逐次点灯制御を実施し、受信部11で受信された信号が第二信号Sbであれば高速点滅制御を実施する。
【0037】
ただし、上記のとおり第一信号Sa及び第二信号Sbは、波長λa,λb及びパルス幅τa,τbが互いに異なるものの、同様の波形をなすとともに共通の信号線6から受信部11に入力されるため、判別が困難である。すなわち、共通の信号線6から入力される第一信号Sa及び第二信号Sbは、信号線6については差異がないため、信号線6に基づいて判別することはできず、波長λa,λbやパルス幅τa,τbの差異に基づいて判別することが求められる。
【0038】
しかしながら、図3に示すように、受信部11が第一信号Sa又は第二信号Sbを受信する第一時点t1から第二信号Sbのパルス幅τbに対応する時間が経過する第二時点t2までの期間Pは、第一信号Sa及び第二信号Sbが互いに等しい波形をなす。そのため、少なくともこの期間Pは、制御部12において第一信号Sa及び第二信号Sbを判別することは困難である。
【0039】
そこで、制御部12は、受信部11で第一信号Sa及び第二信号Sbのいずれが受信された場合であっても、まず複数の発光素子2を全て点灯させる。すなわち、制御部12は、受信部11に入力された信号が逐次点灯を指示する第一信号Saであったとしても、最初に全ての発光素子2を点灯させる。これにより、制御部12は、受信部11に入力された信号を判別するための時間を確保する。
【0040】
それから、制御部12は、例えば、受信された信号のパルス幅τが所定値Y以上である場合に(τ≧Y)、この信号が第一信号Saであると判別し、それ以外の場合に(τ<Y)、この信号が第二信号Sbであると判別する。ここで、所定値Yは、第一信号Saのパルス幅τaと第二信号Sbのパルス幅τbとの間の値(τb<Y<τa)として予め設定される。なお、このようなパルス幅τに基づく判別に代えて、パルス幅τに相関する波長や周波数に基づく判別を実施してもよい。
【0041】
制御部12は、受信部11で第一信号Saが受信された場合には、上記のとおり複数の発光素子2を全て点灯させた後に、複数の発光素子2を個々に順次点灯させる。図3中のグラフ(B)に示すように、本実施形態の制御部12は、受信部11で第一信号Saが受信された場合に、第一信号Saの波長λa(パルス幅τa)に相関する第一時間Taだけ複数の発光素子2をまず全て点灯させ、それから複数の発光素子2を個々に順次点灯させる。
【0042】
したがって、図4に示すように、第一信号Saの入力時には、まず全ての発光素子2が第一時間Taだけ同時に点灯し、それから全ての発光素子2が消灯し、続いて個々の発光素子2が順次点灯していく。一般的な逐次点灯では、発光素子2が全消灯から全点灯となるまで次第に点灯されていくのに対し、上記のとおり本実施形態の逐次点灯では、発光素子2が全点灯から始まり、全消灯を経て次第に点灯されていく。なお、図4及び後述の図5では、点灯中の発光素子2を網点で示している。図4は、車両10の左折時に、複数の発光素子2が右側(内側)から左側(外側)に向かって流れるように順次点灯する逐次点灯の例を示している。
【0043】
一方、制御部12は、受信部11で第二信号Sbが受信された場合には、上記のとおり複数の発光素子2を全て点灯させた後に、複数の発光素子2を全て点滅させる。図3中のグラフ(D)に示すように、本実施形態の制御部12は、受信部11で第二信号Sbが受信された場合に、第二信号Sbの波長λb(パルス幅τb)に相関する第二時間Tbだけ複数の発光素子2をまず全て点灯させ、それから複数の発光素子2を全て点滅させる。すなわち、制御部12は、第二信号Sbの入力時には、第一時間Taよりも短い第二時間Tbだけ、全ての発光素子2をまず点灯させる。
【0044】
したがって、図5に示すように、第二信号Sbの入力時には、第一信号Saの入力時と同様に全ての発光素子2がまず同時に点灯する。ただし、第二信号Sbの入力時には、第一信号Saの入力時と比べて短い時間(第二時間Tb)だけ全点灯が実施され、それから全ての発光素子2が同時に点滅する(全消灯と全点灯とが繰り返される)。
【0045】
本実施形態の制御部12は、所定の終了条件が成立した場合に、ランプユニット3の逐次点灯及び高速点滅を終了させる。終了条件は、例えば、第一信号Sa及び第二信号Sbが受信部11で受信されなくなったことであってもよい。あるいは、逐次点灯を終了するための終了条件は、ウィンカーレバーが通常の位置に戻されたことであってもよい。また、高速点滅を終了するための終了条件は、高速点滅制御が所定時間以上実施されたことであってもよい。
【0046】
[1-3.フローチャート]
図6は、点灯制御装置1で実施される制御の手順を例示したフローチャートである。このフローは、車両10が走行可能な(エンジンオンまたはパワーオンの)状態である場合に、点灯制御装置1において実施される。なお、フローの開始時点では、ランプユニット3のいずれの発光素子2も消灯中であるものとする。
【0047】
図6に示すように、まず第一信号Sa又は第二信号Sbが受信部11で受信されたか否かが判定される(ステップS1)。ここで第一信号Sa及び第二信号Sbがいずれも受信されていない場合は(ステップS1のNOルート)、フローをリターンする。一方、第一信号Sa又は第二信号Sbが受信された場合は(ステップS1のYESルート)、制御部12により複数の発光素子2が全て点灯するように制御される(ステップS2)。すなわち、受信部11で受信された信号が第一信号Sa及び第二信号Sbのいずれであっても、制御部12はランプユニット3の全ての発光素子2を点灯させる。
【0048】
次いで、受信部11で受信された信号が第一信号Sa及び第二信号Sbのいずれであるかが制御部12において判別される(ステップS3)。ここで、受信された信号が第一信号Saであると判別された場合には(ステップS3のYESルート)、制御部12により逐次点灯制御が実施される(ステップS4)。すなわち、この場合にはランプユニット3がターンシグナルランプとして作動する。そして、所定の終了条件の成立後に(ステップS5のYESルート)、逐次点灯制御を終了し(ステップS6)、フローをリターンする。
【0049】
一方、受信された信号が第二信号Sbであると判別された場合には(ステップS3のNOルート)、制御部12により高速点滅制御が実施される(ステップS7)。すなわち、この場合にはランプユニット3が緊急制動表示灯として作動する。そして、所定の終了条件の成立後に(ステップS8のYESルート)、高速点滅制御を終了し(ステップS9)、フローをリターンする。
【0050】
[1-4.作用及び効果]
図8は、従来の制御手法に係る波形を例示したグラフ(タイムチャート)である。図8のグラフ(A′),(C′)は、それぞれ第一信号Sa及び第二信号Sbの波形を表しており、図3のグラフ(A),(C)とそれぞれ同一である。また、図8のグラフ(B′)は、従来の制御手法によってターンシグナルランプとして作動するランプユニット3の点灯状態を表しており、図8のグラフ(D′)は、従来の制御手法によって緊急制動表示灯として作動するランプユニット3の点灯状態を表している。図8では、図3の要素と同一又は対応する要素に同一の符号を付す。
【0051】
図8に示すように、従来の制御手法では、第一信号Sa及び第二信号Sbのいずれが入力された場合であっても、まずランプユニット3の逐次点灯を開始し、この逐次点灯中に信号を判別していた。すなわち、従来は、第一信号Sa及び第二信号Sbのいずれが入力された場合であっても、上記の第一時点t1で逐次点灯を開始していた。そして、上記の第二時点t2以降に信号が継続して受信されれば、入力された信号が第一信号Saであると判別して逐次点灯を維持し、上記の第二時点t2以降に信号が途絶えれば、入力された信号が第二信号Sbであると判別して逐次点灯を高速点滅に切り替えていた。
【0052】
したがって、グラフ(D′)に示すように、従来の制御手法では、第二信号Sbの受信時にランプユニット3が逐次点灯から高速点滅に突如切り替えられていた。このため、複数の発光素子2は、途中まで個々に順次点灯した後に全てが高速に同時点滅することとなっていた。よって、従来の制御手法では、緊急制動表示灯としての機能がランプユニット3において十分に確保されない虞があった。
【0053】
これに対し、点灯制御装置1では、第一信号Saが受信された場合に、複数の発光素子2を全て点灯させた後に複数の発光素子2を個々に順次点灯させ、第二信号Sbが受信された場合に、複数の発光素子2を全て点灯させた後に複数の発光素子2を全て点滅させる。このため、図4に示すように、第一信号Saの受信時には全ての発光素子2が点灯した後に個々の発光素子2が順次点灯されていく。換言すれば、第一信号Saの受信時には、全点灯から全消灯を経た後に、発光素子2が次第に順次点灯されていく。一方、図5に示すように、第二信号Sbの受信時には全ての発光素子2が点灯した後に全ての発光素子2が点滅する。
【0054】
このように、第一信号Sa及び第二信号Sbのいずれが受信された場合であっても、まず発光素子2を全て点灯させることで、第二信号Sbの受信時に逐次点灯が高速点滅に突如切り替えられることを防止できる。また、第一信号Saの受信時には、全点灯から全消灯を経た後に発光素子2が次第に順次点灯するため、逐次点灯を適正に実施できるとともに、逐次点灯の開始時点から全点灯により光量が確保されるため明確性を高められる。よって、点灯制御装置1によれば、複数の発光素子2を個々に順次点灯させる逐次点灯の場合と、複数の発光素子2を全て点滅させる高速点滅の場合との双方において、ランプユニット3の点灯状態を適正化できる。
【0055】
第一信号Sa及び第二信号Sbがランプユニット3をターンシグナルランプ及び緊急制動表示灯としてそれぞれ作動させる信号であれば、ターンシグナルランプ及び緊急制動表示灯のいずれとしてもランプユニット3の点灯状態を適正化できる。よって、ターンシグナルランプ及び緊急制動表示灯の信頼性を高められる。
また、第一信号Sa及び第二信号Sbがランプユニット3をハザードランプ及び緊急制動表示灯としてそれぞれ作動させる信号であれば、ハザードランプ及び緊急制動表示灯のいずれとしてもランプユニット3の点灯状態を適正化できる。よって、ハザードランプ及び緊急制動表示灯の信頼性を高められる。
【0056】
第一信号Sa及び第二信号Sbが共通の信号線6から受信される場合には、第一信号Sa及び第二信号Sbが互いに異なる信号線から受信される場合と比べて、第一信号Sa及び第二信号Sbの判別が困難となる。従来の制御手法では、何らかの信号を受信した場合にまず逐次点灯を実施していたため、第二信号Sbの受信時も、信号の判別中は逐次点灯が実施されることとなり、第二信号Sbに応じた高速点滅が適正に実施されない虞があった。
【0057】
これに対し、点灯制御装置1では、上記のとおり第一信号Sa及び第二信号Sbのいずれの受信時にもまず発光素子2を全て点灯させるため、信号の判別中に逐次点灯が実施されることを回避できる。これにより、たとえ図3に示す期間Pは信号の判別が困難であっても、逐次点灯と高速点滅との双方の場合においてランプユニット3の点灯状態を適正化できる。また、第一信号Sa及び第二信号Sbに共通の信号線6を用いれば、第一信号Sa及び第二信号Sbの各々に専用の信号線を設ける場合と比べて、信号線の本数を削減できるとともに、信号線の配索ルートを簡素化できる。
【0058】
第一信号Saの受信時には第一時間Taだけ複数の発光素子2を全て点灯させ、第二信号Sbの受信時には第一時間Taよりも短い第二時間Tbだけ複数の発光素子2を全て点灯させれば、逐次点灯の場合よりも高速点滅の場合に発光素子2の全点灯を短く実施できる。このため、高速点滅におけるランプユニット3の点灯状態をより適正化できる。
【0059】
ランプユニット3が車両10の前面部と後面部との各々に設けられる照明器具(例えばターンシグナルランプやハザードランプ)であれば、車両10の前方と後方との双方に向けて逐次点灯及び高速点滅を実施できる。これにより、車両10の後続車だけでなく先行車や対向車にも逐次点灯及び高速点滅による報知を行なえるため、逐次点灯と高速点滅との双方の場合において周囲への報知性を高められる。
【0060】
[2.第二実施形態]
[2-1.構成]
図7に示すように、第二実施形態に係る点灯制御装置1′は、上記の第一実施形態に係る点灯制御装置1に対し、制御対象であるランプユニット3がターンシグナルランプではなくストップランプ及びハイマウントストップランプの少なくとも一方として機能する点で異なり、他の点で共通する。本実施形態では、上記の第一実施形態と同一又は対応する要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0061】
本実施形態のランプユニット3は、第一実施形態で説明したストップランプ及びハイマウントストップランプとして設けられている。具体的にいえば、本実施形態の車両10には、ストップランプとして機能するランプユニット3Aと、ハイマウントストップランプとして機能するランプユニット3Bとの二種類のランプユニット3が設けられている。以下、これらのランプユニット3A,3Bを互いに区別しない場合には、これらをまとめて「ランプユニット3」ともいう。
【0062】
ストップランプとして機能するランプユニット3Aは、車両10の後面部において左右に配置される。また、ハイマウントストップランプとして機能するランプユニット3Bは、車両10の後面部においてストップランプ7よりも上方に配置される。図7では、第一実施形態で説明したストップランプ及びハイマウントストップランプとそれぞれ同じ位置に設けられたランプユニット3A,3Bを例示する。
【0063】
ランプユニット3は、ストップランプ及びハイマウントストップランプの少なくとも一方として機能する場合には逐次点灯の様態をなし、緊急制動表示灯として機能する場合には高速点滅の様態をなす。各ランプユニット3の点灯状態は、点灯制御装置1′で制御される。
【0064】
本実施形態の車両10には、車両10の右左折時に使用されるターンシグナルランプ9が設けられている。ターンシグナルランプ9は、上記の第一実施形態で説明したように、車両10の前面部と後面部との各々において左右に配置される。ターンシグナルランプ9の点灯状態は、例えば、ウィンカーレバーへの操作に応じて制御される。なお、本実施形態のターンシグナルランプ9は、連鎖点灯式のものでなくてもよい。また、ターンシグナルランプ9は、車両10の駐停車時に使用されるハザードランプとして兼用されてもよい。
【0065】
点灯制御装置1′の制御構成は、上記の第一実施形態と同様である。すなわち、点灯制御装置1′においても、受信部11が第一信号Sa及び第二信号Sbを受信する。また、受信部11で第一信号Saが受信された場合には、制御部12が複数の発光素子2を全て点灯させた後に複数の発光素子2を個々に順次点灯させる。一方、受信部11で第二信号Sbが受信された場合には、制御部12が複数の発光素子2を全て点灯させた後に複数の発光素子2を全て点滅させる。
【0066】
本実施形態の第一信号Saは、閾値Th未満の減速度における車両10の制動時に使用されるストップランプ及びハイマウントストップランプとしてランプユニット3を作動させる信号である。また、本実施形態の第二信号Sbは、閾値Th以上の減速度における車両10の緊急制動時に使用される緊急制動表示灯としてランプユニット3を作動させる信号である。本実施形態でも、第一信号Saは、ランプユニット3の逐次点灯を指示する信号であるともいえ、第二信号Sbは、ランプユニット3の高速点滅を指示する信号であるともいえる。なお、閾値Thは、急減速と見做せる減速度として予め設定される。車両10の減速度が閾値Th以上である緊急制動時には、後続車の追突回避のために後続車への報知が特に重要となる。
【0067】
[2-2.作用及び効果]
上記のとおり本実施形態では、第一信号Saがストップランプ及びハイマウントストップランプの少なくとも一方としてランプユニット3を作動させる信号であり、第二信号Sbが緊急制動表示灯としてランプユニット3を作動させる信号である。このため、第一実施形態と同様に、第一信号Sa及び第二信号Sbのいずれの受信時にもまず発光素子2を全て点灯させることで、第二信号Sbの受信時に逐次点灯が高速点滅に突如切り替えられることを防止できる。また、第一信号Saの受信時には、全点灯から全消灯を経た後に発光素子2が次第に順次点灯するため、逐次点灯を適正に実施できるとともに、逐次点灯の開始時点から全点灯により光量が確保されるため明確性を高められる。
【0068】
したがって、本実施形態の点灯制御装置1′によっても、逐次点灯と高速点滅との双方の場合において、ランプユニット3の点灯状態を適正化できる。すなわち、ストップランプ及びハイマウントストップランプの少なくとも一方と緊急制動表示灯とのいずれとしても、ランプユニット3の点灯状態を適正化できる。よって、ストップランプ及びハイマウントストップランプの少なくとも一方と緊急制動表示灯との信頼性を高められる。
そのほか、本実施形態の点灯制御装置1′によれば、上記の第一実施形態と同様の構成からは同様の作用及び効果が得られる。
【0069】
[3.変形例]
図3に示した波形はいずれも一例である。第一信号Saは、ランプユニット3の逐次点灯を指示する信号であればよく、その用途は上記のターンシグナルランプ、ハザードランプ、ストップランプ及びハイマウントストップランプに限定されない。同様に、第二信号Sbは、第一信号Saよりも波長が短い(高周波数,高速)の点滅を指示する信号であればよく、その用途は上記の緊急制動表示灯に限定されない。
【0070】
受信部11は、第一信号Sa及び第二信号Sbを互いに異なる信号線から受信してもよい。また、第一信号Sa及び第二信号Sbの送信元は、上記の第一センサ11及び第二センサ12以外の装置であってもよい。
車両10に設けられるランプユニット3,ストップランプ7,ハイマウントストップランプ8,ターンシグナルランプ9といった各種器具の個数及び配置は、上記の例に限定されない。また、車両10は、トラックに限られず、例えばバスや乗用車や二輪車等であってもよい。
【0071】
[4.付記]
以上の実施形態に関し、以下の付記を開示する。
(付記1)
車両において複数の発光素子を含むランプユニットを制御する点灯制御装置であって、
第一信号と前記第一信号よりも波長が短い第二信号とを受信する受信部と、
前記受信部で前記第一信号が受信された場合に、前記複数の発光素子を全て点灯させた後に前記複数の発光素子を個々に順次点灯させ、前記受信部で前記第二信号が受信された場合に、前記複数の発光素子を全て点灯させた後に前記複数の発光素子を全て点滅させる制御部と、を備えた
ことを特徴とする点灯制御装置。
(付記2)
前記第一信号は、前記車両の右左折時に使用されるターンシグナルランプ又は前記車両の駐停車時に使用されるハザードランプとして前記ランプユニットを作動させる信号であり、
前記第二信号は、前記車両の緊急制動時に使用される緊急制動表示灯として前記ランプユニットを作動させる信号である
ことを特徴とする付記1に記載の点灯制御装置。
(付記3)
前記第一信号は、閾値未満の減速度における前記車両の制動時に使用されるストップランプ及びハイマウントストップランプの少なくとも一方として前記ランプユニットを作動させる信号であり、
前記第二信号は、前記閾値以上の減速度における前記車両の緊急制動時に使用される緊急制動表示灯として前記ランプユニットを作動させる信号である
ことを特徴とする付記1に記載の点灯制御装置。
(付記4)
前記受信部は、前記第一信号及び前記第二信号を共通の信号線から受信する
ことを特徴とする付記1~3のいずれか一つに記載の点灯制御装置。
(付記5)
前記制御部は、前記受信部で前記第一信号が受信された場合に、前記複数の発光素子を前記第一信号の波長に応じた第一時間だけ全て点灯させた後に前記複数の発光素子を個々に順次点灯させ、前記受信部で前記第二信号が受信された場合に、前記複数の発光素子を前記第一時間よりも短い第二時間だけ全て点灯させた後に前記複数の発光素子を全て点滅させる
ことを特徴とする付記1~4のいずれか一つに記載の点灯制御装置。
【符号の説明】
【0072】
1,1′ 点灯制御装置
2 発光素子
3,3A,3B ランプユニット
4 第一センサ
5 第二センサ
6 信号線
7 ストップランプ
8 ハイマウントストップランプ
9 ターンシグナルランプ
10 車両
11 受信部
12 制御部
A 振幅
L1 斜線
L2 水平線
L3 水平線
P 期間
Sa 第一信号
Sb 第二信号
t1 第一時点
t2 第二時点
Ta 第一時間
Tb 第二時間
Xa 点灯時間
Xb 点灯時間
Y 所定値
λa 波長
λb 波長
τa パルス幅
τb パルス幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8