(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】III族金属窒化物結晶およびその形成方法
(51)【国際特許分類】
C30B 29/38 20060101AFI20241219BHJP
C30B 7/10 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C30B29/38 D
C30B7/10
(21)【出願番号】P 2022125589
(22)【出願日】2022-08-05
(62)【分割の表示】P 2020051583の分割
【原出願日】2013-11-26
【審査請求日】2022-09-05
(32)【優先日】2012-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518096478
【氏名又は名称】エスエルティー テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SLT Technologies, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ウェンカン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】マーク ピー.デヴェリン
(72)【発明者】
【氏名】デリック エス. カンバー
(72)【発明者】
【氏名】ドーク エヘントロート
(72)【発明者】
【氏名】マイケル クラメス
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-001432(JP,A)
【文献】特開2010-222247(JP,A)
【文献】特表2006-513122(JP,A)
【文献】特表2010-509172(JP,A)
【文献】国際公開第12/128263(WO,A1)
【文献】特開2007-326747(JP,A)
【文献】特開2011-144059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウルツ鉱結晶構造を有し、ガリウム、アルミニウム、インジウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるIII族金属、及び、窒素を含み、第1の方向において10ミリメートルを越える最大寸法を有する第1の表面を含む、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶であって、
前記第1の表面は、200秒角未満の対称なx線ロッキングカーブ半値全幅、10
2cm
-2~2×10
5cm
-2の範囲の貫通転位の平均密度、10
3cm
-1未満の積層欠陥の平均密度、10
17cm
-3より高い不純物Hの濃度、及び、較正された2次イオン質量分析法によって定量化された、10
15cm
-3より高い、Li、Na、K、F、Cl、BrおよびIのうちの少なくとも1つの不純物濃度、により特徴づけられ、
前記第1の表面は、複数の第1の領域を含み、該複数の第1の領域の各々が、前記第1の方向において少なくとも2倍周期的に変化し、前記第1の表面内において、前記第1の方向と直交する第2の方向において周期的に変化せず、前記第1の方向における変化の周期が、5マイクロメートルから20ミリメートルの範囲にある、貫通転位の密度を有する、
自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【請求項2】
ガリウム、アルミニウム、インジウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるIII族金属、及び、窒素を含む、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶であって、
ウルツ鉱結晶構造を有し、第1の方向において10ミリメートルを越える最大寸法を有する第1の表面を含み、10
2cm
-2~2×10
5cm
-2の範囲の貫通転位の平均密度を有し、10
3cm
-1未満の積層欠陥の平均密度を有し、200秒角未満の対称なx線ロッキングカーブ半値全幅を有し、
前記貫通転位の密度が、前記第1の表面において、前記第1の方向に5マイクロメートルから20ミリメートルの範囲の周期で変化し、
前記第1の表面は、複数の第1の領域を含み、該複数の第1の領域の各々が、5cm
-1~10
5cm
-1の範囲の密度を有する貫通転位の局所的に線状のアレイを含み、
前記第1の表面は、更に複数の第2の領域を含み、該複数の第2の領域の各々が、前記複数の第1の領域の隣接するペアの間に配置され、10
5cm
-2未満の密度の貫通転位と、10
3cm
-1未満の密度の積層欠陥とを有し、
前記第1の表面は、更に複数の第3の領域を含み、該複数の第3の領域の各々は、前記複数の第2の領域の内の1つ、または、前記第2の領域の隣接するペアの領域の間に配置され、10マイクロメートル~500マイクロメートルの範囲の最小寸法を有し、かつ、前記第2の領域の貫通転位密度よりも1桁以上高い貫通転位の密度を有し、
前記第1の表面が、2つの直交結晶軸方向の各々において、0.2度未満のミスカット角度のばらつきを有する、
自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【請求項3】
前記第1の表面が、100秒角未満の対称なx線ロッキングカーブ半値全幅および10
5cm
-2未満の貫通転位の密度で特徴づけられ、
前記複数の第2の領域の前記貫通転位の密度が、10
4cm
-2未満である、請求項2に記載の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【請求項4】
前記貫通転位の密度が、前記複数の第1の領域において、前記第1の方向に少なくとも10倍周期的に変化し、前記第1の方向における変化の周期が、200マイクロメートルから5ミリメートルの範囲にある、請求項1~3のいずれか1項に記載の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【請求項5】
前記第1の表面が、{10-10}m面の5度以内の結晶方位により特徴づけられる、請求項1~4のいずれか1項に記載の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【請求項6】
前記第1の表面が、(0001)+c面の5度以内または(000-1)-c面の5度以内の結晶方位により特徴づけられる、請求項1~4のいずれか1項に記載の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【請求項7】
前記第1の表面が、{60-6±1}、{50-5±1}、{40-4±1}、{30-3±1}、{50-5±2}、{70-7±3}、{20-2±1}、{30-3±2}、{40-4±3}、{50-5±4}、{10-1±1}、{10-1±2}、{10-1±3}、{21-3±1}および{30-3±4}から選択された半極性方位の5度以内の結晶方位により特徴づけられる、請求項1~4のいずれか1項に記載の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【請求項8】
前記第1の表面が、50秒角未満の対称なx線ロッキングカーブ半値全幅を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【請求項9】
前記第1の表面が、少なくとも2つの直交方向において、10メートルを超える結晶曲率半径により特徴づけられる、請求項1~8のいずれか1項に記載の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【請求項10】
前記第1の表面が、少なくとも2つの直交方向において、100メートルを超える結晶曲率半径により特徴づけられる、請求項1~9のいずれか1項に記載の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【請求項11】
前記第1の表面が、2つの直交結晶軸方向の各々において、0.1度未満のミスカット角度のばらつきにより特徴づけられる、請求項1~10のいずれか1項に記載の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【請求項12】
前記ウルツ鉱結晶構造が、実質的に他の結晶構造を含まず、該他の結晶構造は、前記ウルツ鉱結晶構造に対して体積が1%未満である、請求項1~11のいずれか1項に記載の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【請求項13】
前記第1の表面が、局所的に線状のアレイの貫通転位および突起を含み、該局所的に線状のアレイは、<10-10>、<11-20>および[000±1]から選択される結晶面の5度以内の方位を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【請求項14】
前記局所的に線状のアレイが、<10-10>、<11-20>、および[000±1]から選択される結晶面の2度以内の方位を有する、請求項13に記載の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【請求項15】
前記複数の第1の領域の隣接する領域間のピッチ寸法が、200マイクロメートル~5ミリメートルの範囲である、請求項1~14のいずれか1項に記載の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【請求項16】
前記複数の第1の領域における貫通転位の密度が、1×10
3cm
-1未満である、請求項1~15のいずれか1項に記載の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【請求項17】
前記第1の表面が、1cm
-1未満の積層欠陥の平均密度を有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【請求項18】
更に第2の表面を含み、該第2の表面は前記第1の表面と実質的に平行であり、前記第1の表面と前記第2の表面との間の厚さが、0.1ミリメートルから1ミリメートルの間の範囲であり、前記厚さのばらつきが、10マイクロメートル未満であり、巨視的湾曲部が、50マイクロメートル未満である、請求項1~17のいずれか1項に記載の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【請求項19】
不純物Hの濃度が、10
17cm
-3より高い、請求項1~18のいずれか1項に記載の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般的には、ガリウム含有窒化物基板の製造用材料の処理技術に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、処理技術の組合せを用いた大面積基板の成長技術を含む。本開示内容は、GaN、AlN、InN、InGaN、AlGaNおよびAlInGaNなどの結晶の成長に適用して、バルクまたはパターン基板を製造することができる。このようなバルクまたはパターン基板は、多様な用途に用いることができる(例えば、光電子デバイス、レーザ、発光ダイオード、太陽電池、光電気化学水分解および水素生成、光検出器、集積回路およびトランジスタがある)。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)に基づいた光電子デバイスおよび電子デバイスは、市場重要性が極めて高い。しかし、これらのデバイスの品質および信頼性は、欠陥レベル(特に、デバイスの半導体層中の貫通転位、粒界、および歪み)の高さとの歩み寄りである。貫通転位は、非GaN基板(例えば、サファイアまたは炭化ケイ素)に対するGaN半導体層の格子不整合に起因して発生し得る。粒界は、エピタキシャル過成長層の接合面に起因して発生し得る。層成長の内容に応じて、熱膨張不整合、不純物および傾角粒界に起因するさらなる欠陥が発生し得る。
【0003】
欠陥が存在すると、エピタキシャル成長層に悪影響がでる。このような悪影響には、電子デバイスの性能低下がある。これらの欠陥を解消するために開発された技術では、欠陥の密度および/または影響を低減するのに、複雑で煩雑な作製プロセスが必要だった。窒化ガリウム結晶の成長については、従来から多数の方法が提案されているが、それでも制約がある。すなわち、従来の方法の場合、コスト効果および効率の点でまだ向上の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘテロエピタキシャルGaN層よりも欠陥レベルがずっと低い大面積窒化ガリウム結晶の成長が発展してきている。しかし、大面積GaN基板を成長させる技術のほとんどは、非GaN基板(例えば、サファイアまたはGaAs)上へのGaN蒸着が必要となる。このアプローチの場合、一般的に、肉厚ブール表面上に貫通転位が平均密度105~107cm-2で発生し、また、大きな撓み、応力および歪みも発生する。多くの用途において、貫通転位の密度を低減することが望ましい。撓み、応力および歪みがあると、ブールをスライスしてウェーハとする際の収率が低下し、その結果、下流での処理時、ウェーハに亀裂が発生し易くなり、デバイスの信頼性および寿命にも悪影響がでることがある。撓み、応力および歪みに起因する別の影響として、m面および半極性方向における成長時、平衡近傍技術(例えば、アモノサーマル成長)を用いた場合でも、積層欠陥がかなりの高密度で発生し得る。加えて、亀裂や多数の結晶学的領域などの形成に起因して、c面成長の品質が不十分になることがある。2インチ(51mm)より大きな基板を製造できる能力が現在のところ極めて限られているのは、非極性結晶方位または半極性結晶方位の大面積GaN基板の製造能力と同様である。ほとんどの大面積基板の製造は、気相成長法(例えば、ハイドライド気相成長(HVPE))を用いて行われ、相対的にコスト高である。そのため、大面積で低い貫通転位密度をできるだけ速やかに達成する低コストの方法が望まれている。
【0005】
HVPEと比較して、アモノサーマル結晶成長は、GaNブールの製造手段として多くの利点がある。しかし、アモノサーマルGaN結晶成長処理の性能は、種晶のサイズおよび品質に大きく依存することがある。HVPEによって作製された種晶の場合、上記した制約のうちの多くが発生することがあり、大面積アモノサーマル成長結晶は、広く利用することができていない。
【0006】
横方向エピタキシャル過成長は、気相成長法によって成長させた膜の結晶品質の向上に広く適用されてきた方法である。しかし、このような成長法をアモノサーマルGaN成長へ適用できる手だては、未だにない。
上記から、結晶成長を向上させるための技術が強く望まれていることが分かる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に開示の技術は、ガリウム含有基板の製造用材料を処理して、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶を形成するものである。この結晶はIII族金属を含む。III族金属は、ガリウム、アルミニウムおよびインジウムおよび窒素のうちの少なくとも1つを含み、ウルツ鉱結晶構造を有する。形成された結晶は、最大寸法が約10ミリメートルを超える第1の大面積表面を含む。第1の大面積表面の特徴として、対称なx線ロッキングカーブ半値全幅が約200秒角未満であり、Hの不純物濃度が約1017cm-3より高く、Li、Na、K、F、Cl、BrおよびIのうちの少なくとも1つの(較正された二次イオン質量分析法によって定量化した)不純物濃度が約1015cm-3より高い。横方向エピタキシャル過成長に本開示の技術を用いれば、上記した第1の大面積表面は、局所的にほぼ線状の貫通転位アレイのパターンを約5cm-1~約105cm-1の密度で含み、このパターンは、少なくとも1つのピッチ寸法が約5マイクロメートルと約20ミリメートルの間にあることを特徴とし、局所的にほぼ線状の各貫通転位アレイの間の領域は、貫通転位密度が約105cm-2より低く、積層欠陥密度が約103cm-1より低いことを特徴とする。
【0008】
本開示によれば、ガリウムベース基板の製造用材料の処理技術に関するさらなる技術が提供される。より詳細には、本開示の実施形態は、処理技術の組合せを用いて大面積基板を成長させる技術を含む。ひとえに例示目的のために、本開示は、バルクまたはパターン基板の製造に用いられるGaN、AlN、InN、InGaN、AlGaN、およびAlInGaNなどの結晶の成長に適用することができる。このようなバルクまたはパターン基板は、多様な用途、例えば、光電子デバイス、レーザ、発光ダイオード、太陽電池、光電気化学水分解および水素生成、光検出器、集積回路およびトランジスタに用いることができる。
【0009】
本出願は、米国特許法第119条(e)項の下における米国仮出願第61/729,975号(2012年11月26出願)の特典を請求するとともに、引用によってその全体を本願に取り込む。
【0010】
ここに開示のいくつかの実施形態は、一部米国政府の支援によって行われた(米国科学財団によって付与された許可番号IIP-1026896号、および米国高等研究プロジェクト局エネルギー部門によって付与された共同契約DE-AR0000020)。よって、米国政府は本発明におけるいくつかの権利を有する。
本明細書および添付図面を参照すれば、本開示の本質および利点についてのさらなる理解を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】は、本開示の実施形態による、フォトレジストパターンを種晶または基板上に形成する方法を示す概略図である。
【
図1B】は、本開示の実施形態による、種晶または基板上にパターンマスクを形成する方法を示す概略図である。
【
図1C】は、本開示の実施形態による、種晶または基板上にマスクパターンを形成する方法を示す概略図である。
【
図1D】は、本開示の実施形態による、種晶または基板上にマスクパターンを形成する方法を示す概略図である。
【
図2】は、本開示の実施形態による、大面積III族金属窒化物結晶を形成するためのエピタキシャル横方向過成長プロセスを示す概略図である。
【
図3A】は、本開示の実施形態による、種晶または基板上に第2のパターンマスクを形成する方法を示す概略図である。
【
図3B】は、本開示の実施形態による、大面積III族金属窒化物結晶を形成するための第2のエピタキシャル横方向過成長プロセスを示す概略図である。
【
図4】は、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールおよび自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハを形成する方法を示す概略図である。
【
図5】は、本開示の実施形態による、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールまたはウェーハ上の貫通転位パターンを示す概略図である。
【
図7】は、本開示の実施形態による方法およびその結果得られる光学デバイスを示す断面図である。
【
図8】は、二次元アレイの形態のマスクを用いてアモノサーマル横方向エピタキシャル成長によって形成された自立のGaN基板の上面図(平面図)である。
【
図9A】は、例えばLEDのデバイス構体の上面図であり、種領域830または接合面840のいずれかと接触しないように透明なp電極970がアライメントおよび配置されている様子を示す。
【
図9B】は、例えばLEDのデバイス構体の別の実施形態の上面図であり、電極980はここでも種領域830および接合面840にアライメントされているが、接合面840の上方に配置されている。
【
図9C】は、例えばフリップチップLEDのデバイス構体の別の実施形態の上面図であり、n型電極990が種領域830とアライメントされ、p型電極995が各種領域830間においてアライメントされる。
【
図10A】は、一実施形態による、欠陥選択性エッチングが施されたc面アモノサーマルGaN層の光学顕微鏡写真であり、<11-20>方向に沿って配向されたスリット型マスクと、2つの窓領域間のほぼ中間に形成された接合面において密度約100cm
-1で形成されたエッチピット(貫通転位)の線状アレイとを示す。
【
図10B】は、一実施形態による、欠陥選択性エッチングが施されたc面アモノサーマルGaN層の光学顕微鏡写真であり、<10-10>方向に沿って配向されたスリット型マスクと、2つの窓領域間のほぼ中間に形成された接合面において密度約83cm
-1で形成されたエッチピット(貫通転位)の線状アレイとを示す。
【
図11A】は、一実施形態による、マスクパターンを介してスリット型開口部によって[11-20]方向および接合部に沿って成長させて形成した、アモノサーマルGaN層の寸法約1センチメートルの領域の低出力光学顕微鏡写真である。
【
図11B】は、一実施形態において、
図11Aに示すアモノサーマルGaN層の(002)反射について[11-20]を中心としたロッキングのx線ロッキングカーブ測定値を示すグラフであり、これは幅狭の単一ピークを呈し、ウイングチルトは生じていない。
【
図12A】は、一実施形態による、マスクパターンを介してスリット型開口部によって[10-10]方向および接合部に沿って成長させて形成した、寸法約1センチメートルのアモノサーマルGaN層の領域の低出力光学顕微鏡写真である。
【
図12B】は、一実施形態において、
図11Aに示すアモノサーマルGaN層の(002)反射について[10-10]を中心としたロッキングのx線ロッキングカーブ測定を示すグラフであり、これは幅狭の単一ピークを呈し、ウイングチルトは生じていない。
【
図13】は、一実施形態による、高品質のIII族金属窒化物結晶を作製する方法のフローチャートである。
【
図14】は、一実施形態による、高品質のIII族金属窒化物結晶を作製する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示によれば、III族金属窒化物およびガリウムベース基板の製造のための材料処理技術に関する技術が提供される。より詳細には、本開示の実施形態は、各処理技術を組み合わせて大面積基板を成長させる技術を含む。ひとえに例示目的のために、本開示は、バルクまたはパターン基板の製造のためのGaN、AlN、InN、InGaN、AlGaN、およびAlInGaNなどの結晶の成長に適用することができる。このようなバルクまたはパターン基板は、多様な用途に用いることができる(例えば、光電子デバイス、レーザ、発光ダイオード、太陽電池、光電気化学水分解および水素生成、光検出器、集積回路およびトランジスタ)。
【0013】
GaN中の貫通転位は、強力な非放射性性再結合中心として機能することが知られており、その結果、GaNLEDおよびレーザダイオードの効率が大幅に制限されることがある。非放射性再結合に起因する局所的加熱が発生した場合、デバイス劣化の加速に繋がることがある(Cao
et al., Microelectronics Reliability, 2003, 43(12), 1987~1991)。高出力用途では、GaNデバイスにおいて効率が低下することがあり、電流密度が上昇する(ドループとして知られている)。転位密度とLEDにおけるドループの大きさとの間には、相関があることが示されている(Schubert
et al., Applied Physics Letters, 2007, 91(23), 231114)。GaNレーザダイオードの場合、転位密度と平均故障時間(MTTF)との間に負の相関があることが文献によって多く確認されている(Tomiya
et al., IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics, 2004, 10(6),
1277~1286)。このような負の相関は、転位に沿った不純物拡散に起因すると考えられる(Orita
et al., IEEE International Reliability Physics Symposium Proceedings, 2009, 736~740)。電子デバイスの場合、転位が漏れ電流を大幅に上昇させることが分かっており(Kaun
et al., Applied Physics Express, 2011, 4(2), 024101)、また、HEMT構造ではデバイス寿命が低下する(Tapajna
et al., Applied Physics Letters, 2011, 99(22), 223501~223503)。エピタキシャル薄膜成長用基板材料としてバルクGaNを用いることによる主な利点の1つとして、膜中の貫通転位密度が大幅に低下する点がある。そのため、バルクGaN基板中の転位密度は、デバイス効率および信頼性に大きな影響を与える。
【0014】
上述したように、横方向エピタキシャル過成長(LEO)は、気相成長法によって成長させた膜の結晶品質の向上のために、広範に用いられている方法である。例えば、GaN層をサファイア基板上に核形成させ、周期的アレイ状の開口部を備えたSiO2マスクをGaN層上に堆積させ、次に、GaNを有機金属化学気相成長法(MOCVD)によってSiO2マスク層中の開口部を通して成長させ、マスク上に横方向に成長させ、接合する方法がある。マスク中の開口部の上方の領域における転位密度は、マスクの下側の層と同様に極めて高いが、横方向過成長領域内の転位密度の大きさは小さい。この方法が魅力的である理由として、大面積基板に適用可能であり転位密度が大幅に低減する点がある。多数のグループにより、変形を含めて類似の方法がGaN層の気相成長に適用されてきた。これらの方法の呼称は多様であり、LEO、エピタキシャル横方向過成長(ELOまたはELOG)、選択領域成長(SAG)、および逆ピラミッド型ピットを用いたエピタキシャル成長の転位排除(DEEP)などと呼ばれている。このような公知の方法の変形例で気づいたもののうちのほとんどすべては、肉薄のヘテロエピタキシャルGaN層を非GaN基板上に成長させ、パターンマスクをGaN層上に堆積させ、マスクの開口部の一次元または二次元アレイにおいて成長を再開させるものである。マスクの開口部によって画成される成長位置の周期すなわちピッチは、典型的には2~100マイクロメートルであり、典型的には約5~20マイクロメートルである。個々のGaN結晶または領域が成長した後、接合させる。その後、エピタキシャル成長を接合済GaN材料の頂部にて継続することにより、肉厚膜すなわち「インゴット」を生成する。HVPEにより、比較的肉厚のGaN層を接合済GaN材料上に堆積させることができる。LEOプロセスは、特にマスク上方の領域において転位密度を大幅に低減させることができる(約105~107cm-2のレベルまで)。しかし、横方向成長ウイングが下側の基板から結晶的に(数度のレベルまで)傾斜することが非常に多く(「ウイングチルト」)、このようなチルトは、薄膜プロセスでは許容されるが、バルク結晶成長プロセスでは許容されない。なぜなら、このようなチルトは、応力および亀裂を生ずるとともに、表面結晶方位の許容できないバラツキを生ずることがあるからである。
【0015】
いくつかの要因でLEO法の非気相成長法への適用が困難となっており、そのためそれらの要因は不明確なままであり、このような成長法をアモノサーマルGaN成長へ適用する方法について、何の教示も知られていない。典型的には、LEO型プロセスにおけるマスキング層は、SiO2またはSiNxを含む。典型的なアモノサーマル成長環境においては、腐食性が極めて高く、両材料にエッチングを行うため、マスク機能を発揮できない。GaNへ良好に付着し、アモノサーマル成長条件下において安定し成長サイクルにおいて実質的に化学的に不活性な材料であって、かつ数日間ないし約8週間持続することができて上方のGaN層の横方向成長を妨げないようなものを見つけることは、簡単ではない。これとは対照的に、典型的なMOCVDベースのLEO法のサイクル時間は典型的には最大でも数時間であり、典型的なHVPEベースのLEO法の場合、サイクル時間は約1日未満である。加えて、上述したように、これらの気相LEO法では、非窒化物基板が用いられることが多い。本明細書中に開示されるアモノサーマル横方向エピタキシャル過成長法を特にガリウム含有窒化物基板と共に用いた場合、予期せぬ恩恵が得られる。
【0016】
ほとんどの真なるバルク結晶成長プロセスにおいて、高品質の種晶は極めて重要であり、アモノサーマル成長などの成長法では、大面積種晶は特に有用である。しかし、ほとんどの大面積窒化ガリウム結晶は、上述したように、現状ではHVPEによって成長させている。この材料中に存在することの多い貫通転位は密度が望ましくないうえに、HVPEによって成長させたバルクGaNと、他の真なるバルク成長法によって成長させたバルクGaNとの間で小さな格子不整合が発生するものと思われる(Darakchieva
et al., Journal of Crystal Growth, 2008, 310(5), 959~965)。このような格子不整合は、0.001Aのオーダであり、2.5×10-4のオーダの歪みに相当する。HVPEGaNとアモノサーマルGaNとの間の格子不整合はより大きく(例えば、ほぼ0.003A)、8×10-4のオーダの歪みに相当する。これらの歪みレベルは小さくみえるかもしれないものの、より小さな値であっても、Matthews-Blakeslee臨界厚さに換算すると、わずか約0.8マイクロメートルになる。この厚さを超えた場合、そうなるためのエネルギー的に許容できない機構が存在すれば、バルクオンHVPEGaN層構造は転位形成に起因してエネルギーが低減することがある。転位生成によるエネルギー緩和が不可能である場合、より肉厚の層においては、亀裂形成に起因して緩和が発生することがある。Matthews-Klokholm公式を用いると、亀裂の発生することがある臨界厚さは、550°CでHVPEGaN上に成長させたアモノサーマル膜の場合、実際の歪みに応じて3~10マイクロメートルである。例えば、約0.1ミリメートルより肉厚の層、約0.2ミリメートルの肉厚の層、約0.5ミリメートルより肉厚の層、約1ミリメートルより肉厚の層、約2ミリメートルより肉厚の層、または約5ミリメートルより肉厚の層の場合、HVPEGaN種晶上のアモノサーマルGaN層に亀裂が発生することがある。
【0017】
図1A、
図1Bおよび
図1Cは、アモノサーマル横方向エピタキシャル過成長用パターンマスク種の形成方法を示す簡略表示1A00、1B00および1C00である。
図1Aを参照すると、基板101が設けられている。特定の実施形態において、基板101は、単結晶のIII族金属窒化物、ガリウム含有窒化物、または窒化ガリウムを含有する。基板101の成長は、HVPE、アモノサーマル法、またはフラックス法によって行うことができる。基板101の大面積表面のうちの片方または両方を、研磨および/または化学機械的に研磨することができる。基板101の大面積表面102の結晶方位は、(0001)+c面、(000-1)-c面、{10-10}m面、{11-2±2}、{60-6±1}、{50-5±1}、{40-4±1}、{30-3±1}、{50-5±2}、{70-7±3}、{20-2±1}、{30-3±2}、{40-4±3}、{50-5±4}、{10-1±1}、{10-1±2}、{10-1±3}、{21-3±1}または{30-3±4}の5度以内、2度以内、1度以内または0.5度以内である。面{30-3±4}は、{30-34}面および{30-3-4}面を意味することが分かろう。表面102は(hkil)半極性方位を有することがある。ただしi=-(h+k)およびlであり、hおよびkのうちの少なくとも1つは0でない。表面102の最大寸法は約5ミリメートル~約600ミリメートルでよく、最小寸法は約1ミリメートル~約600ミリメートルでよく、基板101の厚さは約10マイクロメートル~約10ミリメートルでよいか、または約100マイクロメートル~約2ミリメートルでよい。
【0018】
基板101の表面貫通転位密度は、約107cm-2未満、約106cm-2未満、約105cm-2未満、約104cm-2未満、約103cm-2未満、または約102cm-2未満でよい。基板101の積層欠陥密度は、約104cm-1未満、約103cm-1未満、約102cm-1未満、約10cm-1未満または約1cm-1未満でよい。基板101の有する対称なx線ロッキングカーブ半値全幅(FWHM)は、約500秒角未満、約300秒角未満、約200秒角未満、約100秒角未満、約50秒角未満、約35秒角未満、約25秒角未満、または約15秒角でよい。基板101の有してよい結晶曲率半径は、少なくとも1つの、少なくとも2つのまたは3つの独立方向または直交方向において、0.1メートルを超えるか、1メートルを超えるか、10メートルを超えるか、100メートルを超えるか、または1000メートルを超えてよい。
【0019】
基板101において、相対的に高密度の貫通転位を有する領域が相対的に低密度の貫通転位を有する領域によって分離されている。相対的に高密度の領域における貫通転位密度は、約105cm-2を超えるか、約106cm-2を超えるか、約107cm-2を超えるか、または約108cm-2を超えてよい。相対的に低密度の領域における貫通転位密度は、約106cm-2未満であるか、約105cm-2未満であるか、または約104cm-2未満でよい。基板101において、相対的に高い導電率を有する領域が相対的に低い導電率を有する領域によって分離されている。基板101の厚さは、約10マイクロメートル~約100ミリメートルまたは約0.1ミリメートルおよび約10ミリメートルでよい。基板101の寸法は、直径を含めて、少なくとも約5ミリメートル、少なくとも約10ミリメートル、少なくとも約25ミリメートル、少なくとも約50ミリメートル、少なくとも約75ミリメートル、少なくとも約100ミリメートル、少なくとも約150ミリメートル、少なくとも約200ミリメートル、少なくとも約300ミリメートル、少なくとも約400ミリメートル、または少なくとも約600ミリメートルでよい。
【0020】
表面102の結晶方位は、(0001)Ga面のc面方位の約5度以内でよく、x線方向ω走査ロッキングカーブ半値全幅(FWHM)は、(002)および/または(102)反射の場合、約200秒角未満であるか、約100秒角未満であるか、約50秒角未満であるかまたは約30秒角未満でよく、転位密度は約107cm-2未満、約106cm-2未満、または約105cm-2未満でよい。いくつかの実施形態において、表面102内の貫通転位はほぼ均一に分散している。他の実施形態において、表面102内の貫通転位は、相対的に高い密度領域および相対的に低い密度領域の一次元アレイの行として、または低転位密度領域のマトリックス内の高転位密度領域の二次元アレイとして不均一に配置されている。表面102の結晶方位は一定し、約5度未満、約2度未満、約1度未満、約0.5度未満、約0.2度未満、約0.1度未満、または約0.05度未満でよい。
【0021】
別の実施形態において、基板101は、以下を含み得る。すなわち、サファイア、炭化ケイ素、ガリウムヒ化物、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム合金、MgAl2O4スピネル、ZnO、ZrB2、BP、InP、AlON、ScAlMgO4、YFeZnO4、MgO、Fe2NiO4、LiGa5O8、Na2MoO4、Na2WO4、In2CdO4、アルミン酸リチウム(LiAlO2)、LiGaO2、Ca8La2(PO4)6O2、アルミニウム窒化物(AlN)などである。特定の実施形態において、基板101は、サファイア、炭化ケイ素またはガリウムヒ化物などの非窒化物基板上にIII族金属窒化物層、ガリウム含有窒化物層または窒化ガリウム層を含む。III族金属窒化物層、ガリウム含有窒化物層または窒化ガリウム層の堆積は、例えば、HVPEによって行ってもよいし、有機金属化学気相成長法(MOCVD)によって行ってもよいし、または分子線エピタキシー(MBE)によって行ってもよい。、III族金属窒化物層の厚さは、約1マイクロメートル~約1ミリメートルまたは約5マイクロメートル~約100マイクロメートルでよい。特定の実施形態において、基板101は、III族金属窒化物層、ガリウム含有窒化物層または窒化ガリウム層を非窒化物基板の前面および後面の両方に含む。特定の実施形態において、基板101は、III族金属窒化物層、ガリウム含有窒化物層または窒化ガリウム層を外来基板上に含み、この外来基板は、例えば、サファイア、炭化ケイ素、ガリウムヒ化物、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム合金、MgAl2O4スピネル、ZnO、ZrB2、BP、InP、AlON、ScAlMgO4、YFeZnO4、MgO、Fe2NiO4、LiGa5O8、Na2MoO4、Na2WO4、In2CdO4、アルミン酸リチウム(LiAlO2)、LiGaO2、Ca8La2(PO4)6O2、アルミニウム窒化物(AlN)である。一実施形態において、外来基板は、外来基板上のIII族金属窒化物層、ガリウム含有窒化物層または窒化ガリウム層と同程度の熱膨張係数を有する。
【0022】
図1Aを参照すると、表面102上には、当該分野で公知の方法によりフォトレジスト層103を堆積させることができる。例えば、リフトオフプロセスの特定の実施形態では、先ず、負のフォトレジストの溶液を表面102へ塗布する。その後、基板101を高速(例えば、毎分1000~6000回転で30~60分間)でスピンさせ、その結果、102の表面上に均一なフォトレジスト層(層103)が形成される。その後、層103に対してベーキングを(例えば、約90~約120°Cで)行って、余分なフォトレジスト溶媒を除去する。ベーキング後、フォトレジスト層103をフォトマスクを介してUV光へ露呈させて、所定パターンの架橋フォトレジストを形成する。パターンフォトレジストは、幅または直径WおよびピッチLを有するストライプまたはドットを含んでよい。その後、フォトレジスト層103を現像して、未架橋材料を除去してもよい。
【0023】
図1Bを参照すると、表面102およびパターンフォトレジスト103上には1つ以上のマスク層を堆積することができる。接着層105を堆積することができる。接着層105は、1つ以上のofTi、TiN、TiNy、TiSi
2、Ta、TaNy、Al、Ge、AlxGey、Cu、Si、Cr、V、Ni、W、TiWx、TiWxNyなどのうちの1つ以上を含んでよく、厚さは約1ナノメートル~約1マイクロメートルでよい。拡散バリア層107を堆積してよい。拡散バリア層107は、TiN、TiNy、TiSi
2、W、TiWx、TiNy、WNy、TaNy、TiWxNy、TiWxSizNy、TiC、TiCN、Pd、Rh、Crなどのうちの1つ以上を含んでよく、厚さは約1ナノメートル~約10マイクロメートルでよい。不活性層109を堆積してよい。不活性層109は、Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir、Ni、Cr、V、TiまたはTaのうちの1つ以上を含んでよく、厚さは約10ナノメートル~約100マイクロメートルでよい。1つ以上のマスク層の堆積は、スパッタ蒸着、熱蒸発、電子ビーム蒸発などによって行うことができる。パターンマスキング層(単数または複数)111の蒸着の後、パターンフォトレジスト層103の上方にあり(よってウェーハと直接接触していない)層(単数または複数)の部分を、当該分野にて公知の方法によりフォトレジスト層103と共にリフトオフする。特定の実施形態では、比較的肉薄の不活性層(例えば、厚さが10~500ナノメートルのもの)を堆積してからリフトオフプロセスに進む。リフトオフプロセスを行った後、さらなるより肉厚の不活性層(例えば、厚さが5~100マイクロメートルのもの)をパターニング済の不活性層上に(電気めっき、無電解析出などにより)堆積させることができる。
【0024】
上記したリフトオフ法に加えて、他の方法を用いてパターンマスク層を形成することができる(例えば、シャドウマスキング、正レジスト反応イオンエッチング、湿式化学エッチング、イオンミリング、およびナノインプリントナノリソグラフィ、および上記した負レジストリフトオフ法の変更例)。
【0025】
特定の実施形態では、パターンマスク層(単数または複数)を基板101の前面および後面の両方の上に堆積させる。
【0026】
図1Cは、パターンマスク層(単数または複数)111の開口部のいくつかの可能な配置構成の上面図である。特定の実施形態において、パターンマスク層(単数または複数)111の開口部は、一次元(1D)アレイ状の開口部を含む。特定の実施形態において、パターンマスク層(単数または複数)111の開口部は、二次元(2D)アレイ状の開口部を含む。これらの開口部は、円形、正方形、矩形、三角形、六角形などでよく、開口部寸法または直径Wは約1マイクロメートル~約5ミリメートルまたは約10マイクロメートル~約500マイクロメートルでよい。これらの開口部は、六角形または正方形アレイ状に配置され、ピッチ寸法Lは、約5マイクロメートル~約20ミリメートル、または約200マイクロメートル~約5ミリメートルでよい。これらの開口部は、矩形、平行四辺形、六角形または台形アレイ状に配置されてよく、2つの直交方向におけるピッチ寸法L1およびL2は互いに異なっていてよい。開口部アレイは、線状または不規則であってもよい。パターンマスク層(単数または複数)111の開口部は、基板101の構体に位置合せして配置してよい。例えば、特定の実施形態において、表面102は六角形(例えば、(0001)または(000-1)結晶方位)である。パターンマスク層(単数または複数)111の開口部は2D六角形アレイを含み、これにより、最近接開口部間の間隔が表面102において<11-20>または<10-10>方向に対して平行となる。特定の実施形態において、表面102は非極性または半極性であり、パターンマスク層(単数または複数)111の開口部は2D正方形または矩形アレイを含み、これにより、最近接開口部間の間隔は、表面102上のc軸、m軸およびa軸のうちの2本の延長線に平行となる。特定の実施形態において、開口部のパターンは、基板101の構体に対して斜め方向に配置され、例えば、パターンマスク層(単数または複数)111の開口部を基板の高対称性の軸(例えば、表面102上のc軸、m軸またはa軸の延長線)に対して約1度および約44度だけ回転させる。特定の実施形態において、これらの開口部は、実質的に円形でなく、実質的に線状である。特定の実施形態において、これらの開口部は、幅Wおよび周期Lのスリットのアレイを含み、スリットは、基板101の全長に及んでいる。特定の実施形態において、これらのスリットの所定の長さW2は基板101の長さより短く、これらのスリットは、長さ周期L2を画成するように配置されている。スリットの隣接行は、
図1Dに示すように、直接隣接配置するのではなく、横方向に互いにずれていてもよい。特定の実施形態において、これらのスリットの隣接行は、長手方向に互いにずれていてもよい。各スリットは、
図1Dにも示すように、2つ以上の方向に配向されていてもよい。
【0027】
その後、パターン基板101を種ラック上に懸下し、密封可能なコンテナ(例えば、カプセル、オートクレーブ、またはオートクレーブ内のライナー)内に配置する。特定の実施形態では、1対以上のパターン基板を背中合せにして大面積のパターン表面を外側に向けて懸下する。そこで、III族金属源(例えば、多結晶III族金属窒化物、少なくとも1つの鉱化剤組成、およびアンモニア(または他の窒素含有溶媒)を密封可能なコンテナへ加え、密封可能なコンテナを密封する。鉱化剤組成は、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K、Rb、またはCs)、アルカリ性土類金属(例えば、Mg、Ca、Sr、またはBa)またはアルカリもしくはアルカリ性土類水素化物、アミド、イミド、アミド-イミド、窒化物、またはアジドを含んでよい。鉱化剤は、ハロゲン化アンモニウム(例えば、NH4F、NH4Cl、NH4Br、またはNH4I)、ハロゲン化ガリウム(例えば、GaF3、GaCl3、GaBr3、GaI3、またはF、Cl、Br、I、HF、HCl、HBr、HI、Ga、GaNおよびNH3のうちの1つ以上の反応によって形成し得る任意の化合物を含んでよい。鉱化剤は、他のアルカリ、アルカリ性土類、またはアンモニウム塩、他のハロゲン化物、尿素、硫黄もしくは硫化物塩、またはリンもしくはリン含有塩を含んでよい。密封可能なコンテナは、その後、高圧装置(例えば、内部加熱された高圧装置またはオートクレーブ、および密封された高圧装置)内に配置することができる。
【0028】
次に、パターン基板101を含む密封可能なコンテナを約400°Cを超える温度まで加熱し、約50メガパスカルを超えて加圧して、アモノサーマル結晶成長を行う。
【0029】
図2を参照すると、アモノサーマル結晶成長プロセス時において、アモノサーマルIII族金属窒化物材料をパターンマスク層111の開口部内で成長させ、開口部を通して外方に成長させ、パターンマスク111上に横方向に成長させ、接合させる。接合後、アモノサーマルIII族金属窒化物層213は、窓領域215を含む。窓領域215は、以下の要素に対して垂直方向に成長する。すなわち、パターンマスク111の開口部、パターンマスク層111上に横方向に成長したウイング領域217、およびパターンマスク層111の隣接開口部から成長したウイング間の境界に形成された接合面219である。アモノサーマルIII族金属窒化物層213の厚さは、約10マイクロメートル~約100ミリメートルまたは約100マイクロメートル~約20ミリメートルでよい。
【0030】
特定の実施形態において、アモノサーマルIII族金属窒化物層213に対して1つ以上のプロセス、例えば、ソーイング、ラップ仕上げ、研削、研磨、化学機械研磨またはエッチングのうちの少なくとも1つを行う。
【0031】
特定の実施形態では、アモノサーマルIII族金属窒化物層213中の貫通転位および積層欠陥などの拡張欠陥の密度を欠陥選択性エッチングによって定量化することができる。欠陥選択性エッチングは、例えばポリリン酸を形成するように長期熱処理によって調整されたH3PO4、H3PO4のうちの1つ以上を含む溶液と、H2SO4またはNaOHおよびKOHのうちの1つ以上を含む溶融フラックスとを用いて行うことができる。欠陥選択性エッチングは、約100°C~約500°Cの温度で約5分~約5時間にわたって行うことができ、処理温度および時間を選択して、直径約1マイクロメートル~約25マイクロメートルのエッチピットを形成し、そこでアモノサーマルIII族金属窒化物層、結晶またはウェーハをエッチャント溶液から除去する。
【0032】
窓領域215の表面の貫通転位密度は、下側の種101の貫通転位密度と同等か、またはほぼ4桁小さい。ウイング領域217の表面の貫通転位密度は、窓領域215の表面の貫通転位密度より約3桁低く、約103cm-2を下回るか、約102cm-1を下回るか、または約10cm-2を下回る。例えば、約1cm-1~約104cm-1の密度の積層欠陥は、窓領域215の表面に存在することがある。ウイング領域217の表面の積層欠陥密度は、窓領域215の表面の積層欠陥密度より約1~3桁低く、約102cm-1を下回るか、約10cm-1を下回るか、約1cm-1を下回るか、または約0.1cm-1を下回るか、または検出可能レベル以下である。接合面219には貫通転位(例えば、縁部転位)が存在することがあり、例えば線密度は、約1×105cm-1未満、約3×104cm-1未満、約1×104cm-1未満、約3×103cm-1未満、約1×103cm-1未満、約3×102cm-1未満、または1×102cm-1未満である。接合面に沿った転位密度は、5cm-1より高いか、10cm-1より高いか、20cm-1より高いか、50cm-1より高いか、100cm-1より高いか、200cm-1より高いか、または500cm-1より高い。
【0033】
特定の実施形態において、マスキングおよびアモノサーマル成長プロセスを1回、2回、3回またはそれ以上の回数繰り返す。いくつかの実施形態において、以下にさらに述べるように、第1のアモノサーマルIII族金属窒化物層が基板101へ接続された状態で、これらの操作を行う。他の実施形態において、基板101を除去した後、後続マスキングおよびアモノサーマル成長動作を行う。この除去は、例えばソーイング、ラップ仕上げ、研削、および/またはエッチングによって行う。
【0034】
図3Aを参照すると、フォトレジスト層の堆積およびパターニングを行った後、第2の接着層305、第2の拡散バリア層307および第2の不活性層309のうちの1つ以上を堆積させることができる。リフトオフ操作を行って、開口部を第2のパターンマスク層311内に形成する。第2のパターンマスク層311の開口部は、(窓領域215または接合面219上にではなく)ウイング領域217上に配置してもよい。特定の実施形態では、第2のパターンマスク層311は、特にマスク層中の開口部がスリットを含む場合、パターンマスク層111にほぼ平行である。他の実施形態において、特にマスク層中の開口部がスリットを例えばほぼ90度、ほぼ30度またはほぼ60度で含む場合、第2のパターンマスク層311をパターンマスク層111に対して回転させることができる。特定の実施形態では、第2のパターンマスク層311は、パターンマスク層111のパターンと異なるパターンでよい。例えば、パターンマスク層はドット状開口部を含んでよく、第2のパターンマスク層311はスリットを含んでよい。
【0035】
その後、パターン基板101と第1のアモノサーマルIII族窒化物層213および第2のパターンマスク層311とを種ラック上に懸下し、密封可能なコンテナ(例えば、カプセル、オートクレーブまたはオートクレーブ内のライナー)内に配置する。特定の実施形態では、1対以上のパターン基板を背中合わせにして大面積のパターン表面を外側に向け懸下する。そこで、III族金属源(例えば、多結晶III族金属窒化物)、少なくとも1つの鉱化剤組成およびアンモニア(または他の窒素含有溶媒)を密封可能なコンテナへ加え、密封可能なコンテナを密封する。その後、密封可能なコンテナを高圧装置(例えば、内部加熱された高圧装置またはオートクレーブ)内に配置し、高圧装置を密封する。
【0036】
その後、パターン基板101を含む密封可能なコンテナと、第1のアモノサーマルIII族窒化物層213および第2のパターンマスク層311とを、約400°Cを超える温度および約50メガパスカル(MPa)を超える圧力で加熱してアモノサーマル結晶成長を行う。
図3Bを参照すると、アモノサーマル結晶成長プロセス時において、アモノサーマルIII族金属窒化物材料313は、パターンマスク311の開口部内で成長し、開口部を通して外側に成長し、第2のパターンマスク層311上において横方向に成長し接合する。接合後、第2のアモノサーマルIII族金属窒化物層313は、以下の要素を含む。すなわち、第2のパターンマスク層311中の開口部に対して垂直方向に成長した第2の窓領域315と、パターンマスク311上において横方向に成長した第2のウイング領域317と、第2のパターンマスク層311中の隣接開口部から成長するウイング間の境界において形成された第2の接合面319である。第2のアモノサーマルIII族金属窒化物層313の厚さは、約10マイクロメートル~約100ミリメートルまたは約100マイクロメートル~約20ミリメートルでよい。
【0037】
特定の実施形態において、第2のアモノサーマルIII族金属窒化物層313に対して1つ以上のプロセス、例えば、ソーイング、ラップ仕上げ、研削、研磨、化学機械研磨またはエッチングのうちの少なくとも1つを行う。
【0038】
第2の窓領域315の表面の貫通転位密度は、第1のアモノサーマルIII族金属窒化物層213のウイング領域217の貫通転位密度と同等か、または高々ほぼ1桁小さい。第2のウイング領域317の表面の貫通転位密度は、第2の窓領域315の表面の貫通転位密度より高々約1桁~約3桁低く、約103cm-2未満、約102cm-1未満または約10cm-2未満でよい。第2のアモノサーマルIII族金属窒化物層313の表面の積層欠陥密度は、約102cm-1を下回るか、約10cm-1を下回るか、約1cm-1を下回るか、もしくは約0.1cm-1を下回るか、または検出可能レベル以下の場合もある。第2の接合面319には貫通転位(例えば、縁部転位)が存在することがあり、例えば線密度は、約1×105cm-1未満、約3×104cm-1未満、約1×104cm-1未満、約3×103cm-1未満、約1×103cm-1未満、約3×102cm-1未満、約1×102cm-1未満、約3×101cm-1未満、約1×101cm-1未満、約3×100cm-1、または1×100cm-1である。接合面に沿った転位密度は、約0.1cm-1より高いか、約0.3cm-1より高いか、約1cm-1より高いか、約3cm-1より高いか、約10cm-1より高いか、約20cm-1より高いか、約50cm-1、約100cm-1より高いか、約200cm-1より高いか、または約500cm-1より高い。
【0039】
図4を参照すると、特定の実施形態では、アモノサーマルIII族金属窒化物層213および313、すなわちこのような最終堆積層から基板101を除去して、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブール413を形成する。基板101の除去は、ソーイング、研削、ラップ仕上げ、研磨、レーザリフトオフ、自然分離およびエッチングのうちの1つ以上によって行うことができる。特定の実施形態において、基板101は、サファイアまたはガリウムヒ化物などのアモノサーマルIII族金属窒化物層と異なる組成を含んでよい。このような場合、基板101の除去は、アモノサーマルIII族金属窒化物層のエッチングをほとんど、または全く行わずに基板101を選択的にエッチングするプロセス条件を用いて行うことができる。他の実施形態において、基板101は、アモノサーマルIII族金属窒化物層と類似の、または実質的に同一の組成を含み、基板101の後側のエッチ速度がアモノサーマルIII族金属窒化物層の前面のエッチ速度よりずっと高い条件下でエッチングを行う。特定の実施形態では、アモノサーマルIII族金属窒化物層213および313またはこのような最終層の一部を堆積させ、マスク層の蒸着、層部分のTeflon被覆、層部分のTeflonに対する固定、Teflon塗料の塗布などにより、エッチャントによる攻撃から保護する。特定の実施形態において、基板101は、単結晶窒化ガリウムを含む。基板101の表面102の結晶方位は、(0001)結晶方位の約5度以内であり、基板101を選択的にエッチングする。このエッチングは、H
3PO
4、長期熱処理によって調整してポリリン酸を形成するH
3PO
4、および約150°C~約500°Cの温度で約30分~約5時間の時間のH
2SO
4のうちの1つ以上を含む溶液によって行うか、または、NaOHおよびKOHのうちの1つ以上を含む溶融フラックス中において加熱することにより行う。驚くべきことに、パターンマスク層(単数または複数)111および311がエッチストップとして機能することにより、基板101の選択的除去が促進されることがある。自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブール413は、パターンマスク層(単数または複数)111または311中の開口部の上方に形成された1つ以上の窓領域415、パターンマスク層(単数または複数)111または311中の非開口領域の上方に形成された1つ以上のウイング領域417、および1つ以上の接合面領域419を含んでよい。自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブール413の前面421および後面423のうちの1つ以上に対し、ラップ仕上げ、研磨、エッチングおよび化学機械的研磨を行うことができる。
【0040】
特定の実施形態では、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブール413の縁部を研削して、円筒状のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールを形成する。特定の実施形態では、1つ以上の平坦部を研削して、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブール413の側部とする。特定の実施形態では、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブール413をスライスして、1つ以上の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハ431とする。このスライシングは、マルチワイヤソーイング、マルチワイヤスラリーソーイング、スライシング、内径ソーイング、外径ソーイング、切断、イオン注入後の剥離、レーザ切断などによって行うことができる。自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハ431の1つ以上の大面積表面に対して、ラッピング、研磨、エッチング、電気化学的研磨、光電気化学研磨、反応性イオンエッチングおよび/または化学機械的研磨が当該分野に公知の方法で行われる。特定の実施形態では、面取り面、傾斜面または面取り縁部を研削して、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハ431の縁部とする。自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハの直径は、少なくとも約5ミリメートル、少なくとも約10ミリメートル、少なくとも約25ミリメートル、少なくとも約50ミリメートル、少なくとも約75ミリメートル、少なくとも約100ミリメートル、少なくとも約150ミリメートル、少なくとも約200ミリメートル、少なくとも約300ミリメートル、少なくとも約400ミリメートル、または少なくとも約600ミリメートルでよく、厚さは約50マイクロメートル~約10ミリメートルまたは約150マイクロメートル~約1ミリメートルでよい。化学蒸着、有機金属化学気相成長、ハイドライド気相成長、分子線エピタキシー、フラックス成長、溶液成長、アモノサーマル成長などにより、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハ431の1つ以上の大面積表面をIII族金属窒化物成長のための基板として用いることができる。
【0041】
図5を参照すると、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールまたはウェーハの大面積表面は、エピタキシャル横方向過成長プロセス時に形成された接合面から局所的にほぼ線状の貫通転位アレイのパターンが広がっていることを特徴とすることができる。このパターンは、2D六角形、正方形、矩形、台形、三角形、1D線状または不規則でよい。より複雑なパターンも可能であり、有利である場合もある。例えば、亀裂または切断により強い形状である。このパターンは、例えばブールが自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールの大面積表面に対して斜め角度でスライスされているため、別の直交方向に対して1つの方向に延伸していてよい。局所的にほぼ線状の貫通転位アレイのパターンは、ピッチ寸法L、または2つの直交方向におけるピッチ寸法L1およびL2が約5マイクロメートルと約20ミリメートルの間、または約200マイクロメートルと約5ミリメートルの間であることを特徴とすることができる。特定の実施形態では、局所的にほぼ線状の貫通転位アレイのパターンは、III族金属窒化物の下側の結晶構造と大まかにアライメントされ、その場合、例えば、局所的にほぼ線状のアレイは、<10-10>、<11-20>もしくは[000±1]のうちの1つ以上の約5度以内、約2度以内もしくは約1度以内にあり、または自立のアモノサーマルIII族窒化物ブールもしくはウェーハの表面に突起がある。このパターンにおける貫通転位の線密度は、約1×10
5cm
-1未満であるか、約3×10
4cm
-1未満であるか、約1×10
4cm
-1未満であるか、約3×10
3cm
-1未満であるか、約1×10
3cm
-1未満であるか、約3×10
2cm
-1未満であるか、または約1×10
2cm
-1でよい。パターンにおける貫通転位の線密度は、5cm
-1より高いか、10cm
-1より高いか、20cm
-1より高いか、50cm
-1より高いか、100cm
-1より高いか、200cm
-1より高いか、または500cm
-1より高くてよい。
【0042】
局所的にほぼ線状の貫通転位アレイのそれぞれの間の領域の貫通転位密度は、約10
5cm
-2未満であるか、約10
4cm
-2未満であるか、約10
3cm
-2未満であるか、約10
2cm
-1未満であるか、または約10cm
-2でよい。自立のアモノサーマルIII族窒化物ブールまたはウェーハの大面積表面上の平均化された貫通転位密度は、約10
7cm
-2未満であるか、約10
6cm
-2未満であるか、約10
5cm
-2未満であるか、約10
4cm
-2未満であるか、約10
3cm
-2未満であるか、または約10
2cm
-1未満でよい。自立のアモノサーマルIII族窒化物ブールまたはウェーハの大面積表面上において平均化された積層欠陥密度は、約10
3cm
-1未満であるか、約10
2cm
-1未満であるか、約10cm
-1未満であるか、約1cm
-1未満であるか、または約0.1cm
-1未満でよいか、または検出可能レベル以下なことがある。いくつかの実施形態において、例えば、転位のパターンアレイを有する種晶での再成長および/または成長を、厚さが2ミリメートルを超えるか、3ミリメートルを超えるか、5ミリメートルを超えるか、または10ミリメートルを超えるまで繰り返した後、種晶上のパターンに対する貫通転位の位置を一定範囲において横方向に変位させることができる。このような場合、貫通転位密度がより高い領域が、
図5に模式的に示す太い方の線よりも若干多く拡散する。しかし、貫通転位密度は、この表面の上のある線に沿った横方向位置の関数として周期的に変化し、この変化の周期は、約5マイクロメートル~約20ミリメートルまたは約200マイクロメートル~約5ミリメートルである。周期的に変化する領域内の貫通転位密度は、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも30倍、少なくとも100倍、少なくとも300倍、または少なくとも1000倍異なることがある。
【0043】
自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールまたはウェーハの大面積結晶方位は、(0001)+c面、(000-1)-c面、{10-10}m面、{11-20}a面、{11-2±2}、{60-6±1}、{50-5±1}、{40-4±1}、{30-3±1}、{50-5±2}、{70-7±3}、{20-2±1}、{30-3±2}、{40-4±3}、{50-5±4}、{10-1±1}、{10-1±2}、{10-1±3}、{21-3±1}または{30-3±4}の5度以内、2度以内、1度以内、0.5度以内、0.2度以内、0.1度以内、0.05度以内、0.02度以内、または0.01度以内でよい。自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールまたはウェーハは(hkil)半極性大面積表面方位を有してよい。ただし、i=-(h+k)およびlであり、hおよびkのうちの少なくとも1つは0でない。
【0044】
特定の実施形態において、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶またはウェーハの大面積表面の結晶方位は、{10-10}m面から約-60度~約+60度だけ[0001]+c方向に向かいかつ約10度までの角度で直交<1-210>a方向に向かってミスカットされる。特定の実施形態では、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶またはウェーハの大面積表面の結晶方位は、{10-10}m面から約-30度~約+30度だけ[0001]+c方向に向かいかつ約5度までの角度で直交<1-210>a方向へ向かってミスカットされる。特定の実施形態において、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶またはウェーハの大面積表面の結晶方位は、{10-10}m面から約-5度~約+5度だけ[0001]+c方向へ向かいかつ約1度までの角度で直交<1-210>a方向に向かってミスカットされる。自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶またはウェーハの積層欠陥密度は、2つの大面積表面のうちの一方または双方において、102cm-1未満であるか、10cm-1未満であるか、または1cm-1未満であり、極めて低い転位密度は、約105cm-2未満であるか、約104cm-2未満であるか、約103cm-2未満であるか、約102cm-2未満であるか、または約10cm-2未満である。
【0045】
自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールまたはウェーハの対称なx線ロッキングカーブ半値全幅(FWHM)は、約200秒角未満であるか、約100秒角未満であるか、約50秒角未満であるか、約35秒角未満であるか、約25秒角未満であるか、または約15秒角未満である。自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールまたはウェーハの結晶曲率半径は、少なくとも1つの独立方向もしくは直交方向、少なくとも2つの独立方向もしくは直交方向、または3つの独立方向もしくは直交方向において、0.1メートルを超えるか、1メートルを超えるか、10メートルを超えるか、100メートルを超えるか、または1000メートルを超える。
【0046】
特定の実施形態において、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールまたはウェーハの少なくとも1つの表面の酸素(O)および水素(H)のうちの少なくとも1つの原子不純物濃度は、約1×1016cm-3を超えるか、約1×1017cm-3を超えるか、または約1×1018cm-3を超える。特定の実施形態において、Hの原子不純物濃度のO原子不純物濃度に対する比は、約1.1~約1000または約5~約100である。特定の実施形態では、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールまたはウェーハの少なくとも1つの表面における、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)のうちの少なくとも1つの不純物濃度は、約1×1015cm-3を上回るか、約1×1016cm-3を上回るか、または約1×1017cm-3を上回るか、約1×1018cm-3を上回る。特定の実施形態では、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールまたはウェーハの上面および下面におけるO、H、炭素(C)、NaおよびKの不純物濃度はそれぞれ、較正された二次イオン質量分析法(SIMS)によって定量化した場合、約1×1016cm-3~1×1019cm-3の範囲、約1×1016cm-3~2×1019cm-3の範囲、1×1017cm-3未満、1×1016cm-3未満、および1×1016cm-3未満である。別の実施形態において、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールまたはウェーハの上面および下面における、O、H、Cと、NaおよびKのうちの少なくとも1つとの不純物濃度はそれぞれ、較正された二次イオン質量分析法(SIMS)によって定量化した場合、約1×1016cm-3~1×1019cm-3、約1×1016cm-3~2×1019cm-3、1×1017cm-3未満、および約3×1015cm-3~1×1018cm-3である。別の実施形態において、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールまたはウェーハの上面におけるO、H、CならびにFおよびClのうちの少なくとも1つの不純物濃度はそれぞれ、較正された二次イオン質量分析法(SIMS)によって定量化した場合、約1×1016cm-3~1×1019cm-3、約1×1016cm-3~2×1019cm-3、1×1017cm-3未満、約1×1015cm-3~1×1019cm-3である。いくつかの実施形態において、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールまたはウェーハの上面および下面のHの不純物濃度は、較正された二次イオン質量分析法(SIMS)によって定量化した場合、約5×1017cm-3~1×1019cm-3である。特定の実施形態では、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールまたはウェーハの少なくとも1つの表面の銅(Cu)、マンガン(Mn)および鉄(Fe)の不純物濃度は、約1×1016cm-3~1×1019cm-3である。特定の実施形態では、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールまたはウェーハの赤外線吸収ピークは約3175cm-1であり、単位厚さあたりの吸収度は約0.01cm-1を上回る。
【0047】
自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶またはウェーハは、ウルツ鉱構造が実質的に何らの立方体構造または他の結晶構造を含まず、この他の構造とは、ウルツ鉱構造に対して体積が実質的に約0.1%未満であることを特徴とすることができる。
【0048】
驚くべきことに、HVPEGaNとアモノサーマルGaNとの間に格子不整合がある場合、本願に開示の技術を用いれば、アモノサーマル横方向エピタキシャル過成長により肉厚の大面積GaN層を生成することができ、層内の亀裂もなかった。特定の実施形態において、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶またはウェーハの直径は、約25ミリメートルより大きいか、約50ミリメートルより大きいか、約75ミリメートルより大きいか、約100ミリメートルより大きいか、約150ミリメートルより大きいか、約200ミリメートルより大きいか、約300ミリメートルより大きいか、または約600ミリメートルより大きく、また厚さは約0.1ミリメートルより大きいか、約0.2ミリメートルより大きいか、約0.3ミリメートルより大きいか、約0.5ミリメートルより大きいか、約1ミリメートルより大きいか、約2ミリメートルより大きいか、約3ミリメートルより大きいか、約5ミリメートルより大きいか、約10ミリメートルより大きいか、または約20ミリメートルより大きく、亀裂は実質的に発生しなかった。これに対して、本発明者らによれば、大面積の非パターンHVPEGaN種晶上にアモノサーマル成長を行った場合、HVPEGaN種晶の形成にパターニングプロセスを用いた場合でも、層の厚さが数百マイクロメートルより厚いと亀裂が発生した。
【0049】
自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハは、総厚のバラツキ(TTV)が約25マイクロメートル未満、約10マイクロメートル未満、約5マイクロメートル未満、約2マイクロメートル未満、または約1マイクロメートル未満であり、巨視的湾曲部は約200マイクロメートル未満、約100マイクロメートル未満、約50マイクロメートル未満、約25マイクロメートル未満、または約10マイクロメートル未満であることを特徴とすることができる。自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハの大面積表面の巨視的欠陥密度は、直径または特徴的寸法が約100マイクロメートルのとき、約2cm-2未満、約1cm-2未満、約0.5cm-2未満、約0.25cm-2、または約0.1cm-2未満である。自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハの大面積表面上におけるミスカット角度のバラツキは、2つの直交結晶方向それぞれにおいて、約5度未満、約2度未満、約1度未満、約0.5度未満、約0.2度未満、約0.1度未満、約0.05度未満、または約0.025度でよい。自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハの大面積表面の二乗平均平方根表面粗さは、少なくとも10μm×10μmの面積について測定した場合、約0.5ナノメートル未満であるか、約0.2ナノメートル未満であるか、約0.15ナノメートル未満であるか、約0.1ナノメートル未満であるか、または約0.10ナノメートル未満である。自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハは、n型導電性であって、キャリア濃度が約1×1017cm-3~約3×1019cm-3でキャリア移動度が約100cm2/V-sであることを特徴とすることができる。別の実施形態において、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハは、p型導電性であって、キャリア濃度が約1×1015cm-3~約1×1019cm-3であることを特徴とすることができる。さらに他の実施形態において、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハは、常温抵抗が約107オーム/センチメートルより高いか、約108オーム/センチメートルより高いか、約109オーム/センチメートルより高いか、約1010オーム/センチメートルより高いか、または約1011オーム/センチメートルより高い電気的半絶縁性を示すことを特徴とする。特定の実施形態において、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハは透明性が高く、波長400ナノメートルにおける光吸収係数は約10cm-1未満、約5cm-1未満、約2cm-1未満、約1cm-1未満、約0.5cm-1未満、約0.2cm-1未満、または約0.1cm-1未満である。
【0050】
いくつかの実施形態において、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶またはウェーハは、さらなるバルク成長のための種晶として用いられる。1つの特定の実施形態において、さらなるバルク成長は、アモノサーマルバルク結晶成長を含む。別の特定の実施形態において、さらなるバルク成長は、高温溶液結晶成長(フラックス結晶成長としても知られる)を含む。さらに別の特定の実施形態において、さらなるバルク成長は、HVPEを含む。このさらなる成長をした結晶に対して、当該分野にて公知の方法によりスライシング、ラップ仕上げ、研磨、エッチングおよび/または化学機械研磨を行って、ウェーハとすることができる。ウェーハの表面の10マイクロメートル×10マイクロメートルの領域について測定した二乗平均平方根表面粗さは、約1ナノメートル未満または約0.2ナノメートル未満である。
【0051】
ウェーハを半導体構体へ組み込んでもよい。半導体構体は、少なくとも1つのAlxInyGa(1-x-y)Nエピタキシャル層を含んでよい。ただし、0≦x、y、x+y≦1である。エピタキシャル層のウェーハ上への堆積は、例えば当該分野にて公知の方法に従って有機金属化学気相成長法(MOCVD)または分子線エピタキシー(MBE)で行うことができる。半導体構体の少なくとも一部は、窒化ガリウムベースの電子デバイスまたは光電子デバイスの一部分を形成することもある。これらのデバイスは、例えば、発光ダイオード、レーザダイオード、光検出器、アバランシェフォトダイオード、光電池、太陽電池、光電気化学的水分解セル、トランジスタ、整流器およびサイリスタであり、また、トランジスタ、整流器、ショットキー整流器、サイリスタ、PINダイオード、金属・半導体・金属ダイオード、高電子移動度トランジスタ、金属半導体電界効果トランジスタ、金属酸化膜電界効果トランジスタ、金属酸化膜半導体電界効果パワートランジスタ、金属絶縁膜半導体電界効果パワートランジスタ、バイポーラ接合トランジスタ、金属絶縁膜電界効果トランジスタ、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ、絶縁ゲートバイポーラパワートランジスタ、垂直接合型電界効果パワートランジスタ、カスコードスイッチ、インナサブバンドエミッタ、量子井戸赤外光検出器、量子ドット赤外光検出器、およびこれらの組合せのうちの1つである。窒化ガリウムベースの電子デバイスまたは光電子デバイスは、ランプまたは備品(例えば、照明器具)に組み込むことができる。窒化ガリウムベースの電子デバイスまたは光電子デバイスは、単体にした場合、横方向寸法が、少なくとも0.1ミリメートル×0.1ミリメートルでよい。窒化ガリウムベースの電子または光電子デバイスの最大寸法は少なくとも8ミリメートルであり、例えばレーザダイオードを含んでよい。窒化ガリウムベースの電子デバイスまたは光電子デバイスは、その内部全体に転位がない。例えば、転位密度が104cm-2である場合、1×1mm2のデバイスの実質的にかなりの部分で転位がないことが予測される。転位密度が102cm-2である場合、1×1mm2のデバイスの実質的にかなりの部分に転位がないことが予測される。窒化ガリウムベースの電子または光電子デバイスは、その内部全体に積層欠陥を含まない。例えば、積層欠陥密度が1cm-1である場合、10×1mm2のストライプ型デバイス(例えば、非極性または半極性大面積表面およびc面ファセットを有するレーザダイオード)のかなりの部分に積層欠陥がないことが予測される。
【0052】
図6および
図7は、本開示の実施形態による方法およびその結果得られる光学デバイスを示す断面図である。一連の工程によって光学デバイスを形成するが、これら一連の工程は、少なくとも1つのAlInGaN活性層631を含む1つ以上の接合面領域419を有するアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハ431の基板上に、例えばMOCVDによってエピタキシャル層蒸着を行う工程を含む。特定の実施形態において、堆積した層は、図示のように、n型層633、ドープしたかまたは非意図的にドープされた単量子井戸(SQW)、多量子井戸(MQW)構造またはダブルヘテロ構造(DH構造)、およびp型層635を含む。デバイス構造は、
図6に模式的に示すように垂直型であってもよいし、あるいは
図7に模式的に示すように横型であってもよい。本デバイスは、外部回路へ電気的に接続されてn型電極639とp型電極637との間に電位を与えることができる。
【0053】
特定の実施形態では、本方法によりn型電極639およびp型電極637も堆積される。いくつかの実施形態において、1組のn型電極およびp型電極のうちの少なくとも一方を接合面と一致するように配置する。発光部の中心は、接合面に、あるいは接合面間に設けてもよい。1つの特定の実施形態では、透明なp型電極を堆積させて、貫通転位が高密度の可能性のある接合面との接触を回避するように配置する。このようにして、相対的に低い密度の貫通転位を有する発光構体が形成される。特定の実施形態において、接合面または窓領域に対応する欠陥領域は、直列抵抗を低減する分路として用いられる。特定の実施形態において、n型電極は、接合面または窓領域の上方に配置され、縁部転位密度は103cm-1を超え、かつ/または貫通転位密度は約106cm-2を超える。
【0054】
ここで
図7を参照すると、いくつかの実施形態、例えばレーザダイオードにおいて、接合面を実質的に含まない領域にp電極が配置されている。従来の従来のリソグラフィーによってメサを形成することができ、n型電極がn型層および/または基板と電気的に接続するように配置されている。
【0055】
図8は、アモノサーマル横方向エピタキシャル成長によって二次元アレイの形のマスクを用いて形成された自立のGaN基板の上面図(平面図)である。GaN層は、原マスク層の二次元アレイの開口部を通して成長し、種領域830が形成された。GaN層の接合により接合面840の二次元格子を形成してよい。接合面840の二次元格子は、例えば、第1の接合面219または第2の接合面319、あるいは接合面219もしくは319を含む種晶から長期成長または反復成長によって形成されたほぼ線状のアレイの転位を含んでよい。
【0056】
図9Aは、例えばLEDのデバイス構体の上面図である。この図では、p型透明電極970が種領域830または接合面840に接触しないようにアライメント配置されている。
図9Bは、例えばLEDのデバイス構体の別の実施形態の上面図である。この図では、電極980が同様に種領域830および接合面840とアライメントされているが、この場合、接合面840の上方に配置されている。
図9Cは、例えばフリップチップLEDのデバイス構体の別の実施形態の上面図である。n型電極990は種領域830とアライメントされ、p型電極995は種領域830間にアライメントされている。
【0057】
個々のダイ(例えば、発光ダイオードまたはレーザダイオード)は、隣接する電極の組同士の間に、ソーイング、切断、スライシング、切り離しなどを行うことにより、形成することができる。再度、
図9Aを参照すると、接合面840に沿ってスライシングを行うことができる。スライシングは、種領域830を通って行ってもよい。ここで
図9Bを参照すると、特定の実施形態では、スライシングを種領域830に沿って、しかも接合面840に沿わずに行うことができる。再び
図9Cを参照すると、特定の実施形態では、種領域を通らず全接合面にも沿わずにスライシングが行われる。種領域の一次元アレイまたは二次元アレイの配置構成に応じて、単一化されたダイは、3つの角部、4つの角部または6つの角部を有してよい。
【0058】
本願に記載の方法によれば、欠陥領域の可能性があるにも関わらず大面積III族金属窒化物基板を作製する方法が得られる。本願に記載の方法によれば、大面積III族金属窒化物基板の欠陥領域に関連する電位問題を回避できる高性能の発光ダイオードおよび/またはレーザダイオードを作製する手段が得られる。
【0059】
上記の一連の工程により、本開示の実施形態による方法が得られる。特定の実施形態では、本開示によれば、支持部材構造を有する高圧装置によって達成される方法とその結果得られる結晶材料が提供される。可能な他の実施形態としては、例えば、本願特許請求の範囲から逸脱することなくいくつかの工程を付加したり、1つ以上の工程を除去したり、あるいは1つ以上の工程を別の順序で用いることもある。
【0060】
本開示によって提供される実施形態について、以下の実施例を参照しつつ、さらに例示する。当業者には、本開示の範囲から逸脱することなく材料および方法の両方について多数の変更が可能なことが明らかであろう。
【0061】
HVPEによって厚さほぼ0.3ミリメートルに成長させたc面配向バルクGaN結晶をパターニング用基板として用いた。nLOF2020をフォトレジストとして用いて、幅20マイクロメートル×長さ1センチメートルのスリットの線状アレイを含むパターンをピッチ直径520マイクロメートルで画成した。厚さ100ナノメートルのTiWの肉厚層を接着層として堆積させ、その後、Auを含む厚さ780ナノメートルの不活性層を堆積させた。リフトオフプロセスを行い、残りのフォトレジストを除去して、パターン基板を得た。このマスクパターンは、線状開口部が<10-10>に対してほぼ平行に配向されたmストライプの領域または線状開口部が<11-20>に対してほぼ平行に配向されたaストライプの領域を含んでいた。このパターン基板を13.4%の開口バッフル、多結晶GaN強化剤、NH4F鉱化剤およびアンモニアと共に銀カプセル内に配置し、このカプセルを密封した。GaN強化剤およびNH4F鉱化剤のアンモニアに対する重量比は、それぞれほぼ1.02および0.048であった。このカプセルを内部加熱された高圧装置中に配置し、上側の強化剤ゾーンはほぼ650°Cの温度まで加熱し、下側の結晶成長ゾーンはほぼ690°Cの温度まで加熱し、これらの温度をほぼ100時間維持した後、冷却および除去を行った。mストライプパターンおよびaストライプパターンの両方とも、HVPEGaN基板上のパターンマスクの線状開口部を通してアモノサーマルGaNを成長させ、横方向に成長させ、完全接合させ、厚さがほぼ350マイクロメートルで上面が平滑なアモノサーマルGaN層が形成された。アモノサーマルGaN層の表面を光エッチングし、光学顕微鏡およびx線ロッキングカーブ分析によって調査した。
【0062】
mストライプ領域の場合、
図12Aおよび
図10Bに示すように、窓領域はエッチピット密度がほぼ7×10
5cm
-2であり、マスク領域はエッチピット密度がほぼ6×10
3cm
-2であり、全体のエッチピット密度はほぼ1×10
5cm
-2であった。接合面は、ほぼ線状のアレイの貫通転位(エッチピット)として確認され、線密度はほぼ83cm
-1であった。x線方向ロッキングカーブ(XRC)挙動は、以下のようなものであった。すなわち、a軸を中心にロッキングする(002)反射は、
図12Bに示すように半値全幅(FWHM)が51.6秒角であり、m軸を中心にロッキングする(002)反射は、FWHMが71.0秒角であり、(201)反射のFWHMは36.9秒角であった。
【0063】
aストライプ領域の場合、
図11Aおよび
図10Aに示すように、窓領域はエッチピット密度がほぼ6×10
5cm
-2であり、マスク領域はエッチピット密度がほぼ4×10
3cm
-2であり、全体のエッチピット密度はほぼ8×10
4cm
-2であった。接合面は、ほぼ線状アレイの貫通転位(エッチピット)として確認され、線密度はほぼ100cm
-1であった。x線方向ロッキングカーブ挙動は、以下のようなものであった。すなわち、a軸を中心にロッキングする対称な(002)反射は、半値全幅(FWHM)が56.7秒角であり、m軸を中心にロッキングする(002)反射は、
図11Bに示すようにFWHMが74.0秒角であり、(201)反射のFWHMは56.6秒角であった。
この狭いXRCFWHM値は、気相成長法によって成長したLEO構造の場合に深刻になるウイングチルトは数度までの傾斜であるのに対し、このアモノサーマル横方向エピタキシャル過成長プロセスを用いた場合はウイングチルトが極めて小さいことを示している。
【0064】
HVPEによって厚さほぼ0.3ミリメートルまで成長させたc面配向バルクGaN結晶をパターニング用基板として用いた。nLOF2020をフォトレジストとして用いて、20マイクロメートル幅×基板の幅の大きさの線状アレイを含むパターンをピッチ直径1020マイクロメートルで画成した。厚さ100ナノメートルのTiW層を接着層として堆積させ、その後Auを含む不活性層を厚さ780ナノメートルまで堆積させた。リフトオフプロセスを行い、残りのフォトレジストを除去して、パターン基板を得た。マスクパターンはmストライプの領域を含み、線状開口部配向は<10-10>に対してほぼ平行であった。このパターン基板を13.4%開口バッフル、多結晶GaN強化剤、NH4F鉱化剤およびアンモニアと共に銀カプセル内に配置し、カプセルを密封した。GaN強化剤およびNH4F鉱化剤のアンモニアに対する重量比は、それぞれほぼ0.96および0.048であった。このカプセルを内部加熱された高圧装置内に配置し、上側の強化剤ゾーンはほぼ650°Cの温度まで加熱し、下側の結晶成長ゾーンはほぼ690°Cの温度まで加熱し、それぞれの温度でほぼ116時間維持した後、冷却および除去を行った。HVPEGaN基板上のパターンマスクの線状開口部を通してアモノサーマルGaNを成長させ、横方向に成長させ、完全接合し、厚さがほぼ580マイクロメートルで上面が平滑なアモノサーマルGaN層が形成された。アモノサーマルGaN層の表面を光エッチングし、光学顕微鏡によって調査した。
【0065】
アモノサーマルGaN層の窓領域はエッチピット密度がほぼ9.5×105cm-2であり、マスク領域はエッチピット密度がほぼ1×104cm-2であり、全体のエッチピット密度はほぼ2×105cm-2であった。接合面は、ほぼ線状のアレイの貫通転位(エッチピット)として確認され、線密度はほぼ250cm-1であった。
【0066】
HVPEによって厚さほぼ0.3ミリメートルまで成長させた2つのm面配向バルクGaN結晶をパターニング用基板として用いた。nLOF2020をフォトレジストとして用いて、幅20マイクロメートルの基板の線状アレイのパターンをピッチ直径550マイクロメートルで画成した。厚さ100ナノメートルのTiW層を接着層として堆積させた後、Auを含む不活性層を厚さ780ナノメートルまで堆積させた。リフトオフプロセスを行って、残りのフォトレジストを除去して、パターン基板を得た。第1のm面基板上において、マスクパターンはcストライプの領域を含み、線状開口部配向は<0001>に対してほぼ平行であった。第2のm面基板上において、マスクパターンはaストライプの領域を含み、線状開口部配向は<11-20>に対してほぼ平行であった。このパターン基板を13.4%開口バッフル、多結晶GaN強化剤、NH4F鉱化剤およびアンモニアと共に銀カプセル内に配置し、カプセルを密封した。GaN強化剤およびNH4F鉱化剤のアンモニアに対する重量比はそれぞれ、ほぼ0.85および0.043であった。内部加熱された高圧装置内にカプセルを配置し、上側の強化剤ゾーンはほぼ652°Cの温度まで加熱し、下側の結晶成長ゾーンはほぼ681°Cの温度まで加熱し、それぞれの温度でほぼ88時間維持した後、冷却および除去を行った。cストライプパターンおよびaストライプパターンの両方とも、HVPEGaN基板上のパターンマスクの線状開口部を通してアモノサーマルGaNを成長させ、横方向に成長させ、完全接合し、厚さがそれぞれほぼ234マイクロメートルまたは174マイクロメートルで上面が平滑なアモノサーマルGaN層が形成された。アモノサーマルGaN層の表面を光エッチングし、光学顕微鏡によって調査した。
【0067】
cストライプパターン基板の場合、アモノサーマルGaN層の窓領域はエッチピット密度がほぼ1×105cm-2であり、マスク領域はエッチピット密度がほぼ5×102cm-2であり、全体のエッチピット密度はほぼ1×104cm-2であった。aストライプパターン基板の場合、マスク上で横方向成長した領域は、窓の上方の領域と比較して積層欠陥密度が大幅に低減しており、その結果全体の積層欠陥密度はほぼ4×102cm-1であった。
【0068】
HVPEによって厚さほぼ0.3ミリメートルまで成長させたc面配向バルクGaN結晶をパターニング用基板として用いた。nLOF2020をフォトレジストとして用いて、20マイクロメートル幅×基板の幅の大きさの線状アレイを含むパターンをピッチ直径1020マイクロメートルで画成した。厚さ100ナノメートルのTiW層を接着層として堆積させた後、Auを含む不活性層を厚さ780ナノメートルまで堆積させた。リフトオフプロセスを行い、残りのフォトレジストを除去して、パターン基板を得た。マスクパターンはmストライプの領域を含み、線状開口部配向は<10-10>に対してほぼ平行であった。このパターン基板を13.4%開口バッフル、多結晶GaN強化剤、NH4F鉱化剤およびアンモニアと共に銀カプセル内に配置し、カプセルを密封した。GaN強化剤およびNH4F鉱化剤のアンモニアに対する重量比は、それぞれほぼ2.18および0.090であった。このカプセルを内部加熱された高圧装置内に配置し、上側の強化剤ゾーンはほぼ648°Cの温度まで加熱し、下側の結晶成長ゾーンはほぼ685°Cの温度まで加熱し、それぞれの温度でほぼ110時間維持した後、冷却および除去を行った。HVPEGaN基板上のパターンマスクの線状開口部を通してアモノサーマルGaNを成長させ、横方向に成長させ、完全接合し、厚さがほぼ270マイクロメートルで上面が平滑なアモノサーマルGaN層が形成された。
【0069】
その後、この上面アモノサーマル層を第2の時間にわたってパターニングしたのは同様の手順であるが、異なるのは、パターンを横方向に平行移動させ、横方向に成長したアモノサーマル層内の横方向成長領域の上方に第2のパターンの窓領域が位置するようにした点である。ここでも、マスクパターンはmストライプの領域を含み、線状開口部配向は<10-10>に対してほぼ平行であった。再パターニングされた基板を13.4%開口バッフル、多結晶GaN強化剤、NH4F鉱化剤およびアンモニアと共に銀カプセル内に配置し、カプセルを密封した。GaN強化剤およびNH4F鉱化剤のアンモニアに対する重量比は、それぞれほぼ2.16および0.089あった。このカプセルを内部加熱された高圧装置内に配置し、上側の強化剤ゾーンはほぼ649°Cの温度まで加熱し、下側の結晶成長ゾーンはほぼ682°Cの温度まで加熱し、それぞれの温度でほぼ100時間維持した後、冷却および除去を行った。アモノサーマルGaNをHVPEGaN基板上のパターンマスクの線状開口部を通して成長させ、横方向に成長させ、完全接合し、厚さがほぼ180マイクロメートルで上面が平滑なアモノサーマルGaN層が形成された。アモノサーマルGaN層の表面を光エッチングし、光学顕微鏡によって調査した。その結果、実質的に存在した唯一の転位は接合面に見つかり、その線密度はほぼ1.5×103cm-1であり、これはほぼ1.5×104cm-2の平均均転位密度に相当する。
【0070】
直径2インチ(51mm)のc面配向バルクGaN結晶をHVPEによって厚さほぼ0.3ミリメートルまで成長させ、パターニング用基板として用いた。nLOF2020をフォトレジストとして用いて、幅20マイクロメートルの基板の線状アレイのパターンをピッチ直径520マイクロメートルで画成した。厚さ100ナノメートルのTiW層を接着層として堆積させた後、Auを含む不活性層を厚さ780ナノメートルまで堆積させた。リフトオフプロセスを行って、残りのフォトレジストを除去して、パターン基板を得た。マスクパターンはmストライプの領域を含み、線状開口部の配向は<10-10>に対してほぼ平行であった。このパターン基板を13.4%開口バッフル、多結晶GaN強化剤、NH4F鉱化剤およびアンモニアと共に銀カプセル内に配置し、カプセルを密封した。GaN強化剤およびNH4F鉱化剤のアンモニアに対する重量比は、それぞれほぼ2.99および0.088であった。このカプセルを内部加熱された高圧装置内に配置し、上側の強化剤ゾーンはほぼ654°Cの温度まで加熱し、下側の結晶成長ゾーンはほぼ677°Cの温度まで加熱し、それぞれの温度でほぼ230時間維持した後、冷却および除去を行った。HVPEGaN基板上のパターンマスクの線状開口部を通してアモノサーマルGaNを成長させ、横方向に成長させ、完全接合し、厚さがほぼ340マイクロメートルで上面が平滑なアモノサーマルGaN層が形成された。アモノサーマルGaN層の表面を光エッチングし、光学顕微鏡によって調査した。
【0071】
アモノサーマルGaN層の窓領域はエッチピット密度がほぼ1.2×106cm-2であり、マスク領域はエッチピット密度が1×103cm-2を下回り、全体エッチピット密度はほぼ1×105cm-2であった。接合面は、ほぼ線状のアレイの貫通転位(エッチピット)として確認され、線密度はほぼ2000cm-1であった。
【0072】
c面配向バルクGaN結晶をHVPEによって厚さほぼ0.3ミリメートルまで成長させ、パターニング用基板として用いた。nLOF2020をフォトレジストとして用いて、20マイクロメートル幅×基板の幅の大きさの線状アレイを含むパターンをピッチ直径1020マイクロメートルで画成した。厚さ100ナノメートルのTiW層を接着層として堆積させ、その後Auを含む不活性層を厚さ780ナノメートルまで堆積させた。リフトオフプロセスを行い、残りのフォトレジストを除去して、パターン基板を得た。マスクパターンはmストライプの領域を含み、線状開口部の配向は<10-10>に対してほぼ平行であった。このパターン基板を13.4%開口バッフル、多結晶GaN強化剤、NH4F鉱化剤およびアンモニアと共に銀カプセル内に配置し、カプセルを密封した。GaN強化剤およびNH4F鉱化剤のアンモニアに対する重量比は、それぞれほぼ2.48および0.090であった。このカプセルを内部加熱された高圧装置内に配置し、上側の強化剤ゾーンはほぼ656°Cの温度まで加熱し、下側の結晶成長ゾーンはほぼ689°Cの温度まで加熱し、それぞれの温度でほぼ138時間維持した後、冷却および除去を行った。HVPEGaN基板上のパターンマスクの線状開口部を通してアモノサーマルGaNを成長させ、横方向に成長させ、完全接合し、厚さがほぼ160マイクロメートルで上面が平滑なアモノサーマルGaN層が形成された。アモノサーマルGaN層の表面を光エッチングし、光学顕微鏡によって調査した。アモノサーマルGaN層の窓領域はエッチピット密度がほぼ1.5×106cm-2であり、マスク領域はエッチピット密度がほぼ1×104cm-2未満であり、接合面は、ほぼ線状のアレイの貫通転位(エッチピット)として確認され、線密度はほぼ1.8×103cm-1であった。
【0073】
その後、横方向に成長したアモノサーマル層を13.4%開口バッフル、多結晶GaN強化剤、NH4F鉱化剤およびアンモニアと共に別の銀カプセル内に配置し、カプセルを密封した。GaN強化剤およびNH4F鉱化剤のアンモニアに対する重量比は、それぞれほぼ2.18および0.090であった。このカプセルを内部加熱された高圧装置内に配置し、上側の強化剤ゾーンはほぼ648°Cの温度まで加熱し、下側の結晶成長ゾーンはほぼ685°Cの温度まで加熱し、それぞれの温度でほぼ110時間維持した後、冷却および除去を行った。横方向に成長した第1のアモノサーマルGaN層上にアモノサーマルGaNを成長させて、層厚さをほぼ350マイクロメートルまで成長させ、平滑な上面とした。アモノサーマルGaN層の表面を光エッチングし、光学顕微鏡によって調査した。アモノサーマルGaN層の窓領域はエッチピット密度がほぼ1.5×106cm-2であり、マスク領域はエッチピット密度がほぼ1×104cm-2未満であり、接合面は、ほぼ線状のアレイの貫通転位(エッチピット)として確認され、線密度はほぼ1.5×103cm-1であった。再成長後の転位密度および転位のパターン構造は、最初のアモノサーマル横方向成長プロセス後の値とほぼ同じであった。
【0074】
図13は、高品質のIII族金属窒化物結晶の作製方法を示すフローチャートである。
【0075】
特定の実施形態において、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶を形成する方法は、以下を含む。すなわち、基板を提供すること(工程1310を参照)と、少なくとも1つのパターンマスク層を基板上に堆積させてパターン基板を形成し、その場合、マスク層は、接着層、拡散バリア層および不活性層のうちの1つ以上を含み、Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir、Ni、Cr、V、TiまたはTaのうちの1つ以上を含み、厚さは約10ナノメートル~約100マイクロメートルであり、開口部の一次元アレイまたは二次元アレイのパターンの開口部寸法は約1マイクロメートル~約5ミリメートルであり、ピッチ寸法は約5マイクロメートル~約20ミリメートルとすること(工程1320を参照)と、密封可能なコンテナ内にこのパターン基板をIII族金属源、1つの鉱化剤組成および窒素含有溶媒と共に配置すること(工程1330を参照)と、1つ以上の接合面を有するアモノサーマルIII族金属窒化物層をパターン基板上に形成し、その際、密封可能なコンテナを少なくとも約400°Cの温度まで加熱し、約100MPaを超える圧力まで加圧すること(工程1340を参照)である。
【0076】
さらなる実施形態は、その作製方法および利用方法を含む。以下の実施形態のうちの任意のものを多様な改変例で実施することができる。
【0077】
特定の方法において、基板は、単結晶III族金属窒化物、ガリウム含有窒化物または窒化ガリウムを含む。
【0078】
特定の方法において、マスク層は、Ti、TiN、TiNy、TiSi2、Ta、TaN、Al、Ge、AlxGey、Cu、Si、Cr、V、Ni、W、TiWx、TiWxNy、TiWx、TiNy、WNy、TaNy、TiWxNy、TiWxSizNy、TiC、TiCN、Pd、RhまたはCrのうちの1つ以上を含む厚さ約1ナノメートル~約10マイクロメートルの接着層および拡散バリア層のうちの1つ以上を含み、さらに、Ag、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir、Ni、Cr、V、TiまたはTaのうちの1つ以上を含み厚さが約10ナノメートル~約100マイクロメートルである不活性層も含む。
【0079】
特定の方法において、本方法はさらに、ソーイング、ラップ仕上げ、研削、研磨、化学機械研磨またはエッチングのうちの1つ以上をアモノサーマルIII族金属窒化物層に対して行うことを含む。
【0080】
特定の方法において、本方法はさらに、アモノサーマルIII族金属窒化物層上に第2のパターンマスクを堆積させることと、パターンアモノサーマルIII族金属窒化物層上に第2のアモノサーマル結晶成長プロセスを行うことを含む。
【0081】
特定の方法において、本方法はさらに、アモノサーマルIII族金属窒化物層から基板を除去して自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールを形成することを含む。
【0082】
特定の方法において、本方法はさらに、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールを円筒形状に研削し、任意選択的にスライシングを行って、1つ以上の自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハを形成することと、ラップ仕上げ、研削、研磨、エッチング、電気化学的研磨、光電気化学研磨、反応性イオンエッチングおよび化学機械研磨のうちの1つ以上を少なくとも1つの自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハに対して行うことを含む。
【0083】
特定の実施形態では、本開示に記載の方法によって作製された自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブールまたは結晶またはウェーハは、さらなるバルク結晶成長のための種晶として用いることができる。
【0084】
特定の実施形態において、さらなるバルク結晶成長はアモノサーマル結晶成長を含む。特定の実施形態において、さらなるバルク結晶成長はハイドライド気相成長を含む。
【0085】
特定の実施形態において、自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハは、半導体構体に組み込むことができる。半導体構体は、少なくとも1つのAlxInyGa(1-x-y)Nエピタキシャル層を含み、0≦x、y、x+y≦1である。
【0086】
特定の実施形態において、半導体構体は、電子デバイスまたは光電子デバイスに組み込むことができる。電子デバイスまたは光電子デバイスは、以下から選択される。すなわち、発光ダイオード、レーザダイオード、光検出器、アバランシェフォトダイオード、光電池、太陽電池、光電気化学水分解用セル、トランジスタ、整流器およびサイリスタであり、また、トランジスタ、整流器、ショットキー整流器、サイリスタ、PINダイオード、金属・半導体・金属ダイオード、高電子移動度トランジスタ、金属半導体電界効果トランジスタ、金属酸化膜電界効果トランジスタ、金属酸化膜半導体電界効果パワートランジスタ、金属絶縁膜半導体電界効果パワートランジスタ、バイポーラ接合トランジスタ、金属絶縁膜電界効果トランジスタ、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ、絶縁ゲートバイポーラパワートランジスタ、垂直接合型電界効果パワートランジスタ、カスコードスイッチ、インナサブバンドエミッタ、量子井戸赤外光検出器、量子ドット赤外光検出器、および上記のうちのいずれかの組合せのうちの1つである。
【0087】
特定の実施形態において、光電子デバイスは照明器具に組み込まれる。
【0088】
特定の実施形態において、本方法はさらに、接合面を実質的に含まない領域上に少なくともp型電極を配置することを含む。
【0089】
図14は、高品質のIII族金属窒化物結晶を作製する方法を示すフローチャートである。
図14に示す自立のアモノサーマルIII族金属窒化物結晶の形成方法は、以下を含む。すなわち、表面を有する種を用意すること(工程1410を参照)と、種表面をマスキング材料でパターニングすること(工程1420を参照)と、アモノサーマルプロセスを用いたGaN蒸着用チャンバ内にパターン種表面を配置すること(工程1430を参照)と、種表面上にアモノサーマルGaNを成長させること(工程1440を参照)である。その際、マスキング材料は、アモノサーマルプロセス条件に耐えるものを選択し、アモノサーマルGaNの欠陥密度は種表面よりも低い。
【0090】
上記に加えて、本開示に記載の方法に有用な方法およびプロセスについて、米国特許第7,976,630号および米国特許第8,097,081号に開示がある。後者には、内部加熱された適切な高圧装置についての記載がある。また、米国特許第8,430,958号には、適切な種ラックの例が開示されている。米国特許第14/013,753号には、III族金属窒化物結晶の一定範囲の結晶面へ欠陥選択性エッチングプロセスを適用することが開示されている。米国特許第6,656,615号および米国特許第7,078,731号ならびに米国特許出願第13/472,356号には、アモノサーマル結晶成長のための適切な熱サイクルが開示されている。これらの各文献全体を引用によって本願に取り込む。
【0091】
これまで特定の実施形態を詳述してきたが、多様な改変例、別の構成および均等物が利用可能である。よって、これまでの記載および例示は、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきでない。本開示内容の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【符号の説明】
【0092】
101 基板
102 大面積表面
103 フォトレジスト層
111 パターンマスク層
219 接合面
413 自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ブール
431 自立のアモノサーマルIII族金属窒化物ウェーハ