IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 星和電機株式会社の特許一覧

特許7607011情報処理装置、コンピュータプログラム、撮像システム及び情報処理方法
<>
  • 特許-情報処理装置、コンピュータプログラム、撮像システム及び情報処理方法 図1
  • 特許-情報処理装置、コンピュータプログラム、撮像システム及び情報処理方法 図2
  • 特許-情報処理装置、コンピュータプログラム、撮像システム及び情報処理方法 図3
  • 特許-情報処理装置、コンピュータプログラム、撮像システム及び情報処理方法 図4
  • 特許-情報処理装置、コンピュータプログラム、撮像システム及び情報処理方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、コンピュータプログラム、撮像システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/74 20230101AFI20241219BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20241219BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20241219BHJP
【FI】
H04N23/74
G06T7/60 110
H04N23/56
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022159537
(22)【出願日】2022-10-03
(65)【公開番号】P2024053338
(43)【公開日】2024-04-15
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000195029
【氏名又は名称】星和電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】明瀬 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】櫨 大輝
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-021491(JP,A)
【文献】国際公開第2022/201785(WO,A1)
【文献】特開2022-012173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
G06T 7/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備え、
前記制御部は、
対象物を撮像装置で撮影して得られた画像データを取得し、
取得した画像データに基づいて特徴点を抽出し、
抽出した特徴点の特徴点数に基づいて前記対象物に照射する光量の調整量を決定
さらに、特徴点の目標値と抽出した特徴点の特徴点数との差分と、隣同士の数値の間隔が順番に増加又は減少する数列を前記目標値に乗算して得られた閾値列それぞれとを比較して光量の調整量を決定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
特徴点の目標値と抽出した特徴点の特徴点数との差分に基づいて光量の調整量を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記差分が正の場合、光量を増加させるように調整量を決定し、
前記差分が負の場合、光量を減少させるように調整量を決定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記差分の絶対値が大きいほど、調整量を大きくし、
前記差分の絶対値が小さいほど、調整量を小さくする、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
特徴点の目標値の設定を受け付ける、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
撮影画像の全体又は一部のエリア内の特徴点を抽出する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
決定した調整量に基づく調光信号を出力する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータに、
対象物を撮像装置で撮影して得られた画像データを取得し、
取得した画像データに基づいて特徴点を抽出し、
抽出した特徴点の特徴点数に基づいて前記対象物に照射する光量の調整量を決定
さらに、特徴点の目標値と抽出した特徴点の特徴点数との差分と、隣同士の数値の間隔が順番に増加又は減少する数列を前記目標値に乗算して得られた閾値列それぞれとを比較して光量の調整量を決定する、
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項9】
撮像装置と、
光源と、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置が決定した光量の調整量に基づく調光信号に応じて前記光源の光量を調整する調光ユニットと
を備える、
撮像システム。
【請求項10】
対象物を撮像装置で撮影して得られた画像データを取得し、
取得した画像データに基づいて特徴点を抽出し、
抽出した特徴点の特徴点数に基づいて前記対象物に照射する光量の調整量を決定
さらに、特徴点の目標値と抽出した特徴点の特徴点数との差分と、隣同士の数値の間隔が順番に増加又は減少する数列を前記目標値に乗算して得られた閾値列それぞれとを比較して光量の調整量を決定する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、コンピュータプログラム、撮像システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外部を連続的に撮影して複数フレームの撮影画像を生成し、ハリスコーナー検出法等を用いてフレームから物体の特徴点を抽出し、フレーム間の特徴点を照合することで物体を追従するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-45405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
抽出する特徴点が不足すると物体の認識や判定の精度が低下する。例えば、抽出した特徴点で構成されるデータ群を機械学習した学習モデルに入力して物体の認識や判断を行う際に誤認識や誤判定が生じ、あるいはVSLAM(Visual Simultaneous Localization and Mapping:自己位置推定)における自己推定位置の誤りなどの原因となる。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、物体の認識や判定、自己位置の推定に必要な特徴点を抽出できる情報処理装置、コンピュータプログラム、撮像システム及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、情報処理装置は、制御部を備え、前記制御部は、対象物を撮像装置で撮影して得られた画像データを取得し、取得した画像データに基づいて特徴点を抽出し、抽出した特徴点の特徴点数に基づいて前記対象物に照射する光量の調整量を決定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、物体の認識や判定、自己位置の推定に必要な特徴点を抽出できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の撮像システムの構成の一例を示す図である。
図2】撮影画像上の特徴点の一例を示す図である。
図3】本実施形態の収束型フィードバック制御の一例を示す図である。
図4】特徴点数を用いた光量の調整の一例を示す図である。
図5】情報処理装置による処理手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施形態の撮像システムの構成の一例を示す図である。撮像システムは、情報処理装置50、撮像装置としてのカメラ10、光源20、及び調光ユニット30を備える。カメラ10は、例えば、可視光帯域の光を受光できる受光素子を備える。カメラ10は、所定のフレームレートで対象物を撮影し、撮影して得られた画像データ(複数のフレームの画像データ)を情報処理装置50へ出力する。光源20は、例えば、白色LED光源であり、カメラ10の撮影方向に向かって対象物などに光を照射できる。調光ユニット30は、情報処理装置50が出力する調光信号に基づいて、光源20の光量を調整する。
【0010】
情報処理装置50は、装置全体を制御する制御部51、インタフェース部52、通信部53、メモリ54、表示パネル55、操作部56、及び記憶部57を備える。情報処理装置50は、例えば、パーソナルコンピュータで構成できる。情報処理装置50の機能を分散させて複数の情報処理装置で構成してもよい。
【0011】
制御部51は、IC(Integrated Circuit)チップ、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等が所要数組み込まれて構成されてもよい。また、制御部51は、DSP(Digital Signal Processors)、FPGA(Field-Programmable Gate Arrays)等を組み合わせて構成してもよい。
【0012】
インタフェース部52は、カメラ10、及び調光ユニット30との間のインタフェース機能を有する。インタフェース部52は、カメラ10から画像データを取得する。また、インタフェース部52は、調光信号を調光ユニット30へ出力する。
【0013】
通信部53は、通信モジュールを備え、外部の装置との間で通信を行う機能を有する。
【0014】
記憶部57は、例えば、ハードディスク又は半導体メモリ等で構成することができ、コンピュータプログラム60(プログラム製品)、及び所要の情報(例えば、情報処理装置50による処理途中のデータや処理結果など)を記憶する。
【0015】
コンピュータプログラム60は、通信部53を介して外部の装置からダウンロードして記憶部57に記憶してもよい。また、記録媒体(例えば、CD-ROM等の光学可読ディスク記憶媒体)に記録されたコンピュータプログラム60を記録媒体読取部で読み取って記憶部57に記憶してもよい。コンピュータプログラム60は、単一のコンピュータ上で、または通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0016】
メモリ54は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリで構成することができる。コンピュータプログラム60をメモリ54に展開して、制御部51がコンピュータプログラム60を実行することができる。制御部51は、コンピュータプログラム60で定められた処理を実行することができる。すなわち、制御部51による処理は、コンピュータプログラム60による処理でもある。
【0017】
表示パネル55は、液晶パネル又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成することができる。
【0018】
操作部56は、例えば、ハードウェアキーボード、マウスなどで構成され、表示パネル55に表示されたアイコンなどの操作、カーソルの移動や操作、文字等の入力などを行うことができる。操作部56は、タッチパネルで構成してもよい。なお、表示パネル55に代えて表示装置を、操作部56に代えて入力装置をそれぞれ情報処理装置50とは別に外部の装置として情報処理装置50に接続する構成でもよい。
【0019】
制御部51は、インタフェース部52を介して取得した画像データに基づいて特徴点を抽出する。特徴点の抽出は、例えば、ハリスコーナー検出器(Harris Corner Detector)などの手法を用いることができる。ハリスコーナー検出は、物体などの対象物の角や交点を特徴点として抽出できる。また、制御部51は、抽出した特徴点に関する特徴点情報を、インタフェース部52又は通信部53を介して、外部の装置へ出力することができる。当該外部の装置は、例えば、対象物の認識や判定を行うための機械学習された学習モデルや、VSLAM(Visual Simultaneous Localization and Mapping:自己位置推定)を備える装置である。
【0020】
制御部51は、抽出した特徴点の数(特徴点数)を計数する。
【0021】
図2は撮影画像上の特徴点の一例を示す図である。図2は撮影画像(1フレームの画像データ)上で抽出される特徴点を模式的に図示している。図2では便宜上、対象物は図示していない。制御部51は撮影画像における特徴点を抽出し、抽出した特徴点数を計数する。図2Aは撮影画像全体で抽出された特徴点を示し、図2Bは撮影画像の一部、例えば、所定領域S内で抽出された特徴点を示す。所定領域Sは、対象物を認識又は判定する際に必要な領域であって、抽出可能な特徴点数が比較的少ない領域とすることができる。制御部51は、対象物を撮影する際に所定領域Sをリアルタイムで変更してもよい。具体的には、制御部51は、撮影画像全体で抽出した特徴点の単位領域当たりの特徴点数を計数し、特徴点の密度が小さい領域を纏めて所定領域Sを設定できる。所定領域Sの形状は矩形状に限定されるものではなく、複数の矩形が集まったような多角形でもよい。
【0022】
すなわち、制御部51は、撮影画像の全体又は一部の所定領域S(エリア)内の特徴点を抽出してもよい。
【0023】
制御部51は、抽出した特徴点の特徴点数に基づいて対象物に照射する光量(カメラ10の光量)の調整量を決定する。これにより、物体の認識や判定、自己位置の推定に必要な特徴点を抽出できる。例えば、リアルタイムに撮影して得られた画像データに基づいて抽出した特徴点の数が不足している場合、機械学習された学習モデルが対象物の認識や判定を正常に行うことができ、あるいはVSLAMが自己位置推定を正常に行うことができる特徴点の数を抽出できるまでカメラ10の光量を増加させることができる。逆に、学習モデルやVSLAMの精度が確保できている場合には、余分な光量を減少させることで電力消費を抑制できる。なお、特徴点の抽出と光量の調整は、所定の処理ルーチンを使って繰り返し行われる。処理ルーチンは、例えば、処理時間が約15msの間隔で繰り返されるが、処理時間はこれに限定されない。以下、カメラ10の光量の調整量の決定方法について具体的に説明する。
【0024】
撮影画像の画像解像度の大きさに応じて特徴点の抽出量が変化する。そこで、最大特徴点数Maxと最小特徴点数Minを設定する。最大特徴点数Maxは、例えば、撮影画像の縦解像度×横解像度÷所定数で設定できる。所定数は、例えば、2~4程度の整数とすることができる。1280×800ピクセルの解像度においては、最大特徴点数Max=300としてよい。なお、最大特徴点数Maxの決定方法はこれに限定されない。最小特徴点数Minは0としてよい。特徴点を全く抽出できない状態を検知できるからである。
【0025】
学習モデルやVSLAMが、例えば、必要十分な精度を維持できる特徴点数を目標特徴点数Tとする。例えば、最大特徴点数Max=300の場合、目標特徴点数T=250程度とすることができるが、これに限定されない。
【0026】
リアルタイムに撮影して得られた画像データに基づいて抽出した特徴点の数を抽出特徴点数Lとする。制御部51は、目標特徴点数T(目標値)と抽出特徴点数L(特徴点数)との差分M(=T-L)に基づいて光量の調整量を決定することができる。
【0027】
例えば、制御部51は、差分Mが正(T-L>0)の場合、カメラ10の光量を増加させるように調整量を決定することができる。これにより、抽出した特徴点の数が目標特徴点数Tに対して不足している場合には、カメラ10の光量が増加するように調整されるので、抽出する特徴点の数を目標特徴点数Tに近づけるとともに、目標特徴点数Tを超えるようにできる。これにより、学習モデルやVSLAMの精度を必要十分な精度に維持できる。
【0028】
また、制御部51は、差分Mが負(T-L<0)の場合、カメラ10の光量を減少させるように調整量を決定することができる。これにより、抽出する特徴点の数が減少するが、学習モデルやVSLAMの精度を必要十分な精度に維持しつつ、光量減少による省電力が可能となる。
【0029】
さらに、制御部51は、差分Mの絶対値|M|が大きいほど、カメラ10の光量の調整量を大きくし、差分Mの絶対値|M|が小さいほど、光量の調整量を小さくしてもよい。例えば、差分M(=T-L)の正の場合、差分Mが大きいほど、カメラ10の光量の増加量を多くし、差分Mが小さくなるほど光量の増加量を少なくするので、抽出特徴点数Lを素早く目標特徴点数T(目標値)に近づけるとともに、抽出特徴点数Lが目標特徴点数T(目標値)に近づいた場合には、抽出特徴点数Lを徐々に目標特徴点数T(目標値)に近づけることができる。これにより、抽出特徴点数Lを目標特徴点数T(目標値)に迅速に収束させるとともに、オーバーシュートのような変動を抑制できる。
【0030】
上述のように、制御部51は、光量の増減アルゴリズムとして、差分Mの絶対量が調光の変位量を決定するような収束型フィードバック制御を用いることができる。
【0031】
図3は本実施形態の収束型フィードバック制御の一例を示す図である。図3では5つのケース1~5を例示する。図3Aにおいて、縦軸は特徴点数を示す。特徴点数の目標値をTとし、特徴点数の閾値をT1、T2、T3、T4、T5とする。目標値と閾値との間には、(T5-T4)>(T4-T3)>(T3-T2)>(T2-T1)>(T1-T)という関係があり、閾値が目標値Tから離れるほど、隣り合う閾値同士の差は大きい。すなわち、閾値列(T1~T5)は、隣同士の数値の間隔が順番に増加又は減少する数列を目標値Tに乗算して得ることができる。例えば、数列を、0.6、0.3、0.1、0.01、0.005とし、T1=0.6×T、T2=0.3×T、T3=0.1×T、T4=0.01×T、T5=0.005×Tの如く求めることができる。なお、数列は一例であって、これに限定されない。例えば、フィボナッチ数列などを用いてもよい。
【0032】
例えば、目標値T=250とし、フィボナッチ数列から取り出した数列を、例えば、0.618、0.382、0.236、0.09、0.002とすると、閾値列は、T1=155、T2=95、T3=59、T4=23、T5=5の如くになる。
【0033】
ケース1、2、3、4、5それぞれの抽出特徴点数LをL1、L2、L3、L4、L5とする。抽出特徴点数L1は閾値T5とT4との間にあり、抽出特徴点数L2は閾値T4とT3との間にあり、抽出特徴点数L3は閾値T3とT2との間にあり、抽出特徴点数L4は閾値T2とT1との間にあり、抽出特徴点数L5は閾値T1と目標値Tとの間にあるとする。ケース1、2、3、4、5それぞれの差分をM1、M2、M3、M4、M5(いずれも正)とする。差分M1=(T-L1)であり、差分M2=(T-L2)であり、差分M3=(T-L3)であり、差分M4=(T-L4)であり、差分M5=(T-L5)である。
【0034】
図3Bにおいて、縦軸は光量の増加量を示す。ケース1、2、3、4、5それぞれの光量の増加量をP1、P2、P3、P4、P5とする。光量の増加量の間には、P1>P2>P3>P4>P5という関係がある。図3A及び図3Bのそれぞれのケース1~5から分かるように、特徴点数の差分(M1~M5)が大きいほど、カメラ10の光量の増加量(P1~P5)を多くし、差分(M1~M5)が小さくなるほど光量の増加量(P1~P5)を少なくしている。
【0035】
上述のように、制御部51は、特徴点数の目標値と抽出した特徴点の特徴点数との差分と、隣同士の数値の間隔が順番に増加又は減少する数列を目標値に乗算して得られた閾値列それぞれとを比較して光量の調整量を決定してもよい。これにより、抽出特徴点数Lを目標特徴点数T(目標値)に迅速に収束させるとともに、オーバーシュートのような変動を抑制できる。
【0036】
また、隣り合う増加量について、(P1-P2)>(P2-P3)>(P3-P4)>(P4-P5)という関係が成立するようにしてもよい。すなわち、光量の増加量列(P1~P5)は、隣同士の数値の間隔が順番に増加又は減少する数列を最大増加量Pに乗算して得ることができる。例えば、数列を、0.6、0.3、0.1、0.01、0.005とし、P1=0.6×P、P2=0.3×P、P3=0.1×P、P4=0.01×P、P5=0.005×Pの如く求めることができる。なお、数列は一例であって、これに限定されない。例えば、フィボナッチ数列などを用いてもよい。
【0037】
例えば、最大増加量P=1000000とし、フィボナッチ数列から取り出した数列を用いて、P1=55000、P2=34000、P3=13000、P4=8000、P5=5000の如くにしてもよい。これにより、抽出特徴点数Lが目標特徴点数T(目標値)に迅速に収束するように光量を制御できる。
【0038】
制御部51は、操作部56で特徴点数の目標値の設定を受け付けてもよい。この場合、表示パネル55に、目標値の複数の推奨候補を選択可能に表示し、所望の目標値の選択を受け付けてもよい。これにより、対象物の種類や対象物の検出用途に応じて、必要十分な特徴点を抽出するように調整できる。
【0039】
制御部51は、インタフェース部52を介して、決定した調整量に基づく調光信号を調光ユニット30へ出力する。調光信号は、例えば、PWM信号を用いてもよい。最大増加量Pに対して、デューティ比を100%として、調整量に応じてデューティ比を変更すればよい。
【0040】
図4は特徴点数を用いた光量の調整の一例を示す図である。図4において縦軸は特徴点数及び光量を示し、横軸は時間を示す。所定の処理ルーチンを使って、例えば、15ms毎に特徴点を抽出し、抽出した特徴点数が目標値を超えている、あるいは目標値を中心とする所定範囲内にあるかを判定する。特徴点数が目標値を超えている場合、あるいは所定範囲内にある場合には、現在の光量を維持する。なお、図示していないが、抽出した特徴点の特徴点数が目標値よりもさらに多い場合には、光量を減少させてもよい。
【0041】
ある時点で、特徴点数が目標値を下回った場合には、目標値と特徴点数との差分に応じて光量を増加させる。これにより、特徴点数が必要十分な数を下回った場合でも、迅速に目標値に到達又は目標値を超えるようにすることができ、学習モデルやVSLAMの精度を必要十分な精度に維持できる。
【0042】
図5は情報処理装置50による処理手順の一例を示す図である。便宜上処理の主体を制御部51として説明する。制御部51は、カメラ10から画像データを取得し(S11)、取得した画像データに対して特徴点抽出アルゴリズム(例えば、ハリスコーナー検出法など)を用いて特徴点を抽出する(S12)。制御部51は、特徴点数の目標値Tと、抽出した特徴点の数である特徴点数Lとの差分Mを算出する(S13)。
【0043】
制御部51は、差分Mは正又は負のいずれであるかを判定する(S14)。差分Mが正の場合(S14で正)、制御部51は、差分Mが閾値列のどの閾値ペアの間にあるかを判定し(S15)、閾値ペアの値に応じてカメラ10の光量の増加量を決定する(S16)。制御部51は、後述のステップS17の処理を行う。
【0044】
差分Mが負の場合(S14で負)、制御部51は、差分Mが閾値列のどの閾値ペアの間にあるかを判定し(S18)、閾値ペアの値に応じてカメラ10の光量の減少量を決定する(S19)。制御部51は、決定した増加量又は減少量に応じた調光信号を出力し(S17)、処理を終了するか否かを判定する(S20)。
【0045】
制御部51は、処理を終了するか否かを判定し(S20)、処理を終了しない場合(S20でNO)、特徴点抽出のタイミングであるか否かを判定する(S21)。特徴点抽出のタイミングでない場合(S21でNO)、制御部51は、ステップS21の処理を続ける。特徴点抽出のタイミングである場合(S21でYES)、制御部51は、ステップS11以降の処理を繰り返す。処理を終了する場合(S20でYES)、制御部51は、処理を終了する。
【0046】
上述のように、本実施形態によれば、光量が不十分な場合に、カメラから取得した画像データに基づいて抽出した特徴点の数(特徴点数)の不足を補うため、抽出する特徴点の数が機械学習された学習モデル(人工知能)による物体の認識や判定、あるいはVSLAMの自己位置推定がエラー(精度が不十分)にならないようにカメラ10の光量を増加させるので、学習モデルやVSLAMの精度を維持できる。
【0047】
(付記1)情報処理装置は、制御部を備え、前記制御部は、対象物を撮像装置で撮影して得られた画像データを取得し、取得した画像データに基づいて特徴点を抽出し、抽出した特徴点の特徴点数に基づいて前記対象物に照射する光量の調整量を決定する。
【0048】
(付記2)情報処理装置は、付記1において、前記制御部は、特徴点の目標値と抽出した特徴点の特徴点数との差分に基づいて光量の調整量を決定する。
【0049】
(付記3)情報処理装置は、付記2において、前記制御部は、前記差分が正の場合、光量を増加させるように調整量を決定し、前記差分が負の場合、光量を減少させるように調整量を決定する。
【0050】
(付記4)情報処理装置は、付記2又は付記3において、前記制御部は、前記差分の絶対値が大きいほど、調整量を大きくし、前記差分の絶対値が小さいほど、調整量を小さくする。
【0051】
(付記5)情報処理装置は、付記1から付記4のいずれか一つにおいて、前記制御部は、特徴点の目標値と抽出した特徴点の特徴点数との差分と、隣同士の数値の間隔が順番に増加又は減少する数列を前記目標値に乗算して得られた閾値列それぞれとを比較して光量の調整量を決定する。
【0052】
(付記6)情報処理装置は、付記1から付記5のいずれか一つにおいて、前記制御部は、特徴点の目標値の設定を受け付ける。
【0053】
(付記7)情報処理装置は、付記1から付記6のいずれか一つにおいて、前記制御部は、撮影画像の全体又は一部のエリア内の特徴点を抽出する。
【0054】
(付記8)情報処理装置は、付記1から付記7のいずれか一つにおいて、前記制御部は、決定した調整量に基づく調光信号を出力する。
【0055】
(付記9)コンピュータプログラムは、コンピュータに、対象物を撮像装置で撮影して得られた画像データを取得し、取得した画像データに基づいて特徴点を抽出し、抽出した特徴点の特徴点数に基づいて前記対象物に照射する光量の調整量を決定する、処理を実行させる。
【0056】
(付記10)撮像システムは、撮像装置と、光源と、前述の情報処理装置と、前記情報処理装置が決定した光量の調整量に基づく調光信号に応じて前記光源の光量を調整する調光ユニットとを備える。
【0057】
(付記11)情報処理方法は、対象物を撮像装置で撮影して得られた画像データを取得し、取得した画像データに基づいて特徴点を抽出し、抽出した特徴点の特徴点数に基づいて前記対象物に照射する光量の調整量を決定する。
【0058】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 カメラ
20 光源
30 調光ユニット
50 情報処理装置
51 制御部
52 インタフェース部
53 通信部
54 メモリ
55 表示パネル
56 操作部
57 記憶部
60 コンピュータプログラム
図1
図2
図3
図4
図5