(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】IPベースのTDMAネットワーク上におけるマルチキャスト通信用のスマートブロードキャスト用のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04W 52/02 20090101AFI20241219BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20241219BHJP
H04W 40/02 20090101ALI20241219BHJP
H04W 28/04 20090101ALI20241219BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20241219BHJP
【FI】
H04W52/02
H04W84/10 110
H04W40/02
H04W28/04 110
H04W84/18
(21)【出願番号】P 2022506281
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 US2020044318
(87)【国際公開番号】W WO2021022077
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-06-19
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516298445
【氏名又は名称】サフラン パッセンジャー イノベーションズ, エルエルシー
【住所又は居所原語表記】3151 East Imperial Highway,Brea,California 92821,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】バタチャルジー、サスミット
(72)【発明者】
【氏名】ルメール、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ラシード、ティンク
【審査官】篠田 享佑
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0251469(US,A1)
【文献】Lorente, Lemmens, Garlier, Braken, Steenhaut,BMRF: Bidirectional Multicast RPL Forwarding,Ad Hoc Networks,Volume 54,2017年01月,69-84ページ,https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1570870516302815/pdfft?md5=114b2ba6e6a0b2f2c460c3e48607a0a9&pid=1-s2.0-S1570870516302815-main.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4、6
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラムであって、前記プログラムがルータの1つまたは複数のプロセッサによって実行された時、IPネットワーク上のマルチキャスト通信用に以下の動作を実行し、前記ルータの役割は、ネットワークトポロジの一部である任意のモートによって引き受けられることが可能であり、前記動作は、
モートにてパケットを受信する工程と、
リンク層ブロードキャスト送信を用いて前記パケットを1または複数の受信者に送信する工程と、
前記1または複数の受信者に対する前記パケットの送信の総数がプリセットされた整数に等しくなるまで、前記リンク層ブロードキャスト送信を用いて前記パケットを前記1または複数の受信者に再送する工程であって、前記1または複数の受信者の各々は、前記パケットが受信されることが可能である1組のタイムスロットを有する、工程と、
前記1または複数の受信者のうち、送信された前記パケットを前記リンク層ブロードキャスト送信を用いて受信した1の受信者による前記パケットの受信の際、その受信者用に、前記パケットの再送を受信するための残りのタイムスロットの各々をスリープモードにスケジューリングする工程と、を備える、プログラム。
【請求項2】
前記動作は、
マルチキャストグループのマルチキャストグループアドレスを有する受信された前記パケットのオリジンが前記モートの好ましい親であるかを決定する工程と、
前記オリジンが前記好ましい親である場合、前記
モートが、前記マルチキャストグループアドレスが前記
モートのルーティングテーブルに掲載されているかを照合する工程と、
前記マルチキャストグループアドレスが前記ルーティングテーブルに掲載されている場合にだけ、前記
モートが、子の数に応じてリンク層ユニキャスト送信または前記リンク層ブロードキャスト送信を用いて、前記パケットを下りに転送する工程と、
前記マルチキャストグループアドレスが前記ルーティングテーブルに掲載されているかを決定した後、前記
モートが、前記モートが前記マルチキャストグループのメンバであるかを照合する工程と、
前記
モートが、前記モートが前記マルチキャストグループの前記メンバであると決定した場合、前記パケットを
受け入れる工程と、をさらに備える、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記動作は、
前記オリジンが前記好ましい親でない場合、前記
モートが、前記パケットが下から受信されたかを照合する工程と、
前記
モートが、前記パケットが下から受信されたと決定した場合、前記
モートが、前記マルチキャストグループアドレスが前記ルーティングテーブルに掲載されているかを決定する工程と、
前記
モートが、前記パケットが下から受信されなかったと決定した場合、前記パケットをドロップする工程と、
前記マルチキャストグループアドレスが前記ルーティングテーブルに掲載されている場合、前記
モートが、リンク層ユニキャスト送信を用いて前記パケットを下りに転送し、ただし、前記パケットがそこから受信された子には前記パケットを転送しない工程と、
前記
モートを用いて、前記モートがネットワークトポロジのルートであるかを決定する工程と、
前記モートが前記ネットワークトポロジの前記ルートである場合、前記モートが前記パケットのマルチキャストグループのメンバであるかを決定する工程と、
前記モートが前記ネットワークトポロジの前記ルートでない場合、前記パケットを前記好ましい親へと上りに転送する工程と、をさらに備える、請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記動作は、
前記モートが前記マルチキャストグループの前記メンバである場合、前記パケットを
受け入れ、前記モートが前記マルチキャストグループの前記メンバでない場合、前記パケットをドロップする、工程をさらに備える、請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記タイムスロットの数の所定の閾値のより大きい値は、前記パケットを受信する前記1または複数の受信者の各々のより大きい信頼性に相当する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記送信は、低電力ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク上にて行われる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記パケットの送信および受信は、時分割多元接続を利用する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
モート間のIPネットワーク上のマルチキャスト通信用に構成されているシステムであって、
1つまたは複数のコアを備えるプロセッサと、メモリと、を有する
第1のモートであって、
パケットを受信するように、またリンク層ブロードキャスト送信を用いて前記パケットを1または複数の受信者に送信するように構成されており、
前記1または複数の受信者に対する前記パケットの再送の総数がプリセットされた整数に等しくなるまで、前記リンク層ブロードキャスト送信を用いて前記パケットを前記1または複数の受信者に再送するようにさらに構成されている、
第1のモートと、
前記1または複数の受信者のうち、送信された前記パケットを前記リンク層ブロードキャスト送信を用いて受信した1の第2のモートであって、受信の際、前記パケットを前記第1のモートから受信するように構成されており、前記パケットの再送を受信するための任意の残りのタイムスロットをスリープモードにスケジューリングする、第2のモートと、を備える、システム。
【請求項9】
前記
第1のモートは、
マルチキャストグループのマルチキャストグループアドレスを有する受信された前記パケットのオリジンが前記第1のモートの好ましい親であるかを決定する工程と、
前記オリジンが前記好ましい親である場合、前記
第1のモートが、前記マルチキャストグループアドレスが前記
第1のモートのルーティングテーブルに掲載されているかを照合する工程と、
前記マルチキャストグループアドレスが前記ルーティングテーブルに掲載されている場合にだけ、前記
第1のモートが、子の数に応じてリンク層ユニキャスト送信または前記リンク層ブロードキャスト送信を用いて、前記パケットを下りに転送する工程と、
前記マルチキャストグループアドレスが前記ルーティングテーブルに掲載されているかを決定した後、前記
第1のモートが、前記第1のモートが前記マルチキャストグループのメンバであるかを照合する工程と、
前記
第1のモートが、前記第1のモートが前記マルチキャストグループの前記メンバであると決定した場合、前記パケットを
受け入れる工程と、を行うようにさらに構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記
第1のモートは、
前記オリジンが前記好ましい親でない場合、前記パケットが下から受信されたかを照合する工程と、
前記パケットが下から受信された場合、前記マルチキャストグループアドレスが前記ルーティングテーブルに掲載されているかを決定する工程と、
前記パケットが下から受信されなかった場合、前記パケットをドロップする工程と、
前記マルチキャストグループアドレスが前記ルーティングテーブルに掲載されている場合、前記リンク層ユニキャスト送信を用いて前記パケットを下りに送信し、ただし、前記パケットがそこから受信された子には前記パケットを転送しない工程と、
前記モートがネットワークトポロジのルートであるかを決定する工程と、
前記モートが前記ネットワークトポロジの前記ルートである場合、前記モートが前記パケットのマルチキャストグループのメンバであるかを決定する工程と、
前記モートが前記ネットワークトポロジの前記ルートでない場合、前記パケットを前記好ましい親へと上りに送信する工程と、を行うようにさらに構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記
第1のモートは、
前記モートが前記マルチキャストグループの前記メンバである場合、前記パケットを
受け入れ、前記モートが前記マルチキャストグループの前記メンバでない場合、前記パケットをドロップする、工程を行うようにさらに構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記タイムスロットの数の所定の閾値は4以上6以下である、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記送信は、低電力ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク上にて行われる、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記パケットの送信および受信は、時分割多元接続を利用する、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
モートを用いたIPネットワーク上のマルチキャスト通信用の方法であって、
モートにてパケットを受信する工程と、
リンク層ブロードキャスト送信を用いて前記パケットを1または複数の受信者に送信する工程と、
前記1または複数の受信者に対する前記パケットの送信の総数がプリセットされた整数に等しくなるまで、前記リンク層ブロードキャスト送信を用いて前記パケットを1または複数の受信者に再送する工程であって、前記1または複数の受信者の各々は、前記パケットが受信されることが可能である1組のタイムスロットを有する、工程と、
前記1または複数の受信者のうち、送信された前記パケットを前記リンク層ブロードキャスト送信を用いて受信した1の受信者による前記パケットの受信の際、その受信者用に、前記パケットの再送を受信するための残りのタイムスロットの各々をスリープモードにスケジューリングする工程と、を備える方法。
【請求項16】
前記タイムスロットの数の所定の閾値は4以上6以下である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記送信は、低電力ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク上にて行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記パケットの送信および受信は、時分割多元接続を利用する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、例えば、機内ワイヤレスセンサネットワーク、モノのインターネット、ホームオートメーション、および低電力デバイスに使用するためなどのマルチキャスト通信である。
【背景技術】
【0002】
以下の記載は、本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。本明細書において提供される情報のいずれも先行技術であるか本特許請求の範囲に記載の発明に関連する、または、特にもしくは暗に参照されるいずれの刊行物も先行技術である、と認められるものではない。
【0003】
現在、ワイヤレスセンサネットワーク(WSN)の新たな用途の需要が増加している。用途の1つの例示的なエリアは、特に航空機用の機内通信に関する。航空機システムがますます接続されるようになるにつれて、座席、電子機器、および他のコンポーネントの状態および正常性を決定するように、追加のセンサが航空機において利用されている。これらの増加する新たな用途の需要に伴い、すべてのIP通信を達成するように、したがって相互運用性を達成するように、WSNを、インターネットプロトコル(IP)アドレッシングにより、また特にインターネットプロトコルバージョン6(IPv6)および将来のプロトコルにより、インターネットに接続することが有用である。
【0004】
しかしながら、IEEE802.15.4を含む現在の標準は、元々マルチキャストをサポートしていない。代わりに、IPマルチキャストを達成するようにリンク層ユニキャスト送信またはリンク層ブロードキャスト送信を利用するアルゴリズムが開発されている。通信のユニキャストモードとブロードキャストモードとの間の主な違いの1つは、信頼性である。ユニキャスト送信の場合、パケットの送達が成功すると、送信者は宛先から肯定応答を受信する。しかしながら、ブロードキャスト通信はこの特徴を提供しない。
【0005】
リンク層ユニキャスト送信では、デュプリケートが各サブスクライバ用に生成され、すべてのサブスクライバに対し個々に送達される必要がある。これは時間とエネルギーとの両方を消費する。一方、リンク層ブロードキャスト送信では、パケットがすべてのサブスクライバに対し一度送り出され、デュプリケートは生成されない。したがって、リンク層ブロードキャスト送信は、リンク層ユニキャスト送信と比較して、特に複数サブスクライバの場合、エネルギーおよびエンドツーエンド遅延を節約する。しかしながら、ブロードキャスト通信には、信頼性の問題がある。
【0006】
例えば、関係するサブスクライバの数に基づいてリンク層ユニキャスト送信およびブロードキャスト送信を用いる双方向マルチキャストRPL転送(BMRF)が実装されている。BMRFのより詳細な記載は、2017年にアドホックネットワーク(Ad Hoc Networks)により出版されたロレンテ(Lorente)らによる「BMRF:双方向マルチキャストRPL転送(BMRF: Bidirectional Multicast RPL Forwarding)」と題された記事において見られる。
【0007】
BMRFでは、マルチキャストパケットがRPLツリーの上下両方に横断することが可能である。BMRFの一例が、
図1に示される。下記のエンハンスドステートレスマルチキャストRPL転送(ESMRF)とは異なり、マルチキャストパケットはルート(根)までのすべての経路を横断する必要がない。ネットワークにおけるすべてのモート(センサ)がトポロジを認識している。したがって、マルチキャスト送信元はネットワーク内のどこにあることも可能である。BMRFは、以前のアルゴリズムと比較して、エネルギー消費、無線送信、およびエンドツーエンド遅延の向上を示している。本旨は、関係する子の数とデューティサイクル比とに基づいて、リンク層におけるユニキャストとブロードキャストとから選ぶことである。
【0008】
BMRFは、自身の無線デューティサイクル(RDC)についてContikiMACアルゴリズムを用いるため、また自身の物理層およびメディアアクセス制御(MAC)層として搬送波感知多重アクセス(CSMA)を用いたIEEE802.15.4を有するため、不利である。CSMAは、一般に、非決定性である。BMRFはまた、リンク層ブロードキャストが用いられている場合にクリアチャネルを待機する時など、衝突を回避するために必要な追加の遅延を生じ得る。これに加えて、関係する子が少ない場合、帯域幅とエネルギーが浪費される。BMRFはまた、2.4GHzの産業科学医療用(ISM)バンドを用いたコードレス電話、Wi-Fi(登録商標)、Zegbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、および電子レンジなどの、様々な他の技術との技術横断型の干渉をする傾向がある。
【0009】
他のものは、低電力および損失の多いネットワーク(MPL)用のマルチキャストプロトコルを利用している。これは、2016年にIETFにより出版されたケルシー(Kelsey)らによる「低電力および損失の多いネットワーク(MPL)用のマルチキャストプロトコル(Multicast Protocol For Low-Power And Lossy Networks (MPL))」に記載されている。MPLは、トリクルタイマによって管理されている制御されたネットワーク全体のフラッディングを伴う。トリクルは、状態情報を効果的に周期的に伝搬させる機構である。ネットワークシステム設計および実装における第1USENIX/ACMシンポジウムの講演集におけるレヴィ(Levis)らの「トリクル:コード伝搬およびワイヤレスセンサネットワークにおけるメンテナンス用の自己調整アルゴリズム(Trickle: A Self regulating Algorithm For Code Propagation And Maintenance In Wireless Sensor Networks)」、およびレヴィらの「トリクルアルゴリズム(The Trickle Algorithm)」、カリフォルニア州フリーモントにあるIETFの技術報告書、2011年、米国:RFC6206、を参照されたい。
【0010】
MPLでは、ネットワークにおけるすべてのモート(センサ)が、マルチキャストパケットを、そのパケットに関係するかにかかわらず受信する。次いで、各モート(センサ)は、マルチキャストパケットを自身の隣のモートに広める。これらのマルチキャストパケットは、特定のマルチキャストパケットが以前に受信されたかに関する形跡を維持するように、バッファリングされる必要がある。パケットがすべてのモートによって受信されたことを確実にするのに役立てるため、トリクルタイマが、これらのバッファリングされたパケットの周期的な再送をスケジューリングするように用いられる。
【0011】
MPLは、エネルギーと帯域幅効率との両方について不利である。制御されたネットワーク全体のパケットのフラッディングのため、ネットワークにおけるすべてのモート(センサ)が、通信オーバーヘッドを増加させるマルチキャストパケットを受信する。制御パケットもまた、バッファリング状態の形跡を維持するように、ネットワーク中に規則的に広められる必要がある。これは、通信オーバーヘッドにさらに追加される。モート(センサ)はまた、バッファリングされたパケットと制御メッセージとを扱うように、2つのトリクルタイマを維持する必要がある。これによって、全体的な複雑さ、コードサイズ、およびメモリの必要性が増加する。
【0012】
パケットのすべてがバッファリングされるため、送信は多くのメモリを占有する。これは、モート(センサ)が一般に限られたメモリを有することにより、バッファリングされ得るパケットの数を制限するとともにMPLの効率に直接影響を及ぼすため、問題であり得る。
【0013】
別の例は、ステートレスマルチキャストRPL転送(SMRF)である。これは、2012年における2012年IEEE国際会議のパーベイシブコンピューティングおよび通信ワークショップ(PERCOMワークショップ)内(In Pervasive Computing and Communications Workshops)にて出版されたオイコノム(Oikonomou)らによる「6LoWPANセンサネットワークにおけるRPLを用いたステートレスマルチキャスト転送(Stateless Multicast Forwarding With RPL In 6LoWPAN Sensor Networks)」、および2013年にワイヤレスパーソナル通信により出版されたオイコノムらによる「RPLベースのワイヤレスセンサネットワークにおけるIPV6マルチキャスト転送(IPV6 Multicast Forwarding In RPL-Based Wireless Sensor Networks)」に記載されている。
図2に示されるように、SMRFは、メッセージを受け入れる前に好ましい親の照合を行わせるため、下りトラフィックしかサポートしない。したがって、マルチキャスト通信の送信元は、RPLツリーのルートに限定される。換言すると、低電力および損失の多いネットワーク(LLN)における他のモート(センサ)は送信元となり得ない。
【0014】
コリジョンを避けるため、受信モート(センサ)は、モートがメッセージを転送することが可能である前に追加の期間待機する必要がある。これは大きいエンドツーエンド遅延を生じる。さらに、関係する子の数が小さい場合、リンク層ブロードキャスト送信は、エネルギーの観点において、最も効果的な手法でない場合がある。多くの関係しない子が、マルチキャストメッセージを受信することとなる。
【0015】
さらなる例は、ESMRFである。これは、2015年のモバイルおよび産業システムにおけるIoTの課題に関する2015年のワークショップの講演集にて出版されたファディル(Fadeel)らによる「ESMRF:IPV6ベースの低電力および損失の多いネットワーク用のエンハンスドステートレスマルチキャストRPL(ESMRF: Enhanced Stateless Multicast RPL Forwarding For IPV6-Based Low-Power And Lossy Networks)」に記載されている。
図3に示されるように、ESMRFは、DODAGツリーが大きいとしても、またマルチキャスト送信元およびその関連グループメンバが互いに近接していても、マルチキャストパケットがルートまでのすべての経路を横断する必要があるため、不利である。これは、通信効率を低下させる。その構造はまた、特にDODAGツリーが数百ノードからなる場合、DODAGルートにてボトルネックを生じさせる。これはまた、DODAGルートに単一障害点を生じさせ得る。
【0016】
本明細書において特定されるすべての出版物は、各個々の出版物または特許出願が参照により組み込まれるように詳細にまた個々に示された場合と同程度に、参照により組み込まれる。組み込まれた参照における用語の定義および使用が本明細書に提供される用語の定義と一貫しないまたは対照をなす場合、本明細書において提供される用語の定義が適用され、参照におけるその用語の定義は適用されない。
【0017】
したがって、帯域幅およびエネルギーを節約しながらデュプリケートパケットの可能性を限定する低電力ワイヤレスネットワークを用いたマルチキャスト通信用のシステムおよび方法の必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0018】
本発明の主題は、デバイスアドレッシングをスケーリングするときに生じる、上に特定される問題を克服するように、IPv6アドレススペースを用いる低電力ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(6LoWPAN)が実装され得る装置、システムおよび方法を提供する。通信効率、帯域幅およびエネルギー使用を向上させるように、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、通信オーバーヘッドを低減させるマルチキャスト転送技術を利用する。
【0019】
一般に、マルチキャスト通信は、レイヤ3(L3)におけるユニキャスト送信またはリンク層(L2)におけるブロードキャスト送信を利用する。低電力ワイヤレスパーソナルエリアネットワークでは、リンク層(L2)におけるプロトコルはIEEE802.15.4であり、ネットワーク層(L3)におけるプロトコルはIPv6を採用する。
【0020】
本明細書に記載されるシステムおよび方法は、IEEE802.15.4プロトコルに関連して記載されるが、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、マルチキャストグループのサブスクライバに対する送信の再配置がエンドツーエンド遅延を低減させることが可能である、後に発展したプロトコルとともに用いられ得ることが想定されると理解される。
【0021】
ユニキャスト送信とブロードキャスト送信との間の主な違いは、信頼性である。ユニキャスト送信では、パケットの送達が成功すると、送信者は宛先から肯定応答を受信する。しかしながら、ブロードキャスト通信はこの特徴を提供しない。マルチキャスト通信の観点では、リンク層ユニキャスト送信の場合、デュプリケートがサブスクライバの各々について生成され、すべてのサブスクライバに対し個々に送達される必要がある。これは時間とエネルギーとの両方を消費する。一方、リンク層ブロードキャスト送信では、パケットがすべてのサブスクライバに対し一度送り出される。デュプリケートが生成されず、1回の送信である。したがって、リンク層ブロードキャスト送信は、リンク層ユニキャスト送信と比較して、特に複数サブスクライバの場合、多くのエネルギーを節約するとともに、はるかに小さいエンドツーエンド遅延しか有しない。しかしながら、前述の通り、ブロードキャスト通信には信頼性の問題がある。
【0022】
好ましい実施形態は、リンク層ユニキャスト通信とブロードキャスト通信とから選ぶ性能を提供する修正されたBMRFアルゴリズムを利用する。タイムスロットチャネルホッピング(TSCH)が、決定的なソリューションを提供するように、エンドツーエンド遅延を減少させるように、また技術横断型の干渉を低減または除去するように、BMRFにより用いられるCSMA/CAの代わりにメディアアクセス制御(MAC)層にて利用される。
【0023】
リンク層ブロードキャスト送信の信頼性を向上させるため、時分割多元接続(TDMA)が、ブロードキャスト再送を提供するように用いられることが可能である。このようにして、1度の送信に代えて、リンク層ユニキャスト送信ではよくあるように、パケットは複数回再送される。ブロードキャスト送信では肯定応答がないため、パケットは常に複数回再送される。しかしながら、省エネルギーのため、受信機の場合、パケットがブロードキャストモードにより成功裏に受信されると、ブロードキャスト再送が受信され得る残りのタイムスロットが、スリープモードに設定される。したがって、受信機側では、モートは、まさにその第1パケットを受信した直後にスリープモードに入り、後続の再送が無視される。
【0024】
本明細書に記載される発明の主題は、様々な用途を有する。航空機環境では、例えば、機内センサが別々のマルチキャストグループへと分割され得る。そうした環境では、ギャレーは第1のマルチキャストグループを形成することが可能であり、各座席クラスは別々のマルチキャストグループを形成することが可能であり、機内ワゴン車は別々のマルチキャストグループとして形成されることが可能である。
【0025】
マルチキャストグループは、用途に基づいて形成されることも可能である。例えば、乗客サービスユニットにおける酸素マスク解放が別々のグループを形成することが可能である。
【0026】
本発明の主題の様々な目的、特徴、態様および利点が、以下の好ましい実施形態の詳細な説明と、同様の符号が同様のコンポーネントを表す付属の図面とから、より明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】双方向マルチキャストRPL転送を用いたパケット転送についてのフローチャート。
【
図2】ステートレスマルチキャストRPL転送を用いたパケット転送についてのフローチャート。
【
図3】エンハンスドステートレスマルチキャストRPL転送を用いたパケット転送についてのフローチャート。
【
図4】ブロードキャスト送信を用いてパケットを転送するための方法の1つの実施形態についてのフローチャート。
【
図5】送信元からのパケットの送信のための方法の1つの実施形態についてのフローチャート。
【
図6】パケットを受信するための方法の1つの実施形態についてのフローチャート。
【
図7】従来のブロードキャスト送信方法の一例を示す図。
【
図8】スマートブロードキャスト送信方法の一実施形態の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の記載を通して、アクセスポイント、ルータ、サーバ、サービス、インタフェース、ポータル、プラットフォーム、またはコンピュータデバイスから形成された他のシステムに関する参照がなされ得る。そうした用語の使用は、コンピュータ可読の有形な非一時的な媒体に記憶されたソフトウェア命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを有する1つまたは複数のコンピュータデバイスを表すと考えられることが認識される。例えば、アクセスポイントまたはルータは、1つまたは複数のコアを含むプロセッサと、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体と、を有することが可能である。ここで、プログラムは、動作を実行するように、またはプログラムされた規則、応答、もしくは機能を果たすように媒体に記憶される。
【0029】
以下の説明は、本発明の主題の多くの例示的な実施形態を提供する。各実施形態は、発明要素の単一の組合せを示すが、本発明の主題は、開示される要素のすべての可能な組合せを含むように考慮される。したがって、1つの実施形態が要素A,BおよびCを備え、第2の実施形態が要素BおよびDを備える場合、本発明の主題は、明白な開示がなくても、A,B,CまたはDの他の残る組合せも含むように考慮される。
【0030】
下記のシステム、処理および方法は、無線通信ネットワークにおける省電力用に提供される。ここで、パケット受信者は、電力消費を低減させるべく、再送されたパケットを受信しないスリープモードに入ることが可能である。発明のブロードキャスト送信アルゴリズムは、従来のブロードキャストモードが直面する困難を克服し、低電力および損失の多いネットワーク用の無線センサの必要性に対処する。これは、上記のユニキャストモードおよび以前の研究努力と比較して、エネルギーの必要性を低減させながら、エンドツーエンド遅延を実質的に低減する。
【0031】
図4は、パケットを転送するための例示的な処理を示す。示されるように、ノード(ノードおよびモートが、ワイヤレスセンサネットワークにおけるデバイスを示すように、ここでは互換に用いられる)は、宛先がマルチキャストグループであるパケットを受信する。また、パケットが好ましい親から受信されたかが決定される。
【0032】
パケットが好ましい親から受信された場合、マルチキャストグループがルーティングテーブルに掲載されているかが照合される。掲載されている場合、パケットは、子の数に基づいてリンク層ユニキャスト送信またはブロードキャスト送信を用いて、下りに転送される。次いで、モートがマルチキャストグループのメンバであるかが照合される。マルチキャストグループがルーティングテーブルに掲載されていない場合、パケットは転送されず、モートがマルチキャストグループのメンバであるかが照合される。
【0033】
モートがマルチキャストグループのメンバである場合、パケットはネットワークスタックに送達され、パケットが受け入れられる。そうでない場合、パケットはドロップされる。
【0034】
パケットが好ましい親から受信されなかった場合、パケットがRPLツリーにおいて下から到達したか(すなわち、リンク層ユニキャスト送信から受信したか)が照合される。そうである場合、マルチキャストグループがルーティングテーブルに掲載されているかが照合される。掲載されていない場合、パケットはドロップされる。
【0035】
マルチキャストグループがルーティングテーブルに掲載されている場合、パケットは、子(パケットがその子から受信された)を除いて、リンク層ユニキャストを用いて下りに転送される。次いで、モートがRPLのルートであるかが照合される。そうである場合、モートがマルチキャストグループのメンバであるかが照合される。メンバでない場合、パケットは好ましい親へと上りに転送される。
【0036】
モートがマルチキャストグループのメンバである場合、パケットはネットワークスタックに送達され、パケットが受け入れられる。そうでない場合、パケットはドロップされる。
【0037】
図5では、スマートブロードキャスト送信方法または処理の1つの実施形態が示される。この実施形態は、好ましくは、時分割多元接続(TDMA)を用いた低電力ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク上にて行われる。そうした実施形態では、例えば、アクセスポイントまたは他のデバイスであり得る1つのデバイスが、ビーコンフレームを周期的に送信することが想定される。ビーコンフレームは、時間のスーパーフレームへの分割によるタイミング構造を提供する。これによって、モートがビーコンと同期することと、送信スロットおよび再送スロットがいつ生じるかを知ることとを可能にする。各スーパーフレームは、好ましくは、
図8に示されるものなどの送信(ブロードキャスト)スロットとプリセットされた数の再送スロットとを含む。
【0038】
TDMAにおけるタイムスロットは、機能に従って分類されることが可能である。特にブロードキャスト再送を送受信するための新たなタイムスロットであるタイムスロットが存在する。送信者の場合、これらのタイムスロットは常に再送するのに用いられる。しかしながら、省エネルギーのため、受信機の場合、パケットがブロードキャスト送信により成功裏に受信されると、ブロードキャスト再送が受信され得る残りのタイムスロットがスリープモードに設定される。したがって、受信機側では、モートは、まさにその第1パケットを受信した直後にスリープモードに入り、後続の再送が無視される。ブロードキャストモード用の複数の再送を追加することによって、パケットが宛先にて成功裏に受信される確率が増加する。これがブロードキャスト送信の低減したエンドツーエンド遅延と結合されることにより、上記の先行の概念よりも優れたものとなる。
【0039】
想定されるシステム、処理および方法では、受信されたパケットは1または複数の受信者に、また好ましくは複数のモートに、リンク層ブロードキャスト送信を用いて転送される(送信される)。
【0040】
同一のパケットが、次いで、1または複数の受信者に対するパケットの送信の総数がプリセットされた整数に等しくなるまで、1または複数の受信者に対し再送タイムスロット上にてリンク層ブロードキャスト送信を用いて転送される。再送スロットの数は、1と10との間、より好ましくは、例えば4と6との間であることが可能である。特定の数は、受信者の数、パケットの重要性、ネットワークトポロジなどのうちの1つまたは複数に応じて異なりそうであるが。最後の再送スロットが用いられると、処理は完了する。
【0041】
図6に示されるように、パケットの各受信者は、送信および再送用の既知のタイムスロットに係る送信者からのブロードキャストパケットを待機するように構成されている。パケットが受信されない場合、受信者は、パケットが再送スロット上にて受信されたかを照合する。この処理は、(i)パケット用の最後の再送スロット、または(ii)パケットが受信される、のいずれか早い方まで継続する。
【0042】
図8に示されるものなどのTDMAタイムスロットへと分割された時間の特徴を用いて、パケットが最後の再送スロットの前に受信されると、受信者は、そのパケットについてのブロードキャスト再送の受信のための後続の再送スロットをスリープモードに設定する。したがって、受信機側では、モートは、まさにその第1パケットを受信した直後にスリープモードに入り、後続の再送が無視される。これは、有利には、エネルギー消費を減少させる。
【0043】
発明の概念は、
図7を
図8と比較することによってさらに示される。
図7に示される従来のブロードキャスト方法では、パケットは、単一のタイムスロットにおいて複数のモートに送信される。特に多数の受信者が存在するところでは、ブロードキャスト送信は、典型的にはエンドツーエンド遅延およびエネルギー消費を大幅に低減させる。しかしながら、ユニキャスト送信と比較すると、ブロードキャスト送信は一般に、ユニキャスト送信におけてとは異なり、受信者は自身がパケットを受信したときに肯定応答を提供しないので、低い信頼性を有する。
【0044】
1つのテストでは、発明者らは、ブロードキャスト送信における8%のパケット到達率(PDR)と比較して、ユニキャスト送信における100%のPDRを発見した。しかしながら、ブロードキャスト送信の場合におけるエンドツーエンド遅延は、ユニキャスト送信のエンドツーエンド遅延の約30%未満であった。これに加えて、無線送信の数は、ユニキャスト送信の例の2倍であった。これは、エネルギー消費の増加を示す。
【0045】
ブロードキャスト送信の信頼性を向上させるように、システム、方法、処理は、リンク層ブロードキャスト送信におけるパケットの再送を可能にする。ブロードキャスト送信が肯定応答の特徴を有しないため、送信者は、信頼性を高めるように常にパケットを複数回再送する。パケットを再送することによって、ブロードキャスト送信の信頼性は大幅に向上し、ユニキャストモードの信頼性と同等であると示された。詳細には、発明者らは、ユニキャスト送信についての100%のPDRと比較して、ブロードキャスト送信における99%のPDRを発見した。
【0046】
パケットが成功裏に送達されたかにかかわらず送信者が常にパケットを複数回再送したとしても、無線送信の数は依然として複数のマルチキャストサブスクライバの場合におけるユニキャスト送信の数未満である。好ましくは、ブロードキャスト送信における送信の数は、従来のブロードキャスト送信と比較して固定値に限定される。また、この数は、サブスクライバの数にかかわらず同一のままである。
【0047】
本明細書において用いられる際には、文脈が別段の指示をしない限り、用語「に対し結合される」は、直接的な結合(互いに結合されている2つの要素が互いに接触する)と間接的な結合(1つ以上の追加の要素が、2つの要素間に位置する)との両方を含むことを意図する。したがって、用語「に対し結合される」および「と結合される」は、同義語として用いられる。
【0048】
いくつかの実施形態では、本発明の特定の実施形態を説明および請求するように用いられる、成分の量、濃度、反応条件などの特性を表す数字は、場合によっては用語「約」によって変更されると理解される。したがって、いくつかの実施形態では、明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、特定の実施形態によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施形態では、数値パラメータは、報告された有効桁数に照らして、また通常の端数処理技法を適用することによって解される。本発明のいくつかの実施形態の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の例に示される数値は、実施可能な限り正確に報告される。本発明のいくつかの実施形態において提示された数値は、それぞれの試験測定にて見出された標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含み得る。
【0049】
文脈が反対のことを示さない限り、本明細書において説明されるすべての範囲が、それらの端点を含むと解され、無制限の範囲は、商業的に実行可能な値しか含まないように解される。同様に、値のすべてのリスとは、文脈が反対のことを示さない限り、中間値を含むように考慮される。
【0050】
本明細書における記載においておよび以下の特許請求の範囲を通じて用いる際には、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が明示しない限り、複数の参照を含む。また、本明細書における記載において用いる際には、「において(in)」は、文脈が明示しない限り、「中に(in)」および「上に(on)」を含む。
【0051】
本明細書における値の範囲の記載は、範囲内に入る各別々の値を個々に参照する簡単な方法として機能することを意図するに過ぎない。本明細書において示されない限り、範囲を伴う各個々の値は、本明細書において個々に記載されるように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されたすべての方法は、本明細書において示されない限り、または文脈によって明確にされない限り、任意の適切な順序にて行われることが可能である。本明細書における特定の実施形態に対し提供される任意のおよびすべての例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、より良く本発明を示すように意図されるに過ぎず、他の請求される本発明の範囲を限定するように述べるものではない。本明細書の言語は、本発明の実施に必要な任意の請求されない要素を示すものと解されない。
【0052】
本明細書に開示される本発明の代替要素または実施形態のグループ分けは、限定として解されるものではない。各グループの部材は、個別にまたはグループの他の部材または本明細書に見られる他の要素との任意の組み合わせにて参照され請求されることが可能である。グループの1つまたは複数の部材は、利便性および/または特許性の理由のため、グループに含めるか、グループから削除することが可能である。そうした包含または削除が生じるとき、本明細書では、変更されたグループを含むとみなし、したがって、添付の特許請求の範囲にて用いられるすべてのマーカッシュ形式のグループの記載を充足する。
【0053】
本明細書における本発明の概念から逸脱することなく、すでに記載されたもの以外のさらに多くの修正が可能であることは、当業者に明らかである。したがって、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲の趣旨を除いて限定されるものではない。さらに、明細書と特許請求の範囲との両方を解釈する際には、すべての用語は、文脈と一致する可能な限り広い方法により解釈される。特に、用語「備える(comprises)」および「備える(comprising)」は、非排他的に、要素、コンポーネント、または工程を参照すると解され、参照される要素、コンポーネント、または工程が存在するか、利用されるか、明示的に参照されていない他の要素、コンポーネント、または工程と組み合わされる場合があることを示す。明細書の特許請求の範囲が、A、B、C....およびNからなるグループから選択されたもののうちの1つ以上を参照する場合、その文章は、AとN、またはBとNなどではなく、グループから1つの要素のみを必要とするように解される。