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特許7607032高温での選択的レーザー溶融/焼結による完全緻密でクラックフリーのシリコンの3D印刷
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】高温での選択的レーザー溶融/焼結による完全緻密でクラックフリーのシリコンの3D印刷
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20241219BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20241219BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20241219BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20241219BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20241219BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20241219BHJP
【FI】
B28B1/30
B29C64/153
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y40/00
B33Y80/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022512300
(86)(22)【出願日】2020-08-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 US2020046967
(87)【国際公開番号】W WO2021041110
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】62/890,769
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521341514
【氏名又は名称】シルフェックス・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SILFEX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン・ジホン
(72)【発明者】
【氏名】ソン・イー
(72)【発明者】
【氏名】ニシャナンサン・ヴィジェイ
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-150624(JP,A)
【文献】特開2019-104981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 1/30
B29C64/00-64/40
67/00-67/08
67/24-69/02
73/00-73/34
B29D1/00-29/10
33/00
99/00
B33Y10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非金属材料の完全緻密な構成要素を印刷するためのシステムであって、前記システムは、
不活性ガスで満たされたチャンバと、
前記チャンバ内に配置されて基板を支持する第1の垂直可動プレートと、
前記第1の垂直可動プレートに隣接して配置された第2の垂直可動プレートであって、
前記非金属材料の粉末を貯蔵し、前記非金属材料の複数のの各々を印刷する前に前記基板に前記粉末を投入するように構成されている、第2の垂直可動プレートと、
レーザービームを供給するように構成されたレーザー発生器と、
コントローラであって、
第1の出力及び第1の速度を有する前記レーザービームを使用して、前記非金属材料の第1の印刷を実行することと、
第2の出力及び第2の速度を有する前記レーザービームを使用して、前記非金属材料の第2の印刷を、前記第1の印刷が実行された後の前記非金属材料に対して実行することと、により、
前記レーザービームを使用して、前記非金属材料の各前記層を前記基板上に印刷して前記複数の層を含む前記構成要素を構築するように構成され、
前記第1の速度は前記第2の速度よりも大きく、
前記第1の出力は前記第2の出力よりも小さい、コントローラと、
を備えるシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記非金属材料は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を有し、
前記直径はふるい分析を使用して測定される、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記コントローラは、
第1の方向を有する前記レーザービームを使用して前記第1の印刷実行し、
前記第1の方向とは異なる第2の方向を有する前記レーザービームを使用して前記第2の印刷実行するように更に構成されている、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、前記非金属材料は、ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、及びセラミックからなる群から選択される、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、前記システムは、
異なる直径の穴を有する1つ以上のメッシュと、
前記1つ以上のメッシュを振動させるように構成された振動システムと、を更に備え、
前記粉末は、前記1つ以上のメッシュにストックを通すことにより、前記ストックから選択され、
選択された前記粉末は、ふるい分析を使用して測定される0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含む、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、前記基板に近接して配置された入口及び出口を介して、前記不活性ガスを、前記チャンバを通して前記印刷の方向とは反対の方向に流すように構成された、ガス源を更に備える、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、各層を印刷した後に前記第1の垂直可動プレートを下向き方向に移動し、各層を印刷した後に前記第2の垂直可動プレートを上向き方向に移動するように構成された、プレート移動アセンブリを更に備える、システム。
【請求項8】
非金属材料の完全緻密な構成要素を基板上に印刷するための方法であって、前記方法は、
第1の出力及び第1の速度を有するレーザービームを使用して、前記非金属材料の第1の印刷を実行することと、
第2の出力及び第2の速度を有する前記レーザービームを使用して、前記非金属材料の第2の印刷を、前記第1の印刷が実行された後の前記非金属材料に対して実行することと、により、
前記レーザービームを使用して、前記非金属材料の複数の層の各々を前記基板上に印刷して、前記複数の層を含む前記構成要素を構築することと、を含み、
前記第1の速度は前記第2の速度よりも大きく、
前記第1の出力は前記第2の出力よりも小さい、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記非金属材料は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含み、前記直径はふるい分析を使用して測定される、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、
第1の方向を有する前記レーザービームを使用して前記第1の印刷実行することと、
前記第1の方向とは異なる第2の方向を有する前記レーザービームを使用して前記第2の印刷実行することと、を更に含む方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法であって、前記非金属材料は、ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、及びセラミックからなる群から選択される、方法。
【請求項12】
請求項8に記載の方法であって、各層を印刷する前に、前記非金属材料の粉末の用量を供給することを更に含み、
前記粉末は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含み、
前記直径はふるい分析を使用して測定される、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記方法は、異なる直径の穴を有する1つ以上のメッシュにストックを通過させること、及び前記1つ以上のメッシュを振動させることにより、前記ストックから前記粉末を選択することを更に含む、方法。
【請求項14】
請求項8に記載の方法であって、前記印刷の方向とは反対の方向に、前記基板に近接して不活性ガスを流すことを更に含む、方法。
【請求項15】
請求項8に記載の方法であって、不活性ガスで満たされたチャンバ内で前記構成要素を印刷することを更に含む、方法。
【請求項16】
請求項に記載のシステムであって、前記構成要素は、多孔性を欠いている、システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月23日に出願された米国仮特許出願第62/890,769号の利益を主張する。上記で参照された出願の開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、全般的には、シリコン構成要素の製造に関し、より具体的には、高温での選択的レーザー溶融/焼結による完全緻密でクラックフリーのシリコンの3D印刷に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書で提供される「背景技術」の記載は、本開示の文脈を概略的に提示することを目的としている。本明細書の「背景技術」に記載されている範囲における、本明細書にて名前を挙げた発明者の業績、並びに、出願時点で先行技術と見なされないかも知れない本明細書の態様は、明示的にも暗黙的にも本開示に対する先行技術として認められていない。
【0004】
基板処理システムは、典型的には、半導体ウェハーなどの基板の堆積、エッチング、及び他の処理を実施するための複数の処理チャンバ(プロセスモジュールとも称される)を含む。基板に対して実施されてもよいプロセスの例には、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)プロセス、化学強化プラズマ蒸着(CEPVD)プロセス、及びスパッタリング物理蒸着(PVD)プロセスが含まれるが、これらに限定されない。基板に対して実施されてもよいプロセスの追加の例には、エッチング(例えば、化学エッチング、プラズマエッチング、反応性イオンエッチングなど)、及びクリーニングプロセスが含まれるが、これらに限定されない。
【0005】
処理中、基板処理システムの処理チャンバ内において、ペデスタル、静電チャック(ESC)などの基板支持体上に基板が配置される。堆積中に、1つ以上の前駆体を含むガス混合物が処理チャンバ内に導入され、プラズマが発生されて化学反応が活性化される。エッチング中、エッチングガスを含むガス混合物が処理チャンバ内に導入され、プラズマが発生されて化学反応が活性化される。典型的には、コンピュータ制御ロボットが、基板が処理される順序で、ある処理チャンバから別の処理チャンバに基板を移送する。
【発明の概要】
【0006】
非金属材料の完全緻密な構成要素を印刷するためのシステムであって、本システムは、不活性ガスで満たされたチャンバを備える。第1の垂直可動プレートがチャンバ内に配置されて基板を支持する。第2の垂直可動プレートが、第1の垂直可動プレートに隣接して配置される。第2の垂直可動プレートは、非金属材料の粉末を貯蔵し、非金属材料の各層を印刷する前に基板に粉末を投入するように構成されている。レーザー発生器が、レーザービームを供給するように構成されている。コントローラは、第1の出力及び第1の速度を有するレーザービームを使用して、非金属材料の層の第1の副層を印刷することと、第2の出力及び第2の速度を有するレーザービームを使用して、非金属材料の層の第2の副層を第1の副層上に印刷することと、により、レーザービームを使用して、非金属材料の複数の層を基板上に印刷し、非金属材料の層を複数の層上に印刷して、複数の層上に構成要素を構築するように構成されている。第1の速度は第2の速度よりも大きい。第1の出力は第2の出力よりも小さい。
【0007】
別の特徴では、非金属材料は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含む。
【0008】
他の特徴では、コントローラは、第1の方向を有するレーザービームを使用して第1の副層を印刷し、第1の方向とは異なる第2の方向を有するレーザービームを使用して第2の副層を印刷するように更に構成されている。
【0009】
別の特徴では、非金属材料は、ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、及びセラミックからなる群から選択される。
【0010】
他の特徴では、システムは、異なる直径の穴を有する1つ以上のメッシュと、1つ以上のメッシュを振動させるように構成された振動システムと、を更に備える。粉末は、ストックを1つ以上のメッシュに通すことにより、ストックから選択される。選択された粉末は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含む。
【0011】
別の特徴では、システムは、基板に近接して配置された入口及び出口を介して、不活性ガスを、チャンバを通して印刷の方向とは反対の方向に流すように構成されたガス源を更に備える。
【0012】
別の特徴では、システムは、各層を印刷した後に第1の垂直可動プレートを下向き方向に移動し、各層を印刷した後に第2の垂直可動プレートを上向き方向に移動するように構成された、プレート移動アセンブリを更に備える。
【0013】
更に他の特徴では、非金属材料の完全緻密な構成要素を基板上に印刷する方法は、レーザービームを使用して非金属材料の複数の層を基板上に印刷することを含む。本方法は、第1の出力及び第1の速度を有するレーザービームを使用して、非金属材料の層の第1の副層を印刷することと、第2の出力及び第2の速度を有するレーザービームを使用して、非金属材料の層の第2の副層を第1の副層上に印刷することと、により、非金属材料の層を複数の層上に印刷して、複数の層上に構成要素を構築することを更に含む。第1の速度は第2の速度よりも大きい。第1の出力は第2の出力よりも小さい。
【0014】
別の特徴では、非金属材料は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含む。
【0015】
他の特徴では、本方法は、第1の方向を有するレーザービームを使用して第1の副層を印刷することと、第1の方向とは異なる第2の方向を有するレーザービームを使用して第2の副層を印刷することと、を更に含む。
【0016】
別の特徴では、非金属材料は、ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、及びセラミックからなる群から選択される。
【0017】
別の特徴では、本方法は、各層を印刷する前に、非金属材料の粉末の用量を供給することを更に含む。粉末は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含む。
【0018】
別の特徴では、本方法は、異なる直径の穴を有する1つ以上のメッシュにストックを通過させること、及び1つ以上のメッシュを振動させることにより、ストックから粉末を選択することを更に含む。
【0019】
別の特徴では、本方法は、印刷の方向とは反対の方向に、基板に近接して不活性ガスを流すことを更に含む。
【0020】
別の特徴では、本方法は、不活性ガスで満たされたチャンバ内で構成要素を印刷することを更に含む。
【0021】
更に他の特徴では、非金属材料の構成要素を基板上に印刷する方法は、レーザービームを使用して非金属材料の複数の層を基板上に印刷することを含む。複数の層は、構成要素を構築するためのベースを形成する。この方法は、レーザービームを使用して、複数の層上に非金属材料の1つ以上の層を印刷することにより、複数の層上に構成要素を構築することを更に含む。
【0022】
別の特徴では、非金属材料は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含む。
【0023】
他の特徴では、1つ以上の層の各層を印刷することは、第1の出力及び第1の速度を有するレーザービームを使用して、非金属材料の第1の副層を印刷することと、第2の出力及び第2の速度を有するレーザービームを使用して、非金属材料の第2の副層を第1の副層上に印刷することと、を含む。第1の速度は第2の速度よりも大きい。第1の出力は第2の出力よりも小さい。
【0024】
他の特徴では、本方法は、第1の方向を有するレーザービームを使用して第1の副層を印刷することと、第1の方向とは異なる第2の方向を有するレーザービームを使用して第2の副層を印刷することと、を更に含む。
【0025】
別の特徴では、非金属材料は、ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、及びセラミックからなる群から選択される。
【0026】
他の特徴では、本方法は、各層を印刷する前に、非金属材料の粉末の用量を供給することを更に含む。粉末は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含む。
【0027】
別の特徴では、本方法は、異なる直径の穴を有する1つ以上のメッシュにストックを通過させること、及び1つ以上のメッシュを振動させることにより、ストックから粉末を選択することを更に含む。
【0028】
別の特徴では、本方法は、印刷の方向とは反対の方向に、基板に近接して不活性ガスを流すことを更に含む。
【0029】
更に他の特徴では、非金属材料の完全緻密な構成要素を基板上に印刷する方法は、第1の出力及び第1の速度を有するレーザービームを使用して、非金属材料の層の第1の副層を基板上に印刷することを含む。本方法は、第2の出力及び第2の速度を有するレーザービームを使用して、非金属材料の層の第2の副層を第1の副層上に印刷することを更に含む。第1の速度は第2の速度よりも大きい。第1の出力は第2の出力よりも小さい。
【0030】
別の特徴では、非金属材料は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含む。
【0031】
他の特徴では、本方法は、第1の方向を有するレーザービームを使用して第1の副層を印刷することと、第1の方向とは異なる第2の方向を有するレーザービームを使用して第2の副層を印刷することと、を更に含む。
【0032】
別の特徴では、本方法は、層を印刷する前に、レーザービームを使用して基板上に非金属材料の複数の層を印刷することを更に含む。
【0033】
別の特徴では、複数の層がベースを形成し、ベース上に層を印刷することにより構成要素が構築される。
【0034】
別の特徴では、非金属材料は、ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、及びセラミックからなる群から選択される。
【0035】
別の特徴では、本方法は、各層を印刷する前に、非金属材料の粉末の用量を供給することを更に含む。粉末は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含む。
【0036】
別の特徴では、本方法は、異なる直径の穴を有する1つ以上のメッシュにストックを通過させること、及び1つ以上のメッシュを振動させることにより、ストックから粉末を選択することを更に含む。
【0037】
別の特徴では、本方法は、印刷の方向とは反対の方向に、基板に近接して不活性ガスを流すことを更に含む。
【0038】
更に他の特徴では、非金属材料の完全緻密でクラックフリーの構成要素を、非金属材料で作られた基板上に印刷するためのシステムは、完全緻密でクラックフリーの構成要素を印刷するためのチャンバを含み、チャンバは断熱されている。本システムは、チャンバ内に配置されて基板を支持する第1の垂直可動プレートと、第1の垂直可動プレートの上部表面上で基板の下方に配置された断熱材料と、を更に備える。このシステムは、基板上に構成要素を印刷する前に、基板及び基板を取り囲むチャンバの領域を加熱するように構成されたヒーターを更に備える。このシステムは、非金属材料の粉末を供給するように構成された粉末フィーダと、印刷中に、ヒーターが基板及び基板を取り囲むチャンバの領域を加熱し続けている間に、レーザービームを供給して非金属材料の層を基板上に印刷するように構成されたレーザー発生器と、を更に備える。
【0039】
別の特徴では、粉末は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含む。
【0040】
別の特徴では、ヒーターは、構成要素の印刷中に、基板及び基板を取り囲むチャンバの領域を、非金属材料の延性から脆性への転移温度よりも高い温度に加熱するように構成されている。
【0041】
別の特徴では、印刷後、チャンバ内の構成要素をアニーリングしている間、ヒーターは、基板及び基板を取り囲むチャンバの領域を加熱し続けるように構成されている。
【0042】
別の特徴では、印刷後、構成要素が制御された速度で徐冷されている間、構成要素は粉末で取り囲まれたままである。
【0043】
別の特徴では、チャンバは、1つ以上の絶縁材料の1つ以上の層により断熱されている。
【0044】
別の特徴では、非金属材料は、ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、及びセラミックからなる群から選択される。
【0045】
別の特徴では、ヒーターは、基板の下に配置されている、又は基板と基板の上方のチャンバの領域とを取り囲むように配置されている。
【0046】
他の特徴では、粉末フィーダは、第1の垂直可動プレートに隣接して配置された第2の垂直可動プレートを備え、第2の垂直可動プレートは、粉末を貯蔵し、非金属材料の各層を印刷する前に、基板に粉末を投入するように構成されている。
【0047】
別の特徴では、システムは、各層を印刷した後に第1の垂直可動プレートを下向き方向に移動し、各層を印刷した後に第2の垂直可動プレートを上向き方向に移動するように構成された、プレート移動アセンブリを更に備える。
【0048】
別の特徴では、システムは、構成要素の印刷中に、基板の上方のチャンバの領域を加熱するように構成された1つ以上の追加のヒーターを更に備える。
【0049】
別の特徴では、粉末フィーダは、レーザービームと共に粉末を供給して構成要素の層を印刷するように構成されている。
【0050】
別の特徴では、システムは、構成要素の各層の印刷中に粉末フィーダ及びレーザー発生器が静止したままである間、第1の垂直可動プレートを移動させるように構成されたガントリーシステムを更に備える。
【0051】
別の特徴では、チャンバは真空下にある。
【0052】
別の特徴では、チャンバは不活性ガスで満たされている。
【0053】
別の特徴では、システムは、不活性ガスを、基板に近接して配置された入口及び出口を介して、チャンバを通して、印刷の方向とは反対の方向に流すように構成されたガス源を更に備える。
【0054】
他の特徴では、システムは、異なる直径の穴を有する1つ以上のメッシュと、1つ以上のメッシュを振動させるように構成された振動システムと、を更に備える。粉末は、ストックを1つ以上のメッシュに通すことにより、ストックから選択される。選択された粉末は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含む。
【0055】
更に他の特徴では、チャンバ内において、非金属材料の完全緻密でクラックフリーの構成要素を、非金属材料で作られた基板上に印刷する方法は、非金属材料の層を基板上に印刷する前に、基板と基板を取り囲むチャンバの領域とを加熱することを含む。本方法は、印刷中に、基板及び基板を取り囲むチャンバの領域を加熱し続けながら、レーザービームを使用して非金属材料の層を基板上に印刷することを更に含む。
【0056】
別の特徴では、非金属材料は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含む。
【0057】
別の特徴では、本方法は、構成要素の印刷中に、基板及び基板を取り囲むチャンバの領域を、非金属材料の延性から脆性への転移温度よりも高い温度に加熱することを更に含む。
【0058】
別の特徴では、本方法は、印刷後、基板及び基板を取り囲むチャンバの領域を加熱し続けながら、チャンバ内の構成要素をアニーリング及び徐冷することを更に含む。
【0059】
別の特徴では、本方法は、印刷後に、構成要素を非金属材料の粉末で取り囲むことにより構成要素を冷却することを更に含む。
【0060】
別の特徴では、本方法は、1つ以上の絶縁材料の1つ以上の層を使用してチャンバを断熱することを更に含む。
【0061】
別の特徴では、非金属材料は、ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、及びセラミックからなる群から選択される。
【0062】
他の特徴では、この方法は、非金属材料の層の各層を印刷する前に、基板に非金属材料を投入することと、投入後にレーザービームを供給して、非金属材料の各層を印刷することと、を更に含む。
【0063】
別の特徴では、本方法は、構成要素の印刷中に基板の上方のチャンバの領域を加熱することを更に含む。
【0064】
別の特徴では、本方法は、前記レーザービームと共に前記非金属材料の粉末を供給して、前記非金属材料の各層を印刷することを更に含む。
【0065】
別の特徴では、本方法は、チャンバ内の真空を維持することを更に含む。
【0066】
別の特徴では、本方法は、チャンバを不活性ガスで満たすことを更に含む。
【0067】
別の特徴では、本方法は、印刷の方向とは反対の方向に、基板に近接して不活性ガスを流すことを更に含む。
【0068】
他の特徴では、本方法は、異なる直径の穴を有する1つ以上のメッシュにストックを通過させること、及び1つ以上のメッシュを振動させることにより、ストックから非金属材料の粉末を選択することを更に含む。選択された粉末は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含む。
【0069】
本開示の適用可能な更なる領域が、「発明を実施するための形態」、「特許請求の範囲」、及び図面から明らかとなるであろう。「発明を実施するための形態」及び具体例は、例示のみを目的としており、開示の範囲を限定することを意図していない。
【0070】
本開示は、詳細な説明及び添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1図1は、処理チャンバを備える基板処理システムの一例を示す。
【0072】
図2A図2Aは、本開示による、完全緻密シリコン材料を基板上に印刷するための粉末床ベースのシステムを示す。
図2B図2Bは、本開示による、完全緻密シリコン材料を基板上に印刷するための粉末床ベースのシステムを示す。
図2C図2Cは、本開示による、完全緻密シリコン材料を基板上に印刷するための粉末床ベースのシステムを示す。
【0073】
図2D図2Dは、本開示のシステム及び方法を使用して構成要素を印刷するための非金属材料の粉末を選択するためのシステムを示す。
【0074】
図2E図2Eは、プラズマ回転電極処理(PREP)を使用して、シリコンなどの材料の粉末を製造するためのシステムを示す。
【0075】
図3A図3Aは、本開示による、完全緻密非金属材料を基板上に印刷するための粉末床ベースの方法を示す。
図3B図3Bは、本開示による、完全緻密非金属材料を基板上に印刷するための粉末床ベースの方法を示す。
【0076】
図4A図4Aは、本開示の高温粉末床法による、完全緻密でクラックフリーの非金属材料を非金属基板上に印刷するための粉末床ベースのシステムを示す。
図4B図4Bは、本開示の高温粉末床法による、完全緻密でクラックフリーの非金属材料を非金属基板上に印刷するための粉末床ベースのシステムを示す。
【0077】
図4C図4Cは、本開示の高温粉末床法による、完全緻密でクラックフリーの非金属材料を非金属基板上に印刷するための粉末床ベースの方法を示す。
【0078】
図5A図5Aは、本開示の高温粉末床法による、完全緻密でクラックフリーの非金属材料の構成要素を非金属基板上に印刷するための粉末供給ベースのシステムを示す。
図5B図5Bは、本開示の高温粉末床法による、完全緻密でクラックフリーの非金属材料の構成要素を非金属基板上に印刷するための粉末供給ベースのシステムを示す。
図5C図5Cは、本開示の高温粉末床法による、完全緻密でクラックフリーの非金属材料の構成要素を非金属基板上に印刷するための粉末供給ベースのシステムを示す。
【0079】
図5D図5Dは、本開示の高温粉末供給法による、非金属材料の構成要素を非金属基板上に印刷するための粉末供給ベースの方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図面において、参照番号は、類似の及び/又は同一の要素を識別するために再利用されてよい。
【0081】
基板処理システム及び処理チャンバ内で使用される様々な構成要素が高精度で製造される。これら構成要素は、金属で作られているものもあるが、シリコン及びセラミックなどの材料で作られているものもある。基板処理システム及び処理チャンバの一例が、図1を参照して以下に示され説明され、これら構成要素の例、並びにこれら構成要素が動作する過酷な電気的、化学的、及び熱的環境の例が提供される。
【0082】
本開示は以下のように構成されている。最初に、処理チャンバを含む基板処理システムの一例が、図1を参照して示され説明される。続いて、完全緻密印刷法及びクラックフリー印刷法によるシリコン構成要素の3D印刷のためのシステム及び方法の概要が提供される。続いて、完全緻密印刷法による、完全緻密シリコン構成要素の3D印刷のためのシステム及び方法が、図2A図3Bを参照して説明される。最後に、完全緻密でクラックフリーの方法による、完全緻密でクラックフリーのシリコン構成要素の3D印刷のためのシステム及び方法が、図4A図5Dを参照して説明される。
【0083】
図1は、処理チャンバ102を備える基板処理システム100の一例を示す。この例はプラズマ強化化学蒸着(PECVD)との関連で説明されているが、本開示の教示は、原子層堆積(ALD)、プラズマ強化ALD(PEALD)、CVD、又はエッチングプロセスを含む他の処理などの、他の種類の基板処理に適用できる。システム100は、システム100の他の構成要素を取り囲み、(使用される場合は)RFプラズマを含有する、処理チャンバ102を備える。処理チャンバ102は、上部電極104と、静電チャック(ESC)106又は他の基板支持体とを備える。動作中、基板108はESC106上に配置される。
【0084】
例えば、上部電極104は、プロセスガスを導入及び分配するガス分配装置110、例えばシャワーヘッド、を含んでよい。ガス分配装置110は、処理チャンバ102の上部表面に接続されている一端を含むステム部分を含んでよい。シャワーヘッドのベース部分は、略円筒形であり、処理チャンバ102の上部表面から間隔を空けて配置された場所において、ステム部分の反対側の端部から半径方向外向きに延びている。シャワーヘッドのベース部分の基板に面する表面又はフェースプレートは、気化した前駆体、プロセスガス、又はパージガスが流れる複数の穴を含む。代わりに、上部電極104は導電性プレートを含んでよく、プロセスガスは別の方法で導入されてよい。
【0085】
ESC106は、下部電極として機能するベースプレート112を備える。ベースプレート112は、セラミックマルチゾーン加熱プレートに対応してよい加熱プレート114を支持している。加熱プレート114とベースプレート112との間に熱抵抗層116が配置されてよい。ベースプレート112は、ベースプレート112を通して冷却剤を流すための1つ以上のチャネル118を含んでよい。
【0086】
プラズマが使用される場合、RF生成システム120は、RF電圧を生成し、上部電極104及び下部電極(例えば、ESC106のベースプレート112)のうちの一方に出力する。上部電極104及びベースプレート112のうちの他方は、DC接地、AC接地、又はフローティングであってよい。例としてのみ、RF生成システム120はRF電力を生成するRF発生器122を含んでよく、RF電力は、マッチング及び分配ネットワーク124により上部電極104又はベースプレート112に供給される。他の例では、プラズマは、誘導的に又はリモートで生成されてよい。
【0087】
ガス送達システム130は、1つ以上のガス源132-1、132-2、…、及び132-N(総称してガス源132)を含み、Nはゼロより大きい整数である。ガス源132は、バルブ134-1、134-2、…、及び134-N(総称してバルブ134)と、マスフローコントローラ136-1、136-2、…、及び136-N(総称してマスフローコントローラ136)とによってマニホールド140に接続されている。蒸気送達システム142が、気化した前駆体を、処理チャンバ102に接続されたマニホールド140又は別のマニホールド(図示せず)に供給する。マニホールド140の出力は、処理チャンバ102に供給される。
【0088】
温度コントローラ150が、加熱プレート114内に配置された複数の熱制御要素(TCE)152に接続されてよい。温度コントローラ150を使用して、複数のTCE152を制御して、ESC106及び基板108の温度を制御してよい。温度コントローラ150は、冷却剤アセンブリ154と通信して、チャネル118を流れる冷却剤の流れを制御してよい。例えば、冷却剤アセンブリ154は、冷却剤ポンプ、リザーバ、及び1つ以上の温度センサ(図示せず)を含んでよい。温度コントローラ150は、冷却剤アセンブリ154を操作して、冷却剤をチャネル118を通して選択的に流してESC106を冷却する。バルブ156及びポンプ158を使用して、反応物質を処理チャンバ102から排気してよい。システムコントローラ160は、システム100の構成要素を制御する。
【0089】
理解され得るように、基板処理システム及び処理チャンバ(例えば、シャワーヘッド)で使用される構成要素は、高精度で製造される必要がある。これら構成要素は、金属で作られているものもあるが、シリコン及びセラミックなどの材料で作られているものもある。以下に説明するように、シリコン及びセラミックなどの材料で作られた構成要素の3D印刷は、従来の3D印刷システムを使用するとクラックを生じるという、それら材料の脆性的性質に起因して、非常に困難であり、本開示は、この課題に対処するための、及びシリコン及びセラミックなどの材料で作られた完全緻密でクラックフリーの構成要素を3D印刷するためのソリューションを提供する。
【0090】
簡潔に言うと、完全緻密印刷法において、本開示は、3D印刷技術(付加造形)を使用して完全緻密シリコン構成要素を印刷するためのシステム及び方法について説明する。本開示の3D印刷技術は、単一のレーザービームを使用してビルドプレート(すなわち、ビルディングプラットフォーム又は基板)上のシリコン粉末を溶融する、粉末床ベースの選択的レーザー溶融(SLM)である。金属ベース材料の3D印刷とは異なり、本開示のシステム及び方法は、完全緻密シリコン構成要素を印刷する場合に印刷品質に影響を及ぼす要因に対処する。本開示は、シリコン粉末の粒子モルホロジー、サイズ、及び分布について説明し、印刷戦略、適切なレーザー出力及び印刷速度、及び床予備加熱戦略についても説明する。これらの技術は全て、3D印刷を使用して完全緻密シリコン構成要素を印刷することに役立つ。本開示のシステム及び方法は、従来のサブトラクティブ機械加工方法を使用して実現できない複雑な内部形体を備える、大きなシリコン構成要素を印刷することができる。
【0091】
加えて、クラックフリー印刷法において、本開示は、低温度勾配を有する3D印刷装置の設計について説明する。この設計では、シリコン構成要素の印刷中、インサイチュアニーリング中、及び冷却中における温度勾配を最小限に抑えるために、真空チャンバ内の優れた断熱性と共に1つ又は複数のヒーターを使用する。ヒーター及び絶縁材を使用することにより、装置全体にわたって、及び印刷プロセス全体にわたって、均一な高温が、低熱勾配を伴って維持される。ヒーターは、抵抗性又は誘導性ヒーター、IRランプ放射ヒーター、又は(例えば、青色LEDを使用する)青色光ヒーターのいずれかであり得る。絶縁材料は、硬質炭素繊維絶縁材、又は軟質黒鉛フェルト、又はこれら両方の組み合わせであり得る。高温における炭素及び溶融シリコンと酸素との高い反応性に起因して、装置は真空気密である必要がある。シリコンは、好ましくは、真空チャンバ内で又は不活性ガス(例えば、Ar又はHe)で満たされたチャンバ内で印刷される。
【0092】
クラックフリー印刷法による低熱勾配法は、粉末供給又は粉末床レーザー印刷法のために使用できる。シリコン材料の脆性性質に起因して、熱応力の蓄積を防止するために、シリコン構成要素の印刷及びアニーリング中は、3D印刷用の基板温度は、シリコンの延性から脆性への転移温度(DBTT)よりも高い(例えば、1000℃を超える)ことが好ましい。このように、シリコンは印刷中には延性を有する。印刷された構成要素はまた、好ましくは、制御された速度で徐冷される。
【0093】
クラックフリー印刷法による低熱勾配法では、シリコン構成要素の3D印刷にとってシリコンが好ましい基板であり、シリコンを使用することで、非シリコンの基板を使用した場合に発生する可能性があり、構成要素のクラックにつながる可能性がある、熱膨張係数(CTE)の不整合が回避される。シリコンは、金属などの他の材料の基板よりも好ましい基板であり、それは、印刷及びアニーリング中に使用される高温で発生する可能性がある、非シリコン材料からシリコンへの不純物の拡散に起因する汚染が防止されるという追加の理由による。したがって、本開示のクラックフリーの方法を使用することにより、高純度で低熱応力(例えば、クラックフリーの)のシリコン構成要素を印刷することができる。本開示のクラックフリーの印刷法は、アルミナ、炭化ケイ素、セラミックなどの他の脆性材料に適用できる。
【0094】
より具体的には、完全緻密印刷法は、シリコンの3D印刷に関する以下の懸念に対処する。シリコン用の現在の付加造形技術は、指向性エネルギー堆積法(DED)に基づいている。現在の印刷プロセスでは、レーザーエネルギー密度が不十分であるか又はスパッタ放出が強いことに起因して、印刷されたシリコンサンプルにボイド又は細孔が存在する。
【0095】
したがって、本開示の完全緻密印刷法は、鋼基板を使用することについて説明している。これは、印刷中に基板に加えられる熱衝撃に起因してシリコン基板にクラックが生じて欠ける可能性があるからである。クラックはZ方向に伝播する可能性があり、それにより、印刷されたサンプルが破壊する場合がある。印刷されたシリコンサンプルへの損傷を回避するために、鋼基板が使用される。鋼の融点はシリコンの融点よりも高いので、シリコン印刷中に鋼が溶融することはない。
【0096】
加えて、完全緻密印刷法では、最初にシリコンの複数のバッファ層が鋼基板上に印刷され、次いで、実際の構成要素用のシリコンの層がバッファ層の上に印刷される。バッファ層が印刷される速度は、構成要素を印刷するためにその後のシリコン層がバッファ層上に印刷される速度よりも速い。これにより、鋼基板とバッファ層上に印刷されたシリコン層との間の熱膨張係数(CTE)の不整合が低減される。バッファ層がないと、鋼基板と、構成要素を製造するために鋼基板上に直接印刷されたシリコン層との間に大きなCTEの不整合が存在する可能性があり、これにより、印刷された構成要素の破損につながる可能性がある。構成要素を構築するために印刷されるシリコン層が、介在するバッファ層なしで鋼基板上に直接印刷される場合に鋼基板とシリコン層との間に発生する可能性のあるCTE不整合を、バッファ層が低減する。
【0097】
更に、完全緻密印刷法では、シリコン層は、以下のような二重印刷法を使用して、バッファ層上に印刷される。バッファ層上に印刷される各シリコン層は2回印刷される(すなわち、2回のパスを使用して)。第1の印刷又はパスでは、層は、第2の印刷又はパスで使用される速度及び出力よりも低い出力のレーザービームを使用して、より速い速度で(すなわち、より短い照射時間のレーザービームで)印刷される。第1の印刷中、低出力は、シリコンを完全に溶融させることはないが、シリコン粒子を結合させる。続いて、第2の印刷中に、低速で高出力のレーザービームが、第1のパスからの材料を、より長い照射時間でスキャンすることにより、第1のパスからの既に結合されたシリコン粒子を完全に溶融し、したがって完全緻密なシリコン層が形成される。したがって、第1の印刷パスは焼結パスと呼ぶことができ、第2の印刷パスは溶融パスと呼ぶことができる。
【0098】
更には、各層における熱応力を均一にするために、各層において、第1のパスにおけるレーザービームの方向は第2のパスにおける方向とは異なり得る。例えば、3つの層A、B、及びCが印刷されることになり、各層が2つのパスP1及びP2を使用して印刷されると想定する。m及びnがそれぞれ、パスP1及びP2の間の、基板に沿ったX-Y平面内でのレーザービームの角度又は向きを度で示すとする。層Aの場合、(m,n)=(0,90);層Bの場合、(m,n)=(45,-45);層Cの場合、(m,n)=(90,0)である。このパターンは、後続の層に対して繰り返される。これにより、層間の熱応力が効果的に低減され、印刷された構成要素においてクラックが防止される。
【0099】
第1のソリューションの二重印刷法はまた、スパッタ放出を低減させる。スパッタ放出は典型的には、印刷チャンバの底を流れる不活性ガスに起因して溶融プールから吹き飛ばされたシリコンの明るい(溶融して空中に浮遊した)粒子を含む。これらの粒子は飛行中に冷却され、風下の印刷されたサンプル上に着地する。これらの粒子は、次の層の印刷中に完全には溶融しない可能性があり、従来の印刷法を使用して印刷された構成要素にボイド又は多孔性を生じさせる可能性がある。対照的に、二重印刷法では、第1の印刷パスにより、これらの放出された粒子は互いに結合され、そしてシリコン粒子に結合され、これらは次いで第2の印刷パス中に完全に溶融する。更に、第1のパスでは低出力のレーザービームが使用されるのでスパッタ放出の量は低減され、第1のパスの間に発生したスパッタ放出はいずれも、第2のパスの間に完全に溶融する。
【0100】
更には、低速で高出力のレーザービームの使用に起因して、第2のパスの間に発生する何らかのスパッタ放出も完全に溶融する。具体的には、最近印刷された領域は、その領域に着地した放出された粒子を溶融させるには、依然として十分に高温である。加えて、放出されたいずれかの粒子が、印刷される領域に着地した場合、これらの粒子は、印刷が続行されてその領域に至った際に、高出力レーザービームにより完全に溶融される。このように、二重印刷法を使用して、多孔性のない完全緻密な構成要素が製造される。
【0101】
完全緻密印刷法では、印刷前に、メッシュを使用してシリコン粉末を濾過(すなわち、選別)して、比較的狭い範囲のサイズを有する粒子を得ることが好ましい。例としてのみ、この範囲は0.5~100μmであり得る。別の例として、この範囲は15~45μmであり得る。これにより、粒子が球形で平滑な表面を有すること、及び粒子の凝集がないことが確実になる。すなわち、濾過された粉末は濾過されていない粉末よりも、基板上の粉末床における流れ及び広がりが良好である。ガス噴霧された濾過されていない粉末が濾過のためにメッシュに注がれるとき、メッシュのフィルターサイズが選択され、メッシュは機械的に振動する。例えば、メッシュは機械的に又は超音波を使用して振動させることができる。
【0102】
印刷後、構成要素は、例えばバッファ層を貫通して切断することにより、鋼基板から分離される。バッファ層を貫通して切断することは比較的容易であり、これは、バッファ層を使用することの追加の利点である。分離された鋼基板は、次の構成要素を製造するための新しいバッファ層を受け入れるために、再仕上げ及び準備され得る。
【0103】
完全緻密印刷法では、バッファ層及び二重印刷法の使用に起因して、鋼基板と印刷されたシリコンとの間の大きなCTE不整合が低減され、印刷されたシリコンにおけるボイドが排除される。例えば、いくつかの初期層がバッファ層上に印刷されている間、バッファ層は、鋼基板と印刷されている層との間のCTEの不整合を低減させて、印刷されたシリコンの破損を防止する。しかしながら、高温ホットゾーンが存在しない従来の金属3Dプリンタにおいて完全緻密印刷法を使用する場合は常に、印刷されたシリコンサンプルに大きな熱応力が依然として存在する。従来の金属3Dプリンタにおいて印刷された全てのシリコンサンプルには、例外なくマイクロクラックが存在する。
【0104】
印刷されたシリコンにおけるマイクロクラックを排除するために、低温度勾配を有する新しい3D印刷装置の設計が本開示で説明される。この設計では、1つ又は複数のヒーターを有する真空チャンバを、優れた断熱性と共に使用して、Si部品の印刷中、インサイチュアニーリング中、冷却中の温度勾配を最小限に抑える。ヒーターは、抵抗性又は誘導性ヒーター、IRランプ放射ヒーター、又は(例えば、青色LEDを使用する)青色光ヒーターのいずれかであり得る。絶縁材料は、硬質炭素繊維絶縁材若しくは軟質黒鉛フェルトのいずれか、又はこれら両方の組み合わせであり得る。高温では炭素及びSi溶融物と酸素との反応性が高いので、システムは真空気密環境内に閉じ込められている。例えば、印刷は、真空チャンバ内で又は不活性ガス(例えば、Ar又はHe)で満たされたチャンバ内で行われる。低熱勾配法は、粉末供給又は粉末床レーザー印刷法のために使用できる。
【0105】
シリコン材料の脆性性質に起因して、熱応力の蓄積を防止するために、シリコン構成要素の印刷及びアニーリング中は、3D印刷用の基板温度は、シリコンのDBTTよりも高い(例えば、1000℃を超える)ことが好ましい。印刷された構成要素もまた、徐冷される。CTE不整合を回避するために、シリコン構成要素の印刷にはシリコン基板が好ましい。本方法は、炭化ケイ素(SiC)、セラミック、アルミナなどの他の脆性材料に適用できる。
【0106】
新規な3D印刷装置は、シリコン、炭化ケイ素、アルミナ、その他のセラミックなどの脆性材料を印刷するために設計されている。現在、従来の3D印刷装置は、延性材料であって熱応力に対してより耐性のある金属を印刷するために設計されている。したがって、エクスサイチュアニーリングを使用して熱応力を低減させることができる。しかしながら、現在の3D印刷装置は、均一に加熱すること、及び基板温度を高く(例えば、>600℃に)維持することが不可能であり、溶融プールの温度がシリコンの融点である1414℃を超えるような、シリコン構成要素を印刷している間に、大きな温度勾配が生じる。加えて、現在使用されている3D印刷プロセスの冷却は高速であり制御されていない。シリコン構成要素の印刷及び冷却中の大きな温度勾配により、従来の金属3D印刷(バッファ層有り又は無しの粉末床印刷又は粉末供給印刷のいずれか)を使用する全ての3D印刷されたシリコンサンプルにマイクロクラックが発生する。3D金属プリンタを使用したとき、クラックフリーの印刷されたシリコンサンプルは観察されていない。マイクロクラックは、エクスサイチュアニーリングでは修復できない。
【0107】
したがって、本開示のクラックフリーの印刷法は、1つ又は複数のヒーターを、優れた断熱性と共に使用して、Siの印刷中、インサイチュアニーリング中、及び、冷却中の温度勾配を最小限に抑えることについて説明している。ヒーターは、抵抗性又は誘導性ヒーター、IRランプ放射ヒーター、又は(例えば、青色LEDを使用する)青色光ヒーターのいずれかであり得る。絶縁材料は、硬質炭素繊維絶縁材若しくは軟質黒鉛フェルトのいずれか、又はこれら両方の組み合わせであり得る。高温では炭素及びSi溶融物と酸素との反応性が高いので、このシステムは真空気密チャンバを使用する。例えば、シリコン構成要素は、真空チャンバ内で又は不活性ガス(例えば、Ar又はHe)で満たされたチャンバ内で印刷される。
【0108】
図4A図5Dを参照して後述するように、クラックフリーの印刷法によれば、チャンバは矩形にすることができ、その内部を硬質断熱プレートが上側と下側、左側と右側、前側と後ろ側で覆っている。代わりに、チャンバを円筒形にすることができ、その内部を硬質絶縁プレートが上側と下側で覆い、周囲の円筒形の壁を硬質絶縁円筒が遮蔽している。絶縁プレート及び円筒はまた、硬質絶縁材/硬質絶縁材、グラファイト/硬質絶縁材、硬質絶縁材/フェルト、グラファイト/フェルト、炭素繊維複合材料(CFC)/フェルトなどの複数の層で作製され得る。フェルトは基本的に、炭素繊維の多数の層で作られた布のような柔らかい材料である。フェルトは、熱が逃げることを防止し、印刷プロセス全体にわたって高温を均一に維持することに役立つ(すなわち、フェルトは、印刷プロセス全体にわたって低熱勾配を維持することに役立つ)。
【0109】
クラックフリーのシリコン印刷法では、後述するように、グラファイト抵抗性ヒーターが好ましく、図4A図5Dに示されるように概略的に配置される。ヒーターを保護するために、1つ以上のグラファイトサセプタ(すなわち、シールド)がサイドヒーターの内側に配置され得る。シリコン粉末は、印刷の各層の完了後に粉末ワイパーにより投入される。全ての層の印刷が完了したとき、印刷されたサンプルはシリコン粉末中に埋め込まれている。シリコン粉末は熱伝導率が低く、印刷された構成要素間の熱伝達を低減させる。
【0110】
シリコン材料の脆性性質に起因して、シリコン構成要素の印刷中に(印刷中にシリコンが延性になるように)、及び熱応力の蓄積を防止するためにアニーリング中に、基板温度がシリコンのDBTTポイント(例えば、>1000℃)よりも大きいことが好ましい。アニーリング温度は、好ましくは1100~1200℃である。冷却は、好ましくは、アニーリング温度から400℃まで5℃/分未満の速度で行われ、その後、不活性ガス(例えば、Ar)の充填が続く。Siを3D印刷するための基板は、CTE不整合及び汚染を回避するために、Si材料でできていることが好ましい。本方法は、セラミック、炭化ケイ素、アルミナなどの他の脆性材料の構成要素を印刷するために使用できる。
【0111】
したがって、ヒーター及び断熱材を使用することにより、本開示のクラックフリーの印刷法は、印刷中及びインサイチュアニーリング中に低温度勾配を維持し、加えて制御された速度での徐冷をもたらし、それにより、熱応力が低減され、印刷されたSi構成要素におけるマイクロクラックが排除される。対照的に、従来の金属3D印刷装置は、600℃を超えるように温度を維持すること及び制御された冷却を実施することができず、これにより高い熱応力が発生し、印刷されたSi部品にマイクロクラックが発生し、役立たなくなる。更に、従来の金属3D印刷装置とは異なり、本開示の印刷法は、Si溶融物の酸化を防止するために真空気密チャンバを使用し、グラファイトベースのヒーター及び炭素繊維ベースの断熱材を使用する。
【0112】
本開示のこれら特徴及び他の特徴が、以下に詳細に説明される。図2A図3Bは、本開示の完全緻密印刷法によるシステム及び方法を示す。図4A図5Dは、本開示のクラックフリー印刷法によるシステム及び方法を示す。
【0113】
図2Aは、本開示の完全緻密印刷法による、シリコンなどの非金属材料の構成要素201を金属基板上に3D印刷するためのシステム200を示す。システム200は、チャンバ202を備える。チャンバ202は、第1のプレート204及び第2のプレート206を備える。第1のプレート204は、構成要素が印刷される基板208を支持している。したがって、第1のプレート204はまた、ビルディングプレート、ビルディングプラットフォーム、印刷プレート、又は別の適切な名前で呼ばれる。
【0114】
第2のプレート206は、非金属材料210(例えば、シリコン粉末)を格納する。各層を印刷する前に、投入バー又は粉末ワイパー212が非金属材料210を基板208に供給する。したがって、第2のプレート206は、供給プレート、投入プレート、又は別の適切な名称で呼ばれる。
【0115】
チャンバ202は、観察窓214を備える。観察窓214は、熱放散を低減するためにフィルムでコーティングされている。チャンバ202はまた、印刷中に基板208に近接して不活性ガスを供給するための入口216及び出口218を備える。不活性ガスの流れの方向は、印刷方向とは反対である。
【0116】
システム200は、レーザー発生器220、レンズ222、及び印刷中にレーザービーム226を基板208に向けるためミラー224を更に備える。示されている例では、不活性ガスは右から左に流れ、印刷方向は左から右である。もちろん、印刷とガスの流れの方向とが反対である限り、これらの方向を逆にすることができる。
【0117】
図2Bは、システム200の追加の要素を示す。システム200は、不活性ガスをチャンバ202に供給するための不活性ガス供給部230を更に備える。システム200は、印刷中に第1のプレート204を下向きに移動させ、第2のプレート206を上向きに移動させるための、プレート移動アセンブリ232を更に備える。システム200は、以下で説明するように、システム200の全ての要素を制御するコントローラ234を更に備える。
【0118】
例えば、システム200は、選択的レーザー溶融(SLM)印刷技術に基づくプリンタと、プラズマ回転電極処理(PREP、以下の図2D及び2Eを参照して説明される)により製造されたシリコン粉末と、を使用して、シリコンを層ごとに印刷する。例えば、400Wのイッテルビウムファイバーレーザーが使用されてよい。例えば、レーザービーム426の焦点スポットの直径は、70μmであってよい。レーザーエネルギーは、ポイントバイポイント照射方法により、焦点面(すなわち、ビルドプレート204の上面の水平面)に送達される。
【0119】
図2Cは、レーザービーム226がどのように焦点面(ビルドプレート204)にエネルギーを送達するかを概略的に示す。示される各円は、焦点面上のレーザービーム226の概略的な投影であり、例えば、70μmの直径を有してよい。レーザービーム226は、各円の上に、照射時間と呼ばれる短時間にわたって留まり、次いで、ある行において水平方向に隣接する円(次の列)に移動する。移動距離は、図2Cに示すように、点距離(例えば、80μm)と呼ばれる。
【0120】
その行が完了すると、レーザービームは次の行に移動する。この移動距離は、図2Cに示すように、ハッチ距離(例えば、60μm)と呼ばれる。各円におけるシリコン粉末の溶融は、レーザービーム226が(照射時間内に)円の上に留まっているときに起こる。このプロセスでは、レーザー出力及び照射時間に応じて、レーザービーム226はシリコンの溶融プールを生成し、そのサイズは円のサイズの約1.5~2倍であり、約2~3層の深さである。したがって、レーザービーム226がX-Y平面内を走査する際にシリコン粉末粒子が溶融され得るように、シリコン粉末粒子は溶融プールにより十分に覆われている。レーザービーム出力、照射時間、ポイント距離、及びハッチ距離の組み合わせが、3D印刷のエネルギー密度を決定する。このプロセスを継続するにつれて、この層における選択された全てのシリコン粉末が溶融する。このプロセスは、全ての層が完了するまで続く。
【0121】
本開示では、シリコンの3D印刷は、以下のように、シリコン粉末、印刷戦略、及び熱応力の側面から制御される。シリコン粉末は、プラズマ回転電極処理(PREP)法により製造され、この方法は、高度に球形のシリコン粒子を有するシリコン粉末を生成し、図2D及び図2Eを参照して説明される。個々のシリコン粒子は滑らかな表面を有し、粒子凝集はない。例えば、粒子サイズは0.5~100μmの範囲にある。別の例として、粒子サイズは15~45μmの範囲にあり得る。
【0122】
図2Dは、PREPを使用して製造されたシリコン粉末のストックからシリコン粉末を選択するためのシステム250の例を示す。システム250は、以下で図2Eを参照して説明されるPREPを使用して製造されたシリコン粉末のストックを供給するフィーダ252を備える。システム250は、第2のメッシュ256の垂直上方に配置された第1のメッシュ254を備える。第1のメッシュ254及び第2のメッシュ256の断面A-A及びB-Bに示すように、第1のメッシュ254の穴は、第2のメッシュ256の穴の直径d2よりも大きい直径d1を有する。
【0123】
フィーダ252は、PREPを使用して製造されたシリコン粉末のストックを第1のメッシュ254に供給する。振動システム258が、第1のメッシュ254及び第2のメッシュ256を振動させる。例えば、振動システム258は、第1のメッシュ254及び第2のメッシュ256を機械的に又は超音波を使用して振動させてもよい。振動によって行われるふるい分けプロセスの終了時点で、直径がd1からd2の間である粒子を有するシリコン粉末が、第2のメッシュ256に残り、これが、構成要素201を印刷するための非金属材料210として使用される。
【0124】
例えば、第1のメッシュ254の穴は、サイズが88μmであってもよく、第2のメッシュ256の穴は、サイズが53μmであってもよい。第1のメッシュ254は、大きすぎる(例えば、サイズが88μmを超える)粒子をふるい分けする。第2のメッシュ256は、小さすぎる(例えば、サイズが53μm未満の)粒子をふるい分けする。第2のメッシュ256に残された粉末が、印刷のために収集される。収集された粉末中の粒子は、粉末供給プリンタの粉末供給ホース(図示せず)を詰まらせることなくスムーズに流れる。
【0125】
代わりに、単純化された粉末ふるい分けプロセスでは、選択されたサイズ(例えば、63μm)の穴を有する1つのメッシュのみが振動システム258と共に使用されて、大きな粒子(例えば、サイズが、>63μm)がふるい分けされてもよい。このようにして、選択されたサイズ(例えば、63μm)よりも小さいサイズのシリコン粉末を取得して、印刷に使用することができる。選択されたサイズよりも小さいサイズの一部の粒子(例えば、40μm~60μm)が、ふるい(すなわち、メッシュ)を通過できない場合がある。この例では、最終的に、粉末粒子の大部分は40μm未満のサイズであるが、印刷に最適な粒子サイズは約32μmである場合がある。
【0126】
一般に、メッシュサイズは、所望の粒子サイズに応じて選択され得ることが理解される。例えば、粒子サイズがxμmとyμmの間であることが望まれ、y>xである場合、第1のメッシュ254の直径d1は、y以上(すなわち、d1≧y)であり、第1のメッシュ254の直径d1は、y以上(すなわち、d1≦x)でなければならない。
【0127】
したがって、2メッシュソリューションは、粉末ストックがどのように製造されたかに制約されることなく使用されてよい(すなわち、ストックは、PREPを使用して製造される必要はない)。シングルメッシュソリューションは、メッシュ穴の直径よりも小さい粒子サイズが許容可能な場合に、噴霧粉供給ストックと共に使用されてよい。一般に、いずれかのソリューションを使用して、比較的狭い範囲(例えば、0.5~100μm)のサイズを有するシリコン粉末が印刷用に選択されてよい。別の例として、いずれかのソリューションを使用して、15~45μmの範囲のサイズを有するシリコン粉末が印刷用に選択されてよい。
【0128】
図2Eは、プラズマ回転電極処理(PREP)法を使用して、シリコンなどの材料の粉末を製造するためのシステム280を示す。システム280は、チャンバ282を備える。チャンバ282を通して不活性ガスが循環される。粉末製造用の材料(例えば、シリコン)で作られた電極284が、モータ286のシャフトに結合されている。プラズマトーチ288が電極284の遠位端を加熱して、モータ286が回転されながら、プラズマ290が発生される。その結果、電極284の遠位端が溶融して溶融液体になる。溶融液体は、回転電極284の遠心力により射出されて液滴292に粉砕される。液滴292は固化して粉末になる。PREP法を使用してこのように製造された粉末は、本開示のシステム及び方法における供給ストックとして使用される。
【0129】
上記のPREP法を使用して製造された粉末などの、粉末又は粒状材料の粒子サイズ分布(PSD)は、値のリストであるか、又はサイズに応じて存在する粒子の相対的な量、典型的には質量、を定義する数学的関数である。PSDを決定する最も一般的な方法はふるい分析であり、この方法では、異なるサイズのふるいで粉末が分離される(例えば、上記の図2Dを参照して説明したように)。したがって、PSDは、離散的なサイズ範囲で定義され、例えば、「45μm~53μmのサンプルの%」は、このようなサイズのふるいが使用される場合に定義される。PSDは通常、サンプル中に存在するほぼ全てのサイズをカバーするサイズ範囲のリストを包含して決定される。いくつかの決定方法では、ふるいを使用して得られるよりも遥かに狭いサイズ範囲を定義することが可能であり、ふるいで利用可能な範囲外の粒子サイズに適用可能である。しかしながら、特定のサイズを超える粒子を保持し、そのサイズを下回る粒子を通過させるふるいの概念は、PSDデータを提示する際に一般的に使用される。
【0130】
PSDは、各サイズ範囲における量が順番にリストされた範囲分析として表現されてよい。PSDはまた、単一の概念的なふるいにより保持された又はそれを通過した全てのサイズの合計がサイズ範囲に与えられる累積形式で示されてもよい。範囲分析は、特定の理想的な中程度の粒子サイズが求められている場合に好適であり、累積分析は、アンダーサイズ又はオーバーサイズの量を制御する必要がある場合に使用される。
【0131】
PSDが決定され得る前に、代表サンプルが取得される。分析される材料が流れている場合、サンプルは、サンプルがストリームと同じ粒子サイズの比率を有するようにストリームから取り出される。好ましくは、全ての時間に対してストリームの一部分が採取されるのではなく、ストリーム全体の多数のサンプルが、一定期間にわたって採取される。サンプリング後、典型的にはサンプル量は低減される必要がある。分析対象の材料はブレンドされ、サンプルは粒度偏析を回避する手法を使用して(例えば、回転分割器を使用して)取り出される。
【0132】
本開示のシステム及び方法で使用されるシリコン粉末の粒子サイズを測定するために、様々なPSD測定技術が使用されてよい。PSD測定技術のいくつかの例を以下に説明する。例えば、ふるい分析は単純で安価な手法である。ふるい分析法は、保持された量がほぼ一定になるまで、ふるいでサンプルを単に震盪することを含んでよい。この手法は、バルク材料に適している。
【0133】
代わりに、写真分析手順により材料が分析されてよい。時間を要し、時には不正確であり得るふるい分析とは異なり、測定対象の材料のサンプルの写真を撮り、ソフトウェアを使用して写真を分析することにより、迅速で正確な測定が可能になる。別の利点は、材料を取り扱うことなく、材料を分析できることである。
【0134】
他の例では、PSDは、計数線に対して寸法出しを行い計数することにより、顕微鏡で測定できる。統計的に有効な分析では、数百万個の粒子が測定される。電子顕微鏡写真の自動分析を使用して、0.2~100μmの範囲内の粒子サイズが決定される。
【0135】
コールターカウンタは、個々の非導電性粒子が通過するときに発生する、オリフィスを通過する液体の導電率の瞬間的な変化を測定できる電気抵抗カウント法の一例である。粒子数は、パルスをカウントすることにより得られる。このパルスは、感知された粒子の体積に比例する。この方法を使用して、非常に少量のサンプルアリコートを検査することができる。
【0136】
他の例には、沈殿手法が含まれる。これらの手法は、粘稠液体中に浮遊する粒子が得る終端速度の研究に基づいている。これらの手法は、沈降速度の関数として粒子サイズを決定する。沈殿時間は、最も細かい粒子の場合に最長となる。したがって、この手法は10μm未満のサイズに役立つ。ブラウン運動の影響に起因して、サブマイクロメートルの粒子を確実に測定することはできない。典型的な測定装置は、サンプルを液体中に分散させ、次いで、一定間隔でカラムの密度を測定する。他の技術は、可視光又はX線を使用して、連続する層の光学密度を決定する。
【0137】
レーザー回折法は、レーザービームが空気中又は液体中の粒子の分散を通過するときに生成される回折光のハローの分析に依存する。粒子サイズが小さくなるのにつれて、回折角は大きくなる。したがって、本方法は、0.1~3,000μmのサイズの測定に特に適している。データ処理及び自動化の進歩に起因して、本方法は産業用のPSD決定において使用される主要な方法である。この手法は比較的高速であり、非常に小さなサンプルで実施できる。この手法は、プロセスストリームを分析するための連続的な測定値を生成できる。レーザー回折は、分散した粒子サンプルをレーザービームが通過する際に、散乱光の強度の角度変化を測定することにより、粒子サイズ分布を測定する。大きな粒子はレーザービームに対して小さな角度で光を散乱し、小さな粒子は大きな角度で光を散乱する。次いで、光散乱のミー理論又はフラウンホーファー近似を使用して、角度散乱強度データが分析されて、散乱パターンの形成に関与した粒子のサイズが計算される。粒子サイズは、体積が等価な球体の直径として報告される。
【0138】
レーザー遮蔽時間(LOT)法、又は遷移時間(TOT)法では、集束されたレーザービームが一定の周波数で回転し、サンプル媒体中の粒子と相互作用する。ランダムにスキャンされた粒子の各々が、専用のフォトダイオードへのレーザービームを遮蔽し、このフォトダイオードが遮蔽時間を測定する。遮蔽時間tは、方程式D=V×t(式中、Vはビームの回転速度)により粒子の直径Dに直接関係する。
【0139】
音響分光法又は超音波減衰分光法では、光の代わりに、この超音波を使用して、流体中に分散された粒子に関する情報を収集する。分散された粒子は超音波を吸収及び散乱する。光のように散乱エネルギー対角度を測定する代わりに、超音波の場合は、伝送エネルギー対周波数を測定する方が良い選択である。結果として得られる超音波減衰周波数スペクトルは、粒子サイズ分布を計算するための生データである。このスペクトルは、希釈及び他のサンプル前処理を行うことなく、あらゆる流体システムについて測定できる。粒子サイズ分布の計算は、分散された粒子の最大50体積%について十分に検証された理論モデルに基づいている。濃度が増加し、粒子サイズがナノスケールに接近するにつれて、従来のモデリングは、実際の減衰スペクトルを正確に反映させるために、剪断波再変換効果を含む必要がある。
【0140】
図2Eに示されるPREPシステムにより生成されたシリコン粉末が、図2Dに示されるシステムを使用してふるい分けされた後、シリコン粒子のPSDが、上述したPSD測定技術のうちの1つ以上を使用して決定される。本開示のシステム及び方法において使用するために選択された粉末は、より高密度でより球形である。例えば、粉末の90重量%は、体積ベースの粒子サイズをD=2×[3×V/(4×π)]^(1/3)と定義すると、0.5~100μmの範囲(又は、別の例では、15~45μmの範囲)の粒子サイズを有する。球体又は球状という用語は、粒子の形状を表すために使用されるが、少なくとも90%の粒子が、測定された(顕微鏡を使用して測定された)最長直径より最大でも5%だけ小さい体積ベースの粒子サイズを有する。
【0141】
印刷は次のように実施される。コントローラ234は、シリコンを印刷するためのチャンバ202内に不活性な印刷雰囲気を作り出す。具体的には、シリコン印刷プロセスは、コントローラ234が、チャンバ202内の空気及び水分を除去するために真空を引くことから始まる。次いで、コントローラ234は、不活性ガス供給部230からの不活性ガス(例えば、アルゴン)でチャンバ202を満たして、印刷中のシリコンの酸化を回避する。コントローラ234は、チャンバ202の底部において、不活性ガスを一方の端部(例えば、216)から別の端部(例えば、218)に循環させる。不活性ガスの流れは、後述するように、スパッタ放出された粒子を、印刷されたサンプルから吹き飛ばす。
【0142】
シリコン基板は、印刷中の熱衝撃に起因して破損して欠ける可能性がある。クラックはz方向に伝播する可能性があり、それにより、印刷された構成要素201が破壊する場合がある。したがって、シリコン構成要素を印刷するためにシリコン基板が使用される場合に、印刷された構成要素に起こり得る損傷を回避するために、鋼基板208が使用される。鋼の融点はシリコンの融点よりも高く、したがってシリコン印刷中に溶融することはない。鋼は基板材料の一例にすぎない。基板に使用される材料の融点が、シリコン(又は構成要素201に印刷するために使用される非金属材料210の融点)よりも大きい限り、他の多数の金属、合金、及び非脆性材料が代わりに基板208として使用され得る。
【0143】
レーザーエネルギーの強度を規定するためにレーザーのエネルギー密度が計算される。具体的には、エネルギー密度は(レーザーパワー×照射時間)/(ポイント距離×ハッチ距離)に等しい。この方程式は、粉末の層の厚さを考慮せずに2Dエネルギー密度を与え、X-Y平面におけるレーザーエネルギーの強度を規定する。
【0144】
本開示では、層の厚さは、レーザーエネルギーの強度を計算するために2Dエネルギー密度のみが必要とされるような値(例えば、30μm)に設定される。エネルギー密度が低すぎると、溶融プールのサイズが小さくなり、層内の全ての粉末粒子を溶融することができない可能性がある。溶融していないシリコン粉末は、冷却中に不連続な溶融プールを形成し、これにより、現在の層において表面粗さ及び細孔が増加する。これは、例えば、エネルギー密度が5μJ/μm2未満の場合に生じる。
【0145】
エネルギー密度が増加するにつれて、溶融プールのサイズは増加し、溶融した液滴の流動性が向上する。印刷された構成要素は細孔より少なくなり、印刷された構成要素の相対密度は増加する。これは、例えば、5~14μJ/μm2のエネルギー密度レベルに対応する。しかしながら、エネルギー密度が更に増加すると、シリコン粉末は過燃焼し、印刷された構成要素の形状の精度が損なわれる可能性がある。
【0146】
本開示では、シリコンを印刷するために、コントローラ234は、例えば、エネルギー密度を、10~14μJ/μm2の範囲で設定してよい。エネルギー密度がこの範囲に設定されると、シリコン粉末は完全に溶融し、印刷されたシリコン構成要素は完全緻密になる。
【0147】
バッファ層228と呼ばれる、シリコンの複数の層(例えば、約50層)が、最初に鋼基板208上に印刷される。バッファ層228の各層は1回印刷され、迅速に印刷される(すなわち、高速レーザー走査により)。例えば、レーザーは200Wに設定されてよく、照射時間は50μsに設定されてよい。この例では、対応するエネルギー密度は2.1μJ/μm2にすぎない。エネルギー密度が低いことに起因して、一部のシリコン粉末が完全に溶融しない場合がある。しかしながら、バッファ層228の目的は、シリコン粉末を完全に溶融することではない。むしろ、既に上で詳細に説明したように、バッファ層228は、鋼基板208と、続いてバッファ層228の上に印刷される印刷されたシリコン構成要素201の下層との間の熱膨張の不一致を回避することができる。
【0148】
バッファ層228を印刷した後、構成要素201の印刷が開始される。構成要素201は、構成要素201の各層に対して二重印刷を使用して、バッファ層228の上に印刷される。例えば、層の第1の印刷(第1の副層の印刷とも呼ばれる)におけるレーザー出力は、240W(バッファ層228を印刷するのに使用された出力よりも高い)に設定されてもよく、照射時間は50μsに設定されてもよい(すなわち、第1の副層も迅速に印刷される;バッファ層228とほぼ同様である)。
【0149】
層の第2の印刷(第2の副層の印刷とも呼ばれる)は、第1の印刷のパスを繰り返す。レーザー出力及び照射時間は、第2の印刷中に増加される(例えば、350W、150μs)。したがって、第2の副層を印刷するためのエネルギー密度は、第1の副層を印刷するためのエネルギー密度よりも大きい。例えば、レーザー出力及び照射時間の上記の例を使用すると、各層の2つの副層の印刷のためのエネルギー密度は、それぞれ、2.5μJ/μm2及び11.0μJ/μm2であってよい。
【0150】
第1の印刷(すなわち、第1の副層の印刷)は、この層中のシリコン粉末の一部を溶融し、更に、構成要素201の形状を画定する。次いで、第2の印刷が、第1の印刷で溶融しなかったシリコン粉末を完全に溶融させる。第2の印刷におけるより高いエネルギー密度はまた、印刷されたシリコン構成要素201の温度を高いレベルに上昇させて、印刷における高速加熱-冷却サイクルにおいて冷却を遅くする。現在印刷されている層の徐冷は、現在印刷されている層のバッファ層228により提供されるものと同様の熱的な目的を、その後に印刷される層に対して提供する。
【0151】
コントローラ234は、シリコン粉末が完全に溶融し、シリコン粉末の過燃焼も回避されるように、第2の印刷のエネルギー密度を選択する。この二重印刷法はまた、印刷された構成要素を粒子のスパッタ放出に起因する汚染から保護し、したがって、以下に説明する、スパッタ放出により誘起される細孔を回避する。
【0152】
スパッタ放出は、各層の印刷中の反跳圧に起因して、シリコン(又は非金属材料210)の明るい(高温の)粒子が溶融プールから放出されるときに発生する。これらの粒子は飛行中に冷却され、風下方向(不活性ガスの流れ方向)にある印刷された構成要素上に着地してよい。例えば、図2Aに示されるように、アルゴンは、チャンバ202の右下(216)から左下(218)に流れてよく、レーザービーム226は、左から右に走査してよく、その結果、スパッタ放出粒子は、印刷される層の左側に(風下方向に)吹き付けられる。したがって、レーザービーム226が左から右に移動すると、放出された粒子の一部は、印刷されている層の左側に着地してよい。着地したスパッタ放出粒子は、一般にシリコン粉末のサイズよりも大きく、次の層の印刷中に、レーザービームによって完全に溶融されることがない可能性がある。これにより、多孔性の問題が生じ、印刷された構成要素の強度が低下する可能性がある。
【0153】
スパッタ放出は、高いエネルギー密度及び/又は低い印刷速度により引き起こされる可能性がある。本開示によれば、層を印刷する二重印刷法は、層の第1の副層を低エネルギー密度のレーザービームで印刷して、第1の印刷における形状を画定する。低いエネルギー密度(例:2.5μJ/μm2)及び速い印刷速度(例:1300mm/s)は、スパッタ放出の強度を低下させる。シリコン粉末の大部分が、このステップで溶融され、レーザービーム226が停止した後、溶融されていないシリコン粉末の周りで固化する。これにより、未溶融の粉末が反跳圧力によりスパッタされることが防止される。次いで、第1の印刷よりも高いエネルギー密度のレーザービームと遅い印刷速度とを用いた第2の印刷(すなわち、第1の副層上への第2の副層の印刷)が、全ての未溶融のシリコン粉末を完全に溶融させ、スパッタ放出の強度が大幅に低減される。二重印刷戦略は、スパッタ放出の強度を効果的に低減し、スパッタ放出により引き起こされる多孔性の問題を大幅に最小限に抑える又は排除する。
【0154】
図3Aは、本開示による、バッファ層及び二重印刷を使用して、非金属材料の構成要素を金属基板上に印刷するための方法300を示す。図3Bは、二重印刷法350を更に詳細に示す。例えば、方法300及び350は、コントローラ234により実施される。
【0155】
図3Aでは、302において、方法300は、PREPを使用して製造されたシリコン粉末のストックを、(例えば、図2Dに示される)1つ以上のメッシュ及び振動システムを使用することにより濾過又はふるい分けする。304において、方法300は、構成要素の層を印刷する前に、非金属材料の複数のバッファ層を金属基板上に印刷する。306において、方法300は、図3Bに詳細に示される二重印刷法350を使用して、各構成要素の層をバッファ層上に印刷する。
【0156】
308において、方法300は、構成要素の全ての層が印刷されたかどうかを判定する。310において、構成要素の全ての層がまだ印刷されていない場合(すなわち、構成要素の印刷がまだ完了していない場合)、方法300は、非金属材料の濾過又はふるい分けされた粉末を粉末床に供給して、構成要素の次の層を印刷し、方法300は306に戻る。312において、構成要素の全ての層が印刷された場合(すなわち、構成要素の印刷が完了した場合)、方法300は、非金属材料の印刷された構成要素を金属基板から分離し、方法300は終了する。
【0157】
図3Bは、二重印刷法350を更に詳細に示す。352において、方法350は、構成要素の層の第1及び第2の副層を印刷するための第1及び第2の角度を選択する。354において、方法352は、第1のパスにおいて、選択された第1の角度に向けられた高速走査する低出力レーザービームを使用して、構成要素の層の第1の副層を印刷する。356において、方法352は、第2のパスにおいて、選択された第2の角度に向けられた低速走査する高出力レーザービームを使用して、構成要素の層の第2の副層を印刷する。
【0158】
358において、方法350は、構成要素の全ての層が印刷されたかどうかを判定する。360において、構成要素の全ての層がまだ印刷されていない場合(すなわち、構成要素の印刷がまだ完了していない場合)、方法350は、構成要素354の次の層を印刷するために使用される第1及び第2の角度のうちの少なくとも1つを変更し、方法350は354に戻る。方法350は、構成要素の全ての層が印刷された場合(すなわち、構成要素の印刷が完了した場合)、終了する。
【0159】
したがって、本開示の第1のソリューションによるシステム200及び方法300の利点は以下を含む。PREPを使用して製造された非金属材料の粉末は、ガス噴霧で製造された従来の粉末と比較して遥かに高い品質を有する。PREPを使用して製造された粉末の粒子もまた、非常に球形であり、表面は平滑である。したがって、PREPを使用して製造された粉末の流動性及び展延性は、ガス噴霧を使用して製造された粉末のものよりも遥かに良好である。更に、粒子の直径は、上述したような1つ以上のメッシュ及び振動を使用して制御及び選択される。
【0160】
金属(例えば、鋼)基板は、印刷されたシリコン構成要素を破損から保護する。理想的には、シリコン基板が基板材料として唯一の又は好ましい候補である。しかしながら、シリコン基板は、印刷中に高い熱負荷(又は高温度勾配)を受けると破損する可能性があり、印刷されたシリコン構成要素を通ってクラックが伝播し、破損を引き起こす可能性がある。延性材料である鋼は、高温度勾配に耐えることができ、破損することがない。
【0161】
バッファ層は、鋼基板と印刷されたシリコンとの間(すなわち、金属基板と、金属基板上に印刷されている、構成要素の非金属層との間)のCTE不整合を低減する。更に、第1の印刷(すなわち、構成要素の各層の第1の副層の印刷)は、構成要素の形状を規定する。大部分のシリコン粉末は第1の印刷で溶融する。溶融プールの散逸は、溶融シリコンに取り囲まれた未溶融シリコン粉末を抑制する。したがって、第1の印刷では、スパッタ放出が大幅に低減されると共に、印刷速度が速くなる。これにより、スパッタ放出により引き起こされる可能性のある、印刷構成要素における細孔やボイドが回避される。次いで、第2の印刷が、未溶融のシリコン粉末を全て完全に溶融させ、次の層の印刷が開始される前に構成要素の温度を高いレベルに上昇させる。
【0162】
図4A図4Cは、本開示のクラックフリーの印刷法に従う、非金属脆性材料の構成要素を同じ非金属材料の基板上に3D印刷するための、粉末床ベースのシステム及び方法を示す。図4Aは、非金属材料の構成要素401を同じ非金属材料の基板上に3D印刷するための粉末床ベースのシステム400を示す。システム400は、チャンバ402を備える。チャンバ402は、第1のプレート404及び第2のプレート406を備える。第1のプレート404は、構成要素401が印刷される基板408を支持している。したがって、第1のプレート404はまた、ビルディングプレート、ビルディングプラットフォーム、印刷プレート、又は別の適切な名前で呼ばれる。
【0163】
第2のプレート406は、非金属材料410を格納する。各層を印刷する前に、投入バー又は粉末ワイパー412が、非金属材料410を基板408に供給する。したがって、第2のプレート406は、供給プレート、投入プレート、又は別の適切な名称で呼ばれる。
【0164】
チャンバ402は、観察窓414を備える。観察窓414は、熱放散を低減するためにフィルムでコーティングされている。チャンバ402はまた、印刷中に基板408に近接して不活性ガスを供給するための入口416及び出口418を備える。不活性ガスの流れの方向は、印刷方向とは反対である。示されている例では、不活性ガスは右から左に流れ、印刷方向は左から右である。もちろん、印刷とガスの流れの方向とが反対である限り、これらの方向を逆にすることができる。システム400は、レーザー発生器420、レンズ422、及び印刷中にレーザービーム426を基板408に向けるためミラー424を更に備える。
【0165】
チャンバ402は、絶縁材料428で断熱されている。絶縁材料428については、以下で更に詳細に説明する。構成要素401の印刷前及び印刷中に基板408を加熱するために、ヒーター430が使用される。第1のプレート404の上部とヒーター430の下部との間に絶縁材料428の層が配置される。印刷中に基板408を取り囲む領域を加熱するために、1つ以上のヒーター432が使用される。基板408を取り囲む領域の温度を感知するために、温度センサ434が使用される。ヒーター430、432は、感知された温度に基づいて制御される。
【0166】
図4Bは、システム400の追加の要素を示す。システム400は、不活性ガスをチャンバ402に供給するための不活性ガス供給部450を更に備える。システム400は、印刷中に第1のプレート404を下向きに移動させ、第2のプレート406を上向きに移動させるための、プレート移動アセンブリ452を更に備える。システム400は、ホットゾーン内で所望の温度を維持するための、(温度/ヒーター電力コントローラ456として示される)電源及び温度コントローラを更に備える。システム400は、以下で説明するように、システム400の全ての要素を制御するコントローラ454を更に備える。
【0167】
現在の3D印刷装置は、延性材料であって熱応力に対してより耐性のある金属を印刷するために設計されている。したがって、エクスサイチュアニーリングを使用して熱応力を低減させることができる。しかしながら、現在の従来の3D印刷装置は、均一な加熱ができず、約600℃を超える基板温度を維持することができない。したがって、溶融池の温度がシリコンの融点(1414℃)よりも高く、隣接するシリコン(すなわち、溶融池に隣接するシリコン)の温度が700℃未満である可能性があるので、これらの機械で印刷されるシリコン構成要素に大きな温度勾配が生じる可能性がある。加えて、現在の3D印刷装置では、冷却は急速であり制御されていない。印刷中の大きな温度勾配と急速なクールダウンとにより、従来の3Dプリンタを使用した3D印刷されたシリコン構成要素にマイクロクラックが発生する。マイクロクラックは、エクスサイチュアニーリングでは修復できない。
【0168】
したがって、システム400は、3D印刷装置に低温度勾配を提供する。システム400は、1つ又は複数のヒーター430、432を断熱材(すなわち、絶縁材料428)と共に使用して、印刷中、インサイチュアニーリング中、及び冷却中の温度勾配を最小限に抑える。ヒーター430、432は、抵抗性又は誘導性ヒーター、赤外線(IR)ランプ放射ヒーター、又は(例えば、青色LEDを使用する)青色光ヒーターのいずれかであり得る。絶縁材料428は、硬質炭素繊維絶縁材若しくは軟質黒鉛フェルトのいずれか、又はこれら両方の組み合わせであり得る。印刷中の高温における炭素及び溶融シリコンと酸素との高い反応性に起因して、システム400は真空気密である必要がある。印刷は、真空において、又はチャンバ402が不活性ガス(例えば、Ar、He)で満たされている不活性環境において行うことが好ましい。
【0169】
一実施形態では、チャンバ402は、形状が矩形であり、硬質絶縁プレート(すなわち、絶縁材料428の硬質プレート)が内部を上側と下側、左側と右側、前側と後ろ側で覆っている。別の実施形態では、チャンバ402は、形状が円筒形であり、硬質絶縁プレートが内部を上側と下側で覆い、硬質絶縁円筒が周囲の円筒壁を遮蔽している。他の形状が考えられる。
【0170】
絶縁プレート又は円筒は、硬質絶縁材/硬質絶縁材、グラファイト/硬質絶縁材、硬質絶縁材/フェルト、グラファイト/フェルト、炭素繊維複合材料(CFC)/フェルトなどの複数の層で作製され得る。フェルトは基本的に、炭素繊維の多数の層で作られた布のような柔らかい材料である。絶縁材は、熱が逃げることを防止し、印刷プロセス全体にわたって高温を均一に維持することに役立つ(すなわち、絶縁材とヒーターは、印刷プロセス全体にわたって低熱勾配を維持することに役立つ)。
【0171】
シリコンの3D印刷には、グラファイト抵抗ヒーターが好ましい。ヒーター432を保護するために、グラファイトサセプタ(すなわちシールド(図示せず))をサイドヒーター432の内部に配置することができる。完全緻密印刷法において説明したようにシリコン粉末が選択されるので、簡潔のために選択プロセスは繰り返さない。シリコン粉末は、各層の印刷が完了した後に粉末ワイパー412により投入される。全ての層の印刷が完了したとき、印刷された構成要素401はシリコン粉末中に埋め込まれている。シリコン粉末はまた、熱が水平方向に放散することを防止することもできる。シリコン粉末は熱伝導率が低く、印刷された構成要素の冷却を僅かに遅らせる。
【0172】
シリコンの脆性であるという性質に起因して、熱応力の蓄積を防止するために、印刷された構成要素401の印刷及びアニーリング中は、3D印刷の基板温度は、シリコンの延性から脆性への転移温度、すなわちDBTTよりも高い(すなわち、1000℃を超える)ことが好ましい。例えば、アニーリング温度は、1100~1200℃であることが好ましい。印刷された構成要素401を制御された速度で徐冷することも好ましい。例えば、冷却は、アニーリング温度から約400℃まで5℃/分未満の速度であることが好ましく、その後、不活性ガス(例えば、Ar)の充填が続く。シリコンの構成要素401の3D印刷用の基板408は、好ましくは、基板408と構成要素401との間のCTEの不整合と、他の材料で作られた基板からの汚染とを回避するためにシリコンで作製される。この概念は、アルミナ、炭化ケイ素、セラミックなどの他の脆性材料に適用できる。
【0173】
図4Cは、本開示の第2のソリューションによる、非金属材料の構成要素(例えば、要素401)を同じ非金属材料の基板(例えば、要素408)上に3D印刷するための粉末床ベースの方法480を示す。例えば、方法480はコントローラ454により実施される。
【0174】
482において、方法480は、断熱されたチャンバ内に真空を作り出す、又は断熱されたチャンバ(例えば、チャンバ402)を不活性ガス(例えば、アルゴン)で満たす。484において、構成要素401の印刷を開始する前に、方法480は、1つ以上のヒーター(例えば、ヒーター430、432)を使用して、基板408と、印刷領域に近接する領域(すなわち、基板408を取り囲む領域)を加熱する。
【0175】
486において、方法480は、濾過又はふるい分けされたシリコン粉末を供給して、基板408上に粉末床を形成する。方法480は、1つ以上のヒーター430、432により供給される熱を維持しながら、レーザービーム426を照射してシリコン粉末の層を印刷する。方法480は、チャンバ402内の(例えば、基板を取り囲む領域の)温度を感知し、基板408及び周囲領域の温度を、シリコン(又は構成要素を印刷するために使用される非金属材料)のDBTTを超える温度に維持する。
【0176】
488において、方法480は、構成要素401の全ての層が印刷されたかどうか(すなわち、構成要素の印刷が完了したかどうか)を判定する。構成要素401の全ての層がまだ印刷されていない場合(すなわち、構成要素の印刷がまだ完了していない場合)、方法480は486に戻る。
【0177】
490において、方法480は、コントローラ454の制御下でヒーター430、432により供給される熱を維持しながら、印刷された構成要素401をアニールする。492において、方法480は、コントローラ454の制御下で、ヒーター430、432、絶縁材428を使用して、そして印刷された構成要素を取り囲むシリコン粉末を使用して、印刷された構成要素401のアニーリング及び冷却を制御し、方法480が終了する。
【0178】
図5A図5Dは、本開示のクラックフリーの印刷法に従う、非金属材料の構成要素を同じ非金属材料の基板上に3D印刷するための、粉末供給に基づくシステム及び方法を示す。図5Aは、非金属材料の構成要素501を同じ非金属材料の基板上に3D印刷するための、粉末供給に基づくシステム500を示す。
【0179】
システム500は、チャンバ502を備える。チャンバ502は壁503を有する。チャンバ502は、絶縁材料508で断熱されている。チャンバ502は、プラットフォーム504を備える。シリコンなどの非金属材料の基板506が、プラットフォーム上に配置されている。基板506の底面とプラットフォーム504の上面との間に、硬質グラファイト絶縁材料508が配置されている。絶縁材料508の上方にヒーター510が配置されている。ヒーター510は、基板506の下に配置され、構成要素501の印刷前及び印刷中に基板506を加熱する。
【0180】
大きな構成要素を印刷又は修復するために、均一な温度フィールドを有する大きなホットゾーンが必要である。基板506の底部にある1つのヒーター510だけでは、印刷領域に大きくて均一な温度フィールドを提供するには十分ではない場合がある。したがって、追加のヒーター511が基板506の上方に配置されて、構成要素501の印刷中に基板506と、基板506の上方のチャンバ502の領域とを加熱する。したがって、1つ以上のヒーターが、基板506の底部、又は基板506とその上方の領域を取り囲む領域、又は両方の領域に配置され得る。
【0181】
レーザーヘッド(印刷ヘッドとも呼ばれる)512は円錐形先端部514を有し、その先端部を通してレーザーヘッド512はレーザービーム516を照射する。レーザーヘッド512はまた、円錐形先端部514を通して非金属材料の粉末518を供給して、粉末518がレーザービーム516を取り囲むようにする。レーザービーム516及び粉末518は、印刷中に基板506に向けられる(すなわち、基板に入射される)。
【0182】
チャンバ502は、観察窓520を備える。観察窓520は、熱放散を低減するためにフィルムでコーティングされている。チャンバ502はまた、印刷中に基板506に近接して不活性ガスを供給するための入口522及び出口524を備える。不活性ガスの流れの方向は、印刷方向とは反対である。示されている例では、不活性ガスは右から左に流れ、印刷方向は左から右である。もちろん、印刷とガスの流れの方向とが反対である限り、これらの方向を逆にすることができる。チャンバ502は、印刷プロセス全体を通して基板506の近傍における温度を感知する温度センサ526を更に備える。ヒーター510は、感知された温度に基づいて制御される。
【0183】
プラットフォーム504(したがって基板506)は、z軸リードスクリュー530を使用して、レーザーヘッド512の軸に沿って垂直に上下させることができる。プラットフォーム504(したがって基板506)は、x軸及びy軸ガントリー532、534を使用して、それぞれ、x軸及びy軸に沿って移動させることができる。図5Bは、チャンバ502の断面A-Aを示す。
【0184】
図5Cは、システム500の追加の要素を示す。システム500は、不活性ガスをチャンバ502に供給するための不活性ガス供給部540を更に備える。システム500は、プラットフォーム504(したがって基板506)を垂直に上下に移動させるためのプラットフォーム移動アセンブリ542を更に備える。システム500は、プラットフォーム504(したがって基板506)を、x及びy軸に沿って移動させるためのガントリーシステム544を更に備える。システム500は、ホットゾーン内で所望の温度を維持するための、(温度/ヒーター電力コントローラ548として示される)電源及び温度コントローラを更に備える。システム500は、以下で説明するように、システム500の全ての要素を制御するコントローラ546を更に備える。
【0185】
システム500は、3D印刷装置に低温度勾配を提供する。システム500は、ヒーター510を断熱材(すなわち、絶縁材料508)と共に使用して、印刷中、インサイチュアニーリング中、及び冷却中の温度勾配を最小限に抑える。ヒーター510は、抵抗性又は誘導性ヒーター、赤外線(IR)ランプ放射ヒーター、又は(例えば、青色LEDを使用する)青色光ヒーターのいずれかであり得る。絶縁材料508は、硬質炭素繊維絶縁材若しくは軟質黒鉛フェルトのいずれか、又はこれら両方の組み合わせであり得る。印刷中の高温における炭素及び溶融シリコンと酸素との高い反応性に起因して、システム500は真空気密である必要がある。印刷は、真空において、又はチャンバ502が不活性ガス(例えば、Ar、He)で満たされている不活性環境において行うことが好ましい。
【0186】
完全緻密印刷法において説明したようにシリコン粉末が選択されるので、簡潔のために選択プロセスは繰り返さない。シリコン粉末518は、各層の印刷中にレーザービーム516と共に投入される。
【0187】
シリコンの脆性であるという性質に起因して、熱応力の蓄積を防止するために、印刷された構成要素501の印刷及びアニーリング中は、3D印刷の基板温度がDBTTよりも高い(すなわち、1000℃を超える)ことが好ましい。例えば、アニーリング温度は、1100~1200℃であることが好ましい。印刷された構成要素501を徐冷することも好ましい。例えば、冷却は、アニーリング温度から約400℃まで5℃/分未満の速度であることが好ましく、その後、不活性ガス(例えば、Ar)の充填が続く。シリコンの構成要素501の3D印刷用の基板506は、好ましくは、基板506と構成要素501との間のCTEの不整合と、他の材料で作られた基板からの起こり得る電位汚染とを回避するためにシリコンで作製される。この概念は、アルミナ、炭化ケイ素、セラミックなどの他の脆性材料に適用できる。
【0188】
図5Dは、本開示のクラックフリーの印刷法に従う、非金属材料の構成要素501を同じ非金属材料の基板506上に3D印刷するための、粉末供給に基づく方法570を示す。例えば、方法570はコントローラ546により実施される。
【0189】
572において、方法570は、断熱されたチャンバ内に真空を作り出す、又は断熱されたチャンバ(例えば、チャンバ502)を不活性ガス(例えば、アルゴン)で満たす。574において、構成要素501の印刷を開始する前に、方法570は、1つ以上のヒーター(例えば、ヒーター510)を使用して、基板506と、印刷領域に近接する領域(すなわち、基板506を取り囲む領域)を加熱する。
【0190】
576において、方法570は、濾過又はふるい分けされたシリコン粉末518をレーザービーム516と共に供給して、1つ以上のヒーター510により供給される熱を維持しながら、シリコン粉末の層を基板506上に印刷する。方法570は、チャンバ502内の(例えば、基板を取り囲む領域の)温度を感知し、基板506及び周囲領域の温度を、シリコン(又は構成要素を印刷するために使用される非金属材料)のDBTTを超える温度に維持する。
【0191】
578において、方法570は、構成要素501の全ての層が印刷されたかどうか(すなわち、構成要素の印刷が完了したかどうか)を判定する。構成要素501の全ての層がまだ印刷されていない場合(すなわち、構成要素の印刷がまだ完了していない場合)、方法570は576に戻る。
【0192】
580において、方法570は、コントローラ546の制御下でヒーター510により供給される熱を維持しながら、印刷された構成要素501をアニールする。582において、方法570は、コントローラ546の制御下で、ヒーター510、絶縁材508を使用して、そして印刷された構成要素を501取り囲むシリコン粉末518を使用して、印刷された構成要素501の冷却を制御し、方法570が終了する。
【0193】
したがって、クラックフリーの印刷法によるシステム400、500及び方法480、570は、金属3D印刷装置にヒーター及び断熱材を追加することを含み、これにより、印刷中及びインサイチュアニーリング中に、温度勾配をより小さく維持すること、並びに、制御された冷却速度で徐冷することが可能になり、これにより、印刷されたシリコン構成要素における熱応力が大幅に低減され、マイクロクラックがなくなる。
【0194】
従来の金属3D印刷装置は、600℃を超えるように温度を維持すること及び制御された冷却を実施することができず、これにより高い熱応力が発生し、印刷されたシリコン構成要素にマイクロクラックが発生し、シリコン構成要素は役立たなくなる。本ソリューションは真空気密チャンバを使用して、溶融シリコン、グラファイトベースのヒーター、及び炭素繊維ベースの断熱材の酸化を防止する。従来の金属3D印刷装置は、真空気密環境又は不活性環境を必要としない。
【0195】
粉末供給システム500では、印刷ヘッド512は静止しており、基板506及びプラットフォーム504は、コントローラ546の制御下で、印刷中に、x、y、及びz軸ガントリーシステム544を使用して移動される。印刷ヘッド512は、(円錐形先端部514の周囲に黒で示されている)グラファイトフェルトにより熱損傷から保護されている。各層を印刷した後に、基板506及びプラットフォーム504はz方向に1層だけ下に移動し、これは印刷が完了するまで続く。観察窓520は、熱放散を低減するためにフィルムでコーティングされている。チャンバ502内の温度は、コントローラ546の制御下で、高温印刷、アニーリング、及びマイクロクラックを回避するための徐冷、のために制御される。
【0196】
前述の説明は本質的に単なる例示に過ぎず、本開示、その適用、又は使用を限定することを意図するものではない。本開示の広範な教示は、様々な形で実現され得る。したがって、本開示は特定の例を含むが、図面、明細書、及び以下の特許請求の範囲を検討すると、他の修正形態が明らかになるであろうから、本開示の真の範囲はそのように限定されるべきではない。方法における1つ以上の工程は、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(又は同時に)実行されてよいことを理解すべきである。
【0197】
更に、実施形態の各々は、特定の特徴を有するものとして上述されているが、本開示の任意の実施形態に関して記載されているこれらの特徴のうちのいずれか1つ以上を、他の実施形態のいずれかに実装することができ、及び/又は、他の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせることができ、その組み合わせは、たとえ明示的に説明されていなくてよい。換言すれば、記載した実施形態は相互排他的ではなく、1つ以上の実施形態の順序を互いに並べ換えることは、本開示の範囲内に留まる。
【0198】
要素間の空間的及び機能的関係(例えば、モジュール間、回路要素間、半導体層間など)は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接する」、「隣の」、「上の」、「上方の」、「下方の」、「配置された」を含む様々な用語を使用して説明される。「直接」であると明示的に記載されていない限り、上述した開示に、第1の要素と第2の要素との間の関係が記載されている場合、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在要素が存在しない直接的な関係であり得るが、1つ以上の介在要素が(空間的又は機能的のいずれかで)第1の要素と第2の要素との間に存在する間接的な関係でもあり得る。
【0199】
本明細書で使用する場合、A、B、及びCのうちの少なくとも1つ、という語句は、非排他的論理和ORを使用した論理(A OR B OR C)を意味すると解釈されるべきであり、「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、及びCのうちの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきではない。
【0200】
いくつかの実現形態では、コントローラは、上述した実施例の一部であってよいシステムの一部である。このようなシステムは、処理ツール(単数又は複数)、チャンバ(単数又は複数)、処理用プラットフォーム(単数又は複数)、及び/又は特定の処理構成要素(ウェハーペデスタル、ガスフローシステムなど)を含む、半導体処理装置を備えることができる。これらシステムは、半導体ウェハー又は基板の処理前、処理中、及び処理後の作業を制御するための電子機器に組み込まれてよい。
【0201】
電子機器は、システム(単数又は複数)の様々な構成要素又は副部品を制御してよい「コントローラ」と呼ばれてよい。コントローラは、処理要件及び/又はシステムのタイプに応じて、処理ガスの送達、温度設定(例えば、加熱及び/又は冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送達設定、位置及び作業設定、特定のシステムと接続しているか又はインターフェースしているツール及び他の搬送ツール並びに/又はロードロックに対するウェハーの搬出入、を含む、本明細書に開示されるプロセスのいずれをも制御するようにプログラムされてよい。
【0202】
大まかに言って、コントローラは、様々な集積回路、ロジック、メモリ、及び/又はソフトウェアを有し、命令を受信し、命令を発行し、作業を制御し、クリーニング作業を有効にし、エンドポイント測定を有効にするような電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、及び/又は1つ以上のマイクロプロセッサ、又はプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラ、を含んでよい。
【0203】
プログラム命令は、様々な個別設定(又はプログラムファイル)の形態でコントローラに通信される命令であって、特定のプロセスを、半導体ウェハー上で若しくは半導体ウェハーに対して、又はシステムに対して実施するための作業パラメータを定義してよい。いくつかの実施形態では、作業パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、及び/又はウェハーダイの作製時に、1つ以上の処理工程を実現するために、プロセスエンジニアにより定義されるレシピの一部であってよい。
【0204】
いくつかの実現形態では、コントローラは、システムに組み込まれた、システムに結合された、若しくはシステムにネットワーク接続された、又はこれらの組み合わせである、コンピュータの一部であるか、又はそのコンピュータに結合されていてよい。例えば、コントローラは「クラウド」内にあるか、又はファブホストコンピュータシステムの全て若しくは一部であってよく、それによりウェハー処理のリモートアクセスが可能になり得る。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造作業の現在の進行状況を監視し、過去の製造作業の履歴を調査し、複数の製造作業から傾向又は性能の指標を調査して、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理工程を設定するか、又は新しいプロセスを開始してよい。
【0205】
いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワーク又はインターネットを含んでよいネットワークを経由して、プロセスレシピをシステムに提供することができる。リモートコンピュータは、パラメータ及び/又は設定の入力若しくはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでよく、パラメータ及び/又は設定は次いで、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラは、1つ以上の作業中に実施される各処理工程のためのパラメータを指定するデータ形式の命令を受信する。パラメータは、実施されるプロセスのタイプ、及びコントローラがインターフェースするか、又は制御するように構成されているツールのタイプに固有のものであってよいことを理解されたい。
【0206】
したがって、上述したように、コントローラは、1つ以上の個別のコントローラを備え、これらが一緒にネットワーク化され、本明細書に記載されるプロセス及び制御などの共通の目的に向けて動作することなどによって分散されてよい。そのような目的のための分散コントローラの例は、遠隔に位置する(例えば、プラットフォームレベルで、又はリモートコンピュータの一部として)1つ以上の集積回路と通信状態にあるチャンバ上の1つ以上の集積回路であってよく、これらが組み合わされてチャンバでのプロセスを制御する。
【0207】
限定するわけではないが、例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバ又はモジュール、堆積チャンバ又はモジュール、スピンリンスチャンバ又はモジュール、金属めっきチャンバ又はモジュール、クリーニングチャンバ又はモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバ又はモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバ又はモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバ又はモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバ又はモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバ又はモジュール、イオン注入チャンバ又はモジュール、トラックチャンバ又はモジュール、及び半導体ウェハーの作製及び/又は製造に関連するか若しくは使用されてよい任意の他の半導体処理システム、を含んでよい。
【0208】
上述したように、ツールにより実施されるプロセス工程に応じて、コントローラは、他のツール回路又はモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接ツール、隣り合うツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、又は半導体製造工場内のツール場所及び/又はロードポートとの間でウェハー容器を搬出入する材料搬送に使用されるツール、のうちの1つ以上と通信し得る。
また、本開示は以下の形態により実現してもよい。
[形態1]
非金属材料の完全緻密な構成要素を印刷するためのシステムであって、前記システムは、
不活性ガスで満たされたチャンバと、
前記チャンバ内に配置されて基板を支持する第1の垂直可動プレートと、
前記第1の垂直可動プレートに隣接して配置された第2の垂直可動プレートであって、
前記非金属材料の粉末を貯蔵し、前記非金属材料の各層を印刷する前に前記基板に前記粉末を投入するように構成されている、第2の垂直可動プレートと、
レーザービームを供給するように構成されたレーザー発生器と、
コントローラであって、
第1の出力及び第1の速度を有する前記レーザービームを使用して、前記非金属材料の前記層の第1の副層を印刷することと、
第2の出力及び第2の速度を有する前記レーザービームを使用して、前記非金属材料の前記層の第2の副層を前記第1の副層上に印刷することと、により、
前記レーザービームを使用して、前記非金属材料の複数の層を前記基板上に印刷し、前記複数の層の上に前記非金属材料の層を印刷して、前記複数の層の上に前記構成要素を構築するように構成され、
前記第1の速度は前記第2の速度よりも大きく、
前記第1の出力は前記第2の出力よりも小さい、コントローラと、
を備えるシステム。
[形態2]
形態1に記載のシステムであって、前記非金属材料は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を有し、
前記直径はふるい分析を使用して測定される、システム。
[形態3]
形態1に記載のシステムであって、前記コントローラは、
第1の方向を有する前記レーザービームを使用して前記第1の副層を印刷し、
前記第1の方向とは異なる第2の方向を有する前記レーザービームを使用して前記第2の副層を印刷するように更に構成されている、システム。
[形態4]
形態1に記載のシステムであって、前記非金属材料は、ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、及びセラミックからなる群から選択される、システム。
[形態5]
形態1に記載のシステムであって、前記システムは、
異なる直径の穴を有する1つ以上のメッシュと、
前記1つ以上のメッシュを振動させるように構成された振動システムと、を更に備え、
前記粉末は、前記1つ以上のメッシュにストックを通すことにより、前記ストックから選択され、
選択された前記粉末は、ふるい分析を使用して測定される0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含む、システム。
[形態6]
形態1に記載のシステムであって、前記基板に近接して配置された入口及び出口を介して、前記不活性ガスを、前記チャンバを通して前記印刷の方向とは反対の方向に流すように構成された、ガス源を更に備える、システム。
[形態7]
形態1に記載のシステムであって、各層を印刷した後に前記第1の垂直可動プレートを下向き方向に移動し、各層を印刷した後に前記第2の垂直可動プレートを上向き方向に移動するように構成された、プレート移動アセンブリを更に備える、システム。
[形態8]
非金属材料の完全緻密な構成要素を基板上に印刷するための方法であって、前記方法は、
第1の出力及び第1の速度を有するレーザービームを使用して、前記非金属材料の前記層の第1の副層を印刷することと、
第2の出力及び第2の速度を有する前記レーザービームを使用して、前記非金属材料の前記層の第2の副層を前記第1の副層上に印刷することと、により、
前記レーザービームを使用して、前記非金属材料の複数の層を前記基板上に印刷することと、
前記非金属材料の層を前記複数の層上に印刷して、前記複数の層上に前記構成要素を構築することと、を含み、
前記第1の速度は前記第2の速度よりも大きく、
前記第1の出力は前記第2の出力よりも小さい、方法。
[形態9]
形態8に記載の方法であって、前記非金属材料は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含み、前記直径はふるい分析を使用して測定される、方法。
[形態10]
形態8に記載の方法であって、
第1の方向を有する前記レーザービームを使用して前記第1の副層を印刷することと、
前記第1の方向とは異なる第2の方向を有する前記レーザービームを使用して前記第2の副層を印刷することと、を更に含む方法。
[形態11]
形態8に記載の方法であって、前記非金属材料は、ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、及びセラミックからなる群から選択される、方法。
[形態12]
形態8に記載の方法であって、各層を印刷する前に、前記非金属材料の粉末の用量を供給することを更に含み、
前記粉末は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含み、
前記直径はふるい分析を使用して測定される、方法。
[形態13]
形態12に記載の方法であって、前記方法は、異なる直径の穴を有する1つ以上のメッシュにストックを通過させること、及び前記1つ以上のメッシュを振動させることにより、前記ストックから前記粉末を選択することを更に含む、方法。
[形態14]
形態8に記載の方法であって、前記印刷の方向とは反対の方向に、前記基板に近接して不活性ガスを流すことを更に含む、方法。
[形態15]
形態8に記載の方法であって、不活性ガスで満たされたチャンバ内で前記構成要素を印刷することを更に含む、方法。
[形態16]
形態8に記載の方法を使用して印刷された、非金属材料の構成要素であって、完全緻密であり多孔性を欠いている、構成要素。
[形態17]
非金属材料の構成要素を基板上に印刷するための方法であって、前記方法は、
レーザービームを使用して、前記非金属材料の複数の層を前記基板上に印刷することであって、
前記複数の層は前記構成要素を構築するためのベースを形成する、ことと、
前記レーザービームを使用して、前記複数の層上に前記非金属材料の1つ以上の層を印刷することにより、前記複数の層上に前記構成要素を構築することと、を含む方法。
[形態18]
形態17に記載の方法であって、前記非金属材料は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含み、前記直径はふるい分析を使用して測定される、方法。
[形態19]
形態17に記載の方法であって、前記1つ以上の層の各層を印刷することは、
第1の出力及び第1の速度を有する前記レーザービームを使用して、前記非金属材料の第1の副層を印刷することと、
第2の出力及び第2の速度を有する前記レーザービームを使用して、前記非金属材料の第2の副層を前記第1の副層上に印刷することと、を含み、
前記第1の速度は前記第2の速度よりも大きく、
前記第1の出力は前記第2の出力よりも小さい、方法。
[形態20]
形態19に記載の方法であって、
第1の方向を有する前記レーザービームを使用して前記第1の副層を印刷することと、
前記第1の方向とは異なる第2の方向を有する前記レーザービームを使用して前記第2の副層を印刷することと、を更に含む方法。
[形態21]
形態17に記載の方法であって、前記非金属材料は、ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、及びセラミックからなる群から選択される、方法。
[形態22]
形態17に記載の方法であって、各層を印刷する前に前記非金属材料の粉末の用量を供給することを更に含み、
前記粉末は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含み、
前記直径はふるい分析を使用して測定される、方法。
[形態23]
形態22に記載の方法であって、前記方法は、異なる直径の穴を有する1つ以上のメッシュにストックを通過させること、及び前記1つ以上のメッシュを振動させることにより、前記ストックから前記粉末を選択することを更に含む、方法。
[形態24]
形態17に記載の方法であって、印刷の方向とは反対の方向に、前記基板に近接して不活性ガスを流すことを更に含む、方法。
[形態25]
形態17に記載の方法を使用して印刷された、非金属材料の構成要素であって、完全緻密であり多孔性を欠いている、構成要素。
[形態26]
非金属材料の完全緻密な構成要素を基板上に印刷するための方法であって、前記方法は、
第1の出力及び第1の速度を有するレーザービームを使用して、前記基板上の前記非金属材料の層の第1の副層を印刷することと、
第2の出力及び第2の速度を有する前記レーザービームを使用して、前記非金属材料の前記層の第2の副層を前記第1の副層上に印刷することと、を含み、
前記第1の速度は前記第2の速度よりも大きく、
前記第1の出力は前記第2の出力よりも小さい、方法。
[形態27]
形態26に記載の方法であって、前記非金属材料は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含み、
前記直径はふるい分析を使用して測定される、方法。
[形態28]
形態26に記載の方法であって、
第1の方向を有する前記レーザービームを使用して前記第1の副層を印刷することと、
前記第1の方向とは異なる第2の方向を有する前記レーザービームを使用して前記第2の副層を印刷することと、を更に含む方法。
[形態29]
形態26に記載の方法であって、前記層を印刷する前に、前記レーザービームを使用して前記基板上に前記非金属材料の複数の層を印刷することを更に含む、方法。
[形態30]
形態29に記載の方法であって、前記複数の層がベースを形成し、前記ベース上に前記層を印刷することにより前記構成要素が構築される、方法。
[形態31]
形態26に記載の方法であって、前記非金属材料は、ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、及びセラミックからなる群から選択される、方法。
[形態32]
形態26に記載の方法であって、各層を印刷する前に、前記非金属材料の粉末の用量を供給することを更に含み、
前記粉末は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含み、
前記直径はふるい分析を使用して測定される、方法。
[形態33]
形態32に記載の方法であって、前記方法は、異なる直径の穴を有する1つ以上のメッシュにストックを通過させること、及び前記1つ以上のメッシュを振動させることにより、前記ストックから前記粉末を選択することを更に含む、方法。
[形態34]
形態26に記載の方法であって、前記印刷の方向とは反対の方向に、前記基板に近接して不活性ガスを流すことを更に含む、方法。
[形態35]
形態26に記載の方法を使用して印刷された、非金属材料の構成要素であって、完全緻密であり多孔性を欠いている、構成要素。
[形態36]
非金属材料の完全緻密でクラックフリーの構成要素を、前記非金属材料で作られた基板上に印刷するためのシステムであって、前記システムは、
完全緻密でクラックフリーの前記構成要素を印刷するためのチャンバであって、断熱されている、チャンバと、
前記チャンバ内に配置されて前記基板を支持する第1の垂直可動プレートと、
前記第1の垂直可動プレートの上部表面上で前記基板の下方に配置された断熱材料と、
前記基板上に前記構成要素を印刷する前に、前記基板及び前記基板を取り囲む前記チャンバの領域を加熱するように構成されたヒーターと、
前記非金属材料の粉末を供給するように構成された粉末フィーダと、
前記印刷中に、前記ヒーターが前記基板及び前記基板を取り囲む前記チャンバの前記領域を加熱し続けている間に、レーザービームを供給して前記非金属材料の層を前記基板上に印刷するように構成されたレーザー発生器と、を更に備える、システム。
[形態37]
形態36に記載のシステムであって、前記粉末が、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含み、
前記直径はふるい分析を使用して測定される、システム。
[形態38]
形態36に記載のシステムであって、前記ヒーターは、前記構成要素の前記印刷及びアニーリング中に、前記基板及び前記基板を取り囲む前記チャンバの前記領域を、前記非金属材料の延性から脆性への転移温度よりも高い温度に加熱するように構成されている、システム。
[形態39]
形態36に記載のシステムであって、前記印刷後、前記チャンバ内の前記構成要素をアニーリングしている間、前記ヒーターは、前記基板及び前記基板を取り囲む前記チャンバの前記領域を加熱し続けるように構成されている、システム。
[形態40]
形態36に記載のシステムであって、前記印刷後、前記構成要素が制御された速度で徐冷されている間、前記構成要素は前記粉末で取り囲まれたままである、システム。
[形態41]
形態36に記載のシステムであって、前記チャンバは1つ以上の絶縁材料の1つ以上の層で断熱されている、システム。
[形態42]
形態36に記載のシステムであって、前記非金属材料は、ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、及びセラミックからなる群から選択される、システム。
[形態43]
形態36に記載のシステムであって、前記ヒーターは、前記基板の下方に配置されている、又は前記基板と前記基板の上方の前記チャンバの前記領域とを取り囲むように配置されている、システム。
[形態44]
形態36に記載のシステムであって、
前記粉末フィーダは、前記第1の垂直可動プレートに隣接して配置された第2の垂直可動プレートを備え、
前記第2の垂直可動プレートは、前記粉末を貯蔵し、前記非金属材料の各層を印刷する前に、前記基板に前記粉末を投入するように構成されている、システム。
[形態45]
形態44に記載のシステムであって、各層を印刷した後に前記第1の垂直可動プレートを下向き方向に移動し、各層を印刷した後に前記第2の垂直可動プレートを上向き方向に移動するように構成された、プレート移動アセンブリを更に備える、システム。
[形態46]
形態36に記載のシステムであって、前記構成要素の前記印刷中に、前記基板の上方の前記チャンバの領域を加熱するように構成された1つ以上の追加のヒーターを更に備える、システム。
[形態47]
形態36に記載のシステムであって、前記粉末フィーダは、前記レーザービームと共に前記粉末を供給して、前記構成要素の前記層を印刷するように構成されている、システム。
[形態48]
形態36に記載のシステムであって、前記構成要素の各層の印刷中に前記粉末フィーダ及び前記レーザー発生器が静止したままである間、前記第1の垂直可動プレートを移動させるように構成されたガントリーシステムを更に備える、システム。
[形態49]
形態36に記載のシステムであって、前記チャンバは真空下にある、システム。
[形態50]
形態36に記載のシステムであって、前記チャンバは不活性ガスで満たされている、システム。
[形態51]
形態36に記載のシステムであって、不活性ガスを、前記基板に近接して配置された入口及び出口を介して、前記チャンバを通して、前記印刷の方向とは反対の方向に流すように構成された、ガス源を更に備える、システム。
[形態52]
形態36に記載のシステムであって、前記システムは、
異なる直径の穴を有する1つ以上のメッシュと、
前記1つ以上のメッシュを振動させるように構成された振動システムと、を更に備え、
前記粉末は、前記1つ以上のメッシュにストックを通すことにより、前記ストックから選択され、
前記1つ以上のメッシュの前記直径は、ふるい分析を使用して測定される0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含む前記選択された粉末を生成するように選択される、システム。
[形態53]
チャンバ内において、非金属材料の完全緻密でクラックフリーの構成要素を、前記非金属材料で作られた基板上に印刷するための方法であって、前記方法は、
前記基板上に前記非金属材料の層を印刷する前に、前記基板及び前記基板を取り囲む前記チャンバの領域を加熱することと、
前記印刷中に、前記基板及び前記基板を取り囲む前記チャンバの前記領域を加熱し続けながら、レーザービームを使用して前記非金属材料の前記層を前記基板上に印刷することと、を含む方法。
[形態54]
形態53に記載の方法であって、前記非金属材料は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を含み、
前記直径はふるい分析を使用して測定される、方法。
[形態55]
形態53に記載の方法であって、前記構成要素の前記印刷及びアニーリング中に、前記基板及び前記基板を取り囲む前記チャンバの前記領域を、前記非金属材料の延性から脆性への転移温度よりも高い温度に加熱するように構成されている、方法。
[形態56]
形態53に記載の方法であって、前記印刷後、前記基板及び前記基板を取り囲む前記チャンバの前記領域を加熱し続けながら、前記チャンバ内の前記構成要素をアニーリング及び徐冷することを更に含む、方法。
[形態57]
形態53に記載の方法であって、前記印刷後に、前記構成要素を前記非金属材料の粉末で取り囲むことにより前記構成要素を冷却する、方法。
[形態58]
形態53に記載の方法であって、1つ以上の絶縁材料の1つ以上の層を使用して前記チャンバを断熱することを更に含む、方法。
[形態59]
形態53に記載の方法であって、前記非金属材料は、ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、及びセラミックからなる群から選択される、方法。
[形態60]
形態53に記載の方法であって、
前記非金属材料の前記層のうちの各層を印刷する前に、前記基板に前記非金属材料を投入することと、
前記投入の後に、前記レーザービームを供給して、前記非金属材料の各層を印刷することと、を更に含む方法。
[形態61]
形態53に記載の方法であって、前記構成要素の前記印刷中に前記基板の上方の前記チャンバの領域を加熱することを更に含む、方法。
[形態62]
形態53に記載の方法であって、前記レーザービームと共に前記非金属材料の粉末を供給して、前記非金属材料の各層を印刷することを更に含む、方法。
[形態63]
形態53に記載の方法であって、前記チャンバ内の真空を維持することを更に含む、方法。
[形態64]
形態53に記載の方法であって、前記チャンバを不活性ガスで満たすことを更に含む、方法。
[形態65]
形態53に記載の方法であって、前記印刷の方向とは反対の方向に、前記基板に近接して不活性ガスを流すことを更に含む、方法。
[形態66]
形態53に記載の方法であって、
異なる直径の穴を有する1つ以上のメッシュにストックを通過させること、及び前記1つ以上のメッシュを振動させることにより、前記ストックから前記非金属材料の粉末を選択すること、を更に含み、
選択された前記粉末は、0.5~100μmの範囲内の直径を有する粒子を備え、
前記直径はふるい分析を使用して測定される、方法。
[形態67]
形態53に記載の方法を使用して印刷された、非金属材料の構成要素であって、完全緻密であり多孔性及びクラックを欠いている、構成要素。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D