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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】錯体
(51)【国際特許分類】
   C07F 19/00 20060101AFI20241219BHJP
   C07F 15/00 20060101ALI20241219BHJP
   C07F 9/54 20060101ALI20241219BHJP
   B01J 31/24 20060101ALI20241219BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
C07F19/00 CSP
C07F15/00 C
C07F9/54
B01J31/24 Z
C07B61/00 300
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022518371
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 GB2020051858
(87)【国際公開番号】W WO2020229848
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】1918871.3
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】カハン、レイチェル
(72)【発明者】
【氏名】ピタック、マテウシュ
(72)【発明者】
【氏名】シーチャーン、カリン
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-527526(JP,A)
【文献】特表2017-526621(JP,A)
【文献】特表2021-521099(JP,A)
【文献】Keith B. Dillon, Thomas C. Waddington and David Younger,Some reactions of phosphine complexes of platinum(0) and palladium(0) with acidic solvents; a phosphorus-31 nuclear magnetic resonance study,Journal of Chemical Society, Dalton Transactions,UK,Royal Society of Chemistry,1975年,1975(9),790-794
【文献】Abdol Reza Hajipour and Ghobad Azizi,The [RPPh][PdX] as a Catalyst Precursor for the Heck Cross-Coupling Reaction by in situ Formation of Stabilized Pd(0) Nanoparticles,Synlett,米国,Georg Thieme Verlag Stuttgart,2013年,24(2),254-258
【文献】Arash Ghorbani-Choghamarani, Ali Naghipour, Fateme Heidarizadi, Roghayeh Shirkhani and Behrouz Notash,Bis[(2-methylacetatobenzyl)tri(p-tolyl)phosphonium] hexabromodipalladate(II); synthesis, characterization, structural study and application as a retrievable heterogeneous catalyst for the amination of aryl halides and Stille cross-coupling reaction,Inorganica Chimica Acta,NL,Elsevier B.V.,2016年03月05日,446,97-102
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
B01J
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[前記式(I)中、Mは、Pd(II)であり、
Xは、ハライドであり、
及びRは独立して、1~20個の炭素原子を有する有機基であるか、又はR及びRは、リン原子を有する環構造を形成するように連結されており、
及びR が独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され、ヘテロ原子が独立して、硫黄、窒素、及び酸素から選択され、
は、1~20個の炭素原子を有する有機基であり、
が、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びメタロセニルからなる群から選択されるが、
但し、R、R、Rは各々、フェニルではない]
の化合物。
【請求項2】
Xが、Cl、Br、又はIである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが、Cl又はBrである、請求項に記載の化合物。
【請求項4】
及びRが独立して、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
PRが、以下の群:
【化2】
【化3】
【化4】

[前記群中、Adはアダマンチルであり、
Cyはシクロヘキシルであり、
Bnはベンジルであり、
Arは2,6ジメトキシフェニルであり、
Mesは2,4,6-トリメチルフェニルである]
から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
式(IA):
[MCl][HPR (IA)
[前記式(IA)中、Mは、Pd(II)であり、
及びRは独立して、1~20個の炭素原子を有する有機基であるか、又はR及びRは、リン原子を有する環構造を形成するように連結されており、
及びR が独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され、ヘテロ原子が独立して、硫黄、窒素、及び酸素から選択され、
は、1~20個の炭素原子を有する有機基であり、
が、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びメタロセニルからなる群から選択されるが、
但し、R、R、及びRは各々、フェニルではない]
の化合物を調製するためのプロセスであって、
式HPdClの化合物を、リガンドPR又はその塩と反応させる工程を含む、プロセス。
【請求項7】
式(IB):
[MX’][HPR (IB)
[前記式(IB)中、Mは、Pd(II)であり、
及びRは独立して、1~20個の炭素原子を有する有機基であるか、又はR及びRは、リン原子を有する環構造を形成するように連結されており、
及びR が独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され、ヘテロ原子が独立して、硫黄、窒素、及び酸素から選択され、
は、1~20個の炭素原子を有する有機基であり、
が、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びメタロセニルからなる群から選択されるが、
但し、R、R、及びRは各々、フェニルではなく、
X’は、ブロミド、ヨージド、又はフルオリドである]
の化合物を調製するためのプロセスであって、
式HPdClの化合物を、リガンドPR又はその塩、及び化合物ZX’(式中、Zは、水素又は一価金属イオンである)と反応させる工程を含む、プロセス。
【請求項8】
触媒の存在下で炭素-炭素カップリング反応を実施するためのプロセスであって、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物の使用を含む、プロセス。
【請求項9】
炭素-炭素カップリング反応を触媒するための、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項10】
触媒の存在下で炭素-ヘテロ原子カップリング反応を実施するためのプロセスであって、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物の使用を含む、プロセス。
【請求項11】
炭素-ヘテロ原子カップリング反応を触媒するための、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遷移金属錯体、及び特に金属(II)二量体錯体に関する。本発明は、錯体を調製するためのプロセス及び交差カップリング反応を触媒するためのその使用に更に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスフィンリガンドを含むパラジウム(II)錯体は、交差カップリング反応のための活性触媒として知られている。例えば、触媒PdCl(AmPhos)、AmPhosPd(クロチル)Cl、XPhosPd(クロチル)Cl、RuPhosPd(クロチル)Cl、及び[BrettPhosPd(クロチル)]OTfは、Johnson Matthey PLCによって市販されている。
【0003】
パラジウム(II)二量体はまた、特定の交差カップリング反応において有用であることが知られている。例えば、Naghipourら(Polyhedron 105(2016)18-26)は、[PdBr][PhPCHCHOC(O)CHがスティル交差カップリング反応に使用され得ることを示している。Evansら(J.Chem.Soc.,Dalton Trans.,2002,2207-2212)は、[Pd][NEtH]がその場で形成され、プレ触媒として使用されることを開示している。
【0004】
本発明者らは、よりグリーンな溶媒を使用する調製の単純経路を有する代替パラジウム(II)錯体を開発した。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、式(I)の化合物を提供し、
【0006】
【化1】
式中、
Mは、Pd(II)又はNi(II)であり、
Xは、ハライドであり、
及びRは独立して、1~20個の炭素原子を有する有機基であるか、又はR及びRは、リン原子を有する環構造を形成するように連結されており、
は、1~20個の炭素原子を有する有機基であるが、
但し、R、R、Rは各々、フェニルではない。
【0007】
本発明は、式(IA)の化合物の調製のためのプロセスを更に提供し、
[MCl][HPR (IA)
式中、M、R、R、及びRは、上で定義されるとおりであり、該プロセスは、式HPdClの化合物を、リガンドPR又はその塩と反応させる工程を含む。
【0008】
本発明は、式(IB)の化合物の調製のためのプロセスを更に提供し、
[MX’][HPR (IB)
式中、M、R、R、及びRは、上で定義されるとおりであり、X’は、ブロミド、ヨージド、又はフルオリドであり、該プロセスは、式HPdClの化合物を、リガンドPR又はその塩、及び化合物ZX’(式中、Zは、水素又は金属である)と反応させる工程を含む。
【0009】
本発明は、触媒の存在下で炭素-炭素カップリング反応を実施するためのプロセスを更に提供し、本プロセスは、上で定義されるような式(I)の化合物の使用を含む。あるいは、本発明は、炭素-炭素カップリング反応を触媒するための、上で定義されるような式(I)の化合物の使用を提供する。
【0010】
本発明は、炭素-ヘテロ原子カップリング反応を実施するためのプロセスを更に提供し、本プロセスは、上で定義されるような式(I)の化合物の使用を含む。あるいは、本発明は、炭素-ヘテロ原子カップリング反応を触媒するための、上で定義されるような式(I)の化合物の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[HSPhos][PdBr]の結晶構造を示す。
図2】[HtBuXPhos][PdCl]の結晶構造を示す。
図3】[HPCy[PdCl]の結晶構造を示す。
図4】[HP(2,4,6-トリメチルフェニル)[PdCl]の結晶構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
部分又は置換基の結合点は、「-」によって表される。例えば、-OHは、酸素原子を介して結合される。
【0013】
「アルキル」は、直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素基を指す。特定の実施形態では、アルキル基は、1~20個の炭素原子を有する。他の実施形態では、アルキル基は、1~15個の炭素原子を有する。他の実施形態では、アルキル基は、1~8個の炭素原子を有する。別途明記されない限り、アルキル基は、任意の好適な炭素原子において結合している。アルキル基は非置換であってもよい。あるいは、アルキル基は、任意の好適な炭素原子において置換され得る。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
「アルコキシ」は、式アルキル-O-又はシクロアルキル-O-の任意選択的に置換された基を指し、式中、アルキル及びシクロアルキルは、本明細書に定義されるとおりである。
【0015】
「アルコキシアルキル」は、式アルコキシ-アルキル-の任意選択的に置換された基を指し、式中、アルコキシ及びアルキルは、本明細書に定義されるとおりである。
【0016】
「シクロアルキル」は、飽和炭素環式炭化水素ラジカルを指す。シクロアルキル基は、単一の環又は複数の縮合環を有してもよい。特定の実施形態では、シクロアルキル基は、3~15個の炭素原子を有する。他の実施形態では、シクロアルキル基は、3~10個の炭素原子を有する。他の実施形態では、シクロアルキル基は、6~10個の炭素原子を有する。別途明記されない限り、シクロアルキル基は、任意の好適な炭素原子において結合している。シクロアルキル基は、非置換であってもよい。あるいは、シクロアルキル基は、任意の好適な炭素原子において置換され得る。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
「アリール」は、芳香族炭素環式基を指す。アリール基は、単一の環又は複数の縮合環を有してもよい。特定の実施形態では、アリール基は、6~20個の炭素原子を有する。他の実施形態では、アリール基は、6~15個の炭素原子を有する。他の実施形態では、アリール基は、6~12個の炭素原子を有する。別途明記されない限り、アリール基は、任意の好適な炭素原子において結合している。アリール基は非置換であってもよい。あるいは、アリール基は、任意の好適な炭素原子において置換され得る。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アントラセニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
「アリールアルキル」は、式アリール-アルキル-の任意選択的に置換された基を指し、式中、アリール及びアルキルは、本明細書に定義されるとおりである。
【0019】
「カップリング」は、2つの分子又は分子の一部が一緒に結合する化学反応を指す(Oxford Dictionary of Chemistry,Sixth Edition,2008)。
【0020】
「ハロ」、「ハライド」、又は「ハル」は、-F、-Cl、-Br、及び-Iを指す。
【0021】
「ヘテロアルキル」は、1つ以上の炭素原子が1つ以上のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、リン、及び/又は硫黄原子)で独立して置き換えられたアルキル基(アルキルは、本明細書に定義される)を指す。別途明記されない限り、ヘテロアルキル基は、任意の好適な原子において結合している。ヘテロアルキル基は非置換であってもよい。あるいは、ヘテロアルキル基は、任意の好適な原子において置換され得る。ヘテロアルキル基の例としては、エーテル、チオエーテル、一級アミン、二級アミン、三級アミンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
「ヘテロシクロアルキル」は、1つ以上の炭素原子が1つ以上のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、リン、及び/又は硫黄原子)で独立して置き換えられたシクロアルキル基(シクロアルキル基は、本明細書に定義される)を指す。別途明記されない限り、ヘテロシクロアルキル基は、任意の好適な原子において結合している。ヘテロシクロアルキル基は非置換であってもよい。あるいは、ヘテロシクロアルキル基は、任意の好適な原子において置換され得る。ヘテロシクロアルキル基の例としては、エポキシド、モルホリニル、ピペラジニル、ピペラジニル、チラニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、チアゾリジニル、チオモルホリニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
「ヘテロアリール」は、1つ以上の炭素原子が1つ以上のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、リン、及び/又は硫黄原子)で独立して置き換えられたアリール基(アリールは、本明細書に定義される)を指す。別途明記されない限り、ヘテロアリール基は、任意の好適な原子において結合している。ヘテロアリール基は非置換であってもよい。あるいは、ヘテロアリール基は、任意の好適な原子において置換され得る。ヘテロアリール基の例としては、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チオフェニル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリミジル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、キノリニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
「メタロセニル」は、遷移金属原子又はイオンが、原子の2つの環の間に「挟まれた」遷移金属錯体基を指す。メタロセニル基は、置換されていても、非置換であってもよい。別途明記されない限り、メタロセニル基は、任意の好適な原子において結合され得、置換される場合、任意の好適な原子において置換され得る。遷移金属原子又はイオンの例としては、クロム、マンガン、コバルト、ルテニウム、オスミウム、ニッケル、及び鉄が挙げられるが、これらに限定されない。原子の好適な環の任意の例は、シクロペンタジエニル環である。メタロセニル基の例としては、2つのシクロペンタジエニル環の間に挟まれたFe(II)イオンを含み、各シクロペンタジエニル環が独立して非置換であっても、置換されていてもよい、フェロセニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
「置換」は、1つ以上の水素原子がそれぞれ、同じであっても異なっていてもよい置換基(例えば、1、2、3、4、5つ又はそれら以上)で独立して置き換えられた基を指す。文脈による別途の要求がない限り、上で定義され、以下で言及されるすべての基は、非置換であっても、又は置換が可能である場合は置換されていてもよい。
詳細な説明
【0026】
ここで、本発明の好ましいかつ/又は任意選択的な特徴が、記載される。本発明のいずれの態様も、文脈による別途の要求がない限り、本発明のいずれの他の態様とも組み合わせることができる。任意の態様の好ましい又は任意選択的な特徴のいずれも、文脈による別途の要求がない限り、本発明の任意の態様とも、単一又は組み合わせで、組み合わせることができる。
【0027】
本発明は、式(I)の化合物を提供し、
【0028】
【化2】
式中、
Mは、Pd(II)又はNi(II)であり、
Xは、ハライドであり、
及びRは独立して、1~20個の炭素原子を有する有機基であるか、又はR及びRは、リン原子を有する環構造を形成するように連結されており、
は、1~20個の炭素原子を有する有機基であるが、
但し、R、R、Rは各々、フェニルではない。
【0029】
好ましくは、Mは、Pdである。
【0030】
Xは、好適にはCl、Br、又はI、より好適にはCl又はBrである。
【0031】
一実施形態では、R及びRは、同じである。
【0032】
代替実施形態では、R及びRは、異なる。
【0033】
本発明の一実施形態では、R及びRは、連結されて、それらが結合しているP原子を有する環構造が形成される。好適には、環構造は、4~7員環である。
【0034】
好適には、R及びRは独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され、ヘテロ原子は独立して、硫黄、窒素、及び酸素から選択される。
【0035】
より好適には、R及びR-は独立して、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択される。
【0036】
又はRの好適なアルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル(例えば、n-ペンチル又はネオペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、又はステアリル(すべて非置換又は置換のいずれか)が挙げられる。
【0037】
又はRの好適なシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はアダマンチル(すべて非置換又は置換のいずれか)が挙げられる。R又はRの好適なアリール基の例としては、フェニル、ナフチル、又はアントラシル(すべて非置換又は置換のいずれか)が挙げられる。
【0038】
又はRの好適なヘテロアリール基の例としては、ピリジル(非置換又は置換のいずれか)が挙げられる。
【0039】
任意のアルキル基又はシクロアルキル基は独立して、各々が同じであっても異なっていてもよい、1つ以上(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基で任意選択的に置換され得る。好適な置換基としては、ハライド(F、Cl、Br、又はI)又はアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、又はプロポキシ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
任意のアリール基又はヘテロアリール基は独立して、各々が同じであっても異なっていてもよい、1つ以上(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基で任意選択的に置換され得る。好適な置換基としては、ハライド(F、Cl、Br、又はI)、直鎖若しくは分岐鎖アルキル(例えば、C-C10)、アルコキシ(例えば、C-C10アルコキシ)、直鎖若しくは分岐鎖(ジアルキル)アミノ(例えば、C-C10ジアルキル)アミノ)、ヘテロシクロアルキル(例えば、モルホリニル及びピペラジニルなどのC3-10ヘテロシクロアルキル基)、又はトリ(ハロ)メチル(例えば、FC-)が挙げられるが、これらに限定されない。好適な置換アリール基としては、2,4,6-トリメチルフェニル及び2,6-ジメトキシフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
好ましくは、R及びRは独立して、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル(例えば、n-ペンチル又はネオペンチル)、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はアダマンチル、及びフェニルからなる群から選択され、各基は、非置換であっても、又は例えば、上述のような1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0042】
より好ましくは、R及びRは独立して、tert-ブチル、n-ブチル、シクロヘキシル、アダマンチル2,4,6-トリメチルフェニル、及び2,6-ジメトキシフェニルからなる群から選択される。
【0043】
好適には、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びメタロセニルからなる群から選択される。
【0044】
好適には、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、及びメタロセニルからなる群から選択される。
【0045】
本発明の第1の態様では、Rは、アルキルである。
【0046】
アルキル基は、各々が同じであっても異なっていてもよい、1つ以上(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基で任意選択的に置換される。好適な置換基としては、ハライド(F、Cl、Br、又はI)、アルコキシ基、(例えば、メトキシ、エトキシ、又はプロポキシ)、及びアリール(それ自体が任意選択的に置換された)(例えば、フェニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
の好適なアルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル(例えば、n-ペンチル又はネオペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシルステアリルが挙げられ、各基は、非置換であっても、又は例えば、上述のような1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0048】
好適なRアルキル基としては、t-ブチル、ヘキシル、及びベンジルが挙げられる。
【0049】
本発明の第2の態様では、Rは、シクロアルキルである。
【0050】
好適には、シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はアダマンチルである。
【0051】
より好適には、シクロアルキル基は、シクロヘキシル又はアダマンチルである。
【0052】
本発明の第3の態様では、Rは、アリールである。
【0053】
好適には、アリール基は、式(II)の基であり、
【0054】
【化3】
式中、
、R、R、R、及びRは独立して、水素、又は1~20個の炭素原子を有する有機基であり、安定性及び原子価の規則によって課される限定まで選択される。
【0055】
好適には、R、R、R、R、及びRは独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、-N(アルキル)(式中、アルキル基は、同じであっても異なっていてもよく、独立して直鎖又は分岐鎖基から選択される)、-N(シクロアルキル)(式中、シクロアルキル基は、同じであっても異なっていてもよい)、-N(アリール)(式中、アリール基は、同じであっても異なっていてもよい)、-N(ヘテロアリール)(式中、ヘテロアリール基は、同じであっても異なっていてもよい)、及びヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される。ヘテロアリール基又はヘテロシクロアルキル基中のヘテロ原子は独立して、硫黄、窒素、及び/又は酸素から選択され得る。
【0056】
より好適には、R、R、R、R、及びRは独立して、水素、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、及び-N(アルキル)(式中、アルキル基は、同じであっても異なっていてもよく、独立して直鎖又は分岐鎖基から選択される)からなる群から選択される。
【0057】
アルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル(例えば、n-ペンチル又はネオペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、又はステアリル、好適には、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、より好適には、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、好ましくは、メチル又はエチルなどの基を含み得る。アルキル基は、ハライド(F、Cl、Br、又はI)、アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、又はプロポキシなどの、各々が同じであっても異なっていてもよい、1つ以上(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基で任意選択的に置換され得る。
【0058】
ヘテロシクロアルキル基は、エポキシド、モルホリニル、ピペラジニル、ピペラキシニル、チラニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イマゾリジニル、チアゾニジニル、チオモルホリニルなどの基を含み得る。好ましくは、ヘテロシクロアルキル基は、モルホリニルである。
【0059】
アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、-O-ペンチル、-O-ヘキシル、-O-ヘプチル、-O-オクチル、-O-ノニル、-O-デシル、-O-ドデシルなどの基を含み得る。好適には、アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、より好適には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、好ましくは、メトキシである。
【0060】
アリール基は、フェニル、ナフチル、及びアントラセニルなどの基、好適には、フェニルを含み得る。アリール基は、各々が同じであっても異なっていてもよい、1つ以上(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基で任意選択的に置換され得る。好適な置換基としては、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、-N(アルキル)(式中、アルキル基は、同じであっても異なっていてもよく、独立して直鎖又は分岐鎖基から選択される)、-N(シクロアルキル)(式中、シクロアルキル基は、同じであっても異なっていてもよい)、-N(アリール)(式中、アリール基は、同じであっても異なっていてもよい)、-N(ヘテロアリール)(式中、ヘテロアリール基は、同じであっても異なっていてもよい)、及びヘテロシクロアルキル基が挙げられるが、これらに限定されない。好適には、置換基は、アルキル又はアルコキシから選択される。好適な置換アリール基としては、2,6-ジメトキシフェニル、2,6-ジイソプロポキシフェニル、及び2,4,6-トリイソプロピルフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
-N(アルキル)基は、-NMe、-NEt、-N(n-Pr)、又は-N(i-Pr)などの基を含み得る。
【0062】
本発明の第3の態様の一実施形態では、R、R、R、及びRは独立して、水素、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、及び-N(アルキル)(式中、アルキル基は、同じであっても異なっていてもよく、独立して直鎖又は分岐鎖基から選択される)、好適には、水素又はアルコキシからなる群から選択され、Rは、式(III)のアリールであり、
【0063】
【化4】
式中、R、R10、R11、R12、及びR13は独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、-N(アルキル)(式中、アルキル基は、同じであっても異なっていてもよく、独立して直鎖又は分岐鎖基から選択される)、-N(シクロアルキル)(式中、シクロアルキル基は、同じであっても異なっていてもよい)、-N(アリール)(式中、アリール基は、同じであっても異なっていてもよい)、-N(ヘテロアリール)(式中、ヘテロアリール基は、同じであっても異なっていてもよい)、及びヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される。ヘテロアリール基又はヘテロシクロアルキル基中のヘテロ原子は独立して、硫黄、窒素、又は/及び酸素から選択され得る。好適には、R、R10、R11、R12、及びR13は独立して、水素、アルキル、及びアルコキシからなる群から選択される。
【0064】
本発明の第3の態様の代替実施形態では、R、R、R、及びRは独立して、水素、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、及び-N(アルキル)(式中、アルキル基は、同じであっても異なっていてもよく、独立して直鎖又は分岐鎖基から選択される)、好適には、水素又はアルコキシからなる群から選択され得、Rは、非置換ヘテロシクロアルキル基、例えば、C4-8ヘテロシクロアルキル基、例えば、ピペリジニル及びモルホリニル、好ましくはモルホリニルである。
【0065】
本発明の第3の態様の更なる実施形態では、R、R、R、及びRは独立して、水素、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、及び-N(アルキル)(式中、アルキル基は、同じであっても異なっていてもよく、独立して直鎖又は分岐鎖基から選択される)、好適には、水素又はアルコキシからなる群から選択され得、Rは、水素である。
【0066】
本発明の第4の態様では、Rは、ヘテロアリールである。ヘテロアリール基は、1つ以上(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の置換基、例えば、ハライド、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、置換若しくは非置換アリール、直鎖若しくは分岐鎖(ジアルキル)アミノ、ヘテロシクロアルキル、又はトリ(ハロ)アルキルで任意選択的に置換され得る。
【0067】
本発明の第5の態様では、Rは、メタロセニルである。好適には、メタロセニル基は、フェロセニルであり、好ましくは、シクロペンタジエニル環が置換される。
【0068】
好適には、PRは、
【0069】
【化5】
【0070】
【化6】
【0071】
【化7】
Ad=アダマンチル
Cy=シクロヘキシル
Bn=ベンジル
Ar=2,6ジメトキシフェニル
Mes=2,4,6-トリメチルフェニルからなる群から選択される。
【0072】
式(I)の化合物は、高収率にHPdClからの単一工程で容易に合成される。X(式(I)の化合物中)がClである場合、本プロセスは、式HPdClの化合物を、リガンドPRと反応させる工程を含む。X(式(I)の化合物中)がCl以外である場合(すなわち、Xが、Br、F、又はIである場合)、本プロセスは、式HPdClの化合物を、リガンドPR、及び化合物ZX’(式中、Zは水素又は一価金属イオン(例えば、Li又はKなど)であり、X’はBr、F、又はIである)と反応させる工程を含む。
【0073】
したがって、本発明の更なる態様は、式(IA)の化合物の調製のためのプロセスを提供し、
[MCl][HPR (IA)
式中、M、R、R、及びRは、上で定義されるとおりであり、該プロセスは、式HPdClの化合物を、リガンドPR又はその塩と反応させる工程を含む。好適な塩としては、塩化物及びテトラホウ酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
本発明の別の態様は、式(IB)の化合物の調製のためのプロセスを提供し、
[MX’][HPR (IB)
式中、M、R、R、及びRは、上で定義されるとおりであり、X’は、ブロミド、ヨージド、又はフルオリド(好適には、ブロミド)であり、該プロセスは、式HPdClの化合物を、リガンドPR又はその塩、及び化合物ZX’(式中、Zは、水素又は一価金属イオン、例えば、Li又はKである)と反応させる工程を含む。好適な塩としては、塩化物及びテトラホウ酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
化合物HPdCl及びリガンドPRは、Johnson Matthey PLC、又はAldrich、Dalchem、TCI Chemicalsなどの任意の他の商業的供給者から市販されている。
【0076】
化合物ZX’は、例えばAldrich、Alfa Aesarなどから市販されている。
【0077】
式HPdClの化合物、リガンドPRが使用される場合、化合物ZX’は、溶媒中で組み合わされる。この場合、溶媒は、任意の好適な非プロトン性溶媒又は非プロトン性溶媒の組み合わせである。非プロトン性溶媒の例は、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン(DCM)、ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリジン(NMP)、ジメタルアセトアミド(DMAc)、メチルtertブチルエーテル(MTBE)、ジエチルエーテル、ユーカリプトール、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、又はエチルアセテートである。あるいは、エタノール、メタノール、若しくは水などのプロトン性溶媒、又はプロトン性/非プロトン性溶媒の組み合わせを使用することができる。溶媒系の選択は、使用される開始材料を知る当業者の能力及び知識内である。
【0078】
一実施形態では、溶媒は、アセトンである。
【0079】
溶媒中の式HPdClの化合物の濃度は、好適には約0.001mol/L~約3.00mol/L、より好適には約0.03mol/L~約2.50mol/L、好ましくは約0.1mol/L~約1.0mol/Lである。
【0080】
任意の好適な量のリガンドPRを使用することができるが、好ましくは、式HPdClの化合物対リガンドPRのモル比は、約15:1~約1:15、好適には約10:1~約1:10、好ましくは約5:1~約1:5である。一実施形態では、式HPdClの化合物対リガンドPRのモル比は、約1.5:1~約1:1.5である。リガンドが溶媒に不溶性である場合、過剰のPd塩が好ましい。
【0081】
ZX’が反応混合物に添加される場合、好適には、式HPdClの化合物及びリガンドPRと比較して過剰に、例えば、少なくとも5モル当量、好適には少なくとも8モル当量が添加される。
【0082】
反応は、好適には、窒素又はアルゴンなどの不活性雰囲気下で実施され、好ましくは、反応は、窒素下で実施される。あるいは、リガンドが安定している場合、反応は、空気中で実施され得る。
【0083】
本発明のプロセスは、-10℃~約100℃、好適には約0℃~約60℃、好ましくは約0℃~約35℃、及びより好ましくは周囲温度(すなわち、約15℃~約30℃、例えば、約18℃~約27℃)の範囲の温度で実施され得る。好ましくは、温度は、分解温度未満に維持され、その結果、式(I)の化合物が上記の温度範囲で分解することが知られている場合、温度は、分解温度未満に維持されるべきである。
【0084】
反応は、約30分~約24時間の期間実施され得る。通常、反応は、約6時間以内、例えば、4時間以内、例えば、1時間以内に完了する。多くの場合、反応は、本質的に瞬間的である。反応が完了した後、得られた懸濁液は濾過され、洗浄され、乾燥される。乾燥は、既知の方法を使用して、例えば、約10℃~約60℃、好ましくは約20℃~約40℃の範囲の温度で、1~30mbarの真空下で1時間~5日間実行され得る。必要に応じて、化合物は、再結晶化され得る。化合物が可溶性である場合、逆溶媒が使用され得る。
【0085】
本発明の化合物は、炭素-炭素カップリング反応に使用され得る。炭素-炭素カップリング反応の例としては、Heck、Suzuki又はNegishi反応、ケトンα-アリール化反応、アルデヒドα-アリール化反応、アリル置換反応、及びトリフルオロメチル化反応が挙げられる。本発明の触媒はまた、炭素-窒素カップリング反応(すなわち、ブッフワルド-ハートウィッグ)又は炭素-酸素若しくは炭素-硫黄カップリング反応などの炭素-ヘテロ原子カップリング反応に使用され得る。
【0086】
したがって、更なる態様では、本発明は、触媒の存在下で炭素-炭素カップリング反応を実施するためのプロセスを提供し、本プロセスは、上で定義されるような式(I)の化合物の使用を含む。あるいは、本発明は、炭素-炭素カップリング反応を触媒するための、上で定義されるような式(I)の化合物の使用を提供する。
【0087】
なお更なる態様では、本発明は、炭素-ヘテロ原子カップリング反応を実施するためのプロセスを提供し、本プロセスは、上で定義されるような式(I)の化合物の使用を含む。あるいは、本発明は、炭素-ヘテロ原子カップリング反応を触媒するための、上で定義されるような式(I)の化合物の使用を提供する。
【0088】
これから、本発明は、以下の非限定的な実施例を用いて更に記載される。
【0089】
実施例1
すべての溶媒及び試薬は、商業的供給元から購入し、受領した状態のままで使用した。すべての触媒、リガンド、又は貴金属前駆体は、Johnson Matthey PLC又は商業的供給元から得た。すべての溶液相のH NMR、13C NMR、31P NMR、及び19F NMRスペクトルを、Bruker Avance DRX-400スペクトル計で、周囲温度で記録し、化学シフト(δ)をppmで表した。H及び13C NMRスペクトルは、NMR溶媒ピーク又は内部TMSを基準にした。31P NMRスペクトルを、外部リン酸標準(Sigma Aldrichから提供されたままの状態のDO中85%)に対してキャリブレーションした。カップリング定数(J)をHzで報告し、以下の略語を使用して見かけのスプリットパターンを指定する:s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)、m(多重項)、br(広域)、app.(見かけ)、及び適切な組み合わせ。固体状態の31P NMRを、Bruker Avance Neoコンソールで、14.1 T(νH)=600MHz)の静磁場強度で取得した。プローブを242:98MHzに調整し、0:9ppmでADPを参照した。既知の質量の粉末試料を、Kel-Fキャップを用いてジルコニアMASローターに充填した。周囲温度精製圧縮空気を使用して、ローターを回転させた。交差偏光(CP)を使用してすべてのスペクトルを記録し、双極子カップリングを介して、Hから31P核に磁化を移した。2msの接触時間を31P実験に使用し、高電力(100kHz)のSPINAL-64デカップリングを、取得中のHチャネルに適用した。
【0090】
単結晶X線回折による分析のための十分なサイズ及び品質の結晶を単離し、Rigaku Oxford Diffraction Supernova Dual Source(Oxford Cryosystems Cobra冷却デバイスを備えた4サイクル回折計)を使用してデータを収集した。実験表に記載のように、CuKα放射線を使用してデータを収集した。Bruker AXS SHELXTLスイート又はOLEX結晶学ソフトウェアを使用して構造を解き、F値に対して精密化した。すべての非水素原子を異方的に精密化した。炭素に結合した水素原子を幾何学的に配置し、ライディング等方性変位パラメータで精密化した。リンに結合した水素原子を差フーリエ合成に位置付けし、等方性変位パラメータで自由に精密化させた。
【0091】
すべてのGCを、Agilent DB-1、20mx0.18mmのカラム、及びCP-8400オートサンプラーを用いてVarian CP-3800ガスクロマトグラフで記録した。すべての試料を、He又はNキャリアガスのいずれかを使用して、標準的な分割注入モードで実行した。酢酸エチル又はアセトニトリル溶離液を使用して試料を実行した。変換を、適切な試薬、生成物、及び不純物の比較組み込みによって決定した。好ましくは、変換を生成物対アリールハライドの比から決定する。
【0092】
[HL][PdCl]二量体を合成するための一般手順A:
撹拌棒及び凝縮器を備えた100mL丸底フラスコに、リガンド又はその塩及びアセトンを充填した。フラスコを窒素でパージし、次いでアセトン中のHPdClの溶液を急速に添加した。混合物を周囲温度(18~27℃)で最低0.5時間撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、次いで空気下で、アセトン、次いでヘプタンを用いて洗浄した。触媒を周囲温度で、真空中で乾燥させた。>40gの触媒を生成する反応について、丸底フラスコ及び撹拌棒を、600mLビーカー又はオーバーヘッド撹拌器を有するジャケット付き反応器のいずれかで置き換えた。
【0093】
[HL][PdBr]二量体を合成するための一般手順B:
撹拌棒及び凝縮器を備えた100mL丸底フラスコに、リガンド又はその塩及びアセトンを充填した。フラスコを窒素でパージし、次いでアセトン中のHPdClの溶液を急速に添加した。混合物を周囲温度(18~27℃)で最低0.5時間撹拌し、次いで脱イオン水中のMBr(M=H、Li、K)の溶液を滴下した。得られた懸濁液を最低90分間撹拌し、次いで濾過した。固体を、空気下で、アセトン、次いでヘプタンを用いて洗浄した。触媒を周囲温度で、真空中で乾燥させた。>40gの触媒を生成する反応について、丸底フラスコ及び撹拌棒を、600mLビーカー又はオーバーヘッド撹拌器を有するジャケット付き反応器のいずれかで置き換えた。
【0094】
【化8】
【0095】
[HAmPhos][PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(12.0gのPd、0.113mol)及びAmPhos(30.0g、0.113mol)を、室温で60分間アセトン(140mL)中で反応させる。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HAmPhos][PdCl](51.4g、95%)をベージュ色の固体として得る。31P固体状態のCPMAS NMRスペクトル:δ(ppm)66.4。C3258ClPdに対する分析計算値:C 40.11;H 6.10;N 2.92。実測値:C 39.86;H 6.12;N 2.83.Pdアッセイw/w%計算値:22.21。実測値21.36。
【0096】
【化9】
【0097】
[HCyAmPhos][PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(0.402gのPd、3.78mmol)及びCyAmPhos(1.19g、3.74mmol)を、室温で60分間アセトン(15mL)中で反応させる。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HCyAmPhos][PdCl](1.63g、83%)をベージュ色の固体として得る。H NMR(CDCl):δ(ppm)7.83(m,2H),7.69(m,2H),3.21(s,6H),2.55(m,2H),2.2-1.0(m,20H)。31P{H}=CDCl中30.2ppm。
【0098】
【化10】
【0099】
[HRuPhos][PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(7.89gのPd、74.1mmol)及びRuPhos(34.5g、73.9mmol)を、室温で70分間アセトン(150mL)中で反応させる。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HRuPhos][PdCl](45.9g、91%)を赤色の固体として得る。H NMR(CDCl):δ(ppm)8.51(dd,J=12.0,7.8Hz,1H),7.92(td,J=7.7,1.3Hz,1H),7.72(t,J=7.6Hz,1H),7.47(t,J=8.4Hz,1H),7.31(dd,J=7.4,1.2Hz,1H),6.77(s,J=8.4Hz,2H),6.02(dt,HP=468Hz,HH=6.7Hz,1H),4.53(七重項(hept),J=6.1Hz,2H),3.28(m,2H),2.15(m,4H),1.9-1.6(m,10H),1.6-1.4(m,4H),1.3-1.2(m,2H),1.24(d,J=Hz,6.1Hz,6H)1.08(d,J=6.0Hz,6H)。13C{H} NMR(CDCl):δ(ppm)156.0,141.8,141.7,134.3,134.2,133.6,133.6,133.0,132.9,131.4,129.2,129.1,118.5,118.5,114.6,113.8,107.8,72.0,29.6,29.2,28.3,28.3,27.4,27.4,25.9,25.8,25.7,25.6,25.2,25.2,22.6,21.9.31P NMR(CDCl):δ(ppm)22.2(d,HP=469Hz)。C6088ClPd:に対する分析計算値:C 52.96;H 6.62;N 0.00.実測値:C 52.91;H 6.57;N 0.00。Pdアッセイw/w%計算値:15.64。実測値15.56。
【0100】
【化11】
【0101】
[HRuPhos][PdBr]:一般的な手順Bに従い、HPdCl溶液(0.524gのPd、4.92mmol)及びRuPhos(2.26g、4.84mmol)を、室温で30分間アセトン(15.0g)中で反応させる。懸濁液に、脱イオン水(5.0g)中のLiBr(1.80g、20.8mmol)の溶液を添加する。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HRuPhos][PdBr](3.9g、97%)を赤色の固体として得る。H NMR(CDCl):δ(ppm)8.47(dd,J=12.0,7.8Hz,1H),7.93(m,1H),7.73(t,J=7.7Hz,1H),7.46(t,J=8.4Hz,1H),7.32(dd,J=7.8,4.4Hz,1H),6.75(d,J=7.9Hz,2H),6.13(dt,HP=470Hz,HH=6.7Hz,1H),4.53(hept,J=6.1Hz,2H),4.39(m,2H),3.30(m,2H),2.18(m,4H),2.0-1.3(m,14H),1.26(d,J=6.1Hz,6H),1.08(d,J=5.9Hz,6H)。31P NMR(CDCl):δ(ppm)21.7(d,HP=470Hz)。
【0102】
【化12】
【0103】
[HSPhos][PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(9.07gのPd、85.3mmol)及びSPhos(35.0g、85.2mmol)を、室温で70分間アセトン(100mL)中で反応させる。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HSPhos][PdCl](49.6g、93%)をオレンジ色の固体として得る。H NMR(CDCl):δ(ppm)8.14(m,1H),7.76(m,2H),7.69(t,J=8.5Hz,1H),7.43(m,1H),6.92(d,J=8.2Hz,2H),6.63(d,HP=490Hz,1H),3.81(s,6H),3.1(m,2H),2.2-1.2(m,20H)。13C{H} NMR(CDCl):δ(ppm)156.8,141.8,141.7,134.0,134.0,133.7,133.6,133.5,133.4,132.5,128.6,128.4,114.5,114.5,105.0,55.8,30.9,29.9,29.5,27.7,27.7,26.8,26.7,26.2,26.0,26.0,25.9,25.2。31P NMR(CDCl):δ(ppm)18.0(d,HP=490Hz)。C5872ClPdに対する分析計算値:C 50.02;H 5.81;N 0.00。実測値:C 50.30;H 5.86;N 0.00。Pdアッセイw/w%計算値:17.05。実測値16.59。
【0104】
【化13】
【0105】
[HSPhos][PdBr]:一般的な手順Bに従い、HPdCl溶液(0.527gのPd、4.96mmol)及びSPhos(2.03g、4.95mmol)を、室温で30分間アセトン(15.0g)中で反応させる。懸濁液に、脱イオン水(5.0g)中のLiBr(1.76g、20.3mmol)の溶液を添加する。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HSPhos][PdBr](3.62g、96%)を赤色の固体として得る。H NMR(CDCl):δ(ppm)8.11(m,1H),7.77(m,2H),7.70(t,J=8.4Hz,1H),7.44(m,1H),6.93(d,J=8.5Hz,2H),6.54(dt,HP=484Hz,HH=6.4Hz,1H),3.81(s,6H),3.13(m,2H),2.2-2.0(m,4H),2.0-1.2(m,16H)。31P NMR(CDCl):δ(ppm)17.9(d,HP=484Hz)。
【0106】
[HSPhos][PdBr]をアセトンから再結晶して、赤色のブロック結晶を得た。非対称単位は、PdBr部分の半分であるHSPhosの1分子及びアセトンの1分子を含有する。実験式:C5884BrPd、配合量:1631.45、温度:100K、波長:1.54178Å、結晶サイズ:0.200×0.200×0.070mm、結晶晶癖:暗赤色カットブロック、結晶系:三斜晶、空間群:P-1、単位格子寸法:a=8.4964(3)Å、b=11.2493(4)Å、c=16.6037(4)Å、α=88.969(2)°、β=78.219(2)°、γ=80.045(3)°、体積:1529.90(8)Å、Z=1、密度(計算値):1.771Mg/m、吸収係数μ:10.200mm-1、F(000):812、データ収集のためのシータ範囲:3.990~70.283°、インデックス範囲:-10≦h≦9、-13≦k≦13、-20≦l≦12、収集反射:29205、独立した反射:5809[R(int)=0.0350]、独立した反射の範囲:100.0%、データ/拘束/パラメータ:5809/0/342、F2に対する適合度:1.068、Δ/σ最大:0.001、最終Rインデックス:5297データ、I>2σ(I)R1=0.0241、wR2=0.0574、すべてのデータ:R1=0.0276、wR2=0.0598、Δρ0.471及び-0.855eÅ-3
【0107】
結晶構造(成長断片)からの[HSPhos][PdBr]の図は、図1に示される。非水素原子の異方性原子変位楕円体は、50%の確率レベルで示される。水素原子は、任意の小さい半径で表示される。
【0108】
【化14】
【0109】
[HXPhos][PdCl]:撹拌棒及び凝縮器を備えた250mL丸底フラスコに、XPhos(10.3g、21.6mmol)及びアセトン(55mL)を充填した。フラスコを窒素でパージし、次いでXPhosが完全に溶解するまで37w/w%のHCl(2.40g、65.9mmol)を滴下した。丸底フラスコに、アセトン(15mL)中のHPdCl(2.33g、21.9mmol)の溶液を急速に添加した。混合物を周囲温度で60分間撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HXPhos][PdCl](2.37g、91%)を桃色の固体として得る。H NMR(CDCl):δ(ppm)9.12(dd,J=12.4,7.8Hz,1H),8.19(m,1H),7.79(m,1H),7.45(dd,J=7.7,4.8Hz,1H),7.45(s,2H),5.71(d,HP=454Hz,1H),3.35(m,2H),2.99(hept,J=6.9Hz,1H),2.4-2.2(m,4H),2.1-1.9(m,4H),1.9-1.6(m,12H),1.5-1.2(m,14H),1.04(d,J=6.6Hz,6H)。13C{H} NMR(CDCl):δ(ppm)150.9,146.6,145.0,144.9,136.6,136.5,134.1,134.0,132.7,132.6,132.0,132.0,130.6,130.4,121.5,114.2,113.4,34.3,30.9,30.7,30.5,28.7,28.7,28.6,28.6,26.4,26.0,25.9,25.9,25.8,25.1,24.0,22.5。31P NMR(CDCl):δ(ppm)20.4(d,HP=452Hz)。C66100ClPdに対する分析計算値:C 57.40;H 7.30;N 0.00。実測値:C 57.68;H 7.51;N 0.00。
【0110】
【化15】
【0111】
[HtBuXPhos][PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(8.31gのPd、78.5mmol)及びtBuXPhos(33.3g、78.3mmol)を、室温で60分間アセトン(100mL)中で反応させる。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HtBuXPhos][PdCl](37.3g、75%)をオレンジ色の固体として得る。反応上清及びアセトン洗浄液を合わせ、濃縮して、オレンジ色の結晶を得た。(7.61g、15%)。H NMR(CDCl):δ(ppm)8.51(dd,J=11.0,8.0Hz,1H),8.30(t,J=7.0Hz,1H),7.86(t,J=7.6Hz,1H),7.54(dd,J=6.9,4.9Hz,1H),7.13(s,2H),5.58(d,HP=446Hz,1H),2.98(hept,J=6.9Hz,1H),2.37(hept,J=6.7Hz,2H),1.77(s,9H),1.73(s,9H),1.32(d,J=6.9Hz,6H),1.26(d,J=6.9Hz,6H),1.02(d,J=6.5Hz,6H)。13C{H} NMR(CDCl):δ(ppm)150.9,146.7,145.8,145.7,135.1,135.0,134.2,134.2,133.9,133.8,131.4,131.3,130.5,130.4,121.6,115.0,114.3,35.9,35.6,34.1,31.0,29.2,26.8,23.9,22.2。31P NMR(CDCl):δ(ppm)32.5(d,HP=463Hz)。C5892ClPdに対する分析計算値:C 54.56;H 7.26;N 0.00。実測値:C 54.14;H 7.22;N 0.00。Pdアッセイw/w%計算値:16.67。実測値16.47。
【0112】
Asymmetric unit contains two independent molecules of HtBuXPhos and one PdClmoiety.実験式:C2946ClPPd;配合量:638.38、温度:100(2)K、波長:1.54178Å、結晶サイズ:0.180×0.150×0.070mm、結晶晶癖:濃いオレンジ色の断片、結晶系:三斜晶、空間群:P-1、単位格子寸法:a=8.5276(2)Åb=9.6987(2)Åc=38.5644(6)Åα=92.1220(10)°β=94.6160(10)°γ=104.303(2)°、体積:3075.29(11)Å、Z=4、密度(計算値):1.379Mg/m、吸収係数μ:7.861mm-1、F(000):1328、データ収集のためのシータ範囲:3.455~70.231°、インデックス範囲:-10≦h ≦10、-11≦k≦11、-39≦l≦47、収集反射:60094、独立した反射:11681[R(int)=0.0433]、独立した反射の範囲:100.0%、データ/拘束/パラメータ:11681/0/645、Goodness-of-fit on F:1.066;Δ/σ最大:0.009、最終Rインデックス:9941データ、I>2σ(I)R1=0.0296、wR2=0.0687、すべてのデータ:R1=0.0387、wR2=0.0742、Δρ:0.657及び-0.492eÅ-3
【0113】
結晶構造からの[HtBuXPhos][PdCl]の図は、図2に示される。非水素原子の異方性原子変位楕円体は、50%の確率レベルで示される。水素原子は、任意の小さい半径で表示される。
【0114】
【化16】
【0115】
[HJohnPhos][PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(0.404gのPd、3.79mmol)及びJohnPhos(1.12g、3.76mmol)を、室温で40分間アセトン(15mL)中で反応させる。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HJohnPhos][PdCl](1.68g、87%)をオレンジ褐色の固体として得る。H NMR(CDCN):δ(ppm)8.00(m,1H),7.92(tt,J=7.7,1.3Hz,1H),7.81(m,1H),7.62(m,1H),7.59(m,3H),7.32(m,2H),6.07(d,HP=470Hz,1H),1.47(s,9H),1.43(s,9H)。13C{H} NMR(CDCN):δ(ppm)149.4,149.3,139.1,139.0,135.1,135.0,133.4,133.3,133.1,133.1,130.1,129.7,129.5,129.5,129.4,114.8,114.1,35.6,35.3,27.8..31P NMR(CDCN):δ(ppm)29.8(m,HP=470Hz)。C4656ClPdに対する分析計算値:C 46.90;H 5.51;N 0.00。実測値:C 46.89;H 5.50;N 0.00。
【0116】
【化17】
【0117】
[HCyJohnPhos][PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(0.401gのPd、3.77mmol)及びCyJohnPhos(1.31g、3.75mmol)を、室温で90分間アセトン(15mL)中で反応させる。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HCyJohnPhos][PdCl](1.77g、83%)をオレンジ褐色の固体として得る。H NMR(CDCl):δ(ppm)8.58(dd,J=12.8,7.8Hz,1H),7.95(t,J=7.4Hz,1H),7.80(t,J=7.6Hz,1H),7.63(m,3H),7.53(dd,J=7.2,4.6Hz,1H),7.29(m,2H),6.85(dt,HP=473Hz,HH=12.3Hz,1H),3.05(m,2H),2.00(s,2H),1.86(m,4H),1.8-1.4(m,12H),1.33(m,2H)。13C{H} NMR(CDCl):δ(ppm)207.0,148.0,148.0,138.6,138.6,135.7,135.6,134.4,134.4,131.8,131.7,130.0,129.9,129.6,129.5,129.2,112.9,112.1,30.9,30.7,30.3,28.6,28.5,27.5,27.5,26.0,25.8,25.1,25.1。31P NMR(CDCl):δ(ppm)20.5(d,HP=474Hz)。C4864ClPdに対する分析計算値:C 51.09;H 5.72;N 0.00。実測値:C 51.52;H 6.00;N 0.00。
【0118】
【化18】
【0119】
[HBrettPhos][PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(7.94gのPd、74.6mmol)及びBrettPhos(40.0g、74.5mmol)を、室温で70分間アセトン(180mL)中で反応させる。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HBrettPhos][PdCl](45.2g、81%)をオレンジ色の固体として得る。H NMR(CDCl):δ(ppm)7.78(m,2H),7.10(s,2H),4.96(dt HP=444Hz,HH=6.2Hz,1H),4.42(s,3H),3.77(s,3H),2.98(hept,J=7.0Hz,2H),2.37(hept J=6.6Hz,1H),2.22(m,2H),1.95(m,2H),1.9-1.5(m,10H),1.59(m,2H),1.4-1.1(m,18H),1.02(d,J=6.4Hz,6H)。13C{H} NMR(CDCl):δ(ppm)155.5,155.4,153.2,153.1,150.4,146.8,134.8,134.7,128.0,128.0,121.3,119.9,112.9,112.8,104.6,103.8,58.4,55.6,34.1,31.8,31.4,30.8,30.0,30.0,28.4,28.4,26.3,26.2,26.2,26.0,25.4,25.1,25.0,23.9,23.3。31P NMR(CDCl):δ(ppm)23.0.0(d,HP=445Hz)。C70108ClPdに対する分析計算値:C 56.01;H 7.25;N 0.00。実測値:C 55.83;H 7.24;N 0.00。Pdアッセイw/w%計算値:14.18。実測値14.06。
【0120】
【化19】
【0121】
[HtBuBrettPhos][PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(7.63gのPd、71.8mmol)及びtBuBrettPhos(34.8g、71.8mmol)を、室温で55分間アセトン(100mL)中で反応させる。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HtBuBrettPhos][PdCl](46.7g、93%)を赤色の固体として得る。反応上清及びアセトン洗浄液を合わせ、脱イオン水と層状にして、赤色の結晶(2.3g、4%)を得た。H NMR(CDCl):δ(ppm)8.05(m,1H),7.95(m,1H),7.06(s,2H),5.11(d,HP=435Hz,1H),4.35(m,3H),3.76(s,3H),2.94(m,1H),2.37(m,2H),1.54(s,9H),1.50(s,9H),1.29(m,6H),1.22(m,6H),0.97(m,6H)。13C{H} NMR(CDCl):δ(ppm)155.2,155.2,155.2,153.7,153.6,150.2,147.3,147.3,147.3,135.2,135.1,127.6,127.6,121.2,120.5,113.4,113.3,105.5,104.8,57.6,57.6,57.5,55.4,37.1,36.8,33.9,31.1,29.6,29.6,25.8,23.8,22.9。31P NMR(CDCl):δ(ppm)44.0(d,HP=436Hz)。C62100ClPdに対する分析計算値:C 53.31;H 7.22;N 0.00。実測値:C 53.34;H 7.29;N 0.00。Pdアッセイw/w%計算値:15.24。実測値15.09。
【0122】
【化20】
【0123】
[HMorDalPhos][PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(0.117gのPd、1.10mmol)及びMorDalPhos(0.500g、1.08mmol)を、室温で110分間アセトン(10mL)中で反応させる。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HMorDalPhos][PdCl(0.663g、94%)を茶色の固体として得る。H NMR(CDCN):δ(ppm)7.88(t,J=7.8Hz,1H),7.82(t,J=8.9Hz,1H),7.74(dd,J=8.0,4.6Hz,1H),7.56(td,J=7.8,2.2Hz,1H),6.78(d,HP=482.4Hz,1H),3.86(t,J=4.5Hz,4H),2.90(m,4H),2.20(s,24H),1.81(s,6H)。13C{H} NMR(CDCN):δ(ppm)158.5,136.7,136.6,134.7,134.6,127.4,127.3,126.4,126.3,112.6,111.8,78.8,66.9,54.4,39.4,39.1,39.0,38.9,35.6,35.6,28.4,28.3。31P NMR(CDCN):δ(ppm)16.16(d,HP=483Hz)。C6086ClPdに対する分析計算値:C 53.19;H 6.40;N 2.07。実測値:C 52.90;H 6.31;N 1.98。
【0124】
【化21】
【0125】
[HQPhos][PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(0.301gのPd、2.83mmol)及びQPhos(2.00g、2.81mmol)を、室温で45分間アセトン(15mL)中で反応させる。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HQPhos][PdCl]を赤色の固体として得る(2.28g、87%)。H NMR(CDCN):δ(ppm)7.28(m,10H),7.19(m,5H),7.13(m,10H),6.11(d,HP=467.4Hz,1H),5.31(m,2H),5.10(m,2H),1.17(s,9H),1.12(s,9H)。13C{H} NMR(CDCN):δ(ppm)135.1,133.6,128.4,128.2,91.1,80.3,62.5,61.7,35.8,28.4。31P NMR(CDCN):δ(ppm)41.1(m,HP=467.6Hz)。C9696FeClPdに対する分析計算値:C 62.36;H 5.23;N 0.00。実測値:C 61.95;H 5.47;N 0.00。
【0126】
【化22】
【0127】
[HPCy[PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(0.404gのPd、3.79mmol)及びPCy(1.05g、3.75mmol)を、室温で45分間アセトン(25mL)中で反応させる。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HPCy[PdCl]及び(PCy)PdClを約9:1の比で得る。H NMR(CDCl):δ(ppm)7.31(d,HP=473.9Hz,1H),2.77(m,3H),2.32(m,6H),2.1-1.2(m,24H)。31P NMR(CDCl):δ(ppm)24.3(m,HP=474.0Hz)。
【0128】
[HPCy[PdCl]をクロロホルムから再結晶して、オレンジ色のプレートを得た。非対称単位は、PdCl部分の半分であるHPCyの1分子及びクロロホルムの1分子を含有する。実験式:C1935ClPPd、配合量:613.54、温度:100(2)K、波長:1.54178Å、結晶サイズ:0.150×0.150×0.005mm、結晶晶癖:淡いオレンジ色のプレート、結晶系:単斜晶、空間群:P2/n、単位格子寸法:a=11.2868(2)Åb=17.1273(4)Åc=13.1224(3)Åα=90°β=93.959(2)°γ=90°、体積:2530.67(9)Å、Z=4、密度(計算値):1.610Mg/m、吸収係数μ:12.368mm-1、F(000):1248、データ収集のためのシータ範囲:4.251~70.246°、インデックス範囲:-13≦h≦13、-18≦k≦20、-15≦l≦15、収集反射:24631、独立した反射:4779[R(int)=0.0574]、独立した反射の範囲:100.0%、データ/拘束/パラメータ:4779/0/248、Fに対する適合度:1.040、Δ/σ最大:0.001、最終Rインデックス:4130データ、I>2σ(I)R1=0.0353、wR2=0.0925、すべてのデータ:R1=0.0427、wR2=0.0992、Δρ:1.213及び-0.896eÅ-3
【0129】
結晶構造(成長断片)からの[HPCy[PdCl]の図は、図3に示される。非水素原子の異方性原子変位楕円体は、50%の確率レベルで示される。水素原子は、任意の小さい半径で表示される。
【0130】
【化23】
【0131】
[HPBu[PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(63mgのPd、0.59mmol)及びPBu(キシレン中12重量%、0.96g、0.57mmol)を、室温で30分間アセトン(2mL)中で反応させる。混合物に水(2mL)を添加し、得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HPBu[PdCl]を赤色の固体として得る。H NMR(CDCl):δ(ppm)7.93(d,HP=461.0Hz,1H),1.91(d,J=15.2Hz,27H),31P NMR(CDCl):δ(ppm)48.2(m,HP=465.8Hz)。
【0132】
【化24】
【0133】
[HPBu hexyl][PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(35mgのPd、0.33mmol)及びジ-tert-ブチル(n-ヘキシル)ホスホニウムテトラホウ酸塩(0.10g、0.32mmol)を、室温で30分間アセトン(2mL)中で反応させる。混合物に水(2mL)を添加し、生成物を15分かけて沈殿させる。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HPBu ヘキシル][PdCl]をオレンジ色の固体として得る(0.11g、75%)。H NMR(CDCl):δ(ppm)7.70(d,HP=471.6Hz,1H),2.45(m,2H),2.15(m,2H),1.76(d,J=16.2Hz,18H),1.61(m,2H),1.40(m,4H),0.91(t,J=7.0Hz,3H)。31P NMR(CDCl):δ(ppm)40.1(m,HP=472.7Hz)。
【0134】
【化25】
【0135】
[HPAd[PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(31mgのPd、0.29mmol)及びPAd(125mg、0.29mmol)を、室温で60分間アセトン(4mL)中で反応させる。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HPAd[PdCl]をオレンジ色の固体として得る(136mg、72%)。H NMR(CDCl):δ(ppm)7.28(d,HP=450.2Hz,1H),2.84(s,12H),2.3-2.1(m,13H),2.02(m,6H),1.82(m,6H),1.66(m,8H)。31P NMR(CDCl):δ(ppm)25.9(m,HP=447.7Hz)。
【0136】
【化26】
【0137】
[HCataCXiumA][PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(39mgのPd、0.37mmol)及びCataCXiumA(133mg、0.37mmol)を、室温で40分間アセトン(4mL)中で反応させる。混合物に水(1mL)を添加し、得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HCataCXiumA][PdCl]をオレンジ色の固体として得る(148mg、68%)。H NMR(CDCl):δ(ppm)7.29(d,HP=464.6Hz,1H),2.6-2.4(m,11H),2.25(s,4H),2.1-1.9(m,6H),1.85(m,4H),1.64(m,2H),1.29(m,6H),1.05(m,3H),0.89(m,3H)。31P NMR(CDCl):δ(ppm)29.8(m,HP=464.6Hz)。
【0138】
【化27】
【0139】
[HCataCXiumABn][PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(38mgのPd、0.36mmol)及びCataCXiumABn(137mg、0.35mmol)を、室温で40分間アセトン(2mL)中で反応させる。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HCataCXiumABn][PdCl]をベージュ色の固体として得る(175mg、82%)。H NMR(CDCl):δ(ppm)7.5-7.3(m,5H),5.58(dt,HP=457.2Hz,HH=5.5Hz,1H),3.73(dd,J=12.7,5.5Hz,2H),2.2-2.0(m,18H),1.84(m,12H)。31P NMR(CDCl):δ(ppm)37.5(m,HP=458.0Hz)。
【0140】
【化28】
【0141】
[HP(2,6-ジメトキシフェニル)[PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(0.13gのPd、1.16mmol)及びトリス(2,6-ジメトキシフェニル)ホスフィン(0.51g、1.16mmol)を、室温で60分間アセトン(4mL)中で反応させる。得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HP(2,6-ジメトキシフェニル)[PdCl]をオレンジ色の固体として得る(0.667g、87%)。H NMR(CDCN):δ(ppm)8.53(d,HP=548.5Hz,1H),7.64(t,J=8.4Hz,3H),6.76(d,J=8.4Hz,3H),6.74(d,J=8.5Hz,3H),3.67(s,18H).31P NMR(CDCN):δ(ppm)-51.1(d,HP=548.7Hz).(Ar=2,6-ジメトキシフェニル)
【0142】
【化29】
【0143】
[HP(2,4,6-トリメチルフェニル)[PdCl]:一般的な手順Aに従い、HPdCl溶液(0.11gのPd、1.07mmol)及びトリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン(0.41g、1.06mmol)を、室温で30分間アセトン(6mL)中で反応させる。混合物に水(5mL)を添加し、得られた懸濁液を濾過し、洗浄し、乾燥させて、[HP(2,4,6-トリメチルフェニル)[PdCl]を赤色の固体として得る(0.52g、81%)。母液及びアセトン洗浄液を合わせ、濃縮して、オレンジ色の結晶を得た。H NMR(CDCl):δ(ppm)8.81(d,HP=499.3Hz,1H),7.15(m,br,6H),2.66(s,br 9H),2.41(s,9H),2.04(s,9H)。31P NMR(CDCl):δ(ppm)-26.4(d,HP=499.5.7Hz)。
【0144】
非対称単位は、HP(2,4,6-トリメチルフェニル)の2つの独立した分子及び1つのPdCl部分を含有する。実験式:C2734ClPPd、配合量:602.26、温度:100(2)K、波長:1.54178Å、結晶サイズ:0.180×0.060×0.060mm、結晶晶癖:濃いオレンジ色の断片、結晶系:単斜晶、空間群:P2/c、単位格子寸法:a=14.43655(17)Åb=25.5543(3)Åc=15.31900(19)Åα=90°β=108.3280(13)°γ=90°、体積:5364.73(12)Å、Z=8、密度(計算値):1.491Mg/m、吸収係数:8.985mm-1、F(000):2464、データ収集のためのシータ範囲:3.459~70.251°、インデックス範囲:-17≦h≦14、-30≦k≦30、-18≦l≦18、収集反射:53878、独立した反射:10155[R(int)=0.0521]、独立した反射の範囲:99.9%、=データ/拘束/パラメータ:10155/0/603、F2に対する適合度:1.051、Δ/σ最大:0.004、最終Rインデックス8700データ、I>2σ(I)R1=0.0304、wR2=0.0714、すべてのデータ:R1=0.0391、wR2=0.0769、=Δρ:0.633及び-0.419eÅ-3
【0145】
結晶構造からの[HP(2,4,6-トリメチルフェニル)[PdCl]の図(非対称部分)は、図4に示される。非水素原子の異方性原子変位楕円体は、50%の確率レベルで示される。水素原子は、任意の小さい半径で表示される。
【0146】
実施例2:ケトンのαアリール化
【0147】
【化30】
【0148】
撹拌棒及びPTFE直面シリコーンセプタムを有するポリプロピレンキャップを備えた4mLバイアルを、グローブボックス内で触媒及びNaOBu(2.5mmol)で充填した。ベンチ5-クロロ-1,5-ジメチルピラゾール(1.0mmol)上で、1-テトラロン(1.3mmol)及びジオキサン(2mL)を、針を介して添加した。バイアルを100℃で予熱したアルミニウムブロックに配置し、22時間撹拌した。室温に冷却した後、アリコートを酢酸エチルで希釈し、GC分析のために濾過した。
【0149】
【表1】
2回の実行にわたる平均変換
【0150】
実施例3:塩化ヘテロアリールのHeckアルキニル化
【0151】
【化31】
【0152】
撹拌棒及びPTFE直面シリコーンセプタムを有するポリプロピレンキャップを備えた4mLバイアルを、グローブボックス内で触媒及びCsCO(2.2mmol)で充填した。ベンチ5-クロロ-1,5-ジメチルピラゾール(1.0mmol)上で、1-デシン(1.3mmol)及びアセトニトリル(2mL)を、針を介して添加した。バイアルを90℃で予熱したアルミニウムブロックに配置し、5時間撹拌した。室温に冷却した後、アリコートを酢酸エチルで希釈し、GC分析のために濾過した。
【0153】
【表2】
2回の実行にわたる平均変換
【0154】
実施例4:塩化ヘテロアリールのSuzuki-Miyauraカップリング
【0155】
【化32】
【0156】
撹拌棒及びPTFE直面シリコーンセプタムを有するポリプロピレンキャップを備えた4mLバイアルを、グローブボックス内で触媒及びKPO(3.1mmol)及び3-チエニルボロン酸(2.3mmol)で充填した。ベンチ5-クロロ-1,5-ジメチルピラゾール(1.5mmol)上で、THF(1.0mL)及び水(2.0mL)を、針を介して添加した。バイアルを40℃で予熱したアルミニウムブロックに配置し、3時間撹拌した。室温に冷却した後、アリコートを酢酸エチルで希釈し、GC分析のために濾過した。
【0157】
【表3】
2回の実行にわたる平均変換
【0158】
実施例5:4-クロロアニソールのアミノ化
【0159】
【化33】
【0160】
撹拌棒及びPTFE直面シリコーンセプタムを有するポリプロピレンキャップを備えた4mLバイアルを、グローブボックス内で触媒及びNaOBu(2.4mmol)で充填した。ベンチ4-クロロアニソール(2.0mmol)上で、モルホリン(2.4mmol)及びTHF(2mL)を、針を介して添加した。バイアルを80℃で予熱したアルミニウムブロックに配置し、4時間撹拌した。室温に冷却した後、アリコートをアセトニトリルで希釈し、GC分析のために濾過した。
【0161】
【表4】
2回の実行にわたる平均変換
【0162】
比較例で使用される触媒(市販又はJohnson Matthey PLCから入手可能)
Pd-111:酢酸パラジウム
Pd-132:PdCl(AmPhos)
Pd-161:AmPhos Pd(クロチル)Cl
Pd-170:XPhos Pd(クロチル)Cl
Pd-171:RuPhos Pd(クロチル)Cl
Pd-173:[BrettPhos Pd(クロチル)]OTf
G3パラダサイクル:
【0163】
【化34】
AmPhos G3:L=AmPhos
RuPhos G3:L=RuPhos
XPhos G3:L=XPhos
BrettPhos G3:L=BrettPhos
G4パラダサイクル:
【0164】
【化35】
AmPhos G4:L=AmPhos
XPhos G4:L=XPhos
【0165】
本発明の更なる態様及び特徴を以下の条項に記載する。
1. 式(I)の化合物であって、
【0166】
【化36】
式中、Mは、Pd(II)又はNi(II)であり、
Xは、ハライドであり、
及びRは独立して、1~20個の炭素原子を有する有機基であるか、又はR及びRは、リン原子を有する環構造を形成するように連結されており、
は、1~20個の炭素原子を有する有機基であるが、
但し、R、R、Rは各々、フェニルではない、化合物。
【0167】
2. Mが、Pdである、条項1に記載の化合物。
【0168】
3. Xが、Cl、Br、又はIである、条項1又は2に記載の化合物。
【0169】
4. Xが、Cl又はBrである、条項3に記載の化合物。
【0170】
5. R及びRが、同じである、条項1~4のいずれか1つに記載の化合物。
【0171】
6. R及びRが、異なる、条項1~4のいずれか1つに記載の化合物。
【0172】
7. R及びRが、連結されて、それらが結合しているP原子を有する環構造が形成される、条項1~6のいずれか1つに記載の化合物。
【0173】
8. 環構造が、4~7員環である、条項7に記載の化合物。
【0174】
9. R及びRが独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され、ヘテロ原子が独立して、硫黄、窒素、及び酸素から選択される、条項1~8のいずれか1つに記載の化合物。
【0175】
10. R及びRが独立して、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択される、条項9に記載の化合物。
【0176】
11. アルキル基が、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル(例えば、n-ペンチル又はネオペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、又はステアリルから選択される、条項9又は10に記載の化合物。
【0177】
12. シクロアルキル基が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はアダマンチルから選択される、条項9~11のいずれか1つに記載の化合物。
【0178】
13. アリール基が、フェニル、ナフチル、又はアントラシルから選択される、条項9~12のいずれか1つに記載の化合物。
【0179】
14. ヘテロアリール基が、ピリジルである、条項9~13のいずれか1つに記載の化合物。
【0180】
15. R及びRが独立して、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル(例えば、n-ペンチル又はネオペンチル)、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はアダマンチル、及びフェニルからなる群から選択される、条項1~8のいずれか1つに記載の化合物。
【0181】
16. R及びRが独立して、tert-ブチル、n-ブチル、シクロヘキシル、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、及び2,6-ジメトキシフェニルからなる群から選択される、条項15に記載の化合物。
【0182】
17. Rが、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びメタロセニルからなる群から選択される、条項1~16のいずれか1つに記載の化合物。
【0183】
18. Rが、アルキルである、条項17に記載の化合物。
【0184】
19. Rが、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル(例えば、n-ペンチル又はネオペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、又はステアリルである、条項18に記載の化合物。
【0185】
20. Rが、同じであっても異なっていてもよい、1つ以上の置換基で任意選択的に置換される、条項18又は19に記載の化合物。
【0186】
21. 置換基が独立して、ハライド、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、又はプロポキシ)、又はアリール(例えば、フェニル)から選択される、条項20に記載の化合物。
【0187】
22. Rが、t-ブチル、ヘキシル、又はベンジルである、条項18~21のいずれか1つに記載の化合物。
【0188】
23. Rが、シクロアルキルである、条項17に記載の化合物。
【0189】
24. Rが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はアダマンチルである、条項23に記載の化合物。
【0190】
25. Rが、シクロヘキシル又はアダマンチルである、条項24に記載の化合物。
【0191】
26. Rが、アリールである、条項17に記載の化合物。
【0192】
27. Rが、式(II)の基であり、
【0193】
【化37】
式中、R、R、R、R、及びRは独立して、水素、又は1~20個の炭素原子を有する有機基であり、安定性及び原子価の規則によって課される限定まで選択される、条項26に記載の化合物。
【0194】
28. R、R、R、R、及びRが独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、-N(アルキル)(式中、アルキル基は、同じであっても異なっていてもよく、独立して直鎖又は分岐鎖基から選択される)、-N(シクロアルキル)(式中、シクロアルキル基は、同じであっても異なっていてもよい)、-N(アリール)(式中、アリール基は、同じであっても異なっていてもよい)、-N(ヘテロアリール)(式中、ヘテロアリール基は、同じであっても異なっていてもよい)、及びヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される、条項27に記載の化合物。
【0195】
29. R、R、R、R、及びRが独立して、水素、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、及び-N(アルキル)(式中、アルキル基は、同じであっても異なっていてもよく、独立して直鎖又は分岐鎖基から選択される)からなる群から選択される、条項28に記載の化合物。
【0196】
30. アルキル基が、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル(例えば、n-ペンチル又はネオペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、又はステアリルの群から選択される、条項28又は29に記載の化合物。
【0197】
31. アルキル基が、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルの群から選択される、条項30に記載の化合物。
【0198】
32. アルキル基が、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピルの群から選択される、条項31に記載の化合物。
【0199】
33. アルキル基が、メチル又はエチルの群から選択される、条項32に記載の化合物。
【0200】
34. ヘテロシクロアルキル基が、エポキシド、モルホリニル、ピペラジニル、ピペラキシニル、チラニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イマゾリジニル、チアゾニジニル、チオモルホリニルの群から選択される、条項28~33のいずれか1つに記載の化合物。
【0201】
35. ヘテロシクロアルキル基が、モルホリニルである、条項34に記載の化合物。
【0202】
36. アルコキシ基が、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、-O-ペンチル、-O-ヘキシル、-O-ヘプチル、-O-オクチル、-O-ノニル、-O-デシル、-O-ドデシルの群から選択される、条項28~35のいずれか1つに記載の化合物。
【0203】
37. アルコキシ基が、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシの群から選択される、条項36に記載の化合物。
【0204】
38. アルコキシ基が、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシの群から選択される、条項37に記載の化合物。
【0205】
39. アルコキシ基が、メトキシである、条項38に記載の化合物。
【0206】
40. アリール基が、フェニル、ナフチル、及びアントラセニルの群から選択される、条項28~39のいずれか1つに記載の化合物。
【0207】
41. アリール基が、フェニルである、条項40に記載の化合物。
【0208】
42. アリール基が、各々が同じであっても異なっていてもよく、かつアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、-N(アルキル)(式中、アルキル基は、同じであっても異なっていてもよく、独立して直鎖又は分岐鎖基から選択される)、-N(シクロアルキル)(式中、シクロアルキル基は、同じであっても異なっていてもよい)、-N(アリール)(式中、アリール基は、同じであっても異なっていてもよい)、-N(ヘテロアリール)(式中、ヘテロアリール基は、同じであっても異なっていてもよい)、及びヘテロシクロアルキル基の群から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される、条項40又は41に記載の化合物。
【0209】
43. 置換基が独立して、アルキル又はアルコキシの群から選択される、条項42に記載の化合物。
【0210】
44. 置換アリール基が、2,6-ジメトキシフェニル、2,6-ジイソプロポキシフェニル、及び2,4,6-トリイソプロピルフェニルである、条項43に記載の化合物。
【0211】
45. -N(アルキル)基が、-NMe、-NEt、-N(n-Pr)、又は-N(i-Pr)の群から選択される、条項28~44のいずれか1つに記載の化合物。
【0212】
46. R、R、R、及びRが独立して、水素、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、及び-N(アルキル)(式中、アルキル基は、同じであっても異なっていてもよく、独立して直鎖又は分岐鎖基から選択される)、好適には、水素又はアルコキシからなる群から選択され、Rが、式(III)のアリールであり、
【0213】
【化38】
式中、R、R10、R11、R12、及びR13は独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、-N(アルキル)(式中、アルキル基は、同じであっても異なっていてもよく、独立して直鎖又は分岐鎖基から選択される)、-N(シクロアルキル)(式中、シクロアルキル基は、同じであっても異なっていてもよい)、-N(アリール)(式中、アリール基は、同じであっても異なっていてもよい)、-N(ヘテロアリール)(式中、ヘテロアリール基は、同じであっても異なっていてもよい)、及びヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される、条項27に記載の化合物。
【0214】
47. R、R10、R11、R12、及びR13が独立して、水素、アルキル、及びアルコキシからなる群から選択される、条項46に記載の化合物。
【0215】
48. R、R、R、及びRが独立して、水素、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、及び-N(アルキル)(式中、アルキル基は、同じであっても異なっていてもよく、独立して直鎖又は分岐鎖基から選択される)、好適には、水素又はアルコキシからなる群から選択され得、Rが、非置換ヘテロシクロアルキル基である、条項27に記載の化合物。
【0216】
49. Rが、C4-8ヘテロシクロアルキルである、条項48に記載の化合物。
【0217】
50. Rが、ピペリジニル又はモルホリニルである、条項49に記載の化合物。
【0218】
51. Rが、モルホリニルである、条項50に記載の化合物。
【0219】
52. R、R、R、及びRが独立して、水素、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、及び-N(アルキル)(式中、アルキル基は、同じであっても異なっていてもよく、独立して直鎖又は分岐鎖基から選択される)、好適には、水素又はアルコキシからなる群から選択され得、Rが、水素である、条項27に記載の化合物。
【0220】
53. Rが、ヘテロアリールである、条項17に記載の化合物。
【0221】
54. Rが、メタロセニルである、条項17に記載の化合物。
【0222】
55. Rが、フェロセニルである、条項54に記載の化合物。
【0223】
56. PRが、以下の群から選択される、条項1~4のいずれか1つに記載の化合物。
【0224】
【化39】
【0225】
【化40】
【0226】
【化41】
Ad=アダマンチル
Cy=シクロヘキシル
Bn=ベンジル
Ar=2,6ジメトキシフェニル
Mes=2,4,6-トリメチルフェニル
【0227】
57. 式(IA)の化合物の調製のためのプロセスであって、
[MCl][HPR (IA)
式中、M、R、R、及びRは、上で定義されるとおりであり、該プロセスは、式HPdClの化合物を、リガンドPR又はその塩と反応させる工程を含む。
【0228】
58. 式(IB)の化合物の調製のためのプロセスであって、
[MX’][HPR (IB)
式中、M、R、R、及びRは、上で定義されるとおりであり、X’は、ブロミド、ヨージド、又はフルオリド(好適には、ブロミド)であり、該プロセスが、式HPdClの化合物を、リガンドPR又はその塩、及び化合物ZX’(式中、Zは、水素又は一価金属イオン、例えば、Li又はKである)と反応させる工程を含む、プロセス。
【0229】
59. 触媒の存在下で炭素-炭素カップリング反応を実施するためのプロセスであって、条項1~56のいずれか1つに記載の化合物の使用を含む、プロセス。
【0230】
60. 炭素-炭素カップリング反応を触媒するための、条項1~56のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【0231】
61. 触媒の存在下で炭素-ヘテロ原子カップリング反応を実施するためのプロセスであって、条項1~56のいずれか1つに記載の化合物の使用を含む、プロセス。
【0232】
62. 炭素-ヘテロ原子カップリング反応を触媒するための、条項1~56のいずれか1つに記載の化合物の使用。

図1
図2
図3
図4