(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】乳化されたリップゲル
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20241219BHJP
A61K 8/04 20060101ALI20241219BHJP
A61K 8/895 20060101ALI20241219BHJP
A61K 8/89 20060101ALI20241219BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241219BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20241219BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20241219BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/04
A61K8/895
A61K8/89
A61K8/34
A61K8/37
A61Q1/04
A61Q1/00
(21)【出願番号】P 2022538481
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(86)【国際出願番号】 EP2020087814
(87)【国際公開番号】W WO2021130335
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-08-05
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595100370
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100166718
【氏名又は名称】石渡 保敬
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス,サンドリーヌ
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-532969(JP,A)
【文献】特表2017-502986(JP,A)
【文献】2 in 1 Lip & Cheek Chiffon Tint,ID 6734891,Mintel GNPD[online],2019年7月,[検索日2023.08.16],URL,https://www.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エマルジョンと異なる組成物であって、
該組成物の総重量に対して、
40重量%~80重量%の水及び
1重量%~5重量%の少なくとも1つの非粒子状合成ポリマーゲル化剤を含む1つの水性相、ここで、前記非粒子状合成ポリマーゲル化剤は
、架橋された及び/又は中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及び
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸/ヒドロキシエチルアクリレートのコポリマー、変性された又は未変性のカルボキシビニルポリマー、及びそれらの混合物から選択される;
1つの油性相であって、
(i)
0.5重量%~10重量%の1以上のシリコーンエラストマー、ここで、前記シリコーンエラストマーは、ビニルジメチコン/ラウリルジメチコンクロスポリマー、ジメチコン/PEG-10/15クロスポリマー、ジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、ジメチコンクロスポリマー、ジメチコン/ビニルトリメチルシロキシシリケートクロスポリマー、及びそれらの混合物から選択される;
(ii)
0.8重量%~15重量%の1以上のシリコーン樹脂、ここで、前記シリコーン樹脂は、MQ型、T型又はMQT型のシリコーン樹脂から選択される;及び
(iii)
2重量%~8重量%の、少なくとも1つのジメチコン基を有する1以上の不揮発性シリコーン油、若しくは1以上の不揮発性エステル油、又はそれらの混合物、ここで、前記不揮発性シリコーン油は、少なくとも1つのジメチコン基を有する不揮発性フェニルシリコーン油から選択される
、ここで、前記不揮発性エステル油はトリエステルから選択され
る、
を少なくとも含む前記1つの油性相
を少なくとも含み、
前記シリコーン油及び前記エステル油は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で、不揮発性である、
前記組成物。
【請求項2】
前記非粒子状合成ポリマーゲル化剤が、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及び
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸/ヒドロキシエチルアクリレートのコポリマーから選択される、請求項
1に記載の組成物。
【請求項3】
前記シリコーンエラストマーが、トリエチルヘキサノイン(及び)ビニルジメチコン/ラウリルジメチコンクロスポリマー、ジメチコン(及び)ジメチコン/PEG-10/15クロスポリマー、ジメチコン(及び)ジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー、ジメチコン(及び)ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、ジメチコン(及び)ジメチコンクロスポリマー、ジメチコンクロスポリマー、ジメチコン(及び)ジメチコン/ビニルトリメチルシロキシシリケートクロスポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記シリコーン樹脂が、トリメチルシロキシシリケート、ポリプロピルシルセスキオキサン、ポリメチルシルセスキオキサン及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記シリコーン樹脂が、ポリプロピルシルセスキオキサン(及び)イソドデカン、ジメチコン(及び)トリメチルシロキシシリケート、トリメチルシロキシシリケート(及び)ポリプロピルシルセスキオキサン、ポリメチルシルセスキオキサン、及びトリメチルシロキシシリケートから選択されることを特徴とする、請求項1~
4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1つのジメチコン基を有する前記不揮発性シリコーン油が、ASTM D-445規格に従って測定される9センチストークス(cSt)(9×10
-6m
2/s)以上の25℃での粘度を有することを特徴とする、請求項1~
5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1つのジメチコン基を有する少なくとも1つの不揮発性シリコーン油を含むことを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1つの不揮発性エステル油を含むことを特徴とする、請求項1~
7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1つのポリオールを更に含むことを特徴とする、請求項1~
8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物の総重量に対して、1重量%~22重量%の1以上のポリオールを含むことを特徴とする、請求項1~
9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1つの着色剤を更に含むことを特徴とする、請求項1~
10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物の総重量に対して、0.1重量%~10重量%の
1以上の着色剤を含むことを特徴とする、請求項1~
11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
ゲルの形態にある、請求項1~
12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
唇をメイクアップする為の化粧組成物であることを特徴とする、請求項1~
13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
ケラチン物質をメイクアップする為の及び/又はケアする為の化粧方法であって、請求項1~
14のいずれか1項に記載の組成物を前記ケラチン物質に施与する少なくとも一つの工程を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質、特には皮膚及び/又は唇、特には唇、をケア及び/又はメイクアップする分野の為に、技術的性能、及び上記ケラチン物質、特には唇、への施与中に、ユーザに与える感覚に関して、非常に特には有利な新規組成物を提案することに向けられている。
【背景技術】
【0002】
一般的に、化粧組成物は、皮膚及び/又は唇に施与されたときに、エステティック効果を与え、このエステティック効果を経時的に維持する必要がある。
【0003】
化粧組成物を施与した後のエステティック効果の生成は、メイクアップ性能、化粧特性、例えば施与時の快適さ、施与の容易さ、施与時及びつけているときの滑らかさ、新鮮さ、つっぱり感のなさ、均一性、軽さ及び該組成物を用いて作製された堆積物の満足な仕上がり、に関して表される該組成物に固有の一連の特性からもたらされる。
【0004】
特に、均一で経時的に安定であり、皮膚又は唇上の該堆積物が、粘着性を発現することなく、均一で新鮮で軽く、満足のいく仕上がりである液体組成物を製造することは、口紅、及び他のスキンケア及び/又はリップケア製品の分野で働く処方者の継続的関心事である。
【0005】
より特には、液体口紅の市場では、2つのカテゴリーの製品、すなわちマット製品及びグロス製品、がある。
【0006】
これらのカテゴリーにおいて、薄膜でマットな仕上がりを提供する組成物は、唇への快適さに欠け、乾燥するという欠点を有する。
【0007】
薄い光沢のある膜を提供する組成物は、そのことに関する限りは、より快適であると判断される。しかしながら、そのような組成物で作られた該堆積物は一般的に、薄いマットな膜を提供する製品の色強度の程度を有さない。更に、マット製品とは異なり、これらの堆積物は移動し、一般的に粘着性がある。
【0008】
従って、マット製品及びグロス製品の有利な特性を有する、すなわち、特に施与、快適性、摩耗特性及び被覆性、水分補給の点で、更にメイクアップ効果の点でも満足できる特性を付与された薄膜を提供する、唇のメイクアップ及び/又はケアに専用の製剤の開発は、進行中の目標である。
【0009】
更に、該組成物はまた、施与後に唇の輪郭のしわや細い線への該組成物の移動を制限し、一旦施与されると、張り付き感や乾燥感なしに、色移りや粘着性が制限されることを可能にしなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それ故に、本発明の目的は、液体口紅市場において、既存の2つのカテゴリー、すなわちマット製品とグロス製品との長所を、1つの製品において有する新しいカテゴリーを導入することである。
【0011】
それ故に、皮膚及び/又は唇上に薄く、均一でサテンのような堆積物を形成することができ、快適性、摩耗特性及び鮮度特性を有することができ、移りはほとんど又は全くなく、粘着性は大きくないか全くなく、非移動性で、且つ良好な色強度を有する、安定な化粧組成物が必要であることに変わりはない。
【0012】
本発明の目的は、まさに、これらの必要性に応えることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従って、その観点の1つに従うと、本発明は、組成物、特には化粧組成物、特には、ケラチン物質をメイクアップする為の及び/又はケアする為の化粧組成物、であって、
少なくとも1つの非粒子状合成ポリマーゲル化剤を含む1つの水性相;
1つの油性相であって、
(i)1つのシリコーンエラストマー;
(ii)1つのシリコーン樹脂;及び
(iii)少なくとも1つのジメチコン基を有する1つの不揮発性シリコーン油、若しくは1つの不揮発性エステル油、又はそれらの混合物
を少なくとも含む上記1つの油性相
を少なくとも含む、上記の組成物に関する。
【0014】
好ましい実施態様に従うと、本発明は、組成物、特にはケラチン物質をメイクアップする為の及び/又はケアする為の組成物、特には化粧組成物、であって、
少なくとも1つの非粒子状合成ポリマーゲル化剤を含む1つの水性相;
1つの油性相であって、
(i)1つのシリコーンエラストマー;
(ii)1つのシリコーン樹脂;及び
(iii)少なくとも1つのジメチコン基を有する不揮発性フェニルシリコーン油から好ましくは選択され、任意的に不揮発性エステル油と混合されていてもよい、少なくとも1つのジメチコン基を有する1つの不揮発性シリコーン油
を少なくとも含む上記1つの油性相
を少なくとも含む、上記の組成物に関する。
【0015】
全ての期待に反して、本発明者等は、本発明に従う組成物が有利なことに、非常に良好な感覚性能を有し、且つ優れたメイクアップ結果を有することを観察した。
【0016】
特に、以下に示す実施例から明らかになるように、本発明に従う組成物は、施与時及び経時的に快適である。それらは薄い膜を提供し、且つ粘着性がないか、又はあまりない。
【0017】
更に、それらは安定であり、移動せず、且つほとんど又は全く移らない。有利なことに、それらは良好な被覆率、良好な色強度を有し、且つ滑らかな仕上がりを有する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
非粒子状合成ポリマーゲル化剤
上記に示したように、本発明に従う組成物は、その水性相中に、少なくとも1つの非粒子状合成ポリマーゲル化剤を含む。
【0019】
本発明の目的の為に、語「合成」は、該ポリマーが天然に存在するものでも、天然由来のポリマーの誘導体でもないことを意味する。
【0020】
本発明の目的の為に、語「非粒子状」は、該ポリマーが、粒子、例えば球状粒子、の形態でないことを意味する。
【0021】
該非粒子状合成ポリマーゲル化剤は、フィルム形成ラテックスでないことが理解される。
【0022】
以下から明らかになるように、該非粒子状合成ポリマーゲル化剤は、とりわけ以下に定義されている通り、会合性ポリマー、特にはポリウレタンタイプの会合性ポリマー、ポリアクリルアミド、架橋された及び/又は中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマー、変性された又は未変性のカルボキシビニルポリマー、及びそれらの混合物、から特に選択される。
【0023】
本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、0.1重量%~6重量%、特には0.5重量%~5.5重量%、好ましくは1重量%~5重量%、の、1以上の非粒子状合成ポリマーゲル化剤を含みうる。
【0024】
会合性ポリマー
本発明の目的の為に、語「会合性ポリマー」は、その構造中に少なくとも1つの脂肪鎖と少なくとも1つの親水性部分とを含む、任意の両親媒性ポリマーを意味する。本発明に従う会合性ポリマーは、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性でありうる。
【0025】
該会合性アニオン性ポリマーのうち、少なくとも1つの親水性単位、及び少なくとも1つの脂肪鎖アリルエーテル単位を含むものが言及されうる。該会合性アニオン性ポリマーのうち、無水マレイン酸/C30~C38-α-オレフィン/マレイン酸アルキルターポリマー、例えばNewphase Technologies社よりPerforma V 1608(登録商標)の名称下で販売されている、無水マレイン酸/C30~C38-α-オレフィン/マレイン酸イソプロピルコポリマー製品がまた言及されうる。該会合性アニオン性ポリマーのうち、好ましい実施態様に従うと、そのモノマーのうち、α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸及びα,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸とオキシアルキレン化脂肪アルコールとのエステルを含む、コポリマーが言及されうる。会合性アニオン性ポリマーとして、オレフィン性不飽和カルボン酸タイプの少なくとも1つの親水性単位、及び不飽和カルボン酸タイプの(C10~C30)アルキルエステルのみの少なくとも1つの疎水性単位とを含むアニオン性ポリマーがまた言及されうる。会合性アニオン性ポリマーとして、アニオン性ターポリマーがまた言及されうる。
【0026】
カチオン性会合性ポリマーとして、アミン側基を有するポリアクリレート、例えばNational Starch社からの8781-121B(登録商標)又は9492-103(登録商標)ポリマーが言及されうる。
【0027】
非イオン性会合性ポリマーは、ビニルピロリドンと脂肪鎖の疎水性モノマーとのコポリマー、C1~C6アルキルアクリレート又はメタクリレートと、少なくとも1つの脂肪鎖を含む両親媒性モノマーとのコポリマー、親水性アクリレート又はメタクリレートと、少なくとも1つの脂肪鎖を含む疎水性モノマーとのコポリマー、例えばポリエチレングリコールメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー、会合性ポリウレタン、例えばポリエーテルポリウレタン、例えば脂肪鎖ノニオン性ポリエーテルポリウレタン、から選択されうる。
【0028】
該会合性両性ポリマーのうち、架橋又は非架橋の、分岐状又は非分岐状の両性ポリマー、例えばアクリル酸/アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/メタクリル酸ステアリルコポリマー、が言及されうる。
【0029】
好ましい実施態様に従うと、該会合性ポリマーは、非イオン性会合性ポリマーから、より特には会合性ポリウレタン、例えばElementisよりRheolate FX 1100(登録商標)の名称下で販売されているステアレス(Steareth)-100/PEG-136/HDIコポリマー、から選択される。
【0030】
ポリアクリルアミド並びに2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマー
本発明のゲル化剤として好適に用いられるポリマーは、少なくとも該2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS(登録商標))モノマーを含む、架橋又は非架橋の、ホモポリマー又はコポリマーを、アンモニア水以外の鉱物塩基、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、で一部又は完全に中和した形態でありうる。
【0031】
それらは、好ましくは、完全に中和又はほぼ完全に中和、すなわち少なくとも90%中和されている。
【0032】
本発明に従うこれらのAMPS(登録商標)ポリマーは、架橋又は非架橋でありうる。
【0033】
該ポリマーが架橋されている場合、架橋剤は、ラジカル重合によって得られたポリマーを架橋する為に、一般的に使用されるポリオレフィン性不飽和化合物から選択されうる。
【0034】
言及されうる架橋剤の例は、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ハイドロキノンジアリルエーテル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、マレイン酸ジアリル、テトラアリルエチレンジアミン、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリル(メタ)アクリレート、糖系列のアルコールのアリルエーテル、又は多官能アルコールの他のアリルエーテル又はビニルエーテル、更にリン酸誘導体及び/又はビニルホスホン酸誘導体のアリルエステル、或いはこれらの化合物の組み合わせを包含する。
【0035】
本発明の好ましい実施態様に従うと、該架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、アリルメタクリレート及びトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)から選択される。架橋度は、一般的に該ポリマーに対して、0.01モル%~10モル%、より特には0.2モル%~2モル%、の範囲である。
【0036】
本発明において使用する為に好適なAMPS(登録商標)ポリマーは、水溶性又は水分散性である。この場合、それらは、AMPS(登録商標)モノマーのみを含む「ホモポリマー」、及び架橋されている場合には、1以上の架橋剤、例えば上記に定義したものを含む「ホモポリマー」、或いはAMPS(登録商標)と1以上の親水性又は疎水性のエチレン性不飽和モノマーから得られるコポリマー、及び架橋されている場合には、1以上の架橋剤、例えば上記に定義したもの、から得られるコポリマーのいずれかである。上記コポリマーが疎水性エチレン性不飽和モノマーを含む場合、これらのモノマーは脂肪鎖を含まず、好ましくは、少量で存在することである。
【0037】
本発明の目的の為に、語「脂肪鎖」は、少なくとも7個の炭素原子を含む任意の炭化水素系の鎖を意味する。
【0038】
語「水溶性又は水分散性」は、25℃で、1%に等しい質量濃度で、水性相に導入されると、巨視的に均一で透明な溶液、すなわち、500nmに等しい波長で、1cm厚の試料を通して、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、の最大光透過率値を有する溶液を得ることが可能となるポリマーを意味する。
【0039】
本発明に従う「ホモポリマー」は、好ましくは、架橋及び中和されており、それらは以下のステップを含む調製方法によって得られうる:(a)モノマー、例えばAMPS(登録商標)、は、tert-ブタノール又は水とtert-ブタノールとの溶液中に、遊離の形態で分散又は溶解される;(b)(a)にて得られたモノマー溶液又は分散液は、ポリマーのスルホン酸機能の中和度を90%~100%の範囲にすることが可能になる量において、1以上の鉱物又は有機塩基、好ましくは水性アンモニアNH3、で中和される;(c)1以上の架橋モノマーは、(b)にて得られた溶液又は分散液に添加される;(d)標準的なフリーラジカル重合は、フリーラジカル開始剤の存在下で10℃~150℃の範囲の温度で行われる;ポリマーはtert-ブタノールベースの溶液又は分散液中で沈殿する。
【0040】
本発明に従う水溶性又は水分散性のAMPS(登録商標)コポリマーは、水溶性のエチレン性不飽和モノマー、疎水性モノマー、又はそれらの混合物を包含する。
【0041】
水溶性コモノマーは、イオン性であっても非イオン性であってもよい。
【0042】
該イオン性の水溶性コモノマーのうち、例えば以下の化合物及びその塩が言及されうる:(メタ)アクリル酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及び(メタ)アリルスルホン酸、ビニルホスホン酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、下記の式(A)の水溶性ビニルモノマー:
【0043】
【化1】
ここで、R
1は、-H、-CH
3、-C
2H
5又は-C
3H
7から選択され;X
1は、-OR
2型のアルキルオキシドから選択され、R
2は、少なくとも1つのスルホン(-SO
3-)及び/又は硫酸(-SO
4-)及び/又はリン酸(-PO
4H
2
-)基で置換された、1~6個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和の炭化水素系ラジカルである。
【0044】
非イオン性水溶性コモノマーのうち、例えば(メタ)アクリルアミド、N-ビニルアセトアミド及びN-メチルN-ビニルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド及びN-メチルN-ビニルホルムアミド、無水マレイン酸、ビニルアミン、4~9個の炭素原子を有する環状アルキル基を含むN-ビニルラクタム、例えばN-ビニルピロリドン、N-ブチロラクタム、及びN-ビニルカプロラクタム、式CH2=CHOHのビニルアルコール、下記の式(B)の水溶性ビニルモノマー
【0045】
【化2】
ここで、R
3は、-H、-CH
3、-C
2H
5又は-C
3H
7から選択され;X
2は、-OR
4型のアルキルオキシドから選択され、R
4は、1~6個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和の炭化水素系ラジカルであり、任意的にハロゲン原子(ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、フッ素原子)、ヒドロキシル(-OH)基、エーテルで置換されていてもよい、
が言及されうる。
【0046】
例えばグリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、及びエチレングリコール、ジエチレングリコール又はポリアルキレングリコールの(メタ)アクリレート、が言及される。
【0047】
脂肪鎖を有さない該疎水性コモノマーのうち、例えばスチレン及びその誘導体、例えば4-ブチルスチレン、α-メチルスチレン及びビニルトルエン;式CH2=CH-OCOCH3の酢酸ビニル;式CH2=CHORのビニルエーテル(ここで、Rは、1~6個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和の炭化水素系ラジカル);アクリロニトリル;カプロラクトン;塩化ビニル及び塩化ビニリデン;重合後に、シリコーンポリマー、例えばメタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン及びシリコーンメタクリルアミド、をもたらすシリコーン誘導体;下記の式(C)の疎水性ビニルモノマー
【0048】
【化3】
ここで、R
4は、-H、-CH
3、-C
2H
5又は-C
3H
7から選択され;X
3は、-OR
5型のアルキルオキシドから選択され、R
5は、1~6個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和の炭化水素系ラジカルである、
が言及されうる。
【0049】
例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸シクロヘキシル及びアクリル酸イソボルニル、並びにアクリル酸2-エチルヘキシル、が言及される。
【0050】
本発明の水溶性又は水分散性のAMPS(登録商標)ポリマーは、好ましくは50000g/モル~10000000g/モル、好ましくは80000g/モル~8000000g/モル、更により好ましくは10000g/モル~7000000g/モル、の範囲のモル質量を有する。
【0051】
本発明における使用の為に好適な水溶性又は水分散性のAMPS(登録商標)ホモポリマーとして、例えばアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウムの架橋又は非架橋ポリマー、例えば市販品であるSimulgel 800(登録商標)(CTFA名:ポリアクリロイルジメチルタウリンナトリウム)において使用されているもの、架橋アンモニウムアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー(INCI名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド)、例えば欧州特許第0815928(B1)号明細書に記載されているもの、及び例えばClariant社よりHostacerin AMPS(登録商標)の商品名で販売されている製品、が言及されうる。
【0052】
好ましくは、本発明に従う組成物は、AMPS(登録商標)ホモポリマーを含む。
【0053】
本発明に従う水溶性又は水分散性のAMPS(登録商標)コポリマーとして、言及されうる例は、下記を包含しうる:
- 架橋アクリルアミド/アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウムコポリマー、例えば市販品Sepigel 305(登録商標)(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13~C14 イソパラフィン/ラウレス-7)において使用されているもの、又はSEPPIC社よりSimulgel 600(登録商標)(CTFA名:アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム/イソヘキサデカン/ポリソルベート-80)の名称下で販売されている市販品において使用されているもの、
- AMPS(登録商標)とビニルピロリドン又はビニルホルムアミドとのコポリマー、例えばClariant社よりAristoflex AVC(登録商標)の名称下で販売されている市販品(CTFA名:アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VPコポリマー)において使用されているが、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムで中和されているもの、
- AMPS(登録商標)とアクリル酸ナトリウムとのコポリマー、例えばAMPS(登録商標)/アクリル酸ナトリウムコポリマー、例えばSEPPIC社よりSimulgel EG(登録商標)の名称下で、又はSepinov EM(登録商標)(CTFA名:ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー)の商品名で販売されている市販品において使用されている、
- AMPS(登録商標)とヒドロキシエチルアクリレートとのコポリマー、例えばAMPS(登録商標)/ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー、例えばSEPPIC社よりSimulgel NS(登録商標)の名称下で販売されている市販品(CTFA名:ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー(及び)スクアラン(及び)ポリソルベート60)において使用されているもの、又は例えばアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム/ヒドロキシエチルアクリレートコポリマーの名称下で販売されている製品、例えば市販品Sepinov EMT 10(登録商標)(INCI名:ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー)。
【0054】
本発明に従う好ましい水溶性又は水分散性のAMPS(登録商標)コポリマーとして、AMPS(登録商標)とヒドロキシエチルアクリレートとのコポリマーが言及されうる。
【0055】
変性又は非変性カルボキシビニルポリマー
該変性された又は未変性のカルボキシビニルポリマーは、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸又はそのエステルから選択される、少なくとも1つのモノマー(a)と、疎水基を含む、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(b)との重合から得られるコポリマーでありうる。語「コポリマー」は、2種類のモノマーから得られるコポリマーと、2種類超のモノマーから得られるコポリマー、例えば3種類のモノマーから得られるターポリマー、の両方を意味する。好ましい実施態様に従うと、これらのポリマーは、架橋されている。
【0056】
これらのポリマーのうち、本発明に従って好ましいものは、アクリレート/C10~C30-アルキルアクリレートコポリマー(INCI名:アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー)、例えばLubrizol社より、Pemulen TR-1(登録商標)、Pemulen TR-2(登録商標)、Carbopol 1382(登録商標)、Carbopol EDT 2020(登録商標)及びCarbopol Ultrez 20 Polymer(登録商標)の商品名で販売されている製品、より好ましくはやはりPemulen TR-2(登録商標)、である。
【0057】
該変性又は非変性カルボキシビニルポリマーのうち、ポリアクリル酸ナトリウム、例えばCognis社より販売されている、Cosmedia SP(登録商標)又はCosmedia SPL(登録商標)の名称下で販売されているもの、がまた言及されうる。
【0058】
少なくとも1つの極性油を含む逆エマルジョンの形態である、部分中和ポリアクリル酸ナトリウム、例えばBASF社よりLuvigel(登録商標)EMの名称下で販売されている製品、がまた言及されうる。
【0059】
該変性又は非変性カルボキシビニルポリマーはまた、架橋された(メタ)アクリル酸ホモポリマーから選択されうる。本特許出願の目的の為に、語「(メタ)アクリル」は、「アクリル又はメタクリル」を意味する。言及されうる例は、LubrizolよりCarbopol(登録商標)910、934、940、941、934P、980、981、2984、5984及びCarbopol(登録商標)Ultrez 10 Polymerの名称下で販売されている製品、又は3V-SigmaからSynthalen(登録商標)K、Synthalen(登録商標)L又はSynthalen(登録商標)Mの名称下で販売されている製品を包含する。
【0060】
該変性又は非変性カルボキシビニルポリマーのうち、特に、Lubrizol社より販売されている、Carbopol(登録商標)(CTFA名:カルボマー)及びPemulen(登録商標)(CTFA名:アクリレーツ/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー)が言及されうる。
【0061】
好ましくは、本発明に従う組成物は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマーから選択される、非粒子状合成ポリマー親水性ゲル化剤を含む。
【0062】
特定の変形例に従うと、該非粒子状合成ポリマー親水性ゲル化剤は、AMPS(登録商標)ホモポリマーである。
【0063】
好ましい変形例に従うと、該非粒子状合成ポリマー親水性ゲル化剤は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸のコポリマー、より好ましくは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とヒドロキシエチルアクリレートとのコポリマー、である。
【0064】
シリコーンエラストマー
該シリコーンエラストマーは、該組成物の油性相に存在する。
【0065】
語「シリコーンエラストマー」又は「オルガノポリシロキサンエラストマー」は、粘弾性特性を有する、とりわけスポンジ又はしなやかな球体の稠度を有する、しなやかで変形可能なオルガノポリシロキサンを意味する。その弾性率は、この材料が変形に耐え、限定された伸縮性及び縮小性を有するようなものである。この材料は、延伸後に元の形状を取り戻すことが可能である。シリコーンエラストマーは、界面活性剤とは異なり、とりわけシリコーン界面活性剤とは異なる、ことが理解される。
【0066】
より特には、架橋されたシリコーンエラストマーでありうる。好ましくは、該シリコーンエラストマーは、高度に架橋されていない。
【0067】
従って、該シリコーンエラストマーは、とりわけ白金触媒の存在下において、ケイ素に結合された少なくとも1つの水素を含むジオルガノポリシロキサンと、ケイ素に結合されたエチレン性不飽和基を含むジオルガノポリシロキサン、或いは両端にエチレン性不飽和基を有する炭化水素系の鎖との架橋付加反応により;又はとりわけ有機スズの存在下において、ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンと、ケイ素に結合された少なくとも1つの水素を含むジオルガノポリシロキサンとの間の、脱水素架橋縮合反応により;又はヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンと加水分解性有機ポリシランとの架橋縮合反応により;又は、とりわけ有機ペルオキシド触媒の存在下においてオルガノポリシロキサンの熱架橋により;又は高エネルギー放射線、例えばガンマ線、紫外線又は電子ビーム、によるオルガノポリシロキサンの架橋により、得られうる。
【0068】
好ましくは、該シリコーンエラストマーは、例えば欧州特許出願公開第295886号明細書に記載されているように、ケイ素に結合された少なくとも2つの水素をそれぞれ含むジオルガノポリシロキサンの(A)と、ケイ素に結合された少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含むジオルガノポリシロキサンの(B)とを、とりわけ白金触媒の存在下(C)において、架橋付加反応させることによって得られる。
【0069】
特に、該シリコーンエラストマーは、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサンとトリメチルシロキシ末端メチルヒドロポリシロキサンとを白金触媒の存在下において反応させることによって得られうる。
【0070】
化合物(A)は、シリコーンエラストマーの形成の為の塩基試薬であり、架橋は、触媒(C)の存在下、化合物(A)と化合物(B)との付加反応により行われる。
【0071】
化合物(A)は、特に、各分子中に、異なるケイ素原子に結合された少なくとも2個の水素原子を含むオルガノポリシロキサンである。
【0072】
化合物(A)は、任意の分子構造、とりわけ直鎖状鎖若しくは分岐状鎖の構造、又は環状構造、を有しうる。
【0073】
化合物(A)は、とりわけ、化合物(B)と容易に混和できるように、1~50000センチストークスの範囲の、25℃での粘度を有しうる。
【0074】
化合物(A)のケイ素原子に結合された有機基は、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル;置換アルキル基、例えば2-フェニルエチル、2-フェニルプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル;アリール基、例えばフェニル、トリル、キシリル;置換アリール基、例えばフェニルエチル;及び置換一価炭化水素系の基、例えばエポキシ基、カルボン酸エステル基又はメルカプト基、でありうる。
【0075】
従って、化合物(A)は、トリメチルシロキシ末端メチルヒドロポリシロキサン、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン/メチルヒドロシロキサンコポリマー、及びジメチルシロキサン/メチルヒドロシロキサン環状コポリマーから選択されうる。
【0076】
化合物(B)は、特に、少なくとも2つの低級アルケニル基(例えばC2~C4アルケニル基)を含むジオルガノポリシロキサンであり、該低級アルケニル基は、ビニル、アリル及びプロペニル基から選択されうる。これらの低級アルケニル基は、該オルガノポリシロキサン分子のどの位置にあってもよいが、好ましくは該オルガノポリシロキサン分子の末端に位置される。該オルガノポリシロキサン(B)は、分岐状鎖、直鎖、環状、又はネットワーク構造を有しうるが、直鎖構造が好ましい。化合物(B)は、液状からガム状までの粘度を有しうる。好ましくは、化合物(B)は、25℃において、少なくとも100センチストークスの粘度を有する。
【0077】
上記アルケニル基の他に、化合物(B)中のケイ素原子に結合された他の有機基は、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル又はオクチル;置換アルキル基、例えば2-フェニルエチル、2-フェニルプロピル又は3,3,3-トリフルオロプロピル;アリール基、例えばフェニル、トリル又はキシリル;置換アリール基、例えばフェニルエチル;及び置換一価炭化水素系基、例えばエポキシ基、カルボン酸エステル基又はメルカプト基、でありうる。
【0078】
該オルガノポリシロキサン(B)は、メチルビニルポリシロキサン、メチルビニルシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、及びジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン/メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)シロキサンコポリマーから選択されうる。
【0079】
特に、該シリコーンエラストマーは、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサンとトリメチルシロキシ末端メチルヒドロポリシロキサンとを、白金触媒の存在下において反応させることによって得られうる。
【0080】
特に、化合物(B)の1分子あたりのエチレン基の数と、化合物(A)の1分子あたりのケイ素原子に結合された水素原子の数との合計は、少なくとも5である。
【0081】
化合物(A)は、化合物(A)中のケイ素原子に結合された水素原子の総量と、化合物(B)中の全てのエチレン性不飽和基の総量との分子比が、1.5/1~20/1の範囲にあるような量にて添加されることが有利である。
【0082】
化合物(C)は、架橋反応用の触媒であり、とりわけクロロ白金酸、クロロ白金酸-オレフィン錯体、クロロ白金酸-アルケニルシロキサン錯体、クロロ白金酸-ジケトン錯体、白金黒、及び担体上の白金、である。
【0083】
触媒(C)は、好ましくは、化合物(A)及び(B)の合計量1000重量部に対して、清浄な白金金属として、0.1~1000重量部、更に良くには1~100重量部、の量にて添加される。
【0084】
該エラストマーは、好ましくは、非乳化性エラストマーである。
【0085】
語「非乳化性」は、親水性鎖を含まない、特にはポリオキシアルキレン(とりわけポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレン)単位又はポリグリセリル単位を含まない、シリコーンエラストマーを規定する。従って、本発明の特定の実施態様に従うと、該組成物は、ポリオキシアルキレン単位及びポリグリセリル単位を含まない、シリコーンエラストマーを含む。
【0086】
特に、本発明で使用される該シリコーンエラストマーは、ジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ジメチコンクロスポリマー-3(INCI名)から選択されうる。
【0087】
非乳化性エラストマーは、とりわけ欧州特許第242219号明細書、欧州特許第285886号明細書及び欧州特許第765656号明細書、に記載されている。
【0088】
該シリコーンエラストマーは一般的に、油(例えばゲルの形態で)、ペースト又は粉末で搬送される形態である。
【0089】
特に、シリコーンエラストマー粒子は、少なくとも1つの炭化水素系油及び/又は1つのシリコーン油に含まれる、オルガノポリシロキサンエラストマーから構成されるゲルの形態で搬送されうる。これらのゲルにおいて、オルガノポリシロキサン粒子は、非球状粒子であることが多い。
【0090】
好ましくは、該シリコーンエラストマーは、上記シリコーンエラストマーが、直鎖シリコーン油(ジメチコン)又は環状シリコーン油(例えばデカメチルシクロペンタシロキサン)中に、好ましくは直鎖シリコーン油中に、さもなければ揮発性及び不揮発性、極性又は非極性の炭化水素系油中に分散されるゲルの形態である。
【0091】
特定の実施態様に従うと、デカメチルシクロペンタシロキサン(又はシクロメチコン)、ポリジメチルシロキサン(PDMS又はジメチコン)、メチルトリメチコン、フェニルメチコン、フェニルジメチコン、及びフェニルトリメチコンを含む非網羅的リストから選択されたシリコーン油中に分散された、好ましくは25℃で1~500cStの範囲の粘度を有し、任意的にフッ素化されていてもよい脂肪族基で又は官能基、例えばヒドロキシル基、チオール基及び/又はアミン基、で、任意的に変性されていてもよいところのポリジメチルシロキサン(PDMS又はジメチコン)、好ましくは変性されていないポリジメチルシロキサン(PDMS又はジメチコン)、から選択される直鎖シリコーン油中に分散された、シリコーンエラストマーのゲルが使用される。
【0092】
別の特定の実施態様に従うと、炭化水素系油、例えば揮発性炭化水素系油、例えば特にはイソドデカン、又は、不揮発性炭化水素系油、例えば鉱油、例えばスクワラン、中のシリコーンエラストマーのゲルが使用される。又、特にはエステル、例えばトリエチルヘキサノイン及び植物油、から選択される、極性不揮発性炭化水素系油中のシリコーンエラストマーのゲルがまた使用されうる。
【0093】
非乳化性エラストマーとして、より特には、信越化学工業株式会社より、KSG-6(登録商標)、KSG-15(登録商標)、KSG-16(登録商標)、KSG-016F(登録商標)、KSG-18(登録商標)、KSG-41(登録商標)、KSG-42(登録商標)、KSG-43(登録商標)又はKSG-44(登録商標)、Dow Corning社より、DC9040(登録商標)、DC9045(登録商標)、DC9041(登録商標)、Dow Corning EL-9240シリコーンエラストマーブレンド、Dowsil(商標)EL-9241 DMシリコーンエラストマーブレンド、Dowsil(商標)EL-9140 DMシリコーンエラストマーブレンド、Momentive Performance Materials社より、SFE 839(登録商標)、の名称下で販売されているもの、特には信越化学工業株式会社よりKSG-43(登録商標)の名称下で販売されているエラストマー、に使用されうる。
【0094】
該シリコーンエラストマー粒子はまた、粉末の形態でも使用されうる。特に、Dow Corning社より、Dow Corning 9505 Powder(登録商標)及びDow Corning 9506 Powder(登録商標)の名称下で販売されている粉末が言及され得、これらの粉末は、INCI名:ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーを有している。
【0095】
オルガノポリシロキサン粉末は、又、例えば米国特許第5538793号明細書に記載されているように、シルセスキオキサン樹脂で被覆されうる。そのようなエラストマー粉末は、信越化学工業株式会社より、KSP-100(登録商標)、KSP-101(登録商標)、KSP-102(登録商標)、KSP-103(登録商標)、KSP-104(登録商標)、KSP-105(登録商標)、の名称下で販売されており、INCI名:ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマーを有している。
【0096】
本発明に従って使用されることができる、シルセスキオキサン樹脂で被覆されている、オルガノポリシロキサン粉末の例として、特に信越化学工業株式会社からの名称KSP-100(登録商標)が言及されうる。
【0097】
シリコーンエラストマーとして、INCI名ジメチコン(及び)ジメチコン/ビニルトリメチルシロキシシリケートクロスポリマーを有する化合物、例えばWacker社よりBelsil REG 1102(登録商標)の名称下で販売されているものがまた言及されうる。
【0098】
該エラストマーはまた、乳化エラストマーでありうる。
【0099】
乳化性シリコーンエラストマーとして、シリコーンポリエーテルエラストマー、ポリグリセリルシリコーンエラストマー、ポリエーテルジメチコンコポリマー及びそれらの混合物が言及されうる。
【0100】
該乳化性シリコーンエラストマーは、ポリグリセロール、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールを含む群から選択される官能基を含みうる。例えば、信越化学工業株式会社より、KSG-210(登録商標)の名称下で販売されているジメチコン(及び)ジメチコン/PEG-10/15クロスポリマー、及びKSG-710(登録商標)の名称下で販売されているジメチコン(及び)ジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー、KSG-840(登録商標)の名称下で販売されているスクアラン(及び)ラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー、KSG-810(登録商標)の名称下で販売されている鉱油(及び)ラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー、KSG-830(登録商標)の名称下で販売されているトリエチルヘキサノイン(及び)ラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー、X-22-6695Bの名称下で販売されているSimmondsia Chinensis(ホホバ)油(及び)ラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー、が言及されうる。
【0101】
該シリコーンエラストマーのうち、以下のINCI名を有する化合物が、より特には考慮される:ビニルジメチコン/ラウリルジメチコンクロスポリマー、ジメチコン/PEG-10/15クロスポリマー、ジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、ジメチコンクロスポリマー、ジメチコン/ビニルトリメチルシロキシシリケートクロスポリマー、及びそれらの混合物。
【0102】
以下の製品が、より特には考慮される:
トリエチルヘキサノイン(及び)ビニルジメチコン/ラウリルジメチコンクロスポリマー、例えば信越化学工業株式会社からのKSG-43(登録商標);
ジメチコン(及び)ジメチコン/PEG-10/15クロスポリマー、例えば信越化学工業株式会社からのKSG-210(登録商標);
ジメチコン(及び)ジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー、例えば信越化学工業株式会社からのKSG-710(登録商標);
ジメチコン(及び)ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、例えば信越化学工業株式会社からのKSG-16(登録商標);
ジメチコン(及び)ジメチコンクロスポリマー、例えばDow社からの、Dowsil(商標)EL-9241 DMシリコーンエラストマーブレンド及びDowsil(商標)EL-9140 DMシリコーンエラストマーブレンド;
ジメチコン(及び)ジメチコン/ビニルトリメチルシロキシシリケートクロスポリマー、例えばWacker社によるBelsil REG 1102(登録商標)
【0103】
従って、好ましいシリコーンエラストマーとして、トリエチルヘキサノイン(及び)ビニルジメチコン/ラウリルジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ジメチコン(及び)ジメチコン/PEG-10/15クロスポリマー(INCI名)、ジメチコン(及び)ジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー(INCI名)、ジメチコン(及び)ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ジメチコン(及び)ジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ジメチコン(及び)ジメチコン/ビニルトリメチルシロキシシリケートクロスポリマー(INCI名)が言及されうる。
【0104】
好ましい実施態様に従うと、本発明は、組成物、特にはケラチン物質をメイクアップする為の及び/又はケアする為の組成物、特には化粧組成物、であって、
少なくとも1つの非粒子状合成ポリマーゲル化剤を含む1つの水性相;
1つの油性相であって、
(i)ビニルジメチコン/ラウリルジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ジメチコン/PEG-10/15クロスポリマー(INCI名)、ジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー(INCI名)、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ジメチコンクロスポリマー(INCI名)及びジメチコン/ビニルトリメチルシロキシシリケートクロスポリマー(INCI名)から選択される、1つのシリコーンエラストマー;
(ii)1つのシリコーン樹脂;及び
(iii)ASTM D-445規格に従って測定される9センチストークス(cSt)(9×10-6m2/s)以上の25℃での粘度を有する、少なくとも1つのジメチコン基を有する1つの不揮発性シリコーン油、好ましくは、少なくとも1つのジメチコン基を有する1つの不揮発性フェニルシリコーン油、(ここで、任意的に、不揮発性エステル油と混合されていてもよい)
を少なくとも含む上記1つの油性相
を少なくとも含む、上記の組成物に関する。
【0105】
好ましくは、本発明に従う組成物は、シリコーンエラストマーとして、トリエチルヘキサノイン(及び)ビニルジメチコン/ラウリルジメチコンクロスポリマー(INCI名)を含む。
【0106】
本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、0.2重量%~20重量%、特には0.3重量%~18重量%、好ましくは0.5重量%~15重量%、の1以上のシリコーンエラストマーを含みうる。
【0107】
好ましくは、本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、0.2重量%~12重量%、特には0.3重量%~11重量%、好ましくは0.5重量%~10重量%、の1以上のシリコーンエラストマーを含みうる。
【0108】
1以上のシリコーンエラストマーの含有量は、活性物質の割合として、言い換えれば固形分の割合として、与えられることが理解される。
【0109】
シリコーン樹脂
先に述べたように、特許請求される組成物は、特に以下に詳述するように、少なくとも1つのシリコーン樹脂を含む。
【0110】
より一般的には、語「樹脂」は、構造が三次元である化合物を意味することが意図されている。「シリコーン樹脂」は、「シロキサン樹脂」とも云われる。従って、本発明の目的の為に、ポリジメチルシロキサンはシリコーン樹脂でない。
【0111】
シリコーン樹脂の命名法は、「MDTQ」の名称で知られており、樹脂は、それが含む種々のシロキサンモノマー単位の関数として記述され、文字「MDTQ」の各々は、単位の種類を特徴づけている。
【0112】
文字「M」は、式R1R2R3SiO1/2の単官能性単位を表し、ケイ素原子は、この単位を含むポリマー中の1つのみの酸素原子に結合されている。
【0113】
文字「D」は、ケイ素原子が2つの酸素原子に結合されている二官能性単位R1R2SiO2/2を意味する。
【0114】
文字「T」は、式R1SiO3/2の三官能性単位を表す。
【0115】
そのような樹脂は、例えばEncyclopedia of Polymer Science and Engineering, vol. 15, John Wiley and Sons, New York, (1989), pp. 265-270、及び米国特許第2676182号明細書、米国特許第3627851号明細書、米国特許第3772247号明細書、米国特許第5248739号明細書又は他に米国特許第5082706号明細書、米国特許第5319040号明細書、米国特許第5302685号明細書及び米国特許第4935484号明細書、に記載されている。
【0116】
先に定義した単位M、D及びTにおいて、R、すなわちR1及びR2は、1~10個の炭素原子を含む炭化水素系ラジカル(特にアルキル)、フェニル基、フェニルアルキル基、或いはヒドロキシル基を表す。
【0117】
最後に、文字「Q」は、ケイ素原子が4つの酸素原子に結合されており、それ自体がポリマーの残りの部分に結合されている、4官能性単位SiO4/2を意味する。
【0118】
異なる特性の様々なシリコーン樹脂は、これらの異なる単位から得られ得、これらのポリマーの特性は、モノマー(又は単位)の種類、ラジカルRの性質と数、ポリマー鎖の長さ、分岐の程度、及び側鎖の大きさの関数として変化する。
【0119】
本発明に従う組成物に使用されうるシリコーン樹脂として、例えばMQ型、T型又はMQT型、のシリコーン樹脂が使用されうる。
【0120】
MQ樹脂
MQ型のシリコーン樹脂の例として、式[(R1)3SiO1/2]x(SiO4/2)y(MQ単位)のアルキルシロキシシリケートが言及され得、ここで、x及びyは、50~80の範囲の整数であり、基R1は、先に定義したようなラジカルを表し、好ましくは1~8個の炭素原子含むアルキル基、又はヒドロキシル基であり、好ましくはメチル基、である。
【0121】
トリメチルシロキシシリケートタイプのMQ型の固体シリコーン樹脂の例として、Momentive Performance Materials社よりSR1000(登録商標)の名称下で、Dow CorningからMQ 1600の名称下で、又はWacker社よりTMS 803(登録商標)の名称下で販売されているものが言及されうる。
【0122】
MQシロキシシリケート単位を含むシリコーン樹脂として、フェニルアルキルシロキシシリケート樹脂、例えばフェニルプロピルジメチルシロキシシリケート、特にGeneral Electric社よりSilshine 151(登録商標)の名称下で販売されているもの、がまた言及されうる。そのような樹脂の調製は、特に米国特許第5817302号明細書に記載されている。
【0123】
T樹脂
T型のシリコーン樹脂の例として、式(RSiO3/2)x(T単位)のポリシルセスキオキサンが言及され得、ここで、xは100超であり、基Rは1~10個の炭素原子を含むアルキル基であり、上記ポリシルセスキオキサンは、Si-OH末端基を含むことが更に可能である。
【0124】
好ましくは、Rがメチル基を表す、ポリメチルシルセスキオキサン樹脂、例えば
Wacker社よりResin MK、例えばBelsil PMS MK(登録商標)(CH3SiO3/2繰り返し単位(T単位)を含むポリマーで、1重量%までの(CH3)2SiO2/2単位(D単位)も含み得、約10000g/モルの平均分子量を有する)の名称下で、又は
信越化学工業株式会社よりKR-220L(登録商標)(式CH3SiO3/2のT単位から構成され、Si-OH(シラノール)末端基を含む)の名称下で、KR-242A(登録商標)(T単位98%及びジメチルD単位2%を含み、Si-OH末端基を含む)の名称下で、或いはKR-251(登録商標)(T単位88%及びジメチルD単位12%を含み、Si-OH末端基を含む)の名称下で、販売されているものが使用されうる。
【0125】
MQT樹脂
特に既知であるMQT単位を含む樹脂は、文書米国特許第5110890号明細書が言及されているものである。
【0126】
MQT型の樹脂の好ましい形態は、MQT-プロピル(MQTPrとしてまた知られている)樹脂である。本発明に従う組成物が使用されることができる、そのような樹脂は、特に特許出願国際公開第2005/075542号パンフレットに記載され、調製されたものである。
【0127】
該MQ-T-プロピル樹脂は、好ましくは、以下の単位:
(i)(R13SiO1/2)a;
(ii)(R22SiO2/2)b;
(iii)(R3SiO3/2)c;及び
(iv)(SiO4/2)d;
を有し、ここで
R1、R2及びR3は、独立して、1から10個の炭素原子を含む炭化水素系(特にアルキル)ラジカル、フェニル基、フェニルアルキル基、或いはヒドロキシル基、好ましくは1から8個の炭素原子を含むアルキルラジカル又はフェニル基、を表し、
aは0.05~0.5であり、
bは0~0.3であり、
cは0超であり、
dは0.05~0.6であり、
a+b+c+d=1であり、a、b、c及びdはモル分率であり、
但し、該シロキサン樹脂の基R3の40モル%超がプロピル基であることを条件とする。
【0128】
好ましくは、該シロキサン樹脂は、以下の単位:
(i)(R13SiO1/2)a;
(iii)(R3SiO3/2)c;及び
(iv)(SiO4/2)d;
を含み、ここで、
R1及びR3は、独立して、1~8個の炭素原子を含むアルキル基を表し、R1は、好ましくはメチル基であり、R3は、好ましくはプロピル基であり、
aは、0.05~0.5、好ましくは0.15~0.4、であり、
cは、0超、好ましくは0.15~0.4、であり、
dは、0.05~0.6、好ましくは0.2~0.6、又は代替的には0.2~0.55、であり、
a+b+c+d=1であり、a、b、c及びdはモル分率であり、
但し、該シロキサン樹脂の基R3の40モル%超がプロピル基であることを条件とする。
【0129】
本発明に従って使用されることができるシロキサン樹脂は、
A)少なくとも80モル%の単位(R13SiO1/2)a及び(SiO4/2)dを含むMQ樹脂
ここで、
R1は、1~8個の炭素原子を含むアルキル基、アリール基、カルビノール基又はアミノ基を表し、
a及びdは0超であり、
比a/dは0.5~1.5である、
と、
B)少なくとも80モル%の単位(R3SiO3/2)cを含む、T-プロピル樹脂
ここで、
R3は、1~8個の炭素原子を含むアルキル基、アリール基、カルビノール基又はアミノ基を表し、
cは0超であり、
但し、基R3の少なくとも40モル%がプロピル基であることを条件とする
との重量比A/Bが95:5~15:85であり、好ましくは、重量比A/Bが30:70である、
反応を含む方法を介して得られうる。
【0130】
特に、重量比A/Bは95:5~15:85である。好ましくは、比A/Bは70:30以下である。これらの好ましい比率は、該堆積物中のMQ樹脂の剛性粒子のパーコレーションがない為、快適な堆積物を可能にすることが証明されている。
【0131】
従って、好ましくは、該シリコーン樹脂は、
a)(i)トリメチルシロキシシリケートでありうる、式[(R1)3SiO1/2]x(SiO4/2)yのアルキルシロキシシリケート(ここで、x及びyは、50~80の範囲の整数であり、基R1は1~10個の炭素原子を含む炭化水素系ラジカル、フェニル基、フェニルアルキル基又はヒドロキシル基を表し、好ましくは1~8個の炭素原子を含むアルキル基、好ましくはメチル基、である)、及び(ii)フェニルアルキルシロキシシリケート樹脂、例えばフェニルプロピルジメチルシロキシシリケート、から特に選択される、MQ型の樹脂、及び/又は、
b)式(RSiO3/2)xのポリシルセスキオキサン(ここで、xは100超であり、基Rは1~10個の炭素原子を含むアルキル基、例えばメチル基であり、上記ポリシルセスキオキサンがSi-OH末端基を更に含むことが可能である)から特に選択される、T型の樹脂、及び/又は
c)単位(i)(R13SiO1/2)a、(ii)(R22SiO2/2)b、(iii)(R3SiO3/2)c及び(iv)(SiO4/2)dを含みうる、MQT型、特にはMQT-プロピル型の樹脂
ここで、R1、R2及びR3は、独立して、1~10個の炭素原子を含む炭化水素系、特にはアルキルラジカル、フェニル基、フェニルアルキル基、或いはヒドロキシル基、好ましくは1~8個の炭素原子を含むアルキルラジカル、又はフェニル基、を表し、
aは0.05~0.5であり、
bは0~0.3であり、
cは0超であり、
dは0.05~0.6であり、
a+b+c+d=1であり、a、b、c及びdはモル分率であり、
但し、該シロキサン樹脂の基R3の40モル%超がプロピル基であることを条件とする、
を含む群から選択される。
【0132】
従って、本発明に非常に特には好適なシリコーン樹脂として、特にはMQ型、T型又はMQT型、のシリコーン樹脂が言及され得、より好ましくはトリメチルシロキシシリケート、ポリプロピルシルセスキオキサン、ポリメチルシルセスキオキサン及びそれらの混合物、好ましくはトリメチルシロキシシリケート、ポリプロピルシルセスキオキサン及びそれらの混合物、から選択されうる。
【0133】
好ましくは、本発明に従う組成物は、シリコーン樹脂として、少なくとも1つのトリメチルシロキシシリケート樹脂を含みうる。
【0134】
該シリコーン樹脂は、粉末の形態で、通常、揮発性又は不揮発性であり、好ましくは揮発性である、無極性炭化水素系油又はシリコーン油から選択される、溶媒に溶解した形態で使用されうる。
【0135】
特が言及されうる揮発性炭化水素系油は、アルカン、好ましくは8~16個の炭素原子の分岐状アルカン、特には例えばC8~C16イソアルカン(イソパラフィンとしてまた知られている)、イソドデカン、イソデカン、及びイソヘキサデカン、を包含する。
【0136】
言及されうる揮発性シリコーン油は、直鎖状又は環状シリコーン油、例えば3~7個のケイ素原子を含む直鎖状又は環状ポリジメチルシロキサン(PDMS)、を包含する。言及されうるそのような油の例は、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルトリメチコン、ポリジメチルシロキサン、例えばDow CorningよりDC 200、又は信越化学工業株式会社からKF 96 Aの名称下で販売されているもの、を単独又は混合物として包含する。
【0137】
特に、上記1以上のシリコーン樹脂は、完全に又は部分的に、且つ好ましくは単独で、油性相に存在する。
【0138】
好ましくは、本発明に従う組成物は、シリコーン樹脂として、以下の化合物、
ポリプロピルシルセスキオキサン(及び)イソドデカン、例えばDow Corning社よりDowsil 680 ID Fluid(登録商標)の名称下で販売されているもの、
イソドデカン(及び)トリメチルシロキシシリケート、例えばMomentive Performance Materials社より、Silsoft 74、Silshine 151、及び信越化学工業株式会社より、X-21-5595及びX-21-5616の名称下で販売されているもの、
ジメチコン(及び)トリメチルシロキシシリケート、例えば信越化学工業株式会社よりKF-7312K、KF-7312L、X-21-5249L及びX-21-5250Lの名称下で、又はDow Corning社よりDow Corning 593 Fluidの名称下で販売されているもの、
トリメチルシロキシシリケート(及び)ポリプロピルシルセスキオキサン、例えばDow Corning社よりDow Corning MQ-1640 Flake Resinの名称下で販売されているもの、
ポリメチルシルセスキオキサン、
トリメチルシロキシシリケート
から選択される、少なくとも1つの樹脂を含みうる。
【0139】
従って、本発明に非常に特には好適なシリコーン樹脂として、特にはMQ型、T型又はMQT型、のシリコーン樹脂が言及され得、より好ましくは、ポリプロピルシルセスキオキサン(及び)イソドデカン、ジメチコン(及び)トリメチルシロキシシリケート、トリメチルシロキシシリケート(及び)ポリプロピルシルセスキオキサン、ポリメチルセスキオキサン及びトリメチルシロキシシリケートから選択されうる。
【0140】
本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、0.5重量%~20重量%、特には0.6重量%~18重量%、好ましくは0.8重量%~15重量%、の1以上のシリコーン樹脂を含みうる。
【0141】
1以上のシリコーン樹脂の含有量は、活性物質の割合として、言い換えれば固形分の割合として与えられることが理解される。
【0142】
好ましい実施態様に従うと、本発明は、組成物、特にはケラチン物質をメイクアップする為の及び/又はケアする為の組成物、特には化粧組成物、であって、
少なくとも1つの非粒子状合成ポリマーゲル化剤を含む1つの水性相;
1つの油性相であって、
(i)1つのシリコーンエラストマー、
(ii)該組成物の総重量に対して0.5重量%~20重量%の、少なくとも1つのシリコーン樹脂、及び
(iii)ASTM D-445規格に従って測定される9センチストークス(cSt)(9×10-6m2/s)以上の25℃での粘度を有する、少なくとも1つのジメチコン基を有する1つの不揮発性シリコーン油
を少なくとも含む上記1つの油性相;
を少なくとも含む、上記の組成物に関する。
【0143】
好ましい実施態様に従うと、本発明は、組成物、特にはケラチン物質をメイクアップする為の及び/又はケアする為の組成物、特には化粧組成物、であって、
少なくとも1つの非粒子状合成ポリマーゲル化剤を含む1つの水性相;
1つの油性相であって、
(i)1つのシリコーンエラストマー、
(ii)該組成物の総重量に対して0.5重量%~20重量%の、少なくとも1つのシリコーン樹脂、及び
(iii)少なくとも1つのジメチコン基を有する1つの不揮発性フェニルシリコーン油
を少なくとも含む上記1つの油性相;
を少なくとも含む、上記の組成物に関する。
【0144】
少なくとも1つのジメチコン基を有する不揮発性シリコーン油及び不揮発性エステル油
本発明に従う組成物は、少なくとも1つのジメチコン基を有する少なくとも1つの不揮発性シリコーン油、又は特にはトリエステルから選択される不揮発性エステル油、又はそれらの混合物を含む。
【0145】
語「油」は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で液体状態である任意の脂肪物質を意味する。
【0146】
本発明の目的の為に、表現「不揮発性油」は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で、2.66Pa未満、好ましくは0.13Pa未満、のゼロでない蒸気圧を有する油を意味すると理解される。例として、蒸気圧は、蒸気圧(OCDE 104規格)に応じて、静的方法に従って、又は等温熱重量分析によるエフュージョン法により測定されうる。
【0147】
特に、本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、1重量%~12重量%、特には1.5重量%~10重量%、好ましくは2重量%~8重量%、の、少なくとも1つのジメチコン基を有する1以上の不揮発性シリコーン油、若しくは、特にはトリエステルから選択される、1以上の不揮発性エステル油、又はそれらの混合物を含む。
【0148】
該組成物の成分の1つが、上記の不揮発性シリコーン油又はエステル油、例えば該シリコーンエラストマー及び/又は該シリコーン樹脂、の存在下で使用される場合、これらの不揮発性油の含有量は、上記1以上の成分と共に提供される1以上の含有量を考慮に入れることに留意されたい。
【0149】
好ましくは、本発明に従う組成物は、少なくとも1つのジメチコン基を有する少なくとも1つの不揮発性シリコーン油を含み、より好ましくは、少なくとも1つのジメチコン基を有する不揮発性フェニルシリコーン油から選択される。
【0150】
少なくとも1つのジメチコン基を有する不揮発性シリコーン油
語「シリコーン油」は、少なくとも1つのSi原子を含む油を意味する。
【0151】
本発明に従う不揮発性シリコーン油は、ASTM D-445規格に従って測定される9センチストークス(cSt)(9×10-6m2/s)以上の25℃での粘度を有する。
【0152】
本発明において使用されることができる不揮発性シリコーン油は、特には25℃での粘度が9センチストークス(cSt)(9×10-6m2/s)以上で800000cSt未満、好ましくは50~600000cSt、好ましくは100~500000cSt、のシリコーン油から特に選択されうる。このシリコーンの粘度は、ASTM D-445規格に従って測定されうる。
【0153】
本発明の目的の為に、表現「不揮発性シリコーン油」は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で、2.66Pa未満、好ましくは0.13Pa未満、のゼロでない蒸気圧を有するシリコーン油を意味すると理解される。例として、蒸気圧は、蒸気圧(OCDE 104規格)に応じて、静的方法に従って、又は等温熱重量分析によるエフュージョン法により測定されうる。第1の実施態様に従うと、不揮発性シリコーン油は、少なくとも1つのジメチコン基を有する非フェニルシリコーン油である。
【0154】
語「ジメチコン基」は、ケイ素原子が2つのメチルラジカルを有する2価のシロキサン基を示し、この基は分子の末端には位置されていない。これは、以下の式:-(Si(CH3)2-O)-で表されうる。
【0155】
表現「非フェニルシリコーン油」は、フェニル置換基を含まないシリコーン油を表す。
【0156】
少なくとも1つのジメチコン基を有する不揮発性非フェニルシリコーン油は、
不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、
シリコーン鎖の側部及び/又は末端にある、それぞれ2~24個の炭素原子を含むアルキル基又はアルコキシ基を含む、PDMS、及び
脂肪族基及び/若しくは芳香族基、又は官能基、例えばヒドロキシル基、チオール基及び/若しくはアミン基を含む、PDMS、
から選択されうる。
【0157】
一つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも1つのジメチコン基を有する、少なくとも1つの非フェニルシリコーン油、特には、例えば直鎖(すなわち非環状)の油、を含む。
【0158】
言及されうるこれらの不揮発性で非フェニル直鎖シリコーン油の代表例は、ポリジメチルシロキサン及びアルキルジメチコンを包含する。
【0159】
少なくとも1つのジメチコン基を有する非フェニルシリコーン油は、とりわけ、下記の式
【0160】
【化4】
のシリコーン、から選択され得、
ここで、
置換基R1~R6及びXはメチル基を表し、p及びnは、粘度が500000cStであるような整数であり、例えばM社よりSE30
(登録商標)の名称下で販売されている製品、Wacker社よりAK 500000
(登録商標)の名称下で販売されている製品、Bluestar社よりMirasil
(登録商標)DM 500000の名称下で販売されている製品、及びDow Corning社よりDow Corning 200 Fluid
(登録商標)500000 cStの名称下で販売されている製品であり;又は
置換基R1~R6及びXはメチル基を表し、p及びnは、粘度が60000cStであるような整数であり、例えばDow Corning社よりDow Corning 200 Fluid
(登録商標)60000 CSの名称下で販売されている製品、及びWacker社よりWacker Belsil
(登録商標)DM 60000の名称下で販売されている製品であり;又は
置換基R1~R6及びXはメチル基を表し、p及びnは、粘度が350cStであるような整数であり、例えばDow Corning社よりDow Corning 200 Fluid
(登録商標) 350 CSの名称下で販売されている製品であり;又は
置換基R1~R6はメチル基を表し、基Xはヒドロキシル基を表し、n及びpは、粘度が700cStであるような整数であり、例えばMomentive社よりBaysilone Fluid T0.7
(登録商標)の名称下で販売されている製品である。
【0161】
本発明の文脈内で使用されることができる別の不揮発性非フェニルシリコーン油として、Wacker社よりBelsil(登録商標)DM100の名称下で販売されている製品がまた言及されうる。
【0162】
別の実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、好ましくは、少なくとも1つのジメチコン基を有する、少なくとも1つの不揮発性フェニルシリコーン油を含む。
【0163】
好ましい実施態様に従うと、本発明は、組成物、特にはケラチン物質をメイクアップする為の及び/又はケアする為の、特には化粧組成物、であって、
少なくとも1つの非粒子状合成ポリマーゲル化剤を含む1つの水性相;
1つの油性相であって、
(i)1つのシリコーンエラストマー、
(ii)1つのシリコーン樹脂、及び
(iii)少なくとも1つのジメチコン基を有する1つの不揮発性フェニルシリコーン油
を少なくとも含む上記1つの油性相;
を少なくとも含む、上記の組成物に関する。
【0164】
表現「フェニルシリコーン油」は、少なくとも1つのフェニル置換基を有するシリコーン油を表す。
【0165】
ジメチコン基を含む、これらの不揮発性フェニルシリコーン油の代表例として、より特には、フェニルジメチコン、ジフェニルジメチコン、及びそれらの混合物、が言及されうる。
【0166】
ジメチコン基を含むフェニルシリコーン油として、ジフェニルジメチコン、例えばWackerからの、Belsil(登録商標)油、特にBelsil PDM 1000(登録商標)(1000cSt)、Belsil PDM 200(登録商標)(200cSt)及びBelsil PDM 20(登録商標)(20cSt)が、特に使用されうる。カッコ内の値は25℃での粘度を表す。
【0167】
好ましくは、Wacker社より、とりわけBelsil PDM 1000(登録商標)の名称下で販売されている、トリメチルシロキシフェニルジメチコンが使用されうる。
【0168】
好ましい実施態様に従うと、本発明は、組成物、特にはケラチン物質をメイクアップする為の及び/又はケアする為の組成物、特には化粧組成物、であって、
少なくとも1つの非粒子状合成ポリマーゲル化剤を含む1つの水性相;
1つの油性相であって、
(i)1つのシリコーンエラストマー、
(ii)1つのシリコーン樹脂、及び
(iii)ASTM D-445規格に従って測定される9センチストークス(cSt)(9×10-6m2/s)以上の25℃での粘度を有する、少なくとも1つのジメチコン基を有する1つの不揮発性シリコーン油
を少なくとも含む上記1つの油性相;
を少なくとも含む、上記の組成物に関する。
【0169】
不揮発性エステル油
該不揮発性エステル油は特に、18~70個の炭素原子を有する。
【0170】
該エステル油は、ヒドロキシル化されうる。
【0171】
該不揮発性エステル油は、下記から選択されうる:
- 合計で18~40個の炭素原子を含むモノエステル、特に、式R1COOR2のモノエステル、ここで、R1は4~40個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の脂肪酸残基を表し、及びR2は、4~40個の炭素原子を含む炭化水素系鎖を表し、該鎖はとりわけ分岐状であり、但し、R1+R2が18以上であり、例えばパーセリン油(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、安息香酸C12~C15アルキル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、安息香酸2-オクチルドデシル、オクタノン酸アルコール若しくはポリアルコール、デカン酸アルコール若しくはポリアルコール、又はリシノール酸アルコール若しくはポリアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル又はコハク酸2-ジエチルヘキシル。好ましくは、該不揮発性エステル油は、式R1COOR2のエステルであり、ここで、R1は、4~40個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の脂肪酸残基を表し、及びR2は、4~40個の炭素原子を含む炭化水素系の鎖を表し、該鎖はとりわけ分岐状であり、但し、R1及びR2は、R1+R2が18以上である。好ましくは、該エステルは、合計で18~40個の炭素原子を含む。言及されうる好ましいモノエステルは、イソノナン酸イソノニル、エルカ酸オレイル及び/又はネオペンタン酸2-オクチルドデシルを包含しうる;
- ジエステル、例えば、合計で18~60個の炭素原子、特には合計で18~50個の炭素原子を含むジエステル。とりわけ、ジカルボン酸とモノアルコールとのジエステル、例えばリンゴ酸ジイソステアリル、又はモノカルボン酸のグリコールジエステル、例えばジヘプタン酸ネオペンチルグリコール又はジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、例えばAlzo社よりDermol DGDIS(登録商標)の商品名で販売されている化合物、を用いることが可能である。;
- トリエステル、特には合計で35~70個の炭素原子を含むトリエステル、特には、例えばトリカルボン酸のトリエステル、例えばクエン酸トリイソステアリル若しくはトリメリット酸トリデシル、又はモノカルボン酸のグリコールトリエステル、例えばトリイソステアリン酸ポリグリセリル-2;
- テトラエステル、とりわけ、35~70個の範囲の総炭素数を有するテトラエステル、例えば、モノカルボン酸のペンタエリスリトール又はポリグリセロールテトラエステル、例えばテトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、トリス(2-デシル)テトラデカン酸グリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2又はテトラキス(2-デシル)テトラデカン酸ペンタエリスリチル;
- 不飽和脂肪酸ダイマー及び/又はトリマーとジオールとの縮合によって得られるポリエステル、例えば仏国特許出願公開第FR0853634号明細書に記載されているポリエステル、特には、例えばジリノール酸と1,4-ブタンジオールとの縮合によって得られるポリエステル。この点に関して、特に、BiosynthisよりViscoplast 14436H(登録商標)(INCI名:ジリノール酸/ブタンジオールコポリマー)の名称下で販売されているポリマー、又はポリオールと二酸ダイマーとのコポリマー及びそのエステル、例えばHailuscent ISDA(登録商標)が言及されうる。;
- ジオールダイマーと、モノカルボン酸又はジカルボン酸とのエステル及びポリエステル、例えばジオールダイマーと脂肪酸とのエステル、及びジオールダイマーとジカルボン酸ダイマーとのエステル、特に、とりわけC8~C34、とりわけC12~C22、特にはC16~C20、より特にはC18、の不飽和脂肪酸の二量化から特に得られる、ジカルボン酸ダイマーから得られうるもの、例えばジリノール二酸とジリノールジオールダイマーとのエステル、例えば日本精化株式会社よりLusplan DD-DA5(登録商標)及びDD-DA7(登録商標)の商品名で販売されているもの;
- ポリオールエステル及びペンタエリスリトールエステル、例えばジペンタエリスリチルテトラヒドロキシステアレート/テトライソステアレート、
- 及びその混合物。
【0172】
好ましくは、本発明に従う組成物は、少なくとも1つの不揮発性エステル油、好ましくはトリエステルから選択される少なくとも1つの不揮発性エステル油、を含む。
【0173】
特に、該不揮発性エステル油は、トリカルボン酸のトリエステル、より特にはクエン酸トリイソステアリル及びトリメリット酸トリデシル、並びにモノカルボン酸のグリコールトリエステル、より特にはポリグリセロール-2トリイソステアレート、から選択される。
【0174】
好ましくは、該不揮発性エステル油は、トリメリト酸トリデシルである。
【0175】
水性相
本発明に従う組成物の水性相は、水、及び任意的に、水溶性溶媒を含む。
【0176】
本発明に従う組成物の水性相は水を含み、特に、該組成物の総重量に対して、40重量%~80重量%、特には45重量%~78重量%、好ましくは50重量%~75重量%、の含有量で水を含む。
【0177】
好ましい実施態様に従うと、本発明は、組成物、特にはケラチン物質をメイクアップする為の及び/又はケアする為の組成物、特には化粧組成物、であって、
該組成物の総重量に対して、40重量%~80重量%の含有量で水を含み、少なくとも1つの非粒子状合成ポリマーゲル化剤を含む1つの水性相;
1つの油性相であって、
(i)1つのシリコーンエラストマー、
(ii)1つのシリコーン樹脂、及び
(iii)ASTM D-445規格に従って測定される9センチストークス(cSt)(9×10-6m2/s)以上の25℃での粘度を有する、少なくとも1つのジメチコン基を有する1つの不揮発性シリコーン油
を少なくとも含む上記1つの油性相;
を少なくとも含む、上記の組成物に関する。
【0178】
好ましい実施態様に従うと、本発明は、組成物、特にはケラチン物質をメイクアップする為の及び/又はケアする為の組成物、特には化粧組成物、であって、
該組成物の総重量に対して、40重量%~80重量%の含有量で水を含み、少なくとも1つの非粒子状合成ポリマーゲル化剤を含む1つの水性相;
1つの油性相であって、
(i)1つのシリコーンエラストマー、
(ii)1つのシリコーン樹脂、及び
(iii)少なくとも1つのジメチコン基を有する1つの不揮発性フェニルシリコーン油
を少なくとも含む1つの油性相;
を少なくとも含む、上記の組成物に関する。
【0179】
本発明において、語「水溶性溶媒」は、室温(25℃)で液体であり、水と混和性(25℃、大気圧(760mmHg)で50重量%超の水との混和性)のある化合物を表す。
【0180】
また、本発明の組成物に用いられうる水溶性溶媒は、揮発性でもありうる。
【0181】
本発明に従う該組成物に使用されうる該水溶性溶媒のうち、特に、1~5個の炭素原子を含む低級モノアルコール、例えばエタノール及びイソプロパノール、2~8個の炭素原子を含むグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、及びジプロピレングリコール、C3及びC4ケトン、並びにC2~C4アルデヒドが言及されうる。
【0182】
別の実施態様の変形例に従うと、本発明に従う組成物の水性相は、少なくとも1つのC2~C32ポリオールを含みうる。
【0183】
本発明の目的の為に、語「ポリオール」は、少なくとも2つの遊離ヒドロキシル基を含む任意の有機分子を意味すると理解されるべきである。
【0184】
好ましくは、本発明に従うポリオールは、室温(25℃)で、液体の形態で存在する。
【0185】
本発明における使用の為に好適なポリオールは、アルキル鎖上に少なくとも2つの-OH官能基、特には少なくとも3つの-OH官能基、より特には少なくとも4つの-OH官能基、を有する、直鎖状、分岐状又は環状の、飽和又は不飽和のアルキルタイプの化合物でありうる。
【0186】
本発明に従う組成物を配合する為に好適なポリオールは特に、とりわけ2~32個の炭素原子、好ましくは3~16個の炭素原子、を含むポリオールである。
【0187】
特に、該ポリオールは例えば、エチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブチレングリコール、イソプレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ポリグリセロール、例えばグリセロールオリゴマー、例えばジグリセロール、及びポリエチレングリコール、並びにこれらの混合物から選択されうる。
【0188】
本発明の好ましい一つの実施態様に従うと、該ポリオールは、エチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセロール、ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物から選択される。
【0189】
特に、本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、1重量%~22重量%、特に5重量%~20重量%、好ましくは10重量%~18重量%、の1以上のポリオールを含む。
【0190】
従って、その観点の一つに従うと、本発明は、組成物、特にはケラチン物質をメイクアップする為の及び/又はケアする為の組成物、特には化粧組成物、であって、
少なくとも1つの非粒子状合成ポリマーゲル化剤を含む1つの水性相;
1つの油性相であって、
(i)1つのシリコーンエラストマー、
(ii)1つのシリコーン樹脂、
(iii)少なくとも1つのジメチコン基を有する1つの不揮発性シリコーン油、若しくは1つの不揮発性エステル油、又はそれらの混合物
を少なくとも含む上記1つの油性相;及び
該組成物の総重量に対して10重量%~18重量%の1以上のポリオール、
を少なくとも含む、上記の組成物に関する。
【0191】
好ましくは、本発明に従う組成物は、少なくとも1つのポリオール、好ましくは少なくとも1つのC2~C8液体ポリオール、を更に含む。
【0192】
より好ましくは、本発明に従う組成物は、少なくともグリセリンを含む。
【0193】
好ましい実施態様に従うと、本発明は、組成物、特にはケラチン物質をメイクアップする為の及び/又はケアする為の組成物、特には化粧組成物、であって、
少なくとも1つの非粒子状合成ポリマーゲル化剤を含む1つの水性相;
グリセリン;
1つの油性相であって、
(i)1つのシリコーンエラストマー、
(ii)1つのシリコーン樹脂、及び
(iii)ASTM D-445規格に従って測定される9センチストークス(cSt)(9×10-6m2/s)以上の25℃での粘度を有する、少なくとも1つのジメチコン基を有する1つの不揮発性シリコーン油
を少なくとも含む上記1つの油性相;
を少なくとも含む、上記の組成物に関する。
【0194】
好ましい実施態様に従うと、本発明は、組成物、特にはケラチン物質をメイクアップする為の及び/又はケアする為の組成物、特には化粧組成物、であって、
少なくとも1つの非粒子状合成ポリマーゲル化剤を含む1つの水性相;
グリセリン;
1つの油性相であって、
(i)1つのシリコーンエラストマー、
(ii)1つのシリコーン樹脂、及び
(iii)少なくとも1つのジメチコン基を有する1つの不揮発性フェニルシリコーン油
を少なくとも含む上記1つの油性相;
を少なくとも含む、上記の組成物に関する。
【0195】
着色剤
本発明に従う組成物は、少なくとも1つの着色剤を含み得、この着色剤は、粒子状又は非粒子状の、水溶性又は水不溶性の、脂溶性又は非脂溶性の、有機又は無機の着色剤、光学効果を有する材料、及びそれらの混合物から選択されうる。
【0196】
本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、0.1重量%~10重量%、特には0.5重量%~8重量%、好ましくは1重量%~6重量%、の1以上の着色剤を含みうる。
【0197】
本発明の目的の為に、語「着色剤」は、好適な化粧媒体中に十分な量で配合された場合に、着色された光学効果を生じさせることができる化合物を意味する。
【0198】
本発明で使用する為に好適な着色剤は、水溶性でありうるが、脂溶性でもありうる。
【0199】
本発明の目的の為に、語「水溶性着色剤」は、水性相又は水混和性溶媒に可溶で、色を付与することができる、任意の天然又は合成の、一般的に有機化合物を意味する。特に、語「水溶性」は、25℃で測定されて、少なくとも0.1g/lに等しい濃度まで水に溶解される化合物の能力を特徴づけることを意図される(巨視的に等方的な、透明な、着色した、又は無色の溶液の生成)。この溶解度は、特には1g/l以上である。
【0200】
本発明における使用の為に好適な水溶性染料として、特に合成又は天然の水溶性染料、例えばFDC Red 4(CI:14700)、DC Red 6(Lithol Rubine Na;CI:15850)、DC Red 22(CI:45380)、DC Red 28(CI: 45410 Na塩)、DC Red 30(CI:73360)、DC Red 33(CI:17200)、DC Orange 4(CI:15510)、FDC Yellow 5(CI:19140)、FDC Yellow 6(CI:15985)、DC Yellow 8(CI:45350 Na塩)、FDC Green 3(CI:42053)、DC Green 5(CI:61570)、FDC Blue 1(CI:42090)、が言及されうる。
【0201】
本発明の文脈において使用することができる、1以上の水溶性着色剤の供給源の非限定的な例示として、天然由来のもの、例えばコチニールカーマイン、ビートルート、ブドウ、ニンジン、トマト、アナトー、パプリカ、ヘナ、カラメル及びクルクミンの抽出物、に、とりわけ言及されうる。
【0202】
従って、本発明における使用の為に好適な水溶性着色剤は、とりわけカルミン酸、ベタニン、アントシアニン、エノシアニン、リコピン、β-カロテン、ビキシン、ノルビキシン、カプサンチン、カプソルビン、フラボクサンチン、ルテイン、クリプトキサンチン、ルビキサンチン、ビオラクサンチン、リボフラビン、ロドキサンチン、カンタキサンチン、クロロフィル及びそれらの混合物、である。
【0203】
該水溶性着色剤はまた、硫酸銅、硫酸鉄、水溶性スルホポリエステル、ローダミン、ベタイン、メチレンブルー、タートラジンの二ナトリウム塩、及びフクシンの二ナトリウム塩でもありうる。
【0204】
これらの水溶性着色剤の幾つかは、とりわけ食品の使用として認められている。より特には言及されうる、これらの染料の代表は、食品コードE120、E162、E163、E160a~g、E150a、E101、E100、E140及びE141で参照される、カロテノイド族の染料を包含する。
【0205】
特定の変形例に従うと、メイクアップすることを意図された皮膚及び/又は唇に移されるべき1以上の水溶性着色剤は、基材への含浸に適合するように、生理的に許容される媒体中に配合される。
【0206】
本発明の目的の為に、語「脂溶性着色剤」は、油性相に又は脂肪物質と混和する溶媒に可溶であり、色を付与することができる、任意の天然又は合成の、一般的に有機化合物を意味することを意図される。
【0207】
本発明における使用の為に好適な脂溶性染料として、特に合成又は天然の脂溶性染料、例えばDC Red 17、DC Red 21、DC Red 27、DC Green 6、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5、スーダンレッド、カロテン類(β-カロテン、リコピン)、キサントフィル(カプサンチン、カプソルビン、ルテイン)、パーム油、スーダンブラウン、キノリンイエロー、アナトー、及びクルクミン、が言及されうる。
【0208】
該着色剤のうち、顔料、真珠層及び/又は金属的な輝きを有する粒子がまた言及されうる。好ましくは、本発明に従う組成物は、少なくとも顔料を含む。
【0209】
語「顔料」は、水性溶液に不溶であり、それらを含む組成物及び/又は該組成物を用いて生成される堆積物を、着色及び/又は不透明化することを意図される、白色又は着色した、無機(鉱物)又は有機粒子を意味すると理解されるべきである。
【0210】
該顔料は、白色又は着色でありうる。それらは、鉱物顔料、有機顔料、及び複合顔料(すなわち、鉱物及び/又は有機材料に基づく顔料)から選択されうる。
【0211】
該顔料は、単色顔料、レーキ、真珠層、及び光学的効果を有する顔料、例えば反射顔料及びゴニオクロマチック顔料、から選択されうる。
【0212】
該顔料は、例えば顔料粉末又はペーストの形態でありうる。それらは、コーティング又は非コーティングでありうる。
【0213】
該鉱物顔料は、金属酸化物顔料、酸化クロム、酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、マンガンバイオレット、プルシアンブルー、ウルトラマリンブルー、フェリックブルー、及びそれらの混合物から選択されうる。
【0214】
該鉱物顔料はまた、例えばセリサイト/褐色酸化鉄/二酸化チタン/シリカタイプでありうる構造を有する顔料でありうる。そのような顔料は、例えばChemicals and Catalysts社よりCoverleaf NS又はJSの名称下で販売されており、30の領域におけるコントラスト比を有する。
【0215】
該鉱物顔料はまた、例えば酸化鉄を含むシリカミクロスフェアタイプでありうる構造を有する顔料でありうる。この構造を有する顔料の例は、Miyoshi社よりPCボールPC-LL-100 Pの名称下で販売されているものがあり、この顔料は、黄色酸化鉄を含むシリカミクロスフェアで構成されている。
【0216】
好ましくは、本発明に従う組成物は、酸化鉄及び/又は二酸化チタンから選択される、顔料を含みうる。
【0217】
該有機顔料は、例えばコチニールカーマイン;アゾ、アントラキノン、インジゴイド、キサンテン、ピレン、キノリン、トリフェニルメタン又はフルラン染料の有機顔料;酸性染料の有機レーキ又は不溶性のナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ジルコニウム、ストロンチウム又はチタン塩、例えばアゾ、アントラキノン、インジゴイド、キサンテン、ピレン、キノリン、トリフェニルメタン又はフルラン染料、でありうる。これらの染料は一般的に、少なくとも1つのカルボン酸基又はスルホン酸基、及びメラニン系顔料を包含する。
【0218】
該有機顔料のうち、D&C Blue No.4、D&C Brown No.1、D&C Green No.5、D&C Green No.6、D&C Orange No.4、D&C Orange No.5、D&C Orange No.10、D&C Orange No.11、D&C Red No.6、D&C Red No.7、D&C Red No.17、D&C Red No.21、D&C Red No.22、D&C Red No.27、D&C Red No.28、D&C Red No.30、D&C Red No.31、D&C Red No.33、D&C Red No.34、D&C Red No.36、D&C Violet No.2、D&C Yellow No.7、D&C Yellow No.8、D&C Yellow No.10、D&C Yellow No.11、FD&C Blue No.1、FD&C Green No.3、FD&C Red No.40、FD&C Yellow No.5、及びFD&C Yellow No.6が言及されうる。
【0219】
本特許出願の目的の為に、語「真珠層」(nacre)は、虹色であってもなくてもよく、とりわけ特定の軟体動物によって、その殻の中で生産されるか、又は代替的には合成され、光干渉を介して色彩効果を示す、任意の形態の着色粒子を意味する。
【0220】
言及されうる真珠層の例は、真珠光沢顔料、例えば酸化鉄で被覆されたチタンマイカ、オキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、酸化クロムで被覆されたチタンマイカ、とりわけ上記のタイプ、の有機染料で被覆されたチタンマイカ、及びオキシ塩化ビスマスをベースにされた真珠光沢顔料、を包含する。該真珠光沢は、金属酸化物及び/又は有機着色剤の、少なくとも2つの連続した層で、重畳される、マイカ粒子でありうる。
【0221】
該真珠層は、より特には、黄色、ピンク、赤、ブロンズ、オレンジ、茶色、金色及び/又は銅色の色又は輝きを有しうる。
【0222】
第1の組成物に干渉顔料として導入されうる真珠層の例として、とりわけEngelhard社よりブリリアントゴールド212G(Timica)、ゴールド222C(Cloisonne)、スパークルゴールド(Timica)、ゴールド4504(Chromalite)及びモナークゴールド233X(Cloisonne)の名称下で販売されている、金色の真珠層;とりわけMerck社よりBronze fine(17384)(Colorona)、及びBronze(17353)(Colorona)の名称下で、及びEngelhard社よりSuper bronze(Cloisonne)の名称下で、販売されている、青銅真珠層;とりわけEngelhard社よりオレンジ363C(Cloisonne)及びオレンジMCR 101(Cosmica)の名称下で、並びにMerck社よりパッションオレンジ(Colorona)及びマットオレンジ(17449)(Microna)の名称下で、販売されている、オレンジ色の真珠層;とりわけEngelhard社よりNu-antique copper 340XB(Cloisonne)及びBrown CL4509(Chromalite)の名称下で販売されている、茶色の真珠層;とりわけEngelhard社よりCopper 340A(Timica)の名称下で販売されている、銅色の輝きを持つ真珠層;とりわけMerck社よりSienna fine(17386)(Colorona)の名称下で販売されている、赤色の輝きを持つ真珠層;とりわけEngelhard社よりYellow(4502)(Chromalite)の名称下で販売されている、黄色の輝きを持つ真珠層;とりわけEngelhard社よりSunstone G012(Gemtone)の名称下で販売されている、金色の輝きを持つ赤色の真珠層;とりわけEngelhard社よりTan opale G005(Gemtone)の名称下で販売されている、ピンク色の真珠層;とりわけEngelhard社よりNu antique bronze 240 AB(Timica)の名称下で販売されている、金色の輝きを持つ黒色真珠層、とりわけMerck社よりMatte blue(17433)(Microna)の名称下で販売されている、青色の真珠層、とりわけMerck社よりXirona Silverの名称下で販売されている、銀色の輝きを持つ白色の真珠層、及びとりわけMerck社よりIndian summer(Xirona)の名称下で販売されている、金緑ピンクオレンジの真珠層及びそれらの混合物が言及されうる。
【0223】
本発明の目的の為に、語「金属光沢を有する粒子」は、その性質、大きさ、構造及び表面仕上げにより、特に非虹彩色で入射光を反射させることができる、任意の化合物を意味する。
【0224】
本発明において使用されうる金属的な輝きを持つ粒子は、特に
少なくとも1つの金属及び/又は少なくとも1つの金属誘導体の粒子;
少なくとも1つの金属及び/又は少なくとも1つの金属誘導体を含む、金属的な輝きを持つ、少なくとも1つの層で少なくとも部分的に被覆された、モノ材料又はマルチ材料の有機又は鉱物基材を含む、粒子;及び
上記粒子の混合物、
から選択される。
【0225】
上記粒子中に存在しうる金属のうち、例えばAg、Au、Cu、Al、Ni、Sn、Mg、Cr、Mo、Ti、Zr、Pt、Va、Rb、W、Zn、Ge、Te、Se、及びそれらの混合物又は合金、が言及されうる。Ag、Au、Cu、Al、Zn、Ni、Mo、Cr、及びそれらの混合物又は合金(例えば青銅及び黄銅)が好ましい金属である。
【0226】
語「金属誘導体」は、金属から誘導される化合物、特には酸化物、フッ化物、塩化物、及び硫化物、を表す。
【0227】
言及されうるこれらの粒子の実例は、アルミニウム粒子、例えばSiberline社よりStarbrite 1200EAC(登録商標)、及びEckart社よりMetalure(登録商標)の名称下で販売されているもの、並びに金属層で被覆されたガラス粒子、特には特開平09-188830号公報、特開平10-158450号公報、特開平10-158541号公報及び特開平07-258460号公報に記載されているもの、を包含する。
【0228】
着色剤の疎水化処理
上記のような粉状着色剤は、完全に又は部分的に、疎水化剤で表面処理されることができる。
【0229】
疎水化処理された顔料は、とりわけ文書欧州特許第1086683号明細書に記載されている。
【0230】
該疎水性処理剤は、シリコーン、例えばメチコン及びジメチコン、パーフルオロアルキルシラン、シラン、脂肪酸、例えばステアリン酸、金属石鹸、例えばジミリスチン酸アルミニウム及び水添牛脂グルタミン酸のアルミニウム塩、パーフルオロアルキルホスフェート、ポリヘキサフルオロプロピレンオキシド、パーフルオロポリエーテル、アミノ酸、N-アシルアミノ酸又はその塩、レシチン、イソプロピルトリイソステアリルチタネート、イソステアリルセバケート及びそれらの混合物から選択されうる。
【0231】
上記に引用された化合物において言及された語「アルキル」は、特には1~30個の炭素原子を含む、好ましくは5~16個の炭素原子を含む、アルキル基を示す。
【0232】
好ましくは、本発明に従う組成物は、好ましくは粉状の、少なくとも1つの着色剤、特には顔料から選択される着色剤、好ましくは、未処理の鉱物顔料、疎水化処理された鉱物顔料又は有機顔料、及びそれらの混合物から選択される着色剤、を含む。
【0233】
追加の化合物
油
本発明に従う組成物は、上述した油とは異なる少なくとも1つの他の油を含みうる。
【0234】
従って、本発明に従う組成物は、炭化水素系油、シリコーン油、フッ素化された又はフッ素化されていない油、又はそれらの混合物を含みうる。
【0235】
該油は、揮発性又は不揮発性でありうる。
【0236】
それらは、動物、植物、鉱物、又は合成由来でありうる。
【0237】
語「フッ素化された油」は、少なくとも1つのフッ素原子を含む油を意味することを意図されている。
【0238】
語「炭化水素系油」は、主に水素原子及び炭素原子を含む油を意味することを意図されている。該油は、任意的に、例えばヒドロキシル又は酸ラジカルの形態で、酸素、窒素、硫黄及び/又はリン原子を含みうる。
【0239】
語「無極性炭化水素系油」又は「炭化水素系油」は、水素原子と炭素原子のみを含む油を意味する。
【0240】
本発明の目的の為に、語「揮発性油」は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)において、1時間未満で皮膚と接触して蒸発することができる、任意の油を意味することを意図されている。揮発性化合物は、室温で液体であり、特には室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で、ゼロでない蒸気圧を有し、特には2.66Pa~40000Pa(0.02~300mmHg)の範囲の蒸気圧、特には2.66Pa~13000Pa(0.02~100mmHg)、より特には2.66Pa~1300Pa(0.02~10mmHg)、の範囲の蒸気圧を有する、揮発性化粧化合物である。
【0241】
揮発性油
該揮発性油は、炭化水素系油又はシリコーン油でありうる。
【0242】
8~16個の炭素原子を含む該揮発性炭化水素系油のうち、特には分岐状C8~C16アルカン、例えばC8~C16イソアルカン(イソパラフィンとしてまた知られている)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、例えば商品名アイソパー又はパーメチルで販売されている油、分岐状C8~C16エステル、例えばネオペンタン酸イソヘキシル、及びそれらの混合物が言及されうる。好ましくは、該揮発性炭化水素系油は、8~16個の炭素原子を含む揮発性炭化水素系油及びそれらの混合物から、特にはイソドデカン、イソデカン及びイソヘキサデカンから選択され、特にはイソドデカンである。
【0243】
8~16個の炭素原子、特には10~15個の炭素原子、より特には11~13個の炭素原子、を含む揮発性直鎖アルカン、例えばSasolよりParafol(登録商標)12-97及びParafol(登録商標)14-97という、それぞれの名称下で販売されている、n-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)、及びそれらの混合物、ウンデカン-トリデカン混合物、Cognis社からの出願国際公開第2008/155059号パンフレットの実施例1及び2で得られた、n-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)の混合物、及びそれらの混合物がまた言及されうる。
【0244】
言及されうる揮発性シリコーン油は、直鎖揮発性シリコーン油、例えばヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン及びドデカメチルペンタシロキサン、を包含する。
【0245】
言及されうる揮発性環状シリコーン油は、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン、特にはシクロヘキサシロキサン、を包含する。
【0246】
一つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも1つの揮発性シリコーン油を含む。
【0247】
特に、本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、0.1重量%~8重量%、好ましくは0.2重量%~6重量%、より好ましくは0.5重量%~5重量%、の1以上の揮発性シリコーン油を含みうる。
【0248】
別の実施態様の変形例に従うと、本発明に従う組成物は、1以上の揮発性シリコーン油を含まない。
【0249】
好ましい実施態様の変形例に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも1つの揮発性油、好ましくは少なくとも1つの揮発性炭化水素系油、より好ましくは8~16個の炭素原子を有する少なくとも1つの揮発性炭化水素系油、を含みうる。
【0250】
特に、本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、0.1重量%~5重量%、好ましくは0.2重量%~4.5重量%、より好ましくは0.5重量%~4重量%、の8~16個の炭素原子を有する1以上の揮発性炭化水素系油、好ましくはイソドデカン、を含みうる。
【0251】
該組成物の成分の1つが、1以上の揮発性油、例えば該シリコーンエラストマー及び/又は該シリコーン樹脂の存在下で使用される場合、1以上の揮発性油の含有量は、存在するこれらの油の全てについて評価される。
【0252】
不揮発性油
該不揮発性油は、特に炭化水素系油及び/又はフッ素系油及び/又はシリコーン油から選択されうる。
【0253】
特に言及されうる不揮発性炭化水素系油は、
動物由来の炭化水素系油、
植物由来の炭化水素系油、10~40個の炭素原子を含む合成エーテル、例えばジカプリリルエーテル、
鉱物又は合成由来の無極性炭化水素系油、特には流動パラフィン又はその誘導体、液体石油ゼリー、ポリブチレン、水素化ポリイソブチレン、デセン/ブテンコポリマー、ポリブテン/ポリイソブテンコポリマー、ポリデセン及び水素化ポリデセン、並びにこれらの混合物、好ましくは水素化ポリイソブテン、
室温(25℃)で液体であり、12~26個の炭素原子を含む、分岐状及び/又は不飽和炭素系の鎖を有する、脂肪アルコール、例えば2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール及びオレイルアルコール、
C12~C22高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びそれらの混合物、及び
フェニルシリコーン油、例えばフェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、及びそれらの混合物、
及びまた、これら各種油の混合物、
を包含する。
【0254】
界面活性剤
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物はまた、少なくとも1つの界面活性剤を含みうる。
【0255】
該界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性の界面活性剤、並びにそれらの混合物から選択されうる。界面活性剤の乳化特性及び機能の定義については、Kirk-OthmerのEncyclopedia of Chemical Technology,Volume 22,pages 333-432,3rd Edition,1979,Wiley、特に、アニオン性、両性及び非イオン性の界面活性剤については、この文献の347~377頁が参照されうる。
【0256】
非イオン性界面活性剤
好ましくは、本発明に従う組成物は、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。
【0257】
該非イオン性界面活性剤は、とりわけ、ポリ(エチレンオキシド)のアルキル及びポリアルキルエステル、オキシアルキレン化されたアルコール、ポリ(エチレンオキシド)のアルキル及びポリアルキルエーテル、ソルビタンの任意的にポリオキシエチレン化されていてもよいアルキル及びポリアルキルエステル、ソルビタンの任意的にポリオキシエチレン化されていてもよいアルキル及びポリアルキルエーテル、アルキル及びポリアルキルグリコシド又はポリグリコシド、特にはアルキル及びポリアルキルグルコシド又はポリグルコシド、スクロースのアルキル及びポリアルキルエステル、グリセロールの任意的にポリオキシエチレン化されていてもよいアルキル及びポリアルキルエステル、グリセロールの任意的にポリオキシエチレン化されていてもよいアルキル及びポリアルキルエーテル、ジェミニ界面活性剤、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びそれらの混合物から選択されうる。
【0258】
好ましくは用いられる、オキシアルキレン化された、特にオキシエチレン化された及び/又はオキシプロピレン化された、アルコールは、1~150個のオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位、特には20~100個のオキシエチレン単位、特にとりわけC8~24、好ましくはC12~C18、の脂肪族アルコール、を含みうる上記のアルコール;これらは、任意的にエトキシル化されていてもよく、例えば20個のオキシエチレン単位でエトキシル化されたステアリルアルコール(CTFA名:ステアレス(Steareth)-20)、例えばUniqema社より販売されているBrij(登録商標)78、30個のオキシエチレン単位でエトキシル化されたセテアリルアルコール(CTFA名:セテアレス(Ceteareth)-30)、及び7個のオキシエチレン単位を含むC12~C15脂肪アルコールの混合物(CTFA名:C12~15 パレス(Pareth)-7)、例えばShell ChemicalsよりNeodol 25-7(登録商標)の名称下で販売されている製品;又は特には、1~15個のオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位を含むオキシアルキレン化(オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化)されたアルコール、特にはエトキシル化されたC8~C24、好ましくはC12~C18、の脂肪アルコール、例えば2個のオキシエチレン単位でエトキシル化されたステアリルアルコール(CTFA名:ステアレス(Steareth)-2)、例えばUniqema社より販売されているBrij(登録商標)72、である。
【0259】
好ましくは用いられる、任意的にポリオキシエチレン化されていてもよい、ソルビタンのアルキル及びポリアルキルエステルは、0~100個の範囲の幾つかのエチレンオキシド(EO)単位を有するものを包含する。言及されうる例は、ラウリン酸ソルビタン4又は20 EO、特にはポリソルベート20(又はポリオキシエチレン(20)モノラウリン酸ソルビタン)、例えばUniqema社より販売されている製品Tween(登録商標)20、又はポリソルベート60、パルミチン酸ソルビタン20 EO、イソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン20 EO、オレイン酸ソルビタン20 EO、又はBASFからのCremophor(登録商標)製品(RH 40、RH 60等)を包含する。CrodaからArlacel(登録商標)2121U-FLの名称下で販売されている、ステアリン酸ソルビタンとスクロースココエート(sucrose cocoate)との混合物がまた言及されうる。
【0260】
好ましくは用いられる、アルキル及びポリアルキルグルコシド又はポリグルコシドは、6~30個の炭素原子、好ましくは6~18個、又は更に8~16個、の炭素原子を含むアルキル基を含み、好ましくは1~5、とりわけ1、2又は3、のグルコシド単位を含むグルコシド基を含むものを包含する。アルキルポリグルコシドは、例えばデシルグルコシド(アルキル-C9/C11-ポリグルコシド(1.4))、例えばKao Chemicals社よりMydol 10(登録商標)の名称下で販売されている製品、又はHenkel社よりPlantacare 2000 UP(登録商標)の名称下で販売されている製品、及びSEPPIC社よりOramix NS 10(登録商標)の名称下で販売されている製品;カプリリル/カプリルグルコシド、例えばCognis社よりPlantacare KE 3711(登録商標)の名称下で販売されている製品、又はSEPPIC社よりOramix CG 110(登録商標)の名称下で販売されている製品;ラウリルグルコシド、例えばHenkel社よりPlantacare 1200 UP(登録商標)の名称下で販売されている製品、又はHenkel社よりPlantaren 1200 N(登録商標)の名称下で販売されている製品;ココイルグルコシド、例えばHenkel社よりPlantacare 818 UP(登録商標)の名称下で販売されている製品;カプリリルグルコシド、例えばCognis社よりPlantacare 810 UP(登録商標)の名称下で販売されている製品;アラキジルグルコシドとベヘニルアルコールとアラキジルアルコールとの混合物(そのINCI名はアラキジルアルコール(及び)ベヘニルアルコール(及び)アラキジルグルコシドであり、SEPPIC社よりMontanov(登録商標)202の名称下で販売されている);及びそれらの混合物から選択されうる。
【0261】
アニオン性界面活性剤
該アニオン性界面活性剤は、アルキルエーテル硫酸塩、カルボン酸塩、アミノ酸誘導体、スルホン酸塩、イセチオン酸塩、タウリン塩、スルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、リン酸塩及びアルキルリン酸塩、ポリペプチド、C10~C30、特にはC16~C25、の脂肪酸の金属塩、特には金属ステアリン酸塩及びベヘン酸塩、並びにその混合物から選択されうる。
【0262】
カチオン性界面活性剤
該カチオン性界面活性剤は、アルキルイミドリジニウム、例えばイソステアリルエチルイミドニウムエトスルフェート、アンモニウム塩、例えば(C12~30-アルキル)-トリ(C1~4-アルキル)アンモニウムハライド、例えばN,N,N-トリメチル-1-ドコサナミニウムクロリド(又はベヘントリモニウムクロリド)、から選択されうる。
【0263】
両性界面活性剤
本発明に従う組成物はまた、1以上の両性界面活性剤、例えばN-アシルアミノ酸、例えばN-アルキルアミノ酢酸塩及びココアンホジ酢酸二ナトリウム、並びにアミンオキシド、例えばステアリンオキシド、又は代替的には、シリコーン界面活性剤、例えばジメチコンコポリオールホスフェート、例えばPhoenix Chemical社よりPecosil PS 100(登録商標)の名称下で販売されている製品、を含みうる。
【0264】
シリコーン界面活性剤
該組成物はまた、少なくとも1つのシリコーン界面活性剤を含みうる。例として、単独又は混合物として使用される、25℃で8以上のHLBを有する非イオン性界面活性剤として、ジメチコンコポリオール又はジメチコンコポリオールベンゾエートが言及され得、単独又は混合物として使用される、25℃で8未満のHLBを有する非イオン性界面活性剤として、シクロメチコン/ジメチコンコポリオールの混合物が言及されうる。
【0265】
シリコーン界面活性剤として、信越化学工業株式会社よりKF-6017(登録商標)の名称下で販売されているPEG-10ジメチコン、Dow Corning Corporation社よりES-5226 DM(登録商標)の名称下で販売されているジメチコン(及び)PEG/PPG-18/18ジメチコン、信越化学工業株式会社より、KF-6028(登録商標)の名称下で販売されているPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(及び)PEG-9、及びKF-6038(登録商標)の名称下で販売されているラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンが言及されうる。
【0266】
好ましくは、本発明に従う組成物は、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。
【0267】
好ましくは、本発明に従う組成物は、任意的にポリオキシエチレン化されていてもよい、ソルビタンのアルキル及びポリアルキルエステル、アルキル及びポリアルキルグルコシド又はポリグルコシド、ステアリルアルコール、及びそれらの混合物から選択される、少なくとも1つの界面活性剤を含む。
【0268】
保存剤
一つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも1つの保存剤も含みうる。
【0269】
該保存剤は、化粧品に通常使用される保存剤である。それは、化粧品に許可される保存剤のリストを規定する規則(EC)No1223/2009の附属書Vに含まれるポジティブリストから選択されうる。これらの成分の役割は、細菌学的な観点から配合物を安定化させることである。
【0270】
従って、保存剤として、検討中の分野で、通常使用される任意の保存剤、例えばパラベン(登録商標)とも云われるパラヒドロキシ安息香酸エステル、例えばプロピルパラベン、メチルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン又はイソブチルパラベン、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド発生剤、例えばイミダゾリジニル尿素又はジアゾリジニル尿素、EDTA二ナトリウム、EDTA四ナトリウム、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸、ベンジルアルコール、クロロフェネシン、クロルヘキシジンジグルコネート、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、例えばミリスチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTFA名:ミルトリモニウムブロミド)、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド及びそれらの混合物、例えばFEF CHEMICALS社よりCetrimide(登録商標)の名称下で販売されている混合物、或いは、ポリマー第四級アンモニウム塩、例えばポリクオタニウム-10、特にはフェノキシエタノール及び/又はデヒドロ酢酸ナトリウム、が使用されうる。
【0271】
本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、0.001重量%~5重量%、好ましくは0.1重量%~1.5重量%、の1以上の保存剤、特にはフェノキシエタノール、を含みうる。
【0272】
通常の追加化粧成分
本発明に従って使用される組成物は、任意の通常の化粧成分も含み得、それはとりわけ、充填剤、化粧活性剤、抗酸化剤、追加の親油性又は親水性皮膜形成ポリマー、固体脂肪物質、例えばペースト脂肪物質及びワックス、香料、中和剤、日焼け止め剤、甘味料、ビタミン、フリーラジカル捕捉剤、金属イオン封鎖剤及びそれらの混合物から選択されうる。
【0273】
従って、該組成物は、皮膚及び/又は唇、特には該唇、の為の、保湿剤、瘢痕化剤及び/又は抗老化剤から選択される、少なくとも1つの活性剤を含みうる。
【0274】
言うまでもなく、当業者は、本発明に従って使用される組成物の有利な特性が、想定される添加によって悪影響を受けない、又は実質的に受けないように、任意的な追加化合物及び/又はその量を選択することに注意を払うであろう。
【0275】
生理的に許容される媒体
先に示した化合物の他に、本発明に従う組成物は、生理的に許容される媒体を含む。
【0276】
語「生理的に許容される媒体」は、本発明の組成物を皮膚及び/又は唇に施与する為に特には好適な媒体、例えば化粧組成物に一般的に使用される、水又は油又は有機溶媒を示すことが意図されている。
【0277】
該生理的に許容される媒体(許容される耐性、毒性、使用感)は一般的に、組成物が施与される支持体の性質に適合され、又、該組成物が包装される形態に適合される。
【0278】
組成物
本発明に従う組成物は、概して液体であり得、ゲル、好ましくはゲル-クリーム、の稠度を有しうる。特に、本発明に従う組成物は、剪断減粘性ゲルの稠度を有する。
【0279】
好ましくは、本発明に従う組成物は液体である。
【0280】
本発明に従う組成物は、好ましくは、50~150ポイズの粘度を有する。
【0281】
該組成物の粘度は、Lamy RheologyからのRheomat RM 200タイプのレオメーターを使用して、スピンドル4(2~23Pa・s)又はスピンドル3、速度200rpm、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で測定されることができる。
【0282】
本発明に従う組成物は、特に、水性相がゲル化された外相を構成する乳化ゲルでありうる。このように、本発明に従う組成物は、エマルジョン、又はゲル-ゲル型の組成物とは異なる。従って、親油性相は、従来のエマルジョンのように液滴の形態で存在することはない。
【0283】
本発明に従う組成物をエマルジョンと区別することは、希釈試験を行うことにより可能である。
【0284】
より具体的には、該希釈試験は、40gの製品と160gの希釈溶媒(水又は油)とを、30mlのプラスチックビーカーに入れることで構成される。該希釈は、任意の乳化現象を避ける為に、制御された撹拌下で行われる。特に、プラネタリーミキサー、すなわちスピードミキサーTM DAC400FVZ、を使用して行われる。該スピードミキサーは、1500rpm、4分間に設定される。最後に、得られた試料の観察は、光学顕微鏡を用い、100倍(10×10倍)で行われる。Dow CorningからのParleam(登録商標)及びXiameter PMX-200 Silicone Fluid 5CS(登録商標)のような油が希釈溶媒とし便利であることに気づかされうる。
【0285】
本発明に従う組成物の場合、油又は水のいずれかで希釈されると、不均一な様相が常に観察される。本発明に従う組成物が水で希釈されると、懸濁物中に油性ゲルの塊を観察し、油で希釈されると、懸濁物中に水性ゲルの塊を観察するであろう。
【0286】
逆に、希釈すると、エマルジョンは異なる挙動を示す。O/Wエマルジョンは、水性溶媒で希釈されると、不均一で塊状の様相を呈することなく、徐々に薄くなるであろう。この同じO/Wエマルジョンは、油で希釈されると、不均一な外観を呈する(O/Wエマルジョンの塊が、油中に浮遊している)。W/Oエマルジョンは、水性溶媒で希釈されると、不均一な外観を呈する(W/Oエマルジョンの塊が、水中に浮遊している)。この同じW/Oエマルジョンは、油で希釈されると、不均一で塊状の様相を呈することなく、徐々に薄くなるであろう。
【0287】
又、乳化されたゲルをエマルジョンと区別することは、顕微鏡検査、例えば共焦点レーザー走査型顕微鏡検査により可能である。
【0288】
特に、本発明に従う組成物の水性相及び親油性相は、40/60~90/10、特には45/55~85/15、好ましくは50/50~80/20、の水性相/親油性相の比率で存在する。
【0289】
本発明に従う組成物の調製
本発明に従う組成物は、化粧品又は皮膚学の分野において、一般的に使用される、既知の方法により製造されうる。
【0290】
該組成物は、室温(25℃)で、又は高温で調製されうる。
【0291】
例えば、水性相及び油性相は、予め別々に調製され得、次に、一緒に混合され、そして粉末状化合物を導入されうる。
【0292】
用途及び方法
本発明に従う組成物は、より特には、皮膚及び/又は唇、特には唇、をメイクアップする為の及び/又はケアする為の組成物でありうる。
【0293】
好ましくは、本発明に従う組成物は、唇をメイクアップする為の化粧組成物である。
【0294】
本発明に従う組成物は、唇用の液体口紅、ボディメイクアップ製品、フェイシャルケア製品又はボディケア製品、又は日焼け防止製品を構成しうる。
【0295】
本発明の組成物は、特に、ケラチン物質、特には唇、に施与されることを意図された組成物、例えば口紅、リップバーム、リップグロス又はリップペンシル、である。
【0296】
好ましくは、本発明に従う組成物は、口紅、リップバーム又はリップグロスである。
【0297】
液体製剤の実例として、とりわけリップグロス又はリップインクが言及されうる。
【0298】
本発明に従う組成物は、好ましくはアプリケータ、特にはディップアプリケータ、例えば植毛ディップアプリケータ、を使用して施与されうる。
【0299】
その観点の別のものに従うと、本発明は、ケラチン物質、特には唇、をメイクアップする為の及び/又はケアする為の化粧方法に関し、その方法は、上記で定義するような組成物を上記ケラチン物質、特には上記唇、に施与する少なくとも1つのステップを含む。
【0300】
特に、本方法は、唇をメイクアップする為の及び/又はケアする為の化粧方法であり、上記で定義されるような組成物を上記唇に施与する少なくとも1つのステップを含む。
【0301】
好ましくは、本方法は、唇をメイクアップする為の化粧方法であり、上記で定義されるような組成物を上記唇に施与する少なくとも1つのステップを含む。
【0302】
特許請求の範囲を含む本明細書を通じて、表現「を含む(comprising a)」は、特に指定されない限り、「少なくとも1つを含む(comprising at least one)」と同義であると理解されるべきである。
【0303】
語「~の(between ... and ...)」、「~を含む(comprises from ... to ...)」、「~から形成される(formed from ... to ...)」、及び「~の範囲の(ranging from ... to ...)」は、特に指定されない限り、限界を含むものとして理解されるべきである。
【0304】
本発明は、以下に示す実施例により、より詳細に説明される。特に指定されない限り、示された量は、質量パーセンテージとして表される。
【0305】
実施例
【0306】
測定方法及び評価方法
組成物の各々は、均一な厚さの堆積物を形成するように、唇に施与される。施与のしやすさ、及び、該堆積物の外観は、評価される(サテン効果、包み込み効果、滑らかな効果、均一性、新鮮さ、該堆積物の厚さ、等)。
【0307】
安定性の評価
該組成物の安定性は、得られた組成物を室温(25℃)で1週間、最長で2カ月間置くことにより評価される。得られた組成物を、45℃で2カ月間置くことによっても評価されることができる。相分離、浸出、又は外観の変化の観察が、確認される。
【0308】
移動、光沢及び使い心地の評価
移動、光沢及び使い心地は、有資格者からなるパネルにより、半定量的なメンテナンスに基づき評価される。
【0309】
肉厚な唇と薄い唇を持つ6人のパネルの唇に、該製剤が施与される。
【0310】
光沢は、配合物の施与3分後、次に施与1時間30分後に評価される。
【0311】
移動及び使い心地は、施与1時間30分後に評価される。
【0312】
組成物の光沢はまた、当業者に既知の、任意のプロトコルにより、イン・ビトロ(in vitro)で評価されうる。
【0313】
代替的には、該光沢及び該移動は、特許出願仏国特許出願公開第2829344号明細書に記載されているように、Chromasphere SEI-M-02232-CHRO-0機によって、イン・ビボ(in vivo)で評価されうる。
【0314】
粘着性の評価
該配合物を用いて作られた堆積物の粘着性の外観はまた、以下のプロトコルに従って評価される:該組成物の各々は、均一な厚さの堆積物を形成するように、該唇に施与される。
【0315】
該粘着性は、室温(25℃)で2分後の、該配合物の乾燥中に評価される。これをする為に、該粘着性は、対象によって、上唇と下唇を数回合わせることにより評価される。
【0316】
摩耗特性の評価
組成物の経時的な摩耗特性は、機械的又は物理的なストレス、例えばメイクアップ表面の擦れや伸び、に耐える能力を反映する。組成物の摩耗特性は、該組成物を施与する有資格者からなるパネルで、以下に示すような感覚的な方法を用いて、評価されることができる。
【0317】
該摩耗特性の評価は、該組成物を唇に施与してから1時間30分後に実施される。
【0318】
移り評価
移りは、以下の条件で実施される感覚試験により評価される。該組成物は、該唇に施与され、室温(25℃)で2分間乾燥される。該移りは、最初に手の上でキス試験により、2番目に従来のメイクアップリムーバーを用いたメイクアップ除去により評価される。
【0319】
粘度
該配合物の粘度は、Lamy RheologyからのRheomat RM 200型のレオメーターを使用して、スピンドル4(2~23Pa・s)、速度200rpm、室温(25℃)、大気圧(760mmHg)下で、測定されることができる。
【0320】
振動式ダイナミックレオロジーの測定方法
これらは、弾性率を測定する為のハーモニックレジームレオロジー測定である。
【0321】
測定は、Haake RS600型レオメーターを使用し、25℃で直径60mm、ギャップ2mmのプレートプレートスピンドルを用いて、静止している製品の上で、行われる。
【0322】
該ハーモニックレジーム測定により、該製品の粘弾性特性を特徴づけることを可能にする。この技術は、時間の経過と共に正弦波状に変化する応力を材料に与え、この応力に対する該材料の応答を測定することからなる。挙動が、線形粘弾性挙動を示す範囲(ひずみが応力に比例する領域)では、応力(τ)とひずみ(γ)は、時間の2つの正弦関数であり、次のように記述される:
τ(t)=τ0 sin(ωt)
γ(t)=γ0 sin(ωt+δ)
ここで、
τ0は応力の最大振幅(Pa)を表し、
γ0はひずみの最大振幅(-)を表し、
ω=2ΠNは角周波数(rad.s-1)を表し、Nは周波数(Hz)を表し;
δはひずみに対する応力の位相のずれ(rad)を表す。
【0323】
従って、該2つの関数は同じ角周波数を有するが、角度δだけ位相がずれている。τ(t)とγ(t)との位相差δによって、系の該挙動は、次のように理解されうる:
δ=0の場合、材料は純粋に弾性であり、
δ=Π/2の場合、該材料は純粋に粘性(ニュートン流体)であり、
0<δ<Π/2の場合、該材料は粘弾性である。
【0324】
一般的に、応力及びひずみは、複素形式で表記される。
τ*(t)=τ0eiωt
γ*(t)=γ0e(iωt+δ)
【0325】
次に、ひずみに対する該材料の全体的な抵抗を表す、複素曲げ剛性率は、それが弾性起源であれ粘性起源であれ、次式で定義される:
G*=τ*/γ*=G’+iG’’
ここで、
G’は、貯蔵弾性率又は弾性率で、1サイクル中に貯蔵され、完全に再利用されるエネルギーを特徴づけ、G’=(τ0/γ0)cosδであり;
G’’は、損失弾性率又は粘性弾性率で、1サイクルの間に内部摩擦によって散逸するエネルギーを特徴づけ、G’’=(τ0/γ0)sinδである。
【0326】
保持されるパラメータは、周波数1Hzで測定された、プラトーで記録された、平均曲げ剛性率G*である。
【0327】
実施例I
本発明に従う下記のリップ組成物(1)~(7)は、以下に記載されている通り、下記の表1及び表2に示されている割合及び化合物で調製される。
【0328】
【0329】
組成物(1)~(7)に使用されているシリコーンエラストマーは、下記の表2に詳細に記載されている。
【0330】
【0331】
組成物の調製
該組成物は、室温(25℃)で調製されている。
【0332】
該組成物の調製の前に、ホワイトベースが調製されている。
【0333】
相WB1の化合物は、Rayneriブレンダーを使用して混合される。別に、相WB2の化合物は、Rayneriブレンダーを使用して、又はスパチュラを使用して手動で混合される。相WB2は、相WB1に取り込まれ、次に、該混合物は、Rayneriブレンダーを使用して10分間撹拌したままにされる。相WB3の化合物は、該混合物に振りかけられ、ゲルが生成されるにつれて、撹拌速度は、徐々に増加される。ゲルの塊が完全になくなるまで、混合物全体は10分間撹拌したままにされる。
【0334】
該ホワイトベースは、Rayneriブレンダーを使用して水と混合されて、相Aを形成する。相Bの化合物は、それらを振りかけることによって、相Aに導入され、次に、該混合物は、染料の完全な可溶化まで10分間、撹拌したままにされる。相Cの化合物は、Rayneriブレンダーを使用して撹拌しながら、スパチュラを使用して、該混合物に取り込まれる。該顔料の良好な分散を確保する為に、該組成物は15分間撹拌される。
【0335】
結果
本発明に従う組成物(1)~(7)を用いて得られた結果は、以下に、詳細に記載されている。
【0336】
組成物(1)~(7)は、唇にサテンのような仕上がりを有する。該組成物の全てが、該唇上での良好な摩耗特性を有し、移りはほとんどない。該堆積物は均一であり、快適である。
【0337】
組成物(1)は、施与時に新鮮であり、移動しない。更に、組成物(1)で得られた堆積物は薄い。組成物(1)のホワイトベースは、76ポイズの粘度を有し、最終組成物(1)は、上述の測定プロトコルに従って、124ポイズの粘度(2回の測定の平均値)を有する。更に、組成物(1)で得られた色彩効果は強い。
【0338】
組成物(2)は、施与時に非常に新鮮であり、粘着性がなく、移動しない。
【0339】
組成物(3)は、施与時に非常に新鮮であり、移動しない。組成物(3)で得られた膜は光沢がある。
【0340】
組成物(4)は、包み込むような仕上がりで、始めは厚みがあり、次に、唇にのせた感触ではすぐに薄くなる。
【0341】
組成物(5)の、唇への堆積物は、粘着性がない。
【0342】
組成物(6)は、移動しない。
【0343】
組成物(7)の、唇への堆積物は、光沢があり、タック性がない。
【0344】
組成物(7)は、粘着をほとんど又は全く示さない。更に、組成物(7)で得られた膜は、該唇を包み込むような効果を有する。
【0345】
実施例II
実施例Iによるリップ組成物(1)、及び(8)~(11)は、下記の表3及び表4に示されている、割合及び化合物で調製される。
【0346】
【0347】
該組成物は、実施例Iに、詳細に記載されている手順に従って調製される。
【0348】
組成物(1)、及び(9)~(12)において使用された油は、下記の表4に、詳細に記載されている。
【0349】
【0350】
結果
組成物(1)及び(8)~(11)を用いて得られた結果は、以下に、詳細に記載されている。
【0351】
本発明に従う組成物(1)及び(9)は、唇にサテンのような仕上がりを有し、移りがほとんどなく、移動しない。該堆積部は、均一であり、快適である。
【0352】
組成物(1)は、施与時に新鮮である。更に、組成物(1)で得られた堆積物は、薄く、良好な摩耗特性を有する。
【0353】
組成物(9)は、該唇に光沢のある膜を残す。
【0354】
本発明外の組成物(8)、(10)及び(11)は、安定性に欠ける。
【0355】
更に、本発明外の組成物(8)及び(11)は、歯を着色し、顕著な移りを生じる。本発明外の組成物(10)を用いて得られる堆積物は、均一でない。本発明外の組成物(11)で得られた堆積物は、厚く、不均一である。組成物(11)は、移動する。
【0356】
実施例III
実施例Iによるリップ組成物(1)、及び本発明に従う(12)は、下記の表5に示されている、割合及び化合物で調製される。
【0357】
【0358】
該組成物は、実施例Iで詳細に記載されている手順に従って調製される。
【0359】
結果
組成物(1)及び(12)を用いて得られた結果は、以下に、詳細に記載されている。
【0360】
本発明に従う組成物(1)及び(12)は、唇にサテンのような仕上がりを有し、ほとんど又は全く移らない。更に、移動もほとんど又は全くない。該堆積物は均一であり、快適である。
【0361】
実施例IV
本発明に従うリップ組成物(13)~(16)は、以下に記載されているように、下記の表6に示されている、割合及び化合物で調製される。含有量は、該組成物の総重量に対する重量%である。
【0362】
【0363】
組成物の調製
該組成物の調製の前に、それらを含む場合、トリメチルシロキシシリケート(及び)ポリプロピルシルセスキオキサン及びイソドデカンを用いて、プレミックスが作製される。該調製は、72/28の樹脂/溶媒比で300gについて実行される。該イソドデカンは、75℃に加熱され、該トリメチルシロキシシリケート(及び)ポリプロピルシルセスキオキサンは、ゲルが塊になるのを防ぐ為に、完全に溶解するまで、Rayneriブレンダーを使用して撹拌しながら、少しずつ振りかけられる。透明で粘度の高い液体が得られ、ポットに注がれ、その後、冷えた状態で使用する為に放冷される。
【0364】
同様に、該組成物の該調製の前に、それらを含む場合、ポリメチルシルセスキオキサン及びイソドデカンを用いて、プレミックスが作製される。該調製は、72/28の樹脂/溶媒比で300gについて実行される。該イソドデカンは40℃に加熱され、該ポリメチルシルセスキオキサンは、Rayneriブレンダーを使用して撹拌しながら、少しずつ振りかけられる。粘度の高い液体が得られ、その後、冷えた状態で使用する為に放冷される。
【0365】
該組成物は、室温(25℃)で調製される。
【0366】
該水性相は、Rayneriブレンダーを使用して、水、グリセリン、及びフェノキシエタノールを混合することにより、調製される。
【0367】
別に、該脂肪相は、樹脂、エラストマー及び油を、Rayneriブレンダーを使用して混合することにより、又はスパチュラを用いて手動で混合することにより、調製される。配合物(14)について、該エラストマー及び該樹脂が予備混合され、次に、該油が添加される。
【0368】
該脂肪相は、該水性相に取り込まれ、該混合物は、Rayneriブレンダーを使用して、10分間撹拌したままにされる。
【0369】
次に、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマーは、該混合物に振りかけられ、ゲルが生成されるにつれて、撹拌速度は、徐々に増加される。ゲルの塊が完全になくなるまで、混合物全体は、10分間撹拌したままにされる。
【0370】
次に染料が導入され、10分間撹拌しながら溶解される。顔料は、それらを振りかけることにより導入され、次に該混合物は10~15分間撹拌したままにされる。
【0371】
組成物(13)~(16)の粘度は、上述のプロトコルに従って測定された。結果は、下記の表7に、詳細に記載されている(2回の測定の平均値)。
【0372】
【0373】
結果
本発明に従う組成物(13)~(16)を用いて得られた結果は、以下に、詳細に記載されている。
【0374】
組成物(13)~(16)は、唇にサテンのような仕上がりを有し、移りはほとんど又は全くない。更に、組成物(13)~(16)を用いて得られる堆積物は、薄く、均一で快適であり、良好な摩耗特性を有する。それらは、乾燥後、歯を着色しない、又は歯にほとんど着色しない。
【0375】
又、組成物(13)、(14)及び(16)は、施与時も新鮮であり、移動しない。
【0376】
組成物(14)、(15)及び(16)の唇への堆積物は、粘着性がないか、又はあまりない。
【0377】
実施例V
実施例Iによるリップ組成物(1)、及び本発明による(17)~(20)は、以下に記載されているように、下記の表8に示されている、割合及び化合物で調製される。
【0378】
【0379】
該組成物は、実施例Iで詳細に記載されている手順に従って調製される。
【0380】
結果
組成物(1)及び(17)~(20)を用いて得られた結果は、以下に、詳細に記載さていれる。
【0381】
該組成物の全ては、唇にサテンのような仕上がりを有する。該堆積物は均一である。唇上での良好な摩耗特性を有し、移りはほとんどない。それらは、施与時に新鮮であり、移動しない。それらは、乾燥後、歯を着色しない。
【0382】
更に、組成物(1)及び(20)で得られた堆積物は、薄く、非常に快適である。更に、これらの組成物で得られた色彩効果は強い。
【0383】
実施例VI
本発明に従うリップ組成物(21)及び本発明外の(22)~(28)は、以下に記載されているように、下記の表9に示されている、割合及び化合物で調製される。
【0384】
【0385】
該組成物は、実施例Iで詳細に記載されている手順に従って調製される。
【0386】
結果
組成物(21)~(28)を用いて得られた結果は、以下に、詳細に記載されている。
【0387】
本発明に従う組成物(21)は、滑らかでサテンのような仕上がりであり、又唇上での摩耗特性が良好である。該堆積物は均一であり、粘着性がなく、移りがほとんどない。それは、施与時に新鮮であり、移動することはない。更に、組成物(21)で得られた堆積物は、薄く、非常に快適である。
【0388】
本発明外の組成物(22)、(24)、(25)、(26)、(27)及び(28)で得られた堆積物は、粘着性があり、又は更に非常に粘着性がある。
【0389】
更に、本発明外の組成物(23)、(24)及び(28)は、歯を着色する。
【0390】
組成物(22)、(23)、(25)、(26)及び(28)は、移りが多い。
【0391】
本発明外の組成物(22)は水っぽく、及び該堆積物は、乾燥時に均一でない。該堆積物は移りが多く、膜の破片が残る。
【0392】
組成物(23)は、唇上での浸出をもたらす。
【0393】
組成物(24)の該堆積物は快適ではなく、該膜は急速に固まる。該唇の角で引きつれる。
【0394】
組成物(25)及び(28)は均一でなく、それらは、該唇に断片を残す。更に、色彩効果は強くない。