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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】コーヒー豆焙煎装置
(51)【国際特許分類】
   A23N 12/08 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A23N12/08 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022567665
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2021063428
(87)【国際公開番号】W WO2021234071
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2024-05-07
(31)【優先権主張番号】20175610.3
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】デュビエフ, フラヴィアン, フローラン
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/071165(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/304886(US,A1)
【文献】米国特許第6051266(US,A)
【文献】特開昭58-193650(JP,A)
【文献】特表2022-537527(JP,A)
【文献】中国実用新案第210445614(CN,U)
【文献】米国特許第6260479(US,B1)
【文献】実開平6-084893(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 12/08-12/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー豆を焙煎するための装置(10)であって、
ハウジング(7)と、
底部開口部(11)を有する焙煎チャンバ(1)であって、前記チャンバは、前記底部開口部から、好ましくは実質的に垂直な、チャンバ軸線に沿って延びており、前記底部開口部は、前記チャンバ内にコーヒー豆を保持するためのグリッドを備える、焙煎チャンバ(1)と、
前記チャンバの底部から前記焙煎チャンバ内に空気流を推進するように構成された空気ドライバと、
前記焙煎チャンバ内に推進される空気を加熱するように構成された電気ヒータ(3)と、
を備え、
前記空気ドライバ(2)及び前記電気ヒータ(3)は、前記焙煎チャンバの前記底部開口部(11)の垂直下方の領域の脇に配置されており、
前記空気ドライバ(2)は、初期空気軸線に沿って流れる初期空気流を生成するように前記ハウジング(7)内において方向付けられており、前記初期空気軸線は、前記焙煎チャンバ軸線とは異なり、
前記装置は、前記空気ドライバ(2)によって生成された前記初期空気流を、前記焙煎チャンバの前記軸線に沿って前記焙煎チャンバの前記底部開口部(11)に向けられた上向きの空気流に変換するように構成されたガイド手段(4)を備え、
前記ガイド手段(4)は、少なくとも1つの垂直に向けられた円筒形ダクト(41)を備え、前記ダクト(41)は、前記空気流を前記ダクト内に、好ましくは接線方向に、導入するように設計された横方向空気入口(411)を備え、
前記垂直に向けられた円筒形ダクト(41)は、前記横方向空気入口(411)を通して導入された前記空気流を、上向きに旋回する空気流に変換するような内部形状にされており、
前記垂直に向けられたダクト(41)は、前記横方向空気入口(411)の下方に延びており、前記ダクトの底端部(413)が開放されているか又は開放可能である、
装置(10)。
【請求項2】
前記ガイド手段が、前記焙煎チャンバの前記底部開口部でのバランスのとれた空気流を生成するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記初期空気軸線が、上方に立ち上がる前記焙煎チャンバ軸線と90°~180°の角度を形成している、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記空気ドライバ(2)が、水平方向に向けられた、かつ前記焙煎チャンバの前記底部開口部(11)の下に位置する垂直レベルでの初期空気流を生成するために、前記ハウジング(7)内において方向付けられている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つの温度プローブ(6)が、前記少なくとも1つのガイド手段内に、かつ前記ヒータの下流に配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つの温度プローブ(6)が、前記焙煎チャンバの前記底部開口部の垂直下方の前記領域(110)の脇に配置されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つの温度プローブ(6)が、前記垂直に向けられた円筒形ダクト(41)の下流側に配置されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも1つの温度プローブ(6)が、前記チャンバ内に配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記ガイド手段の前記少なくとも1つの部分が、前記ハウジングから取り外し可能である、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記ガイド手段の壁の少なくとも一部が、別の壁(415)で覆われている、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記焙煎チャンバ(1)が、前記ハウジング(7)から取り外し可能である、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記装置が、2つ以上の空気ドライバを備え、各空気ドライバが、前記焙煎チャンバの前記底部開口部で前記2つ以上のドライバから前記焙煎チャンバ軸線に沿って上向き方向に空気流をガイドするように構成された1つの共通のマニホールドに接続されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー豆焙煎装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭又は店舗及びカフェにおけるコーヒー豆の小規模な焙煎は、通常、コーヒー豆が熱風内で撹拌される小型装置を用いて実行される。1つの種類の装置は、コーヒー豆が投入され、熱が供給されている間にタンブリングされる回転穿孔ドラムを使用する。
【0003】
別の種類の装置は、熱風流動床チャンバを実装する流動床技術を使用する。そのようなチャンバ内では、加熱された空気が、コーヒー豆の下のスクリーン又は多孔板を通って、豆を持ち上げるのに十分な力で送り込まれる。この流動床内で、豆がタンブリングして流通する際に、豆に熱が伝達される。
【0004】
米国特許第3964175号に記載されている工業用焙煎装置に由来するこの技術は、米国特許第4484064号、同第4494314号、同第4631838号、同第5269072号、又は同第5564331号のような小型家庭用デバイスに適合されている。
【0005】
流動床技術を実施する焙煎装置の大半は、同じ主要要素、すなわち焙煎チャンバ、ヒータ、及び空気ドライバ、の構成を有する。非常に一般的かつ明白に、これらの要素は垂直な軸に沿って積み重ねられ、空気ドライバが最も低い位置に配置され、その上方に電気抵抗が配置される。この構成だと、コンパクトでない装置となる。
【0006】
加えて、異なるデバイスのこの整列により、装置の動作中に、又は焙煎装置がオフにされると、焙煎チャンバの上部で上部部品を洗浄する動作中に、小さな粒子がチャンバの開いた底部からヒータ及び空気ドライバに落下することが多い。
【0007】
これらのデバイスは急速に汚れた状態になり、熱によってこれらのデバイスの表面に汚れが付着することになり得る。多くの場合、焙煎装置のこれらの部分は、チャンバを支持しているため、容易に取り外し可能ではなく、それらの洗浄には、装置の完全な取り外し、又はアクセスが困難なことによる洗浄の限定が必要である。
【0008】
更に、このタイプの焙煎装置は、コーヒー豆に適用される焙煎プロファイルを制御するために、空気ヒータの上流に配置された温度プローブを備えることが多い。同様に、温度プローブは、チャンバのすぐ下に配置され、汚れて、その精度に影響を及ぼし、焙煎レシピの再現に信頼性が低くなる。
【0009】
コンパクト性の問題は、ヒータ及び空気ドライバが焙煎チャンバの底部から取り除くことができるよりコンパクトな設計で流動床技術を実装する小さな焙煎装置を記載する米国特許第4,698,916号において解決された。
【0010】
しかし、汚れを回避し、温度測定を改善するという問題が残っている。
【0011】
本発明の目的は、焙煎動作が空気ドライバ及び/又は空気ヒータなどの熱風発生デバイス、及び/又は温度プローブを汚さない熱風流動床チャンバを実装する焙煎装置を提供することである。
【発明の概要】
【0012】
本発明の第1の態様では、請求項1による、コーヒー豆を焙煎するための装置を提供する。
【0013】
焙煎装置は、底部開口部及び通常は頂部開口部を有する焙煎チャンバを備える。チャンバは、底部開口からチャンバ軸線に沿って延びており、当該軸線は、熱風が底部開口部を通して導入されるときに、熱風の流動床の生成を可能にするために、好ましくは実質的に垂直である。
【0014】
一般的に、底部開口部は、熱風のチャンバの通過を可能にしながら、チャンバの内部に豆を保持するためのグリッドを備える。底部開口部は、チャンバに入る熱風に特定の動きを提供するように設計することができる。一実施形態では、底部開口部は、ブレード又は他の幾何学的形状を備えることができ、有用な流れ流又はパターンの加熱された空気流を方向付けて、流動床をカスタマイズし、それによって焙煎中にロフトされた豆の軌道をカスタマイズすることができる。
【0015】
頂部開口部は、焙煎動作中に生成された煙及び粒子の排出を可能にする。また、焙煎される豆の投入及び焙煎動作の終了時の焙煎された豆の取り出しも可能にすることもできる。
【0016】
装置は、焙煎チャンバ内部に空気流を、チャンバの底部開口部を通して推進するように構成された空気ドライバを備える。通常、この空気ドライバは、ハウジングの外側から空気を吸い込み、空気を焙煎チャンバに吹き出すように設計された送風機又はファンである。
【0017】
装置は電気ヒータを備え、この電気ヒータは、チャンバの底部開口部の上流に配置されており、流れ空気を、焙煎チャンバ内部に導入される前に、加熱するように構成されている。
【0018】
本焙煎装置では、空気ドライバ及び電気ヒータは、当該チャンバの底部開口部の垂直下方の領域の脇に配置される。
【0019】
この位置が底部開口部の垂直下流の領域から離れていることにより、チャンバ内のコーヒー豆に伴って導入されるか又は焙煎操作中に生成される小さな粒子は、例えば、豆からの殻(チャフ)の分離のため、又は、豆が流動床において互いにこすれあって焙煎動作の間又は後に落ちるため、ヒータ及び空気ドライバ上に落ちてこない。
【0020】
同様に、洗浄動作中に、操作者が水を底部開口部を通って落下させる場合、装置がオンになったときに短絡及び潜在的な火災リスクをもたらす水滴が電気ヒータに接触するリスクはない。
【0021】
好ましくは、空気ドライバは、初期空気軸線に沿って流れる初期空気流を生成するためにハウジング内において方向付けられており、当該初期空気軸線は焙煎チャンバ軸線とは異なる。
【0022】
焙煎チャンバ軸線とは異なる初期空気軸線のこの向きは、空気ドライバがチャンバの底部開口部と整列していないことを保証する。
【0023】
装置は、空気流の方向を、
空気ドライバにおける初期空気軸線に沿った方向から、
焙煎チャンバの底部開口部における焙煎チャンバ軸線に沿った上向き方向に
変換するための少なくとも1つのガイド手段を備える。
【0024】
このガイド手段は、初期空気流を焙煎チャンバの底部開口部までガイドするように構成され、その初期空気流の方向を焙煎チャンバの底部開口部に到達する前に焙煎チャンバ軸線である異なる方向に変換するように設計された、ダクト又は導管であり得る。
【0025】
ダクトの代替として、小さな焙煎装置では、ガイド手段は、特定のダクトを追加する必要なく、ハウジング内の空気流をガイドする壁、バッフル、又はシケインであり得る。
【0026】
好ましくは、ガイド手段は、焙煎チャンバの底部開口部でバランスのとれた空気流を生成するように構成される。
【0027】
バランスがとれているとは、空気流が焙煎チャンバの底部開口部で断面にわたって実質的に均質であることを意味する。
【0028】
バランスのとれた空気流は、焙煎チャンバの底部開口部の上流の空気流を混合することによって得ることができる。例えば、ガイド手段は、空気流を混合するための内部バッフル手段を備えることができ、及び/又はガイド手段の内壁は、空気流を混合するように設計することができる。
【0029】
1つの好ましい実施形態では、初期空気軸線は、上方に立ち上がる焙煎チャンバ軸線を有する90°~180°の角度を形成する。
【0030】
そのような角度範囲は、少なくとも垂直のコンパクト性に関して、装置の他のデバイスと比較して、コンパクトな様態でハウジング内に空気ドライバを配置し、空気流を向けるという利点を提供する。
【0031】
コンパクト性は、キッチンなどの小さな部屋に焙煎装置を配置する際の利点である。
【0032】
初期空気軸線が焙煎チャンバ軸線と180°の角度を形成するとき、それは空気ドライバにおける初期空気軸線の方向が焙煎チャンバの上向きの立ち上がり軸線に対向することを意味する。したがって、2つの軸は互いに平行である。初期空気流は下に向けられ、次いで、チャンバの底部開口部で上向きに上昇する空気流に変換される。この動作は、U字形のガイド手段の内側に初期空気流を導入することによって得ることができる。
【0033】
初期空気軸線が焙煎チャンバ軸線と90°の角度を形成するとき、それは初期空気軸線が焙煎チャンバ軸線に垂直であることを意味する。好ましくは、焙煎チャンバ軸線は垂直であり、初期空気軸線は水平である。
【0034】
通常、水平の初期空気流は、焙煎チャンバの底部開口部の下に位置する垂直レベルに配置される。
【0035】
装置は、空気ドライバによって生成された初期空気流を、焙煎チャンバの軸に沿って焙煎チャンバの底部開口部に向けられた上向きの空気流に変換するように構成されたガイド手段を備える。
【0036】
特に、ガイド手段は、少なくとも1つの垂直に向けられた円筒形ダクトを備え、このダクトは、空気流をダクト内に、好ましくは接線方向に、導入するように設計された横方向空気入口を備える。
【0037】
このダクトは、導入された水平の空気流を上向きに旋回する空気流に変換するように内部的に成形されている。特に、空気入口に対向する垂直に向けられたダクトの内壁は、凹面を備えることができる。垂直に向けられた円筒形ダクトの旋回作用により、空気は、混合チャンバに到達するときに十分に均質化される。この効果は、すべてのコーヒー豆が同じ温度で焙煎され、チャンバの異なるゾーンに温度の不一致がないことを保証する。
【0038】
ガイド手段の垂直に向けられたダクトは、上向きに旋回する動きで空気流をガイドするためのエンボス加工されたねじ山を備えることができる。ガイド手段が、垂直に向けられたダクトの横方向空気入口に空気をガイドする水平ダクトを備える場合、この水平ダクトは、特に旋回運動において、空気流をガイドするためのエンボス加工されたねじ山も備えることができる。
【0039】
ガイド手段は、空気の動きを、チャンバの底部開口部を通って流れる前に制御することを開始する。この旋回効果の利点は以下のとおりである。
【0040】
同じ空気流を生成しながら、より低い電力での空気ドライバの動作を可能にすること。
【0041】
空気流を下部開口部の上流で混合し、チャンバに入る前に空気流の均一な温度を得るのに役立つこと。
【0042】
加えて、垂直に向けられたダクトは、横方向空気入口の下方に延びており、当該ダクトの底端部が開放されているか又は開放可能である。
【0043】
結果として、焙煎操作中に焙煎チャンバから落下する小さな汚れた粒子又は液滴は、このダクトの開放可能な底端部のチャンバの下、又はこのダクトが例えば、引き抜きプレートのように下に配置され、容易にアクセス可能なコレクタ又はトレイ内で開いている場合はこのダクトの端の下に、収集することができる。
【0044】
通常、少なくとも1つの温度プローブは、少なくとも1つのガイド手段かつヒータの下流に配置される。一般に、この温度プローブは、フィードバックループ制御に基づいてヒータの電力を調節するために使用される。
【0045】
一実施形態では、少なくとも1つの温度プローブは、焙煎チャンバの底部開口部の垂直下方の領域の脇に配置することができる。この位置は、汚れの危険性を制限しながら、チャンバに対して近い位置にあることで、焙煎チャンバ内に導入される空気の温度の正確な測定値を取得することを可能にする。
【0046】
好ましくは、少なくとも1つの温度プローブは、ヒータの下流の距離に配置され、断面にわたる温度の勾配が低減される。特に、ガイド手段は、正確な温度調節を提供するのに役立つ温度プローブの上流で空気を均質に混合する手段を含むことができ、その結果、温度プローブは、空気流中の温度の十分な平均値を測定する。
【0047】
1つの好ましい実施形態では、いくつかの温度プローブを使用し、ガイドデバイスの同じ断面に配置して精度を向上させることができる。
【0048】
別の実施形態では、少なくとも1つの温度プローブは、焙煎チャンバの底部開口部の垂直下方の領域の脇に配置することができる。垂直に向けられた円筒形ダクトの旋回作用により、空気は、そのプローブに達し、測定値が正確であるとき、十分に均質化される。
【0049】
別の実施形態では、少なくとも1つの温度プローブをチャンバ内に配置することができる。
【0050】
プローブの位置に関連するこれらの異なる実施形態は組み合わせることができ、いくつかのプローブを異なる場所に配置して、精度を高め、好ましい所望の利点が精度又は清浄度である場合に応じるようにできる。
【0051】
好ましくは、ガイド手段の少なくとも一部は、洗浄及び保守を容易にするためにハウジングから取り外し可能である。
【0052】
好ましくは、ガイド手段の壁の少なくとも一部が別の壁で覆われている。この実施形態は、熱風流の経路に沿ってより良好な熱節約を提供する。壁を通る熱損失が低減される。
【0053】
好ましくは、ガイド手段の壁の少なくとも一部は、低熱容量材料で作製されている。
【0054】
焙煎チャンバは、ハウジングから取り外し可能であり得る。取り外しは、例えば、垂直ダクトの底端部に配置されたトレイを引き上げることによって、そこから豆を導入及び除去するために、又はチャンバの底部開口部のすぐ下に配置されたガイドダクトにアクセスして清掃することができるようにするために起こり得る。
【0055】
特定の実施形態では、装置は、2つ以上の空気ドライバを備えることができ、各空気ドライバは、当該ドライバから焙煎チャンバの底部開口部で焙煎チャンバ軸線に沿って上向き方向に空気流をガイドするように構成された、1つの共通のマニホールドに接続されている。
【0056】
この特定の焙煎装置では、一般的なマニホールドに接続されたいくつかの空気ドライバの存在は、それ自体が焙煎チャンバの底部開口部に接続されており、より小さい空気ドライバを使用し、その上でコンパクト性を改善するという利点を有する。実際には、1つの強力な空気ドライバは通常、そのファンの半径に起因して多くの空間を必要とする。いくつかのより小さい空気ドライバを有することは、よりコンパクトな装置をもたらす空間構成を容易にする。
【0057】
加えて、いくつかの空気ドライバ及び/又はヒータを提供することは、焙煎される豆の量及び/又は豆に適用される温度プロファイルに応じてデバイスを作動させることによってエネルギーを節約するのにも役立ち得る。
【0058】
好ましくは、各空気ドライバは、それぞれのダクト内に配置されて、空気流をマニホールドにガイドする。
【0059】
そのような装置は、例えば、マニホールド内に配置された1つのヒータのみを備えることができるか、又は代替的に、いくつかの電気ヒータ、例えば、各ファンに関連付けられ、空気流をマニホールドにガイドするダクト内のマニホールドの上流に配置される、1つの電気ヒータを備えることができる。
【0060】
本発明の上記の諸態様は、任意の好適な組み合わせで組み合わせることができる。更には、本明細書における様々な特徴を、上記の諸態様のうちの1つ以上と組み合わせることにより、具体的に図示及び説明されたもの以外の組み合わせを提供することができる。本発明の更なる目的及び有利な特徴は、「特許請求の範囲」、「発明を実施するための形態」、及び添付図面から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0061】
本発明の特定の実施形態が、以下の図面を参照して、例として更にここで記載される。
図1】現況技術による焙煎装置の概略図である。
図2】本発明による焙煎装置の焙煎ユニットの斜視図である。
図3】水平ダクト5及びチャンバ1を通って延びている垂直平面に沿った図2の焙煎ユニットの断面図である。
図4】水平ダクト5を通って延びている水平面に沿った図2の焙煎ユニットの断面図である。
図5】本発明による焙煎装置のための様々な概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1は、従来技術による焙煎装置10の例示的な側面図を示す。機能的には、焙煎装置10は、チャンバ1内に保持されたコーヒー豆を、このチャンバ内部に導入された熱風流によって焙煎するように動作可能である。装置は、ハウジング7と焙煎ユニットとを備える。
【0063】
焙煎ユニットは、コーヒー豆を受け入れ、焙煎するように動作可能である。
【0064】
焙煎ユニットは、典型的には、焙煎装置10の第2のレベルに、チャンバ1と、空気流ドライバ2と、ヒータ3とを備えており、これらを順番に説明する。
【0065】
チャンバ1は、操作者によって導入されたコーヒー豆を受け入れ、保持するように構成されている。好ましい実施形態では、チャンバ1は、ハウジング4から取り外し可能である。チャンバは、
コーヒー豆の導入又は除去のため、又は
いったんチャンバを取り外して、チャンバを洗浄及びメンテナンスするため、又は
チャンバの背後にある垂直のハウジング部分を洗浄するために、
焙煎装置から外しておくことができる。
【0066】
一実施形態では、このチャンバは、取り外し不可能であり得、それは特に、コーヒー豆の導入及び除去が、例えば、WO2012059484に記載されるように、又はチャンバが洗浄のために容易にアクセス可能である場合に、自動的に行われ得る場合である。
【0067】
チャンバの底部開口部11は、空気が通過することを可能にするように構成されており、具体的には、その上に豆を置くことが可能であり、かつそれを通って空気が上向きに流れることが可能な、多孔板を含み得る。この穿孔ブレードは、チャンバ内に特定の流れパターンを有する空気流を提供するように設計された穿孔を備えることができる。チャンバ1は、ユーザがハウジングからチャンバを取り外し、ハウジングの外側に保持することを可能にするために、ハンドルを備える。
【0068】
チャフコレクタ13は、チャンバ1と流れ連通しており、豆から徐々に分離し、密度が小さいためにチャフコレクタへと吹き飛ばされる殻(チャフ)を受け止める。
【0069】
空気流ドライバ2は、チャンバの底部の方向に空気流(点線矢印)を生成するように動作可能である。生成された流れは、豆を加熱し、撹拌して持ち上げるように構成されている。その結果、豆は均質に加熱される。具体的には、空気流ドライバは、モーターを動力源とするファンであり得る。ハウジング内部に空気を供給するために、ハウジング内に空気入口42を設けることができ、空気流ドライバは、点線矢印で示されるように、この空気を通路8を通して上方にチャンバ1の方向に吹き出すことができる。
【0070】
ヒータ3は、空気流ドライバ2によって生成された空気流を加熱するように動作可能である。ヒータは、ファン2とチャンバの底部開口部11との間に配置された電気抵抗であり、その結果、空気流がチャンバ1に入る前に加熱され、豆を加熱し、持ち上げる。ヒータ3は、チャンバの底部開口部11と嵌合するハウジング内の空気出口孔41のすぐ下に配置される。
【0071】
ヒータ3は、焙煎プロファイルを豆に適用するように動作可能であり、この焙煎プロファイルは、時間に対する温度の曲線として定義される。温度プローブ6は、チャンバに入る熱風流の温度を測定するために、電気ヒータの上流に配置される。
【0072】
チャンバがハウジングに取り付けられると、チャンバの底部11は、空気出口孔71を通って空気通路8の上端に接続される。チャンバの頂部開口部12は、煙及び微粒子排出デバイス(図示せず)に接続される。
【0073】
チャンバの相対位置から明らかなように、ヒータ及び空気ドライバは、チャンバ内に導入されるか、又は焙煎操作中に生成される小さな粒子が、温度プローブ6、電気ヒータ3、及び空気ドライバ2上の底部開口部11及び出口41を通って落下し得る。コーヒー豆が高レベルに焙煎されると、コーヒー油の滴がヒータ及び空気ドライバに落下する可能性もある。
【0074】
装置のこの領域における熱により、これらの粒子及び滴は、これらのデバイスに容易に付着し、時間とともに、油脂性で粘着性のある焼成物の層を作り出す。その影響は、以下のとおりである。
空気ドライバでは、汚れた態様、重量の変化による効率の低下、断面減少による性能の損失、振動、ファンに付着する周囲空気からのダストによる騒音、
電気ヒータでは、不十分な熱伝達係数を生成する加熱要素(抵抗ワイヤ、赤外線であり得る)のコーティングの汚れ、及び、例えば焙煎装置の予熱中の燃焼粒子の望ましくない臭い、熱伝達の効率を低下させる気流通路の減少、
信頼性が次第に低くなり、いくらかの時間後に測定値及び反応性がドリフトする温度プローブ。
【0075】
洗浄動作中、水滴の進入はまた、ヒータ及びファンに短絡、電気ショック、デバイス損傷、又は火災のリスクをもたらし得る。
【0076】
図示されているように、チャンバ1がハウジング7から取り外し可能である場合、加熱ユニットの上部へのごく小さなアクセスは可能であるが、洗浄は正しく完全には行われない。いくつかの焙煎装置では、チャンバは、取り外し可能でないことさえある。
【0077】
図2は、本発明による焙煎装置の焙煎ユニットの斜視図である。シャーシ9は、焙煎チャンバ1及びチャフコレクタ13を支持する。チャンバ1の下に、水平ダクト5は、図3の焙煎ユニットの垂直断面図に示されるように空気ドライバと電気ヒータとを含む。
【0078】
空気ドライバ2は、水平で、垂直である焙煎チャンバ軸線YY’とは異なる初期空気軸線XX’に沿って流れる、初期空気流(点線)を生成するために方向付けられる。この構成では、空気ドライバ2及び電気ヒータ3は、焙煎チャンバの底部開口部11の垂直下方の領域110の脇に配置される。したがって、粒子が底部開口部11から落下するとき、それらはヒータ3又は空気ドライバ2には向かわない。
【0079】
装置は、空気ドライバ2によって生成された水平の初期空気流を焙煎チャンバの軸YY’に沿って焙煎チャンバの底部開口部11に向けられた上向きの空気流に変換するように構成されたガイド手段又は接合デバイス4を備える。
【0080】
接合デバイス4は、垂直に向けられた円筒形ダクト41を備える。このダクト41は、ダクト内に水平の空気流を導入するように設計された横方向空気入口411を備える。好ましくは、水平の空気流は、図4に示されるように、円筒形ダクトの内側に接線方向に導入される。この構成は、水平の空気流の上向きの旋回する空気流への変換を容易にする。この旋回効果は、空気入口411に面し、かつ空気を上向きに上昇した動きでガイドする凹部412の設計によって改善することができる。結果として、空気流の全体的な方向は、水平から垂直に変化する(図3の太い点線)が、空気流の局所形状は、図3の細い線で示されるように旋回することができる。
【0081】
あるいは、より単純な設計では、ガイドデバイスは、90°のひじ型を有する導管であり得る。
【0082】
垂直に向けられたダクト41は、横方向空気入口411から底端部413まで下方に延びている。この底端部は、チャンバの底部開口部から落下する粒子の収集を可能にする。好ましくは、この底端部413は、操作者が洗浄動作中に粒子を除去することができるように開放可能である。代替の設計では、底端部413を開くことができ、コレクタプレートを下方に配置して粒子を受け入れることができる。
【0083】
少なくとも1つの温度プローブ6は、ヒータの下流で水平ダクト5内に配置されている。この場合も、プローブのこの位置は、その表面上での、温度の正しい測定値及びチャンバ内の豆の正しいロースティングに影響を与える汚れの付着を防止する。
【0084】
この構成では、チャンバ1は、シャーシから取り外し可能であり、これにより、操作者が洗浄のために接合デバイスの上部に容易にアクセスすることを可能にする。
【0085】
好ましくは、接合デバイス4などのガイドデバイスの一部は、装置の外側のより容易な洗浄のためにシャーシから取り外し可能に作製することができる。この部分は、ヒータ3及び空気ドライバ2を保持しないため、いかなる電気接続も含まず、単純な機械的切断による除去を実施することができる。
【0086】
図示の実施形態では、接合デバイス4の壁などのガイドデバイスの壁の一部は、熱損失を低減する別の壁415で覆われている。
【0087】
図5は、焙煎チャンバ1と比較して、空気ドライバ2及びヒータ3の異なる位置及び向きを有する焙煎装置の他の実施形態を概略的に示す。
【0088】
すべての場合において、空気ドライバ2及び電気ヒータ3は、焙煎チャンバの底部開口部11の垂直下方の領域110の脇に配置される。
【0089】
各場合において、空気ドライバ2は、焙煎チャンバ軸線YY’とは異なる初期空気軸線XX’に沿って流れる初期空気流を生成するために、ハウジング内において方向付けられている。チャンバは、熱風の流体床を作り出して、豆を焙煎するように構成され、そのため、底部開口部11から実質的に垂直に延びている。焙煎チャンバ軸線YY’は、実質的に垂直であり、初期空気軸線XX’は、それらの位置によって、及び任意選択で垂直に対するそれらの角度によって異なる。
【0090】
ケースAでは、初期空気軸線XX’は垂直であり、上に向けられるが、それは領域110から水平に脇に配置されている。ダクトは、空気を空気ドライバで上向きの垂直方向からチャンバの底部開口部までガイドするように設計されている。
【0091】
ケースBでは、上記のケースAと同様に、初期空気軸線XX’は垂直であり、上に向けられるが、それは領域110から水平に脇に配置される。ヒータは、ガイドデバイスとして作用するいくつかのチャネルを備えることができる。底部開口部の方向に垂直に、約30°の軸に沿ってヒータを向けることによって、空気ドライバ2からの上向きの垂直空気流が加熱され、底部開口部11の方向に、ヒータ3によってガイドされる。空気ドライバ2とヒータ3との間のバッフル414は、ガイドデバイスとして機能することもできる。他のバッフル、壁又はシケインは、ヒータ3と底部開口部11との間に存在し、底部開口部11へのガイドデバイスとして機能することができる。
【0092】
ケースBの代わりに、ケースCでは、初期空気軸線XX’は、上方に立ち上がる焙煎チャンバ軸線YY’と約30°の角度を画定する。ヒータ3も、当該軸XX’上に配置される。空気ドライバ2及びヒータ3を、底部開口部の方向に垂直に約30°の軸に沿って向けることによって、空気ドライバ及びヒータを依然として底部開口部11の下方の領域110の脇に配置することができる。空気ドライバと、ヒータと、底部開口部との間のバッフル、壁又はシケインは、ガイドデバイスとして機能することができる。
【0093】
ケースDでは、初期空気軸線XX’は水平であり、上方に立ち上がる焙煎チャンバ軸線YY’と90°の角度を画定する。このケースは、図2図4に示される好ましい実施形態に対応する。空気ドライバ及びヒータのこの位置は、コンパクトな焙煎装置を設計するという利点を提供し、高さは、ケースA~Cの構成と比較して低減される。
【0094】
ケースEも、コンパクトな構成を提供し、初期空気軸線XX’は垂直であり、下に向けられ、つまり上方に立ち上がる焙煎チャンバ軸線YY’と180°の角度を画定する。U字形ダクトは、空気流を、空気ドライバで初期空気軸線に沿った方向から焙煎チャンバの底部開口部で焙煎チャンバ軸線に沿って上向き方向に変換する。
【0095】
この構成により、温度プローブに接触する前の熱風の良好な混合が可能になる。結果として、プローブ6の位置でガイドデバイスのセクションを横切って温度の勾配を有するリスクが低減され、温度の測定値はより正確であり、チャンバ内に焙煎プロファイルを適用するためのヒータの制御はより効率的である。
【0096】
本発明は、上記で例示された実施形態を参照して説明されているが、特許請求される本発明は、決してこれらの例示された実施形態によって限定されるものではないことが理解されるであろう。
【0097】
「特許請求の範囲」で定義されるような本発明の範囲を逸脱することなく、変形及び修正が実施可能である。更に、既知の均等物が特定の特徴に対して存在する場合、かかる均等物は、本明細書で具体的に言及されているかのように組み込まれる。
【0098】
本明細書で使用するとき、用語「備える」、「備えている」、及び同様の語は、排他的又は網羅的な意味で解釈されるべきではない。換言すれば、これらは、「~を含むが、それらに限定されない」ことを意味するものとする。
【符号の説明】
【0099】
1 焙煎チャンバ
11 底部開口部
110 底部開口部の下の領域
12 頂部開口部
2 空気ドライバ
3 ヒータ
4 接合デバイス
41 ダクト
411 入口
412 凹部
413 底端部
414 バッフル
415 別の壁
5 ダクト
6 温度プローブ
7 ハウジング
8 空気通路
9 シャーシ
13 チャフコレクタ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E