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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】パッケージケース、電池及び電気機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/186 20210101AFI20241219BHJP
   H01M 50/193 20210101ALI20241219BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20241219BHJP
   H01M 50/171 20210101ALI20241219BHJP
   H01M 50/176 20210101ALI20241219BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20241219BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20241219BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20241219BHJP
   H01M 50/169 20210101ALI20241219BHJP
【FI】
H01M50/186
H01M50/193
H01M50/342 101
H01M50/171
H01M50/176
H01M50/103
H01M50/531
H01M50/55 101
H01M50/169
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022569630
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 CN2022112999
(87)【国際公開番号】W WO2023020533
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】202121929405.5
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】袁 秀蘭
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/201213(WO,A1)
【文献】特開2001-093489(JP,A)
【文献】特開2006-054099(JP,A)
【文献】国際公開第2021/033939(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0232236(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0151292(US,A1)
【文献】特開2006-108097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/103-50/198
H01M 50/342
H01M 50/531
H01M 50/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極アセンブリと前記電極アセンブリに電気的に接続されたタブを含む電池セルを封止するために用いられるパッケージケースであって、
筐体であって、収容部が設けられ、前記収容部が前記電極アセンブリを収容するために用いられ、前記タブが前記収容部から前記筐体外に延び、前記筐体にさらに前記収容部の開口の縁部から第一方向に沿って前記筐体外に延びる第一シール部が設けられるものと、
蓋体であって、前記第一方向に沿って延びる第二シール部が設けられ、前記蓋体が前記収容部の開口に覆設され、前記第一シール部と前記第二シール部が対向して設置されるものと、
ポリマー層であって、前記第一シール部と前記第二シール部との間に設置され、前記ポリマー層が前記第一シール部と前記第二シール部との間の隙間を密封するために用いられ、かつ前記電池セルが前記パッケージケース内に生成したガスの圧力が閾値を超える場合、前記ポリマー層がさらに前記パッケージケース内のガスを放出するために用いられるものと、を含み、 前記第一シール部及び前記第二シール部はいずれも別体構造であり、
前記第一シール部は、第一方向に沿って間隔をあけて設置された第一別体部と第二別体部とを含み、
前記第二シール部は、第三別体部と第四別体部とを含み、前記第三別体部と前記第四別体部は、それぞれ前記第一別体部と前記第二別体部に対向して設置され、
前記第一別体部と前記第三別体部との間にはポリマー層が設けられ、一つの前記タブは前記ポリマー層を貫通して抜き出され、
前記第二別体部と前記第四別体部との間にはポリマー層が設けられ、もう一つの前記タブは前記ポリマー層を貫通して抜き出され
前記収容部の開口の縁部は、首尾接続された第一縁部及び第二縁部を含み、
前記筐体にさらに第一接着剤注入領域が設けられ、前記第一接着剤注入領域が前記第一縁部と第二縁部の接合領域に設置され、前記蓋体の前記収容部に向かう表面に第一接着剤注入領域と重なる第二接着剤注入領域が設けられ、前記第一接着剤注入領域と前記第二接着剤注入領域が接着剤注入により接着剤注入接続層を形成することを特徴とする、パッケージケース。
【請求項2】
前記タブは前記ポリマー層から前記筐体の外に突き出すことを特徴とする、請求項1に記載のパッケージケース。
【請求項3】
記第一シール部は前記第一縁部から前記第一方向に沿って延設され、前記筐体にさらに第一接続領域が設けられ、前記第一接続領域は前記第二縁部に設けられ、前記蓋体の前記収容部に向かう表面に第一接続領域と重なる第二接続領域が設けられ、前記第一接続領域と前記第二接続領域は溶接により溶接接続層を形成することを特徴とする、請求項1に記載のパッケージケース。
【請求項4】
前記収容部の開口の第二縁部は外向きに折り返して折り返し部を形成し、前記第一接続領域は前記折り返し部の前記蓋体に向かう表面に設置されることを特徴とする、請求項3に記載のパッケージケース。
【請求項5】
前記パッケージケースはさらにタブ接着層を含み、前記タブ接着層は前記ポリマー層の間に設置され、前記タブは前記タブ接着層から前記筐体の外に突き出すことを特徴とする、請求項1に記載のパッケージケース。
【請求項6】
電池セルを含み、さらに請求項1~のいずれか一項に記載のパッケージケースを含むことを特徴とする、電池。
【請求項7】
請求項に記載の電池を含むことを特徴とする、電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池技術分野に関し、特にパッケージケース、電池及び電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電池は一般的に電池セル及び電池セルを収容するパッケージケースを含み、従来のパッケージケースは一般的に金属構造であり、パッケージプロセスにおいてパッケージケースは一般的に帯電する。ここで、パッケージケース本体は一つの極性であり、他の極性は極柱により引き出されるものがある。上下二つの筐体は異なる極性を有し、その間は絶縁シートにより隔離されるものがある。パッケージケースと電池セルで構成された電池の安全性を向上させるために、パッケージケースに対して他には絶縁処理をする必要があり、さらにパッケージケースに薄弱領域をエッチングしてリリーフ弁とすることによりパッケージケース内のガスをタイムリーに排出する必要があり、生産コストが高い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
これに鑑みて、製造コストを低減することができるパッケージケース、及び該パッケージケースを採用する電池及び電気機器を提供する必要がある。
【0004】
本願の実施例はパッケージケースを提供し、電池セルを封止するために用いられる。電池セルは電極アセンブリ及び電極アセンブリに電気的に接続されたタブを含み、パッケージケースは筐体、蓋体及びポリマー層を含む。筐体に収容部が設けられ、収容部が電極アセンブリを収容するために用いられ、タブが収容部から筐体外に延び、筐体にさらに収容部の開口の縁部から第一方向に沿って筐体外に延びる第一シール部が設けられる。蓋体には、第一方向に沿って延びる第二シール部が設けられる。蓋体は収容部の開口に覆設され、第一シール部と第二シール部は対向して設置される。ポリマー層は、第一シール部と第二シール部との間に設置される。ポリマー層は第一シール部と第二シール部との間の隙間を密封するために用いられ、かつ電池セルがパッケージケース内で生成したガスの圧力が閾値を超える場合、ポリマー層はさらにパッケージケース内のガスを放出するために用いられる。
【0005】
本願の実施例は、第一シール部と第二シール部は対向して設置し、及びポリマー層を第一シール部と第二シール部との間に設置することにより、パッケージケースの密封性能を向上させる技術的効果を含む。かつ電池セルがパッケージケース内に生成したガスの圧力が閾値を超える場合、ポリマー層はさらにパッケージケース内のガスを放出するために用いられ、パッケージケースをタイムリーに圧力解放し、使用時の安全性を向上させることができる。従来のパッケージケースにリリーフ弁を設置する方式に比べて、本願の実施例のパッケージケースは安全性を向上させると同時に、製造コストを低減することができる。
【0006】
本願のいくつかの実施例において、タブはポリマー層から筐体外に貫通し、タブとパッケージケースとの間の密封性能を向上させる。
【0007】
本願のいくつかの実施例において、収容部の開口の縁部は首尾接続された第一縁部及び第二縁部を含み、第一シール部は第一縁部から第一方向に沿って延設され、筐体にさらに第一接続領域が設置され、第一接続領域は第二縁部に設置され、蓋体の収容部に向かう表面に第一接続領域と重なる第二接続領域が設置され、第一接続領域と第二接続領域は溶接により溶接接続層を形成し、蓋体と筐体との間の接続及び密封の安定性を向上させる。かつ第一接続領域は第二縁部に設置されることにより、開口の縁部の蓋体に向かう表面を十分に利用し、折り縁の方式に比べて、パッケージケースの占有空間を減少させ、電池エネルギー密度を向上させる。
【0008】
本願のいくつかの実施例において、収容部の開口の第二縁部は外向きに折り返して折り返し部を形成し、第一接続領域は折り返し部の蓋体に向かう表面に設置される。折り返し部により筐体と蓋体との接触面積を向上させ、さらに第一接続領域と第二接続領域との接触面積を向上させ、蓋体と筐体との間の接続及び密封の安定性をさらに向上させることができる。
【0009】
本願のいくつかの実施例において、筐体にさらに第一接着剤注入領域が設けられる。第一接着剤注入領域は、第一縁部と第二縁部の接合領域に設置される。蓋体の収容部に向かう表面に、第一接着剤注入領域と重なる第二接着剤注入領域が設けられる。第一接着剤注入領域及び第二接着剤注入領域は接着剤注入により接着剤注入接続層を形成し、接合領域に対応する蓋体と筐体との間の接続及び密封の安定性を向上させ、さらに溶接接続層と溶融層との間の接合部の接続及び密封の安定性を向上させる。
【0010】
本願のいくつかの実施例において、パッケージケースはさらにタブ接着層を含み、タブ接着層がポリマー層の間に設置され、タブがタブ接着層から筐体外に突き出す。タブ接着層は、タブとポリマー層との間の密封性能を向上させるために用いられる。
【0011】
本願のいくつかの実施例において、第一シール部は第一表面及び第二表面を含む。第一表面は第二シール部に向き、第二表面は第一表面の収容部から離れる側に接続される。第一表面及び第二表面は沈下して第一段差面を形成する。第一段差面はポリマー層と密封接続され、電池セルがパッケージケース内に生成したガスの圧力が閾値を超える場合、ポリマー層は第一段差面の第二表面に位置する開口を通過して開けられ、パッケージケース内のガスを放出し、電池の使用時の安全性を向上させるために用いられる。
【0012】
本願のいくつかの実施例において、第二シール部は第三表面及び第四表面を含む。第三表面は第一表面に向き、第四表面は第三表面の第二表面に対応する一側に接続される。第三表面及び第四表面は沈下して第二段差面を形成する。第二段差面はポリマー層と密封接続され、電池セルがパッケージケース内に生成したガスの圧力が閾値を超える場合、ポリマー層は第二段差面の第四表面に位置する開口を通過して開けられ、パッケージケース内のガスを放出し、電池の使用時の安全性を向上させるために用いられる。
【0013】
本願の実施例はさらに電池を提供し、電池セル及び上記実施例のうちのいずれか一種のパッケージケースを含む。
【0014】
本願の実施例はさらに電気機器を提供し、上記実施例のうちのいずれか一種の電池を含む。
【0015】
本願の実施例が提供するパッケージケース、及び該パッケージケースを採用する電池及び電気機器において、第一シール部と第二シール部は対向して設置され、及びポリマー層は第一シール部と第二シール部との間に設置されることにより、パッケージケースの密封性能を向上させる。かつ電池セルがパッケージケース内に生成したガスの圧力が閾値を超える場合、ポリマー層はさらにパッケージケース内のガスを放出するために用いられ、パッケージケースをタイムリーに圧力解放し、使用時の安全性を向上させることができる。従来のパッケージケースにリリーフ弁を設置する方式に比べて、本願の実施例のパッケージケースは安全性を向上させると同時に、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本願の一実施例のパッケージケースの第一構造概略図である。
図2】本願の一実施例のパッケージケースの第一断面構造概略図である。
図3】本願の一実施例のパッケージケースにおける筐体の第一構造概略図である。
図4】本願の一実施例のパッケージケースにおける蓋体の第一構造概略図である。
図5】本願の一実施例のパッケージケースの第二断面構造概略図である。
図6】本願の一実施例のパッケージケースにおける筐体及び蓋体の断面構造概略図である。
図7】本願の一実施例のパッケージケースの第二構造概略図である。
図8】本願の一実施例のパッケージケースの第三構造概略図である。
図9】本願の一実施例のパッケージケースにおける筐体の第二構造概略図である。
図10】本願の一実施例のパッケージケースにおける蓋体の第二構造概略図である。
図11】本願の一実施例のパッケージケースの第四構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下は本願の実施例における図面を参照して、本願の実施例における技術的解決手段を説明する。明らかに、説明された実施例は単に本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。
【0018】
説明すべきものとして、一つの素子が他の素子に「接続」されると考えられる時に、それは他の素子に直接接続されてもよいか又は同時に中央に設置された素子が存在する可能性がある。一つの素子が他の素子に設置されると考えられる時、それは他の素子に直接設置されてもよいか又は同時に中央に設置された素子が存在する可能性がある。
【0019】
特別な定義がない限り、本明細書に使用される全ての技術及び科学的用語は本願の技術分野に属する技術者が一般的に理解する意味と同じである。本明細書において本願の明細書に使用される用語は具体的な実施例を説明するための目的だけであり、本願を限定するものではない。
【0020】
理解できるように、二つの素子が平行/垂直に設置される場合、二つの素子の間に0-±10%の角度公差が存在することを許容し、すなわち平行である場合に±18°の角度公差が存在し、垂直である場合に±9°の角度公差が存在する。ある数値はある端点値を超え、端点値に等しく、又は端点値未満であり、端点値の0-±10%の公差が存在することを許可するように理解すべきである。
【0021】
本願の実施例はパッケージケースを提供し、電池セルを封止するために用いられる。電池セルは電極アセンブリ及び電極アセンブリに電気的に接続されたタブを含み、パッケージケースは筐体、蓋体及びポリマー層を含む。筐体に収容部が設けられ、収容部が電極アセンブリを収容するために用いられ、タブが収容部から筐体外に延び、筐体にさらに収容部の開口の縁部から第一方向に沿って筐体外に延びる第一シール部が設けられる。蓋体には、第一方向に沿って延びる第二シール部が設けられる。蓋体は収容部の開口に覆設され、第一シール部と第二シール部は対向して設置される。ポリマー層は、第一シール部と第二シール部との間に設置される。ポリマー層は第一シール部と第二シール部との間の隙間を密封するために用いられ、かつ電池セルがパッケージケース内に生成したガスの圧力が閾値を超える場合、ポリマー層はさらにパッケージケース内のガスを放出するために用いられる。
【0022】
本願の実施例が提供するパッケージケース、及び該パッケージケースを採用する電池及び電気機器において、第一シール部と第二シール部は対向して設置され、及びポリマー層は第一シール部と第二シール部との間に設置されることにより、パッケージケースの密封性能を向上させる。かつ電池セルがパッケージケース内に生成したガスの圧力が閾値を超える場合、ポリマー層はさらにパッケージケース内のガスを放出するために用いられ、パッケージケースをタイムリーに圧力解放し、使用時の安全性を向上させることができる。従来のパッケージケースにリリーフ弁を設置する方式に比べて、本願の実施例のパッケージケースは安全性を向上させると同時に、製造コストを低減することができる。
【0023】
以下に図面を参照していくつかの実施形態を詳細に説明する。衝突しない場合、下記の実施例及び実施例における特徴は互いに組み合わせることができる。
【0024】
図1及び図2を併せて参照すると、本願の実施例はパッケージケース100を提供し、電池セル90を封止するために用いられる。電池セル90は、電極アセンブリ91と、電極アセンブリ91に電気的に接続されたタブ92とを含む。電極アセンブリ91は、正極片、セパレータ及び負極片をこの順で巻き掛けまたは積層したものであってもよい。
【0025】
パッケージケース100は、筐体10と、蓋体20と、ポリマー層30とを含む。筐体10に収容部11が設けられ、収容部11は電極アセンブリ91を収容するために用いられる。いくつかの実施例において、収容部11は筐体10に設けられた凹部であり、電極アセンブリ91は収容部11の開口12(すなわち該凹部の開口)から筐体10内に配置される。タブ92は、収容部11から筐体10外に延びる。
【0026】
筐体10には、さらに、収容部11の開口12の縁部から第一方向Aに沿って筐体10外に延びる第一シール部13が設けられる。蓋体20には、第一方向Aに沿って延びる第二シール部21が設けられる。蓋体20は収容部11の開口12に覆設され、収容部11内の電極アセンブリ91を保護するために用いられる。第一シール部13と第二シール部21とは、対向して設置される。
【0027】
ポリマー層30は第一シール部13と第二シール部21との間に設置され、ポリマー層30は第一シール部13と第二シール部21との間の隙間を密封するために用いられ、かつ電池セル90がパッケージケース100内に生成したガスの圧力が閾値を超える場合、ポリマー層30はさらにパッケージケース100内のガスを放出するために用いられる。
【0028】
いくつかの実施例において、閾値は電池セル90が熱暴走する時にパッケージケース100内に生成したガスの圧力値である。ポリマー層30の融点は電池セル90の熱暴走時に生成された温度より高くなく、電池セル90が熱暴走してパッケージケース100内の気圧を増大させる時、ポリマー層30は熱溶融して第一シール部13と第二シール部21との間の密封を無効にし、電池セル100をタイムリーに圧力解放し、使用時の安全性を向上させることができる。
【0029】
いくつかの実施例において、ポリマー層30の融点は130℃~150℃の間にあり、具体的には130℃、135℃、140℃、145℃、150℃等のうちの一種であってもよい。
【0030】
上記パッケージケース100において、第一シール部13と第二シール部21は対向して設置され、及びポリマー層30は第一シール部13と第二シール部21との間に設置されることにより、パッケージケース100の密封性能を向上させる。かつ電池セル90がパッケージケース100内に生成したガスの圧力が閾値を超える場合、ポリマー層30はさらにパッケージケース100内のガスを放出するために用いられ、パッケージケース100をタイムリーに圧力解放し、使用時の安全性を向上させることができる。従来のパッケージケースにリリーフ弁を設置する方式に比べて、本願の実施例のパッケージケース100は安全性を向上させると同時に、製造コストを低減することができる。
【0031】
続いて図2を参照すると、いくつかの実施例において、タブ92は第一シール部13と第二シール部21との間から引き出され、かつポリマー層30から筐体10の外に貫通し、タブ92とパッケージケース100との間の密封性能を向上させる。いくつかの実施例において、タブ92は第一方向Aに沿ってポリマー層30から貫通する。
【0032】
いくつかの実施例において、ポリマー層30は絶縁性を備え、タブ92が筐体10及び蓋体20と絶縁を保持し、タブ92が筐体10及び蓋体20と電気的に接続されるリスクを低減し、パッケージケース100を帯電させない。これによりパッケージケースに対する絶縁処理の製造コストを低減し、さらに生産効率を向上させることができる。
【0033】
続いて図2を参照すると、いくつかの実施例において、ポリマー層30は第一溶融層31及び第二溶融層32を含む。第一溶融層31は、第一シール部13の第二シール部21に向かう表面に設置される。第二溶融層32は、第二シール部21の第一シール部に向かう表面に設置される。第一溶融層31及び第二溶融層32は熱溶融してポリマー層30を形成し、さらにタブ92、及び第一シール部13と第二シール部21との間の隙間を密封するために用いられる。いくつかの実施例において、第一シール部13及び第二シール部21をホットプレスすることにより第一溶融層31及び第二溶融層32を加熱溶融させる。
【0034】
図3及び図4を併せて参照すると、いくつかの実施例において、収容部11の開口12の縁部は首尾接続された第一縁部121及び第二縁部122を含む。第一シール部13は、第一縁部121から第一方向Aに延設される。筐体10にさらに第一接続領域14が設けられ、第一接続領域14が第二縁部122に設置される。蓋体20の収容部11に向かう表面に第一接続領域14と重なる第二接続領域22が設けられる。
【0035】
第一接続領域14と第二接続領域22は溶接により溶接接続層を形成し、蓋体20と筐体10との間の接続及び密封の安定性を向上させる。かつ第一接続領域14は第二縁部122に設置されることにより、開口12の縁部の蓋体20に向かう表面を十分に利用し、折り縁の方式に比べて、パッケージケース100の占有空間を減少させ、電池エネルギー密度を向上させる。
【0036】
いくつかの実施例において、開口12の縁部は矩形を呈し、第一縁部121は該矩形の一辺であり、第二縁部は該矩形の他の三本の辺である。
【0037】
理解されるように、他の実施例において、収容部11の開口12の第二縁部122は外向きに折り返して折り返し部(図示せず)を形成し、第一接続領域14は折り返し部の蓋体20に向かう表面に設置される。折り返し部により筐体10と蓋体20との接触面積を向上させ、さらに第一接続領域14と第二接続領域22との接触面積を向上させ、蓋体20と筐体10との間の接続及び密封の安定性をさらに向上させることができる。
【0038】
いくつかの実施例において、筐体10にさらに第一接着剤注入領域15が設けられる。第一接着剤注入領域15は、第一縁部121と第二縁部122の接合領域123に設置される。蓋体20の収容部11に向かう表面に、第一接着剤注入領域15と重なる第二接着剤注入領域23が設けられる。
【0039】
第一接着剤注入領域15及び第二接着剤注入領域23は接着剤注入により接着剤注入接続層を形成し、接合領域123に対応する蓋体20と筐体10との間の接続及び密封の安定性を向上させ、さらに溶接接続層とポリマー層30との間の接合部の接続及び密封の安定性を向上させる。
【0040】
図5を参照すると、いくつかの実施例において、パッケージケース100はさらにタブ接着層50を含む。タブ接着層50はポリマー層30の間に設けられ、タブ92はタブ接着層50から筐体10の外に突き出す。タブ接着層50は、タブ92とポリマー層30との間の密封性能を向上させるために用いられる。
【0041】
具体的にはいくつかの実施例において、タブ接着層50は第一溶融層31と第二溶融層32との間に位置し、タブ92はタブ接着層50から貫通する。第一溶融層31、第二溶融層32及びタブ接着層50は熱溶融してタブ92、及び第一シール部13と第二シール部21との間の隙間を密封するために用いられる。第一溶融層31、第二溶融層32及びタブ接着層50が同期して溶融することにより、タブ92とポリマー層30との間の密封性能を向上させ、パッケージケース100の密封性能をさらに向上させる。
【0042】
いくつかの実施例において、タブ接着層50は絶縁性を備え、タブ92が筐体10及び蓋体20と絶縁を保持し、タブ92が筐体10及び蓋体20と電気的に接続されるリスクをさらに低減し、パッケージケース100を帯電させない。
【0043】
図6を参照すると、いくつかの実施例において、第一シール部13は第一表面131及び第二表面132を含む。第一表面131は第二シール部21に向き、第二表面132は第一表面131の収容部11から離れる側に接続される。第一表面131及び第二表面132は沈下して第一段差面133を形成する。第一段差面133はポリマー層30と密封接続され、電池セル90がパッケージケース100内に生成したガスの圧力が閾値を超える場合、ポリマー層30は第一段差面133の第二表面132に位置する開口を通過して開けられ、パッケージケース100内のガスを放出し、電池の使用時の安全性を向上させるために用いられる。
【0044】
いくつかの実施例において、第一溶融層31は第一段差面133に設置される。第一溶融層31は第一段差面133に敷設されかつ第一表面131と面一であり、それにより第一溶融層31の厚さが第一接続領域14と第二接続領域22との間の溶接平坦度に与える影響を低減し、さらに蓋体20と筐体10との間の接続及び密封の安定性を向上させる。
【0045】
続いて図6を参照すると、いくつかの実施例において、第二シール部21は第三表面211及び第四表面212を含む。第三表面211は第一表面131に向き、第四表面212は第三表面211の第二表面132に対応する一側に接続される。第三表面211及び第四表面212は沈下して第二段差面213を形成する。第二段差面213はポリマー層30と密封接続され、電池セル90がパッケージケース100内に生成したガスの圧力が閾値を超える場合、ポリマー層30は第二段差面213の第四表面212に位置する開口を通過して開けられ、パッケージケース100内のガスを放出し、電池の使用時の安全性を向上させるために用いられる。
【0046】
いくつかの実施例において、第二溶融層32は第二段差面213に設置される。第二溶融層32は第二段差面213に敷設されかつ第三表面211と面一であり、それにより第二溶融層32の厚さが第一接続領域14と第二接続領域22との間の溶接平坦度に与える影響を低減し、さらに蓋体20と筐体10との間の接続及び密封の安定性を向上させる。
【0047】
図7を参照すると、いくつかの実施例において、第一シール部13は第一縁部121から第一方向Aに沿って延設され、タブ92は第二縁部122から筐体10の外に延びる。すなわちタブ92は、溶接接続層から筐体10外に突き出す。溶接接続層はタブ92とパッケージケース100との間の密封性能を向上させるために用いられ、ポリマー層30は第一シール部13と第二シール部21との間の隙間を密封するために用いられ、かつ電池セル90がパッケージケース100内に生成したガスの圧力が閾値を超える場合、ポリマー層30はさらにパッケージケース100内のガスを放出するために用いられる。
【0048】
いくつかの実施例において、タブ92は第一方向Aの逆方向に沿って溶接接続層から貫通する。
【0049】
図8を参照すると、いくつかの実施例において、第一シール部13及び第二シール部21はいずれも別体構造である。第一シール部13は、第一方向Aに沿って間隔をあけて設置された第一別体部13aおよび第二別体部13bを含む。第二シール部21は第三別体部21aと第四別体部21bを含み、第三別体部21aと第四別体部21bはそれぞれ第一別体部13aと第二別体部13bに対向して設置される。
【0050】
第一別体部13aと第三別体部21aとの間にはポリマー層30が設けられ、かつ一つのタブ92がポリマー層30から貫通するために用いられる。第二別体部13bと第四別体部21bとの間にポリマー層30が設けられかつ他のタブ92が貫通するために用いられ、それにより第一シール部13と第二シール部21の占有空間を減少させ、電池エネルギー密度を向上させる。
【0051】
いくつかの実施例において、第一別体部13aと第二別体部13bとの間に露出した第一縁部121と蓋体20に対応する領域は溶接及び/又は接着剤注入の方式で密封接続される。
【0052】
図9及び図10を併せて参照すると、いくつかの実施例において、第一シール部13の第二シール部21に向く表面に第一領域13c及び第二領域13dが設けられる。第二シール部21の第一シール部13に向かう表面に第三領域21cと第四領域21dが設けられ、第三領域21cと第四領域21dはそれぞれ第一領域13cと第二領域13dに対向して設置される。第一シール部13と第三領域21cとの間にはポリマー層30が設けられ、かつタブ92が貫通するために用いられる。第二領域13dと第四領域21dとの間は、溶接及び/又は接着剤注入の方式で密封接続される。
【0053】
図11を参照すると、いくつかの実施例において、第一シール部13は第一部分13e及び第二部分13fを含み、第一部分13eは第一方向Aに沿って延び、第二部分13fは第二方向Bに沿って延び、ここで第二方向Bは電池セル90の厚さ方向であり、第二方向Bは第一方向Aに垂直である。第二シール部21は第三部分21eと第四部分21fを含み、第三部分21eと第四部分21fはそれぞれ第一部分13eと第二部分13fに対向して設置される。ポリマー層30は、第一シール部13と第二シール部21との間に設置される。
【0054】
タブ92は第五部分92a及び第六部分92bを含み、第五部分92aは第一方向Aに沿って延び、第六部分92bは第二方向Bに沿って延びる。第五部分92aは、第一部分13eと第三部分21eとの間のポリマー層30を通過し、第六部分92bは、第二部分13fと第四部分21fとの間のポリマー層30を通過する。
【0055】
いくつかの実施例において、第六部分92b、第二部分13f及び第四部分21fの第二方向Bに沿う延伸長さは蓋体20が筐体10にカバーされる時に第二方向Bに沿う厚さ以下である。
【0056】
第一シール部13、第二シール部21及びタブ92を折り曲げて設置することにより、第一シール部13、第二シール部21及びタブ92の第一方向Aで占有された空間を減少させ、さらに電池のエネルギー密度を向上させる。
【0057】
本願の実施例はさらに電池(図示せず)を提供し、電池セル90及びパッケージケース100を含む。パッケージケース100は電池セル90を封止するために用いられ、パッケージケース100は上記実施例のいずれかのパッケージケースであってもよい。
【0058】
いくつかの実施形態において、電池はさらに回路保護板(図示せず)を含み、回路保護板は電池セル90における電圧、電流、絶縁状態及び充電状態等を監視し、電池の充電及び放電過程を安全に管理し、発生可能な故障に対して警報及び応急保護処理を行い、電池の動作に対して安全及び最適化制御を行うために用いられる。
【0059】
本願の実施例はさらに電気機器(図示せず)を提供し、上記実施例のいずれかの電池を含む。
【0060】
上記電池及び電気機器において、第一シール部13と第二シール部21は対向して設置され、及びポリマー層30は第一シール部13と第二シール部21との間に設置されることにより、パッケージケース100の密封性能を向上させる。かつ電池セル90がパッケージケース100内に生成したガスの圧力が閾値を超える場合、ポリマー層30はさらにパッケージケース100内のガスを放出するために用いられ、パッケージケース100をタイムリーに圧力解放し、使用時の安全性を向上させることができる。従来のパッケージケースにリリーフ弁を設置する方式に比べて、本願の実施例のパッケージケース100は安全性を向上させると同時に、製造コストを低減することができる。
【0061】
また、当業者であれば、以上の実施例は本願を説明するためのものだけであり、本願を限定するものではなく、本願の実質的な精神範囲内であれば、以上の実施例に対して行われた適切な変更及び変化はいずれも本願の開示した範囲内にあることを認識すべきである。
【符号の説明】
【0062】
パッケージケース 100
筐体 10
収容部 11
開口 12
第一縁部 121
第二縁部 122
接合領域 123
第一シール部 13
第一表面 131
第二表面 132
第一段差面 133
第一別体部 13a
第二別体部 13b
第一領域 13c
第二領域 13d
第一部分 13e
第二部分 13f
第一接続領域 14
第一接着剤注入領域 15
蓋体 20
第二シール部 21
第三表面 211
第四表面 212
第二段差面 213
第三別体部 21a
第四別体部 21b
第三領域 21c
第四領域 21d
第三部分 21e
第四部分 21f
第二接続領域 22
第二接着剤注入領域 23
ポリマー層 30
第一溶融層 31
第二溶融層 32
タブ接着層 50
電池セル 90
電極アセンブリ 91
タブ 92
第五部分 92a
第六部分 92b
第一方向 A
第二方向 B
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11