(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】薬物を含有する即放性錠剤及び錠剤の形成プロセス
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4523 20060101AFI20241219BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241219BHJP
A61K 9/28 20060101ALI20241219BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20241219BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20241219BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20241219BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241219BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241219BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61K31/4523
A61K9/20
A61K9/28
A61K47/12
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/26
A61P35/00
A61P35/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023023139
(22)【出願日】2023-02-17
(62)【分割の表示】P 2021083489の分割
【原出願日】2016-06-29
【審査請求日】2023-03-16
(32)【優先日】2015-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コターリー, サンジーヴ
(72)【発明者】
【氏名】マンティク, プリシラ
(72)【発明者】
【氏名】マウワラ, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】レザーイー, ハミド
【審査官】伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】特許第7232284(JP,B2)
【文献】国際公開第2014/027056(WO,A1)
【文献】特表2015-506356(JP,A)
【文献】特表2014-515390(JP,A)
【文献】特開2008-094845(JP,A)
【文献】Quality by Design for ANDAs: An Example for Immediate-Release Dosage Forms,FDA Guidance,2012年,pp. 1-107
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00
A61K 9/00
A61K 47/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的投薬単位錠剤コア
を製造するための方法であって、
薬学的投薬単位錠剤コアが、
(1)約5重量%以上の、コビメチニブヘミフマレート多形形態Aである粒子状薬学的活性薬物であって、約25μm~約65μm、約25μm~約50μm、または約30μm~約40μmの粒径D[v,0.5]を有する粒子状薬学的活性薬物;
(2)薬学的投薬単位錠剤コアの重量に基づき、約0.5重量%~約5重量%、約0.5重量%~約3重量%、約1重量%~約3重量%、約1重量%~約2.5重量%、又は約1重量%~約2重量%の含量の滑沢剤、
(3)薬学的投薬単位錠剤コアの重量に基づき、約2重量%~約7重量%、約2重量%~約6重量%、約2重量%~約5重量%、約3重量%~約6重量%、又は約3重量%~約5重量%の含量の崩壊剤、
(4)薬学的投薬単位錠剤コアの重量に基づき、約60重量%~約78重量%、約65重量%~約78重量%、約65重量%~約7
7重量%、約
70~約77重量%、又は約71重量%~約75重量%の含量の充填剤、及び
(5)任意に、最大10重量%の結合剤、
を含み、
方法が、粒子状薬学的薬物活性
薬物、潤沢剤、充填剤、崩壊剤、及び任意選択的に結合剤のプレブレンドを
、約1kN/cm~約8kN/cm、約2kN/cm~約5kN/cm、または約2kN/cm~約4kN/cmの圧密力を適用する
ことによるローラー圧密を含む、
方法。
【請求項2】
薬学的投薬単位錠剤コアの重量に基づく粒子状薬学的活性薬物の含有量が、約15重量%~約25重量%、又は約20重量%である、請求項1に記載の
方法。
【請求項3】
前記粒子状薬学的活性薬物が、約45μm~約500μm、約45μm~約400μm、約45μm~約300μm、約45μm~約200μm、約44μm~約100μm、約50μm~約60μm、約65μm~約100μm、約45μm~約80μm、または約75μm~約100μmの粒径D[v,0.9]を有する、請求項1または2に記載の
方法。
【請求項4】
前記錠剤コアが、細粒内滑沢剤と、細粒外滑沢剤と、を含み、
(1)前記錠剤コアの重量に基づく前記細粒内滑沢剤の含量が、約0.1重量%~約1重量%、約0.2重量%~約0.75重量%、または約0.25重量%~約5重量%であり、
(2)前記錠剤コアの重量に基づく前記細粒外滑沢剤の含量が、約0.5重量%~約2.5重量%、約0.75重量%~約2.25重量%、約0.75重量%~約2重量%、約1重量%~約1.75重量%、または約1.25重量%~約1.5重量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項5】
滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項6】
前記錠剤コアが、細粒内崩壊剤と細粒外崩壊剤を含み、
(1)前記錠剤コアの重量に基づく前記細粒内崩壊剤の含量が、約0.1重量%~約3重量%、約0.25重量%~約2.5重量%、約0.25重量%~約2重量%、約0.25重量%~約1.5重量%、約0.25重量%~約1重量%、約0.5重量%~約3重量%、約0.5重量%~約2重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、約1重量%~約3重量%、または約1.5重量%~約2.5重量%であり、且つ
(2)前記錠剤コアの重量に基づく前記細粒外崩壊剤の含量が、約0.5重量%~約3重量%、約1重量%~約3重量%、約1.25重量%~約3重量%、約1.25重量%~約2.5重量%、約1.25重量%~約2重量%、約1.25重量%~約1.5重量%、約1.5重量%~約3重量%、または約1.5重量%~約2.5重量%である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項7】
前記細粒内崩壊剤と前記細粒外崩壊剤との重量比が、約1:5、約1:3、約1:1、または約2:1である、請求項6に記載の
方法。
【請求項8】
崩壊剤が、グリコール酸ナトリウムデンプン、クロスカルメロースナトリウム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項9】
充填剤が、(1)ラクトース、又は(2)ラクトース及び微結晶セルロースを含み、ラクトースと微結晶セルロースとの重量比が、約1:1.5~約4:1、約1.25~約4:1、約1:1~約4:1、約1:1~約3:1、約1.5:1~約3:1、または約2:1~約2.5:1である、請求項1~8のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項10】
(a)粒子状薬学的活性薬物が、約25μm~約40μmの粒径D[v,0.5]を有する、又は
(b)粒子状薬学的活性薬物が、約40μm~約65μmの粒径D[v,0.5]を有する
請求項1~9のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項11】
錠剤コアが、前記錠剤コア重量に基づき、約1重量%~約10重量%、約1重量%~約7重量%、約1重量%~約6重量%、または約1重量%~約5重量%の総結合剤含量で結合剤をさらに含み、任意選択的に、結合剤が、ポビドン、コポビドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項12】
前記錠剤コアが、
(1)約17.6重量%~約19.4重量%のコビメチニブヘミフマレート多形形態A、
(2)約43.3重量%~約47.9重量%の微結晶セルロース、
(3)約28.9重量%~約31.9重量%のラクトース一水和物、
(4)約3.8重量%~約4.2重量%のクロスカルメロースナトリウム、及び
(5)約1.4重量%~約1.6重量%のステアリン酸マグネシウム、
を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項13】
前記錠剤コアが、前記錠剤コアの表面にフィルムコーティングをさらに含み、コーティングされた
前記錠剤コアが、
(1)前記錠剤の80%が20分で溶解するような溶解プロファイル、
(2)45Nの最小硬度、
(3)300以下の崩壊時間、及び
(4)1.0%未満の摩耗、
を特徴とし、
任意選択的に、コーティングされた薬学的投薬単位錠剤コアが、前記錠剤コアの重量に基づき、約2重量%~約6重量%、または約3重量%~約5重量%の前記フィルムコーティングを含み、前記フィルムコーティングが、
(1)約38重量%~約42重量%のポリビニルアルコール、
(2)約23.8重量%~約26.3重量%の二酸化チタン、
(3)約19.2重量%~約21.2重量%のマクロゴール/PEG3350、及び
(4)約14.1重量%~約15.5重量%のタルク、
を含む、
請求項1~12のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法により、第1の錠剤を製造することを含む、薬学的製品を製造するための方法であって、
前記薬学的製品が、
(1)第1の錠剤、及び
(2)プロパン-1-スルホン酸{3-[5-(4-クロロフェニル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボニル]-2,4-ジフルオロ-フェニル}-アミド(ベムラフェニブ)、又はその薬学的に許容される塩を含む第2の錠剤
を含み、
第1の錠剤及び第2の錠剤が、BRAF
V600突然変異陽性切除不能又は転移性黒色腫の治療における同時又は連続使用のための組み合わせ調製物を含み、
1つ以上の第1の錠剤が、60mgの総用量のコビメチニブを提供するように、28日サイクルの1~21日目に投与され、
1つ以上の第2の錠剤が、960mgの総用量のベムラフェニブを提供するように、28日サイクルの各日に1日2回投与される、
方法。
【請求項15】
第1の錠剤が、第2の錠剤と連続して投与される、又は第1の錠剤が、第2の錠剤と同時に投与される、請求項
14に記載の
方法。
【請求項16】
第1の錠剤が、20mgのコビメチニブ、40mgのコビメチニブ、又は60mgのコビメチニブを含む、請求項
14又は
15に記載の
方法。
【請求項17】
切除不能又は転移性黒色腫が、BRAF
V600E突然変異陽性黒色腫である、且つ/又は切除不能又は転移性黒色腫が、転移性黒色腫及び/若しくは以前に治療されていないBRAF
V600突然変異陽性切除不能黒色腫若しくは転移性黒色腫である、請求項
14~
16のいずれか1項に記載の
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年6月30日出願の米国仮出願第62/186,556号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野は、一般に、薬物及び賦形剤を含有する薬学的投薬単位錠剤、ならびに錠剤の形成プロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
本開示のいくつかの態様では、薬物は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ酵素MEK1及びMEK2の阻害剤である。かかるMEK阻害剤は、BRAFV600突然変異を伴う切除不能または転移性黒色腫を有する患者の治療に適応する。本開示のいくつかの特定の態様では、薬物は、コビメチニブ([3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)フェニル]{3-ヒドロキシ-3-[(2S)-ピペリジン-2-イル]アゼチジン-1-イル}メタノン)、及びその塩である。本開示のまた他の特定の態様では、薬物は、形態Aと称される(S)-[3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)フェニル]{3-ヒドロキシ-3-[(2S)-ピペリジン-2-イル]アゼチジン-1-イル}メタノン)の結晶性ヘミフマレート塩である。
【0004】
即放性圧縮錠剤(例えば、カプレット)は、薬学的活性薬物の送達に有効な形態である。圧縮錠剤は、ある特定の材料(賦形剤)のみが圧縮に適してしている場合があるため、薬学的活性薬剤をその形態に組み込むために複数のステップを伴うことが多い。薬物活性成分及び賦形剤は、打錠機における操作性を維持し、破損することなく形状を維持及び形成し、消化管において適切な時間枠内で溶解するために、流動及び圧縮性などの正しい圧縮特性を有さなければならない。
【0005】
問題として、薬物、充填剤、及び崩壊剤のいくつかの組み合わせ(速放性特性を付与するため)は、圧縮特性が不十分であり、それにより乾式造粒及び錠剤圧縮方法によって調製された錠剤に機械的強度及び溶解の問題を提示する。
【0006】
したがって、薬物、充填剤、及び崩壊剤を含有する改善された錠剤組成物、ならびに(1)破損、欠け、及び摩耗に耐えるのに十分な硬度、ならびに(2)即放性錠剤に必要な適切な溶解及び崩壊特性の両方を有する錠剤を可能にする関連調製方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
本開示のいくつかの態様では、薬学的投薬単位錠剤コアの調製プロセスが提供される。本プロセスは、粒子状薬学的薬物活性成分、細粒内充填剤、細粒内崩壊剤、及び細粒内滑沢剤をブレンドしてプレブレンドを形成することを含み、この粒子状薬学的薬物活性成分は、約25μm~約65μm、約25μ~約50μm、または約30μ~約40μmの粒径D[v,0.5]を有する。プレブレンドは、約1kN/cm~約8kN/cm、約2kN/cm~約5kN/cm、または約2kN/cm~約4kN/cmのローラー圧密力を適用することによって圧密される。圧縮されたプレブレンドは、粉砕及び篩過されて細粒を形成する。本開示のいくつかの特定の態様では、プレブレンドは、約2mm~約5mm、約2mm~約4mm、約3mm~約5mm、または約4mm~約5mmのギャップ幅を有する少なくとも2つの回転ロール間で圧密されて、リボンを形成し、このリボンが、粉砕及び篩過されて、細粒を形成する。細粒は、約5kN~約20kN、約14kN~約19kN、約14kN~約18kN、または約8kN~約13kNの打錠圧縮力を適用することによって打錠されて、薬学的投薬単位錠剤コアを形成する。
【0008】
本開示のいくつかの他の態様では、薬学的投薬単位錠剤コアが提供される。錠剤コアは、(1)約5重量%以上の粒子状薬学的活性薬物、(2)薬学的投薬単位錠剤コア重量に基づき、約0.5重量%~約5重量%、約0.5重量%~約3重量%、約1重量%~約3重量%、約1重量%~約2.5重量%、または約1.5重量%~約2重量%の含量の滑沢剤、(3)薬学的投薬単位錠剤コア重量に基づき、約2重量%~約7重量%、約2重量%~約6重量%、約2重量%~約5重量%、約3重量%~約6重量%、または約3重量%~約5重量%の含量の崩壊剤、(4)薬学的投薬単位錠剤コア重量に基づき、約60重量%~約78重量%、約65重量%~約78重量%、約65重量%~約77重量%、約70重量%~約77重量%、または約71重量%~約75重量%の含量の充填剤、及び(5)任意に、最大10重量%の結合剤を含む。
【0009】
本開示の他の態様では、薬学的投薬単位錠剤コアが提供される。錠剤コアは、(1)18.5重量%のコビメチニブヘミフマレート多形形態A、(2)45.6重量%の結晶セルロース、(3)30.4重量%のラクトース一水和物、(4)4重量%のクロスカルメロースナトリウム、及び(5)1.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0010】
本開示の他の態様では、コーティングされた薬学的投薬単位錠剤コアが提供される。コーティングされたテーブルは、(1)17.79重量%のコビメチニブヘミフマレート多形形態A、(2)43.85重量%の結晶セルロース、(3)29.23重量%のラクトース一水和物、(4)3.84重量%のクロスカルメロースナトリウム、(5)1.45重量%のステアリン酸マグネシウム、及び(6)3.85重量%のフィルムコーティングを含む。
【0011】
本開示の他の態様では、コーティングされた薬学的投薬単位錠剤の調製プロセスが提供される。本プロセスは、(1)粒子状充填剤構成成分、第1の粒子状崩壊剤構成成分、及び粒子状活性薬物構成成分をプレンダー中で組み合わせ、該構成成分を混合して一次プレブレンドを形成するステップ、(2)粒子状の第1の滑沢剤構成成分と一次プレブレンドをブレンダー中で組み合わせ、該第1の滑沢剤構成成分と一次プレブレンドを混合して完成プレブレンドを形成するステップ、(3)完成プレブレンドを乾式造粒して細粒を形成するステップ、(4)細粒及び第2の粒子状崩壊剤構成成分をブレンダー中で組み合わせ、該細粒及び崩壊剤構成成分を混合して一次最終ブレンドを形成するステップ、(5)第2の粒子状滑沢剤構成成分及び一次最終ブレンドをブレンダー中で組み合わせ、該第2の滑沢剤構成成分及び一次最終ブレンドを混合して完成最終ブレンドを形成するステップ、(6)完成最終ブレンドを打錠して錠剤コアを形成するステップ、ならびに(7)錠剤コアをコーティングするステップを含む。本開示のいくつかの態様では、フィルムコーティング固体混合物が、水に懸濁されてコーティング混合物スラリーを形成し、錠剤コアは、コーティング混合物スラリーでコーティングされて、コーティングされた薬学的投薬単位錠剤を形成する。
【0012】
本開示のまた他の態様では、薬学的製品が提供される。製品は、(1)コビメチニブを含む第1の錠剤、及び(2)プロパン-1-スルホン酸{3-[5-(4-クロロフェニル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボニル]-2,4-ジフルオロ-フェニル}-アミド(ベムラフェニブ)、またはその薬学的に許容される塩を含む第2の錠剤を含む。第1の錠剤及び第2の錠剤は、BRAFV600突然変異陽性切除不能または転移性黒色腫の治療における同時または連続使用のための組み合わせ調製物を含む。1つ以上の第1の錠剤が、28日サイクルの1~21日目に60mgの総用量のコビメチニブを提供するように投与され、1つ以上の第2の錠剤が、960mgの総用量のベムラフェニブを提供するように、28日サイクルの各日に1日2回投与される。
【0013】
本開示のまた他の態様では、上に列記される薬学的製品は、BRAFV600突然変異陽性切除不能または転移性黒色腫の治療のための薬剤の製造において使用される。
【0014】
本開示の他の態様では、キットが提供される。キットは、(1)コビメチニブを含む第1の錠剤、及び(2)ベムラフェニブ、またはその薬学的に許容される塩を含む第2の錠剤を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】結晶セルロース(グレードPH-101及びPH-105)と組み合わせたコビメチニブヘミフマレートの圧密プロファイルのグラフ表示である。
【
図4】0.1M HCl中の本開示のコビメチニブヘミフマレートのフィルムコーティングされた錠剤の溶解プロファイルのグラフ表示である。
【
図5】pH4.5酢酸緩衝液における本開示のコビメチニブヘミフマレートのフィルムコーティングされた錠剤の溶解プロファイルのグラフ表示である。
【
図6】pH6.8リン酸緩衝液における本開示のコビメチニブヘミフマレートのフィルムコーティングされた錠剤の溶解プロファイルのグラフ表示である。
【
図7】pH4.5酢酸緩衝液における本開示のコビメチニブヘミフマレートのフィルムコーティングされた錠剤の3つのバッチの溶解プロファイルのグラフ表示である。
【
図8】pH4.5酢酸緩衝液における本開示のコビメチニブヘミフマレートのフィルムコーティングされた錠剤の3つの別個の製剤の溶解プロファイルのグラフ表示である。
【
図9】pH4.5酢酸緩衝液における本開示のコビメチニブヘミフマレートのフィルムコーティングされた錠剤の2つの別個の製剤の溶解プロファイルのグラフ表示である。
【
図10】異なる主要圧縮力で打錠された本開示のコビメチニブヘミフマレートのフィルムコーティングされた錠剤の3つの製剤のpH4.5酢酸緩衝液における溶解プロファイルのグラフ表示である。
【
図12A】29μmの粒径D[v,0.5]の活性薬物を使用して製造された錠剤に関する錠剤重量変動と含量均一性の比較のプロットである。
【
図12B】38μmの粒径D[v,0.5]の活性薬物を使用して製造された錠剤に関する錠剤重量変動と含量均一性と比較のプロットである。
【
図12C】47μmの粒径D[v,0.5]の活性薬物を使用して製造された錠剤に関する錠剤重量変動と含量均一性の比較のプロットである。
【
図13】流動性に対するローラー圧密力及び活性薬物の粒径分布の作用の3次元表面プロット、及び流動性に対するローラー圧密力及びギャップサイズの作用の3次元表面プロットを示す。
【
図14】主要圧縮力対錠剤コアの硬度、摩耗、崩壊、及び溶解の散布図である。
【
図15】d
6 DMSOにおけるコビメチニブヘミフマレート多形形態Aの
1H NMRスペクトルである。
【
図16】d
6 DMSOにおけるコビメチニブヘミフマレート多形形態Aの
13C NMRスペクトルである。
【
図17】コビメチニブヘミフマレート多形形態Aの固体状態の
13C NMRスペクトルである。
【
図18】コビメチニブヘミフマレート多形形態Aのx線粉末回折パターンである。
【
図19】コビメチニブヘミフマレート多形形態Aの示差走査熱量計サーモグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示のいくつかの態様によると、本明細書に記載されるように、少なくとも5重量パーセント(「重量%」)の活性薬物、充填剤、崩壊剤、及び滑沢剤を含む薬学的投薬形態の錠剤が提供され、この錠剤は、迅速な溶解速度、迅速な崩壊時間、包装中または保管中のテーブルの欠けまたは崩れに耐えるのに十分な硬度、及び侵食またはコーティング中の欠けに耐えるのに十分な摩耗耐性を呈する。本開示のいくつかの他の態様によると、本明細書に記載されるように、細粒から活性薬物を含む薬学的投薬形態の錠剤の調製プロセスが提供される。
【0017】
本開示のいくつかの態様では、活性薬物はコビメチニブである。説明において活性薬物であるコビメチニブを特に参照するが、本明細書に開示される組成物、製剤、及びプロセスは、コビメチニブ以外の活性薬物にも適用され、かつ包含する。
【0018】
本開示の一プロセスは、
図1に示される。示されるように、充填剤1、崩壊剤2、及び滑沢剤3は、スクリーン10を通過させることにより脱塊(delumped)されて、脱塊されたプレブレンド材料15を形成する。脱塊されたプレブレンド材料15を、ブレンド装置20中で活性薬物16と組み合わせ、混合して、プレブレンド25を形成する。プレブレンド25を造粒装置30において造粒して(例えば、造粒、粉砕、及び篩過により)、細粒35を形成する。充填剤1、崩壊剤2、及び滑沢剤3は、細粒内構成成分として細粒35中に存在する。崩壊剤及び滑沢剤3は、スクリーン40を通過させることにより脱塊されて、脱塊された材料45を形成し、これは、ブレンド装置50中で細粒35と組み合わされ、混合されて、最終ブレンド55を形成する。最終ブレンド55を打錠装置60において打錠して、コア錠剤65を形成する。コア錠剤65をフィルムコーティング装置70においてコーティング混合物71でコーティングして、コーティングされた錠剤75を形成する。
【0019】
本明細書で使用されるとき、細粒内は、構成成分が細粒内に組み込まれるように、造粒前に添加される構成成分を指す。本明細書でさらに使用されるとき、細粒外は、打錠機においてなど、圧縮前に細粒と組み合わされる構成成分を指す。
【0020】
本開示の別のプロセスが、
図2に示される。示されるように、充填剤1及び崩壊剤2Aは、スクリーン10Aを通過させることにより脱塊されて、ブレンダー装置20Aに添加されるストリーム15Aを形成する。活性薬物16をブレンダー装置20Aに添加する。次に、ストリーム15A及び活性薬物16を混合して、一次プレブレンド21を形成する。スクリーン10Bを通過させることにより滑沢剤3Aを脱塊して、ストリーム15Bを形成し、これは、ブレンダー装置20B中で一次プレブレンド21と組み合わされる。次に、ストリーム15B及び第1のプレブレンド21を混合して、プレブレンド25を形成する。本開示のいくつかの態様では、スクリーン10A及びスクリーン10Bは同じ装置であり、本開示の他の態様では、スクリーン10A及びスクリーン10Bは異なる装置である。本開示のまたさらなる態様では、ブレンダー20A及びブレンダー20Bは同じ装置であり、本開示の他の態様では、ブレンダー20A及びブレンダー20Bは異なる装置である。プレブレンド25を造粒機装置30において乾式造粒して(例えば、造粒、粉砕、及び篩過により)、細粒35を形成する。スクリーン40Aを通過させることにより崩壊剤2Bを脱塊して、ストリーム45Aを形成し、これは、ブレンダー装置50A中で細粒35と組み合わされる。次に、ストリーム45A及び細粒35を混合して、一次最終ブレンド51を形成する。スクリーン40Bを通過させることにより滑沢剤3Bを脱塊して、ストリーム45Bを形成し、これは、ブレンダー装置50B中で一次最終ブレンド51と組み合わされる。次に、ストリーム45B及び一次最終ブレンド51を混合して、最終ブレンド55を形成する。本開示のいくつかの態様では、崩壊剤2A及び崩壊剤2Bは同じ化合物であり、本開示の他の態様では、崩壊剤2A及び崩壊剤2Bは異なる化合物である。本開示のいくつかのさらなる態様では、滑沢剤3A及び滑沢剤3Bは同じ化合物であり、本開示の他の態様では、滑沢剤3A及び滑沢剤3Bは異なる化合物である。本開示のいくつかの態様では、スクリーン40A及びスクリーン40Bは同じ装置であり、本開示の他の態様では、スクリーン40A及びスクリーン40Bは異なる装置である。いくつかの態様では、スクリーン10A及びスクリーン40Aは同じスクリーンであり、スクリーン10B及びスクリーン40Bは同じスクリーンである。本開示のまたさらなる態様では、ブレンダー50A及びブレンダー50Bは同じ装置であり、本開示の他の態様では、ブレンダー50A及びブレンダー50Bは異なる装置である。最終ブレンド55を打錠装置60において打錠して、コア錠剤65を形成する。フィルムコーティング固体混合物91を水92と組み合わせ、懸濁装置90において懸濁して、フィルムコーティング混合物71を形成する。コア錠剤65をフィルムコーティング装置70においてコーティング混合物71でコーティングして、コーティングされた錠剤75を形成する。次に、コーティングされた錠剤は、梱包装置100において、容器101に包装される。
【0021】
本開示の特定の一製造態様が
図11に示され、プレブレンド、造粒/粉砕、及び篩過、最終ブレンド、打錠、ならびにコーティングステップを含む。
【0022】
図11を参照すると、プレブレンドは2つのステップで形成される。最初のステップでは、細粒内ラクトース一水和物、細粒内クロスカルメロースナトリウム、及び細粒内結晶セルロースが脱塊のために篩過され、ブレンダーに充填される。脱塊は、振動式篩またはインライン篩を使用するときに、材料を1.0mmのメッシュスクリーンに通過させるなど、当業者に既知の方法により行われ得る。次に、コビメチニブヘミフマレート形態Aをブレンダーに充填し、ブレンダーの内容物を6rpmのブレンド速度で30分間混合する。好適なブレンダー及びブレンダー負荷は、本明細書の別の箇所でより詳細に記載される通りである。第2のステップでは、細粒内ステアリン酸マグネシウムが脱塊のために0.5mmのメッシュスクリーンを通して篩過され、ブレンダーに充填され、内容物が6rpmのブレンド速度で8分間混合されて、プレブレンドを生産する。いくつかのかかる態様では、420,000個の錠剤を生産するのに好適なプレブレンドバッチが製造され、このプレブレンドは、22.982kgの結晶セルロース、15.322kgのラクトース一水和物、1.008kgのクロスカルメロースナトリウム、及び0.126kgのステアリン酸マグネシウムを含む。
【0023】
図11を再び参照すると、プレブレンドは、本明細書の別の箇所でより詳細に記載されるように、ローラー圧密により乾式造粒され、粉砕され、1mmのスクリーンを通して篩過される。いくつかのかかる態様では、38μm未満の粒径D[v,0.5]を有する活性薬物に関して、ローラー圧密力は2kN/cmに設定され、ギャップサイズは5mmである。いくつかの他のかかる態様では、少なくとも38μmの粒径D[v,0.5]を有する活性薬物に関して、ローラー圧密は2kN/cm~4kN/cmに設定され、ギャップサイズは4mm~5mmである。
【0024】
図11を再び参照すると、最終ブレンドは2つのステップで形成される。最初のステップでは、細粒外クロスカルメロースナトリウムが、上述のように、脱塊のために1.0mmのメッシュスクリーンを通して篩過され、細粒とブレンダー中で組み合わされる。ブレンダーの内容物は、6rpmのブレンド速度で10分間混合される。第2のステップでは、細粒外ステアリン酸マグネシウムが脱塊のために0.5mmのメッシュスクリーンを通して篩過され、ブレンダーに充填され、内容物が6rpmで8分間混合されて、最終ブレンドを形成する。420,000個の錠剤を生産するのに好適な最終ブレンドバッチが製造される態様では、細粒外クロスカルメロースナトリウムの量は1.008kgであり、細粒外ステアリン酸マグネシウムの量は0.63kgである。
【0025】
再び
図11を参照すると、最終ブレンドは、回転打錠機などのプレス機において、14kN~19kNの主要圧縮力で圧縮されて、錠剤コアを形成する。錠剤コアは、当該技術分野において既知のパンコーティング装置を使用して、コーティング懸濁液で噴霧することによりコーティングされる。いくつかのかかる態様では、420,000個の錠剤を生産するのに好適な最終ブレンドバッチが製造される場合、コーティング懸濁液は、0.806kgのポリビニルアルコール、0.504kgの二酸化チタン、0.407kgのマクロゴール/PEG3350、0.298kgのタルク、及び好適な量の精製水を含んで、コーティング懸濁液を形成する。いくつかの他のかかる態様では、コーティング組成物は、Opadry II White 85F18422である。420,000個の錠剤を調製するのに好適なバッチサイズ以外のバッチサイズは、同じ比率の成分を用いて調製され得る。
【0026】
錠剤構成成分の説明
活性薬物
本開示の錠剤組成物は、約5重量%以上、例えば、5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、または約35重量%など、及びそれらの範囲、例えば、約5重量%~約35重量%、約10重量%~約30重量%、または約15重量%~約25重量%などの活性薬物を含む。本開示のいくつかの態様では、活性薬物は、コビメチニブ遊離塩基またはその塩である。いくつかの他の態様では、活性薬物はコビメチニブヘミフマレートである。コビメチニブヘミフマレートは、無水物、結晶性であり、単一の多形形態Aで存在することが既知であり、約233~241℃の高い融点及び低い吸湿性を呈する。コビメチニブ、調製方法、及び治療的使用は、国際公開第WO2007/044515号、同第WO2007/044615号、同第WO2014/027056号、及び同第WO2014/059422号に開示されており、それらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
コビメチニブは、溶解度が高い、中程度から高度の透過性の化合物であり、インビボ吸収/薬物動態特性は、生物薬剤学分類システム(BCS)クラス1と一致する。生理的pH範囲にわたる様々な緩衝液におけるコビメチニブヘミフマレート活性薬物の37℃での24時間溶解度の結果が、下の表Aに提示される。活性薬物は、最高用量強度が1~7.5のpH範囲にわたって<250mLの水に可溶性であるとき、非常に可溶性であると考えられる。
表A
FaSSIF=絶食時人工腸液;FeSSIF=摂食時人工腸液。
【0028】
スキーム1の化合物(I)のコビメチニブは、WO2014/059422に記載され、また一般に、スキーム1に示されるように調製され得る。塩基の存在下での市販の(3S,5R,8aS)-3-フェニル-ヘキサヒドロ-オキサゾロ[3,2-a]ピリジン-カルボニトリル(VII)と市販のtert-ブチル-3-オキソ-1-アゼチジンカルボキシレート(VIIa)との反応により化合物(VI)を得る。化合物(VI)を、酸の存在下でシアノ水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化物還元剤で処理し、続いて水酸化ナトリウム水溶液で処理して、化合物(V)を得る。酸を使用する化合物(V)の脱保護により化合物(IV)を得、これを触媒量のピリジンの存在下で酸塩化物(Iva)に結合して、化合物(III)を得る。化合物(III)の水素化により、ピペリジン誘導体化合物(II)を得る。最後に、化合物(II)と2-フルオロ-4-ヨードアニリン(IIa)の結合により、コビメチニブを得る。
スキーム1
【0029】
安息香酸、マロン酸、フマル酸、マンデル酸、酢酸、及びオロト酸から調製された塩を含む、コビメチニブの様々な塩が既知である。本開示のいくつかの態様では、塩は、フマル酸の1つの分子がコビメチニブの2つの分子と塩を形成するヘミフマレート塩である。したがって、約0.50、約0.51、約0.52、もしくは約0.53、または約0.51~約0.5当量のフマル酸が1当量のコビメチニブごとに使用され、ヘミフマレート塩を形成する。
【0030】
コビメチニブヘミフマレートの結晶形態は、例えば、好適な溶媒混合物からの結晶化もしくは再結晶化、昇華、溶融物からの成長、別の相からの固体状態転換、超臨界流体からの結晶化、及びジェット噴霧を含むが、これらに限定されない様々な方法により調製され得る。溶媒混合物の結晶形態の結晶化または再結晶化のための技法は、例えば、溶媒蒸発、溶媒混合物温度の低下、化合物及び/またはその塩の過飽和溶媒混合物の結晶播種、化合物の過飽和溶媒混合物、及び/またはその塩の結晶播種、溶媒混合物の凍結乾燥、ならびに溶媒混合物への抗溶媒(反溶媒)の添加を含むが、これらに限定されない。高処理結晶化技法を用いて、多形を含む結晶形態を調製することができる。
【0031】
コビメチニブヘミフマレート多形形態Aの調製に関する本開示のいくつかの態様では、コビメチニブを溶媒に溶解し、フマル酸を溶媒に溶解し、コビメチニブ溶液をフマル酸溶液と組み合わせて、結晶性コビメチニブヘミフマレート多形形態Aを形成し、結晶を回収する。本開示のいくつかの態様では、溶媒は極性溶媒である。特定の溶媒におけるフマル酸及び/またはコビメチニブの溶解度により、完全な溶解を確実にするために、軽く加熱する(40~80℃)ことが必要な場合がある。例えば、フマル酸は、アルコールなど(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、またはイソプロパノールなどのプロトン性に、単独で、または1つ以上の他の溶媒もしくは水との混合物として溶解され得る。代替えとして、フマル酸は、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンなどの非プロトン性溶媒に溶解され得る。同様に、コビメチニブは、ジクロロメタン、またはアルコールなど(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、またはイソプロパノールなどの極性溶媒に、単独で、または1つ以上の他の溶媒もしくは水との混合物として溶解され得る。次に、フマル酸溶液はコビメチニブ溶液に添加され、結果として生じる混合物は沈殿物が形成するまでそのままにしておく。いくつかの場合では、結晶形成を早めるために、結果として生じる混合物を冷却するか、または種結晶を添加する。他の場合では、非極性炭化水素溶媒、例えば、ヘプタンなどの抗溶媒を使用して結晶形成を早める。
【0032】
コビメチニブヘミフマレート多形形態Aの調製に関する本開示のいくつかの他の態様では、コビメチニブは第1の溶媒に溶解されて第1の混合物を形成し、フマル酸は第2の溶媒に溶解されて第2の混合物を形成し、第1及び第2の混合物を冷却しながら組み合わせて沈殿物として結晶を形成し、結晶性コビメチニブヘミフマレート多形形態Aの結晶を回収する。前の態様にあるように、用いられる溶媒は極性溶媒である。特定の実施形態では、第1及び第2の溶媒は同じであり、イソプロパノールと水との混合物である。一実施形態では、イソプロパノールと水の比率は9:1である。別の実施形態では、イソプロパノールと水の比率は4:1である。別の実施形態では、イソプロパノールと水の比率は85:15である。典型的には、およそ7~11重量当量の第1の溶媒が1重量当量のコビメチニブごとに使用され、2.0~3.0重量当量の第2の溶媒が1重量当量のフマル酸ごとに使用される。より具体的には、およそ8~10重量当量の第1の溶媒が1重量当量のコビメチニブごとに使用され、2.4~2.7重量当量の第2の溶媒が1重量当量のフマル酸ごとに使用される。
【0033】
いくつかの特定の態様では、コビメチニブ溶液は濾過され(例えば、活性炭を通して)、その後、約40~90℃、より好ましくは60~85℃、より好ましくは75~80℃の温度で軽く加熱しながら、フマル酸溶液とゆっくり組み合わされる。いくつかの場合では、播種結晶がプロパノール/水溶液中のコビメチニブとフマル酸との混合物に添加されてもよい。結晶化プロセスを完了させるために、混合物をおよそ20℃に冷却してもよい。結果として生じる結晶は、濾過または遠心分離によって単離され得る。
【0034】
コビメチニブヘミフマレート多形形態Aの調製に関する本開示のいくつかのさらなる態様では、コビメチニブは第1の溶媒に溶解されて第1の混合物を形成し、フマル酸は第2の溶媒に溶解されて第2の混合物を形成し、結晶性コビメチニブヘミフマレート多形形態Aが沈殿により形成される、第1及び第2の混合物が組み合わせられる。いくつかのかかる態様では、本プロセスは、コビメチニブヘミフマレート多形形態Aの種結晶を混合物に添加することをさらに含む。
【0035】
コビメチニブヘミフマレート多形形態Aの調製に関する本開示のまたさらなる態様では、65~80℃で軽く加熱しながら非結晶コビメチニブヘミフマレートを溶媒に溶解し、冷却して結晶を形成する。一実施形態では、コビメチニブヘミフマレート多形形態Aの種結晶が混合物に添加されてもよい。別の実施形態では、混合物はおよそ20℃に冷却され得る。任意のかかる態様では、結果として生じる結晶は、濾過または遠心分離によって単離され得る。
【0036】
本開示のいくつかの態様では、形態Aと称される(S)-[3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)フェニル][3-ヒドロキシ-3-(ピペリジン-2-イル)アゼチジン-1-イル-メタノンの結晶性ヘミフマレート塩は、固体状態
13C核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて、175.3、173.6、117.5、155.5、及び153.5±0.2ppmから選択される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのピークを特徴とする。本開示のいくつかの他の態様では、該塩は、x線回折パターン(CuKα λ=1.5418Å)において、4.6、12.1、13.2、13.6、及び14.5±0.2°2θから選択される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのピークを特徴とする。いくつかの他の態様では、該塩は、d
6DMSOにおいて、実質的に
図15に示される
1H NMRスペクトルを特徴とする。また他の態様では、該塩は、d
6DMOSにおいて、実質的に
図16に示される13C NMRスペクトルを特徴とする。さらに他の態様では、該塩は、実質的に
図17に示される固体状態
13C NMRスペクトルを特徴とする。NMR測定は、600MHz機械が5mm、TCI、z勾配CryoProbeで装備され得、400MHz機械が5mm、BBFO、z勾配Probeで装備される、Bruker Avance 600及び400MHz分光計で好適に行われ得る。全てのプロトン検出実験に関して、試料は、形態Aと称される6mgのコビメチニブの結晶性フマレート塩を、0.75mLのDMSO-d6(D、99.8%)に溶解することによって調製され得る。
13C-NMR及び
19F-NMRに関して、62mgが0.75mLのDMSO-d6に溶解され得る。
【0037】
また他の態様では、該塩は、実質的に
図18に示されるパターンに従うx線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする。XRPD測定は、ループに載置された単一結晶を使用して行われ、周囲温度で測定され得る。データは、シンクロトロン放射のDECTRIS Pilatus 6M検出器を装備したSwiss Light Source beamline X10SAで収集することができ、データはプログラムXDSで処理される。結晶構造を解明し、ShelXTL(Bruker AXS,Karlsruhe)で精製されてもよい。いくつかのかかる態様では、XRDパターンは、STOE STADI P回折装置(Cu K α放射[1.54Å]、一次モノクロメーター、シリコンストリップ検出器、角度範囲3°~42°2-θ、およそ30分の合計測定時間)を用いて、透過配置で、周囲条件で記録され得る。
【0038】
また別の態様では、該塩は、実質的に
図19に従う示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする。DSCサーモグラムは、約2~6mgの試料がアルミニウム皿に設置され、アルミニウムの蓋で密封される、Mettler-Toledo機器(DSC820/821e/1;FRS05センサ)を使用して記録され得る。蓋は加熱前に自動的に穿刺され、試料は10K/分の速度の窒素下で最高250℃まで加熱される。
【0039】
また他の態様では、該塩は、以下とほぼ等しい単位格子パラメータを特徴とする:(1)結晶系:正方晶;(2)空間群:P43212;(3)晶癖:板;(4)単位格子寸法:a=7.8825Å、b=7.8825Å、c=76.846Å、α=90°、β=90°、γ=90°;(5)温度:293K;(6)格子体積4774.7Å;(7)格子中の分子:8;及び(8)密度:1.637g/cm3。
【0040】
今までの実験的証拠に基づき、活性薬物の粒径分布(「PSD」)が、錠剤圧縮中の加工性に対する影響(ブレンド流動性、錠剤重量、及び主要圧縮力のばらつき)により投薬錠剤の含量及び均一性、ならびに錠剤外観に影響を与える可能性があることが分かった。特に、PSDは、処理装置に対する付着性及び様々な流動特性に影響を与えることが分かった。
【0041】
小さいD[v,0.5]を有する活性薬物は、患者のコンプライアンスに影響を与える可能性がある錠剤の外観欠陥をもたらすことが分かった。今までの実験的証拠に基づき、ローラー圧密ギャップサイズ及び力(本明細書により詳細に記載されるように)の制御と組み合わせて、及び錠剤圧縮ユニット操作中の主要圧縮力(本明細書により詳細に記載されるように)とさらと組み合わせた約25μmの活性薬物D[v,0.5]の下限は、フィルムコーティングされた錠剤の外観を許容可能にすることが分かった。薬物製品の加工性及び錠剤の外観に関する正の傾きが活性薬物の粒径の増加に起因することがさらに分かった。今までの実験的証拠に基づき、活性薬物の粒径を約100μmのD[v,0.9]により定義された粒径に増加することにより、外観に対する薬物製品の加工性に関して正の傾きがもたらされる。しかしながら、許容可能な薬物製品の加工性及び錠剤の外観は、約150μm、約200μm、約250μm、約300μm、約350μm、約400μm、約450μm、または約500μmのD[v,0.9]で達成され得ると考えられる。本明細書で使用されるとき、D[v,0.5]は、50%の試料の複数の粒子が下回る粒径値を表す。換言すると、D[v,0.5]は、粒子直径中央値を指す。D[v,0.9]は、90%の試料の複数の粒子が下回る粒径値を表す。
【0042】
本開示によると、D[v,0.5]は、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約50μm、約55μm、約60μm、または約65μm、及びそれらの範囲、例えば、約25μm~約65μm、27μm~約65μm、約40μm~約65μm、約25μm~約50μm、27μm~約50μm、約25μm~約40μm、約30μm~約40μm、または32μm~38μmである。
【0043】
さらに本開示によると、D[v,0.9]は、約45μm、約50μm、約55μm、約60μm、約65μm、約70μm、約75μm、約80μm、約85μm、約90μm、または約95μm、約100μm、約150μm、約200μm、約250μm、約300μm、約350μm、約400μm、約450μm、または500μm、及びそれらの範囲、例えば、約45μm~約500μm、約45μm~約400μm、約45μm~約300μm、約45μm~約200μm、約45μm~約100μm、44μm~約100μm、約50μm~約60μm、49μm~56μm、約65μm~約100μm、約45μm~約80μm、44μm~77μm、約75μm~約100μm、または77μm~約100μmである。
【0044】
活性薬物の粒径は、当該技術分野で既知のレーザー回折方法により好適に測定され得る。いくつかのかかる方法では、MasterSizer 2000またはMasterSizer 3000レーザー回折機器(Malvern Instruments)、Hydro 2000S、Hydro 2000S+、またはHydro MV(Malvern Instruments)分散ユニット、及び5g/L Span85のn-ヘプタン溶液を含む分散媒質が粒径分布の測定に好適である。機器のソフトウェアは、フラウンホーファー理論による積算篩下プロットを計算する。積算篩下プロットQ3(X)は、粒子直径Xよりも小さい粒子(総量に基づく)の標準比(体積/体積百分率として)を示す。
【0045】
充填剤
本開示の錠剤は充填剤を含む。充填剤は、乾式造粒により調製された本開示の細粒の直接圧縮(打錠)に使用され、本錠剤の主な構成成分を構成する。充填剤は当該技術分野で既知であり、例えば、糖類及び糖アルコール、セルロース、及び他の充填剤を含むが、これらに限定されない。好適な糖類及び糖アルコールの非限定的な例としては、デキストレート、デキストリン、デキストロース、ラクトース、マルトデキストリン、マンニトール、イソマルト、ソルビトール、スクロース、糖球、キシリトール、フルクトース、ラクチトール、エリスリトール、マルチトール、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、トレハロース、及びラフィノースが挙げられる。セルロースの非限定的な例としては、結晶セルロース(「MCC」)及びケイ化MCCが挙げられる。他の充填剤の例としては、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、キチン、キトサン、リン酸水素カルシウム二水和物、パルミトステアリン酸グリセリン、水素化植物油、カオリン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ポリメタクリレート、塩化カリウム、粉末セルロース、アルファ化デンプン、塩化ナトリウム、デンプン、タルク、及び二及び三塩基リン酸カルシウムが挙げられる。本開示のいくつかの態様では、充填剤は、ラクトース、MCC、ケイ化MCC、二塩基リン酸カルシウム、マンニトール、イソマルト、アルファ化デンプン、及びこれらの組み合わせである。
【0046】
いくつかの特定の態様では、充填剤は、ラクトース(例えば、ラクトース一水和物)、MCC、及びこれらの組み合わせである。今までの実験結果に基づき、ラクトース一水和物負荷及びMCCに対するその比率は、細粒に存在する微粉の量に対してある作用を有する可能性があり、したがって、錠剤の破砕強度及び加工性に影響を与えることが分かった。本開示のいくつかの態様では、総充填剤含量及びラクトースとMCCの比率は、活性薬物及びそれから形成された錠剤の機械的特性を最適化するように、実験的に決定された比率で制御される。MCCは圧縮中に塑性変形を経る。製剤におけるMCCは、最適化された比率でより脆弱な賦形剤であるラクトース一水和物と組み合わされ、これは活性薬物の機械的特性の管理に役立つ。ラクトースとMCCの比率は、約4:1 約3.5:1、約3:1、約2.5:1、約2:1、約1.5:1、約1:1、約1:1.25、または約1:1.5、及びそれらの範囲、例えば、約1:1.5~約4:1、約1.25~約4:1、約1:1~約4:1、約1:1~約3:1、約1.5:1~約3:1、または約2:1~約2.5:1である。MCCの非限定的な例としては、FMC Biopolymerから入手可能なAvicel(登録商標)のグレードPH-101、PH-102、PH-105、及びPH-200が挙げられる。いくつかの特定の態様では、MCCは、0.26~0.31のかさ密度、350以下の重合度、ならびに1重量%以下の+60メッシュ(250ミクロン)、及び30重量%以下の+200メッシュ(75ミクロン)の粒径(エアジェット)を有するグレードPH-101である。PH-105などの他のグレードと比較して、ある程度の改善圧密性(compactability)を提供することが示された。それぞれ、Avicel(登録商標)PH-101及びAvicel(登録商標)PH-105を含有する本開示の2つのコビメチニブ製剤の圧密性試験の実験結果を示す
図3を参照されたい。この結果は、錠剤圧密性がAvicel(登録商標)PH-101の使用を通して改善されることを示す。他のMCCグレードと比較して、MCCグレードPH-101が改善された流動及び低安息角を提供するとさらに考えられる。
【0047】
錠剤コア重量に基づく総充填剤含量は、約60重量%、約61重量%、約62重量%、約63重量%、約64重量%、約65重量%、約66重量%、約67重量%、約68重量%、約69重量%、約70重量%、約71重量%、約72重量%、約73重量%、約74重量%、約75重量%、約76重量%、約,77重量%、または約78重量%、及びそれらの範囲、例えば、約60重量%~約78重量%、約65重量%~約78重量%、約65重量%~約77重量%、約70重量%~約78重量%、約70重量%~約77重量%、または約71重量%~約75重量%である。
【0048】
崩壊剤
崩壊剤は、錠剤の迅速な崩壊を確実にするために使用される。これは、水性媒体と接触したときの迅速な膨張を通して達成される。崩壊剤は、造粒前にプレブレンドに好適に添加されてもよく、それにより細粒内崩壊剤を形成する。加えて、崩壊剤は、打錠前に造粒したプレブレンドと組み合わされてもよく、それにより細粒外崩壊剤を形成する。崩壊剤は、当該技術分野において既知である。非限定的な例としては、ナトリウムカルボキシメチルデンプン(グリコール酸ナトリウムデンプン)などの加工デンプン、クロスポビドンなどの架橋ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウムなどの変性セルロース、架橋アルギン酸、ゲランガム及びキサンタンガムなどのガム、ケイ酸カルシウムが挙げられる。本開示のいくつかの態様では、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グリコール酸ナトリウムデンプン、及びこれらの組み合わせである。本開示のいくつかの態様では、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸ナトリウムデンプン、及びこれらの組み合わせである。
【0049】
錠剤コア重量に基づく総錠剤崩壊剤負荷は、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、または約7重量%、及びそれらの範囲、例えば、約1重量%~約7重量%、約2重量%~約7重量%、約2重量%~約6重量%、約2重量%~約5重量%、約3重量%~約6重量%、または約3重量%~約5重量%であり得る。総錠剤細粒内崩壊剤負荷は、約0.1重量%、約0.25重量%、約0.5重量%、約0.75重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、または約3重量%、及びそれらの範囲、例えば、約0.1重量%~約3重量%、約0.25重量%~約2.5重量%、約0.25重量%~約2重量%、約0.25重量%~約1.5重量%、約0.25重量%~約1重量%、約0.5重量%~約3重量%、約0.5重量%~約2重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、約1重量%~約3重量%、または約1.5重量%~約2.5重量%であり得る。総錠剤細粒外崩壊剤負荷は、約0.5重量%、約1重量%、約1.25重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、または約3重量%、及びそれらの範囲、例えば、約0.5重量%~約3重量%、約1重量%~約3重量%、約1.25重量%~約3重量%、約1.25重量%~約2.5重量%、約1.25重量%~約2重量%、約1.25重量%~約1.5重量%、約1.5重量%~約3重量%、または約1.5重量%~約2.5重量%であり得る。換言すると、細粒内及び細粒外崩壊剤の組み合わせを対象とする本開示の態様では、細粒内崩壊剤と細粒外崩壊剤の重量比は、約1:5、約1:3、約1:1、または約2:1である。今までの実験結果に基づき、より高い崩壊剤レベルは、比較的短い崩壊時間及び低減した錠剤硬度を有する錠剤をもたらしたと考えられる。
【0050】
滑沢剤
滑沢剤は、製造装置の表面と錠剤組成物の有機固体の表面との間の摩擦を低減し、打錠機からの放出を促進し、乾式造粒及び打錠プロセスの動態に影響を与え、かつ錠剤の機械的特性に影響を与えるために、打錠の組成物に添加される。滑沢剤は、造粒前にプレブレンドに好適に添加されてもよく、それにより細粒内滑沢剤を形成する。加えて、滑沢剤は、打錠前に造粒したプレブレンドと組み合わされてもよく、それにより細粒外滑沢剤を形成する。滑沢剤は当該技術分野で既知である。非限定的な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、水素化植物油、ポリエチレングリコール(4000~6000)、及びラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。本開示のいくつかの態様では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせである。
【0051】
総錠剤滑沢剤負荷は、錠剤コア基準で、約0.5重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、または約5重量%、及それらの範囲、例えば、0.5重量%~約5重量%、約0.5重量%~約4重量%、約0.5重量%~約3重量%、約1重量%~約5重量%、約1重量%~約4重量%、約1重量%~約3重量%、約1重量%~約2.5重量%、または約1.5重量%~約2重量%であり得る。総錠剤細粒内滑沢剤負荷は、約0.1重量%、約0.15重量%、約0.2重量%、約0.25重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.75重量%、または約1重量%、及びそれらの範囲、例えば、約0.1重量%~約1重量%、約0.2重量%~約0.75重量%、または約0.25重量%~約5重量%であり得る。総錠剤細粒外滑沢剤負荷は、約0.5重量%、約0.75重量%、約1重量%、約1.25重量%、約1.5重量%、約1.75重量%、約2重量%、約2.25重量%、または約2.5重量%、及びそれらの範囲、例えば、約0.5重量%~約2.5重量%、約0.75重量%~約2.25重量%、約0.75重量%~約2重量%、約1重量%~約1.75重量%、または約1.25重量%~約1.5重量%であり得る。いくつかの特定の態様では、滑沢剤は、1.5%~2.0%の総負荷で、0.25%~0.50%の範囲のレベルで細粒内に、及び1.25%~1.50%の範囲のレベルで細粒外に存在する。
【0052】
錠剤コーティング
本開示の錠剤(錠剤コア)は、好ましくは、主に無味及び無色であり、嚥下し易い錠剤を提供するために、フィルムコーティングでコーティングされる。さらに、フィルムコーティングは、包装中の粉塵の形成を防止し、輸送中の堅牢性を確実にする。市販のコーティング組成物は、本開示の目的に適しており、Opadry(登録商標)YS-1-7003、Opadry(登録商標)YS-1-18202、Opadry(登録商標)II White 85F18422を含む。様々なコーティング態様のいずれかでは、錠剤コアの表面はテーブルコアの重量に基づき、約2重量%~約6重量%、約3重量%~約5重量%、または約4重量%~約5重量%のフィルムコーティングでコーティングされる。本開示のいくつかの態様では、フィルムコーティングは、約30重量%~約50重量%、約35重量%~約45重量%、または38重量%~42重量%のコーティング剤(例えば、ポリビニルアルコール)、約20重量%~約30重量%または23.8重量%~26.3重量%の顔料(例えば、二酸化チタン)、約15重量%~約25重量%または19.2重量%~21.2重量%の可塑剤(例えば、マクロゴール/PEG3350)、及び約10重量%~約20重量%または14.1重量%~15.5重量%の固化防止剤(例えば、タルク)を含む。
【0053】
任意の構成成分
本開示の錠剤コアは、任意に、細粒及び錠剤の結合及び凝集性を促進し、硬度を改善するように機能する結合剤を含み得る。結合剤は、当該技術分野において既知である。非限定的な例としては、部分的に、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)、コポビドン、及びポビドンが挙げられる。いくつかの態様では、結合剤は、コポビドン、ポビドン、HMP、アルファ化デンプン、及びこれらの組み合わせである。いくつかのさらなる態様では、結合剤はコポビドンである。結合剤は、一般に、錠剤重量に基づく総含量で、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%、最大約10重量%、最大約8重量%、最大約6重量%、及それらの範囲、例えば、1重量%~約10重量%、約1重量%~約8重量%、約1重量%~約7重量%、約1重量%~約6重量%、または約1重量%~約5重量%の細粒内構成成分として存在する。
【0054】
他の任意の錠剤コア構成成分は、タルク(抗付着剤/滑走剤)、ヒューム二酸化ケイ素(fumed silicon dioxide)(抗付着剤/滑走剤)、クエン酸(pH調整剤)、及び酒石酸(pH調整剤)を含む。
【0055】
打錠製造プロセス
本開示の打錠製造プロセスは、篩過、ブレンド、乾式造粒、圧縮、及びフィルムコーティングなどの標準的かつ従来の薬学的作業を利用する。
【0056】
図1に示される本開示の一プロセスでは、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、及び結合剤(任意、
図1に示さず)が篩過され、プレンダー中で活性薬物と組み合わされてプレブレンドを形成する。いくつかの任意の態様では、充填剤及び崩壊剤が篩過され、活性薬物と組み合わされ、第1のブレンド期間にブレンドされ、続いて、篩過した滑沢剤を添加し、第2のブレンド期間にブレンドして、プレブレンドを形成する。プレブレンドにおける充填剤、崩壊剤、及び滑沢剤は、細粒内と呼ばれる。次に、プレブレンドは、ローラー圧密が続き、粉砕、及び篩過により処理されて細粒を形成する。細粒は、追加の篩過した滑沢剤及び篩過した充填剤と組み合わされ、ブレンドされて、打錠ブレンドを形成する。いくつかの任意の態様では、細粒は、篩過された崩壊剤と組み合わされ、第1のブレンド期間にブレンドされ、続いて、篩過した滑沢剤を添加し、第2のブレンド期間にブレンドされて、打錠ブレンドを形成する。細粒と組み合わされた崩壊剤及び滑沢剤は、細粒外と呼ばれる。打錠ブレンドは、当該技術分野で既知の任意の好適な打錠装置を使用して圧縮されて、錠剤コアを形成する。テーブルコアは、フィルムコーティングによりコーティングされて、完成錠剤を形成する。
【0057】
図2に示される本開示の特定の一プロセスでは、細粒内充填剤(例えば、ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、及び/または結晶セルロース)及び崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム及び/またはグリコール酸ナトリウムデンプン)が篩過され、活性薬物と組み合わされ、第1のプレブレンドステップにおいて混合(ブレンド)される。第1のブレンド材料は、篩過した滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム及び/またはフマル酸ナトリウム)と組み合わされ、第2のプレブレンドステップにおいて混合(ブレンド)されて、プレブレンドを形成する。プレブレンドは、ローラー圧密、粉砕、及び篩過により造粒されて細粒を形成する。細粒は、篩過した細粒外充填剤と組み合わされ、第1の最終ブレンドステップにおいて混合(ブレンド)される。第1のブレンド材料は、篩過した細粒外滑沢剤と組み合わされ、第2の最終ブレンドステップにおいて混合(ブレンド)されて、打錠ブレンドを形成する。打錠ブレンドは、当該技術分野で既知の任意の好適な打錠装置を使用して圧縮されて、錠剤コアを形成する。固体フィルムコーティング材料は、水性担体と組み合わされ、懸濁される。テーブルコアは、フィルムコーティング懸濁液でコーティングされて、完成錠剤を形成する。
【0058】
プレブレンド
プレブレンドは、ローラー圧密前に、細粒内構成成分の実質的な均質性をもたらすように設計される。本質的に均質なブレンドを提供するプレブレンド装置及び関連プロセスのパラメータは、当業者に既知であり、あまり重要であるとは考えられない。好適なブレンダーは当該技術分野で既知であり、V字型ブレンダー、二重円錐ブレンダー、ビン(容器)ブレンダー、及び回転ドラムブレンダーを含む、2つ以上の構成成分を均一に混合するために製薬業界において典型的に用いられる任意の装置である。組み合わせブレンダー体積、ブレンダー充填、回転速度、及び回転時間は、本質的に均質な構成成分の混合を達成するために、日常的な実験に基づいて、当業者により好適に決定され得る。ブレンダー体積は、好適に、50L、100L、200L、250L、または250L以上である。ブレンダー充填の選択は、対流及び3次元の材料の移動を可能にし、好適に、約25%、約30%、約35%、約40%、約50%、約60%、または約70%、及びそれらの範囲、例えば、約30%~約60%、約45%~約65%、32%~53%、または32%~40%である。ブレンド時間は、好適に、5分、10分、15分、20分、30分、40分、50分、60分、または60分以上である。回転速度は、好適に、例えば、2rpm、3rpm、4rpm、5rpm、6rpm、7rpm、8rpm、9rpm、または10rpmである。
【0059】
充填剤、滑沢剤、及び崩壊剤は、典型的には、ブレンド前に篩過により脱塊される。篩過方法は、当業者に既知である。
【0060】
本開示の特定のプレブレンドの一態様の例では、充填剤(例えば、ラクトース一水和物及びMCC)及び崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム)は篩過により脱塊され、ブレンダー中で活性薬物(例えば、コビメチニブヘミフマレート)と組み合わされ、ブレンダーの内容物が、あるブレンド時間(例えば、30分)の間、一定の回転速度(例えば、6rpm)でブレンドされる。滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)は、篩過により脱塊され、混合した充填剤、崩壊剤、及び活性薬物を含有するブレンダーに添加される。ブレンダーの内容物は、あるブレンド時間(例えば、8分)の間、一定の回転速度(例えば、6rpm)でブレンドされて、プレブレンドを形成する。
【0061】
本開示の一プレブレンド態様の別の例では、活性薬物(例えば、コビメチニブヘミフマレート)は、あるブレンド時間(例えば、6rpmで5分)の間、脱塊した崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム)とブレンドされる。任意の脱塊した結合剤(例えば、コポビドン)はプレンダーに添加され、その内容物は、あるブレンド時間(例えば、6rpmで15分)の間ブレンドされる。脱塊した充填剤(例えば、ラクトース及びMCC)はブレンダーに添加され、その内容物は、あるブレンド時間(例えば、6rpmで15分)の間ブレンドされる。脱塊した滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)は、プレンダーに添加され、その内容物は、あるブレンド時間(例えば、2分)の間ブレンドされる。
【0062】
造粒及びサイズ分類
造粒及びサイズ分類は、当業者に既知の任意の好適な手段を使用して達成され得る。本開示のいくつかの特定の態様では、造粒及びサイズ分類は、乾式造粒、粉砕、及び篩過(篩)を含む。本開示のいくつかの他の態様では、乾式造粒はローラー圧密である。
【0063】
造粒及びサイズ分類は、活性薬物及び賦形剤の混合物の流動及び圧縮特性を改善する。ローラー圧密は、プレブレンド粉末粒子が一緒に付着し、より大きい粒状の多粒子実体をもたらすように行われるプロセスである。ローラー圧密は、一般に、供給システム、圧密ユニット、及び粉砕/篩ユニットを含む3つのユニット操作を含む。圧密ユニットでは、プレブレンドが、ローラー圧密力(kN/cmで表される)を適用することによって反回転ローラー間で圧密されて、リボンまたはシートなど、圧密された材料の形成された塊を形成する。ローラー間の距離は、ギャップ幅と定義される。圧密された材料の形成されたリボンは、粉砕によりサイズ低減ユニットにおいて処理されて、所望の粒径分布を有する複数の細粒を生産するために篩過される細粒を形成する。
【0064】
ローラー圧密及び粉砕装置は、Gerteis、Fitzpatrick(登録商標)、Freund-Vectorを含むいくつかの製造業者から市販されている。かかる装置は、一般に、ローラー圧密力、ギャップ幅、ローラー速度、及び供給速度の制御を提供する。ローラーの表面は、平滑、刻み付きであり得るか、または一方のローラー表面が平滑であり得、他方のローラー表面が刻み付きであり得る。様々な態様のいずれかでは、プレブレンドは、ローラー圧密機供給ホッパーに充填される。ローラー圧密は、規定の力及びギャップサイズで行われ、プロセスは、好ましくは、ギャップ制御下で実行される。形成されたリボンは、スクリーンを通して粉砕されて、細粒を生産する。本開示のいくつかの態様では、スクリーンは粉砕機と一体である。
【0065】
任意の特定の理論に拘束されるわけではないが、リボン及びそれから形成された細粒の特性は、ローラー圧密力、ギャップ幅、材料塊処理量、スクリーンサイズ、ならびにプレブレンドの均一性及び組成物を含む、ローラー圧密及び粉砕の可変要素の組み合わせにより影響を受けると考えられる。形成されたリボンの特性(ギャップサイズ、ローラー圧密力等により影響を受ける)が、他の作用の中でも、パンチフィルミング(punch filming)/付着により、錠剤の外観に影響を与えるとさらに考えられる。ローラー圧密可変要素が、細粒の粒径分布、細粒密度(したがって、圧縮性)、及び細粒の流動に影響を与える可能性があるとさらに考えられる。ローラー圧密ギャップサイズは、最終ブレンド粒子の凝集性に影響を与え、より小さいギャップサイズが付着する傾向が高い細粒をもたらすと考えられる。より小さいギャップサイズは、錠剤圧縮中のパンチ上のフィルミング及び外観欠陥を有する錠剤の生産をもたらすとさらに考えられる。ローラー圧密力は、造粒中のプレブレンドの緻密化に影響を及ぼし、細粒特性に影響を与え、結果として生じる錠剤のインビトロ溶解に影響を与えると考えられる。実験的証拠は、ローラー圧密力の減少が、良好な流動性を有する最終ブレンドを生産し、主要圧縮力及び錠剤重量におけるばらつきの低減、及び投薬単位の均一性の制御の増加をもたらすことを示す。粉砕スクリーンサイズは、流動性に影響を与える可能性があり、投薬単位の均一性に影響を与える可能性がある細粒の粒径分布に影響を与える。例えば、ある条件下で、不十分な流動は、打錠供給ホッパーにおいて、及び/または供給中に分離を生じる可能性がある。さらに、不十分な流動は、同時に錠剤重量を変動させる打錠ダイ充填にも影響を与える可能性がある。錠剤の崩壊は、一般に、崩壊剤が細粒内及び細粒外の両方に存在する錠剤実施形態において、細粒の粒径サイズによって影響を受けないと考えられる。
【0066】
ローラー圧密力及びギャップサイズの組み合わせは、特にギャップが低減されるとき、リボン/細粒密度に影響を及ぼし、結果として生じる錠剤のインビトロ溶解に影響を与えると考えられる。ローラー圧密力と共に、ギャップサイズは、錠剤圧縮中の最終ブレンドの付着傾向、及び外観欠陥を有する錠剤の生産に影響を与えることも観察された。ギャップサイズの増加及びローラー圧密力の減少は、低付着傾向を有する最終ブレンドを生産し、改善された錠剤外観をもたらす。
【0067】
本開示の様々な態様のいずれかでは、ギャップサイズは、約2mm、約3mm、約4mm、または約5mm、及びそれらの範囲、例えば、約2mm~約5mm、約2mm~約4mm、約3mm~約5mm、または約4mm~約5mmである。今までの実験的証拠に基づき、かかるギャップサイズは、一般に、付着を低減するのに十分である。ローラー圧密力は、約1kN/cm、約2kN/cm、約3kN/cm、約4kN/cm、約5kN/cm、約6kN/cm、約7kN/cm、または約8kN/cm、及びそれらの範囲、例えば、約1kN/cm~約8kN/cm、約2kN/cm~約5kN/cm、または約2kN/cm~約4kN/cmである。実験的証拠に基づき、本開示のローラー圧密パラメータは、最適な錠剤圧縮プロセスを達成するためにプレブレンド負荷での活性薬物の特性ならびに細粒特性の制御の十分な補正を可能にすることが分かった。
【0068】
本開示の様々な態様のいずれかでは、粉砕スクリーンサイズは、0.5mm、0.75mm、1.0mm、1.25mm、1.5mm、1.75mm、2.0mm、2.25mm、または2.5mm、及びそれらの範囲、例えば、約0.5mm~約2.5mm、約0.5mm~約2.0mm、約0.5mm~約1.5mm、約0.5mm~約1.25mm、約0.75mm~約2.5mm、約0.75mm~約2.0mm、約0.75mm~約1.5mm、約0.75mm~約1.25mmである。本開示のいくつかの特定の態様では、1.0mmの粉砕スクリーンが使用される。
【0069】
ギャップでのリボン密度(時間当たりの計算された体積で除した操作時間当たりのリボン処理量として定義される)は、ローラー圧密パラメータの組み合わせの結果であり、細粒特性及び錠剤圧縮中の加工性と相関すると考えられる。ギャップでのリボン密度は、好適に、約0.85g/mL、約0.9g/mL、約0.95g/mL、約1.0g/mL、約1.05g/mL、約1.1g/mL、約1.15g/mL、約1.2g/mL、約1.25g/mL、または約1.3g/mL及びそれらの範囲、例えば、約0.85g/mL~約1.3g/mL、約0.9g/mL~約1.25g/mL、約0.95g/mL~約1.2g/mLである。本開示のいくつかの態様では、約0.85g/mL~約95g/mLまたは約0.9g/mL~約0.95g/mLのギャップでの低リボン密度が選択され、制御される。本開示のいくつかの他の態様では、約0.95g/mL~約1.1g/mL、約0.95g/mL~約1.05g/mL、約1g/mL~約1.10g/mL、または約1g/mL~約1.05g/mLのギャップでの中心点リボン密度が選択され、制御される。本開示のまた他の態様では、約1.1g/mL~約1.3g/mL、約1.1g/mL~約1.25g/mL、約1.1g/mL~約1.2g/mL、約1.1g/mL~約1.15g/mL、約1.15g/mL~約1.3g/mL、約1.15g/mL~約1.25g/mL、または約1.15g/mL~約1.2g/mLのギャップでの高リボン密度が選択され、制御される。
【0070】
本開示のいくつかの特定の態様では、約25μm~約40μmまたは27μm~37μmのPSD D[v,0.5]を有する活性薬物に関して、2kN/cmのローラー圧密力及び5mmのギャップサイズが造粒に実質的に使用され得る。本開示のいくつかの他の特定の態様では、約40μm~約65μmまたは38μm~65μmのPSD D[v,0.5]を有する活性薬物に関して、2~4kN/cmのローラー圧密力及び4~5mmのギャップサイズが造粒に実質的に使用され得る。
【0071】
最終ブレンド
最終ブレンドステップでは、ローラー圧密及び粉砕により形成された細粒はブレンダーに充填され、崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム)及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)の任意の細粒外部がブレンダーに添加されて、混合物を形成する。最終ブレンドステップは、任意の外部崩壊剤及び滑沢剤の本質的に均質な分布を提供し、錠剤圧縮中の許容可能な加工性を提供する。好適なブレンダー及び関連プロセス可変要素は上述されている。
【0072】
いくつかの態様では、崩壊剤はブレンダーに添加される前に脱塊され、第1の一連のブレンド条件下(例えば、6rpmで10分間)で細粒とブレンドされる。第2の最終ブレンドステップでは、滑沢剤が脱塊され、プレンダーに添加され、第2の一連のブレンド条件下(例えば、6rmpで約8分間)でブレンドされる。
【0073】
本開示の様々な態様のいずれかでは、最終ブレンドかさ密度は、約0.4g/mL、約0.45g/mL、約0.5g/mL、約0.55g/mL、約0.6g/mL、約0.65g/mL、約0.7g/mL、または約0.75g/mL、及びそれらの範囲、例えば、約0.4g/mL~約0.75g/mL、約0.45g/mL~約0.7g/mL、または0.51g/mL~0.63g/mLである。最終ブレンドは、好ましくは、容易に流動するか、または自由流動性であり、少なくとも4の流動関数係数を有する。
【0074】
打錠
打錠ステップでは、打錠ダイモールドが最終ブレンド材料で充填され、混合物が圧縮されて放出される錠剤コアを形成する。好適な打錠機は当該技術分野で既知であり、例えば、Riva-Piccola、Fette、Bosch Packaging Technology、GEA及びNatoli Engineering Companyから市販されている。一般に、各錠剤は、硬化鋼で構成されるダイ内部で細粒を押圧することによって作製される。ダイはディスク形状であり、その中心を貫通する穴を有する。粉末は、ダイの上部及び底部に収まる2つの硬化鋼パンチによりダイの中心で圧縮され、それにより錠剤を形成する。錠剤圧縮は2段階で行うことができ、第1の予備圧縮段階は、粉末を突き固め、錠剤形成のための主要圧縮力を適用する前にブレンドをわずかに圧密することを伴う。錠剤は、圧縮後にダイから放出される。
【0075】
主要圧縮力は、硬度及び外観などの錠剤の特徴に影響を与える。主要圧縮力はさらに、圧縮中に最終ブレンドの錠剤工具への付着に影響を与え、力の増加は付着の低減につながり、したがって、外観欠陥を有する錠剤が少ない。さらに、最終ブレンドの圧縮性は、結果として生じる錠剤コアの品質(欠陥の有無など)に影響を与える場合がある。圧縮力及び実行時間などの圧縮処理パラメータも影響を与える場合がある。最終ブレンド材料の属性及び圧縮プロセスパラメータも錠剤重量のばらつき及び含量に影響を与える場合がある。さらに、投入最終ブレンド材料の属性及び圧縮処理パラメータの変動は、投薬単位の均一性に直接関連する錠剤重量のばらつきに影響を与える場合がある。さらに、硬度、摩損度、及び多孔率などの錠剤コアの品質属性は溶解に関連し、圧縮処理パラメータにより影響を受ける。
【0076】
本開示のいくつかの態様では、圧縮力は、約5kN、約6kN、約7kN、約8kN、約9kN、約10kN、約11kN、約12kN、約13kN、約14kN、約15kN、約16kN、約17kN、約18kN、約19kN、または約20kN、及びそれらの範囲、例えば、約5kN~約20kN、約14kN~約19kN、約14kN~約18kN、または約8kN~約13kNである。本開示のいくつかの態様では、約60mgの活性薬物を含む錠剤は、約14kN~約18kNの圧縮力で形成され得る。本開示の他の態様では、約20mgの活性薬物を含む錠剤は、約8kN~約13kNの圧縮力で形成され得る。
【0077】
フィルムコーティング
錠剤コアは、錠剤が本質的に無味及び無臭であり、嚥下し易いことを確実にするためにフィルムコーティングされる。フィルムコーティングは、包装中の粉塵の形成を防止し、輸送中の堅牢性を確実にする。フィルムコーティングは、好適に、パンコーティングなど、当該技術分野で既知の方法により行われ得る。好適なコーティング装置はGlatt GC1000Sを含むがこれに限定されない。
【0078】
本開示のいくつかの態様では、錠剤コアは、コーティングパンに充填され、標的温度に温められる。コーティング懸濁液は標的固体含量に対して調製される。錠剤が標的温度範囲内になったら、ドラム回転及び噴霧が、約3重量%、約4重量%、または約5重量%の既定重量増加を達成するように設計された標的速度で実行される。流出空気温度は、錠剤生産温度がコーティング全体を通して得られることを確実にする範囲で維持される。噴霧が完了したら、フィルムコーティングされた錠剤を放出する前に、コーティングされた錠剤を乾燥させ、冷却する。コーティング懸濁液の固体含量は、好適に、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、または約20重量%、及びそれらの範囲、例えば、約12重量%~約20重量%または約14重量%~約20重量%である。錠剤コアのkg当たりのコーティング噴霧速度は、好適に、約0.8、約1、約1.5、約1.9 約2、約,2.1、約2.2、約2.3、約2.4、または約2.5、及びそれらの範囲、例えば、約0.8~約2.5または約1~約2.1である。コーティング温度は、好適に、約35℃、約39℃、約40℃、約45℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、または約55℃、及びそれらの範囲、例えば、約35℃~約50℃または約39℃~約47℃である。パン回転速度は、好適に、約2rpm、約4rpm、約5rpm、約8rpm、10rpm、約12rpm、約15rpm、または20rpm、及びそれらの範囲、例えば、約2~約20rpm、約4~約15rpm、または約8~約12rpmである。流入空気体積はバッチサイズにより変動し、好適に、約300m3/時間、約450m3/時間、約600m3/時間、約750m3/時間、約1000m3/時間、約1250m3/時間、または約1500m3/時間、及びそれらの範囲、例えば、約300~約1500m3/時間、約450~約1200m3/時間、または約1000~約1250m3/時間である。
【0079】
錠剤コア及びコーティングされた錠剤
本開示のいくつかの態様では、錠剤コアは、表Bに示される構成成分及び濃度範囲(重量%)を含む。
表B
【0080】
本開示のいくつかの態様では、錠剤コアは、20mgの活性薬物を含有する錠剤に基づき、表Cに示される構成成分及び濃度範囲(重量%)を含む。いくつかの他の態様では、錠剤は40mgまたは60mgの活性薬物を含有する。20mg以外、例えば、40mgまたは60mgの活性薬物を含む錠剤に関して、20mg錠剤に関して以下に開示される様々な構成成分の比率が維持される。
表C
【0081】
本開示のいくつかの態様では、錠剤コアは、20mgの活性薬物を含有する錠剤に基づき、表Dに示される構成成分及び濃度範囲(重量%)を含む。
【0082】
【0083】
本開示のいくつかの特定の態様では、錠剤コアは、20mgの活性薬物を含有する錠剤に基づき、表Eに示される構成成分及び濃度(重量%)を含む。
表E
【0084】
本開示のいくつかの特定の態様では、コーティングされた錠剤コアは、20mgの活性薬物を含有する錠剤に基づき、表Fに示される構成成分及び濃度(重量%)を含む。フィルムコーティング組成物の構成成分及び濃度(重量%)は表Gに示される。
表F
表G
【0085】
本開示の錠剤及びテーブルコアは、表Hに列挙される規格を特徴とする。
表H
【0086】
癌の薬剤
コビメチニブ及びベムラフェニブの組み合わせは、BRAFV600突然変異陽性進行黒色腫の悪化のリスクまたは死亡を半分に低減することを示し、ベムラフェニブ単独での6.2ヶ月と比較して、薬物組み合わせの無増悪生存期間中央値は9.9ヶ月である(Larkin,et al.,Combined Vemurafenib and Cobimetinib in BRAF-Mutated Melanoma,New England Journal of Medicine,371:1867-1876,2014)。
【0087】
いくつかの態様では、本開示は、癌の治療のためにBRAF阻害剤と組み合わせた本開示のMEK阻害剤錠剤の使用に関する。より具体的には、いくつかの態様では、本開示は、BRAFV600突然変異を伴う切除不能または転移性黒色腫を有する患者の治療上の処置のためにBRAF阻害剤と組み合わせた本開示のMEK阻害剤錠剤の使用に関する。かかる組み合わせ療法は、国際公開第WO2014/027056A1号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示される。
【0088】
ベムラフェニブ(プロパン-1-スルホン酸{3-[5-(4-クロロフェニル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボニル]-2,4-ジフルオロ-フェニル}-アミド)は、cobas(登録商標)4800 BRAFV600突然変異試験(ZELBORAF(登録商標)[ベムラフェニブ]添付文書)を使用する、BRAFV600E突然変異陽性である切除不能または転移性黒色腫を有する患者の治療にFDA承認されている。ベムラフェニブは、ダカルバジンと比較したとき、死亡のリスクにおいて63%の低減、及び疾患の進行または死亡のリスクにおいて74%の減少に関連した(Chapman et al.,NEJM(2011)364(26):2507-16)。さらに、ベムラフェニブ治療は、一貫して50%を超える奏功率及び14~16ヶ月のOS中央値をもたらした(Flaherty et al.,NEJM(2010)363:809-819、Chapman et al.,同上、Sosman et al.,NEJM(2012)366(8):707)。一態様では、ZELBORAF(登録商標)は、960mgの用量で1日2回、28日サイクルの1~28日目に投与される。
【0089】
コビメチニブは、COTELLIC(商標)として販売されることが予想され、一態様では、各COTELLIC(商標)は、COTELLIC(商標)治療において、1日1回、21日間連続して(1~21日目の治療期間)一緒に経口摂取され、その後7日間休薬する(22~28日目の治療中断)、3個の20mg(60mg)錠剤からなる。
【0090】
組み合わせ治療の一態様では、BRAFV600突然変異陽性切除不能または転移性黒色腫を有する患者の治療方法(例えば、治療上の処置)が提供され、本方法は、患者に、(i)60mgの用量(例えば、3個の20mg錠剤)の打錠されたコビメチニブ(例えば、COTELLIC(商標))を、28日サイクルの1~21日目に、そして(ii)960mg(例えば、4個の240mg錠剤)の用量の打錠されたベムラフェニブ(例えば、ZELBORAF(登録商標))を1日2回、28日サイクルの1~28日目に投与することを含む。いくつかのかかる態様では、コビメチニブ及びベムラフェニブの錠剤は、連続して投与される。いくつかのかかる態様では、コビメチニブ及びベムラフェニブの錠剤は、同時に投与される。いくつかの他のかかる態様では、BRAFV600突然変異陽性切除不能または転移性黒色腫は以前に治療されていない。
【0091】
本開示のいくつかのさらなる態様では、キットが提供され、キットは、切除不能または転移性黒色腫の治療に使用するための(i)コビメチニブ錠剤(例えば、COTELLIC(商標))及び(ii)ベムラフェニブ(例えば、ZELBORAF(登録商標))を含み、コビメチニブは、60mg(例えば、3個の20mg錠剤)の用量で、28日サイクルの1~21日目に投与され、ベムラフェニブ(例えば、ZELBORAF(登録商標))は、28日サイクルの各日に1日2回、960mg(例えば、4個の240mg錠剤)の用量で投与される。キットはさらに、薬学的組成物の組み合わせが、ベムラフェニブと組み合わせてBRAFV600突然変異陽性切除不能または転移性黒色腫を有する患者を治療するため(治療上の処置)であることを示す添付文書を含み、コビメチニブは、60mgの用量で、28日サイクルの1~21日目に投与され、ベムラフェニブは、960mg(例えば、4個の240mg錠剤)の用量で、28日サイクルの1~28日目に1日2回投与される。例えば、治療は、患者の生存を延長させる、患者の癌再発のリスクを減少させる、治療に対する奏功持続期間を増加する、及び/または患者の生存の可能性を増加し得る。いくつかの態様では、切除不能または転移性黒色腫は、以前に治療されていない(すなわち、切除不能または転移性黒色腫の治療を以前に受けていない)。他の態様では、患者の切除不能または転移性黒色腫は、以前に治療されている(いくつかの実施形態では、BRAF阻害剤の先行治療なし)。いくつかの他の態様では、コビメチニブを含む第1の組成物及びベムラフェニブを含む第2の組成物が単一投薬形態として提供される。
【実施例】
【0092】
様々な試験及び分析方法が本明細書に記載される。
【0093】
同一性の決定、アッセイ、及び分解生成物は、同じ逆相液体クロマトグラフィー(逆相高速液体クロマトグラフィー、逆相高速分解能液体クロマトグラフィー、超高速液体クロマトグラフィー)方法により行われる。かかる方法の1つは、C18,3.5μm固相(例えば、Waters SunFire)を有するステンレス鋼100×4.6mmカラムを使用する。以下の作業条件が使用され得る:カラム温度40℃、240mmでの紫外線検出、水中0.02%トリフルオロ酢酸の移動相A、及び水/酢酸10/90(v/v)中0.02%トリフルオロ酢酸の移動相B。
【0094】
投薬単位(「UDU」)の均一性の決定は、Ph.Eur.2.9.40及びJP 6.02と調和する一般章「Uniformity of Dosage Units」USP<905>に従い行われた。含量均一性試験は、C18,3.5μm固相(例えば、Waters Symmetry)を有するステンレス鋼150×4.6mmカラムのC18で、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)/逆相高速分解能液体クロマトグラフィー(RP-RRLC)により行われる。以下の作業条件が使用され得る:カラム温度40℃、240mmでの紫外線検出、水中0.03%ギ酸の移動相A、及びアセトニトリル中0.01%ギ酸の移動相B。
【0095】
溶解試験は、Ph.Eur.「Dissolution」、Ph.Eur.2.9.3「Dissolution Test for Solid Dosage Forms」、及びJP 6.10「Dissolution Test」と調和するUSP<711>に記載される、一般章「Dissolution」を使用して行われた。以下の方法論が使用され得る:50rpm、50mmol/Lの酢酸緩衝液、pH4.5、37℃、及び278nmでのUV検出。
【0096】
流動性と相関する指数であるハウスナー比及びカール指数は、当該技術分野で既知である。ハウスナー比は、式H=ρT/ρB(式中、ρBは粉末の自由沈降かさ密度であり、ρTは粉末の捕捉かさ密度である)により計算される。1.25を超えるハウスナー比は、一般に、乏しい流動性を示すと考えられる。ハウスナー比(H)は、式H=100/(100-C)によりカール指数(C)に関連する。
【0097】
錠剤硬度試験は、当該技術分野で既知であり、錠剤の限界点及び構造的完全性の測定である。圧縮試験方法の1つでは、配置された錠剤が試験装置において圧縮され、錠剤が破砕するまで増加する力を継続的に印加し、それにより硬度を示す。
【0098】
摩損度試験は、当該技術分野で既知であり、輸送中に錠剤が小片に破砕する可能性の測定である。方法論は、バッフルを備える回転ホイールを使用して、一定時間にわたって錠剤の試料を繰り返し落下し、その後、いずれの錠剤が破砕したか、及び初期の質量の何割が欠けたかを確認することを伴う。
【0099】
実施例1
実施例1は、錠剤中の結合剤レベル、細粒内及び細粒外崩壊剤レベル、及び滑沢剤レベルの定量作用を評価し、実験設計を下の表1.1に示す。
表1.1
a中心点条件はD[v,0.5]=10.7μmの活性薬物で繰り返された
【0100】
実施例1のプロトコルを下の表1.2に詳述する。
表1.2
【0101】
最終ブレンドステップにおいて生産された細粒は、結果Y1~Y3(流動特性及びPSD[微粉%、粗%])について評価され、圧密シミュレータを使用して機械的特性の評価にも供された。Piccola打錠回転機を使用してそれらをさらに処理して錠剤にし、結果として生じる錠剤は結果Y4~Y15について評価された。細粒の結果は表1.3に提示され、錠剤の結果は表1.4A及び1.4Bに提示される。本明細書全体を通して使用されるように、「パターン」は、-1、0、+1、及びAなどの基準によって実験計画表に規定される変数値を指す。例えば、表1.1は、結合剤の濃度(%で「A」と表される)に関して、崩壊剤の濃度(%で「B」と表される)に関して、細粒内滑沢剤と細粒外滑沢剤の比率(「C」と表される)に関して、及びラクトース充填剤とMCC充填剤の比率(「D」と表される)に関して-1、0、及び+1として値を表す。一例として、結合剤(A)の-1は0重量%を指し、崩壊剤(B)の+1は5重量%を指し、細粒内:細粒外滑沢剤比(C)の+1は0.5:1.5を指し、ラクトース:MCC比の-1は0:1を指す。表1.3に戻ると、パターン- + + -は、A B C Dについて、それぞれ、0重量%、5重量%、0.5:1.5、及び0:1の値を指す。他のパターンも同様に解釈され得る。
表1.3
表1.4A
表1.4B
【0102】
統計的評価は、20mg及び60mg用量の強度に関する要因の作用が同じであることを明らかにした。使用された細粒は両強度の製造に共通するため、結論は20mg及び60mgの両方の錠剤に有効である。
【0103】
処理装置へのある程度の付着が、評価された最も微粒の活性薬物のバッチ(D[v,0.5]1.5μm)を含む組成物において観察された。
【0104】
溶解は、パドル回転75rpmのUSP Apparatus IIを使用して、37℃のpH4.5酢酸緩衝液において研究された。乾燥結合剤は、「5分」溶解に影響を与えることが示された。5分後に溶解されたコビメチニブの割合は結合剤の増加に伴って減少した。これらの作用は、80%を超える溶解値を有する15分後の溶解試験においてあまり特有ではなかった。
【0105】
硬度値は、錠剤硬度(破砕強度)と製剤を圧縮するのに使用された力の比率として計算された、正規化値として表1.3に提示される。ラクトース対MCCの比率は、錠剤硬度をもたらすと決定され、ラクトースの増加は所与の圧縮力で硬度の減少をもたらした。乾燥結合剤は、有意に錠剤硬度に影響を与えなかった。
【0106】
ラクトース対MCCの比率は、微粉%に影響を与える。ラクトース一水和物レベルの増加は、細粒の微粉%の減少をもたらした。
【0107】
各造粒のかさ密度及びタップ密度が決定され、流動性の指標としてハウスナー比を計算するために使用された。滑沢剤の濃度は、ハウスナー比に影響を及ぼす唯一の有意な要因であった。ステアリン酸マグネシウムのレベルを1.5%(総量)から2.0%(総量)に増加することにより、ハウスナー比がわずかに増加し、乏しい流動を示す。1.5%のステアリン酸マグネシウム(細粒内0.25%及び細粒外1.25%)で、許容可能な物理的特性及び満足な錠剤放出力を有する錠剤が生産された。
【0108】
全ての錠剤は、それらが圧縮された圧縮力に関係なく、許容可能な摩損度を示した(20mg錠剤に関して5.4~7.4kP、及び60mg錠剤に関して9.9~15.4kPの範囲で、錠剤硬度に関して≦0.2%の重量損失)。単一の錠剤が摩損度試験の終わりに分裂した単一の60mgバッチは1つの例外であり、5.2%の摩損度結果(外れ値)をもたらした。類似する正規化硬度を有する20mg錠剤に圧縮された同じ製剤/細粒は、0.04%重量損失の非常に良好な摩損度を示した。研究した範囲の製剤可変要素は、錠剤摩損度に対していずれの統計的に有意な影響も示さなかった。
【0109】
実施例1で生産された細粒は、直径9.5mmの円筒錠剤を作製するために円形の平面工具を使用して15ms及び75msの滞留時間の間、Presster圧密シミュレータで様々な圧力で圧縮を受けた。放出直後、錠剤は、テクスチャ分析器(速度:0.01mm/秒)を使用して直径方向に破砕され、結果は、打錠性及び圧密性を決定するために、引張強度(MPa)に対する圧密圧をプロットするために使用された。細粒は、製剤の変動及び賦形剤の特性により、様々な圧縮特性を呈した。全体的な圧縮性及び圧密性は、打錠速度による影響を受けにくかった。研究において試験された全ての製剤からの細粒は、固体経口投薬形態の生産のための典型的な操作圧力で圧縮された場合、許容可能な引張強度(≧2MPa)を有する錠剤を生産した。
【0110】
実施例2
実施例2は、下の表2.1に示されるように、充填剤構成成分の比率(ラクトース一水和物対MCC)、ローラー圧密ギャップサイズ、及びローラー圧密力を評価した。質量での40:60、50:50、60:40、36:64、及び64:36のラクトース一水和物対MCCの比率が評価された。本開示の目的のため、これらの比率は、ラクトース一水和物-MCCミックス中のラクトース一水和物%を表す単一の数値、したがって、36%、40%、50%、60%、及び64%のラクトース一水和物として表現された。
【0111】
細粒内及び細粒外の崩壊剤及び滑沢剤のレベルは一定であり、D[v,0.5]4.7μm及びD[v,0.9]20.2μm)の粒径分布を有する活性薬物の単一バッチが使用された。実験は、D[v,0.5]10.7μm及びD[v,0.9]25.2μmの粒径分布を有する第2の活性薬物バッチを繰り返した。
【0112】
さらに、リボン固体画分(RSF)(相対密度)をプロセスパラメータとして使用して、ローラー圧密に関連するパラメータの数(例えば、ローラー圧密ギャップサイズ及び圧密力などの可変要素の組み合わせの結果である)を低減した。
表2.1
【0113】
実施例1と同様、結果として生じる細粒は、応答Y1~Y4について評価された。Piccola回転打錠機を使用してそれらをさらに処理して錠剤にし、結果として生じる錠剤は結果Y5~Y10について評価された。
【0114】
実施例2のプロトコルを下の表2.2に詳述する。
表2.2
【0115】
最終ブレンドステップで生産された細粒は結果Y1~Y4について評価された。Piccola錠剤回転機を使用してそれらをさらに処理して錠剤にし、結果として生じる錠剤は結果Y5~Y10について評価された。細粒の結果は表2.3に提示され、錠剤の結果は表2.4に提示される。
表2.3
表2.4
a硬度(Norm)=正規化硬度=硬度対圧縮力の比率。
【0116】
カール指数及びハウスナー比の両方は類似する傾きを示し、RSFの増加はわずかに良好な流動をもたらす(低カール指数及び低ハウスナー比)。製剤中のラクトース一水和物の量は流動に影響を与えない。
【0117】
錠剤硬度はRSFの増加に伴い減少するが、製剤中のラクトース一水和物の量によって影響を受けない。
【0118】
研究した全ての要因は、摩損度にわずかな影響を与え、研究した全ての条件下で生産された錠剤は、<0.10%の重量損失を有した。
【0119】
溶解は、パドル回転75rpmのUSP Apparatus IIを使用して、37℃のpH4.5酢酸緩衝液において研究された。これらの溶解条件は、この開発段階で、及びこれらの製剤の検査に関して最適と思われた。5分後の溶解値(%)はRSFの増加に伴い低くなり、また製剤中のラクトース一水和物レベルも増加に伴い低くなった。これらの値は、錠剤の崩壊時間と良好に相関し、5分後のこのより緩徐な溶解がより高いラクトース一水和物含量を含有する製剤のより緩徐な崩壊時間によるものであり得ることを示す。これらの作用は、全てのバッチの溶解が>85%であった15分後には明らかではなかった。
【0120】
RSFの増加は、あまり微粉ではない細粒をもたらしたが、より低い硬度(破砕強度)及び5分後の溶解%が低い錠剤ももたらす。
【0121】
製剤中に存在するラクトース一水和物の増加は、微粉%または錠剤硬度に有意な影響を与えないが、5分後の低溶解値をもたらす。これらの低溶解結果は、高ラクトース一水和物含量でのより緩徐な崩壊時間とよく相関し、また任意の特定の理論に拘束されることなく、ほとんどの場合においてそれによると考えられる。
【0122】
より小さい粒径を有する活性薬物は、細粒中に存在する微粉の量においてわずかな増加をもたらす。この増加は、カール指数もしくはハウスナー比の値のいずれかにおいて明らかであるか、または研究した範囲にわたる錠剤圧縮中、流動に悪影響を与えない。
【0123】
実施例3
少なくとも実施例1及び2に基づいて試作品錠剤がパイロット規模の試験において調製され、この試作品製剤は、下の表3.1(試作品1)及び3.2(試作品2及び3)に開示される。
表3.1
aコビメチニブヘミフマレートの量は、活性薬物の効力により調整され、20mgの遊離塩基に対応する。
b結晶セルロースPH-101、または等価物。
c結晶セルロースの量は、実際の活性薬物の量に基づき調整される。
表3.2
a結晶セルロース PH-101
b市販の同等のフィルムコーティング混合物を使用することができる(例えば、Opadry II White 85F18422)。
【0124】
実施例4
相対的生物学的利用能の研究は、カプセル中の粉末として製剤化された活性薬物(「PiC」)(4×5mg、遊離塩基として18mgのコビメチニブと等しい)の相対的生物学的利用能を、試作品2のフィルムコーティングされた錠剤製剤(20mg)の生物学的利用能と比較した。データは表4.1に提示され、表中、「AUC」は血漿濃度下面積対時間曲線を指し、「CI」は信頼区間を指し、「CV」は変動係数を指し、「PiC」はカプセル中の活性薬物粉末を指し、参照=PiCであり、試験=試作品錠剤である。統計的分析は、用量正規化結果で行われた。絶食状態で、試作品錠剤の投与後のコビメチニブの曝露は、PiC製剤の投与後と比較可能であった。データは、製剤の変更(錠剤中の賦形剤の存在対PiC製剤中の賦形剤なし)がコビメチニブの薬物動態に作用がなかったことを示す。
表4.1
【0125】
カプセル中の粉末として製剤化された活性薬物(「PiC」)(4×5mg、遊離塩基として18mgのコビメチニブに等しい)の相対的生物学的利用能を、試作品3のフィルムコーティングされた錠剤製剤(20mg)の生物学的利用能と比較する相対的生物学的利用能研究が繰り返された。絶食状態で、提案された市販のフィルムコーティングされた錠剤製剤による曝露は、PiC製剤による曝露と比較可能であった。AUC0-∞の幾何平均比率の90%信頼区間は、錠剤対PiC比較に関して80%~125%以内であり、一方、Cmaxの対応する信頼区間は、市販の錠剤に関してPiCよりもわずかに高い吸収速度を示唆する。全体的に、これらの結果は、コビメチニブの経口生物学的利用能が試作品2から試作品3への製剤形態の変化により変わらないことを示す。
【0126】
実施例5
USP Apparatus II(回転パドル)またはUSP Apparatus I(回転バスケット)、及び37℃の900mLの示される媒質を使用して表5.1に示される条件のマトリックスに従い、試作品3のコビメチニブ20mg及び60mgのフィルムコーティングされた錠剤のインビトロ性能を評価した。
表5.1
【0127】
両強度の個々の及び平均溶解結果は類似するため、提案された20mgの市販の錠剤強度のデータのみが
図4(0.1M HCl(水性)に関する時間に対する溶解%プロット)、
図5(USP酢酸緩衝液、pH4.5)、及び
図6(リン酸緩衝液)に提示される。
【0128】
回転パドル(USP Apparatus II)を使用して撹拌しながらのUSP酢酸緩衝液における溶解は、50rpm及び75rpmの両方の攪拌速度を使用して、試験の開始からおよそ20分の間に上昇プロファイルを示し、30分までにプラトーに達した。溶解曲線は類似するプロファイルを示し、わずかだが75rpmでより迅速に溶解し、両条件下の錠剤間のばらつきは低かった(全プロファイルにわたって標準偏差3%~5%)。75rpmでバスケット装置(USP Apparatus I)を使用した溶解は、パドル装置を使用した溶解よりも大幅に緩徐であり、30分でおよそ80%、45分でおよそ85%を達成し、プラトーには達しなかった。100rpm回転及びバスケット装置で、溶解はわずかにより迅速であり、30分でおよそ95%に達したが、尚も上昇し、パドルを使用したときよりもばらつきがあった。無限大試験は45分~60分適用された。
【0129】
20mg錠剤の従来のUSPリン酸緩衝液(KH2PO4、50mM)、pH6.8における溶解は緩徐で、パドルを用いた50rpmの攪拌速度を使用した60分後不完全であった。FaSSIF pH6.5(絶食時人工腸液)のような類似するpHの他の媒質を使用することにより、迅速な溶解プロファイル(15分後>85%)がもたらされた。FaSSIFは複合媒質であり、コビメチニブの曝露は、溶解度または透過性のいずれかによって制限されると予想されないため、さらなる品質管理付加価値は、pH4.5の酢酸緩衝液で観察された一定した性能と比較して、pH6.8で予想されなかった。
【0130】
20mg錠剤の従来のUSPリン酸緩衝液(KH2PO4、50mM)、pH6.8における溶解は緩徐で、パドルを用いた50rpmの攪拌速度を使用した60分後不完全であった。FaSSIF pH6.5(絶食時人工腸液)のような類似するpHの他の媒質を使用することにより、迅速な溶解プロファイル(15分後>85%)がもたらされた。FaSSIFは複合媒質であり、コビメチニブの曝露は、溶解度または透過性のいずれかによって制限されると予想されないためである。
【0131】
実施例6
11μm~47μmの粒径(D[v,0.5])の範囲を有する活性薬物を使用して実施例3の試作品錠剤3の方法に従い製造された、コビメチニブ20mg錠剤の3つのバッチに関して生成された溶解プロットを調査した。下の表6.1を参照されたい。
表6.1
【0132】
図7は、pH4.5(50rpmパドル)及び37℃の900mLのUSP酢酸緩衝液におけるバッチ6A~6Cの溶解プロットを示し、錠剤が活性薬物の粒径分布の変化による影響を受けにくいことを示す。
【0133】
実施例7
pH4.5(50rpmパドル)及び37℃の900mLのUSP酢酸緩衝液に溶解された、崩壊剤及び滑沢剤の量、ならびに充填剤の種類及び量を変えて製造された実施例3の試作品錠剤3の方法に従い製造されたコビメチニブ60mg錠剤の3つのバッチに関する溶解プロットが生成された。錠剤組成物は下の表7.1に開示される。
表7.1
滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0134】
pH4.5のUSP酢酸緩衝液における錠剤7A~7Cの溶解プロファイル(50rpmパドル)は
図8に示され、pH4.5及び37℃の900mLのUSP酢酸緩衝液における実施例3の試作品錠剤2及び3の溶解プロファイル(50rpmパドル)は
図9に示される。
【0135】
実施例8
20mg錠剤の溶解に対する圧縮力の影響が製造プロセス開発実験中に7~19kNの範囲にわたって研究された。提案された製造プロセス及び7kN、14kN、及び19kNの圧縮で製造されたコア錠剤の溶解曲線は
図10に報告される。データは、異なる圧縮力で製造された錠剤の溶解プロファイルの初期の部分(およそ0~15分)にわずかな傾きが存在することを示す(肉眼的な変化)。これらの相違は15~30分後には明らかではない。
【0136】
実施例9
試作品錠剤3に対応する錠剤は、
図11に示される本開示のプロセスに従い、(1)ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、結晶セルロース、コビメチニブヘミフマレート、及び細粒内ステアリン酸マグネシウムを含むブレブレンドを形成すること、(2)ローラー圧密及び粉砕して細粒を形成すること、(3)細粒を、細粒外クロスカルメロースナトリウム及び細粒外ステアリン酸マグネシウムとブレンドすること、(4)打錠すること、ならびに(5)Opadry IIでフィルムコーティングすることを含む、様々な粒子のコビメチニブヘミフマレートから形成された。第1の錠剤群(錠剤9Aと称される)は、29μmの粒径D[v.0.5]を有するコビメチニブヘミフマレートから、ならびに2.0kN/cmのローラー圧密力、4.0mmのギャップサイズ、及び19kNの打錠圧縮力で形成された。第2の錠剤群(錠剤9Bと称される)は、38μmの粒径D[v.0.5]を有するコビメチニブヘミフマレートから、ならびに3.5kN/cmのローラー圧密力、3.0mmのギャップサイズ、及び19kNの打錠圧縮力で形成された。第3の錠剤群(錠剤9Cと称される)は、47μmの粒径D[v.0.5]を有するコビメチニブヘミフマレートから、ならびに2.0kN/cmのローラー圧密力、4.0mmのギャップサイズ、及び19kNの打錠圧縮力で形成された。各錠剤群の錠剤に関して、錠剤重量が測定され、活性薬物含量が高圧液体クロマトグラフィーにより決定された。
【0137】
結果は、
図12A、
図12B、及び
図12Cに表示される。プロットは、錠剤重量と活性薬物の含量との間に良好な相関を示し、プレブレンドの通常の操作条件下で操作し、後続の製造ステップによる処理に従うときの活性薬物含量に関して均質性を示す。
【0138】
実施例10
崩壊時間(秒)、15分後の溶解%、主要圧縮力のばらつき(相対的標準偏差[RSD]%)、及び錠剤硬度(N)の錠剤コア属性に対するローラー圧密設定の作用を評価するために、試作品錠剤3に対応する錠剤に関して、一連のパイロット規模のローラー圧密及び錠剤圧縮実験が一定のプレブレンド及び最終ブレンドプロセス条件で行われた。篩過ローラー圧密及び打錠圧縮の可変要素は下の表10Aに要約される。
表10A
【0139】
実験は、錠剤硬度及び主要圧縮力におけるばらつきがローター速度及び主要圧縮力(「MCF」)力により影響を受けたことを示した(データ示さず)。ローター速度の増加及び主要圧縮力の増加は、わずかに高い錠剤硬度を有する錠剤をもたらした。主要圧縮力のばらつきは、ローター速度の増加及び主要圧縮力の減少に伴いわずかに増加した。供給フレーム速度は、研究した範囲にわたって属性のいずれにも影響がなかったように思われた。錠剤の硬度と錠剤の崩壊時間または15分後の溶解%のいずれかとの間に相関はなかった。
【0140】
実施例11
これらの実験及びスケールアップの観察後、様々なパイロット規模の実験が行われ、10kN及び18.5kNの主要圧縮力で形成された試作品錠剤3に対応する錠剤コアが5kN/cmのローラー圧密力、3mmのローラー圧密ギャップサイズ、及び2kNの前圧縮力を使用して研究された。実験は、10kNの主要圧縮力が約46%の許容可能なコアをもたらし、18.5kNの主要圧縮力が約98%の許容可能なコアをもたらしたことを示した。
【0141】
実験の結果は、主な作用に関して実施例10からの結論を裏付けた。低前圧縮力及び特に高主要圧縮力が付着の傾向を低減し、低いパンチフィルミング及び高い許容可能なコアの割合をもたらすこともこれらの実験から明らかであった。
【0142】
実施例12
実施例12では、試作品錠剤3に対応する錠剤の最終ブレンド及び錠剤コアに対する活性薬物の粒径分布、ローラー圧密力、及びローラー圧密ギャップサイズの作用が評価された。プレブレンドは、6rpmで30分の第1のブレンド条件及び6rpmで8分の第2のブレンド条件で、Bohle 100Lのビンブレンダー中で行われた。一方が平滑で、一方が刻み付きのローラーを有するGerteis Mini-Pactorローラー圧密機が1.0mmスクリーンを有する一体型粉砕機と併せて使用された。最終ブレンドは、6rpmで10分の第1のブレンド条件及び6rpmで8分の第2のブレンド条件で、Bohle 100Lのビンブレンダー中で行われた。錠剤圧縮は20ステーションKorsch XL200 WIP回転打錠機で行われた。14~19kN(中心点16.5kN)の範囲わたる主要圧縮力が評価された。評価された錠剤コアの属性は、活性薬物の均一性、アッセイ、15及び30分での溶解、崩壊時間、硬度(破砕強度)、摩耗、錠剤重量のばらつき(重量範囲で)、主要圧縮力のばらつき、及び視覚的外観を含んだ。粒径分布、かさ密度、比表面積(BET)、及び流動性の追加の最終ブレンドの属性も監視され、キャップでのリボン密度とのそれらの相関が調査された。篩過ローラー圧密及び打錠圧縮の可変要素は下の表12Aに要約される。加えて、錠剤硬度、摩耗、崩壊時間、及びインビボ溶解性能に対する影響を検査するために、少量の各最終ブレンドが7kNの大幅に低減された錠剤圧縮力で圧縮された。
表12A
【0143】
最終ブレンドの結果は、表12Bに提示され、表中、ローラー圧密力(「RCF」)はkN/cmであり、ギャップサイズはmmであり、ギャップでのリボン密度はg/mLであり、活性薬物の粒径分布(「PSD」)はD[v,0.5]μmであり、最終ブレンドPSDはD[v,0.5]μmであり、Brunauer-Emmett-Teller(「BET」)理論による最終ブレンド比表面積はm2/gであり、最終ブレンド流動関数係数(「FFC」)は1000Paである
表12B
【0144】
ローラー圧密力及びギャップサイズはギャップでの密度に対してある作用を有した。D[v,0.5]として評価された最終ブレンドの粒径分布は、ローラー圧密力(数値的に正の作用)及びギャップサイズ(数値的に負の作用)ならびにそれらの相互作用によって影響を受ける。かさ密度に関してのみ、ローラー圧密力がある作用を有した。
【0145】
流動関数係数として表示される最終ブレンドの流動性(R2=0.99)は、1000Paの圧力のリング剪断セルを使用して測定された。力の増加が流動の乏しい(低FFC)最終ブレンドをもたらす、流動性に影響を与える主要要因は、ローラー圧密力(p=0.0001)であるように思える。活性薬物の粒径(より小さい粒径D[v,0.5]がより乏しい流動をもたらす、p=0.0013)及びローラー圧密力との相互作用(p=0.0203)、及びローラー圧密力とギャップサイズの相互作用(p=0.0060)も流動性に影響を与える。要約すると、ギャップでのリボン密度と最終ブレンド特性との間の相関は2つの異なる作用を示す:(1)ギャップでの高リボン密度は、ローター圧密中の高緻密化度により予想されるように、より広い最終ブレンドPSD D[v,0.5]及び高かさ密度と相関し、(2)ギャップでの高リボン密度は、予想とは反対の観察である、乏しい流動特性と相関し、(3)高ローラー圧密力及び低活性薬物粒径は、最終ブレンドの流動性、及び結果として生じるMCFにより変動をもたらすダイ充填の均一性を損ない、この変動は、MCFの増加に伴いわずかに減少する(p=0.0035)。流動性に対するローラー圧密力及び活性薬物の粒径分布ならびに流動性に対するローラー圧密力及びギャップサイズの3次元表面プロットが
図13に示される。
【0146】
最終錠剤コアの結果は表12Cに提示され、表中、「MCF」は、主要圧縮力(kN)を指し、「CU」は含量均一性(%RSD)を指し、アッセイ(%)は活性薬物アッセイを指し、「Diss.15min」は15分後の溶解%を指し、「Disint.Time」は、秒での平均崩壊時間を指し、「Hard.」は、平均硬度(N)を指し、「Abra.」は摩耗(%)を指し、「Wt Rg」は重量範囲(mg)を指し、最大-最小錠剤重量であり、「Wt Var」は重量変動(RSD%)を指し、「Var MCF」はMCFにおける変動を指し、「Vis App」は視覚的外観(良好%)を指す。
表12C
【0147】
MCF変動は、ローラー圧密力及び活性薬物PSDの作用と類似する錠剤重量範囲(R2=0.83)及び含量均一性(R2=0.81)に関連し得る。選別された錠剤の個々の含量値のRSD%が計算された。含量均一性は、低ローラー圧密力で、及びより大きい粒径を有する活性薬物の使用により改善された(低RSD%)。全ての結果は4%RSD未満であった。
【0148】
前の実施例において提示されたデータは、ブレンドの許容可能な均質性を示唆し、したがって、含量均一性は、主に、錠剤重量におけるばらつきに関連する。この結論は、実施例12の結果の統計的評価と合致し、これは、含量均一性(RSD%)、MCFにおける変動、及び錠剤重量範囲間の相互作用を示す。
【0149】
平均錠剤硬度は、14kNで圧縮された錠剤に関しては52N~61N、16.5kNで圧縮された錠剤に関しては58N~63N、及び19kNで圧縮された錠剤に関しては52N~63Nの範囲である。これは、14kNより上ではほぼ平坦になる製剤の力-硬度プロファイルの形状と一致する。7kNの低減した圧縮力で押圧された錠剤は、40~50Nの範囲の低減した硬度を有する。錠剤の硬度は、
図14に提示されるように(NLTは以上を意味し、NMT以下を意味する)、摩耗、崩壊時間、及び溶解に関連し、これらの可変要素におけるわずかな変化は、7kNで圧縮されたコアのわずかに低減した硬度で見られるのみである。
図14は、許容可能な摩耗性能、崩壊時間、及び溶解が7kN MCFで押圧された錠剤で得られたことを示し、得られた値は不適合の境界からほど遠い。
【0150】
ドラムが複数のバッフル(薄板)を有する薬局方(pharmacopedial)摩損度試験の改変版を使用して摩耗を試験し、およそ100gの錠剤コアを100rpmで合計1250回転回転させる。この試験は、薬局方摩損度試験よりも錠剤が摩耗に耐える能力のより厳密な試験であると考えられ、パンコーティング機におけるコーティング操作に関する錠剤コアの適切性を評価するために使用される。摩耗は、試験した全ての条件下で<0.6%であることが分かった。これは、摩耗がわずかに増加したのみである、7kNの大幅に低減した圧縮力で圧縮された錠剤にも当てはまる(
図14を参照)。摩耗に対する統計的に有意であるが、無視できるほどの作用(R2=0.76)が、活性薬物PSDならびにローラー圧密力及びギャップサイズの相互作用に関して観察された。
【0151】
崩壊時間は、検査された条件下のいずれにおいても213秒の平均値を超えなかった(n=6)。崩壊時間は、7kNの低圧縮力で圧縮された錠剤に関して大幅に低減される。ローラー圧密力は、崩壊に正の作用を有することが分かった(R2=0.68)。
【0152】
ローラー圧密及び主要圧縮力のわずかな影響が15分の溶解後に明らかになり、ローラー圧密力及び圧縮力の増加は91%~98%溶解の範囲のわずかに低減した溶解%をもたらす。15及び30分後の両方の溶解値は≧80%の範囲であり、検査した全ての条件下の最小値は15分後91%であり、30分後は92%である。溶解は、7kNの低減された圧縮力で圧縮された錠剤に大幅に影響を与えなかった。
【0153】
全圧縮プロセスにわたって10の時間点で回収された320個の錠剤コアの試料を検査することにより外観を評価した。錠剤コア表面の外観は、コアキャップ上の凹みが凹みサイズに関係なく存在した場合には不合格とランク付けされた。凹みは、パンチフィルミング、時間と共に増加する最終ブレンド(主に活性薬物)のパンチ先端への付着/堆積により生じ、錠剤表面上の圧痕の原因となる。
【0154】
データは、良好なコアの割合により測定されるように、ローラー圧密ギャップサイズが錠剤の外観に最も影響を持つ要因である(R2=0.94)ことを示す。ギャップサイズの増加は、パンチフィルミング/付着を強く低減するため、凹みがあまり観察されない。加えて、ギャップサイズ及びローラー圧密力の相互作用はある作用を有する。主要圧縮力に関して、14kN~19kNの範囲が評価され、より高いMCFがパンチフィルミング/付着傾向を低減する。
【0155】
全体的に、実験結果に基づき、ローラー圧密及び錠剤圧縮操作は、以下のように、錠剤コアの加工性及び品質属性に影響を与える可能性がある。第1に、ローラー圧密力ならびに活性薬物の粒径は、結果として生じる最終ブレンドの流動性に影響を与える。より高いローラー圧密力及びより小さい活性薬物粒径は、より低いFFC値を有する(乏しい流動)最終ブレンドをもたらす。第2に、ローラー圧密力及び活性薬物PSDは、重量範囲として表示される錠剤重量の変動、錠剤圧縮中の主要圧縮力のばらつき、及び含量均一性に影響を与える。錠剤重量範囲及びMCFのばらつきが増加する一方で、含量均一性はローラー圧密力の増加及び活性薬物粒径の減少に伴い減少し、これは最終ブレンドのより乏しい流動性に関連し得る。第3に、ローラー圧密ギャップサイズは、錠剤圧縮中の付着/パンチのフィルミング及び錠剤外観に影響を与える。より小さいギャップサイズは、より凝集性である細粒をもたらし、パンチのフィルミングの増加及び乏しい外観(凹みの数の増加)を有するより多くの錠剤をもたらす。最後に、打錠中の主要圧縮力は崩壊に影響を与えるが、より低い硬度を有する錠剤を検証するために14~19kNの範囲及び7kNでの主要圧縮力で押圧された錠剤は全て、許容可能な摩耗、崩壊、及びインビトロ溶解性能を示す。
【0156】
実施例13
試作品錠剤3に対応する錠剤の商業規模の打錠バッチは、3~5mmの範囲のローラー圧密ギャップサイズ、2~5kN/cmの範囲のローラー圧密力、及び14~19kNの打錠主要圧縮力で行われた。ギャップサイズの範囲は、物理的外観に対するギャップサイズの観察された作用により、前のパイロット規模の実験的評価(すなわち、2~4mm)と比較したときよりも高かった。圧縮は、2つの中心点を有する最終ブレンドの各バッチで行われ、合計11のバッチの錠剤コアを生産するために追加で1回実行された。実験は、最大420,000個の錠剤コアを生産するために、50.4kgの最終ブレンドの規模で行われた。バッチは、様々なローラー圧密力及びギャップサイズにより、0.92(低緻密化)、1.03(中心点)、及び1.14g/mL(高緻密化)の標的のギャップでの密度値で生産された。全てのバッチを生産するために、38μmの粒径(D[v,0.5])を有する活性薬物が使用された。実験は、ローラー圧密に一体型粉砕機を備えるGerteis Mini-Pactorを使用し、圧縮に21ステーションFette 1090i WIP回転打錠機を使用する、意図される商業用装置で行われた。
【0157】
活性薬物の粒径分布D[v,0.5]に関して、かさ密度、比表面積、及び流動性は最終ブレンドに起因し、標準的な最小二乗線形モデルが推定された。このモデルは、主要項目のギャップでのリボン密度を含み、相互作用項目は含まなかった。ローラー圧密及び錠剤圧縮の両方の完了後に得られた結果に関して、このモデルは、主要圧縮力及び回転速度の要因、及び3つの要因の対応する相互作用項目により拡張された。
【0158】
篩過ローラー圧密及び打錠圧縮の可変要素は下の表13Aに要約される。
表13A
【0159】
最終ブレンド特性の実験結果は、下の表13Bに提示され、表中、「RCF」はローラー圧密力(kN/cm)を指し、「Gap」はローラーギャップサイズ(mm)を指し、「PSD」は、最終ブレンドの粒径分布(D[v,0.5])を指し、「密度」は最終ブレンド密度(g/mL)を指し、「BET」はBrunauer-Emmett-Teller理論による最終ブレンド比表面積を指し、「FCC」は1000Paでの最終ブレンド流動関数係数を指す。
表13B
【0160】
流動性はギャップでのリボン密度の要因によって影響を受け、密度の増加(ローラー圧密力の増加及びローラー圧密ギャップサイズの減少)はより乏しい流動(低FFC)を有する最終ブレンドをもたらす。ギャップサイズの低範囲へのシフト(前のパイロット規模の実施例の2mmから3mm)により、高緻密化範囲でより微細なPSD及び良好な流動(高FFC値)が得られた。流動関数係数は、研究されたパラメータの全ての組み合わせ下で標的値を少なくとも4超え、最小値は4.9であった。
【0161】
実施例13の結果は、前のパイロット規模の実施例と一致し、ギャップでのリボン密度と最終ブレンド特性との間の同じ相関が明らかであった。ギャップでのリボン密度は、最終ブレンドPSD(D[v,0.5])ならびにかさ密度及びBETに対してある作用を有した。前のパイロット規模の実施例において示されるように、ギャップでの高リボン密度は、より広いPSD、高かさ密度、及び表面積の増加(BET)を有する最終ブレンドをもたらす。
【0162】
実験データは、ギャップでのリボン密度、主要圧縮力、及びローター速度がMCFのばらつきに影響を与える(R2=0.96)ことをさらに示す。MCFのばらつきは、低密度の細粒で低い(低いギャップでの密度)。ギャップでのリボン密度が主にローラー圧密力によって影響を受けるとき、これは、ローラー圧密力がMCFのばらつきに顕著な作用を示した前のパイロット規模の実施例と一致する。ばらつきは、高MCF及び打錠機の緩徐な回転速度でも減少する。MCFにおける変動は、前のパイロット規模の実施例と比較して、実施例13で低減し、MCFのばらつきは、研究されたパラメータの全ての組み合わせ下で6.6%以下であった。
【0163】
最終錠剤コアの結果は表13C及び13Dに提示される。プロセスパラメータは、表13Cに提示され、表中、「RCF」はローラー圧縮力(kN/cm)を指し、「Gap」はギャップサイズ(mm)を指し、「密度」はギャップでの密度(g/mL)を指し、「速度」はローター速度(rpm)を指し、「MCF」は主要圧縮力(kN)を指す。実験結果は表13Dに報告され、表中、「CU」は含量均一性(RSD%)を指し、アッセイ(%)は活性薬物アッセイを指し、「Diss.15min」は15分後の溶解%を指し、「Disint.Time」は、秒での平均崩壊時間を指し、「Hard.」は、平均硬度(N)を指し、「Abra.」は摩耗(%)を指し、「Wt Rg」は重量範囲(mg)を指し、最大-最小錠剤重量であり、「Wt Var」は重量変動(RSD%)を指し、「Var MCF」はMCFにおける変動を指し、「Vis App」は210,000個の錠剤の視覚的外観(良好%)を指す。
表13C
表13D
【0164】
錠剤の重量及び含量均一性は、錠剤重量RSDに関しては1.4%以下、そして含量均一性RSDに関しては2.4%以下の低RSD値を示し、これは、研究されたパラメータの全ての組み合わせのプロセスの頑健性を裏付ける。試験された錠剤は、111.0~129.0mg(120.0mgの公称プレス重量の±7.5%)の個々の錠剤重量許容限界内であった。最大と最小の単一錠剤重量の差は、全ての条件下で製造された錠剤に関して5.1~10.5mgの範囲であった。個々の値の含量均一性及びRSD%は、前のパイロット規模の実施例と同じ方法を使用して評価された。
【0165】
ギャップでのリボン密度及び主要圧縮力の相互作用ならびにMCF及びローター速度の相互作用は、含量均一性のRSD%に対してある作用を示した。
【0166】
試験された全ての条件下での錠剤バッチのアッセイは、表示量の95.0%~105.0%の許容可能な範囲にあり、97.6%~101.0%の範囲であった。
【0167】
実施例13からのデータは、前のパイロット規模の実施例の結果及び製剤の力-硬度プロファイルの形状と一致する。研究された範囲にわたって錠剤硬度に影響を与える顕著な要因は示されなかった。平均錠剤硬度は、14kNで圧縮された錠剤に関しては61N~64N、16.5kNで圧縮された錠剤に関しては60N~68N、及び19kNで圧縮された錠剤に関しては57N~72Nの範囲である。データは、プロセス及び製品品質管理を確実にするために、45Nの平均錠剤コア硬度(最小)に基づく錠剤コアに対するプロセス内管理硬度試験の使用を支持する。
【0168】
摩耗は、前のパイロット規模の実施例のサンプルの試験に使用された同じ方法を使用して試験された。摩耗結果は、検査された全ての条件下で生産された錠剤コアに関して低く、最大損失は0.32%であった。
【0169】
前のパイロット規模の実施例と一致して、実験データは、試験した全ての条件下で生産された錠剤コアに関して許容可能な崩壊を示し、崩壊時間は214秒の平均値を超えなかった(n=6)。ギャップでのリボン密度は、崩壊に正の作用を有することが分かった(R2=0.96)。溶解は、実施例13において評価された要因のいずれによっても影響を受けなかった。
【0170】
外観試験は、前のパイロット規模の実施例の方法を使用して、210,000個の錠剤のバッチサイズの320個の錠剤コア、及び420,000個の錠剤のバッチの640個の錠剤コアに対して行われる。凹みのない錠剤コアの数は良好なコアの割合として報告された。1つのバッチを除く全てに関して、実施例13の結果(商業規模及び意図される商業用製造装置で)は、評価された錠剤の100%が許容可能な外観(錠剤付着の証拠なし)を有することを示す。わずかな錠剤付着を示した単一のバッチは、最悪であると予想され(すなわち、前のパイロット規模の実施例の結果に基づき、最も多くの外観欠陥をもたらすと予想された条件)、最も小さいギャップサイズ(3.0mm)、最高ローラー圧密力(5.0kN/cm)、及び最低MCF(14kN)を有する条件下で製造された。このバッチは、実規模バッチサイズ(420,000個の錠剤)を試験した640個の錠剤コア中、許与可能な外観を有する91%の錠剤コアを有した。
【0171】
統計的評価は実施例13の結果に関して行われた。全結果の平均は不適合の境界から十分に外れた。さらに、全結果の全てのバッチの範囲(すなわち、全ての個々の値)は許容基準設定を満たした。実施例13において研究された全ての組み合わせにおいて、許容可能な品質の薬物製品が生産された。
【0172】
錠剤コアの以下の加工性及び品質属性に対する影響が見出された。第1に、流動性、PSD、かさ密度、及びBETの結果として生じる最終ブレンド特性に対するギャップでのリボン密度の影響が確認された。リボン緻密化が増加すると、低FFC値(乏しい流動)を有する最終ブレンドが生産される。第2に、ギャップでのリボン密度、主要圧縮力、及び打錠機の回転速度は、MCFのばらつきに影響を与える。主要圧縮力のばらつきが、ローラー圧密中にあまり緻密化されなかった(ギャップでの低密度)最終ブレンドでより低いことが確認され、これは最終ブレンドの改善された流動性に関連し得る。ばらつきは、主要圧縮力の増加及び回転速度の減少でわずかに低減される。3~5mmへのギャップサイズのシフト(前のパイロット規模の実施例の2~4mmと比較して)により、良好な流動性を有する最終ブレンドが得られ、前のパイロット規模の実施例と比較して、全体的にMCFのばらつきを低減した。主要圧縮力のばらつきと相関を示すコア重量のばらつきに関して、同じことが当てはまる。第3に、錠剤圧縮ローター速度は低い規模でMCFのばらつきに対してのみ顕著な作用を有した。錠剤コアの属性(例えば、硬度)に対して影響はなかった。したがって、薬物生産品質属性に対する影響は評価された範囲のローター回転の変動からは予想されないと結論付けることができる。
【0173】
要約すると、実施例13の商業規模の試験は、ローラー圧密中の緻密化度の低減が打錠中に良好に機能する(良好な流動性、MCFにおけるばらつきが小さい、及び錠剤重量のばらつきが小さい)細粒を生産するという点で、前のパイロット規模の実施例の結果を裏付けた。コアの外観は良好であり、単一のバッチのみが予測された最悪の条件下(最高の緻密化及び最低のMCF)で産生され、あらゆる凹みを示した(全ての他のバッチは凹みのない錠剤コアを100%生産した)。崩壊は速く、溶解は研究した要因のいずれによっても影響を受けなかった。
【0174】
実施例14
前の実施例では、加工性及び薬物製品の属性に対する活性薬物の粒径の影響は、パイロット規模(コアに関して105,000単位)で検査された。これらの実験中に生成された結果は、より小さい粒径を有する活性薬物が処理中により大きいばらつきを示したことを示す。したがって、観察された作用及びその規模を確認するために、さらなる試験が試作品錠剤3に対応する錠剤のより小さいD[v,0.5]を有する活性薬物を用いて、商業規模(420 000単位、意図される商業用製造装置を使用する)で行われた。これらのバッチの概要は、表14Aに提示され、表中、「PSD」は活性薬物の粒径分布(D[v,0.5]μm)を指し、「RCF」はローラー圧密力(kN/cm)を指し、「ギャップサイズ」はローラー圧密ギャップサイズ(mm)を指し、「ギャップでの密度」は実際のギャップでの密度(g/mL)を指し、「MCF」は主要圧縮力(kN)を指し、「速度」はバッチ0032が部分的に45rpm及び60rpmで錠剤に圧縮された、rpmでのローター速度を指す。
表14A
【0175】
実験結果は表14Bに提示され、結果の分析方法は前の実施例と同じである。
表14B
【0176】
実験結果は、より小さい粒径分布(D[v,0.5])を有する活性薬物が錠剤重量の変動及び主要圧縮力の変動の増加ならびに投薬単位の均一性をもたらすことを裏付ける。この作用は、ローラー圧密中の高緻密化条件下(より高いローラー圧密力及び/またはより小さいギャップサイズ)で観察された。しかしながら、低緻密化条件はこの影響を示さなかった。1つの理論に基づいて、及びいずれの特定の理論に拘束されることなく、これらの作用は、最終ブレンドの流動性に関連し得る。実験結果は、ローラー圧密力の増加及びより小さい活性薬物の粒径は、結果として生じる最終ブレンドの流動性に負の影響を与えることを裏付けた。
【0177】
より小さい活性薬物の粒径は、ローラー圧密中のより高い緻密化の条件下(5kN/cm)で生産された細粒を使用したとき、錠剤圧縮中に付着/フィルミングの増加をもたらした。より小さいD[v,0.5]を有する活性薬物は、乏しい外観を有する多数の錠剤(凹みの数の増加)をもたらした。錠剤コアの外観に対するより高いローラー圧密力のこの影響は、5mmのギャップサイズに関しても明らかであった。
【0178】
ローラー圧密(2kN/cm、5mm)中に低減された緻密化により製造されたフィルムコーティングされた錠剤の外観は、バッチが商業許容基準に対して試験されたとき、使用された活性薬物の粒径(D[v,0.5]27~38μm)に関係なく許容可能であった。
【0179】
要約すると、D[v,0.5]27μmの粒径を有する活性薬物に関して、錠剤の外観及び加工性は、商業規模において(ローラー圧密中、5mmのギャップサイズ及び2kN/cmの力を使用することにより)許容可能であることが証明された。実験は、活性薬物の粒径が最終ブレンドの流動性(ローラー圧密力との相互作用において)、延いては錠剤の製造中のばらつき及び薬物製品の含量均一性に影響を与えることを裏付けた。さらに、実規模のバッチの製造により、既知のギャップサイズの影響に加え、錠剤外観に対する活性薬物の粒径及びローラー圧密力の作用が明らかとなった。
【0180】
実施例15
フィルムコーティング実験は、試作品錠剤3に対応する錠剤コアの2つのバッチからの錠剤コアを使用して、50,000個の錠剤(6.0kgの錠剤コア)のパイロット規模で行われた。コーティング実験の設計は下の表15Aに詳述される。
表15A
【0181】
標的設定及び実験結果は表15Bに報告され、表中、「固体」は固体含量(%)を指し、「速度」は標的噴霧速度(g/分)を指し、「Temp」は標的製品温度(℃)を指し、「速度」は実際のパン速度(rpm)を指し、「時間」は実際の噴霧時間(分)を指し、「Diss.15」は15分後の溶解%(%)を指し、「Disint」は平均崩壊時間(秒)を指し、「App」は平均外観スコアを指し、「LOD」は乾燥減量(%)を指す。
表15
【0182】
製品温度は、平均崩壊時間に対して最も影響が大きく(n=6)、温度の増加は崩壊時間の増加をもたらす。しかしながら、コーティングプロセスパラメータは、適用された非機能性コーティングの崩壊または溶解のいずれかに対して、低から全く作用を有しないはずであるため、この作用は統計的に有意ではなく(p=0.156)、モデルは乏しく(R2=0.57)、予想された結果と一致する。全ての平均崩壊時間は、300秒以内の許容可能な範囲(133~205秒の範囲)であり、最も長い時間である205秒は、低固体含量、低噴霧速度(したがって、最も長い噴霧時間)、及び最も高い製品温度の組み合わせで得られた。
【0183】
15分での平均溶解(n=6個の錠剤)が測定された。インビトロ溶解性能に関して統計的に有意である要因は見出されなかった(R2=0.43)。15分での平均溶解結果は全て、許容可能な範囲(少なくとも80%)であり、91%~97%の範囲であった。
【0184】
外観は、5人の科学者によって独立して評価された。DoE実行のそれぞれからフィルムコーティングした錠剤の試料を外観に関して1~6のスケールでランク付けした。外観スコア1は、平滑で艶のある表面を有する、非常に良好なフィルムコーティングの外観を指し、刻印は鮮明で繊細な縁部を有する。外観スコア2は、かなり平滑である程度光沢がある良好なフィルムコーティングを指し、刻印は鮮明な縁部を有する。外観スコア3は、ある程度顕著な粗さがある許容可能なフィルムコーティングの外観を指し、刻印はあまりはっきりしない。外観スコア4は、顕著な粗さがある十分なフィルムコーティングの外観を指し、刻印はよりあいまいである。外観スコア5は、乏しいフィルムコーティングの外観を指す。負の外観の態様は、フィルム欠陥、トウヒの徴候、及び/またはあいまいな刻印を含み得る。ある程度充填剤が見える場合がある。外観スコア6は、非常に乏しいフィルムコーティングの外観を指す。広範囲に及ぶフィルム欠陥及び/またはトウヒが見える。刻印は読みにくい。ある程度充填剤が見える場合がある。噴霧速度は、外観の統計的モデル(R2=0.78)において、唯一統計的に有意(p=0.0253)な要因であった。コーティング懸濁液中の固体含量ならびにコーティング懸濁液及び製品温度の相互作用も外観に影響を与えるが、これらは統計的に有意ではないと決定された。噴霧速度の減少及びコーティング懸濁液中の固体含量の減少は、改善された外観(外観基準に従いランク付けされる低スコア)を有する錠剤をもたらす。
【0185】
実施例16
実施例16において評価されたコーティングパラメータは最適化され、商業用装置を使用し、試作品錠剤3に対応する錠剤を使用して、意図される商業用製造規模で確認された。実施例15で評価されたコアのkg当たり1.25~2.08g/分の噴霧速度[kgコア当たりのg/分]は、外観に対するより緩徐な噴霧速度の正の作用を利用するために、規模拡大のためにわずかに変更された。初期の実現可能性バッチは、「乾燥条件」(噴霧速度kg当たり1.0g/分、製品温度47℃)下で開始して処理され、バッチの後半は「湿潤条件」(噴霧速度kg当たり1.9g/分、製品温度39℃)下で処理された。噴霧乾燥(粉塵形成により示される)または錠剤の付着(非常に湿っている条件の指標)のいずれも観察されず、提案された範囲は規模において実現可能であると考えられた。
【0186】
流入空気体積は、1200m3/時間で、意図される商業用バッチサイズに首尾よく調整され、噴霧圧は2.0バールに固定された。噴霧ノズルは約90°の噴霧角でコア床から20cmの距離に固定され、コア床の移動に応じて角度の調整が可能であった。処理にわたってパン回転を1rpmずつ9rpmから14rpmに増加した。14rpmの最高回転速度で、コア床の動きは乱流であったため、残りのフィルムコーティングプロセスの間、12rpmに減少された。このバッチの外観は、実施例15に記載される基準に従って2.7(許容可能から良好な外観)と採点された。
【0187】
実現可能性バッチのコーティング後、3つのバッチを、商業規模用に提案されたコーティングパラメータ範囲の最も乾燥した、最も湿った、及び中心点でコーティングした。条件の極値で製造されたコアならびにローラー圧密及び錠剤圧縮単位の中心点が使用された。コア床の移動後、約90°の噴霧角度を維持するのに必要なため、パン回転速度は処理にわたって8から12rpmに増加された。これらのバッチが製造された条件は、下の表16Aに詳述される。外観スコアも表16Aに提示され、全て許容可能な範囲である。これらの結果は、フィルムコーティングの平滑さがより低い噴霧速度で改善される実施例15の所見を裏付ける。しかしながら、全てのバッチは全ての許容基準を満たした(放出試験を含む)。商業施設で製造されたこれらのバッチの溶解プロファイルはパイロット規模のバッチと比較可能であった。
表16A
【0188】
全条件は、不合格の境界(スコア>4)からほど遠い、許容可能な外観(2.3~2.8の範囲のスコア)を有するフィルムコーティングされた錠剤を生産した。外観に対する低噴霧速度の正の影響が確認された。加えて、製品温度の増加がフィルムコーティングされた錠剤の外観においてわずかな改善をもたらした。高製品温度ならびに低及び高噴霧速度で製造されたバッチの外観結果を比較すると、差は小さかった。したがって、35~48kgの錠剤コア負荷に関して、kgコア当たり1~1.9g/分の噴霧速度、39~47℃の製品温度、1000~1200m3/時間の流入空気体積、8rpm~14rpmのパン回転速度、及び14%のコーティング懸濁液の固体含量の条件は、外観を最適化し、処理時間を最適化するのに許容される。
【0189】
本開示またはその実施形態(複数可)の要素を導入するとき、「a」、「an」、「the」、及び「said」という冠詞は、要素のうちの1つ以上が存在することを意味することが意図される。「comprising(含む)」、「including(含む)」、「containing(含有する)」、及び「having(有する)」という用語は、包括的であることが意図され、列挙される要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。特定の配向(例えば、「上部」、「底部」、「側縁」等)を示す用語の使用は、説明の利便性のためであり、記載される項目の任意の特定の配向を必要としない。
【0190】
この書面による説明は、最良の形態を含む本発明の開示の例を示し、また任意のデバイスまたはシステムを作製及び使用し、任意の組み込まれた方法を行うことを含む、任意の当業者が本発明を実践することを可能にする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に生じる他の例を含み得る。かかる他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言葉と異ならない構造的要素を有するか、またはそれらが特許請求の範囲の文字通りの言葉とは実質的に異ならない同等の構造的要素を有する場合、特許請求の範囲内であることが意図される。