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▶ フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】フロー療法装置用の流路検知
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61M16/00 370Z
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023181850
(22)【出願日】2023-10-23
(62)【分割の表示】P 2022035591の分割
【原出願日】2016-12-02
(65)【公開番号】P2023182819
(43)【公開日】2023-12-26
【審査請求日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】62/262,325
(32)【優先日】2015-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル、ウィリアム、バージェス
(72)【発明者】
【氏名】ジェス、エドワード、ドネリー
(72)【発明者】
【氏名】ディーン、アントニー、バーカー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ、ジョン、ディッキンソン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ、バン、シャルクウィック
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル、マイケル、ローソン
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-512320(JP,A)
【文献】米国特許第06945123(US,B1)
【文献】特開2002-214012(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0031198(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロー療法装置であって、
ガス流の流路を備えるセンサチャンバと、
コントローラと、を備え、
前記センサチャンバは、
前記ガス流路を通って流れる前記ガス流の特性を測定するように構成された1つまたは複数のセンサであって、前記ガス流路の下流部分に配置された第1超音波トランスデューサと、前記流路の上流部分に配置された第2超音波トランデューサとを含む1つまたは複数のセンサと、
前記流路における前記ガス流の流量を測定するように構成されている加熱温度検知素子と、を含み、
前記コントローラは、前記加熱温度検知素子からの出力と、前記第1超音波トランスデューサ及び前記第2超音波トランデューサからの出力を使って、流量測定の冗長性を提供し、前記冗長性が、前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサによる低流量での高速流量測定と、前記加熱温度検知素子による低流量での正確な流量測定とを含
前記センサチャンバは検知回路基板をさらに備え、前記センサを含む前記検知回路基板の第1部分が、前記センサチャンバの前記流路内に少なくとも部分的に配置されるように構成され;前記検知回路基板は、少なくとも、前記センサチャンバの前記流路の外側に配置されるように構成された前記検知回路基板の第2部分を備え;前記センサチャンバは、前記検知回路基板の前記第1部分を前記検知回路基板の前記第2部分から分割するシールを備える、フロー療法装置。
【請求項2】
前記コントローラは、提供された前記冗長性に基づいて流量測定の校正を行うように構成されている、請求項1に記載のフロー療法装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記加熱温度検知素子の前記出力に基づいて、前記第1超音波トランスデューサ及び前記第2音波トランスデューサの校正パラメータを調整するように構成されている、請求項1又は2に記載のフロー療法装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記加熱温度検知素子の前記出力に基づいて、前記第1超音波トランスデューサ及び前記第2音波トランスデューサの出力を調整するように構成されている、請求項1又は2に記載のフロー療法装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第1超音波トランスデューサ及び前記第2音波トランスデューサの前記校正パラメータ又は前記出力を連続調整するように構成されている、請求項3又は4に記載のフロー療法装置。
【請求項6】
前記コントローラは、所定量により、割合により、または流量もしくは他の検知パラメータにより、前記第1超音波トランスデューサ及び前記第2音波トランスデューサの前記校正パラメータ又は前記出力を調整するように構成されている、請求項3又は4に記載のフロー療法装置。
【請求項7】
ブロワを備え、
前記ガス流路は、前記ブロワから前記ガス流路を受け取り、前記センサチャンバの前記ガス流路を通るように向ける、請求項1~6のいずれか一項に記載のフロー療法装置。
【請求項8】
前記ガス流は、著しい角度がないように連続的に湾曲しているように構成された前記センサチャンバの前記流路の少なくとも一部分を通して測定される、請求項1~のいずれか一項に記載のフロー療法装置。
【請求項9】
前記センサチャンバの前記流路は、入口、水平部分および出口を備え、前記入口および前記出口は上下反対方向に配置され、前記水平部分は前記入口と前記出口との間に配置されるように構成される、請求項1~のいずれか一項に記載のフロー療法装置。
【請求項10】
前記センサチャンバの前記流路の前記水平部分は、前記水平部分の全長に沿った平滑な湾曲を有する、請求項に記載のフロー療法装置。
【請求項11】
前記第1超音波トランスデューサ及び前記第2音波トランスデューサは、ガス濃度を測定するようにさらに構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のフロー療法装置。
【請求項12】
前記1つまたは複数のセンサは、前記流路における前記ガス流の温度を測定するように構成された温度センサを含み、
前記検知回路基板は、前記ガス流と前記温度センサとの間の熱伝導をもたらし、かつ前記センサチャンバの壁と前記温度センサとの間の熱伝導を妨げるようにさらに構成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のフロー療法装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者にガスを送達するフロー療法装置における流路検知方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸補助装置は、病院、医療施設、在宅介護または家庭環境などのさまざまな環境において、使用者または患者にガス流を送達するために使用される。呼吸補助装置、すなわちフロー療法装置は、ガス流とともに酸素を送達するために使用される弁、および/または加熱されかつ加湿されたガスを送達する加湿装置を含む場合がある。フロー療法装置は、流量、温度、ガス濃度、湿度、圧力等を含む、ガス流の特性に対する調整および制御を可能にすることができる。加熱温度検知素子および/またはサーミスタ等のセンサを用いて、ガスのこれらの特性が測定される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、流路の少なくとも一部分を通してガス流が測定されるフロー療法装置について記載する。流路のその部分は、著しい角度がないように連続的に湾曲しているように構成することができる。流路は、入口、水平部分および出口を備えることができ、入口および出口は上下反対方向に配置することができ、水平部分は入口と出口との間に配置される。水平部分は、水平部分の全長に沿った平滑な湾曲を有することができる。流路は、流路内に配置されかつ流路の上記部分を通してガス流を測定するように構成された、1つまたは複数のセンサをさらに備えることができる。1つまたは複数のセンサは、超音波トランスデューサまたはガス濃度センサのうちの1つまたは複数を備えることができる。1つまたは複数のセンサは、流量および/または酸素濃度を検知するように構成することができる。1つまたは複数のセンサは、センサモジュール内に配置することができる。
【0004】
流路は、50mm~150mmの総流れ距離を有するようにさらに構成することができる。流路はまた、10mm~20mmの平均断面直径を有するようにさらに構成することができる。
【0005】
流路は、流路の第1端部における第1断面積と、流路の第2端部における第2断面積と、流路の第1端部と第2端部との間の中間断面積とをさらに有することができ、中間断面積は、第1断面積より小さくすることができ、かつ第2断面積より小さくすることができる。
【0006】
1つまたは複数のセンサは、ブロワの後に位置することができる。ブロワはミキサであり得る。1つまたは複数のセンサは、ガスの流量、および/もしくは温度、湿度、湿度および温度を測定するように構成された加熱温度検知素子、ならびに/または圧力センサをさらに含むことができる。
【0007】
流量を測定する際に異常をもたらす可能性がある、ガス流における望ましくない渦巻運動状態を防止するガスの流路もまた記載される。この流路は、超音波センサシステムとともに使用することができる。
【0008】
本開示は、少なくとも2つの異なるガス源からガス流を受け取る入口ポートと、入口ポートからガス流を受け取るブロワであって、異なるガス源からのガス流を混合して混合ガスを生成するように構成されたブロワと、ブロワから混合ガスを受け取り、混合ガスを、センサチャンバを通るように向けるガス流路と、ガス流路を通って流れるガス流の1つまたは複数の特性を測定するように構成された1つまたは複数のセンサとを備えることができるフロー療法装置について記載する。1つまたは複数のセンサをブロワの下流に配置することができる。ブロワはミキサであり得る。1つまたは複数のセンサをセンサモジュール内に配置することができる。
【0009】
異なるガス源は酸素ガスを含むことができ、入口ポートは、酸素ガスの流れをブロワに送達するように構成された弁を備えることができる。弁は比例弁を含むことができる。
【0010】
1つまたは複数のセンサは、2つ以上の超音波トランスデューサを含むことができる。1つまたは複数のセンサはまた、ガス濃度センサを含むことができる。
【0011】
超音波トランスデューサは、ガス濃度を測定するように構成することができる。超音波トランスデューサは、流量を測定するように構成することができる。
【0012】
1つまたは複数のセンサは、ガス流量を測定するように構成された加熱温度検知素子を含むことができる。
【0013】
本開示は、ガス流を収容するように構成された流路と、流路を通って流れるガス流の特性を測定するように構成された1つまたは複数のセンサであって、センサが、流路の下流部分に配置された第1超音波トランスデューサと、流路の上流部分に配置された第2超音波トランスデューサとを含み、流路が、第1超音波トランスデューサと第2超音波トランスデューサとの間に湾曲形状を有するように構成され得る、1つまたは複数のセンサとを備える、フロー療法装置における検知チャンバについて記載する。湾曲形状は、ガス流におけるデッドスペースを低減するように構成することができる。
【0014】
センサは、流路内のガスの温度を測定するように構成された1つまたは複数の温度センサをさらに備えることができる。
【0015】
温度センサは、流路内に配置することができる。
【0016】
検知チャンバは、検知回路基板をさらに備え、検知回路基板の第1部分は、流路内に少なくとも部分的に配置されている。
【0017】
検知回路基板は、ガス流と温度センサとの間の熱伝導をもたらし、かつ検知チャンバの壁と温度センサとの間の熱伝導を妨げるようにさらに構成することができる。
【0018】
検知回路基板は、少なくとも、流路の外側に配置された検知回路基板の第2部分をさらに備えることができる。
【0019】
検知チャンバは、検知回路基板の第1部分を検知回路基板の第2部分から分割するシールをさらに備えることができる。シールは空気シールであり得る。
【0020】
流路は、50mm~150mmの総流れ距離を有するようにさらに構成することができる。
【0021】
流路は、10mm~20mmの平均断面直径を有するようにさらに構成することができる。
【0022】
流路は、流路の長さに沿って一定の断面形状を有するようにさらに構成することができる。
【0023】
記流路は、流路の第1端部における第1断面積と、流路の第2端部における第2断面積と、流路の第1端部と第2端部との間の中間断面積であって、第1断面積より小さく、第2断面積より小さい中間断面積とを有することができる。流路は、第1超音波トランスデューサと第2超音波トランスデューサとの間を通して湾曲しているように構成することができる。
【0024】
本開示は、検知チャンバを通ってガス流路に沿って検知チャンバの第1端部から検知チャンバの第2端部まで流れるガスの特性を求める方法であって、検知チャンバが、第1端部に配置された第1超音波トランスデューサと、第2端部に配置された第2超音波トランスデューサとを備え、下流方向がガス流路に沿って第1端部から第2端部まで画定され、上流方向が、ガス流路に沿って第2端部から第1端部まで画定される、方法について記載する。本方法は、第1超音波トランスデューサから下流音響パルスを送信し、第2超音波トランスデューサにおいて下流音響パルスを検出するステップと、少なくとも一部には下流音響パルスに基づいて下流飛行時間を求めるステップと、第2超音波トランスデューサから上流音響パルスを送信し、第1超音波トランスデューサにおいて上流音響パルスを検出するステップと、少なくとも一部には上流音響パルスに基づいて上流飛行時間を求めるステップと、第1超音波トランスデューサと第2超音波トランスデューサとの間のデッドスペースを考慮してガスの特性を求めるステップとを含む。
【0025】
ガスの特性を求めるステップは、式
【数1】
を使用してガス速度を求めることを含む。
【0026】
式中、cは音速を表し、Dは、ガス流がある、第1超音波トランスデューサと第2超音波トランスデューサとの間の距離を表し、Dは、ガス流のない、第1超音波トランスデューサと第2超音波トランスデューサとの間の距離を表し、tは下流飛行時間を表し、tは上流飛行時間を表す。
【0027】
本開示は、検知チャンバを通ってガス流路に沿って検知チャンバの第1端部から検知チャンバの第2端部まで流れるガスの特性を求める方法であって、検知チャンバが、第1端部に配置された第1超音波トランスデューサと、第2端部に配置された第2超音波トランスデューサとを備え、下流方向がガス流路に沿って第1端部から第2端部まで画定され、上流方向が、ガス流路に沿って第2端部から第1端部まで画定される、方法について記載する。本方法は、第1超音波トランスデューサから下流音響パルスを送信し、第2超音波トランスデューサにおいて下流音響パルスを検出するステップを含むことができる。本方法は、受信超音波波形全体を測定するステップをさらに含むことができる。本方法は、受信波形と基準との間の相互相関を実行して、飛行時間測定値を生成するステップをさらに含むことができる。基準は、予め記録するかまたは事前に定義することができる。基準は、別個の波または先行する波であり得る。相互相関は、流量を計算することができるように飛行時間差を生成することを含むことができる。ガスは、ヘリオックスまたは二酸化炭素を含むことができる。相互相関は、動作中の異常を強調することを含むことができる。
【0028】
本開示は、フロー療法装置における測定モジュールを校正するシステムについて記載する。システムは、所定動作パラメータでガス流を送出するように構成されたブロワと、ガス特性に対して第1値を決定するように構成された第1センサと、第1値を格納するように構成された第1メモリと、ブロワからのガス流を変更し、少なくとも一部には、所定動作パラメータにおける第1値と基準値との間の比較に基づいて、校正パラメータを調整するように構成された制御システムとを備えることができる。基準値は、ルックアップテーブル、ユーザ入力または計算値のうちの1つまたは複数から得ることができる。
【0029】
第1センサは一対の超音波トランスデューサを備えることができる。
【0030】
校正システムは、第2ガス流を送達するように構成された弁をさらに備えることができ、制御システムは、第2ガスの流量を変更するようにさらに構成することができる。第2ガスは酸素を含むことができる。
【0031】
システムは、ガス特性に対して第2値を測定するように構成された第2センサをさらに備えることができ、制御システムは、第1値を第2値と比較するようにさらに構成することができる。
【0032】
第2センサは、温度センサを含むことができる。第2センサは、ガス流量を測定するように構成された加熱温度検知素子を含むことができる。第2センサは湿度センサを含むことができる。第2センサは圧力センサをさらに含むことができる。
【0033】
ガス特性は流量であり得る。ガス特性は、酸素濃度または他のガス濃度であり得る。ガス特性は温度であり得る。ガス特性は湿度であり得る。ガス特性は圧力であり得る。
【0034】
本開示は、フロー療法装置における検知チャンバについて記載する。検知チャンバは、ガス特性を測定するように構成された1つまたは複数のセンサであって、流路の下流部分における第1超音波トランスデューサと流路の上流部分における第2超音波トランスデューサとを含む1つまたは複数のセンサと、ガス流量を測定するように構成された加熱温度検知素子とを備えることができる。加熱温度検知素子は、流量測定の冗長性を提供することができ、冗長性は、第1超音波トランスデューサおよび第2超音波トランスデューサによる低流量での高速流量測定と、加熱温度検知素子による低流量での正確な流量測定とを含む。冗長性は、流量の校正に役立つことができる。
【0035】
加熱温度検知素子は、超音波トランスデューサの校正パラメータを調整することができる。加熱温度検知素子は、超音波トランスデューサの読取値を調整することができる。調整は連続調整であり得る。調整は、所定量であり、割合であり、または流量もしくは他の検知パラメータに対して重み付けされ得る。
【0036】
本開示は、フロー療法装置における検知チャンバについて記載する。検知チャンバは、1つまたは複数のセンサであって、ガス特性を測定するように構成され、流路の下流部分における第1超音波トランスデューサと流路の上流部分における第2超音波トランスデューサとを含む1つまたは複数のセンサを備えることができ、1つまたは複数のセンサは検知回路基板に直接取り付けることができる。検知チャンバは、超音波センサに近接して配置された超音波回路をさらに備えることができる。超音波回路は、1つまたは複数のセンサから環境的に隔離することができる。チャンバは、1つまたは複数のセンサから超音波回路を隔離するシールをさらに備えることができる。シールは空気シールであり得る。1つまたは複数のセンサのうちの少なくとも1つは、検知回路基板に配置することができる。
【0037】
本開示は、ガス送達システムについて記載する。システムは、ガス特性を測定するように構成された1つまたは複数のセンサと、第1絶対圧を測定するように構成された第1圧力センサであって、第1絶対圧が周囲圧力の推定値を決定するように構成されている、第1圧力センサと、第2絶対圧を測定するように構成された第2圧力センサとを備えることができ、第1絶対圧と前記第2絶対圧との差は、計算された差圧を決定する、第2圧力センサとを備えることができ、ガス特性の計算は、少なくとも一部には前記周囲圧力の変化に基づいて調整され得る。
【0038】
システムは、ブロワをさらに備えることができる。第2絶対圧センサは、ブロワの下流にあり得る。ガス源によって生成される圧力は、計算された差圧から推定することができる。
【0039】
ガス特性を測定するように構成された1つまたは複数のセンサは、超音波センサを含むことができる。周囲圧力読取値により、質量流量の体積流量との比較を可能にすることができる。第1絶対圧センサは、ガス送達システムのハウジング内に配置することができる。第2圧力センサは、検知チャンバまたはセンサモジュール内に配置することができ、ガスがガス源によって加圧された後に前記ガス流の圧力を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】フロー療法装置の形態の呼吸補助装置を概略形式で示す。
図2】加湿器チャンバが適所にありハンドル/レバーが上昇している、フロー療法装置の正面図である。
図3図2に対応する上面図である。
図4図2に対応する右側面図である。
図5図2に対応する左側面図である。
図6図2に対応する背面図である。
図7図2に対応する正面左斜視図である。
図8図2に対応する正面右斜視図である。
図9図2に対応する底面図である。
図10】フロー療法装置の空気および酸素入口配置の第1構成を示す。
図11】フロー療法装置の空気および酸素入口配置の第2構成を示す。
図12図11の空気および酸素入口配置のさらなる詳細を示す横断面図である。
図13図11の空気および酸素入口配置のさらなる詳細を示す別の横断面図である。
図14図11の空気および酸素入口配置のさらなる詳細を示す縦断面図である。
図15】フロー療法装置の主ハウジングの上部シャシ構成要素および下部シャシ構成要素の組立分解図である。
図16】モータおよび/またはセンサモジュールサブアセンブリを受け入れるハウジングを示す、主ハウジングの下部シャシの正面左側斜視図である。
図17A】モータおよび/またはセンサモジュールサブアセンブリ用のハウジングの内側の凹部を示す、フロー療法装置の主ハウジングの第1下側斜視図である。
図17B】モータおよび/またはセンサモジュールサブアセンブリ用の凹部を示す、フロー療法装置の主ハウジングの第2下側斜視図である。
図18】本開示の実施形態による呼吸補助装置の構成要素と相互作用しかつ/またはそれらに制御および指示を提供する制御システムのブロック図を示す。
図19】本開示の実施形態によるコントローラのブロック図を示す。
図20】本開示の実施形態によるモータおよび/またはセンサモジュールのブロック図を示す。
図21】本開示の実施形態による検知チャンバを示す。
図22A】本開示の実施形態による検知チャンバ内の検知回路基板を示す。
図22B】本開示の別の実施形態による検知チャンバ内の検知回路基板を示す。
図22C】本開示の別の実施形態による検知チャンバ内の検知回路基板を示す。
図23A】本開示の実施形態による、トランスデューサ信号伝達の実施態様の回路図を示す。
図23B】本開示の実施形態による、双方向トランスデューサ信号伝達の実施態様の回路図を示す。
図24A】トランスデューサ信号パルスを概略的に示す。
図24B】送受信される際の伝播トランスデューサ信号を示す。
図24C】リンギングを低減させるように設計されたトランスデューサパルス例を概略的に示す。
図25A】超音波検知モデルのブロック図を示す。
図25B】デッドスペースを含む超音波検知モデルのブロック図を示す。
図26A】本開示の実施形態による校正システムを示すフローチャートである。
図26B】本開示の別の実施形態による校正システムを示すフローチャートである。
図27A】トラックを含む検知チャンバ内の検知回路基板を示す。
図27B】トラックのさらなる詳細を示す図27aの拡大部分を示す。
図28】2つの絶対圧センサを使用するゲージ圧の決定を示すフローチャートである。
図29】フロー療法装置の他の実施形態のさまざまな図を示す。
図30】フロー療法装置の他の実施形態のさまざまな図を示す。
図31】フロー療法装置の他の実施形態のさまざまな図を示す。
図32】フロー療法装置の他の実施形態のさまざまな図を示す。
図33】フロー療法装置の他の実施形態のさまざまな図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1に、フロー療法装置10を示す。概して、装置10は、モータ/インペラ配置の形態の流れ発生器11と、任意選択的な加湿器12と、コントローラ13と、(たとえば、ディスプレイ、ならびにボタン、タッチスクリーン、タッチスクリーンおよびボタンの組合せ等の入力デバイスを備える)ユーザI/Oインタフェース14とを含む、主ハウジング100を備える。コントローラ13は、患者に送達するガスの流れ(ガス流)を生成するように流れ発生器11を動作させること、生成されたガス流を加湿しかつ/または加熱するように加湿器12(存在する場合)を動作させること、装置10の再構成および/またはユーザ定義する動作に対してユーザインタフェース14からユーザ入力を受け取ること、ならびにユーザに対して(たとえば、ディスプレイに)情報を出力することを含む、装置の構成要素を制御するように構成されるかまたはプログラムされる。ユーザ(使用者)は、患者、医療専門家、または装置を使用することに関心のある他の人であり得る。
【0042】
患者呼吸導管16が、フロー療法装置10のハウジング100のガス流出力部21に結合され、かつ、マニホールド19および鼻プロング18を備えた鼻カニューレ等の患者インタフェース17に結合されている。さらにまたは別法として、患者呼吸導管16は、フェイスマスクまたは気管切開インタフェースに結合することができる。フロー療法装置10によって生成される、加湿される場合もあるガス流は、患者導管16を介してカニューレ17を通して患者に送達される。患者導管16は、患者まで通過するガス流を加熱するヒータワイヤ16aを有することができる。ヒータワイヤ16aは、コントローラ13に制御される。患者導管16および/または患者インタフェース17は、フロー療法装置10の一部である、または別法としてその周辺であるとみなすことができる。フロー療法装置10、呼吸導管16および患者インタフェース17は、合せてフロー療法システムを形成する。
【0043】
フロー療法呼吸装置10の全体的な動作は、当業者には既知であり、本明細書では詳細に記載する必要はない。しかしながら、概して、コントローラ13は、所望の流量のガス流を生成するように流れ発生器11を制御し、空気および酸素または他の代替ガスの混合物を制御するように1つまたは複数の弁を制御し、かつ/または、存在する場合は、適切なレベルまでガス流を加湿しかつ/またはガス流を加熱するように加湿器12を制御する。ガス流は、患者導管16およびカニューレ17を通って患者に向けられる。コントローラ13はまた、患者に対する所望のレベルの治療および/または所望のレベルの快適さを達成する所望の温度までガスを加熱するように、加湿器12内の加熱素子および/または患者導管16内の加熱素子16aも制御することができる。コントローラ13は、ガス流の好適な目標温度でプログラムすることができ、またはそれを決定することができる。
【0044】
流量センサ、温度センサ、湿度センサおよび/または圧力センサ等の動作センサ3a、3b、3c、20、25は、フロー療法装置10および/または患者導管16および/またはカニューレ17のさまざまな位置に配置することができる。センサからの出力は、コントローラ13によって受信され、好適な療法を提供するようにフロー療法装置10を動作させるのに役立つ。いくつかの構成では、好適な療法を提供することは、患者の吸気要求を満たすことを含む。装置10は、コントローラ13が、センサから信号を受信し8、かつ/または、限定されないが、流れ発生器11、加湿器12およびヒータワイヤ16aを含むフロー療法装置10のさまざまな構成要素、またはフロー療法装置10に関連する付属装置もしくは周辺装置を制御することができるように、送信器および/または受信器15を有することができる。さらにまたは別法として、送信器および/または受信器15は、リモートサーバにデータを配信し、または装置10の遠隔制御を可能にすることができる。
【0045】
患者インタフェースは、鼻カニューレ等の非封止インタフェースであり得る。
【0046】
主ハウジングの説明を含む概説
フロー療法装置のいくつかの実施形態は、全体が参照により本明細書に援用される、2016年6月24日に出願され、「BREATHING ASSISTANCE APPARATUS」と題する、国際特許出願PCT/IB2016/053761号明細書に記載されている。図29図33は、それらの実施形態のうちのいくつかを示す。図2図17Bは、主ハウジング100を備えるフロー療法装置10の別の実施形態を示す。主ハウジング100は、主ハウジング上部シャシ102および主ハウジング下部シャシ202を有する。
【0047】
主ハウジング上部シャシ102は、周壁配置106を有する。周壁配置は、取外し可能加湿チャンバ300を受け入れる加湿器または加湿チャンバベイ108を画定する。取外し可能加湿チャンバ300は、患者に送達されるガスを加湿する水等の好適な液体を収容する。
【0048】
図示する形態では、主ハウジング上部シャシ102の周壁配置106は、主ハウジング100の前後方向に向けられる実質的に垂直な左側外壁110と、主ハウジング100の前後方向に向けられる実質的に垂直な左側内壁112と、左側内壁110および左側外壁112の上端部の間に延在しかつそれらを相互接続する相互接続壁114とを備える。主ハウジング上部シャシ102は、主ハウジング100の前後方向に向けられる実質的に垂直な右側外壁116と、主ハウジング100の前後方向に向けられる実質的に垂直な右側内壁118と、右側内壁116および右側外壁118の上端部の間に延在しかつそれらを相互接続する相互接続壁120とをさらに備える。相互接続壁114、120は、主ハウジング100のそれぞれの外縁部に向かって角度が付けられているが、別法として、実質的に水平であるかまたは内向きに角度が付けられ得る。
【0049】
主ハウジング上部シャシ102は、実質的に垂直な後部外壁122をさらに備える。主ハウジング上部シャシ102の上方部分は、前方に角度が付けられた表面124を備える。表面124は、図53および図54により詳細に示すディスプレイおよびユーザインタフェースモジュール14を受け入れる凹部126を有する。後部外壁122の上端部と表面124の後縁部との間に相互接続壁128が延在し、それらを相互接続している。
【0050】
表面124の前端部から、実質的に垂直な壁部分130が下方に延在している。壁部分130の下端部から、実質的に水平な壁部分132が前方に延在して、棚部を形成している。実質的に垂直な壁部分134が、壁部分132の前端部から下方に延在し、加湿チャンバベイ108の実質的に水平な床部分136で終端している。左側内壁112、右側内壁118、壁部分134および床部分136は、合せて、加湿チャンバベイ108を画定している。加湿チャンバベイ108の床部分136は、ヒータプレート140、または加湿プロセス中に使用するために加湿チャンバ300内の液体を加熱する他の好適な加熱要素等のヒータ配置を受け入れる、凹部138を有する。
【0051】
主ハウジング下部シャシ202は、好適な締結具またはたとえばクリップ等の一体化取付機構により、上部シャシ102に取付可能である。主ハウジング下部シャシ202は、主ハウジング100の前後方向に向けられ、かつ上部シャシ102の左側外壁110と連続している、実質的に垂直な左側外壁210と、主ハウジング100の前後方向に向けられ、かつ上部シャシ102の右側外壁116と連続している、実質的に垂直な右側外壁216とを備える。主ハウジング下部シャシ202は、上部シャシ102の後部外壁122と連続している実質的に垂直な後部外壁222をさらに備える。
【0052】
下部ハウジングシャシ202は、リップ242を有し、それは、上部ハウジングシャシ102のリップ142と連続し、レバー500のハンドル部分506を受け入れる凹部の一部も形成する。下部リップ242は、レバー500のハンドル部分506のための保持部として作用する前方に向けられた突起243を備える。
【0053】
下部ハウジングシャシ202の下側が、底壁230を構成している。それぞれの相互接続壁214、220、228は、実質的に垂直な壁210、216、222と底壁230との間に延在し、かつそれらを相互接続している。底壁230は、加湿チャンバ300からの(たとえば、こぼれることによる)漏れの場合、液体の排出を可能にするように複数のアパーチャを備えたグリル232を備える。底壁230は、細長い前後に向けられたスロット234をさらに備える。スロット234は、加湿チャンバ300からの漏れの場合に、液体が電子回路ハウジングに入ることなく、液体の排出をさらに可能にする。図示する構成では、ヒータプレート140は、底壁230の外側部分によって指示されず、そのため、スロット234は、液体の排出を最大限にするようにグリル232のアパーチャに対して幅が広くかつ細長くすることができる。
【0054】
図17aおよび図17bに示すように、下部シャシ202は、取外し可能なモータおよび/またはセンサモジュールを受け入れるモータ凹部250を有する。底壁230のその後縁部に隣接して、取外し可能なモータ/センサモジュールを受け入れる凹部開口部251が設けられている。連続した、ガス不透過性の切れ目のない壁252が、下部シャシ202の底壁230と一体的に形成され、開口部251の周縁部から上方に延在している。周壁252の後方部分254が第1高さを有し、周壁252の前方部分256が、第1高さより大きい第2高さを有する。周壁252の後方部分254は、実質的に水平の段258で終端し、段258は、さらに、周壁252の上部補助後方部分260で終端している。周壁252の前方部分256および上部補助後方部分260は、天井262で終端している。壁のすべておよび天井262は、ガス流路以外は、連続し、ガス不透過性であり、切れ目がない。したがって、モータ凹部250全体が、ガス流路以外は、ガス不透過性でありかつ切れ目がない。
【0055】
代替構成では、要素252、254、256、258、260、264を備えるモータ凹部を、下部シャシ202から別個に形成することができる。凹部を含むモータアセンブリは、凹部開口部251に挿入可能であり、下部シャシ202に取付可能であり得る。モータアセンブリおよび凹部を下部シャシ202に挿入すると、ガス流路チューブ264は、下方延長チューブ133を通って延在し、軟質シールによって封止される。
【0056】
装置10は、加湿チャンバ300を装置10に流体結合する接続マニホールド配置320を備える。加湿チャンバ300は、ハウジング100の背面に向かう方向においてハウジング100の正面の位置から、チャンバベイ108内への加湿チャンバ300の後方向における直線状摺動で、装置10に流体結合することができる。接続マニホールド配置320は、マニホールドガス出口ポート322を備え、それは、固定L字型エルボ324を介して、モータ/インペラユニット402からのガス流路と流体連通する。
【0057】
接続マニホールド配置320は、取外し可能エルボに具現化されているマニホールドガス入口ポート340(加湿ガス戻り)をさらに備える。取外し可能エルボは、L字型であり、患者インタフェース17にガスを送達するように患者導管16に結合する患者出口ポート344をさらに備える。マニホールドガス出口ポート322、マニホールドガス入口ポート340および患者出口ポート344は、各々、OリングシールまたはTシール等の軟質シールを備え、装置10、加湿チャンバ300および患者導管16の間に封止されたガス通路を提供する。
【0058】
加湿チャンバガス入口ポート306は、接続マニホールドガス出口ポート322と相補的であり、加湿チャンバガス出口ポート308は、接続マニホールドガス入口ポート340と相補的である。それらのポートの軸は、好ましくは平行であり、加湿チャンバ300が直線運動でチャンバベイ108内に挿入されるのを可能にする。
【0059】
装置10は、モータと流体連通する空気および酸素(または別法として補助ガス)入口を有し、モータが、空気、酸素またはそれらの好適な混合物を加湿チャンバ300に送出し、それにより患者に送達することができるようにする。図10に示すように、装置10は、結合空気/酸素(または代替補助ガス)入口配置350を有することができる。この配置は、ハウジング100内への結合空気/酸素ポート352と、フィルタ354と、酸素源と流体連通している横方向に延在する酸素チューブ358を備えるカバー356とを備える。ポート352は、モータ402に流体結合される。たとえば、ポート352は、ポート352とモータおよび/またはセンサモジュール400の入口アパーチャまたはポートとの間のガス流路を介して、モータおよび/またはセンサモジュール400と結合することができ、それにより、モータに通じる。この配置は、米国特許出願公開第2014/0345615号明細書として公開された、2014年5月23日に出願された米国特許出願第14/286,590号明細書に記載されているタイプのものとすることができ、その明細書の内容は、全体として参照により本明細書に援用される。
【0060】
別法として、装置10は、モータが、空気、酸素(または代替補助ガス)またはそれらの好適な混合物を加湿チャンバ300に、それにより患者に送達するのを可能にする、図11図14に示す配置を有することができる。この配置は、ハウジング100の下部シャシ202の後壁222に空気入口356’を備える。空気入口356’は、アパーチャおよび/またはスロットの好適なグリル配置を有する剛性プレートを備える。プレートの内側にプレートに隣接して、消音発泡体を設けることができる。空気フィルタボックス354’が、主ハウジング100の内部に空気入口356’に隣接して配置され、モータおよび/またはセンサモジュール400の空気入口ポート404を介してろ過空気をモータに提供する空気出口ポート360を備える。空気フィルタボックス354’は、ガス流から粒子(たとえば、塵埃)および/または病原体(たとえば、ウイルスまたは細菌)を除去するように構成されたフィルタを備えることができる。空気出口ポート360と空気入口ポート404との間に、それら構成要素の間を封止するために、Oリングシール等の軟質シールが設けられる。装置10は、ハウジング100の後端部にその一方の側に隣接して配置された別個の酸素入口ポート358’を備え、酸素ポート358’は、タンクまたはパイプで送られる酸素の供給源等の酸素源から酸素を受け取る。酸素入口ポート358’は、弁362と流体連通している。弁362は、好適には、加湿チャンバ300に送出されるガス流に添加される酸素の量を制御することができる、ソレノイド弁であり得る。代替構成では、酸素ポート358’および弁362を他の補助ガスとともに使用して、ガス流への他の補助ガスの添加を制御することができることが理解されるべきである。他の補助ガスは、限定されないが、ヘリオックスおよび酸化窒素を含む、ガス療法に有用な複数のガスのうちの任意の1種または複数種を含むことができる。弁およびフィルタに関するさらなる詳細は、2016年10月18日に出願され、「VALVE MODULE AND FILTER」と題する、米国仮特許出願第62/409543号明細書に記載されており、その出願の全体が参照により本明細書に援用される。
【0061】
図13図16に示すように、下部ハウジングシャシ202は、好適な電子回路基板272を支持する。電子回路基板は、下部ハウジングシャシ202のそれぞれの外側壁210、216に隣接して配置することができる。電子回路基板272は、限定されないが、マイクロプロセッサ、コンデンサ、抵抗器、ダイオード、演算増幅器、比較器およびスイッチ等、好適な電気部品または電子部品を含むことができ、またはそれらと電気通信することができる。センサを使用することができる。電子回路基板272の構成要素(限定されないが、1つまたは複数のマイクロプロセッサ等)は、装置のコントローラ13として作用することができる。
【0062】
電子回路基板272の一方または両方は、ディスプレイユニットおよびユーザインタフェース14、モータ、弁362ならびにヒータプレート140を含む、装置10の電気部品と電気通信して、所望の流量のガスを提供するようにモータを動作させ、ガス流を適切なレベルまで加湿しかつ加熱するように加湿器12を動作させ、ガス流に適切な量の酸素(または、代替構成では、適切な量の代替補助ガス)を供給することができる。
【0063】
電子回路基板272は、上部ハウジングシャシ102の後壁122から突出しているコネクタ配置274と電気通信することができる。コネクタ配置274は、ナースコール、パルスオキシメトリポートおよび/または他の好適な付属装置に結合することができる。電子回路基板272はまた、電気コネクタ276と電気通信することも可能であり、電気コネクタ276もまた上部ハウジングシャシ102の後壁122に設けられ、装置10の構成要素に電源またはバッテリ電力を提供する。
【0064】
上述したように、流量センサ、温度センサ、湿度センサおよび/または圧力センサ等の動作センサは、フロー療法装置10および/または患者導管16および/またはカニューレ17のさまざまな位置に配置することができる。電子回路基板272は、それらのセンサと電気通信することができる。センサからの出力は、コントローラ13によって受信され、コントローラ13が、呼気要求を満たすことを含む最適な療法を提供するようにフロー療法装置10を動作させるのに役立つ。
【0065】
上で概説したように、安全性を向上させかつ火災の危険をなくすために、電子回路基板272ならびに他の電気部品および電子部品をガス流路から空気圧によって隔離することができる。封止は、水の浸入もまた、防止する。
【0066】
制御システム
図18は、患者の状態を検出し、かつガス源を含むフロー療法装置の動作を制御することができる、制御システム520の実施形態のブロック図を示す。実施形態では、制御システム520は、患者に送達される際にフロー療法装置を通って流れるガスの流量532を管理する。制御システム520は、ブレンダにおけるブロワのモータ速度または弁を制御することにより、流量を増減させることができる。制御システム520は、後述するように、特定の患者に対して流量の設定値または個別の値を自動的に求めることができる。いくつかの実施形態では、制御システム520により、患者の快適さを向上させかつ療法を改善するように、流量を最適化することができる。
【0067】
制御システム520はまた、音声および/または視覚出力534も生成することができる。たとえば、フロー療法装置は、スピーカをさらに含むことができるディスプレイ630(図19を参照)を含むことができる。ディスプレイ630は、制御システム520によって生成される任意の警告または警報を医師に示すことができる。ディスプレイ630はまた、医師によって調整することができる制御パラメータも示すことができる。たとえば、制御システム520は、特定の患者に対して流量を自動的に推奨することができる。制御システム520はまた、患者の回復状態を生成し、それをディスプレイに送信することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、制御システム520は、患者に送達されるガスの出力状態を制御するように、加熱素子のうちの1つの温度設定点530を変更することができる。制御システム520はまた、加熱素子の動作またはデューティサイクルも変更することができる。
【0069】
制御システム520は、1つまたは複数の受け取った入力502~510に基づいて、出力530~534を決定することができる。入力502~508は、コントローラ600によって自動的に受信されるセンサ測定値に対応することができる。図示する実施形態では、制御システム520は、上述したフロー療法装置における胸腹部非同期性(thoraco-abdominal asynchrony)(TAA)センサ入力502、呼吸速度センサ入力504、呼吸仕事量センサ入力506およびCOセンサ入力508、ならびに/または他のセンサ(圧力センサ、環境センサ、パルスオキシメータセンサ)に対応するセンサ入力を受信する。実施形態では、制御システム520はまた、ユーザからの入力またはメモリ624内の格納された値も受け取ることができる。制御システム520は、患者に対してその治療の時間にわたり流量532を動的に調整することができる。実施形態では、制御システム520は、システムパラメータおよび患者パラメータを連続的に検出することができる。
【0070】
コントローラ
制御システム520は、入力状態の検出および出力状態の制御に対するプログラミング命令を含むことができる。プログラミング命令は、図19に示すように、コントローラ600のメモリ624に格納することができる。いくつかの実施形態では、プログラミング命令は、本明細書に記載する方法、プロセスおよび機能に対応する。制御システム520は、コントローラ600の1つまたは複数のハードウェアプロセッサ622によって実行することができる。プログラミング命令は、C、C++、JAVA、または他の任意の好適なプログラミング言語で実装することができる。いくつかの実施形態では、制御システム520の部分の一部またはすべてを、ASICおよびFPGA等の特定用途向け回路628で実装することができる。
【0071】
図18に示すように、制御システム520は、フロー療法装置の複数の構成要素から入力を受け取ることができる。図18に示す入力502~510のすべてが存在するとは限らない。入力502~510および出力530~534は、すべての実施形態において必ずしも存在しなくてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、制御システム520は、呼吸仕事量(WOB)および/または呼吸速度センサ入力506のみを受信し、流量制御測定値532を生成することができる。構成に応じて、入力に対応する構成要素のうちのいくつかは、フロー療法装置に含まれない場合もある。制御システム520により、入力がないこと自体を使用して、入力またはシステム状態を決定することができる。
【0072】
図19は、コントローラ600の実施形態のブロック図を示す。コントローラは、メモリ626に格納された命令を実行することができるハードウェアプロセッサ622を含むことができる。実施形態では、制御システム520は、メモリ626においてプログラミング命令として格納される。コントローラはまた、センサ信号を受信する回路628も含むことができる。コントローラは、患者および呼吸補助システムの状態を伝えるためにディスプレイ630をさらに含むことができる。ディスプレイ630はまた、警告も示すことができる。コントローラはまた、ディスプレイ630等のユーザインタフェースを介してユーザ入力も受け取ることができる。ユーザインタフェースは、別法としてまたはさらに、ボタンまたはダイヤルを備えることができる。ユーザインタフェースは、別法としてまたはさらに、タッチスクリーンを備えることができる。
【0073】
モータおよび/またはセンサモジュール
図20は、フロー療法装置において凹部250によって受け入れられるモータおよび/またはセンサモジュール2000のブロック図を示す。モータおよび/またはセンサモジュールは、患者に送達するために室内空気を運ぶブロワ2001を備える。いくつかの実施形態では、ブロワ2001は遠心ブロワである。
【0074】
室内空気は、室内空気入口2002に入り、入口ポート2003を通ってブロワ2001に入る。入口ポート2003は弁2004を備えることができ、そこを通って、加圧ガスがブロワ2001に入ることができる。弁2004は、ブロワ2001内への酸素の流れを制御することができる。弁2004は、比例弁または二値弁を含む、任意のタイプの弁であり得る。いくつかの実施形態では、入口ポートは、弁を含まない。
【0075】
いくつかの実施形態では、ブロワ2001は、1,000RPMを超えかつ30,000RPM未満、2,000RPMを超えかつ21,000RPM未満、または上述した値のうちの任意のものの間のモータ速度で動作することができる。ブロワ2001の動作は、入口ポート2003を通ってブロワ2001に入るガスを混合する。ブロワ2001をミキサとして使用することにより、混合がエネルギーを必要とするため、バッフルを備えるスタティックミキサ等、別個のミキサを備えたシステムで本来発生する圧力降下を、低減させることができる。
【0076】
混合空気は、ブロワ2001から出て導管2005を通って、検知チャンバ2007内の流路2006に入る。センサ2008を備える検知回路基板が、少なくとも部分的にガス流に浸されるように、検知チャンバ2007内に配置される。検知回路基板のセンサ2008は、流れの中のガス特性を測定するようにガス流内に配置される。検知チャンバ2007内の流路2006を通過した後、ガスは、加湿チャンバ300に出る2009。
【0077】
結合されたブロワおよびミキサ2001の下流にセンサ2008を配置することにより、ブロワおよび/またはミキサの上流にセンサを配置するシステムと比較して、酸素濃度を含むガス分画濃度の測定等の測定の精度を向上させることができる。こうした配置により、繰返し可能な流れプロファイルを与えることができる。さらに、結合されたブロワおよびミキサの下流にセンサを配置することにより、本来発生する圧力降下が回避され、圧力降下が発生するのは、ブロワの前で検知が行われる場合、入口と検知システムとの間に、バッフルを備えたスタティックミキサ等の別個のミキサが必要であるためである。ミキサは、ミキサの前後に圧力降下を引き起こす。ブロワの後に検知を配置することにより、ブロワをミキサにすることができ、スタティックミキサは圧力を低下させるが、対照的に、ブロワは圧力を上昇させる。また、流路において検知回路基板およびセンサ2008の少なくとも一部を浸すことにより、測定の精度が向上し、それは、センサが流れに浸されていることは、それらが、温度および圧力等、ガス流と同じ条件にさらされる可能性が高くなり、したがって、ガス特性のより優れた表現を提供する可能性が高くなることを意味する。
【0078】
検知チャンバ
本明細書に記載するフロー療法装置は、モジュール式システムである。いくつかのまたはすべてのセンサを含むモータ/検知モジュールを、望ましい場合、別個に取り除きかつ交換することができる。モジュール性を向上させるために、少なくとも部分的に流路内に配置することができる検知チャンバ内の1つの検知回路基板に、いくつかのまたはすべてのセンサを配置することができ、制御回路基板上の制御電子回路を流路から封止することができる。変換、メモリおよび制御、校正のためのメモリおよび制御を含む検知アルゴリズムに対するコードは、検知回路基板に配置することができる。この応用の目的で、検知回路基板は、検知チャンバまたはセンサモジュール内に配置された回路基板として定義される。
【0079】
フロー療法装置の使用中、水が検知回路基板と接触する可能性がある。たとえば、装置はひっくり返される可能性があり、加湿器チャンバからの水が上流にまたはポート内に移動する可能性があり、または、使用者が、乾燥モードの完了の前に装置の電源を落とす可能性がある。水との接触により、検知回路基板上の電子部品は損傷を受け、センサの腐食および空気流のあり得る汚染がもたらされる可能性がある。水が検知回路基板と接触する影響を軽減するために、検知回路基板に湿度センサを配置して、装置が、あり得る水の侵入がないか検査されるか、または是正動作を行う必要があるという警報を、使用者に対して提供することができる。湿度センサが、検知モジュールにおいて、湿度が予測された湿度より高いことを検出した場合、是正動作は、ブロワが、流れシーケンスを開始して、検知回路基板から水を除去することを含むことができる。これは、検知回路基板を乾燥させるパルス、または他のブロワモードを含むことができる。是正動作はまた、湿度センサにおける内蔵ヒータまたは外部ヒータにおける切替も含むことができる。さらに、検知回路基板をコンフォーマルコーティングでコーティングして、検知回路基板における水の侵入を防止し、または検知回路基板における水の侵入の影響を軽減し、かつ酸素の侵入の影響を軽減することができる。これは、後述する、電子回路の周囲の封止機構とともに使用することができる。さらに、クローズドフレームトランスデューサ(後述する)を使用することができ、それは、それらが、水の侵入から損傷を受けにくいためである。チャンバと検知モジュールとの間に、水の捕捉ももたらされる可能性がある。1つの非限定的な例は、チャンバと検知モジュールとの間の一方向弁である。
【0080】
図21は、モジュール式検知チャンバ2007の実施形態を示す。検知チャンバ2007は、モータおよび/またはセンサモジュール内のブロワ2001の下流に配置することができる。検知チャンバ2007は、流路2006を備え、ケーシング2101内に検知回路基板2200(図22)を保持するように設計されている。
【0081】
ガス流は、フロー療法装置の通過中、圧力が降下する可能性があり、それにより、電力を消費し、したがって、システムの所定の流量に達する能力が影響を受ける可能性がある。圧力損失は、流路の直線部分における摩擦により、または、流路における曲がり、弁、収縮部または拡張部等、直線流路からの逸脱から発生する可能性がある。
【0082】
流路2006は湾曲形状を有する。ガス流は、入口2103から入り、湾曲流路2104に沿って流れ、流路2105の反対側から出る。いくつかの実施形態では、入口および出口は、上下反対方向に配置することができ、ガス流は、垂直上向き方向に流路に入り、その後、水平方向に曲がり、その後、再度垂直上向き方向に曲がることができる。いくつかの実施形態では、流路は急な曲がり目を有していない。いくつかの実施形態では、流路は、湾曲した端部を、より直線状の中間部分とともに有する。いくつかの実施形態では、流路は、流路の長さを通して一定の断面形状を維持する。いくつかの実施形態では、流路は、流路の第1端部からわずかに内向きにテーパ状であり、流路の第2端部まで再度広がり、それにより、測定のより高い精度のために流れを加速することができる。いくつかの実施形態では、流路内の摩擦を低減させるように、流路の表面が表面改質剤/潤滑剤で覆われる。複数の異なる流路構成を使用することができる。湾曲流路形状により、測定領域が流路と部分的に一致することにより流量測定の感度を低下させることなく、ガス流の圧力降下を低減させることができる。
【0083】
検知回路基板2200は、その少なくとも一部が流路2006内のガス流とオーバーラップしているように、検知チャンバ内のケーシング2101内に配置される。流れの中のガス特性を測定するために、流路2006に沿って超音波トランスデューサ2204(図22Aおよび図22B)を保持するように、開口部2102を配置することができる。
【0084】
流路2006は、トランスデューサの間の総距離を有する。いくつかの実施形態では、流路は、約10mm~約1000mm、約40mm~約200mm、約50mm~約150mm、約70mm~約120mm、約80mm~100mm、もしくは上述した値のうちの任意のものの間、または約95mmの総距離を有する。
【0085】
流路2006は、音響経路と一致する流路の部分を表す総流れ距離を有する。いくつかの実施形態では、流路は、約1mm~約500mm、約10mm~約200mm、約50mm~約150mm、約70mm~約100mmもしくは約70mm~約88mm、または上述した値もしくはその相当値のうちの任意のものの間、または約75mmの総流れ距離を有する。総流れ距離未満のトランスデューサ間の総距離は、デッドスペースに等しく、それは、ガス流のない超音波経路のいずれかまたは両方の端部にあり得る。
【0086】
流路2006は、約2mmを超えかつ約100mm未満、約5mm~約50mm、約10mm~約30mm、約12mm~約25mmもしくは約15mm~20mm、または上述した値のうちの任意のものの間、または約16mmの直径を有することができる。流路の直径を低減させることにより、有用な速度を超えて高流量でガス速度が増大する可能性があり、センサ測定値における非線形効果が増大する可能性があり、圧力降下に至る可能性があり、センサ配置および設計が制約/制限される可能性がある。流路の直径を増大させることにより、システムにおいてより多くの空間が取られる可能性があり、流量感度が低下することになる可能性がある。したがって、上述した範囲に従って最適なバランスを得ることができる。異なる流れ構成を有する装置により、等価な範囲を使用することができる。
【0087】
流路2006は、断面サイズで総流れ距離に対して等価なセンサ2204の感度を指す正規化流れ距離を有する。流量感度は、総流れ距離およびガス速度の影響を受け、ガス速度は断面サイズの影響を受ける。円形断面導管を想定すると、流量感度は、
【数2】
に比例し、式中、Dは総流れ距離を表し、rは断面半径を表す。
【0088】
いくつかの実施形態では、流路2006は、約1mm~約500mm、約10mm~約200mm、約50mm~約150mm、約70mm~約100mm、もしくは約70mm~約88mm、または上述した値もしくはその相当値のうちの任意のものの間、または約75mmの、流路の断面である、8mm半径に正規化された正規化流れ距離を有する。いくつかの実施形態では、流路2006は、約1mm~約500mm、約10mm~約200mm、約20mm~約60mm、約30mm~約50mm、または上述した値もしくはその相当値のうちの任意のものの間、または約40mmの、6mm半径に正規化された正規化流れ距離を有する。いくつかの実施形態では、約10mm~約500mm、約50mm~約200mm、約100mm~約150mm、約110mm~約130mm、または上述した値もしくはその相当値のうちの任意のものの間、または約120mmの、10mm半径に正規化された正規化流れ距離を有する。いくつかの実施形態では、流路2006は、6mm半径~10mm半径に正規化された正規化流れ距離を有し、正規化流れ距離は、約40mm~120mm、または上述した値もしくはその相当値のうちの任意のものの間である。
【0089】
図22A図22Cは、検知チャンバ内に配置されるように構成された検知回路基板2200の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、検知回路基板2200は、プリント検知回路基板(PCB)である。いくつかの実施形態では、回路は、回路基板に印刷される代わりに電子部品を接続する電線によって構築される。いくつかの実施形態では、検知回路基板の少なくとも一部は、流路の外側に実装される。
【0090】
検知回路基板2200は、超音波トランスデューサ2204と、別個のガス温度センサ2205、加熱温度検知素子2206、別個の温度センサともに使用される湿度のみのセンサを含む湿度センサおよび結合された湿度および温度センサ2208、気圧を測定するセンサ、差圧を測定するセンサ、ならびに/またはゲージ圧を測定するセンサのうちの1つまたは複数とを備えることができる。加熱温度検知素子は、加熱温度検知素子、白金線または加熱サーミスタ等の熱線風速計、および/またはNTC(negative temperature coefficient(負の温度係数))サーミスタを含むことができる。加熱温度検知素子の他の非限定的な例としては、ガラスもしくはエポキシ封止サーミスタまたは非封止サーミスタが挙げられる。加熱温度検知素子は、ガスの流量を測定するように構成される。検知回路基板2200は、第1部分2201および第2部分2202を備える。第1部分2201は、ガスの流路2006内にあるように配置され、第2部分2202は、ガスの流路2006の外側にあるように配置される。ガス流の方向は、図22A図22Cでは矢印2203によって示されている。ガス流の方向は、図22Aでは直線として示され、図22Bおよび図22Cでは曲線状である。空気の全体的な方向は、1つの上流トランスデューサ2204から離れて別の下流トランスデューサ2204に向かう。
【0091】
検知回路基板2200の第1部分2201は、流れに沿ってガス特性を測定するように、検知回路基板の各端部に超音波トランスデューサ、送受信器またはセンサを備えることができる。流路またはモジュールの外側の代わりに流路またはモジュール内にセンサを配置することにより、トランスデューサの対は、ともに互いに対して相対的に小さい温度範囲内で動作するか、またはともに実質的に1つの温度(すなわち、ガス流の温度)で動作することができる。トランスデューサは温度に影響されやすいため、それらを実質的に均一の温度にすることにより精度が向上する。さらに、流路に沿ってセンサを配置することにより、ガス速度の影響をセンサ測定値から除去することができるように、ガス速度の影響を考慮する測定および計算が可能となる。
【0092】
検知回路基板2200の両端部の超音波トランスデューサ2204の間の距離は、測定分解能に影響を与える可能性がある。超音波トランスデューサ2204の各々の間の距離が増大することにより、概して、測定される長さは幾分かの量の誤差を有することになるため、比例または分数誤差を低減させることができ、長さが増大する場合、測定中に発生する誤差の比率は、より短い長さの場合より小さい。したがって、全体的な測定の不確実性が低減する。距離の増大により、測定分解能および精度も増大することができ、それは、超音波トランスデューサ2204の間の音響信号に対してより長い期間が可能となるためである。しかしながら、距離の増大により、信号が弱くなる可能性がある。
【0093】
超音波トランスデューサ2204は、超音波トランスデューサ2204の間の空間が少なくとも部分的に流路2006と一致するように配置することができる。いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサは、検知回路基板の両端部に配置される。流路の全面が音響経路にさらされるため、音波は、流路2006内のガスのすべてを伝播する。音波の平均化は、流路の一部ではなく流路全体を横切って発生する可能性がある。より長い距離にわたる平均化により、誤差が低減し、空気-酸素混合の依存性が低減する。
【0094】
検知回路基板2200の第1部分2201は、流路2006内のサーミスタ2205等、温度センサを備えることができる。ガス流路内に温度センサを浸すことにより、ガスとセンサとの間の熱伝導が増大し、ガスのより正確な温度検知を可能にし、温度センサのより高速な応答を可能にすることができる。さらに、流路内に温度センサを配置することにより、寄生的な熱源およびヒートシンク、たとえば、モジュールの壁からの熱伝導を最小限にすることができる。いくつかの実施形態では、サーミスタ2205は、NTCサーミスタである。いくつかの実施形態では、サーミスタ2205はデジタルセンサである。
【0095】
いくつかの実施形態では、検知チャンバ内の検知回路基板は、チャンバ壁と検知回路基板との間の熱伝導を低減させるように配置された、銅トラック等のトラックを備える。図27Aは、トラック2701を備えた検知回路基板2200の実施形態を示し、図27Bは、トラック2701を備えた図27Aの検知回路基板2200の拡大部分を示す。いくつかの実施形態では、空気に対して伝熱をもたらすように、検知回路基板の外層にトラック2701が配置される。概して、検知回路基板トレースは、銅または他の同様の導電性材料の熱伝導率が高いため、検知回路基板全体の熱コンダクタンスの相当の部分に寄与する可能性がある。曲がりくねったより長いトラックにより、熱伝導が低減する可能性があるが、銅のより密な面により、検知回路基板のバルク導電率が増大する可能性もある。いくつかの実施形態では、トラックは、それほど密に配置されることなく、薄くかつ長い。こうした構成により、バルク導電率を実質的に増大させることなく、トラックによる熱伝導を低減させることができる。
【0096】
検知回路基板2200の第1部分2201は、加熱温度検知素子2206を備えることができる。加熱温度検知素子の温度は、選択可能であり得る。加熱温度検知素子2206は、本明細書に記載するようにガス流量を検知するように構成された可変温度センサである。図22Cは、加熱温度検知素子2206の周囲に切取部2012を示す。上述したトラックと同様に、ただしそれとは対照的に、切取部2012は、加熱温度検知素子2206に対する温度の影響を低減させることができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、検知チャンバは、検知回路基板2200の第2部分2202から検知回路基板2200の第1部分2201を分離するシールを備える。シールは、封止するように剛性部分に対して軟質面を提供するために、検知回路基板の中間部分の両側に、Oリングおよび溝を備えることができる。いくつかの実施形態では、シールは共成形部を備えることができ、そこでは、軟質層が装置の剛性部分の上に成形されて封止構成要素を提供する。シールは、流路の高圧領域を封止することができ、そこでは、回路の第1部分のセンサが、ガス流の特性を測定する。シールは、ガスが流路の高圧領域から漏出してフロー療法装置の電子回路に向かって移動するのを防止することができ、水が検知回路基板の第2部分と接触するのを防止することができる。
【0098】
検知回路基板2200の第2部分2202は、ドライバ、マイクロコントローラおよび/または他の回路2207を備えることができる。いくつかの実施形態では、第2部分2202は、超音波トランスデューサ2204の各々に対して、超音波トランスデューサによるパルス動作を制御する回路を備える。超音波トランスデューサ2204用の回路を超音波トランスデューサ2204に近接して配置することにより、雑音が低減し、温度の影響に対して回路を補償する能力が増大する。これにより雑音が低減し、それは、超音波トランスデューサ2204から検知回路基板処理回路2207まで信号を伝送するために、それらが近接しているため、短いアナログ部分のみがあればよく、周囲構成要素からの雑音を受けやすいこのアナログ部分が、検知回路基板2200における銅製の面等、2つの接地面の間に挟挿されるためである。信号が検知回路基板処理回路2207に達すると、任意のさらなる伝送は、雑音に対してロバストであるデジタル信号を介する。超音波トランスデューサ2204および回路2207が近接していることは、回路2207が、ガスと同様の温度である可能性がより高く、それにより、回路2207とガスとの温度差による超音波トランスデューサ2204の読取値の不正確を補償することを意味する。いくつかの実施形態では、2つの超音波トランスデューサ用の回路は、検知回路基板2200の第2部分2202の両端部にある。両端部に回路を配置することにより、信号の送信と受信との間の電気的干渉を回避することができる。
【0099】
次に、図22Cに関連して、検知回路基板2200のさらなる詳細について説明する。後述する特徴を、図22Aおよび図22Bに示す実施形態に組み込むことができる。図22Cに示すように、検知回路基板2200は、第1部分2201および第2部分2202を備える。第1部分2201を包囲する空気シールが、ガスが第1部分2201から漏出するのを防止するように構成されている。空気シールは、検知回路基板2200の各面(上面および下面)に対して封止するように構成することができる。検知回路基板2200の各面の空気シールは、Oリングシールであり得る。さらなる封止機構を使用することができる。非限定的な例は、チャンバ2101内に検知回路基板2200を取り付けるために孔2216に挿入されるボスをねじ込むために追加されたさらなる栓である。栓は、酸素を含むガスが、ねじを介して検知モジュールもしくは検知チャンバまたは検知回路基板2200から出る可能性を低減させることができる。流路および回路2207を封止する栓およびOリングシールは、ともに、共成形ガスケットに置換可能であり、それにより、使用する部品を少なくすることができ、組立時間および操作者のエラーの可能性が低減する。
【0100】
検知回路基板2200の第1部分2201は、検知回路基板2200の両端部に超音波トランスデューサ2204を備える。超音波トランスデューサ2204は、酸素濃度および流量等のガス特性を測定することができる。超音波トランスデューサ2204は、後述するように、オープンフレームまたはクローズドフレームであり得る。図22Cに示すように、超音波トランスデューサ2204は、検知回路基板2200に直接取り付けられる。この配置により、超音波トランスデューサが最初にケーシングと結合され、その後、検知回路基板2200に組み付けられた場合に発生する、音響結合を阻止することができる。直接取付の別の利点は、超音波トランスデューサを取り付けるために必要なステップが少なくなるということである。さらに、トランスデューサ2204間の距離は固定であり、それにより、経時的な物理的ドリフトの可能性が低減する。図22Cはまた加熱温度検知素子2206も示し、それは、流量を測定するように構成され、流路2203において温度センサ2205と湿度および温度センサ2208との間の略中途に位置する。流量を測定するために超音波トランスデューサおよび加熱温度検知素子の両方があることは、広範囲の流量にわたって高速かつ正確な流量測定を提供するのに有利である可能性があり、それについては詳細に後述する。
【0101】
図22Cの検知回路基板2200は、温度センサ2205ならびに温度および湿度センサ2208をさらに備える。温度および湿度センサ2208は、露点をモニタリングすることができる。図22Cに示すように、温度センサ2205は、温度および湿度センサ2208の上流である。温度センサ2205は、流路2203の入口の方に近く、温度および湿度センサ2208は、流路2203の出口の方に近い。温度センサ2205ならびに温度および湿度センサ2208は、各々、超音波トランスデューサ2204のうちの一方にそれぞれ近接している。たとえば、温度センサ2205ならびに温度および湿度センサ2208は、各々、超音波トランスデューサ2204のうちの一方の約10mm~50mmの範囲内にある。いくつかの実施形態では、温度センサ2205ならびに温度および湿度センサ2208は、各々、超音波トランスデューサ2204のうちの一方の約20mm~45mmの範囲内にある。いくつかの実施形態では、温度センサ2205ならびに温度および湿度センサ2208は、各々、超音波トランスデューサ2204のうちの一方の約30mm~40mmの範囲内にある。センサを保持するために図22Aおよび図22Bに示す直線状のフィンガとは異なり、図22Cの検知回路基板2200の第1部分2201は、読取値の精度を向上させるように、温度センサ2205ならびに湿度および温度センサ2208を流路2203の中心により近く配置するように、湾曲フィンガ2210を備える。温度センサ2205ならびに温度および湿度センサ2208により、システムは、流路2203内の2つの位置の温度を測定することができる。第1位置は、流路の入口の方に近く、温度は、温度センサ2205によって測定される。第2位置は、流路2203の出口の方に近く、温度は、温度および湿度センサ2208によって測定される。2つの温度読取値により、流路2203に沿った温度勾配の近似が提供される。この手法は、流路内に大きい温度勾配がない場合に適切に機能する。たとえば、加重和、または本明細書の開示により当業者であれば理解するような他の公式等の数式を用いて、2つの読取値からバルクガス温度計算を求めることができる。さらに、2つの温度は、温度センサ2205ならびに温度および湿度センサ2208が超音波トランスデューサ2204に近接するために、超音波トランスデューサ2204によって送受信される超音波信号の温度の優れた近似を提供する。これにより、流路2206に沿ったガス温度のみが酸素濃度および流量計算に関連するように、トランスデューサ自体への依存性を低減させることを目標とするエッジ検出法(「超音波検知」セクションにおいて後述する)が可能になる。
【0102】
別法として、流路内に大きい勾配がある場合、以下の技法を用いることができる。気圧センサ2209上の温度センサ(二重絶対圧センサのセクションにおいてより詳細に後述する)と温度および湿度センサ2208との間で、温度勾配を取得することができ、この勾配を、温度センサ2205と温度および湿度センサ2208との間の勾配とともに使用して、温度および湿度センサ2208に近い方の超音波トランスデューサ2004の温度を近似することができる。同じ技法を使用して、温度センサ2205に近い方の超音波トランスデューサ2004の温度を推定することができる。気圧センサ2209上の温度センサと温度センサ2205との間で温度勾配を取得することができ、この勾配を、温度センサ2205と温度および湿度センサ2208との間の勾配とともに使用して、温度センサ2205に近い方の超音波トランスデューサ2004の温度を近似することができる。
【0103】
装置の内部の露点は、外部の露点と実質的に同じであるため、湿度センサ2208は、露点測定値を提供する場合、装置の内部または外部の任意の場所に配置することができる。しかしながら、ガスがブロワによって混合された後に湿度を測定しているように、湿度センサを適所に配置することが有益である。この構成の1つの利点は、湿度測定値が湿度の変化より高速に応答するということである。別の利点は、装置が酸素濃縮器とともに使用される場合、超音波測定値は、濃縮器の効力に依存せず、混合前に周囲空気の湿度を測定することにより、濃縮器の効力に基づく誤差がわずかになる、ということである。
【0104】
回路基板2200の第2部分2202は、ドライバ、マイクロコントローラ、EEPROM等の不揮発性メモリおよび/または他の回路2207を備えることができる。マイクロコントローラの使用により、システムが実行している間、加熱温度検知素子と超音波トランスデューサとの間のセンサフュージョンを可能にして、超音波トランスデューサによって迅速に判断された流量を、より正確な加熱温度検知素子を用いて補正する。いくつかの実施形態では、マイクロコントローラは、不揮発性メモリを組み込む。不揮発性メモリの使用は、以下の機能および利点を提供する。校正パラメータおよびそれらのパラメータに対する範囲を格納することができ、上述したようなシステムのモジュール性が可能になる。後に「校正」セクションにおいて、さらなる詳細を提供する。各モジュールに対する一意のIDもまた格納することができ、それは、たとえば、製造中にかつ/または現場でモジュールの追跡に使用することができる。不揮発性メモリにより、動作中のエラーのログ記録も可能になり、それは、障害の診断に役立つことができる。
【0105】
超音波検知
音速(cによって表す)およびガス速度(vによって表す)を利用する検知システムのモデルを、後述し図25Aに示す。距離D離れている2つのトランスデューサ2204は、互いに面し、各々、それらの間の距離(「音響経路」2501)を移動し他方のトランスデューサ2204によって受信される、パルスを生成する。センサが、音響経路2501に対して平行なガス流の何らかの成分を有するように配置される場合、信号は、第1方向において、c+vの速度で流れとともに移動し、第2方向において、c-vの速度で流れに抗して移動する。センサは、これらの2つの信号の飛行時間を測定する。この飛行時間を使用して、cおよびvを計算することができ、ガス流量を求めることができる。
【0106】
第1方向における測定された飛行時間は、
【数3】
であり、第2方向では、
【数4】
であり、それらは、以下のように音速およびガス速度に対して解くことができる。
【数5】
【0107】
実際には、概して、超音波経路の両端において、ガス流がない「デッドスペース」がある。図25Bに、デッドスペース2502を組み込んだモデルを示す。概して、これらのデッドスペース領域2502は、明確に定義されず、超音波経路2501に一致する流路2503の構成要素は、検知領域の長さに沿って変化する可能性がある。しかしながら、本開示の平滑な湾曲流路により、流れプロファイルの変化が低減し、それにより、デッドスペースが低減する。デッドスペースが小さいため、図25Bに示す近似は非常に優れており、デッドスペースが明確に定義された領域であるかのように処理することができる。超音波経路2501の2つの端部の間で分割されたデッドスペース2502の平均距離Dと、ガス流2503がある距離Dとに対して、測定された飛行時間は、以下となる。
【0108】
【数6】
【0109】
cに対する正確な解は、以下のように得ることができる。
【数7】
【0110】
そして、以下によりガス速度が得られる。
【数8】
【0111】
音速がガス速度より著しく高くなるという仮定に基づいて、式を簡略化することができ、そのため、c>>vを近似することにより、式は、以下のように簡略化する。
【数9】
【0112】
ガス速度vに実効断面積Aを乗じることにより、以下のように体積流量を得ることができる。すなわち、Q=vAである。流れが音響経路と角度を形成する場合、体積流量は、以下のように表すことができる。
【数10】
【0113】
実効断面積は、断面積を十分に表す既知のパラメータおよび未知のパラメータの組合せのひとまとめにされたパラメータであるとみなすことができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、上述した式は他の形式に変換される。
【0115】
図23aは、本発明の実施形態による、超音波検知中のトランスデューサ信号伝達の実施態様の回路図を示す。送信器ドライバ2301は、空気を通って受信器2304まで伝播する信号2303を放出するように、送信器2302を駆動する。増幅器2305が波形を増幅し、エッジ、すなわち時間遅延が検出され2306、マイクロコントローラ2307が、駆動信号を提供してエッジを捕捉する。図23bは、図23aの経路の2つの方向を重ね合わせることによる、両方向における信号伝達の回路図を示す。複数のトポロジを実施することができる。
【0116】
送信器ドライバ2302は、インバータとして動作する4つのトランジスタを備え、最初の2つはレベルシフト用であり、次の2つはトランスデューサを駆動するハーフブリッジを形成する。送信器/トランスデューサ2303から送信器ドライバ2302を分離することにより、トランスデューサ2303が、反対方向の音響信号伝達中に受信器2304として動作するとき、ドライバ2302からトランスデューサ2303を隔離することができる。いくつかの実施形態では、送信器ドライバは、集積ドライバチップである。いくつかの実施形態では、送信器ドライバトランジスタはMOSFETであり、それは、より小さい遅延を示し、温度にわたってすぐれた安定性を有することができる。いくつかの実施形態では、送信器ドライバトランジスタは、バイポーラ接合トランジスタである。
【0117】
いくつかの実施形態では、送信器2303は、25kHz、40kHzまたは他の任意の周波数で動作する、「オープンフレーム」圧電トランスデューサを備えることができる。いくつかの実施形態では、送信器2303は、約20V未満等、低電圧で動作する「クローズドフレーム」圧電トランスデューサを備えることができる。酸素の安全性のために、低電圧は望ましい。一方、オープンフレームトランスデューサは、より広い振幅、より優れた感度および信号対雑音比を提供し、より低い電圧で作動し、したがって、本明細書に記載するフロー療法装置で使用するのにより好適である。しかしながら、オープンフレームトランスデューサは、封止されておらず、したがて、水の侵入によって損傷を受け、コーンがばらばらになったとき等、機械的損傷をより受けやすい可能性が高いため、信頼性がより低い可能性がある。一方、クローズドフレームトランスデューサは、コーンを有していないため、水の侵入または機械的損傷をそれほど受けやすくはない。しかしながら、クローズドフレームトランスデューサは、フロー療法装置の一般的な動作電圧を超える高電圧を必要とすることが多い。
【0118】
受信器2304は、25kHz、40kHzまたは他の任意の周波数で動作する「オープンフレーム」圧電トランスデューサを備えることができる。いくつかの実施形態では、受信器2304は、約20V未満等、低電圧で動作する「クローズドフレーム」圧電トランスデューサを備えることができる。いくつかの実施形態では、送信器2303および受信器2304は、同じタイプのトランスデューサである。
【0119】
図24aは、反対方向に送受信されている際の信号を概略的に示し、図24bは、送受信されている際の伝播信号2303を示す。トランスデューサ/送信器2302にパルス列が与えられ、それは、1つのパルスもしくはパルスのバースト2401、または矩形波であり得る。圧電トランスデューサは非常に共振が強い可能性があるため、トランスデューサ/送信器2303によって生成される信号は、矩形波ではない可能性があり、代わりに、包絡線正弦波であり得る。同様に、トランスデューサ/受信器2304によって受信される波形2402は、厳密には送信された音波ではない可能性があり、送信された音波およびトランスデューサ/受信器の共振の結合された効果に基づく可能性がある。回復段階2403の後、別のパルス列2401がトランスデューサ/受信器2304に与えられ、トランスデューサ/送信器2303によって受信される。
【0120】
パルス列の間の期間を変更することができるが、(たとえば、パルス列を時間的に互いに近づけることにより)期間を短縮することにより、トランスデューサのリンギングにより後続する列の間に干渉がもたらされる可能性がある。たとえば、パルス列の間の時間が短縮される場合、新たなパルス列は、先行するパルス列からの信号が安定する前に開始する可能性がある。したがって、パルス列における特定の点から求められる測定値が、安定する際に先行するパルス列の信号の最後とオーバーラップする可能性がある。超音波送信器は、リンギングを低減させるように設計された特徴を有することができる。図24Cに示すように、超音波送信器は、パルス2405を長くして、それが、駆動信号に近づくかまたは駆動信号から180°位相がずれるようにして、パルスのリンギングを迅速に低減させることができる。非常に多くの位相がずれたパルスによりリンギングが再度開始することになるため、リンギングを低減させるのに役立つように、わずかな数の追加の位相がずれたパルスを送信する必要がある。いくつかの実施形態では、180度より小さくまたは大きく位相がずれるように、パルスを変更することができる。他の実施形態では、リンギングを低減させるために、1つまたは複数のパルスを省略することができる。
【0121】
各パルス列で、任意の数のパルスを送信することができる。しかしながら、パルスの数を増大させることによりエコーが増大する可能性があり、それにより、センサの挙動が予測不能になる。パルスの数を低減させることにより、正確な測定値を得るための振幅が不十分になる可能性がある。いくつかの実施形態では、パルス列の総送信時間は、飛行時間未満である。送信時間が長くなることにより、たとえば、互いに干渉する信号、ガス内のエコーからの干渉、パルス動作からの電気的雑音、またはハウジングを通って移動する音響から、測定値に誤差がもたらされる可能性がある。いくつかの実施形態では、送信されるパルスの数は、1~50、1~10、5、または他の任意の数のパルスである。パルスの周波数を変更することができる。パルスの周波数は、送信器2303の周波数と同じであり、または送信器2303の周波数未満であり、または送信器2303の周波数を超えることができる。
【0122】
増幅器2305は、減結合コンデンサのないエミッタ共通バイポーラ接合送信(BJT)増幅器を備えることができる。この種の増幅器は、低い位相遅延および優れた周波数応答を達成することができる。他の実施形態では、増幅器2305は、演算増幅器または他の集積増幅器を備えることができる。
【0123】
エッジ/時間遅延2306は、受信波形のゼロ交差を測定することにより、すなわち、図24Bに示すように「RX」曲線2402におけるゼロと交差する場所より上の点を検出することにより、測定することができる。実際には、波形の最初のいくつかのエッジを検出することは困難であり、そこでは、信号対雑音比が非常に小さいため、受信器は単に「リングアップし(ring up)」始めるだけである。典型的には、その後、測定の開始点は、実際の開始の後の1つまたは複数のエッジとなり、真の飛行時間は、これから計算しなければならない。単純な線形回帰システムにおいて、少なくとも2つのエッジが測定され、測定点を適切な数の期間に外挿して波形の開始を見つけることができるように、波形の期間が計算される。多くのエッジが測定された場合、線形回帰を用いて、ゼロ番目のエッジにおける時間オフセットを計算することができる。最初に、隣接するエッジの算術平均をとることにより、波形のピークを計算することができる(それは、その後、同じタイプの計算に使用することができる)。算術平均計算は、本来は結果をわずかにゆがめる可能性がある、エッジ検出のゼロ点におけるオフセットの影響に作用する。
【0124】
実際には、これらの線形回帰方法は、本質的限界を有する。送信器および受信器の両方が非ゼロ位相応答を有し、上述したように、大部分の圧電トランスデューサは非常に共振が強い。さらに、各トランスデューサの正確な位相応答および共振周波数は、部品の間で、温度にわたって、かつ時間にわたって変化する可能性がある。そして、受信される実際の波形は、送信器インパルス応答が畳み込まれかつ受信器インパルス応答が畳み込まれる駆動波形である。したがって、受信波形は、真の包絡線正弦波ではなく、その開始時の複雑な位相遅延と波形が「リングアップする」際に変化する周波数とを有し、駆動波形、ならびにTXトランスデューサおよびRXトランスデューサ、より全体的にはインパルス応答の共振周波数の間の差に応じて、部分的なまたは完全なビートをもたらす可能性がある。基礎をなす共振周波数は、種々の温度および他の波形シフト条件の下でシフトするため、受信波形のその形状もまたシフトする。エッジにおけるいかなる単純な線形回帰も、シフトによって悪影響を受け、それは、単純な線形回帰が、波形の期間が測定されたエッジから外挿されたエッジまで変化しないと仮定するためである。これにより、これらのさらなる温度または同様の波形シフトの影響を考慮するために、線形回帰または同様の計算に対して温度および他の経験的補正が追加されることが必要になる。これらの補正はまた、経時的にまたは異なるトランスデューサにわたって正確でない可能性がある。
【0125】
波形をシフトさせる温度ドリフトまたは他の同様の影響を軽減させる1つの方法は、駆動周波数を調整することである。上述したように、多くのトランスデューサは、温度にわたって幾分か一貫した共振周波数のシフトを有し、そのため、これにしたがって駆動周波数を変更することができる。代替実施形態では、検知された波形から、トランスデューサの共振周波数を推定し、それに従って駆動周波数を調整して、システムが、駆動周波数を共振周波数と動的に一致させ、スプリアス位相遅延を最小限にすることができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、これらの差異、特に、直接調整することができない送信器と受信器との不一致をより適切に考慮するために、各エッジに重み付けするより一般的な式を使用することができる。たとえば、t=δ+Σ等の重み付きベクトルを使用することができ、式中、tは飛行時間であり、wはi番目のエッジに対する重みであり、Eはi番目のエッジの時間である。重みの適切な組を選択することにより、TX共振周波数およびRX共振周波数における妥当なシフトに対してさえも、畳込みプロセスの反転を密に近似する式を生成することが可能である。このように、飛行時間の計算において経験的温度補正はわずかにしかまたはまったく必要でない。
【0127】
いくつかの実施形態では、増幅波形を測定することにより、エッジ/時間遅延を測定することができる。増幅波形は、実際には、図24Bに示す捕捉されかつ格納されたRX波である。増幅波形を測定することにより、実際の波形が観察されているため、障害検出の改善を可能にすることができ、そうした測定はまた、時間遅延のより精緻な推定にも使用することができる。たとえば、受信波形と予め記録されまたは事前に定義された基準との間で相互相関を実行して、飛行時間測定を行うことができる。基準は、別個のまたは先行する波であり得る。相互相関は複雑な形状にわたって実行されるため、この方法は、エッジ検出で行われる「窓処理」に依存せず、この窓処理では、正確なエッジが検出されていることを知るために、エッジが事前定義された窓に入らなければならない場所を知る必要がある。「窓処理」の必要がなくなることにより、より広範囲の音速検知が可能になる。音速範囲によりエッジが窓の外側になる場合であっても、相互相関は依然として飛行時間を正確に測定することができ、それを使用して、エッジベースの測定に対して新たなエッジ窓を定義することができる。このように、特定のシステムにおいて高い音速範囲のために使用可能でなかった可能性のあるガス、たとえば、ヘリオックスまたは二酸化炭素が、使用可能となることができ、それらは、酸素による場合の数倍大きく音速変化をもたらす。波形の基準との比較もまた、低信号振幅、干渉、トランスデューサ周波数における許容できないシフト等、動作中の異常を強調することができる。各方向における波形もまた互いに相互相関して、飛行時間差をもたらすことができ、それから流量を計算することができる。
【0128】
マイクロコントローラ2307は、駆動信号を提供し、エッジを捕捉する。マイクロコントローラは、任意の周波数で動作することができるが、周波数が高いほど分解能を向上させることができる。マイクロコントローラ2307は、24MHz、48MHz、72MHz、120MHzまたは他の任意の周波数で動作することができる。
【0129】
校正
いくつかの実施形態では、センサを組み合わせて使用して、冗長性を提供しフロー療法装置を校正することができる。本明細書の目的で、校正は、変数を検査すること、および/または測定された変数と予測された変数または基準変数との間に差がある場合に、システム、測定値および/または表示を調整することを指す。加熱温度検知素子は、低流量で超音波と比較して感度の上昇をもたらす対数応答を有する。加熱温度検知素子は、低流量測定精度の向上を可能にすることができるが、超音波トランスデューサは、高速測定を可能にすることができる。制御システムは、ブロワおよび酸素流をオフにして既知の値を有する状況をもたらし、異なるタイプのセンサからの読取値を比較して、検知された値が許容可能であるか否かを判断することができる。そして、制御システムは、ブロワ速度および酸素流量を変更し、異なるタイプのセンサからの読取値を使用するかまたは比較し、それに従って校正することができる。
【0130】
校正は、ガス速度、流量、ガス温度、湿度、圧力および/または酸素濃度を含む、ガス特性を計算するために使用される数学モデルにおけるパラメータの調整であり得る。特に、ガス特性が数学的モデルに基づいて計算される場合、関係におけるモデルパラメータは、未知の変動を示す可能性がある。センサを用いて既知の条件の間に測定を行うことにより、モデルにおいてこれらの測定値を使用して、未知のパラメータを解くことができる。
【0131】
未知のパラメータの校正調整は、単にそのパラメータの直接の物理的解釈によるよりシステムにおけるより大きい変動を考慮することができる(すなわち、調整は、複数のパラメータの未知の変動を考慮することができる)。これは、少なくとも2つの状況で発生する可能性がある。第1に、2つのパラメータは分離できない可能性があり、その場合、校正調整は、2つのパラメータの影響を結合するものとしてみなすことができる。たとえば、上述したガス速度に対する超音波検知モデルでは、項
【数11】
のパラメータは、それらを識別するためにいかなる変数によってもグループ化されず、そのため、校正の目的で、それらの結合された値を調整することができる。第2に、システムは、パラメータのすべてを解くために十分な校正点を有していない可能性があり、その場合、校正調整は複数のパラメータの変動を近似することができる。たとえば、上述した音速に対する超音波モデルの場合、パラメータD+D、tおよびtは、複数の校正点を使用することによって明確に考慮することができる明確な変動性を示すことができる。しかしながら、1つの校正点を使用するより単純な場合では、上述したパラメータのうちの1つを解いて、上述したパラメータのすべての総変動性を考慮することができる。この第2の場合では、システムを検証し、かつ/またはさらなる校正点が必要である可能性があるか否かを検査するために、さらなる測定を行うことができる。
【0132】
たとえば、既知の音速と、超音波飛行時間tおよびtの校正点測定値とを使用する、上述した音速に対するモデル
【数12】
では、校正すべきパラメータはD+Dである可能性があり、そこでは、上記モデルから、
【数13】
である。こうした校正点は任意の流量で取得することができ、モデルにおいてガス速度は現れないが、ゼロ流量で校正点を取得することにより、ガス速度と音速との間の残留相互効果を低減させることができる。
【0133】
しかしながら、上述した流量に対するモデル
【数14】
では、ゼロ流量において同様の校正を行うことができず、それは、項
【数15】
を0に等しいと予測され得るためである。しかしながら、概して、主にトランスデューサ遅延のために、2つの方向の間のわずかな非対称が予測される可能性がある。非対称は、以下のようにモデル化することができる。
【数16】
非対称に対するこのモデルを使用して、ガス速度に対するモデルを以下のように調整することができる。
【数17】
モデルにおける残りの値は、流路の幾何学的形状に基づき、相対的に変動は受けにくい。したがって、ガス速度に対する調整されたモデルを使用して、ゼロ流量において校正することができる。
【0134】
いくつかの実施形態では、校正方法は、ゼロ流量に依存せず、任意の流量において適用することができる。校正方法は、各飛行時間方向において別個の遅延δおよびδを考慮することができ、それにより、音速計算は以下のようになる。
【数18】
【0135】
同様にvに対して、cおよびvの値が既知である場合、遅延は以下によって計算される。
【数19】
【0136】
この場合、D+Dの値は、すべてのセンサに対して固定であるか、または製造中に別個に求めることができる。cまたはvを別個に校正することが望まれる場合、残りの変数に対する現計算値を置換することができる。たとえば、音速読取値に影響を与えることなく流量を校正するために、cの現検知値が使用され、δおよびδの値を生成し、それは、cではなくvに影響を与える。このように、任意の既知の流量で、逆に音速に対して、流量を校正することができる。
【0137】
他のセンサに対する校正を同様に採用することができる。たとえば、加熱温度検知素子は、Kingの法則またはその派生物によってモデル化することができ、校正点における測定値に基づいて未知のパラメータを調整することができる。いくつかの実施形態では、高速であるが低流量では常に正確とは限らない超音波トランスデューサにより、かつ低速であるが低流量では優れた精度を有する加熱温度検知素子により提供される冗長性を、動作中に結合して、高速かつ低流量で正確な連続した読取値を提供することができる。たとえば、低流量は、約25L/分未満、または約20L/分未満、または約15L/分未満の流量を含む。たとえば、加熱温度検知素子から流量読取値が取得されるたびに、それを使用して、上述した段落に記載したように、超音波トランスデューサの校正パラメータを計算するかまたは調整することができ、それにより、超音波トランスデューサの読取値における任意の誤差またはドリフトを連続的に補正することができる。調整は、直接、またはフィルタを用いて所定量によりもしくは所定流量でのみパラメータを調整することにより、行うことができ、かつ/または、調整のレベルに対して、流量または他の検知パラメータに関して、または、カルマンフィルタと同様に、既知のシステム応答特性を使用して最適な重み付けを推定することにより、重み付けすることができる。調整はまた、同様に構成パラメータに対する代わりに、超音波トランスデューサの流量読取値に対して直接行うことも可能である。
【0138】
いくつかの実施形態では、したがって、システムの校正は、図26Aのフローチャートに示す以下のステップで採用することができる。最初に2601、制御システムは、弁をオフにし、ブロワを一定ブロワ速度に調整することができる。さまざまなセンサからの測定値(たとえば、超音波、温度、湿度、圧力)に対し、許容可能値の範囲内にあるか検査して、システムが適切に動作していることを確実にすることができる2602。たとえば、超音波トランスデューサからのおよその流量を検査して、流路が閉塞されていないことを確実にすることができ、かつ/または、圧力センサによって圧力を測定し、それが許容可能な値の範囲内にあるように確認することができる。
【0139】
次に、制御システムは、ブロワおよび弁をオフにして、ゼロ流量をもたらすことができる2603。超音波トランスデューサからの測定値を使用して、上述したように、総センサ距離(D+D)およびゼロ流量オフセットを校正することができる2605。超音波トランスデューサからの測定値を基準として使用して、加熱温度検知素子を校正することができる。しかしながら、加熱温度検知素子は、概して、2つの校正点を必要とし、それは、加熱温度検知素子は、システムにおいてより多くの未知数(たとえば、温度感度、温度および/または電力勾配)を有するためである。超音波トランスデューサを校正して、基準として使用して、たとえば、ゼロ流量におけるまたは1つもしくは複数の非ゼロ流量条件において、さらなる校正を行うように少なくとも1つの新たな条件を生成することができる。
【0140】
超音波トランスデューサ2612を校正した後、システムは、校正された超音波トランスデューサを使用して他のセンサ2613を校正することができる。流れがシステムを通過しているように、ブロワをオンにすることができる2606。弁は依然としてオフの状態で、酸素濃度は、20.9%(空気中の酸素の濃度)に近いことが分かる。酸素読取値が許容可能な値の範囲内にあることを検査するために、測定を行うことができる2607。同様に、装置が既知の酸素源に取り付けられている場合、弁を完全に開放することができ、ブロワを低流量に設定することができ、たとえば、酸素濃縮器がおよそ100%の酸素のみを送出する場合、酸素読取値が略100%であるかまたは値の許容範囲内にあることを検査するために、測定を行うことができる。さらに、100%酸素では、相対湿度センサによる測定を行って、相対湿度読取値が略0%であるかまたは値の許容範囲内にあることを検査することができる。
【0141】
超音波トランスデューサおよび加熱温度検知素子の両方で測定を行い、それらの測定値を比較する2608ことにより、制御システムは、それに従って加熱温度検知素子パラメータを校正することができる2609。流量のさらなるセットをもたらすようにブロワを調整することができ、それは、さらなる校正点に対して測定することができる。
【0142】
そして、制御システムは、ブロワ2610をオフにすることができ、既知のゼロ流量で、超音波トランスデューサおよび加熱温度検知素子の校正を検証することができる2611。
【0143】
図26Bは、システムの校正ステップの別の実施形態を示す。ステップ2620において、システムは、所与の動作パラメータに対して予測値を生成する。予測値は、ルックアップテーブル、ユーザ入力、計算値等からであり得る。ステップ2622において、システムは、ステップ2620からの所与のかつ既知の動作パラメータで作動する。ステップ2624において、システムは、センサのうちの1つを使用して第1値を測定する。ステップ2626において、システムは、第1値をステップ2620からの予測値と比較する。ステップ2628において、システムは、第1値および予測値の差に基づいて測定値を校正することができる。校正することができる測定値としては、音速、ブロワがオフ(ゼロ流量)での流れまたは特定の流量での流れが挙げられる。任意選択的に、ステップ2630において、システムは、検査として異なる動作パラメータで作動することにより、ステップ2620~2628を一度または数回繰り返すことができる。いくつかの実施形態では、システムは、任意選択的に、ステップ2632において、第1値を出荷時設定と比較することができる。比較は、比較ステップ2626においてまたは比較ステップ2626の後のいずれにおいても行うことができるが、いかなる校正も行われる前に行うことができる。第1値が限界外にある場合、システムは、校正プロセスを停止し、警報を出力することができる。この限界は、たとえば、工場公差、または装置が作動すると想定される他の所定校正限界であり得る。
【0144】
いくつかの実施形態では、校正システムは、そのパラメータを検査し、許容可能な限界内に適合するための要求に応じてそのパラメータを調整する。いくつかの実施形態では、校正システムは、そのパラメータを検査して、パラメータを調整することなく、検知された値が許容可能であるか否かを判断する。製造中にシステムの校正を行って、システムの後の校正のための基準としての役割を果たすことになる許容可能な値を求めることができる。校正は、工場において、使用者により、またはシステムによって自動的に、行うことができる。たとえば、システムは、使用者に対し、校正が必要であることを促すか、または必要な場合はいつでもシステムが校正されるか、もしくは適切な時点でのみ校正されるように、ユニットを自動的に校正することができる。別の例では、使用者は、校正システムを開始することができる。
【0145】
二重絶対圧センサ配置
フロー療法装置は、二重絶対圧センサを備えることができ、それらのうちの一方は、図22Cにおける気圧センサ2209である。一般に、ガス流圧力と周囲圧力との差を測定するために、検知モジュールにゲージセンサが配置される。ガス流圧力と周囲圧力との差は、フロー療法装置の使用者が、ガスが使用者に送達されるときにいかに感じるかをモニタリングするための値である。ゲージセンサは、わずかな範囲内で測定し、したがって、高い分解能、絶対圧センサより低い雑音および高い精度という利点を有する。しかしながら、ゲージセンサにはいくつかの欠点がある。ゲージセンサには、2本のパイプの設置が必要である。パイプは、いくつかの理由で問題がある可能性がある。パイプは、たとえば抜け落ちる可能性があり、それにより、酸素が漏れる。酸素の漏れは安全上の問題である。ゲージセンサはまた、配置に影響されやすく、それは、センサのポートは、流れに面するかまたはよどみ点圧力を有する領域にない可能性があるためである。また、パイプは、センサを収容するケースの孔を貫通する必要があるため、ケースの構造は頑強性が低い。
【0146】
本明細書に記載するフロー療法装置は、患者における送達圧力を制御するのではなく流量を制御するため、システムは、読取値における雑音によってそれほど影響を受けない。たとえば、これは、患者の呼吸と同期するために有用であり得る。雑音は、一般に、フィルタリングで除去することができる。したがって、療法装置における絶対圧センサは、流量を制御する目的で読取値の精度を損なうことなく、シールの後方にいかなるパイプも不要にすることにより、ゲージ圧センサより単純な機械的設計を提供することができる。
【0147】
上述したように、一方の気圧センサは、流路にあり、図22Cの検知回路基板2200の上に位置する。ガス流路または装置の加圧領域とともに位置しておらず周囲温度にさらされているプリント回路基板に、他方の気圧センサを配置することができる。したがって、図28のフローチャートに示すように、ステップ2802において、流路内の検知回路基板上の気圧センサは、図1のコントローラ13または図19のコントローラ600等、システムのコントローラに、ガス流の絶対圧Pを提供する。他方の気圧センサは、ステップ2804において、コントローラに周囲圧力Pに関する読取値を提供する。コントローラは、ステップ2806においてこれらの2つの値の差P-Pを計算し、ステップ2808において、圧力差をシステムにおけるゲージ圧Pとして出力する。システムは、ゲージ圧Pを使用して、モータ速度曲線を調整し、酸素またはガス流量の制御を補正することができる。たとえば、ゲージ圧Pは、患者の呼吸と同期するために有用であり得る。
【0148】
2つの気圧センサの測定値に基づいてシステムにおけるゲージ圧Pを計算し、酸素漏れをなくすことにより使用者の安全性を向上させることに加えて、二重絶対圧センサ配置はまた、以下の応用および/または利点も有する。
【0149】
図22Cの気圧センサ2209等、流路における絶対圧センサにより、酸素計算に対してわずかな補正を行うことができる。図22Cの気圧センサ2209等、流路に配置された絶対圧センサにより、超音波流量センサ(体積流量)と加熱温度検知素子(質量流量)との間の比較が可能になる。モータは一定の体積流量を生成するため、装置において、体積流量検知における大きい変化は予期されない。しかしながら、一定のモータの場合、高度、温度または酸素分画により、質量流量は変化する。絶対圧センサは、超音波流量センサと加熱温度検知素子との間で読取値を比較するために、体積流量を質量流量にまたはその逆に変換するために必要なガスの密度を算出するのに役立つ。これにより、センサの精度を求め、必要に応じて補正を行うことができる。たとえば、質量流量は、
質量流量=密度×体積流量
として計算することができる。
【0150】
システムから加熱温度検知素子が取り除かれる場合、上記式を使用することにより、質量流量は、依然として体積流量に変換することができる。2つの気圧センサの読取値に基づいてシステムにおけるゲージ圧Pを計算する別の応用は、この配置が、圧力測定値をアルゴリズムに含めることにより、漏れおよび閉塞アルゴリズムに対するより明確な範囲、またはより精密な漏れおよび閉塞警報を可能にするというものである。質量流量と体積流量との間の変換はまた、加熱温度検知素子に基づいて超音波流量読取値を補正するためにも有用である。さらに、周囲圧力センサの追加により、質量流量と体積流量との間の変換が発生して、システムが異なる高度に対して限界を再定義することができるようにすることができる。その結果、限界は、周囲条件に対してより特有であり、より高い精度でより多くの漏れ/閉塞事象を見つけることができる。
【0151】
具体的には、閉塞警報は、ブロワが、予測されたブロワ速度より高い速度で作動していることによってのみ流量を維持することができる場合に、発生する。したがって、高度が増大する場合、質量流量は低減し、それは、ブロワ速度が所望の質量流量を送達するために増大しなければならないことを意味する。その結果、システムは閉塞を検出することができ、それは、圧力センサにより、閉塞に対する限界を調整することができ、それにより、より高い高度では、システムは、所与の質量流量に対してより高いモータ速度を予期することが分かり、同様により低い高度では、システムは、所与の質量流量に対してより低いモータ速度を予測することが分かる。
【0152】
同様に、たとえば、システムからチャンバが取り除かれる(したがって、制約が低減する)場合、ブロワが、所望の流量を維持するためにこうした高速で作動する必要がない場合、漏れ警報が発生する可能性がある。圧力センサなしでは、より高い高度において質量流量の低減により、より低い高度における同じモータ速度に対して、より低い流量が見られ、それは、システムを混乱させ、システムに対してより大きい限界が定義されることを必要とする可能性がある。したがって、異なる高度に対して限界を再定義することができることは、より高い高度に対してより低い限界を定義することができ、したがって、より多くの漏れ/閉塞状態を見つけることができることを意味する。
【0153】
より具体的には、流路における絶対圧センサにより、ガス内の水蒸気の部分圧力に応答して、補正を行うことができる。任意の湿度アルゴリズムにおいて、圧力によって決まる、入ってくるガスの含水量を知ることは有用である。特に、電力ベースの湿度制御アルゴリズムでは、ガス特性は、ガスが加湿される前に入口において測定され、生成された湿度は、水を加熱するためのヒータプレートに対する電力入力とこれらのガス特性とに基づいて推定される。この場合、圧力は、湿度推定の精度に大きく影響を与え、それは、所与の露点温度を達成するために必要な水の質量が、周囲圧力に大きく依存するためである。ゲージ圧もまた湿度計算に影響を与える可能性があるが、露点温度で対応する降下をもたらす、患者インタフェース8を介する等の患者出口ポート21、344へのまたは患者への圧力降下に基づいて、より小さい程度である。
【0154】
生の周囲圧力値のみが測定され装置に提供されるが、高度を手動でまたはさまざまなアルゴリズムを使用して自動的に計算し、システムに対する検査として使用することができる。たとえば、装置は、圧力読取値に基づいて高度を計算し、計算された高度を、これが装置からの現実的な読取値であるか否かを判断するために、使用者に対して表示することができる。別の例では、装置は、表示された高度が正確であるかことを確認するように使用者を促すことができ、または、装置は、使用者に対して高度レベルを入力するように要求することができる。
【0155】
いくつかの実施形態では、システムは、流路または加圧領域の外側に配置されかつ周囲温度にさらされた、または制御基板と検知モジュールまたは検知チャンバとの間のゲージ圧センサによって周囲圧力を読み取るために好適な他の位置に配置された、絶対圧センサを使用することができる。システムは、ゲージ圧センサによる差圧と絶対圧センサによる周囲圧力測定値とを加算することにより、患者に送達されている総圧力を求めることができる。
【0156】
別段文脈が明確に要求しない限り、明細書および特許請求の範囲を通して、「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」等の用語は、排他的なまたは網羅的な意味と反対の包含的な意味で、すなわち、「限定されないが、~を含む」という意味で解釈されるべきである。
【0157】
「約」という用語は、本明細書では、標準測定精度内にあることを意味するために採用される。
【0158】
本明細書におけるいかなる先行技術に対する言及も、その先行技術が、世界中のいかなる国においても努力傾注分野において共通の一般知識の一部を形成するという承認またはいかなる形態の示唆でもなく、そのように解釈されるべきではない。
【0159】
開示する装置およびシステムはまた、個々にまたはまとめて、本出願の明細書において言及しまたは示す部品、要素および特徴、ならびに前記部品、要素または特徴のうちの2つ以上の任意のまたはすべての組合せにあると広義に言うことも可能である。
【0160】
上述した説明では、既知の均等物を有する完全体または構成要素について言及されている場合、それらの完全体は、個々に示されているかのように本明細書に援用される。
【0161】
実施形態に応じて、本明細書に記載したアルゴリズム、方法またはプロセスのうちの任意のもののいくつかの行為、事象または機能は、異なる順序で行うことができ、追加し、併合し、または完全に除外することができる(たとえば、アルゴリズムの実施のために、記載した行為または事象のすべてが必要であるとは限らない)。さらに、いくつかの実施形態では、行為または事象は、逐次ではなく、同時に、たとえば、マルチスレッド処理、割込み処理、または複数のプロセッサもしくはプロセッサコアを通して、または他の並列アーキテクチャで、実行することができる。
【0162】
当業者であれば、本明細書に記載した現時点で好ましい実施形態に対するさまざまな変形および変更が明らかとなることが留意されるべきである。こうした変形および変更は、開示した装置およびシステムの趣旨および範囲から逸脱することなく、かつその付随する利益を減じることなく、行うことができる。たとえば、さまざまな構成要素を要求に応じて再配置することができる。したがって、こうした変形および変更は、開示した装置およびシステムの範囲内に含まれることが意図されている。さらに、開示した装置およびシステムを実施するために、特徴、態様および利点のすべてが必ずしも必要であるとは限らない。したがって、開示した装置およびシステムの範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義されるように意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図23A
図23B
図24A
図24B
図24C
図25A
図25B
図26A
図26B
図27A
図27B
図28
図29
図30
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図32
図33