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特許7607106電力供給システム、および、電力供給方法
<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電力供給システム、および、電力供給方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/46 20060101AFI20241219BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20241219BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20241219BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/00 130
H02J3/00 170
H02J3/38 120
H02J13/00 311R
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023206051
(22)【出願日】2023-12-06
【審査請求日】2024-03-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523460925
【氏名又は名称】株式会社Across Digital
(73)【特許権者】
【識別番号】523460936
【氏名又は名称】株式会社JERA Cross
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】大杉 慎平
(72)【発明者】
【氏名】一倉 健悟
(72)【発明者】
【氏名】里中 孝至
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 憲作
(72)【発明者】
【氏名】樋沢 拓真
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-207709(JP,A)
【文献】特開2014-131384(JP,A)
【文献】国際公開第2023/171144(WO,A1)
【文献】特開2023-136289(JP,A)
【文献】特開2023-072120(JP,A)
【文献】国際公開第2020/250648(WO,A1)
【文献】特開2023-098446(JP,A)
【文献】特表2017-531998(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第115115201(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00-5/00
H02J13/00
G06Q50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電設備から電力が供給される電力供給地点から、電力が分配される需要単位を複数有し、
前記需要単位ごとの電力使用状況に基づいて、需要予測モデルを用いて現時点よりも後の予測時刻における当該需要単位の消費電力の予測値である予測需要量を予測する需要予測部と、
前記予測時刻における目標総供給量と低環境負荷電力の目標供給量を満たすように、運転環境に応じて電力供給量を調整可能とする調整可能電源を少なくとも1つ含む複数の電源の運転を制御する供給制御部と、
前記需要単位において低環境負荷電力の比率を所定の目標率以上とする前記予測需要量を満たすように前記目標総供給量と低環境負荷電力の前記目標供給量を設定する目標設定部と、を備え、
前記複数の電源は、さらに電力供給量を調整できない変動電源を含み、前記変動電源は、少なくとも1個の低環境負荷電力の電源を含む
電力供給システム。
【請求項2】
前記目標設定部は、特定の適用期間において前記予測需要量を満たすように前記目標総供給量と低環境負荷電力の前記目標供給量を設定する
請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記需要単位における消費電力の実績値である実績消費電力を計測する計測部と、をさらに備える
請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記計測部は、前記電力供給地点に係る設備の特定領域に分電する分電盤に併設される 請求項3に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記計測部は、前記電力供給地点に係る設備から特定機器に電力を供給する電力線に設置される
請求項3に記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記需要単位は、前記電力供給地点から電力が供給される1以上の機器と1以上の領域の少なくともいずれかに関する需要者である
請求項3に記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記電力使用状況は、前記実績消費電力と、前記需要単位における活動情報、設備の利用情報と気象情報の少なくともいずれかを含み、
前記電力使用状況に基づいて予測される予測消費電力と前記実績消費電力との差が低減されるように前記需要予測モデルを学習するモデル学習部と、をさらに備える
請求項3に記載の電力供給システム。
【請求項8】
前記電力の供給に係る環境負荷は、炭酸ガスの排出である
請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項9】
前記需要単位への供給電力の推移を出力する出力処理部と、をさらに備える
請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項10】
前記出力処理部は、電源種別ごとの前記供給電力の成分、前記供給電力における低環境負荷電力の比率および前記低環境負荷電力の供給に係る環境負荷物質の削減量の少なくともいずれかを、さらに出力する
請求項9に記載の電力供給システム。
【請求項11】
電力供給システムにおける電力供給方法であって、
前記電力供給システムは、
配電設備から電力が供給される電力供給地点から、電力が分配される需要単位を複数有し、
需要予測部が、前記需要単位ごとの電力使用状況に基づいて、需要予測モデルを用いて現時点よりも後の予測時刻における当該需要単位の消費電力の予測値である予測需要量を予測する需要予測ステップと、
供給制御部が、前記予測時刻における目標総供給量と低環境負荷電力の目標供給量を満たすように、運転環境に応じて電力供給量を調整可能とする調整可能電源を少なくとも1つ含む複数の電源の運転を制御する供給制御ステップと、
目標設定部が、前記需要単位において低環境負荷電力の比率が所定の目標率以上となる前記予測需要量を満たすように前記目標総供給量と低環境負荷電力の前記目標供給量を設定する目標設定ステップを有し、
前記複数の電源は、さらに電力供給量を調整できない変動電源を含み、前記変動電源は、少なくとも1個の低環境負荷電力の電源を含む
電力供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施形態は、電力供給システム、および、電力供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、気候変動の顕在化により環境負荷低減が重要な課題となっている。事業活動においても、良好な企業イメージを形成するうえで、環境負荷低減がしばしば宣伝されることがある。また、地球温暖化の主要因となる炭酸ガス(CO)を排出しない再生可能エネルギーのエネルギー源となる太陽光発電システム、風力発電システムなどの普及が図られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、電力の需要側が買電した電力のうち、炭酸ガスの排出を伴わないクリーン電力の電力量を把握可能とする需要クライアント脱炭素管理システムについて記載されている。
特許文献2には、複数の発電所から電力供給を受ける需要家領域での電力需給を管理するにあたり、供給される電力の特性を考慮して電力需給を管理する需給管理システムについて記載されている。
【0004】
また、世界的な電力の脱炭素化を目指すため、国際連合主導で国際イニシアティブ「24/7 Carbon Free Energy」(以下、「24/7 CFE」)が提唱されている。24/7 CFEは、24時間、365日の電力消費量に合わせてカーボンフリー電力を100%供給することを指す。24/7 CFEに参画する企業も増加しつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許6945904号公報
【文献】特開2016-46916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、再生可能エネルギーの供給量は、天候などの環境に顕著に依存する。そのため、全ての電力需要を再生可能エネルギーで常に賄うことは現実的ではない。例えば、夜間、雨天時などにおいては、太陽光発電による発電が見込めないので、他の方式で不足する電力を補う必要が生じる。
本願は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、配電設備からの電力の供給先となる電力供給地点から電力が分配される需要単位において環境負荷を低減した電力供給を実現するための電力供給システム、および、電力供給方法を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る情報処理システムは、配電設備から電力が供給される電力供給地点から、電力が分配される需要単位を複数有し、前記需要単位ごとの電力使用状況に基づいて、需要予測モデルを用いて現時点よりも後の予測時刻における当該需要単位の消費電力の予測値である予測需要量を予測する需要予測部と、前記予測時刻における目標総供給量と低環境負荷電力の目標供給量を満たすように、運転環境に応じて電力供給量を調整可能とする調整可能電源を少なくとも1つ含む複数の電源の運転を制御する供給制御部と、前記需要単位において低環境負荷電力の比率を所定の目標率以上とする前記予測需要量を満たすように前記目標総供給量と低環境負荷電力の前記目標供給量を設定する目標設定部と、を備え、前記複数の電源は、さらに電力供給量を調整できない変動電源を含み、前記変動電源は、少なくとも1個の低環境負荷電力の電源を含む
【0008】
第2の態様に係る情報処理方法は、電力供給システムにおける電力供給方法であって、 前記電力供給システムは、配電設備から電力が供給される電力供給地点から、電力が分配される需要単位を複数有し、需要予測部が、前記需要単位ごとの電力使用状況に基づいて、需要予測モデルを用いて現時点よりも後の予測時刻における当該需要単位の消費電力の予測値である予測需要量を予測する需要予測ステップと、供給制御部が、前記予測時刻における目標総供給量と低環境負荷電力の目標供給量を満たすように、運転環境に応じて電力供給量を調整可能とする調整可能電源を少なくとも1つ含む複数の電源の運転を制御する供給制御ステップと、目標設定部が、前記需要単位において低環境負荷電力の比率が所定の目標率以上となる前記予測需要量を満たすように前記目標総供給量と低環境負荷電力の前記目標供給量を設定する目標設定ステップを有し、前記複数の電源は、さらに電力供給量を調整できない変動電源を含み、前記変動電源は、少なくとも1個の低環境負荷電力の電源を含む
【発明の効果】
【0009】
本願によれば、電力の供給先となる供給地点よりも細分化した供給単位において環境負荷を低減した電力供給を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る電力供給システムの機能構成例を示す概略ブロック図である。
図2】第1実施形態に係る分電盤の機能構成例を示す概略ブロック図である。
図3】第1実施形態に係る端末装置の機能構成例を示す概略ブロック図である。
図4】需要予測モデルを例示する説明図である。
図5】第1実施形態に係る使用状況情報のデータ構成例を示す図である。
図6】第1実施形態に係る表示画面を例示する図である。
図7】需要予測モデルへの入力値の要素の寄与度を例示する図である。
図8】供給量予測モデルを例示する説明図である。
図9】供給量予測モデルへの入力値を例示する図である。
図10】第2実施形態に係る計測部の第1構成例を示す外観図である。
図11】表示部の配置例を示す図である。
図12】第2実施形態に係る計測部の第2構成例を示す外観図である。
図13】第2実施形態に係る使用状況情報のデータ構成例を示す図である。
図14】第2実施形態に係る変形例を説明するための説明図である。
図15】第3実施形態に係るマッピングテーブルを例示する図である。
図16】第3実施形態に係る利用状況情報を例示する図である。
図17】第3実施形態に係る配電構成例を示す図である。
図18】第3実施形態に係る表示画面を例示する図である。
図19】本願の実施形態に係る装置のハードウェア構成例を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
本願の実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、第1実施形態に係る電力供給システムPSについて説明する。
図1は、本実施形態に係る電力供給システムPSの機能構成例を示す概略ブロック図である。電力供給システムPSは、計測部12、端末装置14、需要予測部22、電力供給管理システム30、電源システム40、送配電システム50および分岐点62を備える。
【0012】
個々の電力供給地点には、送配電システム50をなす配電設備から電力が供給される。電力供給システムPSには、一般に多数の電力供給地点が存在する。本実施形態では、電力供給地点よりも下流の分岐点62から電力が分配される需要単位64における電力使用状況に基づいて、需要予測モデルを用いて需要単位64における消費電力の予測値が予測消費電力として予測される。電力供給システムPSからの電力の総供給量と低環境負荷電力の目標総供給量を満たすように、運転環境に応じて電源システム40に備わる電源の運転が制御される。また、需要単位64において低環境負荷電力の比率を所定の目標率以上とする予測消費電力が確保されるように総供給量と目標総供給量が設定される。需要単位64に対し電力供給地点へ配電される。
【0013】
以下の説明では、電力供給に係る環境負荷が炭酸ガスCO(carbon dioxide)の大気中への排出である場合を主とする。その場合、供給される電力のうち低環境負荷電力の比率としてCFE(Carbon Free Energy)率が用いられる。本願では、電力供給に際し炭酸ガスの排出を伴わない電源を「CFE電源」と呼ぶことがある。電力供給に際し炭酸ガスの排出を伴わない電源を「非CFE電源」と呼ぶことがある。CFE電源から供給される電力を「CFE電力」と呼ぶことがある。
【0014】
電力供給システムPSにおいて、計測部12、端末装置14、需要予測部22および電力供給管理システム30は、主に電力供給地点よりも下流における需要単位64への電力供給に係る情報処理を担う情報処理系とみなすことができる。
【0015】
電力供給管理システム30は、目標設定部32、供給制御部34を備える。電力供給管理システム30は、電源システム40からの電力供給を制御し、送配電システム50による電力供給地点を供給先とする需給制御系とみなすことができる。電力供給管理システム30は、需要単位64への供給電力を含むように電力供給地点への供給電力を定める。
電源システム40および送配電システム50は、電力供給地点に電力を供給する電力系とみなすことができる。
【0016】
計測部12は、需要単位64における消費電力を計測する。需要単位64は、電力供給地点に設置された分岐点62よりも下流における電力の消費単位である。需要単位64は、例えば、電力供給地点をなす施設の一部の空間となりうる。需要単位64の具体例については、後述する。計測部12は、計測した消費電力の実績値を実績消費電力として有線または無線で端末装置14と需要予測部22に送信する。計測部12は、例えば、電力計(スマートメータが該当しうる)である。計測部12の具体例については、後述する。
【0017】
端末装置14は、需要単位64における電力使用状況に係る情報を収集する。収集される情報には、計測部12から通知される実績消費電力の他、需要単位64における活動情報、設備の利用情報の一部または全部が含まれる。端末装置14は、収集した情報を需要予測部22に通知する。電力使用状況については、後述する。
端末装置14は、電力供給情報を表す表示画面を構成する。端末装置14は、構成した表示画面を表示部に表示させる。電力供給情報には、需要単位に対する電力の供給量(本願では、「供給電力」と呼ぶことがある)とCFE率が含まれる。
【0018】
需要予測部22は、学習済みの需要予測モデルを用いて、需要単位64における電力使用状況に基づいて現時点よりも後の予測時刻における当該需要単位における消費電力量の予測値を予測需要量として予測する。需要予測部22は、予測した予測需要量を目標設定部32に通知する。需要予測部22は、計測部12から通知される実績消費電力と、端末装置14から通知される活動情報、利用情報ならびに気象情報サイト(図示せず)から通信ネットワークを経由して通知される気象情報の一部または全部を含めて電力使用状況を示す入力値を構成することができる。
【0019】
目標設定部32は、需要単位に対してCFE率を所定の目標とするCFE率(本願では、「目標CFE率」と呼ぶことがある)以上とする予測需要量を満たすように、予測時刻における電源システム40からの電力の目標総供給量とCFE電力の目標供給量を設定する。目標設定部32は、目標総供給量として、電力供給システムPSのサービスエリア内の電力供給地点ごとの予測需要量の総和を上回る値を定める。目標設定部32は、例えば、予測需要量の総和に1より大きい所定の係数を乗じて総供給量を算出する。目標設定部32は、CFE電力の目標供給量として、電力供給地点ごとの予測需要量のうち、CFE電力の需要量の総和を上回る値を設定する。目標設定部32は、例えば、CFE電力の予測需要量の総和に1より大きい所定の係数を乗じてCFE電力の目標供給量を算出する。目標設定部32は、設定した目標総供給量とCFE電力の目標供給量を供給制御部34に通知する。
【0020】
なお、個々の需要単位におけるCFE電力の需要量は、予測需要量にCFE率を乗じて演算される。電力供給地点には、CFE率またはCFE電力の需要量が設定されるCFE設定地点と、CFE率またはCFE電力の需要量が設定されないCFE非設定地点がある。かかるCFE非設定地点に対しては、CFE電力の需要量として、CFE電力の総供給量からCFE設定地点におけるCFE電力の総供給量を差し引いて得られるCFE電力の総残量を、電力の総需要量に対する当該CFE非設定地点における需要量の比で按分して得られる値が設定される。需要単位64を電力の供給先とする電力供給地点の予測需要量には、需要単位64の予測需要量が含まれる。
【0021】
供給制御部34は、電源システム40から供給される電力の総供給量が予測時刻における目標総供給量を満たし、かつ、電源システム40におけるCFE電力の総供給量がCFE電力の目標供給量を満たすように、運転環境に応じて電源システム40をなす電源の運転を制御する。供給制御部34には、電源システム40をなす各電源からの電力の供給量が実績供給量として通知される。
【0022】
供給制御部34は、予め設定された電源基礎情報と学習済みの供給量予測モデルを用いて、気象情報と実績供給量を示す入力値に基づいて予測時刻における出力値として変動電源ごとの予測供給量を予測する。気象情報と実績供給量は、電源システム40をなす電源の運転環境を定量的に示す情報である。供給制御部34は、電源ごとに予測した予測供給量を端末装置14に通知してもよい。端末装置14は、供給制御部34から通知された予測供給量を表示画面(後述)の構成に用いることができる。供給制御部34は、調整可能電源に対しては、目標供給量(後述)を予測供給量として適用する。
【0023】
供給制御部34は、調整可能電源ごとの電力の供給量と、変動電源を含む電源ごとの予測供給量との総和を総供給量とし、総供給量が目標総供給量よりも多く、かつ、CFE電源ごとのCFE電力の供給量の総和がCFE電力の目標供給量よりも多いことを拘束条件とし、電力供給コストが極力低くなるように電源システム40をなす調整可能電源ごとの目標供給量を定める(最適化)。電力供給コストは、必ずしも電力供給にかかる費用に限られない。電力供給コストは、個々の電源からの環境負荷物質の排出量、個々の電源から各電力供給地点までの総損失量など、電力供給にかかる負荷の大きさを示す他の指標、または、それら複数種類の指標の加重和であってもよい。供給制御部34は、調整可能電源ごとに定めた目標供給量を、その調整可能電源に通知する。
【0024】
なお、電力供給管理システム30は、電源システム40から供給される電力を、電力供給地点ごとに予測需要量を満たすように配電する配電設備(図示せず)を有する。個々の電力供給地点への配電制御において公知の手法が用いられる。配電制御において、電力供給地点ごとに予測需要量を上回るように配電設備をなす機器の動作パラメータが設定されればよい。本実施形態では、電力供給管理システム30は、個々の電力供給地点に対して配電すれば足り、電力供給地点よりも下流の需要単位64への配電までは制御することを要しない。
【0025】
電源システム40は、複数の電源を有する。電源は、電力を供給可能とする機器または設備である。個々の電源は、送配電システム50に電気的に接続され、電力を供給する。
電力の供給は、発電の他、予め電源に蓄積された電力の放電も含まれる。なお、蓄電池への充電は、負の電力供給とみなすこともできる。揚水発電所に係る下部貯水池から上部貯水地への水の汲み上げにおける他電源から供給される電力の消費も負の電力供給とみなすこともできる。
【0026】
電源の種別は、電力の供給に伴う環境負荷の特性、規模などの諸元に基づいて分類される。電源は、例えば、制御により電力供給量を調整可能とする調整可能電源と、供給量を調整できない変動電源に分類される。調整可能電源には、水素発電所を含む火力発電所、揚水発電所、蓄電池などがある。変動電源には、太陽光発電システム、風力発電システム、などがある。太陽光発電システム、風力発電システムなど気象に由来する電力の供給量は、天候に依存する。
【0027】
また、電力の供給に際しCOを排出するか否かにより、非CFE電源に該当するか否かが分類される。CFE電源には、例えば、太陽光発電システム、風力発電システム、水力発電所、蓄電池などが含まれる。水素のみを燃料として用いる発電所は、CFE電源として分類される。
【0028】
本実施形態では、電源システム40は、変動電源となる少なくとも1個のCFE電源を含んで構成される。変動電源には、非CFE電源が含まれることもある。
調整可能電源は、供給制御部34から通知された目標供給量を制御目標として自身からの電力の供給量を調整する。
個々の電源には、自身が供給する電力の供給量を計測するための電力計が併設される。電力系は、測定した供給量を実績供給量として供給制御部34に通知する。上記のように、実績供給量は、調整可能電源からの電力の目標供給量の制御に用いられる。
【0029】
送配電システム50は、電源システム40から供給される電力を電力供給地点ごとに分配する。送配電システム50は、複数個の変電設備と、複数個の配電設備と、電源・変電設備間を接続する送電線と、変電設備・配電設備間をそれぞれ接続する配電線を有する電力網を有する。変電設備と配電設備を「配電設備等」と総称する。電力網は、複数の階層を含んで構成(階層化)されてもよい。個々の階層は、配電設備等をグリッドとして複数個有し、隣接する階層に属するグリッド間を接続する電力線と、個々の階層に含まれる複数のグリッド間を接続する電力線を有する。
【0030】
よって、需要単位64には、CFE率を所定の目標CFE率以上とし、電力の使用状況に応じて予測される予測需要量を満たす供給量を有する電力が送配電システム50から電力供給地点を経由して仮想的に供給される。
電力供給地点は、例えば、1個の建造物、構造物、その他の施設に設置されうる。その場合、需要単位64は、電力供給地点の一部の特定領域となる。電力供給地点が1棟のビルディングである場合には、需要単位64は、その一部をなす階(フロア)、部屋、区画などの領域(エリア)となりうる。電力供給地点が1編成の輸送機関(列車、航空機など)である場合には、需要単位64は、その一部をなす車両、デッキ、コンパートメント、座席などとなりうる。
図2の例では、電力供給地点として分電盤62aが設置される。分電盤62aは、送配電システム50から配電される電力を、より細分化された領域に分電する分岐点62の一例となる。需要単位64は、分電先となる特定領域の1つとなる。
【0031】
次に、本実施形態に係る分電盤62aの機能構成例について説明する。図2は、本実施形態に係る分電盤62aの機能構成例を示す概略ブロック図である。
分電盤62aは、メインブレーカ62m、漏電遮断器62l、および、分岐ブレーカ62pを備える。分岐ブレーカ62pの数は、通例、複数となる。
メインブレーカ62mは、送配電システム50と漏電遮断器62lの間に接続される。メインブレーカ62mは、送配電システム50から電力線を用いて供給される電流が所定の定格電流を超えるとき、送配電システム50と漏電遮断器62lとの接続を遮断する。
【0032】
漏電遮断器62lは、メインブレーカ62mと分岐ブレーカ62pとの間に接続される。漏電遮断器62lは、漏電が検出されるとき、メインブレーカ62mと分岐ブレーカ62pとの接続を遮断する。漏電遮断器62lは、分岐ブレーカ62pに接続される電力線における漏れ電流を計測し、計測された漏れ電流が所定の判定値以上となるか否かにより、漏電の有無を判定することができる。
【0033】
分岐ブレーカ62pは、漏電遮断器62lと分電先の間に接続される。分岐ブレーカ62pは、分電先に供給される電流が一定時間以上継続して所定の定格電流を超えるとき、漏電遮断器62lと分電先との接続を遮断する。分電先となる需要単位64には、アウトレット(電源コンセント)が設置され、分岐ブレーカ62pと電力線を用いて接続される。個々の需要単位64に設置されるアウトレットの数は、必ずしも1個に限らず複数となりうる。
【0034】
図2の例では、分電先を需要単位64とする分岐ブレーカ62pとの間に電力計12aが設置される。電力計12aは、計測部12の一例に相当する。電力計12aは、電力センサと入出力インタフェースを備える。電力センサは、分岐ブレーカ62pと需要単位64を接続する電力線を流れる電力を計測する。計測される電力は需要単位64における消費電力に相当する。入出力インタフェースは、電力センサにより計測された電力を無線または有線で端末装置14と需要予測部22に送信する。電力計12aは、複数個の電力センサを備え、それぞれ異なる需要単位64における消費電力を計測可能としてもよい。
【0035】
電力計12aが分電盤62aに併設されることで、分岐先となる需要単位64における消費電力が容易に取得される。また、複数の異なる領域屋に跨る分電先にそれぞれ需要単位64が設定される場合でも、需要単位64ごとの消費電力を一括して取得できる点で便宜である。また、かかる配置は分電盤62aと一括したメンテナンスを実行するうえで好都合である。
【0036】
次に、本実施形態に係る端末装置14の機能構成例について説明する。図3は、本実施形態に係る端末装置14の機能構成例を示す概略ブロック図である。
端末装置14は、例えば、汎用のコンピュータシステムを有する情報処理装置として構成される。端末装置14は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末装置、携帯電話機などいずれの形態で実現されてもよい。端末装置14は、専用のモニタリングデバイスとして構成されてもよい。その場合、端末装置14は、計測部12を一体に備え、単一の電子機器として構成されてもよい。
【0037】
端末装置14は、制御部142、記憶部144、表示部146、操作入力部148および入出力部150を備える。
制御部142は、端末装置14の機能を提供するための各種の処理を実行する。制御部142の機能は、コンピュータシステムをもって実現されうる。
制御部142は、設定処理部142aと出力処理部142bを備える。
設定処理部142aは、表示部146に所定の設定画面を表示させ、操作入力部148から入力される操作情報に従い各種の設定情報を設定する。設定情報には、需要単位64に相当する領域を示す場所ID(Identifier)、需要単位64における活動を示す活動情報、需要単位64に係る設備の利用に係る利用情報、気象情報の取得元となる気象情報サイトのネットワークアドレスなどの一部または全部が含まれる。設定処理部142aは、場所IDとその他の設定情報を対応付けて需要予測部22に通知する。
【0038】
需要単位64への供給電力の目標CFE率は、予め設定された固定値(例えば、100%)であってもよいがこれには限られない。設定処理部142aは、操作入力部148から入力される操作情報に従って目標CFE率を設定してもよい。制御部142は、設定した目標CFE率を需要単位64の場所IDと対応付けて目標設定部32に通知する。
また、設定処理部142aは、需要単位64に対するCFE電力適用期間を操作入力部148から入力される操作情報に従って設定可能としてもよい。制御部142は、設定したCFE電力適用期間を需要単位64の場所IDと対応付けて目標設定部32に通知する。
【0039】
CFE電力適用期間とは、目標CFE率以上とするCFE電力の供給の適用期間を指す。言い換えれば、CFE電力適用期間は、目標設定部32がその範囲内の各予測時刻において需要単位64に対してCFE電力の目標供給量を設定する期間である。操作情報に応じて適用期間が設定される場合、FE電力適用期間外では需要単位64に対するCFE電力の目標供給量は設定されない。そのため、需要単位64に供給される供給電力のCFE率が保証されなくなる。
【0040】
出力処理部142bは、需要単位64への電力供給情報を表す表示画面を構成してもよい。出力処理部142bは、構成した表示画面を表示部146に表示させる。電力供給情報には、需要単位64に対する供給電力の実績値とCFE率の実績値が含まれる。
出力処理部142bは、例えば、計測部12から通知された実績消費電力に各電源からの伝送に伴う減衰を補償して供給電力の実績値(本願では、「実績供給電力」と呼ぶことがある)を演算する。出力処理部142bは、実績消費電力に対し、所定の減衰率を除算して実績供給電力を算出することができる。
他方、出力処理部142bは、需要単位64に対するCFE率の実績値(本願では、「実績CFE率」と呼ぶことがある)として、予め設定された目標CFE率にCFE電力の目標供給量に対するCFE電力の実績供給量の比率を乗じて得られた積に定めることができる。
【0041】
他方、出力処理部142bは、需要単位64に対するCFE率の実績値として、需要単位64の目標CFE率に、目標設定部32から通知されるCFE電力の目標供給量に対するCFE電力の実績供給量の比率を乗じて得られた値に定めることができる。CFE電力の実績供給量は、CFE電源から供給されるCFE電力の供給量の総和に相当する。個々のCFE電源からのCFE電力は、供給制御部34を経由して通知される。なお、得られたCFE率(実績値)が100%を超える場合には、出力処理部142bは、需要単位64に対するCFE率(実績値)を100%と定めてもよい。
【0042】
記憶部144には、制御部142で用いられるデータもしくは生成されるデータを一時的または非一時的に記憶する。記憶部144は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶媒体を備える。記憶部144は、例えば、上記の設定画面、表示画面のテンプレート、電力供給情報、使用状況情報などを保存する。
表示部146は、制御部142からの制御に従って各種の表示情報を表示する。表示部146は、例えば、上記の設定画面、設定情報などを表示する。表示部146は、例えば、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどのいずれであってもよい。
【0043】
操作入力部148は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に応じた操作情報を制御部142に出力する。操作入力部148は、例えば、タッチセンサ、マウス、キーボードなどの入力デバイスである。
入出力部150は、端末装置14とは別個の機器と有線または無線で各種のデータを入力および出力する。
【0044】
端末装置14のコンピュータシステムは、通信ネットワークに接続された所定の配信サーバからアプリケーションプログラム(本願では、「アプリ」と呼ぶことがある)をダウンロードし、アプリを実行することにより端末装置14としての機能を実現する。所定のアプリケーションプログラムを実行して端末装置14としての機能を実現してもよい。
なお、表示部146および操作入力部148の一部または全部は、無線または有線でデータを入出力可能に接続できれば、端末装置14において省略されてもよい。
【0045】
次に、需要予測部22に係る需要予測モデルの例について説明する。図4は、需要予測モデルを例示する説明図である。
需要予測モデルは、需要単位64ごとに構成され、推論段階において使用状況情報を示す入力値から出力値として予測消費電力の演算に用いられる数理モデルである。
需要予測部22は、訓練データを用いて需要予測モデルを学習する。訓練データは複数のデータセットを含む。個々のデータセットは、過去の一時点における使用状況情報を示す入力値(説明変数)とその時点における実績消費電力(目的変数)を含み、これらを対応付けてなる。需要予測部22は、学習段階において、需要予測モデルを用いて入力値から演算される予測値が出力値により近似するパラメータセットを探索する。
【0046】
需要予測部22は、需要予測モデルとして、例えば、決定木、ランダムフォレスト、ニューラルネットワークなどの機械学習モデルが適用される。予測値の出力値に対する近似の度合いを示す指標値として、L2ノルム、交差エントロピーなどのいずれか、もしくは、これらの加重和が適用される。需要学習モデルの学習において、例えば、最急降下法、ランダムサーチ法などの手法が適用される。予測値と出力値の差の大きさが一定の収束基準値以下となるまで、需要予測部22は、パラメータセットを探索する処理を繰り返す。
なお、需要予測部22は、交差検証により、訓練データとは別個の既存の複数のデータセットからなるテストデータを用いて、入力値に対する予測値と出力値との誤差が所定の誤差基準値未満となるか否かを検証してもよい。需要予測部22は、交差検証により誤差が誤差基準値未満となるパラメータセットを実績消費電力の推論に適用する。
【0047】
次に、入力値として表現される使用状況情報のデータ構成例について説明する。図5は、本実施形態に係る使用状況情報のデータ構成例を示す図である。使用状況情報は、場所ID、営業/生産スケジュール、気象情報、需要量実績を含み、これらを対応付けてなる。場所IDは、需要単位64としての領域を特定する識別情報である。
営業/生産スケジュールは、需要単位64における需要者による活動情報と需要単位64における設備の利用情報の例である。営業カレンダは、活動情報を表す。営業カレンダは、日ごとの営業の有無、営業日における営業時間、営業時間における業務ごとの所要期間、これらの場所、参加者、などの情報を含む。
設備利用予定は、需要単位64に備わる設備ごとの利用期間、などの情報を含む。
オンサイトPVの諸元は、需要単位64におけるオンサイトPV(Photovoltaic)電源の利用の有無と、利用される場合におけるオンサイトPV電源の仕様を示す。オンサイトPV電源とは、電力供給事業者が電力供給地点に設置した太陽光発電システムである。
場所IDおよび営業/生産スケジュールは、端末装置14の設定処理部142aから設定されうる。
【0048】
気象情報は、例えば、日射量、気温、湿度、風向・風速、露天温度、天気、降水・降雪量など全部または一部の情報を含む。気象情報は、気象情報サイトから取得されうる。
営業/生産スケジュール、気象情報には、予測時刻における予定の他、その前後の期間内の予定、最新の時点までの実績が含まれてもよい。
需要量実績は、一定時間ごとの実績消費電力を示す。需要量実績には、30分積算需要量ならびに派生量と、実績CFE率を示す。30分積算需要量とは、30分ごとに実績消費電力を積分して得られる積分値である。実績消費電力は、計測部12から通知される。派生量として、前日の実績値、移動平均値などのいずれかが含まれうる。需要予測部22は、端末装置14の出力処理部142bにおいて算出され、通知された実績CFE率(後述)を適用することができる。
【0049】
なお、需要予測部22は、逐次に訓練データを構成し、構成した訓練データを用いて需要予測モデルを学習する学習過程と、学習により得られた需要予測モデルを用いて使用状況情報から予測消費電力を演算する演算過程とを同時に実行してもよい。その場合、学習過程の実行と推論過程の実行が同期してもよいし、非同期であってもよい。また、需要予測部22は、学習過程を実行せず、他機器において学習された需要予測モデルを用いて推論過程を実行してもよい。
【0050】
次に、本実施形態に係る表示画面の例について説明する。図6は、本実施形態に係る表示画面Im02を例示する図である。
表示画面Im02は、需要単位64への電力供給に係る年間指標と供給実績を示す。年間指標の欄には、供給量、CFE達成量および年間CO削減量が表される。
供給量の欄には、最新の時点までの電力供給量と前年同期比が示される。
端末装置14の出力処理部142bは、電力供給量として、最新の時点までの1年間にわたる需要単位64の供給電力を積分して得ることができる。
CFE達成量の欄には、最新の時点までの需要単位64に供給されるCFE電力供給量と、CFE達成率が示される。CFE達成率として、当初計画されたCFE電力量に対する最新の時点までのCFE電力量の比率が示される。
【0051】
年間CO削減量の欄には、年間CO削減量、通常電力対比、排出量が示される。年間CO削減量として、最新の時点までの1年間にわたるCFE電力の供給により、通常電力で賄われたと仮定して排出されるCOの排出量からの削減量が示される。通常電力対比として、通常電力の供給によるCOの排出量からの削減率が示される。通常電力は、需要単位64において目標CFE率以上とするCFE電力の供給を適用しないと仮定して供給される。
【0052】
出力処理部142bは、例えば、実績供給電力のうち供給制御部34から通知される非CFE電源ごとの電力供給量を、最新の時点までの1年間にわたり積分して得られる積分値に電源種別に対応するCO排出係数を乗じて得られる積を非CFE電源ごとのCO排出量として定める。そして、出力処理部142bは、非CFE電源ごとのCO排出量の総和を通常電力のCO排出量として定めることができる。同様な手法を用いることで、出力処理部142bは、本実施形態によるCFE電力の供給を適用する場合に推定される非CFE電源ごとの電力供給量に基づいて、その場合におけるCO排出量を推定することができる。
【0053】
排出量の欄には、本実施形態によるCFE電力の供給に係る年間CO排出量と、年間CO削減量に対す年間CO排出量の比率が示される。図示の例では、排出量は完全にゼロにならない。これは、気象条件などによりCFE電力の供給量が目標供給量に満たず非CFE電力により補われるためである。
供給実績の欄には、需要単位64に対する1時間ごとの電力供給量、各電源種別の成分比、CO排出係数および天気を示す。電源種別として、太陽光発電、水素火力発電および洋上風力発電が例示されている。天気は、図案化されたマークで表されている。図示されるCO排出係数は、需要単位64に対して推定したCO排出量を実績供給量で除算して得られる。
【0054】
なお、端末装置14の制御部142は、需要予測部22の需要単位64に係る構成を備え、端末装置14の機能の一部をなしてもよい。その場合、端末装置14とは別個に需要予測部22が設けられなくてもよい。
出力処理部142bは、需要予測モデルの階層構造と、階層構造をなす節点(ノード)ならびに節点間の参照関係(リンク)ごとに与えられた学習済みのパラメータを表すモデル図を含む表示画面を構成し、表示部146に表示させてもよい。
需要予測部22は、学習済みの需要予測モデルから、出力値とする予測消費電力に対する入力値の要素ごとの寄与度を導出してもよい(特徴量分析)。
需要予測部22は、寄与度の指標値として、LME(Local Interpretable Mode-agnostic Explanations)、SHAP(Shapley Additive Explanations)などの統計量を用いることができる。
【0055】
需要予測部22は、寄与度が一定の基準寄与度に満たない要素を除外し、寄与度が基準寄与度以上となる要素を含む入力値を含む訓練データを用いて需要予測モデルを学習してもよい。また、需要予測部22は、学習済みの需要予測モデルを用い、寄与度が基準寄与度以上となる要素を含む入力値に対応する出力値を推論してもよい。
【0056】
出力処理部142bは、需要予測部22により入力値の要素ごとに算出された寄与度を示す図を含めて表示画面を構成し、構成した表示画面を表示部146に表示させてもよい。図7の例では、入力値の要素ごとに算出された寄与度を、寄与度の降順に示す。縦軸に、入力値の要素ごとに対応する使用状況情報の要素が因子として示される。横軸に寄与度が示される。表示画面に接したユーザは、予測消費電力に有意に影響する因子を直ちに把握することができる。
【0057】
次に、供給制御部34に係る供給量予測モデルの構成例について説明する。図8は、供給量予測モデルを例示する説明図である。
供給量予測モデルは、電力供給システムPS全体に対して構成され、推論段階において、気象情報、実績供給量および電源基礎情報を含む入力値から出力値として調整可能電源ごとの予測供給量の演算に用いられる数理モデルである。電源基礎情報とは、電源による電力供給能力特性を示す情報である。
【0058】
供給制御部34は、需要予測モデルの学習とは別個の訓練データを用いて供給量予測モデルを学習する。訓練データに含まれる個々のデータセットは、過去の一時点における気象情報、実績供給量および電源基礎情報を含む入力値(説明変数)とその時点における実績消費電力(目的変数)を含み、これらを対応付けてなる。供給制御部34は、学習段階において、需要予測モデルを用いて入力値から演算される予測値が出力値により近似するパラメータセットを探索する。予測値と出力値の差の大きさが一定の収束基準値以下となるまで、供給制御部34は、パラメータセットを探索する処理を繰り返す。
【0059】
気象情報は電源ごとに異なりうる。電源ごとに設置位置が異なりうるためである。需要予測モデルに入力される入力値は、電源ごとに区分して構成されてもよい。図9は、電源として太陽光発電システムを例とする入力値の情報要素を示す。情報要素は、気象情報、実績発電量および発電所基礎情報を含み、電源IDに対応付けられる。電源IDは、個々の電源を識別するための識別情報である。気象情報は、図5に例示されるものと同様の項目を有する。気象情報は、気象情報サイトから取得されうる。実績発電量は、実績供給量に相当する。実績発電量は、個々の電源から供給制御部34に通知される。
【0060】
発電所基礎情報は、電源基礎情報の例であり、発電所基礎情報には、積載容量、設置方位、パネル角度および性能情報が含まれる。これらは、太陽光発電システムの発電能力を示す。電源基礎情報には、異なる種別の電源に対しては異なる項目が含まれうる。例えば、風力発電システムに係る電源基礎情報には、風車形式、定格風速、ロータ回転数、定格容量などが含まれうる。
【0061】
なお、供給制御部34は、逐次に訓練データを構成し、構成した訓練データを用いて供給量予測モデルを学習する学習過程と、学習により得られた供給量予測モデルを用いて気象情報、実績発電量および発電所基礎情報から予測消費電力を演算する推論過程とを同時に実行してもよい。その場合、学習過程の実行と推論過程の実行が同期してもよいし、非同期であってもよい。また、供給制御部34は、学習過程を実行せず、他機器において学習された供給量予測モデルを用いて推論過程を実行してもよい。
【0062】
以上に説明したように、本実施形態では、需要予測部22は、送配電システム50をなす配電設備から電力が供給される電力供給地点から電力が分配される需要単位64の電力使用状況に基づいて、需要予測モデルを用いて現時点よりも後の予測時刻における当該需要単位の消費電力の予測値である予測消費電力を予測する。供給制御部34は、予測時刻における総需要量を満たし、複数の電源を有する電源システム40から供給される電力のうち環境負荷を伴わない電力の総供給量が予測時刻における目標供給量以上となるように、運転環境に応じて調整可能電源の運転を制御する。目標設定部32は、需要単位64において環境負荷を伴わない低環境負荷電力の比率が所定の目標率以上となる予測消費電力が確保されるように総需要量と目標供給量を設定する。そして、低環境負荷電力の比率ならびに目標率としてCFE率を用い、需要単位64が建造物の階、部屋、フロアなどの領域である場合を例にした。
【0063】
この構成により、需要単位64には、使用状況により予測される需要量を満たし、CFE率が所定の目標CFE率以上となるように電力供給が制御される。電力供給地点よりも粒度が細かい需要単位64ごとに供給電力のCFE率が設定され、設定された目標CFE率を満たすように電力供給が制御される。そのため、限られた電力供給能力のもとで、電力供給地点より局所的な需要単位64に対して目標CFE率を達成できる可能性を向上することができる。ひいては、需要者による目標CFE率の達成を裏付けることができる。
【0064】
また、目標設定部32は、端末装置14から通知される特定の適用期間において需要単位64に対する予測需要量を満たすように電力の総供給量とCFE電力の供給量を設定してもよい。
この構成により、特定の適用期間に対して需要単位64には、使用状況により予測される需要量を満たし、CFE率が所定の目標CFE率以上となるように電力供給が制御される。そのため、時間変化を伴う電力の総需要量のもとで、時限的に需要単位64に対して目標CFE率を達成できる可能性を向上することができる。例えば、販売促進セール、展示会への出品、祝祭、など、場所、期間が限られた行事におけるCFE電力の需給を訴求できる機会がより柔軟に設定される。
【0065】
<第2実施形態>
次に第2実施形態について説明する。以下の説明では、第1実施形態との差異点を主とし、特に断らない限り第1実施形態との共通点について、その説明を援用する。
本実施形態は、電力供給地点から電力が分配される需要単位64が個々の機器である場合を例にする。
【0066】
図10は、本実施形態に係る計測部の第1構成例を示す外観図である。図10は、計測部の他の例としてスマートプラグ12bを例示する。
スマートプラグ12bは、底面に電源プラグを有し、表面に電源ソケットを有する。電源プラグは、アウトレットと直に嵌合可能とし、電源ソケットは需要単位64とする機器の電源プラグと時間に嵌合可能とする。スマートプラグ12bは、電力センサと入出力インタフェースを内蔵する(図示せず)スマートプラグ12bの電源プラグがアウトレットに嵌め込まれ、負荷となる他機器の電源プラグがスマートプラグ12bの電源ソケットに嵌め込まれた状態で、電力供給地点からアウトレットとスマートプラグ12bを経由して機器に電力が供給される。電力センサは、自部に流れる電力から機器の実績消費電力を計測し、計測した実績消費電力を入出力インタフェースに通知する。入出力インタフェースは、計測された実績消費電力を有線または無線で需要予測部22に通知する。
【0067】
スマートプラグ12bは、端末装置14と入出力可能に接続されてもよいし、端末装置14の一部として構成されてもよい。例えば、スマートプラグ12bは、コンピュータシステムを有し、端末装置14の制御部の機能を実現してもよい。図13の例では、表示部146bは、壁面のアウトレットに隣接した位置に配置される。かかる構成により特段の工事を要さずにスマートプラグ12bにより需要単位64とする機器の実績消費電力が取得される。
【0068】
図12は、本実施形態に係る計測部の第2構成例を示す外観図である。図12は、計測部のさらに他の例として、クランプメータ12cを例示する。
クランプメータ12cは、クランプセンサ、計測回路および入出力インタフェースを備える。クランプセンサは、馬蹄状に向かい合わせて形成された一対のセンサ部材を備え、外力を加えることでセンサ部材間を開閉可能とする。計測回路は、クランプセンサにより電力線を挟み込んだ状態で、その電力線を流れる電力を計測する。入出力インタフェースは、計測された電力を実績消費電力として有線または無線で需要予測部22に出力する。このように、クランプメータ12cによれば、配線単位で配線先となる機器を需要単位64として実績消費電力を非侵襲的に取得することができる。配線先となる機器は、任意に設置される電気機器(例えば、PC、タブレット端末装置、携帯電話機)であってもよい。また、クランプメータを小型化することができれば、ある装置における配線先の特定の部材(例えば、組み込み回路)の実績消費電力を取得することも可能となる。
【0069】
本実施形態では場所IDに代えて、機器IDを用いて個々の需要単位64が特定される。図13に示す使用状況情報は、機器ID、営業/生産スケジュール、気象情報および需要量実績を含み、これらを対応付けてなる。機器IDを用いることで需要単位64とする機器ごとの処理が容易に識別される。
【0070】
以上に説明した本実施形態に係る計測部(例えば、電力計12a、スマートプラグ12b、クランプメータ12c)は、電力供給地点に係る設備から特定機器に電力を供給する電力線に設置される。そのため、供給先とする機器を需要単位64とすることができる。従って、目標CFE率と需要を満たす電力供給を機器単位に細分化して実行することができる。よって、より局所的な需要単位64に対して目標CFE率を達成できる可能性を高くすることができる。
【0071】
なお、上記の事例では、計測部が需要単位64に配電する電力線ごとに消費電力を計測する場合を主としたが、これには限られない。需要単位64として適用される領域(適用領域)が予め設定されている場合は、需要単位64における実績消費電力が電力供給地点における実績消費電力に基づいて按分計量により推定されてもよい。按分計量は、計量法第10条により許容される手法である。図14の例では、送配電システム50から供給される電力を電力供給地点に配電する分電盤62sに電力計12aが設置される。電力計12aは、分電盤62sから電力供給地点に設置された電力線を流れる電力を監視し、電力供給地点における実績消費電力を総需要Ptotalとして計測し、端末装置14(図1)に通知する。端末装置14は、電力計12aから通知された総需要Ptotalを、予め設定された電力供給地点の専有面積Stotalに対する需要単位64sの専有面積Sの比S/Stotalを需要単位64sにおける実績消費電力として推定することができる。適用領域は、電力供給地点とする空間の一部、例えば、部屋、区画、パーティションなどであってもよい。また、この場合において需要単位64sを特定するための識別情報として、機器IDに代え当該領域を識別するための領域IDが用いられればよい。従って、専有面積に基づく按分計量により需要単位64が特定の機器または配線に依存せずに定義される場合でも、目標CFE率を満たす電力供給が実現される。
【0072】
<第3実施形態>
次に第3実施形態について説明する。以下の説明では、上記の実施形態との差異点を主とし、特に断らない限り上記の実施形態との共通点について、その説明を援用する。
本実施形態は、電力供給地点から電力が分配される需要単位64が個々の需要者である場合を例にする。需要者は、自然人または法人に限られず、一定の目的を有する人の集まり、即ち、社団(グループ、団体)であってもよい。
【0073】
本実施形態では、個々の需要単位64は、それぞれ1個または2個以上の二次需要単位に対応付けられる。個々の二次需要単位は、第1実施形態に係る領域または第2実施形態に係る機器となりうる。即ち、需要単位64は、通常の需要単位よりも細分化された2個以上の機器、2個以上の領域、または、1個以上の機器と1個以上の領域とのセットに対応付けられる。需要予測部22は、例えば、予め設定された需要単位64と二次需要単位との関連を示すマッピングテーブルを参照し、取得される使用状況情報に係る二次需要単位に対応する需要単位を特定することができる。
【0074】
図15は、本実施形態に係るマッピングテーブルを例示する図である。マッピングテーブルは、需要単位を示すユーザIDと、それぞれ二次需要単位を示す機器IDとの対応関係を示す。図15の例では、1個のユーザIDと4個の機器ID(機器ID1~機器ID4)が対応付けられる。例えば、マッピングテーブルを参照することで機器ID3に対応するユーザIDが特定される。
【0075】
需要予測部22は、二次需要単位ごとの利用状況情報を共通の需要単位ごとに集約する。需要予測部22は、利用状況情報の要素情報のうち、二次需要単位間で1個の共通の情報を残し、それ以外の共通の情報を消去することで繰り返しを回避することができる。集約された利用状況情報が予測消費電力の推定に用いられる。
図16は、本実施形態に係る利用状況情報を例示する図である。図15に示す利用状況情報のうち、営業/生産スケジュールと気象情報は機器ID1~機器ID4間で共通である。他方、営業/生産スケジュールと気象情報は機器ID1~機器ID4間で異なるため、それぞれ列挙されている。
【0076】
なお、図16の例では、需要量実績が機器ごとに設定され、需要予測部22は、それぞれの需要量実績を一群の入力値の要素として推論過程または学習過程に適用してもよいが、これには限られない。需要予測部22は、機器ごとの30分積算需要量/派生量の総和を需要単位64の実績30分積算需要量/派生量とし、機器ごとのCFE率の加重平均値を需要単位64の実績CFE率として演算してもよい。需要予測部22は、算出した実績30分積算需要量/派生量と実績CFE率を含む需要量実績を一群の入力値の要素として推論過程または学習過程に適用してもよい。
【0077】
図17は、本実施形態に係る電力供給地点における別の配電構成例を示す図である。
図示の例では、オフィスビルの特定の階に入居した一事業者を需要単位64としている。当該事業者は、入居階の一部の部屋を二次需要単位66x、66yとして環境低負荷電力を供給し、残りの部屋に通常電力を供給する旨の契約を締結している。二次需要単位66x、66yを含む入居階の各部屋には、電力供給単位とする分電盤62xを経由して電源システム40から供給される電力が配電される。当該事業者の計測部12xは、各部屋における需要量実績として実績消費電力を計測し、計測した実績消費電力を需要予測部22に通知する。当該事業者の端末装置14xは、当該事業者による部屋ごとの電力使用状況を含む情報を需要予測部22に通知する。需要予測部22は、上記の需要予測モデルを用いて需要量実績を含む使用状況情報に基づいて予測消費電力(予測需要量)を推定し、推定した予測消費電力を目標設定部32に通知する。端末装置14xには、供給制御部34から予測供給量を含む電力供給情報が通知される。
【0078】
端末装置14xの出力処理部142bは、需要単位64に代え、特定の二次需要単位に係る電力供給情報を表す表示画面を構成することができる。次に、本実施形態に係る表示画面の例について説明する。
図18は、本実施形態に係る表示画面Im12を例示する図である。
表示画面Im12は、年間指標と供給実績の他、最上段にヘッダを表す。ヘッダには、需要者の社名表示、契約プラン名である「Point CFE100」、表示中の拠点名および言語切替ボタンが含まれる。表示中の拠点名として、契約当事者である需要者に関わる1か所以上の拠点から、いずれか1か所の拠点の拠点名をユーザ操作に応じて選択可能としている。図示の例では、「XXXビル 7階」が選択されている。選択可能とする拠点が二次需要単位に相当し、選択された拠点に係る年間指標ならびに供給実績が表示される。言語切替メニューは、表示画面を構成する文字列を表す言語として日本語「JP」と英語「EN」のうち、いずれか一方を操作に応じて選択可能とする。図示の例では、日本語が選択されている。
【0079】
表示画面Im12の中段左には、個々の電源から選択された二次需要単位への電力を供給する送配電システム50を示す図案が簡略化して表示されている。図案には、電源種別ごとの電源と二次需要単位のそれぞれを示すアイコンが含まれる。また、その時点における供給電力の各電源種別の成分比と、その時点における二次需要単位におけるCFE率として「グリーン電力総供給 100%」が、それぞれのアイコンと対応付けて図示されている。
表示画面Im12の中段右には、選択された二次需要単位におけるCFE電力の消費による、その日における累積CO削減量が図示されている。累積CO削減量の説明文として、その累積CO削減量を光合成による平均的な年間CO吸収量により換算して得られる杉の木の本数を示す文案と、その概念を示す図案が付記されている。
【0080】
以上に説明したように、本実施形態では、電力供給地点から電力が供給される1以上の機器と1以上の領域の少なくともいずれかに関する需要者である。そのため、電力の供給先とする機器または領域を需要者単位で包括することができる。言い換えれば、目標CFE率と需要量を満たす電力供給を需要者単位で集約して実行することができる。また、需要者単位で目標CFE率を達成できる可能性を訴求する際の裏付けとなる。
【0081】
上記の説明では、電力の供給に係る環境負荷がCOの排出である場合を主としたが、これには限られない。上記の実施形態は、CO以外の温室効果ガスの排出に適用されてもよい。CO以外の温室効果ガスには、例えば、メタンCH、窒素酸化物NO、フロンガスなどがある。また、上記の実施形態は、環境負荷が人為的な処理である場合、例えば、化石燃料の燃焼の他、水素の燃焼、原子核反応などに適用されてもよい。その場合、低環境負荷電力の比率としてCFEに代え、自然エネルギー率が利用可能である。
【0082】
なお、上記の実施形態に係る需要予測部22、目標設定部32、供給制御部34は、それぞれ独立な電子機器として構成されてもよいし、その一部または全部の組ごとに構成される電子機器として実現されもよい。
例えば、電力供給管理システム30は、目標設定部32、供給制御部34を有する電力供給管理装置として構成されてもよいし、目標設定部32と供給制御部34を有する供給制御装置とを有する編成を有していてもよい。また、目標設定部32を備える機器は、さらに需要予測部22を備えてもよい。電力供給管理システム30は、CEMS(Community Energy Management System)として構成されてもよい。
端末装置14は、計測部12と需要予測部22の一方または両方を備えてもよい。計測部12を備える端末装置14は、MEMS(Mansion Energy Management System)、BEMS(Building Energy Management System)などとして構成されてもよい。
【0083】
上記の端末装置14、その他の電子機器は、それぞれ汎用のコンピュータシステムを備えてもよい。図19は、本願の実施形態に係るコンピュータシステム170の構成例を示す概略ブロック図である。コンピュータシステム170は、例えば、プロセッサ172、入力デバイス178、出力デバイス180、ROM(Read Only Memory)182、RAM(Random Access Memory)184、補助記憶部186、および、インタフェース部188を含んで構成される。プロセッサ172、入力デバイス178、出力デバイス180、ROM182、RAM184、補助記憶部186、および、インタフェース部188は、バスBSを用いて相互に接続される。
【0084】
プロセッサ172は、例えば、ROM182に記憶されたプログラムや各種のデータを読み出し、当該プログラムを実行して、コンピュータシステム170の動作を制御する。本願では、「プログラムを実行する」または「プログラムの実行」とは、プログラムに記述された指令で指示される処理を実行するという意味を含む。プロセッサ172は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ172の個数は複数となってもよい。複数個となるプロセッサ172には、CPUの他、GPU(Graphic Processing Unit)が含まれてもよい。
【0085】
入力デバイス178は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に応じた操作情報が入力され、操作データをプロセッサ172に出力する。端末装置14の操作入力部148は、入力デバイス178に相当する。
出力デバイス180は、プロセッサ172から入力される出力データを、出力先となる各種の機器に出力する。端末装置14の表示部146は、出力デバイスに相当する。
【0086】
ROM182は、例えば、プロセッサ172が実行するためのプログラムを記憶する。
RAM184は、例えば、プロセッサ172で用いられる各種データ、プログラムを一時的に保存する作業領域として機能する主記憶媒体として用いられる。
補助記憶部186は、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリなどの記憶媒体である。端末装置14の記憶部144は、補助記憶部186を備える。
【0087】
インタフェース部188は、他の機器と接続し各種のデータを無線または有線で入力および出力可能とする。インタフェース部188は、例えば、有線または無線でネットワークに接続する通信モジュールを備える。端末装置14の入出力部150は、インタフェース部188に相当する。
【0088】
以上、本実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、上述の各構成に限られるものではなく、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上述の各構成は、任意に組み合わせることができ、その一部が省略されてもよい。
【符号の説明】
【0089】
PS…電力供給システム、12…計測部、12a…電力計、12b…スマートプラグ、12c…クランプメータ、14…端末装置、22…需要予測部、30…電力供給管理システム、32…目標設定部、34…供給制御部、40…電源システム、40-1~40-3…電源、50…送配電システム、62…分岐点、62a…分電盤、64…需要単位、142…制御部、142a…設定処理部、142b…出力処理部、144…記憶部、146、146b…表示部、148…操作入力部、150…入出力部、170…コンピュータシステム、172…プロセッサ、178…入力デバイス、180…出力デバイス、182…ROM、184…RAM、186…補助記憶部、188…インタフェース部
【要約】
【課題】電力の供給先となる供給地点よりも細分化した需要単位において環境負荷を低減した電力供給を実現する。
【解決手段】需要予測部は配電設備から電力が供給される電力供給地点から、電力が分配される需要単位の電力使用状況に基づいて、需要予測モデルを用いて現時点よりも後の予測時刻における当該需要単位の消費電力の予測値である予測需要量を予測し、供給制御部は前記予測時刻における目標総供給量と低環境負荷電力の目標供給量を満たすように、運転環境に応じて電力供給量を調整可能とする調整可能電源を少なくとも1つ含む複数の電源の運転を制御し、目標設定部は前記需要単位において低環境負荷電力の比率を所定の目標率以上とする前記予測需要量を満たすように前記目標総供給量と低環境負荷電力の前記目標供給量を設定する。
【選択図】図1
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