(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】粘性流体供給装置
(51)【国際特許分類】
B05C 3/20 20060101AFI20241219BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20241219BHJP
B05C 3/09 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
B05C3/20
B05C11/00
B05C3/09
(21)【出願番号】P 2023534534
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 JP2021026583
(87)【国際公開番号】W WO2023286231
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2024-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遅 暁東
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-015899(JP,A)
【文献】特開2017-157688(JP,A)
【文献】特開2008-073633(JP,A)
【文献】特開2008-078456(JP,A)
【文献】特開平08-019752(JP,A)
【文献】特開2018-148021(JP,A)
【文献】実開昭60-031376(JP,U)
【文献】特開2001-085829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 3/20
B05C 11/00
B05C 3/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドで保持した部品を実装する実装機に取り付けられ、前記部品が浸漬される粘性流体を供給する粘性流体供給装置であって、
粘性流体の膜が形成される皿状のトレイと、
前記トレイを覆い、前記ヘッドに保持された前記部品が進入可能な開口部が形成されたカバーと、
前記開口部を閉鎖するシャッター板を有し、前記シャッター板を作動させることにより前記開口部を開放するシャッター装置と、
前記ヘッドが前記部品の浸漬動作を行う際に前記開口部を開閉するように前記シャッター装置を制御する制御装置と、
を備え
、
前記粘性流体供給装置は、前記実装機に設けられた支持台に着脱可能に取り付けられ、
前記カバーは、前記トレイの上方を覆い前記開口部が形成された上壁部と、前記トレイの側方を覆い前記上壁部を支持する側壁部とを有し、前記側壁部の下端が前記支持台に着脱可能に取り付けられる
粘性流体供給装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の粘性流体供給装置であって、
前記カバーは、前記支持台に形成された凹部に係合可能な係合部を有する
粘性流体供給装置。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の粘性流体供給装置であって、
前記シャッター装置は、前記シャッター板の上面に粘着性のシート部材が貼り付けられている
粘性流体供給装置。
【請求項4】
請求項1ないし
3のいずれか1項に記載の粘性流体供給装置であって、
前記ヘッドの種類に応じて異なる位置に前記開口部が形成された複数種類の前記カバーのうち、前記ヘッドの種類に応じたカバーに交換可能に構成されている
粘性流体供給装置。
【請求項5】
ヘッドで保持した部品を実装する実装機に取り付けられ、前記部品が浸漬される粘性流体を供給する粘性流体供給装置であって、
粘性流体の膜が形成される皿状のトレイと、
前記トレイを覆い、前記ヘッドに保持された前記部品が進入可能な開口部が形成されたカバーと、
を備え、
前記ヘッドの種類に応じて異なる位置に前記開口部が形成された複数種類の前記カバーのうち、前記ヘッドの種類に応じたカバーに交換可能に構成されている
粘性流体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、粘性流体供給装置について開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッドで保持した部品を実装する実装機に取り付けられ、部品を浸漬して部品の下面に塗布するためのフラックスなどの粘性流体を供給する粘性流体供給装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、フラックスの膜が形成されるトレイ(プレート)を覆うカバーを備えることで、埃などの異物がトレイ内に混入して部品に付着するのを防止することが記載されている。また、カバーの一部を開閉可能な蓋とすることで、その蓋を開けてフラックスをトレイに供給することも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した装置では、フラックスを供給する際にカバーの一部を開閉することは記載されているものの、部品を浸漬する際の開閉動作については記載されていないため、部品を浸漬する際にカバーが開放されるのを待つ必要が生じるおそれがある。また、実装機のヘッドの種類によっては、部品を保持するノズルの位置が異なるものがあるため、開閉箇所が一定の構成では、部品を浸漬する際のヘッドの位置合わせに伴う移動ロスが生じるおそれがある。これらのことから、異物の混入を抑制しつつ部品の浸漬を適切に行うために、なお改善の余地がある。
【0005】
本開示は、異物の混入を抑制しつつ部品の浸漬を適切に行うことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の第1の粘性流体供給装置は、
ヘッドで保持した部品を実装する実装機に取り付けられ、前記部品が浸漬される粘性流体を供給する粘性流体供給装置であって、
粘性流体の膜が形成される皿状のトレイと、
前記トレイを覆い、前記ヘッドに保持された前記部品が進入可能な開口部が形成されたカバーと、
前記開口部を閉鎖するシャッター板を有し、前記シャッター板を作動させることにより前記開口部を開放するシャッター装置と、
前記ヘッドが前記部品の浸漬動作を行う際に前記開口部を開閉するように前記シャッター装置を制御する制御装置と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
本開示の粘性流体供給装置では、カバーを備えるため、部品の浸漬を適切に行うことができる。また、トレイへの異物の混入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】実装装置10の電気的な接続関係を示すブロック図。
【
図4】ディップフラックスユニット20の構成の概略を示す斜視図。
【
図5】カバー30を外したディップフラックスユニット20の部分拡大図。
【
図9】ディップ処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【
図10】実装装置10Aの構成の概略を示す側面図。
【
図11】第2実施形態のディップフラックスユニット20Aの構成の概略を示す斜視図。
【
図13】ディップフラックスユニット20Aの部分拡大図。
【
図14】変形例のカバー30Bの構成の概略を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
次に、本開示の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、実装装置10の構成の概略を示す斜視図である。
図2は、実装装置10の構成の概略を示す側面図である。
図3は、実装装置10の電気的な接続関係を示すブロック図である。なお、
図1の左右方向がX方向であり、前後方向がY方向であり、上下方向がZ方向である。
【0011】
実装装置10は、
図1に示すように、部品供給装置12と、基板搬送装置13と、ヘッド14A,14Bと、移動装置16と、マークカメラ17と、パーツカメラ18と、実装制御装置19(
図3参照)と、ディップフラックスユニット20とを備える。
【0012】
部品供給装置12は、例えば部品が所定ピッチで収容されたテープを送り出すことで部品を供給するテープフィーダであり、複数種類の部品を供給可能となるように実装装置10のデバイスパレットに複数セットされている。なお、部品供給装置12として、部品が収容されたトレイにより、部品を供給するトレイフィーダがセットされていてもよい。部品供給装置12から供給される部品には、部品下面の接続端子などにフラックス等の粘性流体が塗布されるものがある。ディップフラックスユニット20は、そのような部品を粘性流体にディップするために用いられる。
【0013】
基板搬送装置13は、
図1の前後に間隔を開けて設けられ左右方向に架け渡されたコンベアベルトを有しており、コンベアベルトにより基板Sを図中左から右へと搬送する。ヘッド14A,14Bは、Y方向即ち前後方向に隣接するように並んで配置されており、それぞれがノズル15で部品を吸着して基板S上に実装する。ヘッド14A,14Bは、図示しないZ軸モータにより、それぞれ独立してノズル15を上下方向に昇降可能に構成されている。移動装置16は、ヘッド14A,14Bを一体的にXY方向に移動させるXYロボットとして構成されている。マークカメラ17は、ヘッド14A,14Bと共に移動可能に構成され、基板Sに付された基準マークや基板IDなどを上方から撮像する。パーツカメラ18は、部品供給装置12と基板搬送装置13との間に設置され、ヘッド14A,14Bのノズル15に吸着されている部品を下方から撮像する。
【0014】
実装制御装置19は、周知のCPUやROM、RAMなどで構成されている。実装制御装置19は、部品供給装置12や基板搬送装置13、ヘッド14A,14B、移動装置16、ディップフラックスユニット20などに駆動信号を出力する。実装制御装置19には、マークカメラ17やパーツカメラ18からの画像が入力される。実装制御装置19は、例えば、マークカメラ17で撮像された基板Sの画像を処理して基板IDを取得したり、基板Sに付された基板マークの位置を認識することにより基板Sの位置を認識したりする。また、実装制御装置19は、パーツカメラ18で撮像された画像に基づいてノズル15に吸着されている部品の吸着姿勢を判定する。また、実装制御装置19は、ディップフラックスユニット20の制御装置29と通信可能に構成されている。
【0015】
以下は、第1実施形態のディップフラックスユニット20の説明である。
図4は、ディップフラックスユニット20の構成の概略を示す斜視図である。
図5は、カバー30を外したディップフラックスユニット20の部分拡大図である。
図6および
図7は、カバー30の構成の概略を示す斜視図である。
図8は、カバー30の構成を下方から見た斜視図である。
【0016】
ディップフラックスユニット20は、ヘッド14A,14Bの各ノズル15に吸着された部品が浸漬されるフラックスを供給するものであり、円形皿状のトレイ22にフラックスの膜を形成し、その膜に部品が浸漬される。ディップフラックスユニット20は、ベース20bと、ユニット本体21と、カバー30と、シャッター装置40とを備える。ベース20bは、デバイスパレット11に着脱可能にセットされる。
【0017】
ユニット本体21は、ベース20b上にY方向にスライド可能に設けられており、回転装置23と、スキージ24と、昇降装置25と、検知センサ26と、貯留部27と、コネクタ28と、制御装置29(
図3参照)とを備える。
【0018】
回転装置23は、トレイ22が載置される円形状の回転テーブル23aを有し、モータの駆動により回転テーブル23aを回転させることによりトレイ22を回転させる。スキージ24は、トレイ22の中心からトレイ22の径方向外側に向けて延在するように配置されている。昇降装置25は、スキージ24を昇降させるものであり、トレイ22に対するスキージ24の高さを調整可能となっている。回転装置23のモータの駆動によりトレイ22が回転すると、トレイ22内のフラックスがスキージ24によってならされて所定厚みのフラックス膜が形成される。検知センサ26は、トレイ22上にスキージ24に隣接するように配置されており、下方に向けて発光して反射光を受光することでトレイ22内のフラックス膜の厚みを検出する。
【0019】
貯留部27は、フラックスを貯留するシリンジであり、貯留しているフラックスを液送管27a(
図5参照)を通してトレイ22に送るように構成されている。コネクタ28は、ディップフラックスユニット20(ベース20b)がデバイスパレット11にセットされる際に先端側となる端面に設けられ、実装装置10の図示しないコネクタに接続される。制御装置29は、周知のCPUやROM、RAMなどで構成されており、電源線や信号線などが収容されたケーブル28aが接続されている。制御装置29は、コネクタ28とケーブル28aとを介して、実装制御装置19と通信可能となる。
【0020】
カバー30は、トレイ22を覆うように配置されるものであり、トレイ22の上方を覆う上壁部31と、上壁部31の左右を支持すると共にトレイ22の側方を覆う側壁部35とにより構成されている。カバー30は、金属材料や樹脂材料で形成されている。また、トレイ22のフラックスの残量や生成状況を作業者が視認可能とするためカバー30を透明性を有する材料で形成したり、静電気による埃の付着を抑制するためカバー30を制電性を有する材料で形成したり、透明性と制電性とを有する材料で形成してもよい。なお、本実施形態のカバー30は、トレイ22だけでなく、スキージ24や検知センサ26も覆うように構成されている。
【0021】
上壁部31には、開口部32が形成されている。開口部32は、ノズル15に吸着されている部品が進入可能なサイズに形成されている。実装装置10は、2つのヘッド14A,14Bの各ノズル15に吸着された2つの部品をトレイ22のフラックス膜にディップさせる場合がある。開口部32は、ヘッド14A,14Bの各ノズル15間の距離と、各ノズル15に吸着される部品のサイズとを考慮して、各ノズル15に吸着された2つの部品が進入可能となる位置およびサイズに形成されている。即ち、開口部32は、長手方向をヘッド14A,14Bの並びの方向(ここでは前後方向)とする略長方形状に形成されている。これにより、各ノズル15に吸着された2つの部品を同時に開口部32内に進入させて、トレイ22にディップさせることができる。このため、各ヘッド14A,14Bを順に開口部32上に移動させて部品を順にディップさせる必要がないから、効率よく部品をディップさせることができる。
【0022】
シャッター装置40は、シャッター板41と、粘着シート42と、ブラケット43と、駆動シリンダ44と、被検知片45と、検知センサ46と、フレーム48とを備える。シャッター装置40は、左右一対のフレーム48がユニット本体21に固定されており、フレーム48にはカバー30の側壁部35が取り付けられている。
【0023】
シャッター板41は、開口部32を閉鎖可能な板状部材である。粘着シート42は、開口部32の形状に合わせた形状に形成され、シャッター板41の上面に貼り付けられている。この粘着シート42には、シャッター板41の閉状態で開口部32に落下した埃などが付着する。なお、作業者は、埃などが堆積した粘着シート42を剥がして、新たな粘着シート42に貼り替えることができる。
【0024】
駆動シリンダ44は、フレーム48に支持されており、スライダ44aを左右方向に移動させるように構成されている。駆動シリンダ44としては、例えば磁力を利用してスライダ44aを移動させるマグネット式のロッドレスシリンダなどが用いられる。スライダ44aには、ブラケット43が固定され、ブラケット43の上部には、シャッター板41が取り付けられている。このため、駆動シリンダ44の駆動により、シャッター板41がスライドして開口部32を開閉する。本実施形態では、シャッター板41(粘着シート42)は、駆動シリンダ44の非駆動状態で開口部32を閉鎖する閉位置となり、駆動シリンダ44の駆動状態でスライドして開口部32を開放する開位置となる。被検知片45は、ブラケット43の下部に取り付けられ、シャッター板41と共にスライドする。検知センサ46は、被検知片45の有無を検知可能な位置に取り付けられており、被検知片45の有無の検知に基づいてシャッター板41の位置即ち開口部32の開閉を検知する。
【0025】
次に、こうして構成された実装装置10の動作、特に部品のディップ処理を行う際の動作を説明する。
図9は、ディップ処理ルーチンの一例を示すフローチャートであり、ディップフラックスユニット20の制御装置29により実行される。
【0026】
このディップ処理ルーチンでは、制御装置29は、まず、部品供給が開始されるタイミングであると判定するのを待つ(S100)。この判定は、実装制御装置19との通信に基づいて行われる。例えば実装制御装置19は、部品供給装置12であるテープフィーダに部品の送り動作の開始を指示する制御信号を出力する際に、制御装置29に対して送り動作の開始通知を送信するものとする。制御装置29は、その開始通知の受信に基づいて、S100で部品供給が開始されるタイミングであると判定する。
【0027】
制御装置29は、部品供給が開始されるタイミングであると判定すると、スキージ24の高さを調整しトレイ22を回転させてフラックス膜を形成するように回転装置23と昇降装置25とを制御し(S110)、ディップの準備が完了するのを待つ(S120)。制御装置29は、検知センサ26により検知されるフラックス膜の厚みが所定厚みとなったことに基づいて、S120で準備が完了したと判定する。制御装置29は、準備が完了したと判定すると、開口部32を開放するようにシャッター装置40を制御する(S130)。続いて、制御装置29は、検知センサ46により開口部32の開放を検知したと判定すると(S140)、開口部32の開放通知を実装制御装置19に送信する(S150)。この開放通知の受信に基づいて、実装制御装置19は、ヘッド14A,14Bの各ノズル15に吸着している部品を開口部32から進入させてトレイ22のフラックス膜にディップさせて、フラックスを部品に塗布する。
【0028】
そして、制御装置29は、ディップが完了したと判定するのを待つ(S160)。この判定は、実装制御装置19との通信に基づいて行われる。例えば実装制御装置19は、部品をディップさせた各ノズル15を所定位置まで上昇させると、ディップが完了したとして、制御装置29に完了通知を送信するものとする。制御装置29は、その完了通知の受信に基づいて、S160でディップが完了したと判定する。制御装置29は、ディップが完了したと判定すると、開口部32を閉鎖するようにシャッター装置40を制御して(S170)、ディップ処理ルーチンを終了する。
【0029】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のトレイ22がトレイに相当し、カバー30がカバーに相当し、シャッター装置40がシャッター装置に相当し、制御装置29が制御装置に相当する。粘着シート42が粘着性のシート部材に相当する。
【0030】
以上説明したように、ディップフラックスユニット20では、部品をディップさせる際にカバー30の開口部32を開閉するようにシャッター装置40を制御するから、開口部32の開放待ちなどの時間のロスが生じるのを防止して、部品のディップを適切に行うことができる。また、開口部32の開放が不要な場合は、シャッター板41で開口部32を閉鎖することでトレイ22への異物の混入を防止することができる。このため、部品に異物が付着するのを防止することができる。
【0031】
また、シャッター板41の上面に溜まる埃などの異物が粘着シート42に付着するため、シャッター板41を開閉した際にトレイ22に異物が落下するのを防止することができる。
【0032】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のディップフラックスユニット20Aを説明する。
図10は、実装装置10Aの構成の概略を示す側面図である。第2実施形態のディップフラックスユニット20Aは、実装装置10Aに取り付けられている。実装装置10Aは、図示するように、2つのヘッド14A,14Bではなく、1つのヘッド14を備える点以外は、上述した実装装置10と同様に構成されているため、詳細な説明は省略する。なお、第1実施形態の実装装置10において、ヘッド14Aに対してヘッド14Bを着脱可能に構成し、ヘッド14Bを取り外すことで実装装置10Aの構成に変化させてもよい。
【0033】
ここで、
図11は、第2実施形態のディップフラックスユニット20Aの構成の概略を示す斜視図である。
図12は、カバー30Aの構成の概略を示す斜視図である。
図13は、ディップフラックスユニット20Aの部分拡大図である。ディップフラックスユニット20Aは、カバー30とは異なるカバー30Aを備え、シャッター装置40を備えない点以外は、第1実施形態のディップフラックスユニット20と同様に構成されている。ディップフラックスユニット20Aは、ベース20bの裏面に設けられた図示しないレール部材がデバイスパレット11のスロット11aに挿入されることにより、デバイスパレット11に取り付けられる。なお、第1実施形態のディップフラックスユニット20も、デバイスパレット11に同様に取り付けられる。
【0034】
カバー30Aの上壁部31Aには、開口部32Aと、切欠部33とが形成されている。開口部32Aは、ノズル15に吸着されている部品が進入可能なサイズに形成されている。なお、実装装置10Aは、ヘッド14を1つのみ備えるから、第1実施形態に比して開口部32Aの形成位置の制約が少なく、開口部32Aの開口部面積を小さくすることができる。また、切欠部33は、上壁部31の一端から開口部32の近傍まで、スキージ24や検知センサ26などを露出させるように切り欠かれた形状に形成されている。なお、カバー30Aが、第1実施形態のカバー30と同様に、スキージ24や検知センサ26を覆うように構成されていてもよい。
【0035】
カバー30Aの側壁部35Aは、第1実施形態のカバー30の側壁部35よりも下方に長く延在している。側壁部35Aの下端は、実装装置10Aのデバイスパレット11のスロット11a内に挿入可能な幅で、略直角に外側に折り曲げられている。その折り曲げ部には、下面にスロット11a内に挿入可能なレール部材36が取り付けられると共に、上面に板バネ部材37が取り付けられている。なお、折り曲げ部にレール部材36の機能をもたせてもよい。板バネ部材37は、折り曲げ部と略同じ幅で延在し、折り曲げ部から突出した一端側に、デバイスパレット11の凹部11bに係合するように屈曲した係合部37aが形成されている。このように構成されたカバー30Aは、左右の側壁部35の下端に取り付けられた各レール部材36がスロット11aに挿入されることで、ユニット本体21とは独立してデバイスパレット11に取り付けられる。また、カバー30Aは、左右の板バネ部材37の係合部37aがそれぞれ凹部11bに係合することで、デバイスパレット11に確実に固定され、デバイスパレット11からの外れや位置ずれが防止される。
【0036】
第2実施形態のディップフラックスユニット20Aでは、実装装置10Aのヘッド14の種類に応じた開口部32Aが形成されたカバー30Aでトレイ22を覆うことができる。即ち、ヘッド14の種類に応じた位置に、最小限の開口部面積を有する開口部32Aを形成することで、トレイ22への異物の混入を抑制することができる。なお、第2実施形態のカバー30Aが、第1実施形態と同様にシャッター装置40を備えてもよい。このようにすれば、トレイ22への異物の混入を確実に防止することができる。
【0037】
第2実施形態では、カバー30Aをディップフラックスユニット20Aとは独立してデバイスパレット11に取り付けるから、ディップフラックスユニット20Aにそれぞれカバー30Aを設ける必要がない。即ち、ディップフラックスユニット20(20A)をメンテナンスなどで交換する場合でも、カバー30Aはそのままデバイスパレット11に残しておくことができる。また、カバー30Aは係合部37aがそれぞれ凹部11bに係合することで、デバイスパレット11からの外れや位置ずれを防止できるから、カバー30Aの位置ずれなどによって生じた隙間から異物がトレイ22に混入するのを防止することができる。なお、デバイスパレット11が支持部に相当し、板バネ部材37の係合部37aが係合部に相当する。
【0038】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0039】
上述した第1実施形態では、カバー30をシャッター装置40に取り付けたが、これに限られず、第2実施形態のようにデバイスパレット11に取り付けてもよい。
図14は、変形例のカバー30Bの構成の概略を示す斜視図である。変形例のカバー30Bは、第1実施形態の開口部32と同様の位置およびサイズで開口部32Bが形成された上壁部31Bと、上壁部31Bを支持する側壁部35Aとにより構成されている。側壁部35Aは、第2実施形態のカバー30Aの側壁部35Aと同様に構成され、レール部材36や板バネ部材37が取り付けられている。このようにすることで、カバー30Bも、ディップフラックスユニット20とは独立してデバイスパレット11に取り付けることができる。このため、第2実施形態のカバー30Aと変形例のカバー30Bとを容易に交換することも可能となる。上述したようにヘッド14Bを着脱可能とすることで、ヘッド構成の変化に伴い必要な開口部32の位置やサイズが変化する場合でも、カバー30A,30Bを交換することで容易に対応することができる。
【0040】
第2実施形態のカバー30Aや変形例のカバー30Bでは、板バネ部材37の係合部37aが凹部11bに係合するものとしたが、この構成に限られない。例えば、ピンと、ピンを下方に突出するように付勢するスプリングとを備え、ピンを凹部11bに係合させることによりカバー30A,30Bを固定してもよい。
【0041】
第1実施形態では、シャッター板41の上面に粘着シート42が取り付けられたが、これに限られず、粘着シート42が取り付けられていないシャッター板41で開口部32を閉鎖するものでもよい。
【0042】
ここで、本開示の粘性流体供給装置は、以下のように構成してもよい。例えば、本開示の第1の粘性流体供給装置において、前記粘性流体供給装置は、前記実装機に設けられた支持台に着脱可能に取り付けられ、前記カバーは、前記トレイの上方を覆い前記開口部が形成された上壁部と、前記トレイの側方を覆い前記上壁部を支持する側壁部とを有し、前記側壁部の下端が前記支持台に着脱可能に取り付けられるものとしてもよい。こうすれば、カバーを粘性流体供給装置とは別に支持台に取り付けることができるから、粘性流体供給装置のそれぞれにカバーを設ける必要がないから、コストを低減することができる。
【0043】
本開示の第1の粘性流体供給装置において、前記カバーは、前記支持台に形成された凹部に係合可能な係合部を有するものとしてもよい。こうすれば、カバーが支持台に確実に取り付けられるから、カバーの位置ずれによって生じた隙間などから異物が混入するのを防止することができる。
【0044】
本開示の第1の粘性流体供給装置において、前記シャッター装置は、前記シャッター板の上面に粘着性のシート部材が貼り付けられているものとしてもよい。こうすれば、シャッター板の上面に溜まった埃などの異物が、シャッター板を開閉した際にトレイに落下するのを防止することができる。
【0045】
本開示の第1の粘性流体供給装置において、前記ヘッドの種類に応じて異なる位置に前記開口部が形成された複数種類の前記カバーのうち、前記ヘッドの種類に応じたカバーに交換可能に構成されているものとしてもよい。こうすれば、部品を浸漬する際のヘッドの位置合わせに伴う移動ロスが生じるのを防止することができる。
【0046】
本開示の第2の粘性流体供給装置は、ヘッドで保持した部品を実装する実装機に取り付けられ、前記部品が浸漬される粘性流体を供給する粘性流体供給装置であって、粘性流体の膜が形成される皿状のトレイと、前記トレイを覆い、前記ヘッドに保持された前記部品が進入可能な開口部が形成されたカバーと、を備え、前記ヘッドの種類に応じて異なる位置に前記開口部が形成された複数種類の前記カバーのうち、前記ヘッドの種類に応じたカバーに交換可能に構成されていることを要旨とする。
【0047】
本開示の第2の粘性流体供給装置では、ヘッドの種類に応じて異なる位置に開口部が形成された複数種類のカバーのうち、ヘッドの種類に応じたカバーに交換可能に構成されている。これにより、部品を浸漬する際のヘッドの位置合わせに伴う移動ロスが生じるのを防止して、部品の浸漬を適切に行うことができる。また、ヘッドの種類に応じた開口部が形成されたカバーで覆うことで、トレイへの異物の混入を抑制することができる。この第2の粘性流体供給装置において、上述した本開示の第1の粘性流体供給装置の各構成を追加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本開示は、部品をフラックスに浸漬してから実装する技術分野などに利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10,10A 実装装置、11 デバイスパレット、11a スロット、11b 凹部、12 部品供給装置、13 基板搬送装置、14,14A,14B ヘッド、15 ノズル、16 移動装置、17 マークカメラ、18 パーツカメラ、19 実装制御装置、20,20A ディップフラックスユニット、20b ベース、21 ユニット本体、22 トレイ、23 回転装置、23a 回転テーブル、24 スキージ、25 昇降装置、26 検知センサ、27 貯留部、27a 液送管、28 コネクタ、28a ケーブル、29 制御装置、30,30A,30B カバー、31,31A,31B 上壁部、32,32A,32B 開口部、33 切欠部、35,35A 側壁部、36 レール部材、37 板バネ部材、37a 係合部、40 シャッター装置、41 シャッター板、42 粘着シート、43 ブラケット、44 駆動シリンダ、44a スライダ、45 被検知片、46 検知センサ、48 フレーム、S 基板。