(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】リアキャリア
(51)【国際特許分類】
B62J 7/04 20060101AFI20241219BHJP
B62J 9/23 20200101ALI20241219BHJP
【FI】
B62J7/04 Z
B62J9/23
(21)【出願番号】P 2023557632
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 JP2022031713
(87)【国際公開番号】W WO2023079816
(87)【国際公開日】2023-05-11
【審査請求日】2024-04-10
(31)【優先権主張番号】P 2021181986
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井口 貴正
(72)【発明者】
【氏名】立石 康
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-74290(JP,A)
【文献】実開平03-15288(JP,U)
【文献】中国実用新案第202400214(CN,U)
【文献】西独国特許出願公開第3513878(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第4331615(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 7/04 - 11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗り型車両(10)の乗員用のシート(17)の後方に設けられるキャリア本体(51)と、前記キャリア本体(51)に取り付けられる収納ボックス(52)とを備えるリアキャリアにおいて、
前記キャリア本体(51)は、車両前後方向に延びる左右一対のキャリアフレーム(55)を少なくとも備え、
前記収納ボックス(52)は、左右の前記キャリアフレーム(55)の間に配置され、
前記収納ボックス(52)は、上方に開口して物品を収納可能な収納部(61)と、前記収納部(61)の前方で前記収納部(61)に対し上方に延出する縦壁部(62)とを備え、
前記収納部(61)は、前記キャリアフレーム(55)の上面である積載面(75)よりも下方に配置され、前記縦壁部(62)は、前記積載面(75)よりも上方に延出することを特徴とするリアキャリア。
【請求項2】
前記収納部(61)を上方から覆う天板(53)が左右の前記キャリアフレーム(55)の間に配置され、
前記天板(53)の上面は、前記積載面(75)よりも下方に位置するとともに、車両側面視で、前記キャリアフレーム(55)に重なり、
前記縦壁部(62)は、前記天板(53)の前方に位置することを特徴とする請求項1記載のリアキャリア。
【請求項3】
前記天板(53)は、前記キャリア本体(51)に締結されていることを特徴とする請求項2記載のリアキャリア。
【請求項4】
前記天板(53)は、平面視で、前記天板(53)の下面と前記収納部(61)とが当接する当接部(68)に対し前記収納部(61)の外側に延出する延出部(70,71)を備え、
前記延出部(70,71)は、前記当接部(68)に対し下方に屈曲していることを特徴とする請求項2または3記載のリアキャリア。
【請求項5】
前記天板(53)の前縁部は、車両側面視で前下がりに傾斜した傾斜部(72)であり、前記傾斜部(72)の下面が前記収納部(61)に当接することを特徴とする請求項2
又は3に記載のリアキャリア。
【請求項6】
前記天板(53)の上面には、凹凸形状が形成されることを特徴とする請求項2
又は3のいずれかに記載のリアキャリア。
【請求項7】
前記キャリア本体(51)は、前記キャリアフレーム(55)から下方に延出する側壁部(58)を備え、
前記側壁部(58)は、前記収納部(61)を外側方から覆うことを特徴とする請求項1から
3のいずれかに記載のリアキャリア。
【請求項8】
前記キャリア本体(51)は、左右の前記キャリアフレーム(55)を左右に接続する前側フレーム部(56)を備え、前記前側フレーム部(56)は、前記シート(17)の後面(17d)に後方から対向し、
前記収納ボックス(52)の前面(62b)は、前記前側フレーム部(56)の下方で前記シート(17)の前記後面(17d)に後方から対向し、
前記収納ボックス(52)の前面(62b)と前記後面(17d)との距離(L1)は、前記前側フレーム部(56)と前記後面(17d)との距離(L2)よりも小さいことを特徴とする請求項1から
3のいずれかに記載のリアキャリア。
【請求項9】
前記前側フレーム部(56)は、前記シート(17)の後端部の上面(17h)よりも下方に位置することを特徴とする請求項8記載のリアキャリア。
【請求項10】
前記鞍乗り型車両(10)は、前記シート(17)を支持するリアフレーム(20)を備え、前記リアフレーム(20)の後部(20d)は前記シート(17)よりも後方に延び、
前記収納ボックス(52)は、前記リアフレーム(20)の前記後部(20d)に上方から当接するフレーム当接部(65)を備えることを特徴とする請求項1から
3のいずれかに記載のリアキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗り型車両の乗員用のシートの後方に設けられるキャリア本体と、平面視で枠状に形成された上記キャリア本体の内側に配置される収納ボックスとを備えるリアキャリアが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、収納ボックスは、キャリア本体の上面よりも下方に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のようなリアキャリアでは、キャリア本体に積載された荷物が前方のシートに接触することが考えられる。例えばシートの保護部材をキャリア本体に設けると、構造が複雑になるとともに重量が増加する。このため、シートに対する荷物の接触を簡単な構造で抑制し、シートを荷物から保護することが望まれる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、シートの後方に設けられるリアキャリアにおいて、シートに対する荷物の接触を簡単な構造で抑制し、シートを荷物から保護できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この明細書には、2021年11月8日に出願された日本国特許出願・特願2021-181986号の全ての内容が含まれる。
リアキャリアは、鞍乗り型車両の乗員用のシートの後方に設けられるキャリア本体と、前記キャリア本体に取り付けられる収納ボックスとを備えるリアキャリアにおいて、前記キャリア本体は、車両前後方向に延びる左右一対のキャリアフレームを少なくとも備え、前記収納ボックスは、左右の前記キャリアフレームの間に配置され、前記収納ボックスは、上方に開口して物品を収納可能な収納部と、前記収納部の前方で前記収納部に対し上方に延出する縦壁部とを備え、前記収納部は、前記キャリアフレームの上面である積載面よりも下方に配置され、前記縦壁部は、前記積載面よりも上方に延出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
リアキャリアにおいて、収納ボックスによって物品を収納可能とするとともに、収納ボックスによってシートに対する荷物の接触を簡単な構造で抑制し、シートを荷物から保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
【
図3】
図3は、シート及びリアキャリアの左側面図である。
【
図4】
図4は、シート及びリアキャリアを上方から見た平面図である。
【
図6】
図6は、天板を不図示にした状態でリアキャリアを上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
図2は、車体フレーム11の斜視図である。
鞍乗り型車両10は、自動二輪車である。
図1及び
図2を参照し、フロントフレーム19は、ヘッドパイプ18から後下がりに後方に延びるメインフレーム31と、メインフレーム31の後端部から下方に延びる左右一対のピボットフレーム32と、ヘッドパイプ18から下方に延びるダウンフレーム33と、ダウンフレーム33の下端部から後方に延びてピボットフレーム32の下端部に接続される左右一対のロアフレーム34とを備える。
【0016】
リアフレーム20は、ピボットフレーム32の上部から後方に延びる左右一対のシートフレーム35と、ピボットフレーム32においてシートフレーム35よりも下方の位置から後上方に延びてシートフレーム35に接続される左右一対のサブフレーム36とを備える。
詳細には、リアフレーム20は、シートフレーム35の後部から下方に延びる板状のガセット37を備える。サブフレーム36の後端部は、ガセット37を介してシートフレーム35に接続される。
また、左右のシートフレーム35の後端は、車幅方向(左右方向)に延びる後端接続部38によって車幅方向に接続されている。
さらに、左右のシートフレーム35の後部は、後端接続部38の前方で車幅方向に延びるクロスメンバー39によって車幅方向に接続されている。
【0017】
ピボット軸22は、ピボットフレーム32に支持される。リアクッション41の上端はガセット37に連結され、リアクッション41の下端はスイングアーム16の後端部に連結される。
鞍乗り型車両10は、リアフレーム20を車幅方向外側から覆うサイドカバー42を備える。サイドカバー42は、工具等を収納可能な小物入れ(不図示)を車幅方向外側から覆う。サイドカバー42は、鞍乗り型車両10のメインキーによって操作されるキーシリンダー42aを備える。キーシリンダー42aによるロックが解除されると、サイドカバー42を開けることが可能となり、乗員は、上記小物入れにアクセス可能となる。
鞍乗り型車両10は、駐車時に鞍乗り型車両10を直立状態に支持するセンタースタンド45を備える。
【0018】
鞍乗り型車両10は、荷物を積載可能なリアキャリア50を、シート17の後方に備える。リアキャリア50は、リアフレーム20に取り付けられる。リアキャリア50は、リアフレーム20及びリアフェンダー27の上方に配置される。
シート17は、一人乗り用のシートである。シート17及びリアキャリア50に替えて、シート17よりも後方に延びる二人乗り用のシートをリアフレーム20に取り付けることも可能である。
【0019】
図3は、シート17及びリアキャリア50の左側面図である。
図4は、シート17及びリアキャリア50を上方から見た平面図である。
図5は、リアキャリア50の分解斜視図である。
シート17は、クッション材17a(
図7)とクッション材17aを下方から支持するシート底板17bと、クッション材17aを覆うシート表皮17cとを備える。
リアキャリア50は、シート17の後面であるシート後面17d(後面)に後方から近接するように配置される。
【0020】
リアキャリア50は、シート17の後方に設けられるキャリア本体51と、キャリア本体に取り付けられる収納ボックス52と、収納ボックス52を上方から覆う天板53とを備える。
図6は、天板53を不図示にした状態でリアキャリア50を上方から見た平面図である。
図3~
図6を参照し、キャリア本体51は、車両前後方向に延びる左右一対のキャリアフレーム55と、左右のキャリアフレームの前端を左右に接続する前側フレーム部56と、左右のキャリアフレームの後端を左右に接続する後側フレーム部57とを備える。
キャリア本体51は、左右のキャリアフレーム55と、前側フレーム部56と、後側フレーム部57とによって、平面視で略矩形の閉じたループ状に形成される。
キャリアフレーム55、前側フレーム部56、及び後側フレーム部57はパイプ材である。
【0021】
左右のキャリアフレーム55は、平面視では、後方に向かうに従って互いの間隔が近くなるように後方に延びる。前側フレーム部56は、後側フレーム部57よりも左右に長い。
前側フレーム部56は、各キャリアフレーム55の前端から車幅方向内側且つ上方に延びる上方延出部56aと、左右の上方延出部56aの上端を左右に接続する左右接続部56bとを備える。前側フレーム部56は、車両側面視では、前上方に向けて斜めに延びる。
【0022】
また、キャリア本体51は、各キャリアフレーム55から下方に延出する側壁部58を備える。側壁部58は、キャリアフレーム55の車幅方向の内側面から下方に延出する。側壁部58は車両前後方向に長く延びる板材である。
側壁部58には、複数の固定孔58aが前後方向に並べて設けられる。
【0023】
さらに、キャリア本体51は、側壁部58の上部から車幅方向内側に延出するステー部59を複数備える。詳細には、ステー部59は、各側壁部58において、キャリアフレーム55の前部側に一つ設けられ、キャリアフレーム55の後部側に一つ設けられる。ステー部59は、車両側面視で、キャリアフレーム55に重なる位置に設けられる。
キャリア本体51は、例えば、鉄系材料や軽金属の合金等の金属材料によって構成される。
【0024】
図1、
図3、及び
図5を参照し、キャリア本体51は、左右の側壁部58がリアフレーム20の後部の外側面に車幅方向外側から当接するようにセットされる。キャリア本体51は、側壁部58の固定孔58aに車幅方向外側から挿通されるキャリア締結具60によって、リアフレーム20に固定される。すなわち、側壁部58は、キャリア本体51をリアフレーム20に固定するステーである。
キャリアフレーム55、前側フレーム部56、及び後側フレーム部57は、シートフレーム35の上方に位置する。キャリアフレーム55は、車両側面視では、シートフレーム35に沿って前下がりの姿勢で車両前後方向に延びる。左右のキャリアフレーム55は、左右のシートフレーム35に対し車幅方向外側に位置する。
【0025】
図7は、
図4のVII-VII断面図である。
図8は、
図4のVIII-VIII断面図である。
図3~
図8を参照し、収納ボックス52は、平面視で、閉じたループ状のキャリア本体51の内側に配置される。詳細には、収納ボックス52は、平面視で、後側フレーム部57の前方において、左右のキャリアフレーム55の間に配置される。また、平面視で、収納ボックス52の前端部は、前側フレーム部56に下方から重なる。
収納ボックス52は、平面視で、左右のキャリアフレーム55に沿うように形成されており、収納ボックス52の車幅方向の幅は、後方に向かうに従って小さくなる。
収納ボックス52は、車両側面視では、キャリアフレーム55に沿うように前下がりに傾斜して配置される。
収納ボックス52は、シートフレーム35の上方に配置され、シートフレーム35に上方から重なる。
【0026】
収納ボックス52は、上方に開口して物品を収納可能な収納部61と、収納部61の前方で収納部61に対し上方に延出する縦壁部62とを一体に備える。収納ボックス52は、例えば樹脂材料によって構成され、型を用いた樹脂成形によって収納部61と縦壁部62とが一体に形成される。
【0027】
収納部61は、下方に凹む収納凹部63と、収納凹部63の周縁部から平面視で外側に延出するフランジ部64とを備える。
フランジ部64は、平板状である。フランジ部64は、平面視における収納部61の外形を形成する。フランジ部64は、平面視で、収納凹部63に対し左右の両側方、前方、及び後方に延出する。
収納凹部63は、フランジ部64の上面に対し下方に凹む凹部である。収納凹部63は、上方に開口する箱状である。
【0028】
フランジ部64には、フランジ部64を上下に貫通する収納ボックス固定孔64aが複数設けられる。収納ボックス固定孔64aは、キャリア本体51のステー部59に重なる位置に設けられる。
【0029】
縦壁部62は、フランジ部64の前縁から前上がりに延びる縦壁部後壁62aと、縦壁部後壁62aの前縁から下方に延びる縦壁部前壁62b(収納ボックスの前面)と、縦壁部後壁62aの側縁と縦壁部前壁62bの側縁とを前後方向に接続する左右一対の縦壁部側壁62cとを備える。
縦壁部62は、左のキャリアフレーム55の前端部の近傍から右のキャリアフレーム55の前端部の近傍まで延びる。縦壁部62の内側は中空であり、この中空部は下方に開放する。
【0030】
収納ボックス52は、下方に延出してシートフレーム35の上面に当接するフレーム当接部65を複数備える。詳細には、フレーム当接部65は、縦壁部62の側部の下端部、フランジ部64の側縁部、及びフランジ部64の後縁部に設けられる。
【0031】
収納ボックス52は、フランジ部64がキャリア本体51のステー部59の上面に載置される。そして、収納ボックス52は、収納ボックス固定孔64aに上方から挿通されてステー部59に締結される収納ボックス締結具66によって、キャリア本体51に固定される。
【0032】
天板53は、後側フレーム部57の前方で左右のキャリアフレーム55の間に配置され、収納ボックス52の収納部61を上方から覆う。天板53は、前側フレーム部56及び縦壁部62の後方に配置される。
天板53は、平面視において収納部61の外形に沿うように形成された略矩形の板材である。天板53は、収納部61の収納凹部63及びフランジ部64を上方から覆う。天板53は、平面視で、左右のキャリアフレーム55に沿うように形成されており、天板53の車幅方向の幅は、後方に向かうに従って小さくなる。
天板53は、例えば、鉄系材料や軽金属の合金等の金属材料によって構成される。天板53及びキャリア本体51は、収納ボックス52よりも剛性が高い材料で構成されている。
【0033】
天板53は、天板53を上下に貫通する天板固定孔53aを複数備える。
天板53は、天板53の下面が収納ボックス52のフランジ部64に上方から当接するように配置される。そして、天板53は、天板固定孔53aに上方から挿通される収納ボックス締結具66によって、キャリア本体51のステー部59に締結される。すなわち、天板53は、収納ボックス締結具66によって、ステー部59に対し収納ボックス52と共締めされる。このため、天板53を専用の締結具で締結する必要が無く、部品点数を削減できる。
【0034】
詳細には、ステー部59には、収納ボックス締結具66が挿通される筒状部59a(
図8)が設けられる。筒状部59aは、ステー部59の板状部の上面から上方に突出する。筒状部59aの内周には、収納ボックス締結具66が螺合する雌ねじ部が設けられる。
収納ボックス52は、収納ボックス固定孔64aが筒状部59aに嵌合することで位置決めされる。
天板53の下面は、筒状部59aの上面に当接し、収納ボックス締結具66の締結の軸力は、筒状部59aによって受けられる。収納ボックス52のフランジ部64は、天板53の下面とステー部59の板状部の上面との間に挟まれる。
【0035】
天板53の上面には、上方に膨出する凸部53bが複数設けられることで、凹凸形状が形成されている。凸部53bは、天板53の素材をプレス加工によって上方に膨出するように変形させたものである。この凹凸形状により、天板53の剛性は高くなる。
【0036】
図9は、
図4のIX-IX断面図である。
図4及び
図7~
図9を参照し、収納凹部63は、天板53の周縁部の下面とフランジ部64の上面とが当接することで密閉されている。これにより、リアキャリア50に付着する水の収納凹部63への侵入が抑制される。
収納凹部63は、左右のシートフレーム35の間に配置され、左右のシートフレーム35の上面よりも下方まで延出する。
【0037】
図8及び
図9を参照し、天板53の左右の側縁部には、天板53の下面とフランジ部64の上面とが当接する当接部68に対し平面視で収納部61の外側に延出する側方延出部70(延出部)が設けられる。
側方延出部70は、当接部68に対し車幅方向外側に延出し、車幅方向外側に向かうに従って下方に位置するように屈曲している。側方延出部70は、天板53の側縁部を下方に曲げて形成される。側方延出部70は、下方に向けて屈曲するため、収納凹部63の防水性を効果的に向上させる。
当接部68及び側方延出部70によってラビリンス構造が形成される。このため、リアキャリア50に付着する水の収納凹部63への侵入が抑制される。
【0038】
図7を参照し、天板53の後縁部には、天板53の下面とフランジ部64の上面とが当接する当接部68に対し平面視で収納部61の外側に延出する後方延出部71(延出部)が設けられる。
後方延出部71は、当接部68に対し後方に延出し、後方に向かうに従って下方に位置するように屈曲している。後方延出部71は、天板53の後縁部を下方に曲げて形成される。後方延出部71は、下方に向けて屈曲するため、収納凹部63の防水性を効果的に向上させる。
当接部68及び後方延出部71によってラビリンス構造が形成される。このため、リアキャリア50に付着する水の収納凹部63への侵入が抑制される。
【0039】
図7を参照し、天板53の前縁部は、車両側面視で前下がりに傾斜した傾斜部72である。傾斜部72の下面は、フランジ部64の前縁部の上面64bに当接する。上面64bは、車両側面視で前下がりに傾斜している。
すなわち、傾斜部72の下面と上面64bとが当接する部分は、後方の収納凹部63側に向けて上るように傾斜している。このため、傾斜部72の下面と上面64bとが当接する部分から水が収納凹部63に侵入することが抑制される。
【0040】
図8を参照し、キャリア本体51の側壁部58は、収納部61及び天板53を車幅方向外側から覆う。詳細には、側壁部58は、天板53の側縁部の当接部68及び側方延出部70を車幅方向外側から覆う。このため、外側方から天板53及び収納部61に水が付着することを側壁部58によって抑制でき、収納部61の防水性を向上できる。また、側壁部58は、キャリア本体51をリアフレーム20に固定するステーであるため、ステーを利用する簡単な構造で防水性を向上できる。
【0041】
収納凹部63には、物品69(
図8)を収納可能である。物品69は、例えば、有料道路の電子料金収受システムの車載器等の部品、及び、車載工具等である。
例えば、乗員は、上述のメインキーによってキーシリンダー42a(
図1)を操作してサイドカバー42を開け、上記小物入れに収納された工具を取り出す。乗員は、この工具を使用して、収納ボックス締結具66の締結を解除し、その後、天板53を取り外し、収納凹部63にアクセスする。
【0042】
図3、
図4、
図7、及び
図8を参照し、左右のキャリアフレーム55の上面は、荷物73が積載される積載面75である。積載面75は、車両側面視で前下がりに傾斜している。
荷物73が、左右のキャリアフレーム55の間隔よりも大きく、且つ、箱のように変形し難いものである場合、荷物73は、左右のキャリアフレーム55の両方の積載面75に載置される。荷物73は、例えば紐やネット等の固定用具によってリアキャリア50に固定される。
【0043】
天板53は、車両側面視で、積載面75と略平行であり、前下がりの姿勢で配置される。
天板53の上面は、車両側面視で、積載面75よりも下方且つ左右のキャリアフレーム55の下面55aよりも上方に配置される。このため、天板53は、車両側面視で、キャリアフレーム55に車幅方向内側から重なり、車両側面視では視認されない。
また、収納部61の上面も、車両側面視で、積載面75よりも下方且つ左右のキャリアフレーム55の下面55aよりも上方に配置される。
【0044】
リアキャリア50では、天板53は、積載面75よりも下方に位置し、積載面75に対して上方に突出しない。このため、天板53が荷物73の邪魔になることが抑制され、大きな荷物73を左右の積載面75によって良好に支持できる。
また、荷物73が、バッグのような変形し易いものである場合、荷物73は、重力による変形によって左右の積載面75の間で積載面75よりも下方に突出し、この突出した部分は天板53によって支持される。天板53は、キャリアフレーム55の下面55aよりも上方に配置され、積載面75に対し近い位置にあるため、バッグのような変形し易い荷物を良好に支持できる。
また、荷物73の幅が左右のキャリアフレーム55の間隔よりも小さい場合、荷物73は天板53に積載されることができる。
さらに、収納ボックス締結具66は、積載面75よりも下方に位置している。このため、収納ボックス締結具66が荷物73の邪魔になることが抑制され、大きな荷物73を左右の積載面75によって良好に支持できる。
【0045】
収納ボックス52の縦壁部62は、天板53及び収納部61の前方で、積載面75よりも上方に延出している。詳細には、縦壁部62は、積載面75を前方に延長した延長線75aよりも上方に延出している。
縦壁部62は、積載面75及び天板53に積載された荷物73とシート後面17dとの間で上方に延出し、シート後面17dに対する荷物73の接触を抑制する。これにより、荷物73が前方に移動したり、荷物73が前後に長いものであったりした場合であっても、荷物73とシート後面17dとの接触を抑制でき、シート後面17dの傷の発生を抑制できる。
【0046】
図7を参照し、リアフレーム20のクロスメンバー39には、シート17の後端部が固定されるシートステー43が設けられる。シートステー43は、クロスメンバー39の上面から後上方に延びる。
シート17は、シート17の後部の下面からシート後面17dの後方に延出する取付部17eを備える。取付部17eは、取付部17eに上方から挿通されるシート締結具17fによって、シートステー43に固定される。
シート締結具17fは、リアフェンダー27の上方に位置し、平面視では、左右のキャリアフレーム55の間且つ前側フレーム部56の後方に位置する。
収納ボックス52の縦壁部62は、シート締結具17f及び取付部17eを上方から覆う。これにより、シート締結具17f及び取付部17eを縦壁部62によって隠すことができ、外観性が良い。
【0047】
図10は、
図7において縦壁部62の周辺部を拡大した断面図である。
図4、
図7、及び
図10を参照し、シート後面17dは、車両側面視で、後下がりの傾斜面である。また、シート後面17dは、平面視では、後方に凸の湾曲面である。
キャリア本体51の前側フレーム部56、及び、収納ボックス52の縦壁部62は、シート後面17dに後方から近接するように配置される。
【0048】
前側フレーム部56の左右接続部56bは、シート後面17dの上部の後方に位置し、車両後面視では、シート後面17dの上部に後方から重なる。左右接続部56bはシート後面17dに対向する。左右接続部56bは、前側フレーム部56の前端を構成する。
前側フレーム部56は、天板53及びキャリアフレーム55の前方に位置し、荷物73とシート後面17dとの接触を抑制する。
また、前側フレーム部56は、乗員等が把持する把持部としても機能する。乗員等は、鞍乗り型車両10を押し歩きしたり、センタースタンド45で駐車したりする際に、前側フレーム部56を手で把持して鞍乗り型車両10を保持する。
【0049】
縦壁部62は、左右接続部56bの下方で、シート後面17dの下部の後方に位置し、車両後面視では、シート後面17dの下部に後方から重なる。
縦壁部前壁62bは、シート後面17dに後方から対向する。縦壁部前壁62bは、収納ボックス52の前面を構成する。縦壁部前壁62bは、シート後面17dに沿うように、後下がりに傾斜している。また、縦壁部前壁62bは、平面視では、シート後面17dに沿って、後方に凹となるように湾曲している。
【0050】
縦壁部前壁62bとシート後面17dとの距離L1は、前側フレーム部56の左右接続部56bとシート後面17dとの距離L2よりも小さい。また、縦壁部前壁62b及び左右接続部56bをシート後面17d側に投影した場合に、縦壁部前壁62bがシート後面17dに重なる面積は、左右接続部56bがシート後面17dに重なる面積よりも大きい。
例えば、乗員がシート17に着座すること等によってシート17が変形する場合、シート後面17dは後方に変位する。鞍乗り型車両10では、距離L1が距離L2よりも小さいため、シート後面17dが後方に変位した場合、シート後面17dは、左右接続部56bよりも先に縦壁部前壁62bに接触する。このため、左右接続部56bがシート後面17dに強く接触することが抑制され、シート後面17d及び左右接続部56bの傷の発生を抑制できる。
縦壁部前壁62bは、左右接続部56bの下方で入り組んだ場所に位置するため、外側から視認され難い。これに対し、左右接続部56bは、外側に露出するため、例えば左右接続部56bの塗装に傷が付くと、傷が目立ち易い。
【0051】
距離L1は、縦壁部前壁62bの下部では、下方に向かうに従って大きくなる。これにより、縦壁部前壁62bの下端62dとシート後面17dとの間隔D1は、縦壁部前壁62bにおける下端62dの上方の部分とシート後面17dとの間隔D2よりも大きい。このため、縦壁部前壁62bの下端62dがシート後面17dに接触することが抑制され、シート後面17dの傷の発生を抑制できる。
また、縦壁部前壁62bの下端62dは、シート後面17dの下端17gよりも下方に位置する。このため、縦壁部前壁62bの下端62dがシート後面17dに接触することが抑制され、シート後面17dの傷の発生を抑制できる。
【0052】
また、左右接続部56bとシート後面17dとの距離L2が大きく確保されるため、乗員等が左右接続部56bとシート後面17dとの間に手を入れ易く、左右接続部56bを把持し易い。
図7を参照し、左右接続部56bの上面は、シート17の後端部の上面17hよりも下方に位置する。このため、シート17に着座した乗員と左右接続部56bの上面との距離を確保でき、シート17に着座した乗員が左右接続部56bに接触することを抑制できる。
【0053】
図5及び
図7を参照し、リアフレーム20の後部20aは、シート17よりも後方に延びている。後部20aは、シートフレーム35の後部及び後端接続部38によって構成される。
収納ボックス52は、フレーム当接部65を介して、後部20aの上面に当接する。これにより、天板53に積載された荷物73の荷重をリアフレーム20の後部20aによって受けることができ、荷物73を効果的に支持できる。
なお、フレーム当接部65は、荷物73等が積載されていない通常時は後部20aの上面に近接していても良い。この場合、所定の荷重が天板53に作用した場合に、収納ボックス52が下方に撓み、フレーム当接部65が後部20aの上面に当接する。
【0054】
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、リアキャリア50は、鞍乗り型車両10の乗員用のシート17の後方に設けられるキャリア本体51と、キャリア本体51に取り付けられる収納ボックス52とを備え、キャリア本体51は、車両前後方向に延びる左右一対のキャリアフレーム55を少なくとも備え、収納ボックス52は、左右のキャリアフレーム55の間に配置され、収納ボックス52は、上方に開口して物品69を収納可能な収納部61と、収納部61の前方で収納部61に対し上方に延出する縦壁部62とを備える。収納部61は、キャリアフレーム55の上面である積載面75よりも下方に配置され、縦壁部62は、積載面75よりも上方に延出する。
この構成によれば、収納部61によって物品69を収納可能とするとともに、収納部61の前方で積載面75よりも上方に延出する縦壁部62を収納ボックス52が備えるため、積載面75の荷物73がシート17に接触することを縦壁部62によって抑制できる。このため、収納ボックス52の縦壁部62を利用して、シート17に対する荷物73の接触を簡単な構造で抑制し、シート17を荷物73から保護できる。
【0055】
また、収納部61を上方から覆う天板53が左右のキャリアフレーム55の間に配置され、天板53の上面は、積載面75よりも下方に位置するとともに、車両側面視で、キャリアフレーム55に重なり、縦壁部62は、天板53の前方に位置する。
この構成によれば、天板53によって収納部61が覆われるため、物品69を収納部61に良好に収納できる。また、天板53が積載面75よりも下方に位置するため、荷物73を積載面75によって良好に支持できる。さらに、天板53よりも前方に延びる荷物がシート17に接触することを、縦壁部62によって効果的に抑制できる。
【0056】
また、天板53は、キャリア本体51に締結されている。
この構成によれば、天板53はキャリア本体51に締結されて強固に支持されるため、積載面75に対し下方に位置する荷物73を天板53によって良好に支持できる。
【0057】
さらに、天板53は、平面視で、天板53の下面と収納部61とが当接する当接部68に対し収納部61の外側に延出する側方延出部70及び後方延出部71を備え、側方延出部70及び後方延出部71は、当接部68に対し下方に屈曲している。
この構成によれば、天板53の側方延出部70及び後方延出部71が、天板53の下面と収納部61とが当接する当接部68に対し下方に屈曲するため、側方延出部70及び後方延出部71によってラビリンス形状を設けることができ、収納部61の防水性を向上できる。
【0058】
また、天板53の前縁部は、車両側面視で前下がりに傾斜した傾斜部72であり、傾斜部72の下面が収納部61に当接する。
この構成によれば、天板53の前縁部では、前下がりに傾斜した傾斜部72の下面が収納部61に当接するため、傾斜部72の下面と収納部61との間に水が侵入し難くなる。このため、収納部61の防水性を向上できる。
【0059】
また、天板53の上面には、凹凸形状が形成される。
この構成によれば、凹凸形状によって天板53の剛性を高くできるため、天板53によって荷物73を良好に支持できる。
【0060】
また、キャリア本体51は、キャリアフレーム55から下方に延出する側壁部58を備え、側壁部58は、収納部61を外側方から覆う。
この構成によれば、収納部61を外側方から覆う側壁部58によって、収納部61の防水性を向上できる。
【0061】
また、キャリア本体51は、左右のキャリアフレーム55を左右に接続する前側フレーム部56を備え、前側フレーム部56は、シート17のシート後面17dに後方から対向し、収納ボックス52の前面である縦壁部前壁62bは、前側フレーム部56の下方でシート後面17dに後方から対向し、縦壁部前壁62bとシート後面17dとの距離L1は、前側フレーム部56とシート後面17dとの距離L2よりも小さい。
この構成によれば、距離L1は、距離L2よりも小さいため、乗員の着座等によってシート17が大きく変形した場合には、シート後面17dは、前側フレーム部56よりも先に縦壁部前壁62bに当たる。これにより、シート後面17dと前側フレーム部56との接触を抑制でき、シート後面17d及び前側フレーム部56の傷の発生を抑制できる。また、シート後面17dと前側フレーム部56との距離L2を大きく確保できるため、例えば、乗員が鞍乗り型車両10を把持する際に、シート後面17dと前側フレーム部56との間に手を入れて前側フレーム部56を把持し易い。
【0062】
さらに、前側フレーム部56は、シート17の後端部の上面17hよりも下方に位置する。
この構成によれば、シート17に乗員が着座した場合に、乗員と前側フレーム部56との距離を確保でき、前側フレーム部56が乗員の邪魔になることを抑制できる。
【0063】
また、鞍乗り型車両10は、シート17を支持するリアフレーム20を備え、リアフレーム20の後部20aはシート17よりも後方に延び、収納ボックス52は、リアフレーム20の後部20aに上方から当接するフレーム当接部65を備える。
この構成によれば、収納ボックス52は、フレーム当接部65を介してリアフレーム20の後部20aに上方から当接するため、収納ボックス52が荷物73から受ける荷重をリアフレーム20によって受けることができる。このため、リアキャリア50によって荷物73を良好に支持できる。
【0064】
なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上記実施の形態では、キャリア本体51が、左右のキャリアフレーム55、前側フレーム部56、及び後側フレーム部57を備えるものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。キャリア本体51は、少なくとも左右一対のキャリアフレーム55を備えていれば良い。
また、上記実施の形態では、収納部61を上方から覆う天板53が設けられるが、本発明はこれに限定されるものではなく、天板53を設けない構成としても良い。
さらに、上記実施の形態では、自動二輪車である鞍乗り型車両10に搭載されるリアキャリア50を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、リアキャリア50は、三輪の鞍乗り型車両、及び四輪以上を備える鞍乗り型車両に設けられても良い。
【0065】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0066】
(構成1)鞍乗り型車両の乗員用のシートの後方に設けられるキャリア本体と、前記キャリア本体に取り付けられる収納ボックスとを備えるリアキャリアにおいて、前記キャリア本体は、車両前後方向に延びる左右一対のキャリアフレームを少なくとも備え、前記収納ボックスは、左右の前記キャリアフレームの間に配置され、前記収納ボックスは、上方に開口して物品を収納可能な収納部と、前記収納部の前方で前記収納部に対し上方に延出する縦壁部とを備え、前記収納部は、前記キャリアフレームの上面である積載面よりも下方に配置され、前記縦壁部は、前記積載面よりも上方に延出することを特徴とするリアキャリア。
この構成によれば、収納部によって物品を収納可能とするとともに、収納部の前方で積載面よりも上方に延出する縦壁部を収納ボックスが備えるため、積載面の荷物がシートに接触することを縦壁部によって抑制できる。このため、収納ボックスの縦壁部を利用して、シートに対する荷物の接触を簡単な構造で抑制し、シートを荷物から保護できる。
【0067】
(構成2)前記収納部を上方から覆う天板が左右の前記キャリアフレームの間に配置され、前記天板の上面は、前記積載面よりも下方に位置するとともに、車両側面視で、前記キャリアフレームに重なり、前記縦壁部は、前記天板の前方に位置することを特徴とする構成1記載のリアキャリア。
この構成によれば、天板によって収納部が覆われるため、物品を収納部に良好に収納できる。また、天板が積載面よりも下方に位置するため、荷物を積載面によって良好に支持できる。さらに、天板よりも前方に延びる荷物がシートに接触することを、縦壁部によって効果的に抑制できる。
【0068】
(構成3)前記天板は、前記キャリア本体に締結されていることを特徴とする構成2記載のリアキャリア。
この構成によれば、天板はキャリア本体に締結されて強固に支持されるため、積載面に対し下方に位置する荷物を天板によって良好に支持できる。
【0069】
(構成4)前記天板は、平面視で、前記天板の下面と前記収納部とが当接する当接部に対し前記収納部の外側に延出する延出部を備え、前記延出部は、前記当接部に対し下方に屈曲していることを特徴とする構成2または3記載のリアキャリア。
この構成によれば、天板の延出部が、天板の下面と収納部とが当接する当接部に対し下方に屈曲するため、延出部によってラビリンス形状を設けることができ、収納部の防水性を向上できる。
【0070】
(構成5)前記天板の前縁部は、車両側面視で前下がりに傾斜した傾斜部であり、前記傾斜部の下面が前記収納部に当接することを特徴とする構成2から4のいずれかに記載のリアキャリア。
この構成によれば、天板の前縁部では、前下がりに傾斜した傾斜部の下面が収納部に当接するため、傾斜部の下面と収納部との間に水が侵入し難くなる。このため、収納部の防水性を向上できる。
【0071】
(構成6)前記天板の上面には、凹凸形状が形成されることを特徴とする構成2から5のいずれかに記載のリアキャリア。
この構成によれば、凹凸形状によって天板の剛性を高くできるため、天板によって荷物を良好に支持できる。
【0072】
(構成7)前記キャリア本体は、前記キャリアフレームから下方に延出する側壁部を備え、前記側壁部は、前記収納部を外側方から覆うことを特徴とする構成1から6のいずれかに記載のリアキャリア。
この構成によれば、収納部を外側方から覆う側壁部によって、収納部の防水性を向上できる。
【0073】
(構成8)前記キャリア本体は、左右の前記キャリアフレームを左右に接続する前側フレーム部を備え、前記前側フレーム部は、前記シートの後面に後方から対向し、前記収納ボックスの前面は、前記前側フレーム部の下方で前記シートの前記後面に後方から対向し、前記収納ボックスの前面と前記後面との距離は、前記前側フレーム部と前記後面との距離よりも小さいことを特徴とする構成1から7のいずれかに記載のリアキャリア。
この構成によれば、乗員の着座等によってシートが大きく変形した場合には、シートの後面は、前側フレーム部よりも先に収納ボックスの前面に当たる。これにより、シートの後面と前側フレーム部との接触を抑制でき、シートの後面及び前側フレーム部の傷の発生を抑制できる。また、シートの後面と前側フレーム部との距離を大きく確保できるため、例えば、乗員が鞍乗り型車両を把持する際に、シートの後面と前側フレーム部との間に手を入れて前側フレーム部を把持し易い。
【0074】
(構成9)前記前側フレーム部は、前記シートの後端部の上面よりも下方に位置することを特徴とする構成8記載のリアキャリア。
この構成によれば、収納ボックスの前面とシートの後面との距離は、前側フレーム部とシートの後面との距離よりも小さいため、乗員の着座等によってシートが大きく変形した場合には、シートの後面は、前側フレーム部よりも先に収納ボックスの前面に当たる。これにより、シートの後面と前側フレーム部との接触を抑制でき、シートの後面及び前側フレーム部の傷の発生を抑制できる。また、シートの後面と前側フレーム部との距離を確保できるため、例えば、乗員が鞍乗り型車両を把持する際に、シートの後面と前側フレーム部との間に手を入れて前側フレーム部を把持し易い。
【0075】
(構成10)鞍乗り型車両は、前記シートを支持するリアフレームを備え、前記リアフレームの後部は前記シートよりも後方に延び、前記収納ボックスは、前記リアフレームの前記後部に上方から当接するフレーム当接部を備えることを特徴とする構成1から9のいずれかに記載のリアキャリア。
この構成によれば、収納ボックスは、フレーム当接部を介してリアフレームの後部に上方から当接するため、収納ボックスが荷物から受ける荷重をリアフレームによって受けることができる。このため、リアキャリアによって荷物を良好に支持できる。
【符号の説明】
【0076】
10 鞍乗り型車両
17 シート
17d シート後面(後面)
17h 上面
20 リアフレーム
20a 後部
50 リアキャリア
51 キャリア本体
52 収納ボックス
53 天板
55 キャリアフレーム
56 前側フレーム部
58 側壁部
61 収納部
62 縦壁部
62b 縦壁部前壁(収納ボックスの前面)
65 フレーム当接部
68 当接部
70 側方延出部(延出部)
71 後方延出部(延出部)
72 傾斜部
75 積載面
L1 距離(収納ボックスの前面と後面との距離)
L2 距離(前側フレーム部と後面との距離)