(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】清浄装置、清浄システム、及び清浄方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20241219BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H01L21/68 T
H01L21/304 648D
H01L21/304 645A
H01L21/304 648E
(21)【出願番号】P 2024029924
(22)【出願日】2024-02-29
【審査請求日】2024-03-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100171583
【氏名又は名称】梅景 篤
(72)【発明者】
【氏名】畑 亮也
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/007657(WO,A1)
【文献】特開2024-002098(JP,A)
【文献】特開2017-050518(JP,A)
【文献】国際公開第2017/033546(WO,A1)
【文献】特開2019-102727(JP,A)
【文献】特開2014-107296(JP,A)
【文献】特開2011-187866(JP,A)
【文献】特開2022-159779(JP,A)
【文献】特開2014-038888(JP,A)
【文献】特開2012-204645(JP,A)
【文献】特表2021-521656(JP,A)
【文献】特開2006-351868(JP,A)
【文献】特開2009-239006(JP,A)
【文献】特開2019-192684(JP,A)
【文献】特開平11-274282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口とパネルを収納する内部空間とを有する容器本体と、前記開口を閉塞する蓋体と、を備える収納容器の前記内部空間を清浄化する清浄装置であって、
前記蓋体が外された状態の前記開口を閉塞する閉塞体であって、前記内部空間にガスが導入される給気口
、及び前記内部空間からガスが排出される排気口
が設けられている本体部と、前記本体部と前記容器本体との間を封止する封止部材とを有する閉塞体と、
前記給気口を介して前記内部空間にガスを供給する給気装置と、
前記蓋体が外された状態の前記開口を前記閉塞体が
気密に閉塞するように、前記容器本体と前記閉塞体とを相対的に移動させ
、前記容器本体を前記封止部材に押し当てる第1移動機構と、
を備える、清浄装置。
【請求項2】
前記容器本体が載置されるとともに、前記容器本体を第1方向に移動するステージを含む載置台を更に備え、
前記閉塞体は、前記載置台の前記第1方向における端縁に設けられ、
前記第1移動機構は、前記ステージを含む、請求項1に記載の清浄装置。
【請求項3】
前記載置台は、前記容器本体を前記ステージに固定するクランプ機構を更に含む、請求項2に記載の清浄装置。
【請求項4】
前記蓋体を吸着する吸着パッドを有し、前記蓋体の施錠及び解錠を操作する開閉機構を更に備える、請求項2に記載の清浄装置。
【請求項5】
前記閉塞体及び前記開閉機構と前記容器本体とを前記第1方向と交差する第2方向に相対的に移動させる第2移動機構を更に備え、
前記閉塞体と前記開閉機構とは、前記第2方向に配列されている、請求項4に記載の清浄装置。
【請求項6】
開口とパネルを収納する内部空間とを有する容器本体と、前記開口を閉塞する蓋体と、を備える収納容器の前記内部空間を清浄化する清浄装置であって、
前記蓋体が外された状態の前記開口を閉塞する閉塞体であって、前記内部空間にガスが導入される給気口と、前記内部空間からガスが排出される排気口とを有する閉塞体と、
前記給気口を介して前記内部空間にガスを供給する給気装置と、
前記内部空間の気圧を計測する気圧計と、
を備え、
前記閉塞体は、前記気圧計が接続される計測口を更に有する、清浄装置。
【請求項7】
前記内部空間から前記排気口を介してガスを排出する排気装置を更に備える、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の清浄装置。
【請求項8】
前記内部空間の気圧が陽圧を維持するように、前記給気装置又は前記排気装置を制御する制御装置を更に備える、請求項7に記載の清浄装置。
【請求項9】
前記給気装置は、前記容器本体の底板に設けられた給気バルブを更に介して前記内部空間にガスを供給する、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の清浄装置。
【請求項10】
前記給気装置は、パーティクル除去用のフィルタを有する、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の清浄装置。
【請求項11】
前記内部空間から排出されたガスに含まれるパーティクルを計数するパーティクルカウンタを更に備える、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の清浄装置。
【請求項12】
前記内部空間の気圧を計測する気圧計を更に備え、
前記閉塞体は、前記気圧計が接続される計測口を更に有する、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の清浄装置。
【請求項13】
請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の清浄装置と、
前記収納容器と、
を備える、清浄システム。
【請求項14】
開口とパネルを収納する内部空間とを有する容器本体と、前記開口を閉塞する蓋体と、を備える収納容器の前記内部空間を清浄化する清浄方法であって、
前記蓋体が外された状態の前記開口を閉塞する閉塞体であって、前記内部空間にガスが導入される給気口
、及び前記内部空間からガスが排出される排気口
が設けられている本体部と、前記本体部と前記容器本体との間を封止する封止部材とを有する閉塞体で、前記蓋体が外された状態の前記開口を
気密に閉塞することと、
前記閉塞体の前記給気口を介して前記内部空間にガスを供給することと、
を含み、
前記開口を
気密に閉塞することは、移動機構が前記容器本体と前記閉塞体とを相対的に移動させ
、前記容器本体を前記封止部材に押し当てることにより行われる、清浄方法。
【請求項15】
開口とパネルを収納する内部空間とを有する容器本体と、前記開口を閉塞する蓋体と、を備える収納容器の前記内部空間を清浄化する清浄方法であって、
前記蓋体が外された状態の前記開口を閉塞する閉塞体であって、前記内部空間にガスが導入される給気口と、前記内部空間からガスが排出される排気口と、前記内部空間の気圧を計測する気圧計が接続される計測口とを有する閉塞体で、前記蓋体が外された状態の前記開口を閉塞することと、
前記閉塞体の前記給気口を介して前記内部空間にガスを供給することと、
前記気圧計を用いて前記計測口を介して前記内部空間の気圧を計測することと、
を含む、清浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、清浄装置、清浄システム、及び清浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
収納容器の内部空間をガスにより清浄化する技術が知られている。例えば、特許文献1に記載の基板収納容器においては、容器本体を閉塞する蓋体の内壁面に設けられたガス噴出部からリテーナにガスを吹き付けることにより、リテーナに付着したパーティクルが吹き落とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、蓋体にガス噴出部を設ける必要があり、さらに外部から容器本体の給気バルブに供給されたガスを蓋体のガス噴出部まで導入するための流路を設ける必要がある。本技術分野においては、清浄化のための追加の構造を収納容器に設けることなく、収納容器の内部空間を清浄化することが望まれている。
【0005】
本開示は、清浄化のための追加の構造を収納容器に設けることなく、収納容器の内部空間を清浄化することができる清浄装置、清浄システム、及び清浄方法を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る清浄装置は、開口とパネルを収納する内部空間とを有する容器本体と、開口を閉塞する蓋体と、を備える収納容器の内部空間を清浄化する清浄装置である。この清浄装置は、蓋体が外された状態の開口を閉塞する閉塞体であって、内部空間にガスが導入される給気口と、内部空間からガスが排出される排気口とを有する閉塞体と、給気口を介して内部空間にガスを供給する給気装置と、を備える。
【0007】
この清浄装置では、蓋体が外された状態の容器本体の開口が、給気口と排気口とを有する閉塞体によって閉塞され、給気装置によって給気口を介して容器本体の内部空間にガスが供給される。これにより、内部空間内のパーティクルがガスとともに排気口から排出される。このように、蓋体に代えて清浄化のための閉塞体を用いることにより、収納容器の内部空間が清浄化されるので、収納容器には清浄化のための追加の構造を設ける必要がない。言い換えると、上記清浄装置によれば、清浄化のための追加の構造を収納容器に設けることなく、収納容器の内部空間を清浄化することが可能となる。
【0008】
上記清浄装置は、内部空間から排気口を介してガスを排出する排気装置を更に備えてもよい。この構成によれば、排気口からガスが排出されやすくなる。したがって、内部空間の清浄効率を向上させることが可能となる。
【0009】
上記清浄装置は、内部空間の気圧が陽圧を維持するように、給気装置又は排気装置を制御する制御装置を更に備えてもよい。内部空間の気圧が陽圧であると、外部から内部空間にパーティクルが入り込む可能性が低減される。したがって、内部空間の清浄効率を向上させることが可能となる。
【0010】
上記清浄装置は、蓋体が外された状態の開口を閉塞体が閉塞するように、容器本体と閉塞体とを相対的に移動させる第1移動機構を更に備えてもよい。この構成によれば、第1移動機構によって、閉塞体で開口が閉塞される。このため、開口を閉塞体で閉塞する作業時間を短縮することができ、外部から内部空間にパーティクルが入り込む可能性が低減される。したがって、内部空間の清浄効率を向上させることが可能となる。
【0011】
上記清浄装置は、容器本体が載置されるとともに、容器本体を第1方向に移動するステージを含む載置台を更に備えてもよい。閉塞体は、載置台の第1方向における端縁に設けられてもよい。第1移動機構は、ステージを含んでもよい。この構成によれば、ステージによって、容器本体を閉塞体に向かって第1方向に移動させることができる。このため、閉塞体を第1方向に移動させる必要がないので、給気装置と閉塞体との第1方向における距離の変化が抑制される。したがって、給気装置と閉塞体との間に設けられるガスを供給するための給気管の長さを短くすることができる。
【0012】
載置台は、容器本体をステージに固定するクランプ機構を更に含んでもよい。この構成によれば、クランプ機構によって容器本体がステージに固定されるので、容器本体を閉塞体にしっかりと押し当てることができ、閉塞体が開口をより確実に閉塞することができる。これにより、外部から内部空間にパーティクルが入り込む可能性が低減されるので、内部空間の清浄効率を向上させることが可能となる。
【0013】
上記清浄装置は、蓋体を吸着する吸着パッドを有し、蓋体の施錠及び解錠を操作する開閉機構を更に備えてもよい。この構成によれば、蓋体が吸着パッドにより保持された状態で、蓋体の施錠及び解錠を操作することができる。このため、蓋体の施錠及び解錠に要する時間を短縮することができ、外部から内部空間にパーティクルが入り込む可能性が低減される。したがって、内部空間の清浄効率を向上させることが可能となる。
【0014】
上記清浄装置は、閉塞体及び開閉機構と容器本体とを第1方向と交差する第2方向に相対的に移動させる第2移動機構を更に備えてもよい。閉塞体と開閉機構とは、第2方向に配列されていてもよい。この構成によれば、第2移動機構は開閉機構及び閉塞体を一体的に移動させることができる。よって、開閉機構及び閉塞体を第2方向に移動するだけで、蓋体を施錠及び解錠するための状態と、内部空間を清浄化するための状態とを切り替えることができる。
【0015】
給気装置は、容器本体の底板に設けられた給気バルブを更に介して内部空間にガスを供給してもよい。この構成によれば、閉塞体の給気口だけでなく、容器本体の底板に設けられた給気バルブを介して内部空間にガスが供給されるので、内部空間内にガスが行き渡りやすくなる。したがって、内部空間の清浄効率を向上させることが可能となる。
【0016】
給気装置は、パーティクル除去用のフィルタを有してもよい。この構成によれば、給気装置が供給するガスに含まれるパーティクルの量を減らすことができるので、内部空間に入り込むパーティクルは少なくなる。したがって、内部空間の清浄効率を向上させることが可能となる。
【0017】
上記清浄装置は、内部空間から排出されるガスに含まれるパーティクルを計数するパーティクルカウンタを更に備えてもよい。内部空間から排出されるガスに含まれるパーティクルの量は、内部空間に含まれるパーティクルの量と相関があるといえる。したがって、パーティクルカウンタの計数値によって内部空間の清浄度を推測することができる。
【0018】
上記清浄装置は、内部空間の気圧を計測する気圧計を更に備えてもよい。閉塞体は、気圧計が接続される計測口を更に有してもよい。例えば、排気口に排気装置が接続されていると、排気口から排出されるガスの圧力は当該排気装置によって高められてしまい、当該圧力が内部空間の気圧から乖離するおそれがある。上記構成によれば、気圧計は排気口とは異なる計測口に接続されているので、排気装置に起因する気圧の測定誤差を軽減することができる。
【0019】
本開示の別の側面に係る清浄システムは、上記清浄装置と、収納容器と、を備える。この清浄システムは、上述の清浄装置を備えているので、清浄化のための追加の構造を収納容器に設けることなく、収納容器の内部空間を清浄化することが可能となる。
【0020】
本開示の更に別の側面に係る清浄方法は、開口とパネルを収納する内部空間とを有する容器本体と、開口を閉塞する蓋体と、を備える収納容器の内部空間を清浄化する方法である。この清浄方法は、蓋体が外された状態の開口を閉塞する閉塞体であって、内部空間にガスが導入される給気口と、内部空間からガスが排出される排気口とを有する閉塞体で、蓋体が外された状態の開口を閉塞することと、閉塞体の給気口を介して内部空間にガスを供給することと、を含む。
【0021】
この清浄方法では、蓋体が外された状態の容器本体の開口が、給気口と排気口とを有する閉塞体によって閉塞され、給気口を介して容器本体の内部空間にガスが供給される。これにより、内部空間内のパーティクルがガスとともに排気口から排出される。このように、蓋体に代えて清浄化のための閉塞体を用いることにより、収納容器の内部空間が清浄化されるので、収納容器には清浄化のための追加の構造を設ける必要がない。言い換えると、上記清浄装置によれば、清浄化のための追加の構造を収納容器に設けることなく、収納容器の内部空間を清浄化することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、清浄化のための追加の構造を収納容器に設けることなく、収納容器の内部空間を清浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る清浄システムの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されるパネル収納容器の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示されるパネル収納容器の底面図である。
【
図8】
図8は、
図1のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図9】
図9は、
図4に示される清浄装置が行う清浄方法を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、
図9の蓋体の取外し処理を詳細に説明するフローチャートである。
【
図12】
図12の(a)は、パネル収納容器を準備する処理を説明するための模式図である。
図12の(b)及び
図12の(c)は、蓋体の取外し処理を説明するための模式図である。
図12の(d)及び
図12の(e)は、開口を閉塞体で閉塞する処理を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。なお、図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。各図には、XYZ座標系が示される。Y軸方向(第1方向)は、X軸方向及びZ軸方向(第2方向)と交差(ここでは、直交)する方向である。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向と交差(ここでは、直交)する方向である。一例として、X軸方向は、左右方向(幅方向)であり、Y軸方向は、前後方向(奥行方向)であり、Z軸方向は、上下方向(高さ方向)である。
【0025】
図1を参照しながら、一実施形態に係る清浄システムを説明する。
図1は、一実施形態に係る清浄システムの斜視図である。
図1に示される清浄システム100は、パネル収納容器101(収納容器)の内部空間V(
図2参照)を清浄化するためのシステムである。清浄システム100は、清浄装置1と、パネル収納容器101と、を含む。
【0026】
清浄装置1は、パネル収納容器101の内部空間Vを清浄化する装置である。清浄装置1は、パネル収納容器101の内部空間Vにガスを供給することにより、内部空間Vに含まれるパーティクルを除去することができる。清浄装置1は、例えば、クリーンルーム内に設置されている。清浄装置1の詳細は後述する。
【0027】
パネル収納容器101は、複数のパネルを収納するための容器である。パネル収納容器101は、例えば、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格に準拠している。パネル収納容器101は、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)と称され、工場内でパネルを移送するために用いられる。パネルの例としては、液晶パネル用のガラス基板、及び電子部品を搭載したパネルが挙げられる。パネルは、矩形状を呈する。パネルのサイズの例としては、510mm×515mm及び600mm×600mmが挙げられる。パネル収納容器101に収納可能なパネルの枚数は、任意に定められており、例えば、6枚でもよく、12枚でもよく、16枚でもよく、24枚でもよい。
【0028】
パネル収納容器101は、例えば、電子部品アセンブリを製造する製造装置に使用される。電子部品アセンブリは、例えば、ガラス板及びステンレス板といった大型のキャリアパネル上に多数の電子部品を搭載する工程、これらの電子部品をエポキシ樹脂等で封止する工程、封止された電子部品をパネル形態でキャリアパネルから剥がす工程、及びパネル形態の電子部品を個別に切り出す工程等を経て製造される。パネル収納容器101は、これらの工程間でパネルを移送するために用いられる。
【0029】
図2及び
図3を参照しながらパネル収納容器101を詳細に説明する。
図2は、
図1に示されるパネル収納容器の分解斜視図である。
図3は、
図1に示されるパネル収納容器の底面図である。
図2に示されるように、パネル収納容器101は、容器本体102と、蓋体103と、ハンドル104と、を含む。
【0030】
容器本体102は、正面(前面)が開放された直方体形状の容器である。言い換えると、容器本体102は、前面に開口102aが設けられたフロントオープンボックス型の容器である。容器本体102は、複数のパネルを収納する内部空間Vを有する。具体的には、容器本体102は、複数のパネルを上下方向に互いに間隔を空けて積層した状態で収納する。開口102aを介してパネルが容器本体102に出し入れされる。
【0031】
容器本体102は、天板121と、底板122と、一対の側壁123と、背面壁124と、フランジ125と、台座部127(
図3参照)と、を含む。
【0032】
天板121、底板122、側壁123、及び背面壁124は、矩形状の板材である。天板121と底板122とは、上下方向において互いに向かい合っており、実質的に平行に配置されている。一対の側壁123は、左右方向において互いに向かい合っており、実質的に平行に配置されている。背面壁124は、蓋体103が開口102aを閉塞している状態で蓋体103と前後方向において向かい合う。天板121、底板122、側壁123、及び背面壁124のうちの互いに隣り合う2つの部材は、連結されている。天板121、底板122、一対の側壁123、及び背面壁124によって、内部空間Vが画定される。
【0033】
フランジ125は、矩形状の枠体であって、天板121の前端、底板122の前端、及び一対の側壁123の前端にわたって設けられている。フランジ125によって、開口102aが画定される。フランジ125の上枠部及び下枠部のそれぞれには、左右方向に離間して配列された2つの施錠穴125hが設けられている。上枠部の施錠穴125hと下枠部の施錠穴125hとは上下方向において互いに向かい合う位置に設けられている。
【0034】
台座部127は、容器本体102のベースとなる部分である。台座部127は、底板122の下面に設けられる。台座部127は、複数の柱状の支持部材を組み合わせることによって構成されている。
【0035】
蓋体103は、容器本体102の開口102aを閉塞するための部材である。蓋体103は、ガスケット等の封止部材を介して容器本体102の開口102aを気密に閉塞する。蓋体103は、開口102aを画定するフランジ125に着脱自在に取り付けられる。蓋体103は、蓋本体131と、カバー部材132と、施錠機構133と、を含む。
【0036】
蓋本体131は、蓋体103の本体部分である。蓋本体131は、矩形状の板材である。カバー部材132は、蓋本体131の前面を覆う部材である。カバー部材132は、矩形状の板材である。カバー部材132には鍵穴132hが設けられている。鍵穴132hには、不図示の鍵が挿入される。
【0037】
施錠機構133は、鍵穴132hに挿入された鍵が操作されることによって、蓋体103を施錠又は解錠する。施錠機構133は、不図示のラッチを含む。蓋体103がフランジ125に取り付けられた状態で、鍵の操作によりラッチがフランジ125に設けられた施錠穴125hに嵌入されることによって蓋体103が施錠される。蓋体103が施錠されている状態で、鍵の操作によりラッチが施錠穴125hから引き抜かれることよって蓋体103が解錠される。
【0038】
一対のハンドル104は、搬送装置がパネル収納容器101を搬送する際に用いられる部材である。一対のハンドル104は、天板121の左右両端部に設けられる。搬送装置が一対のハンドル104を把持してパネル収納容器101を持ち上げることにより、搬送装置はパネル収納容器101を搬送し得る。
【0039】
容器本体102、蓋体103、及び一対のハンドル104は、金属材料又は樹脂材料で成形される複数の部品を組み合わせることによって構成される。樹脂材料の成形材料に含まれる樹脂の例としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、液晶ポリマー、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体が挙げられる。樹脂材料の成形材料に含まれる樹脂として、これらのアロイが用いられてもよい。
【0040】
これらの樹脂には、導電物質、及び各種帯電防止剤が添加されてもよい。導電物質は、例えば、カーボン繊維、カーボンパウダー、カーボンナノチューブ、又は導電性ポリマー等からなる。帯電防止剤としては、アニオン系、カチオン系、及び非イオン系等の帯電防止剤が用いられ得る。ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、シアノアクリレート系、オキザリックアシッドアニリド系、及びヒンダードアミン系の紫外線吸収剤が添加されてもよい。剛性を向上させるガラス繊維又は炭素繊維等も選択的に添加されてもよい。
【0041】
パネル収納容器101は、シャフト161と、シャフト162と、を更に含む。シャフト161,162は、前後方向に延びる部材である。シャフト161は、パネルの左右方向における中央部を支持するために用いられる。シャフト162は、パネルの左右端部を支持するために用いられる。シャフト161の後端部は、背面壁124の内面に設けられた支柱に固定されている。シャフト162の後端部は、背面壁124の内面に設けられた別の支柱に固定されている。シャフト162は、側壁123の内面に設けられた支持部材によって支持されている。同じ高さに設けられた1つのシャフト161と2つのシャフト162とによって、1枚のパネルを収納する収納段が形成される。シャフト161は、左右方向において2つのシャフト162の間に配置されている。
【0042】
図3に示されるように、パネル収納容器101は、ベース基板151と、取付プレート152と、取付プレート153と、位置決め部材154と、給気バルブ155と、排気バルブ156と、を更に含む。
【0043】
ベース基板151は、位置決め部材154、給気バルブ155、及び排気バルブ156を取り付けるための基板である。ベース基板151は、矩形状の板材である。ベース基板151は、台座部127の下方に設けられている。ベース基板151には、給気バルブ155又は排気バルブ156を取り付けるための貫通孔151hが設けられている。ベース基板151には、4つの貫通孔151hが設けられている。4つの貫通孔151hは、ベース基板151の四隅付近に設けられている。
【0044】
取付プレート152,153は、位置決め部材154をベース基板151に取り付けるための部材である。取付プレート152,153は、板状部材である。取付プレート152には、位置決め部材154を露出させるための2つの貫通孔152gが設けられている。取付プレート152には、2つの貫通孔152gの間に、パネル収納容器101を固定するために用いられる貫通孔152hが更に設けられている。取付プレート152には、2つの貫通孔152hが設けられている。2つの貫通孔152hは、左右方向に並んでいる。各貫通孔152hは、例えば、左右方向に延びる矩形状の長孔である。
【0045】
取付プレート153は、ベース基板151の後部分の下面に設けられる。取付プレート153には、位置決め部材154を露出させるための貫通孔153gが設けられている。位置決め部材154は、搬送装置又は加工装置等の外部装置がパネル収納容器101(容器本体102)の位置決めを行うために用いられる部材である。位置決め部材154は、V字状の板材である。位置決め部材154は、底板122に向かって(上方に)窪むように、ベース基板151の取付孔に嵌め合わされている。位置決め部材154のV字面によってV字状の溝が画定される。V字面には、耐摩耗性の表面処理が施されている。パネル収納容器101は、3つの位置決め部材154を含む。
【0046】
給気バルブ155及び排気バルブ156は、パネル収納容器101の内部(内部空間V)の清浄性及び低湿度を保つために用いられる。給気バルブ155は、内部空間Vにガスを供給するための機構である。排気バルブ156は、内部空間Vからガスを排出するための機構である。本実施形態では、パネル収納容器101は、2つの給気バルブ155と、2つの排気バルブ156と、を含む。給気バルブ155及び排気バルブ156は、底板122に設けられ、底板122とベース基板151との間に配置されている。
【0047】
2つの給気バルブ155は、後方に位置する2つの貫通孔151hからそれぞれ露出するように設けられている。各給気バルブ155は、底板122に設けられた貫通孔及びベース基板151に設けられた貫通孔151hを介して、内部空間Vにガスを供給する。2つの排気バルブ156は、前方に位置する2つの貫通孔151hからそれぞれ露出するように設けられている。各排気バルブ156は、底板122に設けられた貫通孔及びベース基板151に設けられた貫通孔151hを介して、内部空間Vからガスを排出する。
【0048】
次に、
図4~
図8を参照しながら清浄装置1を説明する。
図4は、
図1に示される清浄装置の斜視図である。
図5は、
図1に示される清浄装置のブロック図である。
図6は、
図4に示されるステージの斜視図である。
図7は、
図4に示されるドアの斜視図である。
図8は、
図1のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図4及び
図5に示されるように、清浄装置1は、載置台2と、ドア3と、昇降機構4(第2移動機構)と、給気装置5と、排気装置6と、気圧計7と、パーティクルカウンタ8と、ガイドモニタ9と、制御装置10と、筐体11と、給気管12(
図8参照)と、排気管13(
図8参照)と、配管14(
図8参照)と、給気管15(
図8参照)と、排気管16(
図8参照)と、送気装置17と、給気管18(
図8参照)と、を含む。
【0049】
筐体11は、クリーンルーム内の床面に設置されており、上下方向に延びる直方体形状を有する。筐体11は、給気装置5、排気装置6、気圧計7、パーティクルカウンタ8、及び送気装置17を収容している。筐体11は、上下方向及び左右方向に広がる面11aを有する。
【0050】
載置台2は、パネル収納容器101が載置される台である。載置台2は、筐体11と並んで設けられ、面11aと向かい合っている。なお、パネル収納容器101の説明と同様に、清浄装置1の説明においても、筐体11から載置台2に向かう向きを「後」と称し、載置台2から筐体11に向かう向きを「前」と称することとする。載置台2は、台座部21と、天面部材22と、移動機構23(第1移動機構)と、クランプ機構24と、を含む。
【0051】
台座部21は、後述するステージ26を前後方向に移動可能に支持する部分である。台座部21は、クリーンルーム内の床面に設置されており、上下方向に延びる直方体形状を有する。台座部21は、例えば、制御装置10を収容している。天面部材22は、台座部21の上に設けられている。天面部材22は、平面視で台座部21よりもひと回り大きい矩形状の外形を有する。天面部材22は、左右方向における中央部分22aがその両側よりも上方に突出した形状を有する。
【0052】
移動機構23は、パネル収納容器101(容器本体102)を前後方向に移動する機構である。移動機構23は、一対のレール25と、ステージ26と、を含む。一対のレール25は、中央部分22aの上に設けられている。各レール25は、前後方向に直線状に延びる棒状の部材である。一対のレール25は、左右方向に互いに離れて、実質的に平行に配置されている。一対のレール25は、ステージ26の移動経路を規定する。
【0053】
ステージ26は、パネル収納容器101(容器本体102)が載置される板状の部材である。具体的には、前後方向において蓋体103が面11aと向かい合うように、ステージ26上にパネル収納容器101が載置される。ステージ26は、中央部分22aの上に設けられ、一対のレール25に挟まれている。ステージ26は、一対のレール25に沿って前後方向に移動する。ステージ26は、ステージ26に載置されているパネル収納容器101(容器本体102)を前後方向に移動する。ステージ26の前後方向における可動域は、例えば、70mmである。移動機構23は、ステージ26を駆動する不図示の駆動機器を更に含む。駆動機器としては、例えば、電動式、空圧式、又は油圧式のアクチュエータが用いられる。
【0054】
ここで、
図6を参照しながら、ステージ26を詳細に説明する。
図6に示されるように、ステージ26は、本体部61と、位置決めピン62と、給気ポート63と、排気ポート64と、を含む。
【0055】
本体部61は、ステージ26の本体を成す板状の部分である。本体部61は、パネル収納容器101(容器本体102)がステージ26に載置されている状態で、容器本体102の底板122と上下方向において向かい合う載置面61aを有する。
【0056】
位置決めピン62は、載置面61aに設けられ、載置面61aから上方に突出している。ステージ26は、位置決め部材154と同数(本実施形態では、3本)の位置決めピン62を含む。3本の位置決めピン62は、パネル収納容器101の3つの位置決め部材154にそれぞれ対応する位置に配置されている。
【0057】
給気ポート63は、給気バルブ155を介して、内部空間Vにガスを導入する部分である。給気ポート63は、例えば、給気装置5に接続され、給気装置5から供給されたガスを内部空間Vに導入する。ステージ26は、給気バルブ155と同数(本実施形態では、2つ)の給気ポート63を含む。2つの給気ポート63は、2つの給気バルブ155にそれぞれ対応する位置に配置されている。言い換えると、容器本体102がステージ26に固定されている状態で、各給気ポート63は、対応する給気バルブ155に接続される。
【0058】
排気ポート64は、排気バルブ156を介して、内部空間Vからガスを排出するための部分である。排気ポート64は、例えば、排気装置6に接続されている。排気装置6が動作することによって、排気バルブ156及び排気ポート64を通って内部空間Vからガスが排出される。ステージ26は、排気バルブ156と同数(本実施形態では、2つ)の排気ポート64を含む。2つの排気ポート64は、2つの排気バルブ156にそれぞれ対応する位置に配置されている。言い換えると、容器本体102がステージ26に固定されている状態で、各排気ポート64は、対応する排気バルブ156に接続される。
【0059】
図4及び
図5に戻って、清浄装置1の説明を続ける。クランプ機構24は、容器本体102をステージ26に固定する機構である。クランプ機構24は、一対のクランプ部材24aを有する。各クランプ部材24aは、T字状の形状を有する。より詳細には、各クランプ部材24aは、載置面61aから上方に延びる軸部と、当該軸部の先端に連結され、軸部と交差する方向に延びている先端部とを有する。各クランプ部材24aの先端部は、パネル収納容器101(容器本体102)を固定していない状態では、左右方向に延び、パネル収納容器101(容器本体102)を固定している状態では、前後方向に延びる。2つのクランプ部材24aは、前方に設けられた2本の位置決めピン62の間において、左右方向に配列されている。なお、各クランプ部材24aは、L字状の形状を有してもよい。
【0060】
クランプ機構24は、クランプ部材24aを駆動する不図示の駆動機器を更に含む。駆動機器としては、例えば、電動式、空圧式、又は油圧式のアクチュエータが用いられる。当該駆動機器は、クランプ部材24aの軸部を中心として、クランプ部材24aを回転させる。クランプ機構24は、パネル収納容器101の貫通孔152hに挿入されたクランプ部材24aを、クランプ部材24aの軸部を中心として回転させることにより、クランプ部材24aの先端部を取付プレート152の上面に引っ掛けることによって容器本体102をステージ26に固定する。
【0061】
ドア3は、蓋体103の開閉を行うとともに、蓋体103が外された状態の開口102aを閉塞する部材である。ドア3は、載置台2の前後方向における端縁(本実施形態では前端)に設けられている。ここで、
図7を参照しながら、ドア3を詳細に説明する。
図7に示されるように、ドア3は、開閉機構31と、閉塞体32と、を含む。開閉機構31と閉塞体32とは、上下方向に配列されており、一体化されている。ドア3は、ステージ26と前後方向において向かい合う面3aを有する。
【0062】
開閉機構31は、蓋体103の施錠及び解錠を操作する機構である。開閉機構31は、本体部33と、枠体34と、吸着パッド35と、ラッチ操作機構36と、を含む。本体部33は、矩形状の板材である。本体部33は、ステージ26と前後方向において向かい合う面33aを有する。面33aは、面3aよりも前方に位置する。枠体34は、面33aの周縁に沿って設けられた環状の部材であり、面33aを取り囲んでいる。枠体34は、フランジ125を挿入可能な形状を有し、フランジ125の外形よりもわずかに大きい。
【0063】
吸着パッド35は、蓋体103を吸着する部材である。本実施形態では、開閉機構31は、4個の吸着パッド35を有する。4個の吸着パッド35は、面33aの四隅に設けられている。4個の吸着パッド35は、カバー部材132の四隅に設けられた4つのパッド132aにそれぞれ対応する位置に配置されている。吸着パッド35は、容器本体102から取り外された蓋体103を保持する。
【0064】
ラッチ操作機構36は、蓋体103の施錠及び解錠を操作する。ラッチ操作機構36は、鍵穴132hと同数(本実施形態では、2つ)の鍵36aを含む。各鍵36aは、面33aから後方に突出している。各鍵36aの先端は、T字状の形状を有する。2つの鍵36aは、2つの鍵穴132hにそれぞれ対応する位置に配置されている。ラッチ操作機構36は、鍵36aを鍵穴132hに挿入し、鍵36aを回転することによって、蓋体103のラッチを操作する。ラッチ操作機構36は、鍵36aを駆動する不図示の駆動機器を更に含む。駆動機器としては、例えば、電動式、空圧式、又は油圧式のアクチュエータが用いられる。
【0065】
閉塞体32は、蓋体103が外された状態の開口102aを閉塞する部材である。閉塞体32は、開閉機構31の上方に位置する。閉塞体32は、本体部37と、封止部材38と、を含む。本体部37は、矩形状の板材である。本体部37の外形は、蓋体103の外形よりも大きい。本体部37は、ステージ26と前後方向において向かい合う面37aを有する。面37aは、面3aよりもわずかに前方に位置する。
【0066】
封止部材38は、本体部37と容器本体102との間を封止する部材である。封止部材38は、面37aに設けられている。封止部材38は、フランジ125の前端と実質的に同じ矩形環状の形状を有する。封止部材38がフランジ125の前端の全周にわたって押し当てられることによって、容器本体102の開口102aが気密に閉塞される。封止部材38は、例えば、弾性部材によって構成されている。封止部材38を構成する弾性部材の例としては、フッ素ゴム、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、シリコーンゴム、ウレタン、及びエラストマーが挙げられる。封止部材38の後端の前後方向における位置は、面33aの前後方向における位置と実質的に同一である。
【0067】
本体部37には、給気口37bと、排気口37cと、計測口37dと、が設けられている。給気口37bは、本体部37を前後方向に貫通する貫通孔である。給気口37bを介して、内部空間Vにガスが導入される。排気口37cは、本体部37を前後方向に貫通する貫通孔である。排気口37cを介して内部空間Vからガスが排出される。計測口37dは、本体部37を前後方向に貫通する貫通孔である。計測口37dには、気圧計7が接続される。
【0068】
給気口37b、排気口37c、及び計測口37dは、面37aのうちの封止部材38に囲まれている部分に設けられている。具体的には、給気口37b、計測口37d、及び排気口37cは、その順に、面37aのうちの封止部材38に囲まれている部分の対角線上に配列されている。計測口37dは、面37aのうちの封止部材38に囲まれている部分の中心と実質的に同じ位置に設けられている。給気口37bと排気口37cとは、面37aのうちの封止部材38に囲まれている部分の中心に対して、実質的に点対称となる位置に設けられている。
【0069】
図4及び
図5に戻って、清浄装置1の説明を続ける。昇降機構4は、ドア3(開閉機構31及び閉塞体32)を上下方向に移動する機構である。昇降機構4は、ガイド部材41を含む。ガイド部材41は、上下方向及び左右方向に広がる板状の部材である。ガイド部材41は、載置台2の前端に設けられ、天面部材22から上方に延びている。ガイド部材41の左右方向における長さは、天面部材22の左右方向における長さと実質的に同じである。ガイド部材41は、ドア3の移動経路を規定する。ガイド部材41には、窓41aが設けられている。窓41aは、ガイド部材41を前後方向に貫通しており、開閉機構31又は閉塞体32を露出させる。
【0070】
昇降機構4は、ガイド部材41に沿ってドア3を昇降する不図示の駆動機器を更に含む。駆動機器としては、例えば、電動式、空圧式、又は油圧式のアクチュエータが用いられる。ドア3の上下方向における可動域は、例えば、400mmである。昇降機構4は、ドア3を昇降することによって、ドア3の上下方向における位置を、開閉機構31が窓41aから露出する第1位置と閉塞体32が窓41aから露出する第2位置との間で切り替える。例えば、昇降機構4は、開閉機構31によって蓋体103が解錠された後、ドア3の上下方向における位置を第1位置から第2位置に切り替える。例えば、昇降機構4は、内部空間Vが清浄化された後、ドア3の上下方向における位置を第2位置から第1位置に切り替える。
【0071】
給気装置5は、内部空間Vにガスを供給する装置である。ガスは、例えば、CDA(Clean Dry Air)である。CDAは、JISB8392に準拠している乾燥した空気(ドライエアー)であって、当該ドライエアーに含まれる0.01μm以上の粒径を有するパーティクルのうちの99%以上のパーティクルを濾過することによって得られる気体である。ドライエアーとしては、例えば、JISB8392に規定される等級1のドライエアーが用いられる。給気装置5が供給するガスは、窒素ガス及びアルゴンガス等の不活性ガスであってもよい。ここでは、安全性向上及びコスト削減の観点から、CDAが用いられる。
【0072】
図8に示されるように、給気装置5は、給気管12によって給気口37bに接続され、給気管15によって給気ポート63に接続されている。例えば、給気口37bに接続されている給気管12と、給気ポート63に接続されている給気管15とは、給気装置5に接続されている不図示の主給気管に接続されている。給気装置5は、給気管12及び給気口37bを介して内部空間Vにガスを供給する。給気装置5は、給気管15、給気ポート63、及び給気バルブ155を介して内部空間Vにガスを供給してもよい。
【0073】
給気装置5は、給気管18を介してガスを供給してもよい。本実施形態では、清浄装置1は、2本の給気管18を含む。2本の給気管18は、載置台2の前面を前後方向に貫通する不図示の2つの貫通孔にそれぞれ挿通されている。これらの2つの貫通孔は、ドア3の位置が第2位置であるときに、開閉機構31の面33aと向かい合う位置に設けられている。2つの貫通孔は、例えば、面33aの対角線上の二隅に向かい合っている。給気管18は、給気装置5に接続されている不図示の主給気管に接続されている。
【0074】
給気装置5は、ファン51と、フィルタ52と、を含む。制御装置10によってファン51の回転数が調整され、これにより給気装置5の給気流量が調整される。フィルタ52は、パーティクル除去用のフィルタである。上述のドライエアーがフィルタ52を通過することにより、ドライエアーから0.01μm以上の粒径を有するパーティクルのうちの99%以上のパーティクルが除去され、これによりCDAが得られる。
【0075】
排気装置6は、内部空間Vからガスを排出する装置である。
図8に示されるように、排気装置6は、排気管13によって排気口37cに接続され、排気管16によって排気ポート64に接続されている。例えば、排気口37cに接続されている排気管13と、排気ポート64に接続されている排気管16とは、排気装置6に接続されている不図示の主排気管に接続されている。排気装置6は、排気口37c及び排気管13を介して内部空間Vからガスを排出する。排気装置6は、排気バルブ156、排気ポート64、及び排気管16を介して内部空間Vからガスを排出してもよい。排気装置6は、例えば、排風機を含む。制御装置10によって排気装置6の排気流量が調整される。
【0076】
送気装置17は、筐体11内のクリーン環境を維持するための装置である。送気装置17は、筐体11内の上部に設けられる。送気装置17は、例えば、ファン及びフィルタを含むFFU(Fan Filter Unit)である。制御装置10によってファンの回転数が調整され、これにより送気装置17の送気流量が調整される。フィルタは、パーティクル等の異物を取り除く。送気装置17が筐体11の内部空間に送気することによって、筐体11の内部空間の気圧が上昇し、筐体11の内部空間が陽圧状態に維持される。
【0077】
気圧計7は、内部空間Vの気圧を計測する機器である。気圧計7は、配管14によって計測口37dと気密に接続されている。気圧計7は、気圧の計測値を所定の時間間隔で制御装置10に出力する。パーティクルカウンタ8は、内部空間Vから排出されたガス(排気ガス)に含まれるパーティクルを計数する機器である。パーティクルカウンタ8は、排気装置6に接続されている不図示の主排気管に接続されている。パーティクルカウンタ8は、パーティクルのカウント値を所定の時間間隔で制御装置10に出力する。
【0078】
ガイドモニタ9は、入出力装置として機能する装置(コントロールパネル)である。ガイドモニタ9は、筐体11の側面に設けられている。ガイドモニタ9は、GUI(Graphical User Interface)によって、各種情報を表示し、ユーザ(作業者)の操作を受け付ける。ガイドモニタ9は、制御装置10から受け取った情報を表示する。ガイドモニタ9は、ユーザの操作を受け付けると、当該操作内容を示す情報を制御装置10に出力する。
【0079】
制御装置10は、清浄装置1を統括制御する装置(コントローラ)である。制御装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリと、ネットワークカード等の通信インターフェースと、を含むコンピュータとして構成されている。制御装置10は、例えば、移動機構23、クランプ機構24、開閉機構31、昇降機構4、給気装置5、排気装置6、気圧計7、パーティクルカウンタ8、ガイドモニタ9、及び送気装置17を制御する。
【0080】
次に、
図9~
図12の(e)を参照しながら、清浄装置1が行う清浄方法を説明する。
図9は、
図4に示される清浄装置が行う清浄方法を示すフローチャートである。
図10は、
図9の蓋体の取外し処理を詳細に説明するフローチャートである。
図11は、
図9の蓋体の取付処理を詳細に説明するフローチャートである。
図12の(a)は、パネル収納容器を準備する処理を説明するための模式図である。
図12の(b)及び
図12の(c)は、蓋体の取外し処理を説明するための模式図である。
図12の(d)及び
図12の(e)は、開口を閉塞体で閉塞する処理を説明するための模式図である。
【0081】
図9に示される一連の処理は、例えば、ガイドモニタ9において、ユーザが清浄開始の操作を行うことによって開始される。なお、ユーザは、ガイドモニタ9において、終了条件を設定してもよい。ユーザは、終了条件として、例えば、パーティクルカウンタ8のカウント値の目標値を設定する。ユーザは、ガイドモニタ9において、給気装置5の給気流量及び排気装置6の排気流量を設定してもよい。清浄方法の開始時において、ドア3の上下方向における位置は、第1位置に設定されている。制御装置10は、送気装置17を制御して、筐体11の陽圧状態を維持し続けている。
【0082】
まず、制御装置10は、清浄対象となるパネル収納容器101を準備する(ステップS1)。ステップS1では、制御装置10は、不図示の搬送装置を制御して、パネル収納容器101をステージ26上に載置する。このとき、
図12の(a)に示されるように、蓋体103が窓41aと前後方向において向かい合うとともに、ステージ26の各位置決めピン62が対応する位置決め部材154のV字状の溝に収容されるようにパネル収納容器101がステージ26上に載置される。これにより、ステージ26の各給気ポート63が対応する給気バルブ155に接続され、ステージ26の各排気ポート64が対応する排気バルブ156に接続され、各クランプ部材24aが対応する貫通孔152hに挿入される。
【0083】
この状態で、制御装置10は、クランプ機構24を制御して、パネル収納容器101をステージ26に固定する。具体的には、クランプ機構24は、クランプ部材24aの先端部を取付プレート152の上面に引っ掛けることによってパネル収納容器101をステージ26に固定する。
【0084】
続いて、制御装置10は、蓋体103の取外し処理を行う(ステップS2)。ステップS2では、
図12の(b)に示されるように、制御装置10は、移動機構23を制御して、フランジ125が窓41aを介して開閉機構31の枠体34に挿入され、カバー部材132のパッド132aが開閉機構31の吸着パッド35に当接するまで、ステージ26を前方に移動する(ステップS21)。そして、制御装置10は、開閉機構31を制御して、開閉機構31の吸着パッド35に蓋体103を吸着させる(ステップS22)。具体的には、吸着パッド35は、カバー部材132のパッド132aを吸着する。
【0085】
その状態で、制御装置10は、開閉機構31を制御して、ラッチ操作機構36の鍵36aを鍵穴132hに挿入し、鍵36aを回転することによって、蓋体103を解錠する(ステップS23)。そして、
図12の(c)に示されるように、制御装置10は、移動機構23を制御して、フランジ125が枠体34から引き抜かれるまで、ステージ26を後方に移動する(ステップS24)。このとき、吸着パッド35が蓋体103を吸着しているので、蓋体103が容器本体102から外れる。
【0086】
続いて、制御装置10は、容器本体102の開口102aを閉塞体32で閉塞する(ステップS3)。ステップS3では、
図12の(d)に示されるように、まず、制御装置10は、昇降機構4を制御してドア3を下降させ、ドア3の上下方向における位置を第1位置から第2位置に切り替える。そして、
図12の(e)に示されるように、制御装置10は、移動機構23を制御して、フランジ125の前端が閉塞体32の封止部材38に当接するまで、ステージ26を前方に移動する。これにより、封止部材38がフランジ125の前端の全周にわたって押し当てられ、容器本体102の開口102aが閉塞体32によって気密に閉塞される。
【0087】
続いて、制御装置10は、容器本体102の内部空間Vを清浄化する(ステップS4)。ステップS4では、制御装置10は、予め設定された給気流量が得られるように給気装置5を制御するとともに、予め設定された排気流量が得られるように排気装置6を制御する。そして、制御装置10は、気圧計7及びパーティクルカウンタ8に計測を開始させる。これにより、給気管12及び給気口37bを介して給気装置5から内部空間Vにガス(CDA)が供給されるとともに、給気管15、給気ポート63、及び給気バルブ155を介して給気装置5から内部空間Vにガス(CDA)が供給される。給気装置5から供給されたガスにより内部空間V内の部材に付着しているパーティクルが払い落とされる。そして、払い落とされたパーティクルがガスとともに、排気口37c及び排気管13を介して、又は、排気バルブ156、排気ポート64、及び排気管16を介して内部空間Vから排出される。このとき、給気装置5は、給気管18を介して蓋体103の裏面(蓋体103が容器本体102に取り付けられた状態で内部空間Vと向かい合う面)にガスを吹き付ける。これにより、蓋体103の裏面に付着したパーティクルが吹き落とされる。
【0088】
なお、この例では、給気流量は、排気流量よりも大きい値に設定されているので、内部空間Vの気圧は、容器本体102の外側の気圧よりも大きい陽圧となる。このため、容器本体102の外部から内部空間Vにパーティクルが入り込む可能性が低減される。
【0089】
続いて、制御装置10は、終了条件が満たされたか否かを判定する(ステップS5)。ここでは、終了条件として、パーティクルカウンタ8のカウント値が、予め設定された目標値を下回ったことを例示する。制御装置10は、パーティクルカウンタ8から出力されたカウント値が目標値よりも大きい場合に、終了条件が満たされていないと判定し(ステップS5:NO)、終了条件が満たされるまでステップS4及びステップS5を繰り返す。
【0090】
一方、制御装置10は、パーティクルカウンタ8から出力されたカウント値が目標値よりも小さい場合に、終了条件が満たされたと判定し(ステップS5:YES)、清浄化を終了する(ステップS6)。ステップS6では、制御装置10は、給気装置5、排気装置6、気圧計7、及びパーティクルカウンタ8の動作を停止する。
【0091】
続いて、制御装置10は、蓋体103の取付処理を行う(ステップS7)。ステップS7では、
図11に示されるように、制御装置10は、移動機構23を制御して、フランジ125の前端が窓41aよりも後方に位置するように、ステージ26を後方に移動する(ステップS71)。そして、制御装置10は、昇降機構4を制御してドア3を上昇させ、ドア3の上下方向における位置を第2位置から第1位置に切り替える(ステップS72)。
【0092】
ここで、筐体11の内部空間は陽圧に維持されているので、ドア3を上昇させているときに、筐体11の内部空間が外部空間と一時的に連通しても、筐体11の外部空間から内部空間にパーティクルが入り込む可能性が低減される。
【0093】
そして、制御装置10は、移動機構23を制御して、フランジ125が窓41aを介して開閉機構31の枠体34に挿入され、開閉機構31の吸着パッド35によって保持されている蓋体103がフランジ125に取り付けられるまで、ステージ26を前方に移動する(ステップS73)。その状態で、制御装置10は、開閉機構31を制御して、ラッチ操作機構36の鍵36aを鍵穴132hに挿入し、鍵36aを回転することによって、蓋体103を施錠する(ステップS74)。そして、制御装置10は、開閉機構31を制御して、開閉機構31の吸着パッド35による吸着を解除し、蓋体103を解放する(ステップS75)。
【0094】
そして、制御装置10は、移動機構23を制御して、フランジ125が枠体34から引き抜かれるまで、ステージ26を後方に移動する(ステップS76)。以上により、容器本体102に蓋体103が取り付けられる。
【0095】
続いて、制御装置10は、清浄化されたパネル収納容器101を搬出する(ステップS8)。ステップS8では、制御装置10は、クランプ機構24を制御して、パネル収納容器101の固定を解除し、不図示の搬送装置を制御して、パネル収納容器101をステージ26から搬出する。
【0096】
以上により、清浄方法の一連の処理が終了する。
【0097】
以上説明したように、清浄システム100、清浄装置1、及び清浄装置1が行う清浄方法では、蓋体103が外された状態の容器本体102の開口102aが、給気口37bと排気口37cとを有する閉塞体32によって閉塞され、給気装置5によって給気口37bを介して容器本体102の内部空間Vにガスが供給される。これにより、内部空間V内のパーティクルがガスとともに排気口37cから排出される。このように、蓋体103に代えて清浄化のための閉塞体32を用いることにより、パネル収納容器101の内部空間Vが清浄化されるので、パネル収納容器101には清浄化のための追加の構造を設ける必要がない。言い換えると、清浄システム100、清浄装置1、及び清浄装置1が行う清浄方法によれば、清浄化のための追加の構造をパネル収納容器101に設けることなく、パネル収納容器101の内部空間Vを清浄化することが可能となる。
【0098】
底板122に設けられた給気バルブ155及び排気バルブ156を用いて、内部空間Vを清浄化することが考えられる。しかしながら、給気バルブ155及び排気バルブ156の位置は、SEMI規格にて定められているので、給気バルブ155及び排気バルブ156を自由に設けることはできない。給気バルブ155及び排気バルブ156は底板122に設けられているので、給気バルブ155から内部空間Vにガスが供給されたとしても、内部空間V内にガスが行き渡らないおそれがある。これに対し、清浄システム100、清浄装置1、及び清浄装置1が行う清浄方法では、蓋体103に代えて閉塞体32が用いられるので、給気口37b及び排気口37cの数及び配置を自由に設計することができる。したがって、内部空間Vの清浄効率を向上させることが可能となる。
【0099】
排気装置6は、内部空間Vから排気口37cを介してガスを排出するので、排気口37cに排気装置6が接続されていない構成と比較して、排気口37cからガスが排出されやすくなる。したがって、内部空間Vの清浄効率を向上させることが可能となる。
【0100】
給気流量は排気流量よりも大きい値に設定されているので、内部空間Vの気圧は、陽圧となる。このため、容器本体102の外部から内部空間Vにパーティクルが入り込む可能性が低減される。したがって、内部空間Vの清浄効率を向上させることが可能となる。
【0101】
移動機構23は、ステージ26に載置されている容器本体102を前後方向に移動するステージ26を含む。ドア3の上下方向における位置が上記第2位置に設定されている場合、閉塞体32は、載置台2の前端に位置する。この構成によれば、ステージ26によって、容器本体102を閉塞体32に向かって前方に移動させることができる。このため、開口102aを閉塞体32で閉塞する作業をユーザが行う場合と比較して、作業時間を短縮することができ、容器本体102の外部から内部空間Vにパーティクルが入り込む可能性が低減される。したがって、内部空間Vの清浄効率を向上させることが可能となる。さらに、上記構成によれば、閉塞体32を前後方向に移動させる必要がないので、給気装置5と閉塞体32との前後方向における距離の変化が抑制される。したがって、給気装置5と閉塞体32との間に設けられるガスを供給するための給気管(給気管12)の長さを短くすることができる。同様に、排気装置6と閉塞体32との前後方向における距離の変化が抑制される。したがって、排気装置6と閉塞体32との間に設けられるガスを排出するための排気管(排気管13)の長さを短くすることができる。
【0102】
清浄装置1においては、クランプ機構24によって容器本体102がステージ26に固定される。このため、容器本体102が閉塞体32に押し当てられたとしても、後方にずれることがないので、容器本体102を閉塞体32にしっかりと押し当てることができ、閉塞体32が開口102aをより確実に閉塞することができる。これにより、容器本体102の外部から内部空間Vにパーティクルが入り込む可能性が低減されるので、内部空間Vの清浄効率を向上させることが可能となる。
【0103】
開閉機構31は、蓋体103を吸着する吸着パッド35を有し、蓋体103の施錠及び解錠を操作する。この構成によれば、蓋体103が吸着パッド35により保持された状態で、蓋体103の施錠及び解錠を操作することができる。このため、蓋体103が吸着パッド35に保持されていない場合と比較して、蓋体103の施錠及び解錠に要する時間を短縮することができ、容器本体102の外部から内部空間Vにパーティクルが入り込む可能性が低減される。したがって、内部空間Vの清浄効率を向上させることが可能となる。
【0104】
昇降機構4は、ドア3を昇降させる。つまり、昇降機構4は、開閉機構31及び閉塞体32を上下方向に移動する。この構成によれば、昇降機構4は、ドア3を移動させることによって開閉機構31及び閉塞体32を一体的に移動させることができる。よって、ドア3を上下方向に移動するだけで、蓋体103を施錠及び解錠するための状態と、内部空間Vを清浄化するための状態とを切り替えることができる。
【0105】
給気装置5は、容器本体102の底板122に設けられた給気バルブ155を更に介して内部空間Vにガスを供給する。この構成によれば、閉塞体32の給気口37bだけでなく、給気バルブ155を介して内部空間Vにガスが供給されるので、内部空間V内にガスが行き渡りやすくなる。したがって、内部空間Vの清浄効率を向上させることが可能となる。
【0106】
給気装置5は、パーティクル除去用のフィルタ52を有し、フィルタ52を通過したガスを供給する。この構成によれば、給気装置5が供給するガスに含まれるパーティクルの量を減らすことができるので、内部空間Vに入り込むパーティクルは少なくなる。したがって、内部空間Vの清浄効率を向上させることが可能となる。
【0107】
排気装置6は、容器本体102の底板122に設けられた排気バルブ156を更に介して内部空間Vからガスを排出する。この構成によれば、閉塞体32の排気口37cだけでなく、排気バルブ156を介して内部空間Vからガスが排出される。これにより、排気効率を向上させることができる。
【0108】
パーティクルカウンタ8は、内部空間Vから排出されるガスに含まれるパーティクルを計数する。内部空間Vから排出されるガスに含まれるパーティクルの量は、内部空間Vに含まれるパーティクルの量と相関があるといえる。したがって、パーティクルカウンタ8の計数値によって内部空間Vの清浄度を推測することができる。このため、計数値が目標値を下回った場合に、内部空間Vが十分に清浄化されたと判定して清浄化を終了することができる。
【0109】
例えば、排気口37cに排気装置6が接続されていると、排気口37cから排出されるガスの圧力は排気装置6によって高められてしまし、当該圧力が内部空間Vの気圧から乖離するおそれがある。清浄装置1においては、計測口37dに気圧計7が接続されている。この構成によれば、気圧計7は排気口37cとは異なる計測口37dに接続されているので、排気装置6に起因する気圧の測定誤差を軽減することができる。例えば、ガイドモニタ9が気圧計7の計測値を表示する場合には、ユーザは内部空間Vの気圧をより正確に把握することができる。
【0110】
なお、本開示に係る清浄装置、清浄システム、及び清浄方法は上記実施形態に限定されない。
【0111】
パネル収納容器101は、工場間でパネル(基板)を輸送するために用いられるFOSB(Front Opening Shipping Box)であってもよい。
【0112】
移動機構23は、蓋体103が外された状態の開口102aを閉塞体32が閉塞するように、容器本体102と閉塞体32とを相対的に移動させることができれば、移動機構23の構成は限定されない。例えば、移動機構23は、ステージ26を前後方向に移動する構成に代えて、ドア3を前後方向に移動する機構であってもよい。この構成においても、移動機構23によって、閉塞体32で開口102aが閉塞される。このため、開口102aを閉塞体32で閉塞する作業をユーザが行う場合と比較して、作業時間を短縮することができ、容器本体102の外部から内部空間Vにパーティクルが入り込む可能性が低減される。したがって、内部空間Vの清浄効率を向上させることが可能となる。
【0113】
開閉機構31と閉塞体32とは、左右方向に配列されていてもよい。この場合、清浄装置1は、昇降機構4に代えて、ドア3を左右方向に移動させる移動機構(第2移動機構)を含む。
【0114】
開閉機構31と閉塞体32とは、一体化されていなくてもよい。この場合、清浄装置1は、昇降機構4に代えて、開閉機構31と閉塞体32とを入れ替える機構を含む。
【0115】
開閉機構31に代えて、ユーザが蓋体103の開閉を行ってもよい。この場合、ドア3は、開閉機構31を含まなくてもよい。ドア3は閉塞体32が窓41aから露出する位置に固定され、清浄装置1は昇降機構4を含まなくてもよい。載置台2は、クランプ機構24を含まなくてもよい。
【0116】
給気装置5は、フィルタ52を含まなくてもよく、給気装置5の外部において生成されたCDAを供給してもよい。給気装置5は、給気口37bを介して内部空間Vにガスを供給する限りにおいて、給気バルブ155を介して内部空間Vにガスを供給しなくてもよい。この場合、清浄装置1は、給気管15を含まなくてもよい。
【0117】
排気装置6は、排気口37cを介して内部空間Vからガスを排出する限りにおいて、排気バルブ156を介して内部空間Vからガスを排出しなくてもよい。この場合、清浄装置1は、排気管16を含まなくてもよい。
【0118】
給気管12及び給気管15のそれぞれには、ガスの流路の開閉を行う不図示の電磁バルブが設けられていてもよい。この場合、制御装置10は、給気管12及び給気管15のうちの一方又は両方を開放することによって、ガスが供給される経路を選択することができる。排気管13及び排気管16のそれぞれには、ガスの流路の開閉を行う不図示の電磁バルブが設けられていてもよい。この場合、制御装置10は、排気管13及び排気管16のうちの一方又は両方を開放することによって、ガスが排出される経路を選択することができる。
【0119】
給気装置5によって内部空間Vにガスが供給されると、内部空間Vの気圧は容器本体102の外部の気圧よりも高くなり、排気口37cから自然排出され得る。したがって、清浄装置1は、排気装置6を含まなくてもよい。
【0120】
気圧計7は、排気装置6に接続されている不図示の主排気管に接続されてもよく、閉塞体32は計測口37dを有していなくてもよい。この場合、気圧計7の計測値と排気装置6の排気流量とに基づいて、内部空間Vの気圧を算出することができる。
【0121】
清浄装置1は、気圧計7を含まなくてもよい。この場合でも、給気装置5の給気流量、排気装置6の排気流量、給気装置5の動作開始からの経過時間、及び排気装置6の動作開始からの経過時間から、内部空間Vの気圧は算出され得る。
【0122】
清浄装置1は、パーティクルカウンタ8を含まなくてもよい。この場合、例えば、清浄化開始からの経過時間が予め設定された時間に達したことが、ステップS5における終了条件として用いられてもよい。
【0123】
ガイドモニタ9の配置は、筐体11の側面に限られず、ガイドモニタ9は、例えば、クリーンルームの外部に設けられてもよい。
【0124】
制御装置10は、内部空間Vの気圧が陽圧を維持するように、給気装置5及び排気装置6の少なくともいずれかを制御してもよい。内部空間Vの気圧が陽圧であると、容器本体102の外部から内部空間Vにパーティクルが入り込む可能性が低減される。したがって、内部空間Vの清浄効率を向上させることが可能となる。
【0125】
図9~
図11に示される各処理は、ユーザが当該処理を開始するための操作を逐次入力したことに応じて実施されてもよい。
【0126】
ステップS1,S2,S3,S7,S8の少なくともいずれかは、清浄装置1によって実施される代わりに、ユーザによって実施されてもよい。
【0127】
(付記)
[条項1]
開口とパネルを収納する内部空間とを有する容器本体と、前記開口を閉塞する蓋体と、を備える収納容器の前記内部空間を清浄化する清浄装置であって、
前記蓋体が外された状態の前記開口を閉塞する閉塞体であって、前記内部空間にガスが導入される給気口と、前記内部空間からガスが排出される排気口とを有する閉塞体と、
前記給気口を介して前記内部空間にガスを供給する給気装置と、
を備える、清浄装置。
【0128】
[条項2]
前記内部空間から前記排気口を介してガスを排出する排気装置を更に備える、条項1に記載の清浄装置。
【0129】
[条項3]
前記内部空間の気圧が陽圧を維持するように、前記給気装置又は前記排気装置を制御する制御装置を更に備える、条項2に記載の清浄装置。
【0130】
[条項4]
前記蓋体が外された状態の前記開口を前記閉塞体が閉塞するように、前記容器本体と前記閉塞体とを相対的に移動させる第1移動機構を更に備える、条項1~条項3のいずれか一項に記載の清浄装置。
【0131】
[条項5]
前記容器本体が載置されるとともに、前記容器本体を第1方向に移動するステージを含む載置台を更に備え、
前記閉塞体は、前記載置台の前記第1方向における端縁に設けられ、
前記第1移動機構は、前記ステージを含む、条項4に記載の清浄装置。
【0132】
[条項6]
前記載置台は、前記容器本体を前記ステージに固定するクランプ機構を更に含む、条項5に記載の清浄装置。
【0133】
[条項7]
前記蓋体を吸着する吸着パッドを有し、前記蓋体の施錠及び解錠を操作する開閉機構を更に備える、条項5又は条項6に記載の清浄装置。
【0134】
[条項8]
前記閉塞体及び前記開閉機構と前記容器本体とを前記第1方向と交差する第2方向に相対的に移動させる第2移動機構を更に備え、
前記閉塞体と前記開閉機構とは、前記第2方向に配列されている、条項7に記載の清浄装置。
【0135】
[条項9]
前記給気装置は、前記容器本体の底板に設けられた給気バルブを更に介して前記内部空間にガスを供給する、条項1~条項8のいずれか一項に記載の清浄装置。
【0136】
[条項10]
前記給気装置は、パーティクル除去用のフィルタを有する、条項1~条項9のいずれか一項に記載の清浄装置。
【0137】
[条項11]
前記内部空間から排出されたガスに含まれるパーティクルを計数するパーティクルカウンタを更に備える、条項1~条項10のいずれか一項に記載の清浄装置。
【0138】
[条項12]
前記内部空間の気圧を計測する気圧計を更に備え、
前記閉塞体は、前記気圧計が接続される計測口を更に有する、条項1~条項11のいずれか一項に記載の清浄装置。
【0139】
[条項13]
条項1~条項12のいずれか一項に記載の清浄装置と、
前記収納容器と、
を備える、清浄システム。
【0140】
[条項14]
開口とパネルを収納する内部空間とを有する容器本体と、前記開口を閉塞する蓋体と、を備える収納容器の前記内部空間を清浄化する清浄方法であって、
前記蓋体が外された状態の前記開口を閉塞する閉塞体であって、前記内部空間にガスが導入される給気口と、前記内部空間からガスが排出される排気口とを有する閉塞体で、前記蓋体が外された状態の前記開口を閉塞することと、
前記閉塞体の前記給気口を介して前記内部空間にガスを供給することと、
を含む、清浄方法。
【符号の説明】
【0141】
1…清浄装置、2…載置台、4…昇降機構(第2移動機構)、5…給気装置、6…排気装置、7…気圧計、8…パーティクルカウンタ、10…制御装置、23…移動機構(第1移動機構)、24…クランプ機構、26…ステージ、31…開閉機構、32…閉塞体、35…吸着パッド、37b…給気口、37c…排気口、37d…計測口、52…フィルタ、100…清浄システム、101…パネル収納容器(収納容器)、102…容器本体、102a…開口、103…蓋体、122…底板、155…給気バルブ、V…内部空間。
【要約】
【課題】清浄化のための追加の構造を収納容器に設けることなく、収納容器の内部空間を清浄化することができる清浄装置、清浄システム、及び清浄方法を提供すること。
【解決手段】清浄装置1は、開口とパネルを収納する内部空間とを有する容器本体と、開口を閉塞する蓋体と、を備える収納容器の内部空間を清浄化する清浄装置である。清浄装置1は、蓋体が外された状態の開口を閉塞する閉塞体であって、内部空間にガスが導入される給気口と、内部空間からガスが排出される排気口とを有する閉塞体と、給気口を介して内部空間にガスを供給する給気装置と、を備える。
【選択図】
図4