(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】焼成炉
(51)【国際特許分類】
F27B 9/30 20060101AFI20241219BHJP
F27D 7/06 20060101ALI20241219BHJP
F27D 7/02 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
F27B9/30
F27D7/06 B
F27D7/02 Z
(21)【出願番号】P 2024042830
(22)【出願日】2024-03-18
【審査請求日】2024-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】ノリタケ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000219200
【氏名又は名称】株式会社ノリタケTCF
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】福島 宏康
(72)【発明者】
【氏名】加藤 悦史
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-277823(JP,A)
【文献】特開2000-015432(JP,A)
【文献】特開平05-305428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 9/00-9/30
F27D 7/06
F27D 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を加熱処理するためのトンネル状の焼成空間を有する加熱室と、
前記加熱室の第1側に設けられた搬入口と、
前記加熱室の第2側に設けられた搬出口と、
を備える炉体と、
前記炉体の底壁を覆うように焼成空間に設けられた底板と、
前記搬入口を開閉する第1シャッターと、
前記搬出口を開閉する第2シャッターと、
を有し、
前記炉体の底壁は、前記搬入口側の端部と前記搬出口側の端部とのうち少なくとも一方の端部に給気口を有し、
前記底板の底面と前記炉体の底壁との間隙に、前記給気口から前記底板の端部に至る流路を有する、焼成炉。
【請求項2】
前記第1シャッター及び/又は第2シャッターの外周縁部には、シール材が設けられている、請求項
1に記載の焼成炉。
【請求項3】
前記第1シャッター及び/又は第2シャッターのシール材を冷却するための冷却機構が設けられている、請求項
2に記載の焼成炉。
【請求項4】
前記搬入口には、第1置換室が備えられており、
前記搬出口には、第2置換室が備えられている、請求項1に記載の焼成炉。
【請求項5】
前記給気口から前記底板の端部に至る流路は、前記底板の底面に設けられた凹みである、請求項1から
4のいずれか1項に記載の焼成炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、焼成炉に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2023-148905号公報には、処理物が搬送される搬送空間を隔離するトンネル状のマッフル炉が開示されている。かかるマッフル炉は、プッシャー炉であるため、処理物が押されながら進む。マッフル炉は、搬入部と、搬送部と、搬送用プッシャーと、搬出用プッシャーとを有している。搬送用プッシャーは、マッフル炉内の搬送部の処理物を前方に向けて押し出す。搬出用プッシャーは、マッフル炉内の搬送部の処理物を搬出部に向けて押し出す。マッフル炉では、典型的には、マッフルの底面や側面に雰囲気ガスを導入するための給気装置が接続されている。
【0003】
特開平10-267544号公報には、ガス供給手段を備えた連続式熱処理炉が開示されている。かかるガス供給手段としては、マッフルの天井部または側壁部の表面に沿ってガスを供給する第1ガス供給手段と、該第1ガス供給手段よりも遅い速度で被熱処理物(ワーク)に向けてガスを供給する第2ガス供給手段とからなる。この連続式熱処理炉では、天井部や側壁部には速い速度のガスが供給されているため、ワークから発生した揮発物質が炉本体の天井部や側壁部に付着することを防止できる。
【0004】
特開2011-64423号公報には、炉体内部に第1ゾーン(予備ゾーン)と第2ゾーン(熱処理ゾーン)を備える熱処理装置が開示されている。上記予備ゾーンでは、ガス吸引口と、被処理物から発生した反応ガスを露点温度以下まで冷却する冷却器と、上記蒸発ガスの液化物を排出する排水機構とが、搬送路の下方に配置されている。上記予備ゾーンは、熱処理装置の搬入口を通過直後に被処理物が通る区画である。この熱処理装置では、搬送路の下方に反応ガスを誘引させるため、被処理物の上方における蒸発ガスの結露と被処理物への滴下を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2023-148905号公報
【文献】特開平10-267544号公報
【文献】特開2011-64423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
被処理物は、高温加熱によって被処理物中の成分が気化若しくは昇華し、反応ガスとしてマッフル内で滞留する。このような被処理物から発生した反応ガスの一部(例えば、バインダやタール等)又は溶融若しくは半溶融状態の飛灰粒子は、焼成炉の出入り口近傍等の温度の低下しやすい領域で固化しやすい。焼成炉の出入口の扉に固化した被処理物が付着した場合、開閉機能を損なうおそれがある。
【0007】
本開示は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、反応ガスに含まれる被処理物に由来する成分が、焼成炉の出入口の扉やその周辺に付着することを低減させることにある。
【0008】
ここで開示される焼成炉の一態様は、被処理物を加熱処理するためのトンネル状の焼成空間を有する加熱室と、前記加熱室の第1側に設けられた搬入口と、前記加熱室の第2側に設けられた搬出口と、を備える炉体を有している。前記炉体の底壁には、該底壁を覆うように設けられた底板が備えられている。前記炉体の搬入口は、第1シャッターを有している。また、前記搬出口は、第2シャッターを有している。前記炉体の底壁は、前記搬入口側の端部と前記搬出口側の端部とのうち少なくとも一方の端部に給気口を有しており、前記底板の底面と前記炉体の底壁との間隙に、前記給気口から前記底板の端部に至る流路を有する。
【0009】
かかる焼成炉によれば、開閉機構の表面にガス流動層が形成される。このため、反応ガスが、開閉機構の表面に形成されたガス流動層により、開閉機構に近づくことを妨げることができる。かかる効果は、反応ガス中に含まれる被処理物に由来する成分が、開閉機構に付着することを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】
図4は、底板20の底面20bを下から見た模式図である。
【
図5】
図5は、第1シャッター41aの閉鎖時における雰囲気ガスの流れを模式的に示した図である。
【
図6】
図6は、第1置換室60aの縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<用語の定義>
以下、本開示における実施形態の1つについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚み等)は実際の寸法関係を反映するものではない。上、下、左、右、前、後の向きは、図中の、U、D、L、R、F、Rrの矢印でそれぞれ表されている。ここで、上、下、左、右、前、後の向きは、説明の便宜上、定められているに過ぎず、特に言及されない限りにおいて本願発明を限定しない。
【0012】
図1は、焼成炉1の模式的な平面図である。
図2は、加熱室70の縦断側面図である。
図1では、ここで開示される一態様の焼成炉1の大まかな構成が分かるように、炉体10の内部を露出させた状態で、上から見た模式的な平面図が図示されている。
図2では、加熱室70内の被処理物Aの搬送状態が分かるように、加熱室70の搬送方向Yに沿って縦断したII-II断面図(
図1参照)が模式的に図示されている。
図1及び
図2では、シール部材以外のハッチングは適宜省略されている。また、
図1では、給気口50a、50b、50c、50dが見えるように底板20の一部が透過されている。
【0013】
<焼成炉1>
焼成炉1は、加熱容器Bに載せられた被処理物(以下、被処理物Aとも称する)を搬送方向に沿って搬送しつつ、連続的に加熱処理する。この実施形態では、焼成炉1は、炉体10と、プッシャー30と、置換室60とを有している。被処理物Aは、底板20上をプッシャー30で順次押されることによって搬送される。焼成炉1は、プッシャー炉でありうる。
【0014】
<被処理物A>
被処理物Aは、焼成炉1で処理される処理物である。被処理物Aは、例えば、放熱材料である窒化系セラミックス粉体や二次電池の正負極材料に用いられる粉体等、又はタッチパネルなどのガラス基板に塗布されるペースト等である。窒化系セラミックス粉体としては、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等がある。二次電池の正極材料に用いられる粉体としては、ニッケル複合金属酸化物、リチウム複合金属酸化物、酸化物系固体電解質若しくは硫化物系固体電解質等である。二次電池の負極材料に用いられる粉体としては、炭素系粉体、ケイ素系粉体等がある。ペーストとしては、銀、銅などの金属、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂若しくはバインダ(結着剤)樹脂などを任意の有機溶剤に溶解させたもの等がある。しかし、被処理物Aは、これらに限定されるものではない。
【0015】
この実施形態では、被処理物Aは、加熱容器Bに収容された状態で焼成炉1内を搬送される。加熱容器Bは、例えば、耐熱性に優れる材料から構成されている。加熱容器Bの材質及び形状は、加熱温度や被処理物の種類等に応じて適宜選択されうる。加熱容器Bの材料は、例えば、カーボンやセラミック等である。この実施形態では、加熱容器Bの形状は、底が平で周りが側壁で囲まれた略矩形である。なお、加熱容器Bは「サヤ」とも称される。加熱容器Bには蓋B1が取り付けられていてもよい。また、加熱容器Bは台板B2に載せられた状態で搬送されてもよい。蓋B1及び台板B2は、加熱容器Bと同じ材料であってもよい。
【0016】
<炉体10>
炉体10は、
図1に示されているように、加熱室70と、搬入口11と、搬出口12とを有している。加熱室70は、被処理物Aを加熱処理するためのトンネル状の焼成空間10aを有している。
【0017】
この実施形態では、炉体10は、
図1及び
図2に示すように、加熱室70を囲むように底壁10dと、一対の側壁10c1、10c2と、底壁10dに対向する上壁10bとを有している。底壁10dと、一対の側壁10c1、10c2と、上壁10bとは、それぞれ断熱材で形成されている。
図1に示された形態では、加熱室70は、直線に沿ったトンネル状の焼成空間を有している。
【0018】
<加熱室70>
加熱室70は、被処理物Aを搬送方向Yに沿って搬送しつつ、加熱処理するための経路である。加熱室70は、被処理物Aを焼成する焼成空間10aを囲むように直線に沿ったトンネル状(又は筒状)に形成されている。焼成空間10aは、加熱室70の第1側に入口を有し、第1側とは反対側の第2側に出口を有する。加熱室70の材料は、特に制限されない。加熱室70の材料は、金属、セラミック、又はカーボンを用いることができる。また、後述するが、炉体10に、炉体10内に雰囲気ガスを供給するための給気口50が設けられている。
【0019】
加熱室70には、ヒータ(図示せず)が配置されている。ヒータ(図示せず)は、被処理物Aを加熱処理するための装置である。なお、ヒータの種類、材料及び形状等は、特に限定されない。ヒータの種類等は、目的とする加熱温度や加熱雰囲気等の加熱条件に応じて適宜選択されうる。被処理物Aを加熱するヒータは、加熱室70内に設けられていてもよい。ヒータの種類は、例えば、遠赤外線や電気、熱風加熱方式等が挙げられる。ヒータの材料は、例えば、セラミック、カーボン、又は金属等である。ヒータの形状は、円筒形状であってもよく、板状のパネルヒータ等であってもよい。また、加熱室70内には温度センサが取り付けられていてもよい。その場合、温度センサによって検出される温度に基づいて温度条件を調整することが可能となる。
【0020】
この実施形態では、加熱室70は金属製のマッフルによって構成されている。加熱室10内の雰囲気は、マッフルによって維持されうる。マッフルは、被処理物Aと、ヒータとの間に介在するトンネル状の部材である。被処理物Aは、マッフルを介して間接的に加熱される。加熱室70(ここでは、マッフル)は、ヒータ(図示せず)と断熱材(図示せず)を介して外壁(図示せず)により周囲を覆われている。
【0021】
<排気口55>
この実施形態では、
図2に示すように、炉体10には、加熱室70に繋がるように排気口55が設けられている。排気口55は、炉体10内のガス(被処理物Aから発生した反応ガス)を排気するための穴である。排気口55は、排気管56に接続されている。排気管56は、炉体10の外部で排気ポンプ等の排気装置(図示せず)に接続されている。排気ポンプが吸引を開始すると、炉体10内のガスが排気口55から吸引される。
【0022】
排気口55の形状、配置や数は、特に制限されない。この実施形態では、
図2に示されるように、加熱室70の上壁10bに複数の排気口55が設けられている。被処理物Aが加熱されることによって発生する反応ガスは、典型的には、雰囲気ガスよりも軽く、上方に向かって流れうる。そのため、排気口55が上壁10bに設けられていることによって、反応ガスを効率よく排気しうる。また、排気口55は、炉体10の焼成空間10aにおいて中央部に設けられている。これにより、炉体10内の反応ガスをバランスよく排気することができる。反応ガスは、排気口55を通じて、炉体10の外に排出される。これにより、炉体10の劣化を抑制することができる。また、炉体10内の反応ガスを適切に回収することができる。なお、排気口55は、炉体10の側壁10c1、10c2に接続されていてもよい。
【0023】
<搬入口11,搬出口12>
搬入口11は、焼成空間10aの入口である。搬出口12は、焼成空間10aの出口である。この実施形態では、搬入口11は、加熱室70の第1側に設けられている。搬出口12は、加熱室70の第2側に設けられている。
【0024】
この実施形態では、炉体10には、加熱室70に繋がるように加熱室70の第1側において直交するように搬入室80が設けられている。搬入口11は、かかる搬入室80の一端に設けられている。また、加熱室70に繋がるように加熱室70の第2側において直交するように搬出室90が設けられている。搬出口12は、かかる搬出室90の一端に設けられている。
【0025】
ここでは、
図1に示されているように、加熱室70の搬送方向Yに沿って前後が規定されている。すなわち、炉体10に対して、被処理物Aが搬送される方向に沿って、上流側を後(Rr)、下流側を前(F)とし、前後が規定されている。また、かかる被処理物Aが搬送される方向に沿って前方に向かって左右(L、R)が規定されている。また、搬入室80において、搬入口11から加熱室70に向かう方向に搬入方向Xが設定されている。また搬出室90において、加熱室70から搬出口12に向かう方向に搬送方向Yが設定されている。
【0026】
<底板20>
炉体10には、炉体10の底壁10dを覆うように底板20が設けられている。底板20は、炉体10の底壁10d(又は床)に配置されている。底板20は、所定の厚みを有している板状部材である。底板20は、上面20aと、該上面20aに対向する底面20bとを有している。底板20は、炉体10の搬入口11から搬出口12にかけて延びている。底板20は、炉体10の搬入室11側の端部20cと、搬出室12側の端部20dとを有する。底板20は、上面20aで被処理物A(若しくは加熱容器B又は台版B2)を下方から支持することができる。底板20の底壁20bは、炉体10の底壁10dと当接している。底板20は、底面20bで炉体10の底壁10dに設けられた給気口50を覆うことで、雰囲気ガスの流路を規制することができる。この実施形態では、底板20は、
図1に示されるように、搬入室80、加熱室70、及び搬出室90に沿って略C字状に敷かれている。本実施形態では、底板20の上面には、被処理物Aを案内する凹部21とガイド部22が設けられている。かかるガイド部22によって、被処理物Aは、搬入室80、加熱室70、及び搬出室90に沿って搬送される際に、底板20によって案内される。
【0027】
底板20の材料は、特に制限されない。底板20の材料は、熱膨張が少ない方が好ましい。底板20の材料は、例えば、カーボンやセラミック等が好ましい。底板20の厚みは、本開示の技術を著しく損なわない限りにおいて、特に制限されない。この実施形態では、炉体10の底壁10dに着脱可能なカーボン製の底板20が設けられている。
【0028】
<プッシャー30>
プッシャー30は、所定時間毎に、搬送方向に沿って、被処理物Aを所定距離だけ押し込む装置である。プッシャー30aは、
図1に示すように、加熱室70の後方Rr側に設けられている。また、プッシャー30bは、搬出口90の左L側に設けられている。プッシャー30a及びプッシャー30bは、同様の構成とすることができるため、プッシャー30aを一例に説明する。この実施形態では、プッシャー30aは、搬入室80から加熱室70内に供給された被処理物Aを搬送方向Yに押し出すことができる。プッシャー30aは、プッシャーヘッド31と、プッシャーロッド32と、プッシャーシール33と、アクチュエータ34とを備えている。プッシャーロッド32は、炉体10の外部からプッシャーシール33を介して焼成空間10aに挿入されている。プッシャーシール33は、炉体10内の気密性を確保しつつ、プッシャーロッド32の摺動を支持している。プッシャーヘッド31は、搬送空間10a内部に延びたプッシャーロッド32の先端に取り付けられている。
【0029】
プッシャー30aは、アクチュエータ34が操作されることでプッシャーロッド32が前方に動き、加熱室70内の被処理物Aを前方F方向に向けて押し出す。プッシャー30aは、被処理物Aを押し出した後、プッシャーヘッド31とプッシャーロッド32を後方に待機させる。これにより、搬入室80から加熱室70に新たに被処理物Aが供給されるスペースが確保される。この実施形態では、アクチュエータ34として、サーボモータが用いられている。しかし、これに限らず、アクチュエータ34は、シリンダ機構であってもよい。アクチュエータ34は、マッフル10の外側に設けられているため、炉体10内の温度の影響をほとんど受けることなく、プッシャーロッド32を動かすことができる。
【0030】
<置換室60>
図1に示された形態では、焼成炉1には、置換室60a,60bが設けられている。置換室60a,60bは、炉体10内部と外部の雰囲気を仕切ることができる空間である。この実施形態では、第1置換室60aは、搬入室80の搬入口11に隣接するように設けられている。第2置換室60bは、搬出口12の搬出口12に隣接するように設けられている。置換室60a,60bは、それぞれ炉体10内の雰囲気を調整する機能を有している。第1置換室60aでは、被処理物Aは、雰囲気が炉体10内とほぼ同等となるように調整されてから搬入室80に搬入される。第2置換室60bでは、搬出室90から被処理物Aが置換室60bに搬入された際に、炉体10内の雰囲気を入れ替えてから被処理物Aが搬出される。図示は省略するが、第1置換室60a側には、第1置換室60aおよび搬入室80に向けて、被処理物Aを押し込むプッシャーが設けられている。
【0031】
かかるプッシャーによって、被処理物Aは、搬入室80から搬送方向Xに沿って搬送され、加熱室70に搬入される。次に、被処理物Aは、プッシャー30aによって、加熱室70内を搬送方向Yに順に押し込まれる。これにより、加熱室70内を間欠的に搬送され、加熱処理される。その後、被処理物Aは、プッシャー30bによって、加熱室70から搬出方向Zに沿って搬出室90に搬出され、第2置換室60bに搬出される。
【0032】
<第1シャッター41a,第2シャッター41b>
炉体10は、炉体10内を密閉空間とするための開閉構造を有する。開閉構造は、シャッター又は蓋などで構成されうる。この実施形態では、炉体10の搬入口11と、第1置換室60aとの間に、第1シャッター41aと、第1シャッター41aを開閉させる第1開閉機構46aとが設けられている。また、炉体10の搬出口12と、第2置換室60bとの間に、第2シャッター41bと第2シャッター41bを開閉させる第2開閉機構46bとが設けられている。第1シャッター41aは、炉体10の搬入口11を開閉する部材である。第2シャッター41bは、炉体10の搬出口12を開閉する部材である。
【0033】
ここでは、搬入口11に設けられた第1シャッター41aを説明する。なお、搬出口12に設けられている第2シャッター41bについても第1シャッター41aと同様に構成されている。ここでは、第2シャッター41bについての説明は適宜省略する。
【0034】
図3は、搬入室80の縦断側面図である。
図3には、第1シャッター41aの構成が、模式的に示されている。この実施形態では、第1シャッター41aは、搬入口11を塞ぐ所定の大きさの略矩形の板状部材である。第1シャッター41aは、金属材料によって構成されている。第1シャッター41aの搬入口11に向けられた対向面には、シール44が設けられている。この実施形態では、シール44は、搬入口11の縁に当たる矩形の枠44aと、枠44aに装着されたOリング44bとで構成されている。他方で、搬入口11の縁には、当該矩形の枠44aが当たる矩形の受け口45が設けられている。搬入口11の縁に設けられた矩形の受け口45が設けられている。矩形の受け口45の内部には、Oリング44bが当たる部分に対向するように冷媒が通る冷媒流路45aが形成されている。かかる冷媒流路45aに冷媒が供給されることによって、Oリング44bが当たる部分の温度が低く維持されている。これにより、Oリング44bの劣化が抑制される。
【0035】
第1シャッター41aを開閉させる第1開閉機構46aは、第1シャッター41aを搬入口11に押し付ける機構で構成されている。この実施形態では、第1開閉機構46aは、四節リンク46a1と、ストッパ46a2と、アクチュエータ46a3とで構成されている。四節リンク46a1は、第1シャッター41aの両端にそれぞれ設けられている。第1シャッター41aの両端の上端と下端に四節リンク46a1のジョイントが設けられており、第1シャッター41aに対向するリンク41a1と、ジョイントを介して平行四辺形を構成するリンク41a2,41a3とを備えている。ストッパ46a2であり、第1シャッター41aの下端の降下を規制する。アクチュエータ46a3は、第1シャッター41aに対向するリンク41a1を昇降させる昇降装置である。アクチュエータ46a3は、例えば、シリンダ機構で構成される。
【0036】
図3に示された形態では、アクチュエータ46a3によって、四節リンク46a1のリンク41a1が降下すると、ストッパ46a2によって、第1シャッター41aの下端の降下が規制され、第1シャッター41aが、搬入口11の縁に設けられた矩形の受け口45に向けて押し出される。そして、第1シャッター41aの矩形の枠44aが、矩形の受け口45に押し付けられることによって、Oリング44bが機能し、搬入口11が気密に閉じられる。また、搬入口11が開かれる際には、アクチュエータ46a3によって、四節リンク46a1のリンク41a1が引き上げられると、四節リンク46a1の機構によって、第1シャッター41aは、搬入口11から離れる方向に移動する。本実施形態では、アクチュエータ46a3は、さらに搬入口11に対して被処理物Aの移動を妨げない位置まで第1シャッター41aを引き上げられるように構成されている。搬入口11に対して被処理物Aの移動を妨げない位置まで第1シャッター41aを引き上げられることで、第1置換室60aから搬入口11に被処理物Aを移動させることができる。
【0037】
第1シャッター41aと第2シャッター41bとが閉じられることによって、炉体10内を密閉し、雰囲気を保つことができる。また、搬入口11において、第1シャッター41aが開かれることによって、被処理物Aを炉体10内へ供給することができる。また、搬出口12において、第2シャッター41bが開かれることによって、炉体10内から被処理物Aを排出することができる。この実施形態では、
図1に示すように、炉体10の搬入口11には、第1シャッター41aが設けられている。また、炉体10の搬出口12には、第2シャッター41bが設けられている。炉体10は、シャッター41a、41bを有することで、炉体10の内部と外部の雰囲気を分断することができる。
【0038】
ところで、焼成炉1は、被処理物Aを高温で加熱処理する装置である。被処理物Aの処理は、典型的には、炉体10内の雰囲気を制御しながら行われる。そのため、炉体10の出入口には、炉体の内部と外部との雰囲気を仕切る開閉構造が設けられる。炉体10内には、高温加熱によって被処理物A中の成分(例えば、バインダやタール等)が気化若しくは昇華し、反応ガスとして滞留している。炉体10の出入口近傍等では、温度が低下しやすい。炉体10内で滞留している反応ガスは、炉体10の搬入口11や搬出口12の近傍で冷やされ、固化しやすい。特に、炉体10の搬入口11や搬出口12に設けられる第1シャッター41aや第2シャッター41bのシール部分に、反応ガスが付着し、固着すると、第1シャッター41aや第2シャッター41bが適切に閉じられずに、ガスのリークが生じうる。ここで開示される焼成炉1は、かかるガスのリークを抑制する対策として、給気口50の配置と、底板20の構成を工夫した。
【0039】
<給気口50>
給気口50は、炉体10内に雰囲気ガス(例えば、窒素やアルゴン等)を給気するための穴である。給気口50は、炉体10の底壁10dの搬入口11側の端部11aと搬出口12側の端部12aとのうち少なくとも一方の端部側に設けられている。給気口50は、搬入口11側の端部11a及び搬出口12側の端部12aの両方に設けられていてもよい。また、給気口50は、炉体10の底壁10dに複数設けられていてもよい。この実施形態では、
図1に示されているように、搬入室80の底壁10dに2つの給気口50a、50bが設けられている。給気口50a、50bは、搬入口11の端部11aから少し離れた位置に設けられている。また、搬出室90の底壁10dにも2つの給気口50c、50dが設けられている。給気口50a、50bは、搬出口12の端部12aから少し離れた位置に設けられている。
【0040】
給気口50は、給気管51に接続されている。給気管51は、炉体10の外部でガス供給装置(図示せず)と接続されている。給気管51は、ガス供給装置(図示せず)から給気口50を繋ぐ雰囲気ガスの流路である。ガス供給装置は、雰囲気ガスを炉体10外部から内部に供給する雰囲気ガスの供給源である。給気口50、給気管51、及びガス供給装置は、ガス供給機構でもある。ガス供給機構は、耐熱性のフィルタを備えていてもよい。フィルタにより、炉体10内に供給される雰囲気ガスをより清浄化することができる。
【0041】
供給する雰囲気ガスの温度及び流量は、例えば、ガス供給装置により調整することができる。雰囲気ガスの温度は、本開示の技術にかかる効果を著しく損なわない限りにおいて、特に制限されない。雰囲気ガスの温度は、典型的には、揮発した被処理物由来の成分の凝固点以上であることが好ましい。雰囲気ガスの温度の上限値は、気化した被処理物の固化を抑制する観点から、100℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。また、雰囲気ガスの温度の上限値は、シール材の劣化を防ぎ、密閉性を維持する観点から、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、230℃以下がさらに好ましい。雰囲気ガスの流量は、本開示の技術にかかる効果を著しく損なわない限りにおいて、特に制限されない。雰囲気ガスの流量は、例えば、0.3m/s以下である。これによって、炉体10内が陽圧となり、シャッター41a、41bの開放時において、外気が炉体10内に流入することを低減できる。
【0042】
本実施形態では、さらに底板20の底面20dと炉体10の底壁10dと間隙に、給気口50から底板20の端部20c、20dに至る流路23が設けられている。底板20の底面20bと炉体10の底壁10dとの間隙は、雰囲気ガスの流路23となる流路空間Pを形成する。流路空間Pが底板20の底面20bと炉体10の底壁10dとの間隙に形成されることによって、炉体10の開閉機能40の下方端部に向けて略垂直に雰囲気ガスを打ち込むことができる。以下、底板20について、炉体10の搬入室11側の端部20cの構成を一例として説明する。なお、炉体10の搬出口12側の端部20dも同様に構成しうるため、説明は省略する。
【0043】
図4は、底板20の底面20bを下から見た模式図である。この実施形態では、給気口50から底板20の端部20cに至る流路23として、底板20の底面20bに、凹み23aが設けられている。流路23は、
図1及び
図2に示されるように、底板20の底面20bの給気口50a、50bに対向する位置から底板20の端部20cに向かって延びている。底板20に流路23が設けられることで、流路23と、炉体10の底壁10dとの間隙に流路空間Pが形成される。流路空間Pにより、給気口50a、50bから供給される雰囲気ガスを炉体10の第1シャッター41aに向けて噴出させることができる。給気口50から供給された雰囲気ガスは、流路空間Pを通って底板20の端部20cから第1シャッター41aの断熱プレート42の下方端部に向けて噴出される。断熱プレート42の下方端部に打ち込まれた雰囲気ガスは、断熱プレート42の下方端部から表面に沿って上方端部まで駆け上がる。その後、打ち込まれた雰囲気ガスは、炉体10の焼成空間10a中央に向かって拡散する。なお、流路23は、炉体10の底壁10dに設けられていてもよい。
【0044】
底板20は、被処理物A(若しくは加熱容器B又は台板B2)の搬送を規制する機能を有し得る。例えば、底板20の上面20aには、被処理物A(若しくは加熱容器B又は台板B2)がほぼ隙間なく載置されうる。この状態で、最も手前にある被処理物A(若しくは加熱容器B又は台板B2)が、プッシャー30により1個分押されると、底板20上の被処理物A(若しくは加熱容器B又は台板B2)が順次押されて搬送される。この実施形態では、底板20に載せられる台板B2に加熱容器Bが載置されている。台板B2は、底板20の上面に形成された凹部21及びガイド部22によって位置決めされることで、底板20上を搬送される。
図2に示すように、底板20上には、加熱容器Bがほぼ隙間なく載置される。この状態で、搬送方向Yの最も後方Rr側にある加熱容器Bが、プッシャー30により1個分押されると、底板20上の加熱容器Bが順次押されて搬送される。この搬入処理を繰り返すことによって、底板20に沿って加熱容器Bを順次搬送することができる。なお、上述したように、炉体10内の加熱容器Bは順次搬送されるため、加熱容器Bの搬入と搬出は、同じタイミングで行われる。そのため、第1シャッター41aと第2シャッター41bの開閉は同じタイミングで行われる。
【0045】
上述したように、ここで開示される焼成炉は、炉体10と、底板20とを有する。炉体10は、加熱室70の第1側に設けられた搬入口11に第1シャッター41aが設けられている。また、加熱室70の第2側に設けられた搬出口12に、第2シャッター41bが設けられている。また、炉体10の搬入口11及び/又は搬出口12側の端部11a、12aの底壁10dには、給気口50が設けられている。該給気口50は、底板20によって覆われている。底板20の底面20dと炉体10との間隙には、給気口50から底板20の端部20c、20dに至る流路23を有する。
【0046】
ここで、
図5は、搬入口11側の第1シャッター41aの閉鎖時における雰囲気ガスの流れを模式的に示した図である。
図5の矢印(例えば、矢印W)は、底板20の底面20bと、炉体10の底壁10dとの間隙(ここでは、流路23)から噴出される雰囲気ガスの流れを示すものである。
【0047】
かかる焼成炉1によれば、給気口50から供給されるガス(典型的には、雰囲気ガス)は、
図6に示されているように、底板20の底面20dと炉体10との間に噴出される。噴出されたガスは、形成された流路空間Pを通って、シャッター41aの下方に向けて流れていく。さらに、噴出されたガスは、シャッター41aの下方に衝突し、シャッター41aに沿って下方から上方に向かって流れていく。これにより、シャッター41aの表面にはガス流動層が形成される。また、ガスの一部は、シャッター41aに沿って上方まで流れていき、炉体10の内側に向かって流れる。このため、シャッター41aの近傍には、給気口50から供給されるガスの流動層が形成され、炉内のガスは、シャッター41aの近傍に近づきにくくなる。これによって、炉内で反応したガス中に含まれる被処理物に由来する成分が、シャッター41a(若しくは、Oリング44b)に付着することが抑制される。その結果、被処理物に由来する成分がシャッター41a(若しくは、Oリング44b)で凝固することを抑制できるため、炉体10の気密性が維持されやすくなる。また、炉体10内のメンテナンス回数を少なくすることもできる。なお、シャッター41bも同様に構成しうるため、説明は省略する。
【0048】
<搬入室80>
炉体10には、搬入室80が設けられていてもよい。搬入室80は、被処理物Aを加熱室70に供給するための経路である。被処理物Aは、搬送方向X(RからL)に沿って搬送され、加熱室70に供給される。搬入室80には、被処理物Aを予熱するためのヒータが設けられていてもよい。この実施形態では、搬入室80は、加熱室70の後方Rr側に設けられている。また、搬入室80は、加熱室70に対して直角に接続されている。プッシャー(図示せず)が、搬入室80の延長線上に取り付けられている。
【0049】
<搬出室90>
炉体10には、搬出室90が設けられていてもよい。搬出室90は、加熱室10内の被処理物Aを炉体10の外へ排出するための経路である。被処理物Aは、プッシャー30bによって、搬送方向Z(LからR)に沿って押し出され、炉体10の外へ排出される。搬出室90には、被処理物Aを均熱化するためのヒータが設けられていてもよい。この実施形態では、搬出室90は、加熱室70の前方F側に設けられている。また、搬出室90は、加熱室70に対して直角に接続されている。
【0050】
この実施形態では、炉体10は、搬入室80と、加熱室70と、搬出室90を有する。また、搬入口11は、搬入室80に設けられている。搬出口12は、搬出室90に設けられている。搬入室80では、被処理物Aを加熱室70において加熱するための前処理などが行われる。また、搬出室90では、被処理物Aを加熱室70において加熱した後の放熱などが行われる。したがって、炉体10に搬入室80又は搬出室90を設けることは、熱処理における温度を調整しやすく、また、被処理物の均一性を維持しやすいなど点で好ましい。本実施形態のような搬入室80又は搬出室90を有する焼成炉1は、加熱室70に比べて搬入室80及び搬出室90の温度が低くなりやすい。したがって、搬入口11近傍及び搬出口12近傍の温度がさらに低くなる。このような場合であっても、搬入室80又は搬出室90の底壁10dと、底板20の底面20bとの間隙(ここでは、流路23)から噴出される雰囲気ガスによって、反応ガス中に含まれる被処理物に由来する成分が、シャッター41a、41bに付着することを低減することができる。
【0051】
第1置換室60aと、第2置換室60bとは、同様の構成とすることができるため、プッシャー30aを一例に説明する。
図6は、第1置換室60aの縦断側面図である。第1置換室60aは、第1置換室60aと炉体10とを仕切る炉体側シャッター61と、第1置換室60aと外部とを仕切る外部シャッター62と、が設けられている。炉体側シャッター61は、第1置換室60aと炉体10の内部とを区画している。また、外部シャッター62は、第1置換室60aと焼成炉1の外部とを区画している。第1置換室60aは、被処理物Aを搬送するためのガイド部63を備えていてもよい。この実施形態では、炉体側シャッター61は、プレート状の断熱部材である。また、炉体側シャッター61は、断熱プレート42と、リンクアーム46により結合されている。これにより、炉体側シャッター61は、開閉機構44a、44bの駆動装置(図示せず)によって、併せて上下方向にスライドさせることができる。
【0052】
第1置換室60aは、焼成炉1内に被処理物Aを搬入するための機構を備えている。この実施形態では、まずシャッター62が閉じられた状態で、シャッター61が開かれる。次に、台板B2に載置された加熱容器Bが、第1置換室60aに導入される。第1置換室60aに加熱容器Bが導入されると外部シャッター62が閉じられる。そして、第1置換室60a内の雰囲気が調整される。第1置換室60a内の雰囲気が調整された後、炉体側シャッター61が開かれる。第1置換室60aに設けられた搬入プッシャー35が加熱容器Bを押し出すことにより、加熱容器Bが焼成炉1内に搬入される。こうすることで、焼成炉1の内部と外部との雰囲気を分けることができ、炉体10内の被処理物Aへの外気による影響を抑制することができる。
【0053】
上述した実施形態では、焼成炉1は、置換室60を有している。置換室60内では、炉体10と比較して内部の温度が低いため、反応ガスに含まれる成分が固化しやすい。この実施形態では、シャッター41a、41bの開放時において、流路空間Pから噴出された雰囲気ガスは、炉体10の開口部を通って、置換室60内まで徐々に上昇しながら進む。そのため、炉体10と置換室60とを仕切るガスカーテン(ガスバリア)を形成する。これにより、炉体10内から置換室60内へ流入する反応ガスを少なくすることができる。置換室60内において、反応ガスに含まれる成分が、置換室60内に付着する量を少なくすることができる。
【0054】
以上、ここで開示される発明の詳細な説明を行ったが、これらは例示にすぎず、請求の
範囲を限定するものではない。また、ここでの開示は、種々変更でき、特段の問題が生じ
ない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適
宜に組み合わされうる。
【0055】
なお、本明細書は以下の項1~5を含んでいる。以下の項1~5は、上記した実施形態には限定されない。
【0056】
項1:被処理物を加熱処理するためのトンネル状の焼成空間を有する加熱室と、前記加熱室の第1側に設けられた搬入口と、前記加熱室の第2側に設けられた搬出口と、を備える炉体と、前記炉体の底壁を覆うように焼成空間に設けられた底板と、前記搬入口を開閉する第1シャッターと、前記搬出口を開閉する第2シャッターと、を有し、前記炉体の底壁は、前記搬入口側の端部と前記搬出口側の端部とのうち少なくとも一方の端部に給気口を有し、前記底板の底面と前記炉体の底壁との間隙に、前記給気口から前記底板の端部に至る流路を有する、焼成炉。
【0057】
項2:前記第1シャッター及び/又は第2シャッターの外周縁部には、シール材が設けられている、項1に記載の焼成炉。
【0058】
項3:前記第1シャッター及び/又は第2シャッターのシール材を冷却するための冷却機構が設けられている、項1または項2に記載の焼成炉。
【0059】
項4:前記搬入口には、第1置換室が備えられており、前記搬出口には、第2置換室が備えられている、項1から3のいずれか1項に記載の焼成炉。
【0060】
項5:前記給気口から前記底板の端部に至る流路は、前記底板の底面に設けられた凹みである、項1から4のいずれか1項に記載の焼成炉。
【符号の説明】
【0061】
1 焼成炉
10 炉体
10a 焼成空間
10b 上壁
10c1 側壁
10c2 側壁
10d 底壁
11 搬入口
11a 端部
12 搬出口
12a 端部
20 底板
20a 上面
20b 底面
20c 搬入口側端部
20d 搬出口側端部
21 凹部
22 ガイド部
23 流路
23a 凹み
30 プッシャー
30a プッシャー
30b プッシャー
31 プッシャーヘッド
32 プッシャーロッド
33 プッシャーシール
34 アクチュエータ
41a 第1シャッター
41b 第2シャッター
44 シール部
44a 外縁フレーム
44b Oリング
44a 第1開閉機構
44b 第2開閉機構
45 受け口
45a 冷媒流路
46a 第1開閉機構
46b 第2開閉機構
46a1 四節リンク
46a2 ストッパ
46a3 アクチュエータ
50 給気口
50a 給気口
50b 給気口
50c 給気口
50d 給気口
51 給気管
55 排気口
56 排気管
60 置換室
60a 第1置換室
60b 第2置換室
61 炉体側シャッター
62 外部シャッター
63 ガイド部
70 加熱室
80 搬入室
90 搬出室
A 被処理物
B 加熱容器
B1 蓋
B2 台板
P 流路空間
W 矢印
X 搬送方向
Y 搬送方向
Z 搬送方向
【要約】
【課題】被処理物から発生した揮発物質が、焼成炉の扉に付着することを抑制することができる。
【解決手段】ここで開示される焼成炉1は、トンネル状の焼成空間を有する炉体10と、前記炉体の底壁を覆うように焼成空間10aに設けられた底板20と、を有する。炉体10は、被処理物が搬入される搬入口11と、被処理物が搬出される搬出口12と、被処理物を加熱処理するための加熱室70と、を備える。前記搬入口11には、第1シャッター41aが設けられている。前記搬出口12には、第2シャッター41bが設けられている。前記炉体10の底壁10bは、前記搬入口11側の端部11aと前記搬出口12側の端部12bとのうち少なくとも一方の端部に給気口50を有し、前記底板20の底面20bとの間隙に、前記給気口50から前記底板20の端部に至る流路を有する。
【選択図】
図6