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特許7607171端末装置、ナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】端末装置、ナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20241219BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20241219BHJP
   G01S 5/02 20100101ALI20241219BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G08G1/005
G01S5/02 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024091722
(22)【出願日】2024-06-05
【審査請求日】2024-07-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 日本経済新聞の令和6年3月29日付朝刊第12面にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和6年4月8日にソフトバンク株式会社のウェブサイトにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和6年4月8日に朝日インタラクティブ株式会社 CNET Japanのウェブサイトにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和6年4月8日に株式会社インプレス ケータイWatchのウェブサイトにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和6年4月8日に株式会社マイナビ TECH+のウェブサイトにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和6年4月9日に株式会社角川アスキー総合研究所 ASCII.jpのウェブサイトにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和6年4月22日に株式会社日経BP 日経XTECHのウェブサイトにて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】大塚 哲治
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-034099(JP,A)
【文献】国際公開第2016/017254(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/181153(WO,A1)
【文献】特表2016-507797(JP,A)
【文献】特開2023-046298(JP,A)
【文献】特開2024-002698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
G08G 1/005
G01S 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内の目的地へのナビゲーションを行う端末装置であって、
前記屋内に設置された複数の送信機のそれぞれを識別可能な送信機識別情報を含む無線信号を、前記複数の送信機のうちの少なくとも1つから受信する受信部と、
前記送信機識別情報と周辺の画像を示す画像情報とに基づいて、前記屋内における位置を示す位置情報と進行方向を示す進行方向情報とを生成する生成部と、
前記位置情報と前記進行方向情報とに基づいて、所定の情報を表示部に表示させる表示制御部と、を備え、
前記生成部は、前記無線信号の受信品質を示す信号品質情報に基づいて、該無線信号の送信元である前記送信機と前記端末装置との間の距離を推定し、
前記送信機識別情報と前記距離とに基づいて、前記屋内における複数のエリアのうちの1つを選択する選択部をさらに備え、
前記生成部は、前記選択されたエリアに対応する地図情報と前記画像情報とに基づいて、前記位置情報と前記進行方向情報とを生成する、
端末装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記所定の情報として前記目的地に案内するための案内情報を表示部に表示させる、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記距離が所定値以下であるときに、前記目的地へのナビゲーションを支援するための支援情報を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、拡張現実及び複合現実の少なくとも一方の技術を用いて、前記所定の情報を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項5】
前記受信部は、所定の方式に従い、前記無線信号を受信する、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項6】
前記表示部は、前記端末装置に接続されたウェアラブルデバイスである、
請求項1から5のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項7】
前記ウェアラブルデバイスは、前記画像情報を生成する撮像部を含む、
請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
それぞれが屋内に設置される複数の送信機と、
請求項1から5のいずれか一項に記載の端末装置と、を備える、
ナビゲーションシステム。
【請求項9】
屋内の目的地へのナビゲーションを行うナビゲーション方法であって、
前記屋内に設置された複数の送信機のそれぞれを識別可能な送信機識別情報を含む無線信号を、前記複数の送信機のうちの少なくとも1つから受信するステップと、
前記送信機識別情報と周辺の画像を示す画像情報とに基づいて、前記屋内における位置を示す位置情報と進行方向を示す進行方向情報とを生成するステップと、
前記位置情報と前記進行方向情報とに基づいて、所定の情報を表示するステップと、を含み、
前記生成するステップは、前記無線信号の受信品質を示す信号品質情報に基づいて、該無線信号の送信元である前記送信機と前記目的地へのナビゲーションを行う端末装置との間の距離を推定することを含み、
前記送信機識別情報と前記距離とに基づいて、前記屋内における複数のエリアのうちの1つを選択するステップをさらに含み、
前記生成するステップは、前記選択されたエリアに対応する地図情報と前記画像情報とに基づいて、前記位置情報と前記進行方向情報とを生成することを含む、
ナビゲーション方法。
【請求項10】
屋内の目的地へのナビゲーションを行う、コンピュータに実行させるためのナビゲーションプログラムであって、
前記屋内に設置された複数の送信機のそれぞれを識別可能な送信機識別情報を含む無線信号を、前記複数の送信機のうちの少なくとも1つから受信するステップと、
前記送信機識別情報と周辺の画像を示す画像情報とに基づいて、前記屋内における位置を示す位置情報と進行方向を示す進行方向情報とを生成するステップと、
前記位置情報と前記進行方向情報とに基づいて、所定の情報を表示するステップと、を含み、
前記生成するステップは、前記無線信号の受信品質を示す信号品質情報に基づいて、該無線信号の送信元である前記送信機と前記目的地へのナビゲーションを行う端末装置との間の距離を推定することを含み、
前記送信機識別情報と前記距離とに基づいて、前記屋内における複数のエリアのうちの1つを選択するステップをさらに含み、
前記生成するステップは、前記選択されたエリアに対応する地図情報と前記画像情報とに基づいて、前記位置情報と前記進行方向情報とを生成することを含む、
ナビゲーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、ナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、GPSなどを利用して、地理情報を含んで写真を撮影し、これを送信、編集機能を有する位置情報の保存が可能な携帯用機器カメラ機能、これを活用した住所送信方法、ナビゲーション設定及びコンテンツ提供方法を有する携帯用端末機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2023-515851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、GPS(Global Positioning System)は、衛星から信号を受信して位置を特定するシステムであるから、屋内環境では、建物や障害物等によって衛星からの信号が遮断され、あるいは減衰する。そのため、GPSを利用する位置情報では、十分な精度を得ることができず、屋内目的地へのナビゲーションを行うことは困難であった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、屋内環境における目的地へのナビゲーションを行うことのできる端末装置、ナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る端末装置は、屋内の目的地へのナビゲーションを行う端末装置であって、屋内に設置された複数の送信機のそれぞれを識別可能な送信機識別情報を含む無線信号を、複数の送信機のうちの少なくとも1つから受信する受信部と、送信機識別情報と周辺の画像を示す画像情報とに基づいて、屋内における位置を示す位置情報と進行方向を示す進行方向情報とを生成する生成部と、位置情報と進行方向情報とに基づいて、所定の情報を表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【0007】
本発明の一側面に係るナビゲーションシステムは、それぞれが屋内に設置される複数の送信機と、前述した端末装置と、を備える。
【0008】
本発明の一側面に係るナビゲーション方法は、屋内の目的地へのナビゲーションを行うナビゲーション方法であって、屋内に設置された複数の送信機のそれぞれを識別可能な送信機識別情報を含む無線信号を、複数の送信機のうちの少なくとも1つから受信するステップと、送信機識別情報と周辺の画像を示す画像情報とに基づいて、屋内における位置を示す位置情報と進行方向を示す進行方向情報とを生成するステップと、位置情報と進行方向情報とに基づいて、所定の情報を表示するステップと、を含む、
【0009】
本発明の一側面に係るナビゲーションプログラムは、屋内の目的地へのナビゲーションを行う、コンピュータに実行させるためのナビゲーションプログラムであって、屋内に設置された複数の送信機のそれぞれを識別可能な送信機識別情報を含む無線信号を、複数の送信機のうちの少なくとも1つから受信するステップと、送信機識別情報と周辺の画像を示す画像情報とに基づいて、屋内における位置を示す位置情報と進行方向を示す進行方向情報とを生成するステップと、位置情報と進行方向情報とに基づいて、所定の情報を表示するステップと、を含む、
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、屋内環境における目的地へのナビゲーションを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態におけるナビゲーションシステムの概略構成の一例を示す構成図である。
図2図2は、一実施形態における端末装置のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
図3図3は、一実施形態における端末装置の機能ブロック構成の一例を示す構成図である。
図4図4は、屋内における画像情報の一例を示す図である。
図5図5は、表示部に表示させる支援情報の一例を示す図である。
図6図6は、一実施形態におけるナビゲーションシステムが行う処理手順の一例を説明するための図である。
図7図7は、一実施形態における端末装置が行う処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。従って、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。さらに、本発明の技術的範囲は、当該実施形態に限定して解するべきではない。
【0013】
<ナビゲーションシステムの構成>
まず、図1を参照しつつ、一実施形態に従うナビゲーションシステムの概略構成について説明する。図1は、一実施形態におけるナビゲーションシステム100の概略構成の一例を示す構成図である。
【0014】
図1に示すように、ナビゲーションシステム100は、端末装置10と、複数の送信機50と、を備える。
【0015】
ナビゲーションシステム100は、端末装置10を所持するユーザに対し、屋内(「建物内」又は「室内」ともいう)の所定の場所に案内するナビゲーションを行うためのものである。
【0016】
ナビゲーションシステム100が対象とする屋内は、例えば、球場内、劇場内、映画館内、商業施設内、娯楽施設内、公共施設内、駅構内等の環境である。なお、ナビゲーションシステム100が対象とする屋内は、これらの建物内に限定されるものではなく、その他の建物内であってもよい。
【0017】
建物内において、例えば、座席、部屋、特定の場所又は箇所等が、ナビゲーションシステム100が案内する所定の場所になり得る。一般的に、屋内には、所定の場所となり得る複数の場所が存在している。図1では、屋内において、18か所の場所L1~L18が存在し、これらの場所のうち、例えば、場所L17が所定の場所である、例を示している。本願は、屋内において、ナビゲーションを行う所定の場所を「目的地」という。
【0018】
複数の送信機50は、それぞれ、ナビゲーションシステム100の対象となる屋内に、設置されている。ナビゲーションシステム100の対象となる屋内は、あらかじめ複数のエリアに区画されており、複数の送信機50は、それぞれ、いずれかのエリアに設置されている。各送信機50は、所定の時間間隔ごとに、送信機識別情報を無線信号で用いて送信するように構成されている。送信機識別情報は、複数の送信機50が識別可能となるように、各送信機50に一意の識別子、例えば自身の送信機ID等を表わす情報である。
【0019】
各送信機50は、屋内の移動経路上に、例えば、通路、天井、壁、階段、エレベータ、エスカレータ等に沿って、設置される。設置する送信機50の数及び設置間隔は、例えば、ナビゲーションシステム100に求められる精度や、屋内における移動経路の複雑さや距離等に応じて、設定される。
【0020】
端末装置10は、前述した屋内の目的地へのナビゲーションを行うように構成されている。端末装置10は、例えば、携帯型の情報端末である。具体的には、端末装置10は、スマートフォン、携帯電話機、タブレット、パソコン、PDA、ゲーム機、メディアプレーヤ等が該当する。なお、端末装置10は、これらの例に限定されるものではなく、屋内の目的地へのナビゲーションを行うことができれば、他の装置、機器、デバイス等であってもよい。
【0021】
<端末装置のハードウェア構成>
次に、図2を参照しつつ、一実施形態に従う端末装置のハードウェア構成について説明する。図2は、一実施形態における端末装置10のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
【0022】
図2に示すように、端末装置10は、例えば、プロセッサ21、メモリ22、記憶装置23、通信装置24、アンテナ25、光学装置26、入力装置27、表示装置28、及び出力装置129を備える。
【0023】
プロセッサ21は、端末装置10の各部の動作を制御するように構成されている。プロセッサ21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、APU(Accelerated Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SoC(System-on-a-chip)等の集積回路を含んで構成される。
【0024】
メモリ22及び記憶装置23は、それぞれ、プログラムやデータ等を記憶するように構成されている。メモリ22は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)及び/又はRAM(Random Access Memory)等から構成される。記憶装置23は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及び/又はeMMC(embedded Multi Media Card)等のストレージから構成される。
【0025】
通信装置24は、有線及び/又は無線アクセスネットワークを介して通信を行うように構成されている。通信装置24は、例えば、ネットワークカード、通信モジュール等を含んで構成される。また、通信装置24には、アンプ、無線信号に関する処理を行うRF(Radio Frequency)装置と、ベースバンド信号処理を行うBB(BaseBand)装置とを含んで構成されていてもよい。
【0026】
RF装置は、例えば、BB装置から受信したデジタルベースバンド信号に対して、D/A(Digital to Analog)変換、変調、周波数変換、電力増幅等を行うことで、アンテナ127から送信する無線信号を生成する。また、RF装置は、アンテナ25から受信した無線信号に対して、周波数変換、復調、A/D(Analog to Digital)変換等を行うことでデジタルベースバンド信号を生成してBB装置に送信する。BB装置は、デジタルベースバンド信号をIPパケットに変換する処理、及び、IPパケットをデジタルベースバンド信号に変換する処理を行う。
【0027】
アンテナ25は、1つ又は複数の所定の周波数帯で、電波(電磁波)を放射(輻射)及び受波できるように構成されている。アンテナ25は、指向性のない、つまり、無指向性を有するものであってもよい。無指向性のアンテナ25は、水平面内、垂直面内、又は水平面ない及び垂直面内の両方において、360度全ての方向からの利得がほぼ同等である。
【0028】
アンテナ25は、1本である場合に限定されるものではなく、複数本であってもよい。端末装置10が複数本のアンテナを備える場合、例えば、送信用アンテナと受信用アンテナとに分けてもよい。また、複数本のアンテナを送信用アンテナと受信用アンテナとに分ける場合、少なくとも一方が複数本のアンテナを含んでいてもよい。なお、端末装置10が複数本の送受信用アンテナ又は送信用アンテナを備える場合、ビームフォーミングの技術を利用することができる。
【0029】
光学装置26は、画像(静止画)及び/又は動画(映像)を撮影するように構成されている。光学装置26は、例えば、カメラ機能を有するカメラモジュールを含んで構成される。一般に、カメラモジュールは、レンズ、フィルタ、イメージセンサ(撮像素子)、電子回路等を備える。レンズは、焦点距離及び/又は明るさ(f値)が互いに異なる複数のレンズで構成されていてもよい。また、イメージセンサは、CCDイメージセンサ及びCMOSイメージセンサのいずれか一方であってもよい。CMOSイメージセンサである場合、裏面照射型(BSI:Back Side Illustrated)であってもよい。また、カメラモジュールは、アクチュエータを備えていてもよい。アクチュエータは、レンズを素早く移動させて、フォーカスをあわせるオートフォーカス機能、手振れ量に応じてレンズ位置を補正する手振れ補正機能、及び、ズームレンズの焦点距離を光学的に変更するズーム機能のうちの少なくとも1つを提供する。さらに、カメラモジュールは、深度センサ(測距センサともいう)を備えていてもよい。深度センサは、カメラモジュールから対象物までの距離を測定する機能を有する。深度センサは、例えば、TOF(Time Of Flight)センサや、LiDAR(Light Detection and Ranging)スキャナ等を含んで構成される。
【0030】
入力装置27は、ユーザの操作により情報を入力できるように構成されている。入力装置27は、例えば、タッチパネル、ボタン、キーパッド(キーボード)、タッチパッド、ポインティングスティック、マウス、トラックポール、及び/又はマイク等を含んで構成される。
【0031】
表示装置28は、画像、文字、記号等の情報を表示するように構成されている。表示装置28は、例えば、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイ、量子ドット有機EL(QD-OLED:Quantum Dot-OLED)ディスプレイ、ミニLEDディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ等の表示パネルを含んで構成される。
【0032】
出力装置29は、表示装置28に表示可能な情報以外の情報を出力するように構成されている。出力装置29は、例えば、音声を出力するスピーカ、及び/又は光を発するライト等を含んで構成される。
【0033】
また、端末装置10は、図示を省略するが、例えば、方位センサ、重力センサ、温度センサ、加速度センサ、GPS受信機等の各種のセンサ、指紋、網膜、虹彩、顔、声紋等の各種の生体認証機能、各種のデバイス、接続端子を含む入出力インタフェース等のうち、少なくとも1つをさらに備えていてもよい。
【0034】
<端末装置の機能ブロック構成>
次に、図3を参照しつつ、一実施形態に従う端末装置の機能ブロック構成について説明する。図3は、一実施形態における端末装置10の機能ブロック構成の一例を示す構成図である。なお、図3は、本実施形態において必要な機能ブロックを示すためのものであり、端末装置10が図示以外の機能ブロックを備えることを排除するものではない。
【0035】
図3に示すように、端末装置10は、機能ブロックとして、受信部31と、撮像部32と、生成部33と、記憶部34と、表示制御部35と、選択部36と、を備える。また、端末装置10は、USB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介して、ウェアラブルデバイス、例えばスマートグラス37に接続されている。スマートグラス37は、表示部37aを備える。
【0036】
受信部31は、図1に示す複数の送信機50のうちの少なくとも1つから、無線信号を受信するように構成されている。前述したように、受信部31が受信する無線信号には、送信機識別情報が含まれている。
【0037】
受信部31は、例えば、ブルートゥースローエナジー(BLE:Bluetooth Low Energy)の方式に従って送信機50との間で通信を行い、前述した無線信号を受信するように構成されている。この場合、複数の送信機50は、それぞれ、例えばBLEビーコンである。BLEは、近距離(短距離)における無線通信の規格であり、電波強度は約1メートルから約100メートルの範囲である。このように、BLEは、有効範囲が限定される一方、デバイスの小型化が容易であり、消費電力が少ない(低エネルギー)であるという特徴を有する。
【0038】
本実施形態では、受信部31がBLEの方式に従って無線信号を受信する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、受信部32は、BLE以外の方式、例えば、超広帯域無線(UWB:Ultra-Wide Band)、アイビーコン(iBeacon)、インドアメッセージングシステム(IMES:Indoor MEssaging System)、歩行者自律航法(PDR:Pedestrian Dead Reckoning)等の方式を用い、無線信号を受信してもよい。
【0039】
このように、BLE、UWB、アイビーコン、UWB、及びIMESのうちのいずれかの方式に従い、無線信号を受信することにより、送信機50からの無線信号を受信する端末装置10を、様々な方式で実現(構成)することができる。
【0040】
撮像部32は、端末装置10の周辺の画像を示す画像情報を生成するように構成されている。より詳細には、撮像部32は、端末装置10が備えるカメラ機能を用いて、画像を撮影するように構成されている。具体的には、カメラ機能におけるレンズ等の光学系は、外部から入射した光線を集光し、イメージセンサ上に結像させる。イメージセンサには、複数の受光素子が配列されており、各受光素子は1画素(ピクセル)に対応する。受光素子は結像した光を電気信号に変換し、各受光素子から出力される電気信号に対し、ノイズ除去、信号増幅等の信号処理を施すことで、画像情報を生成する。画像情報は、例えば、動画データ、又は動画データから抽出した1つ又は複数のフレームの静止画データを含んでいる。目的地へのナビゲーションを行う場合、画像情報は、屋内における景観を表わす画像となる。
【0041】
生成部33は、送信機識別情報と画像情報とに基づいて、位置情報と進行方向情報とを生成するように構成されている。送信機識別情報は受信部31によって受信された無線信号に含まれる情報であり、画像情報は撮像部32によって得られた情報である。なお、画像情報は、スマートグラス37から取得される情報であってもよい。位置情報は、室内において、端末装置10を所持するユーザがいる位置を示す情報である。進行方向情報は、室内において当該ユーザが進行する方向(向き)を示す情報である。生成部33は、比較的短い時間間隔ごとに、位置情報及び進行方向情報を生成することで、ユーザの位置及び進行方向を、リアルタイム又は略リアルタイムで、特定することが可能となる。なお、位置情報及び進行方向情報の生成の詳細については、後述する。
【0042】
記憶部34は、各種の情報を記憶するように構成されている。記憶部34は、例えば、目的地データ34aと、複数のマップデータベース(以下、「マップDB」という)34bと、コンテンツデータ34cと、を記憶する。目的地データ34aは、ナビゲーションの目的地に関する情報であり、ナビゲーションの開始前までに、記憶部34に記憶される。複数のマップDB34bは、エリア毎の地図情報が格納されている。すなわち、屋内の環境は、複数のエリアに分割されており、各マップDB34bは、これら複数のエリアのうちの1つのエリアに対応している。地図情報は、対応するエリアを二次元又は三次元で表した情報であり、例えば、当該エリアに存在する設備や構造物等に関する情報である。
【0043】
表示制御部35は、位置情報と進行方向情報とに基づいて、所定の情報を表示部に表示させるように構成されている。より詳細には、表示制御部35は、所定の情報として目的地に案内するための案内情報を表示部に表示させるように構成されている。案内情報は、屋内における所定の場所、例えば目的地に案内するための情報である。案内情報は、記憶部34に記憶されたコンテンツデータ34cに含まれており、例えば、所定の場所自体や、当該場所への経路、方向等を表わす文字、記号、図形、アイコン、アニメーション画像等である。また、表示制御部35は、記憶部34に記憶された目的地データ34aを参照して、案内情報を決定する。案内情報を表示させる表示部は、情報端末10が備える表示装置28であってもよいし、情報端末10に接続される外部の表示装置であってもよい。以下の説明において、特に明示する場合を除き、スマートグラス37の表示部37aに表示させるものとする。
【0044】
一般的に、画像情報から位置を特定する技術として、VPS(Visual Positioning System)が知られている。VPSは、例えば、屋内における設備や構造物を網羅したマップデータをあらかじめ作成しておく。そして、画像情報に写っている設備や構造物の大きさ、アングル、構図等から、それぞれの設備及び構造物から、画像情報の撮影場所までの距離や角度を算出する。この場合、設備や構造物は不動点として考えられるから、これらの位置を基準点として利用することで、画像情報から位置及び方向(向き)を推定することが可能となる。
【0045】
また、位置の特定と地図の作成を同時に行う技術として、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)も存在している。SLAMにおいて、センサにカメラを用いるときに、特にVisual SLAMといい、VPSと組み合わせて利用することができる。
【0046】
これらの技術は、画像情報の中に、目印、標識、マーク等になり得る対象を見つけ出し、これを基準として、当該対象の位置に対して相対的に位置を特定している。
【0047】
しかし、景観に特徴がない、あるいは、特徴が少ない屋内環境では、撮影された画像内に、目印、標識、マーク等になり得る対象を見つけ難いことがある。また、仮にそのような対象を見つけることができたときでも、屋内環境において、似たような景色が複数存在する場合は、当該対象の候補となる場所が救数存在することになる。その結果、撮影された画像から当該対象の場所を識別することは、困難となる。
【0048】
図4は、屋内における画像情報PIの一例を示す図である。図4に示すように、画像情報PIは、撮像部32によって、建物内に存在する廊下の景色を撮像したものである。画像情報PIには、通路、複数の柱、天井、照明等が含まれているが、これらは、均質で画一的なデザインの対象物であるため、視覚的な特徴に乏しい。その結果、このような画像情報PIの中から、基準となる対象を見つけ出すことは困難である。
【0049】
本発明の発明者は、このような問題を考察した結果、送信機識別情報と画像情報との両方を用いることで、屋内における位置及び進行方向が特定可能であることを見い出した。すなわち、送信機識別情報で識別される送信機に関して、屋内において設置された場所をあらかじめ知ることができる。そのため、送信機識別情報から、屋内における大まかな位置を把握することができる。よって、屋内の大まかな位置と、VPS技術等の画像情報を利用した位置及び方向を特定する方法とを組み合わせることで、屋内の景観に特徴がないときでも、屋内の位置及び方向を特定すること可能となる。
【0050】
このように、送信機識別情報と周辺の画像を示す画像情報とに基づいて、位置情報と進行方向情報とを生成することにより、送信機識別情報から把握することのできる屋内の大まかな位置と、画像情報を利用する位置及び方向の特定方法との組合せから、屋内における位置及び進行方向を特定することが可能となる。また、位置情報及び進行横行情報に基づいて所定の情報が表示されるので、屋内環境において、目的地へのナビゲーションを高精度に行うことができる。
【0051】
より詳細には、生成部33は、無線信号の受信品質を示す信号品質情報に基づいて、当該無線信号の送信元である送信機50と端末装置10との間の距離を推定するように構成されている。無線信号は、受信部32によって受信された信号である。信号品質情報は、例えば、無線信号の受信信号強度を示すRSSI(Received Signal Strength Indication)の情報であり、前述した通信装置24及びアンテナ25から得ることができる。
【0052】
なお、信号品質情報は、無線信号の受信品質を示す情報としてRSSIの例を示したが、これに限定されるものではない。信号品質情報は、例えば、受信電力値を示すRSRP(Reference Signal Received Power)、受信電力品質を示すRSRQ(Reference Signal Received Quality)、信号対干渉雑音比を示すSINR(Signal to Interference Noise Ratio)等の情報を使用してもよい。
【0053】
このように、無線信号の受信品質を示す信号品質情報に基づいて、当該無線信号の送信元である送信機50と端末装置10との間の距離を推定することにより、送信機識別情報に加えて距離に基づくことで、屋内における位置及び進行方向を高精度に特定することができる。
【0054】
選択部36は、送信機識別情報と距離とに基づいて、屋内における複数のエリアのうちの1つを選択するように構成されている。選択部36が用いる距離は、生成部33によって推定された距離である。ここで、送信機識別情報から、屋内において当該送信機50の設置された場所を特定することができる。また、推定された距離からは、当該送信機50の設置場所からどのくらい離れているのかを知ることができる。よって、選択部36は、送信機識別情報及び距離の組合せにより、屋内における複数のエリアの中から、端末装置10が存在すると推定されるエリアを選択することが可能となる。
【0055】
このように、送信機識別情報と距離とに基づいて、屋内における複数のエリアのうちの1つを選択することにより、選択されたエリアに対応する屋内における大まかな位置を、素早く把握することができる。
【0056】
また、生成部33は、選択されたエリアに対応する地図情報と画像情報とに基づいて、位置情報と進行方向情報とを生成するように構成されている。生成部33は、例えば前述したVPS技術よって、選択されたエリアに対応するマップDB34bと、画像情報に含まれる屋内の設備や構造物の情報と、を照合する。これにより、生成部33は、端末装置10の現在位置及び進行方向を特定することが可能となり、位置情報と進行方向情報とを生成することができる。
【0057】
このように、送信機識別情報と距離とに基づいて、屋内における複数のエリアのうちの1つを選択することにより、選択されたエリアに対応するマップDB34bの地図情報と画像情報とを照合することで、位置及び進行方向を容易に特定することができる。
【0058】
また、表示制御部35は、生成部33によって推定された距離が所定値以下であるときに、目的地へのナビゲーションを支援するための支援情報を表示部37aに表示させるように構成されている。表示制御部35は、複数の送信機50のうちの一部と、端末装置10との距離が所定値以下である場合に、支援情報を表示部37aに表示させてもよい。支援情報は、記憶部34に記憶されたコンテンツデータ34cに含まれており、例えば、目的地までの残りの距離に関する情報やキャラクタ画像等である。
【0059】
図5は、表示部37aに表示させる支援情報SIの一例を示す図である。図5に示すように、画像情報に、例えばパネルPAが含まれると、当該パネルPA又はその近傍に設置された送信機50と端末装置10との間の距離は、所定値以下になる。この場合、表示制御部35は、記憶部34に記憶されたコンテンツデータ34cから、当該パネルPAのキャラクタ画像を含む支援情報SIを読み出し、支援情報SIを表示部37aに表示させる。当該キャラクタ画像が登場した拡張現実(AR:Augumented Reality)の空間において、ユーザがハイタッチ等の所定のアクションを行うと、表示制御部35は、目的地への経路を案内する案内情報を、表示部37aにさらに表示させる。
【0060】
このように、推定された距離が所定値以下であるときに、目的地へのナビゲーションを支援するための支援情報を表示部に表示させることにより、目的地へのナビゲーションを支援することができるとともに、ナビゲーションを利用するユーザのQoE(Quality of Experience)を向上させることができる。
【0061】
本実施形態では、案内情報を教示する表示部37aは、端末装置10に接続されたスマートグラス37に搭載されている。表示部37aは、例えば、半透過型のディスプレイである。スマートグラス37を装着したユーザは、視界が確保されており、目の前の風景や景観に、情報、つまり、案内情報を投影した映像を見ることができる。
【0062】
スマートグラス37は、図示しない撮像部を含んでいてもよい。撮像部は、端末装置10の撮像部31と同様に、カメラ機能を有している。そのため、当該撮像部は、スマートグラス37の周辺の画像を示す画像情報を生成するように構成されている。この場合、生成された画像情報は、USBを介して、端末装置10に出力される。また、スマートグラス37は、スピーカ、マイク等のその他のデバイスが搭載されていてもよい。
【0063】
なお、ウェアラブルデバイスは、眼鏡型のスマートグラス37である場合に限定されるものではない。ウェアラブルデバイスは、頭に装着されるヘッドセット、腕に装着される、時計型のスマートウォッチや、バンド型のスマートバンド等であってもよい。
【0064】
このように、表示部37aが端末装置10に接続されたウェラブルデバイスであることにより、目的地へのナビゲーションをユーザに直接的に働きかけることができる。
【0065】
また、ウェラブルデバイスが画像情報を生成する撮像部を含むことにより、表示部及び撮像部を一体的に構成することができる。
【0066】
表示制御部35は、前述した拡張現実(AR)とともに、あるいは、拡張現実(AR)とともに、複合現実(MR:Mixed Reality)技術を用いて、所定の情報を表示部37aに表示させてもよい。拡張現実(AR)は、現実世界の情報、特に画像情報に、視覚的に情報を重ね合わせることで、現実の世界を拡張する技術である。複合現実(MR)は、現実世界の画像情報に、実際には存在しない仮想的なオブジェクト、例えば前述したキャラクタ画像等のコンテンツ情報を表示させ、当該オブジェクトに対してユーザの操作、アクションを可能にすることで、現実世界と仮想世界とをミックスさせる技術である。
【0067】
このように、拡張現実(AR)及び複合現実(MR)の少なくとも一方の技術を用いて、所定の情報を表示部37aに表示させることにより、ユーザが目的地へのナビゲーションを視覚的に認識し易くなる。
【0068】
なお、受信部31は、例えばアンテナ25及び通信装置24により実現されてもよいし、アンテナ25及び通信装置24に加えてプロセッサ21が記憶装置23に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。また、撮像部32は、例えば光学装置26により実現されてもよい。また、記憶部34は、メモリ22及び記憶装置23のうちの少なくとも一方により実現されてもよい。さらに、生成部33、表示制御部35、及び選択部36は、プロセッサ21が、記憶装置23に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。プログラムを実行する場合、当該プログラムは、記憶媒体に格納されていてもよい。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は、特に限定されないが、例えば、USBメモリ、又はCD-ROM(Compact Disc ROM)等の記憶媒体であってもよい。
【0069】
<ナビゲーションシステムの処理手順>
次に、図6を参照しつつ、一実施形態に従うナビゲーションシステムが行う処理手順について、具体例を用いて説明する。
【0070】
図6は、一実施形態におけるナビゲーションシステムが行う処理手順の一例を説明するための図である。以下の説明では、あらかじめ目的地データ34a、複数のマップDB34b、及びコンテンツデータ34cが記憶部34に記憶されているものとし、スマートグラフ37の表示部37aに案内情報及び支援情報を表示させる例を用いる。
【0071】
図6に示すように、複数の送信機50は、それぞれ、自身の送信機識別情報を含む無線信号を周期的に送信しており。端末装置10の受信部31は、複数の送信機50のうちの少なくとも1つかから、無線信号を受信する(S201)。
【0072】
次に、生成部33は、ステップS201で受信した無線信号の信号品質情報に基づいて、送信機50と端末装置10との間の距離を推定する(S202)。そして、生成部33は、ステップS202で推定した距離が、所定値以下であるか否かを判定する(S203)。判定に用いる所定値は、例えば記憶部34にあらかじめ記憶されており、生成部33は、記憶部34から所定値を読み出して、判定を行う。
【0073】
推定した距離が所定値以下であるとき、表示制御部35は、ステップS201で受信した受信した無線信号の送信機識別情報に関連付けられた支援情報を、記憶部34のコンテンツデータ34cから読み出す。そして、表示制御部35は、支援情報をスマートグラス37に送信して表示部37aに表示させる(S204)。なお、推定した距離が所定値より大きい場合には、支援情報の表示は行わない。
【0074】
次に、選択部36は、ステップS201で受信した無線信号の信号品質情報と、ステップS202で推定した距離とに基づいて、屋内における複数のエリアのうち、1つのエリアを選択する(S205)。
【0075】
また、端末装置10は、ナビゲーションの実行中にカメラ機能を起動しており、撮像部32は、所定の周期ごとに画像情報を生成する(S206)。なお、ステップS206において撮像部32が画像情報を生成することに代えて、スマートグラス37の図示しない撮像部が生成する画像情報を、当該スマートグラス37から所定の周期ごとに取得してもよい。
【0076】
次に、生成部33は、ステップS205で選択したエリアに対応するマップDB34bの地図情報と、ステップS206で生成した画像情報又はスマートグラス37から取得した画像情報とに基づいて、位置情報と進行方向情報とを生成する(S207)。生成部33は、選択したエリアのマップDB34bにおいて、VPS技術により、地図情報と画像情報とを照合することで、端末装置10の位置及び進行方向を特定する。
【0077】
次に、表示制御部35は、ステップS207で生成した位置情報と進行方向情報とに基づいて、所定の情報、例えば案内情報を、記憶部34のコンテンツデータ34cから読み出す。そして、表示制御部35は、案内情報をスマートグラス37に送信して表示部37aに表示させる(S208)。
【0078】
<端末装置の処理手順>
次に、図7を参照しつつ、一実施形態に従う端末装置が行う処理手順について説明する。図7は、一実施形態における端末装置10が行う処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0079】
図7に示すように、端末装置10がナビゲーション処理S300を開始すると、受信部31は、送信機50から無線信号を受信する(S301)。
【0080】
次に、生成部33は、ステップS301において受信された無線信号の信号品質情報に基づいて、送信機50との間の距離を推定する(S302)。
【0081】
次に、表示制御部35は、ステップS302において推定された距離が所定値以下であるか否かを判定する(S303)。
【0082】
ステップS303の判定の結果、推定された距離が所定値以下である場合、表示制御部35は、支援情報を表示部37aに表示させる(S304)。一方、ステップS303の判定の結果、推定された距離が所定値以下でない、つまり、推定された距離が所定値より大きい場合、表示制御部35は、ステップS304の処理を行わない。
【0083】
次に、選択部33は、ステップS301において受信された無線信号に含まれる送信機識別情報と、ステップS302において推定された距離とに基づいて、屋内におけるエリアを選択する(S305)。
【0084】
また、撮像部32は画像情報を生成し(S306)、あるいは、端末装置10がスマートグラス37から画像情報を取得し、生成部33は、ステップS352において選択されたエリアに対応する地図情報と、ステップS306において生成された画像情報又はスマートグラス37から取得した画像情報とに基づいて、位置情報と進行方向情報を生成する(S307)。選択されたエリアに対応する地図情報は、記憶部34に記憶された複数のマップDB34bのうち、当該エリアに対応するマップDB34bに含まれている。
【0085】
次に、生成部33は、ステップS307において生成された位置情報と、記憶部34に記憶された目的地データとを比較し、生成された位置が目的地と一致しないか、あるいは、一致するかを判定する(S308)。なお、生成された位置と目的地とが一致するか否かの判定基準は、厳密に一致する場合に限定されない。生成部33は、ナビゲーションに求められる精度に従い、目的地近辺にいる場合等、略一致するときでも、一致すると判定してもよい。
【0086】
ステップS308の判定の結果、ステップS307において生成された位置情報が目的地と一致しない場合、表示制御部35は、ステップS307において生成された位置情報と進行方向情報とに基づいて、所定の情報、例えば案内情報を表示部37aに表示させる(S309)。一方、ステップS308の判定の結果、ステップS307において生成された位置情報が目的地と一致する場合、目的地に到着したと考えられるので、端末装置10はナビゲーション処理S300を修了する。
【0087】
ステップS309の後、端末装置10はステップS301に戻り、ステップS307において生成された位置情報が目的地と一致するまで、ステップS301からステップS309までの処理を繰り返す。
【0088】
なお、本実施形態で説明したシーケンス及びフローチャートは、処理に矛盾が生じない限り、順序を入れ替えてもよい。
【0089】
また、本実施形態で説明した処理は、装置におけるハードウェアにより実現されてもよいし、プロセッサが記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。プログラムを実行する場合、当該プログラムは、記憶媒体に格納されていてもよい。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体であってもよい。非一時的な記憶媒体は、特に限定されないが、例えば、USBメモリ、又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0090】
以上、本発明の例示的な実施形態について説明した。本実施形態の端末装置10、ナビゲーションシステム100、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムによれば、送信機識別情報と周辺の画像を示す画像情報とに基づいて、位置情報と進行方向情報とが生成される。これにより、送信機識別情報から把握することのできる屋内の大まかな位置と、画像情報を利用する位置及び方向の特定方法との組合せから、屋内における位置及び進行方向を特定することが可能となる。また、位置情報及び進行横行情報に基づいて所定の情報が表示されるので、屋内環境において、目的地へのナビゲーションを高精度に行うことができる。そのため、本実施形態に係る技術は、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【0091】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもなく、これらも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0092】
10…端末装置、21…プロセッサ、22…メモリ、23…記憶装置、24…通信装置、25…アンテナ、26…光学装置、27…入力装置、28…表示装置、29…出力装置、31…受信部、32…撮像部、33…生成部、34…記憶部、34a…目的地データ、34b…マップDB、34c…コンテンツデータ、35…表示制御部、36…選択部、37…スマートグラス、37a…表示部、L1~L18…場所、PI…画像情報、PA…パネル、SI…支援情報、S300…ナビゲーション処理。
【要約】
【課題】屋内環境における目的地へのナビゲーションを行うことのできる端末装置、ナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムを提供を提供する。
【解決手段】屋内の目的地へのナビゲーションを行う端末装置であって、屋内に設置された複数の送信機のそれぞれを識別可能な送信機識別情報を含む無線信号を、複数の送信機のうちの少なくとも1つから受信する受信部と、送信機識別情報と周辺の画像を示す画像情報とに基づいて、屋内における位置を示す位置情報と進行方向を示す進行方向情報とを生成する生成部と、位置情報と進行方向情報とに基づいて、所定の情報を表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7