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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】施工装置及び地盤改良システム
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
E02D3/12 102
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024197568
(22)【出願日】2024-11-12
【審査請求日】2024-11-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236610
【氏名又は名称】株式会社不動テトラ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】田中 肇一
(72)【発明者】
【氏名】永石 雅大
(72)【発明者】
【氏名】冨田 晃弘
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-214894(JP,A)
【文献】特開2017-137619(JP,A)
【文献】特開2000-192501(JP,A)
【文献】特開2001-323454(JP,A)
【文献】特開2017-66795(JP,A)
【文献】特開2000-144703(JP,A)
【文献】特開昭52-68713(JP,A)
【文献】特開昭59-203117(JP,A)
【文献】特開平2-292409(JP,A)
【文献】特開2005-9170(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003889(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0291190(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
E02D 3/08
E02D 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に固化材を吐出することで固化杭を造成し地盤を改良する工法において、施工機本体からの制御によって駆動され、前記固化杭を造成する施工装置であって、
地中に貫入し、前記固化材を吐出する攪拌軸と、
前記攪拌軸の側部に設けられ、前記攪拌軸の回転を制御する回動機と、
前記攪拌軸の昇降を制御する昇降機と、
前記攪拌軸の内部に設けられ、圧縮空気を供給する空気供給用配管と、
前記攪拌軸の内部に設けられ、前記固化材を供給する改良材供給用配管と、
前記施工機本体から送られる電力を送電する送電部と、
前記送電部に接し、前記回動機及び/又は前記昇降機の駆動中に前記送電部から伝送された電力を受電する受電部と、
前記攪拌軸の鉛直方向の下部に設けられ、前記受電部で受電した電力に基づいて駆動し、前記改良材供給用配管及び前記空気供給用配管の開閉を制御する駆動装置と、
前記攪拌軸の鉛直方向の下部に設けられ、前記受電部で受電した電力に基づいて駆動し、施工状況を撮像するセンサと、
前記駆動装置及び前記センサと接続され、前記回動機及び/又は前記昇降機の駆動中に、前記受電部で受電された電力に基づいて駆動し、前記駆動装置及び前記センサを制御する第1通信制御部と、を備え、
前記第1通信制御部は、前記施工機本体に設けられた第2通信制御部から無線通信で送られた制御信号により前記駆動装置を駆動させ、前記センサで取得したデータを無線通信で前記第2通信制御部に送信する施工装置。
【請求項2】
前記送電部は、円状のトロリ線で構成され、
前記受電部は、前記攪拌軸の回転に従って前記トロリ線に沿って移動する、請求項1に記載の施工装置。
【請求項3】
前記受電部は、前記攪拌軸の上部に円状で設けられ、
前記送電部は、前記受電部の側面と接触するブラシ部で構成される、請求項1に記載の施工装置。
【請求項4】
前記受電部は、前記攪拌軸の上部に円状で設けられ、
前記送電部は、前記受電部の上部に円状で設けられる、請求項1に記載の施工装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の施工装置と、前記施工装置を制御する施工機本体と、を含む地盤改良システムであって、
前記施工機本体は、
ユーザの入力によって前記施工装置の前記第1通信制御部に制御信号を送る第2通信制御部と、
前記ユーザの操作指示によって、前記施工装置に設けられた前記昇降機及び前記回動機を制御する制御盤と、
前記送電部に電力を送信するバッテリと、を備える、
地盤改良システム。
【請求項6】
前記第1通信制御部及び前記第2通信制御部は、無線通信によって相互に通信可能である、請求項5に記載の地盤改良システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工装置及び地盤改良システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤改良施工機を用いて改良材を軟弱粘性土と地盤中で攪拌混合し、地盤改良を図る工法において、施工データや制御情報を無線通信で送受信し、効率的な施工を実現する技術が提案されている。特許文献1には、攪拌軸に無線送受信器を備える地盤改良施工機が開示されている。特許文献1に開示された地盤改良施工機は、攪拌軸の先端にセンサから取得したデータを無線通信で取得し、電磁弁を作動させる制御信号等を攪拌軸の無線送受信器に送ることで、地盤改良において効率的な施工が実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-137619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された地盤改良施工機において、攪拌軸に設けられた無線送受信器や電磁弁等の駆動装置、センサ等はその駆動に電力を必要とする。そのため、特許文献1に開示された地盤改良施工機においては、攪拌軸が停止している場合に、無線送受信器との通信や駆動制御、センサからのデータ取得が行われる。よって、攪拌軸が駆動している場合においても無線送受信器との通信や駆動制御、センサからのデータ取得が実施可能なシステムが求められている。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、地盤改良の施工中にリアルタイムで攪拌軸に電力を供給し、駆動装置を適切に制御することが可能な施工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る施工装置は、地中に固化材を吐出することで固化杭を造成し地盤を改良する工法において、施工機本体からの制御によって駆動され、固化杭を造成する施工装置であって、地中に貫入し、固化材を吐出する攪拌軸と、攪拌軸の側部に設けられ、攪拌軸の回転を制御する回動機と、攪拌軸の昇降を制御する昇降機と、攪拌軸の内部に設けられ、圧縮空気を供給する空気供給用配管と、攪拌軸の内部に設けられ、固化材を供給する改良材供給用配管と、施工機本体から送られる電力を送電する送電部と、送電部に接し、回動機及び/又は昇降機の駆動中に送電部から伝送された電力を受電する受電部と、攪拌軸の鉛直方向の下部に設けられ、受電部で受電した電力に基づいて駆動し、改良材供給用配管及び空気供給用配管の開閉を制御する駆動装置と、攪拌軸の鉛直方向の下部に設けられ、受電部で受電した電力に基づいて駆動し、施工状況を撮像するセンサと、駆動装置及びセンサと接続され、回動機及び/又は昇降機の駆動中に、受電部で受電された電力に基づいて駆動し、駆動装置及びセンサを制御する第1通信制御部と、を備え、第1通信制御部は、施工機本体に設けられた第2通信制御部から無線通信で送られた制御信号により駆動装置を駆動させ、センサで取得したデータを無線通信で第2通信制御部に送信する。
【0007】
本発明の他の態様に係る地盤改良システムは、上記の施工装置と、施工装置を制御する施工機本体と、を含む地盤改良システムであって、施工機本体は、ユーザの入力によって施工装置の第1通信制御部に制御信号を送る第2通信制御部と、ユーザの操作指示によって、施工装置に設けられた昇降機及び回動機を制御する制御盤と、送電部に電力を送信するバッテリと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、地盤改良の施工中にリアルタイムで攪拌軸に電力を供給し、駆動装置を適切に制御することが可能な施工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る地盤改良システムにおける地盤改良の工法について説明するための図である。
図2】地盤改良の工法について説明するための図である。
図3】本実施形態に係る地盤改良システムの攪拌軸について説明するための模式図である。
図4】本実施形態に係る地盤改良システムの攪拌軸について説明するための模式図である。
図5】本実施形態に係る地盤改良システムの構成を示すブロック図である。
図6A】本実施形態に係る地盤改良システムの給電について説明するための模式図である。
図6B】本実施形態に係る地盤改良システムの給電について説明するための模式図である。
図7A】本実施形態に係る地盤改良システムの給電について説明するための模式図である。
図7B】本実施形態に係る地盤改良システムの給電について説明するための模式図である。
図8A】本実施形態に係る地盤改良システムの給電について説明するための模式図である。
図8B】本実施形態に係る地盤改良システムの給電について説明するための模式図である。
図9】他の実施形態に係る地盤改良システムの給電について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本実施形態に係る施工装置30及び地盤改良システム10について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0011】
(地盤改良の工法)
図1は、本実施形態に係る地盤改良システム10における地盤改良の工法について説明するための図である。本実施形態において地盤改良システム10が適用される工法は、圧縮空気、スラリー改良材(固化材)、浄化材料(例えば、鉄粉・微生物活性剤など)により地盤50を攪拌改良する2軸タイプの工法である。なお、本実施形態において地盤改良システム10が適用される工法は、2軸タイプに限定されず単軸タイプであってもよい。
【0012】
地盤改良システム10は、施工機本体20と、施工装置30と、を含んで構成される。具体的には、地盤改良システム10は、ユーザによる操作指示等に基づく施工機本体20からの制御によって施工装置30を駆動し、地盤改良を実施する。本明細書においては、図1に示す例において、ユーザが着席し施工を制御する部分及びリーダー22を含む部分を施工機本体20として説明する。同様に、本明細書においては、地中に貫入させる攪拌軸33を含む装置を施工装置30として説明する。
【0013】
施工機本体20は、前方にリーダー22が設けられている。リーダー22は、昇降機31とスイーベル機構付き回動機32を介して2本の攪拌軸33を支持し、回動及び昇降動を実施する。
【0014】
また、地盤改良システム10の施工機本体20は、無線システム操作盤100と、操作盤200と、第2通信制御部110と、制御盤210と、バッテリ220と、を含んで構成される。この無線システム操作盤100、操作盤200、第2通信制御部110、制御盤210、及びバッテリ220の詳細については、後述する。
【0015】
地中と地上のデータは、施工機本体20の運転席に設けられた制御部の計器盤(モニタ、表示装置等)を介して表示されるようになっており、この各データに基づいて運転席の操作部により攪拌軸33が操作できるようになっている。
【0016】
攪拌軸33は、リーダー22の下側に設けられた振れ止め部35により当該リーダー22のガイド部22aに沿って鉛直方向に昇降動自在に支持されている。
【0017】
また、攪拌軸33の下端(先端)には、複数の攪拌翼37と掘削ビット36を備えた回転軸34が連結されている。なお、各攪拌軸33の下部間には、傾斜角を制御することにより、攪拌軸33の降下姿勢が鉛直になるように制御するブレード(図示なし)が取り付けられている。また、各回転軸34間には、一対の共回り防止板(図示なし)がそれぞれ取り付けられている。
【0018】
昇降機31は、昇降用モーターと、昇降用モーターの回転力を攪拌軸33に伝達する動力伝達手段を有し、攪拌軸33を地盤中に昇降させる。すなわち、昇降機31は、攪拌軸33の昇降を制御する。また、昇降機31には、攪拌軸33の昇降動作時の油圧を検出する油圧センサ(図示なし)が設けられている。また、昇降機31には、攪拌軸33の下端の深度を検知する深度計(図示なし)が設けられている。
【0019】
回動機32は、回転用モーターを備え、攪拌軸33を任意方向に回転させるための機構である。具体的には回動機32は、攪拌軸33の側部に設けられ、攪拌軸33の回転を制御する。また、回動機32には、回転用モーターの電流値を検出する電流センサ(図示なし)が設けられている。
【0020】
地盤改良システム10は、昇降機31及び回動機32により、攪拌軸33を地盤中の所定深度まで貫入させる。また、施工装置30は、攪拌軸33を地中に貫入させる際の貫入速度を計測する装置(速度計)を備えてもよい。
【0021】
図2は、本実施形態に係る施工方法について説明するための図である。図2における工程Aにおいて、攪拌軸33を所定位置に据えて位置決めし、施工装置30を所定位置にセットする。工程Bにおいて、貫入攪拌によって固化材を吐出しながら連続貫入する。工程C~Eにおいて、先端部が支持層に到達したことを確認(着底確認)した後、固化材の吐出を停止し先端処理を行う。工程Fにおいて、攪拌軸33の攪拌翼37を逆回転させながら引き抜く。工程Fにおいて、地表面まで改良体を造成し、次の施工位置に移動する。
【0022】
図3は、本実施形態に係る地盤改良システム10の攪拌軸33について説明するための模式図である。図3に示すように、攪拌軸33の内部には、圧縮空気を供給する空気供給用配管33bと、セメントミルク等のスラリー改良材を供給する改良材供給用配管33aと、が設けられている。なお、スラリー改良材は固化材に相当する。
【0023】
攪拌軸33の鉛直方向の上部には、第1通信制御部310が設けられている。また、攪拌軸33の鉛直方向の下部には、改良材供給用配管33a及び空気供給用配管33bの開閉を制御するための電磁弁(駆動装置340)が設けられている。さらに、攪拌軸33の下部には、施工状況を撮像するカメラ350aや傾斜計350bが設けられている。なお、カメラ350a、及び傾斜計350bは、センサ350に相当する。
【0024】
図4は、攪拌軸33の下部の詳細を示す模式図である。図4に示すように、カメラ350a及び傾斜計350bは、制御線310aと接続されている。この制御線310aは、第1通信制御部310と接続され、第1通信制御部310と、カメラ350a及び傾斜計350bとの間で制御信号やセンサデータの送受信が行われる。
【0025】
本実施形態に係る地盤改良システム10によれば、電磁弁(駆動装置340)を開閉させて圧縮空気やスラリー改良材の供給量を制御し、適切な量の圧縮空気やスラリー改良材で固化杭51(図1参照)を施工することができる。また、カメラ350aや傾斜計350bで取得したデータに基づいてより適切な地盤改良の施工が可能となる。
【0026】
なお、センサ350は、カメラ350a及び傾斜計350bに限定されるものではなく、pH計、温度計、圧力計、間隙水圧計、土圧計、地中レーダー、非接触式変位センサ(渦電流式・光学式・超音波式)、接触式変位センサ、静電容量式センサ等であってもよい。
【0027】
上述の通り、攪拌軸33は、回動機32と機械的に接続され、昇降機31及び回動機32から伝達される力によって、回転しながら地中に貫入する装置である。そのため、従来の地盤改良システムにおいて、回転体である攪拌軸に電力や制御信号を送るためには、攪拌軸の回転を止める必要がある。また、攪拌軸33にセンサ等の計測機器を設けた構成において、取得したデータを確認する場合にも、回転体である攪拌軸33の回転を止める必要がある。そのため、従来の構成においては、地盤改良の施工において、攪拌軸33からリアルタイムにデータを収集することや、攪拌軸33に設けられた駆動装置の制御、電源の供給などが困難となる。
【0028】
本実施形態に係る地盤改良システム10は、上述の地盤改良の工法において、攪拌軸33が回転している場合であっても、攪拌軸33に電力を供給し、駆動装置340を適切に制御することを可能にするものである。
【0029】
(地盤改良システム10の構成)
次に、この地盤改良システム10の詳細について説明する。図5は、本実施形態に係る地盤改良システム10の構成を模式的に示すブロック図である。地盤改良システム10は、施工機本体20と、施工装置30と、を含んで構成される。
【0030】
(施工機本体20の構成)
図5に示すように施工機本体20は、無線システム操作盤100と、操作盤200と、を含んで構成される。無線システム操作盤100は、例えば、タッチパネルやスイッチボックスによって構成され、第2通信制御部110を介して、施工装置30とのデータの送受信を行う。
【0031】
無線システム操作盤100は、ユーザの操作によって入力された情報であって、施工装置30の制御に関する情報を取得する。ユーザは、地盤改良システム10である施工機本体20の操作者に相当する。ユーザによって入力された情報は、第2通信制御部110を介して、施工装置30に送られる。
【0032】
また、ユーザは、施工装置30に設けられたセンサ350で取得された情報を、第2通信制御部110を介して取得してもよい。この場合、第2通信制御部110を介して取得される情報は、無線システム操作盤100に表示させることでユーザが取得する構成であってもよい。あるいは、第2通信制御部110を介して取得される情報は、第2通信制御部110に接続されたディスプレイ等の表示装置(図示なし)を介して取得する構成であってもよい。
【0033】
操作盤200は、昇降機31及び回動機32を制御する制御盤210と接続される。制御盤210は、ユーザの操作によって入力された情報であって、施工装置30の攪拌軸33の上部及び側部に設けられた昇降機31及び回動機32を制御するための情報を制御信号として昇降機31及び回動機32に送る。また、バッテリ220は、施工装置30に供給する電力を蓄電しておくための装置である。
【0034】
(施工装置30の構成)
図5に示すように、施工装置30は、昇降機31と、回動機32と、攪拌軸33と、を含んで構成される。また、本実施形態において施工装置30は、送電部230を備える。
【0035】
攪拌軸33は、施工制御部300を備える。施工制御部300は、第1通信制御部310、受電部330、駆動装置340、及びセンサ350を含んで構成される。センサ350は、上述のカメラ350a、傾斜計350b、油圧センサ、深度計、電流センサ、及び/又は速度計に相当する。
【0036】
施工制御部300の第1通信制御部310は、第2通信制御部110と、無線通信によりデータの送受信を行う。具体的には、施工制御部300の第1通信制御部310は、第2通信制御部110からの制御指示により、駆動装置340を駆動させる。また、施工制御部300の第1通信制御部310は、センサ350で取得したデータを第2通信制御部110に送信する。すなわち、第1通信制御部310及び第2通信制御部110は、無線通信によって相互に通信可能であり、双方向にデータの送受信が実施される。
【0037】
受電部330は、施工機本体20から送電部230を介して給電される電力を受電する。また、第1通信制御部310、駆動装置340、及びセンサ350は、受電部330で受電した電力に基づいて駆動される。
【0038】
図6Aは、本実施形態に係る地盤改良システム10の給電について説明するための図であって、送電部230、受電部330、電力伝送部331、及び攪拌軸33の一部を側面から見た場合の側面図を模式的に示した図である。また、図6Bは、本実施形態に係る地盤改良システム10の給電について説明するための図であって、図6Aに示す送電部230を上面から見た場合の平面図を模式的に示した図である。図6A及び図6Bに示す例は、トロリ式による給電方式の例を示す。
【0039】
図6A及び図6Bに示すように、攪拌軸33は、受電部330と接続し、受電部330で受電した電力を受け取るための電力伝送部331を長手方向の上部に備える。すなわち、受電部330は、攪拌軸33の上部に電力伝送部331を介して設けられる。また、送電部230は、接触電線であるトロリ線230aに相当し、受電部330と接触する。なお、送電部230に相当するトロリ線230a及びブラシ部230b(図7A及び図7B参照)においては、それぞれを区別して説明する必要がない場合は、単に「送電部230」と表記する。
【0040】
図6Bに示すようにトロリ線230aに相当する送電部230は、平面視において、円状に構成され、攪拌軸33が回転中でも、送電部230及び受電部330は、接触状態となる。具体的には受電部330は、攪拌軸33の回転に従ってトロリ線230aに沿って移動する。すなわち受電部330は、回動機32及び/又は昇降機31の駆動中に送電部230から伝送された電力を受電する。
【0041】
これにより本実施形態に係る地盤改良システム10は、攪拌軸33に設けられた駆動装置340の制御(駆動)やセンサ350からのデータ収集がリアルタイムで可能となる。すなわち、本実施形態に係る地盤改良システム10において、駆動装置340及びセンサ350は、攪拌軸33が回転している場合に駆動可能となる。
【0042】
図7A及び図7Bは、本実施形態に係る施工装置30の送電部230及び受電部330の他の構成を示す図である。図7A及び図7Bに示す例においては、受電部330は、攪拌軸33の上部に、攪拌軸33の長手方向に所定の厚さを有する円状で設けられる。また、送電部230は、受電部330の側面と接触するブラシ部230bで構成される。すなわち、図7A及び図7Bに示す例は、金属製のリングの表面に特殊なブラシ部230bを接触させることで通電を行い、回転体に対して電力を伝達することができるスリップリング方式の給電方法である。
【0043】
図7A及び図7Bに示す例においても、受電部330は、回動機32及び/又は昇降機31の駆動中に送電部230から伝送された電力を受電し、駆動装置340及びセンサ350を駆動することが可能となる。これにより、施工装置30は、攪拌軸33に設けられた駆動装置340の制御(駆動)やセンサ350からのデータ収集がリアルタイムで可能となる。
【0044】
図8A及び図8Bは、本実施形態に係る施工装置30の送電部230及び受電部330の他の構成を示す図である。図8A及び図8Bに示す例においては、受電部330は、攪拌軸33の上部に円状で設けられ、送電部230は、受電部330の上部に円状で設けられる。また、送電部230及び受電部330は、攪拌軸33の中心軸からの距離が略等しい円状の導電体で構成される。本実施形態において攪拌軸33の中心軸は、回動機32によって回転させる攪拌軸33の中心であって、円柱である攪拌軸33の長手方向に垂直な水平面における円の中心に相当する。すなわち、図8A及び図8Bに示す例は、送電部230及び受電部330が接触した金属製の導電体リングで構成されることで、回転体に対して電力を伝達することができる。
【0045】
すなわち、図8A及び図8Bに示す例においても、受電部330は、回動機32及び/又は昇降機31の駆動中に送電部230から伝送された電力を受電し、駆動装置340及びセンサ350を駆動することが可能となる。これにより、施工装置30は、攪拌軸33に設けられた駆動装置340の制御(駆動)やセンサ350からのデータ収集がリアルタイムで可能となる。
【0046】
すなわち、本実施形態に係る地盤改良システム10は、回転体である攪拌軸33の回転を止めることなく、攪拌軸33に設けられた施工制御部300に電力を供給することが可能となる。また、地盤改良システム10は、攪拌軸33が駆動している場合にも電力が供給されるため、リアルタイムで攪拌軸33に設けられた電磁弁等の駆動装置340の制御(駆動)や、カメラ350a、傾斜計350b等のセンサ350からのデータ収集が可能となる。すなわち、本実施形態に係る地盤改良システム10において、駆動装置340及びセンサ350は、攪拌軸33が回転している場合に駆動可能となる。
【0047】
上述の通り、本実施形態に係る地盤改良システム10は、地中に固化材を吐出することで固化杭51を造成し地盤50を改良する工法において、施工機本体20からの制御によって駆動され、固化杭51を造成する施工装置30である。施工装置30は、地中に貫入し、固化材を吐出する攪拌軸33と、攪拌軸33の側部に設けられ、攪拌軸33の回転を制御する回動機32と、を備える。また、施工装置30は、攪拌軸33の昇降を制御する昇降機31と、施工機本体20から送られる電力を送電する送電部230と、を備える。また、施工装置30は、送電部230に接し、回動機32及び/又は昇降機31の駆動中に送電部230から伝送された電力を受電する受電部330を備える。さらに、施工装置30は、回動機32及び/又は昇降機31の駆動中に、受電部330で受電された電力に基づいて駆動する駆動装置340及びセンサ350を制御する第1通信制御部310と、を備える。
【0048】
これにより、本実施形態に係る地盤改良システム10は、攪拌軸33が駆動している場合においても、攪拌軸33に電力を供給し、駆動装置340を適切に制御することが可能となる。
【0049】
また、施工装置30の送電部230は、円状のトロリ線230aで構成され、受電部330は、攪拌軸33の回転に従ってトロリ線230aに沿って移動してもよい。これにより、施工装置30は、攪拌軸33が回転している間においても、攪拌軸33に供給される電力に基づいて、駆動装置340を適切に制御することが可能となる。
【0050】
また、施工装置30の受電部330は、攪拌軸33の上部に円状で設けられ、送電部230は、受電部330の側面と接触するブラシ部230bで構成されてもよい。これにより、施工装置30は、攪拌軸33が回転している間においても、攪拌軸33に供給される電力に基づいて、駆動装置340を適切に制御することが可能となる。
【0051】
また、施工装置30の受電部330は、攪拌軸33の上部に円状で設けられ、送電部230は、受電部330の上部に円状で設けられてもよい。これにより、施工装置30は、攪拌軸33が回転している間においても、攪拌軸33に供給される電力に基づいて、駆動装置340を適切に制御することが可能となる。
【0052】
また、地盤改良システム10の第1通信制御部310及び第2通信制御部110は、無線通信によって相互に通信可能であってもよい。これにより、地盤改良システム10は、攪拌軸33が回転している場合でも駆動装置340を駆動することが可能となる。また、地盤改良システム10は、攪拌軸33が回転している場合でもセンサ350で取得した情報を第1通信制御部310及び第2通信制御部110を介して認識することが可能となる。
【0053】
(他の実施形態)
実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明したが、以上の実施形態に記載した内容により本実施形態が限定されるものではない。また、上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0054】
例えば、上述の実施形態においては、施工機本体20に設けられたバッテリ220に蓄電された電力を施工装置30の送電部230に送電する構成について示したが、この形態は実施形態の構成を限定するものではない。例えば、地盤改良システム10の近辺に電力源が備えられている場合、当該電力源と、施工装置30の送電部230と、を電力線で接続し、当該電力源から直接、施工装置30の送電部230に送電される構成であってもよい。この構成の場合には、施工機本体20にバッテリ220を設ける必要がなく、バッテリ220への充電等の工数を削減することが可能となる。
【0055】
また、上述の実施形態においては、送電部230から受電部330への電力の伝送において、送電部230及び受電部330が接する構成について説明した。例えば、施工装置30の構成は、この構成に限定されるものではなく、送電部230及び受電部330が離れた状態で、電力が伝送される構成であってもよい。
【0056】
図9は、本実施形態に係る地盤改良システム10の無線給電について説明するための図であって、攪拌軸33、送電部230、及び受電部330の一部を側面から見た場合の側面図を模式的に示した図である。
【0057】
図9に示すように、攪拌軸33は、鉛直方向の上部において受電部330と接続し、受電部330で受電した電力を受け取る。また、送電部230は、受電部330の上部であって、受電部330と所定の距離だけ離れた位置に設けられる。例えば、所定の距離は、20mmであってもよい。なお、本実施形態において所定の距離は20mmに限定されるものではなく、20mmより短い、又は20mmより長い距離であってもよい。
【0058】
図9に示すように送電部230と、受電部330とは常に対向しており、送電部230から受電部330へのワイヤレス電力伝送(無線給電)が実施される。そのため、回転体である攪拌軸33が回転している場合、及び静止している場合の両方の状態において、所定のタイミングで攪拌軸33への給電が実施されることになる。
【0059】
なお、上述の他の実施形態に係る無線給電(ワイヤレス電力伝送)の方式は、一般的な電磁誘導による高周波型電磁結合方式を適用する。無線給電の給電方式としては、電磁誘導型の高周波型電磁結合方式、磁界共鳴方式や、電界結合方式、マイクロ波無線方式が存在する。本実施形態に係る無線給電の方式として、高周波型電磁結合方式を適用することで、他の方式に比べ、ノイズや汚れ等の耐環境性に優れ、また、給電効率の高い無線給電を実現することが可能となる。
【0060】
(作用効果等)
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0061】
(1)本実施形態の第1の態様に係る施工装置30は、地中に固化材を吐出することで固化杭51を造成し地盤50を改良する工法において、施工機本体20からの制御によって駆動され、固化杭51を造成する施工装置30である。施工装置30は、地中に貫入し、固化材を吐出する攪拌軸33と、攪拌軸33の側部に設けられ、攪拌軸33の回転を制御する回動機32と、を備える。また、施工装置30は、攪拌軸33の昇降を制御する昇降機31を備える。また、施工装置30は、攪拌軸33の内部に設けられ、圧縮空気を供給する空気供給用配管33bと、攪拌軸33の内部に設けられ、固化材を供給する改良材供給用配管33aと、を備える。また、施工装置30は、施工機本体20から送られる電力を送電する送電部230と、送電部230に接し、回動機32及び/又は昇降機31の駆動中に送電部230から伝送された電力を受電する受電部330と、を備える。また、施工装置30は、攪拌軸33の鉛直方向の下部に設けられ、受電部330で受電した電力に基づいて駆動し、改良材供給用配管33a及び空気供給用配管33bの開閉を制御する駆動装置340を備える。また、施工装置30は、攪拌軸33の鉛直方向の下部に設けられ、受電部330で受電した電力に基づいて駆動し、施工状況を撮像するセンサ350を備える。さらに、施工装置30は、駆動装置340及びセンサ350と接続され、回動機32及び/又は昇降機31の駆動中に、受電部330で受電された電力に基づいて駆動する駆動装置340及びセンサ350を制御する第1通信制御部310と、を備える。第1通信制御部310は、施工機本体20に設けられた第2通信制御部110から無線通信で送られた制御信号により駆動装置340を駆動させ、センサ350で取得したデータを無線通信で第2通信制御部110に送信する。
【0062】
この構成により、施工装置30は、攪拌軸33が駆動している場合においても、攪拌軸33に電力を供給し、駆動装置340を適切に制御することが可能となる。
【0063】
(2)本実施形態の第2の態様に係る施工装置30の送電部230は、円状のトロリ線230aで構成され、受電部330は、攪拌軸33の回転に従ってトロリ線230aに沿って移動してもよい。
【0064】
この構成により、施工装置30は、攪拌軸33が回転している間においても、攪拌軸33に供給される電力に基づいて、駆動装置340を適切に制御することが可能となる。
【0065】
(3)本実施形態の第3の態様に係る施工装置30の受電部330は、攪拌軸33の上部に円状で設けられ、送電部230は、受電部330の側面と接触するブラシ部230bで構成されてもよい。
【0066】
この構成により、施工装置30は、攪拌軸33が回転している間においても、攪拌軸33に供給される電力に基づいて、駆動装置340を適切に制御することが可能となる。
【0067】
(4)本実施形態の第4の態様に係る施工装置30の受電部330は、攪拌軸33の上部に円状で設けられ、送電部230は、受電部330の上部に円状で設けられてもよい。
【0068】
この構成により、施工装置30は、攪拌軸33が回転している間においても、攪拌軸33に供給される電力に基づいて、駆動装置340を適切に制御することが可能となる。
【0069】
(5)本実施形態の第5の態様に係る地盤改良システム10は、上記の施工装置30と、施工装置30を制御する施工機本体20と、を含む地盤改良システム10である。施工機本体20は、ユーザの入力によって施工装置30の第1通信制御部310に制御信号を送る第2通信制御部110を備える。また、施工機本体20は、ユーザの操作指示によって、施工装置30に設けられた昇降機31及び回動機32を制御する制御盤210を備える。さらに、施工機本体20は、送電部230に電力を送信するバッテリ220を備える。
【0070】
この構成により、地盤改良システム10は、攪拌軸33が駆動している場合においても、攪拌軸33に供給された電力に基づいて、駆動装置340を適切に制御することが可能となる。
【0071】
(6)本実施形態の第6の態様に係る地盤改良システム10の第1通信制御部310及び第2通信制御部110は、無線通信によって相互に通信可能であってもよい。
【0072】
この構成により、地盤改良システム10は、攪拌軸33が回転している場合でも駆動装置340を駆動することが可能となる。また、地盤改良システム10は、攪拌軸33が回転している場合でもセンサ350で取得した情報を第1通信制御部310及び第2通信制御部110を介して認識することが可能となる。
【符号の説明】
【0073】
10 地盤改良システム
20 施工機本体
30 施工装置
31 昇降機
32 回動機
33 攪拌軸
34 回転軸
100 無線システム操作盤
110 第2通信制御部
200 操作盤
210 制御盤
220 バッテリ
230 送電部
230a トロリ線
230b ブラシ部
300 施工制御部
310 第1通信制御部
330 受電部
340 駆動装置
350 センサ
【要約】
【課題】地盤改良の施工中にリアルタイムで攪拌軸に電力を供給し、駆動装置を適切に制御することが可能な施工装置を提供する。
【解決手段】施工装置30は、地中に貫入し、固化材を吐出する攪拌軸33と、攪拌軸33の側部に設けられ、攪拌軸33の回転を制御する回動機32と、を備える。また、施工装置30は、攪拌軸33の昇降を制御する昇降機31と、施工機本体20から送られる電力を送電する送電部230と、を備える。また、施工装置30は、送電部230に接し、回動機32及び/又は昇降機31の駆動中に送電部230から伝送された電力を受電する受電部330を備える。さらに、施工装置30は、回動機32及び/又は昇降機31の駆動中に、受電部330で受電された電力に基づいて駆動する駆動装置340及びセンサ350を制御する第1通信制御部310と、を備える。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9