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特許7607178衛星RAN向け動的時分割複信(DTDD)アクセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】衛星RAN向け動的時分割複信(DTDD)アクセス
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/155 20060101AFI20241219BHJP
   H04W 72/0446 20230101ALI20241219BHJP
   H04B 7/212 20060101ALI20241219BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20241219BHJP
   H04W 72/1268 20230101ALI20241219BHJP
   H04W 72/50 20230101ALI20241219BHJP
【FI】
H04B7/155
H04W72/0446
H04B7/212
H04W84/06
H04W72/1268
H04W72/50 110
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2024502037
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 US2022073859
(87)【国際公開番号】W WO2023288335
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2024-03-19
(31)【優先権主張番号】63/222,633
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517362118
【氏名又は名称】エーエスティー アンド サイエンス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】AST & Science, LLC
【住所又は居所原語表記】100 SE 2nd St,Suite 3500 Miami, Florida 33131, U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジー
(72)【発明者】
【氏名】ファウジ フェデリコ ペドロ
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0254825(US,A1)
【文献】国際公開第2021/038012(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0244345(US,A1)
【文献】特開2021-007230(JP,A)
【文献】特開2014-042112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/155
H04W 72/0446
H04B 7/212
H04W 84/06
H04W 72/1268
H04W 72/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視野(FOV)を有する衛星と通信するように構成された地上局であって、前記衛星は、アップリンク信号およびダウンリンク信号を介してユーザー機器(UE)と直接通信するように構成されており、当該地上局は、
前記衛星、第1のUEおよび第2のUEを含むシステムの動作を制御し、前記衛星、前記第1のUEおよび前記第2のUEの間の通信を調整するように構成された動的時分割複信(DTDD)コントローラであって、前記衛星から第1の距離にある前記第1のUEのための第1のUEアップリンクタイムスロットであって、第1の遅延を含む第1のUEアップリンクタイムスロットと、前記衛星から第2の距離にある前記第2のUEのための第2のUEアップリンクタイムスロットであって、前記第1の遅延よりも大きい第2の遅延を含む第2のUEアップリンクタイムスロットとを確立し、前記第1のUEアップリンクタイムスロットが前記第2のUEアップリンクタイムスロットの後に発生し、それにより、複数のUEアップリンク信号が、同一の衛星アップリンクタイムスロット中に前記衛星で受信されるように構成されたDTDDコントローラを有する、地上局。
【請求項2】
請求項1において、
前記DTDDコントローラは、前記衛星のFOVを複数の同心円状のリングであって、それぞれが特定の遅延と関連する複数の同心円状のリングに分離するように構成されている、地上局。
【請求項3】
請求項2において、
第1のセンターリングと、前記第1のセンターリングの周囲の第2の同心リングとをさらに備え、前記DTDDコントローラは、前記第1のセンターリング内の複数のUEを第1のUEアップリンクタイムスロットと関連付け、前記第2の同心リング内の複数のUEを第2のUEアップリンクタイムスロットと関連付ける、地上局。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1のセンターリングは衛星の真下にある、地上局。
【請求項5】
請求項において、
複数のUEアップリンク信号は、1つの同一の衛星アップリンクタイムスロット中に、前記衛星で同時に受信される、地上局。
【請求項6】
請求項において、
前記複数のアップリンク信号が異なる複数の周波数に分離されている、地上局。
【請求項7】
請求項において、
前記複数の周波数は干渉を最小化し、サブキャリア(15kHz)または無線ブロック(180kHz)の粒度である、地上局。
【請求項8】
請求項において、
前記DTDDコントローラは、第1の衛星を介して複数のアップリンク信号を通信し、第2の衛星を介して複数のダウンリンク信号を通信するように構成されている、地上局。
【請求項9】
請求項において、
前記FOV内の複数のUEとの通信を制御するように構成された処理装置をさらに有し、前記処理装置は、前記DTDDコントローラから前記衛星および前記UEのための複数の通信タイムスロットを受信するように構成されている、地上局。
【請求項10】
請求項において、
前記処理装置はeNodeBまたはgNodeBを含む、地上局。
【請求項11】
請求項において、
前記処理装置は、複数のベースバンドユニットを含み、前記複数のベースバンドユニットの各々が、前記FOV内の単一セル内の複数のUEとの通信を制御するように構成されている、地上局。
【請求項12】
視野(FOV)を有する衛星と通信するように構成された地上局であって、前記衛星は、複数のアップリンク信号および複数のダウンリンク信号を介してユーザー機器(UE)と直に通信するように構成されており、前記地上局は、
前記衛星、複数の第1のUEおよび複数の第2のUEを含むシステムの動作を制御し、前記衛星、前記複数の第1のUEおよび前記複数の第2のUEの間の通信を調整するように構成された動的時分割複信(DTDD)コントローラであって、前記衛星の前記FOVを、第1の中心リングと、第1の中心リングの周囲に同心円状に設けられた第2の同心リングとに分離し、前記第1の中心リングにおいて実現される第1の遅延に基づいて、前記第1の中心リング内の前記複数の第1のUEを第1のUEアップリンクタイムスロットと関連付け、前記第2の同心リングにおいて実現される第2の遅延に基づいて、前記第2の同心リング内の前記複数の第2のUEを第2のUEアップリンクタイムスロットと関連付け、それにより、前記第1のUEアップリンクタイムスロットが前記第2のUEアップリンクタイムスロットよりも前に発生するように構成されたDTDDコントローラを有する、地上局。
【請求項13】
請求項12において、
前記複数の第1のUEは、前記第1のUEアップリンクタイムスロットの間に、第1のUEアップリンク信号を介して前記衛星と直に通信し、前記複数の第2のUEは、前記第2のUEアップリンクタイムスロットの間に、第2のUEアップリンク信号を介して前記衛星と直に通信する、地上局。
【請求項14】
請求項13において、
前記第1および第2のUEアップリンク信号は、1つの同一の衛星アップリンクタイムスロット中に前記衛星で受信される、地上局。
【請求項15】
視野(FOV)を有する衛星と通信するように構成された地上局であって、前記衛星は、複数のアップリンク信号および複数のダウンリンク信号を介してユーザー機器(UE)と直接通信するように構成されており、前記地上局は、
前記衛星、第1のUEおよび第2のUEを含むシステムの動作を制御して、前記衛星、前記第1のUEおよび前記第2のUEの間の通信を調整し、前記複数のアップリンク信号を受信し、前記複数のアップリンク信号の各々に固有の遅延を適用して、前記複数のアップリンク信号と同一のアップリンクサブフレームタイムスロットとを同期させるように構成された動的時分割複信(DTDD)コントローラを有し、前記DTDDコントローラは、さらに、前記第1のUEのための第1の遅延を含む第1のUEアップリンクタイムスロットと、前記第2のUEのための第2の遅延であって、前記第1の遅延よりも大きい第2の遅延を含む第2のUEアップリンクタイムスロットとを確立するように構成されており、
前記第1のUEアップリンクタイムスロットは前記第2のUEアップリンクタイムスロットの後に発生し、
それにより、複数のUEアップリンク信号は、1つの同一の衛星アップリンクタイムスロット中に前記衛星で受信される、地上局。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本出願は、2021年7月16日に出願された米国出願第63/222,633の優先権の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
無線アクセスネットワーク(RAN)には2つのタイプがある。FDD(周波数分割デュプレックス(複信))とTDD(時分割デュプレックス(複信))とは2つのスペクトラム利用技術であり、どちらも2重通信の形態で、モバイルまたは固定されたワイヤレスブロードバンドリンクで使用される。これらのリンクでは、データーがダウンリンク(DL)とアップリンク(UL)とを同時に流れるように、双方向の伝送が同時に行われることが不可欠である。TDDは、送信と受信の両方に単一の周波数帯域を使用する。TDDでは、局データーの送信と受信が時間的に交互に行われる。タイムスロットの長さは可変である。
【0003】
TDDの本当の利点は、周波数スペクトルが1つのチャネルで済むことである。さらに、スペクトラムを浪費するガードバンドやチャネル分離も必要ない。TDDの実装を成功させるには、送信機と受信機の両方で、タイムスロットが重ならないように、あるいは互いに干渉しないように、非常に正確なタイミングと同期システムが必要になることである。
【発明の概要】
【0004】
地上局は、視野(Field of view、FOV)を有する衛星と通信し、その衛星は、複数のアップリンク信号および複数のダウンリンク信号を介してユーザー機器(UE)と直接通信する。基地局は、複数のUEアップリンクタイムスロットを確立するように構成されたダイナミック時分割デュプレックス(動的時分割複信、Dynamic Time Division Duplex、DTDD)コントローラを備え、複数のUEアップリンクタイムスロットの間にUEが複数のUEアップリンク信号を送信する。複数のUEアップリンクタイムスロットは、そのUEに固有の遅延に基づいており、これにより、複数のUEアップリンク信号は、同一の衛星アップリンクタイムスロット中に衛星で受信される。コントローラは、衛星において、UEにおいても同様に、受信されるアップリンク信号とダウンリンク信号とが重複することを回避する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、衛星通信に適用されるTDDチャネルを示す図。
図2(a)】図2(a)は、衛星を介したTDDと、それをサポートする地上インフラとであって、単一の衛星向けの実施形態を示す図。
図2(b)】図2(b)は、衛星を介したTDDと、それをサポートする地上インフラとであって、複数の衛星向けの実施形態を示す図。
図2(c)】図2(c)は、フローダイアグラム。
図3図3は、TDD Tx/Rxリング(TDD送受信リング)を示す図。
図4図4(a)および図4(b)は、衛星を使用したTDDチャネルを示す図。
図5(a)】図5(a)は、図3のリングに配置されたゲートウェイ局(GWS)、単一の衛星(SAT)、および複数のUEのタイミング図。
図5(b)】図5(b)は、図3のリングに配置されたゲートウェイ局(GWS)、2つの衛星(SAT1、SAT2)、および複数のUEのタイミング図。
図6図6は、Tx/Rxの周波数分割を示す図。
【詳細な説明】
【0006】
図面に図示された例示的で非限定的な実施形態を説明する際に、明瞭さのために特定の用語が援用される。しかしながら、本開示は、そのように選択された特定の用語に限定されることを意図するものではなく、各特定の用語は、同様の目的を達成するために同様の方法で動作する全ての技術的等価物を含むことを理解されたい。いくつかの実施形態が例示目的で記載されているが、本明細書および特許請求の範囲は図示された実施形態に限定されるものではなく、図面に具体的に示されていない他の実施形態も本開示の範囲内であることを理解されたい。例えば、「gNodeB」の図示および文字(説明)は、eNodeBにも同様に適用可能である。
【0007】
図1は、10msの標準的なLTE(Long-Term Evolution)TDDフレームを示している。図示されているように、衛星は、アップリンク信号が受信される所定のタイムスロットと、ダウンリンク信号が送信される所定のタイムスロットを備えている。図示の実施形態例では、アップリンクとダウンリンクのタイムスロットは互いに交互に繰り返される。eNodeBなどの地上局の処理装置では、10msのTDDフレームは10個のサブフレーム0~9を有する。例示した実施形態では、最初のサブフレーム0は、eNodeBが衛星を介してUEにダウンリンク信号を送信するときにある。このサブフレームに第2のサブフレームが続き、この第2のサブフレームは特別なサブフレームであり、ダウンリンクパイロットタイムスロット(DwPTS)、ガードパイロット(GP)、およびアップリンクパイロットタイムスロット(UpPTS)を含む。これに2つのアップリンクサブフレーム2および3が続き、その間に、UEが地上局のeNodeBにアップリンク信号を送信し、次に、異なる特別なサブフレームである2つのダウンリンクサブフレーム4および5が続き、さらに2つのアップリンクサブフレーム7および8が続き、さらにダウンリンクサブフレーム9が続き、次のサブフレーム0が次のフレームであり、このフレームの最初のサブフレーム0と同様に次のフレームの最初となる。このようなサイクルが繰り返されることで、DL通信とUL通信が連続的に行われる。RANシステムの構成によって、DLスロットとULスロットの比率や粒度はいくつか異なる場合がある。
【0008】
図1にさらに示されるように、地上のユーザー機器(UE)はeNodeBと通信する。ここで、UEは最初に、サブフレーム0の間にeNodeBから信号を受信し、DwPTSハーフサブフレームの間に制御信号を受信し、その後、UpPTSハーフサブフレームの間に信号を送信する。その後、UEは複数のアップリンク信号のために、サブフレーム2および3で送信に切り替わる。DwPTSとUpPTSとは、ダウンリンク/アップリンクの切り替えを実行するための時間を提供する。UEがダウンリンク信号の間に受信に切り替わると、UEはタイミングアドバンス(TA)(20μsなど)を考慮する。eNodeBは、eNodeBでのタイムスロットに合わせ、eNodeBでの信号の重複を避けるために、UEに対して少し早く送信するように指示する。また、ダウンリンクからアップリンク、アップリンクからダウンリンクへの切り替えを可能にするため、衛星とeNodeBとの間にはある程度のオフセットが設けられる。
【0009】
TDDは、DLとULのトラフィックが非対称で動的に変化するため、より柔軟で効率的にスペクトル(周波数)を利用する。NR(NR通信)のミッドバンド(中域帯)とハイバンド(高域帯)はTDDのみであり、FDDはローバンド(低域帯、FR1:6GHz以下)のみである。TDDは、TxとRxの周波数が同じであるため、スイッチ(切り替え)の挿入損失がなく、FDDよりもうまく機能する。TDDのD/U比は、ニーズに合わせて、特に広帯域(ワイドバンド幅、BW)のニーズに合わせて動的に調整できる。将来的には、UEのHWにTDDが増え、e/gNBのTR/RxはFDDよりもシンプルで、スペクトル(周波数)の使用効率が高くなる。
【0010】
タイミングは多くの場合、GPSに由来する正確な原子時計標準に同期される。また、タイムスロットの重複を防ぐため、タイムスロット間のガードタイムも必要である。この時間は一般に、送受信ターンアラウンド時間(送受信切り替え時間)と通信経路上の伝送遅延(レイテンシ)に等しい。
【0011】
図2(a)は、本開示による動的時分割複信(ダイナミック時分割デュプレックス、DTDD)アクセスシステムおよび方法を示す。DTDDシステム100は、送受信ビームTx/Rx12を介して1つまたは複数の低軌道(LEO)衛星20と通信するゲートウェイ150を含む。衛星20は、地上の複数のセル7に位置する1つまたは複数のユーザー機器(UE)10と送受信ビームTx/Rx14を介してそれぞれ直に通信する。ゲートウェイ150は、ゲートウェイアンテナ152と、ゲートウェイサイト154と、第1の処理装置156aと、第2の処理装置156bと、DTDDコントローラ160とを有する。図示の実施形態では、第1の処理装置156aは、1つまたは複数のgNodeBまたはeNodeBを含み、各々がビーム12および14を介した第1のセル7との通信を制御し、第2の処理装置156bは、1つまたは複数のgNodeBを含み、各々がビーム12および14を介した第2のセル7との通信を制御する。
【0012】
図2(a)では、1つの衛星20が、異なる周波数で複数のUE10と通信するために用いられる。複数のタイムスロットが、送信信号Txおよび受信信号Rxのために使用される。DTDDコントローラ160は、送信信号Txおよび受信信号Rxを異なる周波数で分離する。DTDDコントローラ160は、システム100の動作を動的に制御して、アンテナ152を介した衛星20と地上局150との間の通信、および衛星20と複数のUE10との間の直接通信を調整する。コントローラ160は、複数のgNodeB156の全てで通信する全てのUE間の周波数およびタイミングを制御して、衛星20での通信の重複を回避する。また、コントローラ160は、軌道、視野(FOV、Field of View)などの情報を受信し、それらの情報に基づいて通信を制御することができる。コントローラ(制御装置)160は、複数のgNodeB156に対し、周波数および時間のDL信号およびUL信号をそれらのセルIDとともに処理し(渡し)、その後、複数のgNodeB156は、通常通り、同期およびタイムスロットの割り当てを行う。その後、それらの情報は、衛星20を介して複数のUE10に送信され、それらのUE10によって受信され、それらのUEは、指定された周波数および時間リソース割り当てで通信するように動作が制御される。
【0013】
図2(b)は、複数の衛星、第1の衛星20aおよび第2の衛星20bを用いる本開示の別の実施形態の例である。ただし、特定のセル7が任意の時点で4つあるいはそれ以上の衛星と通信していてもよいなど、さらに多くの衛星を用いることも可能である。図示されているように、第1の衛星20aは、第1のビーム12を介してGWサイト154とフィーダーリンク信号で通信し、さらに、第1の衛星20aは、第2のビーム14を介して地上の複数のUEにダウンリンク信号を直接送信する。そして、第2の衛星20bは、第3のビーム13を介してGWサイト154と信号を通信し、第4のビーム16を介して地上のUEからアップリンク信号を直接受信する。そして、さらに示されるように、第2の衛星20bは、第1の衛星20aからのダウンリンク信号14とは異なる複数のセルにダウンリンク信号を送信することができる。
【0014】
衛星が軌道を周回するとき、沈みゆく衛星20aは、セルのアップリンク信号、次にダウンリンク信号を沈みゆく衛星20bに転送するハンドオーバを実施することができ、第2の衛星20bがアップリンク信号を引き継ぐと、第1の衛星20aはそれを開放することができる。ただし、図示の実施形態では、1つの衛星(第1の衛星20a)がダウンリンク信号を通信し、別の衛星(第2の衛星20b)がアップリンク信号を通信しているが、他の実施形態では、1つの衛星がアップリンクとダウンリンクの両方を行うことができる(図2(a))。幾つかの実施形態では、送信信号Txは第1の周波数を介し、受信信号Rxは異なる地域/セルに対して第1の周波数とは異なる第2の周波数を介して行われるが、複数の衛星が用いられる場合は、同一セルからの同一周波数のTxおよびRxが2つの衛星によって別個に取り扱われる場合があり、TDDによりTRx衝突を完全に回避することができ、GWS154は、TRx信号を異なるフィーダーリンクを介して2つの衛星にルーティングし、複数のBBUのために関連するDL信号とUL信号を組み合わせることができ、複数のUEは、2つの衛星が空間内(宇宙)の異なる位置でTxとRxを処理している場合でも、同じ衛星上でタイミング衝突の問題を引き起こすことなく、通常どおりにアップリンク信号とダウンリンク信号を通信することができる。それらは、同じセルに対してそれぞれ独自のTxビームとRxビームとを備えている。地上のゲートウェイサイトがフィーダーリンクを管理し、このような課題を解決するために空間ダイバーシティ(空間的多様性)を採用する。
【0015】
したがって、任意の所定の時間に、DTDD160は、リアルタイムでシステム100の動作を動的に制御して、アンテナ152を介して第1および第2の衛星20aおよび20bと地上局150との間の通信、ならびに第1および第2の衛星20aおよび20bと複数のUE7との直接の通信を調整する。コントローラ160は、軌道、視野(FOV)などの情報を受信し、その情報に基づいて通信を制御することも可能である。複数のUE7は、ある時間帯のサブチャネルで第2の衛星20bに直接信号を送信し、ある時間帯のチャネルで第1の衛星20aからの信号を受信するので、衛星20aおよび20bでの通信の干渉や重複はなく、衛星20aおよび20bを十分に利用可能である。
【0016】
図2(b)の時間対距離チャートを参照すると、FOVは一般にLBまたはHBを使用するセルを見つけるのに十分な大きさであるため、2つの衛星を2つの異なる帯域を担当するように配置することができる。例えば、衛星20aは、LBセルはTx(送信)、HBセルはRx(受信)を行い、一方、衛星20bは、HBセルはTx(送信)、LBセルはRx(受信)を行う。このようにして、TDDの衝突を効果的に避けることができる。
【0017】
図2(c)は、本開示の例示的な一実施形態によるDTDD160の動作200を示す。ステップ202において開始すると、衛星管制センター(衛星制御センター)は、例えばセル(複数のセル)、RAT、周波数、衛星(複数の衛星)およびゲートウェイサイトを含むシステムに関する情報を提供する。ステップ204において、衛星管制センターは、TDDローバンド(Tx)セル(複数のセル)およびハイバンド(Rx)セル(複数のセル)、ならびに各セル7における可視範囲の衛星20についても提供する。そして、ステップ206において、衛星管制センターは、あるセル7にサービスを提供するときの各衛星20の視野についても提供する。ステップ202、204、206の情報は、DTDD160またはgNodeBのいずれかによりアクセス可能であり、またはいずれかの通信により提供されてもよい。
【0018】
ステップ208において、DTDD160は、NCCと衛星管制センターから得た情報に対して、各セルに最適な衛星送信信号Txと衛星受信信号Rxを決定する。ステップ210において、DTDD160は、各セルに対して周波数リソースおよび時間リソースを割り当てる。コントローラ160は、(2つの衛星に関して)、ステップ212において、フィーダーリンクのルーティング配置(ルーティングアレンジメント、ルーティング準備)、ならびに直接デジタル制御(DDC)パラメータを決定し、ステップ214において、衛星ハンドオーバのためのルーティング配置(ルーティング準備、マッピング)を決定する。次に、ステップ216において、衛星管制センターで衛星の位置と視野を更新する。この情報は、複数のgNodeBおよび衛星(複数の衛星)を介して複数のUEに送信される。gNodeBは、その標準準拠の手順に従って動作し、ここでは衛星(複数の衛星)との通信のために信号をベースバンド信号として構成する。このように、DTDDコントローラ160は、ステップ210で、各セルの周波数および時間リソースの割り当てを決定し、その情報を利用して、衛星(複数の衛星)、複数のUE、およびゲートウェイステーション154でのUL信号およびDL信号の動作を構成する。
【0019】
DTDD160(衛星管制センターも同様)における操作全体は、自動的に、いかなる手動操作なしに行われる。したがって、別段の記載がない限り、このプロセスは、遅延や手動操作なしに、実質的にリアルタイムで行うことができる。
【0020】
図3は、単一の衛星20のFOVを示す図である。複数のgNodeB156はそれぞれ、衛星20から地上までの距離(パス長)に基づいて、FOVを複数の同心円状のTDDTx/Rxリング5に分離する。最も短い経路長は、衛星20の真下に位置する最初のリング5aにおけるFOVの中心である。順番に続く周囲リング5b~5gのそれぞれは、第1のリング5aからさらに外側に延び、衛星20からの距離が順番に遠くなる。衛星20は、それぞれの送信ビーム14a~14gおよびそれぞれの受信ビーム16a~16gを介して、リング5a~5gのそれぞれに配置された複数のUE7と直接通信する。
【0021】
最も外側のリング7gは、衛星20から最も離れており、衛星20のFOVの外周を画定する。最も外側のリング7gと通信するビーム14gおよび16gは、通常、地上の複数のUE7から衛星20に向かう角度が約20度の角度である(ただし、より大きな角度またはより小さな角度であってもよい)。FOVおよびリング5は、衛星20が地球を周回するときに衛星20に追従する。複数のセル7a~7gがそれぞれのリングに配置される。同期のため、領域はリング状になっており、衛星20までの待ち時間(レイテンシー)が各リング内の全てのUEで同様であり、FOV内の全てのセル7がDL/ULに対して同じ比率となるようにしている。
【0022】
ビーム14および16は複数のセルを追跡するため、セル追跡ビームは数秒ごとにリングを変更する。つまり、gNB156は特別なタイムスロットをサブフレームから次のサブフレームにシフトするため、全てのFOVが同じサブフレームでTRxの切り替え時間をほぼ合わせることになる。このような動的な切り替え(変化)は実際にはゆっくりとした切り替えであり(変化しており)、複数のUEはその切り替え(変化)に適応することができる。衛星が高速で周回しているために、1msドリフトに近いときに、その特別なサブフレームをシフトさせる必要がある点があり、この切り替えは、プロトコルの周期性と一致し、Tx-Rx時間のスムーズなシフトを可能にさせる必要がある。固定されたセル上をスライディングするリングについては、1msの粒度がある必要がある。ネットワーク制御センター(NCC)はゲートウェイサイト154にあり、そのNCCは、gNodeB156のベースバンドユニット(BBU)のそれぞれに対してリングスイッチングをガイドするとともに、各セル7のための衛星20aおよび20bにおける通信(例えば、セル7のTx/Rxビームの動作パラメータ)を処理するコントローラを有する。各gNodeB156は、複数のBBUを有してもよく、各BBUは、単一のセル7を制御するコントローラを有してもよい。
【0023】
異なるDL/UL比(DLサブフレームとULサブフレームのそれぞれの数)を持つことによってTDDスペクトルリソースをより良く使用するための解決策は、TDD帯域幅部分(バンド幅部分、BWP)をより小さな粒度(例えば20MHz)で複数のTDDBWP(4×5MHz)に分割して新たに使用し、複数のBWの分割ごとに異なるDL/UL比で行うことであり、これにより、すべてのセルが異なる周波数サブバンドを使用することになり、フェーズアレイによるRx(受信)が強力なTx(送信)の干渉を受けないようにすることができる。図6に示すように、ニーズに応じてTDDリソースを動的に調整する。したがって、TDD内で、各BWPは異なる周波数を持つことができる。例えば、DL信号とUL信号とに異なる周波数を割り当てることで、DL処理とUL処理の重複を解決できる。
【0024】
HB(ハイバンド、高周波帯、約2GHz)ではそれぞれのリング5の幅を狭くできるのでセルサイズが小さくなり、LB(ローバンド、低周波帯、約1GHz)よりもリング交換(リング切り替え)が速くなるが、リング交換に数秒かかることはgNodeBにとってそれほど大きな問題ではない。スケジューリングは任意のリングでパラメータ化される。
【0025】
上記の説明の目的の1つは、変更したgNodeBでTDDを実行できるようにするとともに、追加の変更を最小限に抑えることである。FDDの代わりにTDDで動作するときに失われた周波数の次元を回復できるエンジンを稼働させる。DTDDコントローラ160は、リング5上の位置に応じて周波数の動的かつリアルタイムの割り当てを提供し、gNodeB156およびUE10に対して動作を透過的(トランスパレント)にする。
【0026】
これは、リアルタイムで周波数プランを相互相関(相互比較)して割り当て、各キャリアをTxまたはRxのいずれかに割り当てる。リアルタイムで継続的に自己調整するキャリアのプランニングを用いて、各キャリアで送信する最良の手段をリアルタイムで決定するスケジューラがある。各キャリアはTxまたはRxのためだけに割り当てられ、遅延差の影響を最小にするために異なるリングレベルで割り当てられる。
【0027】
図4(a)に、10フレーム0~9を有する単一の衛星を用いる場合のTDDの問題を説明するためのタイミング図が示されている。ダウンリンク信号は、衛星20からUE10に送信され、これは衛星ダウンリンクフレームDL-SATの間に衛星20から送信され、UEダウンリンクフレームDL-UEの間にUEで受信される。ダウンリンク信号は最初の時間帯T=0にスタートするが、衛星20からUE10までの経路長のため、遅延があり、T=1でダウンリンク信号がUEで最初に受信される。さらに、UEから衛星にアップリンク信号が送信され、このアップリンク信号は、UEアップリンクフレームUL-UEの間にUEから送信され、衛星アップリンクフレームUL-SATの間に衛星で受信される。
【0028】
衛星とUEとの間の伝送における遅延は、DL-UEとUL-UEとがT=5からT=8で重なるところで示されているように、衛星20がダウンリンクフレームで複数のUE10にデーターを送信することから、アップリンクフレームで複数のUE10からデーターを受信することに変わるときに、動作が重複する要因となる。例えば、衛星20は、時刻T=6までダウンリンク信号を送信し続け、T=7からT=10まで、衛星20はアップリンクデーターを受信する。さらに、衛星をフルに利用し、衛星の動作を最大化するために、UEは、時刻T=5において、衛星20へのデーター送信を開始し、T=7のアップリンクフレームの開始時にデーターを受信できるようにする必要がある。その結果、ある時間より後に、たとえばT=6に、衛星からUEに送信されたデーターは、UEが送信モードであるT=8のときにUEで受信される。より具体的には、UEはT=5からT=8までの間、衛星からデーターを受信すると同時に、衛星にデーターを送信することになる。その動作が重複する期間は、UEの動作に信頼性がなく、エラーや干渉が発生する可能性が高い。
【0029】
図4(b)では、衛星とUEとの間のFOV内の距離が大きいほど、経路長が長くなり、ULおよびDL伝送の遅延が長くなることが示されており、これは軌道位置、FOV、およびその他の要因に基づく可能性がある。遅延が十分に長い場合、UEでのオーバーラップ動作を解消することができ、図示されているように、DL-UEフレームとUL-UEフレームの間にオーバーラップはない。しかしながら、遅延がさらに長くなると、衛星がDL-SATフレーム中のダウンリンクからUL-SATフレーム中のアップリンクに変換するときに、衛星20で動作が重複する要因となるので望ましくない。したがって、UEと衛星の両方における動作の重複を回避するような遅延が必要とされる。
【0030】
図5(a)は、1つの衛星の場合の動作(図2(a))であって、衛星20における容量(能力)を最大化するためのタイミング図を示し、図5(b)は、2つの衛星の場合の動作(図2(b))であって、衛星20aおよび20bにおける容量(能力)を最大化するためのタイミング図を示す。まず、図5(a)を参照すると、同図は、UE10b、10dおよび10gのそれぞれが、複数のリングのうちの3つ、すなわちリング5b、5dおよび5gでアクティブである例を示している。示されているように、複数のUE10b、10dおよび10gは、T=6からT=7までのアップリンクフレームUL-SATの間に衛星20で処理されるように、それぞれのアップリンク時間フレームUL-UEb、UL-UEdおよびUL-UEgの間に、それぞれ特有の(識別できる)ビーム16b、16dおよび16gでそれぞれの信号を衛星20に送信する。アップリンクビーム16b、16dおよび16gが同じ時刻T=6に受信されるためには、最も遠いリング5gのUE10gは、最も早い時刻T=0からT=3の時間フレームUL-UEgで送信を開始しなければならない。というのは、このUE送信は最も経路が長く、最も遅延が長くなるからである。この例における次に遠いリング5dのUE10dは、次に早い時刻T=1からT=4の時間フレームUL-UEdで送信を開始しなければならない。そして、最も近いリング5bのUE10bは、最も近い時刻T=2からT=5の時間フレームUL-UEbで送信を開始する。したがって、各リング5g、5dおよび5bからのビームは、T=6からT=7の衛星のタイムスロットUL-SATに同時に到着する。
【0031】
衛星(SAT)20は、衛星アップリンク時間枠UL-SATの間に、アップリンク信号12ULをゲートウェイサイト(GWS)154に送信し、遅延を経て、ゲートウェイサイトにおけるアップリンク時間枠UL-GWSの間のT=8からT=9において受信される。ゲートウェイサイトにおける次のダウンリンクタイムスロットDL-GWSの時間T=9からT=10において、ゲートウェイサイト154はダウンリンク信号12DLを衛星20に送信する。これは、T=11からT=12までの衛星ダウンリンクタイムスロットDL-SATの間に衛星で受信される。このように、異なるリング内の複数のUEのULサブフレームは、相互にオフセットを有しUL信号は同期して衛星で受信される。
【0032】
それと同時に、衛星はそのダウンリンク信号をそれぞれ特有の(識別できる)ダウンリンクビーム14b、14dおよび14gで同時に送信し、それらは全て同じ時刻T=11に開始され、同じ時刻T=12に終了される。最も近い複数のUE10b(すなわち、図3の、リング5b内の複数のUE)は、その経路長および他の要素に基づいて衛星との通信の遅延が最も少ないため、ダウンリンク信号14bを最初に、DL-UEbで受信する。次に近いUE10d(すなわち、図3の、リング5d内の複数のUE)は、次に、DL-UEdにおいて信号14dを受信し、最も遠いUE10g(すなわち、図3の、リング5g内の複数のUE)は、ダウンリンク信号14gを最後に、DL-UEgで受信する。したがって、DTDDコントローラ160は、図3の様々なリング5a~5gに位置する複数のUEに対して異なる遅延(固有の遅延)を設け、GWS154、衛星20、および/または複数のUE10におけるULフレームおよびDLフレームの重複を回避する。すなわち、最も近いリング5aに位置する複数のUE10は全て第1の遅延に関連付けられ、次に近いリング5bに位置する複数のUE10は全て第1の遅延よりも長い第2の遅延に関連付けられ、最も遠いリング5gに位置する複数のUEは全て、リング5a~5fの第1~第6の遅延よりも長い第7の遅延に関連付けられる。したがって、DL信号は衛星20で同期される。
【0033】
したがって、3つのUEのアップリンクフレーム、すなわちアップリンクフレームUL-UEb、UL-UEd、UL-UEgは、互いに対してオフセットされ、互いにオーバーラップしてもよく、オーバーラップしなくてもよい。しかしながら、衛星に最も近いUEbは、T=2からT=5で、最後に開始および終了するアップリンクフレームUL-UEbと、T=13からT=16で、最初に開始および終了するダウンリンクフレームDL-UEbを備えている。次に近いUEdは、T=1からT=4で、最も近いUEbの開始および終了よりも遅く(後に)開始および終了するアップリンクフレームUL-UEdと、T=14からT=18で、最も近いUEbの開始および終了よりも後に開始および終了するダウンリンクフレームDL-UEdとを備え、さらに、最も遠いUEgは、T=15からT=18で、最も遅く(UL-UEbおよびUL-UEdが開始および終了した後に)開始および終了するアップリンクフレームUL-UEgを備えている。UEフレームは、そのタイミングに対応するようにストレッチ(伸張)されてもよい。しかしながら、衛星が1つの場合(図2(a))、TDD Tx信号はRx信号と干渉してもよい。
【0034】
図5(a)にさらに示されるように、ゲートウェイサイト154、衛星20、または複数のUE10のいずれにおいても動作が重複することはない。すなわち、これらの要素のいずれも、同時に受信および送信する必要がない。そして、通信は、全てのセル7内の全てのUE10について、送受信間で衝突することなく行うことができる。さらに、衛星アップリンクは、T=6からT=7の同時刻に開始および終了することができ、衛星ダウンリンクは、T=11からT=12の同時刻に開始および終了することができる。それら全体の動作は、DTDDコントローラ160によって調整される。
【0035】
図5(a)は、衛星が1つの場合(図2(a))で、TxとRxとの衝突を回避することを例示しているが、このような場合は、セル位置、U/D期間、遅延のマッチングなどの制約があるため、次のフレームで衝突に遭遇することは明らかである。したがって、衛星が1つの場合、TDDは難しい。しかしながら、複数の衛星のコンステレーション(衛星コンステレーション、衛星の集合)が全て利用可能な場合には、各セルが通常4つの衛星を見ることができるため、解決策は存在する。したがって、ベターな(良い)TDDソリューションは、例えば図5(b)に示すように、衛星が2つ(図2(b))から形成でき、一方はTxのみを行い、他方はRxを行ってもよい。図2(b)に3次元で示すように、2個または2個以上の衛星のTxからの干渉を回避するための空間、時間、周波数のダイバーシティ(多様性)を示している。DLとULの割合に制限がなく、より需要に適合できるため、TDDを扱う場合は2個以上の衛星を用いることが好ましい。
【0036】
図5(b)を参照すると、2つの衛星(図2(b))が存在するタイミング図が示されており、所定のUEまたはセルまたはFOVに対して、第1の衛星(SAT1)20(a)がアップリンク(U)のみを実施し、第2の衛星(SAT2)20(b)がダウンリンク(D)のみを実施するケースが示されている。したがって、T=0からT=1で開始される第1の時間期間(第1のタイムピリオド)において、リング5b、5dおよび5gの全てから、UEの全てが、それらのアップリンクフレーム、UL-UEb、UL-UEdおよびUL-UEgの間にアップリンク信号16を送信する。複数のUEは、異なるリングにあり、第2の衛星20(b)から異なる距離にあるので、それらからの信号は、異なる時間に第2の衛星20(b)に到着する。すなわち、最も近いUEbからのアップリンク信号UL-UEbは、時間T=2からT=4で、最初に開始および終了するフレームで到着し、次に近いUEdからのアップリンク信号UL-UEdは、時間T=3からT=6で、最初の信号UL-UEbの後に開始および終了するフレームで到着し、そして最も遠いUEgのアップリンク信号UL-UEgは、時刻T=5からT=7において、第1および第2の信号UL-UEbおよびUL-UEbの後に開始および終了するフレームで到着する。
【0037】
第2のサテライト20(b)はパススルーとして動作し、これらのオフセット信号をゲートウェイサイト154に送る。DTDD160は、各信号にそれぞれの遅延を適用する。フレームUL-UEbからの信号16bが最初に到着したので、DTDDは最も長い遅延である遅延bを適用する。次に到着する第2の信号16dはUL-UEdからのものであり、DTDD160はそれに第1の遅延である遅延bよりも短い遅延dが与えられる。そして、最後に到着する信号16gはフレームUL-UEgからのものであり、最も短い遅延である遅延gを受ける。これらの遅延b、dおよびgは、全てのアップリンク信号がDTDD160で同時に認識されるように構成されており、時刻T=8で開始し、時刻T=9で終了する。したがって、信号16b、16dおよび16gは、異なる時間に第2の衛星20(b)に到着したが、それらは全て、ゲートウェイ154、例えばDTDD160において同期される。全てのアップリンク信号16b、16dおよび16gがUE10b、10dおよび10gから同時に(示された例示的な実施形態ではT=0からT=1)送信されることが示されているが、それらは異なる時間に送信されてもよく、適切な遅延がDTDD160により、それぞれの信号に適用され得ることに留意されたい。しかしながら、いくつかの実施形態では、複数のUEからのアップリンク信号は全て同じ帯域上にあり、同じ周波数であっても異なる周波数であってもよい。ダウンリンク信号14b、14dおよび14gも同様に扱うことができ、ゲートウェイ、例えば、DTDD160により遅延が適用され、複数のダウンリンク信号が(図では同時に示されているとしても)異なる時間に送信されるようにし、同じ時間帯に複数のUEに到着するようにできる。
【0038】
図2(a)、図2(b)、図5(a)および図5(b)における1つの目標は、各eNBが同じサブフレームのタイミングでTRxの切り替えを行うようにすることであり、それにより、アクティブな複数のUEのニーズにしたがって、周波数スケジューリングリソースを使用する、および/または使用しないでダウンリンクおよびアップリンク用の複数のタイムスロットを構成できるようにすることである。したがって、DLとULとは、同じ時間、同じ距離、同じ周波数では発生しない。
【0039】
図6に、本開示の別の実施形態が図示されている。ここでは、アップリンク信号およびダウンリンク信号を異なる周波数にすることができ、同じビームおよび/または異なるビームであっても、GWS154、衛星20および/またはUE10における干渉を防止できる。図6は、Tx/Rx周波数を分けて(分割し)、周波数の範囲(大きさ)およびTx/Rxの分離は、外部のコントローラで回復されることを示す。これはgNodeBにとって透過的であるが、無線リソースの協調的(組織的)なマッピングにおいては、ここでの1と2は、TDDシステム内の小規模FDDのタイムスロットを意味する。このようなFDDをさらに導入することで、TxとRx間の干渉を避けることができ、非常に動的(ダイナミック)になる。TDDにおいて時間的に衝突するケースでは、TxとRxとに異なるサブキャリアを使用することで、干渉を回避することができる。
【0040】
このDTDDシステム100は2つの問題に対処する。第1に、衛星通信RF(無線)の経路長の遅延は、TDDのDLおよびULサイクル(一般に10ms)よりもはるかに長いことである。FDDとは異なり、周波数に追加で次元(ディメンジョン)を設けることで、TxとRxを互いに独立させることができ、全二重は互いに制限されることなく優雅に動作する。このDTDDは、セルラーシステム(gNodeBからUEへの接続)にとって透過的な方法で、その追加の次元をTDDリンクに戻すことができる。
【0041】
第2に、衛星FoV内の複数のセルまでのRF(無線)経路長の違いは、遅延の正規化により衛星ビームTRxがFoV内の全てのセル7の間で揃えることができないことを意味し、Txを送信している一部のセルがRxを受信しているセルと干渉する原因となる。複数のリング(図3)の概念を追加することで、複数のリングの各々で同期が行われる。このため、衛星への遅延(レイテンシー)は各リング内の全てのUEで同じようになる。
【0042】
上記の解決策に加えて、フルコンステレーション(衛星群全体)では、1つのセルは、異なる衛星からの少なくとも1つのビームでカバーされ、FOVがオーバーラップ(重複する)することにより、1つの衛星において上記のようにTDDTx/Rxが衝突することを解決できる。複数の衛星は互いに独立したTx/Rxを行うことができ、協調することにより衝突を100%回避できる。Tx/Rxの切り替え時間は、その帯域ではTxまたはRxのみが行われているため、制限はない。gNodeBはスケジューラを設定し、衛星20がサービスを提供している全てのセルで同じD/U比を保つ必要がある。gNodeBおよび/またはDTDDコントローラ160は、複数のUEのドップラー補正を処理できる。
【0043】
これはgNodeBの外側のゲートウェイで実装される。フローチャートでは、gNodeBから周波数Aで送信し、次にVバンドで衛星に到達するために周波数変換を行い、次に同じバンド内でオフセット付きの周波数Bで送信するために別の周波数変換を行う。その後、UEは周波数Aで送信を返し、これもVバンドに変換され、周波数AでgNodeBに送り返される。
【0044】
FOVは同心円状の複数のリングまたは円に分割される。しかしながら、任意の適切に分離できるものであればよい。
【0045】
開示される実施形態では、DTDDコントローラ160は(BBUコントローラおよびNCCコントローラと同様に)、本開示に従って様々な機能および動作(処理)を実行するための処理デバイスを含み得るが、これらの動作(処理)は、代替的に、gNodeB156および/または衛星20で実行されてもよい。処理デバイスは、例えば、コンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、サーバまたはメインフレームコンピュータ、またはより一般的には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはコントローラであってもよい。処理デバイスは、例えば、有線または無線通信リンク、ユーザー制御または入力のための入力デバイス(タッチスクリーン、キーボード、マウスなど)を、ユーザーに情報を表示するためのモニタ、および/またはメモリ、RAM、ROM、DVD、CD-ROM、アナログまたはデジタルメモリ、フラッシュドライブ、データーベース、コンピュータ読み取り可能媒体、フロッピードライブ/ディスク、および/またはハードドライブ/ディスクなどの1つまたは複数の記憶デバイスを含む、多種多様なコンポーネントまたはサブシステムのうちの1つまたは複数を備えていてもよい。本開示のシステムにおいて利用されるシステム、プロセス、および/またはデーターの全てまたは一部は、1つまたは複数の記憶装置に記憶され、または1つまたは複数の記憶装置から読み出されてもよい。1つまたは複数の記憶デバイス(記憶装置)は、本開示のプロセスを実行するための機械実行可能命令をそこに記憶させることができる。処理デバイス(処理装置)は、記憶デバイス上に記憶され得るソフトウェアを実行することができる。別段の指示がない限り、処理は好ましくは、プロセッサによって実質的にリアルタイムに遅延なく自動的に実行される。いくつかの実施形態において、本開示のシステム100は、標準的な複数のUE10と動作および通信するように構成される。すなわち、このUEは、特別な電子部品または動作ソフトウェアを伴わない標準的なUEとすることができる。加えて、プロセス全体は、プロセッサによって自動的に行われ、手動による介入は一切不要である。したがって、別段の指示がない限り、プロセス(処理)は、遅延や手動操作なしに、実質的にリアルタイムで行われるものである。
【0046】
本明細書で提供される本開示の説明および図面は、本開示の原理を例示するものとしてのみ考慮されるべきである。本開示は、様々な方法で構成することができ、好ましい実施形態によって限定されることを意図するものではない。当業者には、本開示の多数の応用が容易に想到されるであろう。したがって、本開示を、開示された特定の例、または図示され記載された正確な構造および動作に限定することは望まれない。むしろ、全ての好適な変更および等価物によるものは本開示の範囲に含まれる。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図6