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特許7607181映像信号伝送の検証システム、表示装置、映像信号伝送の検証方法、および、映像信号伝送の検証プログラム
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  • 特許-映像信号伝送の検証システム、表示装置、映像信号伝送の検証方法、および、映像信号伝送の検証プログラム 図1
  • 特許-映像信号伝送の検証システム、表示装置、映像信号伝送の検証方法、および、映像信号伝送の検証プログラム 図2
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  • 特許-映像信号伝送の検証システム、表示装置、映像信号伝送の検証方法、および、映像信号伝送の検証プログラム 図11
  • 特許-映像信号伝送の検証システム、表示装置、映像信号伝送の検証方法、および、映像信号伝送の検証プログラム 図12
  • 特許-映像信号伝送の検証システム、表示装置、映像信号伝送の検証方法、および、映像信号伝送の検証プログラム 図13
  • 特許-映像信号伝送の検証システム、表示装置、映像信号伝送の検証方法、および、映像信号伝送の検証プログラム 図14
  • 特許-映像信号伝送の検証システム、表示装置、映像信号伝送の検証方法、および、映像信号伝送の検証プログラム 図15
  • 特許-映像信号伝送の検証システム、表示装置、映像信号伝送の検証方法、および、映像信号伝送の検証プログラム 図16
  • 特許-映像信号伝送の検証システム、表示装置、映像信号伝送の検証方法、および、映像信号伝送の検証プログラム 図17
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】映像信号伝送の検証システム、表示装置、映像信号伝送の検証方法、および、映像信号伝送の検証プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 17/00 20060101AFI20241219BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20241219BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H04N17/00 Z
H04N5/66 Z
H04N17/00 A
G09G5/00 X
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2024543068
(86)(22)【出願日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 JP2023046044
【審査請求日】2024-08-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391010116
【氏名又は名称】EIZO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】前川 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】吉原 亨
(72)【発明者】
【氏名】川上 貴文
(72)【発明者】
【氏名】駒井 清顕
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-108796(JP,A)
【文献】特開2005-204048(JP,A)
【文献】特開2021-114011(JP,A)
【文献】特開2010-130179(JP,A)
【文献】特開2009-038683(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0413018(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0233075(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 17/00
H04N 5/66
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号伝送の検証システムであって、
表示装置と、
第1伝送路と、
出力装置と、
解析部と
を備え、
前記表示装置は、第1コントローラを有し、
前記解析部は、前記第1コントローラによって取得される比較データと、前記第1コントローラによって取得される値として期待される読出し期待値とを比較し、ここで、前記比較データは、前記第1伝送路を介して前記出力装置から前記表示装置に送られる第1信号から得られる、第1画素の画素値に関連したデータであり、前記第1信号は、前記第1画素を含む第1領域を有する第1画像を表現する映像信号であり、
前記解析部は、前記比較データと前記読出し期待値との間の比較結果に不整合を見出した場合に、前記不整合の型に応じた解決策を前記表示装置のユーザに提示するように構成され
前記不整合は、前記比較データと前記読出し期待値との間の差の傾向に応じて分類される複数の型を含み、
前記解析部は、前記比較結果から前記複数の型のうちの1つを特定して前記解決策を提示する、システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検証システムであって、
前記表示装置は、ビデオメモリをさらに有し、
前記ビデオメモリは、前記第1信号を一時的に保持し、
前記第1コントローラは、前記出力装置からの要求を受けて、前記ビデオメモリの出力から少なくとも前記第1画素に関する画素値を取得する、システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の検証システムであって、
前記出力装置は、第2コントローラを有し、
前記表示装置の前記第1コントローラは、前記出力装置の前記第2コントローラからの要求を受けて前記比較データの取得を実行する、システム。
【請求項4】
請求項3に記載の検証システムであって、
前記出力装置および前記表示装置の少なくとも一方は、ディスプレイパネルをさらに有し、
前記出力装置の前記第2コントローラは、前記解決策を前記ディスプレイパネル上に表示させる、システム。
【請求項5】
請求項4に記載の検証システムであって、
前記表示装置は、前記ディスプレイパネルを有し、前記第1画素の位置座標と画素値とを前記ディスプレイパネル上に表示させる、システム。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の検証システムであって、
前記解析部は、前記出力装置の一部であり、
前記表示装置の前記第1コントローラは、前記比較データを第2信号として前記表示装置から前記出力装置に送出させる、システム。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の検証システムであって、
前記解析部は、前記読出し期待値と、前記比較データとの比較において、位置座標の共通する画素値同士の差が所定の範囲内である場合には、これらが一致していると判定する、システム。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の検証システムであって、
前記第1コントローラは、前記比較データとして、前記第1画素を含む複数の画素の画素値を取得し、
前記読出し期待値は、前記第1領域に含まれる複数の画素の画素値を含み、
前記解析部は、前記比較データと前記読出し期待値との間の不整合の有無の判定において、前記第1コントローラによって取得された前記複数の画素値と、前記読出し期待値を構成する前記複数の画素値との間で1画素ずつの比較を行う、システム。
【請求項9】
請求項1または請求項2に記載の検証システムであって、
前記第1コントローラは、前記比較データとして、前記第1画素を含む複数の画素の画素値を取得し、
前記解析部は、前記比較データと前記読出し期待値との間の不整合の有無の判定において、前記第1コントローラによって取得された前記複数の画素値に統計処理を施した値と、前記読出し期待値との比較を行う、システム。
【請求項10】
請求項1または請求項2に記載の検証システムであって、
前記第1コントローラは、RGB映像信号への変換後の画素値を取得する、システム。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載の検証システムであって、
前記第1画像は、
(1)前記第1領域と比較して階調方向において画素値が所定の値以上異なる第2領域をさらに含む、
(2)前記第1領域を含む4以上の領域であって、階調方向において画素値が1ずつ異なる4以上の領域を含む、または、
(3)前記第1領域に加えて第3領域および第4領域をさらに含んでおり、前記第1領域、前記第3領域および前記第4領域は、それぞれが三原色の相異なる1色から構成される3つの領域である、
システム。
【請求項12】
表示装置であって、
第1コントローラと、
解析部と
を備え、
前記解析部は、前記第1コントローラによって取得される比較データと、前記第1コントローラによって取得される値として期待される読出し期待値とを比較し、ここで、前記比較データは、第1伝送路を介して前記表示装置に入力された第1信号から得られる、第1画素の画素値に関連したデータであり、前記第1信号は、前記第1画素を含む第1領域を有する第1画像を表現する映像信号であり、
前記解析部は、前記比較データと前記読出し期待値との間の比較結果に不整合を見出した場合に、前記不整合の型に応じた解決策をユーザに提示するように構成され
前記不整合は、前記比較データと前記読出し期待値との間の差の傾向に応じて分類される複数の型を含み、
前記解析部は、前記比較結果から前記複数の型のうちの1つを特定して前記解決策を提示する、表示装置。
【請求項13】
映像信号伝送の検証方法であって、
第1コントローラを有する表示装置に第1伝送路を介して第1信号を送る工程(a)であって、前記第1信号は、第1画素を含む第1領域を有する第1画像を表現する映像信号である、工程(a)と、
前記第1伝送路を介して前記表示装置に送られた前記第1信号から得られる、前記第1画素の画素値に関連したデータを比較データとして前記第1コントローラによって取得する工程(b)と、
前記比較データと、前記第1コントローラによって取得される値として期待される読出し期待値との間の比較結果に不整合が生じているか否かの判定と、前記不整合の型に応じた解決策の抽出とを実行する工程(c)と
を含
前記不整合は、前記比較データと前記読出し期待値との間の差の傾向に応じて分類される複数の型を含み、
前記工程(c)において、前記比較結果から前記複数の型のうちの1つを特定することにより前記解決策を抽出する、検証方法。
【請求項14】
映像信号伝送の検証プログラムであって、機械読み取り可能な命令を含み、1または複数のプロセッサによって実行されることにより、前記1または複数のプロセッサに:
第1コントローラを有する表示装置に第1伝送路を介して第1信号を送出させ、ここで、前記第1信号は、第1画素を含む第1領域を有する第1画像を表現する映像信号であり、
前記第1伝送路を介して前記表示装置に送られた前記第1信号から得られる、前記第1画素の画素値に関連したデータを比較データとして前記第1コントローラによって取得させ、
前記比較データと、前記第1コントローラによって取得される値として期待される読出し期待値との間の比較結果に不整合が生じているか否かの判定と、前記不整合の型に応じた解決策の抽出とを実行させ、
前記不整合は、前記比較データと前記読出し期待値との間の差の傾向に応じて分類される複数の型を含み、
前記解決策の抽出は、前記比較結果から前記複数の型のうちの1つを特定することによりなされる、プログラム。
【請求項15】
請求項13に記載の方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体。
【請求項16】
映像信号伝送の検証システムであって、
ビデオメモリおよび第1コントローラを有する表示装置と、
第1伝送路と、
出力装置と、
解析部と
を備え、
前記表示装置の前記ビデオメモリは、前記第1伝送路を介して前記出力装置から前記表示装置に送られる第1信号を一時的に保持し、ここで、前記第1信号は、少なくとも1つの領域を含む画像データに関する映像信号であり、前記少なくとも1つの領域は、第1画素を有する第1領域を含んでおり、
前記表示装置の前記第1コントローラは、前記出力装置からの要求を受けて、前記ビデオメモリの出力から前記第1画素に関する画素値を比較データとして取得し、
前記解析部は、少なくとも、前記比較データと、前記出力装置が前記第1伝送路に前記第1信号を出力する前の前記第1画素に関する画素値を元データとして取得し、
前記解析部は、少なくとも、前記比較データが、前記元データから期待される読出し期待値と整合するかを検証し、前記比較データと前記読出し期待値との間の比較に不整合があった場合、前記不整合の型に応じた解決策を前記表示装置のユーザに提示するように構成され
前記不整合は、前記比較データと前記読出し期待値との間の差の傾向に応じて分類される複数の型を含み、
前記解析部は、前記比較の結果から前記複数の型のうちの1つを特定して前記解決策を提示する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号伝送の検証システムおよび表示装置に関する。本発明は、映像信号伝送の検証方法および検証プログラムにも関する。
【背景技術】
【0002】
映画製作に代表される映像制作業界の現場では、厳密な色再現や、幅広いダイナミックレンジにわたる調整などが要求される。映像に対する高度な要求に対応して、映像出力装置および表示装置にも高性能が求められるほか、これらの装置間の整合性の検証も必要である。映像出力装置と、それに接続される表示装置との間に不整合があると、意図しない階調(または色合い)の画像が表示装置上に映し出される結果を招くからである。
【0003】
下記の特許文献1は、画質上の意図しない劣化が受信側の誤設定に起因するものであるか、あるいは、機器の故障に起因するものであるかを判別可能な自己診断システムを開示している。下記の特許文献2は、指定した位置にある画素に関する座標値および階調を、スクリーンに投写された画像に重畳して表示させる技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2019/172383号明細書
【文献】米国特許出願公開第2004/246276号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
映像信号の送信側と受信側との間で例えば色域の設定が整合していないために、映し出される画像に色ずれが生じているような場合に、各種設定のうちどの項目が整合していないかの特定、および、意図した色合いへの調整は、従来、作業者の経験と勘に大きく依存していた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]映像信号伝送の検証システムであって、表示装置と、第1伝送路と、出力装置と、解析部とを備え、前記表示装置は、第1コントローラを有し、前記解析部は、前記第1コントローラによって取得される比較データと、前記第1コントローラによって取得される値として期待される読出し期待値とを比較し、ここで、前記比較データは、前記第1伝送路を介して前記出力装置から前記表示装置に送られる第1信号から得られる、第1画素の画素値に関連したデータであり、前記第1信号は、前記第1画素を含む第1領域を有する第1画像を表現する映像信号であり、前記解析部は、前記比較データと前記読出し期待値との間の比較結果に不整合を見出した場合に、前記不整合の型に応じた解決策を前記表示装置のユーザに提示する、システム。
[2][1]に記載の検証システムであって、前記表示装置は、ビデオメモリをさらに有し、前記ビデオメモリは、前記第1信号を一時的に保持し、前記第1コントローラは、前記出力装置からの要求を受けて、前記ビデオメモリの出力から少なくとも前記第1画素に関する画素値を取得する、システム。
[3][1]または[2]に記載の検証システムであって、前記出力装置は、第2コントローラを有し、前記表示装置の前記第1コントローラは、前記出力装置の前記第2コントローラからの要求を受けて前記比較データの取得を実行する、システム。
[4][3]に記載の検証システムであって、前記出力装置および前記表示装置の少なくとも一方は、ディスプレイパネルをさらに有し、前記出力装置の前記第2コントローラは、前記解決策を前記ディスプレイパネル上に表示させる、システム。
[5][4]に記載の検証システムであって、前記表示装置は、前記ディスプレイパネルを有し、前記第1画素の位置座標と画素値とを前記ディスプレイパネル上に表示させる、システム。
[6][1]から[5]のいずれか1項に記載の検証システムであって、前記解析部は、前記出力装置の一部であり、前記表示装置の前記第1コントローラは、前記比較データを第2信号として前記表示装置から前記出力装置に送出させる、システム。
[7][1]から[6]のいずれか1項に記載の検証システムであって、前記解析部は、前記読出し期待値と、前記比較データとの比較において、位置座標の共通する画素値同士の差が所定の範囲内である場合には、これらが一致していると判定する、システム。
[8][1]から[7]のいずれか1項に記載の検証システムであって、前記第1コントローラは、前記比較データとして、前記第1画素を含む複数の画素の画素値を取得し、前記読出し期待値は、前記第1領域に含まれる複数の画素の画素値を含み、前記解析部は、前記比較データと前記読出し期待値との間の不整合の有無の判定において、前記第1コントローラによって取得された前記複数の画素値と、前記読出し期待値を構成する前記複数の画素値との間で1画素ずつの比較を行う、システム。
[9][1]から[7]のいずれか1項に記載の検証システムであって、前記第1コントローラは、前記比較データとして、前記第1画素を含む複数の画素の画素値を取得し、前記解析部は、前記比較データと前記読出し期待値との間の不整合の有無の判定において、前記第1コントローラによって取得された前記複数の画素値に統計処理を施した値と、前記読出し期待値との比較を行う、システム。
[10][1]から[9]のいずれか1項に記載の検証システムであって、前記第1コントローラは、RGB映像信号への変換後の画素値を取得する、システム。
[11][1]から[10]のいずれか1項に記載の検証システムであって、前記第1画像は、(1)前記第1領域と比較して階調方向において画素値が所定の値以上異なる第2領域をさらに含む、(2)前記第1領域を含む4以上の領域であって、階調方向において画素値が1ずつ異なる4以上の領域を含む、または、(3)前記第1領域に加えて第3領域および第4領域をさらに含んでおり、前記第1領域、前記第3領域および前記第4領域は、それぞれが三原色の相異なる1色から構成される3つの領域である、システム。
[12]表示装置であって、第1コントローラと、解析部とを備え、前記解析部は、前記第1コントローラによって取得される比較データと、前記第1コントローラによって取得される値として期待される読出し期待値とを比較し、ここで、前記比較データは、第1伝送路を介して前記表示装置に入力された第1信号から得られる、第1画素の画素値に関連したデータであり、前記第1信号は、前記第1画素を含む第1領域を有する第1画像を表現する映像信号であり、前記解析部は、前記比較データと前記読出し期待値との間の比較結果に不整合を見出した場合に、前記不整合の型に応じた解決策をユーザに提示する、表示装置。
[13]映像信号伝送の検証方法であって、第1コントローラを有する表示装置に第1伝送路を介して第1信号を送る工程(a)であって、前記第1信号は、第1画素を含む第1領域を有する第1画像を表現する映像信号である、工程(a)と、前記第1伝送路を介して前記表示装置に送られた前記第1信号から得られる、前記第1画素の画素値に関連したデータを比較データとして前記第1コントローラによって取得する工程(b)と、前記比較データと、前記第1コントローラによって取得される値として期待される読出し期待値との間の比較結果に不整合が生じているか否かの判定と、前記不整合の型に応じた解決策の抽出とを実行する工程(c)とを含む、検証方法。
[14]映像信号伝送の検証プログラムであって、機械読み取り可能な命令を含み、1または複数のプロセッサによって実行されることにより、前記1または複数のプロセッサに:第1コントローラを有する表示装置に第1伝送路を介して第1信号を送出させ、ここで、前記第1信号は、第1画素を含む第1領域を有する第1画像を表現する映像信号であり、前記第1伝送路を介して前記表示装置に送られた前記第1信号から得られる、前記第1画素の画素値に関連したデータを比較データとして前記第1コントローラによって取得させ、前記比較データと、前記第1コントローラによって取得される値として期待される読出し期待値との間の比較結果に不整合が生じているか否かの判定と、前記不整合の型に応じた解決策の抽出とを実行させる、プログラム。
[15][13]に記載の方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体。
[16]映像信号伝送の検証システムであって、ビデオメモリおよび第1コントローラを有する表示装置と、第1伝送路と、出力装置と、解析部とを備え、前記表示装置の前記ビデオメモリは、前記第1伝送路を介して前記出力装置から前記表示装置に送られる第1信号を一時的に保持し、ここで、前記第1信号は、少なくとも1つの領域を含む画像データに関する映像信号であり、前記少なくとも1つの領域は、第1画素を有する第1領域を含んでおり、前記表示装置の前記第1コントローラは、前記出力装置からの要求を受けて、前記ビデオメモリの出力から前記第1画素に関する画素値を比較データとして取得し、前記解析部は、少なくとも、前記比較データと、前記出力装置が前記第1伝送路に前記第1信号を出力する前の前記第1画素に関する画素値を元データとして取得し、前記解析部は、少なくとも、前記比較データが、前記元データから期待される読出し期待値と整合するかを検証し、前記比較データと前記読出し期待値との間の比較に不整合があった場合、前記不整合の型に応じた解決策を前記表示装置のユーザに提示する、システム。
【発明の効果】
【0007】
本発明の少なくともいずれかの実施形態によれば、表示装置への映像信号の伝送の過程で生じたエラーに対し、作業者の習熟度に依存しない形での解消が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のある実施形態による検証システムを説明するための機能ブロック図である。
図2】出力装置100のメモリ14に予め準備されるテストパターンの一例を示す図である。
図3】出力装置100のメモリ14に予め準備されるテストパターンの他の一例を示す図である。
図4】出力装置100のメモリ14に予め準備されるテストパターンのさらに他の一例を示す図である。
図5】出力装置100のメモリ14に予め準備されるテストパターンのさらに他の一例を示す図である。
図6】本発明の他のある実施形態による例示的な検証方法の概略を示すフローチャートである。
図7】出力装置100の例示的な詳細を示す機能ブロック図である。
図8】表示装置200の例示的な詳細を示す機能ブロック図である。
図9】読出し期待値と比較データとの間に不整合が見られた場合に検証システム1からユーザに提示される解決策の一例を示す図である。
図10図3に示すテストパターン42を使用した場合に得られる比較データの例を示す図である。
図11図5に示すテストパターン44を使用した場合に得られる比較データの第1の例を示す図である。
図12図5に示すテストパターン44を使用した場合に得られる比較データの第2の例を示す図である。
図13】画素の位置座標と画素値とをテストパターンに重畳させてディスプレイパネル28に表示させた例を模式的に示す図である。
図14】本発明の検証システムの第1の変形例を示す機能ブロック図である。
図15】本発明の検証システムの第2の変形例を示す機能ブロック図である。
図16】本発明の検証システムの第3の変形例を示す機能ブロック図である。
図17】本発明の検証システムの第4の変形例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
映像制作業界の現場では、多様な映像機器が互いに接続されて利用される。そのため、映像信号を画像(「静止画」および「動画」を指す。以下同じ。)の形で表現する表示装置(例えばモニタ)には、多様な映像フォーマットへの対応が求められている。これに加えて、映像に要求される品質の高度化と相まって、映像出力装置および表示装置のそれぞれにおける設定項目も複雑化している。
【0010】
伝送路を介した、映像出力装置と表示装置との間の信号のやり取りにおいてこれら装置間で設定に不整合があると、意図した階調および色合いで映像を表示装置に映し出せない。また、映像信号の伝送には、オペレーティングシステム(OS)、アプリケーションソフト、ケーブルおよびスイッチャなどが介在し、これらの設定の不整合および規格の不一致に起因して、意図した階調および色合いで映像コンテンツを表示できないことがある。そのような場合において、装置間の設定の不整合などに気づかずに作業を続ければ、無用な手戻りを発生させてしまう。
【0011】
伝送路を介した映像信号のやり取りにおけるエラーは、典型的には、色合いまたは明度のズレの形で画質の劣化として現れるが、このような劣化に気付くには、作業者に習熟を要する。さらに、そのようなエラーの原因および解決策の推定は、習熟度の低い作業者にとって容易な作業ではない。
【0012】
本発明者は、このようなエラーの中には、装置間の設定の不整合の型に応じた形の画質の劣化として現れるものが含まれることを見出し、本発明を完成させた。本発明の実施形態による検証システムは、例えば、映像出力装置から送出される画素値と、伝送路を介して受け取られて表示装置での表示に用いられる実際の画素値との間に不一致が生じているか否かを判定する。本発明の実施形態によれば、例えばこれら画素値の間に許容不可能なズレが生じていた場合に、そのズレの傾向に応じた解決策が作業者に提示されるので、作業者の習熟度によらずに、伝送路を介した映像信号のやり取りにおけるエラーの原因の特定およびエラーの迅速な解消が可能になる。
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に示す実施形態中に示した各種の特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0014】
<1.映像信号伝送の検証システムの概略>
図1は、本発明のある実施形態による検証システムの概略を示す。図1に示す検証システム1は、出力装置100と、表示装置200と、第1伝送路10とを有する。第1伝送路10は、出力装置100と表示装置200との間の映像信号の伝送に利用される。
【0015】
出力装置100は、予め用意された画像データを映像信号の形で出力可能に構成された情報処理装置であり、典型的には、プロセッサと、1以上のメモリとを有する。出力装置100として例えばパーソナルコンピュータを採用可能である。後の説明からも理解されるように、映像を出力できる機器であれば特に制限なく出力装置100として利用できる。
【0016】
表示装置200は、映像コンテンツの提示に用いられるデバイス(例えばモニタ)である。図1に示す例において、表示装置200は、画像の映し出されるディスプレイパネル28を含む。ディスプレイパネル28の典型例は、液晶表示パネルである。ディスプレイパネル28は、マイクロLEDディスプレイ、有機ELディスプレイなどの自発光デバイスであってもよい。
【0017】
図1に例示する構成において、表示装置200は、さらに、第1コントローラ21と、ビデオメモリ24と、ビデオ信号処理部26とを有している。後に詳しく説明するように、本発明の典型的な実施形態において、表示装置200は、第1伝送路10を介して出力装置100から送られる第1信号としての映像信号を受け取り、第1信号をビデオメモリ24に一時的に格納する。ここで、第1信号は、例えば1フレーム分の画像を表現するデジタル映像信号である。第1信号は、数フレーム分の画像を表現するデジタル映像信号であってもよい。以下の説明においては、第1信号としてデジタル映像信号(例えばYCbCrデジタル映像信号)を想定する。
【0018】
第1コントローラ21は、CPUなどのプロセッサにより構成され、表示装置200各部の制御を担う。ビデオ信号処理部26は、第1コントローラ21からの指示に基づき、ビデオメモリ24に一時的に保持されていた第1信号を読み出してデコードする。デコード後のデータは、第1信号によって表現される画像を構成する個々の画素に対する画素値の情報を含む。第1コントローラ21は、デコードにより得られた信号に対応する画像をディスプレイパネル28に表示させる。
【0019】
検証システム1の第1伝送路10は、例えば、出力装置100と表示装置200とを結ぶ伝送線である。第1伝送路10の典型例は、HDMI(登録商標)ケーブル、DisplayPort(DP)ケーブル、SDIケーブルなどの各種ビデオケーブルである。ただし、本明細書における「伝送路」は、物理的実体のある信号線に限定されない。本明細書における「伝送」には、有線の方式による伝送のみならず無線の方式による伝送も包含される。
【0020】
ここでは、検証システム1は、第1伝送路10に加えて第2伝送路20をも有している。第2伝送路20は、例えば制御用の信号線である。第2伝送路20の典型例は、USB(Universal Serial Bus)ケーブルである。なお、検証システム1が第1伝送路10および第2伝送路20として個別にケーブルを有していることは、必須ではない。例えば、第1伝送路10にDPケーブルを適用した場合、単一のDPケーブルが第1伝送路10のみならず第2伝送路20の機能を兼ねることも可能である。
【0021】
この例では、出力装置100が第2コントローラ12を有しており、第2伝送路20は、第2コントローラ12と、表示装置200の第1コントローラ21とを互いに接続している。第2コントローラ12は、表示装置200の第1コントローラ21と同様にCPUなどにより構成され、出力装置100の各部を制御する。
【0022】
図1に例示する構成において、出力装置100は、さらに、メモリ14と、画像処理部16とを有する。後に詳しく説明するように、本発明の典型的な実施形態では、第1画素を含む第1領域を有する第1画像を表現する画像データがメモリ14に予め格納される。画像処理部16は、例えば第2コントローラ12の制御に基づきメモリ14から出力されたデータを映像信号にエンコードし、第1伝送路10を介して表示装置200に送出する。
【0023】
また、この例では、出力装置100は、解析部30を有している。解析部30の機能については後述する。第2コントローラ12、画像処理部16および解析部30のそれぞれの機能は、出力装置100が有するCPUまたはGPUなどのプロセッサにより実現され得る。第2コントローラ12、画像処理部16および解析部30のそれぞれは、別個のプロセッサにより実現されてもよいし、これらの2以上の機能が単一のプロセッサにより実現されてもよい。
【0024】
<2.検証用テストパターンの例>
上述したように、本発明の典型的な実施形態では、所定の第1画像を表現する画像データが出力装置100のメモリ14に予め格納される。ここで、第1画像は、例えば、少なくとも1つのカラーパッチを含むテストパターン、あるいは、そのようなテストパターンの集合であり得る。後に詳しく説明するように、検証システム1は、まず、第1伝送路10を介して出力装置100から表示装置200に第1信号を送り、表示装置200において第1コントローラ21によって実際に取得される、第1画素の画素値に関連したデータと、送出前の画像データから読み出しが期待されるデータ(以下、単に「読出し期待値」と呼ぶことがある)との間の比較を実行する。上述の解析部30は、この比較においてこれらのデータ間に不整合が生じているか否かを判定し、比較結果に不整合を見出した場合に、不整合の型に応じた解決策を表示装置200のユーザに提示する。以下、第1伝送路10を介した映像信号の伝送の検証に用いられ得るテストパターンの詳細を説明する。
【0025】
図2は、出力装置100のメモリ14に予め用意されるテストパターンの一例を示す。図2に示すテストパターン41は、第1領域として第1カラーパッチC1を含んでいる。ここでは、第1カラーパッチC1は、無彩色のパッチであり、第1カラーパッチC1を構成する各画素の画素値は、例えば64である。すなわち、RGB値で表現すれば、(64,64,64)となる。なお、本明細書では、有彩色に限定されず無彩色にも「カラー」の用語を使用することがある。
【0026】
図3は、第1画像としてのテストパターンの他の一例を示す。図3に示すテストパターン42は、第1カラーパッチC1に加えて、第2領域としての第2カラーパッチC2と、第3領域としての第3カラーパッチC3とをさらに有している。図3に示す例において、第1カラーパッチC1、第2カラーパッチC2および第3カラーパッチC3は、いずれも無彩色のパッチである。
【0027】
テストパターン42は、第1カラーパッチC1と比較して階調方向において画素値が所定の値以上異なる1以上のカラーパッチを含む。ここで、所定の値とは、例えば2または3である。図3に示す例において、第2カラーパッチC2の画素値は、512であり、第3カラーパッチC3の画素値は、940である。すなわち、第2カラーパッチC2および第3カラーパッチC3は、それぞれ、(512,512,512)および(940,940,940)のRGB値で表現される。
【0028】
図3に例示するように、第1伝送路10を介した映像信号伝送の検証に用いられるテストパターンは、それぞれが特定の画素値で表現される2以上の領域(例えば2以上のカラーパッチ)を含んでいてもよい。後の説明から理解されるように、テストパターンが有するカラーパッチの数は、1つであってもよいが、テストパターンが2以上のカラーパッチを含んでいると、より効果的に映像信号伝送の検証を実行し得る。
【0029】
図4は、テストパターンのさらに他の一例を示す。図4に示すテストパターン43は、第1カラーパッチM1、第2カラーパッチM2、第3カラーパッチM3および第4カラーパッチM4の4つのカラーパッチを含んでいる。第1カラーパッチM1~第4カラーパッチM4は、ここでは、いずれも無彩色のパッチであり、階調方向において画素値が1ずつ異なる。図4に示す例において、第1カラーパッチM1、第2カラーパッチM2、第3カラーパッチM3および第4カラーパッチM4の画素値は、それぞれ、510、511、512、513である。これらをRGB値で表現すれば、それぞれ、(510,510,510)、(511,511,511)、(512,512,512)および(513,513,513)である。
【0030】
図5は、テストパターンのさらに他の一例を示す。図5に示すテストパターン44は、それぞれが有彩色の第1カラーパッチR1、第2カラーパッチG2および第3カラーパッチB3の3つのカラーパッチを含む。第1カラーパッチR1、第2カラーパッチG2および第3カラーパッチB3は、それぞれ、例えば(512,0,0)、(0,512,0)および(0,0,512)のRGB値で表現されるパッチである。すなわち、ここでは、第1カラーパッチR1、第2カラーパッチG2および第3カラーパッチB3は、それぞれ、赤色、緑色および青色の単色で表現されるパッチである。このように、第1伝送路10の検証に用いられるテストパターンは、それぞれが三原色の相異なる1色から構成される3つのカラーパッチを含み得る。
【0031】
<3.信号伝送路の検証方法>
次に、上述の検証システム1を用いた例示的な検証方法の詳細を説明する。図6に例示するように、検証システム1を用いた検証方法は、概略的には、第1伝送路10を介して表示装置200に第1信号を送る工程S1と、第1画像中の第1画素の画素値に関連したデータを比較データとして第1コントローラ21によって取得する工程S2と、比較データと、第1コントローラ21によって取得される値として期待される読出し期待値との間の比較結果に不整合が生じているか否かを判定する工程S3とを含み得る。さらに、本実施形態では、検証システム1は、比較データと読出し期待値との間の比較結果に不整合があったとの判定がなされた場合には、読出し期待値と比較データとの間の不整合の型に応じた解決策をユーザに提示する工程S4を実行する。
【0032】
まず、映像信号伝送の検証に使用する第1画像を用意する。ここでは、第1画像として、図3に示すテストパターン42の使用を例示する。以下の説明から明らかとなるように、テストパターン42の適用により、出力装置100と表示装置200との間でレンジの設定に不整合が生じているか否かを判定できる。
【0033】
第1画像としてのテストパターン42は、出力装置100のメモリ14に予め格納され得る。ここで説明する例において、テストパターン42は、1フレーム分の画像を表現するデジタルデータ(例えばイメージファイル)である。上述したように、テストパターン42の第1カラーパッチC1は、それぞれが(64,64,64)のRGB値で表現される複数の画素を含む。以下では、テストパターン中のカラーパッチに含まれる画素のうちの1つ(例えば、第1カラーパッチC1を構成する画素のうちの1つ)を便宜的に「第1画素」と呼ぶことがある。
【0034】
(第1伝送路を介して表示装置に第1信号を送る工程S1)
第1伝送路10を介した映像信号伝送の検証に際し、出力装置100の例えば第2コントローラ12(図1参照)は、テストパターン42のデジタルデータをメモリ14から画像処理部16に送る。画像処理部16は、メモリ14から読み出された、テストパターン42に関する画像データを映像信号(第1信号)に変換する。
【0035】
図7は、出力装置100の構成の詳細の一例を示す。図7に例示する構成において、画像処理部16は、カラーマネジメント部61、エンコーダ63およびレンジ変換部65を有する。カラーマネジメント部61は、必要に応じて、メモリ14から読み出された画像データ(これはRGB値で表現されている)を他の色空間での画像データに変換する。例えば、メモリ14から読み出された画像データがBT.709色空間で表現される信号であり、他方、第1信号として、BT.2020色空間で表現された信号での出力が想定されている場合、カラーマネジメント部61は、BT.709色空間の下でのRGB値をBT.2020色空間の下でのRGB値に変換する。メモリ14に保持された画像データの色空間が出力信号のフォーマットとして想定されている色空間に既に一致させられているような場合には、カラーマネジメント部61による色空間の間の変換は、不要である。カラーマネジメント部61の後段のエンコーダ63は、画像データ(ここではテストパターン42に関する画像データ)を、圧縮された形の映像信号(ここではYCbCrデジタル映像信号)に変換する。なお、使用する伝送路に応じ、画像データを非圧縮のRGBデジタル信号のままとする場合もある。レンジ変換部65は、映像信号を表現するデジタル値を、必要に応じて所定の範囲(例えばリミテッドレンジ)に制限する。
【0036】
出力装置100は、画像処理部16による処理によって得られた第1信号を、第1伝送路10を介して表示装置200に送出する。本発明の典型的な実施形態において、表示装置200の第1コントローラ21は、第1伝送路10を介して出力装置100から送られた第1信号をビデオメモリ24に格納する。
【0037】
図8は、表示装置200の構成の詳細の一例を示す。図8に例示する構成において、表示装置200は、ビデオメモリ24の後段に、レンジ拡張部62、デコーダ64および補正処理部66を含むビデオ信号処理部26有している。ビデオ信号処理部26の機能は、表示装置200が有するCPUまたはGPUなどのプロセッサにより実現され得る。レンジ拡張部62、デコーダ64および補正処理部66の少なくとも1つが、上述の第1コントローラ21の一部であってもよい。
【0038】
第1伝送路10を介して出力装置100から表示装置200に送られる第1信号は、ここでは、テストパターン42を表現する映像信号である。ビデオメモリ24に一時的に保持された第1信号は、第1コントローラ21によって読み出され、レンジ拡張部62、デコーダ64および補正処理部66を介してディスプレイパネル28に送られることにより、ディスプレイパネル28上に画像として表示される。
【0039】
ビデオ信号処理部26のレンジ拡張部62は、映像信号に含まれるメタデータ、または、表示装置200側の設定に従って映像信号のレンジを例えばフルレンジ相当に変換する。例えば、表示装置200がフルレンジに設定されており、他方、第1伝送路10を介して出力装置100から送られてくる第1信号がリミテッドレンジにある場合、レンジ拡張部62は、64~940の範囲にある画素値を0~1023の範囲にマッピングする。なお、第1信号がフルレンジにある場合、レンジ拡張部62は、このようなマッピングを実行しない。デコーダ64は、レンジ拡張処理後の第1信号(例えばYCbCrデジタル映像信号)をRGBフォーマットに変換する。補正処理部66は、RGBフォーマットへの変換後の信号に対してガンマ補正などの各種の補正を実行する。これらの機能は、単一のプロセッサにより実現されてもよいし、複数のプロセッサにより個別に各機能が実現されてもよい。
【0040】
(比較データを取得する工程S2)
次に、表示装置200の第1コントローラ21は、ビデオメモリ24から読み出された信号から得られる"比較データ"を取得する。第1コントローラ21による比較データの取得は、出力装置100からの要求を受けて実行され得る。例えば、出力装置100の第2コントローラ12は、テストパターン中の特定の位置にある画素(例えば第1画素)の画素値を取得するよう、第2伝送路20を介して表示装置200の第1コントローラ21に指示を送る。
【0041】
ここで、"比較データ"は、第1伝送路10を介して表示装置200に到達した第1信号から得られる、第1画素の画素値に関連したデータである。本実施形態において、第1画素は、テストパターン42の第1カラーパッチC1を構成する画素のうちの1つであり得る。ここでは、第1コントローラ21は、図8中に破線の矢印BLで模式的に示すように、デコーダ64によるデコード後に得られたRGB値のうち、テストパターン42の第1カラーパッチC1に含まれるある画素に関するRGB値を第1画素の画素値として取得する。言い換えれば、ここでは、第1コントローラ21は、ビデオメモリ24からの出力であってディスプレイパネル28のソースドライバに入力される前の段階の信号を取得している。
【0042】
この時、第1コントローラ21は、第1画素の画素値に加えて、第1カラーパッチC1に含まれる他の1以上の画素の画素値を取得してもよい。例えば、第1コントローラ21は、第1画素の画素値と、第1画素に隣り合う複数の画素の画素値とを"比較データ"として取得してもよい。すなわち、1つのカラーパッチから抽出される画素値の数は、2以上であってもよい。
【0043】
第1コントローラ21は、第1画素を含む複数の画素、例えば、第1画素を中心とする所定の領域(3行3列の計9個の画素を含む領域など)に含まれる複数の画素の画素値を比較データとして取得し得る。後に説明するように、比較データと、後述の"読出し期待値"との比較において、複数の画素の画素値に統計処理を施した値を利用し得る。複数の画素値に対して統計処理を施した値としては、例えば、平均値および中央値を用い得る。統計処理は、空間的に異なる複数の画素の画素値の間に対するものであってもよいし、時間的に異なる複数の画素の画素値の間に対するもの(例えば時間的算術平均)であってもよい。もちろん、これらに限られず、第1画素の画素値自体を比較データとして利用してもかまわない。その意味で、本実施形態において、第1コントローラ21は、ビデオメモリ24の出力から少なくとも第1画素に関する画素値を取得するといえる。
【0044】
ここでは、第1コントローラ21は、第1画素に関する画素値と同様にして、テストパターン42中の第2カラーパッチC2を構成する複数の画素のうちの1以上に関する画素値と、第3カラーパッチC3を構成する複数の画素のうちの1以上に関する画素値とをビデオメモリ24の出力から取得する。これら取得された画素値は、表示装置200のRAM(図8において不図示)に一時的に保持され得る。以下では、説明の便宜のために、ビデオメモリ24の出力から第1コントローラ21によって取得された1以上の画素値をまとめて「比較データ」と呼ぶことがある。
【0045】
なお、比較データの取得は、1フレーム分の静止画に含まれる複数のカラーパッチに対するサンプリングにより実現されてもよいし、時間順次で表示される複数のフレームに対するサンプリングにより実現されてもかまわない。例えば、第1信号として、第1カラーパッチC1を含むテストパターン表現する映像信号、第2カラーパッチC2を含むテストパターンを表現する映像信号、および、第3カラーパッチC3を含むテストパターンを表現する映像信号を出力装置100から時間順次で表示装置200に送るようにしてもよい。このとき、第1カラーパッチC1を構成する画素の画素値、第2カラーパッチC2を構成する画素の画素値、および、第3カラーパッチC3を構成する画素の画素値を第1コントローラ21により時間順次に取得してもよい。
【0046】
第1コントローラ21による、テストパターン中の指定した位置にある画素値の抽出および取得は、公知の方法により適宜に実行されればよい。指定した位置にある画素に関する階調(、および、必要に応じてその画素の座標値)を取得する技術は、例えば、上述の特許文献1、2にも記載されている。参考のために、米国特許出願公開第2019/172383号明細書および米国特許出願公開第2004/246276号明細書の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0047】
比較データの取得後、第1コントローラ21は、比較データを第2信号として出力装置100に送出する。表示装置200と出力装置100との間における第2信号の伝送は、第2伝送路20を介して実行される。ここで、第2信号は、第1信号とは異なり、YCbCrデジタル映像信号などへの変換を経ていないデジタルデータである。
【0048】
(比較データと、読出し期待値との間の不整合の有無を判定する工程S3)
第2伝送路20を介して送られた比較データは、出力装置100の例えば第2コントローラ12によって受け取られる(図1参照)。この例では、比較データは、第2コントローラ12を経由して解析部30に渡される。
【0049】
比較データの受信を受けて、第2コントローラ12または解析部30は、メモリ14に格納されているテストパターン中の第1画素に関する画素値(ここではRGB値としての(64,64,64))をメモリ14から取得する。ここでは、例えば解析部30は、第1画素のみならず、メモリ14に格納されているテストパターン42のうち、表示装置200の第1コントローラ21がビデオメモリ24の出力から画素値を取得した画素に対応する位置にある画素の画素値も取得する。
【0050】
メモリ14には、テストパターンを構成する画素の画素値が、位置座標に紐付けられた形で予め保持され得る。テストパターンを構成する画素のそれぞれの位置座標および画素値は、既知である。したがって、テストパターンを構成する画素のうち、第1コントローラ21によって画素値が取得された画素に対応する位置にある画素の画素値の取得は、テストパターン中の所望の画素の位置を指定することにより容易に実行できる。
【0051】
第2コントローラ12または解析部30によってメモリ14から取得される画素値は、出力装置100が第1伝送路10に第1信号を出力する前の画素値であり、表示装置200において第1コントローラ21によって取得が期待される値である。すなわち、もし、第1伝送路10を介した第1信号の伝送にエラーが無ければ、表示装置200において第1コントローラ21によって実際に取得される画素値は、第1伝送路10を介さずにメモリ14から直接に取得される画素値(これを「元データ」と呼んでもよい)に一致するはずである。以下では、予め用意されたテストパターンから取得される1以上の画素値を「比較データ」に対比させて「読出し期待値」と呼ぶ。
【0052】
読出し期待値は、テストパターン中の1以上の画素についての位置座標と画素値の組の形で与えられ得る。読出し期待値の取得は、第2伝送路20を介した、表示装置200の第1コントローラ21からの指示に基づき実行されてもよい。なお、比較データの取得および読出し期待値の取得の順序は、任意である。読出し期待値の取得は、比較データの受信に先立ち実行されてもよい。
【0053】
解析部30は、比較データと、読出し期待値との比較を実行する。別の言い方をすれば、解析部30は、比較データが、元データから期待される読出し期待値と整合するかを検証する。例えば第1画素に関し、第1コントローラ21がビデオメモリ24の出力から取得した画素値が64であり、かつ、出力装置100のメモリ14から取得された画素値すなわち読出し期待値が64であったとする。これは、出力装置100におけるレンジの設定と、表示装置200におけるレンジの設定との間に不整合が生じている可能性が低いことを意味する。
【0054】
比較データと読出し期待値との比較は、単一の画素同士の比較に限定されず、複数の画素について実行されてももちろんかまわない。例えば、解析部30は、第1コントローラ21によってビデオメモリ24の出力から取得された、比較データとしての複数の画素値と、出力装置100のメモリ14に保持されたテストパターンから取得された、読出し期待値を構成する複数の画素値との間で1画素ずつの比較を行ってもよい。このとき、比較データは、第1画素を含む複数の画素の画素値を含み、読出し期待値は、第1カラーパッチC1中の複数の画素の画素値を含み得る。比較データ中の複数の画素値と、読出し期待値中の複数の画素値とが一致していれば、レンジの設定に不整合が生じていないと判断できる。したがって、この場合、解析部30は、比較データと読出し期待値との間に不整合は生じていないと判定する。言い換えれば、解析部30は、第1伝送路10を介した信号伝達にエラーは生じていなかったと判定する。
【0055】
他方、例えば第1画素に関し、出力装置100のメモリ14から取得された画素値が64であり、したがって第1コントローラ21によってビデオメモリ24の出力から取得されることが期待される画素値が64であることに対して、第1コントローラ21によって実際に取得された画素値が64とは異なる場合、第1伝送路10を介した信号伝達に何らかのエラーが生じていることが予想される。したがってこの場合には、解析部30は、比較データと読出し期待値との間の比較結果に不整合が生じていると判定する。
【0056】
読出し期待値の画素値と比較データの画素値との間のズレは、例えば、出力装置100と表示装置200との間でレンジの設定が整合していない場合に生じる。出力装置100が例えば"フルレンジ(Full Levelsとも呼ばれる)"に設定され、他方、表示装置200が"リミテッドレンジ(Video Levelsとも呼ばれる)"に設定されている場合、第1コントローラ21によってビデオメモリ24の出力から画素値「64」の取得が期待されるところ、実際に取得される比較データの画素値は、64ではなく0となる。このように、解析部30は、比較データと読出し期待値との間の不整合の有無を判定する。
【0057】
(不整合の型に応じた解決策をユーザに提示する工程S4)
さらに、解析部30は、比較データと読出し期待値との間の比較結果に不整合があるという判定結果が得られた場合には、読出し期待値と比較データとの間の不整合が解消されるような解決策を表示装置200のユーザに提示する。例えば、解析部30は、読出し期待値と比較データとの間に不整合が見出された場合に、図9に例示するように、「Video Rangeの誤りの可能性があります。入力信号はフルレンジに、モニタ設定はリミテッドレンジになっていませんか?」のようなメッセージ29を表示装置200のディスプレイパネル28に表示させる。
【0058】
従来、モニタに表示される画像の例えば色合いが、意図していた色合いからズレていると作業者が気付いた場合には、作業者は、モニタの画面上にオンスクリーンディスプレイ(OSD)などを重畳させて、モニタ上の色合いを手作業で調整していたのが実情である。具体的には、作業者は、指定した位置にある画素の画素値を手動で取得してOSD上に表示させながら、目標とする色合いに近づくようにモニタの各種パラメータを自身の経験を頼りに調整する必要があった。また、意図していた色合いからのズレが発生していることを見抜くことは、経験の浅い作業者にとってそもそも困難であった。
【0059】
これに対し、本発明の実施形態によれば、検証システム1自身が出力装置100と表示装置200との間の設定の不整合を解析するので、作業者の習熟度に依存しない形で信号伝送を検証可能である。さらに、読出し期待値と比較データとの間の不整合の型に応じて検証システム1が解決策を提示するので、設定上の不整合を効率的に解消できる。
【0060】
なお、上述した例では、比較データ取得の工程S2において、第1コントローラ21は、RGB映像信号への変換後の画素値を取得している(図8参照)。しかしながら、この例に限定されず、第1コントローラ21は、図8中に点線の矢印DLで模式的に示すように、レンジ拡張部62への入力であるRawデータを比較データとして取得してもよい。Rawデータを比較データに利用する場合、表示装置200が例えばフルレンジに設定されているのであれば、第1コントローラ21、第2コントローラ12および解析部30の少なくともいずれかにより、RawデータをRGBのフルレンジに相当するデータに変換してから、比較データと読出し期待値との間の不整合の有無を判定すればよい。
【0061】
<4.不整合の型に応じた解決策の抽出の具体例>
(エラー原因推定の例1)
ここで、図10図12を参照しながら、不整合の分類、および、不整合に応じた解決策の抽出の例をより詳細に説明する。図10は、図3に示すテストパターン42を使用した場合に得られる比較データの例を示す。図10は、10ビットの映像信号の場合を例にとり、出力装置100および表示装置200がそれぞれリミテッドレンジであるかあるいはフルレンジであるかに応じて、取得される比較データすなわちRGB値がどのように変化し得るかを具体的に示している。
【0062】
まず、図10に示すテーブルの4つのエントリのうち、左上の1つに注目する。このエントリの第1行に位置する3つの数値(64,64,64)は、比較データとして取得されるRGB値のうち、第1カラーパッチC1中の画素(例えば第1画素)に関するRGB値を示す。同様に、このエントリの第2行には、比較データのうち第2カラーパッチC2に含まれる画素に関するRGB値が示されており、第3行には、比較データのうち第3カラーパッチC3に含まれる画素に関するRGB値が示されている。
【0063】
テーブル中の左上のエントリに示された各数値から理解されるように、第1信号のソースである出力装置100がリミテッドレンジに設定され、かつ、表示装置200もリミテッドレンジに設定されている場合には、比較データとして取得されるRGB値も、読出し期待値のRGB値(64,64,64)、(512,512,512)および(940,940,940)に一致する。また同様に、テーブル中の右下のエントリに示されるように、出力装置100および表示装置200の両方がフルレンジに設定されている場合も、比較データとして取得されるRGB値と、読出し期待値のRGB値との間に相違は生じない。すなわち、出力装置100と表示装置200との間でレンジの設定が一致していれば、比較データと読出し期待値との間にズレは基本的に生じないといえる。
【0064】
他方、出力装置100と表示装置200との間でレンジの設定に不整合があると、比較データのRGB値は、読出し期待値のRGB値からズレた値となる。例えば、図10に示すテーブルの左下のエントリ(図10中、破線の矩形E1で示す)に注目する。これは、出力装置100がフルレンジに設定され、表示装置200がリミテッドレンジに設定されているときに取得される比較データの例を示している。第1カラーパッチC1中の画素に関するRGB値が(0,0,0)となり、第3カラーパッチC3中の画素に関するRGB値が(1023,1023,1023)となっていることが図10から理解できる。
【0065】
出力装置100がフルレンジであるので、表示装置200に対する入力信号が0~1023の階調で表現されるところ、表示装置200がリミテッドレンジであると、上記の階調のうち64~940の範囲しか表現できない。結果、0~63の階調の画素はいずれも、表示装置200上では最も暗い階調0に潰れ、941~1023の階調の画素はいずれも、表示装置200上では最も明るい階調1023に潰れてしまう。言い換えれば、グラデーションを意図通りに表現できず、第1カラーパッチC1を構成する各画素および第3カラーパッチC3を構成する各画素は、それぞれ、表示装置200上ではpure blackおよびpure whiteで表現されてしまう。したがってこの場合は、検証システム1は、「Video Rangeの誤りの可能性があります。入力信号はフルレンジに、モニタ設定はリミテッドレンジになっていませんか?」のようなメッセージを作業者に提示する(図9参照)。
【0066】
これとは逆に、出力装置100がリミテッドレンジに設定され、表示装置200がフルレンジに設定されている場合も、グラデーションを表示装置200上で意図通りに表現できない。出力装置100がリミテッドレンジかつ表示装置200がフルレンジにある場合、表示装置200に入力される信号は、(伸長がなければ)フルレンジでの64~940の範囲に留まる。そのため、表示装置200では、例えば第1カラーパッチC1中の画素であれば、(119,119,119)のRGB値(図10参照)を有する画素としてディスプレイパネル28上に表示され、第3カラーパッチC3中の画素であれば、(869,869,869)のRGB値(図10参照)を有する画素としてディスプレイパネル28上に表示されることになる。すなわち、映像コンテンツが、表示装置200上ではコントラストに精彩を欠く画像として表示される結果を招く。このような場合には、検証システム1は、例えば、「Video Rangeの誤りの可能性があります。入力信号はリミテッドレンジに、モニタ設定はフルレンジになっていませんか?」のようなメッセージを作業者に提示する。
【0067】
このように、比較データと読出し期待値との間にズレが生じている場合、RGB値間のズレには一定の傾向が存在しており、比較データの解析により、比較データと読出し期待値との間のズレの原因を推測可能である。より詳細には、比較データと読出し期待値との間のズレを複数のクラスに分類しておき、実際に生じているズレがどのクラスに対応するものであるかを特定することにより、ズレに対する有効な解決策を抽出することができる。図10の例でいえば、テーブル中の左下のエントリと同様の比較データが取得された場合には、「入力信号はフルレンジに、モニタ設定はリミテッドレンジになっていませんか?」のようなメッセージを、右上のエントリと同様の比較データが取得された場合には、「入力信号はリミテッドレンジに、モニタ設定はフルレンジになっていませんか?」のようなメッセージを検証システム1に提示させることができる。
【0068】
本実施形態によれば、作業者の習熟度によらずに、画質の劣化の解消に有効と考えられる解決策を抽出することができる。画素値間の不整合の型に応じた解決策のこのような抽出および提示は、ルールベースの方法により実現されてもよいし、機械学習を利用した学習済みモデルにより実現されてもよい。教師データを得ることは比較的に容易であり、機械学習を利用する場合には、過去の傾向に照らして問題箇所を推定する学習済みモデルを構築すればよい。
【0069】
なお、比較データと読出し期待値との間に不整合が生じているか否かの判定において、比較データと読出し期待値との間で複数の画素の画素値同士を比較する場合には、1つの画素の組にでも不一致が認められれば、比較データと読出し期待値との間にズレがあると判定してもよい。また、映像信号伝送の検証において複数の画素の画素値を利用する場合、第1コントローラ21によって取得された複数の画素値に統計処理を施した値と、読出し期待値との比較を実行してもよい。例えば、比較データ中の複数の画素値の平均値と、読出し期待値中のある画素に関する画素値との間での比較を実行し得る。比較データについて例えば第1画素を中心として3行3列の平均化フィルタを施し、第1画素に対応する読出し期待値中の画素の画素値との比較を行ってもよい。平均化の利用により、圧縮時のムラなどに起因する誤判定を回避し得る。
【0070】
第1コントローラ21によって取得された複数の画素値に対する統計処理は、出力装置100の解析部30または第2コントローラ12によって実行されてもよいし、表示装置200の第1コントローラ21によって実行されてもよい。第1コントローラ21により画素値に統計処理を施す場合、そのような統計処理が施されたデータは、第2伝送路20を介して第2コントローラ12に渡されてもよい。
【0071】
比較データの画素値または画素値に統計処理を施した値と、これに対応する読出し期待値の画素値との比較においては、これらが厳密に等しい場合のみを"一致"と判定するのではなく、比較される値の間の差が所定の範囲内である場合に、これらが等しいとみなして"一致"と判定してもよい。例えば、位置座標の共通する画素値同士の差が所定の範囲内である場合に、これらが一致していると判定してもよい。例えば、R、GおよびBのそれぞれに関して、読出し期待値からの比較データの画素値のズレが±3未満の場合に、"一致"と判定してもよい。
【0072】
映像信号の伝送に例えばYUVビデオ信号を適用した場合、出力装置100と表示装置200との間の設定に不整合がない場合であっても、デコード後の画素値に2~3程度のズレが生じることがあり得る。"一致"と判定される範囲に幅を持たせることにより、厳密すぎる基準に起因する誤判定を回避し得る。一致および不一致を判断するための閾値を事後的に柔軟に変更できるようにしておいてもよい。
【0073】
(エラー原因推定の例2)
上述のテストパターン42に代えて、あるいは、テストパターン42に加えて、図4に示すテストパターン43を使用することにより、ビット深度の不整合の有無を検出することが可能になる。図4を参照しながら説明したように、テストパターン43は、階調方向において画素値が1ずつ異なる4つのカラーパッチ、すなわち第1カラーパッチM1、第2カラーパッチM2、第3カラーパッチM3および第4カラーパッチM4を含んでいる。ビデオメモリ24の出力から取得された比較データにおいて、階調方向において画素値が1だけ異なる2つのカラーパッチ間の画素値の差が0超3未満であれば、出力装置100および表示装置200ともにビット深度の設定が10ビットとされているといえる。
【0074】
他方、もし、2つのカラーパッチ間の画素値の差が0または3以上である場合は、表示装置200のビット深度が8ビットに設定されている可能性がある。したがってこの場合、出力装置100の解析部30は、比較データが読出し期待値に一致していないと判定し、表示装置200の第1コントローラ21に指令を送り、「Bit深度が8ビットとなっています。もしも10ビットで表示する想定であればBit深度設定の誤りの可能性があります」のようなメッセージをディスプレイパネル28に表示させる。
【0075】
なお、ビット深度の不整合の有無の検出において、表示装置200のビデオ信号処理部26がレンジ拡張部62およびデコーダ64を備えていることは、必須ではない。他方、上述した、レンジの設定の不整合を検出しようとする場合には、ビデオ信号処理部26は、少なくともレンジ拡張部62を備えていればよい。表示装置200におけるレンジは、レンジ拡張部62の設定を第1コントローラ21によって変更することにより決定できる。
【0076】
(エラー原因推定の例3)
上述のように、あるカラーパッチに加えて、階調方向において画素値が所定の値以上異なる他のカラーパッチをも含むテストパターンを使用することにより、階調方向における設定ミスをあぶり出すことができる。これに代えて、あるいは、これに加えて、それぞれが有彩色の複数のカラーパッチを含むテストパターンを使用することにより、以下に説明するように、色方向における設定ミスを見つけ出すことが可能である。
【0077】
図11は、図5に示すテストパターン44を使用した場合に得られる比較データの第1の例を示す。図5を参照しながら説明したように、テストパターン44は、第1~第3領域として、それぞれが赤色、緑色または青色の単色で表現される3つのカラーパッチ、すなわち、第1カラーパッチR1、第2カラーパッチG2および第3カラーパッチB3を含んでいる。
【0078】
図11は、出力装置100および表示装置200において想定されている色域規格がそれぞれBT.709、DCI-P3およびBT.2020のいずれであるかに応じて、第1コントローラ21によって取得されるRGB値がどのように変化し得るかを具体的に示している。図11に示すテーブル中の左上、中央および右下の、対角のエントリ内のRGB値から理解されるように、出力装置100と表示装置200との間で色域規格に不整合がなければ、第1カラーパッチR1~第3カラーパッチB3のいずれについても、読出し期待値に一致した画素値の取得が期待される。言い換えれば、第1カラーパッチR1~第3カラーパッチB3のいずれの色合いも表示装置200上で正しく再現されるはずである。
【0079】
比較データとしてこのようなRGB値が取得された場合、解析部30は、出力装置100の色域規格と表示装置200の色域規格とが一致していると判定する。なお、出力装置100と表示装置200との間で色域規格の設定が一致しているか否かの判定において、比較データの画素値と読出し期待値の画素値との間の差が0である場合だけでなく、これらの差が所定の範囲内にある場合に画素値が一致していると判定してもよい。例えば、R、GおよびBの各色に関し、比較データの画素値が読出し期待値の画素値に対して±3未満の範囲内のある場合に、これらが一致していると判定してもよい。
【0080】
これに対し、図11に示すテーブル中の左上、中央および右下のエントリ以外のエントリ(すなわち非対角のエントリ)では、各カラーパッチに関するRGB値が読出し期待値のRGB値からズレている。例えば、出力装置100の色域規格がBT.2020に準拠したものであり、表示装置200の色域規格がBT.709に準拠したものである場合、各カラーパッチに関するRGB値は、テーブル中の左下のエントリに示すように読出し期待値のRGB値からズレる。図11に示す例では、各カラーパッチの画素に関する階調が512から3以上ズレている。したがって、例えばテーブル中の左下のエントリに示すような比較データが得られた場合には、出力装置100の例えば解析部30は、「色域設定の誤りの可能性があります。入力信号はBT.2020に、モニタ設定はBT.709になっていませんか?」のようなメッセージをディスプレイパネル28に表示させる。
【0081】
(エラー原因推定の例4)
図12は、図5に示すテストパターン44を使用した場合に得られる比較データの第2の例を示す。以下に説明するように、有彩色の複数のカラーパッチを含むテストパターンを使用することにより、比較データの傾向から、色域規格の設定の誤りの有無だけでなく、変換係数の誤りの有無を推定することも可能になる。
【0082】
これまでの説明から理解されるように、テストパターン44は、例えばYCbCrデジタル映像信号の形で第1伝送路10を介して出力装置100から表示装置200に伝送され得る。よく知られているように、RGB信号とYCbCr信号とは、所定の関係式を通じて相互に変換が可能である。ただし、これらの変換に用いられる関係式中の係数(以下、単に「変換係数」と呼ぶ)は、適用する色域規格に応じて異なる。テストパターンを表現するRGB信号からYCbCr信号への変換係数が正しく設定されていないと、意図した色合いを再現できない。
【0083】
図12に示すRGB値は、出力装置100および表示装置200において想定されている色域規格がそれぞれBT.709であるかあるいはBT.2020であるかに応じて取得され得る比較データの他の例である。変換係数が正しく設定されている場合、図12に示すテーブル中の対角のエントリ(左上のエントリおよび右下のエントリ)に示すように、各カラーパッチ中の画素のRGB値は、R、GおよびBのうちのいずれか1つについて、512に近い値を示し、残りの2つについては0に近い値を示す。なお、色域規格に不整合がない場合であっても画素値が厳密に512または0とならないのは、シフトレジスタを利用した乗除算、整数値への丸めなどの影響のためである。その意味で、R、GおよびBの各色について、比較データと読出し期待値との間で、位置座標の共通する画素の画素値の差が所定の範囲内にあれば、これらは一致していると判定してよい。例えば、比較データの画素値が読出し期待値の画素値に対して±3未満の範囲内にある場合に、これらが一致していると判定してもよい。
【0084】
これに対し、出力装置100と表示装置200との間で色域規格に不整合が生じている場合、表示装置200上で表現されるカラーパッチの色合いは、三原色の1つとされた本来の色合いからずれる。例えば、出力装置100の色域規格がBT.2020に準拠したものであり、表示装置200の色域規格がBT.709に準拠したものである場合、テーブル中の左下のエントリに示すように、各カラーパッチに関するRGB値が読出し期待値のRGB値からズレる。図12に示す例では、第1カラーパッチR1の第1画素に関する比較データは、(538,28,3)となっており、純粋な赤から色合いがズレていることがわかる。また、第3カラーパッチB3に含まれる画素の画素値も512から5以上ズレている。したがって、テーブル中の例えば左下のエントリに示すような比較データが得られた場合には、出力装置100の例えば解析部30は、「RGB to YCbCrの変換係数の誤りの可能性があります。入力信号はBT.2020に、モニタ設定はBT.709になっていませんか?」のようなメッセージをディスプレイパネル28に表示させ、作業者による再設定を促す。
【0085】
図11に示すテーブルおよび図12に示すテーブルのいずれも、図5に示すテストパターン44を使用した場合において第1コントローラ21によって取得されるRGB値の例である。読出し期待値と比較データの間の不整合が変換係数の誤りに起因するものであるか、あるいは色域規格の不整合に起因するものであるかは、実際に取得されたRGB値のセットがこれらのテーブルの非対角のエントリのいずれに近いかを調べることにより、判別が可能である。例えば、図12に示すテーブルに注目すると、テーブル中の各エントリに示された9つの数値の配列を3行3列の行列とみなしたとき、左下のエントリおよび右上のエントリは、あたかも上三角行列または下三角行列のようになっている。比較データにこのような傾向が見られる場合には、RGB信号からYCbCr信号への変換係数が正しく設定されていないことが強く疑われる。
【0086】
RGB信号からYCbCr信号への変換における変換係数は、デコーダ64(図8参照)の設定を第1コントローラ21によって変更することにより決定できる。その意味で、変換係数の誤りを検出するのであれば、表示装置200のビデオ信号処理部26は、デコーダ64を含んでいればよい。なお、色域規格の不整合を検出するにあたり、所定の条件が満足されるのであれば、上述のレンジ拡張部62およびデコーダ64をビデオ信号処理部26から省略し得る。表示装置200がフルレンジに設定されており、かつ、出力装置100から送られてくる信号がフルレンジのRGBフォーマットの信号であれば、第1コントローラ21がビデオメモリ24の出力から比較データとしてRGBフルデータを取得できるからである。
【0087】
なお、ここで説明した例では、第1カラーパッチR1、第2カラーパッチG2および第3カラーパッチB3の画素値は、いずれも512で共通である。ただし、複数のカラーパッチの間で画素値が等しいことは、必須ではない。変換係数の誤りまたは色域規格の不整合に起因する、読出し期待値からの比較データのズレの傾向を事前に把握していれば、複数のカラーパッチの間で画素値が等しいか否かに関わらず、信号伝送におけるエラーの原因の推定は可能である。
【0088】
以上に説明したように、本発明の実施形態によれば、所定の画素値を有するカラーパッチを含むテストパターンを適用することにより、階調方向の設定ミスの有無および/または色方向の設定ミスの有無、より詳細には、レンジ、ビット深度または色域規格に関する不整合、変換係数の誤りなどを検証可能である。例示したテストパターンは、独立して個別に使用されてもよいし、これらの2以上が組み合わされて単一のテストパターンの形で使用されてもよい。
【0089】
<5.検証システムの変形例>
上述したように、図1に例示する構成において、表示装置200は、液晶表示パネルのようなディスプレイパネル28を有している。比較データを取得する工程S2において、第1コントローラ21は、ビデオメモリ24に入力された第1信号に基づく画像(典型的にはテストパターン)をディスプレイパネル28に表示させてもよい。この時、第1信号に基づく画像を表示させるだけでなく、カーソル、テキストなどを画像に重畳させてディスプレイパネル28に表示させるようにしてもよい。第1コントローラ21は、例えば、出力装置100の第2コントローラ12からの指示を受けて、図13に模式的に示すように、第1信号に基づく画像(ここではテストパターン42)に重畳させて第1画素の位置座標と画素値とをディスプレイパネル28上に表示させてもよい。例えば、出力装置100に対する操作により、テストパターンに重畳させてカーソルを表示させて、画素値を取得しようとする画素をカーソルによって指定するようにしてもよい。カーソルの指し示す画素の位置座標および画素値をカーソルの近傍に表示させることにより、作業者は、直感的な操作で所望の画素の画素値(ここでは比較データ)を取得できるようになる。
【0090】
図14は、本発明の検証システムの第1の変形例を模式的に示す。図1に示す検証システム1と比較して、図14に示す検証システム1Aは、出力装置100に代えて、ディスプレイパネル18を有する出力装置100Aを含んでいる。このような構成によれば、出力装置100Aの第2コントローラ12は、例えばテストパターン42をこのディスプレイパネル18上に表示させることができる。
【0091】
上述した実施形態において、第2コントローラ12は、読出し期待値と比較データとの間の不整合の有無の判定に先立ち、テストパターン42中の指定した位置にある画素の画素値を取得している。すなわち、第2コントローラ12が読出し期待値の取得を実行している。テストパターン42中の画素(例えば第1画素)の画素値の取得は、ディスプレイパネル18上のテストパターン42にカーソルなどを重畳して表示させて、カーソル位置で画素を指定することにより実行されてもよい。このように、読出し期待値は、テストパターンの映像から抽出されてもよい。あるいは、読出し期待値は、メタデータの形でテストパターンの画像ファイルとともに予め用意されていてもよい。
【0092】
図14に例示する構成のように出力装置100Aがディスプレイパネル18を有する場合、比較データを取得する工程S2において、表示装置200のディスプレイパネル28に代えて、第1信号に基づく画像(例えばテストパターン42)に重畳させて第1画素の位置座標と画素値とを出力装置100Aのディスプレイパネル18に表示させるようにしてもよい。また、出力装置100Aがディスプレイパネル18を有する場合には、上述の解決策提示の工程S4において、解決策の提示が、第2コントローラ12の制御の下で出力装置100Aのディスプレイパネル18への表示を通して行われてもよい。このとき、第2コントローラ12は、解決策とともに、第1コントローラ21によって取得された画素値および取得の対象とされた画素の位置座標をディスプレイパネル18に表示させてもよい。指定した画素の画素値および位置座標の表示は、OSD上に限定されない。
【0093】
なお、図1および図14に例示する構成では、比較データの取得以外の部分に関わる制御を基本的に第2コントローラ12に担わせ得る。このような構成によれば、指定した位置の画素の画素値を抽出する機能を有する表示装置であれば、出力装置100または出力装置100Aをそのような表示装置に接続することにより、本発明の実施形態にかかる検証システムを構築して、上述の検証方法を適用することが可能になる。
【0094】
第2伝送路20を介して比較データを出力装置に送ること代えて、読出し期待値を表示装置が受け取り、表示装置の側でエラー有無の判定などの処理を実行してもよい。図15は、本発明の検証システムの第2の変形例を模式的に示す。図15に示す検証システム1Bは、出力装置100Bと、表示装置200Bと、これらを結ぶ第1伝送路10とを含んでいる。
【0095】
図14に示す出力装置100Aと同様に、検証システム1Bの出力装置100Bは、第2コントローラ12を有する。ただし、出力装置100Aとは異なり、検証システム1Bの出力装置100Bは、解析部30を有しない。他方、検証システム1Bの表示装置200Bは、第1コントローラ21に接続された解析部30Bを有している。解析部30Bは、第1コントローラ21の一部として実現されてもかまわない。
【0096】
表示装置200Bの解析部30Bは、上述の各例における解析部30と同様の機能を有する。図15に示す例において、解析部30Bは、第2コントローラ12によってメモリ14から取得されて第2伝送路20を介して第1コントローラ21に送られた読出し期待値と、第1コントローラ21によって取得された比較データとの比較を実行する。解析部30Bは、読出し期待値と比較データとの比較に基づき、これらのデータ間の不整合の有無を判定する。そして、データ間に不整合が生じているとの判定結果が得られた場合には、解析部30Bは、データ間の不整合の型に応じた解決策をユーザに提示する。解析部30Bは、例えば、表示装置200Bのディスプレイパネル28上に解決策を表示させる。
【0097】
なお、不整合の有無に関する判定の機能を実現する部分と、解決策提示の機能を実現する部分とが出力装置および表示装置の両方に分散して配置されていてもよい。図16に示す第3の変形例では、出力装置100Cと、表示装置200Cと、これらを互いに結ぶ第1伝送路10および第2伝送路20とから検証システム1Cが構築されている。
【0098】
図16に示す例において、出力装置100Cおよび表示装置200Cは、それぞれ、判定部33および解決策提示部34を有する。判定部33は、比較データと、読出し期待値との間の不整合の有無に関する判定の工程S3を実行し、解決策提示部34は、解決策提示の工程S4を実行する。図16に例示する構成においては、判定部33および解決策提示部34の組が、全体として解析部30Cの機能を実現している。
【0099】
これとは逆に、データ間の不整合の有無に関する判定の機能を実現する部分が表示装置側に配置され、解決策提示の機能を実現する部分が出力装置側に配置されてもよい。図17は、本発明の検証システムの第4の変形例による検証システム1Dを模式的に示す。検証システム1Dは、解決策提示部34を有する出力装置100Dと、判定部33を有する表示装置200Dとを含んでおり、解決策提示部34および判定部33の組から検証システム1Dの解析部30Dが実現されている。
【0100】
上述の各例では、読出し期待値の取得を出力装置の第2コントローラ12に実行させている。しかしながら、これらの例に限定されず、読出し期待値を表示装置側のメモリに予め準備しておいてもよい。例えば図15に示すように、表示装置が解析部30Bを有する構成によれば、第1信号を送出する出力装置に表示装置を接続することにより、上述した検証方法を表示装置の側で実行させることが可能である。このように、信号伝送の検証の手段は、本発明の検証方法を実行可能な表示装置の形で提供されてもよい。
【0101】
信号伝送の検証の手段は、本発明の検証方法をプロセッサなどに実行させるための指令が記載された検証プログラムの形で提供されてもよい。検証プログラムは、電気通信回線を通じて、あるいは、光学ディスクなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体に記録されて提供され得る。検証プログラムは、電気通信回線を通じてダウンロードされて、あるいは、光学ディスクから読み出されて、パーソナルコンピュータなどが備える記憶装置にインストールされ得る。検証プログラムのインストールされた例えばパーソナルコンピュータを、指定した位置にある画素の画素値を取得する機能を備えた表示装置に接続することにより、上述した実施形態の検証方法を実現し得る。
【符号の説明】
【0102】
1、1A~1D:検証システム、10:第1伝送路、12:第2コントローラ、14:メモリ、16:画像処理部、18:ディスプレイパネル、20:第2伝送路、21:第1コントローラ、22:ディスプレイパネル、24:ビデオメモリ、26:ビデオ信号処理部、28:ディスプレイパネル、30、30B~30D:解析部、33:判定部、34:解決策提示部、41~44:テストパターン、61:カラーマネジメント部、62:レンジ拡張部、63:エンコーダ、64:デコーダ、65:レンジ変換部、66:補正処理部、100、100A~100D:出力装置、200、200B~200D:表示装置、C1、M1、R1:第1カラーパッチ、C2、G2、M2:第2カラーパッチ、B3、C3、M3:第3カラーパッチ、M4:第4カラーパッチ
【要約】
表示装置への映像信号の伝送の過程で生じたエラーを作業者の習熟度に依存しない形で解消し得る検証システムを提供する。
本発明によれば、映像信号伝送の検証システムであって、表示装置と、第1伝送路と、出力装置と、解析部とを有し、表示装置は、第1コントローラを有し、解析部は、第1コントローラによって取得される比較データと、第1コントローラによって取得される値として期待される読出し期待値とを比較し、ここで、比較データは、第1伝送路を介して出力装置から表示装置に送られる第1信号から得られる、第1画素の画素値に関連したデータであり、第1信号は、第1画素を含む第1領域を有する第1画像を表現する映像信号であり、解析部は、比較データと読出し期待値との間の比較結果に不整合を見出した場合に、不整合の型に応じた解決策を表示装置のユーザに提示する、システムが提供される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17