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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】コンピュータシステムおよび設定方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/0806 20220101AFI20241220BHJP
【FI】
H04L41/0806
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022557211
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(86)【国際出願番号】 IB2020059635
(87)【国際公開番号】W WO2022079470
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】323001546
【氏名又は名称】楽天シンフォニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ラシナム バーラート
(72)【発明者】
【氏名】パケコ ドゥルス
(72)【発明者】
【氏名】アビシェク シン
(72)【発明者】
【氏名】アトリ ラウル
(72)【発明者】
【氏名】カンウィオカー クナル
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0280928(US,A1)
【文献】特開2020-065127(JP,A)
【文献】国際公開第2017/002735(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0127816(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0067767(US,A1)
【文献】特開2018-137695(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0238349(US,A1)
【文献】戸根 勤 TSUTOMU TONE,サーバー充実計画,日経NETWORK 第17号 ,日本,日経BP社 Nikkei Business Publications,Inc.,2001年08月22日,P.74-81
【文献】倉光 君郎,SOHO時代のUNIX管理と活用の記録(第3回),TRY!PC 第10巻 第3号 ,日本,CQ出版株式会社,1998年08月01日,第10巻,P.108-117
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 41/00
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取装置と、
前記読取装置とは通信ネットワークを介して通信接続される1以上のコンピュータを含む設定システムと、
を備え、
前記読取装置は、通信機器の識別情報を読み取り、前記通信機器の識別情報を前記通信ネットワークに送信し、
前記設定システムは、前記通信ネットワークを介して前記識別情報を受信し、記識別情報に基づき、前記通信機器が所定の対向装置と正しく接続されているか否かを確認し、
前記設定システムは、前記通信機器が所定の対向装置と正しく接続されていることが確認された場合に、前記通信機器の設定情報を前記通信機器に反映させ
前記設定システムは、前記通信機器への通信の到達性を確認することにより、前記通信機器の設定情報が前記通信機器に反映されたことを検出し、
前記設定システムは、前記通信機器の設定情報が前記通信機器に反映されたことが検出された場合に、前記通信機器に対する試験を実行する、
コンピュータシステム。
【請求項2】
前記設定システムは、第1コンピュータと、前記第1コンピュータと通信ネットワークを介して通信接続される第2コンピュータと、を少なくとも備え、
前記第1コンピュータが、前記通信機器の設定情報が前記通信機器に反映されたことを検出し、
第2コンピュータが、前記試験を実行する
請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
取装置と、前記読取装置と通信ネットワークを介して通信接続される1以上のコンピュータを含む設定システムとを備えるコンピュータシステムに通信機器に対する設定方法であって、
前記読取装置が、前記通信機器から当該機器の識別情報を読み取り、前記通信機器の識別情報を前記通信ネットワークに送信するステップと、
前記設定システムが、前記通信ネットワークを介して前記識別情報を受信し、記識別情報に基づき、前記通信機器が所定の対向装置と正しく接続されているか否かを確認するステップと、
前記設定システムが、前記通信機器が所定の対向装置と正しく接続されていると確認された場合に、前記通信機器の設定情報を前記通信機器に反映させるステップと、
前記設定システムが、前記通信機器への通信の到達性を確認することにより、前記通信機器の設定情報が前記通信機器に反映されたことを検出するステップと、
前記設定システムが、前記通信機器の設定情報が前記通信機器に反映されたことが検出された場合に、前記通信機器に対する試験を実行するステップと、
を備える設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、データ処理技術に関し、特にGC(Group Center)の設定に関するコンピュータシステムおよび設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信では、基地局、GC、およびデータセンタ(以下「CDC」(Central Data Center)とも呼ぶ。)に配置された通信機器が連携して、利用者のデータが伝送される。GCには、例えば、RAN(Radio Access Network)の機能を提供するCU(Central Unit)やDU(Distributed Unit)を含む多数の通信機器が配置される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-136788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、1つのGCにおける通信機器の設定には2~3日以上の期間を要しており、設定期間の短縮が求められている。
【0005】
本開示はこうした課題に鑑みてなされたものであり、1つの目的は、GCに配置される通信機器の設定を効率化する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様のコンピュータシステムは、GC(Group Center)に配置される読取装置と、GCとは異なる場所に配置されるオペレーションサポートシステムと、を備える。読取装置は、GCに配送された通信機器から当該機器の識別情報を読み取り、通信機器の識別情報をオペレーションサポートシステムへ送信し、オペレーションサポートシステムは、読取装置から送信された通信機器の識別情報をもとに、通信機器が所定の対向装置と正しく接続されているか否かを確認し、オペレーションサポートシステムは、通信機器が所定の対向装置と正しく接続されている場合に、通信機器の設定情報を通信機器に自動的に反映させる。
【0007】
本開示の別の態様は、設定方法である。この方法は、GC(Group Center)に配置される読取装置と、GCとは異なる場所に配置されるオペレーションサポートシステムとを備えるコンピュータシステムにおける設定方法であって、読取装置が、GCに配送された通信機器から当該機器の識別情報を読み取り、通信機器の識別情報をオペレーションサポートシステムへ送信するステップと、オペレーションサポートシステムが、読取装置から送信された通信機器の識別情報をもとに、通信機器が所定の対向装置と正しく接続されているか否かを確認するステップと、オペレーションサポートシステムが、通信機器が所定の対向装置と正しく接続されている場合に、通信機器の設定情報を通信機器に自動的に反映させるステップと、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を、装置、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを読み取り可能に記録した記録媒体などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、GCに配置される通信機器の設定を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は実施例の通信システムの構成を示す図である。
【0011】
図2図2は実施例の通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【0012】
図3図3図2に続く、通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【0013】
図4図4図3に続く、通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【0014】
図5図5図4に続く、通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【0015】
図6図6図5に続く、通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【0016】
図7図7図6に続く、通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施例では、移動体通信事業者(MNO:Mobile Network Operator)網のGCに配置される通信機器の効率的な設定(いわゆるZTP(Zero Touch Provisionig))を実現するコンピュータシステム(後述の通信システム10)を提案する。GCは、加入者線を収容する局であり、すなわち、所定のエリア内の加入電話からの回線を集約している加入者交換局である。GCは、物理的に加入者に近い位置にあるデータセンタであり、「エッジデータセンタ」とも言える。
【0018】
実施例のコンピュータシステム(後述の通信システム10)は、GCにおけるコミッショニングのプロセスをエンドツーエンドで自動化する。具体的には、実施例のコンピュータシステム(後述の通信システム10)は、GCに配置される複数種類の通信機器およびネットワーク機能(後述のTOR20、サーバ22、OOB24、vDU36、vCU38等)について、それぞれのセットアップと検証を自動化する。なお、通信機器は、通信機能を備えるデータ処理装置を意味し、例えば、スイッチやルータ等の中継装置を含み、また、サーバ等の情報処理装置を含む。
【0019】
図1は、実施例の通信システム10の構成を示す。通信システム10は、UE(User Equipment)12、基地局14、SW(SWitch)18、TOR(Top Of Rack)20、サーバ22、OOB(Out Of Band)24、導入チーム26、読取装置28、OSS(Operation Support System)42、オーケストレーションサーバ48、ネットワーク管理サーバ50、TFTP(Trivial File Transfer Protocol)サーバ52、コアネットワークシステム54、出荷チーム62を備える。導入チーム26および出荷チーム62は、人の集団である。これらの人の集団を除く各装置は、無線または有線の通信網を介して接続される。図1ではGC16を1つ描いているが、実際の通信システム10は、複数のGC16を備える。
【0020】
UE12は、移動体通信事業者と契約を結んだユーザ(加入者)により操作される移動可能な通信端末であり、例えば、スマートフォンやタブレット端末である。基地局14は、UE12と無線接続されることによって無線通信を実行する。
【0021】
SW18、TOR20、サーバ22、OOB24、導入チーム26、読取装置28は、GC16に配置される。SW18、TOR20、サーバ22、OOB24、読取装置28のそれぞれは、GC16に複数台配置されてもよい。SW18は、例えば、GC16の外部ネットワークと接続されるレイヤ2スイッチである。TOR20は、例えば、複数台のサーバ22が格納されるラックに設けられたレイヤ2スイッチである。
【0022】
OOB24は、管理用および/または監視用のネットワークに接続されるレイヤ2スイッチである。導入チーム26は、GC16において通信機器の設置作業や設定作業を実施する作業者を含む。導入チーム26は、作業者により操作される情報処理装置(PCやタブレット端末等)を携行してよい。これらの情報処理装置は、無線または有線の通信網を介してSW18に接続される。読取装置28は、スキャナ機能および通信機能を備える情報処理装置である。
【0023】
サーバ22は、GCにおける各種データ処理を実行する情報処理装置であり、SKU(Stock Keeping Unit)とも呼ばれる。サーバ22は、複数の機能ブロックとして、管理ノード30、VIM(Virtualized Infrastructure Manager)32、OpenStack34、vDU(virtual Distributed Unit)36、vCU(virtual Central Unit)38を備える。
【0024】
上記複数の機能ブロックは、ハードウェア的には、回路ブロック、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムをCPUが実行すること等により実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0025】
実施例では、上記複数の機能ブロックのそれぞれに対応するモジュールが実装されたコンピュータプログラムがネットワークを介してサーバ22のストレージにインストールされる。サーバ22のCPUは、各機能ブロックに対応するコンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、各機能ブロックに対応する機能を発揮する。なお、上記のコンピュータプログラムは、所定の記録媒体に格納されてもよく、その記録媒体を介してサーバ22のストレージにインストールされてもよい。
【0026】
管理ノード30は、VIM管理ノードともいえ、GC16に配置される複数台のサーバ22の中の1台にインストールされる。管理ノード30は、GC16に配置される複数台のサーバ22におけるVIMの動作を管理し、制御する。VIM32は、物理マシンおよび仮想マシンをネットワーク資源として管理するシステムである。OpenStack34は、クラウドコンピューティングの基盤を構築するためのソフトウェアであり、仮想マシンやストレージ、ネットワーク等を統合的に管理する。
【0027】
vDU36とvCU38は、仮想化されたRAN(すなわちvRAN(virtual RAN))の機能を提供するソフトウェアである。vDU36は、DU(リモート局)の機能を提供するソフトウェアである。vCU38は、CU(集約基地局)の機能を提供するソフトウェアである。
【0028】
OSS42、オーケストレーションサーバ48、ネットワーク管理サーバ50、TFTPサーバ52、コアネットワークシステム54は、CDC40に配置される。CDC40は、通信網を介して複数のGC16と接続され、複数のGCに関するデータを処理するデータセンタである。例えば、CDC40は、複数のGCで受け付けられた通信データを集約して処理するデータセンタである。CDC40に配置されるシステムおよびサーバの機能は仮想化されてよく、CDC40における物理的なハードウェア構成に制限はない。
【0029】
OSS42は、通信システム10全体の運用を支援する情報処理システムである。OSS42は、OSS-SF(Siteforge)44とOSS-FS(Foresight)46とを備える。「Siteforge」および「Foresight」は、製品名であり、また、商標または登録商標である。実施例では、OSS-SF44とOSS-FS46は、異なるソフトウェアモジュールとして実装されるが、単一のソフトウェアモジュールとして実装されてもよい。
【0030】
オーケストレーションサーバ48は、GC16の通信機器のセットアップ等に関するオーケストレーション機能を提供する情報処理装置である。ネットワーク管理サーバ50は、GC16におけるネットワーク情報を管理する情報処理装置である。ネットワーク管理サーバ50は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバの機能を含む。TFTPサーバ52は、ファイルサーバとして機能する情報処理装置である。
【0031】
コアネットワークシステム54は、LTE(Long Term Ecolition)または第5世代移動通信システム(以下「5G」と呼ぶ。)のコアネットワーク機能を提供するコンピュータシステムである。例えば、コアネットワークシステム54は、UDM(Unified Data Management)、AMF(Access and Mobility Management Function)、SMF(Session Management Function)等の機能を含んでもよい。
【0032】
通信システム10では、UE12から送信された通信データは、基地局14、GC16のvDU36およびvCU38、CDC40のコアネットワークシステム54を介して外部ネットワーク(インターネット等)へ送信される。
【0033】
倉庫60は、出荷前の通信機器(TOR20、サーバ22等)を保管する倉庫である。倉庫60には、出荷チーム62が配置される。出荷チーム62は、GC16への通信機器の出荷に関する作業を行う作業者を含む。出荷チーム62は、作業者により操作される情報端末(PCやタブレット端末等)を携行してよい。これらの情報処理装置は、無線または有線の通信網を介してOSS42に接続される。
【0034】
以下、GC16における通信機器の設定に関する動作を説明する。
図2は、実施例の通信システム10の動作を示すシーケンス図である。OSS-SF44は、GC設定業務を担当する担当者のログインを受け付ける(S10)。OSS-SF44は、担当者の操作に応じて、構築対象のGC(以下「GC16」とする。)に関するGC詳細データを生成する(S12)。OSS-SF44は、GC詳細データをOSS42の記憶部(データベース等)に格納する。なお、記憶部は、OSS42の外部に設けられた記憶装置であってもよい。
【0035】
GC詳細データは、GC16の名称、種別、ID、位置情報を含む。また、GC詳細データは、GC16に配置される1つ以上のPOD(Point Of Delivery)のIDを含む。PODは、GC16に配置される通信機器のグループである。例えば、PODは、1台のTOR20と、複数台のサーバ22の組であってもよい。GC詳細データのGC種別は、(1)GCに設置されるべき通信機器の種類と個数、(2)GCにおける複数の通信機器の接続態様(例えばどの通信機器とどの通信機器を接続するか等)、(3)GCに設けられる1つ以上のPODの態様、に予め対応付けられる。言い換えれば、GC種別は、上記(1)~(3)を一意に識別可能な情報である。
【0036】
OSS-SF44は、GC詳細データを作成したことをOSS-FS46へ通知する(S14)。OSS-FS46は、通信機器の出荷指示を出荷チーム62へ通知する(S16)。例えば、OSS-FS46は、通信機器の出荷指示を含む電子メールを出荷チーム62の情報端末へ送信してもよい。出荷チーム62は、OSS42に記憶されたGC16のGC詳細データ(GC種別等)に基づいて、GC16に配置すべき複数の通信機器について各通信機器の種類と個数を識別する。出荷チーム62は、GC16に配置すべき複数の通信機器をGC16へ出荷する(S18)。出荷チーム62(出荷チーム62の情報端末)は、通信機器の出荷完了をOSS-SF44へ通知する。
【0037】
図3は、図2に続く、通信システム10の動作を示すシーケンス図である。OSS-SF44は、出荷完了通知を受け付けると、GC計画データの作成指示をOSS-FS46へ送信する(S22)。OSS-FS46は、予め記憶されたGC16のGC詳細データ(GC種別等)に基づいて、GC16に配置する複数の通信機器について各通信機器の種類と個数を識別する。OSS-FS46は、GC16に配置する各通信機器に関する属性情報を含むGC計画データを生成する(S24)。この属性情報は、各通信機器に付与するIPアドレスやホスト名を含む。
【0038】
OSS42の記憶部は、既存のGCに配置した既存の通信機器に割当済のIPアドレスとホスト名を記憶する。OSS-FS46は、GC計画データの作成時、上記記憶部を参照して、GC16に配置する各通信機器に対して、既存の通信機器に未割当の(すなわちユニークな)IPアドレスとホスト名を自動的に割り当てる。これにより、通信システム10内でのIPアドレスとホスト名の重複(言い換えれば競合)を確実に回避することができる。OSS-FS46は、GC16におけるネットワーク構築作業の指示をGC16の導入チーム26へ通知する(S26)。OSS-FS46は、上記作業の指示を含む電子メールを導入チーム26の情報処理装置へ送信してもよい。
【0039】
導入チーム26は、読取装置28を操作して、GC16に配送された各通信機器の情報を読取装置28に読み取らせる(S28)。ここで読み取り対象となる情報は、各通信機器の物理的な実体・個体に対して割り当てられた物理的な識別情報であり、製品コードとMACアドレスを含む。具体的には、読取装置28は、スキャナ機能により、各通信機器(TOR20、サーバ22等)に貼付されたラベルから各通信機器の物理的な識別情報(製品コード、MACアドレス等)を読み取る(S30)。読み取る情報は、例えばバーコードや二次元コードである。読み取る情報は、数字の刻印やRFタグから得られる電子的情報(電子データ)であってよい。読取装置28は、各通信機器から読み取った各通信機器の物理的な識別情報をOSS-SF44へ送信する(S32)。OSS-SF44は、読取装置28から送信された、GC16に配置される各通信機器の物理的な識別情報をOSS42の記憶部に格納する(S34)。
【0040】
GC16の導入チーム26は、OSS-SF44に記憶されたGC16のGC詳細データを参照し、そのGC詳細データ(GC種別等)に基づいて、GC16に配送された複数の通信機器を通信ケーブルにて接続し、GC16のネットワークを構築する(S36)。導入チーム26は、GC16に配置された複数の通信機器の電源をオンする(S38)。導入チーム26は、手作業によるGC受け入れ試験を実施する(S40)。
【0041】
手作業によるGC受け入れ試験は、GC16に配置された複数の通信機器の物理的な構成が正しいかを人が確認する作業である。例えば、手作業によるGC受け入れ試験は、(1)通信ケーブルが通信機器と正しく接続されているか、(2)各通信機器に正しくラベルが貼付されているか、(3)各通信機器に設けられたインジケータランプ(LED等)が正常動作(点灯等)しているかの確認を含む。導入チーム26(導入チーム26の情報端末)は、手作業によるGC受け入れ試験の結果をOSS-SF44へ送信する(S42)。
【0042】
図4は、図3に続く、通信システム10の動作を示すシーケンス図である。OSS-SF44は、導入チーム26から通知された手作業によるGC受け入れ試験の結果をOSS42の記憶部に格納する(S44)。OSS-SF44は、ケーブルマトリックスチェックの実施をOSS-FS46に指示する(S46)。OSS-FS46は、読取装置28から送信されたGC16に配置される複数の通信機器の物理的な識別情報をもとに、ケーブルマトリックスチェックとして、GC16の各通信機器が所定の対向装置と正しく接続されているか否かを確認する(S48)。
【0043】
具体的には、OSS-FS46は、CDP(Cisco Discovery Protocol)を用いて、GC16に配置された複数の通信機器(TOR20、サーバ22等)のそれぞれについて、どのポートにどの機器(MACアドレス)が接続されているかをマッピングする。また、OSS-FS46は、GC16に配置された複数の通信機器それぞれの製品コードおよびMACアドレスと、上記マッピングの結果とに基づいて、GC16の各通信機器が所定の対向装置と正しく接続されているか否か、すなわち、GC16のGC種別に適合した接続態様であるか否かを確認する。
【0044】
ケーブルマトリックスチェックにおいてエラーが検出された場合、すなわち、GC16における通信機器の接続が正しくないことが検出された場合、OSS-FS46は、そのエラーをOSS-SF44へ通知する(S50)。OSS-SF44は、エラーの修正を担当するチームに修正タスクを割り当てる(S52)。修正タスクが割り当てられたチームは、例えば、GC16において通信機器の接続態様を修正する。OSS-SF44は、エラーの修正が完了したことをOSS-FS46へ通知する(S54)。
【0045】
後述するように、OSS-FS46は、ケーブルマトリックスチェックが成功した場合(エラーが修正された場合を含む)、言い換えれば、GC16の各通信機器が所定の対向装置と正しく接続されている場合に、GC16の各通信機器の設定情報を各通信機器に自動的に反映させる自動コミッショニング処理を実行する。このように、GC16に配置された通信機器の接続態様が正しいことを条件として自動コミッショニング処理を実行することにより、自動コミッショニング処理を開始後のエラーの発生と、当該エラーの修正に伴う手戻りの発生を抑制することができる。
【0046】
図4の説明に戻る。OSS-FS46は、ケーブルマトリックスチェックが成功した場合、または、エラーの修正完了が通知された場合、サーバ22に関する自動ヘルスチェック処理を実行する(S56)。自動ヘルスチェック処理は、メモリ、ディスクサイズ、電源ステータスの正常性確認を含む。自動ヘルスチェック処理にて異常が検出された場合、ケーブルマトリックスチェックにおける異常検出時と同様に、OSS-FS46は、検出した異常をOSS-SF44へ通知する。OSS-SF44は、所定のチームに異常への対応を依頼し、サーバ22を正常な状態に移行させる。
【0047】
OSS-FS46は、S24で生成したGC計画データが示すIPアドレスおよびホスト名を、GC16に配置された複数台のサーバ22のそれぞれに割り当てる(S58)。OSS-FS46は、GC16のGC種別、GC16の各通信機器のIPアドレスとホスト名、およびケーブルマトリックスチェックの結果(例えば、どのポートにどの機器が接続されているかを示すデータ)をもとに、TOR20の設定情報を生成する(S60)。TOR20の設定情報は、例えば、TOR20のホスト名、MACアドレステーブルのデータ、ARPテーブルのデータ、VLANに関するデータ、優先制御に関するデータを含んでもよい。OSS-FS46は、TORに対する自動コミッショニング処理の実行を自動承認する(S62)。自動承認を行うことで、手動介入により誤って「拒否」が入力されてしまうこと、また「拒否」の入力に伴う時間の浪費を回避することができる。
【0048】
図5は、図4に続く、通信システム10の動作を示すシーケンス図である。同図は、1台のTOR20の自動コミッショニング処理の流れを示している。GC16に複数台のTOR20が配置される場合、各TOR20の設定情報の生成、自動承認、図5の自動コミッショニング処理が並行して実行されてもよい。また、GC16に配置されるサーバ22(または複数台のサーバ22)についても同様に、設定情報の生成、自動承認、自動コミッショニング処理が実行(または並行して実行)されてもよい。また、GC16に配置されるOOB24(または複数台のOOB24)についても同様に、設定情報の生成、自動承認、自動コミッショニング処理が実行(または並行して実行)されてもよい。この自動コミッショニングの処理により、全国に点在する複数のGCを地域的制限なく、同時多発的にセットアップし、検証することができる。
【0049】
OSS-FS46は、TOR20に割り当てたIPアドレス、TFTPサーバ52のIPアドレス、および後述のTOR設定ファイルのファイル名を含むDHCPプールのデータをオーケストレーションサーバ48へ送信する(S64)。オーケストレーションサーバ48は、上記DHCPプールの生成をネットワーク管理サーバ50に指示する(S66)ネットワーク管理サーバ50は、上記DHCPプールを生成し、上記DHCPプールの生成完了をオーケストレーションサーバ48へ通知する(S68)。オーケストレーションサーバ48は、上記DHCPプールの生成完了をOSS-FS46へ通知する(S69)。
【0050】
OSS-FS46は、S60で生成したTOR20の設定情報(TOR20のホスト名等)を含むファイル(「TOR設定ファイル」とも呼ぶ。)をTFTPサーバ52にアップロードする(S70)。OSS-FS46は、TOR登録要求をオーケストレーションサーバ48へ送信する(S72)。オーケストレーションサーバ48は、TOR登録要求を受け付けると、TOR20のホスト名を指定したpingリクエストをTOR20(GC16のネットワーク)へ送信する(S74)。オーケストレーションサーバ48は、このpingリクエストを定期的(例えば15分おき)に繰り返す(S76)。
【0051】
TOR20は、DHCPディスカバー/リクエストをネットワーク管理サーバ50へ送信する(S78)。ネットワーク管理サーバ50は、TOR20に割り当てたIPアドレス、TFTPサーバ52のIPアドレス、およびTOR設定ファイルのファイル名を含むDHCPオファー/ACKをTOR20へ送信する(S80)。TOR20は、DHCPオファー/ACKに含まれるTOR設定ファイルのファイル名を指定したTOR設定ファイルのダウンロード要求をTFTPサーバ52へ送信する(S82)。TFTPサーバ52は、ダウンロード要求で指定されたファイル名により識別されるTOR設定ファイルをTOR20へ送信する(S84)。
【0052】
TOR20は、TFTPサーバ52から提供されたTOR設定ファイルが示す設定情報を自機に反映させる。例えば、TOR20は、設定情報に含まれるホスト名を自機の環境データに設定し、また、設定情報に含まれる各種テーブルデータを自機の記憶部に格納してもよい。TOR20は、自律的に再起動する(S88)。再起動後のTOR20は、TOR設定ファイルが示す設定情報を反映した動作を実行する。
【0053】
オーケストレーションサーバ48は、TOR20のホスト名を指定したpingリクエストをTOR20(GC16のネットワーク)へ送信する(S90)。TOR20は、pingレスポンスをオーケストレーションサーバ48へ送信する(S92)。オーケストレーションサーバ48は、TOR20からのpingレスポンスを受け付けると、TOR20の設定完了をOSS-FS46へ通知する(S94)。
【0054】
このように、オーケストレーションサーバ48は、GC16の通信機器(図5ではTOR20)への通信の到達性を定期的に確認することにより、通信機器の設定情報が当該通信機器に反映された場合にそのことを検出し、通信機器の設定情報が当該通信機器に反映されたことをOSS42へ通知する。後述するように、OSS42は、通信機器の設定情報が当該通信機器に反映されたことが通知された場合、通信機器への通信の到達性確認を含むGC受け入れ試験を自動で実行する。これにより、GC16に配置された通信機器に対する遠隔からの自動試験を適切なタイミングで実行することができる。
【0055】
図6は、図5に続く、通信システム10の動作を示すシーケンス図である。OSS-FS46は、TOR20の設定完了(自動コミッショニング処理の完了)が通知されると、GC受け入れ試験を自動で実行する(S96)。GC16に配置される複数の通信機器に対する自動コミッショニング処理を実行する場合、OSS-FS46は、自動コミッショニング処理の対象となった全ての通信機器に対する自動コミッショニング処理の完了が通知されたことを条件としてGC受け入れ試験を実行してもよい。
【0056】
GC受け入れ試験は、OOB24に遠隔ログインして行うOOB24の受け入れ試験と、TOR20に遠隔ログインして行うTOR20の受け入れ試験とを含む。OOB24の受け入れ試験は、(1)OOB24のソフトウェアバージョンの検証(最新バージョンであるか、または、GC種別に適合するバージョンであるか等)、(2)ポートが接続状態であるかの確認、(3)外部機器へのping試験を含む。TOR20の受け入れ試験は、(1)TOR20のソフトウェアバージョンの検証(最新バージョンであるか、または、GC種別に適合するバージョンであるか等)、(2)温度状態の確認、(3)ポートが接続状態であるかの確認、(4)外部機器へのping試験、(5)アラームの検証を含む。
【0057】
OSS-FS46は、GC受け入れ試験の結果をOSS-SF44へ送信する(S98)。OSS-SF44は、GC受け入れ試験の結果をOSS42の記憶部に格納する(S100)。OSS-FS46は、S10で作成されたGC詳細データ、S24で生成されたGC計画データ、S34で記憶された各通信機器の物理的な識別情報等に基づいて、VIM32とOpenStack34のセットアップデータを生成する(S102)。例えば、OSS-FS46は、GC詳細データが示すGC種別に対応するセットアップデータのテンプレートに対して、GC計画データが示すIPアドレスや、各通信機器のMACアドレス等をパラメータとして設定することにより、VIM32とOpenStack34のセットアップデータを生成してもよい。
【0058】
OSS-FS46は、VIM32のセットアップを自動承認する(S104)。OSS-FS46は、サーバ22にリモートログインして、サーバ22のファームウェアを更新する(S106)。ファームウェアの更新は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SSD(Solid State Drive)、NIC(Network Interface Card)、BIOS(Basic Input/Output System)、ファイアウォールの更新を含む。
【0059】
OSS-FS46は、管理ノード30(VIM管理ノード)のインストール指示をサーバ22へ送信する(S108)。サーバ22は、管理ノード30をインストールする。OSS-FS46は、GC16に配置される複数台のサーバ22のうち1台のサーバ22に管理ノード30をインストールさせる。GC16の1台のサーバ22にインストールされた管理ノード30は、GC16の複数台のサーバ22にVIM32をインストールする(S112)。
【0060】
GC16に配置される複数台のサーバ22のそれぞれは、VIM32のインストールに成功すると、VIM32のインストール成功をOSS-FS46へ通知する(S114)。GC16に配置される全てのサーバ22からVIM32のインストール成功が通知されると、OSS-FS46は、GC受け入れ処理を実行する(S116)。OSS-FS46は、GC受け入れ完了をOSS-SF44に通知する(S118)。OSS-SF44は、GC受け入れ完了を示す情報をOSS42の記憶部に格納する(S120)。
【0061】
図7は、図6に続く、通信システム10の動作を示すシーケンス図である。OSS-FS46は、S116のGC受け入れ処理が完了すると、OpenStack34のセットアップの開始を自動承認する(S122)。OSS-FS46は、OpenStack34のインストールを指示するデータをオーケストレーションサーバ48へ送信する(S124)。オーケストレーションサーバ48は、OpenStack34のインストールをサーバ22に指示する(S126)。S126の処理は、仮想マシンイメージファイルをサーバ22へ送信することを含んでもよい。サーバ22のOpenStack34は、仮想マシンイメージファイルをもとに、仮想マシンインスタンスを生成してもよい。
【0062】
オーケストレーションサーバ48は、OpenStack34のインストール状況(仮想マシンインスタンス生成状況を含む)を所定時間(例えば15分)おきに繰り返しサーバ22に問い合わせる(S128)(S130)。OpenStack34のインストール(仮想マシンインスタンスの生成を含む)が完了すると、サーバ22は、OpenStack34のインストール成功をオーケストレーションサーバ48に通知する(S132)。オーケストレーションサーバ48は、OpenStack34のインストール成功をOSS-FS46に通知する(S134)。
【0063】
OSS-FS46は、オーケストレーションサーバ48と連携して、GC16における異常発生時のアラートを設定し、また、GC16におけるバックアップ等の定期ジョブ(cronジョブ等)を設定する(S136)。OSS-FS46は、GC16の複数のサーバ22にインストールされたVIM32に対する試験を実行する(S138)。この試験は、各サーバ22のVIM32のインストールステータスの確認を含む。
【0064】
OSS-FS46は、GC16の通信機器に対して割当可能なIPアドレスの範囲を示すDHCPプール(IPアドレスプール)のデータを生成する(S140)。OSS-FS46は、DHCPプールのデータをオーケストレーションサーバ48へ送信する(S142)。OSS-FS46は、ネットワーク管理サーバ50に対してDHCPプールを登録する(S144)。オーケストレーションサーバ48は、DHCPプールの設定完了をOSS-FS46へ通知する(S146)。OSS-FS46は、vRAN機能(すなわちvDU36とvCU38)をサーバ22にインストールする(S148)。例えば、OSS-FS46は、vDU36のプログラムとvCU38のプログラムをサーバ22へ送信し、サーバ22にそれらのプログラムをインストールしてもよい。
【0065】
実施例の通信システム10によると、GC16における通信機器の設定における手動介入を低減し、GC16における通信機器の設定を効率化して、その設定に要する時間を大幅に短縮するとともに、全国に点在する複数のGCを地域的制限なく、同時多発的にセットアップし、検証することができる。例えば、実施例の通信システム10によると、1つのGC16における通信機器の設定を9時間から10時間程度で完了でき、これを全国で同時多発的に実行することができる。
【0066】
また、実施例の通信システム10は、複数のGC16における通信機器の設定を並行して実行する構成とすることもできる。例えば、OSS42は、複数のGC16に配置される複数の読取装置28から送信された各GC16の通信機器の物理的な識別情報(MACアドレス等)をもとに、各GC16の通信機器が所定の対向装置と正しく接続されているか否かを確認する処理を並行して実行してもよい。すなわち、OSS-SF44とOSS-FS46は、複数のGC16に関するケーブルマトリックスチェック(図4のS48)を並行して実行してもよい。
【0067】
また、OSS42は、各GC16の通信機器が所定の対向機器と正しく接続されている場合に、各GC16の通信機器の設定情報を各GC16の通信機器に自動的に反映させる処理を並行して実行してもよい。すなわち、OSS-SF44とOSS-FS46は、複数のGC16に配置された通信機器に対する自動コミッショニング処理(図5)を並行して実行してもよい。複数のGC16における通信機器の設定を並行して実行することにより、例えば、30局から40局のGC16に対する設定処理を同時に進めることができる。
【0068】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の技術の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0069】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示の技術は、GC(Group Center)に配置される通信機器の設定に関わる装置またはシステムに適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
10 通信システム、16 GC、20 TOR、22 サーバ、24 OOB、28 読取装置、40 CDC、42 OSS、48 オーケストレーションサーバ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7