(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】標示看板
(51)【国際特許分類】
E01F 9/553 20160101AFI20241220BHJP
E01F 9/524 20160101ALI20241220BHJP
E01F 9/576 20160101ALI20241220BHJP
【FI】
E01F9/553
E01F9/524
E01F9/576
(21)【出願番号】P 2024008342
(22)【出願日】2024-01-04
【審査請求日】2024-01-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519406050
【氏名又は名称】白出商事株式会社
(72)【発明者】
【氏名】白出 敦子
(72)【発明者】
【氏名】安達 智人
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-136371(JP,U)
【文献】登録実用新案第3086765(JP,U)
【文献】登録実用新案第3124661(JP,U)
【文献】特開2002-275839(JP,A)
【文献】特開平11-235675(JP,A)
【文献】実開平01-087477(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/553
E01F 9/524
E01F 9/576
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射材により所要の情報を標示する標示面部を有し、前記標示面部とは反対側の面に第一のシート状のゴム磁石層が接着されてなる標示材と、縁石の少なくとも切り下げ部を含む側面と上部面の少なくともいずれかに、前記標示材の接合手段を有する標示看板において、
前記接合手段は、縁石の少なくとも切り下げ部を含む側面と上部面の少なくともいずれかの表面に設けられてなる、接着剤層によって接合されてなる第二のシート状のゴム磁石層と、
前記標示材と前記第一の
シート状のゴム磁石層と前記第二の
シート状のゴム磁石層の厚さを合計した高さと略同じ高さの柱状部と、前記柱状部と一体に形成され、面積が前記柱状部よりも大きく、高さが前記接着剤層の厚みと略同じである基部と、前記柱状部に設けられてなる雌ネジと、を有し、前記柱状部が、前記標示材と前記第二の
シート状のゴム磁石層とを連通する貫通孔に配され、前記基部が前記接着剤層に埋め込まれてなる第一の接合手段と、
前記第一の接合手段の前記雌ネジに螺合する雄ネジと、前記雌ネジに螺合しないで露出する部分に貫通孔を有する第二の接合手段と、
略
E字形状を有し、中央の突起が前記貫通孔に貫通する構成の係止ピンを有することを特徴とする、標示看板。
【請求項3】
前記第一のシート状のゴム磁石層と、前記第二のシート状のゴム磁石層の対向する面に、互いに係合する凹凸が形成されてなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の標示看板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縁石に設置される標示看板に関し、特に反射材からなる標示部が、設置面に着脱可能な構成を有する標示看板に関する。
【背景技術】
【0002】
看板には立て看板や置き看板があり、公共的周知や工事中の案内及び注意喚起、宣伝広告などの情報を標示するものである。
【0003】
このような立て看板や置き看板の方法は、道路の占有面積が大きくなり公衆安全を確保するための対策も必要となる。例えば悪天候による飛散を防止するための重りをつけるなどが一例である。また、反射材を粘着剤等で直接貼り付け、或いはペイントをした場合、単に視認性を求めようとする考え方に基づくものであり、その他の方法は考慮されていなかった。
【0004】
このような状況への対処策の一つとして、特許文献1には、縁石の上部に反射材を粘着剤等で直接貼り付けして、歩行者などのに危険喚起をするようにしたものがあり、特許文献1には、道路周辺に設置され、ドライバーに対して視線誘導や道路線形の明確化を促すための縁石鋲であって、再帰反射体が具備されるとともに前記再帰反射体の外面には蓄光顔料を含有する透明な樹脂層が設けられていることを特徴とする縁石鋲が開示されている。
【0005】
しかし、ここに開示されている縁石鋲は、簡単に接着剤で縁石に貼り付けすることができるが、縁石の切下げ部は多種多様な形状があり、接着剤で貼り付け難く、貼り付ける場所が、縁石の上部面などの平面などに限定され、しかも一部でも損傷すると、全体の交換が必要になり、コストが嵩むという、検討すべき課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、前記の課題に鑑み、縁石への貼り付け位置の制限が少なく、損傷を受ける頻度が高い部分のみを、簡単に交換できる標示看板を提供することにある。
【0008】
本発明者は、前記課題の解決のため、標示看板の構造と縁石への取り付け方法を鋭意検討した結果、本発明をなしたものである。
【0009】
上記課題を解決するための、本発明の一態様に係る標示看板は、反射材により所要の情報を標示する標示面部を有し、前記標示面部とは反対側の面に第一のシート状のゴム磁石層が接着されてなる標示材と、縁石の少なくとも切り下げ部を含む側面と上部面の少なくともいずれかに、前記標示材の接合手段を有する標示看板において、前記接合手段は、縁石の少なくとも切り下げ部を含む側面と上部面の少なくともいずれかの表面に設けられてなる、接着剤層によって接合されてなる第二のシート状のゴム磁石層と、前記標示材と前記第一のシート状のゴム磁石層と前記第二のシート状のゴム磁石層の厚さを合計した高さと略同じ高さの柱状部と、前記柱状部と一体に形成され、面積が前記柱状部よりも大きく、高さが前記接着剤層の厚みと略同じである基部と、前記柱状部に設けられてなる雌ネジと、を有し、前記柱状部が、前記標示材と前記第二のシート状のゴム磁石層とを連通する貫通孔に配され、前記基部が前記接着剤層に埋め込まれてなる第一の接合手段と、前記第一の接合手段の前記雌ネジに螺合する雄ネジと、前記雌ネジに螺合しないで露出する部分に貫通孔を有する第二の接合手段と、略E字形状を有し、中央の突起が前記貫通孔に貫通する構成の係止ピンを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様に係る標示看板は、前記第一のシート状のゴム磁石層の厚みが0.8~2.8mm、前記第二のシート状のゴム磁石層の厚みが、3.0~5.0mm、前記接着剤層の厚みが0.8~1.0mmであることを特徴とする、
【0011】
また、本発明の一態様に係る標示看板は、前記第一のシート状のゴム磁石層と、前記第二のシート状のゴム磁石層の対向する面に、互いに係合する凹凸が形成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る標示看板は、縁石の少なくとも切り下げ部を含む側面と、上部面の少なくともいずれかの形状に合わせ配置可能で、前記標示看板に所定の情報を標示する、前記標示面部を着脱可能に接合する手段を有するので、標示面部の入れ替えを容易に行え、前記標示看板自体の道路空間の占有面積を小さくすることができる。標示面部が交換可能であることは、道路の縁石という損傷を受け易い環境で用いるという意味からも重要である。
【0013】
また、本発明に係る標示看板においては、接合手段を構成するシート状のゴム磁石の接合面側には、互いに係合する凹凸を設けることも可能であり、惟男によって接合面間のずれを防止することが抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】 本発明に係る標示看板の一例を、縁石の斜面に取り付けた例を示す斜視図
【
図2】 本発明の標示材の断面の一例の詳細を示す図
【
図3】 第一の接合手段3の一例を示す図、
図3(a)は平面図、
図3(b)は正面の断面図
【
図4】 第二の接合手段4の一例を示す図、
図4(a)は平面図、
図4(b)は正面図
【
図5】 本発明に係るE字形状の係止ピン6の一例を示す平面図
【
図6】 E字形状の係止ピンを、第二の接合手段の貫通孔に挿通した状態を示す斜視図
【
図7】 第一のシート状のゴム磁石層と第二のシート状ゴム磁石層の対向する面に互いに係合する凹凸を付与した状態を示す斜視図
【
図8】 発明に係る、第一のシート状のゴム磁石層と、第二のシート状のゴム磁石層の着磁状態の一例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について、具体的な図を参照しながら、説明する。
図1は本発明に係る標示看板の一例を、縁石の斜面に取り付けた例を示す斜視図、
図2は、本発明の標示材の断面の一例の詳細を示す図である。
【0016】
これらの図に示されるように、標示材1は、標示面部1aと第一のシート状のゴム磁石層1bから構成されている。標示面部1aに用いられる反射材の方式には、再帰反射、拡散反射、鏡面反射などがあり、道路標識に多用されている、再帰反射方式の反射板が望ましい。
【0017】
また、標示材1の縁石5の表面への接合には、接着剤層2aにより縁石5の表面に接合されている、第二のシート状のゴム磁石層2が用いられる。第一のシート状のゴム磁石層と第二のシート状のゴム磁石層には、磁石の粉末をゴムに分散させたものが用いられるが、磁石の材質としては、屋外での耐久性やコストの面から、フェライト系のものが望ましい。
【0018】
図3は、
図1と
図2に示した第一の接合手段3の一例を示す図で、
図3(a)は平面図、
図3(b)は正面の断面図である。また、
図4は、同じく
図1と
図2に示した第二の接合手段4の一例を示す図で、
図4(a)は平面図、
図4(b)は正面図である。
【0019】
第一の接合手段3の基部3bは、
図2示したように接着剤層2aに埋め込まれるように配され、柱状部3aは、標示材1、つまり標示面
図1aと第一のシート状のゴム磁石層1bと、第二のシート状ゴム磁石層2を連通する貫通孔に配され、内部に雌ネジ3cが設けられている。
【0020】
第二の接合手段4は、第一の接合手段3の雌ネジ3cに螺合する雄ネジ4cが設けられ、
図2に示したように、露出部4aと鍔部4bが標示面部1aから、突き出した状態で配される。ここでは鍔部4bが露出した例を示しているが、鍔部4bは露出していなくてもよい。
【0021】
図5は、本発明に係るE字形状の係止ピン6の一例を示す平面図である。また
図6はE字形状の係止ピン6を、第二の接合手段4の貫通孔4dに挿通した状態を示す斜視図である。ここに示したように、E字形状のピン6の水平面の面積は、第二の接合手段4の鍔部4bの水平面の面積よりも広いので、標示材1が図における上方向に動いて、縁石5の表面から外れるのを防止できる。
【0022】
図7は、第一のシート状のゴム磁石層1bと第二のシート状ゴム磁石層2の対向する面に互いに係合する 凸部1cと凹部2c形成した状態を示す斜視図である。ゴム磁石を用いる場合は、加硫工程前であれば、金型を用いた加熱プレスにより、このような凹凸を付与するのは困難ではなく、凹凸の係合により、第一のシート状のゴム磁石層の1bと第二のシート状ゴム磁石層2の位置ずれを抑制できる。なお、本発明においては、第一のシート状のゴム磁石層1bの厚みを0.8~2.8mm、第二のシート状のゴム磁石層2の厚みを、3.0~5.0mm、接着剤層2aの厚みをが0.8~1.0mmとすることで、十分な磁力による接合力や接着力を確保できる。
であるためのか
【0023】
図8は、本発明に係る、第一のシート状のゴム磁石層1aと、第二のシート状のゴム磁石層2の着磁状態の一例を示す断面図である。図における矢印は、磁力線の向きを示している。シート状の磁石の場合は、ここに示したように、一定間隔で厚み方向の磁極が入れ替わる多極着磁とし、N極とS極を対向させることで、磁力による接合を強化できる。またこの場合は、ゴムに分散させる磁石粉末を厚み方向に配向させて異方性を付与した方が、等方性よりも磁力を強められることは、勿論である。
【0024】
以上に説明したように、本発明によれば、縁石などの取り付けることが可能で、しかも標示面の交換化可能な標示看板を提供できる。なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0025】
1・・・標示材 1a・・・標示面部
1b・・・第一のシートゴム磁石層 1c・・・凸部
2・・・第二のシート状のゴム磁石層 2a・・・接着剤層
2c・・・凹部 3・・・第一の接合手段 3a・・・柱状部
3b・・・基部 3c・・・雌ネジ
4・・・第二の接合手段 4a・・・露出部
4b・・・鍔部 4c・・・雄ネジ 4d・・・貫通孔
5・・・縁石 6・・・E字形状係止ピン
【要約】
【課題】 縁石への貼り付け位置の制限が少なく、損傷を受ける頻度が高い部分のみを、簡単に交換できる標示看板を提供する。
【解決手段】 標示部材の標示面とは反対側に接着したシート状のゴム磁石と、縁石の所要部分に設けられた接着剤層を介して配されたシート状のゴム磁石とを、磁力で接合する構成とし、標示部材と縁石側のシート状のゴム磁石が剥離するのを防止するため、基部が接着剤層に埋め込まれ、基部に一体に設けられた柱状部内部に雌ネジを有する第一の接合部材と、雄ネジと雄ネジが設けられている側の反対側に貫通孔を有し、係止ピンを有する第二の接合部材を、表示部材と表示部材側と縁石側のシート状のゴム磁石を連通する貫通孔に配し、雌ネジと雄ネジを螺合させる。
【選択図】
図1