(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】壁掛型空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0057 20190101AFI20241220BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20241220BHJP
F24F 13/30 20060101ALN20241220BHJP
【FI】
F24F1/0057
F24F1/0007 401D
F24F13/30
(21)【出願番号】P 2021017017
(22)【出願日】2021-02-05
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】永田 剛史
(72)【発明者】
【氏名】米澤 勝
(72)【発明者】
【氏名】和田 賢宣
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-089678(JP,A)
【文献】特開平07-043012(JP,A)
【文献】中国実用新案第208418988(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0010811(US,A1)
【文献】実開平07-018154(JP,U)
【文献】特開2004-347232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0057
F24F 13/20
F24F 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケーシング内の水平方向中央部に配置された熱交換器と、
前記本体ケーシング内の一方の側端部に配置されたファンモータと、
前記本体ケーシングを係止させる係止部を上部に備える据付板と、
据付時に前記本体ケーシングを前記係止部に係止させた状態で前記本体ケーシングを傾斜保持する保持部材とを備えた壁掛型空気調和機において、
前記本体ケーシングは、前記保持部材が収納される保持部材収納部を有し、前記保持部材と係合する水平軸を持つ回転支持部を有し、
前記保持部材は、前記本体ケーシング内の背面側に配置され、かつ、
正面視において前記熱交換器を挟んで前記ファンモータの反対の側に配置されており、前記水平軸を軸とする回転軸部を有し、上方向に回転して収納され
、
略箱形状から形成されていることを特徴とする壁掛型空気調和機。
【請求項2】
前記壁掛型空気調和機は、前記本体ケーシングの下部に室内機と室外機とを接続する内外接続配管用の配管収納スペースを設けるとともに、前記配管収納スペースに位置する前記内外接続配管を覆う着脱自在の工事用カバーを備えたことを特徴とする請求項1記載の壁掛型空気調和機。
【請求項3】
前記保持部材は
、室内壁面もしくは前記据付板に当接する当接面を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の壁掛型空気調和機。
【請求項4】
前記保持部材は、前記回転軸部を軸として9 0 度回転した時に回転動作を静止できる回転止部を備え、前記保持部材および/または前記本体ケーシングに前記回転止部を係止する回転止部係止部とを備えたことを特徴とする請求項1から3に記載の壁掛型空気調和機。
【請求項5】
前記保持部材は、前記本体ケーシングの一方の側面に隣接する位置に配置されることを特徴とする請求項1から4に記載の壁掛型空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機における室内ユニットを据付時の作業性を向上した壁掛型空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、配管作業および配管作業時などにおける室内ユニットの作業性を向上させた空気調和機の据付装置を開示する。この据付装置は、家屋の壁面に固定された据付板に、室内ユニットを係止させる複数の引掛け部を室内ユニットの背面側に備え、その引掛け部を室内ユニットの略重心位置となる熱交換器やファンモータの背面側に配置している。
【0003】
特許文献2は、配管作業時に室内ユニットを傾けた状態に支持する支持材をつっかい棒として機能して使用した後、支持材を有効利用する空気調和機を開示する。この空気調和機の支持材は、室内ユニットの背面に回動可能に取り付けられる基部、基部から延在する突っ張り部、突っ張り部の先端部から折れ曲がるとともに据付枠に当接する当接部、および、当接部から延在する配管支持部を備え、支持材を下方に回動させることで配管支持部を配管配設用空間に入れ、配管配設用空間に配設される配管を支持材で押し込むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-98403号公報
【文献】特開2006-145049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、配管作業および配線作業時などにおける室内機の作業性を向上するとともに、奥行サイズを薄型化し、省エネ性を向上した壁掛型空気調和機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における壁掛型空気調和機は、本体ケーシング内の水平方向中央部に配置された熱交換器と、本体ケーシング内の一方の側端部に配置されたファンモータと、本体ケーシングを係止させる係止部を上部に備える据付板と、据付時にその係止部に本体ケーシングを係止させた状態で本体ケーシングを傾斜保持する保持部材とを備える。本体ケーシングは、保持部材が収納される保持部材収納部を有し、保持部材と係合する水平軸を持つ回転支持部を有し、保持部材は、本体ケーシング内の背面側に配置され、かつ、正面視において熱交換器を挟んでファンモータの反対の側に配置されており、水平軸を軸とする回転軸部を有し、上方向に回転して収納される。
【発明の効果】
【0007】
本開示における壁掛型空気調和機は、据付時に室内機を傾斜保持する保持部材を正面視において熱交換器を挟んでファンモータの反対の側に配置することで、電装部の奥行方向の収納スペースを有効利用でき、熱交換器の有効長を大きくすることができ、さらには本体ケーシングにおける熱交換器の背面側に保持部材を設ける必要がないので、熱交換器の伝熱部分の面積を大きくすることができる。また、配管を配設するスペースに関係なく、室内ユニットの傾斜保持状態を保て保持部材を収納することができ、配管作業が容易に行うことができる。そのため、室内ユニットの奥行サイズのコンパクト化と、省エネ性能の向上、さらには室内ユニットの据付時の作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1における壁掛型空気調和機の正面図
【
図2】実施の形態1における壁掛型空気調和機の背面図
【
図3】実施の形態1における壁掛型空気調和機の背面側から見たときの部分斜視図
【
図5】実施の形態1における保持部材の中央部となるA-A線分で切断した時の断面図
【
図6】実施の形態1における壁掛型空気調和機が壁に据付けられたときの側面図
【
図7】実施の形態1における壁掛型空気調和機の据付時の側面図
【
図8】実施の形態2における壁掛型空気調和機を正面のやや下方から見たときの斜視図
【
図9】実施の形態2における工事用カバーを取り外した壁掛型空気調和機を正面のやや下方から見たときの斜視図
【
図10】実施の形態2における壁掛型空気調和機の据付時の側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、意匠性に優れ、奥行きコンパクトでかつ省エネ性能が高い室内機を備える空気調和機がユーザから要望されていた。また、空気調和機を設置する作業者にとっても、壁掛型空気調和機を壁に据付する際に配管作業および配線作業を行うときの作業性の向上が要望されていた。一般に、配管および配線作業時のスペース確保のために、予め室内の壁に据付板を固定し、その据付板の係止部に室内機の引掛け部を引掛け、保持部材で室内機を傾斜させて保持する方法が挙げられる。
【0010】
従来技術の据付時の傾斜保持方法としては、特許文献1に示すように、保持状態を安定させるために、保持部材を室内機の略中央部や略重心位置に設けられてことが多く、それらの据付部材や係止部を配置するためのスペースが必要となる。そのため、それらの据付部材や係止部は熱交換器の背面側に位置することとなり、背面側の熱交換器とそのスペースとが干渉しないように配置させる必要があり、収納される熱交換器の伝熱部分の面積を大きくできず、その容積を大きくすることが困難となる。また、電装部やファンモータの背面側に配置しようとすると、電装部に収納される基板などを奥行方向に大きくできず、水平方向に基板を複数枚配置して大きくするしかなく、それゆえに熱交換器の水平方向の有効長が短くなる。電装部の別の配置方法として、室内機の正面側となる熱交換器の前方に配置する場合もあるが、奥行きがコンパクトな薄型の機種においてはそのように配置させることが困難となる。
【0011】
また、特許文献2に示すように据付時の傾斜状態を保持する支持材を熱交換器の背面側とは異なる下方向へ回動して、配管配設用空間に収納している。この場合、空気調和機における吹出し口につながる送風路と、この送風路とを断熱する断熱材の背面側と、室内壁面とで形成されるスペースが配管配設用空間となり、収納される熱交換器の伝熱部分の面積を大きくすることが可能となる。しかし、この配管配設用空間が十分に大きく取れる場合は問題ないが、奥行がコンパクトな壁掛型空気調和機においては、この配管配設用空間を大きくとることができず、据付時の傾斜状態を保持する支持材を収納するスペースを確保することが困難となる。また、作業スペースが小さいため、この支持材を収納する作業も容易にはできない。
【0012】
したがって奥行サイズがコンパクトな壁掛型空気調和機において、据付時に傾斜状態を保持する保持部材を備えたとき、省エネ性能の向上を図るために熱交換器の容積を大きくしようとすると、保持部材やその保持部材を係止する係止部のスペースや保持部材を室内ユニット内に収納するためのスペースが必要となるため、熱交換器の容積を大きくすることができないという課題を発明者は発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0013】
そこで本開示は、配管作業および配線作業時などにおける室内機の作業性を向上するとともに、奥行サイズを薄型化し、省エネ性を向上させた壁掛型空気調和機を提供する。
【0014】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0015】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0016】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図7を用いて、実施の形態1を説明する。
【0017】
[1-1.構成]
[1-1-1.壁掛型空気調和機の構成]
図1は、壁掛型空気調和機の正面図であり、本体ケーシング1内の部材の配置がわかるように前面枠2(
図6参照)および吹出しグリルを取り外した状態で示しており、
図2は壁掛型空気調和機の背面図を示している。
【0018】
本実施の形態1の壁掛型空気調和機は、
図1に示すように、本体ケーシング1に熱交換器3、ファンモータ4、クロスフローファン(図示しない)、およびファンモータ4を駆動する駆動電源や制御基板などを収納した電装部5、保持部材7を収納する保持部材収納部1bが備えられている。
【0019】
壁掛型空気調和機では、ファンモータ4によってクロスフローファンが回転駆動され、前面枠2で形成された吸い込み口より室内空気を吸い込み、熱交換器3で熱交換された空気を室内へ吹き出し口より吹き出す。また、熱交換器3が蒸発器として機能する冷房運転時に熱交換器3より空気中の水分が結露した凝縮水が発生し、本体ケーシング1や吹出しグリルなどで形成されるドレンパンに捕集され、ドレンパンに接続されるドレンホースを介して室外に排出される。さらに室外機に備えられる熱交換器と室内機の熱交換器3との間で冷媒を循環するために、高圧用と低圧用の2種類の冷媒配管が断熱材で覆われた補助配管8で接続される。この補助配管8は、本体ケーシング1の背面側の下部へ引き回され、壁掛型空気調和機の背面側に配置される壁の穴を通して、室外機に接続される。
【0020】
図2に示すように、本体ケーシング1の背面側には、本体ケーシング1と室内壁面とを接地固定する据付板6と、据付時に壁掛型空気調和機を壁に対して傾斜させる状態を保持する保持部材7とが備えられる。据付板6の上部には、本体ケーシング1の背面側上部に備える取付け爪1aを引掛ける係止部6aを備えている。保持部材7は、本体ケーシング1内の背面側に配置され、正面視において熱交換器3を挟んでファンモータ4の反対の側にあり、熱交換器3に重ならないように配置されている。
【0021】
[1-1-2.保持部材の構成]
図3は、壁掛型空気調和機の背面側から見たときの部分斜視図であり、(a)保持部材7が本体ケーシング1の保持部材収納部1bに収納されている状態と、(b)保持部材7が本体ケーシング1から90度に開いた状態とを示している。
図3に示すように、本体ケーシング1は、保持部材7の回転軸部7bと係合し、水平軸7aを回転軸とする回転支持部を備え、保持部材7は上方向に回転して本体ケーシング1の保持部材収納部1bに収納される。保持部材7は、本体ケーシング1に対して、90度開いた状態を保持するために図示しない爪などで係止される。
【0022】
図4は、保持部材7の斜視図を示しており、
図5は
図4における保持部材7の中央部となるA-A線分で切断した時の断面図を示している。保持部材7は回転支持部と係合して水平軸7aで回転できるように回転軸部7bと、保持部材7が本体ケーシング1に対して90度回転した時に回転動作を静止できる回転止部7cと、壁掛型空気調和機が壁に対して傾斜して保持するときに室内壁面もしくは据付板6に当接する当接面7dを備える。また、
図5に示すように保持部材7は当接面7dの室内壁面もしくは据付板6に対しての当接面積が大きくなるように、高さHを確保できるようになっており、略箱形状とすることで薄肉形状であっても保持部材7の剛性を高く保つことが可能となっている。
【0023】
[1-2.据付作業]
以上のように構成された壁掛型空気調和機における据付作業を以下説明する。
【0024】
図6は壁掛型気調和機が壁に据付けられたときの側面図を示しており、
図7は壁掛型空気調和機が据付時の配管・配設作業を行うときの状態、すなわち、保持部材7で壁掛型空気調和機を支持して、傾斜状態を保持しているときの側面図を示している。
【0025】
まず、本開示の壁掛型空気調和機において、その据付準備として、壁に据付板6を数か所程度ネジで固定し、取り付ける。次に、
図7に示すように、前面枠2が天井11に当たらないように本体ケーシング1の背面側上部に備える取付け爪1aを据付板6の係止部6aに引掛けて、本体ケーシング1の保持部材収納部1bに収納される保持部材7を作業者の手で90度回転動作させて開ける。保持部材7が90度開いた状態で壁側に当接され、壁掛型空気調和機は傾斜して姿勢を保持することが可能となる。そして、この傾斜した状態で壁掛型空気調和機と壁10とのスペースを確保して、室内機と室外機の冷媒用配管を接続する作業やドレンホースの配設作業、室内機と室外機とを電気的に接続させる配電作業などを行う。配管・配設作業が終了すれば、保持部材7を上方向に90度回転させて、本体ケーシング1の保持部材収納部1bに収納し、本体ケーシング1の背面側と据付板6とが下部で嵌合するように爪やネジなどで固定する。本体ケーシング1と据付板6とが確実に嵌合していることを確認し、壁10に対して壁掛型空気調和機が据付けられる。
【0026】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、本体ケーシング1内の水平方向中央部に配置された熱交換器3と、本体ケーシング1内の一方の側端部に配置されたファンモータ4と、本体ケーシング1を係止させる係止部6aを上部に備える据付板6と、据付時に本体ケーシング1を係止部6aに係止させた状態で本体ケーシング1を傾斜保持する保持部材7とを備えた壁掛型空気調和機であって、本体ケーシング1は、保持部材7が収納される保持部材収納部1bを有し、保持部材7は、本体ケーシング1内の背面側に配置され、かつ、正面視において熱交換器3を挟んでファンモータ4の反対の側に配置されており、保持部材7と係合する水平軸を持つ回転支持部を有し、水平軸を軸とする回転軸部を有し、上方向に回転して収納される。
【0027】
これにより、据付時に室内機を傾斜保持する保持部材7を正面視において熱交換器3を挟んでファンモータ4の反対の側に配置することとなり、電装部5の奥行方向の収納スペースを有効利用でき、熱交換器3の水平方向の有効長を大きくすることができ、さらには本体ケーシング1における熱交換器3の背面側に保持部材7を設ける必要がないので、熱交換器3の断面積を大きくすることができる。また、保持部材7は正面視において、熱交換器3に重ならないように配置されているので、熱交換器3の断面に関わらず、保持部材の収納スペースを確保し、保持するのに必要な形状を構成することができ、さらには配管を配設するスペースに関係ない上側に保持部材7を収納することができ、配管作業が容易に行うことができる。そのため、室内機の奥行サイズのコンパクト化と、省エネ性能の向上、さらには室内機の据付時の作業性の向上を図ることができる。
【0028】
本実施の形態のように、保持部材7は略箱形状から形成されており、室内壁面もしくは据付板6に当接する当接面7dを備えるようにしてもよい。
【0029】
これにより、保持部材7を略箱形状とすることで、保持部材7が樹脂成形品であっても、十分に強度および剛性を確保することができ、さらには、保持部材7の高さHを大きくすることにより、室内壁面もしくは室内壁面に取り付けられた据付板6に接地する当接面7dの面積を大きくすることができる。そのため、壁掛型空気調和機が傾斜して保持された状態において、重心位置に保持部材がなくても、室内壁面に対してしっかりと支持することができ、安定して姿勢を保つことができる。それゆえに作業性の維持向上を図ることができる。また、室内壁面に直接当接させた場合は保持部材7が配置される箇所に据付板6を配置する必要がない。そのため、据付板6の材料を少なくでき、低コスト化を図ることができる。
【0030】
本実施の形態のように、保持部材7は、回転軸部7bを軸として90度回転した時に回転動作を静止できる回転止部7cを備え、保持部材7および/または本体ケーシング1に回転止部7cを係止する回転止部係止部とを備えるようにしてもよい。
【0031】
これにより、保持部材7を本体ケーシング1に対して90度回転させて支持することで必要以上に保持部材7の長さを確保することなく最適な長さに構成することができ、また、保持部材7を回転止部7cが本体ケーシング1の保持部材収納部1bに当たるまで回転させれば、90度回転した状態となる。その時、回転止部7cは爪などの回転止部係止部で係止することができる。そのため、配管配設作業時に意図せずに保持部材7が回転して、傾斜保持した状態が維持できなくなる事態が発生することを抑制し、作業者は安全に作業を行うことができる。
【0032】
本実施の形態のように、保持部材7は、本体ケーシング1の一方の側面に隣接する位置に配置されるようにしてもよい。
【0033】
これにより、側面から手で保持部材7を把持することが可能となる距離に配置することができる。そのため、簡単に保持部材7を可動させることができ、作業性の向上を図ることができる。
【0034】
(実施の形態2)
以下、
図8から
図10を用いて、実施の形態2を説明する。
【0035】
[2-1.全体構成]
実施の形態2における壁掛型空気調和機は、前面枠2と前面枠2の下面部分に配置される工事用カバー15とを備える。
【0036】
[2-2.工事用カバーの構成]
工事用カバー15は前面枠2と同様に壁掛型空気調和機の意匠面を兼ね備えており、前面枠2とは別体で構成されている。
図8は、本開示の実施の形態2における壁掛型空気調和を正面のやや下方から見たときの斜視図を示す。工事用カバー15は、本体ケーシング1の下部に配置されている。また、工事用カバー15は、ネジ用カバー16を左右に1か所ずつ備え、ネジ用カバー16を外して、本体ケーシング1に固定される工事用カバー15のネジを取り外せることができる。そして、ネジを外した後は本体ケーシング1や前面枠2に係止されている爪を取り外すことで、工事用カバー15を取り外せることができる。
【0037】
図9は工事用カバー15を取り外したとき、正面のやや下方から見たときの斜視図を示している。このとき点線で囲んだエリアが配管配設用の作業スペース20となる。
【0038】
図10は実施の形態2における壁掛型空気調和を据付け作業する際に、保持部材7で室内壁面に対して傾斜させて保持したときの側面図であり、配管収納スペース30がわかるように、部分断面図を示している。工事用カバー15を取外したことにより、作業スペース20を広く確保することができる。
【0039】
[2-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、壁掛型空気調和は本体ケーシング1の下部に室内機と室外機とを接続する内外接続配管用の配管収納スペース30を設けるとともに、配管収納スペース30に位置する前記内外接続配管を覆う着脱自在の工事用カバー15を備える。
【0040】
これにより、工事用カバー15を取り外すことで配管を配設する作業スペース20を大きくとることが可能となる。そのため、重心位置に保持部材7がなくても、十分な配管を配設する作業スペース20を確保することができ、作業性の向上を図ることができる。
【0041】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1および2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1および2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0042】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0043】
実施の形態1および2では、壁掛型空気調和の一例として正面視で右側にファンモータ4や電装部5が配置され、熱交換器3を挟んで左側に保持部材7が配置された壁掛型空気調和について説明した。壁掛型空気調和は、壁に据え付けて空気調和できるものであればよい。したがって、壁掛型空気調和は、正面視で右側にファンモータ4や電装部5が配置され、熱交換器3を挟んで左側に保持部材7が配置された壁掛型空気調和に限定されない。ただし、壁掛型空気調和として、正面視で保持部材7が熱交換器3と重ならないように配置されれば、保持部材7に関わらず熱交換器の伝熱部分の面積を大きくすることができ、室内機の奥行サイズのコンパクト化と、省エネ性能の向上、さらには室内機の据付時の作業性の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本開示は、奥行サイズがコンパクトで省エネ性能の高い空気調和機の室内機に適用可能である。具体的には、壁掛型空気調和などに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 本体ケーシング
2 前面枠
3 熱交換器
4 ファンモータ
5 電装部
6 据付板
7 保持部材
8 補助配管
10 壁
11 天井
15 工事用カバー
16 ネジ用カバー
20 作業スペース
30 配管収納スペース