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特許7607197プレートフィン積層型熱交換器およびそれを用いた冷凍システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】プレートフィン積層型熱交換器およびそれを用いた冷凍システム
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20241220BHJP
   F28F 3/04 20060101ALI20241220BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20241220BHJP
   F28F 17/00 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
F28F3/08 311
F28F3/04 A
F28D9/00
F28F17/00 501A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021067437
(22)【出願日】2021-04-13
(65)【公開番号】P2022162572
(43)【公開日】2022-10-25
【審査請求日】2024-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】名越 健二
(72)【発明者】
【氏名】奥村 拓也
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-066532(JP,A)
【文献】特開2020-101329(JP,A)
【文献】実開昭57-182069(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 1/00 - 13/00
F28F 1/00 - 99/00
F25B 39/00 - 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のヘッダ流路と前記ヘッダ流路間を繋ぐ伝熱流路とを有するプレートフィンを複数積層して構成した熱交換器であって、前記プレートフィンは二枚のプレートを接合して構成し、前記二枚のプレートのうち一方の第1プレートは短冊形状を保持した平板状態とするとともに、他方の第2プレートは、前記第1プレートとの間に伝熱流路を形成する伝熱流路形成部と、前記伝熱流路形成部の長手方向両端に設けた平板状の端板部とを備え、且つ、前記伝熱流路形成部の少なくともプレート両端縁部分を切除したプレートフィン積層型熱交換器。
【請求項2】
第2プレートは、伝熱流路形成部の伝熱流路相当部分両側に伝熱流路と交差する方向に突出する突出片部を残して切除した請求項1記載のプレートフィン積層型熱交換器。
【請求項3】
一対のヘッダ流路は伝熱流路形成部両端の端板部それぞれに分けて、或いは、いずれか一方に纏めて設けた請求項1または2に記載のプレートフィン積層型熱交換器。
【請求項4】
熱交換器を前記第1項~3項のいずれか1項記載のプレートフィン積層型熱交換器とした冷凍システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプレートフィン積層型熱交換器とそれを用いた冷凍システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、プレートフィン積層型熱交換器を開示する。このプレートフィン積層型熱交換器は、ヘッダ流路と伝熱流路とを有するプレートフィンを複数積層することにより構成してある。そして、上記プレートフィンは一対のプレートを向かい合わせにロウ付けして構成してあり、一方のヘッダ流路から伝熱流路に流入した冷媒等の第1流体を出口となる他方のヘッダ流路へと流し、前記伝熱流路を流れる第1流体と前記プレートフィン間の間隙を流れる空気等の第2流体との間で熱交換させる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-66532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記従来のプレートフィン構成に起因して生じる課題を解決して軽量且つ信頼性の高いプレートフィン積層型熱交換器およびそれを用いた冷凍システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示におけるプレートフィン積層型熱交換器は、一対のヘッダ流路と前記ヘッダ流路間を繋ぐ伝熱流路とを有するプレートフィンを複数積層して構成した熱交換器であって、前記プレートフィンは二枚のプレートを接合して構成し、前記二枚のプレートのうち一方の第1プレートは短冊形状を保持した平板状態とするとともに、他方の第2プレートは、前記第1プレートとの間に伝熱流路を形成する伝熱流路形成部と、前記伝熱流路形成部の長手方向両端に設けた平板状の端板部とを備え、且つ、前記伝熱流路形成部の少なくともプレート両端縁部分を切除した構成としてある。
【発明の効果】
【0006】
本開示におけるプレートフィン積層型熱交換器は、上記構成により、プレートフィンを構成する一方のプレートが伝熱流路形成部の少なくともプレート両端縁部分を切除して平板状部分を減少させているので、軽量化でき、熱交換器全体の重量を軽減できるとともに、プレートフィン端縁の板厚は一方のプレートの板厚のみとなって薄くなるので、第2流体が流入する側のプレートフィン端縁に結露して付着する水滴の成長を抑制し、大きな水玉となって下流側の送風ファン等に飛ばされる水飛び現象を抑制することができる。また、熱交換器からの水飛びによる障害を低減した信頼性の高い冷凍システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1におけるプレートフィン積層型熱交換器の外観を示す斜視図
図2】同プレートフィン積層型熱交換器のプレートフィン積層体を示す斜視図
図3】同プレートフィン積層型熱交換器のプレートフィン積層状況を示す分解斜視図
図4】同プレートフィン積層型熱交換器のプレートフィン積層体の要部を示す拡大斜視図
図5図2のA-A断面図
図6図2のB-B断面図
図7A】同プレートフィン積層型熱交換器の結露状態を示す説明図
図7B】同プレートフィン積層型熱交換器の空気流れを示す説明図
図8】同プレートフィン積層型熱交換器の他の例におけるプレートフィンの斜視図
図9】同プレートフィン積層型熱交換器の更に他の例におけるプレートフィンの平面図
図10】実施の形態1のプレートフィン積層型熱交換器を用いて構成した冷凍システムの一例として示す空気調和機の冷凍サイクル図
図11】同空気調和機の室内機を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、プレートフィン積層型熱交換器のプレートフィンは、特許文献1に示すように、ヘッダ流路用開口と伝熱流路用凹溝を備えた二枚のプレートを向かい合わせにロウ付け接合して構成してある。そのためプレートフィンは二枚のプレートが重合した形となってその板厚が厚くなり、熱交換器全体の重量が重いものになる、という課題があった。また、プレートフィンの板厚が厚いため、熱交換器を冷却熱源として使用している場合にはプレートフィンの端縁に結露水が付着し、これが成長して大きな水玉となって下流側に設けられている送風ファン等にまで飛び熱交換器搭載機器の信頼性を損ねる、という課題もあった。
【0009】
本発明者らはこのような課題を解決するため本開示の主題を構成するに至った。
□そこで本開示は、軽量且つ水飛び現象を抑制したプレートフィン積層型熱交換器およびそれを用いた冷凍システムを提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0011】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0012】
(実施の形態1)
以下、図1図8を用いて、実施の形態1を説明する。
【0013】
[1-1.構成]
図1に示すように、本実施形態の熱交換器1は、短冊状のプレートフィン2aからなるプレートフィン積層体2の両側に平面視が略同一形状のエンドプレート3a、3bを接合一体化して構成してある。そして、その一端部側に、凝縮器として用いる場合には入口となり蒸発器として用いる場合は出口となる管A4及びその逆となる管B5とを有している。
【0014】
上記プレートフィン積層体2の両側のエンドプレート3a、3bは、プレートフィン積層体2を挟持した形でロウ付けにより接合され、締結手段7によりその長手方向両端部を連結固定し、熱交換器としての剛性を保持している。
【0015】
また、上記プレートフィン積層体2は、図2に示すように、管A4及び管B5が接続される一対のヘッダ流路A11、B12と冷媒等の第1流体(以下、冷媒と称する)が流れる伝熱流路8を有したプレートフィン2aを多数積層して各プレートフィン2a同士の間に空気等の第2流体(以下、空気と称する)が流れる積層間隔を形成している。そして、上記プレートフィン2aに設けた前記伝熱流路8を流れる冷媒と各プレートフィン2a同士の間の積層間隙を流れる空気との間で熱交換する。
【0016】
次に上記プレートフィン2aの構成を図3に基づき詳述する。
【0017】
本実施形態のプレートフィン2aは、短冊形状の第1プレート9と短冊形状の一部を切除した第2プレート10とをロウ付接合して構成している。
【0018】
第1プレート9は、一端部側に前記管A4及び管B5が接続されるヘッダ流路A11、B12と、前記ヘッダ流路A11、B12間を繋ぐ伝熱流路8となる凹溝部13とを有し、平板状態を保持している。
【0019】
第2プレート10は、第1プレート9と同様ヘッダ流路A11、B12に加え、前記第1プレート9の凹溝部13との間に伝熱流路8を形成する凹溝部を有する伝熱流路形成部14と、前記伝熱流路形成部14の長手方向両端に設けた平板状の端板部15a,15bとからなり、平板部分の一部、この例では伝熱流路形成部14の少なくとも長手方向両縁部分の平板部分を切除16した構成としている。そして、上記長手方向両縁の平板残部等に前記第1プレート9の裏面に当接してプレートフィン2a同士間に空気流通用の間隔を形成するフィン積層間隔形成用凸部17が切り起こし形成してある。そして、上記短冊形状の第1プレート9と第2プレート10とを向かい合わせにロウ付け接合して、ヘッダ流路A11、B12と伝熱流路8を有したプレートフィン2aを形成している。
【0020】
なお、上記プレートフィン2a、そしてエンドプレート3a,3bはアルミニュウム若しくはアルミ合金で形成している。
【0021】
[1-2.動作]
次に上記のように構成したプレートフィン積層型熱交換器について、これを空気調和機の熱交換器として用いた場合を例にしてその作用効果を説明する。
【0022】
本実施の形態の熱交換器1は、例えば凝縮条件で使用されている時、管A4から気相状態の冷媒がプレートフィン積層体2の入り口側のヘッダ流路A11内に流入する。ヘッダ流路A11内に流入した気相冷媒は、各プレートフィン2aの伝熱流路8をターンしながら流れ、出口側のヘッダ流路B12を介して管B5より冷凍システムの冷媒回路へと流出する。そして、上記伝熱流路8を流れる間にプレートフィン積層体2のプレートフィン積層間隔を通り抜ける空気と熱交換し、気相冷媒は順次液相化してヘッダ流路B12から流出する。
【0023】
ここで、上記プレートフィン積層体2のプレートフィン2aは、ロウ付け接合する第1プレート9と第2プレート10のうち、一方の第2プレート10は伝熱流路形成部14の長手方向両縁平板部分を切除16しているので、この平板部分を切除16した分軽量化する。よって、熱交換器全体の重量を大きく軽減することができる。
【0024】
また、上記構成の熱交換器を凝縮条件で使用、すなわち冷却源として使用している場合、プレートフィン積層間隔を通り抜ける空気が衝突するプレートフィン2aの端縁は図4のY、図7Aの右図(左図は従来の二枚重ねタイプのプレートフィン端縁)に示すように第1プレート9の板厚のみの薄いものとなる。したがって、プレートフィン2aの端縁に結露水Zが付着しても結露水の成長が抑制され、大きな水玉となって下流側の送風ファン等に飛ばされる水飛び現象を抑制することができる。
【0025】
加えて、第2プレート10の平板部分を無くしたプレートフィン2aの積層間隔、すなわち伝熱流路形成部14が形成されている流路領域部分X(図2参照)は、第1プレート9の板厚のみとなって二枚のプレートを接合している場合に比べ図7Bの右図(左図は従来の二枚重ねタイプのプレートフィン端縁)に示すようにプレートフィン2aの積層間隔が広くなり、空気の通流抵抗が減少して高性能化させることができる。 また、上記実施の形態では、第1プレート9の伝熱流路形成部14の切除16は伝熱流路形成部14の長手方向両縁部のみとしたが、これは図8に示すように伝熱流路形成部14の伝熱流路8相当部分同士間の平板部分も切除16する構成としてもよい。そして、その切除16は伝熱流路形成部14の伝熱流路8相当部分両側にフィン積層間隔形成用凸部17(図示せず)を形成するための突出片部18を伝熱流路8と交差する方向に突出する形で残して切除16し、全体を略魚骨形状する構成としてもよい。
【0026】
これにより、より多くの平板状部分を削除し、より効果的に軽量化することができる。
【0027】
また、本実施の形態では、プレートフィン2aのヘッダ流路A11,B12は、長手方向両端の端板部15a、15bに分けて設けたものを例示したが、これは図9に示すように一方の端板部15a側にヘッダ流路A11,B12を纏めて設けてもよい。尚、この図9の例でも伝熱流路形成部14の伝熱流路8相当部分両側にフィン積層間隔形成用凸部17(図示せず)を形成するための突出片部18を伝熱流路8と交差する方向に突出する形で残して切除16し、全体を略魚骨形状する構成としているが、前記図2図3に示すように、実施の形態1と同様、伝熱流路形成部14の少なくとも長手方向両縁部分の平板部分を切除16した構成としてもよい。 このようにヘッダ流路A11,B12を一方の端板部15a側に纏めて設ける構成とすることによって冷凍システム側の配管との接続を一箇所で行うことができ、作業性を向上させることができる。
【0028】
又、伝熱流路8を形成する凹溝形状は第1プレート9側と第2プレート10の伝熱流路形成部14側の両方に設けたものを例示したが、これは第1プレート9側或いは第2プレート10の伝熱流路形成部14のいずれか一方のみに設けたものであってもよい。また、フィン積層間隔形成用凸部17は第2プレート10の平板状部分側に設けてもよい。
【0029】
[1-3.効果等]
以上のように、本開示のプレートフィン積層型熱交換器は、一対のヘッダ流路A11,B12と前記ヘッダ流路A11,B12間を繋ぐ伝熱流路8とを有するプレートフィン2aを複数積層して構成した熱交換器であって、前記プレートフィン2aは二枚のプレートを接合して構成し、前記二枚のプレートのうち一方の第1プレート9は短冊形状を保持した平板状態とするとともに、他方の第2プレート10は、前記第1プレート9との間に伝熱流路を形成する伝熱流路形成部14と、前記伝熱流路形成部14の長手方向両端に設けた平板状の端板部15a,15bとを備え、且つ、前記伝熱流路形成部14の少なくともプレート両端縁部分を切除16した構成としている。
【0030】
これにより、プレートフィン2aを構成する一方の第2プレート10の平板部分が大幅に減少するので、熱交換器全体の重量を大きく軽減できる。しかも、プレートフィン2aの端縁の板厚は一方の第1プレート9の板厚のみとなって薄くなるので、第2流体が流入する側のプレートフィン端縁に結露付着する水滴の成長を抑制でき、大きな水玉となって下流側の送風ファン等に飛ばされる水飛び現象を抑制して信頼性を向上させることができる。
【0031】
また、本開示のプレートフィン積層型熱交換器においては、第2プレート10は伝熱流路形成部14の伝熱流路部分両側に伝熱流路相当部分と交差する方向に突出する突出片部18を残して切除した魚骨形状構成とすることもできる。
【0032】
これにより、第2プレート10の平板部分をより効果的に減少させることができるので、熱交換器全体の重量を更に大きく軽減できる。
【0033】
(実施の形態2)
以下、図9図10を用いて、実施の形態2を説明する。
【0034】
[2-1.構成]
図9は実施の形態1におけるプレートフィン積層型熱交換器を用いて構成した空気調和機の冷凍サイクル図、図10は同空気調和機の室内機を示す概略断面図である。
【0035】
図9図10において、この空気調和機は、室外機51と、室外機51に接続された室内機52から構成されている。室外機51には、冷媒を圧縮する圧縮機53、冷房暖房運転時の冷媒回路を切り替える四方弁54、冷媒と外気の熱を交換する室外熱交換器55、冷媒を減圧する減圧器56、室外送風機59が配設されている。また、室内機52には、冷媒と室内空気の熱を交換する室内熱交換器57と、室内送風機58とが配設されている。そして、前記室内熱交換器57に実施の形態1で例示したプレートフィン積層型熱交換器を用い、圧縮機53、四方弁54、室内熱交換器57、減圧器56、室外熱交換器55を冷媒回路で連結してヒートポンプ式冷凍サイクルを形成している。
【0036】
[2-2.動作]
上記構成からなる空気調和機は、冷房運転時には、四方弁54を圧縮機53の吐出側と室外熱交換器55とが連通するように切り換える。これにより、圧縮機53によって圧縮された冷媒は高温高圧の気相冷媒となって四方弁54を通って室外熱交換器55に送られる。そして、外気と熱交換して放熱し、高圧の液相冷媒となり、減圧器56に送られる。減圧器56では減圧されて低温低圧の二相冷媒となり、室内機52に送られる。室内機52では、冷媒は室内熱交換器57に入り室内空気と熱交換して吸熱し、蒸発気化して低温のガス冷媒となる。この時室内空気は冷却されて室内を冷房する。さらに冷媒は室外機51に戻り、四方弁54を経由して圧縮機53に戻される。
【0037】
ここで、前記室内熱交換器57のプレートフィン端縁には室内空気が冷却されることによって生じる結露水が付着するが、プレートフィン端縁の板厚が薄いので大きな水玉に成長することなくフィン面を伝って水受け樋へと集水され、外部に放出される。したがって、室内送風機58が水飛び現象によって障害を受けるのを抑制でき、空気調和機の信頼性が向上する。
【0038】
一方、暖房運転時には、四方弁54を圧縮機53の吐出側と室内機52とが連通するように切り換える。これにより、圧縮機53によって圧縮された冷媒は高温高圧の冷媒となって四方弁54を通り、室内機52に送られる。高温高圧の冷媒は室内熱交換器57に入り、室内空気と熱交換して放熱し、冷却され高圧の液冷媒となる。この時、室内空気は加熱されて室内を暖房する。その後、冷媒は減圧器56に送られ、減圧器56において減圧されて低温低圧の二相冷媒となり、室外熱交換器55に送られて外気と熱交換して蒸発気化し、四方弁54を経由して圧縮機53へ戻される。
【0039】
[2-3.効果等]
本開示の冷凍システムは、室内熱交換器57に前記実施の形態1で示したプレートフィン2aを用いて構成した熱交換器を使用しているので、熱交換器からの水飛び現象による障害を低減した信頼性の高い冷凍システムとすることができる。
【0040】
[他の実施形態]
以上、本発明に係るプレートフィン積層型熱交換器及びそれを用いた冷凍システムについて、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。例えば、第1流体は冷媒、第2流体は空気とした場合を例示したが、これに限定されるものではない。また、冷凍システムとして空気調和機を例示したが、冷蔵庫や冷凍ケース等であってもよいし、第2流体を水としたヒートポンプ給湯器であってもよいものである。つまり、今回開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、上記したように、軽量且つ水飛び現象を抑制して信頼性を高めたプレートフィン積層型熱交換器およびそれを用いた信頼性の高い冷凍システムを提供することができる。よって、家庭用及び業務用エアコン等に用いる熱交換器や各種冷凍機器に幅広く利用でき、その産業的価値は大なるものがある。
【符号の説明】
【0042】
1 熱交換器
2 プレートフィン積層体
2a プレートフィン
3a、3b エンドプレート
4 管A
5 管B
7 締結手段(ボルト・ナット)
8 伝熱流路
9 第1プレート
10 第2プレート
11 ヘッダ流路A
12 ヘッダ流路B
14 伝熱流路形成部
15a,15b 端板部
16 切除
17 フィン積層間隔形成用凸部
18 突出片部
51 室外機
52 室内機
53 圧縮機
54 四方弁
55 室外熱交換器
56 減圧器
57 室内熱交換器
58 室内送風機
59 室外送風機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11