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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/02 20060101AFI20241220BHJP
【FI】
F24C7/02 501Z
F24C7/02 501N
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021163187
(22)【出願日】2021-10-04
(65)【公開番号】P2023054383
(43)【公開日】2023-04-14
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】大谷 良介
(72)【発明者】
【氏名】安河内 大祐
(72)【発明者】
【氏名】林 孝宏
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-107138(JP,A)
【文献】実公昭52-050575(JP,Y1)
【文献】特開2003-329250(JP,A)
【文献】特開2000-055470(JP,A)
【文献】特開平08-219540(JP,A)
【文献】米国特許第05863310(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収容して加熱するための加熱室と、
前記加熱室にマイクロ波を放射するマイクロ波加熱機構と、
本体の下側に配設された機械室と、
前記機械室の前面に位置し、マグネットを有する通気パネル収納部に脱着可能に配設され、脱着可能な金属製のフィルタを有する通気パネルと、を備え、
前記通気パネルは、前記機械室の前面から傾斜させた状態で脱着可能に配設され、前記通気パネルは磁力に影響されない部材から構成され、
前記通気パネルを前記通気パネル収納部に収納する際、前記マグネットの磁力で前記フィルタを備えた前記通気パネルを前記通気パネル収納部に固定し、
前記通気パネルに前記フィルタが装着されていない状態では、前記通気パネルは前記機械室の前面から傾斜させた状態で維持される、加熱調理器。
【請求項2】
前記通気パネルを前記通気パネル収納部に装着する際、前記機械室の前面の斜め上方から前記通気パネルを前記通気パネル収納部に装着し、前記通気パネルを後方に回動させて前記通気パネル収納部に収納する、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記通気パネルを前記通気パネル収納部から離脱させる際、前記機械室の前面から前記通気パネルを前方に回動させて傾斜させ、前記機械室の前面から斜め上方に向けて前記通気パネルを前記通気パネル収納部から離脱させる、請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記機械室の前面から前記通気パネルを前方に回動させて傾斜させた状態で、前記フィルタを前記通気パネルから脱着可能に構成する、請求項1~3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記通気パネルは軸受部を有するとともに前記通気パネル収納部は軸部を有し、前記軸受部と前記軸部を嵌合させることにより、前記通気パネルを前後方向に回動可能に構成する、請求項1~4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱室の下方の機械室前面から通気パネル(フロントグリルパネル)を脱着可能に構成される加熱調理器が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6667082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の加熱調理器においては、使用者に使い勝手のよい通気パネルを備えた加熱調理器を提供するという観点において未だ改善の余地がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、使用者に使い勝手のよい通気パネルを備えた加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様の加熱調理器は、被加熱物を収容して加熱するための加熱室と、前記加熱室にマイクロ波を放射するマイクロ波加熱機構と、本体の下側に配設された機械室と、前記機械室の前面の通気パネル収納部に脱着可能に配設された通気パネルと、を備え、前記通気パネルは、前記機械室の前面から傾斜させた状態で脱着可能に配設される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使用者に使い勝手のよい通気パネルを備えた加熱調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態1に係る加熱調理器の前方斜視図
図2】本実施の形態1に係る加熱調理器の扉を開けた状態における前方斜視図
図3】本実施の形態1に係る加熱調理器の扉を開けた状態における正面図
図4】本実施の形態1に係る加熱調理器の扉を閉めた状態の正面中央縦端面図
図5】本実施の形態1に係る加熱調理器の扉を閉めた状態の循環空気の流れを示す部分端面図
図6】本実施の形態1に係る加熱調理器の図3のA-A部分断面図
図7】本実施の形態1に係る加熱調理器の機械室前面の通気パネルを傾斜させた状態の前方斜視図
図8】本実施の形態1に係る加熱調理器の機械室前面の通気パネルおよびフィルタを離脱させた状態の分解斜視図
図9】本実施の形態1に係る加熱調理器の機械室前面の通気パネルを取り外した状態の部分拡大斜視図
図10】本実施の形態1に係る加熱調理器の機械室前面の通気パネルを取り外した状態の部分正面図
図11】本実施の形態1に係る加熱調理器の通気パネルの(a)平面図(b)正面図(c)背面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者らは、使用者に使い勝手のよい通気パネルを備えた加熱調理器を提供するために鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
【0010】
従来の加熱調理器において、加熱室の下方の機械室前面から通気パネル(フロントグリルパネル)を脱着可能に構成される加熱調理器が知られている。
【0011】
しかしながら、通気パネルを脱着する場合、必ずしも加熱室の下方の機械室前面から通気パネルを完全に脱着する必要は必ずしもない。一例として、通気パネルを完全に脱着することが可能で、さらに通気パネルを少し傾けて通気パネルが機械室前面に付けられた状態でフィルタのみを脱着することができれば、使用者がフィルタのみ清掃して再度通気パネルにフィルタを戻すこともできる。
【0012】
このように、本発明者らは、従来よりも使用者に使い勝手のよい通気パネルを備えた加熱調理器を提供することができることを見出した。
【0013】
これらの新規な知見に基づき、本発明者らは、以下の発明に至った。
【0014】
本発明の第1態様によれば、本発明の一態様の加熱調理器は、被加熱物を収容して加熱するための加熱室と、前記加熱室にマイクロ波を放射するマイクロ波加熱機構と、本体の下側に配設された機械室と、前記機械室の前面の通気パネル収納部に脱着可能に配設された通気パネルと、を備え、前記通気パネルは、前記機械室の前面から傾斜させた状態で脱着可能に配設される。
【0015】
このような構成により、機械室の前面の斜め上方から通気パネルを通気パネル収納部に装着することができるし、機械室の前面の斜め上方へと通気パネルを通気パネル収納部から離脱させることもできるので、使用者に使い勝手のよい通気パネルを備えた加熱調理器を提供することができる。
【0016】
本発明の第2態様によれば、前記通気パネルを前記通気パネル収納部に装着する際、前記機械室の前面の斜め上方から前記通気パネルを前記通気パネル収納部に装着し、前記通気パネルを後方に回動させて前記通気パネル収納部に収納する、第1態様に記載の加熱調理器を提供する。
【0017】
このような構成により、例えば使用者が掃除した通気パネルを容易に通気パネル収納部に装着できるので、使用者に使い勝手のよい通気パネルを備えた加熱調理器を提供することができる。
【0018】
本発明の第3態様によれば、前記通気パネルを前記通気パネル収納部から離脱させる際、前記機械室の前面から前記通気パネルを前方に回動させて傾斜させ、前記機械室の前面から斜め上方に向けて前記通気パネルを前記通気パネル収納部から離脱させる、第1または第2態様に記載の加熱調理器を提供する。
【0019】
このような構成により、例えば使用者が通気パネルを掃除する際に容易に通気パネル収納部から通気パネルを離脱できるので、使用者に使い勝手のよい通気パネルを備えた加熱調理器を提供することができる。
【0020】
本発明の第4態様によれば、前記通気パネルは脱着可能な金属製のフィルタを備え、前記通気パネル収納部はマグネットを備え、前記通気パネルを前記通気パネル収納部に収納する際、前記マグネットの磁力で前記フィルタを備えた前記通気パネルを固定する、第1~第3態様のいずれかに記載の加熱調理器を提供する。
【0021】
このような構成により、例えば使用者が掃除したフィルタや通気パネルを容易に通気パネル収納部に装着できるので、使用者に使い勝手のよい通気パネルを備えた加熱調理器を提供することができる。
【0022】
本発明の第5態様によれば、前記通気パネルは脱着可能な金属製のフィルタを備え、前記機械室の前面から前記通気パネルを前方に回動させて傾斜させた状態で、前記フィルタを前記通気パネルから脱着可能に構成する、第1~第4態様のいずれかに記載の加熱調理器を提供する。
【0023】
このような構成により、例えば使用者がフィルタを掃除する際に、通気パネルを通気パネル収納部に装着させた状態で、容易に通気パネルからフィルタのみを離脱できるので、使用者に使い勝手のよい通気パネルを備えた加熱調理器を提供することができる。
【0024】
本発明の第6態様によれば、前記通気パネルは軸受部を有するとともに前記通気パネル収納部は軸部を有し、前記軸受部と前記軸部を嵌合させることにより、前記通気パネルを前後方向に回動可能に構成する、第1~第5態様のいずれかに記載の加熱調理器を提供する。
【0025】
このような構成により、機械室の前面の斜め上方から通気パネルを通気パネル収納部に装着することができるし、機械室の前面の斜め上方へと通気パネルを通気パネル収納部から離脱させることもできるので、使用者に使い勝手のよい通気パネルを備えた加熱調理器を提供することができる。
【0026】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。
【0027】
(実施の形態1)
以下、本開示に係る実施の形態の加熱調理器について、図面を参照しながら説明する。図1は実施の形態1の加熱調理器1の前方斜視図である。図1に示す加熱調理器1においては、正面に設けられた扉4が閉成状態である。図2は実施の形態1の加熱調理器1において扉4が開成された状態を示す前方斜視図である。図3は実施の形態1の加熱調理器1において扉4が開成された状態を示す正面図である。図4は実施の形態1の加熱調理器1において扉4が閉成された状態を示す正面中央縦端面図である。図5は実施の形態1に係る加熱調理器の扉を閉めた状態の循環空気の流れを示す部分端面図である。
【0028】
図6は実施の形態1に係る加熱調理器の図3のA-A部分断面図である。図7は実施の形態1に係る加熱調理器の機械室前面の通気パネルを傾斜させた状態の前方斜視図である。図8は本実施の形態1に係る加熱調理器の機械室前面の通気パネルおよびフィルタを離脱させた状態の分解斜視図である。図9は本実施の形態1に係る加熱調理器の機械室前面の通気パネルを取り外した状態の部分拡大斜視図である。図10は本実施の形態1に係る加熱調理器の機械室前面の通気パネルを取り外した状態の部分正面図である。図11は本実施の形態1に係る加熱調理器の通気パネルの(a)平面図(b)正面図(c)背面図である。
【0029】
なお、実施の形態1において、図中に示すように、加熱調理器を正面にして、使用者か
ら向かって加熱調理器の上面側を上方、反対側を下方とし、さらに扉4の正面から見て右側を右方、左側を左方として、以降では説明する。
【0030】
実施の形態1の加熱調理器1は、業務用の加熱調理器であり、例えば、コンビニエンス店、ファーストフード店などにおいて使用される大出力で加熱できる調理器である。もちろん家庭用としても応用可能である。加熱調理器1においては、調理内容に応じて、マイクロ波加熱、輻射加熱、および熱風循環加熱を単独で、または順次に、または並行して、選択的に実行される。
【0031】
図1および図2に示すように、加熱調理器1は、加熱室5を有する本体2と、本体2の下方に設けられて本体2を支持する機械室3と、本体2の前面に開閉可能に設けられた扉4とを備える。扉4は把手4aの操作により、扉4の両側下部に設けられたヒンジを中心に回動可能である。また、本体2の正面には、ユーザが加熱調理器1に対する設定操作および設定内容などを表示するための操作表示部6が設けられている。また、機械室3の前面側には脱着可能な通気パネル30が設けられている。
【0032】
扉4を閉じた状態(図1参照)で、加熱室5内の被加熱物にマイクロ波などによる加熱が行われ、扉4が開いた状態(図2参照)で、被加熱物が加熱室5に収容され、または、加熱室5から取り出される。
【0033】
本体2の加熱室5は、前方が開口した略直方体の空間を有しており、前方の開口を扉4により閉成することにより密閉され、加熱調理される被加熱物を収容する。加熱室5に収容された被加熱物は、背面側および天面側に設けられた熱風循環加熱機構、天面側に設けられた輻射加熱機構、および底面側に設けられたマイクロ波加熱機構の少なくともいずれか1つの加熱機構により加熱調理される。加熱室5の底板は、例えばガラスやセラミックなどマイクロ波が透過しやすい材料で構成されている。
【0034】
加熱室5の内部には、被加熱物を載置するための載置台7と、載置台7の下方に配置されて被加熱物から滴り落ちる脂などを受ける底板8とを収容可能に構成されている。載置台7は、加熱室5から加熱調理器1の外に取り出し可能であって、例えば、セラミック製の台で構成されており、被加熱物を載置できる板状部材と板状部材を支える4つの脚部7aとで一体に構成されている。脚部7aは底板8の上に載置される。底板8および載置台7はセラミック製であって、底板8は加熱室5の底壁5aの上面に固着されている。セラミックは、具体的にはコージライト製(酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素からなるセラミック)である。コージライトは、熱膨張性が低く、耐熱衝撃性に優れた特性を有する。そのため載置台7の表面にマイクロ波加熱機構から発振される電波が集中した場合や、被加熱物を300℃以上の高温で加熱する場合であっても、載置台7が割れてしまうといった危険性が低い。
【0035】
図4は、実施の形態1の加熱調理器1の正面中央縦断面図である。図4において右側が、扉4が設けられた正面側である。本明細書において、加熱調理器1の扉4側を前側(正面側)とし、その反対面(図5における左側)を後側(背面側)として説明する。
【0036】
図4に示すように、加熱室5の上方、天面側には輻射加熱部20を構成するグリルヒータ9が設けられている。熱源であるグリルヒータ9は、一本のシーズヒータで構成されており、天面側に配置され屈曲した形状を有している。グリルヒータ9は、加熱室5に収容された被加熱物を輻射熱により加熱調理するグリルモード(輻射加熱動作)において駆動制御される。
【0037】
加熱室5の底面外側に配設された機械室3にはマイクロ波加熱部21が設けられている
。マイクロ波加熱部21の主要な構成物としては、マイクロ波生成部であるマグネトロン15、マグネトロン15を駆動するインバータ装置16、および機械室3の内部の構成部材を冷却する冷却ファン17が設けられ、制御部(図示せず)により、駆動制御されている。冷却ファン17は、機械室3の前面に設けられた通気パネル30から外気を吸い込み、吸い込んだ外気を後方に送ることにより、インバータ装置16およびマグネトロン15を冷却する。
【0038】
冷却ファン17は多翼ファン等で構成され、回転軸の軸方向から空気を取り込み、外周方向における機械室3の後方に向けて空気を送り出す構成である。機械室3において後方に流れた空気は、本体2の背面に配置された排気ダクトを通り、加熱室5の背面壁から排出される。なお、機械室3において後方に流れた空気は、本体2の背面に配置された排気ダクトを通り、加熱室5の天井壁と本体2の上面壁との間を通り、本体2の前面側から排出される構造としてもよい。このような構成とすれば、本体2の背面壁の上面壁が高熱となることが防止される。
【0039】
また、マイクロ波加熱部21には、マグネトロン15で生成されたマイクロ波を加熱室5の下側中央方向に案内する導波管18、および導波管18により案内されたマイクロ波を加熱室5の内部に放射するためのマイクロ波供給部19が含まれる。マイクロ波供給部19は、加熱室5の底面の中央に配設されており、導波管18の端部上面に形成された開口により構成される。
【0040】
また、マイクロ波供給部19から放射されたマイクロ波を撹拌するために、マイクロ波供給部19の上方にはスタラ(Stirrer)23が設けられている。スタラ23は、機械室3内に設けられたスタラ駆動部(モータ:図示せず)により回転駆動され、放射されたマイクロ波を撹拌する羽根を有している。従って、実施の形態1の加熱調理器1においては、加熱室5の底面側から撹拌されたマイクロ波が加熱室5の内部に放射され、載置台7上に載置された被加熱物が加熱される構成である。
【0041】
また、実施の形態1の加熱調理器1においては、加熱調理源としてグリルヒータ9による輻射加熱部20およびマイクロ波加熱部21の他に熱風生成機構22が設けられ、マイコンを含んで構成される制御部(図示せず)により、駆動制御されている。熱風生成機構22は、熱風循環加熱を行うための熱源であるコンベクションヒータ10、送風源である循環ファン11、循環ファン11を駆動するためのファン駆動部12(モータ)などが加熱室5の背面側に設けられている。加熱室5の背面となる後壁5eには複数の開孔26が形成されており、これらの開孔26を通して、コンベクションヒータ10および循環ファン11の駆動により加熱室5からの空気の吸引がなされ、吹出口27から加熱室5への空気の吹出しが行われる。図5において、白抜き矢印にて加熱室5からの空気の吸引から加熱室5への空気の吹出までの空気の流れを示している。
【0042】
また、熱風生成機構22は、後述する流路形成部13および風ガイド14を含んでいる。流路形成部13および風ガイド14は、加熱室5の天面側に設けられており、流路形成部13の底面に開けられた吹出口27から加熱室5への風の流速および吹出し方向を規定している。本開示においては、流路形成部13および風ガイド14が、加熱室5の上部に配設されて上方空間を形成し、上方空間内で循環ファン11から加熱室5に吹出される空気の流速および吹出し方向を規定する。
【0043】
上記のように、実施の形態1の加熱調理器1は、加熱室5に収容された被加熱物に対して加熱調理を行うために、グリルヒータ9による輻射加熱部20、マイクロ波加熱部21、および熱風生成機構22が設けられている。
【0044】
次に、通気パネル30の具体構成について説明する。
【0045】
通気パネル30は機械室3の前面に設けられている。加熱室5の底面外側に配設された機械室3にはマイクロ波加熱部21が設けられており、マイクロ波加熱部21の主要な構成物としてのマグネトロン15、インバータ装置16、および機械室3の内部の構成部材を冷却する冷却ファン17が設けられ、制御部(図示せず)により、駆動制御されている。冷却ファン17は、機械室3の前面に設けられた通気パネル30から外気を吸い込み、機械室3の前面の吸込口31aから吸い込んだ外気を後方に送ることにより、インバータ装置16およびマグネトロン15を冷却できる構成となっている。
【0046】
図6は実施の形態1に係る加熱調理器の図3のA-A部分断面図である。図7は実施の形態1に係る加熱調理器の機械室前面の通気パネルを傾斜させた状態の前方斜視図である。図8は本実施の形態1に係る加熱調理器の機械室前面の通気パネルおよびフィルタを離脱させた状態の分解斜視図である。図9は本実施の形態1に係る加熱調理器の機械室前面の通気パネルを取り外した状態の部分拡大斜視図である。図10は本実施の形態1に係る加熱調理器の機械室前面の通気パネルを取り外した状態の部分正面図である。図11は本実施の形態1に係る加熱調理器の通気パネルの(a)平面図(b)正面図(c)背面図である。
【0047】
図6に示すとおり、通気パネル30はその前面に対して上向き傾斜のルーバー30aを複数備えており、通気パネル30に吸い込まれる外気の流向を調整している。図6図8に示すとおり、機械室3の前面を形成する前板31には、複数の吸込口31aが例えばパンチングにより穴が開けられている。通気パネル30に吸い込まれる外気は、この吸込口31aを通過して機械室3の内部へと送りこまれる。
【0048】
機械室3の前側には底部と側部を形成する通気パネル収納部32が設けられている。この通気パネル収納部32に通気パネル30が脱着可能に配設される。
【0049】
図7および図8に示すとおり、この通気パネル30は、機械室3の前面から傾斜させた状態で脱着可能に配設される。
【0050】
このような構成により、機械室3の前面の斜め上方から通気パネル30を通気パネル収納部32に装着することができるし、機械室3の前面の斜め上方へと通気パネル30を通気パネル収納部32から離脱させることもできるので、使用者に使い勝手のよい通気パネル30を備えた加熱調理器1を提供することができる。
【0051】
また、図6および図8のとおり、通気パネル30は両左右面の下端部を切り欠いた軸受部30cを有するとともに、図9および図10のとおり、通気パネル収納部32の両側部に通気パネル30の軸受部30cに嵌合する軸部32aを有し、軸受部30cと軸部32aを嵌合させることにより、通気パネル30を通気パネル収納部32に脱着可能に配設することができ、さらに通気パネル30を前後方向に回動可能に構成することができる。
【0052】
また、図9に示すとおり、通気パネル収納部32の底部両端には、底部から前方上方に向けて傾斜した傾斜保持部32cを有しているので、通気パネル30は、通気パネル収納部32に装着された際に、機械室3の前面から傾斜させた状態で、それ以上は通気パネル30が倒れない状態で保持することができる。
【0053】
すなわち、図7における通気パネル30を傾斜させた状態から、通気パネル30を後方向に回動させて、通気パネル30を傾斜させた状態から略垂直の状態まで起こして通気パネル収納部32に収納することもできるし、通気パネル30を通気パネル収納部32に収
納した状態から、通気パネル30を前方向に回動させて、通気パネル30を略垂直の状態から傾斜させた状態にして通気パネル収納部32から通気パネル30を離脱させることもできる。
【0054】
このような構成により、図8のとおり、通気パネル30を通気パネル収納部32に装着する際、機械室3の前面の斜め上方から通気パネル30を通気パネル収納部32に装着し、通気パネル30を後方に回動させて通気パネル収納部32に収納することができる。また、通気パネル30を通気パネル収納部32から離脱させる際、機械室3の前面から通気パネル30を前方に回動させて傾斜させ、機械室3の前面から斜め上方に向けて通気パネル30を通気パネル収納部32から離脱させることができる。
【0055】
また、図6図8に示すとおり、通気パネル30の後面側にはフィルタ30bが脱着可能に取り付けられている。通気パネル30は脱着可能な金属製のフィルタ30bを備え、機械室3の前面から通気パネル30を前方に回動させて傾斜させた状態で、フィルタ30bを通気パネル30から脱着可能に構成されている。
【0056】
図8に示すとおり、フィルタ30bは、磁力に反応する金属製の枠部30b1と外気に混じる塵やゴミを収集するメッシュ部30b2とから構成される。
【0057】
さらに、図6および図8図10に示すとおり、通気パネル収納部32の左右側部にはマグネット32bを備え、フィルタ30bが装着された通気パネル30を通気パネル収納部32に収納する際、フィルタ30bの金属製の枠部30b1の左右端部がマグネット32bの磁力で引き付けられるので、マグネット32bの磁力でフィルタ30bを備えた通気パネル30を固定することができる構成となっている。通気パネル収納部32の左右側部のマグネット32bの配置位置は、フィルタ30bの金属製の枠部30b1の左右端部と対抗する位置に配置すれば、フィルタ30bを備えた通気パネル30を固定する際に、磁力が強く働くのでなおよい。
【0058】
フィルタ30bを通気パネル30に装着せずに通気パネル30を通気パネル収納部32に収納しようとした場合、通気パネル30を磁力が影響しない金属や樹脂等の部材で構成すれば、マグネット32bの磁力が通気パネル30に働かないので、例えば、通気パネル30を機械室3の前面の斜め上方から通気パネル収納部32に装着し、通気パネル30を後方に回動させて通気パネル収納部32に収納しようとしても、磁力が働かないため、通気パネル30が前方に倒れて傾斜してしまい、通気パネル30を通気パネル収納部32に収納できない状態にすることができる。
【0059】
このような状態になれば、使用者は通気パネル30にフィルタ30bが装着されていないと気づくことができるので、使用者は改めてフィルタ30bを通気パネル30に装着したうえで、通気パネル30を通気パネル収納部32に収納することができる。
【0060】
さらに、図11に示すとおり、通気パネル30の下端にはフィルタ下部受け部30gおよびフィルタ下部抑え部30dが設けられ、通気パネル30の左右端部にはフィルタ側部抑え部30eが設けられているので、これらによって、通気パネル30にフィルタ30bを装着保持できる構成となっている。
【0061】
また、図11に示すとおり、フィルタ側部抑え部30eの一部を切り欠いてこの位置をマグネット対向位置30fとしておけば、フィルタ30bの枠部30b1の左右端部がマグネット32bと対向する位置に該当するので、フィルタ30bが装着された通気パネル30を通気パネル収納部32に収納する際、フィルタ30bの金属製の枠部30b1の左右端部がマグネット32bの磁力で引き付けらやすくなるので、マグネット32bの磁力
でフィルタ30bを備えた通気パネル30を固定することができる構成となっている。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、使用者に使い勝手のよい通気パネルを備えた加熱調理器を提供することができるため、業務用や家庭用を含めて、例えば電子レンジなどの高周波加熱調理器やオーブンレンジ、オーブントースターなどに有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 加熱調理器
2 本体
3 機械室
4 扉
5 加熱室
5a 底壁
6 操作表示部
7 載置台
7a 脚部
8 底板
9 グリルヒータ
10 コンベクションヒータ
11 循環ファン
12 ファン駆動部
13 流路形成部
14 風ガイド
15 マグネトロン
16 インバータ装置
17 冷却ファン
18 導波管
19 マイクロ波供給部
20 輻射加熱部
21 マイクロ波加熱部
22 熱風生成機構
23 スタラ
30 通気パネル
30a ルーバー
30b フィルタ
30b1 枠部
30b2 メッシュ部
30c 軸受部
30d フィルタ下部抑え部
30e フィルタ側部抑え部
30f マグネット対向位置
30g フィルタ下部受け部
31 前板
31a 吸込口
32 通気パネル収納部
32a 軸部
32b マグネット
32c 傾斜保持部
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11