(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】バスバーガイド及びそれを用いたバスバー集合体、モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/50 20060101AFI20241220BHJP
H02K 3/52 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
H02K3/50 A
H02K3/52 E
(21)【出願番号】P 2021565341
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2020039333
(87)【国際公開番号】W WO2021124669
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2019226290
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】前田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】松下 泰明
(72)【発明者】
【氏名】山内 弘和
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/180447(WO,A1)
【文献】特開2016-208577(JP,A)
【文献】国際公開第2015/060058(WO,A1)
【文献】特開2011-182512(JP,A)
【文献】特開2019-146321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/50
H02K 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータに設けられた複数のコイル間を接続するバスバーを固定するためのバスバーガイドであって、
前記バスバーは、径方向に延伸し互いに対向する一対の第1面と前記第1面に連続する軸方向に延伸し互いに対向する一対の第2面とを有する板状の導体を含み、
前記バスバーガイドは、それぞれ絶縁体からなる複数のバスバーガイド片を環状に配置することで構成され、
前記複数のバスバーガイド片のそれぞれに、前記バスバーの第1面を保持するとともに前記バスバーの位置決めを行うための溝部が設けられ
、
互いに隣り合うとともに、前記バスバーガイドの外周方向に沿って互いに間隔をあけて配置された2つのバスバーガイド片の組を、少なくとも1組有しているバスバーガイド。
【請求項2】
互いに隣り合う2つのバスバーガイド片の組を複数有しており、少なくとも1組のバスバーガイド片のそれぞれに、互いを嵌合して接続するための嵌合部が形成されている請求項
1に記載のバスバーガイド。
【請求項3】
一の組のバスバーガイド片のそれぞれに形成された前記嵌合部の形状は、他の組のバスバーガイド片のそれぞれに形成された前記嵌合部の形状と同じである請求項
2に記載のバスバーガイド。
【請求項4】
一の組のバスバーガイド片のそれぞれに形成された前記嵌合部の形状は、他の組のバスバーガイド片のそれぞれに形成された前記嵌合部の形状と異なる請求項
2に記載のバスバーガイド。
【請求項5】
前記バスバーガイドの外周方向に沿って互いに間隔をあけて配置された2つのバスバーガイド片の間に、センサが配置されている請求項
1に記載のバスバーガイド。
【請求項6】
少なくとも1つのバスバーガイド片には、前記溝部が形成された面と反対側の面に段差または凹部が設けられており、前記センサに接続される配線は、少なくとも一部が前記段差または前記凹部に覆われている請求項
5に記載のバスバーガイド。
【請求項7】
前記溝部の深さは、前記バスバーの第2面の幅の半分以下である請求項1から
6のいずれか1項に記載のバスバーガイド。
【請求項8】
前記複数のバスバーガイド片のそれぞれに、前記コイルに設けられたリード部を通すための貫通孔が設けられている請求項1から
7のいずれか1項に記載のバスバーガイド。
【請求項9】
前記第1面は、前記第2面よりも幅が狭い請求項1から
8のいずれか1項に記載のバスバーガイド。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のバスバーガイドと、前記バスバーガイドの上面に設けられた複数の前記溝部にそれぞれ配置された複数のバスバーと、を少なくとも備えたバスバー集合体。
【請求項11】
軸心に出力軸を有するロータと、
前記ロータと所定の間隔をあけて設けられたステータと、
前記ステータの上部に取り付けられた請求項
10に記載のバスバー集合体と、を少なくとも備え、
前記ステータは、
環状のヨークと、
前記ヨークの内周に所定の間隔をあけて接続された複数のティースと、
前記複数のティースのそれぞれに装着された複数のコイルと、を少なくとも有し、
前記複数のコイルのうちの2つのコイルが、前記複数のバスバーのうちの1つのバスバーを介して電気的に接続されているモータ。
【請求項12】
前記複数のバスバーは、
モータに設けられた複数のコイル間を接続するバスバーを固定するためのバスバーガイドの上面に設けられた
複数の溝部にそれぞれ配置されており、前記コイルは、前記バスバーと接続するためのリード部を有しており、前記リード部は、前記バスバーガイドに設けられた貫通孔を通って、前記バスバーガイドの上方に引き出され、前記バスバーに電気的に接続されている請求項
11に記載のモータ。
【請求項13】
前記バスバーの両端は折り返されており、前記リード部が前記バスバーの端部に挟持された状態で、前記リード部と前記バスバーとが電気的に接続されている請求項
12に記載のモータ。
【請求項14】
前記バスバーの端部には、前記第1面から延びる凸部が設けられており、前記リード部の先端が前記凸部に支持された状態で、前記リード部と前記バスバーとが電気的に接続されている請求項
13に記載のモータ。
【請求項15】
前記バスバーの一端と他端とは、前記バスバーガイドの外周方向に関して、それぞれ反対方向に折り返されている請求項
13または
14に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバーガイド及びそれを用いたバスバー集合体、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータに設けられた複数のコイル間を接続するために、板状のバスバーを用いる構成が広く知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ステータコアの上部に設けられた環状のインシュレータに複数の溝部が設けられ、この溝部にバスバーがそれぞれ嵌め込まれて保持された構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されるような従来の構成では、バスバーを保持するインシュレータが1つの部品として一体的に形成されている。このため、複数のバスバーのそれぞれの形状ばらつき、または、各コイルの端子位置のばらつきなどを吸収して、各部品を所定の位置に配置させるのが難しかった。また、インシュレータ自体の形状ばらつきによっても、各部品の位置ずれが発生し、各コイル間を確実に接続することが難しかった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、各部品の形状ばらつき及び配置ばらつきを吸収して、コイル間を確実に接続できるバスバーガイド及びそれを用いたバスバー集合体、モータを提供することにある。
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に係るバスバーガイドは、モータに設けられた複数のコイル間を接続するバスバーを固定するためのバスバーガイドであって、前記バスバーは、径方向に延伸し互いに対向する一対の第1面と前記第1面に連続する軸方向に延伸し互いに対向する一対の第2面とを有する板状の導体を含み、前記バスバーガイドは、それぞれ絶縁体からなる複数のバスバーガイド片を環状に配置することで構成され、前記複数のバスバーガイド片のそれぞれに、前記バスバーの第1面を保持するとともに前記バスバーの位置決めを行うための溝部が設けられている。
【0008】
本発明に係るバスバー集合体は、前記バスバーガイドと、前記バスバーガイドの上面に設けられた複数の前記溝部にそれぞれ配置された複数のバスバーと、を少なくとも備える。
【0009】
本発明に係るモータは、軸心に出力軸を有するロータと、前記ロータと所定の間隔をあけて設けられたステータと、前記ステータの上部に取り付けられた前記バスバー集合体と、を少なくとも備え、前記ステータは、環状のヨークと、前記ヨークの内周に所定の間隔をあけて接続された複数のティースと、前記複数のティースのそれぞれに装着された複数のコイルと、を少なくとも有し、前記複数のコイルのうちの2つのコイルが、前記複数のバスバーのうちの1つのバスバーを介して電気的に接続されている。
【0010】
本発明のバスバーガイドによれば、バスバーの形状ばらつきを吸収して、バスバーガイドにバスバーを容易に配置できる。本発明のバスバー集合体によれば、バスバーの形状ばらつきを吸収して、バスバーガイドに複数のバスバーを容易に配置できる。本発明のモータによれば、バスバーガイドに複数のバスバーを容易に設置できる。また、バスバーガイドに複数のバスバーが位置決めして配置されているため、モータの組立工程が簡素化され、組立コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るモータの上面図である。
【
図4A】溝部にバスバーが配置された場合のバスバーガイドの上面図である。
【
図7B】ギャップの近傍を径方向から見た模式図である。
【
図8B】変形例1に係るバスバーとリード部との接続部の拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0013】
(実施形態)
[モータの構成]
図1は、本発明の実施形態に係るモータの上面図である。
図2は、
図1のII-II線での断面図である。なお、以降の説明において、モータ1000の半径方向を「径方向」と、外周方向を「周方向」と、モータ1000の出力軸210の軸線方向(
図1における紙面と垂直な方向)を「軸方向」とそれぞれ呼ぶことがある。径方向において、モータ1000の軸心側を径方向内側と、外周側を径方向外側と呼ぶことがある。モータ1000の外周方向と、後で述べるバスバーガイド60の外周方向とは同じである。よって、バスバーガイド60の外周方向も「周方向」と呼ぶことがある。同様に、モータ1000の半径方向と、バスバーガイド60の半径方向とは同じである。よって、バスバーガイド60の半径方向も「周方向」と呼ぶことがある。モータ1000において、バスバーガイド60が設けられた側を上または上側と、軸方向に沿ってその反対側を下または下側と呼ぶことがある。
図2において、コイル40のリード部41の図示を省略している。なお、軸方向で見て、モータ1000の軸心は、出力軸210の軸線に一致する。
【0014】
モータ1000は、ステータ100とロータ200とモータケース400を有している。なお、モータ1000は、これら以外の構成部品、例えば、出力軸を軸支する軸受等の部品を有している。しかし、説明の便宜上、その図示及び説明を省略する。
【0015】
ステータ100は、円環状のヨーク20と、複数のティース10と、スロット30と、コイル40とを有している。複数のティース10は、ヨーク20の内周に接続され、当該内周に沿って等間隔に設けられている。スロット30は、周方向に隣り合うティース10の間にそれぞれ設けられている。コイル40は、スロット30内に収容されている。ステータ100は、ロータ200の径方向外側に、ロータ200と一定の間隔をあけて配置されている。
【0016】
ティース10とヨーク20は、それぞれ、例えば、ケイ素等を含有した電磁鋼板を積層後に打ち抜き加工して形成される。コイル40は、断面が四角形の銅等からなる導線が螺旋状に巻回されてなる部品である。コイル40は、両端部にそれぞれリード部41を有している。コイル40は、インシュレータ(図示せず)を挟んで複数のティース10のそれぞれに装着されて、スロット30内に収容されている。なお、図示しないが、コイル40を構成する導線の表面には絶縁被膜が形成されている。リード部41の先端には、それぞれバスバー50が溶接等により接続される。
【0017】
また、本実施形態では、コイル40に流れる電流の位相に応じて、コイルをコイルU1~U4,V1~V4,W1~W4とそれぞれ呼ぶことがある。
【0018】
バスバー集合体300は、バスバーガイド60と複数のバスバー50とを有する。バスバーガイド60は、複数のバスバーガイド片60a~60kを周方向に配置して構成されている(
図3を参照)。バスバーガイド片60a~60kは、それぞれ熱可塑性の絶縁樹脂を成形加工してなる。ただし、熱硬化性樹脂を用いてもよい。バスバーガイド60の形状及び機能については、後で詳述する。
【0019】
バスバー50は、板状の銅等からなる導体を所定の形状に折り曲げ加工してなる。バスバー50の表面には図示しない絶縁被膜が形成されている。ただし、コイル40のリード部41との接続部分では絶縁被膜が除去されている。バスバー50は、周方向に離間したコイル40の間を電気的に接続するための配線として機能する。例えば、複数のバスバー50を介して、コイルU1~U4がそれぞれ直列接続される。バスバー50の形状については後で述べる。
【0020】
ロータ200は、出力軸210と、出力軸210を軸心に有するロータコア220と、ロータコア220の内部に埋設さる。ロータ200は、ステータ100に対向してN極、S極が出力軸の外周方向に沿って交互に配置された複数の磁石230とを有している。なお、磁石230の材料、形状、及び材質については、モータ1000の出力等に応じて適宜変更しうる。ロータコア220は、例えば、ケイ素等を含有した電磁鋼板を積層後に打ち抜き加工して形成される。
【0021】
モータケース400は、有底筒状の金属部品である。モータケース400は、内部にステータ100とロータ200とを収容している。なお、モータケース400が鉄等の磁性体からなる場合、磁路を構成するヨークとして機能させてもよい。その場合、ヨーク20を省略してもよい。
【0022】
コイルU1~U4,V1~V4,W1~W4はそれぞれ直列に接続されている。互いに電気角で120°の位相差を有するU,V,W相の3相の電流がそれぞれコイルU1~U4,V1~V4,W1~W4に供給されて励磁される。これにより、ステータ100に回転磁界が発生する。この回転磁界と、ロータ200に設けられた磁石230が発生する磁界との間で相互作用を生じてトルクが発生する。これにより、出力軸210が図示しない軸受に支持されて回転する。
【0023】
[バスバーガイド及びバスバーの構成]
図3は、バスバーガイドの上面図である。
図4Aは、溝部にバスバーが配置された場合のバスバーガイドの上面図である。
図4Bは、
図4Aのバスバーガイドの斜視図である。なお、説明の便宜上、
図4A,
図4Bにおいて、1つのバスバー50のみを図示している。
【0024】
図5Aは、バスバーの上面図である。
図5Bは、
図5AのVB-VB線での断面模式図である。
図5Cは、
図5Aに示すバスバーの端部の拡大図である。
図6Aは、溝部の拡大上面図である。
図6Bは、
図6AのVIB-VIB線での断面模式図である。
図7Aは、ギャップの拡大上面図である。
図7Bは、ギャップの近傍を径方向から見た模式図である。なお、
図7Bは、
図7Aに示す矢印の方向から見た模式図である。
【0025】
図5A,
図5Cにおいて、コイル40のリード部41も併せて図示している。
図7A,
図7Bにおいてバスバー50の図示を省略している。バスバーガイド60において、バスバー50が配置される側の面をバスバーガイド60の上面と呼び、その反対側の面をバスバーガイド60の下面と呼ぶことがある。
【0026】
図3に示すように、バスバーガイド60は、11個のバスバーガイド片60a~60kが周方向に配置されて構成されている。互いに隣り合うバスバーガイド片60aと60bは、嵌合部64aで互いに嵌め合わされて接続されている。互いに隣り合うバスバーガイド片60cと60dは、嵌合部64bで互いに嵌め合わされて接続されている。互いに隣り合う3つのバスバーガイド片60d~60fは、嵌合部64cでそれぞれ嵌め合わされて互いに接続されている。互いに隣り合う3つのバスバーガイド片60g~60iは、嵌合部64cでそれぞれ嵌め合わされて接続されている。互いに隣り合うバスバーガイド片60jと60kは、嵌合部64cで互いに嵌め合わされて接続されている。なお、以降の説明において、嵌合部64a~64cを総称して、嵌合部64と呼ぶことがある。
【0027】
一方、バスバーガイド片60aと60cの間及び60bと60cとの間は、ギャップ63aにより互いに間隔をあけて分割されている。バスバーガイド片60fと60gの間は、ギャップ63bにより互いに間隔をあけて分割されている。バスバーガイド片60iと60jの間は、ギャップ63cにより互いに間隔をあけて分割されている。バスバーガイド片60kと60aの間は、ギャップ63dにより互いに間隔をあけて分割されている。言い換えると、バスバーガイド60は、ギャップ63a~63dによって、周方向で複数に分割されている。
【0028】
図3から明らかなように、複数の嵌合部64cは、それぞれ同じ形状である。嵌合部64a,64bは、互いに形状が異なるとともに、嵌合部64cとも形状が異なっている。
【0029】
バスバーガイド片60a~60kには、それぞれ貫通孔62と溝部61とが形成されている。溝部61は、1つのバスバーガイド片に、あるいは複数のバスバーガイド片に跨って、それぞれ形成されている。
図3に示すように、1つのバスバーガイド片60j,60k,60aのみにそれぞれ形成された溝部61には、外部電源との接続線に接続されるバスバー50が配置される。コイル40のリード部41が、貫通孔62を通って、バスバーガイド60の上方に引き出されている。こうして、コイル40のリード部41が、バスバー50の端部50aにそれぞれ接続されている。
図4A,
図4Bに示すように、溝部61はバスバーガイド60の上面に形成されており、バスバー50の両端部50aはそれぞれ折り曲げられた状態で、溝部61に嵌め込まれている。
【0030】
バスバー50の両端部50aは、周方向に関してそれぞれ同じ方向に、先端が径方向内側に位置するように折り返されている。バスバー50の折り返された端部50aを収容するように、溝部61もヘアピン状に湾曲した湾曲部61aを有している。湾曲部61aは、上面視で、貫通孔62を囲むように配置されている。
【0031】
さらに、バスバー集合体300がステータ100に取り付けられた状態で、
図5A,
図5Cに示すように、バスバー50の両端部50aにリード部41が挟み込まれている。リード部41とバスバー50とは、溶接またはヒュージング(熱かしめ)等により互いに接合される。このように、複数の溝部61のそれぞれにバスバー50が嵌め込まれることで、リード部41の位置に対応した貫通孔62とバスバー50との位置決めがなされる。
【0032】
図5Bに示すように、バスバー50は、径方向に延伸し互いに対向する一対の第1面51と、軸方向に延伸し互いに対向する一対の第2面52とを有している。第1面51は第2面52に連続して、第2面52とほぼ直角をなしている。第2面52の幅w2が第1面51の幅w1よりも広くなるようにバスバー50の形状が設定されている。バスバー50は、第1面51が溝部61の底面に当接するように、溝部61に嵌め込まれている(
図4A,
図4Bを参照)。
【0033】
図6A,
図6Bに示すように、溝部61の深さをd1、幅をw3とそれぞれするとき、前述の幅w1,w2とこれら深さd1,幅w3との間には、以下の式(1)、(2)に示す関係が成立している。
【0034】
d1≦0.5×w2 ・・・(1)
w1<w3≦2×w1 ・・・(2)
図1に示すように、バスバーガイド60がステータ100の上部に取り付けられた状態で、軸方向上側から見て、ギャップ63a~63dの内側に、それぞれ温度検出センサ70が配置されている。温度検出センサ70は、モータ1000、特にコイル40の温度を検出する。
図7Aに示すように、温度検出センサ70には配線71が接続されており、温度検出センサ70の出力信号が配線71を介して図示しないモータ制御部に出力され、例えば、モータ1000の温度が監視される。温度検出センサ70の出力信号が所定値以上となる場合、モータ制御部が温度異常を報知させる。あるいは、異常報知後にモータ1000を停止させる。温度検出センサ70として、例えば、サーミスタや熱電対が用いられる。
【0035】
図7Bに示すように、ギャップ63dの内側に位置する温度検出センサ70に接続された配線71は、その一部がバスバーガイド60の下面に設けられた段差65に覆われている。
図3に示すように、ギャップ63cの径方向外側には、孔66が形成されている。孔66は、ギャップ63cの内側に温度検出センサ70が配置された場合、温度検出センサ70に接続された配線71をバスバーガイド60またはバスバー50に固定するための紐状の部材(図示せず)を通すために設けられている。
【0036】
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係るバスバーガイド60は、モータ1000に設けられた複数のコイル40の間を接続するバスバー50を固定するために設けられる。バスバー50は、第1面51と第1面51に連続する第2面52とを有する板状の導体を含んでいる。
【0037】
バスバーガイド60は、それぞれ絶縁体からなる複数のバスバーガイド片60a~60kを環状に配置することで構成されている。複数のバスバーガイド片60a~60kのそれぞれに、バスバー50の第1面51を保持するとともにバスバー50の位置決めを行うための溝部61が設けられている。
【0038】
バスバーガイド60を複数のバスバーガイド片60a~60kで構成することで、バスバー50の形状ばらつき等を吸収できる。よって、バスバーガイド60にバスバー50を容易に配置できる。また、コイル40のリード部41の位置ばらつきを吸収できる。よって、バスバー50をリード部41の位置にあわせて正しく配置することができる。バスバーガイド60の上面に溝部61を設けることで、バスバー50を確実に保持できる。
【0039】
図5Bに示すように、バスバー50の第1面51の幅w1が第2面52の幅w2よりも狭い場合、バスバー50を、いわゆる縦置きで配置できる。よって、バスバー50の配置面積を小さくできる。このことにより、バスバー50の配置自由度を高められる。
【0040】
式(1)に示したように、溝部61の深さd1は、バスバー50の第2面52の幅w2の半分以下であるであることが好ましい。
【0041】
このようにすることで、溝部61から露出したバスバー50の表面積を大きくすることができる。このことにより、溝部61でバスバー50を保持しつつ、バスバー50の放熱面積を確保できる。よって、空気及びその他の冷媒等によるバスバー50の冷却効率を高められる。大電流が流れるバスバー50が効率良く冷却されることで、モータ1000の効率が低下するのを抑制できる。また、コイル40及びステータ100の温度上昇を抑制して、モータ1000を安定して駆動できる。なお、深さd1は、バスバー50が、モータ1000の振動等によりガタつかない程度の値にする必要がある。
【0042】
式(2)に示したように、溝部61の幅w3は、バスバー50の第1面51の幅w1より広くかつその2倍以下であることが好ましい。
【0043】
このようにすることで、バスバー50を溝部61に簡便に嵌め込めるとともに、モータ1000の振動等によりバスバー50がガタつかないようにできる。
【0044】
バスバーガイド60は、ギャップ63a~63dにより、複数に分割されている。言い換えると、バスバー50は、互いに隣り合うとともに、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置された2つのバスバーガイド片の組を、少なくとも1組有している。
【0045】
バスバーガイド60をこのように構成することで、リード部41の位置ばらつきまたはバスバー50の形状ばらつき等が大きくなった場合にも、確実にこれらのばらつきを吸収できる。このことにより、バスバーガイド60にバスバー50を容易に配置できる。また、バスバー50をリード部41の位置にあわせて正しく配置することができる。
【0046】
また、バスバーガイド60は、互いに隣り合う2つのバスバーガイド片の組を複数有しており、少なくとも1組のバスバーガイド片のそれぞれに、互いを嵌合して接続するための嵌合部64が形成されている。例えば、互いに隣り合う3つのバスバーガイド片60d~60fは、嵌合部64cでそれぞれ嵌め合わされて互いに接続されている。
【0047】
バスバーガイド60をこのように構成することで、振動等に対するバスバーガイド60の強度を確保できる。1つのバスバー50が嵌め込まれる溝部61が、複数のバスバーガイド片に跨って形成されているような場合は、これらのバスバーガイド片を嵌合部64でそれぞれ嵌め合わせて接続することで、溝部61の位置ずれを小さくできる。このことにより、溝部61でバスバー50を安定して保持できる。
【0048】
一の組のバスバーガイド片のそれぞれに形成された嵌合部64の形状は、他の組のバスバーガイド片のそれぞれに形成された嵌合部64の形状と同じであってもよい。例えば、互いに隣り合う3つのバスバーガイド片60d~60fは、同じ形状の嵌合部64cでそれぞれ嵌め合わされて互いに接続されている。また、互いに隣り合う3つのバスバーガイド片60g~60iも、同じ形状の嵌合部64cでそれぞれ嵌め合わされて接続されている。
【0049】
嵌合部64の形状をこのように規定することで、互いに接続可能なバスバー50片の組み合わせを増やすことができる。よって、バスバーガイド60の配置自由度を高められる。
【0050】
一の組のバスバーガイド片のそれぞれに形成された嵌合部64の形状は、他の組のバスバーガイド片のそれぞれに形成された嵌合部64の形状と異なっていてもよい。例えば、互いに隣り合うバスバーガイド片60aと60bは、嵌合部64aで互いに嵌め合わされて接続されている。一方、互いに隣り合うバスバーガイド片60cと60dは、嵌合部64aと異なる形状の嵌合部64bで互いに嵌め合わされて接続されている。また、互いに隣り合うバスバーガイド片60jと60kは、嵌合部64a及び嵌合部64bのいずれとも異なる形状の嵌合部64cで互いに嵌め合わされて接続されている。
【0051】
嵌合部64の形状をこのように規定することで、間違えることなく複数のバスバーガイド片60a~60kを所定の位置に配置できる。このことにより、複数のバスバーガイド片60a~60kからなるバスバーガイド60を簡便に設置することができる。
【0052】
バスバーガイド60に設けられたギャップ63a~63dの少なくとも1つの内側に、温度検出センサ70が配置されている。言い換えると、バスバーガイド60において、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置された2つのバスバーガイド片の間に、温度検出センサ70が配置されている。
【0053】
このようにすることで、温度検出センサ70の設置領域が確保できるとともに、バスバーガイド60により温度検出センサ70を保持できる。
【0054】
また、少なくとも1つのバスバーガイド片には、溝部61が形成された上面と反対側の面である下面に段差65が設けられている。温度検出センサ70に接続される配線71の一部は、段差65に覆われている。
【0055】
このようにすることで、バスバー集合体300を含むステータ100に配線71を安定して配置できる。また、配線71が引っ張られたとしても、段差65に覆われた部分では、配線が大きく変位しない。このため、配線71に接続された温度検出センサ70が所定の位置から外れるのを防止できる。このことにより、モータ1000及びコイル40の温度を正しく検出することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、バスバーガイド片60aの下面に段差65を設けたが、凹部を設けるようにしてもよい。このようにしても、配線71が大きく変位しないため、配線71に接続された温度検出センサ70が所定の位置から外れるのを防止できる。
【0057】
また、複数のバスバーガイド片60a~60kのそれぞれに、コイル40に設けられたリード部41を通すための貫通孔62が設けられている。
【0058】
このようにすることで、リード部41を介して、コイル40とバスバー50とを接続することができる。
【0059】
また、バスバー50の両端に設けられた折り返し部分に対応して、溝部61にも前述の湾曲部61aが設けられている。この湾曲部61aの位置にあわせて、バスバーガイド片60a~60kのそれぞれに貫通孔62が設けられている。このことにより、コイル40のリード部41に対してバスバー50を位置決めして配置でき、両者を確実に接続できる。
【0060】
本実施形態に係るバスバー集合体300は、バスバーガイド60と、バスバーガイド60の上面に設けられた複数の溝部61にそれぞれ配置された複数のバスバー50と、を備えている。
【0061】
前述したとおり、バスバーガイド60は、複数のバスバーガイド片60a~60kを環状に配置して構成される。バスバーガイド60の周方向にギャップ63a~63dが設けられている。このことにより、バスバー50の形状ばらつきを吸収できる。よって、バスバーガイド60に複数のバスバー50を容易に配置できる。コイル40のリード部41の位置ばらつき等を吸収して、周方向に沿って配置された複数のコイル40のリード部41の位置にあわせて複数のバスバー50を正しく配置することができる。
【0062】
本実施形態に係るモータ1000は、軸心に出力軸210を有するロータ200と、ロータ200と所定の間隔をあけて設けられたステータ100と、ステータ100の上部に取り付けられたバスバー集合体300と、を少なくとも備えている。
【0063】
ステータ100は、環状のヨーク20と、ヨーク20の内周に所定の間隔をあけて接続された複数のティース10と、複数のティース10のそれぞれに装着された複数のコイル40と、を少なくとも有している。複数のコイル40のうちの2つのコイルが、複数のバスバー50のうちの1つのバスバー50を介して電気的に接続されている。
【0064】
モータ1000をこのように構成することで、周方向に沿って離間して配置された2つのコイル40をバスバー50により接続することができる。例えば、デルタ結線方式のモータまたはスター結線方式のモータを容易に実現できる。
【0065】
バスバーガイド60に複数のバスバー50を容易に設置できる。バスバーガイド60に複数のバスバー50が位置決めして配置されているため、バスバー50とコイルとの接続作業が容易となる。これらのことにより、ステータ100、ひいてはモータ1000の組立工程が簡素化され、組立コストを低減できる。
【0066】
複数のバスバー50は、バスバーガイド60の上面に設けられた複数の溝部61にそれぞれ配置されている。コイル40は、バスバー50と接続するためのリード部41を有している。リード部41は、バスバーガイド60に設けられた貫通孔62を通って、バスバーガイド60の上方に引き出される。リード部41は、バスバー50に電気的に接続されている。
【0067】
このようにすることで、コイル40におけるリード部41以外の部分と、バスバー50とが、バスバーガイド60により確実に絶縁される。また、バスバーガイド60には、溝部61と貫通孔62とが予め位置決めされた状態で形成されている。このことにより、バスバー50とコイル40のリード部41とを位置決めされた状態で接続できる。
【0068】
バスバー50の両端部50aはそれぞれ折り返されている。リード部41がバスバー50の端部50aに挟持された状態で、リード部41とバスバー50とが電気的に接続されている。
【0069】
バスバー50をこのように構成することで、バスバー50とリード部41との接触面積を大きくできる。よって、バスバー50とコイル40との間の電気抵抗が増加するのを抑制できる。また、バスバー50とリード部41との接続部の機械的強度を高められる。このため、長期使用時のモータ1000の信頼性を高められる。
【0070】
以上のように、本実施形態のバスバーガイド60は、モータ1000に設けられた複数のコイル40間を接続するバスバー50を固定するためのバスバーガイド60であって、バスバー50は、径方向に延伸し互いに対向する一対の第1面51と第1面51に連続する軸方向に延伸し互いに対向する一対の第2面52とを有する板状の導体を含み、バスバーガイド60は、それぞれ絶縁体からなる複数のバスバーガイド片60a~60kを環状に配置することで構成され、複数のバスバーガイド片60a~60kのそれぞれに、バスバー50の第1面51を保持するとともにバスバー50の位置決めを行うための溝部61が設けられている。
【0071】
これにより、バスバー50の形状ばらつきを吸収して、バスバーガイド60にバスバー50を容易に配置できる。
【0072】
また、互いに隣り合うとともに、バスバーガイド60の外周方向に沿って互いに間隔をあけて配置された2つのバスバーガイド片60a,60bの組を、少なくとも1組有していてもよい。
【0073】
また、互いに隣り合う2つのバスバーガイド片60a~60dの組を複数有しており、少なくとも1組のバスバーガイド片60a,60bのそれぞれに、互いを嵌合して接続するための嵌合部64cが形成されていてもよい。
【0074】
また、一の組のバスバーガイド片60a,60bのそれぞれに形成された嵌合部64cの形状は、他の組のバスバーガイド片60c,60dのそれぞれに形成された嵌合部64cの形状と同じであってもよい。
【0075】
また、一の組のバスバーガイド片60a,60bのそれぞれに形成された嵌合部64cの形状は、他の組のバスバーガイド片60c,60dのそれぞれに形成された嵌合部64cの形状と異なってもよい。
【0076】
また、バスバーガイド60の外周方向に沿って互いに間隔をあけて配置された2つのバスバーガイド片60a,60bの間に、温度検出センサ70に相当するセンサが配置されていてもよい。
【0077】
また、少なくとも1つのバスバーガイド片60aには、溝部61が形成された面と反対側の面に段差65または凹部が設けられており、温度検出センサ70に相当するセンサに接続される配線71は、少なくとも一部が段差65または凹部に覆われていることが好ましい。
【0078】
また、溝部61の深さは、バスバー50の第2面52の幅の半分以下であることが好ましい。
【0079】
また、複数のバスバーガイド片60a~60kのそれぞれに、コイル40に設けられたリード部41を通すための貫通孔62が設けられていてもよい。
【0080】
第1面51は、第2面52よりも幅が狭いことが好ましい。
【0081】
また、本実施形態のバスバー集合体300は、上記バスバーガイド60と、バスバーガイド60の上面に設けられた複数の溝部61にそれぞれ配置された複数のバスバー50と、を少なくとも備える。
【0082】
これにより、バスバー50の形状ばらつきを吸収して、バスバーガイド60に複数のバスバー50を容易に配置できる。
【0083】
また、本実施形態のモータ1000は、軸心に出力軸210を有するロータ200と、ロータ200と所定の間隔をあけて設けられたステータ100と、ステータ100の上部に取り付けられた上記バスバー集合体300と、を少なくとも備え、ステータ100は、環状のヨーク20と、ヨーク20の内周に所定の間隔をあけて接続された複数のティース10と、複数のティース10のそれぞれに装着された複数のコイル40と、を少なくとも有し、複数のコイル40のうちの2つのコイル40が、複数のバスバー50のうちの1つのバスバー50を介して電気的に接続されている。
【0084】
これにより、バスバーガイド60に複数のバスバー50を容易に設置できる。また、バスバーガイド60に複数のバスバー50が位置決めして配置されているため、モータ1000の組立工程が簡素化され、組立コストを低減できる。
【0085】
また、複数のバスバー50は、バスバーガイド60の上面に設けられた複数の溝部61にそれぞれ配置されており、コイル40は、バスバー50と接続するためのリード部41を有しており、リード部41は、バスバーガイド60に設けられた貫通孔62を通って、バスバーガイド60の上方に引き出され、バスバー50に電気的に接続されていることが好ましい。
【0086】
また、バスバーの両端は折り返されており、リード部41がバスバー50の端部に挟持された状態で、リード部41とバスバー50とが電気的に接続されていることが好ましい。
【0087】
<変形例1>
図8Aは、変形例1に係るバスバーの斜視図である。
図8Bは、変形例1に係るバスバーとリード部との接続部の拡大模式図である。なお、
図8A,
図8Bにおいて、実施形態と同様の箇所については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0088】
図8A,
図8Bに示すバスバー50は、両端部50aのそれぞれに第1面51から上方に延びる凸部50bが形成されている点で、
図5Aに示すバスバー50と異なる。バスバー50とリード部41とが接続された状態で、リード部41の先端は凸部50bに支持されている。
【0089】
本変形例によれば、バスバー50の端部50aでリード部41を確実に保持できる。バスバー50に凸部50bが設けられていない場合、リード部41の長さがばらついていると、リード部41の先端が、バスバー50の上側の第1面51よりも下方に位置する場合がある。この場合、リード部41とバスバー50との接触面積が十分に取れず、接続部の信頼性が低下することがある。
【0090】
一方、本変形例によれば、バスバー50の第1面51から上方に延びる凸部50bを設け、凸部50bにリード部41が支持されるようにしている。つまり、リード部41の先端は、バスバー50の上側の第1面51から上方に突出して配置される。このため、リード部41とバスバー50との接触面積を十分に確保できる。
【0091】
凸部50bとリード部41の先端とを溶接等により接続することで、リード部41とバスバー50との接続作業を簡素化できる。
【0092】
以上のように、本変形例のモータにおいて、バスバー50の端部には、第1面51から延びる凸部50bが設けられており、リード部41の先端が凸部50bに支持された状態で、リード部41とバスバー50とが電気的に接続されている。
【0093】
<変形例2>
図9は、変形例2に係るバスバーの上面図である。なお、
図9において、実施形態と同様の箇所については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0094】
図9に示すバスバー50は、一方の端部50aと他方の端部50aとが、周方向に関して、それぞれ反対方向に折り返されている点で、
図1及び
図5Aに示すバスバー50と異なる。
図1及び
図5Aに示すバスバー50の両端部50aが、周方向に関して、それぞれ先端が径方向内側に位置するように同じ方向に折り返されている。
【0095】
本変形例によれば、過度の機械的衝撃がバスバー50に加わった場合に、バスバー50が変形するのを抑制できる。
図1に示すバスバー集合体300において、径方向に衝撃が加わった場合、それぞれのバスバー50の両端部50aは固定されているため、中央部が大きく変位する。このとき、
図5Aに示すように、バスバー50の両端部50aが、周方向に関して、それぞれ同じ方向に折り返されていると、バスバー50に加わる力の大きさや方向によっては、バスバー50の中央部が大きく変位し、最終的に変形してしまうことがある。
【0096】
一方、本変形例によれば、バスバー50の両端部50aが、周方向に関して、それぞれ反対側に折り返されているため、バスバー50に対して径方向に加わる力を両端部50aで相殺でき、バスバー50の中央部の変位が抑制される。このことにより、バスバー50の変形を抑制できる。
【0097】
以上のように、本変形例のモータにおいて、バスバー50の一端と他端とは、バスバーガイドの外周方向に関して、それぞれ反対方向に折り返されている。
【0098】
これにより、過度の機械的衝撃がバスバー50に加わった場合に、バスバー50が変形するのを抑制できる。
【0099】
(その他の実施形態)
実施形態及び変形例1,2に示す各構成要素を適宜組み合わせて、新たな実施形態とすることもできる。例えば、変形例1に示す凸部50bが、変形例2に示すバスバー50に設けられていてもよい。
【0100】
コイル40は一般的なエッジワイズコイルでもよいし、成形コイルであってもよい。なお、ここで言う「成形コイル」は、幅及び厚さが一定の導線が螺旋状に巻回されただけのコイルを含まない。
【0101】
成形コイルは、例えば、長さ、幅または厚みが異なる複数の長方形の板材を準備し、これらの板材を冷間圧接、溶接、またはそのほかの方法で接合することで形成される。板材の材質は、銅またはアルミ等の低抵抗材料である。
【0102】
あるいは、成形コイルは、銅等を溶融して鋳型に流し込む、いわゆる鋳造により形成されてもよい。また、幅または厚さを予め途中で異なるように形成した板状の導線を所定の位置で曲げ加工することで、成形コイルが形成されてもよい。あるいは、幅及び厚さが一定の板状の導線を所定の部位で圧延加工して、途中で幅または厚さを変更した後に螺旋状に巻回して、成形コイルが形成されてもよい。要するに、導線を巻回する以外にさらに別の加工を加えるか、あるいは、単に巻き回すのとは異なる工法で成形コイルは形成される。
【0103】
温度検出センサ70以外のセンサがステータ100に取り付けられるようにしてもよい。例えば、磁気検出センサが、バスバーガイド60に設けられたギャップ63a~63dのうちの少なくとも1つの内側に配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明のバスバーガイドは、バスバー及びコイルの形状ばらつきを吸収して、バスバーを所定の位置に配置できる。ため、モータに適用する上で有用である。
【符号の説明】
【0105】
10 ティース
20 ヨーク
30 スロット
40 コイル
41 リード部
50 バスバー
50a 端部
50b 凸部
51 第1面
52 第2面
60 バスバーガイド
60a~60k バスバーガイド片
61 溝部
62 貫通孔
63a~63d ギャップ
64a~64d 嵌合部
65 段差
70 温度検出センサ
71 配線
100 ステータ
200 ロータ
210 出力軸
220 ロータコア
230 磁石
300 バスバー集合体
400 モータケース
1000 モータ