(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/578 20210101AFI20241220BHJP
H01M 50/152 20210101ALI20241220BHJP
H01M 50/179 20210101ALI20241220BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20241220BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20241220BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20241220BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20241220BHJP
H01M 50/566 20210101ALI20241220BHJP
H01G 11/18 20130101ALI20241220BHJP
H01G 2/18 20060101ALI20241220BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20241220BHJP
H01G 2/14 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
H01M50/578
H01M50/152
H01M50/179
H01M50/184 D
H01M50/342 101
H01M50/531
H01M50/533
H01M50/566
H01G11/18
H01G2/18
H01G11/78
H01G2/14 101A
(21)【出願番号】P 2020015788
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2022-11-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下司 真也
(72)【発明者】
【氏名】小平 一紀
(72)【発明者】
【氏名】粂 信吾
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-254402(JP,A)
【文献】特表2006-504244(JP,A)
【文献】特開2013-242975(JP,A)
【文献】特開2012-174563(JP,A)
【文献】特開2009-266714(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157750(WO,A1)
【文献】特開平11-224659(JP,A)
【文献】特開平11-111254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/578
H01M 50/152ー 50/566
H01G 2/14
H01G 2/18
H01G 11/18
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の筒部と前記筒部の一端を塞ぐ底部と前記筒部の他端に設けられた開口部とを有するケースと、前記ケース内に配置され一対の電極を含む蓄電素子と、前記一対の電極のうちの一方の電極と接続されたリードと、前記ケースの前記開口部を封止する封口部材とを含む蓄電装置であって、
前記封口部材は、絶縁性を有するとともに円板状の基部を含むガスケットと、導電性を有する封口板とを含み、
前記封口板は、前記蓄電素子に向かって突出した突起が形成された変位部と、前記変位部の周囲に設けられた外周部とを有し、
前記基部は、前記封口板と前記蓄電素子との間に配置されており、
前記基部には貫通孔が形成されており、
前記封口板の前記突起は前記貫通孔に挿入されており、
前記封口板の前記突起と前記リードとが接合されており、
前記ケース内の内圧が上昇に応じて前記突起が前記リードから離れる方向に変位することによって、前記突起と前記リードとの接合が断たれ、
前記基部において前記リード側の表面には少なくとも1つのリブが設けられており、
前記少なくとも1つのリブは、前記貫通孔を挟むように配置された2つのリブを含み、
前記リードは、前記2つのリブの間に配置され且つ前記封口板の前記突起と接合された帯状部を含み、
前記リードは、前記帯状部に接続され且つ前記帯状部よりも幅が広い幅広部を含み、
前記幅広部の幅は、前記2つのリブ間の距離よりも広い、蓄電装置。
【請求項2】
円筒状の筒部と前記筒部の一端を塞ぐ底部と前記筒部の他端に設けられた開口部とを有するケースと、前記ケース内に配置され一対の電極を含む蓄電素子と、前記一対の電極のうちの一方の電極と接続されたリードと、前記ケースの前記開口部を封止する封口部材とを含む蓄電装置であって、
前記封口部材は、絶縁性を有するとともに円板状の基部を含むガスケットと、導電性を有する封口板とを含み、
前記封口板は、前記蓄電素子に向かって突出した突起が形成された変位部と、前記変位部の周囲に設けられた外周部とを有し、
前記基部は、前記封口板と前記蓄電素子との間に配置されており、
前記基部には貫通孔が形成されており、
前記封口板の前記突起は前記貫通孔に挿入されており、
前記封口板の前記突起と前記リードとが接合されており、
前記ケース内の内圧が上昇に応じて前記突起が前記リードから離れる方向に変位することによって、前記突起と前記リードとの接合が断たれ、
前記基部において前記リード側の表面には少なくとも1つのリブが設けられており、
前記少なくとも1つのリブは、前記貫通孔を挟むように配置された2つのリブを含み、
前記リードは、前記2つのリブの間に配置され且つ前記封口板の前記突起と接合された帯状部を含み、
前記リードは、前記帯状部の両端のそれぞれに接続され且つ前記帯状部よりも幅が広い2つの幅広部を含み、
前記2つの幅広部の幅はそれぞれ、前記2つのリブ間の距離よりも広く、
前記リードは、前記2つの幅広部が前記2つのリブの少なくとも一部を挟むように配置されている、蓄電装置。
【請求項3】
前記ガスケットは、前記蓄電素子から離れる方向に前記基部の周縁部から延びる立ち上がり部と、前記立ち上がり部の端部から前記ケースの内方に向かって延びて前記封口板の外周部の上面の少なくとも一部を覆う環状の折り返し部とを含み、
前記ケースの前記筒部の外周面に環状の溝部が形成され、
前記筒部の内周面において前記溝部が形成された領域が前記ケースの内方へ突出し、
前記封口部材は前記溝部上に位置し、
前記筒部の前記他端は、前記ケースの内方に向かって屈曲して前記折り返し部の上面に当接している、請求項1または2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記封口板は、前記突起が形成されている集電部と前記外周部との間に、前記集電部および前記外周部よりも薄い薄肉部を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記リードに近づくにつれて前記貫通孔が細くなるように、前記貫通孔の内周面が傾斜している、請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記基部には、前記ケース内の内圧を前記封口板に伝えるための通気孔が形成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記貫通孔は第1の方向に沿って長手方向を有し、前記封口板の前記突起は前記ケースの前記底部から見て前記第1の方向に沿って長手方向を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記帯状部と前記突起とは、溶接部によって接合されており、
前記溶接部は、前記ケースの前記底部から見て前記第1の方向に沿って長手方向を有する、請求項7に記載の蓄電装置。
【請求項9】
前記リードが延びる方向の一端の縁は、前記ケースの前記底部から見て前記第1の方向と交わる、請求項7に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、二次電池やキャパシタなどの蓄電装置は、様々な分野で用いられている。例えば、これらの蓄電装置は、電動工具、電動アシスト自転車、および電気自動車などにも用いられており、高容量化が進められている。
【0003】
様々な分野で用いられている蓄電装置は、過酷な使用環境においても高い安全性を示すことが求められている。そのため、従来から、二次電池などでは、防爆弁や電流遮断機構(CID)などの、安全性を確保するための機構が設けられている。例えば、二次電池として、電極体と、円筒状の外装缶と、外装缶の開口部にガスケットを介してかしめ固定された封口体と、を備え、この封口体が、外形が円形でありガスケットとかしめ固定される弁体、前記弁体よりも電池内方側に配置されるとともに前記弁体の中央部に接続された金属板、及び前記弁体の外周部と前記金属板の外周部の間に介在する環状の絶縁部材、を含む円筒形電池、が知られている(例えば特許文献1)。この円筒形電池では、外装缶内の圧力が上昇した場合、圧力により弁体の中央部が電池の外側に向かって移動しようとする。この移動する力により、弁体が金属板から分離する。そして、弁体と金属板との接続が断たれ、この円筒形電池内の電流経路を遮断することができる。この円筒形電池では、少なくとも、弁体、金属板、絶縁部材、およびガスケットを用いて、外装缶の封止機構と安全機構の実装とを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような蓄電装置は、封止と安全の機能を果たすために多くの部品が必要となる。これは蓄電装置を組み立てる際の作業性を悪化する虞がある。そのため、より簡単な構造で安全性を確保できる封口部材が求められている。このような状況において、本開示は、低コストで効率よく製造することが可能であり安全性が高い蓄電装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面は、蓄電装置に関する。当該蓄電装置は、円筒状の筒部と前記筒部の一端を塞ぐ底部と前記筒部の他端に設けられた開口部とを有するケースと、前記ケース内に配置され一対の電極を含む蓄電素子と、前記一対の電極のうちの一方の電極と接続されたリードと、前記ケースの前記開口部を封止する封口部材とを含む蓄電装置であって、前記封口部材は、絶縁性を有するとともに円板状の基部を含むガスケットと、導電性を有する封口板とを含み、前記封口板は、前記蓄電素子に向かって突出した突起が形成された変位部と、前記変位部の周囲に設けられた外周部とを有し、前記基部は、前記封口板と前記蓄電素子との間に配置されており、前記基部には貫通孔が形成されており、前記封口板の前記突起は前記貫通孔に挿入されており、前記封口板の前記突起と前記リードとが接合されており、前記ケース内の内圧の上昇に応じて前記突起が前記リードから離れる方向に変位することによって、前記突起と前記リードとの接合が断たれる。
この明細書は、以下の技術を開示する。
(技術1)
円筒状の筒部と前記筒部の一端を塞ぐ底部と前記筒部の他端に設けられた開口部とを有するケースと、前記ケース内に配置され一対の電極を含む蓄電素子と、前記一対の電極のうちの一方の電極と接続されたリードと、前記ケースの前記開口部を封止する封口部材とを含む蓄電装置であって、
前記封口部材は、絶縁性を有するとともに円板状の基部を含むガスケットと、導電性を有する封口板とを含み、
前記封口板は、前記蓄電素子に向かって突出した突起が形成された変位部と、前記変位部の周囲に設けられた外周部とを有し、
前記基部は、前記封口板と前記蓄電素子との間に配置されており、
前記基部には貫通孔が形成されており、
前記封口板の前記突起は前記貫通孔に挿入されており、
前記封口板の前記突起と前記リードとが接続されており、
前記ケース内の内圧が上昇に応じて前記突起が前記リードから離れる方向に変位することによって、前記突起と前記リードとの接続が断たれる、蓄電装置。
(技術2)
前記ガスケットは、前記蓄電素子から離れる方向に前記基部の周縁部から延びる立ち上がり部と、前記立ち上がり部の端部から前記ケースの内方に向かって延びて前記封口板の外周部の上面の少なくとも一部を覆う環状の折り返し部とを含み、
前記ケースの前記筒部の外周面に環状の溝部が形成され、
前記筒部の内周面において前記溝部が形成された領域が前記ケースの内方へ突出し、
前記封口部材は前記溝部上に位置し、
前記筒部の前記他端は、前記ケースの内方に向かって屈曲して前記折り返し部の上面に当接している、技術1に記載の蓄電装置。
(技術3)
前記封口板は、前記突起が形成されている集電部と前記外周部との間に、前記集電部および前記外周部よりも薄い薄肉部を有する、技術1または2に記載の蓄電装置。
(技術4)
前記リードに近づくにつれて前記貫通孔が細くなるように、前記貫通孔の内周面が傾斜している、技術1~3のいずれか1つに記載の蓄電装置。
(技術5)
前記基部には、前記ケース内の内圧を前記封口板に伝えるための通気孔が形成されている、技術1~4のいずれか1つに記載の蓄電装置。
(技術6)
前記貫通孔は第1の方向に沿って長手方向を有し、前記封口板の前記突起は前記ケースの前記底部から見て前記第1の方向に沿って長手方向を有する、技術1~5のいずれか1つに記載の蓄電装置。
(技術7)
前記リードは、前記封口板の前記突起に接続された帯状部を含み、
前記帯状部と前記突起とは、溶接部によって接続されており、
前記溶接部は、前記ケースの前記底部から見て前記第1の方向に沿って長手方向を有する、技術6に記載の蓄電装置。
(技術8)
前記リードは、前記封口板の前記突起に接続された帯状部を含み、
前記リードが延びる方向の一端の縁は、前記ケースの前記底部から見て前記第1の方向と交わる、技術6に記載の蓄電装置。
(技術9)
前記基部において前記リード側の表面には少なくとも1つのリブが設けられている、技術1~8のいずれか1つに記載の蓄電装置。
(技術10)
前記少なくとも1つのリブは、前記貫通孔を挟むように配置された2つのリブを含み、
前記リードは、前記2つのリブの間に配置され且つ前記封口板の前記突起と接続される帯状部を含む、技術9に記載の蓄電装置。
(技術11)
前記リードは、前記帯状部に接続され且つ前記帯状部よりも幅が広い幅広部を含み、
前記幅広部の幅は、前記2つのリブ間の距離よりも広い、技術10に記載の蓄電装置。
(技術12)
前記リードは、前記帯状部の両端のそれぞれに接続され且つ前記帯状部よりも幅が広い2つの幅広部を含み、
前記2つの幅広部の幅はそれぞれ、前記2つのリブ間の距離よりも広く、
前記リードは、前記2つの幅広部が前記2つのリブの少なくとも一部を挟むように配置されている、技術10に記載の蓄電装置。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、封止と安全の機能を担う部品が減る。そのため、低コストで効率よく製造することが可能であり安全性が高い蓄電装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の蓄電装置の一例を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図1に示した蓄電装置に用いられる封口部材とリードを模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図1に示した蓄電装置に用いられる封口部材とリードにおいてガスケットを部分的に切り欠いて模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図1に示した蓄電装置を模式的に示す上面図である。
【
図5】
図1に示した蓄電装置に用いられる封口部材とリードについて他の一例を模式的に示す下面図である。
【
図6】
図1に示した蓄電装置に用いられる封口部材とリードについて他の一例を模式的に示す下面図である。
【
図7】
図1に示した蓄電装置の製造工程を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本開示の実施形態について例を挙げて説明するが、本開示は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本開示の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。
【0010】
(蓄電装置)
本開示の蓄電装置は、円筒状の筒部と当該筒部の一端を塞ぐ底部と当該筒部の他端に設けられた開口部とを有するケースと、当該ケース内に配置され一対の電極を含む蓄電素子と、当該一対の電極のうちの一方の電極と接続されたリードと、ケースの開口部を封止する封口部材とを含む。封口部材は、絶縁性を有するとともに円板状の基部を含むガスケットと、導電性を有する封口板とを含む。封口板は、蓄電素子に向かって突出した突起が形成された変位部と、当該変位部の周囲に設けられた外周部とを有する。ガスケットの基部は、封口板と蓄電素子との間に配置されている。当該基部には貫通孔が形成されている。封口板の突起は貫通孔に挿入されている。封口板の突起とリードとは接続されている。ケース内の内圧の上昇に応じて当該突起がリードから離れる方向に変位することによって、当該突起とリードとの接続が断たれる、以下では、ガスケットの円板状の基部に形成された貫通孔を、「貫通孔(G)」と称する場合があり、当該貫通孔(G)に挿入されている封口板の突起を、「突起(P)」と称する場合がある。
【0011】
本開示の蓄電装置では、封口板の変位部(突起(P))は、ケース内の内圧の上昇に応じてリードから離れる方向に変位する。そして、封口板の突起(P)がリードから離れる方向に変位することによって、封口板の突起(P)とリードとの接続を断つことが可能である。すなわち、封口板およびリードを、電流遮断装置(Current Interrupt Device:CID)として機能させることが可能である。このCIDは、過充電などによりケース内にガスが溜まることによってケース内が所定の圧力を超えた場合に、蓄電装置内の集電経路を切断する。集電経路を切断することにより、圧力が上昇した蓄電装置の充放電を止めることができる。そして、蓄電装置が不安全になり、圧力が高まって破裂することなどを抑制できる。
【0012】
さらに、本開示の蓄電装置では、上記CIDの機能に加えて、ケース内の内圧がさらに上昇したときに封口板が破断してケース内のガスをケース外部に放出してもよい。そのような封口板によって、本開示の蓄電装置が破裂することが抑制される。そのため、安全性がさらに高まる。本開示の封口部材は、上記の機能を奏する従来の封口部材と比較して、部品数が少なく構造が簡単である。そのため、本開示によって、安全性を維持しながら製造コストと組み立て工数の低減を実現した蓄電装置が得られる。
【0013】
さらに、本開示の封口部材は部品数が少ないため、同様の機能を奏する従来の封口部材と比較して、部品の容積を小さくすることが可能である。そのため、本開示の蓄電装置は、従来の蓄電装置と比較して、エネルギー密度を高めることが可能である。
【0014】
蓄電装置は、二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電装置は、非水電解質二次電池(リチウムイオン二次電池、リチウム電池など)やニッケル水素二次電池などであってもよい。蓄電装置は、電極材に活性炭を用いた電気二重層キャパシタであってもよいし、リチウムイオンキャパシタなどであってもよい。
【0015】
蓄電素子に特に限定はなく、蓄電装置の種類に応じて選択すればよい。蓄電素子には、公知の蓄電素子を用いることができる。例えば、蓄電装置が二次電池である場合、正極と負極とセパレータと電解液とを含む蓄電素子を用いてもよい。一例のリチウムイオン二次電池の負極は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する物質を負極活物質として含む。この負極活物質には、例えば黒鉛などの炭素材料や、ケイ素や酸化チタンなど無機化合物がある。それらの二次電池の正極は、正極活物質として、リチウムを含有する遷移金属複合酸化物などを含んでもよい。この遷移金属複合酸化物には、例えばニッケル、マンガン、コバルト、アルミニウムなどの元素が含まれる。
【0016】
蓄電装置がキャパシタである場合、2つの電極と電解液とセパレータとを含む蓄電素子を用いてもよい。それらの構成要素は、キャパシタの種類に応じて選択できる。
【0017】
(ケース)
ケースは、例えば、電極端子の1つとして機能してもよい。ケースが電極端子として機能する場合、例えば、ケースは、導電性を有する金属を用いて形成され、蓄電素子の1つの電極(封口板に電気的に接続されていない電極)とケースとが電気的に接続されていてもよい。例えば、負極とケースとが電気的に接続される。本開示の蓄電装置では、正極がケースと接続されていてもよい。
【0018】
ケースは、円筒状の筒部と、この筒部の一端にある開口を塞ぐ底部と、筒部の他端にある開口部とを有する。筒部は、筒部の径方向において、ケースの外周面からケースの内周面に向かって突き出している環状の溝部を有していてもよい。この溝部上に封口部材を配置することができる。ケースの開口端部は、かしめられることにより筒部の径方向において筒部の内方(筒部の中心軸の方)に向かって屈曲している。さらに屈曲した開口端部は、後述する封口部材のガスケットの折り返し部を介して封口板の外周部にかしめつけられている。このかしめられた開口端部と溝部とにより、封口部材を挟むことができる。それによって、ケースの開口部が封止される。ケースには、例えば金属ケースを用いることができる。この金属ケースは、アルミ、鉄、ニッケル銅、またはこれら金属の合金またはクラッド材などから構成されていてもよい。蓄電装置のケースには、上記の構成に限らず公知のケースを用いてもよい。
【0019】
(リード)
リードは、蓄電素子の電極と封口板とを電気的に接続する。リードには、公知の蓄電装置に用いられているリードを用いてもよい。リードには、帯状の金属箔を用いてもよい。リードを構成する金属(導電性の金属)の例には、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅またはこれら金属のうち複数の金属からなる合金またはクラッド材などが含まれる。リードの一端は、蓄電素子の2つの電極のうちのいずれの電極に接続されてもよいが、蓄電装置が二次電池である場合には、例えば、リードは正極に接続される。
【0020】
リードの他端またはその近傍は、封口板に接続(固定)される。すなわち、リードは、封口板に電気的および物理的に接続される。リードと封口板との接続方法に特に限定はなく、例えば溶接などを用いてもよい。ただし、CIDとして機能するために、リードと封口板とを引き離す力が大きくなったときに、リードと封口板との接続が解除されるような(すなわち固定がはずれるような)接続方法であることが必要である。溶接によりリードと封口板とを接合する場合は、溶接の面積や溶接深さなどの条件を変えることによって、リードと封口板とを引き離すために必要な力を、調整できる。溶接の方法に特に限定はなく、レーザ溶接、抵抗溶接、摩擦攪拌、超音波接合などを用いてもよい。
【0021】
部品数を少なくする観点から、リードは封口板に直接接続されることが好ましい。ただし、CIDとして機能させることが可能である限り、リードと封口板とは、導電性部材を介して間接的に接続されてもよい。
【0022】
(封口板)
封口板は、例えば導電性を有する円板である。封口板は、電極端子として機能するか、または、電極端子(例えば端子キャップ)とリードとを電気的に接続する変位部材として機能してもよい。封口板は、例えば、金属板で形成され、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、鉄などの金属またはこれら金属のうち複数の金属から構成される合金やクラッド材で形成される。封口板には、公知の封口板(弁体など)を用いることができる。
【0023】
封口板は、ケース内の内圧に応じて変位する変位部と、この変位部の周囲に形成された外周部とを有していてもよい。変位部には、リードに向かって突出した突起を有する集電部が形成されている。この突起の先端は、貫通孔(G)の蓄電素子側の開口(またはその近傍)に位置するか、または、貫通孔(G)の開口よりも蓄電素子に近い場所に位置してもよい。
【0024】
封口板の変位部は、ケース内の所定以上の圧力によって変位してもよい。このとき、変位部には、外周部よりも薄い薄肉部が形成されていてもよい。例えば、封口板は、突起(P)が形成されている部分(集電部)と外周部との間に、集電部および外周部よりも薄い薄肉部を含んでもよい。変位部は、例えば、円板状またはドーム状で構成されていてもよい。封口板がドーム状の変位部を含む場合、当該ドーム状の変位の部は、蓄電素子側に向かって凸となるように配置される。突起(P)の変位を大きくするために、突起(P)は、通例えば、封口板の変位部の中央(集電部の中央)に形成してもよい。
【0025】
突起の先端面(リードが接続される面)の形状は、リードの領域のうち封口部材と向かい合う領域が延びる方向に沿って長手方向をもった形状であってもよい。この構成により、リードにおいて封口板の突起と接合される領域の面積を四方に拡げなくても、接合面積を拡げ易くなる。そのため、リードと突起との接合強度を高めやすい。また、リードにおいて突起と接合される領域の縁から接合部までの距離が短くなり易い。そのため、封口板が変位する際に、上記接合される領域が撓みにくくなる。そのため、封口板が変位する際にリードが追従しにくくなる。上記長手方向をもつ先端面の幅は、例えば、先端面に接続されるリードの部分の幅よりも狭くてもよい。すなわち、例えば、突起の先端面の全体がリードによって覆われてもよい。また、変位部において、突起が形成された部分(集電部)の厚さは、それ以外の領域よりも厚くてもよい。この構成により、変位部において突起の裏面(封口板の上面)が突起の突出高さと略同じ寸法だけ窪むように形成された突起と比べて、CIDの作動タイミングが遅れることを抑制できる。
【0026】
CIDの機能が作動して封口板とリードとが破断した後、ケース内の内圧がさらに上昇して封口板の変位が特に大きくなる場合、封口板の薄肉部が破断し、ケース内部のガスをケース外部に放出してもよい。これによって、ケースが破裂することを防止できる。
【0027】
(ガスケット)
ガスケットは、ガスケットとして機能するための弾性および絶縁性を有する材料で形成される。すなわち、ガスケットは絶縁性を有する。ガスケットは、二次電池またはキャパシタのガスケットに用いられている公知の材料で形成されてもよい。ガスケットの材料の例には、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが含まれる。これらの材料には、必要に応じて添加剤(例えば公知の添加剤)が添加されてもよい。ガスケットの形成方法に限定はなく、射出成形などの方法で形成してもよい。
【0028】
ガスケットは、例えば、蓄電素子から離れる方向に基部の周縁部から延びる立ち上がり部と、立ち上がり部の端部からケースの内方(ケースの中心軸の方)に向かって延びて封口板の外周部の上面の少なくとも一部を覆う環状の折り返し部とを含む。当該立ち上がり部および折り返し部は、ケースの開口端部近傍の内周面と封口板との間に配置され、ケースと封口板とを絶縁する。
【0029】
ガスケットの基部に形成される貫通孔(G)の断面形状(ガスケットの基部の厚さ方向に対して垂直な断面の形状)は封口板の突起が挿入できる形状であれば特に限定はない。この貫通孔の形状は例えば円形状、楕円形状、長方形状(正方形状を含む)、または角丸長方形状であってもよい。また、この貫通孔の開口の形状も、上記長手方向をもつ突起の形状に合わせて、先端面の長手方向と平行な長手方向をもった形状であってもよい。封口板の変位部が変位する際にリードが追従することを抑制するために、ガスケットの貫通孔(G)において、リード側の開口と突起(P)との間の隙間を少なくしてもよい。そのため、封口板の突起とガスケットとを蓄電素子側から見たときに、突起の外形とガスケットの貫通孔の開口の形状とは、ほぼ同じ大きさ・形状であってもよい。貫通孔の位置は、封口板の突起の位置に対応している。貫通孔は、例えば、円板状の基部の中央部またはその近傍に形成されていてもよい。
【0030】
本開示の蓄電装置は、以下の(1)および(2)の構成を満たしてもよい。
(1)ガスケットは、蓄電素子から離れる方向に基部の周縁部から延びる立ち上がり部と、立ち上がり部の端部(蓄電素子から遠い方の端部)からケースの内方(ケースの中心軸の方)に向かって延びて封口板の外周部の上面の少なくとも一部を覆う環状の折り返し部とを含む。
(2)ケースの筒部の外周面に環状の溝部が形成され、筒部の内周面において溝部が形成された領域がケースの内方へ突出している。封口部材は当該溝部上に位置し、筒部の他端は、ケースの内方に向かって屈曲して折り返し部の上面に当接している。ここで、上面とは、蓄電素子から遠い方の面を意味する。
【0031】
封口板は、突起が形成されている集電部と外周部との間に、当該集電部および外周部よりも薄い薄肉部を有してもよい。
【0032】
リードに近づくにつれて貫通孔(G)が細くなるように、貫通孔(G)の内周面(側面)が傾斜していてもよい。すなわち、ガスケットの貫通孔の内周面は、封口板側から蓄電素子側に向かって細くなるテーパー形状を有してもよい。上記形状の貫通孔を用いることによって、封口板の突起(P)の変位がスムーズになり、蓄電装置におけるCIDの信頼性が向上する。
【0033】
ガスケットの貫通孔が上記のテーパー形状を有する場合、封口板の突起(P)の外周面も、蓄電素子に近づくにつれて細くなるテーパー形状を有していてもよい。この構成によれば、封口板の突起(P)の変位がスムーズになり、蓄電装置におけるCIDの信頼性が向上する。
【0034】
封口板の突起(P)の外周面は、貫通孔(G)の内周面と接触してもよい。この構成によれば、ガスケットで突起(P)を保持できるため、CID作動時以外のときに封口板とリードとが破断することを抑制することができる。あるいは、突起の外周面と貫通孔(G)の内周面との間に隙間が形成されてもよい。すなわち、突起は、貫通孔(G)の内周面と少なくとも一部が接触しない形状を有してもよい。この構成によれば、突起にリードを溶接するときに、突起からガスケットに熱が伝わることを抑制できる。その結果、ガスケットが熱で変形することによって生じる問題(例えば封口板の変位に関する不具合など)を抑制できる。
【0035】
ガスケットの基部には、ケース内の内圧を封口板に伝えるための通気孔が形成されていてもよい。封口板の突起(P)が挿入される貫通孔(G)のみによって、ケース内の内圧を封口板に伝えることも可能である。しかし、通気孔を形成することによって、ケース内の内圧を封口板に早く確実に伝えることができる。このとき、通気孔はリードと重ならない位置に設けてもよい。この構成により、通気孔へガスが流れ込む際にリードが通気孔を塞ぐことを抑制できる。但し、本開示の蓄電装置において、リードが通気孔を塞ぐ虞を考慮しなければ、リードと重なる位置に通気孔を設けてもよい。
【0036】
貫通孔(G)は1つの方向(第1の方向)に沿って長手方向を有してもよく、封口板の突起(P)はケースの底部から見て第1の方向に沿って長手方向を有してもよい。以下では、当該第1の方向を、「第1の方向D1」と称する場合がある。
【0037】
リードは、封口板の突起(P)に接続された帯状部を含んでもよく、帯状部と突起(P)とは、溶接部によって接続されていてもよく、溶接部は、ケースの底部から見て第1の方向D1に沿って長手方向を有してもよい。
【0038】
リードは、封口板の突起(P)に接続された帯状部を含んでもよく、リードが延びる方向の一端の縁は、ケースの底部から見て第1の方向D1と交わってもよい。
【0039】
ガスケットの基部においてリード側の表面には、少なくとも1つのリブ(例えば複数のリブ)が設けられていてもよい。当該リブを設けることによって、ガスケットの基部の剛性を高めることができ、CIDが作動する際に、リードが封口板の変位に追従しにくくなる。さらに、当該リブを設けることによって、リードの一部をリブに係止させることが可能となり、CIDが作動する際に、リードが封口板の変位に追従しにくくすることが可能となる。そのため、CIDの機能の信頼性を高めることができる。また、当該リブによって、封口板にリードを接続する際のリードの位置決めを容易にすることも可能である。そのため、リードが変位してリードと封口板との接合箇所へストレスが加わることを防ぐ。また、ガスケットに通気孔を形成した場合、通気孔とリードが重なることを抑制することができる。
【0040】
リードの移動は、リードと上記少なくとも1つのリブとの干渉によって抑制されてもよい。すなわち、リードが上記リブに係止されることによって、リードの移動が抑制されてもよい。封口板の突起(P)の変位にリードが追従して変位する場合、突起(P)の変位が大きくなっても封口板とリードとの接続が解除されにくくなる場合がある。ガスケットに形成されたリブとリードとの干渉によってリードの変位を抑制することによって、CIDの信頼性を高めることが可能である。リードとリブとの干渉によってリードの変位を抑制する場合、当該干渉する位置におけるリードとリブとの間の距離を、0~0.6mmの範囲としてもよい。
【0041】
ガスケットの基部に形成された少なくとも1つのリブは、基部の貫通孔(G)を挟むように配置された2つのリブを含んでもよい。そして、リードは、当該2つのリブの間に配置され且つ封口板の突起(P)と接続される帯状部を含んでもよい。この場合のリードとリブとの配置の例として、第1および第2の例を以下に説明する。なお、2つのリブは、互いに略平行に配置されていてもよい。この明細書において略平行とは、平行またはそれに近い角度で配置されていることを意味し、例えば、2つのリブのそれぞれが延びる方向がなす角度が10°以下であることを意味する。
【0042】
第1の例では、リードおよび2つのリブは、以下の構成であってもよい。リードは、帯状部(例えば帯状部の長手方向の一端)に接続され且つ帯状部よりも幅が広い幅広部を含む。そして、幅広部の幅は、2つのリブ間の距離よりも広い。この構成により、幅広部の周縁のうち、リブと向かい合う領域とリブとが係合する。そのため、封口板が変位する際にリードが変位しにくくなる。なお、本構成において、リブは2つでなくともよい。リブが1つのみであっても、リブが全くない構成と比べて、リードの変位を抑制することはできる。なお、このとき幅広部および帯状部の縁は複数の直線をつなげた形状でもよく、曲線を含んでいてもよい。
【0043】
第2の例では、リードおよび2つのリブは、以下の構成であってもよい。リードは、帯状部の両端(例えば帯状部の長手方向の一端とそれとは反対側の他端)のそれぞれに接続され且つ帯状部よりも幅が広い2つの幅広部を含む。2つの幅広部の幅はそれぞれ、2つのリブ間の距離よりも広い。そして、リードは、2つの幅広部が2つのリブの少なくとも一部を挟むように配置される。この構成により、幅広部の周縁のうち、リブと向かい合う領域がリブと係止される。この係止により、封口板が変位する際にリードが変位しにくくなる。封口板に接続(固定)される。言い換えれば、帯状部の幅方向の両端に切り欠き部が形成され、この一対の切り欠き部に上記2つのリブが収容されているともいえる。なお、上記切り欠き部およびリブは2つでなくてもよい。切り欠き部およびリブがそれぞれ1つずつのみであっても、リブおよび切り欠き部がない構成に比べて、リードが変位しにくくなる。また、リブは、切り欠き部の大部分を埋める柱状でもよく、切り欠き部の縁の形状に沿って延びた形状であってもよい。また切り欠き部の縁の形状は、矩形でも、U字状でも、V字状でも、C字状でもよい。
【0044】
またリードの帯状部に貫通孔を形成し、この貫通孔にリブを嵌合してもよい。このときリードに形成される貫通孔は、丸孔や矩形の孔であってもよい。また、ガスケットとリードを電極群側から見た場合、孔の形状とリブの形状とがほぼ同じであってもよく、孔の開口より、リブが小さくてもよい。帯状部の貫通孔をリブに嵌める場合、リブにリードを圧入してもよい。これにより、ガスケットに対して、リードがより強固に固定できる。なお、封口板とリードを電極群側から見て、このリードの貫通孔は、突起の先端面と、帯状部の長手方向において並んで配置されていてもよい。
【0045】
本開示の蓄電装置は、封口板に接続された端子キャップ(図示なし)を含んでもよい。端子キャップは導電性の材料(例えば導電性の金属)からなり、端子として機能する凸部を含んでもよい。端子キャップは、平らなドーナツ状の部分と、当該部分の中央に形成された凸部とを含んでもよい。端子キャップは、封口板に対して蓄電素子とは反対側に配置される。すなわち、端子キャップと蓄電素子との間に封口板が配置される。一例では、端子キャップの周縁部と封口板の周縁部とを重ね、それら2つの周縁部が、ガスケットを介してケースの開口端部でかしめられる。この場合、封口板が破断したときにケース内部のガスを放出するための通気孔が、端子キャップに形成されていてもよい。
【0046】
なお、本開示の一局面は、上述した封口部材に関する。上述したように、本開示に係る封口部材は、円板状の基部を含むガスケットと、導電性を有する封口板とを含み、基部は、封口板と蓄電素子との間に配置されており、基部には貫通孔(G)が形成されており、封口板の変位部に設けられた突起(P)が貫通孔(G)に挿入されている。
【0047】
以下では、本開示の蓄電装置の一例およびその製造方法の一例について、図面を参照して具体的に説明するが、本開示の蓄電装置は以下の内容に限定されない。以下で説明する一例の蓄電装置の構成要素には、上述した構成要素を適用できる。また、以下で説明する一例の蓄電装置の構成要素は、上述した記載に基づいて変更してもよいし、本開示の蓄電装置に必須でない構成要素は省略してもよい。また、以下で説明する事項を、上記の実施形態に適用してもよい。
【0048】
(実施形態1)
実施形態1では、本開示の蓄電装置の一例について説明する。実施形態1の蓄電装置100の断面図を
図1に模式的に示す。蓄電装置100は、ケース10と、ケース10内に配置された蓄電素子20と、蓄電素子20の電極(図示せず)に接続されたリード21および22と、ケース10の開口部を封口する封口部材40とを含む。蓄電装置100はさらに、絶縁板23および24を含む。絶縁板23および24はそれぞれ、貫通孔が形成された円板状の部材である。
【0049】
封口部材40は、円板状の基部41aを含むガスケット41と、封口板42とを含む。基部41aは、封口板42と蓄電素子20との間に配置されている。基部41aの中央には、貫通孔41hが形成されている。基部41aは、封口板42の平面形状(円形)とほぼ同じ大きさの平面形状を有する。基部41aの周縁部と封口板42の周縁部とは密着している。
【0050】
ケース10は、円筒状の筒部10bと、当該筒部10bの一端を塞ぐ底部10cと、筒部10bの他端(開口端部)を構成する開口部10dとを有する。筒部10bの開口部10dの近傍には、筒部10bの径方向において、ケース10の外側からケース10の内側に向かって突き出している環状の溝部10aが形成されている。封口部材40は、溝部10aの内周面上に配置される。ケース10の開口部10dにおける開口端部は、ガスケット41を介して封口板42の外周部にかしめつけられる。それによって、封口部材40が溝部10aと開口端部により挟まれて、ケース10が封止されている。
【0051】
ガスケット41は、蓄電素子20から離れる方向に基部41aの周縁部から延びる立ち上がり部41bと、立ち上がり部41bの端部からケース10の内方に向かって延びて封口板42の外周部42pの上面の少なくとも一部を覆う環状の折り返し部41dとを含む。
【0052】
封口板42は、蓄電素子20側に凸となっているドーム状の変位部42dと、変位部42dの周囲に設けられた外周部42pとを含む。変位部42dの変位が大きくなると破断するように、変位部42dの少なくとも一部は薄くなっている。変位部42dの中央部(集電部)42cには、蓄電素子20側に向かって突き出している突起42aが形成された集電部が設けられている。封口板42の突起42aは、ガスケット41の貫通孔41hに挿入されている。突起42aの先端面は、ガスケット41において蓄電素子20側の表面41sと同一平面上またはその近傍にあってもよいし、表面41sよりも蓄電素子20側に突き出していてもよい。突起42aの先端面には、リード21が固定(接続)されている。
【0053】
封口板42は、外周部42pよりも薄い薄肉部42tを有する。より詳細には、封口板42は、突起42aが形成されている中央部42cと外周部42pとの間に、薄肉部42tを有する。
【0054】
なお、実施形態1では、突起42aと貫通孔41hとの間に隙間がない一例を示しているが、これらの間には隙間があってもよい。すなわち、突起42aと貫通孔41hの側面(内周面)とは接触していなくてもよい。また、実施形態1では、貫通孔41hの開口の形状が、第1の方向D1に沿って長手方向を有する長円状であり、突起42aの先端面の形状が貫通孔41hの開口の長手方向と平行な長手方向を有する形状である一例を示しているが、これらは上述した他の形状であってもよい。例えば、突起42aおよび貫通孔41hはそれぞれ、円錐台状であってもよい。
【0055】
突起42aとリード21との接続部C(例えば溶接部)は、
図5および
図6に示すように、第1の方向D1に沿って長手方向を有してもよい。
【0056】
リード21および封口部材40を、表面41s側から見た斜視図を
図2に模式的に示す。また、
図2において、ガスケット41の一部とリード21とを除去した一部分解斜視図を
図3に模式的に示す。また、蓄電装置100を、封口板42側から見たときの上面図を
図4に模式的に示す。なお、
図1の断面図は、
図3に示す畝状の突起42aの長手方向に沿った断面図である。
【0057】
図2および
図3に示すように、ガスケット41の基部41aには、複数の通気孔(貫通孔)41cが形成されている。ケース10内の内圧が変位部42dに伝わるように、通気孔41cは変位部42dに通じている。
【0058】
ガスケット41の基部41aの表面41sには、貫通孔41hを挟んで略平行に配置された2つのリブ41rが形成されている。それぞれのリブ41rは、上記突起42aの長手方向(第1の方向D1)と平行な方向に延びている。
【0059】
リブ41rは、例えば線状の凸部である。リード21は、2つのリブ41rの間に配置される帯状部21aを含む。突起42aの先端面の形状は、帯状部21aの平面形状よりも小さい。帯状部21aの一部は、溶接等によって、突起42aの先端面に固定される。
【0060】
ケース10内の内圧が高まると、変位部42dの突起42aは、蓄電素子20から離れる方向(すなわちリード21から離れる方向)に移動する。一方、リード21の移動は、基部41aによって抑制される。そのため、突起42aの変位が大きくなると、突起42aとリード21との接続部が破断し、接続が解除される。その結果、過充電等が抑制される。
【0061】
ケース10内の内圧がさらに高まって変位部42dの変位がさらに大きくなると、薄肉部42tの部分またはその周縁部が破断する。その結果、ケース10の内部のガスが、ケース10の外部に放出される。
【0062】
図2および
図3に示す構造では、帯状部21aの移動が、リブ41rによって抑制される。具体的には、帯状部21aの長手方向(第1の方向D1と平行な方向)に垂直な方向への帯状部21aの移動が抑制される。さらに、リード21とリブ41rとの干渉によって、帯状部21aの長手方向への帯状部21aの移動を抑制してもよい。そのような形態の第1の例を
図5に模式的に示し、第2の例を
図6に模式的に示す。
図5および
図6は、それぞれ、リード21の一部とガスケット41とを、表面41s側から見た図である。
【0063】
図5の一例では、リード21は、2つのリブ41rの間に配置された帯状部21aと、帯状部21aの一端に接続され且つ帯状部21aの幅Waよりも幅が広い幅広部21bとを含む。このようなリード21は、一枚の金属板を所定の形状に切断することによって形成できる(
図6に示すリード21についても同様である)。幅広部21bの幅Wbは、2つのリブ41r間の距離Lよりも広い。そのため、帯状部21aの移動が、幅広部21bと2つのリブ41rとの干渉によって抑制される。
図5に示す一例の場合、帯状部21aが矢印Aの方向に移動することが抑制される。このとき、リブ41rは、リード21の周縁の形状にそって、クランク状(段状)に屈曲して延びている。
【0064】
図6の一例では、リード21は、2つのリブ41rの間に配置された帯状部21aと、帯状部21aの長手方向の両端のそれぞれに接続され且つ帯状部21aの幅Waよりも幅が広い2つの幅広部21bとを含む。2つの幅広部21bは、2つのリブ41rの少なくとも一部を挟むように配置されている。2つの幅広部21bの幅Wbはそれぞれ、2つのリブ41r間の距離Lよりも広い。そのため、帯状部21aの移動が、2つの幅広部21bと2つのリブ41rとの干渉によって抑制される。
図6に示す一例の場合、帯状部21aが矢印Aおよび矢印Bの方向に移動することが抑制される。なお、2つの幅広部21bの幅Wbは、同じであってもよいし異なってもよい。
【0065】
なお、上記の例において、リード21が延びる方向の一端の縁は、ケース10の底部10cから見て第1の方向D1と交わっている。
【0066】
図1に示した蓄電装置100の製造方法の一例について以下に説明する。まず、
図7の状態の構造を形成する。溝部10aは、蓄電素子20をケース10内に配置した後に形成される。リード21は、蓄電素子20の電極の1つおよび突起42aに接続される。リード22は、ケース10に接続される。次に、ケース10の開口端部を内側に折り曲げ、ガスケット41の筒状の壁部を挟んで封口板42の外周部42pをかしめる。このプロセスによって、筒状の壁部から折り返し部41dが形成される。このようにして、蓄電装置100を製造できる。これらの工程には、公知の蓄電装置の製造方法で用いられる工程を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本開示は、蓄電装置に利用できる。
【符号の説明】
【0068】
10 ケース
20 蓄電素子
21、22 リード
40 封口部材
41 ガスケット
41a 基部
41b 立ち上がり部
41c 通気孔
41d 折り返し部
41h 貫通孔
41r リブ
42 封口板
42a 突起
42d 変位部
100 蓄電装置
接続部C(溶接部)