(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】サイクロン式の掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/16 20060101AFI20241220BHJP
【FI】
A47L9/16
(21)【出願番号】P 2021040073
(22)【出願日】2021-03-12
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100157808
【氏名又は名称】渡邉 耕平
(72)【発明者】
【氏名】野町 哲治
(72)【発明者】
【氏名】仲本 博司
(72)【発明者】
【氏名】椋本 英治
(72)【発明者】
【氏名】河内 和裕
(72)【発明者】
【氏名】井上 幹允
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-282929(JP,A)
【文献】登録実用新案第3172934(JP,U)
【文献】特表2003-512880(JP,A)
【文献】特開2017-129111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイクロン式に集塵する掃除機であって、
塵埃を吸引する吸引力を発生させる吸引源と、
塵埃とともに流れ込んだ空気が内周面に沿って流れる旋回流となって流れるように構成されているとともに前記吸引力を受けて内部の空気が上向きに流出するように構成された集塵容器と、
前記集塵容器の内部空間を、前記旋回流により塵埃を遠心分離する分離室と、遠心分離された塵埃が落下することを許容するように前記分離室に連通しているとともに前記分離室から流入した塵埃を貯留する貯塵室と、に区画する区画部と、
前記吸引力を受けて前記分離室及び前記貯塵室内の空気が流入するように構成されているとともに、流入した空気が前記吸引源に向けて流れる流路を形成している吸引筒部と、
前記分離室及び前記貯塵室から前記吸引筒部に流入する空気から塵埃を取り除くように前記吸引筒部に設けられた除塵フィルタ部と、
前記吸引筒部内に設けられて、前記吸引筒部に流入した空気から塵埃を遠心分離して、遠心分離された塵埃を落下させる再分離処理を行うように構成された再分離部と、を備え
、
前記吸引筒部の下端部は、開口しているとともに、前記吸引筒部の周壁部には、前記貯塵室内の空気の流入を許容する流入開口が形成されており、
前記集塵容器は、前記貯塵室を開放可能に設けられた底部を含み、前記底部は、前記貯塵室を閉じた状態で前記吸引筒部の前記下端部に気密に接触し、
前記除塵フィルタ部は、前記流入開口に流入する空気から塵埃を取り除くように前記吸引筒部の周壁部に取り付けられた外フィルタと、前記外フィルタを通過した空気から塵埃を除去するように前記外フィルタに対して前記吸引筒部の内側に設けられた内フィルタと、を含み、
前記吸引筒部は、前記外フィルタと前記内フィルタとの間に空隙を形成するように前記内フィルタを保持するフィルタ保持部を有し、
前記外フィルタと前記内フィルタとの間の前記空隙は、前記貯塵室が開放されているとき、前記吸引筒部の下端において開口している、掃除機。
【請求項2】
前記再分離部は、前記吸引筒部に流入した空気から塵埃を遠心分離するように構成された遠心分離部と、前記遠心分離部により遠心分離された塵埃が落下する収容部と、を含み、
前記収容部は、空気の流入を許容しないように構成されている、請求項
1に記載の掃除機。
【請求項3】
前記遠心分離部は、前記吸引源の
前記吸引力を受けて前記吸引筒部内の空気が流入することを許容する流入口と、前記収容部に向けて開口した落下口と、が形成された分離筒を含み、
前記流入口は、前記分離
筒内で旋回流を生じさせる向きに開口している、請求項
2に記載の掃除機。
【請求項4】
前記再分離部は、前記吸引筒部に流入した空気から塵埃を遠心分離するように構成された遠心分離部と、前記遠心分離部により遠心分離された塵埃が落下する収容部と、を含み
、
前記遠心分離部は、遠心分離された塵埃が前記収容部に落下することを許容するように構成されており、
前記収容部は、前記遠心分離部から下方に延設された筒体を含み、
前記筒体の下端は、開口しているとともに前記集塵容器の前記底部に気密に接触している、請求項1に記載の掃除機。
【請求項5】
前記外フィルタにおける目の密度は、前記内フィルタにおける目の密度よりも小さくなっており、
前記内フィルタは、前記外フィルタよりも小さな目を有している、請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の掃除機。
【請求項6】
前記吸引筒部は、前記外フィルタと前記内フィルタとの間の前記空隙を前記外フィルタと前記内フィルタの上側で閉じる閉塞部を有し、
前記外フィルタと前記内フィルタとの間の前記空隙は、前記集塵容器の前記底部が前記貯塵室を閉じているとき、前記集塵容器の前記底部により閉じられている、請求項
1に記載の掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイクロン式の掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
サイクロン式の掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生させる吸引源と、吸引力により吸引された塵埃が空気とともに流入する集塵容器と、を備えている(特許文献1及び2を参照)。集塵容器の周壁部は、円筒状になっており、集塵容器の上部には、集塵容器に流入した空気及び塵埃が集塵容器の内周面に沿って流れるように開口した流入部が設けられている。
【0003】
集塵容器内には、集塵容器の内部空間を上下に区画する円板状の区画部が設けられている。区画部の外径は、集塵容器の内径よりも小さく、区画部の外周縁と集塵容器の内周面との間には円環状の空隙が形成されている。区画部の上側の空間は、流入部を通じて流入した空気から塵埃を遠心分離するための分離室として用いられる。区画部の下側の空間は、遠心分離された塵埃を貯留するための貯塵室として用いられる。
【0004】
集塵容器の中心には、塵埃を捕捉するように構成された除塵フィルタ部が取り付けられた吸引筒部が設けられている。吸引筒部は、分離室の中心軸に沿って延設され、吸引筒部の下端部は、貯塵室に突出している。吸引筒部は、分離室及び貯塵部内の空気の流入を許容するように構成されており、吸引筒部の上端部は、除塵フィルタ部を通じて吸引筒部に流入した空気が吸引源に向けて流出するように構成されている。除塵フィルタ部は、分離室及び貯塵部から吸引筒部に流入する空気から塵埃を除去するように構成されている。
【0005】
吸引源が、吸引力を発生させると、分離室及び貯塵室内の空気は、除塵フィルタ部を通じて吸引筒部に流入する。これに伴い、外気が塵埃を伴って流入部を通じて分離室に流入する。分離室では、外気及び塵埃が集塵容器の内周面に沿って流れる旋回流が生ずる。この間、外気は、吸引筒部に徐々に近づくように流れる一方で、外気よりも重い塵埃は、集塵容器の内周面の近傍を流れ続ける。すなわち、塵埃は、分離室内の旋回流により遠心分離される。遠心分離された塵埃は、自重により、区画部の外周縁と集塵容器の内周面との間の円環状の空隙を通じて、貯塵室内に流入する。貯塵室内に流入した塵埃が再度分離室に戻ることは、区画部により阻害される。したがって、塵埃は、貯塵室に溜められる。
【0006】
貯塵室内の空気も、吸引筒部を通じて吸引源に吸い込まれている。この空気により、貯塵室内の塵埃は、吸引筒部に向けて流れ、除塵フィルタ部により捕捉される。この結果、貯塵室内の塵埃は、除塵フィルタ部に貼り付いた状態になり減容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-5921号公報
【文献】特開2007-282929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
分離室だけでなく貯塵室においても空気を吸引することにより、塵埃の減容効果が得られる。しかしながら、貯塵室には比較的多くの塵埃が存在しているので、フィルタを通じて吸引筒部に流入する塵埃、ひいては、吸引源に向けて流れる塵埃が増える。
【0009】
本発明は、貯塵室において空気を吸引しても、吸引源へ流れる塵埃を抑制することができるサイクロン式の掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示における掃除機は、サイクロン式に集塵するように構成されている。掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生させる吸引源と、塵埃とともに流れ込んだ空気が内周面に沿って流れる旋回流となって流れるように構成されているとともに吸引力を受けて内部の空気が上向きに流出するように構成された集塵容器と、集塵容器の内部空間を、旋回流により塵埃を遠心分離する分離室と、遠心分離された塵埃が落下することを許容するように分離室に連通しているとともに分離室から流入した塵埃を貯留する貯塵室と、に区画する区画部と、吸引力を受けて分離室及び貯塵室内の空気が流入するように構成されているとともに、流入した空気が吸引源に向けて流れる流路を形成している吸引筒部と、分離室及び貯塵室から吸引筒部に流入する空気から塵埃を取り除くように吸引筒部に設けられた除塵フィルタ部と、吸引筒部内に設けられて、吸引筒部に流入した空気から塵埃を遠心分離して、遠心分離された塵埃を落下させる再分離処理を行うように構成された再分離部と、を備えている。吸引筒部の下端部は、開口しているとともに、吸引筒部の周壁部には、貯塵室内の空気の流入を許容する流入開口が形成されている。集塵容器は、貯塵室を開放可能に設けられた底部を含み、底部は、貯塵室を閉じた状態で吸引筒部の下端部に気密に接触している。除塵フィルタ部は、流入開口に流入する空気から塵埃を取り除くように吸引筒部の周壁部に取り付けられた外フィルタと、外フィルタを通過した空気から塵埃を除去するように外フィルタに対して吸引筒部の内側に設けられた内フィルタと、を含んでいる。吸引筒部は、外フィルタと内フィルタとの間に空隙を形成するように内フィルタを保持するフィルタ保持部を有している。外フィルタと内フィルタとの間の空隙は、貯塵室が開放されているとき、吸引筒部の下端において開口している。
【発明の効果】
【0011】
上述のサイクロン式の掃除機は、貯塵室において空気を吸引しても、吸引源へ流れる塵埃を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図6】集塵容器の底部から下端部が離間した吸引筒部を有する集塵部の断面図である。
【
図7】集塵容器の底部と吸引筒部の下端部との間にある塵埃を減容するように構成された集塵部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0014】
(掃除機の全体的な構造)
図1は、サイクロン式に集塵する掃除機100の斜視図である。
図1を参照して、掃除機100を説明する。
【0015】
掃除機100は、掃除機本体110と、掃除機本体110に取り付け可能に構成されたアタッチメント管120と、アタッチメント管120に取り付け可能に構成された吸込ノズル130と、を備えている。
【0016】
アタッチメント管120は、上端が掃除機本体110に接続され且つ下端が吸込ノズル130に接続された状態で塵埃が流れる塵埃流路を形成している。
【0017】
吸込ノズル130は、幅方向に長く、床面に向けて開口した箱形状を有している。吸込ノズル130の内部には、アタッチメント管120により形成された塵埃流路よりも幅広の吸込空間が形成されており、塵埃は、吸込空間を通じて、掃除機100の内部に流入可能である。
【0018】
掃除機本体110は、略円筒状の筐体111を有している。筐体111の内部には、
図2に示すように、塵埃を吸引する吸引力を発生させる吸引源113と、吸引源113に電気的に接続されて吸引源113に電力を供給するバッテリ114と、が収容されている。吸引源113は、たとえば、ファンと、バッテリ114からの電力を受けてファンを駆動するモータとから構成され得る。
【0019】
掃除機本体110は、筐体111の外周面から突出した略C字型のハンドル部112と、ハンドル部112から下方に突出した筒状の取付部115と、を更に含んでいる。ハンドル部112は、使用者により握持可能な形状を有しており、ハンドル部112の前面には、
図1に示すように、使用者によって操作される操作部116が設けられている。操作部116が操作されることにより、吸引源113が作動したり、停止したりする。取付部115は、下方に開口しており、取付部115の開口部には、アタッチメント管120の上端が嵌め込まれる。取付部115の内部には、
図2に示すように、アタッチメント管120により形成された塵埃流路に連通する流路117が形成されている。
【0020】
掃除機本体110は、筐体111の下面と取付部115の外周面とに接続可能に構成された集塵部200を更に有している。集塵部200は、吸込ノズル130、アタッチメント管120及び取付部115の流路117を順次流れる空気に含まれる塵埃を貯留するように構成されている。集塵部200について、
図2乃至
図4を参照して以下に説明する。
【0021】
(集塵部の構造)
集塵部200は、吸引源113の下側に設けられた集塵容器210を有している。集塵容器210は、空気及び塵埃が流入するように構成されている。詳細には、集塵容器210は、周壁部211と、上壁部212と、底部213と、接続筒214と、を有している。
【0022】
周壁部211は、略円筒形状に形成されている。周壁部211の上部において、接続筒214が、周壁部211の外周面から突出し、取付部115の流路117に接続される。詳細には、接続筒214は、周壁部211と接続筒214との接続部分における周壁部211の内周面の接線方向に突出している。接続筒214が接線方向に突出することにより、集塵容器210の上部に流入した空気は、周壁部211の内周面に沿って流れ、旋回流になる。
【0023】
周壁部211の外周面には、底部213を回動可能に保持するように構成された回動保持部215が設けられている。底部213は、集塵容器210の内部空間を閉じる略円板状の蓋部244と、蓋部244の内面の略中央に設けられた円板状のシール部216と、を含んでいる。蓋部244の外周部は、回動保持部215に取り付け可能に構成されている。回動保持部215に接続された状態において、蓋部244は、回動保持部215を軸として上下に回動可能である。底部213が略水平の姿勢になっているとき、集塵容器210の内部空間は閉じられる。底部213が水平な姿勢から下方に回動されると、集塵容器210の内部空間が開放される。シール部216は、集塵容器210内に貯留された塵埃が吸引源113へ流れることを防止するために設けられている。
【0024】
上壁部212は、周壁部211の上端部に嵌め込まれるとともに筐体111の下端に接続される略円板状の部材である。上壁部212は、7つの開口部217が設けられた円板状の開口円板部218と、開口円板部218の外周縁から上方に突出するように設けられた環状突出部219と、を含んでいる。7つの開口部217のうち1つは、開口円板部218の中心に設けられている。残りの開口部217は、開口円板部218の外周縁に沿って周方向に間隔を空けて形成されている。開口円板部218の開口部217を通じて、集塵容器210内の空気が吸引源113に向けて上向きに流出可能である。環状突出部219により囲まれた空間には、
図2に示すように、フィルタパッド286が設けられる。フィルタパッド286は、開口部217を通じて吸引源113へ流出する空気から塵埃を除去するために配置される。
【0025】
開口円板部218の下面には、開口部217に対応する位置において下方に突出する突出筒部220が設けられている。突出筒部220は、集塵容器210内における塵埃の遠心分離処理を促すために設けられている。
【0026】
上壁部212の下側には、突出筒部220が挿通される開口部が形成されたシーリングシート225が配置されている。
【0027】
集塵部200は、集塵容器210の内部空間を上下に区画する区画部221を有している。区画部221は、接続筒214よりも低い位置に設けられた円環状の部材である。集塵容器210の内部空間において、区画部221に対して上側の空間を、以下の説明において「分離室222」と称する。区画部221に対して下側の空間を、以下の説明において「貯塵室223」と称する。分離室222は、集塵容器210に空気とともに流入した塵埃を遠心分離するための空間である。貯塵室223は、分離室222で遠心分離された塵埃を貯留するための空間である。
【0028】
区画部221の外径は、集塵容器210の内径よりも小さくなっており、区画部221の外周部と集塵容器210の内周部との間には環状空間224が形成されている。すなわち、分離室222は、環状空間224を通じて、貯塵室223に連通している。
【0029】
集塵容器210の中には、吸引源113の吸引力を受けて分離室222及び貯塵室223から吸引された空気が流れる流路を形成する吸引筒部230が配置されている。吸引筒部230は、集塵容器210の中心軸に沿って上下方向に延設されている。吸引筒部230は、分離室222内に配置された上筒部231と、貯塵室223内に配置された下筒部233と、下筒部233内において下筒部233と同軸配置されたフィルタ保持部234と、を含んでいる。上筒部231は、吸引筒部230の上部を構成し、下筒部233及びフィルタ保持部234は、吸引筒部230の下部を構成している。
【0030】
上筒部231は、区画部221から上方に突出するように、区画部221と一体的に形成されている。上筒部231は、区画部221と同軸に形成されており、区画部221に向けて下方に狭まるテーパ筒形状を有している。
【0031】
上筒部231の上部235は、上壁部212の7つの突出筒部220を周方向に囲むように形成されている。上部235の上端は、シーリングシート225の下面に圧接される。上部235は、周方向に連続した壁構造を有しており、分離室222からの空気の流入を許容しない。
【0032】
一方、上筒部231の下部236の周壁部には、
図3に示すように、複数の流入開口271が設けられており、これらの流入開口271を通じて、分離室222内の空気が上筒部231内に流入可能である。上筒部231の下部236の下端には、上筒部231の径方向において内方に突出した環状突出部237が設けられている。環状突出部237は、下筒部233及びフィルタ保持部234をシール部216と上下に挟むために設けられている。
【0033】
下筒部233及びフィルタ保持部234は、上端部及び下端部において開口した円筒状の部材である。下筒部233の周壁部には、
図3に示すように複数の流入開口272が形成されている。フィルタ保持部234の周壁部にも、
図3に示すように複数の流入開口273が形成されている。下筒部233及びフィルタ保持部234の流入開口272,273は、貯塵室223内の空気が下筒部233及びフィルタ保持部234を順次通過することを許容するために設けられている。
【0034】
下筒部233の内径は、フィルタ保持部234の外径よりも大きく、下筒部233の内周面とフィルタ保持部234の外周面との間には、
図4に示すように空隙240が形成されている。
【0035】
下筒部233の下端は、シール部216に圧接され、集塵容器210の底部213に気密に接続されている。一方、下筒部233の上端は、上筒部231の環状突出部237の下面に当接される。下筒部233の上端と下筒部233の周壁部の流入開口272との間には、下筒部233の周壁部から径方向において外方に突出した支持リング241が設けられている。支持リング241は、区画部221及び上筒部231を支持するために設けられている。すなわち、区画部221及び上筒部231は、支持リング241上に配置されている。
【0036】
支持リング241の上側における下筒部233の内径は、支持リング241の下側における下筒部233の内径よりも大きくなっている。このため、支持リング241が設けられた高さ位置において、下筒部233の内部には上向きの環状面242が形成されている。
【0037】
フィルタ保持部234の下端は、シール部216に圧接され、集塵容器210の底部213に気密に接続されている。一方、フィルタ保持部234の上端は、上筒部231の環状突出部237の下面に当接される。フィルタ保持部234の上端とフィルタ保持部234の周壁部の流入開口273との間には、フィルタ保持部234の周壁部から径方向において外方に突出した環状の閉塞部243が設けられている。閉塞部243は、下筒部233の環状面242上に載置された状態で、下筒部233及びフィルタ保持部234の間の空隙240の上端を閉じている。一方、空隙240の下端は、集塵容器210の底部213により閉じられている。集塵容器210の底部213が下方に回動されて集塵容器210の内部空間が開放されれば、空隙240は、集塵容器210の外の空間に開放される。
【0038】
吸引筒部230に流入する空気から塵埃を除去するために、
図3に示すように、吸引筒部230には除塵フィルタ部260が設けられている。除塵フィルタ部260は、主フィルタ261と、外フィルタ262と、内フィルタ263と、を含んでいる。主フィルタ261は、上筒部231の流入開口271を覆うように、主フィルタ261の周壁部に取り付けられる。外フィルタ262は、貯塵室223に配置された下筒部233の流入開口272を覆うように、下筒部233の周壁部に取り付けられる。内フィルタ263は、外フィルタ262を通過した空気から塵埃を取り除くために設けられている。詳細には、内フィルタ263は、下筒部233内に配置されたフィルタ保持部234の流入開口273を覆うように、フィルタ保持部234の周壁部に取り付けられる。なお、上述の空隙240は、外フィルタ262と内フィルタ263との間に形成されている。
【0039】
外フィルタ262及び主フィルタ261における目の密度(単位面積当たりの目の数)は、内フィルタ263における目の密度(単位面積当たりの目の数)よりも小さくなっている。内フィルタ263は、外フィルタ262よりも小さな目を有している。
【0040】
吸引筒部230の内部には、吸引筒部230内に流入した空気に含まれる塵埃を遠心分離するとともに遠心分離された塵埃を落下させる再分離処理を実行させるように構成された再分離部250が設けられている。再分離部250は、全体として、筒構造を有している。再分離部250は、再分離部250の外周部が吸引筒部230の内周部(すなわち、上筒部231の内周部及びフィルタ保持部234の内周部)から径方向において内方に離間するように構成されている。再分離部250の外周部と吸引筒部230の内周部との間の空間は、吸引筒部230内に流入した空気の流路になる。
【0041】
再分離部250は、吸引筒部230内に流入した空気に含まれる塵埃を遠心分離するように構成された遠心分離部281と、遠心分離部281により遠心分離された塵埃を収容する収容部232と、を含んでいる。なお、収容部232は、遠心分離部281から下方に延設された筒体として構成されている。
【0042】
遠心分離部281は、
図3に示すように、上端部及び下端部において開口した7つの分離筒251~257が一体化された構造を有している。これらの分離筒251~257は、上壁部212の7つの開口部217のレイアウトに合わせて配置されており、分離筒251~257の内部空間は、これらの開口部217に連通している。詳細には、分離筒251は、中央の開口部217に対応する位置に設けられている。残りの分離筒252~257は、分離筒251を周方向に囲むように配置されている。なお、周方向に隣り合う分離筒252,257は、間隔を空けて配置されており、分離筒252,257の間の空間を通じて空気が中央の分離筒251に流入することが許容される。
【0043】
分離筒251~257それぞれの周壁部の上部には、
図3に示すように、略矩形状の流入口258が形成されている。流入口258は、流入口258の形成位置における分離筒251~257それぞれの内周面の接線方向に開口している。これにより、吸引源113の吸引力を受けて、分離筒251~257それぞれに流入口258を通じて流入した空気は、分離筒251~257それぞれの内周面に沿って流れ、旋回流になる。
【0044】
分離筒251~257の上端縁は、シーリングシート225の下面に圧接されて、シーリングシート225の開口部をそれぞれ囲む。シーリングシート225の開口部を通じて下方に突出した上壁部212の突出筒部220は、分離筒251~257の上部に挿入される。詳細には、突出筒部220の挿入量は、突出筒部220の下端が流入口258の下端よりも低い位置になるように設定されている。
【0045】
中央の分離筒251は、吸引筒部230と同軸に配置されており、分離筒251の下部は、下方に向けて狭まる形状を有している。分離筒251の下端には、分離筒251内の旋回流により遠心分離された塵埃の落下を許容するように下方に開口した落下口282が形成されている。分離筒251の周囲に配置された分離筒252~257の下部も、下方に向けて狭まる形状を有している。分離筒252~257の下端にも落下口282が形成されており、分離筒252~257の落下口282は、吸引筒部230の中心軸に向けて開口している。
【0046】
分離筒251~257の下端における周壁部には、
図3に示すように、これらの分離筒251~257と一体的に形成された保持プレート259が設けられている。保持プレート259は、分離筒251~257をまとめて保持するように構成されている。保持プレート259は、収容部232の上端部に嵌め込まれる。なお、収容部232の上端部及び保持プレート259は、互いに相補的な形状を有しており、これらの接続部分は、保持プレート259及び収容部232の間を通じた空気の流入を防ぐ気密構造を有している。
【0047】
収容部232は、遠心分離部281を支持するように遠心分離部281の下側に設けられており、分離筒251~257の下向きに開口した落下口282は、収容部232に向けて開口している。また、収容部232の上端は、遠心分離部281により遠心分離された塵埃が収容部232内に落下するように開口しており、収容部232の内部空間は、分離筒251~257の内部空間と連通している。
【0048】
収容部232は、上筒部231の下部236の内部空間内に配置される上部238と、上部238から下方に延設されて貯塵室223内に配置される下部239と、を含んでいる。
【0049】
収容部232の上部238は、下方に向けて狭まるテーパ筒形状を有している。収容部232の上部238は、上筒部231の下部236の環状突出部237により囲まれた開口領域に挿入されている。収容部232の上部238の外周面は、環状突出部237の内縁から径方向において内方に離間しており、収容部232の上部238の外周面と環状突出部237の内縁との間には環状空間が形成されている。貯塵室223から流入した空気は、当該環状空間を通じて上方に流れることが許容される。
【0050】
収容部232の下部239は、収容部232の上部238の下端から下方に延設された円筒状の部材であり、下部239の下端は、下方に開口している。下部239の下端は、シール部216に圧接されており、遠心分離部281から落下した塵埃は、シール部216上で収容部232内に貯留される。
【0051】
収容部232の下端は、シール部216により集塵容器210の底部213と気密に接触している。また、収容部232の上端は、遠心分離部281と気密に接続されている。このため、遠心分離部281が吸引源113の吸引力を受けて塵埃を遠心分離している間においても、収容部232には空気は流入しない。すなわち、収容部232の上側の遠心分離部281内の空気が吸引源113により吸引されていても、収容部232内には上向きの空気の流れが生じにくくなっている。
【0052】
(動作の説明)
掃除機100の動作を、
図1乃至
図3及び
図5を参照して以下に説明する。
【0053】
使用者が、操作部116を操作して、吸引源113を起動させると、吸引源113の吸引力により、床面上の塵埃は、空気とともに吸込ノズル130、アタッチメント管120及び取付部115の流路117を順次流れる。その後、塵埃及び空気は、
図5の矢印Aで示すように、集塵部200の接続筒214を通じて、集塵容器210内に流入する。
【0054】
接続筒214を通じて流入した空気は、分離室222に流入する。空気は、分離室222において集塵容器210の内周面に沿って流れ、旋回流になる。この結果、空気よりも重い塵埃は、集塵容器210の内周面に沿って流れる一方で、空気は、上筒部231の周囲を旋回しながら流れ、徐々に上筒部231に近づく。この空気は、上筒部231の周壁部に設けられた流入開口271を通じて上筒部231内に流入する。この空気には、旋回流による遠心分離作用を受けにくい微細な塵埃が含まれることがあるが、このような微細な塵埃は、上筒部231の周壁部に設けられた主フィルタ261により捕捉される。なお、分離室222に流入した塵埃の大部分は、旋回流により遠心分離作用を受け、上筒部231から径方向に離れた位置で、集塵容器210の内周面に沿って流れるので、主フィルタ261の目詰まりは生じにくくなっている。
【0055】
分離室222内の旋回流により遠心分離された塵埃は、重力作用により徐々に下方に移動する。この結果、塵埃は、区画部221と集塵容器210の内周面との間に形成された環状空間224を通じて、貯塵室223内に落下する。貯塵室223内に流入した塵埃が、
図5に示されている。
【0056】
ひとたび貯塵室223に流入した塵埃は、貯塵室223と分離室222との間に区画部221が設けられているので、分離室222に戻りにくくなっている。このため、塵埃は、貯塵室223に貯留される。
【0057】
貯塵室223には、周壁部に流入開口272,273が形成された下筒部233及びフィルタ保持部234が配置されているので、貯塵室223内の空気及び塵埃は、下筒部233及びフィルタ保持部234に向けて引き寄せられる。空気は、
図5の矢印Bで示すように、外フィルタ262及び内フィルタ263を順次通過し、内フィルタ263と収容部232の下部239との間の空間に流入する。内フィルタ263と収容部232の下部239との間の空間に流入した空気は、
図5の矢印Cで示すように、上向きに流れ、収容部232の上部238と環状突出部237との間の環状空間を通過する。収容部232の上部238と環状突出部237との間の環状空間を通過した空気は、
図5の矢印Dで示すように、上筒部231内に流入した空気と合流し、更に上向きに流れる。
【0058】
一方、貯塵室223内において下筒部233及びフィルタ保持部234に引き寄せられた塵埃は、外フィルタ262によって捕捉される。この結果、塵埃は、外フィルタ262に貼り付けられた状態になり、貯塵室223内の塵埃が減容される。
【0059】
外フィルタ262は、内フィルタ263よりも粗い目を有しているので、下筒部233及びフィルタ保持部234に引き寄せられた塵埃の一部は、外フィルタ262を通過し得る。外フィルタ262を通過した塵埃は、内フィルタ263により捕捉される。
【0060】
外フィルタ262と内フィルタ263との間には空隙240が設けられているので、内フィルタ263により捕捉された塵埃は、外フィルタ262と内フィルタ263との間に挟まることなく落下する。このため、内フィルタ263により捕捉された塵埃は、空隙240内において、シール部216上に溜まる。なお、空隙240の上端は、閉塞部243により閉じられている。したがって、空隙240の上端を通過する空気の流れは生じず、空隙240内に溜まった塵埃は、吸い上げられにくくなっている。
【0061】
内フィルタ263は、比較的小さな目を有しているが、微細な塵埃は、内フィルタ263を通過し得る。このような微細な塵埃は、矢印B~Dで示す空気の流れに乗って上方に流れ得る。
【0062】
矢印Dで示すように、上筒部231と収容部232の上部との間の空間及び上筒部231と遠心分離部281との空間には上向きの空気の流れが生ずる。この空気は、遠心分離部281の分離筒251~257にそれぞれ設けられた流入口258を通じて、これらの分離筒251~257内に流入する。
【0063】
流入口258は、流入口258の形成位置における分離筒251~257の内周面の接線方向に開口しているので、分離筒251~257内に流入した空気は、分離筒251~257の内周面に沿って流れ、旋回流になる。なお、流入口258の下端よりも低い位置に突出筒部220の下端があるので、流入口258を通じて分離筒251~257に流入した直後の空気が、突出筒部220を通じて集塵容器210の外に流出しにくくなっている。すなわち、分離筒251~257内に流入した空気の大部分は、旋回流となって分離筒251~257内を流れる。
【0064】
分離筒251~257内の旋回流により、分離筒251~257内に流入した空気に含まれる塵埃は、遠心分離される。この塵埃は、分離筒251~257の内周面に沿って流れつつ、重力作用により下方に移動する。最終的に、塵埃は、
図5の矢印Eで示すように、分離筒251~257の下端の落下口282を通じて、遠心分離部281から落下する。落下した塵埃は、収容部232の内部空間において下方に移動し、収容部232の下端部に溜まる。なお、収容部232の下端は、シール部216に気密に接続されているので、収容部232の下端を通じた空気の流入、ひいては、収容部232内を上向きに流れる空気の流れは生じない。したがって、収容部232内に落下した塵埃が、吸引源113の吸引力により吸い上げられることはない。
【0065】
収容部232の下端は、シール部216に気密に接続されている結果、吸引源113の吸引力は、遠心分離部281の分離筒251~257の流入口258を通じて空気が流入するように作用する。分離筒251~257内に流入した空気は、
図5の矢印Fで示すように、突出筒部220の下端の開口部を通じて突出筒部220内に流入し、上壁部212の開口部217を通じて集塵部200から流出する。その後、空気は、吸引源113に向けて流れる。
【0066】
上述の如く、塵埃は、貯塵室223、収容部232の下端部並びに下筒部233とフィルタ保持部234との間の空隙240に溜まり得る。これらの部分に溜まった塵埃は、底部213を回動保持部215周りに下方に回動させて貯塵室223を開放することにより、容易に除去可能である。
【0067】
すなわち、貯塵室223が開放されれば、収容部232の下端部及び下筒部233及びフィルタ保持部234の間の空隙240は、下方に開口した状態になる。このため、これらの部分に溜まった塵埃は、下方に落下する。
【0068】
また、下筒部233の外側にある塵埃の大部分は、貯塵室223を開放することにより落下する。しかしながら、下筒部233の外側にある塵埃の一部は、吸引源113の吸引力により、外フィルタ262の目に入り込み、外フィルタ262に貼り付いた状態になり得る。しかしながら、外フィルタ262における目の密度は、内フィルタ263における目の密度と比べて小さくなっており、外フィルタ262に対する塵埃の貼付力は小さくなる。このため、塵埃が外フィルタ262に貼り付いていたとしても、外フィルタ262から容易に分離することができる。
【0069】
上述の実施形態では、再分離部250は、分離筒251~257を有し、これらの分離筒251~257内で塵埃を遠心分離するとともに遠心分離された塵埃を吸引筒部230の下端部に落下させる再分離処理を行うように構成されている。このため、吸引筒部230内に塵埃が流入しても、再分離部250の再分離処理により、吸引源113へ流れる塵埃は少なくなる。なお、再分離処理が実行可能であれば、再分離部250は、様々な構造を有してもよい。たとえば、再分離部250は、1つの分離筒を有していてもよい。
【0070】
上述の実施形態では、下筒部233及びフィルタ保持部234の周壁部に流入開口272,273が設けられており、外フィルタ262及び内フィルタ263により、これらの流入開口272,273がそれぞれ覆われている。このような構造では、下筒部233及びフィルタ保持部234の長手方向において、流入開口272,273、外フィルタ262及び内フィルタ263を広くすることができる。このため、外フィルタ262及び内フィルタ263が完全に目詰まりするまでの期間を長くすることができる。
【0071】
上述の実施形態では、塵埃は、貯塵室223に溜められるので、貯塵室223には、分離室222よりも多くの塵埃が存在する。このため、分離室222内に設けられた上筒部231内に流入する塵埃よりも、貯塵室223に設けられた下筒部233及びフィルタ保持部234内に流入する塵埃が多くなることが想定される。このため、外フィルタ262及び内フィルタ263の二重のフィルタ構造が採用され、貯塵室223内の塵埃が吸引筒部230内に流入することを抑制している。なお、吸引筒部230内への塵埃の流入に対する抑制効果を増加させるために、追加的なフィルタが設けられてもよい。代替的に、再分離部250による再分離処理により、吸引源113に向けて流れる塵埃の量を十分に低減可能であれば、内フィルタ263は省略されてもよい。
【0072】
上述の実施形態では、吸引筒部230及び再分離部250の下端は、集塵容器210の底部213に接触している。代替的に、
図6に示すように、吸引筒部230及び再分離部250の下端は、集塵容器210の底部213から離間していてもよい。この場合には、シール部216は取り除かれる一方で、吸引筒部230及び再分離部250の下端の開口部を塞ぐ蓋部283が吸引筒部230の下端に取り付けられる。好ましくは、蓋部283は、吸引筒部230の下端から取り外し可能である。
【0073】
図6の集塵部200では、蓋部283と底部213との間に空間が形成され、当該空間を利用して塵埃を貯留することが許容される。底部213を下方に回動させれば、貯塵室223内の塵埃が除去される。その後、蓋部283が吸引筒部230から取り外されれば、下筒部233とフィルタ保持部234との間の空隙240及び収容部232内に溜まった塵埃が除去され得る。
【0074】
蓋部283は、
図7に示すように、収容部232の下端を閉じるように構成される一方で、蓋部283には、下筒部233と収容部232との間の空間に連通する開口部284が形成されてもよい。この場合、開口部284を覆うフィルタ285が蓋部283に取り付けられる。
【0075】
図7の集塵部では、蓋部283と底部213との間に空間にある塵埃は、吸引源113の吸引力により、フィルタ285に貼り付いた状態になる。すなわち、蓋部283と底部213との間に空間にある塵埃を減容することが可能になる。
【0076】
上述の実施形態では、吸引源113及び集塵部200は、スティック型の掃除機100に搭載されている。代替的に、吸引源113及び集塵部200は、キャニスター型の掃除機に搭載されてもよい。
【0077】
(効果等)
上述の実施形態に係る掃除機100は、以下の特徴を有しているとともに、以下の効果を奏する。
【0078】
上述の実施形態に係る一の局面に係る掃除機は、サイクロン式に集塵するように構成されている。掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生させる吸引源と、塵埃とともに流れ込んだ空気が内周面に沿って流れる旋回流となって流れるように構成されているとともに吸引力を受けて内部の空気が上向きに流出するように構成された集塵容器と、集塵容器の内部空間を、旋回流により塵埃を遠心分離する分離室と、遠心分離された塵埃が落下することを許容するように分離室に連通しているとともに分離室から流入した塵埃を貯留する貯塵室と、に区画する区画部と、吸引力を受けて分離室及び貯塵室内の空気が流入するように構成されているとともに、流入した空気が吸引源に向けて流れる流路を形成している吸引筒部と、分離室及び貯塵室から吸引筒部に流入する空気から塵埃を取り除くように吸引筒部に設けられた除塵フィルタ部と、吸引筒部内に設けられて、吸引筒部に流入した空気から塵埃を遠心分離して、遠心分離された塵埃を落下させる再分離処理を行うように構成された再分離部と、を備えている。
【0079】
上述の構成によれば、吸引源が吸引力を発生させると、分離室及び貯塵室内の空気は、吸引筒部に流入する。このとき、分離室では、旋回流が生じ、空気とともに分離室に流入した塵埃がこの旋回流により遠心分離される。分離室で遠心分離された塵埃は、貯塵室に落下し、貯塵室に貯留される。貯塵室に流入した塵埃は、吸引筒部に向けて流れ、除塵フィルタ部により捕捉される。この結果、塵埃は、除塵フィルタ部に貼り付いた状態になり減容される。
【0080】
貯塵室において、塵埃を吸引することにより、塵埃の減容効果が得られる一方で、除塵フィルタを通過して吸引筒部に流入する塵埃が増える。このため、吸引筒部内に再分離部が設けられている。再分離部は、吸引筒部に流入した空気から塵埃を遠心分離して、遠心分離された塵埃を落下させる再分離処理を実行する。再分離処理の結果、吸引源に向けて流れる塵埃の量が低減される。
【0081】
上述の構成において、吸引筒部の下端部は、開口しているとともに、集塵容器の底部に気密に接触していてもよい。集塵容器の底部は、貯塵室を開放可能に設けられていてもよい。
【0082】
上述の構成によれば、吸引筒部の下端部は、開口しているので、集塵容器の底部が貯塵室を開放した状態になっていれば、吸引筒部の下端部に溜まった塵埃は、吸引筒部の外側の塵埃とともに集塵容器から排出され得る。なお、吸引筒部の下端部は、開口しているが、集塵容器の底部が、貯塵室を閉じている閉状態になっているときには、集塵容器の底部に気密に接触しているので、貯塵室内の塵埃は、吸引筒部の下端部からは吸引筒部内に流入しにくくなっている。このため、吸引源に向けて流れる塵埃は少なくなる。
【0083】
上述の構成において、再分離部は、吸引筒部に流入した空気から塵埃を遠心分離するように構成された遠心分離部と、遠心分離部により遠心分離された塵埃が落下する収容部と、を含んでいてもよい。収容部は、空気の流入を許容しないように構成されていてもよい。
【0084】
上述の構成によれば、収容部は、空気の流入を許容しないので、収容部に落下した塵埃が遠心分離部に向けて吹き上げられることが防止される。すなわち、収容部から遠心分離部への塵埃の逆流が防止される。
【0085】
上述の構成において、遠心分離部は、吸引源の吸引力を受けて吸引筒部内の空気が流入することを許容する流入口と、収容部に向けて開口した落下口と、が形成された分離筒を含んでいてもよい。流入口は、分離筒内で旋回流を生じさせる向きに開口していてもよい。
【0086】
上述の構成によれば、吸引源の吸引力を受けて分離筒内で旋回流が生ずる。この結果、流入口を通じて流入した空気に含まれる塵埃が遠心分離される。遠心分離された塵埃は、落下口を通じて収容部に落下する。収容部は、空気の流入を許容しないので、収容部から落下口を通じて分離筒内に流入する空気の流れは生じない。したがって、塵埃がひとたび収容部に落下すれば、塵埃は、収容部に留まり続ける。
【0087】
上述の構成において、再分離部は、吸引筒部に流入した空気から塵埃を遠心分離するように構成された遠心分離部と、遠心分離部により遠心分離された塵埃が落下する収容部と、を含んでいてもよい。集塵容器は、貯塵室を開放可能に設けられた底部を含んでいてもよい。遠心分離部は、遠心分離された塵埃が収容部に落下することを許容するように構成されていてもよい。収容部は、遠心分離部から下方に延設された筒体を含んでいてもよい。筒体の下端は、開口しているとともに集塵容器の底部に気密に接触していてもよい。
【0088】
上述の構成によれば、遠心分離部で遠心分離された塵埃は、収容部を構成している筒体内に落下する。筒体の下端は、開口しているが、集塵容器の底部に気密に接触しているので、筒体に落下した塵埃が筒体から出ることはない。一方、集塵容器の底部が貯塵室を開放すれば、吸引筒部の下端部に溜まった塵埃は、貯塵室内の塵埃とともに集塵容器から排出され得る。
【0089】
上述の構成において、吸引筒部は、貯塵室内の空気の流入を許容する流入開口が形成された周壁部を有していてもよい。除塵フィルタ部は、流入開口に流入する空気から塵埃を取り除くように吸引筒部の周壁部に取り付けられていてもよい。
【0090】
上述の構成によれば、貯塵室内の空気の流入を許容する流入開口が吸引筒部の周壁部に形成されているので、流入開口を吸引筒部の軸方向に長くして流入開口の面積を広くすることができる。この場合、除塵フィルタ部も吸引筒部の軸方向に長くしてフィルタ面積を増やすことができる。この結果、貯塵室内において除塵フィルタ部が完全に目詰まりするまでの期間が長くなり、長期に亘って貯塵室内の空気を吸い込むことができる。
【0091】
上述の構成において、除塵フィルタ部は、貯塵室内において吸引筒部に流入する空気から塵埃を取り除くように吸引筒部に設けられた外フィルタと、外フィルタを通過した空気から塵埃を除去するように外フィルタに対して吸引筒部の内側に設けられた内フィルタと、を含んでいてもよい。外フィルタにおける目の密度は、内フィルタにおける目の密度よりも小さくてもよい。内フィルタは、外フィルタよりも小さな目を有していてもよい。
【0092】
上述の構成によれば、外フィルタは、内フィルタよりも外側に設けられているので、貯塵室内で吸引された塵埃は、外フィルタ262の目に入り込み、外フィルタに貼り付いた状態になる。しかしながら、外フィルタ262における目の密度は、内フィルタ263における目の密度と比べて小さくなっており、外フィルタ262に対する塵埃の貼付力は小さくなる。したがって、外フィルタからの塵埃の分離は容易である。内フィルタは、外フィルタよりも小さな目を有しているので、外フィルタを通過した空気から塵埃を除去することができる。
【0093】
上述の構成において、除塵フィルタ部は、流入開口に流入する空気から塵埃を取り除く外フィルタと、外フィルタを通過した空気から塵埃を除去するように外フィルタに対して吸引筒部の内側に設けられた内フィルタと、を含んでいてもよい。吸引筒部は、外フィルタと内フィルタとの間に空隙を形成するように内フィルタを保持するフィルタ保持部を有していてもよい。
【0094】
上述の構成によれば、フィルタ保持部が、外フィルタと内フィルタとの間に空隙を形成するように内フィルタを保持しているので、内フィルタにより捕捉された塵埃は、外フィルタと内フィルタとの間に挟まることなく落下し得る。
【0095】
上述の構成において、吸引筒部の周壁部には、貯塵室内の空気の流入を許容する流入開口が形成されていてもよい。除塵フィルタ部は、流入開口に流入する空気から塵埃を取り除く外フィルタと、外フィルタを通過した空気から塵埃を除去するように外フィルタに対して吸引筒部の内側に設けられた内フィルタと、を含んでいてもよい。吸引筒部は、外フィルタと内フィルタとの間に空隙を形成するように内フィルタを保持するフィルタ保持部を有していてもよい。外フィルタと内フィルタとの間の空隙は、貯塵室が開放されているとき、吸引筒部の下端において開口していてもよい。
【0096】
上述の構成によれば、外フィルタと内フィルタとの間の空隙は、貯塵室が開放されているとき、吸引筒部の下端部において開口しているので、内フィルタにより捕捉されて吸引筒部の下端部に溜まった塵埃は、貯塵室が開放されることにより集塵容器から排出され得る。
【0097】
上述の構成において、吸引筒部は、外フィルタと内フィルタとの間の空隙を外フィルタと内フィルタの上側で閉じる閉塞部を有していてもよい。外フィルタと内フィルタとの間の空隙は、集塵容器の底部が貯塵室を閉じているとき、集塵容器の底部により閉じられていてもよい。
【0098】
上述の構成によれば、外フィルタと内フィルタとの間の空隙は、閉塞部と集塵容器の底部とにより閉じられている。したがって、外フィルタを通過した空気は、内フィルタを通過してから吸引源に向けて流れる。このため、外フィルタを通過した塵埃の多くは、内フィルタにより除去され、吸引源に向けて流れる塵埃が少なくなる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
上述の実施形態の掃除機は、清掃作業に用いられる装置に好適に利用される。
【符号の説明】
【0100】
100 掃除機
113 吸引源
210 集塵容器
211 周壁部
213 底部
221 区画部
222 分離室
223 貯塵室
230 吸引筒部
232 収容部
234 フィルタ保持部
240 空隙
243 閉塞部
250 再分離部
251 分離筒
252 分離筒
253 分離筒
254 分離筒
255 分離筒
256 分離筒
257 分離筒
258 流入口
260 除塵フィルタ部
262 外フィルタ
263 内フィルタ
271 流入開口
272 流入開口
273 流入開口
281 遠心分離部
282 落下口
285 フィルタ