(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20241220BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241220BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20241220BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20241220BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
B41J29/38 350
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/165 211
B41J2/165 301
B41J2/18
B41J29/42 F
(21)【出願番号】P 2021010036
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】秋山 敬
(72)【発明者】
【氏名】上林 勇輝
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-135318(JP,A)
【文献】特開2017-092788(JP,A)
【文献】特開2013-132860(JP,A)
【文献】特開2002-373081(JP,A)
【文献】特開2011-136480(JP,A)
【文献】特開2008-071067(JP,A)
【文献】特開2020-194201(JP,A)
【文献】特開2019-102863(JP,A)
【文献】特開2019-051635(JP,A)
【文献】特開2008-307714(JP,A)
【文献】国際公開第11/015665(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 -29/42
B41J 2/01
B41J 2/165
B41J 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面と操作手段とを有する表示装置と、
所定の複数の処理を実行可能な制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記複数の処理のうち、ユーザによって選択された複数の選択処理を、ユーザによって指定された所定の順番で実行するスクリプトを作成するスクリプト作成部と、
前記スクリプト作成部によって作成された前記スクリプトを実行するスクリプトボタン
と、前記複数の処理のうち所定の処理を単独で実行する実行ボタンと、を前記表示画面に表示する表示部と、
前記表示画面に表示された前記スクリプトボタンが前記操作手段を介してユーザによって押されたとき、前記スクリプトの前記複数の選択処理を前記所定の順番で連続的に実行
し、前記表示画面に表示された前記実行ボタンが前記操作手段を介してユーザによって押されたとき、前記所定の処理を単独で実行する実行部と、
を備え
、
前記表示部は、起動時に前記表示画面に表示されるトップ画面に前記スクリプトボタンおよび前記実行ボタンを配置して表示する、プリンタ。
【請求項2】
前記スクリプトは、
前記複数の処理のうち、ユーザによって選択された複数の第1選択処理を、ユーザによって指定された所定の第1の順番で実行する第1スクリプトと、
前記複数の処理のうち、ユーザによって選択された複数の第2選択処理を、ユーザによって指定された所定の第2の順番で実行する第2スクリプトと、
を有し、
前記スクリプトボタンは、
前記第1スクリプトを実行する第1スクリプトボタンと、
前記第2スクリプトを実行する第2スクリプトボタンと、
を有する、請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項3】
前記制御装置は、前記スクリプト作成部によって作成された前記スクリプトを実行する日時を、ユーザによって指定された所定の実行日時に設定する日時設定部を備え、
前記実行部は、前記日時設定部によって設定された前記実行日時に前記スクリプトを実行する、請求項1
または2に記載されたプリンタ。
【請求項4】
前記日時設定部は、前記実行日時として、所定の1つまたは複数の曜日を設定可能に構成された、請求項
3に記載されたプリンタ。
【請求項5】
前記表示部は、前記スクリプトで実行される前記複数の選択処理をユーザが選択する選択領域、および、作成ボタンが配置された選択画面を前記表示画面に表示し、
前記スクリプト作成部は、前記作成ボタンが前記操作手段を介してユーザによって押されたとき、前記選択領域に指定された前記複数の選択処理を実行する前記スクリプトを作成する、請求項1から
4までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【請求項6】
前記制御装置が実行可能な処理には、電源をオンにするための電源オン処理が少なくとも含まれる、請求項1から
5までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【請求項7】
インクを吐出するインクヘッドと、
インクが収容されるインクタンクと前記インクヘッドとを接続するインク流路と、
を備え、
インク流路は、
一端が前記インクタンクに接続され、他端が前記インクヘッドに接続された順流路と、
一端が前記順流路の一端部に接続され、他端が前記順流路の他端部に接続された還流路と、
前記還流路の途中部分に設けられた循環ポンプと、
を有し、
前記制御装置が実行可能な処理には、前記循環ポンプを駆動して前記順流路と前記還流路の間でインクを循環させるインク循環処理が少なくとも含まれる、請求項1から
6までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【請求項8】
インクを吐出するノズルが形成されたノズル面を有するインクヘッドと、
キャップユニットと、
前記ノズル面をワイピングするワイパーユニットと、
を備え、
前記キャップユニットは、
前記ノズルを覆うように前記ノズル面に装着可能なキャップと、
前記ノズル面に対して前記キャップを装着させたり、離間させたりするキャッピング機構と、
前記キャップに接続された吸引ポンプと、
を有し、
前記制御装置が実行可能な処理には、前記キャップユニットおよび前記ワイパーユニットを使用して、前記インクヘッドをクリーニングするクリーニング処理が少なくとも含まれる、請求項1から
7までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【請求項9】
インクを吐出するインクヘッドと、
被印刷物を支持する支持台と、
前記支持台に支持された前記被印刷物を前記インクヘッドに対して相対的に所定の方向に移動させる移動機構と、
を備え、
前記制御装置が実行可能な処理には、
前記支持台に支持された前記被印刷物を印刷開始位置に移動させるセットアップ処理と、
前記支持台に支持された前記被印刷物を非印刷位置に移動させるアンセットアップ処理と、
が少なくとも含まれる、請求項1から
8までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【請求項10】
被印刷物を支持する支持台と、
前記支持台に支持された前記被印刷物を吸引し、前記支持台に密着させる台吸引機構と、
を備え、
前記制御装置が実行可能な処理には、
前記台吸引機構を起動させる台吸引オン処理と、
前記台吸引機構を停止させる台吸引オフ処理と、
が少なくとも含まれる、請求項1から
9までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【請求項11】
インクを吐出するノズルが形成されたノズル面を有するインクヘッドと、
被印刷物を支持する支持台と、
前記支持台を昇降させる昇降機構と、
を備え、
前記制御装置が実行可能な処理には、前記ノズル面と、前記支持台に支持された前記被印刷物との上下の間隔が、所定の印刷間隔になるように前記昇降機構を制御するリフトオート処理が少なくとも含まれる、請求項1から
10までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【請求項12】
インクを吐出するノズルが形成されたインクヘッドを備え、
前記制御装置が実行可能な処理には、前記ノズルの状態を確認するための所定のテストパターンを印刷するテスト印刷処理が少なくとも含まれる、請求項1から
11までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、インクタンクとインクヘッドの間でインクを循環可能なインク流路を備えたインクジェットプリンタが開示されている。インク流路においてインクを循環させるインク循環処理を行うことで、インク流路内でインクが沈殿し難くすることができる。
【0003】
また、特許文献1に開示されたインクジェットプリンタは、キャッピング装置と、ワイピング装置とを備えている。キャッピング装置は、インクヘッドに装着可能なキャップと、キャップに接続された吸引機構とを有している。ワイピング装置は、インクヘッドを払拭するワイパーと、インクヘッドとワイパーとを相対的に移動させるワイパー移動機構とを有している。例えばキャッピング装置とワイピング装置とを制御して、所定のクリーニング処理が行われることで、インクヘッドがクリーニングされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えばインクジェットプリンタに設けられた操作パネルには、インク循環処理を実行するための循環ボタン、および、クリーニング処理を実行するためのクリーニングボタンなどが配置されている。ユーザが操作パネルのボタンを押す毎に、押したボタンに該当する処理が行われる。そのため、例えば印刷前において、インク循環処理、クリーニング処理を順に連続で実行する場合、ユーザは循環ボタンを押し、インク循環処理が終了するまで待機してからクリーニングボタンを押して、クリーニング処理が行われる。そのため、処理に要する時間が長い程、処理が終了するまでユーザが待機する時間が長くなる。このことで、処理に要するユーザの作業時間が長くなる。このユーザの作業時間は短い方が好ましい。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の処理を連続で実行する際に要するユーザの作業時間を短くすることが可能なプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプリンタは、表示画面と操作手段とを有する表示装置と、所定の複数の処理を実行可能な制御装置と、を備えている。前記制御装置は、スクリプト作成部と、表示部と、実行部とを備えている。前記スクリプト作成部は、前記複数の処理のうち、ユーザによって選択された複数の選択処理を、ユーザによって指定された所定の順番で実行するスクリプトを作成する。前記表示部は、前記スクリプト作成部によって作成された前記スクリプトを実行するスクリプトボタンを前記表示画面に表示する。前記実行部は、前記表示画面に表示された前記スクリプトボタンが前記操作手段を介してユーザによって押されたとき、前記スクリプトの前記複数の選択処理を前記所定の順番で連続的に実行する。
【0008】
上記プリンタによれば、ユーザが制御装置に連続的に実行させたい複数の選択処理を実行するためのスクリプトを作成することができる。そのため、ユーザがスクリプトボタンを押すという操作を1回行うのみで、スクリプトに含まれる複数の選択処理を連続的に実行することができる。よって、上記プリンタによれば、複数の選択処理のそれぞれを実行する毎に、操作手段を操作する必要がないため、複数の選択処理を連続的に実行する際に要するユーザの作業時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】カバーが開いた状態のプリンタの正面図である。
【
図3】インクタンクとインクヘッドとを接続するインク流路、および、キャップユニットを示す概念図である。
【
図5】実施形態に係るプリンタのブロック図である。
【
図7】トップ画面が表示された表示画面を示す図である。
【
図8】選択画面が表示された表示画面を示す図である。
【
図9】選択候補画面が表示された表示画面を示す図である。
【
図10】日時設定画面が表示された表示画面を示す図である。
【
図11】第1スクリプトに含まれる第1選択処理が選択領域に表示された選択画面を示す図である。
【
図12】第2スクリプトに含まれる第2選択処理が選択領域に表示された選択画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るプリンタの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。
【0011】
図1、
図2は、それぞれ本実施形態に係るプリンタ10の斜視図、正面図である。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれプリンタ10の前、後、左、右、上、下を示している。また、符号X、Yは、それぞれ副走査方向、主走査方向を示している。例えば主走査方向Yは左右方向である。副走査方向Xは、平面視において主走査方向Yと交差しており、ここでは直交している。副走査方向Xは、例えば前後方向である。ただし、これら方向は、説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではない。
【0012】
図2に示すように、プリンタ10は、被印刷物5にインクを吐出して、被印刷物5に対して印刷を行うものである。被印刷物5は、例えば記録紙であるが、その種類は特に限定されない。本実施形態では、プリンタ10は、インクジェット式のプリンタであるが、印刷の方式も特に限定されない。プリンタ10は、いわゆるフラットベッドタイプのプリンタであり、後述の支持台40が副走査方向Xに移動することで、被印刷物5も副走査方向Xに移動する。ただし、プリンタ10は、いわゆるロールtoロールタイプのプリンタであってもよく、ロール状の被印刷物5のみを副走査方向Xに移動させるようなものであってもよい。
【0013】
図1に示すように、プリンタ10は、ケース11と、カバー12とを備えている。ケース11は、直方体形状であり、内部空間を有している。当該内部空間において印刷が行われる。
図2に示すように、ケース11の前部には開口15が形成されている。カバー12は、開口15を開閉自在にケース11に支持されている。カバー12は、後端を軸に回転可能に構成されている。
図1に示すように、カバー12の前部および上部には、窓16が設けられている。窓16は、透明または半透明の部材、例えばアクリル板によって形成されている。ユーザは、窓16を通じてケース11の内部空間を視認することができる。
【0014】
次に、プリンタ10の内部構成について説明する。
図2に示すように、プリンタ10は、ガイドレール18と、キャリッジ20と、インクヘッド22と、光照射装置24とを備えている。
【0015】
ガイドレール18は、ケース11の内部空間においてケース11に固定されている。ガイドレール18は、主走査方向Yに延びている。キャリッジ20は、ガイドレール18に摺動自在に係合している。キャリッジ20は、ガイドレール18に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。
【0016】
インクヘッド22は、キャリッジ20に設けられている。インクヘッド22の数は特に限定されないが、ここでは3つである。インクヘッド22は、支持台40に支持された被印刷物5に向かってインクを吐出するものである。インクヘッド22は、支持台40よりも上方に配置されている。ここでは、
図3に示すように、インクヘッド22の底面は、インクを吐出する複数のノズル23が形成されたノズル面22aを有している。本実施形態では、インクヘッド22から吐出されるインクは、光(例えば紫外線や赤外線)が照射されると乾燥が促進される光硬化性インクであるが、当該インクの種類は特に限定されるものではない。
【0017】
図2に示すように、光照射装置24は、インクヘッド22から吐出されたインクに光(例えば紫外線や赤外線)を照射する装置であり、キャリッジ20に設けられている。本実施形態では、光照射装置24は、キャリッジ20の左右の両側に設けられているが、キャリッジ20の左右両側の何れか一方のみに設けられてもよい。光照射装置24は、支持台40に支持された被印刷物5に吐出されたインクに光を照射可能に構成されている。
【0018】
本実施形態では、
図3に示すように、プリンタ10は、インクタンク26と、インク流路30を備えている。
図3では、1つのインクヘッド22に接続されているインクタンク26およびインク流路30が図示されているが、実際には、インクタンク26およびインク流路30の数は、インクヘッド22の数と同じ、または、それ以上の数である。インクタンク26には、インクヘッド22から吐出されるインクが収容されている。インク流路30は、インクタンク26とインクヘッド22とを接続する。インク流路30は、インクタンク26からインクヘッド22へインクを供給するものである。インク流路30は、例えば可撓性を有するチューブによって構成されている。本実施形態では、インク流路30は、インクタンク26とインクヘッド22との間においてインクを循環させることが可能である。
【0019】
インク流路30は、順流路31と、還流路32とを有している。順流路31の一端は、インクタンク26に接続され、順流路31の他端は、インクヘッド22に接続されている。ここでは、順流路31の他端は、ダンパー33に接続されており、ダンパー33を介してインクヘッド22に間接的に接続されている。還流路32の一端は順流路31の一端部に接続され、還流路32の他端は順流路31の他端部に接続されている。本実施形態では、インク流路30は、還流路32の途中部分に設けられた循環ポンプ35を有している。この循環ポンプ35は、順流路31の他端部のインクを、還流路32を通じて順流路31の一端部に向かって流すポンプである。循環ポンプ35が駆動することで、順流路31と還流路32との間でインクが循環する。
【0020】
図2に示すように、プリンタ10は、支持台40と、台吸引機構42(
図5参照)とを備えている。支持台40は、被印刷物5を支持する。ここでは、支持台40に被印刷物5が載置されている。支持台40上で被印刷物5への印刷が行われる。支持台40の上面は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がっている。
【0021】
図5に示す台吸引機構42は、支持台40に支持された被印刷物5を吸引して被印刷物5を支持台40に密着させるものである。台吸引機構42は、例えば吸引ファン43と、吸引ファン43に接続された吸引モータ44とを有している。図示は省略するが、吸引ファン43は、支持台40の上面の下方に配置されている。また図示を省略するが、本実施形態では、支持台40の上面には、複数の吸引孔が形成されている。ここでは、吸引モータ44が駆動すると、吸引ファン43が駆動する。このとき、支持台40に支持された被印刷物5が吸引孔に吸い付けられることで、被印刷物5は支持台40に密着する。
【0022】
本実施形態では、
図5に示すように、プリンタ10は、支持台40に対してインクヘッド22を相対的に主走査方向Yに移動させる第1移動機構51と、インクヘッド22に対して支持台40に支持された被印刷物5を相対的に副走査方向Xに移動させる第2移動機構52とを備えている。第1移動機構51は、インクヘッド22およびキャリッジ20をガイドレール18に沿って主走査方向Yに移動させる。第2移動機構52は、支持台40を副走査方向Xに移動させることで、支持台40に支持された被印刷物5を副走査方向Xに移動させる。ここで、第2移動機構が移動機構の一例であり、副走査方向Xが所定の方向の一例である。また、プリンタ10は、支持台40を昇降させる昇降機構53を備えている。
【0023】
プリンタ10は、キャップユニット60(
図3参照)と、ワイパーユニット70(
図4参照)とを備えている。
図3に示すように、キャップユニット60は、キャップ61と、キャッピング機構62と、吸引ポンプ63とを備えている。キャップ61は、インクヘッド22の複数のノズル23を覆うように、ノズル面22aに装着可能に構成されている。キャッピング機構62は、キャップ61を昇降させて、インクヘッド22のノズル面22aに対してキャップ61を装着させたり、離間させたりする機構である。例えばキャッピング機構62は、キャップ61を上昇させることでインクヘッド22に装着させ、キャップ61を下降させることでインクヘッド22から離間させるように構成されている。
【0024】
吸引ポンプ63は、キャップ61に接続されている。吸引ポンプ63は、接続されたキャップ61内のインクや、キャップ61に装着されたインクヘッド22内のインクを吸引する。吸引ポンプ63は、チューブ64の途中部分に設けられている。チューブ64の一端はキャップ61に接続され、チューブ64の他端は廃液タンク65に接続されている。例えばキャップ61がインクヘッド22に装着された状態で吸引ポンプ63が駆動すると、ノズル23からインクが吸い出され、キャップ61に排出される。吸引ポンプ63に吸引されたインクなどは、チューブ64を介して廃液タンク65に排出される。
【0025】
図4に示すワイパーユニット70は、キャップユニット60の近傍に配置されており、インクヘッド22よりも下方に設けられている。ワイパーユニット70は、インクヘッド22のノズル面22aをワイピングする。ワイパーユニット70は、ワイパー71と、ワイピング機構72と、洗浄液が貯留される洗浄液槽73とを備えている。
【0026】
ワイパー71は、ノズル面22aをワイピングする部材である。ワイパー71は、前後および上下に延びる平板状の部材である。ワイパー71は、例えばゴムで形成されている。ワイピング機構72は、ワイパー71でノズル面22aをワイピングする機構である。ワイピング機構72は、回転軸75と、回転モータ76とを有する。回転軸75は、前後に延びており、ワイパー71の一端に接続されている。回転軸75には回転モータ76が接続されている。回転モータ76が駆動することで、ワイパー71は回転軸75を中心に回転可能である。ワイパー71が、回転軸75から遠い方の端部を上にするような回転位置に配置されるとき、当該端部は、ノズル面22aよりもわずかに高い位置に配置される。このような状態で、インクヘッド22を主走査方向Yに移動させることで、ワイパー71によってノズル面22aが拭われる。一方、ワイパー71が、回転軸75から遠い方の端部を下にするような回転位置に配置されるとき、回転軸75の下方に設置された洗浄液槽73内の洗浄液に浸漬される。
【0027】
図5に示すように、プリンタ10は、表示装置80と、制御装置90とを備えている。
図1に示すように、表示装置80は、ケース11に設けられているものである。表示装置80は、ケース11に対して着脱可能なものであってもよい。また、表示装置80は、ケース11に必ずしも設けられていなくてもよく、例えばスマートフォンやタブレット端末などの携帯型の端末によって実現されるものであってもよい。表示装置80は、表示画面81と、ユーザが操作する操作手段82とを有している。操作手段82は、例えば物理的な操作ボタンである。ただし、表示画面81がタッチパネル式の場合、操作手段82は、表示画面81に設けられたタッチパネルによって実現されてもよい。
【0028】
図2に示す制御装置90は、印刷に関する処理を行う。制御装置90の構成は特に限定されない。制御装置90は、例えばマイクロコンピュータである。制御装置90は、例えばI/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、を備えている。制御装置90は、ケース11の内部に設けられている。ただし、制御装置90は、ケース11の外部に設置されたコンピュータなどで実現されてもよい。この場合、制御装置90は、有線または無線を介してプリンタ10の制御基板(図示せず)と通信可能に接続されている。
【0029】
図5に示すように、制御装置90は、インクヘッド22、光照射装置24、インク流路30に設けられた循環ポンプ35、および、台吸引機構42(詳しくは、吸引ファン43に接続された吸引モータ44)に通信可能に接続されており、インクヘッド22、光照射装置24、循環ポンプ35および台吸引機構42を制御する。また、制御装置90は、第1移動機構51、第2移動機構52、昇降機構53、キャップユニット60(詳しくはキャッピング機構62および吸引ポンプ63)、および、ワイパーユニット70(詳しくはワイピング機構72の回転モータ76)、表示装置80(詳しくは表示画面81および操作手段82)に通信可能に接続されており、第1移動機構51、第2移動機構52、昇降機構53、キャップユニット60、ワイパーユニット70および表示装置80を制御する。
【0030】
ところで、制御装置90は、所定の複数の処理を実行可能に構成されている。複数の処理とは、プリンタ10の印刷に関する処理のことである。複数の処理には、例えば印刷前に実行される処理、または、印刷後に実行される処理が含まれる。複数の処理における具体的な処理は特に限定されるものではない。制御装置90が実行可能な処理には、
図9に示すように、例えば電源オン処理P1、インク循環処理P2、クリーニング処理P3、セットアップ処理P4、アンセットアップ処理P5、台吸引オン処理P6、台吸引オフ処理P7、リフトオート処理P8、テスト印刷処理P9などが少なくとも含まれる。
【0031】
電源オン処理P1は、プリンタ10の電源をオンするための処理である。図示は省略するが、プリンタ10には、電源ボタンが設けられており、ユーザが電源ボタンを押すことで、プリンタ10の電源がオンになる。このように電源ボタンが押されたときと同じ処理を、電源オン処理P1という。電源オン処理P1は、プリンタ10を起動させて、印刷可能な状態にし、かつ、印刷に関する設定が可能な状態にする処理のことをいう。例えば電源オン処理P1が実行されることで、表示装置80の表示画面81に、後述のトップ画面DP1(
図7参照)が表示される。インク循環処理P2は、
図3に示すように、インクタンクと26とインクヘッド22とに接続されたインク流路30において、循環ポンプ35を駆動して順流路31と還流路32の間でインクを循環させる処理である。
【0032】
クリーニング処理P3は、インクヘッド22をクリーニングする処理のことであり、キャップユニット60(
図3参照)およびワイパーユニット70(
図4参照)を使用して行われる。クリーニング処理P3は、例えば主吸引処理、空吸引処理およびワイピング処理から構成されている。主吸引処理では、
図3に示すように、キャップ61をインクヘッド22に装着した状態で吸引ポンプ63を駆動させて、インクヘッド22内のインクをキャップ61内に排出する。主吸引処理の後に行われる空吸引処理では、キャップ61をインクヘッド22から離間させた状態で吸引ポンプ63を駆動させて、キャップ61内のインクを吸引する。空吸引処理の後に行われるワイピング処理では、
図4に示すように、ワイパー71によってインクヘッド22のノズル面22aをワイピングする。なお、本実施形態では、
図9に示すように、クリーニング処理P3は、クリーニング処理P3に要する時間、または、吸引ポンプ63の吸引力に応じて、通常クリーニング処理P3a、中クリーニング処理P3bおよび強クリーニング処理P3cに区分けされる。通常クリーニング処理P3a、中クリーニング処理P3b、強クリーニング処理P3cの順で、クリーニングに要する時間が長くなる、または、吸引ポンプ63の吸引力が強い状態になる。
【0033】
セットアップ処理P4は、支持台40に支持された被印刷物5を印刷開始位置(図示せず)に移動させてセットするように、被印刷物5を副走査方向Xに移動させる第2移動機構52を制御する処理である。上記印刷開始位置とは、被印刷物5がインクヘッド22やガイドレール18と上下で重なるような位置、すなわちガイドレール18の真下の位置に配置されるような位置である。アンセットアップ処理P5は、支持台40に支持された被印刷物5を非印刷開始位置(図示せず)に移動させてセットするように、第2移動機構52を制御する処理である。上記非印刷開始位置とは、上記印刷開始位置とは異なる位置であり、ユーザが被印刷物5を支持台40から取り外す位置である。上記非印刷開始位置は、例えばガイドレール18よりもケース11の開口15(
図2参照)側(ここでは前側)に支持台40が突出しているような位置である。
【0034】
台吸引オン処理P6は、
図5に示す台吸引機構42を起動(詳しくは吸引モータ44を駆動)させて、支持台40に支持された被印刷物5を吸引し、支持台40に密着させる処理である。台吸引オフ処理P7は、台吸引機構42を停止(詳しくは吸引モータ44を停止)させて、支持台40に支持された被印刷物5の吸引を停止する処理である。台吸引オフ処理P7によって、被印刷物5は、支持台40に単に載せられた状態になる。
【0035】
リフトオート処理P8は、インクヘッド22のノズル面22aと、支持台40に支持された被印刷物5との上下の間隔が、所定の印刷間隔になるように昇降機構53(
図5参照)を制御する処理である。所定の印刷間隔は、印刷の品質を維持できる間隔である。テスト印刷処理P9は、インクヘッド22のノズル23の状態をユーザが確認するための所定のテストパターンを印刷する処理である。ここで、ノズル23の状態とは、ノズル抜けやヨレなどのノズル23の異常が発生しているかの状態のことである。テストパターンとは、例えば1つのインクヘッド22における複数のノズル23から同時にインクを吐出させることで得られる線状のパターンである。テスト印刷処理P9では、各インクヘッド22の複数のノズル23から所定のタイミングで同時にインクを吐出させて得られるテストパターンを、支持台40に支持された被印刷物5に印刷する。ユーザは、被印刷物5に印刷されたテストパターンを目視することで、ノズル23の状態を確認することができる。例えば線状のテストパターンが一部途切れていることで、ノズル抜けが発生していることを確認することができる。
【0036】
本実施形態では、制御装置90が実行可能な複数の処理(例えば上記の処理P1~P9)のうちの一部の処理を連続かつ自動で実行することを制御装置90が行う。以下、複数の処理P1~P9のうちの一部の処理を連続で実行する処理の群のことをスクリプトS10(
図6参照)という。そして、スクリプトS10に含まれる処理のことを選択処理P10(
図6参照)という。
【0037】
本実施形態では、スクリプトS10に関する制御を行うために、
図5に示すように、制御装置90は、記憶部91と、スクリプト作成部93と、日時設定部95と、表示部97と、実行部99とを備えている。制御装置90の各部91~99は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。例えば制御装置90の各部91~99は、1つまたは複数のプロセッサによって行われるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。本実施形態では、制御装置90の各部91~99は、ケース11の内部に設けられた制御基板などによって実現されている。ただし、制御装置90の各部91~99の一部または全部は、ケース11の外部に設置されたコンピュータによって実現されてもよい。なお、スクリプト作成部93と、日時設定部95と、表示部97と、実行部99との具体的な制御などは後述する。
【0038】
本実施形態では、
図5の表示部97は、
図7に示すように、表示装置80の表示画面81にトップ画面DP1を表示する。トップ画面DP1は、例えばプリンタ10の起動時や印刷終了後に表示画面81に表示される画面であり、メインとなる画面である。トップ画面DP1からプリンタ10に関する設定の画面などに遷移され得る。
図7に示すように、トップ画面DP1には、第1~第4実行ボタンBT11~BT14が配置されている。第1~第4実行ボタンBT11~BT14は、操作手段82を介してユーザによって押されることで、所定の処理を単独で実行するためのボタンである。例えば第1実行ボタンBT11を押すことで、支持台40に支持された被印刷物5の位置に応じて、制御装置90は、セットアップ処理P4またはアンセットアップ処理P5を実行する。第2実行ボタンBT12を押すことで、台吸引機構42の起動または停止の状態に応じて、制御装置90は、台吸引オン処理P6または台吸引オフ処理P7を実行する。第3実行ボタンBT13を押すことで、制御装置90はテスト印刷処理P9を実行する。第4実行ボタンBT14を押すことで、制御装置90はクリーニング処理P3を実行する。また、トップ画面DP1には、設定ボタンBT15が配置されており、ユーザが操作手段82を介して設定ボタンBT15を押すことで、印刷の各種の設定をするための設定画面(図示せず)が表示画面81に表示される。
【0039】
本実施形態では、
図6に示すように、スクリプトS10に含まれる複数の選択処理P10は、ユーザによって選択される。
図5のスクリプト作成部93は、制御装置90が実行可能な複数の処理P1~P9(
図9参照)のうち、ユーザによって選択された選択処理P10を、ユーザによって指定された所定の順番A10で実行するスクリプトS10を作成する。スクリプト作成部93は、複数のスクリプトS10を作成することができる。作成可能なスクリプトS10の数は特に限定されないが、ここでは、
図6に示すように、4つのスクリプトS11~S14を作成することが可能である。スクリプトS10は、第1スクリプトS11と、第2スクリプトS12と、第3スクリプトS13と、第4スクリプトS14とを有している。
図5の実行部99は、第1~第4スクリプトS11~S14の何れかを実行可能に構成されている。
【0040】
ここで、第1スクリプトS11は、制御装置90が実行可能な複数の処理P1~P9(
図9参照)のうち、ユーザによって選択された複数の第1選択処理P11を、ユーザによって指定された所定の第1の順番A11で実行する。第2スクリプトS12は、上記複数の処理P1~P9のうち、ユーザによって選択された複数の第2選択処理P12を、ユーザによって指定された所定の第2の順番A12で実行する。第3スクリプトS13は、上記複数の処理P1~P9のうち、ユーザによって選択された複数の第3選択処理P13を、ユーザによって指定された所定の第3の順番A13で実行する。第4スクリプトS14は、上記複数の処理P1~P9のうち、ユーザによって選択された複数の第4選択処理P14を、ユーザによって指定された所定の第4の順番A14で実行する。なお、各第1選択処理P11、各第2選択処理P12、各第3選択処理P13、および、各第4選択処理P14には、
図9に示す処理P1~P9の何れかがユーザによって選択される。複数の選択処理P10のそれぞれには、異なる処理が入り得る。第1~第4スクリプトS11~S14に関する情報(例えば第1~第4選択処理P11~P14の具体的な処理内容など)は、ユーザによって選択された後に
図5の記憶部91に記憶される。
【0041】
本実施形態では、
図7に示すように、トップ画面DP1には、スクリプトボタンBT20が配置されている。スクリプトボタンBT20には、第1スクリプトボタンBT21と、第2スクリプトボタンBT22と、第3スクリプトボタンBT23と、第4スクリプトボタンBT24が含まれている。第1~第4スクリプトボタンBT21~BT24が操作手段82を介してユーザによって押されたとき、
図5の実行部99は、それぞれ第1~第4スクリプトS11~S14を実行する。
【0042】
なお、上述のように、
図6に示すように、第1~第4スクリプトS11~S14に含まれる複数の選択処理P10(詳しくは、第1~第4選択処理P11~P14)は、それぞれユーザによって選択されることができる。本実施形態では、
図7に示すように、トップ画面DP1には、スクリプト作成ボタンBT25が配置されている。ユーザは操作手段82を介してスクリプト作成ボタンBT25を押すことで、
図5の表示部97は、
図8に示すように、表示画面81に選択画面DP2を表示する。
【0043】
選択画面DP2は、スクリプトS10に含まれる複数の選択処理P10を選択する画面である。ここでは、選択画面DP2には、第1スクリプト選択ボタンBT31、第2スクリプト選択ボタンBT32、第3スクリプト選択ボタンBT33、および、第4スクリプト選択ボタンBT34が配置されている。ユーザは、第1~第4スクリプト選択ボタンBT31~BT34を、操作手段82を介して押すことで、それぞれ第1~第4スクリプトS11~S14に含まれる第1~第4選択処理P11~P14を選択することができる。
【0044】
本実施形態では、
図8に示すように、選択画面DP2には、選択領域AR30が配置されている。第1~第4スクリプト選択ボタンBT31~BT34の何れかのボタンが押されたとき、押されたボタンBT31~BT34に対応した第1~第4スクリプトS11~S14に含まれる選択処理P10を選択領域AR30で選択することができる。本実施形態では、選択領域AR30は、第1~第8選択領域AR31~AR38を有する。第1~第8選択領域AR31~AR38で選択された処理が、スクリプトS10に含まれる選択処理P10になる。例えば第1スクリプト選択ボタンBT31をユーザが押したとき、第1~第8選択領域AR31~AR38で選択された処理が第1選択処理P11になる。ここでは、スクリプトS10は、第1~第8選択領域AR31~AR38でそれぞれ選択された選択処理P10の順番で、複数の選択処理P10を順に実行するように構成される。
【0045】
なお、本実施形態では、ユーザが第1~第8選択領域AR31~AR38の何れかを選択する(例えば操作手段82を介して押す)と、
図5の表示部97は、
図9に示す選択候補画面DP3を表示画面81に表示する。選択候補画面DP3は、
図8の第1~第8選択領域AR31~AR38のうち、ユーザが選択した選択領域で選択される選択処理P10を決定するための画面である。選択候補画面DP3には、選択処理P10の候補になり得る処理に対応したボタンが配置されている。詳しくは、
図9に示すように、選択候補画面DP3には、電源オン処理P1を選択処理P10に決定する第1決定ボタンBT41と、インク循環処理P2を選択処理P10に決定する第2決定ボタンBT42とが配置されている。また、選択候補画面DP3には、通常クリーニング処理P3aを選択処理P10に決定する第3決定ボタンBT43と、中クリーニング処理P3bを選択処理P10に決定する第4決定ボタンBT44と、強クリーニング処理P3cを選択処理P10に決定する第5決定ボタンBT45とが配置されている。さらに、選択候補画面DP3には、セットアップ処理P4を選択処理P10に決定する第6決定ボタンBT46と、アンセットアップ処理P5を選択処理P10に決定する第7決定ボタンBT47と、台吸引オン処理P6を選択処理P10に決定する第8決定ボタンBT48と、台吸引オフ処理P7を選択処理P10に決定する第9決定ボタンBT49とが配置されている。さらに、選択候補画面DP3には、リフトオート処理P8を選択処理P10に決定する第10決定ボタンBT50と、テスト印刷処理P9を選択処理P10に決定する第11決定ボタンBT51が配置されている。
【0046】
ユーザは、決定ボタンBT41~BT51のうちの何れかを選択する、言い換えると押す。このとき、選択された決定ボタンBT41~BT51に対応した処理が、選択処理P10に決定される。例えば
図8の選択画面DP2において、第5選択領域AR35を選択して、
図9の選択候補画面DP3を表示画面81に表示したときに、第11決定ボタンBT51を選択した場合、
図11に示すように、選択画面DP2の第5選択領域AR35には、テスト印刷処理P9が示される。このようにして、
図8の第1~第8選択領域AR31~AR38において選択処理P10を選択する。なお、第1~第8選択領域AR31~AR38の全ての領域に対して選択処理P10を選択する必要はなく、第1~第8選択領域AR31~AR38の何れかを空欄にすることも可能である。この場合、第1~第8選択領域AR31~AR38のうち選択処理P10が選択された選択領域の選択処理P10に基づいてスクリプトS10が作成される。
【0047】
本実施形態では、
図8に示すように、選択画面DP2には、クリアボタンBT36および作成ボタンBT37が配置されている。ユーザが操作手段82を介してクリアボタンBT36を押すことで、選択領域AR30の第1~第8選択領域AR31~AR38に選択されていた選択処理P10がクリアされる。ユーザが操作手段82を介して作成ボタンBT37を押すことで、
図5のスクリプト作成部93は、選択領域AR30で選択された複数の選択処理P10を実行するスクリプトS10を作成する。ここでは、スクリプト作成部93は、第1~第4スクリプト選択ボタンBT31~BT34のうちユーザによって押されたボタンに対応した第1~第4スクリプトS11~S14の何れかのスクリプトS10を作成する。なお、本実施形態では、第1~第8選択領域AR31~AR38の順番で、選択処理P10が実行される。そのため、第1~第8選択領域AR31~AR38の順番が、ユーザによって指定された所定の順番A10(
図6参照)になる。
【0048】
なお、
図8において、第1~第4スクリプトS11~S14が既に作成されている状態で第1~第4スクリプト選択ボタンBT31~BT34が選択されたとき、選択領域AR30には、選択された第1~第4スクリプト選択ボタンBT31~BT34に対応した第1~第4スクリプトS11~S14に含まれる第1~第4選択処理P11~P14が表示される。
【0049】
本実施形態では、スクリプトS10を制御装置90が自動で実行する日時を設定することが可能である。ここでは、
図5の日時設定部95は、スクリプト作成部93によって作成されたスクリプトS10を実行する日時を、ユーザによって指定された所定の実行日時に設定するように構成されている。この実行日時は、
図10に示す日時設定画面DP4で設定される。本実施形態では、
図8に示すように、選択画面DP2には、日時設定ボタンBT38が配置されている。ユーザが操作手段82を介して日時設定ボタンBT38を押すことで、
図5の表示部97は、日時設定画面DP4を表示画面81に表示する。
【0050】
ここでは、スクリプトS10を実行する実行日時として、所定の1つまたは複数の曜日を設定可能に構成されている。
図10に示すように、日時設定画面DP4には、時間領域AR60と、曜日チェックボックスC60が配置されている。時間領域AR60は、例えばテキストボックスによって構成されており、ユーザがスクリプトS10を実行する時間を入力する。曜日チェックボックスC60は、時間領域AR60で設定した時間でスクリプトS10を実行する曜日を指定する。ここでは、曜日チェックボックスC60には、月曜日、火曜日、水曜日、木曜日、金曜日、土曜日、日曜日に対応したチェックボックスが設けられており、ユーザがスクリプトS10を実行したい曜日に対応したチェックボックスにチェックを入れる。
【0051】
図10の一例では、時間領域AR60において8:30が入力され、曜日チェックボックスC60において月曜日、水曜日、金曜日に対応したチェックボックスにチェックが入れられている。そのため、月曜日、水曜日、金曜日の8:30に、スクリプトS10を自動で実行する。本実施形態では、日時設定画面DP4には、決定ボタンBT60が配置されている。ユーザが決定ボタンBT60を押すことで、曜日チェックボックスC60にチェックが入れられた曜日、および、時間領域AR60で指定した時間がスクリプトS10(詳しくは、
図8において、日時設定ボタンBT38が押されたときに選択されていた第1~第4スクリプトS11~S14の何れか)の実行日時に設定される。設定された実行日時は、
図5の記憶部91に記憶される。なお、実行日時は、全ての第1~第4スクリプトS11~S14に対して設定しなくてもよく、必要に応じて設定することができる。
【0052】
図11は、第1スクリプトS11に含まれる複数の第1選択処理P11が選択領域AR30に表示された選択画面DP2を示す図である。本実施形態では、
図11の一例において、第1スクリプトS11では、電源オン処理P1、インク循環処理P2、中クリーニング処理P3b、セットアップ処理P4、テスト印刷処理P9が第1選択処理P11として設定されており、第1~第8選択領域AR31~AR38の順番で実行するように設定されている。ここでは、第1選択処理P11の数は5つである。第1スクリプトS11は、所定の曜日の朝、印刷前のプリンタ10の準備動作として実行されるスクリプトである。例えばユーザが
図7の第1スクリプトボタンBT21を、操作手段82を介して押したとき、または、第1スクリプトS11に実行日時が設定されている場合には設定された実行日時になったとき、
図5の実行部99は、第1スクリプトS11に含まれる複数の第1選択処理P11を、電源オン処理P1、インク循環処理P2、中クリーニング処理P3b、セットアップ処理P4、テスト印刷処理P9という所定の第1の順番A11で、連続的に自動で実行する。
【0053】
図12は、第2スクリプトS12に含まれる複数の第2選択処理P12が選択領域AR30に表示された選択画面DP2を示す図である。本実施形態では、
図12の一例において、第2スクリプトS12では、台吸引オン処理P6、セットアップ処理P4、リフトオート処理P8が第2選択処理P12として選択されており、第1~第8選択領域AR31~AR38の順番で実行するように設定されている。ここでは、第2選択処理P12の数は3つである。第2スクリプトS12は、印刷直前に実行される複数の処理を一連化したスクリプトである。例えばユーザが
図7の第2スクリプトボタンBT22を、操作手段82を介して押したとき、または、第2スクリプトS12に実行日時が設定されている場合には設定された実行日時になったとき、
図5の実行部99は、第2スクリプトS12に含まれる複数の第2選択処理P12を、台吸引オン処理P6、セットアップ処理P4、リフトオート処理P8という所定の第2の順番A12で、連続的に自動で実行する。
【0054】
以上、本実施形態では、
図5に示すように、プリンタ10は、表示画面81と操作手段82とを有する表示装置80と、所定の複数の処理P1~P9(
図9参照)を実行可能な制御装置90と、を備えている。制御装置90は、スクリプト作成部93と、表示部97と、実行部99とを備えている。スクリプト作成部93は、
図6に示すように、複数の処理P1~P9(
図9参照)のうち、ユーザによって選択された複数の選択処理P10を、ユーザによって指定された所定の順番A10で実行するスクリプトS10を作成する。表示部97は、スクリプト作成部93によって作成されたスクリプトS10を実行するスクリプトボタンBT20(
図7参照)を表示画面81に表示する。実行部99は、
図7に示すように、表示画面81に表示されたスクリプトボタンBT20が操作手段82を介してユーザによって押されたとき、対応したスクリプトS10の複数の選択処理P10を所定の順番A10で連続的に実行する。
【0055】
本実施形態では、ユーザが制御装置90に連続的に実行させたい複数の選択処理P10を実行するためのスクリプトS10を作成することができる。そのため、ユーザがスクリプトボタンBT20を押すという操作を1回行うのみで、スクリプトS10に含まれる複数の選択処理P10を連続的に自動で実行することができる。よって、本実施形態では、複数の選択処理P10のそれぞれを実行する毎に、操作手段82を操作する必要がないため、複数の選択処理P10を連続的に実行する際に要するユーザの作業時間を短くすることができる。
【0056】
例えばユーザ毎に、スクリプトS10に含ませる選択処理P10の具体的な処理や、処理の順番が異なることがあり得る。本実施形態では、スクリプトS10に含まれる選択処理P10は、ユーザによって選択される。よって、ユーザの希望に応じたスクリプトS10を容易に作成することができる。
【0057】
本実施形態では、
図6に示すように、スクリプトS10は、第1スクリプトS11と、第2スクリプトS12と、第3スクリプトS13と、第4スクリプトS14とを有しており、複数のスクリプトを作成することができる。
図7に示すように、スクリプトボタンBT20は、第1スクリプトS11を実行する第1スクリプトボタンBT21と、第2スクリプトS12を実行する第2スクリプトボタンBT22と、第3スクリプトS13を実行する第3スクリプトボタンBT23と、第4スクリプトS14を実行する第4スクリプトボタンBT24とを有している。ユーザによっては、連続的に実行したい複数の処理の群が複数存在することがあり得る。この場合、上記の群毎にスクリプトS10を作成することで、連続的に実行したい複数の処理の群が複数存在しても、各群に要するユーザの作業時間を短くすることができる。
【0058】
本実施形態では、
図5の表示部97は、
図7に示すように、プリンタ10の起動時に表示画面81に表示されるトップ画面DP1にスクリプトボタンBT20を配置して表示する。トップ画面DP1は、表示画面81に表示される頻度が高い画面であり、ユーザにとって操作する頻度が高い画面である。このように、これらの頻度が高いトップ画面DP1にスクリプトボタンBT20を配置することで、ユーザは、スクリプトボタンBT20にアクセスし易く、スクリプトS10を素早く実行させ易い。
【0059】
本実施形態では、制御装置90は、スクリプト作成部93によって作成されたスクリプトS10を実行する日時を、ユーザによって指定された所定の実行日時に設定する日時設定部95(
図5参照)を備えている。実行部99は、日時設定部95によって設定された実行日時にスクリプトS10を実行する。スクリプトS10によっては、予め決められた日時に実行することがあり得る。このように、実行する日時が予め決まっているスクリプトS10に対して、実行日時を設定することで、ユーザがスクリプトボタンBT20を押すことなく、スクリプトS10に含まれる複数の選択処理P10を実行日時に自動で順に実行することができる。よって、ユーザの作業時間を更に短くすることができる。また、ユーザがスクリプトボタンBT20を押し忘れて、スクリプトS10が実行されないことを防止することができる。
【0060】
本実施形態では、日時設定部95は、実行日時として、
図10に示すように、所定の1つまたは複数の曜日を設定可能に構成されている。スクリプトS10によっては、予め決まった曜日に実行することがあり得る。このように、決まった曜日に実行することが予め決まっているスクリプトS10に対して、実行する1つまたは複数の曜日を実行日時として設定することで、ユーザがスクリプトボタンBT20を押すことなく、設定された曜日に、スクリプトS10を自動で実行することができる。
【0061】
本実施形態では、表示部97は、
図8に示すように、スクリプトS10で実行される複数の選択処理P10をユーザが選択する選択領域AR30、および、作成ボタンBT37が配置された選択画面DP2を表示画面81に表示する。スクリプト作成部93は、作成ボタンBT37が操作手段82を介してユーザによって押されたとき、選択領域AR30に指定された複数の選択処理P10を実行するスクリプトS10を作成する。このことによって、ユーザは、表示画面81に表示された選択画面DP2の選択領域AR30に、スクリプトS10で実行したい選択処理P10を選択するという簡単な手順で、選択処理P10を容易に選択することができる。
【符号の説明】
【0062】
10 プリンタ
22 インクヘッド
40 支持台
80 表示装置
81 表示画面
82 操作手段
90 制御装置
93 スクリプト作成部
95 日時設定部
97 表示部
99 実行部
A10 所定の順番
BT20 スクリプトボタン
P1~P9 処理
P10 選択処理
S10 スクリプト