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特許7607249管理装置、物品受渡システム、収納システム及び管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】管理装置、物品受渡システム、収納システム及び管理方法
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/12 20060101AFI20241220BHJP
   A47G 29/30 20060101ALI20241220BHJP
   F25D 13/02 20060101ALI20241220BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20241220BHJP
   G06Q 10/08 20240101ALI20241220BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
A47G29/12 D
A47G29/30
F25D13/02
F25D23/00 302M
G06Q10/08
B65G61/00 550
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022003929
(22)【出願日】2022-01-13
(65)【公開番号】P2023103078
(43)【公開日】2023-07-26
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥長 宏章
(72)【発明者】
【氏名】結城 智晴
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘之
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-064456(JP,A)
【文献】特開平07-124400(JP,A)
【文献】特開2014-035120(JP,A)
【文献】特開2006-209341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/12
A47G 29/30
F25D 13/02
F25D 23/00
G06Q 10/08
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納庫を各々有する複数の収納ユニットを含む収納システムを管理する管理装置であって、
各々の前記収納ユニットに対して互いに異なる清浄割当時間帯を設定する設定部と、
前記清浄割当時間帯では前記収納ユニットの利用を禁止する一方で、他の前記収納ユニットの利用を許可する利用管理部と、を備える、
管理装置。
【請求項2】
前記収納システムに入庫される物品の受取予定時刻を表す情報を受け付ける受付部を更に備え、
前記利用管理部は、
前記受取予定時刻に利用が許可されている収納ユニットの収納庫を、前記物品の受渡用の収納庫として選択して提示する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記利用管理部は、
前記受渡用の収納庫に前記物品が入庫される入庫予定時刻が、当該受渡用の収納庫を含む収納ユニットの清浄割当時間帯外となるように、前記入庫予定時刻を設定して提示する、
請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記収納庫の利用状況に関する利用状況情報をデータベースに記憶させる記憶制御部を更に備え、
前記受付部は、
前記受取予定時刻を表す情報と共に前記物品の受取者を表す情報を受け付けた後、前記物品が受け取られた受取完了時刻及び前記物品の受渡用の収納庫を表す情報を更に受け付け、
前記記憶制御部は、
前記受取者、前記受渡用の収納庫、前記受取予定時刻及び前記受取完了時刻を表す情報を関連付けて、前記利用状況情報として前記データベースに記憶させ、
前記利用管理部は、
前記収納システムに新たに入庫される物品の受渡用の収納庫を選択する場合、
前記利用状況情報により表される当該物品の受取者の過去における受取予定時刻と受取完了時刻との差に基づいて、当該物品の受取予定時刻を修正し、
当該修正された受取予定時刻に基づいて、当該物品の受渡用の収納庫を選択する、
請求項2又は3に記載の管理装置。
【請求項5】
複数の収納庫を各々有する複数の収納ユニットを含む収納システムを管理する管理装置であって、
前記収納システムに入庫される物品の受取予定時刻を表す情報を受け付ける受付部と、
所定の前記収納庫を前記物品の受渡用の収納庫として選択する利用管理部と、
各々の前記収納ユニットに対して互いに異なる清浄割当時間帯を設定する設定部と、を備え、
前記利用管理部は、
前記受取予定時刻が早い順に、1つの前記収納ユニットから前記受渡用の収納庫を選択し、当該1つの前記収納ユニットの全ての収納庫が前記受渡用の収納庫として選択されたら、前記受取予定時刻が早い順に、別の収納ユニットから前記受渡用の収納庫を選択し、
前記設定部は、
前記収納ユニットが有する全ての収納庫から前記物品が出庫された後の時間を前記清浄割当時間帯として設定する、
管理装置。
【請求項6】
前記収納システムは、
前記収納ユニット毎に清浄処理を行う清浄装置を更に含み、
前記管理装置は、
前記清浄割当時間帯内に前記収納ユニットの清浄処理を行うように、前記清浄装置に指令する清浄管理部を更に備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の管理装置。
【請求項7】
前記収納システムは、
前記収納ユニット毎に清浄処理を行う清浄装置を更に含み、
前記管理装置は、
前記清浄割当時間帯内に前記収納ユニットの清浄処理を行うように、前記清浄装置に指令する清浄管理部を更に備え、
前記利用管理部は、
前記物品の受渡用の収納庫を選択する場合、前記受取予定時刻に利用が許可されている収納ユニットの収納庫のうち、清浄処理後に利用されていない収納庫を優先的に選択する、
請求項2から4のいずれか一項に記載の管理装置。
【請求項8】
前記清浄管理部は、
前記清浄処理中の前記収納ユニットの利用を許可する場合、当該利用が許可された収納ユニットの清浄処理の中断を前記清浄装置に指令する、
請求項7に記載の管理装置。
【請求項9】
収納庫を各々有する複数の収納ユニットを含む収納システムと、
前記収納システムを管理する管理装置と、を備え、
前記管理装置は、
各々の前記収納ユニットに対して互いに異なる清浄割当時間帯を設定する設定部と、
前記清浄割当時間帯では前記収納ユニットの利用を禁止する一方で、他の前記収納ユニットの利用を許可する利用管理部と、を備える、
物品受渡システム。
【請求項10】
複数の収納庫を各々有する複数の収納ユニットを含む収納システムと、
前記収納システムを管理する管理装置と、を備え、
前記管理装置は、
前記収納システムに入庫される物品の受取予定時刻を表す情報を受け付ける受付部と、
所定の前記収納庫を前記物品の受渡用の収納庫として選択する利用管理部と、
各々の前記収納ユニットに対して互いに異なる清浄割当時間帯を設定する設定部と、を備え、
前記利用管理部は、
前記受取予定時刻が早い順に、1つの前記収納ユニットから前記受渡用の収納庫を選択し、当該1つの前記収納ユニットの全ての収納庫が前記受渡用の収納庫として選択されたら、前記受取予定時刻が早い順に、別の収納ユニットから前記受渡用の収納庫を選択し、
前記設定部は、
前記収納ユニットが有する全ての収納庫から前記物品が出庫された後の時間を前記清浄割当時間帯として設定する、
物品受渡システム。
【請求項11】
前記収納システムは、
前記収納ユニット毎に清浄処理を行う清浄装置を更に含み、
前記管理装置は、
前記清浄割当時間帯内に前記収納ユニットの清浄処理を行うように、前記清浄装置に指令する清浄管理部を更に備える、
請求項9又は10に記載の物品受渡システム。
【請求項12】
収納庫を各々有する複数の収納ユニットと、
前記収納ユニット毎に清浄処理を行う清浄装置と、を含み、
前記清浄装置は、外部からの指令に基づいて、各々の前記収納ユニットに対して互いに異なるように設定された清浄割当時間帯内に前記清浄処理を行う、
収納システム。
【請求項13】
収納庫を各々有する複数の収納ユニットを含む収納システムを管理する管理装置が行う管理方法であって、
前記管理装置は、
各々の前記収納ユニットに対して互いに異なる清浄割当時間帯を設定し、
前記清浄割当時間帯中は前記収納ユニットの利用を禁止する一方で、他の前記収納ユニットの利用を許可する、
管理方法。
【請求項14】
複数の収納庫を各々有する複数の収納ユニットを含む収納システムを管理する管理装置が行う管理方法であって、
前記管理装置は、
前記収納システムに入庫される物品の受取予定時刻を表す情報を受け付け、
所定の前記収納庫を前記物品の受渡用の収納庫として選択し、
各々の前記収納ユニットに対して互いに異なる清浄割当時間帯を設定し、
前記受渡用の収納庫を選択する際に、前記受取予定時刻が早い順に、1つの前記収納ユニットから前記受渡用の収納庫を選択し、当該1つの前記収納ユニットの全ての収納庫が前記受渡用の収納庫として選択されたら、前記受取予定時刻が早い順に、別の収納ユニットから前記受渡用の収納庫を選択し、
前記清浄割当時間帯を設定する際に、前記収納ユニットが有する全ての収納庫から前記物品が出庫された後の時間を前記清浄割当時間帯として設定する、
管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理装置、物品受渡システム、収納システム及び管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の受け渡しに用いられる物品収受装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の物品収受装置は、複数のボックス列を備える。各ボックス列は、それぞれ複数の物品収受ボックスにより構成されている。更に、物品収受装置は、物品収受ボックス内に消臭又は殺菌等のために用いられる気体を流通させることにより、当該物品収受ボックス内を所定状態にする気体発生装置を備える。気体発生装置は、ボックス列を構成する複数の物品収受ボックスのうち、少なくとも1つの物品収受ボックスに物品が入っている場合、当該ボックス列の全ての物品収受ボックス内に気体を流通させる。一方、気体発生装置は、ボックス列を構成する全ての物品収受ボックスに物品が入っていない場合、当該全ての物品収受ボックス内への気体の流通を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-64456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、物品の品質を低下させることなく収納庫内を適切に清浄にすることができ、且つ、任意のタイミングで物品の受け渡しを行うことができる管理装置、物品受渡システム、収納システム及び管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の管理装置は、収納庫を各々有する複数の収納ユニットを含む収納システムを管理する管理装置であって、各々の前記収納ユニットに対して互いに異なる清浄割当時間帯を設定する設定部と、前記清浄割当時間帯では前記収納ユニットの利用を禁止する一方で、他の前記収納ユニットの利用を許可する利用管理部と、を備える。
【0006】
本開示の管理装置は、複数の収納庫を各々有する複数の収納ユニットを含む収納システムを管理する管理装置であって、前記収納システムに入庫される物品の受取予定時刻を表す情報を受け付ける受付部と、所定の前記収納庫を前記物品の受渡用の収納庫として選択する利用管理部と、各々の前記収納ユニットに対して互いに異なる清浄割当時間帯を設定する設定部と、を備え、前記利用管理部は、前記受取予定時刻が早い順に、1つの前記収納ユニットから前記受渡用の収納庫を選択し、当該1つの前記収納ユニットの全ての収納庫が前記受渡用の収納庫として選択されたら、前記受取予定時刻が早い順に、別の収納ユニットから前記受渡用の収納庫を選択し、前記設定部は、前記収納ユニットが有する全ての収納庫から前記物品が出庫された後の時間を前記清浄割当時間帯として設定する。
【0007】
本開示の物品受渡システムは、収納庫を各々有する複数の収納ユニットを含む収納システムと、前記収納システムを管理する管理装置と、を備え、前記管理装置は、各々の前記収納ユニットに対して互いに異なる清浄割当時間帯を設定する設定部と、前記清浄割当時間帯では前記収納ユニットの利用を禁止する一方で、他の前記収納ユニットの利用を許可する利用管理部と、を備える。
【0008】
本開示の物品受渡システムは、複数の収納庫を各々有する複数の収納ユニットを含む収納システムと、前記収納システムを管理する管理装置と、を備え、前記管理装置は、前記収納システムに入庫される物品の受取予定時刻を表す情報を受け付ける受付部と、所定の前記収納庫を前記物品の受渡用の収納庫として選択する利用管理部と、各々の前記収納ユニットに対して互いに異なる清浄割当時間帯を設定する設定部と、を備え、前記利用管理部は、前記受取予定時刻が早い順に、1つの前記収納ユニットから前記受渡用の収納庫を選択し、当該1つの前記収納ユニットの全ての収納庫が前記受渡用の収納庫として選択されたら、前記受取予定時刻が早い順に、別の収納ユニットから前記受渡用の収納庫を選択し、前記設定部は、前記収納ユニットが有する全ての収納庫から前記物品が出庫された後の時間を前記清浄割当時間帯として設定する。
【0009】
本開示の収納システムは、収納庫を各々有する複数の収納ユニットと、前記収納ユニット毎に清浄処理を行う清浄装置と、を含み、前記清浄装置は、外部からの指令に基づいて、各々の前記収納ユニットに対して互いに異なるように設定された清浄割当時間帯内に前記清浄処理を行う。
【0010】
本開示の管理方法は、収納庫を各々有する複数の収納ユニットを含む収納システムを管理する管理装置が行う管理方法であって、前記管理装置は、各々の前記収納ユニットに対して互いに異なる清浄割当時間帯を設定し、前記清浄割当時間帯中は前記収納ユニットの利用を禁止する一方で、他の前記収納ユニットの利用を許可する。
【0011】
本開示の管理方法は、複数の収納庫を各々有する複数の収納ユニットを含む収納システムを管理する管理装置が行う管理方法であって、前記管理装置は、前記収納システムに入庫される物品の受取予定時刻を表す情報を受け付け、所定の前記収納庫を前記物品の受渡用の収納庫として選択し、各々の前記収納ユニットに対して互いに異なる清浄割当時間帯を設定し、前記受渡用の収納庫を選択する際に、前記受取予定時刻が早い順に、1つの前記収納ユニットから前記受渡用の収納庫を選択し、当該1つの前記収納ユニットの全ての収納庫が前記受渡用の収納庫として選択されたら、前記受取予定時刻が早い順に、別の収納ユニットから前記受渡用の収納庫を選択し、前記清浄割当時間帯を設定する際に、前記収納ユニットが有する全ての収納庫から前記物品が出庫された後の時間を前記清浄割当時間帯として設定する。
【発明の効果】
【0012】
本開示の管理装置、物品受渡システム、収納システム及び管理方法によれば、物品の品質を低下させることなく収納庫内を適切に清浄にすることができ、且つ、任意のタイミングで物品の受け渡しを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】物品受渡システムの概略構成を示すブロック図
図2】収納システムの斜視図
図3】収納ユニットの縦断面図
図4】収納ユニットの上部の縦断面図
図5】収納システムの制御系の構成を示すブロック図
図6】各収納ユニットの受取可能時間と受取不可能時間と清浄割当時間との関係を表す図
図7】物品の注文から入庫手配までの処理を示すフローチャート
図8】物品の注文から入庫手配までの処理を示すフローチャート
図9】受渡用収納庫の選択処理を示すフローチャート
図10】物品の入庫処理を示すフローチャート
図11】物品の出庫処理及び清浄処理を示すフローチャート
図12】物品の出庫処理及び清浄処理を示すフローチャート
図13】第1清浄終了処理を示すフローチャート
図14】第2清浄終了処理を示すフローチャート
図15】第3清浄終了処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本開示の基礎となった知見等]
上記特許文献1の物品収受装置では、物品が入っている物品収受ボックス内に気体を流通させるため、例えば、物品が食品であり、且つ、気体に消臭効果又は殺菌効果がある場合、食品の品質が低下するおそれがある。このような不具合を解消するために、特許文献1の気体発生装置の動作と逆の動作、つまりボックス列を構成する全ての物品収受ボックスに物品が入っていない場合、当該全ての物品授受ボックスに気体を流通させ、少なくとも1つの物品収受ボックスに物品が入っている場合、当該全ての物品授受ボックスへの気体の流通を停止させることが考えられる。しかしながら、どの物品収受ボックスがどのタイミングで利用されるのかがわからないため、消臭又は殺菌が完了する前に、気体の流通が停止されるおそれがある。
【0015】
[実施形態]
本開示の実施形態について説明する。
【0016】
<物品受渡システムの構成>
まず、物品受渡システムの構成について説明する。図1は、物品受渡システムの概略構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示される物品受渡システム1は、ユーザがインターネット上で買い物をすることができるシステムであり、いわゆるオンラインショッピングシステムの一種である。物品受渡システム1は、複数のユーザ端末2と、ECサイトサーバ3と、複数の収納システム4と、管理サーバ7と、を備える。ここで、物品受渡システム1のECサイトサーバ3は、複数であっても良い。物品受渡システム1の収納システム4は、1つであっても良い。
【0018】
次に、物品受渡システム1の概略について説明する。各ユーザ端末2は、ECサイトサーバ3との間で通信できるように、通信ネットワークNを介して、ECサイトサーバ3に接続されている。ECサイトサーバ3は、管理サーバ7との間で通信できるように、通信ネットワークNを介して、管理サーバ7に接続されている。各収納システム4は、管理サーバ7との間で通信できるように、通信ネットワークNを介して、管理サーバ7に接続されている。
【0019】
複数の収納システム4は、互いに離れた場所に設置されている。収納システム4は、例えば、鉄道駅の中又はその周辺、コンビニエンスストア又はスーパーマーケット等の商業施設の中、若しくは、その周辺、工場又はオフィスビルの中、若しくは、その周辺、住宅地(具体的には、マンション又は戸建て住宅の入り口付近等)に設置されている。収納システム4は、複数の収納ユニット5を備える。各収納ユニット5は、それぞれ複数の収納庫504と、1つの清浄装置51と、を備える。収納庫504は、物品を冷蔵温度(例えば、-5℃以上+10℃以下)、又は、冷凍温度(例えば、-30℃以上-20℃以下)で保管する。物品としては、生鮮食品、又は、冷凍食品を例示することができる。清浄装置51は、収納ユニット5毎に収納庫504内の清浄処理を行う。
【0020】
物品の受取者であるユーザは、このような収納システム4を利用して、ECサイトサーバ3を介して購入した物品を受け取る。具体的に、ユーザは、ユーザ端末2を利用して、ECサイトサーバ3から物品を購入する。このとき、ユーザは、物品の受渡場所及び受取予定日時を指定する。受取予定日時とは、ユーザが物品の受け取りを予定している日時である。なお、受取予定日時が表す時間は、時刻(例えば、9時00分)であっても良いし、時間帯(例えば、9時00~9時14分)であっても良い。ECサイトサーバ3は、管理サーバ7に対し、物品の受渡用の収納庫504(以下、「受渡用収納庫504」と言う場合がある)の選択を依頼する。管理サーバ7は、指定された受渡場所及び受取予定日時に基づいて、指定された受渡場所に設置された収納システム4の受渡用収納庫504を選択する。管理サーバ7は、収納システム4の場所及び受渡用収納庫504の位置を表す情報と、受渡用収納庫504を解錠するための解錠情報と、をECサイトサーバ3へ送信する。なお、本実施形態では、解錠情報がQRコード(登録商標)により構成されている場合を例示するが、解錠情報は、一次元バーコード又は暗証番号等により構成されても良い。ECサイトサーバ3は、受渡用収納庫504への物品の入庫を手配すると共に、収納システム4の場所及び受渡用収納庫504の位置を表す情報及び解錠情報をユーザ端末2へ送信する。ユーザは、解錠情報を用いて受渡用収納庫504を解錠し、物品を受け取る。管理サーバ7は、全ての収納庫504に物品が収納されていない収納ユニット5に対する清浄処理を行うように、清浄装置51に指令する。
【0021】
次に、物品受渡システム1の各構成について説明する。
【0022】
ユーザ端末2は、ユーザが物品受渡システム1を利用して物品を購入するとき、又は、物品を受け取るときに用いられる。ユーザ端末2は、それぞれ図示されない操作部、表示部及び通信部を備える。ユーザ端末2は、操作部の入力操作に対応する情報を、通信部を介してECサイトサーバ3へ送信する。ユーザ端末2は、通信部を介してECサイトサーバ3から受信した情報を、表示部に表示させる。
【0023】
ECサイトサーバ3は、ユーザ端末2を介して注文された物品を販売する。ECサイトサーバ3は、ECサイト用DB(データベース)31と、ECサイト制御部32と、を備える。
【0024】
ECサイト用DB31には、顧客関連情報が登録されている。顧客関連情報は、例えば、個人情報と、購入履歴情報と、を含む。個人情報は、物品受渡システム1のユーザに関する内容を含む。個人情報に含まれる内容としては、例えば、ユーザの氏名、住所、ID(identification)、パスワード、メールアドレス等を例示することができる。購入履歴情報は、当該購入履歴情報のID、ユーザが購入した物品、その数量、購入日、受渡場所(受け渡しに利用した収納システム4の場所)、入庫予定日時、入庫完了日時、受取予定日時及び受取完了日時をそれぞれ表す情報を含む。入庫予定日時とは、物品が受渡用収納庫504に入庫される予定の日時である。入庫予定日時は、管理サーバ7により設定される。入庫完了日時とは、物品が受渡用収納庫504に入庫された日時である。受取完了日時とは、物品が受渡用収納庫504から受け取られた日時である。なお、入庫予定日時、入庫完了日時及び受取完了日時が表す時間は、受取予定日時と同様に、時刻であっても良いし、時間帯であっても良い。
【0025】
ECサイト制御部32は、物品の販売処理、受渡用収納庫504の選択依頼、物品の入庫手配等を行う。ECサイト制御部32は、ユーザ端末2から、購入される物品、受渡場所及び受取予定日時の指定を受け付け、受渡場所及び受取予定日時基づく受渡用収納庫504の選択を管理サーバ7へ依頼する。ECサイト制御部32は、管理サーバ7から受渡場所、受渡用収納庫位置(受渡用収納庫504の位置)、及び、解錠情報を受信して、ユーザ端末2へ通知する。ECサイト制御部32は、物品の入庫者に、購入された物品、その数量、受渡場所、受渡用収納庫位置、及び、解錠情報を通知する。なお、ECサイト制御部32が行う処理の詳細については後述する。
【0026】
次に、図2を用いて、収納システム4の外側から見える構成について説明する。図2は、収納システムの斜視図である。図2に示されるように、収納システム4は、4つの収納ユニット5と、1つの制御ユニット6と、を備える。なお、前側とは、収納ユニット5に物品が出し入れされるときに収納システム4のユーザが対面する側であり、後側とは、前側の逆側である。また、右側、左側、上側及び下側とは、ユーザが収納ユニット5への物品の出し入れ動作を行うときにおけるユーザから見た右側、左側、上側及び下側である。
【0027】
4つの収納ユニット5は、例えば、制御ユニット6の左右両側に2つずつ並ぶように配置されている。なお、以下において、4つの収納ユニット5を、図2における左側から順に、第1収納ユニット5A、第2収納ユニット5B、第3収納ユニット5C、第4収納ユニット5Dと言う場合がある。収納ユニット5は、収納部50を備える。収納部50は、物品を収納する。収納部50は、1個の外箱501と、5個の外扉502と、を備える。外箱501は、前面に開口を有する縦長の四角箱状に形成されている。外扉502は、外箱501の前面の開口を開閉する。外扉502は、上下方向に並ぶように配置されている。外扉502は、外箱501の開口縁に回動自在に取り付けられている。収納部50の上部には、底面に開口を有するカバー503が配置されている。カバー503の前側の部位には、複数の吸気孔503Aが形成されている。
【0028】
制御ユニット6は、縦長の四角箱状の本体60を備える。本体60の前面には、タッチパネル61と、QRリーダ62と、が配置されている。タッチパネル61は、例えば、収納ユニット5への物品の入庫又は収納ユニット5からの物品の出庫の際に操作される。QRリーダ62は、外箱501の解錠のための解錠情報を読み取る。
【0029】
次に、図3を用いて、収納ユニット5の内部の構成について説明する。図3は、収納ユニットの縦断面図である。図3に示されるように、収納ユニット5の収納部50は、それぞれ上述された外箱501及び外扉502と、5個の収納庫504と、を備える。
【0030】
外箱501は、前面及び上面が閉じられていない断熱筐体505を備える。断熱筐体505の左右の両側面には、それぞれ外装側板506が固定されている。右側の外側前板の前端部には、外扉502が回動自在に取り付けられている。
【0031】
5個の収納庫504は、断熱筐体505内において、上下方向に並ぶように配置されている。各収納庫504は、それぞれ各外扉502とほぼ同じ高さの位置に配置されている。各収納庫504は、内箱507と、内扉508と、を備える。
【0032】
内箱507は、前面に開口を有する四角箱状に形成されている。内箱507の内部に、物品が収納される。内箱507は、断熱筐体505の背板部との間に、後方流路F1が形成されるように配置されている。内箱507は、断熱筐体505の左右の側板部との間に、図示されない側方流路が形成されるように配置されている。内箱507の背板部には、複数の後方スリット507Aが形成されている。内箱507の左右の側板部には、複数の側方スリット507Bが形成されている。
【0033】
このような構成により、後述される冷凍装置52により生成された冷却空気Cは、後方流路F1を下方に向かって流れ、後方スリット507Aから収納庫504の内部に流入する。収納庫504の内部の物品との間で熱交換された冷却空気Cは、側方スリット507Bから流出し、側方流路を上昇して、後述される冷凍装置52に戻る。冷凍装置52に戻った冷却空気Cは、当該冷凍装置52で冷却されて、再び後方流路F1に流入する。つまり、断熱筐体505の内部における冷却空気Cの循環によって、収納庫504の内部が冷やされる。
【0034】
内扉508は、内箱507の前面の開口を開閉する。内扉508は、内箱507の開口縁に回動自在に取り付けられている。
【0035】
収納部50には、5個の外扉502を独立的に施解錠することができる施解錠機構53(図5参照)が配置されている。一方、収納部50には、内扉508を施解錠するための機構は配置されていない。このため、収納システム4のユーザは、利用する収納庫504の前側に位置する外扉502の解錠操作を行うことにより、収納庫504に物品を出し入れすることができる。
【0036】
次に、図3及び図4を用いて、収納ユニット5の内部の更に詳細な構成について説明する。図4は、収納ユニットの上部の縦断面図である。
【0037】
図3及び図4に示されるように、収納ユニット5のカバー503の背板部には、複数の排気孔503Bが形成されている。排気孔503Bは、カバー503内部の空気をカバー503外部に排出する機能を有する。
【0038】
カバー503の内部には、清浄装置51と、冷凍装置52と、が配置されている。
【0039】
冷凍装置52は、冷却空気Cを生成し、生成された冷却空気Cを収納庫504内に導入することにより、収納庫504内の物品を冷却する。冷凍装置52は、圧縮機521と、凝縮器522と、凝縮ファン523と、図示されない絞り部と、蒸発器524と、クーリングファン525と、を備える。
【0040】
圧縮機521、凝縮器522及び凝縮ファン523は、カバー503の底面の開口を閉塞する冷凍機支持部材509Aの上面に配置されている。吸気孔503A、凝縮器522、凝縮ファン523、圧縮機521及び排気孔503Bは、前後方向に一列に並ぶように配置されている。絞り部、蒸発器524及びクーリングファン525は、冷凍機支持部材509Aの下側に位置する冷却器支持部材509Bに配置されている。クーリングファン525は、前後方向の中央に配置されている。蒸発器524は、クーリングファン525の後側、且つ、後方流路F1の上端よりも前側に配置されている。クーリングファン525は、蒸発器524により生成された冷却空気Cを、後方流路F1、各収納庫504、側方流路、蒸発器524の間で循環させる。
【0041】
清浄装置51は、ナノサイズの帯電微粒子Mを生成し、生成された帯電微粒子Mを全ての収納庫504内に導入することにより、全ての収納庫504内の除菌及び脱臭を行う。清浄装置51は、予め設定された清浄所要時間、連続して各収納庫504に帯電微粒子Mを送り続けることにより、各収納庫504が清浄になるように構成されている。本実施形態では、清浄所要時間は、5時間であるが、5時間より長くても良いし短くても良い。
【0042】
清浄装置51は、冷凍機支持部材509Aの上面における圧縮機521の後方に配置されたケース511を備える。ケース511の内部には、図示されない帯電微粒子生成部が配置されている。帯電微粒子生成部は、ケース511の取込孔から取り込まれた空気の水蒸気を用いて、OHラジカルを含む帯電微粒子Mを生成する。ケース511には、帯電微粒子案内部512が設けられている。帯電微粒子案内部512は、蒸発器524に対してクーリングファン525が形成する空気の流れの下流側に、帯電微粒子Mを案内する。帯電微粒子Mは、冷却空気Cと共に、収納庫504内に送られる。
【0043】
次に、図5を用いて、収納システム4の制御系について説明する。図5は、収納システムの制御系の構成を示すブロック図である。
【0044】
図5に示されるように、収納システム4は、4つのユニット制御部54と、全体制御部63と、を更に備える。なお、図5には、図を簡略化するために、1つのユニット制御部54が図示されている。
【0045】
4つのユニット制御部54は、各収納ユニット5に配置されている。ユニット制御部54は、清浄装置51と、冷凍装置52と、施解錠機構53と、全体制御部63との間で、通信できるように構成されている。ユニット制御部54は、清浄装置51、冷凍装置52、及び、施解錠機構53を制御する。
【0046】
全体制御部63は、制御ユニット6の本体60内に配置されている。全体制御部63は、タッチパネル61と、QRリーダ62と、本体60内に配置された通信部64との間で、通信できるように構成されている。全体制御部63は、通信部64及び通信ネットワークNを介して受信した管理サーバ7からの指令に基づいて、ユニット制御部54を制御する。
【0047】
次に、図1及び図6を用いて、管理サーバ7の構成について説明する。図6は、各収納ユニットの受取可能時間と受取不可能時間と清浄割当時間との関係を表す図である。
【0048】
図1に示される管理サーバ7は、収納ユニット5の収納庫504の利用状況を管理する。管理サーバ7は、清浄装置51の動作を制御する。管理サーバ7は、管理用DB(データベース)71と、管理装置72と、を備える。
【0049】
管理用DB71は、本開示のデータベースの一例である。管理用DB71には、複数の収納システム4にそれぞれ対応する複数の収納システム管理情報が登録されている。各収納システム管理情報は、収納システム4の設置場所を示す設置場所情報と、複数の収納ユニット5にそれぞれ対応する複数の収納ユニット管理情報と、を含む。つまり、各収納システム管理情報は、第1~第4収納ユニット5A~5Dにそれぞれ対応する4つの収納ユニット管理情報を含む。収納ユニット管理情報は、受取可能時間情報と、選択状況情報と、利用状況情報と、清浄状況情報と、を含む。
【0050】
受取可能時間情報は、収納庫504から物品を受け取ることができる時間(受取可能時間)を表す。例えば、第1~第4収納ユニット5A~5Dの受取可能時間は、以下のように設定されている。
第1収納ユニット5A
・0時00分~1時59分
・8時00分~9時59分
・16時00分~17時59分
第2収納ユニット5B
・2時00分~3時59分
・10時00分~11時59分
・18時00分~19時59分
第3収納ユニット5C
・4時00分~5時59分
・12時00分~13時59分
・20時00分~21時59分
第4収納ユニット5D
・6時00分~7時59分
・14時00分~15時59分
・22時00分~23時59分
【0051】
なお、本実施形態では、第1~第4収納ユニット5A~5Dの受取可能時間が重複しないように設定されているが、受取可能時間の一部が重複しても良い。また、例えば、第1,第2収納ユニット5A,5Bの受取可能時間を同じにすると共に、第3,第4収納ユニット5C,5Dの受取可能時間を残りの時間に設定しても良い。この場合、第3,第4収納ユニット5C,5Dの受取可能時間は、同じであっても良いし、異なっていても良い。更に、1つの収納ユニット5における複数の受取可能時間の長さは、全て同じでなくてもよい。また、受取可能時間の長さは、収納システム4毎、収納ユニット5毎、時間帯毎、又は、季節毎に異なっていても良い。
【0052】
選択状況情報は、収納ユニット5に含まれる収納庫504が受渡用収納庫504として選択されているか否かを表す。
【0053】
利用状況情報は、収納ユニット5に含まれる全ての収納庫504に関連する情報を含む。利用状況情報は、ユーザ、物品の入庫予定日時、入庫完了日時、受取予定日時、受取完了日時、収納庫504の位置をそれぞれ表す情報、及び、解錠情報を含む。
【0054】
清浄状況情報は、収納ユニット5が清浄処理中か否か、及び、最後の清浄処理日時(最終清浄処理日時)を表す。
【0055】
管理装置72は、CPU(Central Processing Unit)を有し、図示されない記憶部に保存された管理プログラムをCPUが実行することにより、管理装置72の機能を実現する。管理装置72は、受付部721と、設定部722と、利用管理部723と、記憶制御部724と、清浄管理部725と、を備える。
【0056】
受付部721は、ECサイトサーバ3から、ユーザ、受渡場所及び受取予定日時を表す情報を受け付ける。また、受付部721は、収納システム4から、収納システム4の場所、受渡用収納庫504の位置、入庫完了日時及び受取完了日時を表す情報を更に受け付ける。
【0057】
設定部722は、各々の収納ユニット5に対して互いに異なる清浄割当時間を設定する。例えば、図6に示されるように、設定部722は、管理用DB71の受取可能時間情報に基づいて、各収納ユニット5における受取可能時間として設定されていない時間に、清浄割当時間を設定する。本実施形態では、清浄所要時間が5時間であるため、清浄割当時間の長さは5時間に設定される。なお、設定部722は、管理装置72の図示されない操作部の入力操作により指定された時間を、清浄割当時間として設定しても良い。また、清浄割当時間の長さは、清浄所要時間より長くても良い。また、清浄割当時間は、受取可能時間の終わりの時刻から所定時間経過後の時刻から開始されても良い。
【0058】
利用管理部723は、受取予定日時の時間(受取予定時間)が受取可能時間に含まれる収納ユニット5の収納庫504を、受渡用収納庫504として選択する。つまり、利用管理部723は、受取予定時間が清浄割当時間外の収納ユニット5から受渡用収納庫504を選択する。このように、利用管理部723は、清浄割当時間内の収納ユニット5の利用を禁止する一方で、他の収納ユニット5の利用を許可するように、収納システム4を管理する。利用管理部723は、受渡用収納庫504を選択する際、入庫予定日時を設定する。
【0059】
記憶制御部724は、受付部721で受け付けられた情報と、利用管理部723で設定された情報と、に基づいて、利用状況情報を生成して管理用DB71に記憶させる。
【0060】
清浄管理部725は、清浄割当時間内に収納ユニット5の清浄処理を行うように、清浄装置51に指令する。
【0061】
このように、収納ユニット5毎に異なる清浄割当時間であって、収納ユニット5の利用が禁止された清浄割当時間に清浄処理を行うことにより、物品の品質を低下させることなく、収納庫504内を適切に清浄にすることができる。更に、収納ユニット5毎に清浄割当時間が異なるため、清浄処理が行われていない収納庫504を用いて任意のタイミングで物品の受け渡しを行うことができる。特に、利用管理部723が受渡用収納庫504を選択し、後述されるように、ECサイトサーバ3及びユーザ端末2を介して、ユーザに提示するため、ユーザによる受渡用収納庫504の選択操作が不要になる。
【0062】
また、同一の収納ユニット5の2つの受取可能時間の間の時間(受取不可能時間)の長さ(6時間)が、清浄割当時間及び清浄所要時間の長さ(いずれも5時間)より長いため、物品が受取可能時間よりも早く入庫される場合でも、入庫される時刻によっては、入庫されるまでに清浄処理を完了させることができる。例えば、第1収納ユニット5Aへ物品が入庫された時刻が15時00分よりも遅い時刻であり、かつ、清浄処理が10時00分から開始されれば、第1収納ユニット5Aの清浄処理を完了させることができる。なお、受取不可能時間及び清浄割当時間の長さは、清浄所要時間と同じであっても良い。
【0063】
なお、受付部721、利用管理部723、記憶制御部724及び清浄管理部725が行う処理の詳細については後述する。
【0064】
<物品受渡システムの動作>
次に、物品受渡システム1の動作について説明する。
【0065】
(物品の注文から入庫手配までの処理)
まず、物品の注文から入庫手配までの処理について説明する。図7及び図8は、物品の注文から入庫手配までの処理を示すフローチャートである。
【0066】
物品受渡システム1のユーザは、ユーザ端末2を操作して、ECサイトにアクセスする。図7に示されるように、ユーザ端末2は、ユーザによる物品の選択操作を受け付ける(ステップS1)。ユーザ端末2は、ユーザによる物品の受渡場所及び受取予定日時の設定操作を受け付ける(ステップS2)。次に、ユーザ端末2は、物品購入のための注文情報をECサイトサーバ3へ送信する(ステップS3)。注文情報には、ユーザ、物品、その数量、受渡場所及び受取予定日時を表す情報が含まれる。
【0067】
ECサイトサーバ3のECサイト制御部32は、ユーザ端末2から注文情報を受信すると、物品をユーザに受け渡すための受渡用収納庫504の選択を、管理サーバ7に依頼する(ステップS4)。この依頼には、ユーザ、受渡場所及び受取予定日時を表す情報が含まれる。
【0068】
管理サーバ7の利用管理部723は、ECサイトサーバ3から受渡用収納庫504の選択依頼を受信すると、受渡用収納庫504の選択処理を行う(ステップS5)。なお、受渡用収納庫504の選択処理については後述する。その後、利用管理部723は、選択処理の結果を表す選択結果報告をECサイトサーバ3へ送信する(ステップS6)。なお、詳しくは後述するが、ステップS5の選択処理の結果、受渡用収納庫504が選択される場合と、選択されない場合がある。受渡用収納庫504を選択することができた旨の選択結果報告には、ユーザ、受渡場所、受渡用収納庫位置、受取予定日時及び入庫予定日時を表す情報、及び、解錠情報が含まれる。受渡用収納庫504を選択することができない旨の選択結果報告には、ユーザを表す情報が含まれる。以上により、管理サーバ7の処理が終了する。なお、本実施形態では、入庫予定日時を管理サーバ7が設定しているが、ECサイトサーバ3が設定してもよい。
【0069】
ECサイトサーバ3のECサイト制御部32は、管理サーバ7から受渡用収納庫504の選択結果を受信すると、受渡用収納庫504が選択されたか否かを判定する(ステップS7)。ECサイト制御部32は、受渡用収納庫504が選択されたと判定した場合(ステップS7:YES)、選択が完了した旨の選択完了報告をユーザ端末2へ送信する(ステップS8)。選択完了報告には、物品、その数量、受渡場所、受渡用収納庫位置、受取予定日時及び入庫予定日時を表す情報、並びに、解錠情報が含まれる。一方、ECサイト制御部32は、受渡用収納庫504が選択されていないと判定した場合(ステップS7:NO)、選択されていない旨の選択未完了報告をユーザ端末2へ送信する(ステップS9)。選択未完了報告には、物品、受渡場所及び受取予定日時を表す情報が含まれる。
【0070】
ユーザ端末2は、ECサイトサーバ3から選択完了報告又は選択未完了報告を受信すると、受信された報告を当該ユーザ端末2に表示させる。ユーザは、ユーザ端末2に選択完了報告が表示された場合、物品の購入を確定させるために、購入確定操作を行う。一方、ユーザは、ユーザ端末2に選択未完了報告が表示された場合、受取予定日時の再設定操作を行う。なお、ユーザは、受取予定日時と共に、又は、受取予定日時の代わりに、受渡場所の再設定操作を行っても良い。
【0071】
ユーザ端末2は、ユーザによる購入確定操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS10)。ユーザ端末2は、購入確定操作を受け付けたと判定した場合(ステップS10:YES)、購入確定依頼をECサイトサーバ3へ送信する(ステップS11)。一方、ユーザ端末2は、ユーザによる購入確定操作を受け付けていないと判定した場合(ステップS10:NO)、つまりユーザが再設定操作を行った場合、当該再設定操作を受け付ける(ステップS2)。その後、再設定された内容に基づいて、上述の処理が行われる。
【0072】
図8に示されるように、ECサイトサーバ3のECサイト制御部32は、ステップS8において選択完了報告をユーザ端末2へ送信した後、ユーザ端末2から購入確定依頼を受信すると、販売処理を行う(ステップS12)。また、ECサイト制御部32は、ユーザの購入履歴情報を更新する(ステップS13)。この購入履歴情報の更新の際、ECサイト制御部32は、物品を購入するユーザに関する個人情報を含む顧客関連情報を、ECサイト用DB31から検索する。ECサイト制御部32は、ID、今回購入する物品、その数量、購入日、受渡場所、入庫予定日時、受取予定日時をそれぞれ表す情報を関連付けて、前記検索された顧客関連情報に含まれる購入履歴情報に追加する。
【0073】
次に、ECサイト制御部32は、物品の入庫を手配する(ステップS14)。例えば、ECサイト制御部32は、物品の入庫者に対して、物品、その数量、受渡場所、受渡用収納庫位置、入庫予定日時、受取予定日時をそれぞれ表す情報、並びに、解錠情報を送信する。以上により、物品の注文から収納システムへの入庫手配までの処理が終了する。
【0074】
(受渡用収納庫の選択処理)
次に、受渡用収納庫504の選択処理について説明する。図9は、受渡用収納庫の選択処理を示すフローチャートである。
【0075】
設定部722により清浄割当時間が設定された状態において、図9に示されるように、管理サーバ7の利用管理部723は、受付部721がユーザ、受渡場所及び受取予定日時を表す情報を受け付けると、受取予定時間が受取可能時間に含まれる収納ユニット5を選択する(ステップS21)。この選択の際、利用管理部723は、受渡場所に設置された収納システム4の収納システム管理情報を管理用DB71から検索する。利用管理部723は、検索された収納システム管理情報から、受取予定時間が含まれる受取可能時間を表す受取可能時間情報を検索する。利用管理部723は、検索された受取可能時間情報を含む収納ユニット管理情報に基づいて、収納ユニット5を選択する。以下において、ステップS21の処理により選択された収納ユニット5を、選択収納ユニット5と言う場合がある。例えば、受取予定時間が10時15分の場合、利用管理部723は、第2収納ユニット5Bを選択収納ユニット5として選択する。
【0076】
次に、利用管理部723は、収納ユニット管理情報の選択状況情報に基づいて、選択収納ユニット5の全ての収納庫504が、受取予定日時を含む受取可能時間に受渡用収納庫504としてすでに選択されているか否かを判定する(ステップS22)。利用管理部723は、全ての収納庫504が受渡用収納庫504としてすでに選択されていると判定した場合(ステップS22:YES)、受渡用収納庫504を選択することができない旨の選択結果報告を生成し(ステップS23)、受渡用収納庫504の選択処理を終了する。
【0077】
一方、利用管理部723は、選択収納ユニット5の全ての収納庫504が受渡用収納庫504としてすでに選択されていないと判定した場合(ステップS22:NO)、清浄な未選択の収納庫504が存在するか否かを判定する(ステップS24)。清浄な未選択の収納庫504とは、受渡用収納庫504として選択されておらず、且つ、清浄処理後に使用されていない収納庫504のことである。利用管理部723は、利用状況情報により表される未選択の収納庫504の最後の受取完了日時が、清浄状況情報により表される最終清浄処理日時よりも前の日時の場合、当該収納庫504が清浄な未選択の収納庫504であると判定する。一方、利用管理部723は、未選択の収納庫504の最後の受取完了日時が、最終清浄処理日時よりも後の日時の場合、当該収納庫504が非清浄な未選択の収納庫504であると判定する。非清浄な未選択の収納庫504とは、受渡用収納庫504として選択されておらず、且つ、清浄処理後、受取予定日時までの間に使用された収納庫504のことである。
【0078】
利用管理部723は、清浄な未選択の収納庫504が存在すると判定した場合(ステップS24:YES)、当該清浄な未選択の収納庫504を受渡用収納庫504として選択する(ステップS25)。このように、清浄な未選択の収納庫504を受渡用収納庫504として選択することにより、当該受渡用収納庫504に収納された物品の汚染又は品質の低下を抑制することができる。一方、利用管理部723は、清浄な未選択の収納庫504が存在しないと判定した場合(ステップS24:NO)、非清浄な未選択の収納庫504を受渡用収納庫504として選択する(ステップS26)。
【0079】
利用管理部723は、ステップS25又はステップS26の処理により、受渡用収納庫504を選択すると、物品の入庫予定日時と受取予定日時の双方が選択収納ユニット5の清浄割当時間外になるように、入庫予定日時を設定する(ステップS27)。例えば、利用管理部723は、受取予定時間が16時30分の場合、第1収納ユニット5Aを選択収納ユニット5として選択する。利用管理部723は、第1収納ユニット5Aの清浄割当時間が10時00分から15時00分に設定されている場合、15時01分から16時29分までの間の時間を入庫予定日時として設定し、ECサイトサーバ3を介して、入庫者に提示する。このような構成によれば、第1収納ユニット5Aの清浄処理中に、物品の入庫操作(受渡用収納庫504の解錠操作)が行われることを抑制することができる。
【0080】
次に、利用管理部723は、受渡用収納庫504を選択できた旨の選択結果報告を生成する(ステップS28)。記憶制御部724は、選択収納ユニット5に対応する収納ユニット管理情報を更新する(ステップS29)。この収納ユニット管理情報の更新の際、記憶制御部724は、最新の受渡用収納庫504の選択状況を反映するように、選択状況情報を更新する。更に、記憶制御部724は、ECサイトサーバ3からの選択依頼に含まれるユーザ及び受取予定日時を表す情報と、利用管理部723により設定された入庫予定日時を表す情報と、解錠情報とを関連付けて、受渡用収納庫504として選択された収納庫504の利用状況情報に追加する。以上により、受渡用収納庫504の選択処理が終了する。
【0081】
(物品の入庫処理)
次に、物品の入庫処理について説明する。図10は、物品の入庫処理を示すフローチャートである。
【0082】
物品の入庫者は、ECサイトサーバ3から受け取った入庫予定日時に、物品が受渡用収納庫504に入庫されるように作業を行う。まず、作業者は、例えば携帯端末に、ECサイトサーバ3から受け取った解錠情報を表示させ、当該解錠情報を収納システム4のQRリーダ62にかざす。図10に示されるように、収納システム4の全体制御部63は、QRリーダ62における解錠情報の読み取りにより、受渡用収納庫504の解錠操作を受け付ける(ステップS31)。なお、以下において、「受渡用収納庫504の解錠又は施錠」とは、受渡用収納庫504の前方の位置する外扉502の解錠又は施錠を意味する。次に、全体制御部63は、解錠情報に基づき解錠対象の受渡用収納庫504を特定し、特定された受渡用収納庫504を解錠するように、当該受渡用収納庫504を有する収納ユニット5のユニット制御部54に指令する。全体制御部63から指令を受けたユニット制御部54は、施解錠機構53を制御して、解錠対象の受渡用収納庫504を解錠する(ステップS32)。
【0083】
入庫者は、受渡用収納庫504が解錠されると、外扉502を開いて物品を入庫し、外扉502を閉じる。ユニット制御部54は、外扉502の開閉を検知する開閉センサからの信号に基づいて、外扉502が閉められたことを検知すると(ステップS33)、施解錠機構53を制御して、受渡用収納庫504を施錠する(ステップS34)。ユニット制御部54は、受渡用収納庫504に物品が入庫されたことを全体制御部63へ通知する。ユニット制御部54から通知を受けた全体制御部63は、物品の入庫が完了した旨の入庫完了通知を管理サーバ7へ送信する(ステップS35)。全体制御部63から管理サーバ7への入庫完了通知には、受渡場所、受渡用収納庫位置、及び、入庫完了日時を表す情報が含まれる。
【0084】
管理サーバ7の記憶制御部724は、受付部721が収納システム4から入庫完了通知を受け付けると、物品が入庫された受渡用収納庫504に対応する利用状況情報を更新する(ステップS36)。この利用状況情報の更新の際、記憶制御部724は、受渡用収納庫504の利用状況情報の入庫予定日時に関連付けるように、物品の入庫完了日時を表す情報を追加する。利用管理部723は、物品の入庫が完了した旨の入庫完了通知をECサイトサーバ3へ送信する(ステップS37)。利用管理部723からECサイトサーバ3への入庫完了通知には、全体制御部63から管理サーバ7への入庫完了通知と同じ情報が含まれる。
【0085】
ECサイトサーバ3のECサイト制御部32は、管理サーバ7から入庫完了通知を受信すると、入庫された物品の購入履歴情報を更新する(ステップS38)。この購入履歴情報の更新の際、ECサイト制御部32は、購入履歴情報の入庫予定日時に関連付けるように、物品の入庫完了日時を表す情報を追加する。以上により、物品の入庫処理が終了する。
【0086】
(物品の出庫(受取)処理及び清浄処理)
次に、物品の出庫処理及び清浄処理について説明する。図11及び図12は、物品の出庫処理及び清浄処理を示すフローチャートである。
【0087】
物品を購入したユーザは、物品を受け取るために、ユーザ端末2にECサイトサーバ3から受け取った解錠情報を表示させ、当該解錠情報を収納システム4のQRリーダ62にかざす。図11に示されるように、全体制御部63は、ステップS31の処理と同様の処理により、受渡用収納庫504の解錠操作を受け付ける(ステップS41)。次に、全体制御部63及びユニット制御部54は、ステップS32の処理と同様の処理により、解錠対象の受渡用収納庫504を解錠する(ステップS42)。
【0088】
ユーザは、受渡用収納庫504が解錠されると、外扉502を開いて物品を受け取り、外扉502を閉じる。ユニット制御部54は、ステップS33の処理と同様の処理により、外扉502が閉められたことを検知すると(ステップS43)、受渡用収納庫504を施錠する(ステップS44)。ユニット制御部54は、受渡用収納庫504から物品が出庫されたことを全体制御部63へ通知する。ユニット制御部54から通知を受けた全体制御部63は、物品の受け取りが完了した旨の受取完了通知を管理サーバ7へ送信する(ステップS45)。全体制御部63から管理サーバ7への受取完了通知には、受渡場所、受渡用収納庫位置、及び、受取完了日時を表す情報が含まれる。図12に示されるように、全体制御部63は、受取完了通知の送信後の所定期間内に、後述される清浄対象収納ユニット5の清浄処理の開始指令を、管理サーバ7から受信したか否かを判定する(ステップS46)。全体制御部63は、清浄処理の開始指令を受信していないと判定した場合(ステップS46:NO)、処理を終了する。
【0089】
一方、図11に示されるように、管理サーバ7の記憶制御部724は、収納システム4から受取完了通知を受け付けると、物品が受け取られた受渡用収納庫504に対応する収納ユニット管理情報を更新する(ステップS47)。この収納ユニット管理情報の更新の際、記憶制御部724は、受渡用収納庫504の利用状況情報の受取予定日時に関連付けるように、物品の受取完了日時を表す情報を追加する。更に、記憶制御部724は、最新の受渡用収納庫504の選択状況を反映するように、つまり物品が出庫された収納庫504が受渡用収納庫504として選択されていない状態になったことを反映するように、選択状況情報を更新する。
【0090】
利用管理部723は、物品の受け取りが完了した旨の受取完了通知をECサイトサーバ3へ送信する(ステップS48)。利用管理部723からECサイトサーバ3への受取完了通知には、全体制御部63から管理サーバ7への受取完了通知と同じ情報が含まれる。
【0091】
ECサイトサーバ3のECサイト制御部32は、管理サーバ7から受取完了通知を受信すると、出庫された物品の購入履歴情報を更新して(ステップS49)、処理を終了する。この購入履歴情報の更新の際、ECサイト制御部32は、購入履歴情報の受取予定日時に関連付けるように、物品の受取完了日時を表す情報を追加する。
【0092】
一方、図12に示されるように、管理サーバ7の清浄管理部725は、受取完了通知がECサイトサーバ3へ送信されると、利用状況情報の入庫完了日時及び受取完了日時を表す情報に基づいて、物品が出庫された収納庫504を含む収納ユニット5(以下、清浄対象収納ユニット5と言う場合がある)の全ての収納庫504が空いているか否かを判定する(ステップS50)。清浄管理部725は、清浄対象収納ユニット5の少なくとも1つの収納庫504が空いていないと判定した場合(ステップS50:NO)、処理を終了する。一方、清浄管理部725は、清浄対象収納ユニット5の全ての収納庫504が空いていると判定した場合(ステップS50:YES)、全ての収納庫504の空き予定期間が清浄割当時間よりも長いか否かを判定する(ステップS51)。ここで、空き予定期間とは、ステップS51の処理を行う現在日時から、収納ユニット5における最も早い入庫予定日時までの期間である。
【0093】
清浄管理部725は、空き予定期間が清浄割当時間よりも短いと判定した場合(ステップS51:NO)、処理を終了する。一方、清浄管理部725は、空き予定期間が清浄割当時間よりも長いと判定した場合(ステップS51:YES)、清浄対象収納ユニット5の清浄開始指令を収納システム4へ送信する(ステップS52)。清浄開始指令には、清浄対象収納ユニット5を表す情報が含まれる。なお、清浄管理部725は、現在日時以降、全ての収納庫504が受渡用収納庫504として選択されていない場合、つまり全ての収納庫504に物品の入庫予定がない場合も、空き予定期間が清浄割当時間よりも長いと判定する(ステップS51:YES)。この後、記憶制御部724は、清浄対象収納ユニット5の清浄状況情報を更新し(ステップS53)、処理を終了する。この清浄状況情報の更新の際、記憶制御部724は、清浄対象収納ユニット5が清浄処理中であることを反映するように、清浄状況情報を更新する。
【0094】
収納ユニット5の全体制御部63は、管理サーバ7から清浄対象収納ユニット5の清浄開始指令を受信した後のステップS46の処理において、清浄開始指令を受信したと判定すると(ステップS46:YES)、清浄対象収納ユニット5のユニット制御部54へ清浄処理の開始を指令する。全体制御部63からの指令を受けたユニット制御部54は、清浄装置51を制御して、清浄対象収納ユニット5の清浄処理を開始する(ステップS54)。以上により、物品の出庫処理及び清浄処理が終了する。
【0095】
図11及び図12に示される処理において、清浄管理部725は、受取可能時間内に、つまり清浄割当時間の前に収納ユニット5の全ての収納庫504の物品が受け取られた場合、清浄割当時間の前に当該収納ユニット5に対する清浄処理を開始する旨の指令を収納ユニット5に対して行う。このため、清浄処理を早く開始することができる。特に、清浄管理部725は、空き予定期間が清浄割当時間よりも長いと判定した場合、清浄処理の開始を指令する。このため、収納ユニット5の清浄処理中に、物品の入庫操作が行われることを抑制することができる。
【0096】
(清浄終了処理)
次に、清浄終了処理について説明する。なお、清浄終了処理として、3つの処理を例示するが、当該3つの処理うち、少なくとも1つの処理を適用することができる。図13は、第1清浄終了処理を示すフローチャートである。図14は、第2清浄終了処理を示すフローチャートである。図15は、第3清浄終了処理を示すフローチャートである。
【0097】
(第1清浄終了処理)
まず、第1清浄終了処理について説明する。第1清浄終了処理は、受渡用収納庫504の選択が行われたときに、必要に応じて清浄処理を終了する処理である。図13に示されるように、管理サーバ7の清浄管理部725は、ステップS25又はステップS26の処理により受渡用収納庫504の選択が完了すると(ステップS61)、受渡用収納庫504が選択された収納ユニット5の清浄状況情報に基づいて、当該収納ユニット5が清浄処理中か否かを判定する(ステップS62)。
【0098】
清浄管理部725は、収納ユニット5が清浄処理中でないと判定した場合(ステップS62:NO)、第1清浄終了処理を終了する。一方、清浄管理部725は、収納ユニット5が清浄処理中であると判定した場合(ステップS62:YES)、清浄処理終了指令を収納システム4へ送信する(ステップS63)。清浄処理終了指令には、清浄処理を終了する収納ユニット5を表す情報が含まれる。この後、記憶制御部724は、清浄処理を終了する収納ユニット5の清浄状況情報を更新し(ステップS64)、処理を終了する。この清浄状況情報の更新の際、記憶制御部724は、収納ユニット5の清浄処理が終了したことを反映するように、清浄状況情報を更新する。更に、記憶制御部724は、清浄状況情報の最終清浄処理日時を、当該清浄処理の終了日時に更新する。
【0099】
一方、収納システム4の全体制御部63は、管理サーバ7から清浄処理終了指令を受信すると、清浄処理を終了する収納ユニット5のユニット制御部54へ清浄処理の終了を指令する。全体制御部63からの指令を受けたユニット制御部54は、清浄装置51を制御して、指令対象の収納ユニット5の清浄処理を終了する(ステップS65)。以上により、第1清浄終了処理が終了する。
【0100】
第1清浄終了処理によれば、清浄処理が行われている収納ユニット5の収納庫504が、受渡用収納庫504として選択された場合、つまり清浄処理が行われている収納ユニット5の利用が許可された場合、清浄処理を終了する。このため、受渡用収納庫504への物品の入庫時間を早めることができる。例えば、第1収納ユニット5Aの清浄割当時間内の14時50分に、受取予定時間が16時00分の受渡用収納庫504が選択された場合、第1収納ユニット5Aの清浄処理を終了する。このため、受取予定時間が16時00分の物品の入庫時間を14時51分以降にすることができる。
【0101】
(第2清浄終了処理)
次に、第2清浄終了処理について説明する。第2清浄終了処理は、物品入庫のための解錠操作を収納システム4が受け付けた後、且つ、解錠を行う前に、必要に応じて清浄処理を終了する処理である。第2清浄終了処理は、図10に示される物品の入庫処理におけるステップS31の処理とステップS32の処理の間に行われる。図14に示されるように、収納システム4の全体制御部63は、ステップS31の処理により受渡用収納庫504の解錠操作を受け付けると、解錠操作が行われた受渡用収納庫504を含む収納ユニット5を管理サーバ7へ通知する(ステップS71)。
【0102】
清浄管理部725は、収納システム4からの通知を受信すると、通知対象の収納ユニット5の清浄状況情報に基づいて、当該通知対象の収納ユニット5が清浄処理中か否かを判定する(ステップS72)。清浄管理部725は、収納ユニット5が清浄処理中でないと判定した場合(ステップS72:NO)、第2清浄終了処理を終了する。一方、清浄管理部725は、収納ユニット5が清浄処理中であると判定した場合(ステップS72:YES)、清浄処理終了指令を収納システム4へ送信する(ステップS73)。この後、清浄管理部725は、清浄処理を終了する収納ユニット5の清浄状況情報を更新し(ステップS74)、処理を終了する。なお、ステップS74の処理は、ステップS64の処理と同じである。
【0103】
一方、収納システム4の全体制御部63及びユニット制御部54は、管理サーバ7から清浄処理終了指令に基づいて、指令対象の収納ユニット5の清浄処理を終了する(ステップS75)。なお、ステップS75の処理は、ステップS65の処理と同じである。以上により、第2清浄終了処理が終了する。
【0104】
第2清浄終了処理によれば、清浄処理が行われている収納ユニット5の収納庫504に対する解錠操作があった場合、例えば、意図せず入庫予定時間よりも早い時間に入庫が行われる場合、清浄処理を終了する。このため、物品を入庫する機会を柔軟に選択することができる。
【0105】
(第3清浄終了処理)
次に、第3清浄終了処理について説明する。第3清浄終了処理は、清浄開始から清浄所要時間が経過したときに、清浄処理を終了する処理である。図15に示されるように、収納システム4のユニット制御部54は、清浄開始から清浄所要時間が経過したしたを検知すると(ステップS81)、清浄装置51を制御して、収納ユニット5の清浄処理を終了する(ステップS82)。次に、ユニット制御部54は、全体制御部63を介して、清浄処理を終了させた収納ユニット5を管理サーバ7へ通知する(ステップS83)。
【0106】
管理サーバ7の記憶制御部724は、収納システム4からの通知を受信すると、通知された収納ユニット5の清浄状況情報を更新し(ステップS84)、処理を終了する。なお、ステップS84の処理は、ステップS64の処理と同じである。
【0107】
[実施形態の変形例]
本開示は、これまでに説明した実施形態に示されたものに限られないことはいうまでもなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の変形を加えることができる。また、上記実施形態及び以下に示される変形例は、正常に機能する限り、どのように組み合わせても良い。
【0108】
利用管理部723が受取予定日時に基づいて、受渡用収納庫504を選択する構成を例示したが、例えば、利用管理部723がECサイトサーバ3を介してユーザ端末2に各収納ユニット5の受取可能時間を表示させ、ユーザに、受取可能時間に受取予定時間を含む収納ユニット5から受渡用収納庫504を選択させても良い。
【0109】
利用管理部723は、受取予定時間が受取可能時間に含まれる収納ユニット5の全ての収納庫504が受渡用収納庫504としてすでに選択されている場合、受取予定時間が受取可能時間に含まれない収納ユニット5の収納庫504を、受渡用収納庫504として選択しても良い。例えば、利用管理部723は、受取可能時間が8時00分~9時59分である第1収納ユニット5Aの全ての収納庫504が受渡用収納庫504として選択されている場合、受取予定時間が9時00分の物品の受渡用収納庫504として、受取可能時間が10時00分~11時59分である第2収納ユニット5Bの収納庫504を選択しても良い。このような構成にすれば、収納ユニット5を用いた物品を受け渡す機会を柔軟に選択することができる。
【0110】
利用管理部723は、入庫予定日時を設定しなくても良い。このような構成であっても、入庫時間によっては、入庫時間までに清浄処理を完了させることができる。
【0111】
利用管理部723は、物品のユーザの過去における受取予定時間と受取完了時間との差に基づいて、入庫予定の物品の受取予定日時を補正して、当該補正された受取予定日時に基づいて、受渡用収納庫504を選択しても良い。例えば、利用管理部723は、ユーザが受取予定時間よりも30分遅く受け取りに来る傾向があり、且つ、当該ユーザの入庫予定の物品の受取予定時間が9時45分の場合、受取予定時間を10時15分と見なし、受取可能時間が8時00分~9時59分である第1収納ユニット5Aではなく、受取可能時間が10時00分~11時59分である第2収納ユニット5Bの収納庫504を、受渡用収納庫504として選択しても良い。このような構成にすれば、各ユーザが物品を受け取るタイミングの傾向に基づいて、受渡用収納庫504の選択処理の最適化を図ることができる。なお、利用管理部723は、ユーザの過去における受取予定時間と受取完了時間に関する情報を管理用DB71の利用状況情報から取得しても良いし、ECサイト用DB31の購入履歴情報から取得しても良い。
【0112】
利用管理部723は、ユーザの過去における受取予定時間と受取完了時間との差に基づいて、入庫予定日時を設定しても良い。例えば、利用管理部723は、ユーザが受取予定時間よりも30分早く受け取りに来る傾向がある場合、受取予定時間通りに受け取りに来る他のユーザに対して設定する入庫予定時間よりも、30分早い時間を入庫予定時間として設定しても良い。また、このような入庫予定時間の設定処理をECサイトサーバ3が行っても良い。例えば、ECサイトサーバ3のECサイト制御部32は、利用管理部723から物品のユーザの過去における受取予定時間と受取完了時間との差を表す受取実績情報を受信して、当該受取実績情報に基づいて、入庫予定時間として設定しても良い。これらのような構成にすれば、各ユーザが物品を受け取るタイミングの傾向に基づいて、入庫処理の最適化を図ることができる。なお、入庫予定時間の設定処理をECサイトサーバ3が行う場合、ECサイト制御部32は、物品のユーザの過去における受取予定時間と受取完了時間との差を表す情報を、ECサイト用DB31の購入履歴情報から取得しても良い。
【0113】
清浄管理部725による清浄装置51の制御により、各収納ユニット5の清浄処理を行う構成を例示したが、作業者又はロボットが清浄割当時間に清浄処理を行っても良い。この場合、清浄装置51及び清浄管理部725が不要になる。
【0114】
清浄管理部725は、受取可能時間内に収納ユニット5の全ての収納庫504の物品が受け取られた場合であっても、受取可能時間以降の時間になってから、当該収納ユニット5に対する清浄処理を開始する旨の指令を収納ユニット5に対して行っても良い。清浄管理部725は、受取可能時間内に収納ユニット5の全ての収納庫504の物品が受け取られた場合、空き予定期間が清浄割当時間よりも長いか否かの判定を行うことなく、清浄処理の開始を指令しても良い。
【0115】
利用管理部723は、未選択の収納庫504が清浄か否かに関係なく、当該未選択の収納庫504を受渡用収納庫504として選択しても良い。
【0116】
管理装置72の利用管理部723は、受取予定時間が早い順に、1つの収納ユニット5(例えば、第1収納ユニット5A)から受渡用収納庫504を選択し、当該1つの収納ユニット5の全ての収納庫504(5個の収納庫504)が受渡用収納庫504として選択されたら、受取予定時間が早い順に、別の収納ユニット5(例えば、第2収納ユニット5B)から受渡用収納庫504を選択しても良い。同様に、第2収納ユニット5Bの全ての収納庫504が受渡用収納庫504として選択されたら、受取予定時間が早い順に、第3収納ユニット5Cから受渡用収納庫504を選択し、第3収納ユニット5Cの全ての収納庫504が受渡用収納庫504として選択されたら、受取予定時間が早い順に、第4収納ユニット5Dから受渡用収納庫504を選択してもよい。そして、設定部722は、各収納ユニット5が有する全ての収納庫504から物品が出庫された後の時間を、収納ユニット5毎に異なる清浄割当時間として設定しても良い。このような構成にすれば、収納ユニット5毎に異なる清浄割当時間に清浄処理を行うことにより、物品の品質を低下させることなく、収納庫504内を適切に清浄にすることができる。更に、収納ユニット5毎に清浄割当時間が異なるため、清浄処理が行われていない収納庫504を用いて任意のタイミングで物品の受け渡しを行うことができる。
【0117】
管理装置72を管理サーバ7に配置した構成を例示したが、管理装置72をECサイトサーバ3又は収納システム4に配置しても良い。
【0118】
清浄装置51が生成する帯電微粒子として、除菌機能及び脱臭機能を有する帯電微粒子を例示したが、除菌機能又は脱臭機能のみを有する帯電微粒子であっても良い。更に、清浄装置51として、帯電微粒子ではなく気体により収納庫504を清浄にする装置を適用しても良い。各収納ユニット5に1つずつ清浄装置51を配置したが、1つの清浄装置51を用いて、4つの収納ユニット5に対する清浄処理を行うようにしても良い。
【0119】
本開示の物品受渡システムは、金銭の授受を伴わない物品の受け渡しを行うためのシステムであっても良いし、物品配送システムであっても良い。物品配送システムとは、配送依頼者が物品を収納システムに収納し、配送者が当該収納システムに収納された物品を配送先へ配送するシステムである。収納システム4は、物品を常温で保管しても良いし、加温して保管しても良い。収納システム4に施錠機能を設けなくても良い。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本開示は、管理装置、物品受渡システム、収納システム及び管理方法に適用できる。
【符号の説明】
【0121】
1 物品受渡システム
2 ユーザ端末
3 ECサイトサーバ
4 収納システム
5 収納ユニット
5A 第1収納ユニット
5B 第2収納ユニット
5C 第3収納ユニット
5D 第4収納ユニット
6 制御ユニット
7 管理サーバ
31 ECサイト用DB
32 ECサイト制御部
51 清浄装置
52 冷凍装置
53 施解錠機構
54 ユニット制御部
60 本体
61 タッチパネル
62 QRリーダ
63 全体制御部
71 管理用DB
72 管理装置
501 外箱
502 外扉
503 カバー
503A 吸気孔
503B 排気孔
504 収納庫(受渡用収納庫)
505 断熱筐体
506 外装側板
507 内箱
507A 後方スリット
507B 側方スリット
508 内扉
509A 冷凍機支持部材
509B 冷却器支持部材
511 ケース
512 帯電微粒子案内部
521 圧縮機
522 凝縮器
523 凝縮ファン
524 蒸発器
525 クーリングファン
721 受付部
722 設定部
723 利用管理部
724 記憶制御部
725 清浄管理部
F1 後方流路
N 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15