(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】軒樋、受け具、及び、軒樋支持構造
(51)【国際特許分類】
E04D 13/064 20060101AFI20241220BHJP
E04D 13/072 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
E04D13/064 501B
E04D13/072 502B
E04D13/072 502D
E04D13/072 502F
(21)【出願番号】P 2024123493
(22)【出願日】2024-07-30
(62)【分割の表示】P 2022204664の分割
【原出願日】2022-04-28
【審査請求日】2024-07-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【氏名又は名称】北出 英敏
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】西本 舞
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-052767(JP,A)
【文献】特開2018-172921(JP,A)
【文献】特開2021-088906(JP,A)
【文献】特開2022-052521(JP,A)
【文献】実開平03-035126(JP,U)
【文献】特開平09-041597(JP,A)
【文献】特開平05-302410(JP,A)
【文献】特開2023-51359(JP,A)
【文献】特開2023-51488(JP,A)
【文献】実開昭58-60716(JP,U)
【文献】パナソニック株式会社,大型雨とい高排水システム 2021年1月カタログ,日本,2021年01月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/064
E04D 13/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と、
前記底壁の幅方向の両側から上方に
直線状に延びる第1及び第2側壁と、
前記第1側壁の上端と前記第2側壁の上端との一方に位置し、軒樋の外側に突出する突出部と、
を備え、
前記第1側壁及び第2側壁は、長さ、幅及び厚みを有する板状であり、
前記第1側壁の長さ方向において、前記第1側壁の幅及び厚みは略一定であり、
前記第2側壁の長さ方向において、前記第2側壁の幅及び厚みは略一定であり、
前記底壁、前記第1側壁、前記第2側壁、及び、前記突出部は、
前記第1側壁の上端と下端とを結ぶ第1直線の長さをL1、
前記第1側壁の前記上端が前記第2側壁の前記上端から離れる向きを正の方向とした前記底壁の厚み方向と前記第1直線との間の角度をθ1、
前記第1側壁の高さをH1、
前記第2側壁の上端と下端とを結ぶ第2直線の長さをL2、
前記第2側壁の前記上端が前記第1側壁の前記上端から離れる向きを正の方向とした前記底壁の前記厚み方向と前記第2直線との間の角度をθ2、
前記第2側壁の高さをH2、
前記底壁の幅をWとすると、
H1=L1cosθ1、
H2=L2cosθ2、
0°<θ
1≦10°、
0°<θ
2≦10°、
H1≧H2、
W≧200mm、
H2≧200mm、
を満たす
予め決まった形状を有するように樹脂材料の押出成形により一体的に形成される、
軒樋。
【請求項2】
H2/W≧0.5を満たす、
請求項1に記載の軒樋。
【請求項3】
H2/W≧2/3を満たす、
請求項1に記載の軒樋。
【請求項4】
H2/W≦2.5を満たす、
請求項1に記載の軒樋。
【請求項5】
W≧240mmを満たす、
請求項1に記載の軒樋。
【請求項6】
W≧350mmを満たす、
請求項1に記載の軒樋。
【請求項7】
W≦450mmを満たす、
請求項1に記載の軒樋。
【請求項8】
W≦400mmを満たす、
請求項1に記載の軒樋。
【請求項9】
前記軒樋全体の強度の補強のための芯材を備える、
請求項1に記載の軒樋。
【請求項10】
前記底壁、前記第1側壁、前記第2側壁、及び、前記突出部で構成され、前記底壁の長さ方向の両側に開口を有する軒樋部材と、
前記軒樋部材の前記底壁の長さ方向の両側に固定される終端部材と、
を備える、
請求項1に記載の軒樋
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、軒樋、受け具、及び、軒樋支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、軒樋、及び、軒樋吊り具を開示する。特許文献1では、軒樋の両側上端部に耳部が設けられる。軒樋吊り具では、軒樋吊り具本体の両端部に軒樋の耳部を嵌め込み支持するための略コ字状をした耳部支持部を設けると共に、軒樋吊り具本体に先端が上記耳部支持部に嵌まる軒樋の耳部の内面側に対向する弾性を有する外れ防止片を設けた軒樋吊り具である。外れ防止片の先端部を上方にL状に屈曲したL状屈曲片部を設ける。L状屈曲片部のコーナ部分の一部に耳部支持部側に向けて突出する突起を設ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような軒樋においては、排水性能の低下の低減及びオーバーフローの発生の低減が求められる。特許文献1に記載された軒樋吊り具のような軒樋を建物に取り付けるための部材においては、軒樋の変形を低減できることが求められる。
【0005】
本開示は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる軒樋を提供する。本開示は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる軒樋の変形を低減できる受け具を提供する。本開示は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減でき、さらに、軒樋の変形を低減できる軒樋支持構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様にかかる軒樋は、底壁と、底壁の幅方向の両側から上方に延びる第1及び第2側壁とを備える。第1側壁の上端と下端とを結ぶ第1直線の長さをL1、底壁の厚み方向と第1直線との間の角度をθ1、第1側壁の高さをH1、第2側壁の上端と下端とを結ぶ第2直線の長さをL2、底壁の厚み方向と第2直線との間の角度をθ2、第2側壁の高さをH2、底壁の幅をWとすると、H1=L1cosθ1、H2=L2cosθ2、|θ1|≦10°、|θ2|≦10°、H1≧H2、W≧200mm、H2≧200mm、を満たす。
【0007】
本開示の別の態様にかかる受け具は、上記の軒樋を支持する受け具であって、軒樋は、第1側壁の上端と第2側壁の上端との少なくとも一方に位置し、軒樋の外側及び内側の少なくとも一方に突出する突出部を備える。受け具は、軒樋の底壁の幅方向に延び底壁の下面を支持する支持部と、支持部の両側から上方に延びる第1及び第2腕部と、第1腕部と第2腕部との少なくとも一方に位置し、軒樋の突出部に上方から結合する結合部と、を備える。
【0008】
本開示の更に別の態様にかかる軒樋支持構造は、上記の軒樋と、軒樋を支持する受け具とを備える。軒樋は、第1側壁の上端と第2側壁の上端との少なくとも一方に位置し、軒樋の外側及び内側の少なくとも一方に突出する突出部を備える。受け具は、軒樋の底壁の幅方向に延び底壁の下面を支持する支持部と、支持部の両側から上方に延びる第1及び第2腕部と、第1腕部と第2腕部との少なくとも一方に位置し、軒樋の突出部に上方から結合する結合部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。本開示の別の態様は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる軒樋の変形を低減できる。本開示の更に別の態様は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減でき、さらに、軒樋の変形を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1にかかる雨樋システムの構成例の概略図
【
図2】
図1の雨樋システムの軒樋支持構造の構成例の上面図
【
図8】実施の形態2にかかる軒樋支持構造の構成例の断面図
【
図10】実施の形態3にかかる軒樋支持構造の構成例の断面図
【
図11】実施の形態4にかかる軒樋支持構造の構成例の断面図
【
図13】実施の形態5にかかる軒樋支持構造の構成例の断面図
【
図15】実施の形態6にかかる軒樋支持構造の構成例の断面図
【
図17】実施の形態7にかかる軒樋支持構造の構成例の断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
[1.実施の形態]
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0012】
上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。以下の実施の形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、各要素の寸法比率は図面に図示された比率に限られるものではない。
【0013】
[1.1 実施の形態1]
[1.1.1 構成]
図1は、実施の形態1にかかる雨樋システム1の構成例の概略図である。雨樋システム1は、配管システムの一種である。雨樋システム1は、建物10の屋根10aからの雨水を受けて、地面11のます部12に流す。ます部12に集められた雨水は、ます部12から埋設管13を通って雨水管に流れ出る。建物10は、例えば、店舗、オフィス、工場、ビル、学校、福祉施設又は病院等の非住宅施設、及び戸建住宅、集合住宅、又は戸建住宅若しくは集合住宅の各住戸等の住宅施設の建物である。非住宅施設には、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、百貨店、ホテル、旅館、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅及び空港等も含む。
【0014】
図1の雨樋システム1は、軒樋支持構造4と、ドレン5と、排水部6と、を備える。
【0015】
図2は、雨樋システム1の軒樋支持構造4の構成例の上面図である。
図3は、軒樋支持構造4の部分斜視図である。
図4は、軒樋支持構造4の断面図である。
【0016】
図2~
図4に示すように、軒樋支持構造4は、軒樋2と、受け具3とを備える。
図2の軒樋支持構造4は、複数の受け具3を備える。受け具3の数及び位置は、建物10の形状等に応じて適宜設定されてよい。
【0017】
軒樋2は、建物10の屋根10aからの雨水を受ける。
図2の軒樋2は、建物10の屋根10aの軒先に設置される。特に、軒樋2は、建物10の屋根10aの軒先に沿って延びるように配置される。
【0018】
図2、
図3及び
図4に示すように、軒樋2は、底壁20と、第1側壁21と、第2側壁22と、突出部23と、を備える。第1側壁21及び第2側壁22は、立壁ともいわれる。
【0019】
底壁20は、長さ、幅及び厚みを有する板状である。
図2の底壁20は、矩形の板状である。底壁20の長さ方向において、底壁20の幅及び厚みは略一定である。底壁20には、雨樋システム1の全体の設計に応じて、落とし口20aが形成される。
【0020】
第1側壁21及び第2側壁22は、底壁20の幅方向の両側から上方に延びる。特に、第2側壁22は、底壁20の幅方向における建物10側の端から上方に延び、第1側壁21は、底壁20の幅方向における建物10とは反対側の端から上方に延びる。第1側壁21及び第2側壁22は、長さ、幅及び厚みを有する板状である。第1側壁21及び第2側壁22は、矩形の板状である。第1側壁21の長さ方向において、第1側壁21の幅及び厚みは略一定である。第2側壁22の長さ方向において、第2側壁22の幅及び厚みは略一定である。
【0021】
突出部23は、第1側壁21の上端21aに位置し、軒樋2の内側に突出する。軒樋2の内側は、底壁20の幅方向の両側から底壁20の幅方向に中央に向かう方向である。
図5の突出部23は、第1側壁21の上端21aから軒樋2の内側に延びる第1片231と、第1片231の先端から軒樋2の底壁20側に延びる第2片232と、第2片232の先端から軒樋2の第1側壁21側に延びる第3片233とを備える。軒樋2の底壁20の長さ方向に直交する面内において、突出部23は、略U字状である。
【0022】
本実施の形態において、底壁20と、第1側壁21と、第2側壁22と、突出部23とは、一体的に形成される。底壁20と、第1側壁21と、第2側壁22と、突出部23とは、軒樋部材2aを構成する。軒樋部材2a、つまり、底壁20と、第1側壁21と、第2側壁22と、突出部23とは、例えば、樹脂材料の押出成形により形成される。軒樋部材2aは、軒樋2全体の強度の補強のための芯材を備えてよい。芯材は、例えば、金属製であり得る。
【0023】
本実施の形態において、軒樋2は、樹脂材料の押出成形により予め決まった形状を有して現場に搬送される。金属板、例えば鋼板(コイルとも呼ばれる)により軒樋を形成する場合とは異なり、現場加工を伴わない。具体的には、コイルの切断、コイルの曲げ加工、継ぎ目等の封止のためのシーラント、養生等の工程を現場で実施する必要ないから、現場での作業工数が増えるという問題がなく、雨樋システム1の施工が容易に行える。
【0024】
図2の軒樋2は、軒樋部材2aに加えて、終端部材2b,2cを備える。終端部材2b,2cは、軒樋部材2aの底壁20の長さ方向の両側に固定される。終端部材2b,2cは、軒樋部材2aの底壁20の長さ方向の両側の開口を覆う板状である。
図2の軒樋2は、軒樋部材2a及び終端部材2b,2cの3つの部材を備え、軒樋部材2aは、底壁20と、第1側壁21と、第2側壁22と、突出部23とを備える。
【0025】
図5は、軒樋2の断面図である。
図5の軒樋2において、第1側壁21の上端21aと下端21bとを結ぶ第1直線S1の長さをL1、底壁20の厚み方向と第1直線S1との間の角度をθ1、第1側壁21の高さをH1とする。軒樋2は、H1=L1cosθ1を満たす。
図5の軒樋2において、直線S1の長さL1は、第1側壁21の幅に等しい。
【0026】
図5の軒樋2において、第2側壁22の上端22aと下端22bとを結ぶ第2直線S2の長さをL2、底壁20の厚み方向と第2直線S2との間の角度をθ2、第2側壁22の高さをH2とする。軒樋2は、H2=L2cosθ2を満たす。
図5の軒樋2において、直線S2の長さL2は、第2側壁22の幅に等しい。
【0027】
図5の軒樋2は、|θ1|≦10°を満たす。θ1は、第1側壁21の上端21aが第2側壁22の上端22aから離れる向き(
図5の反時計回り方向)を正の方向とする。軒樋2は、θ1≧0°を満たすとよい。
【0028】
図5の軒樋2は、|θ2|≦10°を満たす。θ2は、第2側壁22の上端22aが第1側壁21の上端21aから離れる向き(
図5の時計回り方向)を正の方向とする。軒樋2は、θ2≧0°を満たすとよい。
【0029】
本実施の形態において、第1側壁21は、第2側壁22に対して建物10とは反対側にある。H1<H2の場合、軒樋2内に溜まった雨水が、建物10とは反対側に漏れやすくなる。以上から、
図5の軒樋2は、H1≧H2を満たす。つまり、軒樋2は、L1cosθ1≧L2cosθ2を満たす。特に、
図5の軒樋2では、H1>H2である。
【0030】
軒樋2においては、底壁20の幅方向における落とし口20aの両側の領域R1において、局所的な水位低下が起こりやすい。領域R1は、直角三角形状である。領域R1が狭いほど局所的な水位低下の影響が大きくなりやすい。軒樋2において、水位が下がって、ドレン5が水面から露出すると、ドレン5から空気が流入し得る。ドレン5からの空気の流入は、サイフォン現象による排水の効率の低下の一因となる。このような傾向は、流量が大きいほど顕著になると考えられる。しかしながら、従来提案されている軒樋のサイズでは、排水性能の低減が十分ではなかった。
【0031】
JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格によれば、呼び径が125のVU管の内径は、おおよそ131mmである。この場合、
図2に示す落とし口20aの内径dは同様に131mmに設定される。落とし口20aの中心が底壁20の幅方向の中心に一致する場合、落とし口20aの両側には、距離Xのマージンがある。距離Xが大きいほど、領域R1が大きくなるから、局所的な水位低下の影響を低減でき得る。ここで、落とし口20aの内径d、距離X、第1及び第2側壁21,22間の最短距離W1は、W1=d+2Xの関係を満たす。呼び径が125のVU管の使用時において、マージンを十分に確保するという観点から、
図5の軒樋2は、W1≧200mmを満たすとよい。通常、軒樋2に底壁20、第1側壁21及び第2側壁22の厚みは数mm程度であり、第1及び第2側壁21,22間の最短距離W1は、底壁20の幅Wに実質的に等しいと考えてよい。したがって、
図5の軒樋2は、W1≧200mmを満たすとよい。これによって、高流量時にも、空気のドレン5への流入を抑制し、排水性能の低減を抑止することができ得る。
【0032】
軒樋2は、サイフォン現象が発生するまでは、雨水がオーバーフローしないような容量を有することが好ましい。しかしながら、従来提案されている軒樋のサイズでは、オーバーフローの低減が十分ではなかった。本実施の形態の軒樋2においては、上述したように、排水性能の低減のために、W≧200mmである。オーバーフローの防止という観点から、W=200mmである場合を考慮する。軒樋2において、サイフォン現象は瞬時に発生せず、サイフォン現象の発生までにはある程度の時間がかかることが知られている。そして、雨量が160mm/hである場合に、サイフォン現象の発生までにかかる時間を考慮すると、雨が降ってから16秒経過するまでオーバーフローしなければ、サイフォン現象の発生によって、そのままオーバーフローすることなく、雨水の排水が可能になるという知見が得られた。そこで、このような観点から、
図5の軒樋2は、H2≧200mmを満たすとよい。これによって、サイフォン現象の発生までのリードタイムを考慮した、充分に安全な軒樋2の高さを確保でき得る。
【0033】
マージンをさらに十分に確保するという観点から、軒樋2は、W≧240mmを満たすことが好ましい。軒樋2は、W≧350mmを満たすことがより好ましい。
【0034】
軒樋2は比較的厚みが薄いため、Wが大きくなりすぎると、軒樋2自体の形状を維持することが難しくなる場合がある。この観点から、軒樋2は、W≦450mmを満たすことが好ましい。軒樋2は、W≦400mmを満たすことがより好ましい。
【0035】
軒樋2において、Wが大きくなると、第1側壁21により受け具3にかかる力のモーメントが増える。受け具3にかかる力のモーメントが増えると、受け具3の要求強度が増加し得る。そのため、Wは大きすぎないほうがよい。WがH2より大きくなると、軒樋2は全体として扁平な形状となる。軒樋2が扁平な形状であると、屋根10aから軒樋2内に落下した雨水が底壁20に当たって跳ねて軒樋2から外部に出てしまう可能性が増える。つまり、軒樋2が屋根10aから雨水を受けにくくなる可能性がある。また、底壁20の面積(軒樋2の底面積)が増加し、風等の影響を受けやすくなる。以上から、H2とWの関係では、軒樋2は、H2/W≧0.5を満たすことが好ましい。特に、軒樋2は、H2/W≧2/3を満たすことがより好ましい。
【0036】
軒樋2において、H2が大きくなると、軒樋2は全体として縦長な形状となる。軒樋2が縦長な形状であると、屋根10aの厚みに対して、軒樋2の上下方向の寸法が大きくなりすぎる。以上から、軒樋2は、H2/W≦2.5を満たすことが好ましい。
【0037】
受け具3は、軒樋2を支持する。受け具3は、軒樋2を、建物10の屋根10aの軒先に設置するために利用される。
【0038】
図6は、受け具3の断面図である。受け具3は、支持部30と、第1及び第2腕部31,32と、結合部33と、連結部34と、固定部35と、を備える。
【0039】
図4に示すように、支持部30は、軒樋2の底壁20の幅方向に延び底壁20の下面を支持する。支持部30は、長さ、幅及び厚みを有する板状である。
【0040】
固定部35は、支持部30の長さ方向の第1端から下方に延びる。固定部35は、支持部30は、長さ、幅及び厚みを有する板状である。
図6において、固定部35は、支持部30の長さ方向の第1端から下方に延びるように、支持部30に一体的に形成される。
【0041】
第1腕部31及び第2腕部32は、支持部30の両側から上方に延びる。第1腕部31及び第2腕部32の各々は、長さ、幅及び厚みを有する板状である。第1腕部31は、固定部35により支持部30に結合される。第1腕部31の下端部分が固定部35にねじ3cで結合されることで、第1腕部31は、支持部30に固定される。第2腕部32は、支持部30の長さ方向の第2端から上方に延びるように支持部30に一体的に形成される。
【0042】
図4に示すように、第1腕部31は、軒樋2の第1側壁21に対応する。第1腕部31は、軒樋2の第1側壁21の外面に沿って延びる形状である。第1側壁21の外面は、第1側壁21において第2側壁22とは反対側の面である。
図4に示すように、第2腕部32は、軒樋2の第2側壁22に対応する。第2腕部32は、軒樋2の第2側壁22の外面に沿って延びる形状である。第2側壁22の外面は、第2側壁22において第1側壁21とは反対側の面である。
【0043】
結合部33は、第1腕部31に位置する。結合部33は、軒樋2の突出部23に上方から結合するように構成される(
図4参照)。
図6の結合部33は、第1腕部31から第2腕部32側に延びる第1片331と、第1片331の先端から支持部30側に延びる第2片332とを備える。結合部33は、第1片331と第2片332とにより、第1腕部31との間に凹所333を形成する。
図4に示すように、凹所333は、軒樋2の突出部23が嵌る大きさである。
【0044】
結合部33の寸法は、雨樋システム1の通常の使用時において、結合部33から突出部23が外れない、つまり、結合部33の凹所333から突出部23が抜けないように設定され得る。雨樋システム1の設置環境においては、軒樋2が風で揺れる場合があり、このような場合に、突出部23が結合部33から外れないことが望ましい。
【0045】
結合部33の寸法は、例えば、
図4のg1,g2を考慮して設定され得る。
図4のg1は、突出部23と結合部33の第1片331との間の空間の寸法(上下方向の寸法)である。
図4のg2は、突出部23と結合部33の第2片332とが重なる領域の寸法(上下方向の寸法)である。一例として、g1は1mm以下であってよい。g2は、g2≧2×g1であってよい。このように設定すれば、風等で軒樋2が撓んだ場合でも、軒樋2の突出部23が結合部33から外れにくくなる。なお、上記のg1,g2の数値はあくまでも一例である。結合部33の寸法は、結合部33が突出部23と結合し、風等で外れるような事象が起こらないように設定されればよい。g1,g2を適宜設定することで、結合部33と突出部23との結合のしやすさ等を適宜設定できる。
【0046】
突出部23が結合部33に結合していることによって、受け具3で軒樋2の第1側壁21を支持できる。これにより、軒樋2の変形、特に、第1側壁21の変形、例えば、第1側壁21が内側(第2側壁22側)に倒れたり、反対に第1側壁21が外側(第2側壁22とは反対側)に倒れたりすることを低減できる。
【0047】
特に、軒樋2では、少なくとも、底壁20,第1側壁21及び第2側壁22が、樹脂材料の押出成形により一体的に形成される。そのため、軒樋全体を金属板で形成する場合に比べれば、第1側壁21及び第2側壁22の強度が低下する。第1側壁21及び第2側壁22は、軒樋2に溜まる雨水等からの圧力、風圧等の影響により比較的大きな力を受けやすい。全体が金属板で形成された軒樋は、ねじ等により受け具に直接的に固定される。しかしながら、樹脂材料を用いた場合の、第1側壁21及び第2側壁22の強度の低下を考慮すると、ねじ等による直接的な固定は、第1側壁21及び第2側壁22自体の破損の一因となり得る。本実施の形態においては、軒樋2の突出部23が、受け具3の結合部33の凹所333に嵌まることで、突出部23が結合部33に結合されるから、ネジ等を利用する必要がなく、軒樋2の破損が防止される。
【0048】
連結部34は、軒樋2の底壁20の上面側において、第1腕部31と第2腕部32とを連結する。連結部34によって、第1腕部31と第2腕部32とが互いに離れる方向に変形することが抑制される。これによって、軒樋2の第1側壁21及び第2側壁22が互いに離れる方向に変形しようとしても、第1腕部31及び第2腕部32によって、このような変形の可能性が低減される。
図6の連結部34は、第1腕部31の上端と第2腕部32の上端とを連結する。
図6の連結部34は、第1腕部31の上端から第2腕部32側に延びる第1部位341と、第2腕部32の上端から第1腕部31側に延びる第2部位342とを有する。第1部位341は、第1腕部31に一体的に形成される。第2部位342は、第2腕部32に一体的に形成される。第1部位341と第2部位3421とは、ねじ3dにより互いに結合される。ねじ3dは、受け具3の建物10の屋根10aへの取り付けに利用されてよい。
【0049】
図6の受け具3は、第1部材3aと第2部材3bとの2部材で構成される。第1部材3a及び第2部材3bは、いずれも、金属材料により形成される。
図6の第1部材3aは、第1腕部31と、結合部33と、連結部34の第1部位341とを含む。第1部材3aは、金属の板材の折り曲げ加工により形成される。金属の板材は、例えば、長さ方向において、幅及び厚みが略一定である。したがって、第1腕部31と、結合部33と、連結部34の第1部位341とは、同一の金属の板材から形成される。
【0050】
図7は、受け具3の部分拡大図である。
図7に示すように、第1腕部31は、金属の板材300から形成されている。結合部33は、金属の板材300の一部を折り曲げて形成される。
図7では、金属の板材300の幅方向の中央の一部301を切り起すことによって、結合部33が形成されている。結合部33を形成したことによって、金属の板材300には、開口302が存在している。
【0051】
図6の第2部材3bは、支持部30と、第2腕部32と、連結部34の第2部位342と、固定部35とを含む。第2部材3bは、金属の板材の折り曲げ加工により形成される。金属の板材は、例えば、長さ方向において、幅及び厚みが略一定である。
【0052】
第1部材3a及び第2部材3bの形成に用いる金属の板材の例としては、メッキ鋼板が挙げられる。金属の板材の厚みは、一例として、3mm~4mm程度である。金属の板材の幅は、一例として、20mm程度である。この場合、結合部33の幅は、10mm程度であってよい。
【0053】
本実施の形態の軒樋支持構造4では、受け具3は、
図2~
図4に示すように、軒樋2に取り付けられる。特に、軒樋2を受け具3に取り付けるにあたっては、軒樋2の底壁20、第1側壁21及び第2側壁22を、受け具3の支持部30、第1腕部31及び第2腕部32にそれぞれ接触させるように配置し、更に、軒樋2の突出部23を受け具3の結合部33に結合させる。このように、軒樋2は、第1側壁21の上端に位置する突出部23が受け具3の結合部33と結合する。これによって、軒樋2の変形が低減される。
【0054】
ドレン5は、軒樋2の落とし口20aに配置される。ドレン5は、落とし口20aでの渦の発生及び空気の巻き込みを低減する。ドレン5は、サイフォン現象の発生に寄与し得る。ドレン5は、周知の構成であってよい。
【0055】
排水部6は、軒樋2の落とし口20aから雨水をます部12に排水するために設置される。
図1の排水部6は、竪樋61と、呼び樋62と、第1エルボ63と、第2エルボ64と、補助竪樋65と、を備える。一例として、竪樋61の長さは10m、呼び樋62の長さは1m、補助竪樋65の長さは0.2mである。
【0056】
竪樋61は、軒樋2の落とし口20aからの雨水を垂直に流すための流路を形成する。竪樋61は、直管状である。竪樋61の管軸に直交する断面は円形状である。竪樋61の材料は、例えば、硬質ポリ塩化ビニルである。竪樋61の寸法、例えば、外形と厚さは、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格に沿って設定されてよい。
図1の竪樋61は、竪樋61の管軸の方向が上下方向(鉛直方向)に一致するように配置される。竪樋61は、上流側の端部と下流側の端部とを有する。竪樋61の上流側の端部は、竪樋61において落とし口20aに接続される端部(
図1での上端部)である。竪樋61の下流側の端部は、竪樋61において、ます部12に挿入される端部(
図1での下端部)である。
図1では、竪樋61とます部12との隙間からます部12内に雨水が流入しないように排水管カバー61aが配置される。
【0057】
図1の排水部6では、竪樋61は、落とし口20aに直接的に接続されていない。排水部6では、竪樋61は、呼び樋62、第1エルボ63、第2エルボ64及び補助竪樋65を介して、落とし口20aに接続される。
【0058】
呼び樋62は、軒樋2の落とし口20aから竪樋61に建物10からの雨水を流すための部分である。呼び樋62は、建物10からの雨水の落とし口20aと竪樋61との間にある。呼び樋62は、落とし口20aからの雨水を略水平に流すための流路を形成する。呼び樋62は、上流側の端部と下流側の端部とを有する。呼び樋62の上流側の端部は、呼び樋62において落とし口20aに接続される端部(
図1での左端部)である。呼び樋62の下流側の端部は、呼び樋62において竪樋61に接続される端部(
図1での右端部)である。
【0059】
第1エルボ63は、呼び樋62の上流側の端部を落とし口20aに接続する。第1エルボ63は、必ずしも呼び樋62の上流側の端部を落とし口20aに直接的に接続する部材ではなく、呼び樋62の上流側の端部を落とし口20aに他の部材を介して間接的に接続する部材であってよい。第1エルボ63の材料は、例えば、硬質ポリ塩化ビニルである。第1エルボ63は、竪樋61及び呼び樋62等の管材を第1エルボ63に接続するための上流側及び下流側の受け口を有する。上流側及び下流側の受け口の中心軸間の角度は、例えば、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」で規定される91.17°である。第1エルボ63の管軸を含む平面での、第1エルボ63の内周側及び外周側の角部は、R形状ではなくほぼ直角形状である。
【0060】
第2エルボ64は、呼び樋62の下流側の端部を竪樋61の上流側の端部に接続する。第2エルボ64は、必ずしも呼び樋62の下流側の端部を竪樋61の上流側の端部に直接的に接続する部材ではなく、呼び樋62の下流側の端部を竪樋61の上流側の端部に他の部材を介して間接的に接続する部材であってよい。第2エルボ64の材料は、例えば、硬質ポリ塩化ビニルである。第2エルボ64は、竪樋61及び呼び樋62等の管材を第2エルボ64に接続するための上流側及び下流側の受け口を有する。上流側及び下流側の受け口の中心軸間の角度は、例えば、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」で規定される91.17°である。第2エルボ64の管軸を含む平面での、第2エルボ64の内周側及び外周側の角部は、R形状ではなくほぼ直角形状である。
【0061】
第1エルボ63の寸法及び第2エルボ64の寸法は、例えば、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」の規格に沿って設定されてよい。第1エルボ63及び第2エルボ64の少なくとも一方は、JIS K 6739で規定される90°曲がりエルボであってよい。
【0062】
補助竪樋65は、落とし口20aから第1エルボ63に建物10からの雨水を垂直に流すための部分である。補助竪樋65は、落とし口20aと第1エルボ63との間にある。補助竪樋65は、直管状である。補助竪樋65の管軸に直交する断面は円形状である。補助竪樋65の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。補助竪樋65の寸法、例えば、外形と厚さは、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格に沿って設定されてよい。
図1の補助竪樋65は、落とし口20aと第1エルボ63との間に、補助竪樋65の管軸の方向が上下方向(鉛直方向)に一致するように配置される。補助竪樋65は、上流側の端部と下流側の端部とを有する。補助竪樋65の上流側の端部は、補助竪樋65において落とし口20aに接続される端部(
図1での上端部)である。補助竪樋65の下流側の端部は、補助竪樋65において、第1エルボ63に接続される端部(
図1での下端部)である。
【0063】
[1.1.2 効果等]
以上述べた軒樋2は、底壁20と、底壁20の幅方向の両側から上方に延びる第1及び第2側壁21,22と、を備える。第1側壁21の上端21aと下端21bとを結ぶ第1直線S1の長さをL1、底壁20の厚み方向と第1直線S1との間の角度をθ1、第1側壁21の高さをH1、第2側壁22の上端22aと下端22bとを結ぶ第2直線S2の長さをL2、底壁20の厚み方向と第2直線S2との間の角度をθ2、第2側壁22の高さをH2、底壁20の幅をWとすると、H1=L1cosθ1、H2=L2cosθ2、|θ1|≦10°、|θ2|≦10°、H1≧H2、W≧200mm、H2≧200mm、を満たす。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0064】
軒樋2において、H2/W≧0.5を満たす。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0065】
軒樋2において、H2/W≧2/3を満たす。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0066】
軒樋2において、H2/W≦2.5を満たす。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0067】
軒樋2において、W≧240mmを満たす。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0068】
軒樋2において、W≧350mmを満たす。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0069】
軒樋2において、W≦450mmを満たす。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0070】
軒樋2において、W≦400mmを満たす。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0071】
軒樋2において、θ1は、第1側壁21の上端21aが第2側壁22の上端22aから離れる向きを正の方向とし、θ1≧0°を満たす。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0072】
軒樋2において、θ2は、第2側壁22の上端22aが第1側壁21の上端21aから離れる向きを正の方向とし、θ2≧0°を満たす。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0073】
軒樋2において、底壁20、第1側壁21及び第2側壁22は、樹脂材料の押出成形により一体的に形成される。この構成は、施工現場での軒樋2の成形の必要がなくなるから施工性の向上が可能になる。
【0074】
以上述べた受け具3は、軒樋2を支持する。軒樋2は、第1側壁21の上端21aに位置し、軒樋2の内側に突出する突出部23を備える。受け具3は、軒樋2の底壁20の幅方向に延び底壁20の下面を支持する支持部30と、支持部30の両側から上方に延びる第1及び第2腕部31,32と、第1腕部31に位置し、軒樋2の突出部23に上方から結合する結合部33と、を備える。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる軒樋2の変形を低減できる。
【0075】
受け具3において、第1腕部31は、金属の板材300から形成される。結合部33は、金属の板材300の一部を折り曲げて形成される。この構成は、受け具3の構造の簡素化を可能にし、製造コストの低減を可能にする。
【0076】
受け具3は、軒樋2の底壁20の上面側に位置し、第1及び第2腕部31,32同士を連結する連結部34を更に備える。この構成は、軒樋2の変形を低減できる。
【0077】
以上述べた軒樋支持構造4は、軒樋2と、軒樋2を支持する受け具3と、を備える。軒樋2は、第1側壁21の上端21aに位置し、軒樋2の内側に突出する突出部23を備える。受け具3は、軒樋2の底壁20の幅方向に延び底壁20の下面を支持する支持部30と、支持部30の両側から上方に延びる第1及び第2腕部31,32と、第1腕部31に位置し、軒樋2の突出部23に上方から結合する結合部33と、を備える。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0078】
軒樋支持構造4において、底壁20、第1側壁21、第2側壁22及び突出部23は、樹脂材料の押出成形により一体的に形成される。この構成は、施工現場での軒樋2の成形の必要がなくなるから施工性の向上が可能になる。
【0079】
[1.2 実施の形態2]
[1.2.1 構成]
図8は、本実施の形態にかかる軒樋支持構造4Bの構成例の断面図である。
図8の軒樋支持構造4Aは、軒樋2Aと、受け具3Aとを備える。
【0080】
軒樋2Aは、底壁20と、第1側壁21と、第2側壁22と、突出部23と、を備える。軒樋2Aでは、第1側壁21及び第2側壁22は、底壁20の幅方向の両側から、底壁20の厚み方向に沿って上方に延びる。
【0081】
図9は、軒樋2Aの断面図である。
図9の軒樋2Aにおいて、第1側壁21の上端21aと下端21bとを結ぶ第1直線S1の長さをL1、第1側壁21の高さをH1とする。軒樋2Aは、H1=L1を満たす。つまり、底壁20の厚み方向と第1直線S1との間の角度(
図5に示すθ1に対応する角度)は0°である。
図9の軒樋2Aにおいて、直線S1の長さL1は、第1側壁21の幅(
図9における上下方向の寸法)に等しい。
【0082】
図9の軒樋2Aにおいて、第2側壁22の上端22aと下端22bとを結ぶ第2直線S2の長さをL2、第2側壁22の高さをH2とする。軒樋2は、H2=L2を満たす。つまり、底壁20の厚み方向と第2直線S2との間の角度(
図5に示すθ2に対応する角度)は0°である。
図9の軒樋2Aにおいて、直線S2の長さL2は、第2側壁22の幅(
図9における上下方向の寸法)に等しい。
【0083】
図9の軒樋2Aは、H1≧H2を満たす。つまり、軒樋2は、L1≧L2を満たす。特に、
図9の軒樋2Aでは、H1>H2である。
【0084】
図9の軒樋2Aは、W≧200mmを満たし、H2≧200mmを満たす。軒樋2Aは、W≧240mmを満たすことが好ましい。軒樋2Aは、W≧350mmを満たすことがより好ましい。軒樋2Aは、W≦450mmを満たすことが好ましい。軒樋2Aは、W≦400mmを満たすことがより好ましい。
【0085】
H2とWの関係では、軒樋2Aは、H2/W≧0.5を満たすことが好ましい。軒樋2Aは、H2/W≧2/3を満たすことがより好ましい。軒樋2Aは、H2/W≦2.5を満たすことが好ましい。
【0086】
受け具3Aは、軒樋2Aを支持する。受け具3Aは、軒樋2Aを、建物10の屋根10aの軒先に設置するために利用される。受け具3Aは、支持部30と、第1及び第2腕部31,32と、結合部33と、連結部34と、固定部35と、を備える。受け具3Aでは、第1腕部31及び第2腕部32は、支持部30の両側から、支持部30の厚み方向に沿って上方に延びる。
【0087】
[1.2.2 効果等]
以上述べた軒樋2Aは、底壁20と、底壁20の幅方向の両側から上方に延びる第1及び第2側壁21,22と、を備える。第1側壁21の上端21aと下端21bとを結ぶ第1直線S1の長さをL1、第1側壁21の高さをH1、第2側壁22の上端22aと下端22bとを結ぶ第2直線S2の長さをL2、第2側壁22の高さをH2、底壁20の幅をWとすると、H1=L1、H2=L2、H1≧H2、W≧200mm、H2≧200mm、を満たす。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0088】
以上述べた受け具3Aは、軒樋2Aを支持する。軒樋2Aは、第1側壁21の上端21aに位置し、軒樋2Aの内側に突出する突出部23を備える。受け具3Aは、軒樋2Aの底壁20の幅方向に延び底壁20の下面を支持する支持部30と、支持部30の両側から上方に延びる第1及び第2腕部31,32と、第1腕部31に位置し、軒樋2Aの突出部23に上方から結合する結合部33と、を備える。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる軒樋2の変形を低減できる。
【0089】
以上述べた軒樋支持構造4Aは、軒樋2Aと、軒樋2Aを支持する受け具3Aと、を備える。軒樋2Aは、第1側壁21の上端21aに位置し、軒樋2Aの内側に突出する突出部23を備える。受け具3Aは、軒樋2Aの底壁20の幅方向に延び底壁20の下面を支持する支持部30と、支持部30の両側から上方に延びる第1及び第2腕部31,32と、第1腕部31に位置し、軒樋2Aの突出部23に上方から結合する結合部33と、を備える。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0090】
[1.3 実施の形態3]
[1.3.1 構成]
図10は、本実施の形態にかかる軒樋支持構造4Bの構成例の断面図である。
図10の軒樋支持構造4Bは、軒樋2と、受け具3Bとを備える。
【0091】
図10の受け具3Bは、支持部30と、第1及び第2腕部31,32と、結合部33Bと、連結部34と、固定部35と、を備える。
【0092】
図10の結合部33Bは、第1腕部31に位置する。結合部33Bは、軒樋2の突出部23に上方から結合するように構成される。
図10の結合部33Bは、第1腕部31から第2腕部32側に延びる第1片331と、第1片331の先端から支持部30側に延びる第2片332と、第2片332の先端から支持部30側に延びる外れ防止片334とを備える。結合部33Bは、第1片331と第2片332とにより、第1腕部31との間に凹所333を形成する。凹所333は、軒樋2の突出部23が嵌る大きさである。
【0093】
外れ防止片334は、軒樋2の突出部23が結合部33Bから外れないように突出部23の移動を制限する。
図10の外れ防止片334は、弾性を有し、部分的に第1側壁21側に突出する形状である。外れ防止片334と第1側壁21との間の隙間は、第2片332と第1側壁21との間の隙間より狭くなっており、これによって、結合部33Bの凹所333内に突出部23が位置する状態が維持され得る。外れ防止片334は、弾性を有するから、結合部33Bから突出部23を外す場合には、外れ防止片334と第1側壁21との間の隙間が広くなるように外れ防止片334を弾性的に変形させればよい。
図10の外れ防止片334は、いわゆるスナップフィットによって、突出部23が結合部33Bから外れないように固定する。
【0094】
[1.3.2 効果等]
以上述べた受け具3Bにおいて、結合部33Bは、軒樋2の突出部23が結合部33Bから外れないように突出部23の移動を制限する外れ防止片334を備える。この構成は、結合部33と突出部23との結合が意図せずに外れる可能性を低減できる。
【0095】
[1.4 実施の形態4]
[1.4.1 構成]
図11は、本実施の形態にかかる軒樋支持構造4Cの構成例の断面図である。
図11の軒樋支持構造4Cは、軒樋2と、受け具3Cとを備える。
【0096】
図11の受け具3Cは、支持部30と、第1及び第2腕部31,32と、結合部33Cと、連結部34と、固定部35と、を備える。
【0097】
図11の結合部33Cは、第1腕部31に位置する。結合部33Cは、軒樋2の突出部23に上方から結合するように構成される。
図11の結合部33Cは、第1腕部31に固定される固定片335と、固定片335から第2腕部32側に延びる第1片331と、第1片331の先端から支持部30側に延びる第2片332とを備える。結合部33Cは、第1片331と第2片332とにより、第1腕部31との間に凹所333を形成する。凹所333は、軒樋2の突出部23が嵌る大きさである。
【0098】
図11の受け具3Cは、第1部材3aと第2部材3bと結合部33Cとの3部材で構成される。第1部材3a、第2部材3b及び結合部33Cは、いずれも、金属材料により形成される。
図11の第1部材3aは、第1腕部31と連結部34の第1部位341とを含む。第1部材3aは、金属の板材の折り曲げ加工により形成される。金属の板材は、例えば、長さ方向において、幅及び厚みが略一定である。
図11の第2部材3bは、支持部30と、第2腕部32と、連結部34の第2部位342と、固定部35とを含む。第2部材3bは、金属の板材の折り曲げ加工により形成される。金属の板材は、例えば、長さ方向において、幅及び厚みが略一定である。
図11の結合部33Cは、金属の板材の折り曲げ加工により形成される。
【0099】
図12は、受け具3Cの部分拡大図である。
図12に示すように、結合部33Cは、溶接により第1腕部31に固定される。本実施の形態において、結合部33Cは、結合部33Cの固定片335を第1腕部31に溶接することによって、第1腕部31に固定される。結合部33Cの固定片335を第1腕部31に溶接する方法としては、スポット溶接が挙げられる。
【0100】
第1部材3a、第2部材3b及び結合部33Cの形成に用いる金属の板材の例としては、メッキ鋼板が挙げられる。結合部33Cは、第1部材3a及び第2部材3bに比べて強度が要求されない。そのため、結合部33Cを形成するための金属の板材は、第1部材3a及び第2部材3bを形成するための金属の板材より薄くてもよい。一例として、第1部材3a及び第2部材3bを形成するための金属の板材の厚みは、3mm~4mm程度であり、結合部33Cの形成に用いる金属の板材の厚みは、2mm程度である。
【0101】
本実施の形態において、結合部33Cは、第1腕部31とは一体的に形成されておらず、別部材である。そのため、結合部33Cの設計を、第1腕部31の設計とは独立して行うことができる。よって、結合部33Cの設計の自由度を向上できる。
【0102】
[1.4.2 効果等]
以上述べた受け具3Cにおいて、結合部33Cは、第1腕部31に溶接により固定される。この構成は、結合部33Cの設計の自由度を向上できる。
【0103】
[1.5 実施の形態5]
[1.5.1 構成]
図13は、本実施の形態にかかる軒樋支持構造4Dの構成例の断面図である。
図13の軒樋支持構造4Dは、軒樋2と、受け具3Dとを備える。
【0104】
図13の結合部33Dは、第1腕部31に位置する。結合部33Dは、軒樋2の突出部23に上方から結合するように構成される。
図13の結合部33Dは、第1腕部31に取り付けられる取付片336と、取付片336から第2腕部32側に延びる第1片331と、第1片331の先端から支持部30側に延びる第2片332とを備える。結合部33Dは、第1片331と第2片332とにより、第1腕部31との間に凹所333を形成する。凹所333は、軒樋2の突出部23が嵌る大きさである。
【0105】
図13の受け具3Dは、第1部材3aと第2部材3bと結合部33Dとの3部材で構成される。第1部材3a、第2部材3b及び結合部33Cは、いずれも、金属材料により形成される。
図13の第1部材3aは、第1腕部31と連結部34の第1部位341とを含む。第1部材3aは、金属の板材の折り曲げ加工により形成される。金属の板材は、例えば、長さ方向において、幅及び厚みが略一定である。
図13の第2部材3bは、支持部30と、第2腕部32と、連結部34の第2部位342と、固定部35とを含む。第2部材3bは、金属の板材の折り曲げ加工により形成される。金属の板材は、例えば、長さ方向において、幅及び厚みが略一定である。
図13の結合部33Dは、金属の板材の折り曲げ加工により形成される。
【0106】
図13の結合部33Dは、連結具36により第1腕部31に取り付けられる。より詳細には、結合部33Dの取付片336が第1腕部31に連結具36により取り付けられる。本実施の形態において、連結具36は、蝶ナットとボルトとで構成される。
【0107】
図14は、受け具3Dの部分拡大図である。
図14に示すように、結合部33Dは、突出部23と結合する第1位置と、突出部23と結合しない第2位置との間で移動可能である。
図14においては、第1位置にある結合部33Dが実線で図示され、第2位置にある結合部33Dが二点鎖線で図示されている。
図14に示すように、結合部33Dは、第1腕部31に対して、第1位置と第2位置との間で回転可能に取り付けられる。結合部33Dの回転軸は、連結具36により規定される。つまり、結合部33Dは、連結具36の周りに、第1位置と第2位置との間で回転可能である。換言すれば、連結具36は、結合部33Dが、第1腕部31に対して、第1位置と第2位置との間で回転可能であるように、結合部33Dを第1腕部31に連結する。連結具36の例としては、上述したように、蝶ナットとボルトとの組み合わせが挙げられるが、結合部33Dが、第1腕部31に対して、第1位置と第2位置との間で回転可能であるように結合できれば、特に限定されない。
【0108】
本実施の形態の軒樋支持構造4Dにおいて、軒樋2を受け具3Dに取り付けるにあたっては、結合部33Dを第2位置に位置させる。この後に、軒樋2の底壁20、第1側壁21及び第2側壁22を、受け具3Dの支持部30、第1腕部31及び第2腕部32にそれぞれ接触させるように配置する。次に、結合部33Dを第2位置から第1位置に移動させて、軒樋2の突出部23を受け具3Dの結合部33Dに結合させる。これによって、結合部33Dと突出部23とを容易に結合させることが可能になる。
【0109】
[1.5.2 効果等]
以上述べた受け具3Dにおいて、結合部33Dは、突出部23と結合する第1位置と、突出部23と結合しない第2位置との間で移動可能である。この構成は、結合部33Dと突出部23との結合の容易化を可能にする。
【0110】
受け具3Dにおいて、結合部33Dは、第1腕部31に対して、第1位置と第2位置との間で回転可能に取り付けられる。この構成は、結合部33Dと突出部23との結合の容易化を可能にする。
【0111】
[1.6 実施の形態6]
[1.6.1 構成]
図15は、本実施の形態にかかる軒樋支持構造4Eの構成例の断面図である。
図15の軒樋支持構造4Eは、軒樋2Eと、受け具3Eとを備える。
【0112】
図16は、軒樋2Eの断面図である。軒樋2Eは、底壁20と、第1側壁21と、第2側壁22と、突出部23と、を備える。軒樋2Eでは、第1側壁21及び第2側壁22は、底壁20の幅方向の両側から上方に延びる。第1側壁21及び第2側壁22は、長さ、幅及び厚みを有する板状である。第1側壁21及び第2側壁22は、矩形の板状である。第1側壁21の長さ方向において、第1側壁21の幅及び厚みは略一定である。第2側壁22の長さ方向において、第2側壁22の幅及び厚みは略一定である。
【0113】
本実施の形態において、第1側壁21及び第2側壁22は、幅方向において湾曲している。第1側壁21は、幅方向の中央が、第1側壁21の上端21aと下端21bとを結ぶ第1直線S1よりも、軒樋2Eの外側に位置するように、湾曲している。第2側壁22は、幅方向の中央が、第2側壁22の上端22aと下端22bとを結ぶ第2直線S2よりも、軒樋2Eの外側に位置するように、湾曲している。
図16においては、図を見やすくするためだけに、第1直線S1は、上端21a及び下端21bの間から平行にずらして図示している。第2直線S2は、上端22a及び下端22bの間から平行にずらして図示している。
【0114】
図16の軒樋2Eにおいて、第1側壁21の上端21aと下端21bとを結ぶ第1直線S1の長さをL1、底壁20の厚み方向と第1直線S1との間の角度をθ1、第1側壁21の高さをH1とする。軒樋2Eは、H1=L1cosθ1を満たす。
図16の軒樋2Eにおいて、直線S1の長さL1は、第1側壁21の幅に等しい。
【0115】
図16の軒樋2Eにおいて、第2側壁22の上端22aと下端22bとを結ぶ第2直線S2の長さをL2、底壁20の厚み方向と第2直線S2との間の角度をθ2、第2側壁22の高さをH2とする。軒樋2Eは、H2=L2cosθ2を満たす。
図16の軒樋2Eにおいて、直線S2の長さL2は、第2側壁22の幅に等しい。
【0116】
図16の軒樋2Eは、|θ1|≦10°を満たす。θ1は、第1側壁21の上端21aが第2側壁22の上端22aから離れる向き(
図16の反時計回り方向)を正の方向とする。軒樋2Eは、θ1≧0°を満たすとよい。
【0117】
図16の軒樋2Eは、|θ2|≦10°を満たす。θ2は、第2側壁22の上端22aが第1側壁21の上端21aから離れる向き(
図16の時計回り方向)を正の方向とする。軒樋2Eは、θ2≧0°を満たすとよい。
【0118】
図16の軒樋2Eは、H1≧H2を満たす。つまり、軒樋2Eは、L1cosθ1≧L2cosθ2を満たす。特に、
図16の軒樋2Eでは、H1>H2である。
【0119】
図16の軒樋2Eは、W≧200mmを満たし、H2≧200mmを満たす。軒樋2Eは、W≧240mmを満たすことが好ましい。軒樋2Eは、W≧350mmを満たすことがより好ましい。軒樋2Eは、W≦450mmを満たすことが好ましい。軒樋2Eは、W≦400mmを満たすことがより好ましい。
【0120】
H2とWの関係では、軒樋2Eは、H2/W≧0.5を満たすことが好ましい。軒樋2Eは、H2/W≧2/3を満たすことがより好ましい。軒樋2Eは、H2/W≦2.5を満たすことが好ましい。
【0121】
受け具3Eは、軒樋2Eを支持する。受け具3Eは、軒樋2Eを、建物10の屋根10aの軒先に設置するために利用される。受け具3Eは、支持部30と、第1及び第2腕部31,32と、結合部33と、連結部34と、固定部35と、を備える。受け具3Eでは、第1腕部31及び第2腕部32は、第1側壁21及び第2側壁22の形状に合わせて湾曲している。
【0122】
[1.6.2 効果等]
以上述べた軒樋2Eは、底壁20と、底壁20の幅方向の両側から上方に延びる第1及び第2側壁21,22と、を備える。第1側壁21の上端21aと下端21bとを結ぶ第1直線S1の長さをL1、底壁20の厚み方向と第1直線S1との間の角度をθ1、第1側壁21の高さをH1、第2側壁22の上端22aと下端22bとを結ぶ第2直線S2の長さをL2、底壁20の厚み方向と第2直線S2との間の角度をθ2、第2側壁22の高さをH2、底壁20の幅をWとすると、H1=L1cosθ1、H2=L2cosθ2、|θ1|≦10°、|θ2|≦10°、H1≧H2、W≧200mm、H2≧200mm、を満たす。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0123】
[1.7 実施の形態7]
[1.7.1 構成]
図17は、本実施の形態にかかる軒樋支持構造4Fの構成例の断面図である。
図17の軒樋支持構造4Fは、軒樋2Fと、受け具3Fとを備える。
【0124】
図17の軒樋2Fは、底壁20と、第1側壁21と、第2側壁22と、突出部(第1突出部)23と、突出部(第2突出部)24と、を備える。
【0125】
第2突出部24は、第2側壁22の上端22aに位置し、軒樋2の内側に突出する。軒樋2の内側は、底壁20の幅方向の両側から底壁20の幅方向に中央に向かう方向である。
【0126】
本実施の形態において、底壁20と、第1側壁21と、第2側壁22と、突出部23,24とは、一体的に形成される。底壁20と、第1側壁21と、第2側壁22と、突出部23,24とは、軒樋部材2aを構成する。軒樋部材2aは、例えば、押出成形により形成される。軒樋部材2aは、主に樹脂材料により形成される。軒樋部材2aは、軒樋2F全体の強度の補強のための芯材を備えてよい。芯材は、例えば、金属製であり得る。
【0127】
図17の受け具3Fは、支持部30と、第1及び第2腕部31,32と、結合部(第1結合部)33と、連結部34と、固定部35と、結合部(第2結合部)37と、を備える。
【0128】
第2結合部37は、第2腕部32に位置する。第2結合部37は、軒樋2の第2突出部24に上方から結合するように構成される。
図17の第2結合部37は、第2腕部32から第1腕部31側に延びる第1片371と、第1片371の先端から支持部30側に延びる第2片372とを備える。第2結合部37は、第1片371と第2片372とにより、第2腕部32との間に凹所373を形成する。凹所373は、軒樋2Fの第2突出部24が嵌る大きさである。
【0129】
第2結合部37の寸法は、雨樋システムの通常の使用時において、第2結合部37から第2突出部24が外れない、つまり、第2結合部37の凹所373から第2突出部24が抜けないように設定され得る。雨樋システムの設置環境においては、軒樋2Fが風で揺れる場合があり、このような場合に、第2突出部24が第2結合部37から外れないことが望ましい。
【0130】
図17の受け具3Fは、第1部材3aと第2部材3bとの2部材で構成される。第1部材3a及び第2部材3bは、いずれも、金属材料により形成される。
図17の第1部材3aは、第1腕部31と、第1結合部33と、連結部34の第1部位341とを含む。第1部材3aは、金属の板材の折り曲げ加工により形成される。金属の板材は、例えば、長さ方向において、幅及び厚みが略一定である。
【0131】
図17の第2部材3bは、第2腕部32と、第2結合部37と、連結部34の第2部位342とを含む。第2部材3bは、金属の板材の折り曲げ加工により形成される。金属の板材は、例えば、長さ方向において、幅及び厚みが略一定である。したがって、第2腕部32と、第2結合部37と、連結部34の第2部位342とは、同一の金属の板材から形成される。
【0132】
第2結合部37は、第2腕部32を形成する金属の板材の一部を折り曲げて形成される。
図17では、金属の板材の幅方向の中央の一部を切り起すことによって、第2結合部37が形成されている。第2結合部37を形成したことによって、金属の板材には、開口303が存在している。
【0133】
[1.7.2 効果等]
以上述べた軒樋2Fは、底壁20と、底壁20の幅方向の両側から上方に延びる第1及び第2側壁21,22と、を備える。第1側壁21の上端21aと下端21bとを結ぶ第1直線S1の長さをL1、底壁20の厚み方向と第1直線S1との間の角度をθ1、第1側壁21の高さをH1、第2側壁22の上端22aと下端22bとを結ぶ第2直線S2の長さをL2、底壁20の厚み方向と第2直線S2との間の角度をθ2、第2側壁22の高さをH2、底壁20の幅をWとすると、H1=L1cosθ1、H2=L2cosθ2、|θ1|≦10°、|θ2|≦10°、H1≧H2、W≧200mm、H2≧200mm、を満たす。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0134】
以上述べた受け具3Fは、軒樋2Fを支持する。軒樋2Fは、第1側壁21の上端21aに位置し、軒樋2Fの内側に突出する第1突出部23と、第2側壁22の上端22aに位置し、軒樋2Fの内側に突出する第2突出部24を備える。受け具3Fは、軒樋2Fの底壁20の幅方向に延び底壁20の下面を支持する支持部30と、支持部30の両側から上方に延びる第1及び第2腕部31,32と、第1腕部31に位置し、軒樋2Fの第1突出部23に上方から結合する第1結合部33と、第2腕部32に位置し、軒樋2Fの第2突出部24に上方から結合する第2結合部37と、を備える。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる軒樋2Fの変形を低減できる。
【0135】
以上述べた軒樋支持構造4Fは、軒樋2Fと、軒樋2Fを支持する受け具3Fと、を備える。軒樋2Fは、底壁20と、底壁20の幅方向の両側から上方に延びる第1及び第2側壁21,22と、を備える。第1側壁21の上端21aと下端21bとを結ぶ第1直線S1の長さをL1、底壁20の厚み方向と第1直線S1との間の角度をθ1、第1側壁21の高さをH1、第2側壁22の上端22aと下端22bとを結ぶ第2直線S2の長さをL2、底壁20の厚み方向と第2直線S2との間の角度をθ2、第2側壁22の高さをH2、底壁20の幅をWとすると、H1=L1cosθ1、H2=L2cosθ2、|θ1|≦10°、|θ2|≦10°、H1≧H2、W≧200mm、H2≧200mm、を満たす。軒樋2Fは、第1側壁21の上端21aに位置し、軒樋2Fの内側に突出する第1突出部23と、第2側壁22の上端22aに位置し、軒樋2Fの内側に突出する第2突出部24を備える。受け具3Fは、軒樋2Fの底壁20の幅方向に延び底壁20の下面を支持する支持部30と、支持部30の両側から上方に延びる第1及び第2腕部31,32と、第1腕部31に位置し、軒樋2Fの第1突出部23に上方から結合する第1結合部33と、第2腕部32に位置し、軒樋2Fの第2突出部24に上方から結合する第2結合部37と、を備える。この構成は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0136】
[2.変形例]
本開示の実施の形態は、上記実施の形態に限定されない。上記実施の形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施の形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0137】
一変形例において、軒樋2は、第1側壁21の上端21aに位置し、軒樋2の内側に突出する突出部23と、第2側壁22の上端22aに位置し、軒樋2の内側に突出する突出部24との少なくとも一方を備えてよい。受け具3は、第1腕部31に位置し、軒樋2の突出部23に上方から結合する結合部33と、第2腕部32に位置し、軒樋2の突出部24に上方から結合する結合部37との少なくとも一方を備えてよい。
【0138】
一変形例において、結合部37は、結合部33Bの外れ防止片334と同様の外れ防止片を有してよい。結合部37は、第2腕部32に溶接により固定されてよい。結合部37は、突出部24と結合する第1位置と、突出部24と結合しない第2位置との間で移動可能であってよい。この場合に、結合部37は、第2腕部32に対して、第1位置と第2位置との間で回転可能に取り付けられてよい。
【0139】
一変形例において、突出部23は、必ずしも、軒樋2の内側に突出する例に限定されず、軒樋2の外側と内側との少なくとも一方に突出するように構成されてよい。突出部24は、必ずしも、軒樋2の内側に突出する例に限定されず、軒樋2の外側と内側との少なくとも一方に突出するように構成されてよい。
【0140】
一変形例において、突出部23,24は、軒樋2の底壁20の長さ方向に直交する面内において、略U字状の形状に限定されない。突出部23,24は、受け具3の結合部33,37と結合可能な形状であればよい。
【0141】
一変形例において、軒樋2は、必ずしも、突出部23、24のいずれも備えていなくてもよい。ただし、軒樋2が、突出部23,24の少なくとも一方を備えていれば、受け具3を利用して、屋根10aに取り付けることが可能となる。
【0142】
一変形例において、軒樋2の第1側壁21及び第2側壁22の形状は、特に限定されない。一例として、第1側壁21は、幅方向の中央が、第1側壁21の上端21aと下端21bとを結ぶ第1直線S1よりも、軒樋2の内側に位置するように、湾曲してもよい。第2側壁22は、幅方向の中央が、第2側壁22の上端22aと下端22bとを結ぶ第2直線S2よりも、軒樋2の内側に位置するように、湾曲してもよい。
【0143】
一変形例において、軒樋2は、複数の軒樋部材2aを備えてよい。この場合、複数の軒樋部材2aの少なくとも一つに、落とし口20aが形成され得る。
【0144】
[3.態様]
上記実施の形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施の形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。なお、文章の見やすさを考慮して2回目以降の括弧付きの符号の記載を省略する場合がある。
【0145】
第1の態様は、軒樋(2;2A;2E;2F)であって、底壁(20)と、前記底壁(20)の幅方向の両側から上方に延びる第1及び第2側壁(21,22)と、を備える。前記第1側壁(21)の上端(21a)と下端(21b)とを結ぶ第1直線(S1)の長さをL1、前記底壁(20)の厚み方向と前記第1直線(S1)との間の角度をθ1、前記第1側壁(21)の高さをH1、前記第2側壁(22)の上端(22a)と下端(22b)とを結ぶ第2直線(S2)の長さをL2、前記底壁(20)の前記厚み方向と前記第2直線(S2)との間の角度をθ2、前記第2側壁(22)の高さをH2、前記底壁(20)の幅をWとすると、H1=L1cosθ1、H2=L2cosθ2、|θ1|≦10°、|θ2|≦10°、H1≧H2、W≧200mm、H2≧200mm、を満たす。この態様は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0146】
第2の態様は、第1の態様に基づく軒樋(2;2A;2E;2F)である。第2の態様において、H2/W≧0.5を満たす。この態様は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0147】
第3の態様は、第1又は第2の態様に基づく軒樋(2;2A;2E;2F)である。第3の態様において、H2/W≧2/3を満たす。この態様は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0148】
第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか一つに基づく軒樋(2;2A;2E;2F)である。第4の態様において、H2/W≦2.5を満たす。この態様は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0149】
第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか一つに基づく軒樋(2;2A;2E;2F)である。第5の態様において、W≧240mmを満たす。この態様は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0150】
第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか一つに基づく軒樋(2;2A;2E;2F)である。第6の態様において、W≧350mmを満たす。この態様は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0151】
第7の態様は、第1~第6の態様のいずれか一つに基づく軒樋(2;2A;2E;2F)である。第7の態様において、W≦450mmを満たす。この態様は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0152】
第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか一つに基づく軒樋(2;2A;2E;2F)である。第8の態様において、W≦400mmを満たす。この態様は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0153】
第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか一つに基づく軒樋(2;2A;2E;2F)である。第9の態様において、θ1は、前記第1側壁(21)の前記上端(21a)が前記第2側壁(22)の前記上端(22a)から離れる向きを正の方向とし、θ1≧0°を満たす。この態様は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0154】
第10の態様は、第1~第9の態様のいずれか一つに基づく軒樋(2;2A;2E;2F)である。第10の態様において、θ2は、前記第2側壁(22)の前記上端(22a)が前記第1側壁(21)の前記上端(21a)から離れる向きを正の方向とし、θ2≧0°を満たす。この態様は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0155】
第11の態様は、第1~第10の態様のいずれか一つに基づく軒樋(2;2A;2E;2F)である。第11の態様において、前記底壁(20)、前記第1側壁(21)及び前記第2側壁(22)は、樹脂材料の押出成形により一体的に形成される。この態様は、施工現場での軒樋(2;2A;2E;2F)の成形の必要がなくなるから施工性の向上が可能になる。
【0156】
第12の態様は、第1~第11の態様のいずれか一つに基づく軒樋(2;2A;2E;2F)を支持する受け具(3;3A-3F)である。前記軒樋(2;2A;2E;2F)は、前記第1側壁(21)の上端(21a)と前記第2側壁(22)の上端(22a)との少なくとも一方に位置し、前記軒樋(2;2A;2E;2F)の外側及び内側の少なくとも一方に突出する突出部(23,24)を備える。前記受け具(3;3A-3F)は、前記軒樋(2;2A;2E;2F)の前記底壁(20)の前記幅方向に延び前記底壁(20)の下面を支持する支持部(30)と、前記支持部(30)の両側から上方に延びる第1及び第2腕部(31,32)と、前記第1腕部(31)と前記第2腕部(32)との少なくとも一方に位置し、前記軒樋(2;2A;2E;2F)の前記突出部(23,24)に上方から結合する結合部(33;33B-33D,37)と、を備える。この態様は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる軒樋(2;2A;2E;2F)の変形を低減できる。
【0157】
第13の態様は、第12の態様に基づく受け具(3;3A;3B;3E;3F)である。第13の態様において、前記第1腕部(31)と前記第2腕部(32)との一方は、金属の板材(300)から形成される。前記結合部(33;33B-33D,37)は、前記金属の板材(300)の一部を折り曲げて形成される。この態様は、受け具(3;3A;3B;3E;3F)の構造の簡素化を可能にし、製造コストの低減を可能にする。
【0158】
第14の態様は、第12の態様に基づく受け具(3C)である。第14の態様において、前記結合部(33C)は、前記第1腕部(31)と前記第2腕部(32)との一方に溶接により固定される。この態様は、結合部(33C)の設計の自由度を向上できる。
【0159】
第15の態様は、第12の態様に基づく受け具(3D)である。第15の態様において、前記結合部(33D)は、前記突出部(23)と結合する第1位置と、前記突出部(23)と結合しない第2位置との間で移動可能である。この態様は、結合部(33D)と突出部(23)との結合の容易化を可能にする。
【0160】
第16の態様は、第15の態様に基づく受け具(3D)である。第16の態様において、前記結合部(33D)は、前記第1腕部(31)と前記第2腕部(32)との一方に対して、前記第1位置と前記第2位置との間で回転可能に取り付けられる。この態様は、結合部(33D)と突出部(23)との結合の容易化を可能にする。
【0161】
第17の態様は、第12の態様に基づく受け具(3;3A-3F)である。第17の態様において、前記受け具(3;3A-3F)は、前記軒樋(2;2A;2E;2F)の前記底壁(20)の上面側に位置し、前記第1及び第2腕部(31,32)同士を連結する連結部(34)を更に備える。この態様は、軒樋(2;2A;2E;2F)の変形を低減できる。
【0162】
第18の態様は、軒樋支持構造(4;4A-4F)であって、第1~第11の態様のいずれか一つに基づく軒樋(2;2A;2E;2F)と、前記軒樋(2;2A;2E;2F)を支持する受け具(3;3A-3F)と、を備える。前記軒樋(2;2A;2E;2F)は、前記第1側壁(21)の上端(21a)と前記第2側壁(22)の上端(22a)との一方に位置し、前記軒樋(2;2A;2E;2F)の外側及び内側の少なくとも一方に突出する突出部(23,24)を備える。前記受け具(3;3A-3F)は、前記軒樋(2;2A;2E;2F)の前記底壁(20)の前記幅方向に延び前記底壁(20)の下面を支持する支持部(30)と、前記支持部(30)の両側から上方に延びる第1及び第2腕部(31,32)と、前記第1腕部(31)と前記第2腕部(32)との一方に位置し、前記軒樋(2;2A-2F)の前記突出部(23,24)に上方から結合する結合部(33;33B-33D,37)と、を備える。この態様は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0163】
第19の態様は、第18の態様に基づく軒樋支持構造(4;4A-4F)である。第19の態様において、前記突出部(23)は、前記第1側壁(21)の上端(21a)に位置し、前記軒樋(2;2A;2E;2F)の内側に突出する。前記結合部(33;33B-33D)は、前記第1腕部(31)に位置し、前記突出部(23)に上方から結合する。この態様は、排水性能の低下及びオーバーフローの発生を低減できる。
【0164】
第20の態様は、第18又は第19の態様に基づく軒樋支持構造(4;4A-4F)である。第20の態様において、前記底壁(20)、前記第1側壁(21)、前記第2側壁(22)及び前記突出部(23)は、樹脂材料の押出成形により一体的に形成される。この態様は、施工現場での軒樋(2;2A;2E;2F)の成形の必要がなくなるから施工性の向上が可能になる。
【0165】
上記の第13~第17の態様は、第18の態様に適宜変更して適用可能である。上記の第2~第11、第13~第17、第19及び第20の態様は任意の要素である。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本開示は、配管部材、及び、雨樋システムに適用可能である。具体的には、水平方向に延びる第1配管と鉛直方向に延びる第2配管とを連結するエルボを有する配管システムの一部を構成する配管部材、及び、雨水の排水のための雨樋システムに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0167】
1 雨樋システム
2,2A,2E,2F 軒樋
20 底壁
21 第1側壁
21a 上端
21b 下端
22 第2側壁
22a 上端
22b 下端
23 突出部
24 突出部
3,3A,3B,3C,3D,3E,3F 受け具
30 支持部
31 第1腕部
32 第2腕部
33,33B,33C,33D 結合部
34 連結部
37 結合部
300 金属の板材
4,4A,4B,4C,4D,4E,4F 軒樋支持構造