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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】加熱装置および加熱装置を備えた冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/12 20060101AFI20241220BHJP
   A23L 3/365 20060101ALI20241220BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20241220BHJP
   F25D 11/02 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
F25D23/12 R
A23L3/365 A
F25D11/00 101B
F25D11/02 L
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018199428
(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公開番号】P2020067212
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-08-23
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】森 貴代志
(72)【発明者】
【氏名】南部 桂
(72)【発明者】
【氏名】平井 剛樹
【合議体】
【審判長】水野 治彦
【審判官】飯星 潤耶
【審判官】槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-153558(JP,U)
【文献】特開2005-129335(JP,A)
【文献】特開昭55-79970(JP,A)
【文献】特開2014-159896(JP,A)
【文献】特開2017-182885(JP,A)
【文献】特開平2-64323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00-11/02
F25D 23/12
A23L 3/365
H05B 6/54
H05B 6/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収容する加熱空間を有し、前方側に開閉可能な扉が設けられた加熱室と、
前記加熱空間の上側に設けられ、電界集中領域が形成された電極面を有する1枚の発振電極と、
前記加熱空間の下側に設けられ、前記1枚の発振電極の電極面に対向する電極面を有する1枚の対向電極と、
前記1枚の発振電極と前記1枚の対向電極との間に印加する高周波電界を形成するための高周波電界形成部と、
を備え、
前記1枚の発振電極と前記1枚の対向電極とは互いの前記電極面を対向する一対の電極であり、
前記1枚の発振電極の前方側端部と前記1枚の対向電極の前方側端部との間の第1距離が、前記1枚の発振電極の後方側端部と前記1枚の対向電極の後方側端部との間の第2距離と同じとなるように、前記1枚の発振電極の前記後方側端部と、前記1枚の対向電極の前記後方側端部とを片持ち構造で連結して前記第1距離および前記第2距離を保持する平板状の間隔規定部材をさらに備え、
前記発振電極の前記電界集中領域は、前記発振電極の前記電極面において、前記対向電極の前記電極面と対向する領域に形成された複数の開口部分の縁部である、加熱装置。
【請求項2】
前記高周波電界形成部は、インピーダンス整合を行う整合回路を備え、
前記整合回路は、前記1枚の発振電極の前記後方側端部に設けられた端子と、前記1枚の対向電極の前記後方側端部に設けられた端子とに電気的に接続され、
前記間隔規定部材は、前記整合回路を保持する、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記発振電極の電極面において、電界集中領域が分散して形成された、請求項1または2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記発振電極の電界集中領域に形成された開口部分は、電極孔または電極切欠き部で構成された、請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記対向電極の電極面に電界集中領域が形成され、前記対向電極の電界集中領域が前記発振電極の電界集中領域に対向しないように配置された、請求項1から4のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記対向電極の電極面において、電界集中領域が分散して形成された、請求項5に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記対向電極の電界集中領域は、電極面に形成された開口部分の縁部により構成された、請求項5または6に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記対向電極の電界集中領域に形成された開口部分は、電極孔または電極切欠き部で構成された、請求項7に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記発振電極と前記対向電極とが加熱空間に露出されないように構成された、請求項1から8のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項10】
前記加熱室の内面を構成する内面部材を備え、前記内面部材は、前記発振電極と前記対向電極の対向するそれぞれの電極面を覆うよう構成された、請求項1から8のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項11】
前記発振電極および前記対向電極からの電磁波を装置外部への放射を抑制する電磁波シールドが設けられた、請求項1から10のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項12】
前記扉に電磁波シールドが設けられた、請求項1から11のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の加熱装置を備えた冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置であって、冷凍品を解凍することが可能な加熱室を有する加熱装置およびその加熱装置を備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な冷蔵庫は、冷凍室を備えており、食材および食品等を冷凍して、冷凍品として長期保存のため使用される。このような冷凍品は、短時間で解凍して可能な限り新鮮な状態に近い解凍状態で調理に使用されることが望まれる。
【0003】
冷凍品を解凍するためには、室温での自然解凍や、水道水をかける流水解凍等の解凍処理が存在するが、これらの解凍処理は調理者が要望する短時間での解凍を満足させるものではなかった。一般家庭において、冷凍品を短時間で解凍するために、マイクロ波加熱調理器、所謂電子レンジが用いられている。しかしながら、電子レンジで冷凍食品を解凍した場合には、短時間での解凍は可能であるが、先に解凍された箇所に高周波エネルギーが集中して均一に解凍できないという、所謂「部分煮え」が生じる等の望ましくない解凍状態となる場合があった。このように、電子レンジを使用して冷凍食品を解凍した場合には、望ましい高品位の解凍状態を得ることが容易なことではなかった。ここで高品位の解凍状態とは、「部分煮え」が生じる等の食品として美味しくない解凍状態をいう。
【0004】
特許文献1には、冷気を供給すると共にマイクロ波を照射しつつ冷凍品を解凍するよう構成された高周波加熱室を備えた冷蔵庫が開示されている。特許文献1の冷蔵庫においては、高周波加熱室内の冷凍品の表面を冷気で覆うと共に、冷凍品に対するマイクロ波の照射により、冷凍品の内部を解凍する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-147919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された冷蔵庫においては、マイクロ波を形成するためにマグネトロンが設けられており、高周波加熱室内の冷凍品に対してマイクロ波を照射してマイクロ波加熱を行う構成である。特許文献1の冷蔵庫は、マイクロ波形成手段であるマグネトロンおよびその冷却機構が設けられているため、冷蔵庫全体として大型の構成となっており、小型化を図ることが困難な構成であった。また、高周波加熱室内の冷凍品に対してアンテナからマイクロ波を照射してマイクロ波加熱する構成であるため、冷凍品を均一に加熱して所望の状態に解凍することが困難であった。
【0007】
また、VHF帯の高周波を用いて冷凍品を解凍する高周波加熱装置であって、一対の電極を設けて、電極の間に電界を形成して冷凍品を解凍する技術が一般的に存在するが、このような従来の高周波加熱装置においては、一対の電極間に発生する電界が均一ではなく、冷凍品を均一に解凍できないという課題を有していた。
【0008】
さらに、高周波加熱装置を冷蔵庫に設けて解凍処理を行う構成においては、高周波加熱装置からの高周波が他の貯蔵室の保存食品および取り扱うユーザに対して悪影響を及ぼすことがないように、加熱装置としての加熱機能と共に、冷蔵庫としての機能(冷却機能、貯蔵機能)を確実に確保し、安全性の高い構成とすることが必要である。
【0009】
本発明は、被加熱物を均一に加熱することができ、信頼性および安全性の高い加熱装置の提供と、当該加熱装置を組み込むことにより、貯蔵品としての冷凍品を容易に高品位の状態に解凍することができる貯蔵空間を備える冷蔵庫の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る一態様の加熱装置は、
被加熱物を収容する加熱空間を有する加熱室と、
前記加熱空間の一方に設けられ、電界集中領域が形成された電極面を有する発振電極と、
前記加熱空間の他方に設けられ、前記発振電極の電極面に対向する電極面を有する対向電極と、
前記発振電極と前記対向電極との間に印加する高周波電界を形成するための高周波電界形成部と、を備えている。
【0011】
本発明に係る一態様の冷蔵庫は、
被加熱物を収容する加熱空間を有する加熱室と、
前記加熱空間の一方に設けられ、電界集中領域が形成された電極面を有する発振電極と、
前記加熱空間の他方に設けられ、前記発振電極の電極面に対向する電極面を有する対向電極と、
前記発振電極と前記対向電極との間に印加する高周波電界を形成するための高周波電界形成部と、を備えた加熱装置を少なくとも含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、誘電加熱における電極間の電界の均一化を図ることができる加熱装置を提供することができ、この加熱装置を用いて冷凍品を容易に高品位の状態に解凍することができる貯蔵室を備え、信頼性の高い冷却、貯蔵機能を確保した、安全性の高い冷蔵庫を構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る実施の形態1の冷蔵庫の縦断面を示す断面図
図2】実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室を示す縦断面図
図3】実施の形態1の冷蔵庫に設けられた誘電加熱機構の構成を示すブロック図
図4】実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室の背面側の電極保持領域を示す図
図5】実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室の天面側の発振電極と内面部材とを上方から見た平面図
図6】実施の形態1の冷蔵庫において発振電極に対向して配設された底面側の対向電極を示す裏面図
図7】実施の形態1の冷蔵庫における発振電極の変形例を示す平面図
図8】電極孔を有していない対向電極を設けた誘電加熱構成を模式的に示す断面図(a)、および(a)に示した誘電加熱構成に対してシミュレーションを行った結果を示す電界シミュレーション図(b)
図9】電極孔を有する対向電極を設けた誘電加熱構成を模式的に示す断面図(a)、および(a)に示した誘電加熱構成に対してシミュレーションを行った結果を示す電界シミュレーション図(b)
図10】本発明に係る実施の形態2の加熱装置の加熱室を示す縦断面図
図11】実施の形態2の加熱装置が冷蔵庫に組み込むときの状態を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る加熱装置を備えた冷蔵庫の実施の形態として、冷凍機能を備えた冷蔵庫について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本発明に係る冷蔵庫は、以下の実施の形態において説明する冷蔵庫の構成に限定されるものではなく、冷凍機能のみを有する冷凍庫においても適用可能であり、以下の実施の形態において説明する技術的特徴を有する各種冷蔵庫および冷凍庫を含むものである。従って、本発明において、冷蔵庫とは、冷蔵室、および/または冷凍室を備える構成である。
【0015】
また、以下の実施の形態において示す数値、形状、構成、ステップ、およびステップの順序などは、一例を示すものであり、本発明を限定するものではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。なお、各実施の形態においては、同じ要素には同じ符号を付して、説明を省略する場合がある。また、図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。
【0016】
先ず始めに、本発明の加熱装置における各種態様を例示する。
本発明に係る第1の態様の加熱装置は、
被加熱物を収容する加熱空間を有する加熱室と、
前記加熱空間の一方に設けられ、電界集中領域が形成された電極面を有する発振電極と、
前記加熱空間の他方に設けられ、前記発振電極の電極面に対向する電極面を有する対向電極と、
前記発振電極と前記対向電極との間に印加する高周波電界を形成するための高周波電界形成部と、を備えている。このため、第1の態様の加熱装置は、誘電加熱における電極間の電界の均一化を図ることができる。
【0017】
本発明に係る第2の態様の加熱装置は、前記の第1の態様における前記発振電極の電極面において、電界集中領域が分散して形成されてもよい。
【0018】
本発明に係る第3の態様の加熱装置は、前記の第1または第2の態様において、前記発振電極の電界集中領域が、電極面に形成された開口部分の縁部により構成されてもよい。
【0019】
本発明に係る第4の態様の加熱装置は、前記の第3の態様において、前記発振電極の電界集中領域に形成された開口部分が、電極孔または電極切欠き部で構成されてもよい。
【0020】
本発明に係る第5の態様の加熱装置は、前記の第1から第4の態様のいずれかの態様において、前記対向電極の電極面に電界集中領域が形成され、前記対向電極の電界集中領域が前記発振電極の電界集中領域に対向しないように配置されてもよい。
【0021】
本発明に係る第6の態様の加熱装置は、前記の第5の態様における前記対向電極の電極面において、電界集中領域が分散して形成されてもよい。
【0022】
本発明に係る第7の態様の加熱装置は、前記の第5または第6の態様において、前記対向電極の電界集中領域が、電極面に形成された開口部分の縁部により構成されてもよい。
【0023】
本発明に係る第8の態様の加熱装置は、前記の第7の態様において、前記対向電極の電界集中領域に形成された開口部分が、電極孔または電極切欠き部で構成されてもよい。
【0024】
本発明に係る第9の態様の加熱装置は、前記の第1から第8の態様のいずれかの態様において、前記発振電極と前記対向電極とが加熱空間に露出されないように構成されてもよい。
【0025】
本発明に係る第10の態様の加熱装置は、前記の第1から第8の態様のいずれかの態様において、前記加熱室の内面を構成する内面部材を備え、前記内面部材は、前記発振電極と前記対向電極の対向するそれぞれの電極面を覆うよう構成されてもよい。
【0026】
本発明に係る第11の態様の加熱装置は、前記の第1から第10の態様のいずれかの態様において、前記発振電極および前記対向電極からの電磁波を装置外部への放射を抑制する電磁波シールドが設けられてもよい。
【0027】
本発明に係る第12の態様の加熱装置は、前記の第1から第11の態様のいずれかの態様において、前記加熱室の加熱空間に対する被加熱物の出し入れを行うための扉を備え、前記扉に電磁波シールドが設けられてもよい。
【0028】
本発明に係る第13の態様の冷蔵庫は、第1から第12のいずれかの態様の加熱装置を備えた構成である。このように構成された第13の態様の冷蔵庫は、誘電加熱における電極間の電界の均一化を図ることができ加熱装置を備えているため、冷凍品を容易に高品位の状態に解凍することができる貯蔵室を備えて、信頼性の高い冷却、貯蔵機能を確保した、安全性の高い冷蔵庫となる。
【0029】
(実施の形態1)
以下、本発明に係る加熱装置を備えた冷蔵庫に係る実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。図1は、実施の形態1の冷蔵庫10の縦断面を示す図である。図1において、左側が冷蔵庫10の正面側であり、右側が冷蔵庫10の背面側である。冷蔵庫10は、主に鋼板により形成された外箱1と、ABSなどの樹脂で成形された内箱2と、外箱1と内箱2との間の空間に充填発泡された断熱材(例えば、硬質発泡ウレタン)40とにより形成された断熱箱体で構成されている。
【0030】
冷蔵庫10の断熱箱体は複数の貯蔵室を備えており、それぞれの貯蔵室の正面側開口には開閉可能な扉が配設されている。それぞれの貯蔵室は扉の閉成により冷気が漏洩しないように密閉される。実施の形態1の冷蔵庫10においては、最上部の貯蔵室が冷蔵室3である。冷蔵室3の直下の両側には、製氷室4と冷凍/解凍室5の2つの貯蔵室が並設されている。更に、製氷室4と冷凍/解凍室5の直下には冷凍室6が設けられており、冷凍室6の直下である最下部には野菜室7が設けられている。実施の形態1の冷蔵庫10における各貯蔵室は、上記の構成を有しているが、この構成は一例であり、各貯蔵室の配置構成は仕様などに応じて設計時に適宜変更可能である。
【0031】
冷蔵室3は、食品などの保存物を冷蔵保存するために凍らない温度、具体的な温度例としては1℃~5℃の温度帯で維持される。野菜室7は、冷蔵室3と同等もしくは若干高い温度帯、例えば2℃~7℃に維持される。冷凍室6は、冷凍保存のために冷凍温度帯、具体的な温度例としては、例えば-22℃~-15℃に設定される。冷凍/解凍室5は、通常は冷凍室6と同じ冷凍温度帯に維持され、ユーザの解凍指令に応じて、収納されている保存物(冷凍品)を解凍するための解凍処理が行われる。冷凍/解凍室5の構成、及び解凍処理に関する詳細については後述する。
【0032】
冷蔵庫10の上部には、機械室8が設けられている。機械室8には、圧縮機9および冷凍サイクル中の水分除去を行うドライヤ等の冷凍サイクルを構成する部品などが収容されている。なお、機械室8の配設位置としては冷蔵庫10の上部に特定されるものではなく、冷凍サイクルの配設位置などに応じて適宜決定されるものであり、冷蔵庫10の下部などの他の領域に配設してもよい。
【0033】
冷蔵庫10の下側領域にある冷凍室6と野菜室7の背面側には、冷却室11が設けられている。冷却室11には、冷気を生成する冷凍サイクルの構成部品である冷却器12、および冷却器12が生成した冷気を各貯蔵室(3、4、5、6、7)に送風する冷却ファン13が設けられている。冷却器12が生成した冷気は、冷却ファン13により各貯蔵室に繋がる風路18を流れて、各貯蔵室に供給される。それぞれの貯蔵室に繋がる風路18にはダンパー19が設けられており、圧縮機9と冷却ファン13の回転数制御とダンパー19の開閉制御により、それぞれの貯蔵室が所定の温度帯に維持される。冷却室11の下部には、冷却器12やその周辺に付着する霜や氷を除霜するための除霜ヒータ14が設けられている。除霜ヒータ14の下部には、ドレンパン15、ドレンチューブ16、蒸発皿17が設けられており、除霜時などに生じる水分を蒸発させる構成を有する。
【0034】
実施の形態1の冷蔵庫10には操作部47(後述の図3参照)が備えられている。ユーザが操作部47において冷蔵庫10に対する各種の指令(例えば、各貯蔵室の温度設定、急冷指令、解凍指令、製氷停止指令など)を行うことができる。また、操作部47には異常の発生などを報知する表示部を有している。なお、冷蔵庫10においては、無線通信部を備えて無線LANネットワークに接続して、ユーザの外部端末から各種指令を入力する構成としてもよい。また、冷蔵庫10においては音声認識部を備えて、ユーザが音声による指令を入力する構成としてもよい。
【0035】
図2は、実施の形態1の冷蔵庫10における冷凍/解凍室5を示す縦断面図である。冷凍/解凍室5は、冷凍/解凍室5内に収納された食品等の保存物を冷凍温度帯で保持する冷凍庫であると共に、冷蔵庫10において当該保存物に対する解凍指令が入力されたときには、誘電加熱により解凍処理を行う解凍室となる。このように、実施の形態1の冷蔵庫10においては、冷凍/解凍室5で誘電加熱による解凍処理を実行できるように、誘電加熱機能を有する加熱装置を備えた構成である。即ち、冷凍/解凍室5は加熱装置の加熱室に対応する。
【0036】
冷凍/解凍室5においては、冷凍室6と同じ冷凍温度帯に維持できるように、冷却器12において生成された冷気が、冷凍/解凍室5の背面側および天面側に設けられた風路18を流れ、冷凍/解凍室5の天面に設けられた複数の冷気導入孔20から冷凍/解凍室5に導入される。冷却室11から冷凍/解凍室5に通じる風路18にはダンパー19が設けられており、ダンパー19の開閉制御により冷凍/解凍室5が所定の冷凍温度帯に維持され、収容された保存物が冷凍保存される。
【0037】
冷凍/解凍室5の背面には、冷気排気孔21が形成されている。冷凍/解凍室5に導入されて冷凍/解凍室5の内部を冷却した冷気は、冷気排気孔21から戻り風路34を通って冷却室11に戻り、冷却器12により再冷却される。即ち、実施の形態1の冷蔵庫10においては、冷却器12により形成された冷気が循環される構成である。
【0038】
冷凍/解凍室5において貯蔵空間の内面を構成する天面、背面、両側面、および底面は、電気絶縁性の材料で成形された樹脂材の内面部材32で形成されている。また、冷凍/解凍室5の正面側開口には扉29が設けられており、扉29の閉成により冷凍/解凍室5の貯蔵空間が密閉される。実施の形態1の冷凍/解凍室5には、上部が開放した収納ケース31が扉29の背面側に設けられており、扉29の前後方向への開閉動作により収納ケース31が同時に前後に移動する構成である。扉29の前方向への開動作により、収納ケース31に対する食品などの保存物の投入、および取り出しを容易なものとしている。
【0039】
次に、冷凍/解凍室5に冷凍保存されている保存物に対して、解凍処理を行うために誘電加熱を行う加熱装置における誘電加熱機構について説明する。
【0040】
図3は、実施の形態1の冷蔵庫10に設けられた誘電加熱機構の構成を示すブロック図である。実施の形態1における誘電加熱機構は、電源部48からの電力が入力されて所定の高周波信号を形成する発振回路22、整合回路23、発振電極24、対向電極25、および制御部50を備えている。半導体素子を用いて構成された発振回路22は、小型化されており、冷蔵庫10の機械室8に設けられている。発振回路22は、同軸ケーブルにより整合回路23に電気的に接続されている。整合回路23は、冷凍/解凍室5の背面側の空間である電極保持領域30(図2参照)に配設されている。発振回路22および整合回路23は、発振電極24と対向電極25との電極間に印加する高周波電界を形成するための高周波電界形成部となる。
【0041】
発振電極24は、冷凍/解凍室5の天面側に配設された平面電極である。対向電極25は、冷凍/解凍室5の底面側に配設された平面電極である。発振電極24と対向電極25は、冷凍/解凍室5の貯蔵空間(解凍空間)を介して対向して配設されており、後述する「電極保持機構」において説明する間隔規定部(33)などが設けられて、対向間隔が予め設定された所定の間隔(第1の間隔)に設定されている。この結果、実施の形態1における誘電加熱機構においては、発振電極24と対向電極25とが略平行に配設される。なお、本発明において、「略平行」とは、本質的に平行の状態を示すものであるが、加工精度などのばらつきに起因する誤差を含むことを示している。
【0042】
発振電極24は貯蔵空間の一方に設けられ、対向電極25は貯蔵空間を挟んで貯蔵空間の他方に設けられている。誘電加熱機構を構成する背面側の整合回路23、天面側の発振電極24、および底面側の対向電極25は、内面部材32により覆われており、保存物の接触による焼けを確実に防止できる構成である。
【0043】
なお、実施の形態1の構成においては、冷凍/解凍室5の貯蔵空間を構成する天面部に発振電極24を設け、冷凍/解凍室5の貯蔵空間の底面部に対向電極25を設けた構成で説明するが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、発振電極24と対向電極25が貯蔵空間(解凍空間)を介して対向する構成であればよく、上下逆の配置や、左右方向に対向する配置でも同様の効果を奏する。
【0044】
図2に示したように、冷凍/解凍室5においては、冷却器12からの冷気が風路18を通って冷凍/解凍室5の天面側から導入される構成を有している。冷凍/解凍室5の天面側において、風路18の下面には発振電極24が配設されており、冷却室11からの冷気が発振電極24上を流れる構成である。実施の形態1の冷蔵庫10は、外箱1と内箱2とその間に充填発泡された断熱材40とにより断熱箱体が形成されており、この断熱箱体において貯蔵室が形成される空間は寸法精度が高いものではない。冷凍/解凍室5が形成される空間においては、天面側に風路18となる領域が形成されるため、この風路18となる領域が断熱箱体における寸法のバラツキを吸収できる空間となる。風路18を通った冷気は、発振電極24に形成された複数の電極孔41を通って、天面側の内面部材32の冷気導入孔20から冷凍/解凍室5に導入される構成については後述する。
【0045】
発振回路22は、VHF帯の高周波(実施の形態1においては40.68MHz)の電圧を出力する。発振回路22が高周波電圧を出力することにより、発振回路22が接続された発振電極24と対向電極25との間に電界が形成され、冷凍/解凍室5の発振電極24と対向電極25との間の貯蔵空間に配置された誘電体である保存物が誘電加熱される。
【0046】
整合回路23は、発振電極24と対向電極25と冷凍/解凍室5に収容された保存物とによって形成される負荷インピーダンスが、発振回路22の出力インピーダンスと整合するように調節するものである。整合回路23は、インピーダンスを整合させることにより、出力した電磁波に対する反射波を最小化している。実施の形態1における誘電加熱機構には、発振電極24から発振回路22の方へ戻る反射波を検出する反射波検出部51が設けられている。従って、発振回路22は反射波検出部51および整合回路23を介して発振電極24に電気的に接続されている。制御部50は、整合回路23においてインピーダンス整合されて発振回路22から出力される電磁波と、反射波検出部51が検出した反射波とに基づいて、電磁波出力に対する反射波出力の割合(反射率)を算出し、その算出結果に基づいて後述するように各種制御を行っている。
【0047】
図3のブロック図に示すように、誘電加熱機構においては、制御部50が、ユーザによる設定操作を行う操作部47や庫内温度を検出する温度センサ49などの信号に基づいて、発振回路22および整合回路23を駆動制御している。制御部50はCPUで構成されており、ROM等のメモリに格納された制御プログラムが実行されて各種制御を行っている。
【0048】
なお、発振回路22と整合回路23と発振電極24とを接続する正極側の配線の長さとしては、短いことが望ましいため、発振回路22と整合回路23の高周波電界形成部を冷凍/解凍室5の背面側の電極保持領域30に配設する構成としてもよい。
【0049】
[電極保持機構]
上記のように構成された実施の形態1における誘電加熱機構は、平板状の発振電極24と対向電極25が略平行に対向する構成であるため、冷凍/解凍室5の貯蔵空間である解凍空間において電界の均一化が図られている。このように発振電極24と対向電極25とを所定間隔(第1の間隔)を有して略平行に配設するために、実施の形態1における誘電加熱機構においては、以下に説明する電極保持機構を有している。
【0050】
図4は、実施の形態1における冷凍/解凍室5の背面側の電極保持領域30を示す図であり、電極保持領域30における電極保持機構を示している。図4は、電極保持領域30を背面側から見た図であり、上側(天面側)に発振電極24が配設され、下側(底面側)に対向電極25が配設されている。平板状の発振電極24の背面側端部の中央には正極端子24aが突設されており、その両側には支持部材24b、24bが突設されている。正極端子24aおよび支持部材24bは平板状の発振電極24の背面側端部から下方(底面側)へ直角に折れ曲がって突設されている。同様に、平板状の対向電極25の背面側端部の中央には負極端子25aが突設されており、その両側には支持部材25b、25bが突設されている。負極端子25aおよび支持部材25bは平板状の対向電極25の背面側端部から上方(天面側)へ直角に折れ曲がって突設されている。即ち、発振電極24の正極端子24aと支持部材24bの各突出端は、対向電極25の負極端子25aと支持部材25bの各突出端とそれぞれが互いに対向している。
【0051】
上記のように、発振電極24の支持部材24b、24bのそれぞれの突出方向が、対向電極25の支持部材25b、25bのそれぞれの突出方向と対向しており、支持部材24b、24bのそれぞれは、対向する支持部材25b、25bに直線的に間隔規定部33を介して接合されている。間隔規定部33は、平面部材であり、実質的に誘電加熱されない電気的絶縁部材により形成されている。図4に示すように、間隔規定部33は、背面側から見てH形状を有しており、そのH形状の上下の4端部に支持部材(24b、25b)が接続されており、H形状の中央部分に整合回路23が固定されている。従って、間隔規定部33の上下の両端に発振電極24および対向電極25が固定され、間隔規定部33の中央部分に整合回路23が固定されており、間隔規定部33により発振電極24、対向電極25、および整合回路23が確実に保持されている。このように、間隔規定部33は、実質的に平面板状部材である発振電極24と対向電極25とを、所定距離(第1の間隔)を有して確実に保持する構成である。なお、間隔規定部33は、そのH形状の中央部分に整合回路23が固定されているため、剛性が高くなっており、発振電極24と対向電極25とを所定の対向間隔(第1の間隔)を有して片持ち保持可能な構成となる。また、間隔規定部33には発振回路22と整合回路23の高周波電界形成部を設ける構成としてもよい。
【0052】
発振電極24の正極端子24a、および対向電極25の負極端子25aは、整合回路23の正極側と負極側の各接続端子に接続されている。正極端子24aおよび負極端子25aと、整合回路23の各接続端子との接続は、大電流が流れても信頼性を確保できるように、所定接触面積を有する面接触接続である。実施の形態1においては、確実な面接触接続を確保するために、互いに平板状の端子間がビス止めにより接続されている。なお、端子間の接続としては、確実な面接触接続となる接続手段であればよく、ビス止め接続に限定されるものではない。
【0053】
実施の形態1において、発振電極24の背面側端部から突出する正極端子24aの端子幅w(図4参照)は、発振電極24の背面側端部の電極幅W(図4参照)に比べて大幅に細く形成されている(w≪W)。これは、整合回路23において発生する熱が発振電極24に伝導しにくい構成とすると共に、整合回路23と発振電極24との熱伝導を抑えて、発振電極24の冷却時における整合回路23の結露発生を抑制するためである。なお、対向電極25においても、負極端子25aの端子幅は、正極端子24aの端子幅と同様に、負極端子25aが突出する対向電極25の背面側端部の電極幅に比べて大幅に細く形成されている。このように負極端子25aの端子幅を細くすることにより、対向電極25と整合回路23との間の熱伝導を抑えている。
【0054】
図2および図4に示すように、冷凍/解凍室5において保存物を冷凍した冷気は、冷気排気孔21から戻り風路34を介して電極保持領域30を通過して冷却室11に戻る構成である。このように戻り風路34は電極保持領域30を通過するよう構成されているため、冷凍/解凍室5からの冷気が、電極保持領域30で放出されることがなく、整合回路23を含む電極保持領域30における結露防止が図られている。
【0055】
なお、発振回路22を電極保持領域30に配設する構成においては、発振回路22における放熱部材であるヒートシンクを戻り風路34に接触させて冷却する冷却構成としてもよい。
【0056】
上記のように、冷凍/解凍室5の背面側には、電極保持機構が設けられているため、平板状の発振電極24と対向電極25が略平行に対向する構成となる。また、実施の形態1の構成においては、発振電極24と対向電極25が略平行に対向することを更に確実なものとするために、冷凍/解凍室5の正面側にも電極保持機構が設けられている。
【0057】
前述のように冷蔵庫10の断熱箱体は、鋼板により形成された外箱1と、樹脂で成形された内箱2と、外箱1と内箱2との間の空間に充填発泡された断熱材(例えば、硬質発泡ウレタン)40とにより構成されている。また、冷蔵庫10の断熱箱体には、各貯蔵室の正面側開口の縁を規定するための枠部であるクロスレール35が設けられている。枠部のクロスレール35は、外箱1の所定位置に接合されており、外箱1に対して精度高く位置決めされている。このため、外箱1に対するクロスレール35の位置は、充填発泡された断熱材40の影響を受けることがなく、精度の高い位置となる。
【0058】
図2に示すように、冷凍/解凍室5の正面側の縁にはクロスレール35が配設されており、このクロスレール35により冷凍/解凍室5の正面側開口が規定されている。この正面側開口は、冷凍/解凍室5の扉29により開閉される。扉29とクロスレール35との間には閉成時の冷気の漏れを防止するためのガスケット36が設けられている。
【0059】
冷凍/解凍室5の正面側における電極保持機構は、冷凍/解凍室5の正面側開口を精度高く規定する枠部であるクロスレール35を利用するものである。クロスレール35の上下の略平行な枠材には所定間隔を有して保持部材である第1保持爪37および第2保持爪38が一体的に形成されている。なお、保持部材である第1保持爪37および第2保持爪38は、枠部であるクロスレール35に接合する構成としてもよい。
【0060】
保持部材である第1保持爪37は、発振電極24の正面側端部を挟むように係合する構成であり、発振電極24の正面側端部の位置を規定するものである。また、保持部材である第2保持爪38は、対向電極25の正面側端部を支持する構成であり、対向電極25の正面側端部の位置を規定するものである。第1保持爪37および第2保持爪38は、発振電極24と対向電極25のそれぞれの正面側端部を所定間隔(第1の間隔)を有して保持している。また、第1保持爪37および第2保持爪38は、発振電極24と対向電極25との間を電気的絶縁状態で保持している。
【0061】
従って、実施の形態1の冷蔵庫10においては、冷凍/解凍室5の誘電加熱機構に背面側および正面側の両側に電極保持機構が設けられているため、発振電極24と対向電極25は、精度の高い対向間隔を有して配設することが可能となり、所定の間隔(第1の間隔)を有して確実に略平行に配設することも可能となる。この結果、冷凍/解凍室5の誘電加熱機構は、電極面における高周波電界の偏りが防止され、高周波電界の均一化が図られており、保存物(冷凍品)に対する解凍処理を均一に行うことが可能な構成となる。
【0062】
[電磁波シールド機構]
上記のように、冷凍/解凍室5においては発振電極24と対向電極25との間の高周波電界の雰囲気に保存物である誘電体を配置して誘電加熱する構成であるため、冷凍/解凍室5においては電磁波が放射可能な構成である。この電磁波を冷蔵庫10の外部に漏洩することを防止するために、実施の形態1の冷蔵庫10には冷凍/解凍室5を取り巻くように電磁波シールド機構が設けられている。
【0063】
図2に示すように、冷凍/解凍室5の天面側の風路18の上部には天面側電磁波シールド26が配設されている。天面側電磁波シールド26は、冷凍/解凍室5の直上の冷蔵室3の底面側を構成する断熱材40の上面に配設されており、冷凍/解凍室5の天面側を覆うように配設されている。天面側電磁波シールド26は、複数の開口を有しており、発振電極24に対する実質的な対向面積が小さくなるように構成されている。このように構成された天面側電磁波シールド26は、発振電極24との間で不要な電界の発生が抑制された構成となる。なお、天面側電磁波シールド26としては複数の開口を有するメッシュ構造でもよい。また、天面側電磁波シールド26としては、冷凍/解凍室5の直上に位置する冷蔵室3の内部に設けてもよいが、冷蔵室3にはパーシャル室やチルド室が設けられていることが多く、このパーシャル室やチルド室の天面を電磁波シールドとして利用してもよい。
【0064】
また、冷凍/解凍室5の背面側に設けられた整合回路23などを有する電極保持領域30を覆うように背面側電磁波シールド27が配設されている。このように背面側電磁波シールド27を設けることにより、発振電極24と対向電極25との間に発生する電界や、整合回路23から発生した高周波ノイズが冷却ファン13およびダンパー19の電装部品の動作(制御)に影響を与えることが防止される。なお、冷凍/解凍室5の側面側にも電磁波シールド(図示なし)が配設されている。
【0065】
次に、冷凍/解凍室5の正面側開口を開閉する扉29に設けた扉側電磁波シールド39について説明する。扉29は冷蔵庫10の本体に対して開閉する構成であるため、扉29に設けた電磁波シールドを冷蔵庫10の本体の接地部分に有線路で接続する構成では、扉29の開閉により有線路が伸び縮みを繰り返すことになり、有線路における金属疲労が蓄積する。このように接続した構成では、有線路で断線する要因となるため、扉29に設けた電磁波シールド39を冷蔵庫10の本体の接地部分との間を有線路で接続する構成は好ましくない。
【0066】
一般に、電磁波漏洩を防ぐためには扉29を閉じたときの扉側電磁波シールド39と本体側の電磁波シールドとなるクロスレール35との間隔を、電磁波の波長λの1/4よりも短くすることが必要である。実施の形態1ではさらに間隔を小さくすることにより有線路を設けることなく接置効果を得るようにする。例えば、扉29を閉じたときの扉側電磁波シールド39とクロスレール35との間隔を、30mm以内とする。外箱1に接続されたクロスレール35は接地されているため、扉29が閉じられた状態において、扉側電磁波シールド39をクロスレール35に近接させることにより、有線路による接地と同等の効果が得られる。また、扉側電磁波シールド39の端部が冷蔵庫10の本体側に屈曲した形状とすることにより、扉側電磁波シールド39をクロスレール35に近接させることが容易な構成となる。
【0067】
なお、実施の形態1の冷蔵庫10においては、外箱1が鋼板で構成されているため、この鋼板自体が電磁波シールドとしての機能を有している。このため、冷蔵庫10の内部の電磁波が冷蔵庫10の外部に漏洩することが確実に防止されている。
【0068】
[発振電極および対向電極の構成]
ユーザが扉29を開成すると、冷凍温度帯に保持された冷凍/解凍室5に外部から高湿度の空気が流入し、冷凍/解凍室5の内部は結露が発生しやすい状態となる。もし発振電極24および対向電極25の表面に結露が生じた場合には、電極間の電界形成が不安定になり、所望の誘電加熱が行われない状態が発生し得る。このような状態となるのを抑制するために、実施の形態1の冷蔵庫10においては、発振電極24および対向電極25における対向する電極面を内面部材32で覆うと共に、冷凍/解凍室5への冷気の導入を発振電極24に形成された複数の冷気導入孔20から行うように構成されている。冷凍/解凍室5へ導入される冷気は、冷却室11から冷却ファン13により風路18を通って送られてきた冷気であり、導入時点の冷気は相対的に湿度が低い状態となっている。従って、扉29が開閉されて外部から高湿度の空気が流入しても、低湿度の冷気が天面側の全体に形成された複数の冷気導入孔20から冷凍/解凍室5内に吹き付けられ、冷凍/解凍室5内の空気が背面側の冷気排気孔21から排出されるため、冷凍/解凍室5の内部は結露が生じにくい状態となる。
【0069】
図5は冷凍/解凍室5の天面側の発振電極24と内面部材32とを上方から見た平面図である。図5に示すように、発振電極24には複数の電極孔41が形成されており、複数の電極孔41は、発振電極24の電極面の全面に分散されている。電極孔41は、発振電極24の電極面において等間隔を有して略均一に配設されている。発振電極24の電極孔41は、発振電極24の下面を覆う内面部材32に形成された冷気導入孔20の位置に対応して設けられている。電極孔41の孔径Dは、内面部材32の冷気導入孔20の孔径dより大きく形成されている(D>d)。
【0070】
発振電極24の電極面に複数の電極孔41が等間隔で略均一に形成されているため、発振電極24の電極面において電界が強く形成される領域が均一的に分散されることになり、保存物に対する誘電加熱を均一に行うことが可能な構成となる。即ち、電極孔41における開口部分の縁部が電界集中領域となる。なお、図5に示した複数の冷気導入孔20および電極孔41の形状および配置は例示であり、冷気導入孔20および電極孔41の形状および配置は、冷蔵庫の仕様、構成などに応じて、効率、製造コストを考慮して適宜設計される。
【0071】
図6は、発振電極24に対向して配設された底面側の対向電極25を示す裏面図である。図6は対向電極25を下方から見た図であり、対向電極25の上に冷凍/解凍室5の底面となる内面部材32が配設されている。図6に示すように、対向電極25の電極面においても、発振電極24と同様に、複数の電極孔42が等間隔で略均等に形成されている。ただし、実施の形態1の構成においては、対向電極25の電極孔42が、発振電極24の電極孔41とは対向しない位置に形成されている。即ち、対向電極25の電極孔42の上下方向に延びる中心軸の位置が、発振電極24の電極孔41の上下方向に延びる中心軸の位置からずれており、対向電極25の電極孔42と発振電極24の電極孔41は上下方向(対向方向)で位置ずれしている。
【0072】
なお、実施の形態1の構成においては、発振電極24の電極孔41の形状および配置としては、複数の電極孔41が等間隔で略均一に配置された構成で説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、例えば、発振電極24に少なくとも1つの開口部分が形成された形状であってもよく、その開口部分の縁部が発振電極24の電極面において、電界が集中する電界集中領域となる。即ち、本発明としては、発振電極24の電極面において、電界集中領域が分散される構成であればよい。また、実施の形態1においては、対向電極25の電極面に複数の電極孔42を設けた構成について説明したが、本発明としては、対向電極25に複数の電極孔42を設けた構成に特定されるものではなく、発振電極24との電極間に所望の電界が形成されるよう形成された開口であればよい。
【0073】
図7は、実施の形態1における発振電極24の変形例としての一例を示す平面図である。図7の(a)に示す変形例は、発振電極24における電極孔41Aとして1つの開口部分を形成した例を示している。実施の形態1においては、発振電極24に形成される開口部分を電極開口とし、この電極開口には電極孔(41、41A)を含むものとする。図7の(a)に示す電極開口41Aにおいては、円形状の開口41aと、円弧状の開口41bと、それぞれの開口(41a、41b)を連通させる連通開口41cと、を含んで構成されている。このような形状の電極開口41Aとすることにより、発振電極24の電極面において電界が強くなる領域を分散できる構成となる。また、図7の(b)に示す変形例は、発振電極24における電極開口(41B)の変形例を示しており、発振電極24Bに切欠き部分を形成した電極切欠き部41Bが形成された一例である。図7の(b)に示すように、電極開口として電極切欠き部41Bを形成することにより、発振電極24の電極面において電界が強くなる領域が分散される構成となる。なお、発振電極24の下面を覆う内面部材32に形成された冷気導入孔20は、発振電極24の電極開口(41、41A、41B)に対応した位置に形成されており、風路18からの冷気が冷凍/解凍室5にスムーズに導入されるよう構成されている。
【0074】
上記のように、実施の形態1における冷凍/解凍室5の天面側においては、冷気が、風路18の下面を構成する発振電極24の開口部分である電極開口(41、41A、41B)を通って冷凍/解凍室5の内部に導入される構成である。従って、冷凍/解凍室5においては、天面側に形成された冷気導入孔20から冷気が吹き付けられる構成であり、冷凍/解凍室5においては均一で急速な冷凍処理を行うことができる。また、発振電極24の電極面においては電界集中領域が分散するように形成されているため、保存物に対する均一な誘電加熱を行うことができ、良好な解凍を行うことができる。
【0075】
前述の図5および図6に示した構成においては、発振電極24の電極孔41と、対向電極25の電極孔42が上下方向(対向方向)に延びる中心軸が一致しないように形成することにより、発振電極24と対向電極25とにおける電界の集中領域が分散し、発振電極24と対向電極25が対向する貯蔵空間において電界の均一化が図られている。その結果、冷凍/解凍室5の貯蔵空間に配置された保存物は、さらに均一な誘電加熱を行うことができる。
【0076】
発明者は、実施の形態1の電極構成を有する冷凍/解凍室5と、比較例として、電極孔を有していない対向電極25Xを設けた電極構成を持つ冷凍/解凍室5Xとを用いて、電極間の電界発生のシミュレーションを行った。
【0077】
図8(a)は、電極孔を有していない対向電極25Xを設けた電極構成を模式的に示す断面図であり、冷凍/解凍室5Xを左右方向で切断した図である。図8(b)は、図8(a)に示した電極構成の電極に対して電界を印加した場合の電界強度をシミュレーションした結果である。図8(b)においては、色の濃い部分は電界が集中している領域である。この電界シミュレーション図から明らかなように、電極の外縁部分は電界が集中しており、特にコーナー部分には電界が集中している。
【0078】
図9(a)は、実施の形態1の構成を有する冷凍/解凍室5の電極構成を模式的に示す断面図であり、冷凍/解凍室5を左右方向で切断した図である。図9(b)は、図9(a)に示した電極構成の電極に対して電界を印加した場合の電界強度をシミュレーションした結果である。図9(b)においても、図8(b)と同様に、色の濃い部分は電界が集中している領域である。この電界シミュレーション図から明らかなように、図8(b)の電界シミュレーション図に比べて、図9(a)の誘電加熱構成は、電極の全体において電界集中が緩和されており、電界の均一化が図られていることが理解できる。
【0079】
図9(b)に示すように、発振電極24の電極孔41と対向電極25の電極孔42とを上下方向(対向方向)に延びる中心軸が一致しないように配設することにより、電極の全体において電界集中が緩和されている。なお、発振電極24の電極孔41と対向電極25の電極孔42とを上下方向(対向方向)に延びる中心軸が一致するように配設した電極構成においては、図8に示した電極孔を有していない対向電極25Xを設けて構成に比べて、電界の集中は緩和されており、特にコーナー部分の電界の集中が緩和されていた。
【0080】
実施の形態1の冷蔵庫10における冷凍/解凍室5においては、図2に示したように、扉29の背面側に収納ケース31が固定された構成である。扉29の開閉動作に伴い、収納ケース31が冷凍/解凍室5の内部を前後に移動する構成である。実施の形態1の構成のおいては、収納ケース31が冷凍/解凍室5の内部をスムーズに移動できるように、冷凍/解凍室5の両側面にはレール52が設けられている(図9参照)。また、このレール52を摺動するフレーム53が収納ケース31の外側の両側面に設けられている。これらのレール52およびフレーム53の摺動部材は、誘電加熱されないように、冷凍/解凍室5の発振電極24と対向電極25との対向する領域である誘電加熱領域から外れた位置に設けられている。
【0081】
以上のように、実施の形態1の冷蔵庫10においては、発振電極24の電極面に電界集中領域が形成された加熱装置が備えられているため、発振電極24と対向電極25との電極間に所望の状態の高周波電界を印加できる構成となる。その結果、実施の形態1の冷蔵庫10は、冷凍/解凍室5において誘電加熱を行って解凍処理が実行されるとき、冷凍品を短時間で所望の高品位の状態に解凍することができるという優れた効果を奏しており、半導体素子で構成された誘電加熱機構の加熱装置を用いることにより優れた解凍機能を有する冷蔵庫として小型化を図ることができる構成となる。
【0082】
なお、実施の形態1の冷蔵庫10においては、冷凍/解凍室5として冷凍機能と解凍機能とを有する構成で説明したが、解凍機能のみの解凍室を設けた構成であってもよい。
【0083】
(実施の形態2)
以下、本発明に係る実施の形態2の冷蔵庫を添付の図面を参照しながら説明する。実施の形態2の冷蔵庫は、加熱装置が組み込まれた構成である。実施の形態2の冷蔵庫に組み込まれた加熱装置は、前述の実施の形態1の冷蔵庫10において冷凍/解凍室5を構築する構成を高周波加熱装置で構成したものである。実施の形態2の加熱装置においては、実施の形態1における電極構造、電極保持機構および電磁波シールド機構と同様の構成を用いることが可能であるが、本発明としては実施の形態2において説明する構成を用いても同様の効果を奏する。なお、実施の形態2の加熱装置が組み込まれる冷蔵庫におけるその他の構成は、実施の形態1の冷蔵庫10と同じである。実施の形態2の説明において、実施の形態1と同様の作用、構成、および機能を有する要素には同じ参照符号を付し、重複する記載を避けるため説明を省略する場合がある。実施の形態2の冷蔵庫に組み込まれる加熱装置において、加熱空間に配置された被加熱物を均一に加熱することができる誘電加熱機構に関しては、冷蔵庫に組み込むことなく、加熱装置として単独で使用できる構成も可能である。
【0084】
図10は、実施の形態2の加熱装置である高周波加熱装置を示す縦断面図である。図10に示した高周波加熱装置は、冷蔵庫10に組み込まれた状態を示しており、冷凍/解凍室として機能する加熱室55を備えている。加熱室55は被加熱物を収容する加熱空間を有しており、加熱空間(貯蔵空間)に収容された被加熱物を誘電加熱する。
【0085】
加熱室55において加熱空間の内面を構成する天面、背面、両側面、および底面は、電気絶縁性の材料で成形された樹脂材の内面部材32で形成されている。また、加熱室55の正面側開口には扉29が設けられており、扉29の閉成により加熱室55の加熱空間が密閉される。実施の形態2の加熱室55には、上部が開放した収納ケース31が扉29の背面側に設けられており、扉29の前後方向への開閉動作により収納ケース31が同時に前後に移動する構成である。この構成は、実施の形態1における冷凍/解凍室5の構成と同様である。
【0086】
実施の形態2における加熱装置の誘電加熱機構は、発振回路22、整合回路23、発振電極24、対向電極25、および制御部(図示省略)を備えている。実施の形態2の加熱装置においては、整合回路23と共に発振回路22が加熱室55の背面側に配設されている。加熱室55は、加熱空間に収容された被加熱物を誘電加熱できると共に、実施の形態1における冷凍/解凍室5と同様に、加熱室55内に収容された食品等の保存物を冷凍温度帯で保持する冷凍庫であると共に、冷蔵庫10において当該保存物に対する解凍指令が入力されたときには、誘電加熱により解凍処理を行う解凍室となる。
【0087】
発振回路22および整合回路23は、発振電極24と対向電極25との電極間に印加する高周波電界を形成するための高周波電界形成部である。発振電極24は、加熱室55の天面側に配設された平面電極である。対向電極25は、加熱室55の底面側に配設された平面電極である。発振電極24と対向電極25は、加熱室55の加熱空間(貯蔵空間/解凍空間)を介して対向して配設される。実施の形態2における誘電加熱機構においては、発振電極24と対向電極25とが略平行に配設され、発振電極24が加熱空間の一方に設けられ、対向電極25が加熱空間を挟んで加熱空間の他方に設けられている。誘電加熱機構を構成する背面側の整合回路23、天面側の発振電極24、および底面側の対向電極25は、内面部材32により覆われており、保存物の接触による焼けを確実に防止することができる構成である。
【0088】
なお、実施の形態2の構成においても、実施の形態1の構成と同様に、加熱室55の加熱空間を構成する天面部に発振電極24を設け、加熱空間の底面部に対向電極25を設けた構成で説明するが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、発振電極24と対向電極25が加熱空間を介して対向する構成であればよく、上下逆の配置や、左右方向に対向する配置でも同様の効果を奏する。
【0089】
発振電極24は、前述の実施の形態1において図5および図7を用いて説明したように、発振電極24の電極面においては電界集中領域が分散するように形成されており、加熱室55に収容された被加熱物に対する均一な誘電加熱を行うことができる。実施の形態1において説明したように、電界集中領域は、電極面に形成された開口部分の縁部により構成されている。
【0090】
実施の形態2の加熱装置の構成において、発振電極24における整合回路23の配設方向の端部に接続端子となる正極端子24aが形成されている。この正極端子24aが整合回路23から延びる接続端子に面接触接続されている。実施の形態2においては、組立ておよび保守管理が容易であるビス止めされている。また、実施の形態1の構成と同様に、発振電極24の正極端子24aの端子幅w(図4参照)は、発振電極24の電極幅W(図4参照)に比べて大幅に細く形成されている(w≪W)。また、対向電極25の負極端子25aの端子幅は、負極端子25aが突出する対向電極25の電極幅に比べて大幅に細く形成されている。
【0091】
対向電極25においては、発振電極24の電極面24bに対向する領域が電極面25bである。図10に示すように、対向電極25の電極面25bは、発振電極24に近づくように盛り上がった高い位置に配置された平面で形成されている。反対に、対向電極25において、発振電極24の電極面24bに対向しない領域25aは、底面側に下がった低い位置に配設されており、実質的な電極面としては機能しないよう構成されている。対向電極25における領域25aには、複数の開口が形成されており、対向面積が低減された構成となっている。このように、発振電極24の電極面24bと対向電極25の電極面25bとを近づけた構成とすると共に、発振電極24の電極面24bに対向しない領域25aには開口を形成して、電極間のみに所望の電界が確実に形成されるよう構成されている。
【0092】
加熱室55の加熱空間の内面には内面部材32が設けられている。加熱空間の内面を規定する内面部材32は、電気絶縁性の材料で構成されており、誘電加熱機構を構成する背面側の整合回路23、天面側の発振電極24の電極面、および底面側の対向電極25の電極面を覆うように構成されている。このように加熱室55の内面に内面部材32が設けられているため、加熱空間に収容された被加熱物の接触による焼けが防止された構成である。
【0093】
上記のように実施の形態2の加熱装置は、誘電加熱機構を有する構成であり、被加熱物を収容する加熱室55を備える構成である。このように構成された加熱装置が冷蔵庫10に組み込まれて、冷気が加熱室55に導入されるように構成される。
【0094】
図11は、加熱装置が冷蔵庫10に組み込むときの状態を示す縦断面図である。図11に示すように、加熱装置が解凍モジュール60として冷蔵庫10に組み込まれる。このように実施の形態2の加熱装置は、冷蔵庫10に解凍機能をもたらす解凍モジュール60として使用できると共に、通常の誘電加熱機能を有する高周波加熱装置として使用することも可能な構成である。従って、実施の形態2の加熱装置の構成は、誘電加熱機能を有する構成を一体的な箱体で構成されているため、解凍機能を有する付加価値の高い冷蔵庫を容易に組み立てることが可能となる。
【0095】
解凍モジュール60(加熱装置)が組み込まれた冷蔵庫10においては、図10に示したように、冷蔵庫10の冷却機構で形成された冷気が風路18を通って加熱室55の天面側から導入される構成となる。加熱室55の天面側において、風路18の直下に天面側電磁波シールド26が設けられている。更に、天面側電磁波シールド26の下側に所定空間を介して内面部材32が設けられている。
【0096】
解凍モジュール60においては、発振電極24が天面側の内面部材32の上面に接するように配設されており、発振電極24と内面部材32とを貫通する開口が形成されている。この開口が発振電極24の電極孔41と冷気導入孔20に対応するものであり、風路18からの冷気が天面側電磁波シールド26の開口を通って、加熱室55に導入される冷気導入孔となる。
【0097】
実施の形態2の解凍モジュール60(加熱装置)が組み込まれた冷蔵庫においては、加熱室55に導入された冷気が、底面側の対向電極25の領域25aに形成された開口を通り、加熱室55の直下に配設された貯蔵室である冷凍室6に排出される。従って、実施の形態2においては、冷蔵庫の加熱室55と、その直下の冷凍室6との間の仕切りには連通開口56が形成された構成である。また、加熱室55の収納ケース31には開口(スリット、孔など)を形成して、収納ケース31から連通開口56へスムーズに流れるように構成してもよい。収納ケース31に形成される開口は、冷気の流れを考慮して適宜設計される。なお、実施の形態2の解凍モジュール60(加熱装置)の構成の変形例としては、実施の形態1において説明した戻り風路(34)を設けて、加熱室内の冷気が加熱室55の背面側を通って冷蔵庫10の冷却機構に戻るように構成してもよい。
【0098】
なお、実施の形態2の加熱装置の構成においても、前述の実施の形態1において図5から図7を用いて説明した発振電極24および対向電極25と同様の構成を有するものであり、発振電極24と対向電極25との電極間において所望の電界が形成される構成を有しており、被加熱物に対する均一な誘電加熱を行うことができる。
【0099】
上記のように、実施の形態2の加熱装置においては、発振電極24の電極面においては電界集中領域が分散するように形成されているため、加熱室55に収容された被加熱物に対する均一な誘電加熱を行うことができる。実施の形態2の加熱装置を解凍モジュール60として冷蔵庫10に組み込むことにより、優れた解凍機能を有する冷蔵庫を容易に製造することができる構成となる。
【0100】
以上のように、本発明においては、誘電加熱における電極間の電界の均一化を図ることができ加熱装置を提供することができるため、この加熱装置を用いて被加熱物を均一に加熱することができると共に、この加熱装置を冷蔵庫に組み込むことにより、冷凍品を容易に高品位の状態に解凍することができる貯蔵室を備えた、信頼性の高い冷却、貯蔵機能を確保した、安全性の高い冷蔵庫を構築することが可能となる。
【0101】
以上のように、本発明の加熱装置においては、被加熱物を所望の状態となるように誘電加熱することができ、この加熱装置を組み込んだ冷蔵庫においては、所望の状態の冷凍品を短時間で所望の状態に解凍することができるという優れた効果を奏している。本発明によれば、半導体素子で構成された誘電加熱機構を有する加熱装置は、被加熱物に対して均一加熱することができるという優れた機能を単純で小型化を図ることができる構成である。またこの加熱装置を組み込んだ冷蔵庫においては、優れた解凍機能を有する冷蔵庫の小型化を図ることができる。
【0102】
本発明をある程度の詳細さをもって各実施の形態において説明したが、これらの実施の形態の開示内容は構成の細部において変化してしかるべきものであり、各実施の形態における要素の置換、組合せ、および順序の変更は請求された本発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明においては、被加熱物を均一加熱することができる加熱装置を提供できると共に、保存物に対する冷凍、貯蔵、および解凍のそれぞれを所望の状態となるように処理することができる冷蔵庫を提供できるため、市場価値の高い商品の提供が可能となる。
【符号の説明】
【0104】
1 外箱
2 内箱
3 冷蔵室
4 製氷室
5 冷凍/解凍室
6 冷凍室
7 野菜室
8 機械室
9 圧縮機
10 冷蔵庫
11 冷却室
12 冷却器
13 冷却ファン
14 除霜ヒータ
15 ドレンパン
16 ドレンチューブ
17 蒸発皿
18 風路
19 ダンパー
20 冷気導入孔
21 冷気排気孔
22 発振回路
23 整合回路
24 発振電極
25 対向電極
26 天面側電磁波シールド
27 背面側電磁波シールド
28 正面側電磁波シールド
29 扉
30 電極保持領域
31 収納ケース
32 内面部材
33 間隔規定部
34 戻り風路
35 クロスレール(枠部)
36 ガスケット
37 第1保持爪(保持部材)
38 第2保持爪(保持部材)
39 扉側電磁波シールド
40 断熱材
41 電極孔(発振電極)
42 電極孔(対向電極)
47 操作部
48 電源部
49 温度センサ
50 制御部
51 反射波検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11