(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】宅配ボックスの制御システム、インターホンシステム、宅配ボックスの制御方法、および宅配ボックスの制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20241220BHJP
A47G 29/12 20060101ALI20241220BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
H04M9/00 H
A47G29/12 D
E05B65/00 D
(21)【出願番号】P 2020150387
(22)【出願日】2020-09-08
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 尚典
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-201291(JP,A)
【文献】特開2019-130219(JP,A)
【文献】特開2002-142961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G29/00-29/30
E05B1/00-85/28
G08B13/00-15/02
23/00-31/00
H04M9/00-9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共用玄関を備えた集合施設に設置される宅配ボックスの制御システムであって、
前記共用玄関のドアの電気錠を解錠するための情報を取得する取得部と、
前記情報が前記集合施設を構成する所定の施設を特定する情報と共に取得されたときに、所定の条件下において、前記所定の施設に対応する前記宅配ボックスを解錠するための信号を出力する出力部と、
を備え
、
前記所定の条件は、前記共用玄関のドアの電気錠が解錠されてからの経過時間が所定の時間を超えないことである、宅配ボックスの制御システム。
【請求項2】
共用玄関を備えた集合施設に設置される宅配ボックスの制御システムであって、
前記共用玄関のドアの電気錠を解錠するための情報を取得する取得部と、
前記情報が前記集合施設を構成する所定の施設を特定する情報と共に取得されたときに、所定の条件下において、前記所定の施設に対応する前記宅配ボックスを解錠するための信号を出力する出力部と、
を備え
前記所定の条件は、前記所定の施設の外側に設けられた玄関子機に対して所定の操作がなされたことである、宅配ボックスの制御システム。
【請求項3】
前記所定の操作は、前記所定の施設に設けられた情報端末の呼び出しを行うための操作と異なる操作である、請求項
2に記載の宅配ボックスの制御システム。
【請求項4】
前記所定の操作は、前記共用玄関のドアの電気錠が解錠されてから所定時間内に行われる操作である、請求項
2または
3に記載の宅配ボックスの制御システム。
【請求項5】
前記所定の操作には、所定の回数制限が設定されている、請求項
2~
4のいずれか1項に記載の宅配ボックスの制御システム。
【請求項6】
前記情報は、前記集合施設を構成する施設毎に設定された認証情報であるか、または前記所定の施設に設けられた情報端末を呼び出すための情報である、請求項1~
5のいずれか1項に記載の宅配ボックスの制御システム。
【請求項7】
前記出力部は、前記宅配ボックスの使用状況に関する情報を前記共用玄関に設けられた共用玄関装置に出力する、請求項1~
6のいずれか1項に記載の宅配ボックスの制御システム。
【請求項8】
共用玄関を備えた集合施設に設置されるインターホンシステムであって、
前記共用玄関のドアの電気錠を解錠するための情報を取得する取得部と、
前記情報が前記集合施設を構成する所定の施設を特定する情報と共に取得されたときに、所定の条件下において、前記所定の施設に対応する宅配ボックスを解錠するための信号を出力する出力部と、
を備え
、
前記所定の条件は、前記共用玄関のドアの電気錠が解錠されてからの経過時間が所定の時間を超えないことである、インターホンシステム。
【請求項9】
共用玄関を備えた集合施設に設置されるインターホンシステムであって、
前記共用玄関のドアの電気錠を解錠するための情報を取得する取得部と、
前記情報が前記集合施設を構成する所定の施設を特定する情報と共に取得されたときに、所定の条件下において、前記所定の施設に対応する宅配ボックスを解錠するための信号を出力する出力部と、
を備え、
前記所定の条件は、前記所定の施設の外側に設けられた玄関子機に対して所定の操作がなされたことである、インターホンシステム。
【請求項10】
共用玄関を備えた集合施設に設置される宅配ボックスの制御方法であって、
前記共用玄関のドアの電気錠を解錠するための情報を取得するステップと、
前記情報が前記集合施設を構成する所定の施設を特定する情報と共に取得されたときに、所定の条件下において、前記所定の施設に対応する前記宅配ボックスを解錠するための信号を出力するステップと、
を含
み、
前記所定の条件は、前記共用玄関のドアの電気錠が解錠されてからの経過時間が所定の時間を超えないことである、宅配ボックスの制御方法。
【請求項11】
共用玄関を備えた集合施設に設置される宅配ボックスの制御方法であって、
前記共用玄関のドアの電気錠を解錠するための情報を取得するステップと、
前記情報が前記集合施設を構成する所定の施設を特定する情報と共に取得されたときに、所定の条件下において、前記所定の施設に対応する前記宅配ボックスを解錠するための信号を出力するステップと、
を含み、
前記所定の条件は、前記所定の施設の外側に設けられた玄関子機に対して所定の操作がなされたことである、宅配ボックスの制御方法。
【請求項12】
請求項10
または11に記載の制御方法をコンピュータで実現するための宅配ボックスの制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、宅配ボックスの制御システム、インターホンシステム、宅配ボックスの制御方法、および宅配ボックスの制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不在時に配達される荷物を受け取るための宅配ボックスが、マンション等の集合施設に設置されるケースが増えている。また、不在、在宅を問わず、宅配ボックスを利用して非対面で荷物を受け取る方法も浸透してきており、宅配ボックスのさらなる普及が予想される。このような状況に鑑みて、宅配ボックスに関連するシステムが幾つか提案されている。特許文献1には、集合住宅に設置される宅配ボックスの利用を促進するためのシステムが提案されている。特許文献1のシステムは、インターホン装置による呼び出しがなされたときに、宅配ボックスの利用関連情報を報知するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的な宅配ボックスでは、宅配業者がボックス内に荷物を収納した後、扉が施錠されるが、荷受け前には扉が施錠されていないことが多い。この場合、いたずら等により、ボックス内に配達物以外の物が収納される場合や、扉が施錠されて使用できない状態にされる場合がある。このため、荷受け前においても、宅配ボックスの扉を施錠しておくことが望ましい。しかし、荷受け前に宅配ボックスの扉を施錠すると、宅配業者の使用が阻害されることになる。
【0005】
本開示の目的は、集合施設に適用されるシステムであって、宅配ボックスの良好なセキュリティを確保しつつ、宅配業者の利便性を損なわない宅配ボックスの制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様である宅配ボックスの制御システムは、共用玄関を備えた集合施設に設置される宅配ボックスの制御システムであって、共用玄関のドアの電気錠を解錠するための情報を取得する取得部と、当該情報が集合施設を構成する所定の施設を特定する情報と共に取得されたときに、所定の条件下において、所定の施設に対応する宅配ボックスを解錠するための信号を出力する出力部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本開示の一態様であるインターホンシステムは、共用玄関を備えた集合施設に設置されるインターホンシステムであって、共用玄関のドアの電気錠を解錠するための情報を取得する取得部と、当該情報が集合施設を構成する所定の施設を特定する情報と共に取得されたときに、所定の条件下において、所定の施設に対応する宅配ボックスを解錠するための信号を出力する出力部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本開示の一態様である宅配ボックスの制御方法は、共用玄関を備えた集合施設に設置される宅配ボックスの制御方法であって、共用玄関のドアの電気錠を解錠するための情報を取得するステップと、当該情報が集合施設を構成する所定の施設を特定する情報と共に取得されたときに、所定の条件下において、所定の施設に対応する宅配ボックスを解錠するための信号を出力するステップとを含むことを特徴とする。また、本開示の一態様である宅配ボックスの制御プログラムは、当該制御方法をコンピュータで実現するためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、宅配ボックスの良好なセキュリティを確保しつつ、宅配業者の利便性を損なわない宅配ボックスの制御システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態の一例であるインターホンシステムの概略図である。
【
図2】実施形態の一例であるロビーインターホン装置を示す図である。
【
図3】実施形態の一例である制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】宅配ボックスの解錠制御手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】宅配ボックスの解錠制御手順の他の一例を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態の他の一例であるインターホンシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。以下で説明する実施形態はあくまでも一例であって、本開示は以下の実施形態に限定されない。また、以下で説明する複数の実施形態、変形例を選択的に組み合わせることは当初から想定されている。
【0012】
本開示の装置およびシステムの主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示の装置およびシステムの主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって上記機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、集積回路(IC)または大規模集積回路(LSI)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されていてもよく、複数のチップに設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよく、複数の装置に備えられていてもよい。また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記憶媒体に記憶される。プログラムは、記憶媒体に予め格納されていてもよく、インターネット等を含む広域通信網を介して記憶媒体に供給されてもよい。
【0013】
図1は、実施形態の一例である宅配ボックスの制御システムが組み込まれたインターホンシステム1の構成を模式的に示す図である。
図1に示すように、インターホンシステム1は、マンション等の集合施設に設置されるシステムであって、共用部である共用玄関10に設けられたロビーインターホン装置11と、専用部である各住戸に設けられた複数のインターホン親機21と、これらの装置を制御する制御装置30とを備える。また、インターホンシステム1には、複数の宅配ボックス40が接続されている。制御装置30は、宅配ボックス40を制御する機能も兼ね備えている。
【0014】
図1に示す例では、各住戸に専用の宅配ボックス40が設置されている。宅配ボックス40は、荷物を収納する荷受室と、荷受室を開閉する扉と、扉の施錠機構とを備える。一般的に、宅配ボックス40には、開扉時に操作される開扉ボタン、荷物の収納が可能であるか否かを表示する表示部、伝票が挿入される差込口、伝票に押印するための押印機構、および押印時に操作される押印ボタンが設けられている。また、宅配ボックス40には、扉を解錠するための鍵(専用キー)の挿入部、または解錠用のパスワードを入力するための入力部の少なくとも一方が設けられている。なお、宅配ボックス40は扉の施錠機構を有していればよく、例えば、押印機構を有していなくてもよい。
【0015】
宅配ボックス40は、主に荷物の受取人である居住者の不在時に宅配業者によって使用されるが、宅配ボックス40を利用して非対面で荷物を受け取る宅配方法も定着してきている。宅配業者は、宅配ボックス40の開扉ボタンを操作して扉をあけ、荷受室に荷物を収納して扉を施錠する。荷物が収納されて扉が施錠されると、表示部が使用中の表示に切り替わる。居住者は、専用キーまたは解錠用のパスワードを用いて扉を開け、荷物を取り出すことができる。なお、宅配ボックス40は、宅配業者等により集荷される荷物を収納する目的でも使用できる。
【0016】
宅配ボックス40は、荷物の収納後(荷受け後)だけでなく、荷受け前においても扉が施錠されている。このため、いたずら等により、ボックス内に配達物以外の物が収納されることや、扉が施錠されて使用できない状態にされることが防止され、良好なセキュリティが確保される。一方、荷受け前に宅配ボックス40の扉を施錠すると、宅配業者が使用できなくなるので、セキュリティを考慮した適切な方法で扉を解錠する必要がある。インターホンシステム1は、宅配ボックス40の良好なセキュリティを確保しつつ、宅配業者の利便性を損なわないように、宅配ボックス40の解錠に係る処理を実行する。
【0017】
詳しくは後述するが、制御装置30は、共用玄関10の玄関ドア13の電気錠を解錠するための情報(以下、「ドア解錠情報」と称する)が、所定の住戸を特定する情報(以下、「住戸特定情報」と称する)と共に取得されたときに、所定の条件下において、当該住戸に対応する宅配ボックス40を解錠するための解錠信号を出力するように構成されている。つまり、インターホンシステム1では、玄関ドア13の電気錠の解錠と関連付けて宅配ボックス40を自動的に解錠する。宅配ボックス40は、解錠信号を受信すると、扉を解錠するように構成されている。
【0018】
インターホンシステム1が適用される集合施設としては、マンション、寮、社宅等の集合住宅が挙げられるが、共用玄関10を備える施設であればよく、集合住宅に限定されない。インターホンシステム1は、例えばオフィス、工場、研究施設、医療施設、宿泊施設等の複数の施設(複数の会社、部課、部門等)が集合して構成される施設に適用可能である。また、宅配ボックスの制御システムは、共用玄関10に宅配ボックス40を操作するための専用の共用玄関装置を設ける等して、インターホンシステム1と独立して構成することも可能であるが、インターホンシステム1が設けられる場合、これに組み込まれることが好適である。
【0019】
共用玄関10には、各住戸の呼び出しを行うための共用玄関装置であるロビーインターホン装置11が設けられている。ロビーインターホン装置11は、宅配業者を含む来訪者により使用される。来訪者は、ロビーインターホン装置11に訪問先の住戸を入力して呼び出すことができる。また、共用玄関10には、玄関ドア13と、玄関ドア13を施錠するロック装置14とが設けられている。ロック装置14は、例えば、玄関ドア13が閉まると自動的に玄関ドア13を施錠するオートロック装置であって、制御装置30の制御下で玄関ドア13に取り付けられた電気錠を作動させる。玄関ドア13は、例えば、自動ドアにより構成され、平常時は施錠された状態が基本である。なお、ロビーインターホン装置11は、インターホン親機21および制御装置30と通信可能に接続されている。
【0020】
ロビーインターホン装置11は、共用玄関10の玄関ドア13よりも外側に設置されている。このため、来訪者が集合施設の玄関ドア13よりも内側に入るためには、ロビーインターホン装置11で訪問先の住戸を呼び出し、その住戸の居住者に玄関ドア13の電気錠を解錠してもらう必要がある。居住者は、インターホン親機21で来訪者を確認し、インターホン親機21を操作して電気錠を解錠することができる。
【0021】
図1に示す例では、共用玄関10に非接触キー検知装置12が設置されている。非接触キー検知装置12は、ロビーインターホン装置11と同様に、共用玄関10の玄関ドア13よりも外側に設置される。非接触キー検知装置12は、例えば、ICカードリーダにより構成され、予め登録されたカードキーを検知したときに、ロック装置14にドア解錠信号を送信する。これにより、電気錠が解錠され、玄関ドア13が開く。カードキーは、各住戸の居住者が所有しているが、玄関ドア13の電気錠を解錠するための業者用の専用キーとして、宅配業者、新聞配達員等に提供される場合がある。
【0022】
図2は、ロビーインターホン装置11を示す図である。
図2に示すように、ロビーインターホン装置11は、住戸番号を入力するためのテンキー11aと、呼び出しを実行するための呼出ボタン11bとを備える。来訪者は、テンキー11aで住戸番号を入力し、呼出ボタン11bを押すことで、訪問先の住戸を呼び出すことができる。また、ロビーインターホン装置11は、カメラ11d、マイク11e、スピーカ11f、モニタ11g、および逆マスターキー挿入部11hを備える。鍵を所有する居住者等は、逆マスターキー挿入部11hに鍵を挿入して玄関ドア13の電気錠を解錠することもできる。
【0023】
ロビーインターホン装置11は、カメラ11dにより来訪者を撮影し、その映像を呼び出しが行われたインターホン親機21に送信する。スピーカ11fからは、呼び出し音、居住者が応答した場合にはその音声等が出力される。また、来訪者の声はマイク11eにより取得されてインターホン親機21に送信されるので、訪問先の居住者と会話することができる。モニタ11gには、例えば、テンキー11aにより入力した住戸番号が表示されてもよく、カメラ11dにより撮影された映像が表示されてもよい。スピーカ11fおよびモニタ11gは、後述する宅配ボックス40の使用状況に関する情報の出力に使用されてもよい。
【0024】
ロビーインターホン装置11は、さらに、宅配業者により使用される宅配用ボタン11cを備えていてもよい。宅配用ボタン11cが操作された場合、例えば、来訪者が宅配業者であることを特定できるように、一般の来訪者の場合と異なる方法でインターホン親機21の呼び出しが行われてもよい。また、宅配用ボタン11cは、後述するように、宅配ボックス40の解錠や、使用状況に関する情報を確認する際に使用されてもよい。
【0025】
各住戸には、インターホン親機21と、玄関子機22とが設けられている。また、本実施形態では、各住戸に対応して、宅配ボックス40が設けられている。インターホン親機21は各住戸の室内に設置され、玄関子機22および宅配ボックス40は各住戸の室外に設置される。玄関子機22と宅配ボックス40は、一般的に、各住戸の玄関近傍に設置される。各住戸には、例えば、インターホン親機21を介して玄関子機22と通信可能に接続された副親機が設けられていてもよく、複数の宅配ボックス40が設けられていてもよい。
【0026】
インターホン親機21は、玄関子機22および宅配ボックス40と通信可能に接続された情報端末である。また、インターホン親機21は、分岐器16を介してロビーインターホン装置11および制御装置30と通信可能に接続されている。インターホン親機21は、マイク、スピーカ、モニタ、通話ボタン等を備える。居住者は、インターホン親機21により、ロビーインターホン装置11または玄関子機22を介して来訪者と通話可能であり、来訪者の映像を確認することができる。
【0027】
インターホン親機21は、さらに、玄関ドア13の電気錠を解錠するための解錠ボタンを備える。また、インターホン親機21には、宅配ボックス40の解錠に係る設定を行うための入力機能が設けられていてもよい。本実施形態では、宅配ボックス40に荷物が収納されると、その情報がインターホン親機21に送信され、モニタに表示されることが好ましい。インターホン親機21は、インターネット等の広域通信網に接続されていてもよく、居住者の通信端末に宅配物が届いたことを知らせる通知を送信するように構成されていてもよい。
【0028】
玄関子機22は、各住戸の外側に設けられ、インターホン親機21を呼び出すための呼出ボタン22aを備える。また、玄関子機22は、ロビーインターホン装置11と同様に、カメラ、マイク、およびスピーカを備える。呼出ボタン22aが操作されると、インターホン親機21の呼び出しが行われると共に、玄関子機22のカメラにより来訪者が撮影され、その映像がインターホン親機21のモニタに表示される。インターホン親機21には、来訪者の映像を録画する機能が設けられていてもよい。インターホン親機21は、宅配ボックス40が操作されたときに、玄関子機22のカメラにより撮影された操作者の画像を録画してもよい。
【0029】
制御装置30は、上述のように、共用玄関10のロビーインターホン装置11および各住戸のインターホン親機21と通信可能に接続され、これらの装置を制御する機能を有する。
図1に示す例では、制御装置30がゲートウェイ51を介してクラウドサーバ50に接続されている。ゲートウェイ51は、ルータとして機能する。制御装置30は、インターホンシステム1の制御に必要な情報をクラウドサーバ50から取得してもよい。また、制御装置30は、管理室の管理事務室親機15と通信可能に接続されている。管理事務室親機15は、例えば、制御装置30を介してロビーインターホン装置11および複数のインターホン親機21に種々の情報を送信できる。
【0030】
図3は、制御装置30の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、制御装置30は、インターホンシステム1を制御するための演算処理を実行するプロセッサ31と、制御プログラム等が記憶されたメモリ32とを備える。制御装置30は、インターホンシステム1を統括的に制御する装置であって、ロビーインターホン装置11、インターホン親機21、および管理事務室親機15等と通信可能に接続され、各装置から信号を受信して種々の情報を取得し、各装置に制御信号を出力して各装置を制御する。また、制御装置30は、インターホン親機21を介して玄関子機22および宅配ボックス40と通信可能に接続されている。
【0031】
制御装置30は、インターホン親機21の呼び出し、玄関ドア13の電気錠の解錠等を実行する第1処理部33を備える。第1処理部33は、ロビーインターホン装置11で呼び出し操作が行われたときに所定のインターホン親機21を呼び出し、インターホン親機21の操作に基づいてロック装置14にドア解錠信号を出力するように構成されている。ロック装置14にドア解錠信号が出力されると、玄関ドア13の電気錠が解錠される。また、第1処理部33は、玄関子機22の呼出ボタン22aが操作されたときに、インターホン親機21の呼び出しを実行する。
【0032】
制御装置30は、さらに、第2処理部34と、第3処理部35とを備える。第2処理部34および第3処理部35は、宅配ボックス40に関連する制御を実行するように構成されている。第2処理部34は、玄関ドア13の電気錠を解錠するためのドア解錠情報を取得する取得部、および当該解錠情報が所定の住戸を特定する住戸特定情報と共に取得されたときに、所定の条件下において、当該住戸に対応する宅配ボックス40を解錠するための解錠信号を出力する出力部として機能する。第3処理部35は、宅配ボックス40の使用状況に関する情報をロビーインターホン装置11に出力する出力部として機能する。
【0033】
制御装置30は、プロセッサ31を含むコンピュータにより構成される。メモリ32は、例えばRAM、ROM、ハードディスク等により構成され、プロセッサ31を含むコンピュータに内蔵されている。なお、制御装置30は、1つのコンピュータで構成されていてもよく、複数のコンピュータで構成されていてもよい。また、制御装置30の機能の一部または全部が、クラウドサーバ50等の集合施設の外部にあるサーバ等に存在していてもよい。
【0034】
以下、第2処理部34および第3処理部35について詳細に説明する。第2処理部34と第3処理部35は、上述の通り、宅配ボックス40に関連する制御を実行する。プロセッサ31は、メモリ32にインストールされた制御プログラムを読み出して実行することにより、第1処理部33、第2処理部34、および第3処理部35の各機能を実現する。すなわち、メモリ32にインストールされた制御プログラムには、宅配ボックス40の制御をコンピュータで実現するためのプログラムが含まれている。
【0035】
第2処理部34は、例えば、玄関ドア13の電気錠を解錠するためのドア解錠情報が、所定の住戸を特定する住戸特定情報と共に取得されたときに、所定の条件下において、当該所定の住戸の宅配ボックス40を解錠するための解錠信号を出力する。宅配ボックス40に解錠信号が出力されると、宅配ボックス40の施錠機構が作動し、扉が解錠される。所定の住戸は配達先の住戸であり、住戸特定情報を取得することで、配達先の宅配ボックス40だけを解錠することができる。なお、ドア解錠情報と住戸特定情報は、ロビーインターホン装置11の一連の操作において取得される等、互いに関連して取得されればよく、完全に同時に取得される必要はない。
【0036】
ドア解錠情報の一例としては、一般的なインターホン親機21の呼び出し操作に基づく情報が挙げられる。具体的には、ロビーインターホン装置11のテンキー11aで入力された住戸番号と、呼出ボタン11bの操作信号とを含む情報である。第2処理部34は、インターホン親機21の呼び出し操作に基づく情報が取得されたときに、居住者の応答の有無に関わらず、所定の条件下において、配達先の住戸の宅配ボックス40に解錠信号を出力してもよい。或いは、居住者の応答が無かった場合にのみ、宅配ボックス40の解錠信号を出力してもよい。この場合、玄関ドア13の電気錠の解錠は、宅配業者に提供されている専用キーを用いて行われる。
【0037】
宅配業者には、玄関ドア13の電気錠を解錠するための手段として、逆マスターキー挿入部11hに挿入される鍵、ロビーインターホン装置11に入力されるパスワードなど、専用キー以外の解錠手段が提供されていてもよい。また、ロビーインターホン装置11のカメラ11dを用いて社員証等の宅配業者を特定する情報を読み取り、玄関ドア13の電気錠を解錠してもよい。第2処理部34は、インターホン親機21の呼び出し操作が行われ、かつ予め定められた解錠手段により玄関ドア13が解錠された場合に、配達先の住戸の宅配ボックス40に解錠信号を出力してもよい。
【0038】
ドア解錠情報の他の一例は、インターホン親機21の通常の呼び出し操作と異なる、宅配業者用に設定された専用の操作に基づく情報である。専用の操作としては、ロビーインターホン装置11のテンキー11aで住戸番号を入力することに加えて、宅配用よ11cの操作および専用キーを非接触キー検知装置12にかざす操作の少なくとも一方を行うことが挙げられる。この場合、宅配用ボタン11cの操作信号、専用キーの検知信号がドア解錠情報となり、テンキー11aにより入力された住戸番号が住戸特定情報となる。
【0039】
宅配業者は、例えば、宅配用ボタン11cを押してからテンキー11aで住戸番号を入力し、非接触キー検知装置12に専用キーをかざすことにより、所定の条件下において、玄関ドア13の電気錠を解錠し、配達先の住戸の宅配ボックス40を解錠できる。この場合、インターホン親機21の通常の呼び出しは行われない。ロビーインターホン装置11に宅配用ボタン11cが設けられていない場合、テンキー11aの特定ボタン(例えば、#ボタン)が使用されてもよい。
【0040】
ドア解錠情報は、住戸毎に設定される認証情報であってもよい。宅配業者は、例えば、ロビーインターホン装置11のテンキー11aで認証情報を入力することにより、特定の宅配ボックス40を解錠することができる。この場合も、インターホン親機21の通常の呼び出しは行われない。また、認証情報には、配達先である所定の住戸を特定する情報が含まれているので、宅配業者は住戸番号を入力する必要がない。つまり、認証情報を用いた場合、ドア解錠情報と住戸特定情報が同時に取得される。換言すると、ドア解錠情報に住戸特定情報が含まれている。
【0041】
認証情報の一例としては、宅配物毎に設定されるパスワードが挙げられる。居住者は、例えば、配達される商品を購入する際にパスワードを設定することができ、そのパスワードが宅配業者に提供されて宅配ボックス40の解錠に使用される。また、認証情報は、インターホンシステム1が宅配業者に提供するワンタイムパスワードであってもよい。インターホンシステム1は、例えば、宅配業者の通信端末からパスワードが要求された場合に、配達先の住戸の宅配ボックス40を解錠するためのワンタイムパスワードを提供する。
【0042】
なお、荷物が収納されて扉が施錠された使用中の宅配ボックス40は、荷物が取り出されるまで自動的に解錠されないことが好ましい。使用中の宅配ボックス40では、施錠機構の作動が禁止され、第2処理部34から解錠信号を受信しても扉を解錠しない。或いは、住戸特定情報により特定された宅配ボックス40が使用中である場合、第2処理部34から解錠信号が送信されない。つまり、第2処理部34の機能により解錠される宅配ボックス40は、荷受け前の宅配ボックス40に限定される。
【0043】
第2処理部34は、上述の通り、電気錠のドア解錠情報が住戸特定情報と共に取得され、かつ所定の条件が満たされている場合に、住戸特定情報により特定された住戸の宅配ボックス40に解錠信号を出力する。つまり、ドア解錠情報と住戸特定情報が取得されても、所定の条件が満たされなければ、宅配ボックス40は解錠されない。所定の条件の一例としては、玄関ドア13の電気錠が解錠されてからの経過時間が所定の時間を超えないことが挙げられる。
【0044】
第2処理部34は、例えば、玄関ドア13の電気錠が解錠されてから所定時間内に限り、特定の宅配ボックス40に解錠信号を出力する。解錠信号の出力を所定時間内に限定することで、宅配ボックス40のセキュリティを確保できる。第2処理部34は、例えば、電気錠の解錠から所定の時間が経過した時点で宅配ボックス40を施錠するための施錠信号を出力する。この場合、宅配業者は、玄関ドア13の電気錠が解錠されてから所定時間内に、宅配ボックス40の開扉ボタンを操作して扉を開く必要がある。なお、宅配ボックス40は、施錠信号によらず、解錠信号の出力停止により自動的に施錠される構成であってもよい。
【0045】
所定時間は、例えば、共用玄関10から住戸に到着するまでの時間を考慮して決定される。所定時間は、各住戸で同じであってもよく、共用玄関10から住戸までの距離を考慮して異なる時間に設定されてもよい。また、インターホンシステム1には、当該所定時間を設定するための設定部が設けられていてもよい。設定部は、例えば、各インターホン親機21に設けられ、各住戸の居住者により任意に設定される。或いは、設定部は管理事務室親機15に設けられ、管理者等により所定時間が設定されてもよい。
【0046】
所定の条件の他の一例としては、配達先の住戸の玄関子機22に対して所定の操作がなされたことが挙げられる。所定の操作は、インターホン親機21の呼び出しを行うための操作と異なる操作である。玄関子機22によるインターホン親機21の呼び出しは、通常、呼出ボタン22aを短く1回押すことで行われるが、所定の操作は、呼出ボタン22aを3秒以上長押しする、2回続けて押したり、3回以上続けて押すなど、通常の呼び出し操作では行われない特殊な操作とされる。この場合、インターホン親機21の通常の呼び出しは行われない。
【0047】
第2処理部34は、例えば、ドア解錠情報と住戸特定情報が同じタイミングで取得され、かつ呼出ボタン22aの特殊操作に基づく信号が取得された場合に、特定の宅配ボックス40に解錠信号を出力する。なお、所定の操作は、呼出ボタン22aの特殊操作に限定されず、呼出ボタン22a以外の操作部の操作であってもよい。玄関子機22には、カバー内や、装置の側面、下面等の目立たない位置に宅配業者用のボタンが設けられていてもよい。第2処理部34は、このボタンの操作信号を取得したときに、宅配ボックス40の解錠信号を出力してもよい。
【0048】
インターホン親機21の所定の操作には、所定の時間制限および回数制限の少なくとも一方が設定されていてもよい。第2処理部34は、例えば、インターホン親機21の操作が、玄関ドア13の電気錠が解錠されてから所定時間内に行われた場合に、所定の条件を満たすものと判断し、宅配ボックス40の解錠信号を出力する。この場合、玄関子機22の操作は、特殊操作である必要はなく、インターホン親機21の呼び出しを行うための操作と同じであってもよい。
【0049】
第2処理部34は、玄関子機22の操作が所定の回数を超えた場合、宅配ボックス40の解錠信号を出力しないことが好ましい。所定の回数は、1回に設定されてもよく、2回以上に設定されてもよい。有効な操作と認められる回数の制限を設けることにより、宅配ボックス40のセキュリティ面がさらに強化される。第2処理部34は、例えば、ドア解錠情報に基づいて電気錠を解錠した場合、玄関子機22の特殊操作に基づく操作信号が初めて取得されたときに宅配ボックス40の解錠信号を出力し、その操作信号が複数回取得されても解錠信号を出力しない。この場合、インターホン親機21の呼び出しが行われる。
【0050】
第2処理部34は、ドア解錠情報により玄関ドア13の電気錠を解錠した場合、電気錠の解錠から所定時間経過後に宅配ボックス40を解錠してもよい。第2処理部34は、例えば、電気錠の解錠後、第1の所定時間経過後かつ第2の所定時間以内に、特定された住戸の宅配ボックス40に解錠信号を出力する。この場合、電気錠が解錠されてから宅配業者が配達先の住戸に到着するまでの間も、宅配ボックス40の施錠が維持されるので、セキュリティ面がさらに強化される。
【0051】
第3処理部35は、宅配ボックス40の使用状況に関する情報をロビーインターホン装置11に出力する。第3処理部35は、宅配ボックス40の使用状況に関する情報をモニタ11gに表示させてもよく、スピーカ11fから音声として出力してもよい。宅配ボックス40の使用状況に関する情報は、各住戸の宅配ボックス40が使用できる状態にあるか否か、すなわち荷物が収納されているか否かの情報であって、メモリ32に記憶されている。
【0052】
宅配ボックス40が荷受室に収納された荷物の有無を検知するセンサを備える場合、そのセンサの検知情報が制御装置30に送信され、宅配ボックス40の使用状況に関する情報としてメモリ32に記憶される。或いは、宅配ボックス40には、押印機構、施錠機構等に、荷物が収納されて扉が施錠されたことを検知可能なセンサが設置されていてもよい。この場合も同様に、センサの検知情報が制御装置30に送信され、使用状況に関する情報としてメモリ32に記憶される。制御装置30は、玄関子機22のカメラにより撮影された映像から、宅配ボックス40の使用状況に関する情報を取得してもよい。
【0053】
第3処理部35は、例えば、玄関ドア13の電気錠を解錠するためのドア解錠情報が所定の住戸を特定する住戸特定情報と共に取得されたときに、所定の住戸の宅配ボックス40の使用状況に関する情報をロビーインターホン装置11に出力する。具体的には、『只今、宅配ボックスは使用中です』等の文字をモニタ11gに表示させてもよく、この音声をスピーカ11fから出力させてもよい。この場合、宅配業者は、配達先に向かう必要がなくなり、宅配業者の負担が軽減される。
【0054】
第3処理部35は、ロビーインターホン装置11により宅配ボックス40の使用状況に関する情報が要求された場合に、所定の住戸の宅配ボックス40の使用状況に関する情報をロビーインターホン装置11に出力してもよい。宅配業者は、例えば、認証情報等を入力する代わりに宅配ボックス40の使用状況を要求するための操作を行うことで、宅配ボックス40の使用状況を確認できる。
【0055】
第3処理部35は、要求操作に基づいて、複数の住戸の宅配ボックス40の使用状況に関する情報を出力してもよい。要求操作の一例としては、テンキー11aで住戸番号を入力してから、宅配用ボタン11cを操作することが挙げられる。このとき、複数の住戸番号を入力可能としてもよい。配達先が複数ある場合に、宅配業者は、認証情報等を入力しなくても宅配ボックス40の使用状況を確認できるので、宅配業者の負担が軽減される。
【0056】
以下、
図4のフローチャートを参照しながら、上記構成を備えたインターホンシステム1(宅配ボックスの制御システム)による宅配ボックス40の解錠に係る制御手順の一例について説明する。
【0057】
図4に示すように、宅配ボックス40の解錠プロセスでは、まず、玄関ドア13の電気錠を解錠するためのドア解錠情報を取得する(S1)。ドア解錠情報は、上述のように、インターホン親機21を呼び出すための操作に基づく信号、住戸毎に設定された認証情報、宅配用ボタン11cの操作信号、宅配業者に予め提供された専用キー等の検知信号などである。例えば、ドア解錠情報として認証情報が用いられる場合、インターホン親機21の通常の呼び出しを行わないが、インターホン親機21の呼び出しを行い、インターホン親機21から応答がない場合に、宅配ボックス40を解錠してもよい。
【0058】
続いて、所定の住戸を特定する住戸特定情報の有無を確認する(S2)。認証情報には所定の住戸を特定する情報が含まれるので、ドア解錠情報が認証情報である場合、ドア解錠情報と住戸特定情報が同時に取得される。ドア解錠情報が認証情報以外である場合、例えば、テンキー11aにより入力される住戸番号が住戸特定情報となる。宅配業者が、宅配用ボタン11cを押してからテンキー11aで住戸番号を入力し、非接触キー検知装置12に専用キーをかざす操作を行った場合、或いはテンキー11aで住戸番号を入力してから、非接触キー検知装置12に専用キーをかざす操作を行った場合、住戸特定情報と共にドア解錠情報が取得される。
【0059】
住戸特定情報と共にドア解錠情報が取得されると、玄関ドア13の電気錠を解錠し、所定の条件が満たされた場合に、住戸特定情報により特定された住戸の宅配ボックス40に解錠信号を出力する(S3,S4)。なお、宅配ボックス40が解錠信号を受信すると、施錠機構が作動して扉が解錠される。これにより、宅配業者は、宅配ボックス40の扉を開くことが可能となり、宅配ボックス40に荷物を収納できる。他方、所定の条件が満たされない場合は、宅配ボックス40の解錠信号は出力されない。
【0060】
所定の条件は、例えば、玄関ドア13の電気錠が解錠されてからの経過時間が所定時間を超えないことである。宅配ボックス40は、上述のように、解錠信号の出力停止により自動的に施錠されてもよい。この場合、経過時間が所定時間を超えたときに解錠信号の出力を停止し、宅配ボックス40を施錠してもよい。また、玄関ドア13の電気錠が解錠されてからの経過時間が所定時間を超えた場合に、宅配ボックス40を施錠するための施錠信号を出力してもよい。
【0061】
荷受室に荷物が収容され扉が施錠された使用中の宅配ボックス40は、上記解錠プロセスにより解錠されないことが好ましい。但し、宅配業者等により集荷される荷物を収納する目的で宅配ボックス40が使用される場合、上記解錠プロセスにより宅配ボックス40が解錠される。インターホンシステム1は、例えば、上記解錠プロセスにより使用中の宅配ボックス40が解錠されないことを基本設定としつつ、インターホン親機21によりその設定を変更できるようにしてもよい。
【0062】
図5は、宅配ボックス40の解錠プロセスの他の例を示すフローチャートである。
図5に示す例では、住戸特定情報と共にドア解錠情報が取得された場合に、所定の条件下において、特定された住戸の宅配ボックス40に解錠信号を出力する点で、
図4に示す例と共通する(S1,S2,S4)。
図5に示す例では、宅配ボックス40を解錠するための所定の条件として、玄関子機22の所定の操作がなされることが設定されている(S11)。所定の条件には、電気錠の解錠からの時間制限がさらに設定されていてもよい。
【0063】
図5に示す宅配ボックス40の解錠プロセスでは、住戸特定情報と共にドア解錠情報が取得され、玄関子機22の所定の操作がなされた場合に、特定の宅配ボックス40に解錠信号を出力する。玄関子機22の所定の操作は、例えば、インターホン親機21の呼び出しを行う操作と異なる特殊な操作である。さらに、所定の操作には、有効な操作と認められる所定の回数が設定されている(S12)。ゆえに、所定の操作が所定の回数(例えば、1回)を超えた場合、宅配ボックス40の解錠信号は出力されない。
【0064】
S12では、例えば、所定の操作が呼出ボタン22aを連続して2回押す操作であれば、その連続した2回の呼出ボタン22aの操作を1回としてカウントする。また、所定の操作が呼出ボタン22aを連続して押す操作である場合、連続押しの回数を考慮してS12の所定の回数を設定してもよい。例えば、連続2回押しの操作であれば、所定の回数を6回とする。
【0065】
なお、宅配ボックス40が使用中である場合は、ロビーインターホン装置11に宅配ボックス40の使用状況に関する情報を出力し、宅配ボックス40の解錠プロセスを終了してもよい。この場合、共用玄関10で宅配ボックス40の使用状況を確認することが可能となり、宅配業者の利便性が改善される。宅配ボックス40の使用状況に関する情報は、宅配ボックス40が使用できる状態にあるか否かの情報であって、宅配ボックス40に設置されたセンサの検知情報等に基づいて取得され、メモリ32に記憶されている。
【0066】
図5に示す例では、玄関ドア13の電気錠が解錠されてからの経過時間が所定時間を超えた場合に、宅配ボックス40を施錠するための施錠信号を出力し(S13,S14)、宅配ボックス40を施錠する。また、玄関ドア13の電気錠が解錠されてから第1の所定時間経過後、かつS13の所定時間(第2の所定時間)内に、宅配ボックス40の解錠信号を出力してもよい。この場合、電気錠が解錠されてから宅配業者が配達先の住戸に到着するまでの間も、宅配ボックス40の施錠が維持されるので、セキュリティ面がさらに強化される。第1の所定時間は、例えば1分~3分であり、インターホン親機21に設けられた設定部により、各住戸の居住者が任意に設定できる。また、S13の第2の所定時間は、例えば5分~15分であり、第1の所定時間と同様に設定部により設定できる。
【0067】
以上のように、宅配ボックスの制御システムが組み込まれたインターホンシステム1によれば、荷受け前においても宅配ボックス40が施錠されているので、宅配ボックス40の良好なセキュリティを確保できる。他方、宅配業者は宅配ボックス40を容易に解錠できるため、宅配業者の使用において特に支障はなく、宅配業者の利便性は損なわれない。つまり、本実施形態のシステムは、宅配業者の利便性を損なうことなく、宅配ボックス40の良好なセキュリティを確保できる画期的なシステムである。
【0068】
なお、上述の実施形態は、本開示の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。上述の実施形態では、各住戸に宅配ボックス40が1つずつ設置される場合を例示したが、宅配ボックス40は各住戸に複数設置されてもよいし、或いは各階の所定の場所にまとめて設置されてもよい。宅配ボックス40の数は、集合住宅を構成する住戸の数より少なくてもよい。また、集合施設を構成する施設に設けられる情報端末および玄関子機は、インターホン親機21および玄関子機22に限定されない。玄関子機は宅配ボックスの制御システムの専用設備であってもよく、情報端末はスマートフォン、タブレット等のモバイル端末であってもよい。
【0069】
上述の実施形態では、宅配ボックス40がインターホン親機21に接続される場合を例示したが、宅配ボックス40は制御装置30に接続されていてもよい。この場合、制御装置30と各宅配ボックス40との間に、制御装置30と各宅配ボックス40の通信を中継する中継装置が接続されていてもよい。
【0070】
図6に示すインターホンシステム1xのように、各住戸に設置された宅配ボックス40の他に、複数の宅配ボックス70aを含む共用宅配ボックス70が設けられていてもよい。宅配業者は、例えば、配達先の住戸の宅配ボックス40が使用中であるとき、共用宅配ボックス70を使用できる。なお、本開示の制御システムは、各住戸に宅配ボックス40が設置されておらず、共用宅配ボックス70だけが設置された集合施設にも適用できる。
【0071】
宅配ボックス70aは、宅配ボックス40と同様に、荷受け前においても施錠されている。制御装置30は、共用宅配ボックス70が使用される場合、住戸特定情報と共にドア解錠情報が取得され、かつ所定の条件が満たされる場合に、特定された住戸に対応する宅配ボックス70aに解錠信号を出力する。共用宅配ボックス70の場合、所定の住戸に対応する宅配ボックスは、例えば、その住戸用に予め割り振られた1つまたは複数の宅配ボックス70aである。或いは、共用宅配ボックス70が使用される場合、宅配業者により選択される宅配ボックス70aが、所定の住戸に対応する宅配ボックスとして解錠されてもよい。
【0072】
また、制御装置30には、エレベータ60を制御するエレベータ制御装置61が接続されていてもよい。この場合、エレベータ60の情報を宅配ボックス40の解錠制御に利用できる。制御装置30は、例えば、配達先の住戸がある階に、ロビーインターホン装置11を操作した宅配業者が乗ったエレベータ60の乗りかごが到着した時点で、宅配ボックス40に解錠信号を出力してもよい。或いは、解錠信号の出力のタイミングは、エレベータ60の乗場呼ボタンが操作されたときであってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1,1x インターホンシステム、10 共用玄関、11 ロビーインターホン装置、11a テンキー、11b 呼出ボタン、11c 宅配用ボタン、11d カメラ、11e マイク、11f スピーカ、11g モニタ、11h 逆マスターキー挿入部、12 非接触キー検知装置、13 玄関ドア、14 ロック装置、15 管理事務室親機、16 分岐器、21 インターホン親機、22 玄関子機、22a 呼出ボタン、30 制御装置、31 プロセッサ、32 メモリ、33 第1処理部、34 第2処理部、35 第3処理部、40,70a 宅配ボックス、50 クラウドサーバ、51 ゲートウェイ、60 エレベータ、61 エレベータ制御装置、70 共用宅配ボックス