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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】臭気抑制装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/00 20060101AFI20241220BHJP
   E03F 7/00 20060101ALI20241220BHJP
   E03F 3/04 20060101ALI20241220BHJP
   B29C 63/26 20060101ALI20241220BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
F16L1/00 J
E03F7/00
E03F3/04 Z
B29C63/26
A61L9/16 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2023018541
(22)【出願日】2023-02-09
(65)【公開番号】P2024113503
(43)【公開日】2024-08-22
【審査請求日】2023-10-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 [公開日及び公開場所]2022年2月11日:愛知県岩倉市東町地内、2022年5月10日から26日間:岐阜県可児市広見1丁目地内、2022年6月16日から13日間:岐阜県可児市下恵土・今渡地内、2022年7月11日から6日間:岐阜県可児市川合・下恵土・広眺丘・羽崎地内、2022年7月25日:愛知県一宮市文京1丁目地内、2022年7月28日:愛知県一宮市文京2丁目地内[公開者]株式会社LDS[公開された発明の内容]株式会社LDSが、宮川大世及び野路明史が発明した臭気抑制装置を上記公開日及び公開場所で使用した。
(73)【特許権者】
【識別番号】591272114
【氏名又は名称】株式会社北菱
(73)【特許権者】
【識別番号】523046671
【氏名又は名称】株式会社LDS
(74)【代理人】
【識別番号】100210295
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 誠心
(74)【代理人】
【識別番号】100088133
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正道
(72)【発明者】
【氏名】宮川 大世
(72)【発明者】
【氏名】野路 明史
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-038128(JP,A)
【文献】特開2007-117899(JP,A)
【文献】特開2005-087966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/00
E03F 7/00
E03F 3/04
B29C 63/26
A61L 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管渠の内周面を覆う樹脂更生材の施工において、樹脂更生材の熱硬化で発生する排蒸気の臭いを抑制する臭気抑制装置であって、
臭いのある排蒸気と零下の冷気とを混合する混合タンクと、
混合タンクと接続され、冷気を貯留し、混合タンクに冷気を供給可能な冷気タンクと、
冷気タンクに接続され、供給された圧縮空気から生成した冷気を冷気タンクに送り込む冷気発生部とを有することを特徴とする臭気抑制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管渠の内周面を覆う樹脂更生材の施工において、樹脂更生材の熱硬化で発生する排蒸気の臭いを抑制する臭気抑制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下水道のような既設管渠は、長年の使用によって劣化や不具合が進行する。
【0003】
既設管渠を被開削で更生する技術として、特許文献1に示すように既設管渠の内周面を樹脂更生材で覆う方法がある。
【0004】
既設管渠の内周面を樹脂更正材で覆う方法の概略工程は以下の通りです。
【0005】
(1)既設管渠内に不織布に熱硬化性樹脂を含侵させた樹脂更生材を引き込む工程
(2)樹脂更生材の内部に水圧又は空気圧をかけて樹脂更生材を拡径する工程
(3)樹脂更生材の内部に蒸気を加熱循環させて硬化させる工程
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019―38128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
樹脂更生材を硬化させる工程において、樹脂から発生する臭気が排蒸気に含まれてしまう。
【0008】
この臭気は、悪臭問題の原因となるので、更生作業を行っている周辺地域の空気中に放出することはできない。
【0009】
従来は、排蒸気に含まれる臭気を触媒・活性炭で抑制する対策が取られていた。
【0010】
しかし、触媒・活性炭は、時間とともに臭気抑制性能が低下すると、触媒・活性炭を交換する手間と時間がかかるという問題がある。
【0011】
そこで、上記問題を解決するために、既設管渠の内周面を樹脂更生材で覆う方法において、樹脂更生材を硬化させる工程で発生する排蒸気の十分な臭気抑制性能を長時間維持できる臭気抑制装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の臭気抑制装置は、既設管渠の内周面を覆う樹脂更生材の施工において、樹脂更生材の熱硬化で発生する排蒸気の臭いを抑制する臭気抑制装置であって、臭いのある排蒸気と零下の冷気とを混合する混合タンクと、混合タンクと接続され、冷気を貯留し、混合タンクに冷気を供給可能な冷気タンクと、冷気タンクに接続され、供給された圧縮空気から生成した冷気を冷気タンクに送り込む冷気発生部とを有する。
【0013】
排蒸気の臭気は、排蒸気を冷却することによって抑制することができる。
【0014】
請求項1の臭気抑制装置によれば、排蒸気を混合タンク内で冷気と混合して冷却することによって、臭気を確実に抑制することができる。
【0015】
また、混合タンクで冷気を貯留しておくことによって、排蒸気を十分に冷却して十分な臭気抑制性能をできる。
【0016】
さらに樹脂更生材の施工現場においては、熱硬化前の樹脂更生材の拡径等で使用するコンプレッサー等の圧縮空気を発生させる動力源が存在する。この動力源から圧縮空気を冷気発生部に供給できる環境となっている。よって、冷気発生部で生成した冷気を継続して冷気タンクに送り込むことができる。
【0017】
冷気発生部で生成した冷気を冷気タンクに一旦貯留することで、冷気発生部から送り込まれる冷気の風量が少ない、又は、冷気の圧力が低い場合であっても、排蒸気が混合タンクから冷気発生部にまで逆流することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の臭気抑制装置は、混合タンクでの十分な冷気を貯留、及び、冷気発生部での継続的な冷気生成により、排蒸気の十分な臭気抑制性能を長時間維持できるいう効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】既設管渠の内周面を樹脂更生材で覆う方法において、樹脂更生材の引込工程の概略図である。
図2】既設管渠の内周面を樹脂更生材で覆う方法において、樹脂更生材の拡径工程の概略図である。
図3】既設管渠の内周面を樹脂更生材で覆う方法において、樹脂更生材の硬化工程の概略図である。
図4】既設管渠の内周面を樹脂更生材で覆う方法において、施工後の状態を示す概略図である。
図5】本発明の一実施形態の臭気抑制装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
既設管渠の内周面を樹脂更生材で覆う方法の一例について、図1図4を用いて説明する。
【0021】
樹脂更生材10は、不織布に熱硬化性樹脂を含侵させたホースである。
【0022】
図1に示す引込工程では、止水プラグ30で止水した既設管渠20において、既設管渠20の内周面を樹脂更生材10で覆う予定範囲に、ワイヤーロープ40で通線し、電動ウインチ50で保冷車60から樹脂更生材10の引き込みを行う。
【0023】
次いで、図2に示す拡径工程では、流体供給車70から樹脂更生材10の内部に水・空気等の流体を供給し、その流体の圧力によって樹脂更生材10を拡径する。
【0024】
樹脂更生材10は、既設管渠の内周面に張り付く状態となる拡径される。
【0025】
次いで、図3に示す硬化工程では、蒸気供給車80から蒸気供給管90を介して樹脂更生材10の内部へと蒸気を供給させることによって、樹脂更生材10を加熱硬化させる。
【0026】
次いで、図4に示すように、樹脂更生材10の不要部分を除去して、既設管渠20の内周面の予定範囲が樹脂更生材10で覆われる。
【0027】
図3に示す硬化工程では、蒸気の循環において、樹脂更生材10の内部から蒸気供給車80に向かって戻ってくる排蒸気には、樹脂更生材10の臭いが移ってしまう。
【0028】
この硬化工程において発生する排蒸気の臭いを抑制する装置として、本発明の一実施の形態の臭気抑制装置1を使用する。
【0029】
臭気抑制装置1は、混合タンク2と冷気タンク3と冷気発生部4とを有する。
【0030】
混合タンク2には、臭いのある排蒸気が戻ってくる排蒸気管5が接続されている。
【0031】
また、混合タンク2と冷気タンク3とは、冷気供給管6で接続されている。
【0032】
冷気発生部4は冷気タンク3に接続されている。
【0033】
また、冷気発生部4には圧縮空気を供給するための圧縮空気管7が接続されている。
【0034】
冷気発生部4は、供給された圧縮空気から冷気を生成し、冷気タンク3に送り込む。
【0035】
冷気タンク3は冷気発生部4から送り込まれた冷気を一旦貯留することができる。
【0036】
混合タンク2の中で臭いのある排蒸気と、冷気タンクから供給される冷気とを混合する。
【0037】
冷気との混合によって、排蒸気の温度が下がると、臭いが抑制されるようになっている。
【0038】
上記で既設管渠の内周面を樹脂更生材で覆う方法の一例を説明したが、本発明の臭気抑制装置の使用は、その一例に限定されることはない。臭いのある排蒸気を冷却する必要があるのであれば、別の例の既設管渠の内周面を樹脂更生材で覆う方法においても、本発明の臭気抑制装置を使用することができる。
【0039】
上記実施形態では、混合タンク2と冷気タンク3とは、冷気供給管6で接続されている場合について説明したが、これに限定されることはない。冷気タンクから混合タンクへの冷気の流量を増加させる手段を介して混合タンク2と冷気タンク3とが接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 臭気抑制装置
2 混合タンク
3 冷気タンク
4 冷気発生部
5 排蒸気管
6 冷気供給管
7 圧縮空気管
10 樹脂更生材
20 既設管渠
30 止水プラグ
40 ワイヤーロープ
50 電動ウインチ
60 保冷車
70 流体供給車
80 蒸気供給車
90 蒸気供給管
図1
図2
図3
図4
図5