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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20241220BHJP
   D06F 58/22 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
D06F58/02 F
D06F58/22
D06F58/02 K
D06F58/02 Q
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021088756
(22)【出願日】2021-05-26
(65)【公開番号】P2022181688
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2024-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】辻 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 純也
(72)【発明者】
【氏名】塚本 智幸
(72)【発明者】
【氏名】福井 秋陸
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-500147(JP,A)
【文献】特開2019-180962(JP,A)
【文献】特開2020-168231(JP,A)
【文献】中国実用新案第211713438(CN,U)
【文献】特開2019-193707(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103403243(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 25/00
D06F 58/00 - 58/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置され、円筒状の周面壁を有する外槽と、
前記外槽内に配置され、洗濯物が収容されるドラムと、
前記外槽に接続された循環路と、
ファンを含み、前記外槽と前記循環路との間で空気を循環させる送風器と、
前記循環路内に配置され、空気を加熱する加熱器と、
前記循環路内に配置され、空気に含まれる異物を捕獲面により捕獲する乾燥フィルタと、を備え、
前記循環路は、
前記ファンを収容するファンケーシングと、
前記ファンケーシングよりも上流側の部分を構成し、前記乾燥フィルタが配置されるダクトと、を含み、
前記周面壁には、前記外槽の中心よりも上側の部分に排気口が設けられ、
前記ダクトは、前記周面壁に配置されて前記排気口に接続され、前記排気口から前記周面壁に沿って前記周面壁の頂上側へ延び、
前記乾燥フィルタは、前記捕獲面が上下方向および前記外槽の軸方向に沿うように、前記ダクト内に、前記周面壁に対して上下方向に立てて配置される、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯乾燥機において、
前記乾燥フィルタは、前記外槽の軸方向のサイズが上下方向のサイズよりも大きい、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗濯乾燥機において、
前記捕獲面に付着した異物を除去するための異物除去部を、さらに備え、
前記乾燥フィルタは、前記排気口の上側の周縁近傍に、当該周縁近傍から立ち上がるように配置される、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項4】
請求項3に記載の洗濯乾燥機において、
前記異物除去部は、前記捕獲面に沿って移動するワイパおよび前記捕獲面へ給水する給水路のうち、少なくも一つを含む、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項5】
請求項1ないしの何れか一項に記載の洗濯乾燥機において、
前記ファンケーシングは、前記ダクトの上方に位置し、
前記ダクトは、
前記排気口の下側の周縁近傍から立ち上がる側面壁と、
前記側面壁の上端から、前記側面壁から離れるに従って前記周面壁に近づくように前記周面壁の頂上側へ延びる天面壁と、
を含み、
前記乾燥フィルタは、前記排気口の上側の周縁近傍に、当該周縁近傍から立ち上がるように配置され、
前記天面壁には、前記乾燥フィルタよりも前記側面壁から遠い位置に、空気の流出口が設けられる、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
外槽に接続された取出口および戻し口を有する循環路と、外槽内の空気を取出口から循環路内に取り出して戻し口から外槽内に戻すことによって循環させる送風部と、循環路内に設けられ、循環路内の空気を加熱する加熱部と、循環路内において加熱部よりも取出口側に配置され、循環路内で取出口から戻し口へ向かう空気から異物を捕獲する縦面部を有する乾燥フィルタと、を備える洗濯乾燥機が、以下の特許文献1に記載されている。
【0003】
この洗濯乾燥機において、外槽は、円筒状の円周壁と円盤状の後面壁とを有する。循環路は、前後方向に延びる途中部分と、途中部分の後端から外槽の後面壁の後方を下側へ延びる後部分とを有し、後部分の下端部の前端に取出口が形成される。取出口は、外槽の後面壁の外周部に接続される。循環路は、後部分のほとんどを占めるダクトを含む。ダクトは、接続ホースを介して送風部のケーシングに接続される。
【0004】
ダクトの内部には、外槽の円周壁の上方に存在する下流空間と、外槽の後面壁の後方に存在する途中空間、配置空間および上流空間とが、熱風の風路として形成される。途中空間は、前後方向に薄い空間であって下流空間に後側から連通する。配置空間は、前後方向に薄い空間であって途中空間に後側から連通する。上流空間は、配置空間の下側に位置し、取出口に後側から連通する。配置空間に、乾燥フィルタを有する乾燥部材が、乾燥フィルタの縦面部が水平方向を向くように配置される。
【0005】
乾燥工程において、送風部および加熱部によって発生した熱風は、外槽と循環路との間を循環する。この際、ダクト内において、熱風は、取出口から後方へ流れた後に上流空間を上昇する。さらに、熱風は、配置空間を前方へ流れて乾燥フィルタを通過し、途中空間を経由して下流空間に到達する。そして、熱風は、下流空間を斜めに上昇し、接続ホースを介してケーシングへ流入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-168231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の洗濯乾燥機では、外槽の円周壁に配置されたケーシングへと繋がるダクトは、外槽の後面壁に配置されており、上述のように、ダクトの内部において、熱風は、前方へ折り返されるようにして乾燥フィルタを通過しつつ後面壁沿いを上昇した後、円周壁沿いを上昇する。よって、ダクトは、その内部に構成される風路が長くなりやすい。また、ダクトは、外槽の後面壁の中央部に存在する駆動モータの配置領域を避けて配置されているので、左右方向の幅を十分に採りづらく、風路の断面積が小さくなりやすい。
【0008】
よって、上記の洗濯乾燥機では、ダクトの内部の風路抵抗が大きくなりやすく、その結果、循環路を流れる熱風の風量が小さくなりやすい。
【0009】
本願発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、循環路を流れる空気の風量の増加を図ることが可能な洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主たる態様に係る洗濯洗濯機は、筐体内に配置され、円筒状の周面壁を有する外槽と、前記外槽内に配置され、洗濯物が収容されるドラムと、前記外槽に接続された循環路と、ファンを含み、前記外槽と前記循環路との間で空気を循環させる送風器と、前記循環路内に配置され、空気を加熱する加熱器と、前記循環路内に配置され、空気に含まれる異物を捕獲面により捕獲する乾燥フィルタと、を備える。ここで、前記循環路は、前記ファンを収容するファンケーシングと、前記ファンケーシングよりも上流側の部分を構成し、前記乾燥フィルタが配置されるダクトと、を含む。前記周面壁には、前記外槽の中心よりも上側の部分に排気口が設けられる。前記ダクトは、前記周面壁に配置されて前記排気口に接続され、前記排気口から前記周面壁に沿って前記周面壁の頂上側へ延びる。前記乾燥フィルタは、前記捕獲面が上下方向および前記外槽の軸方向に沿うように、前記ダクト内に、前記周面壁に対して上下方向に立てて配置される。
【0011】
上記の構成によれば、ダクトの内部では、排気口から上方向に排出された空気が、斜め上方向に向きを変え、乾燥フィルタを通過しつつ周面壁に沿うように流れる。このように、ダクトでは、空気が流れる風路が単純になるので、風路を短くできる。さらに、ダクトでは、駆動モータ等の配置による制限を受けず、外槽の軸方向に幅を大きくでき、風路の断面積を大きくできる。これにより、ダクトの内部の風路抵抗を小さくでき、その結果、循環路を流れる空気の風量を増加させることが可能となる。
【0013】
上記の構成によれば、捕獲面が上下方向および外槽の軸方向に沿うように、乾燥フィルタが上下方向に立てて配置されていても、ダクトの内部が、空気を折り返して乾燥フィルタに通過させるような風路構成とならないようにできるので、風路を短くできやすい。
【0014】
上記の構成とされた場合、さらに、前記乾燥フィルタは、前記外槽の軸方向のサイズが上下方向のサイズよりも大きくされ得る。
【0015】
上記の構成によれば、ダクトの上下方向のサイズ増加を抑えつつ捕獲面の面積を大きくでき、異物の捕獲量を多くできる。
【0016】
上記のように、洗濯乾燥機が、捕獲面が上下方向および外槽の軸方向に沿うように乾燥フィルタが配置される構成とされた場合、さらに、前記捕獲面に付着した異物を除去するための異物除去部を、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記乾燥フィルタは、前記排気口の上側の周縁近傍に、当該周縁近傍から立ち上がるように配置され得る。
【0017】
たとえば、前記異物除去部は、前記捕獲面に沿って移動するワイパおよび前記捕獲面へ給水する給水路のうち、少なくも一つを含み得る。
【0018】
上記の構成によれば、捕獲面の前方では、真下に排気口が開口するため、捕獲面から剥がれて落下する異物を、排気口を通じて、直接、外槽の内部に排出することができる。これにより、乾燥フィルタから除去された異物がダクトの内部に残りにくくなる。
【0019】
上記のように、洗濯乾燥機が、捕獲面が上下方向および外槽の軸方向に沿うように乾燥フィルタが配置される構成とされた場合、さらに、前記ファンケーシングは、前記ダクトの上方に位置し、前記ダクトは、前記排気口の下側の周縁近傍から立ち上がる側面壁と、前記側面壁の上端から、前記側面壁から離れるに従って前記周面壁に近づくように前記周面壁の頂上側へ延びる天面壁と、を含むような構成が採られ得る。この場合、前記乾燥フィルタは、前記排気口の上側の周縁近傍に、当該周縁近傍から立ち上がるように配置され、前記天面壁には、前記乾燥フィルタよりも前記側面壁から遠い位置に、空気の流出口が設けられ得る。
【0020】
上記の構成によれば、周面壁の頂上側での天面壁の高さが抑えられるので、ダクトの上方に位置するファンケーシングの高さ位置を低くでき、筐体の上下方向のサイズをコンパクトにできる。また、ダクトの内部は、排気口から下流に向かうに従って上下方向の幅が狭くなるが、乾燥フィルタは、上下方向の幅が広い排気口の上側の周縁近傍に配置されるので、上下方向のサイズを大きくでき、捕獲面の面積を大きくできる。さらに、ダクトには、天面壁に流出口が設けられているので、流出口のサイズを大きくすることができ、ダクトから空気が排出されやすくなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、循環路を流れる空気の風量の増加を図ることが可能な洗濯乾燥機を提供できる。
【0022】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施の形態に係る、洗濯機乾燥機の構成を模式的に示す側面断面図である。
図2図2(a)は、実施の形態に係る、乾燥装置が装着された外槽を後上方から見た斜視図である。図2(b)は、実施の形態に係る、排気口の周辺が示された外槽の要部の斜視図である。
図3図3は、実施の形態に係る、ダクトユニットの斜視図である。
図4図4は、実施の形態に係る、外槽の径方向に切断されたダクトユニットと外槽の要部の断面図である。
図5図5(a)および(b)は、実施の形態に係る、ダクトカバーが取り外された状態のダクトユニットを右側面壁と流入口の間の位置で切断した斜視断面図である。
図6図6(a)は、実施の形態に係る、右側面壁と流入口の間の位置で切断したダクト本体の斜視断面図である。図6(b)は、実施の形態に係る、裏返された状態のダクトカバーの斜視図である。
図7図7(a)は、実施の形態に係る、乾燥フィルタの斜視図である。図7(b)は、実施の形態に係る、ワイパの斜視図である。
図8図8(a)および(b)は、それぞれ、実施の形態に係る、給水工程およびワイパ動作工程について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の洗濯乾燥機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、洗濯乾燥機1の構成を模式的に示す側面断面図である。図2(a)は、乾燥装置100が装着された外槽20を後上方から見た斜視図である。図2(b)は、排気口203の周辺が示された外槽20の要部の斜視図である。
【0026】
本実施の形態の洗濯乾燥機1は、いわゆるドラム式の洗濯乾燥機である。洗濯乾燥機1は、直方体状の筐体10を備える。筐体10の前面には、洗濯物が投入される円形の投入口11が形成される。投入口11は、開閉自在なドア12により覆われる。
【0027】
筐体10内には、外槽20が、複数のダンパー21とスプリング22とにより弾性的に支持される。外槽20は、円筒状の周面壁201と円盤状の後面壁202とを有する。外槽20内には、ドラム23が回転自在に配置される。ドラム23は、水平軸Lの周りに回転する。ドラム23は、前面に円形の開口部23aを有する。外槽20は、ドラム23の開口部23aの前方に円形の開口部20aを有する。
【0028】
ドラム23の周面壁には、多数の脱水孔23bが形成される。また、ドラム23内には、周面壁に、洗濯物を掻き揚げるためのバッフル24が設けられる。
【0029】
外槽20の後方には、ドラム23を回転させるためのトルクを発生させる駆動モータ30が配置される。駆動モータ30は、たとえば、アウターロータ型のDCブラシレスモータである。駆動モータ30は、洗い工程およびすすぎ工程時には、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力より小さく、洗濯物がタンブリングする回転数でドラム23を回転させる。一方、駆動モータ30は、脱水工程時には、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力よりはるかに大きく、洗濯物がドラム23の周面壁に張り付く回転数でドラム23を回転させる。
【0030】
外槽20の底部には、排水口20bが形成される。排水口20bには、排水ホース等により構成される排水路40が接続される。排水路40には、排水バルブ41と排水フィルタ42が設けられる。排水バルブ41は、たとえば、バルブと、バルブを開閉させるトルクモータとを含む。排水バルブ41が開放されると、外槽20内に溜められた水が排水路40を通じて機外に排出される。排水フィルタ42により、排水に含まれるリント等の異物が捕獲される。
【0031】
筐体10内の上部には、給水部50が配置される。給水部50は、第1給水バルブ51と、第2給水バルブ52と、第1給水ホース53と、第2給水ホース54とを含む。第1給水バルブ51と第2給水バルブ52は、2連電磁バルブによって構成される。第1給水ホース53は、一端が第1給水バルブ51に接続され、他端が外槽20の後面壁202に設けられた注水口20cに接続される。第2給水ホース54は、一端が第2給水バルブ52に接続され、他端が給水路160に接続される。
【0032】
第1給水バルブ51が開放されると、水道栓からの水道水が第1給水ホース53を流れて注水口20cから外槽20内に供給される。第2給水バルブ52が開放されると、水道水が第2給水ホース54を流れて給水路160に供給される。
【0033】
筐体10内の上部には、ドラム23内の洗濯物を乾燥させるための乾燥装置100が配置される。乾燥装置100は、循環路110と、送風器120と、冷却器130と、加熱器140と、乾燥フィルタ150と、給水路160と、ワイパ機構170と、を備える。
【0034】
循環路110は、空気が流れる風路であり、外槽20に接続される。循環路110は、第1ダクト111と、ファンケーシング112と、第2ダクト113と、導入パイプ114とを含む。
【0035】
図2(b)に示すように、外槽20の周面壁201には、その後部であって、外槽20の中心よりも上側の部分に排気口203が設けられる。排気口203は、前後方向、即ち外槽20の軸方向に長く角が丸い長方形状を有する。排気口203の周縁からは環状のリブ203aが外側に突出する。
【0036】
図2(a)に示すように、第1ダクト111は、外槽20の後部において、周面壁201に配置されて排気口203に接続され、排気口203から周面壁201に沿って周面壁201の頂上側へ延びる。ファンケーシング112は、外槽20の後部において、周面壁201の上方であって、周面壁201の頂上よりも右側の第1ダクト111の上方に配置される。第1ダクト111の前後方向、即ち外槽20の軸方向の最大幅W1は、外槽20の後面壁202における、円環状のリブ202aにより区画された駆動モータ30の配置領域Rよりも外周側の部分の幅W2に比べて大きくされている。なお、第1ダクト111は、本発明のダクトに相当する。
【0037】
ファンケーシング112は、扁平な中空円柱状に形成され、下面に吸込口を有し、周面に吐出口を有する。第1ダクト111は、フレキシブルな接続ホース115を介してファンケーシング112の吸込口に接続される。
【0038】
第2ダクト113は、前後方向に長いほぼ直方体の箱状を有し、周面壁201の上方であって、ファンケーシング112の前方に配置される。第2ダクト113は、後端がファンケーシング112の吐出口に接続される。導入パイプ114は、第2ダクト113の前端から延びて、外槽20の前上部に形成された吸気口204に接続される。導入パイプ114は、第2ダクト113と一体形成された第1パイプ114aと、第1パイプ114aと吸気口204との間を繋ぐ第2パイプ114bとで構成される。
【0039】
送風器120は、たとえば、遠心ファンであり、ファンケーシング112内に収容されたファン121と、ファン121を回転駆動するためのファンモータ122とを含む。送風器120は、外槽20と循環路110との間で空気を循環させる。排気口203を通じて外槽20内から排出された空気は、第1ダクト111、ファンケーシング112、第2ダクト113、導入パイプ114の順に循環路110内を流れ、吸気口204を通じて外槽20内に戻る。送風器120とファンケーシング112とにより送風ユニットが構成される。
【0040】
冷却器130および加熱器140は、それぞれ、第2ダクト113内の上流側および下流側に配置される。冷却器130および加熱器140は、それぞれ、ヒートポンプ装置に含まれるエバポレータおよびコンデンサにより構成される。ヒートポンプ装置には、エバポレータおよびコンデンサとともに冷熱回路を構成するコンプレッサ、膨張弁等が含まれる。
【0041】
冷却器130の内部には、低温の冷媒が流れる。冷却器130は、第2ダクト113内、即ち循環路110内を流れる空気を、低温の冷媒との間の熱交換により冷却して、空気の除湿を行う。加熱器140の内部には、高温の冷媒が流れる。加熱器140は、第2ダクト113内、即ち循環路110内を流れる除湿後の空気を、高温の冷媒との間の熱交換により加熱する。
【0042】
なお、冷却器130は、水冷式の熱交換器等であってもよく、加熱器140は、半導体ヒータ等であってもよい。
【0043】
乾燥フィルタ150、給水路160およびワイパ機構170は、第1ダクト111に配置される。乾燥フィルタ150は、第1ダクト111内において、風路を塞ぐように配置される。乾燥フィルタ150は、循環路110内において、送風器120、冷却器130および加熱器140よりも空気の流れの上流に位置する。乾燥フィルタ150は、外槽20から排出された空気に含まれるリント等の異物を捕獲する。
【0044】
給水路160とワイパ機構170は、乾燥フィルタ150を清掃するためものである。給水路160は、給水部50から供給された水を乾燥フィルタ150に流し、乾燥フィルタ150の捕獲面152aに付着した異物を流す。ワイパ機構170は、ワイパ180を含み、ワイパ180により乾燥フィルタ150の捕獲面152aに付着した異物を拭き取る。
【0045】
第1ダクト111、乾燥フィルタ150、給水路160およびワイパ機構170により、ダクトユニットD1が構成される。
【0046】
図3は、ダクトユニットD1の斜視図である。図4は、外槽20の径方向に切断されたダクトユニットD1と外槽20の要部の断面図である。図5(a)および(b)は、ダクトカバー302が取り外された状態のダクトユニットD1を右側面壁307と流入口309の間の位置で切断した斜視断面図である。図5(a)は、ワイパ180が待機位置にある状態を示し、図5(b)は、ワイパ180が拭取位置にある状態を示す。図6(a)は、右側面壁307と流入口309の間の位置で切断したダクト本体301の斜視断面図である。図6(b)は、裏返された状態のダクトカバー302の斜視図である。図7(a)は、乾燥フィルタ150の斜視図である。図7(b)は、ワイパ180の斜視図である。
【0047】
図2ないし図7(b)を参照し、ダクトユニットD1の構成、即ち第1ダクト111、乾燥フィルタ150、給水路160およびワイパ機構170の構成について詳細に説明する。
【0048】
第1ダクト111は、上面が開口するダクト本体301と、ダクト本体301の上面を覆うダクトカバー302とにより構成される。第1ダクト111は、底面壁303、天面壁304、前側面壁305、後側面壁306、右側面壁307および左側面壁308を含む。右側面壁307は、本発明の側面壁に相当する。
【0049】
底面壁303および天面壁304は、上方から見て、右端が矩形状、左端が円弧状であり、左端側が後方に屈曲する形状に形成される。底面壁303は、後方から見て、周面壁201と同様な曲率で湾曲する。天面壁304は、後方から見て、右側部分が水平であり、左側部分が僅かに上り傾斜する。前側面壁305および後側面壁306は、上方から見て、左端側が後方に屈曲する形状を有し、後方から見て、三角形に近い形状を有する。右側面壁307は、上下方向に長い長方形状に形成される。左側面壁308は、上方から見て、円弧状に形成され、底面壁303から僅かな高さを有する。
【0050】
底面壁303は、ダクト本体301により構成され、天面壁304は、ダクトカバー302により構成される。前側面壁305、後側面壁306、右側面壁307および左側面壁308は、ダクト本体301とダクトカバー302とにより構成される。
【0051】
第1ダクト111には、底面壁303の右端部に空気の流入口309が設けられる。流入口309は、外槽20の周面壁201に形成された排気口203と同じ形状、即ち角が丸い長方形状を有する。図4に示すように、底面壁303には、流入口309の周縁から外側に突出する環状のリブ309aが形成されるとともに、リブ309aの外周に環状の溝部309bが形成される。流入口309の周縁のリブ309aが排気口203の内側に嵌り込み、排気口203の周縁のリブ203aが溝部309bに嵌り込むことにより、流入口309と排気口203とが接続される。
【0052】
さらに、第1ダクト111には、天面壁304の左端部に円形の流出口310が設けられる。天面壁304には、流出口310の周縁から上方に突出する円環状のリブ310aが形成される。接続ホース115の入口がリブ310aに嵌め込まれることにより、流出口310が接続ホース115に接続される。
【0053】
図4に示すように、第1ダクト111は、外槽20の径方向に切断された断面が三角形に近い形状を有し、右側面壁307が排気口203の下側の周縁近傍から立ち上がり、天面壁304が右側面壁307の上端から周面壁201の頂上側へほぼ水平に延び、右側面壁307から離れるに従って周面壁201に近づく。この第1ダクト111の断面形状は、筐体10の右側面とファンケーシング112と外槽20とで囲まれた空間の形状と相似する。これにより、第1ダクト111の内部に形成される風路は、排気口203から下流に向かうに従って上下方向の幅が徐々に狭くなる。
【0054】
第1ダクト111の内部には、流入口309、即ち排気口203の上側の周縁近傍であって、流出口310よりも右側面壁307に近い位置に、乾燥フィルタ150が配置されるフィルタ配置部311が設けられる。フィルタ配置部311は、前後方向に長い長方形の枠状に形成され、内周面に溝部311aを有する。フィルタ配置部311は、ダクト本体301側の枠部分とダクトカバー302側の枠部分とに分かれている。
【0055】
第1ダクト111には、後方に、ワイパ機構170のためのハウジング320が一体形成される。ハウジング320は、ダクト本体301と一体形成されたハウジング本体321と、ダクトカバー302と一体形成されたハウジングカバー322とにより構成される。第1ダクト111の後側面壁306には、上下方向に長い長方形状の連通口312が設けられる。第1ダクト111の内部とハウジング320の内部とが、連通口312を介して連通する。
【0056】
さらに、後側面壁306には、連通口312の左右両側に、ハウジング320の内部に突出する三角形状の一対のガード板313が設けられる。連通口312と一対のガード板313は、下側部分がダクト本体301に形成され、上側部分がダクトカバー302に形成される。ハウジング320の左側面壁323には、方形状の取付板324が一体形成される。左側面壁323と取付板324とを円形の軸孔325が貫通する。
【0057】
なお、ダクト本体301およびハウジング本体321には、所定の位置に、ネジ孔331aを有する複数の取付ボス331と、複数の係合爪332が設けられる。一方、ダクトカバー302およびハウジングカバー322には、取付ボス331に対応する位置に、挿通孔341aを有する取付タブ341が設けられ、係合爪332に対応する位置に係合孔342aを有する係合片342が設けられる。ダクトカバー302およびハウジングカバー322は、取付タブ341が取付ボス331にネジ止めされるとともに係合爪332と係合孔342aとが係合することにより、ダクト本体301およびハウジング本体321に固定される。
【0058】
第1ダクト111には、挿通孔351aを有する複数の取付タブ351が設けられる。第1ダクト111は、これら取付タブ351を用いて外槽20の周面壁201にネジで固定される。
【0059】
図7(a)に示すように、乾燥フィルタ150は、フレーム151と、フィルタ網152とを含む。フレーム151は、樹脂材料により長方形の板状に形成され、長方形状の開口部153を有する。開口部153は、上下に延びる2つの格子154により区切られて3つの開口領域に分かれる。フレーム151には、外周面に、フィルタ配置部311の溝部311aに対応するフランジ部155が形成される。
【0060】
フィルタ網152は、ステンレス等の金属材料により方形の板状に形成され、フレーム151の開口部153を覆うように、フレーム151に装着される。たとえば、フィルタ網152は、インサート成形されてフレーム151と一体化される。フィルタ網152は、少なくとも開口部153を覆う領域にメッシュが形成されており、フレーム151と反対側の面が、リント等の異物を捕獲する捕獲面152aとなる。
【0061】
第1ダクト111の内部において、乾燥フィルタ150は、その捕獲面152aが上下方向および前後方向、即ち外槽20の軸方向に沿うように、上下方向に立てられた状態でフィルタ配置部311に配置される。この際、乾燥フィルタ150は、フレーム151のフランジ部155がフィルタ配置部311の溝部311aに嵌め込まれることにより、フィルタ配置部311に固定される。乾燥フィルタ150は、前後方向、即ち外槽20の軸方向のサイズが上下方向のサイズよりも大きい。なお、本実施の形態では、捕獲面152aは、鉛直方向に沿っているが、上下方向に沿っていれば、鉛直方向に対して多少傾いていてもよい。
【0062】
給水路160は、第1ダクト111の内部において、右側面壁307と天面壁304との間の角部に設けられる。給水路160は、水路構成部材161を天面壁304に下方から装着することにより構成され、細長い方形の管状を有し、天面壁304の前後方向の幅全体に亘って設けられる。給水路160は、乾燥フィルタ150の捕獲面152aの上端部と、僅かに距離を置いて対向する。給水路160に繋がる接続管162が、第1ダクト111の上端部から後方へ突出する。接続管162には、第2給水ホース54が接続される。なお、給水路160は、本発明の異物除去部に相当する。
【0063】
給水路160には、乾燥フィルタ150の捕獲面152aと対向する側面に、複数の円形の第1放水孔163が前後方向に並ぶように形成される。さらに、給水路160には、下面に、複数の方形の第2放水孔164が、前後方向に並ぶように右側面壁307に寄せられて形成される。第2放水孔164の左側の内壁面は、下方に向かうに従って右側面壁307に近づくように傾斜する。これにより、第2放水孔164から放出した水が右側面壁307へ向かうようになる。
【0064】
ワイパ機構170は、ワイパ180と、アクチュエータ190とを含む。
【0065】
図7(b)に示すように、ワイパ180は、棒状のヘッド181と、ヘッド181から延び出したアーム182とを含む。ヘッド181には、多数の毛により構成されたブラシ183が設けられる。ブラシ183は、ヘッド181の長手方向にヘッド181とほぼ同じ長さを有する。アーム182の根元部には、回動軸184が設けられる。ワイパ180は、本発明の異物除去部に相当する。
【0066】
図5(a)および(b)に示すように、ワイパ180は、連通口312を通されることにより、アーム182の根元部側がハウジング320の内部に存在し、アーム182の先端部側とヘッド181とが第1ダクト111の内部に存在する。ワイパ180のブラシ183が、乾燥フィルタ150の捕獲面152aに接触する。さらに、ワイパ180の回動軸184が、ハウジング320の軸孔325に挿入される。本実施の形態では、ブラシ183の長さは、捕獲面152aの前後方向の長さの半分以上、具体的には3分の2程度とされている。
【0067】
なお、ワイパ180は、ブラシ183に替えて、ゴムなどの弾性材料からなるブレードを備えてもよい。
【0068】
ワイパ180は、図5(a)に示す待機位置と図5(b)に示す拭取位置との間で回動可能である。待機位置では、ワイパ180は水平方向に寝た状態にあり、ヘッド181全体が乾燥フィルタ150の上端部に位置する。一方、拭取位置では、ワイパ180は水平方向よりも下方に傾くように倒れた状態にあり、ヘッド181の根元部が乾燥フィルタ150の下端部に位置し、ヘッド181の先端部側は乾燥フィルタ150よりも下方に位置する。
【0069】
乾燥工程中、ワイパ180は待機位置に存在する。このため、乾燥工程中に第1ダクト111内を流れる熱風がハウジング320内に漏れ出しにくいよう、ワイパ180には、ワイパ180が待機位置にあるときに連通口312を塞ぐ閉塞体185が設けられる。閉塞体185は、閉塞板186と支持板187とを含む。閉塞板186は、その中央部分186aが連通口312を塞ぎ、その両側の外側部分186bが連通口312の両側の壁面およびガード板313に当接する。支持板187は、アーム182側から閉塞板186を支持する。
【0070】
アクチュエータ190は、たとえば、電動モータである。アクチュエータ190は、取付板324に取り付けられ、その出力軸が軸孔325に挿入されて、軸孔325内でワイパ180の回動軸184に連結される。通電によりアクチュエータ190が動作すると、出力軸が回転する。
【0071】
ワイパ180が待機位置にある状態で、アクチュエータ190の出力軸が正回転すると、その回転が回動軸184に伝達され、ワイパ180が拭取位置に向かって回動する。即ち、ワイパ180が捕獲面152aに沿って下方へ移動する。ワイパ180が拭取位置に達すると、連通口312の下端にアーム182が当接する。これにより、ワイパ180は拭取位置を越えて回動しない。ワイパ180が拭取位置にある状態で、アクチュエータ190の出力軸が逆回転すると、ワイパ180が待機位置に向かって回動する。即ち、ワイパ180が捕獲面152aに沿って上方へ移動する。ワイパ180が待機位置に達すると、連通口312の上端にアーム182が当接する。これにより、ワイパ180は待機位置を越えて回動しない。
【0072】
なお、アクチュエータ190は、ソレノイドであってもよい。この場合、ソレノイドのプランジャの直線運動を、伝達機構を用いて回転運動に変換し回動軸184に伝達することにより、ワイパ180を回動できる。
【0073】
さて、洗濯乾燥機1では、各種運転コースの洗濯乾燥運転、洗濯運転または乾燥運転が行われる。洗濯乾燥運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程、最終脱水工程および乾燥工程が順番に行われる。洗濯運転では、洗い工程から最終脱水工程までが行われ、乾燥工程が行われない。乾燥運転では、乾燥工程のみが行われる。運転コースによっては、すすぎ工程と中間脱水工程とが2回以上行われる場合がある。
【0074】
洗い工程では、ドラム23内に収容された洗濯物の負荷量に応じた所定水位まで、外槽20内に洗剤を含む水が溜められ、その水の中に浸された洗濯物が、ドラム23の正回転および逆回転が繰り返されることによりタンブリングされる。洗濯物の内部まで洗剤を含む水が浸透し、洗剤の力とタンブリングによる機械力とにより洗濯物の表面や内部に付着した汚れが落とされる。
【0075】
すすぎ工程では、外槽20内に所定水位までの水が溜められた状態でドラム23が正回転および逆回転し、洗濯物がタンブリングされる。これにより、洗濯物に含まれた洗剤が水とともに排出され、洗濯物がすすがれる。
【0076】
中間脱水工程および最終脱水工程では、駆動モータ30が一方向に高速回転し、ドラム23が、ドラム23内の洗濯物に作用する遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転数で一方向に回転する。遠心力の作用により、洗濯物が、ドラム23の周壁面に押し付けられ、脱水される。最終脱水工程では、中間脱水工程での回転数よりも高い回転数でドラム23が回転する。
【0077】
乾燥工程では、送風器120の動作により外槽20と循環路110との間で空気が循環し、加熱器140の動作により外槽20に導入される空気が加熱され、熱風となる。さらに、ドラム23が正回転および逆回転し、洗濯物がタンブリングされる。
【0078】
吸気口204から外槽20内に導入された熱風がタンブリングする洗濯物に当たり、洗濯物が乾燥する。洗濯物から水分を奪った熱風は、排気口203から循環路110へ戻り、加熱器140で加熱される前に冷却器130を通過して、冷却器130により除湿される。
【0079】
このとき、第1ダクト111の内部では、図4の矢印に示すように、排気口203から上方向に排出された熱風が、斜め上方向に向きを変え、乾燥フィルタ150を通過しつつ外槽20の周面壁201に沿うように流れる。さらに、熱風は、上方向に向きを変え、流出口310から排出されて、接続ホース115を通ってファンケーシング112内へと流れる。洗濯物から出て熱風に混入したリント等の異物が、熱風が乾燥フィルタ150を通過する際に捕獲面152aで捕獲される。乾燥フィルタ150よりも下流側の循環路110内を異物が流れにくくなり、下流にある送風器120、冷却器130および加熱器140に異物が付着しにくくなる。
【0080】
洗濯乾燥運転および乾燥運転では、乾燥工程が終了すると、乾燥フィルタ150から異物を除去するためのフィルタ清掃運転が行われる。フィルタ清掃運転では、給水工程とワイパ動作工程とが順番に行われる。
【0081】
図8(a)および(b)は、それぞれ、給水工程およびワイパ動作工程について説明するための図である。
【0082】
給水工程では、所定の給水時間、給水部50から給水路160に給水が行われる。図8(a)の実線矢印に示すように、給水路160の複数の第1放水孔163から乾燥フィルタ150に向けて水が放出される。放出された水は、乾燥フィルタ150の捕獲面152aの上部に掛かり、捕獲面152aを下方へと流れる。捕獲面152aに付着した異物が、水で流されて捕獲面152aから剥がされる。
【0083】
ここで、乾燥フィルタ150は、排気口203の上側の周縁近傍に配置されており、捕獲面152aの前方では、真下に排気口203が開口している。このため、捕獲面152aから剥がれて落下する異物は、水とともに、排気口203を通じて、直接、外槽20の内部に排出される。
【0084】
さらに、図8(a)の破線矢印に示すように、給水路160の複数の第2放水孔164から第1ダクト111の右側面壁307に向けて水が放出される。右側面壁307に付着した異物が水で流されて外槽20内へ排出される。
【0085】
なお、給水工程では、給水前にワイパ180が拭取位置に移動される。
【0086】
次に、ワイパ動作工程では、図8(b)の矢印に示すように、ワイパ180が、所定のワイパ動作時間、待機位置と拭取位置との間で往復移動する。ワイパ180のブラシ183が乾燥フィルタ150の捕獲面152aを擦りながら移動することにより、捕獲面152aに付着した異物が削ぎ落とされる。
【0087】
給水工程と同様、捕獲面152aから剥がれて落下する異物は、排気口203を通じて、直接、外槽20の内部に排出される。
【0088】
フィルタ清掃運転では、最後に、ワイパ180が拭取位置に移動され、給水路160の複数の第1放水孔163から放水が行われる。ワイパ180のブラシ183に付着した異物が水で流される。
【0089】
給水工程およびワイパ動作工程において、外槽20内に排出された異物は、外槽20内に排出された水とともに排水路40へと流れ、排水路40に配置された排水フィルタ42で回収される。
【0090】
なお、フィルタ清掃運転は、乾燥工程の前に行われてもよい。
【0091】
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、循環路110は、送風器120のファン121を収容するファンケーシング112と、ファンケーシング112よりも上流側の部分を構成し、乾燥フィルタ150が配置される第1ダクト111と、を含む。外槽20の周面壁201には、外槽20の中心よりも上側の部分に排気口203が設けられる。第1ダクト111は、周面壁201に配置されて排気口203に接続され、排気口203から周面壁201に沿って周面壁201の頂上側へ延びる。
【0092】
この構成によれば、第1ダクト111の内部では、排気口203から上方向に排出された熱風が、斜め上方向に向きを変え、乾燥フィルタ150を通過しつつ外槽20の周面壁201に沿うように流れる。このように、第1ダクト111では、外槽20の後面壁202に配置される構成と違って、熱風が流れる風路が単純になるので、風路を短くできる。さらに、第1ダクト111では、外槽20の後面壁202に配置される構成と違って、駆動モータ30の配置領域Rによる制限を受けず、外槽20の軸方向に幅を大きくでき、風路の断面積を大きくできる。これにより、第1ダクト111の内部の風路抵抗を小さくでき、その結果、循環路110を流れる熱風の風量を増加させることが可能となる。
【0093】
特に、本実施の形態によれば、捕獲面152aが上下方向および外槽20の軸方向に沿う縦面となるように、乾燥フィルタ150が上下方向に立てて配置されていても、第1ダクト111の内部が、熱風を折り返して乾燥フィルタ150に通過させるような風路構成とならないようにできるので、風路を短くできやすい。
【0094】
さらに、本実施の形態によれば、乾燥フィルタ150は、外槽20の軸方向のサイズが上下方向のサイズよりも大きくなるように構成されている。これにより、第1ダクト111の上下方向のサイズ増加を抑えつつ捕獲面152aの面積を大きくでき、異物の捕獲量を多くできる。
【0095】
さらに、本実施の形態によれば、乾燥フィルタ150の捕獲面152aに付着した異物を除去するために、捕獲面152aに沿って移動するワイパ180および捕獲面152aへ給水する給水路160が設けられる。そして、乾燥フィルタ150が、排気口203の上側の周縁近傍に配置される。
【0096】
この構成によれば、捕獲面152aの前方では、真下に排気口203が開口するため、捕獲面152aから剥がれて落下する異物を、排気口203を通じて、直接、外槽20の内部に排出することができる。これにより、乾燥フィルタ150から除去された異物が第1ダクト111の内部に残りにくくなる。
【0097】
さらに、本実施の形態によれば、ファンケーシング112は、第1ダクト111の上方に位置し、第1ダクト111は、排気口203の下側の周縁近傍から立ち上がる右側面壁307と、右側面壁307の上端から、右側面壁307から離れるに従って外槽20の周面壁201に近づくように周面壁201の頂上側へ延びる天面壁304と、を含む。そして、乾燥フィルタ150は、排気口203の上側の周縁近傍に配置され、天面壁304には、乾燥フィルタ150よりも右側面壁307から遠い位置に、空気の流出口310が設けられる。
【0098】
この構成によれは、周面壁201の頂上側での天面壁304の高さが抑えられるので、第1ダクト111の上方に位置するファンケーシング112の高さ位置を低くでき、筐体10の上下方向のサイズをコンパクトにできる。また、第1ダクト111の内部は、排気口203から下流に向かうに従って上下方向の幅が狭くなるが、乾燥フィルタ150は、上下方向の幅が広い排気口203の上側の周縁近傍に配置されるので、上下方向のサイズを大きくでき、捕獲面152aの面積を大きくできる。さらに、第1ダクト111には、天面壁304に流出口310が設けられているので、流出口310のサイズを大きくすることができ、第1ダクト111から熱風が排出されやすくなる。なお、流出口310が、周面壁201の頂上側へ向かうに従って上下方向のサイズが小さくなる前側面壁305や後側面壁306に設けられる場合は、そのサイズが小さくなってしまう。
【0099】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0100】
たとえば、上記実施の形態では、第1ダクト111に、外槽20の周面壁201に沿うように底面壁303が設けられ、底面壁303に外槽20の排気口203に接続される流入口309が設けられた。しかしながら、底面壁303と流入口309とが設けられず、外槽20の周面壁201が第1ダクト111の底面壁として共用され、排気口203が流入口を兼ねるようにしてもよい。
【0101】
さらに、上記実施の形態では、第1ダクト111内において、捕獲面152aが上下方向および外槽20の軸方向に沿う縦面となるように、乾燥フィルタ150が上下方向に立てて配置された。しかしながら、捕獲面152aが水平方向に沿う面となるように、乾燥フィルタ150が水平方向に寝かせて配置されるようにしてもよい。
【0102】
さらに、上記実施の形態では、第1ダクト111の上方にファンケーシング112が配置された。しかしながら、ファンケーシング112が、第1ダクト111の横方向に並ぶように配置されてもよい。この場合、第1ダクト111は、天面壁304が右側面壁307から離れるに従って外槽20の周面壁201に近づくように周面壁201の頂上側へ延びるような構成とされなくてもよく、第1ダクト111の内部が、排気口203から下流に向かうに従って上下方向の幅が狭くなるようにされなくてもよい。さらに、流出口310が天面壁304に設けられなくてもよい。
【0103】
さらに、上記実施の形態では、乾燥フィルタ150の捕獲面152aに付着した異物を自動的に除去するため、第1ダクト111に、ワイパ180と給水路160とが設けられた。しかしながら、第1ダクト111に、ワイパ180および給水路160のうち何れか一方のみが設けられてもよい。さらに、第1ダクト111に、ワイパ180および給水路160以外の構成を有する、捕獲面152aに付着した異物を除去するための異物除去部が設けられてもよい。さらに、第1ダクト111に、異物除去部が設けられなくてもよい。
【0104】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0105】
10 筐体
20 外槽
23 ドラム
110 循環路
111 第1ダクト(ダクト)
112 ファンケーシング
120 送風器
121 ファン
140 加熱器
150 乾燥フィルタ
152a 捕獲面
160 給水路(異物除去部)
180 ワイパ(異物除去部)
201 周面壁
203 排気口
304 天面壁
307 右側面壁(側面壁)
310 流出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8