(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】ヒンジ機構及び電子機器
(51)【国際特許分類】
F16C 11/04 20060101AFI20241220BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20241220BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
F16C11/04 F
G06F1/16 312J
H04M1/02 C
(21)【出願番号】P 2023538959
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(86)【国際出願番号】 CN2021142366
(87)【国際公開番号】W WO2022143738
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】202011618365.2
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517372494
【氏名又は名称】維沃移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIVO MOBILE COMMUNICATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1, vivo Road, Chang’an, Dongguan,Guangdong 523863, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 誌偉
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-125841(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108648624(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/04
G06F 1/16
H04M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルスクリーンとヒンジ機構を含む電子機器であって、
前記ヒンジ機構は、ヒンジ基部と、前記ヒンジ基部の反対の両側にそれぞれ接続される回転支持機構と、を含むヒンジ機構であって、2つの前記回転支持機構は、前記ヒンジ機構が第1折り畳み状態と第2折り畳み状態との間で切り替えられるように、相対的に回転可能であり、前記回転支持機構は、回転軸、ヒンジ回転板及びヒンジ可動板を含み、
前記回転軸は、前記ヒンジ基部に回転可能に設けられ、前記ヒンジ回転板は、前記回転軸を介して前記ヒンジ基部に回転可能に接続され、前記ヒンジ回転板は、前記回転軸に隣接する第1端に収容溝が開設され、前記回転軸から離れた第2端が第1支持部であり、
前記回転軸に減速機が設けられ、前記減速機は回転出力部を有し、前記回転出力部は、前記回転軸に伴って回転可能であり、且つその回転数が前記回転軸の回転数より小さく、前記回転出力部は前記ヒンジ可動板に回転可能に接続され、
前記ヒンジ可動板は第2支持部を含み、前記第2支持部は少なくとも部分的に前記収容溝内に位置し、
前記ヒンジ機構が前記第1折り畳み状態にある場合に、2つの前記回転支持機構の前記収容溝の
開口が対向し、且つ前記第2支持部は、前記収容溝の
開口から離れる方向に向かって回避位置まで移動し、
前記ヒンジ機構が第2折り畳み状態にある場合に、2つの前記回転支持機構の前記収容溝の
開口が反対し、且つ前記第2支持部は、前記収容溝の
開口に接近する方向に向かって支持位置まで移動
し、
前記第1支持部と前記第2支持部が、前記フレキシブルスクリーンを支持する、電子機器。
【請求項2】
前記回転出力部はステーを介して前記ヒンジ可動板に回転可能に接続され、前記ステーは、第1端が前記回転出力部に回転可能に接続され、第2端が前記ヒンジ可動板に回転可能に接続される、請求項1に記載の
電子機器。
【請求項3】
2つの前記回転支持機構の前記回転軸にいずれも第2歯車が設けられ、1つの前記回転支持機構の前記第2歯車はもう1つの前記回転支持機構の前記第2歯車に噛み合う、請求項1に記載の
電子機器。
【請求項4】
2つの前記回転支持機構はいずれも弾性機構を含み、前記弾性機構は、第1噛み合い機構、第2噛み合い機構及び弾性体を含み、
前記回転軸は第1軸セグメントと第2軸セグメントを含み、前記第1噛み合い機構は、前記第1軸セグメントの前記第2軸セグメントに向かう端部に固定され、前記減速機は前記第1軸セグメントに設けられ、前記第2噛み合い機構は、前記第2軸セグメントの前記第1軸セグメントに向かう端部に固定され、前記第2軸セグメントはその軸方向に沿って移動可能に前記ヒンジ基部に設けられ、且つ前記第1噛み合い機構と前記第2噛み合い機構は噛み合い、相対的に回転可能であり、前記弾性体は前記ヒンジ基部と前記第2噛み合い機構との間に弾性的に位置決めされ、前記弾性体は、前記第2噛み合い機構が前記第1噛み合い機構に弾性的に密着するように駆動することができる、請求項3に記載の
電子機器。
【請求項5】
前記ヒンジ基部にブッシュが設けられ、前記第2軸セグメントは前記ブッシュを貫通し、前記ブッシュに摺動可能に係合する、請求項4に記載の
電子機器。
【請求項6】
前記第2軸セグメントの第1端に接続突起が設けられ、前記第2軸セグメントの第2端に前記第2噛み合い機構が設けられ、前記ブッシュは前記第2軸セグメントの両端の間に位置し、前記弾性体は、一端が前記ブッシュに固定的に接続され、他端が前記接続突起に固定的に接続され、前記接続突起が前記第1軸セグメントに接近する方向に向かって移動するように駆動することができる、請求項5に記載の
電子機器。
【請求項7】
前記ヒンジ基部に回避溝が開設され、前記第2軸セグメントの第1端は前記回避溝に対向して設けられ、且つ前記回避溝と摺動係合可能であり、前記接続突起は、前記第2軸セグメントの移動に伴って前記回避溝の
開口の所在する表面に規制接触することができる、請求項6に記載の
電子機器。
【請求項8】
前記収容溝の内壁に貫通孔が開設され、前記ヒンジ可動板の少なくとも一部は前記貫通孔を介して前記収容溝に出入りすることができる、請求項1に記載の
電子機器。
【請求項9】
前記ヒンジ可動板は基板を含み、前記第2支持部は前記基板に設けられ、前記基板は前記貫通孔を貫通し、且つ前記第1支持部の裏側まで延在する、請求項8に記載の
電子機器。
【請求項10】
前記基板の前記第1支持部の裏側まで延在する領域と、前記第1支持部との間に、第2弾性層が設けられる、請求項9に記載の
電子機器。
【請求項11】
前記ヒンジ可動板の第1端は前記ヒンジ回転板の第1端に対向し、且つ両者の間に第1リンクが回転可能に接続され、前記ヒンジ可動板の第2端は前記ヒンジ回転板の第2端に対向し、且つ両者の間に第2リンクが回転可能に接続され、前記ヒンジ可動板は前記第1リンクと前記第2リンクを介して前記ヒンジ回転板に対して水平移動することができる、請求項1に記載の
電子機器。
【請求項12】
前記ヒンジ回転板に第1案内収容溝及び第2案内収容溝が開設され、前記第1リンクの端部は前記第1案内収容溝に回転可能に接続され、且つ前記第1案内収容溝に対して摺動可能であり、前記第2リンクの端部は前記第2案内収容溝に回転可能に接続され、且つ前記第2案内収容溝に対して摺動可能であり、前記ヒンジ機構が前記第2折り畳み状態にある場合に、前記第1リンクの一部は前記第1案内収容溝内に伸び、前記第2リンクの一部は前記第2案内収容溝内に伸びる、請求項11に記載の
電子機器。
【請求項13】
前記ヒンジ回転板の第1端に規制突条が設けられ、前記ヒンジ機構が前記第1折り畳み状態にある場合に、前記規制突条は前記ヒンジ可動板に規制係合する、請求項1に記載の
電子機器。
【請求項14】
前記ヒンジ基部は第1カバーと第2カバーを含み、前記第1カバーと前記第2カバーはいずれも2つの回転支持機構の間に設けられ、且つ前記第1カバーと前記第2カバーは反対して設けられ、前記ヒンジ機構が前記第1折り畳み状態にある場合に、2つの前記回転支持機構の前記ヒンジ回転板は前記第1カバーに規制係合し、前記ヒンジ機構が前記第2折り畳み状態にある場合に、2つの前記回転支持機構の前記ヒンジ可動板は前記第2カバーに規制係合する、請求項1に記載の
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、2020年12月30日に中国特許局に提出された、出願番号202011618365.2、発明の名称「ヒンジ機構及び電子機器」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が参照によって本発明に組み込まれる。
【0002】
本出願は、折り畳み式の電子機器の技術分野に関し、特に、ヒンジ機構及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
技術の発展に伴い、電子機器の発展もますます速くなっていくとともに、ユーザーの電子機器に対する要求もますます高くなる。現在、フレキシブルスクリーンも電子機器において広く応用されており、さらに折り畳み式の電子機器が形成されている。
【0004】
折り畳み式の電子機器は、折り畳み中に、折り畳みによる問題が発生する場合が多い。例えば、折り畳み式の電子機器を内向きに折り畳む時に、ヒンジでの折り曲げ半径が小さいため、フレキシブルスクリーンが過度に圧迫されて折り目又は折り傷が生じるようになりやすい。現在の折り畳み式の電子機器は、折り畳み中に、フレキシブルスクリーンが損傷しやすいという問題があり、その結果、フレキシブルスクリーンの耐用年数が短くなることが分かる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願は、現在の電子機器を内向きに折り畳む時に、フレキシブルスクリーンに折り目又は折り傷が生じるようになりやすいという問題を解決できる、ヒンジ機構及び電子機器を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、本出願は以下の技術的解決手段を採用する。
【0007】
第1側面において、本出願は、ヒンジ基部と、前記ヒンジ基部の反対の両側にそれぞれ接続される回転支持機構とを含むヒンジ機構であって、2つの前記回転支持機構は、前記ヒンジ機構が第1折り畳み状態と第2折り畳み状態との間で切り替えられるように、相対的に回転可能であり、前記回転支持機構は、回転軸、ヒンジ回転板及びヒンジ可動板を含み、
前記回転軸は、前記ヒンジ基部に回転可能に設けられ、前記ヒンジ回転板は、前記回転軸を介して前記ヒンジ基部に回転可能に接続され、前記ヒンジ回転板は、前記回転軸に隣接する第1端に収容溝が開設され、前記回転軸から離れた第2端が第1支持部であり、
前記回転軸に減速機が設けられ、前記減速機は回転出力部を有し、前記回転出力部は、前記回転軸に伴って回転可能であり、且つその回転数が前記回転軸の回転数より小さく、前記回転出力部は前記ヒンジ可動板に回転可能に接続され、
前記ヒンジ可動板は第2支持部を含み、前記第2支持部は少なくとも部分的に前記収容溝内に位置し、
前記ヒンジ機構が前記第1折り畳み状態にある場合に、2つの前記回転支持機構の前記収容溝のノッチが対向し、且つ前記第2支持部は、前記収容溝のノッチから離れる方向に向かって回避位置まで移動し、
前記ヒンジ機構が第2折り畳み状態にある場合に、2つの前記回転支持機構の前記収容溝のノッチが反対し、且つ前記第2支持部は、前記収容溝のノッチに接近する方向に向かって支持位置まで移動する、ヒンジ機構を提供する。
【0008】
第2側面において、本出願は、フレキシブルスクリーン及び以上に記載のヒンジ機構を含み、前記フレキシブルスクリーンは前記第1支持部と前記第2支持部において支持される、電子機器を開示する。
【発明の効果】
【0009】
本出願は、上記技術的解決手段を採用することによって、以下の有益な効果を達成することができる。
【0010】
本出願の実施例に開示されるヒンジ機構は、関連技術を改良することによって、ヒンジ基部の反対の両側にそれぞれ接続される回転支持機構を含むようになり、各回転支持機構は、ヒンジ機構が第1折り畳み状態と第2折り畳み状態との間で切り替えられるように、ヒンジ基部に対して回転可能である。ヒンジ機構が第1折り畳み状態にある場合に、減速機により、ヒンジ可動板が回転及び折り畳み中に、収容溝のノッチから離れる方向に向かって回避位置まで移動することができるため、2つの回転支持機構の収容溝のノッチを対向させることができ、且つフレキシブルスクリーンの折り曲げ領域を収容するためのより大きい収容空間を形成させることができ、これによって、折り畳み中に折り曲げ半径が小さすぎることによるフレキシブルスクリーンの折り傷という問題は確実に回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本出願の実施例に開示される第1のヒンジ機構の展開状態での構造模式図である。
【
図3】本出願の実施例に開示される第1のヒンジ機構の展開状態での断面図である。
【
図4】
図4、
図5は、それぞれ本出願の実施例に開示される第1のヒンジ機構の回転中の、局所構造の異なる状態での断面図である。
【
図5】
図4、
図5は、それぞれ本出願の実施例に開示される第1のヒンジ機構の回転中の、局所構造の異なる状態での断面図である。
【
図6】本出願の実施例に開示される第1のヒンジ機構の第1折り畳み状態での構造模式図である。
【
図7】本出願の実施例に開示される第1のヒンジ機構の第1折り畳み状態での断面図である。
【
図8】本出願の実施例に開示される第1の電子機器の第1折り畳み状態での構造模式図である。
【
図9】本出願の実施例に開示される第1のヒンジ機構の第2折り畳み状態での構造模式図である。
【
図10】本出願の実施例に開示される第1のヒンジ機構の第2折り畳み状態での断面図である。
【
図11】本出願の実施例に開示される第1の電子機器の第2折り畳み状態での構造模式図である。
【
図12】本出願の実施例に開示される第2電子機器の展開状態での構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で説明された図面は本出願を更に理解させ、本出願の一部を構成するためのものであり、本出願の例示的実施例及びその説明は本出願を解釈するためのものであり、本出願を不適切に限定する意図がない。
【0013】
本出願の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下に本出願の具体的な実施例及び対応する図面を参照し、本出願の技術的解決手段を明確に、完全に説明する。当然ながら、説明される実施例は本出願の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要することなく、得られた他の全ての実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0014】
以下において、図面を参照しながら、本出願の各実施例に開示される技術的解決手段を、具体的な実施例により詳しく説明する。
【0015】
図1から
図12のように、本出願の実施例はヒンジ機構を開示し、開示されるヒンジ機構は電子機器に応用し、本出願の実施例に開示されるヒンジ機構が配置される電子機器は、折り畳むことを可能にし、説明すべきことは、電子機器にフレキシブルスクリーン300が配置され、電子機器の折り畳みにより、フレキシブルスクリーン300の折り畳みを実現でき、電子機器の展開については、フレキシブルスクリーン300の展開を実現できる点である。
【0016】
本出願の実施例に開示されるヒンジ機構は、ヒンジ基部100及び2つの回転支持機構200を含む。
【0017】
ヒンジ基部100はヒンジの基礎部であり、ヒンジ基部100はヒンジ機構の他の構成要素を取り付けるための基礎を提供することができる。
【0018】
2つの回転支持機構200は電子機器のフレキシブルスクリーン300を支持するためのものである。本出願の実施例において、2つの回転支持機構200は、それぞれヒンジ基部100の反対の両側に接続され、いずれもヒンジ基部100に対して回転可能である。2つの回転支持機構200は、ヒンジ機構が第1折り畳み状態と第2折り畳み状態との間で切り替えられるように、相対的に回転可能である。当然ながら、ヒンジ機構が第1折り畳み状態と第2折り畳み状態との間で切り替えられれば、電子機器の第1折り畳み状態と第2折り畳み状態との間での切り替えを実現できる。当然ながら、
図3に示すとおり、ヒンジ機構も展開状態にあり得、さらに、電子機器も展開状態にあることを実現できる。
【0019】
本出願の実施例において、回転支持機構200は、回転軸210、ヒンジ回転板220及びヒンジ可動板230を含む。
【0020】
回転軸210は、ヒンジ基部100に回転可能に設けられ、ヒンジ基部100に対して回転可能である。具体的には、ヒンジ基部100に取り付け孔が開設されてもよく、回転軸210は取り付け孔に取り付けられてもよく、軸孔係合によって回転取り付けを実現する。当然ながら、回転軸210は、軸受によってヒンジ基部100での回転取り付けを実現してもよい。選択的に、ヒンジ基部100にブッシュ110が固定されてもよく、回転軸210はブッシュ110に係合してもよく、それによりヒンジ基部100との回転係合を実現する。
【0021】
選択的な解決手段において、ブッシュ110は第2噛み合い機構2220に向かう側に耐摩耗シート2300が固定される。耐摩耗シート2300は良好な耐摩耗性能を有し、ブッシュ110の摩耗を軽減できる。
【0022】
同一の回転支持機構200において、ヒンジ回転板220は回転軸210を介してヒンジ基部100に回転可能に接続され、つまり、ヒンジ回転板220は回転軸210に追従してヒンジ基部100に対して回転することができる。選択的に、ヒンジ回転板220は回転軸210に固定的に接続され、この場合では、回転軸210の回転によって、ヒンジ回転板220も共に回転する。ヒンジ回転板220は、回転軸210に隣接する第1端に収容溝221が開設され、回転軸210から離れた第2端が第1支持部222である。つまり、ヒンジ回転板220の第2端と回転軸210との間の距離はヒンジ回転板220の第1端と回転軸210との間の距離より大きい。第1支持部222は支持作用を発揮することができる。
【0023】
回転軸210に減速機240が設けられ、各回転支持機構200に減速機240を配置することを可能にする。減速機240は回転出力部241を有し、回転出力部241は回転軸210に伴って回転してもよい。減速機240の作用下で、回転出力部241の回転数は回転軸210の回転数より小さい。
【0024】
ヒンジ可動板230は第2支持部231を含み、第2支持部231は少なくとも部分的に収容溝221内に位置する。第2支持部231も支持作用を発揮することができ、第2支持部231は第1支持部222と共にフレキシブルスクリーン300を支持することができる。
【0025】
本出願の実施例において、回転出力部241がヒンジ可動板230に回転可能に接続され、回転出力部241の回転によってヒンジ可動板230の回転を駆動し、ヒンジ可動板230がヒンジ回転板220に可動係合することで、ヒンジ可動板230はヒンジ回転板220に対して相対的に移動することができる。
【0026】
上記のとおり、回転軸210の回転中に、減速機240の存在により、回転軸210の回転数が回転出力部241の回転数より大きくなり、さらに、ヒンジ回転板220の回転数がヒンジ可動板230の回転数より大きくなり、この場合では、ヒンジ可動板230はヒンジ回転板220に対して可動であり、さらに第2支持部231の収容溝221内にあり得る位置を変化させることができる。
【0027】
上記のとおり、ヒンジ機構は第1折り畳み状態及び第2折り畳み状態を有する。
【0028】
そのうち、ヒンジ機構が第1折り畳み状態にある場合に、2つの回転支持機構200の収容溝221のノッチが対向し、且つ第2支持部231は、収容溝221のノッチから離れる方向に向かってヒンジ回転板220に対して回避位置まで移動し、この場合では、2つの回転支持機構200の収容溝221の、ノッチに隣接する箇所の空間が解放され、大きい収容空間を形成してフレキシブルスクリーン300の折り曲げ冗長領域を収容し、それによって、電子機器を内向きに折り畳む時に、折り曲げ半径が小さいため、フレキシブルスクリーン300が過度に圧迫されて折り目又は折り傷が生じるという問題を回避できる。
【0029】
ヒンジ機構が第2折り畳み状態にある場合に、2つの回転支持機構200の収容溝221のノッチが反対し、第2支持部231は収容溝221のノッチに接近する方向に向かってヒンジ回転板220に対して支持位置まで移動し、この場合では、第2支持部231と第1支持部222は協働して、フレキシブルスクリーン300に対するより良好な支持を実現する。
【0030】
本出願の実施例に開示されるヒンジ機構は、関連技術を改良することによって、ヒンジ基部の反対の両側にそれぞれ接続される回転支持機構200を含むようになり、各回転支持機構200は、ヒンジ機構が第1折り畳み状態と第2折り畳み状態との間で切り替えられるように、ヒンジ基部100に対して回転可能である。ヒンジ機構が第1折り畳み状態にある場合に、減速機240により、ヒンジ可動板230が回転及び折り畳み中に、収容溝221のノッチから離れる方向に向かって回避位置まで移動することができるため、2つの回転支持機構200の収容溝221のノッチを対向させることができ、且つフレキシブルスクリーン300の折り曲げ領域を収容するためのより大きい収容空間を形成させることができ、これによって、折り畳み中に折り曲げ半径が小さすぎることによるフレキシブルスクリーン300の折り傷という問題は確実に回避できる。
【0031】
同時に、ヒンジ機構が第2折り畳み状態にある場合に、2つの回転支持機構200の収容溝221のノッチが反対して設けられ、且つ第2支持部231は、収容溝221のノッチに接近する方向に向かってヒンジ回転板220に対して支持位置まで移動し、この場合では、第2支持部231は、フレキシブルスクリーン300の、収容溝221のノッチに対する領域を支持できることで、フレキシブルスクリーン300を良好に支持できる。
【0032】
本出願の実施例に開示されるヒンジ機構は、第1方向に折り畳むことで第1折り畳み状態に切り替え、第2方向に折り畳むことで第2折り畳み状態に切り替える二方向折り畳みを実現できる。第1方向と第2方向は逆である。本出願の実施例に開示されるヒンジ機構を採用する電子機器は、二方向折り畳みを実現でき、その結果、電子機器の使用シーンをより豊富にする。
【0033】
上記のとおり、回転出力部241は回転軸210の回転中にも回転するが、回転出力部241の回転数が小さいため、ヒンジ可動板230の回転数がヒンジ回転板220の回転数より小さくなる。これに基づいて、選択的な解決手段において、回転出力部241はステー250を介してヒンジ可動板230に回転可能に接続されてもよく、ステー250は、第1端が回転出力部241に回転可能に接続され、第2端がヒンジ可動板230に回転可能に接続される。このような構造では、ヒンジ可動板230をより柔軟にし、収容溝221のノッチからの離間又はそこへの接近をより好適にすることができる。
【0034】
本出願の実施例に開示されるヒンジ機構において、ヒンジ機構の第1折り畳み状態と第2折り畳み状態との間での切り替えは、手動で操作することで行ってもよい。選択的な解決手段において、2つの回転支持機構200の回転軸210はいずれも光軸であってもよく、つまり、2つの回転支持機構200の回転軸210同士は無動力で伝送することができる。操作中に、操作者は2つの回転支持機構200が回転するように駆動し、さらに2つの回転支持機構200の回転軸210のヒンジ基部100に対する回転を実現するようにしてもよい。このような構造において、操作者は、その1つの回転支持機構200がヒンジ基部100に対して1つの方向に向かって回転するように制御できるとともに、もう1つの回転支持機構200がヒンジ基部100に対して別の逆である方向に向かって回転するように制御することもでき、それによって、
図11に示すとおり、ヒンジ機構が第1折り畳み状態又は第2折り畳み状態にあり得る。
【0035】
当然ながら、操作者は、2つの回転支持機構200が同一方向に向かって回転するように制御してもよく、それによって、
図12に示すとおり、ヒンジ機構は別の状態になり、電子機器の折り畳み状態に対するさらなる要求を満たす。
【0036】
別の選択的な解決手段において、2つの回転支持機構200の回転軸210にいずれも第2歯車2100が設けられ、1つの回転支持機構200の第2歯車2100はもう1つの回転支持機構200の第2歯車2100に噛み合う。この場合では、2つの回転支持機構200は噛み合うことで同期・逆回転を実現し、2つの回転支持機構200が良好な同期性を有することを確保できる。
【0037】
さらなる技術的解決手段において、2つの回転支持機構200はいずれも弾性機構2200を含んでもよく、弾性機構2200は、第1噛み合い機構2210、第2噛み合い機構2220及び弾性体2230を含んでもよい。
【0038】
ここで、回転軸210は第1軸セグメント211と第2軸セグメント212を含んでもよく、第1噛み合い機構2210は、第1軸セグメント211の第2軸セグメント212に向かう端部に固定され、減速機240は第1軸セグメント211に設けられ、第2噛み合い機構2220は、第2軸セグメント212の第1軸セグメント211に向かう端部に固定され、第2軸セグメント212はその軸方向に沿って移動可能にヒンジ基部100に設けられ、且つ第1噛み合い機構2210と第2噛み合い機構2220は噛み合い、相対的に回転可能であり、弾性体2230はヒンジ基部100と第2噛み合い機構2220との間に弾性的に位置決めされ、弾性体2230は、第2噛み合い機構2220が第1噛み合い機構2210に弾性的に密着するように駆動することができる。この場合では、ユーザーが大きい外力を加えてから、はじめて第1噛み合い機構2210と第2噛み合い機構2220との間の噛み合い力を克服でき、それにより相対的回転を実現し、さらに、回転支持機構200同士の相対的回転を実現する。ユーザーが外力をなくす場合に、第1噛み合い機構2210と第2噛み合い機構2220との間の噛み合い力は、2つの第2歯車2100の間の噛み合いによって、2つの回転支持機構200を現在の展開状態でホバリングさせることができ、それによりヒンジ機構が種々の展開角度を有することを実現する。
【0039】
選択的な解決手段において、ヒンジ基部100にブッシュ110が固定されてもよく、第2軸セグメント212はブッシュ110を貫通し、ブッシュ110に摺動可能に係合し、それによって、第2軸セグメント212がその軸方向に沿ってヒンジ基部100上を移動するように設けることが可能になる。同時に、ブッシュ110は軸孔係合によって第2軸セグメント212との回転的接続を実現することができる。
【0040】
本出願の実施例において、第2軸セグメント212の第1端に接続突起2121が設けられ、第2軸セグメント212の第2端に第2噛み合い機構2220が設けられ、ブッシュ110は第2軸セグメント212の両端の間に位置し、弾性体2230は、一端がブッシュ110に固定的に接続され、他端が接続突起2121に固定的に接続され、接続突起2121が第1軸セグメント211に接近する方向に向かって移動するように駆動することができる。
【0041】
本出願の実施例において、ヒンジ基部100に回避溝120が開設されてもよく、第2軸セグメント212の第1端は回避溝120に対向して設けられ、且つ回避溝120と摺動係合可能であり、それによって、回避溝120に対して摺動可能となる。接続突起2121は、第2軸セグメント212の移動に伴って回避溝120のノッチの所在する表面に規制接触することができる。この場合では、接続突起2121は回避溝120との係合を実現でき、組立性が向上するとともに、回避溝120のノッチの所在する表面が第2軸セグメント212の移動に対して規制作用を果たすことができ、第2軸セグメント212の過度な移動が回避される。
【0042】
本出願の実施例において、第2支持部231の支持面に第1弾性層260が設けられてもよく、第1弾性層260はフォーム層であってもよい。ヒンジ機構が第2折り畳み状態にある場合に、第2支持部231は支持位置にあり、第1弾性層260は、フレキシブルスクリーン300を好適に支持する作用を果たすことができる。同時に、第1弾性層260は、自体の弾性変形によって、第1支持部222との間の段差を好適に埋め、良好な協働支持作用を達成することができる。
【0043】
選択的な解決手段において、基板232の第1支持部222の裏側まで延在する領域と、第1支持部222との間に、第2弾性層270が設けられてもよい。このような構造により、ヒンジ機構が第2折り畳み状態にある場合に、第1支持部222は第2弾性層270を介して基板232との弾性貼り合わせを形成することができ、第2折り畳み状態にあるヒンジ機構の構造安定性の向上に寄与する。
【0044】
ヒンジ機構の折り畳み中に、第2支持部231は収容溝221内に可動である。さらなる技術的解決手段において、収容溝221の内壁に貫通孔2211が開設されてもよく、第2支持部231の少なくとも一部は貫通孔2211を介して収容溝221に出入りすることができ、この場合では、第2支持部231は収容溝221の内壁の干渉を受けず、収容溝221のノッチから離れる方向においてより柔軟に移動できる。
【0045】
本出願の実施例に開示されるヒンジ機構において、ヒンジ可動板230は基板232を含んでもよく、第2支持部231は基板232に設けられる。基板232は貫通孔2211を貫通し、且つ基板232は第1支持部222の裏側まで延在し、即ち、第1支持部222の支持面の反対側まで延在する。この場合では、ヒンジ機構の第2折り畳み状態への折り畳み中に、基板232は第1支持部222の側面に徐々に接近し、ヒンジ機構が第2折り畳み状態にある場合に、基板232は第2支持部231に規制接触し、ヒンジ回転板220とヒンジ可動板230を拘束する目的及び作用を果たし、それによって第1支持部222と第2支持部231はより容易に協働し、共同でフレキシブルスクリーン300を支持することができる。
【0046】
本出願の実施例において、ヒンジ可動板230の第1端はヒンジ回転板220の第1端に対向してもよく、且つ両者の間に第1リンク280が回転可能に接続されてもよく、つまり、第1リンク280は、一端がヒンジ可動板230の第1端に回転可能に接続され、他端がヒンジ回転板220に回転可能に接続される。
【0047】
ヒンジ可動板230の第2端はヒンジ回転板220の第2端に対向してもよく、且つ両者の間に第2リンク290が回転可能に接続されてもよく、つまり、第2リンク290は、一端がヒンジ可動板230の第2端に回転可能に接続され、他端がヒンジ回転板220の第2端に回転可能に接続される。この場合では、ヒンジ可動板230とヒンジ回転板220は第1リンク280と第2リンク290を介して接続され、ヒンジ可動板230は第1リンク280と第2リンク290を介してヒンジ回転板220に対して水平移動することができる。ヒンジ機構の回転中に、ヒンジ可動板230は、自由度が高くなり、ヒンジ回転板220に対する移動を容易にする。それとともに、第1リンク280と第2リンク290によって、ヒンジ可動板230は水平移動を実現でき、回転方向において干渉を発生させて回転に影響を与えにくく、また、第1折り畳み状態及び第2折り畳み状態下でも、ヒンジ機構が規則的に収束できるようにする。
【0048】
選択的な解決手段において、ヒンジ回転板220に第1案内収容溝220a及び第2案内収容溝220bが開設されてもよく、第1リンク280の端部は第1案内収容溝220aに回転可能に接続され、且つ第1案内収容溝220aに対して摺動可能であり、第2リンク290の端部は第2案内収容溝220bに回転可能に接続され、且つ第2案内収容溝220bに対して摺動可能であり、ヒンジ機構が第2折り畳み状態にある場合に、第1リンク280の一部は前記第1案内収容溝220a内に伸び、第2リンク290の一部は前記第2案内収容溝220b内に伸びる。この場合では、第1リンク280の一部が第1案内収容溝220a内に収容され、第2リンク290の一部が第2案内収容溝220b内に収容されることによって、ヒンジ機構は第2折り畳み状態になり、よりコンパクトに折り畳むことが可能であり、ヒンジ回転板220とヒンジ可動板230との相互接近により有利である。
【0049】
本出願の実施例において、ヒンジ回転板220の第1端に規制突条223を設けてもよく、ヒンジ機構が第1折り畳み状態にある場合に、規制突条223はヒンジ可動板230に規制係合することができる。この場合では、ヒンジ可動板230の第2支持部231は、過剰に離間しないように、収容溝221のノッチからの更なる離間を止めることができる。
【0050】
本出願の実施例において、ヒンジ基部100の構造は複数種あり得、選択的な解決手段において、ヒンジ基部100は第1カバー130と第2カバー140を含んでもよく、第1カバー130と第2カバー140はいずれも2つの回転支持機構200の間に設けられ、且つ第1カバー130と第2カバー140は反対して設けられ、ヒンジ機構が第1折り畳み状態にある場合に、2つの回転支持機構200のヒンジ回転板220は第1カバー130に規制係合することにより、2つの回転支持機構200の過度な回転を回避する。具体的な操作において、2つの回転支持機構200のヒンジ回転板220が、第1カバー130により規制され、さらに回転できない場合では、ヒンジ機構が既に第1折り畳み状態になっている。
【0051】
ヒンジ機構が第2折り畳み状態にある場合に、2つの回転支持機構200のヒンジ可動板230は第2カバー140に規制係合する。具体的な操作において、2つの回転支持機構200のヒンジ回転板220が、第2カバー140に規制係合し、さらに回転できない場合では、ヒンジ機構が既に第2折り畳み状態になっている。また、この規制係合では、2つの回転支持機構200の過度な回転を回避できる。
【0052】
本出願の実施例に開示されるヒンジ機構に基づいて、本出願の実施例は、フレキシブルスクリーン300と、上記実施例に記載のヒンジ機構とを含む電子機器を開示する。フレキシブルスクリーン300は第1支持部222と第2支持部231において支持される。
【0053】
本出願の実施例に開示される電子機器は、携帯電話、タブレットパソコン、電子ブックリーダー、ゲーム機などであってもよく、本出願の実施例は電子機器の具体的な種類を限定しない。
【0054】
本出願の上記実施例では各実施例間の相違点を重点として説明したが、各実施例間の異なる好ましい特徴は、矛盾しない限り、いずれも組み合わせてより好ましい実施例とすることができ、文脈の簡潔化を考慮した上で、ここでは詳細な説明を省略する。
【0055】
以上は本出願の実施例に過ぎず、本出願を限定する意図がない。当業者であれば、本出願の様々な変更と変化が可能である。本出願の主旨と原理から逸脱しない限り行った修正、同等な置換、改良等は、全て本出願の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0056】
100:ヒンジ基部
110:ブッシュ
120:回避溝
130:第1カバー
140:第2カバー
200:回転支持機構
210:回転軸
211:第1軸セグメント
212:第2軸セグメント
2121:接続突起
220:ヒンジ回転板
221:収容溝
2211:貫通孔
222:第1支持部
223:規制突条
220a:第1案内収容溝
220b:第2案内収容溝
230:ヒンジ可動板
231:第2支持部
232:基板
240:減速機
241:回転出力部
250:ステー
260:第1弾性層
270:第2弾性層
280:第1リンク
290:第2リンク
2100:第2歯車
2200:弾性機構
2210:第1噛み合い機構
2220:第2噛み合い機構
2230:弾性体
2300:耐摩耗シート
300:フレキシブルスクリーン