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特許7607301添加剤、添加剤の製造方法、添加剤含有潤滑油および添加剤含有潤滑油の製造方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】添加剤、添加剤の製造方法、添加剤含有潤滑油および添加剤含有潤滑油の製造方法。
(51)【国際特許分類】
   C10M 125/26 20060101AFI20241220BHJP
   C10M 125/10 20060101ALI20241220BHJP
   C10M 125/30 20060101ALI20241220BHJP
   C10M 177/00 20060101ALI20241220BHJP
   C10N 10/02 20060101ALN20241220BHJP
   C10N 10/04 20060101ALN20241220BHJP
   C10N 20/06 20060101ALN20241220BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20241220BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20241220BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20241220BHJP
   C10N 70/00 20060101ALN20241220BHJP
【FI】
C10M125/26
C10M125/10
C10M125/30
C10M177/00
C10N10:02
C10N10:04
C10N20:06
C10N30:06
C10N40:04
C10N40:25
C10N70:00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024074012
(22)【出願日】2024-04-30
【審査請求日】2024-05-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505386627
【氏名又は名称】沖浦 克治
(73)【特許権者】
【識別番号】508129609
【氏名又は名称】沖浦 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(74)【代理人】
【識別番号】100208708
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100215371
【弁理士】
【氏名又は名称】古茂田 道夫
(74)【代理人】
【識別番号】100187997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 厳輝
(72)【発明者】
【氏名】沖浦 克治
(72)【発明者】
【氏名】沖浦 耕治
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-044092(JP,A)
【文献】特開2010-281278(JP,A)
【文献】特開2016-160154(JP,A)
【文献】特開2024-058538(JP,A)
【文献】特開2004-182829(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0042751(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00-177/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関用の潤滑油に添加する粒状の添加剤であって、
植物の殻を焼成した焼成物と、タルクとを含み、
上記焼成物が、
70質量%以上のケイ酸と、
1.03質量%以上2.5質量%以下の酸化カルシウムと
を有し、
上記焼成物及び上記タルクそれぞれの平均粒径が1.0μm以上12.0μm以下であり、
上記タルクの含有量が30質量%以上である添加剤。
【請求項2】
上記焼成物が酸化カリウムをさらに含む請求項1に記載の添加剤。
【請求項3】
内燃機関用の潤滑油と、この潤滑油1Lに対して0.1g以上3.0g以下の請求項1の添加剤とを含有する添加剤含有潤滑油。
【請求項4】
潤滑油に添加する添加剤を製造する方法であって、
植物の殻を焼成する工程と、
焼成した上記殻にタルクを混合し、この混合物を粉砕する工程と
を備え
焼成した上記殻が、70質量%以上のケイ酸と、1.03質量%以上2.5質量%以下の酸化カルシウムとを有し、
粉砕した上記混合物の平均粒径が1.0μm以上12.0μm以下であり、
上記混合物における上記タルクの含有量が30質量%以上である添加剤の製造方法。
【請求項5】
上記殻がもみ殻である請求項に記載の添加剤の製造方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載された添加剤の製造方法で得た添加剤を内燃機関用の潤滑油に添加する工程を備え、
上記添加する工程で、上記潤滑油1Lに対して0.1g以上3.0g以下の上記添加剤を添加する添加剤含有潤滑油の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、添加剤および添加剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部材同士が円滑に摺動するために潤滑油を用いることがある。潤滑油には、例えば、グリスのように比較的粘度が高く、シリンダのロッドなどの可動部材の外表面に塗布されることで摺動抵抗を低減するものもあれば、エンジンオイルのように比較的粘度が低く、装置(エンジン)の内部に注入されて流動することで上記装置内の可動部材の摺動抵抗を低減するものもある。このような潤滑油は、潤滑性を向上するために、添加剤が添加されることがある(特開2018-053021号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-053021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のエンジンオイル用添加剤は、ナノオニオンライクカーボンなどの特定成分を含むことで低摩擦化を実現している。ナノオニオンライクカーボンは比較的製造コストが高いため、上記添加剤を安価に提供することが困難になるおそれがある。エンジンオイルの摺動性向上効果による燃費改善などは地球環境保全の観点からも望まれており、より安価で容易に利用できる添加剤が求められている。また、可動部材の外表面に直接塗布されるグリスなどにおいても、その可動部材を有する器機の稼動効率向上の観点から安価で摺動性を容易に向上できる添加剤が求められている。
【0005】
このような事情に鑑み、本開示は、比較的低コストで製造でき、可動部材の摺動性を効果的に向上できる添加剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本開示の一態様に係る添加剤は、潤滑油に添加する添加剤であって、可溶性ケイ酸を主成分とする粒状体を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の添加剤は、比較的低コストで製造でき、可動部材の摺動性を効果的に向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0009】
(1)本開示の一態様に係る添加剤は、潤滑油に添加する添加剤であって、可溶性ケイ酸を主成分とする粒状体を有する。
【0010】
当該添加剤は、可溶性ケイ酸を主成分とする粒状体を有するため、当該添加剤が添加される潤滑油による潤滑性(部材の摺動性)を向上でき、効果的に低摩擦化を図ることができる。また、可溶性ケイ酸は、自然界にも多く存在するため、容易に入手でき、低コストで製造できる。なお、主成分とは、含有量の比が全成分の中で最大である成分を意味し、例えば50質量%以上である成分を意味する。
【0011】
(2)上記(1)において、上記粒状体が酸化カリウムをさらに含んでもよい。上記粒状体が酸化カリウムを含むことで上記潤滑性をより向上できる。
【0012】
(3)上記(1)または上記(2)において、上記粒状体が酸化カルシウムをさらに含んでもよい。上記粒状体が酸化カルシウムを含むことで上記潤滑性をさらに向上できる。
【0013】
(4)上記(1)から上記(3)のいずれかにおいて、上記粒状体の平均粒径が12μm以下であってもよい。上記粒状体の平均粒径が12μm以下であることで、上記潤滑性を向上することの容易性を向上できる。なお、平均粒子径とは、レーザー散乱式粒度分布装置により測定した50%体積累計基準(D50値)を意味する。
【0014】
(5)本開示の一態様に係る添加剤は、潤滑油に添加する添加剤であって、植物の殻を焼成した焼成物を含む。
【0015】
植物の殻はケイ素を含むものが多いため、焼成することで可溶性ケイ酸を含む焼成物を容易に得ることができる。当該添加剤は、上記植物の殻を焼成した焼成物を含むため、上記潤滑性を効果的に向上できる。上記植物の殻は、容易に入手できるため、低コストで当該添加剤を製造できる。
【0016】
(6)本開示の一態様に係る添加剤の製造方法は、潤滑油に添加する添加剤を製造する方法であって、植物の殻を焼成する工程と、焼成した上記殻を粉砕する工程とを備える。
【0017】
植物の殻はケイ素を含むものが多いため、焼成することで可溶性ケイ酸を含む焼成物を容易に得ることができる。この焼成物を粉砕することで形状(粒子径)の均一化を図ることができる。このため、当該添加剤の製造方法は、潤滑油による潤滑性を効果的に向上できる添加剤を低コストで得ることができる。
【0018】
(7)上記(6)において、上記殻がもみ殻であってもよい。上記もみ殻は、ケイ素の含有量が多いため、可溶性ケイ酸を十分に含む焼成物を容易に得ることができる。
【0019】
[本開示を実施するための形態の詳細]
以下、本開示の実施形態の一例を詳説する。
【0020】
<添加剤>
当該添加剤は、潤滑油に添加する添加剤であって、可溶性ケイ酸を主成分とする粒状体を有する。上記潤滑油としては、可動部材と、この可動部材が配置されている非稼動部材または他の可動部材との間で皮膜を形成して摺動性を向上するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、自動車などの輸送機器の内燃機関に使用されるエンジンオイル、あるいは変速機などに使用されるミッションオイルであってもよいし、摺動部材の外表面に塗布され、あるいはシールベアリングのシール内などに封入されるグリスなどであってもよい。
【0021】
当該添加剤は、潤滑油が製造された後に添加してもよいし、潤滑油の製造中に添加してもよい。すなわち、潤滑油を使用する際に当該添加剤を潤滑油に添加してから使用してもよいし、当該添加剤が添加された潤滑油を準備して使用してもよい。
【0022】
上記粒状体が含む可溶性ケイ酸の含有量の比の下限値としては、50質量%であることが好ましい。上記比の下限値は、55質量%であってもよく、60質量%あるいは70質量%であってもよい。上記比の上限値としては、特に限定されるものではなく、100質量%であってもよく、99質量%であってもよい。上記粒状体が上記範囲の可溶性ケイ酸を含むことにより、当該添加剤を含む潤滑油による潤滑性を向上できる。
【0023】
可溶性ケイ酸を含む添加剤を潤滑油に添加することで潤滑性が向上する理由は、定かではないが、部材が摺動することにより上記粒状体が破砕され、摺動面における表面の粗さ(凹凸)を埋めて平坦化することで、潤滑性(摺動性)を向上していると考えられる。また、可溶性ケイ酸を含むことで当該潤滑剤が多孔質構造となり易く、潤滑油を保持することでその潤滑油の増ちょう効果を促進していることも考えられる。可溶性ケイ酸が潤滑油にケイ素イオンとして吸収されることによってその潤滑油中で化学反応を起こし、その潤滑油の流動性を向上しているとも考えられる。
【0024】
蛍光X線装置を用いた定量分析による上記粒状体の全元素に対するケイ素元素の含有量の比の下限値としては、60質量%であってもよく、70質量%であってもよく、80質量%あるいは85質量%であってもよい。上記比の上限値としては、特に限定されるものではなく、99質量%であってもよい。
【0025】
上記粒状体の原料としては、可溶性ケイ酸を含むものであれば特に限定されるものではないが、廃棄物を利用することが好ましく、例えば、火力発電所などで発生する燃焼灰、製鋼所で発生するスラグ、集塵灰など、植物を焼成したものなどを用いてもよく、特に植物の殻を焼成したものがよい。すなわち、当該添加剤は、別の一態様として、植物の殻を焼成した焼成物を含むものであってもよい。上記植物の殻としては、特に限定されるものではないが、ケイ素含有量の多いもみ殻が好ましい。
【0026】
上記植物の殻を焼成する温度の下限値としては、200℃が好ましく、300℃がより好ましい。上記温度の上限値としては、特に限定されるものではなく、1000℃であってもよく、800℃あるいは600℃であってもよい。上記植物の殻を焼成する温度を上記範囲とすることで可溶性ケイ酸を得ることの容易性を向上できる。
【0027】
上記粒状体は酸化カリウム(KO)をさらに含んでもよい。当該添加剤が酸化カリウムを含むことで上記潤滑油の潤滑性をより向上できる。当該添加剤の酸化カリウムの含有量の比の上限値としては、5.0質量%であってもよく、4.0質量%あるいは3.5質量%であってもよい。
【0028】
上記粒状体は酸化カルシウム(CaO)をさらに含んでもよい。当該添加剤が酸化カルシウムを含むことで上記潤滑油の潤滑性をさらに向上できる。当該添加剤の酸化カルシウムの含有量の比の上限値としては、2.5質量%であってもよく、2.0質量%あるいは1.5質量%であってもよい。
【0029】
上記粒状体は、その他の成分として、五酸化二リン(P)、一酸化マンガン(MnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化鉄(Fe)、三酸化硫黄(SO)、酸化アルミニウム(Al)を含んでもよい。それぞれの含有量の比の上限値としては、五酸化二リンは0.5質量%、一酸化マンガンは0.5質量%、酸化マグネシウムは0.3質量%、酸化鉄は0.2質量%、三酸化硫黄は0.3質量%、酸化アルミニウムは0.15質量%であるとよい。
【0030】
上記粒状体の平均粒径は12μm以下であるとよい。上記粒状体の平均粒径の上限値としては、10.0μmであってもよく、8.0μmであってもよい。上記平均粒径の下限値としては、特に限定されるものではなく、0.5μmであってもよいし、1.0μmであってもよい。上記平均粒径を上記範囲とすることで、潤滑油中における上記粒状体の分散性が向上し、当該潤滑油の潤滑性を向上できる。
【0031】
当該添加剤は、タルクの粒状体をさらに有してもよい。すなわち、当該添加剤は、可溶性ケイ酸を主成分とする粒状体(第1の粒状体)と、タルクの粒状体(第2の粒状体)とを有するものであってもよい。タルク(滑石)は、鉱物としては軟らかいため、当該添加剤がタルクを含有することで、上記摺動面における表面の粗さをより効果的に埋めて平坦化することで、上記潤滑性が向上されると考えられる。
【0032】
当該添加剤における上記タルクの含有量の比の上限値としては、70質量%であってもよく、60質量%であってもよい。上記タルクの含有量の比の下限値としては、特に限定されるものではなく、10質量%であってもよく、20質量%であってもよく、30質量%あるいは40質量%であってもよい。当該添加剤は、上記第1の粒状体と上記第2の粒状体とを質量比で1:1で有するとよい。
【0033】
上記タルクの平均粒径の上限値としては、12.0μmであってもよく、10.0μmあるいは8.0μmであってもよい。上記平均粒径の下限値としては、特に限定されるものではなく、0.5μmであってもよいし、1.0μmであってもよい。上記タルク(第2の粒状体)の平均粒径は、上記第1の粒状体と略同一であるとよい。上記平均粒径を上記範囲とすることで、上記潤滑油中における上記タルク(第2の粒状体)の分散性を上記第1の粒状体と同等にできるため、上記潤滑性を向上できる。
【0034】
当該添加剤の潤滑油に対する添加量としては、特に限定されるものではなく、潤滑油の性状、使用条件、目的などに応じて適宜決定してもよい。具体的には、例えば、潤滑油1.0Lに対する当該添加剤の添加量の下限値としては、0.1gであってもよいし、0.2gあるいは0.3gであってもよい。潤滑油1.0Lに対する当該添加剤の添加量の上限値としては、特に限定されるものではなく、3.0gであってもよいし、2.0gあるいは1.5gであってもよい。
【0035】
<添加剤の製造方法>
当該添加剤の製造方法は、植物の殻を焼成する工程と、焼成した上記殻を粉砕する工程とを備える。
【0036】
焼成する工程で用いる上記植物の殻はケイ素を含むものが多いため、焼成することで可溶性ケイ酸を含む焼成物を容易に得ることができる。上記植物の殻は、ケイ素含有量の多いもみ殻であることが好ましい。焼成する手段としては、特に限定されるものではなく、公知の焼成炉などを用いてもよい。
【0037】
焼成した上記殻(焼成物)を粉砕する手段としては、特に限定されるものではなく、公知のグラインドミル、ロータリーカッタなどを用いてもよい。上記粉砕する工程で、焼成した上記植物の殻にタルクを混合し、これらを同一に粉砕するとよい。
【0038】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載および技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換または追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0039】
上記酸化カリウム、上記酸化カルシウム、上記その他の成分およびタルクは当該添加剤の必須成分ではない。すなわち、上記粒状体における酸化カリウム、酸化カルシウムおよび上記その他の成分の含有量は0質量%であってもよく、当該添加剤におけるタルクの含有量も0質量%であってもよい。また、当該添加剤には、上述の含有成分の他、不可避不純物が含まれてもよい。上記不可避不純物全体の含有量の比としては、1質量%未満であることが好ましい。
【実施例
【0040】
以下、実施例により本開示をさらに説明するが、本開示はこの実施例に限定されるものではない。
【0041】
もみ殻を焼成して焼成物を得た。この焼成物の可溶性ケイ酸含有量を肥料等試験法(2023)4.4.1.b-2017で測定したところ、56.7質量%であった。上記焼成物の一部を取り出して二つに分け(試験例1および試験例2)、含有元素およびその含有量を蛍光X線装置を用いて分析した。その結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
また、試験例1および試験例2の組成とその含有量とを調査した。その結果を表2に示す。なお、表中「-」は、計測できなかったことを意味する。
【0044】
【表2】
【0045】
上記焼成物の残部をグラインドミルに投入し、同質量のタルクをさらに投入して平均粒径が120μm以下になるように粉砕した。粉砕した上記焼成物および上記タルクを添加剤として試験車両1および試験車両2のエンジンオイルに添加した。上記添加剤の添加量は、試験車両1で15.8g、試験車両2で9.0gとした。上記添加剤を添加する前の2週間と上記添加剤を添加した後の2週間との燃料消費率(燃費)を算出した。結果を表3に示す。
試験車両1:路線バス ディーゼルエンジン 排気量5190cc
試験車両2:マイクロバス ガソリンエンジン 排気量2693cc
【0046】
【表3】
【0047】
表3より、エンジンオイルに上記添加剤を添加することで、試験車両1では13.9%、試験車両2では15.2%の燃費改善効果が得られていることが分かる。運転手は交代制で、試験車両1では4名、試験車両2では5名が運転したが、エンジンブレーキの強弱の変化はなかったとのことであった。試験車両1ではエンジンの音および振動に変化は感じられなかったとのことであったが、試験車両2ではエンジンの音および振動が低減したとのことであった。これは、試験車両2ではエンジンが車両前方(運転手の下)に搭載されているためエンジンの音および振動の変化を把握し易いのに対し、試験車両1ではエンジンが車両後方に搭載されているためエンジンの音および振動の変化を把握し難いためと考えられる。
【0048】
他の試験として、運転手(操作者)とエンジンの搭載位置とが近い小型の重機(ショベルカーなど)のエンジンオイルに上記添加剤を添加したところ、燃費の改善効果は確認できなかったが、エンジンの音および振動については低減効果が明らかに確認できたとのことであった。複数人の協力のもと、自家用普通乗用車(四輪車)のエンジンオイルに上記添加剤を添加したところ、いずれも10%以上の燃費改善効果と、エンジンの音および振動の低減効果が確認できたとのことであった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本開示の添加剤は、潤滑油の潤滑性を向上できるため、潤滑油が用いられる機器、装置などに好適に用いられる。
【要約】
【課題】本開示は、比較的低コストで製造でき、可動部材の摺動性を効果的に向上できる添加剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の一態様に係る添加剤は、潤滑油に添加する添加剤であって、可溶性ケイ酸を主成分とする粒状体を有する。
【選択図】なし