(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】画像処理方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20241220BHJP
G06T 7/254 20170101ALI20241220BHJP
【FI】
G01B11/00 H
G06T7/254
(21)【出願番号】P 2021023927
(22)【出願日】2021-02-18
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】517146563
【氏名又は名称】エイアイビューライフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】安川 徹
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-144997(JP,A)
【文献】国際公開第2008/114683(WO,A1)
【文献】特開2015-41166(JP,A)
【文献】特開2012-30042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00
G06T 7/254
G08B 21/02
A61G 7/043
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離画像に対して、追従対象である移動体と予め設定された追従基準により同一であ
り略同一の高さ位置に位置すると判断される物体を検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行い、
追従対象である移動体の追従に失敗したときに、前記追従基準を変更して
、前記略同一の高さ位置よりも低い位置に位置する物体を距離画像か
ら検出して、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行う、
画像処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理方法であって、
追従対象である移動体の追従に失敗したときに、前記追従基準を変更して、所定の大きさの領域に設定された前記略同一の高さ位置の下端よりも低い位置に位置する物体を距離画像から検出して、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行う、
画像処理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理方法であって、
追従対象である移動体の追従に失敗したときに、前記追従基準を変更して、所定の大きさの領域に設定された前記略同一の高さ位置の下端よりも低い全ての範囲に位置する物体を距離画像から検出して、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行う、
画像処理方法。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の画像処理方法であって、
追従対象である移動体は、人物の頭部である、
画像処理方法。
【請求項5】
距離画像に対して、追従対象である移動体と予め設定された追従基準により同一であ
り略同一の高さ位置に位置すると判断される物体を検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行う追従処理部を備え、
前記追従処理部は、追従対象である移動体の追従に失敗したときに、前記追従基準を変更して
、前記略同一の高さ位置よりも低い位置に位置する物体を距離画像か
ら検出して、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行う、
画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置であって、
前記追従処理部は、追従対象である移動体の追従に失敗したときに、前記追従基準を変更して、所定の大きさの領域に設定された前記略同一の高さ位置の下端よりも低い位置に位置する物体を距離画像から検出して、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行う、
画像処理装置。
【請求項7】
情報処理装置に、
距離画像に対して、追従対象である移動体と予め設定された追従基準により同一であ
り略同一の高さ位置に位置すると判断される物体を検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行い、
追従対象である移動体の追従に失敗したときに、前記追従基準を変更して
、前記略同一の高さ位置よりも低い位置に位置する物体を距離画像か
ら検出して、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行う、
処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離画像から移動体を検出する処理を行う画像処理方法及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者の人口が増加し、介護の需要が高まっている。一方で、介護には、多くの介護者が必要となり、介護者の作業負担や人件費の増加という問題が生じる。そこで、特許文献1に記載のような、距離画像センサで撮影した距離画像を用いて、被介護者といった人物を監視する監視システムが多く開発されている。
【0003】
特許文献1に開示の監視システムでは、距離画像からベッドの位置を抽出し、また、人物の領域を検出し、人物の動作を判別している。具体的に、ベッドの位置は、ベッドの長手方向及び短手方向における高さの度数分布から求めている。また、人物の動作は、所定の高さ位置に対する物体の位置検出することで、臥床の状態、上半身を起こした状態、起立の状態、といった人の動作を判別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述したように距離画像から人物の動作を検出する場合には、人物の頭部や胴体部、脚部などの各部位を検出し、各部位の位置関係を特定することで行う。このため、人物の向きや位置が変化すると、人物の各部位の大きさも変化し、各部位を精度よく検出することができず、人物の動作をより精度よく検出することが困難となる。また、人物に限らず、あらゆる移動体の動作を検出する際にも、同様の問題が生じる。
【0006】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、距離画像からより精度よく移動体の動作を検出するが困難である、ことを解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態である画像処理方法は、
距離画像に対して、追従対象である移動体と予め設定された追従基準により同一であると判断される物体を検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行い、
追従対象である移動体の追従に失敗したときに、前記追従基準を変更して距離画像から物体を検出して、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行う、
という構成をとる。
【0008】
また、上記画像処理方法では、
距離画像に対して、前記追従基準により、追従対象である移動体と略同一の大きさであると判断される物体を検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行い、
追従対象である移動体の追従に失敗したときに、前記追従基準を変更して、追従対象である移動体の大きさよりも小さい物体を距離画像から検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行う、
という構成をとる。
【0009】
また、上記画像処理方法では、
前記距離画像に対して、前記追従基準により、追従対象である移動体の各部位と略同一の大きさであると判断される物体を検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体の各部位として追従する処理を行い、
移動体の追従に失敗したときに、前記追従基準を変更して、追従対象である移動体の各部位の大きさよりも小さい物体を距離画像から検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体の各部位として追従する処理を行う、
という構成をとる。
【0010】
また、上記画像処理方法では、
距離画像に対して、前記追従基準により、追従対象である移動体と略同一の高さ位置に位置すると判断される物体を検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行い、
追従対象である移動体の追従に失敗したときに、前記追従基準を変更して、追従対象である移動体の高さ位置よりも低い位置に位置する物体を距離画像から検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行う、
という構成をとる。
【0011】
また、上記画像処理方法では、
距離画像に対して、前記追従基準により、追従対象である移動体の各部位と略同一の高さ位置に位置すると判断される物体を検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体の各部位として追従する処理を行い、
追従対象である移動体の追従に失敗したときに、前記追従基準を変更して、追従対象である移動体の各部位の高さ位置よりも低い位置に位置する物体を距離画像から検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体の各部位として追従する処理を行う、
という構成をとる。
【0012】
また、上記画像処理方法では、
前記距離画像に対して、前記追従基準により、追従対象である移動体の各部位と略同一の形状であると判断される物体を検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体の各部位として追従する処理を行い、
追従対象である移動体の追従に失敗したときであっても、追従対象である移動体の各部位と略同一の形状であると判断される物体を検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体の各部位として追従する処理を行う、
という構成をとる。
【0013】
また、本発明の一形態である画像処理装置は、
距離画像に対して、追従対象である移動体と予め設定された追従基準により同一であると判断される物体を検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行う追従処理部を備え、
前記追従処理部は、追従対象である移動体の追従に失敗したときに、前記追従基準を変更して距離画像から物体を検出して、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行う、
という構成をとる。
【0014】
また、上記画像処理装置では、
前記追従処理部は、
距離画像に対して、前記追従基準により、追従対象である移動体と略同一の大きさであると判断される物体を検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行い、
追従対象である移動体の追従に失敗したときに、前記追従基準を変更して、追従対象である移動体の大きさよりも小さい物体を距離画像から検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行う、
という構成をとる。
【0015】
また、上記画像処理装置では、
前記追従処理部は、
距離画像に対して、前記追従基準により、追従対象である移動体と略同一の高さ位置に位置すると判断される物体を検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行い、
追従対象である移動体の追従に失敗したときに、前記追従基準を変更して、追従対象である移動体の高さ位置よりも低い位置に位置する物体を距離画像から検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行う、
という構成をとる。
【0016】
また、本発明の一形態であるプログラムは、
情報処理装置に、
距離画像に対して、追従対象である移動体と予め設定された追従基準により同一であると判断される物体を検出し、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行い、
追従対象である移動体の追従に失敗したときに、前記追従基準を変更して距離画像から物体を検出して、当該検出した物体を追従対象である移動体として追従する処理を行う、
処理を実行させる、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上のように構成されることにより、距離画像からより精度よく移動体を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態1における情報処理システムの構成を示す概略図である。
【
図2】
図1に開示した監視サーバの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1に開示した監視サーバによる距離画像の処理の様子を示す図である。
【
図4】
図1に開示した監視サーバによる距離画像の処理の様子を示す図である。
【
図5】
図1に開示した監視サーバによる距離画像の処理の様子を示す図である。
【
図6】
図1に開示した監視サーバによる距離画像の処理の様子を示す図である。
【
図7】
図1に開示した監視サーバの処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、
図1乃至
図7を参照して説明する。
図1乃至
図2は、情報処理システムの構成を示す図である。
図3乃至
図7は、情報処理システムの処理動作を説明するための図である。以下、各図を参照して、情報処理システムの構成及び動作を説明する。
【0020】
本発明における情報処理システムは、被介護者や被監視者といった監視対象となる人物Pの行動を監視するための情報処理システムである。そして、情報処理システムは、監視サーバ10と、距離画像カメラCと、監視端末30と、携帯端末40と、を備えて構成されている。
【0021】
上記距離画像カメラC(撮影装置)は、監視対象となる人物Pが横たわるベッドBが配置された領域である部屋R1(第一領域)内の距離画像を撮影可能な位置に配置されている。例えば、距離画像カメラCは、医療施設や介護施設、住宅などの部屋R1の天井に設けられ、部屋R1の大部分が画像内に収まる位置に配置されている。なお、距離画像カメラCは、必ずしも天井に設置されていることに限定されず、壁やスタンドなど、いかなる場所に設置されていてもよい。但し、部屋R1に設置されるベッドBは、布団などのいかなる寝床であってもよい。
【0022】
距離画像カメラCは、画素値を距離値とした距離画像を撮影するものである。例えば、距離画像カメラCは、赤外線レーザをターゲットに投射した際の往復の時間から距離を計測する形式のものであってもよく、いかなる方式の撮影装置であってもよい。そして、距離画像カメラCは、一定の時間間隔で、あるいは、撮影指示を受けたタイミングで、距離画像を撮影し、かかる距離画像を後述する監視サーバ10に送信する機能を有する。なお、後述する監視サーバ10の機能については、上記距離画像カメラCに搭載することもできる。つまり、距離画像カメラCに搭載された情報処理装置にて監視サーバ10の機能を実現してもよい。
【0023】
上記監視端末30(監視装置)は、被介護者である人物Pの介護を行う介護者や、監視する監視者であるユーザUが操作する情報処理端末である。監視端末30は、介護者などのユーザUが在籍する監視ルームR2など、人物Pの部屋R1(第一領域)とは離れた場所(第二領域)に設置されており、複数のユーザUによって操作可能である。監視端末30は、表示画面に距離画像を表示すると共に、監視に関する操作指示を入力可能とし、かかる操作指示を監視サーバ10に送信したり、監視サーバ10から発せられる人物Pの状態の通知を受信して、ユーザUに報知する機能を有する。
【0024】
上記携帯端末40(監視装置)は、上記ユーザUが保持して操作するスマートフォンなどの情報処理端末である。携帯端末40は、監視サーバ10と無線通信を介して接続される通信可能であり、介護者などのユーザUが在籍する監視ルームR2や他の被介護者の部屋など、人物Pの部屋R1(第一領域)とは離れた場所(第二領域)に位置し、複数のユーザUによって操作可能である。携帯端末40は、表示画面に距離画像を表示すると共に、監視に関する操作指示を入力可能とし、かかる操作指示を監視サーバ10に送信したり、監視サーバ10から発せられる人物Pの状態の通知を受信して、ユーザUに報知する機能を有する。
【0025】
上記監視サーバ10は、距離画像カメラCからの距離画像を用いて人物Pの部屋における当該人物Pの特定の動作状態を検知する機能を主に有する。そして、監視サーバ10は、演算装置及び記憶装置を有する1台又は複数台の情報処理装置で構成される。具体的に、監視サーバ10は、
図2に示すように、演算装置がプログラムを実行することで構築された、画像取得部11、動作検知部12、通知部13、を備えている。また、監視サーバ10は、記憶装置に形成された、判定基準記憶部16を備えている。以下、各構成について詳述するが、併せて監視サーバ10の動作も
図7のフローチャートを参照して説明する。なお、監視サーバ10の機能については、上記距離画像カメラCに搭載することもできる。つまり、距離画像カメラCに搭載された情報処理装置にて監視サーバ10の機能を実現してもよい。
【0026】
上記画像取得部11は、上述したように距離画像カメラCにて撮影されたベッドBを含む部屋R1内の距離画像を、当該距離画像カメラCから取得する。そして、取得した距離画像を動作検知部12に渡すことで、当該距離画像は後述する処理に用いられる。なお、画像取得部11は、常に取得した距離画像をそのまま監視端末30や携帯端末40に送信し、監視端末30や携帯端末40の表示装置に表示するよう出力してもよい。
【0027】
上記動作検知部12(追従処理部)は、距離画像内における人物Pを検出する処理を行う。具体的に、動作検知部12は、まず、時間的に前後する距離画像の差分を用いて、かかる差分が所定値よりも小さい箇所を背景部分として検出する(
図7のステップS1)。例えば、部屋R1の距離画像において、床面や壁面、ベッドBといった固定物が映る箇所は、背景部分として検出される。このとき、動作検知部12は、検出した背景部分から、ベッドB(寝床)の領域であるベッド領域を検出する。例えば、動作検知部12は、距離画像から、所定の高さ位置に水平方向に所定の広さをもって広がる平面を検出し、かかる平面のうち、予め記憶しているベッド情報に対応する平面領域をベッド領域として検出する。例えば、ベッド情報は判定基準記憶部16に記憶されており、当該ベッド情報には、ベッドの広さや矩形である外形の長辺及び短辺の長さ、床面Fからの高さ、といった情報が含まれる。そして、動作検知部12は、特に、ベッド領域の外形を形成する端であるエッジ部分を検出する。例えば、動作検知部12は、ベッドBの外形付近に位置する箇所であって、近隣する画素同士の距離値が急激に変化する直線形状の箇所を、エッジ部分として検出する。
【0028】
そして、動作検知部12は、新たに撮影された距離画像の各画素において背景部分と距離の差分を算出し、かかる差分が所定値よりも大きい箇所に移動する物体(移動体)が存在することを検出する(
図7のステップS2)。そして、動作検知部12は、さらに、検出した物体の形状に基づいて人物Pを検出して、その後に順次撮影される距離画像において人物Pを追従する(
図7のステップS3)。例えば、動作検知部12は、検出した物体の形状(一例として、アスペクト比)や、物体間の位置関係や体積比(面積比)などから、頭部と胴体部との対といった複数の人体部位からなる人物Pを検出する。そして、例えば、動作検知部12は、新たな距離画像に対して、人体部位の形状をパターンマッチングしたり、部位の特徴点のオプティカルフローなども用いて、同一と判断できる人物Pの部位(頭部や胴体部など)を追従する。このとき、動作検知部12は、新たな距離画像に対して、直前に検出した人物Pの位置の近隣に存在する物体を検出して、パターンマッチングなどを用いて追従する。
【0029】
ここで、
図3乃至
図6を参照して、本実施形態における動作検知部12による追従処理の具体例を説明する。なお、
図3乃至
図6の例では、動作検知部12は、人物Pの頭部である部位を追従する処理を一例に挙げて説明する。但し、動作検知部12は、人物Pの頭部や胴体部といった各部位を検出して、かかる各部位の組み合わせを追従対象である人物Pとして追従することとしている。
【0030】
まず、動作検知部12は、
図3(1),(2)に示すように、新たな距離画像に対して検出領域Aを設定し、かかる検出領域A内で追従対象である人物Pの頭部であると判断できる物体を検出する。なお、検出領域Aは、追従対象である人物Pの頭部を、
図3(1)に示すように直前の距離画像で追従した位置の周囲領域であり、かかる頭部位置を中心とした事前に設定された大きさの領域であることとする。そして、動作検知部12は、検出領域A内において、追従対象である人物Pの頭部と同一の形状かつ同一の大きさの物体を検出する。例えば、動作検知部12は、
図3(1)に示す直前の距離画像で追従した人物Pの頭部と略同一の形状かつ同一の大きさとなる矩形のテンプレートTを用意し、
図3(2)に示すその後の距離画像においてテンプレートTと合致する物体を検出する。このとき、動作検知部12は、テンプレートTに対して予め設定された許容範囲内で大きさが異なる物体も、略同一の大きさの物体として検出する。例えば、テンプレートTの縦横それぞれにおいて許容範囲内で長さが異なっている物体であっても、略同一の大きさの物体として検出する。また、動作検知部12は、テンプレートTの向きをあらゆる角度に回転させて略同一の大きさの物体を検出することで、略同一の形状の物体を検出する。このようにして、動作検知部12は、
図3(2)の例では、新たな距離画像内で検出した物体を、人物Pの頭部として追従する。なお、上述したような人物Pの部位の追従方法は、予め追従基準として設定されていることとする。
【0031】
一方で、
図4(1)に示す人物Pが立っている状態から、
図4(2)に示す人物Pがうずくまっている状態に急に動作した場合には、距離画像カメラCから頭部までの距離が遠くなり、また、距離画像カメラCに対する頭部の向きが変化することで、距離画像内における頭部の大きさが小さくなる。すると、距離画像内の頭部の大きさは、テンプレートTと略同一の大きさと判断されず、頭部の追従に失敗することとなる(
図7のステップS4でYes)。この場合、動作検知部12は、追従基準を変更し、特に、テンプレートTの大きさを変更して(
図7のステップS11)、再度、頭部の追従を行う(
図7のステップS3)。
【0032】
例えば、動作検知部12は、テンプレートTの大きさを小さく変更し、変更したテンプレートT’と略同一の大きさと判断される物体を検出する。つまり、動作検知部12は、頭部の追従に失敗すると、これまで追従してきた頭部の大きさよりも小さい物体を検出する。一例として、動作検知部12は、矩形であるテンプレートTの縦横の長さを、その比率を変えずに、それぞれ2/3や1/2というように短く変更して、テンプレートT’の大きさを小さく変更する。なお、変更前のテンプレートTと変更後のテンプレートT’とは、縦横比(アスペクト比)を変更しないことで、各テンプレートT,T’は略同一の形状であると言える。但し、テンプレートT’は、変更前のテンプレートTに対して、その形状が変更となってもよい。このようにテンプレートT’の大きさを小さく変更することで、動作検知部12は、
図5(2)に示すように、急に人物Pの頭部の大きさが小さくなった場合でも、かかる頭部である物体を検出でき、人物Pの頭部として追従することができる(
図7のステップS4でNo)。なお、動作検知部12は、テンプレートTの大きさを複数回、段階的に小さくなるよう変更して、それぞれ変更したテンプレートT’で物体の検出を行ってもよい。
【0033】
また、一方で、
図6(1)に示す人物Pが立っている状態から、
図6(2)に示す人物Pが床面に倒れた状態に急に動作した場合には、距離画像内における頭部の位置が検出領域Aから外れることとなる。すると、動作検知部12は、頭部の追従に失敗することとなる(
図7のステップS4でYes)。この場合、動作検知部12は、追従基準を変更し、特に、距離画像内の高さ方向において検出領域Aよりもさらに低い位置で、再度、頭部の追従を行う(
図7のステップS11)。つまり、動作検知部12は、通常は、検出領域A内に位置する物体は、直前に検出された頭部の位置と略同一の高さ位置に位置する物体であると判断して検出するが、追従に失敗した場合には、検出領域Aよりもさらに低い位置に位置する物体を検出することとなる(
図7のステップS3)。
【0034】
例えば、動作検知部12は、検出領域Aの下端よりも下方の全ての範囲を対象に、テンプレートTと略同一の大きさと判断される物体を検出する。このとき、動作検知部12は、上述したように、テンプレートTを回転させて検出を行ってもよく、テンプレートTの大きさを小さくして検出を行ってもよい。このように、動作検知部12は、直前に追従した頭部の位置よりも低い位置の物体も検出することで、
図6(2)に示すように、急に人物Pの頭部の位置が低い位置に移動した場合であっても、かかる頭部である物体を検出でき、人物Pの頭部として追従することができる(
図7のステップS4でNo)。
【0035】
以上のようにして、動作検知部12は、人物Pの頭部等の部位の追従が成功すると(
図7のステップS4でNo)、追従した人物Pの動作状態を検出し(
図7のステップS5)、特定の動作状態であるどうかを判定する(
図7のステップS6)。例えば、動作検知部12は、追従した人物Pの人体部位(頭部や胴体部など)の位置関係に基づいて、かかる人物Pの動作状態を検出する。一例として、動作検知部12は、頭部から検出できる人物Pの高さと、胴体部から検出できる重心位置と、距離画像内のベッドBと、の位置関係に基づいて、人物Pの動作状態を検出し、かかる動作状態が予め設定された特定の動作状態であるか否かを判定する。例えば、人物PがベッドBに横たわっている状態(臥位状態)である場合には、人物Pがかかる状態(ベッドB上に位置して横たわっている)であることを認識するだけで、特定の動作状態とは判定しない(
図7のステップS6でNo)。一方で、動作検知部12は、例えば、人物PがベッドBの境界に位置する状態や、人物PがベッドBから離れてうずくまっている状態、人物PがベッドBから離れて横たわっている状態、である場合には、人物Pの動作状態が異常と判断できる可能性のある特定の動作状態であると判定する(
図7のステップS6でYes)。なお、上述したように人物Pの高さ、重心位置、ベッドBなどとの位置関係に基づいて人物Pの動作状態が特定の動作状態であると判断する基準は、予め判定基準記憶部16に記憶されていることとする。
【0036】
上記通知部13は、上述したように動作検知部12にて人物Pが特定の動作状態であると判定すると(
図7のステップS6でYes)、ユーザUに対して人物Pが異常状態である可能性がある旨の通知を行う(
図7のステップS7)。例えば、通知部13は、監視端末30や携帯端末40に対して、人物Pが異常状態である可能性があることを通知する通知情報を送信する。但し、本発明で判定する特定の動作状態は、上述した状態に限定されず、他の動作状態を特定の動作状態として判定してもよい。例えば、人物PがベッドBに立つ状態(立位状態)、人物PがベッドB上に座っている状態(起き上がり状態)、を異常と判断できる可能性のある特定の動作状態として判定してもよい。
【0037】
以上のように、本発明によると、追従している人物Pの部位の大きさが急に変化した場合であっても、追従する部位の大きさを小さくしたり、追従位置の高さを低く変更するなど、追従する部位の追従基準を変更して、かかる部位を追従している。このため、距離画像からより精度よく移動体を検出することができる。
【0038】
なお、上述したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0039】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0040】
10 監視サーバ
11 画像取得部
12 動作検知部
13 通知部
16 判定基準記憶部
30 監視端末
40 携帯端末
B ベッド
C 距離画像カメラ
P 人物
U ユーザ