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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】空気弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/07 20060101AFI20241220BHJP
   E03C 1/122 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
F16L55/07 C
E03C1/122 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021074369
(22)【出願日】2021-04-26
(65)【公開番号】P2022168710
(43)【公開日】2022-11-08
【審査請求日】2024-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】397007066
【氏名又は名称】協和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【弁理士】
【氏名又は名称】藤河 恒生
(72)【発明者】
【氏名】清水 勝也
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-43202(JP,A)
【文献】特開昭62-297593(JP,A)
【文献】特開昭63-246597(JP,A)
【文献】特開2018-80730(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2000122(KR,B1)
【文献】特開平9-133300(JP,A)
【文献】特開2017-190830(JP,A)
【文献】特開2017-89888(JP,A)
【文献】中国実用新案第203082424(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0069223(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0318772(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L
E03C 1/122
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が流れる少なくとも1個の配管と、
該少なくとも1個の配管のうちの一の配管にその下部の2箇所で接続され、内径が徐々に上流側から下流側にかけて狭まることにより水の流速を増加させる狭窄部を有する迂回路管と、
該狭窄部の下流側の端部近傍における前記迂回路管の上部と前記一の配管又は前記少なくとも1個の配管のうちの他の配管の上部とに接続される上部管と、
前記迂回路管の上部において前記上部管の接続部の近傍に接続される空気弁と、
を備える空気弁装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空気弁装置において、
前記迂回路管は、内部の一部に内管を有し、前記狭窄部は該内管に形成されている空気弁装置。
【請求項3】
請求項2に記載の空気弁装置において、
前記迂回路管の上部における前記上部管の前記接続部は、前記内管の外側面の上方に設けられている空気弁装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の空気弁装置において、
前記空気弁は、前記迂回路管の上部における前記上部管の前記接続部よりも下流側に接続されている空気弁装置。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の空気弁装置において、
前記少なくとも1個の配管のうち前記上部管が接続される前記配管は、その上部における前記上部管の接続部の周囲が上方に突出している空気弁装置。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の空気弁装置において、
前記迂回路管には、前記上部管の前記接続部及び前記空気弁の接続部を含む領域の上流側及び下流側に止水弁が設けられている空気弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水が流れる配管に繋がれ排気を行う空気弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気弁は、上下水道、工業用水のパイプライン又は農業用水のパイプラインなどの必要な場所で、それを形成する連結された複数個の配管のうち一つの又は幾つかの配管に繋がれる。空気弁は、配管を流れる水に混入した空気(その他の気体も含む)を外部に排気する機能を有する。空気弁は、様々な必要な場所で広く用いられている。空気弁には、配管の工事などの後にその中に溜まった多量の空気を大空気孔を経て外部に排気する多量排気(急速排気)の機能と、水が通常の圧力で配管を流れている状態で様々な原因で配管に混入した空気を少量ずつ小空気孔を経て外部に排気する少量排気の機能をともに有するもの(例えば、特許文献1、2など)が広く知られている。
【0003】
多量排気の機能と少量排気の機能をともに有する空気弁は、一般的に、基本構造として、配管に繋がれる弁箱と、大空気孔が形成され弁箱に装着される蓋体と、弁箱内に配され蓋体の大空気孔を下方から塞ぎ得る遊動弁体と、弁箱内に配されたフロート弁体と、を備えている。小空気孔は、蓋体に形成されたり(例えば、特許文献1など)、遊動弁体に形成されたり(例えば、特許文献2など)している。フロート弁体は、小空気孔を下方から塞ぎ得る。フロート弁体と遊動弁体とは、水よりも比重が小さいものである。空気弁の近傍には、通常、空気弁の補修などのために弁箱への水の浸入を止める(止水する)ことができる別体の止水弁(補修弁なども含む)が設けられている。
【0004】
多量排気時には、空気は大空気孔を通って排気される。多量排気は、止水弁が開かれ配管から弁箱へ水が浸入してから、遊動弁体が下方から蓋体に密接して大空気孔を塞ぐまで行われる。多量排気が終わった後には、少量排気が行われる。少量排気時には、空気は蓋体又は遊動弁体に形成されている小空気孔を通って排気される。水面が上がり水面から小空気孔までが所定の距離になると、フロート弁体が小空気孔を下方から塞ぐようになり、排気は止まる。その後、配管から弁箱へ空気が水に混じって浸入し、水面から小空気孔までの空気の量が増え水面が下がると、フロート弁体が下がり、小空気孔が開放され、再度少量排気が行われる。そして、少量排気により水面が上がり水面から小空気孔までが所定の距離になると、フロート弁体が小空気孔を下方から塞ぐようになり、排気は止まる。
【0005】
また、少量排気の機能のみを有する空気弁(例えば、特許文献3など)も知られている。このような空気弁は、一般的に、基本構造として、配管に繋がれる弁箱(特許文献3では、シリンダ)と、小空気孔が形成され弁箱に装着される蓋体(特許文献3では、エンドブロック及びエンドキャップ等)と、弁箱内に配され蓋体の小空気孔を下方から塞ぎ得るフロート弁体と、を備えている。排気(少量排気)は、止水弁が開かれ配管から弁箱へ水が浸入してから、小空気孔を通って行われる。水面が上がり水面から小空気孔までが所定の距離になると、フロート弁体が小空気孔を下方から塞ぐようになり、排気は止まる。その後、配管から弁箱へ空気が水に混じって浸入し、水面から小空気孔までの空気の量が増え水面が下がると、フロート弁体が下がり、小空気孔が開放され、再度排気が行われる。そして、排気により水面が上がり水面から小空気孔までが所定の距離になると、フロート弁体が小空気孔を下方から塞ぐようになり、排気は止まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開平4-126076号公報
【文献】特開2009-121678号公報
【文献】特開2012-026570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
空気弁は、フロート弁体によって小空気孔が塞がれ、かつ、開放されて適正に動作するために、通常、フロート弁体などは大きく、それゆえ、空気弁全体は大きい。しかし、空気弁は、上記のように様々な必要な場所で広く用いられる。中には、例えば、一般道路において配管が別の目的の他の配管の上越しになった場合や元々配管の埋設の深さが浅い場合など、配管から上方の地上部まで余り余裕がないこともあり、また、例えば、橋梁において配管が橋梁の構造体をかわすために伏せ越しになった場合など、配管から上方の橋梁の構造体まで余り余裕がないこともある。このような場合、空気弁を設置して適正に動作させるのが容易でないことが有る。
【0008】
また、サイホンの原理を利用して丘陵地を越えて水が流れるようにした場合、丘陵地の配管の中の内圧が負圧近く或は負圧になってその上に空気弁を設置しても空気弁が適正に動作しないことも有る。
【0009】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、配管から上方に余り余裕がない場合や配管の中が負圧になるような場合でも、空気弁を設置してその空気弁を適正に動作させることができる空気弁装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の空気弁装置は、水が流れる少なくとも1個の配管と、該少なくとも1個の配管のうちの一の配管にその下部の2箇所で接続され、内径が徐々に上流側から下流側にかけて狭まることにより水の流速を増加させる狭窄部を有する迂回路管と、該狭窄部の下流側の端部近傍における前記迂回路管の上部と前記一の配管又は前記少なくとも1個の配管のうちの他の配管の上部とに接続される上部管と、前記迂回路管の上部において前記上部管の接続部の近傍に接続される空気弁と、を備える。
【0011】
請求項2に記載の空気弁装置は、請求項1に記載の空気弁装置において、前記迂回路管は、内部の一部に内管を有し、前記狭窄部は該内管に形成されている。
【0012】
請求項3に記載の空気弁装置は、請求項2に記載の空気弁装置において、前記迂回路管の上部における前記上部管の前記接続部は、前記内管の外側面の上方に設けられている。
【0013】
請求項4に記載の空気弁装置は、請求項1~3のいずれか1項に記載の空気弁装置において、前記空気弁は、前記迂回路管の上部における前記上部管の前記接続部よりも下流側に接続されている。
【0014】
請求項に記載の空気弁装置は、請求項1~のいずれか1項に記載の空気弁装置において、前記少なくとも1個の配管のうち前記上部管が接続される前記配管は、その上部における前記上部管の接続部の周囲が上方に突出している。
【0015】
請求項に記載の空気弁装置は、請求項1~のいずれか1項に記載の空気弁装置において、前記迂回路管には、前記上部管の前記接続部及び前記空気弁の接続部を含む領域の上流側及び下流側に止水弁が設けられている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る空気弁装置によれば、配管から上方に余り余裕がない場合や配管の中が負圧になるような場合でも、空気弁を設置してその空気弁を適正に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る空気弁装置の平面図である。
図2】同上の空気弁装置の図1のA-Aで示す線の位置で切断した断面図である。
図3】同上の空気弁装置の図1のB-Bで示す線の位置で切断した断面図である。
図4】同上の空気弁装置の空気弁の例を示す断面図である。
図5】同上の空気弁装置の動作を説明する図2に対応する断面図である。
図6】同上の空気弁装置の動作を説明する図3に対応する断面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る空気弁装置を縮小して模式的に示す側面図である。
図8】同上の空気弁装置の一の配管側の平面図である。
図9】同上の空気弁装置の他の配管側の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施形態に係る空気弁装置1は、図1図2図3に示すように、配管2(一の配管)と迂回路管3と上部管4と空気弁5とを備えている。また、空気弁装置1は、2個の止水弁6を備えることができる。
【0019】
配管2は、それに連接される他の配管(後述する図5及び図6参照)とともに、上下水道、工業用水のパイプライン又は農業用水のパイプラインなどを形成する。ここの配管2では、水は上流側(図1等において右側)から下流側(図1等において左側)に流れる。配管2の上部(通常は、天頂部)には、後に詳述する上部管4が接続されている。
【0020】
配管2の上部には、上方に突出する突出部2aが設けられることが好ましい。この場合、上部管4は突出部2aに接続されることになる。つまり、上部管4の接続部の周囲は、上方に突出している。そうすると、配管2を流れる水に混入した空気(その他の気体も含む)は、突出部2aに溜まって、後述するように上部管4から排出され易くなる。
【0021】
迂回路管3は、配管2に、2箇所(上流側の接続部と下流側の接続部)で接続される。配管2に流れてきた水の一部は、迂回路管3を迂回して配管2に戻る。つまり、配管2に流れてきた水の一部は、上流側の接続部から迂回路管3に流れ込み、下流側の接続部から配管2に流れ出る。
【0022】
迂回路管3は、その長さが特に限定されるものではなく、後に詳述する空気弁5を設置するのに適切な位置(適切な水平方向及び/又は垂直方向の位置)まで延ばしたものとすることも可能である。
【0023】
迂回路管3は、配管2よりも細いことが好ましい。つまり、迂回路管3の内径(中空部の直径)は、配管2の内径よりも小さいことが好ましい。例えば、迂回路管3の内径は、配管2の内径の5分の1以下とすることができる。そうすると、後に詳述する空気弁5が設置される位置が低くなる。
【0024】
また、迂回路管3は、配管2の下部の前記2箇所で接続されていることが好ましい。つまり、迂回路管3の上下方向の中心位置は、配管2の上下方向の中心位置よりも下側にすることが好ましい。そうすると、空気弁5が設けられる位置が低くなり、また、例えば、迂回路管3が配管2よりも細い場合に迂回路管3の底面位置と配管2の底面位置(フランジを含む底面位置(図3参照))を同一に合わすようにすると、空気弁5が設置される位置が更に低くなる。
【0025】
迂回路管3は、狭窄部31を有する。狭窄部31は、内径が徐々に上流側(図3において右側)から下流側(図3において左側)にかけて狭まることにより水の流速を増加させる。狭窄部31は、迂回路管3の内部の一部に内管3aを有するようにして、この内管3aに形成されるようにすることができる。内管3aは、迂回路管3の途中において、下流側になるにつれて迂回路管3の本体(外管)3bから分離し、狭窄部31の下流側の端部(狭窄部31の出口)まで形成されている。内管3aが形成されている位置(水平方向の位置)においては、通常、外管3bは太くなっている。
【0026】
上部管4は、狭窄部31の下流側の端部近傍における迂回路管3の上部(通常は、天頂部)と配管2の上部とに接続されている。上部管4は、細い管である。上部管4は、その具体的な延ばし方が特に限定されるものではないが、図に示すように、迂回路管3の上部における接続部から上方に延び、配管2(及びその突出部2a)の最上位よりも上方に延び、配管2の上部における接続部の水平位置まで水平に延び(必要に応じて屈曲して延び)、それから下方に配管2の上部における接続部まで延びるようにすることが可能である。
【0027】
狭窄部31が内管3aに形成される場合、迂回路管3の上部における上部管4の接続部は、内管3aの外側面の上方に設けられるようにすることができる。そうすると、空気が、後述するように、配管2の上部から上部管4を通って迂回路管3の上部に移動してくると、それから下流側に自然と移動し易くなる。
【0028】
なお、配管2と迂回路管3と上部管4は、一体化成形したり、溶接により互いに接続したり、接続部にフランジを設けてボルトなどにより互いに接続したり、サドル分水栓を用いた穿孔工法により互いに接続したりなどすることが可能である。
【0029】
空気弁5は、迂回路管3の上部において上部管4の接続部の近傍に接続されている。空気弁5は、通常、迂回路管3の上部における上部管4の接続部よりも下流側に接続されている。図3等においては、空気弁5は、接続部材を介して迂回路管3に接続されている。
【0030】
空気弁5は、水に混じって浸入した空気を外部に排気する機能を有するものならば、特に限定されるものではなく、背景技術の欄で説明したように、少量排気の機能のみを有する空気弁としてもよいし、多量排気の機能と少量排気の機能をともに有する空気弁としてもよい。
【0031】
例えば、少量排気の機能のみを有する空気弁5は、図4に示すように、配管に繋がれる弁箱51と、小空気孔5aが形成され弁箱51に装着される蓋体52と、弁箱51内に配され蓋体52の小空気孔5aを下方から塞ぎ得るフロート弁体53と、を備えるようにすることができる(上記特許文献3など参照)。フロート弁体53は、水よりも比重が小さいものである。なお、図4においては、小空気孔5aが開放されてそれを通って外部に(大気中に)排気されている状態を示しており、この状態から排気が進んで行くと、小空気孔5aは下方からフロート弁体53により塞がれる。
【0032】
止水弁6は、迂回路管3において、上部管4の接続部及び空気弁5の接続部を含む領域の両側(つまり、上流側及び下流側)に設けられるようにすることができる。止水弁6は、迂回路管3において、空気弁5の補修などのためにその弁箱51への水の浸入を止める(止水する)ことができる。止水弁6は、止水することができるものならば、一般的にどう呼ばれるもの(例えば、補修弁など)であってもよい。なお、図3等においては、止水弁6が開いた状態を示しており、止水板61の中空孔を通って水が流れる。止水弁6が開いた状態から止水板61が約90度回されると、止水板61により水の流れは阻止され止水弁6は閉まった状態となる。
【0033】
止水弁6は、空気弁5と迂回路管3の中間(つまり、図3等における空気弁5と迂回路管3の間に介在する上記接続部材の位置)に設けることも可能であるが、上記のように、上部管4の接続部及び空気弁5の接続部を含む領域の両側に設けられるようにすることで、止水弁6を設けても空気弁5の設置位置を低く抑えることができる。
【0034】
以上説明した構成により、空気弁装置1は、以下に示すように動作する(図5及び図6参照)。上流側に連接された他の配管(図5及び図6において右側に示す)から配管2に流れてきた水(図5及び図6において矢印付き実線で示す)の一部は、止水弁6が開いた状態で、迂回路管3との上流側の接続部を通って迂回路管3に流れ込む。迂回路管3に流れ込んだ水は、狭窄部31を通過し、配管2との下流側の接続部を通って配管2に戻り、下流側に連接された他の配管(図5及び図6において左側に示す)に向かって流れる。
【0035】
ここで、狭窄部31を通過する水は、狭窄部31の下流側の端部では流速が増加し、その近傍ではベンチュリ効果(アスピレータの効果)によって圧力が低下する。その影響で、狭窄部31の下流側の端部の近傍に位置する上部管4の接続部付近では、水は迂回路管3の内部に向かって流れる。そして、上部管4の中では、配管2における上部管4の接続部から迂回路管3における上部管4の接続部に向かう水の流れが生じる。このとき、配管2の内部に空気が溜まっていると、その空気(図5及び図6において矢印付き破線で示す)は水に混じって上部管4を通って迂回路管3の内部に移動する。
【0036】
迂回路管3の内部に移動した空気は、上部管4の接続部の近傍に設けられた空気弁5の中に取り込まれ、そして、外部に(大気中に)排気される。
【0037】
止水弁6が閉まった状態では、迂回路管3における狭窄部31の下流側の端部の近傍で圧力が低下することはないので、上部管4の中では水の流れは生じない。
【0038】
以上説明した空気弁装置1は、用いる場所が限定されるものではないが、配管2から上方に余り余裕がない場所に用いられると、特に有用である。例えば、一般道路において配管2及びそれに連接される配管が別の目的の他の配管の上越しになった場合(交差する別の目的の他の配管の上方を通るようになった場合)や元々配管の埋設の深さが浅い場合など、配管2の上方の地上部まで余り余裕がないこともあり、また、例えば、橋梁において配管が橋梁の構造体をかわすために伏せ越しになった場合など、配管から上方の橋梁の構造体まで余り余裕がないこともある。このような場合でも、空気弁装置1は、空気弁5が設置可能であり、それを適正に動作させることができる。なお、空気弁5がかなり大きい場合、その空気弁5が設置できる場所まで迂回路管3及び上部管4を長めに延ばしたものとすることも可能である。
【0039】
次に、本発明の他の実施形態に係る空気弁装置7を説明する。空気弁装置7は、図7図9に示すように、配管8(一の配管)と配管9(他の配管)を備え、上記の迂回路管3と空気弁5が配管8の方に設けられ、上部管4が迂回路管3の上部と配管9の上部とに接続されるようにしたものである。上部管4はかなり長い場合もあり、硬質の管の他、強度の有るゴムホースなども用いることができる。また、2個の止水弁6は、上記と同様である。また、上記の突出部2aと同様の突出部9aが配管9に設けられるようにすることができる。
【0040】
このような空気弁装置7は、サイホンの原理を利用して丘陵地を越えて水が流れるようにした場合(サイホン式取水方式の場合)で、丘陵地の配管9の中の内圧が負圧近く或は負圧になり得て気液分離が発生し易い場合など、配管8を低い地点(すなわち、配管8の中の内圧が正圧になる位置)に位置させるようにした構成とすることができる。上部管4では、上記のように、ベンチュリ効果によって配管9から配管8の迂回路管3に向かう水の流れが生じ、配管9の内部に空気が溜まっていると、その空気は水に混じって上部管4を通って迂回路管3の内部に移動し、空気弁5により外部に(大気中に)排気される。こうして、丘陵地の位置で空気が配管の管路径を超えて溜まることなく、サイホンの原理が維持され、例えば、溜池などの水源S(図7参照)の水が灌漑用などとして丘陵地を越えて水田などに供給されるようにすることができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態に係る空気弁装置について説明したが、本発明は、上述の実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 空気弁装置
2 配管(一の配管)
2a 配管(一の配管)の突出部
3 迂回路管
3a 迂回路管の内管
3b 迂回路管の本体(外管)
31 狭窄部
4 上部管
5 空気弁
5a 小空気孔
51 弁箱
52 蓋体
53 フロート弁体
6 止水弁
61 止水板
7 空気弁装置
8 配管(一の配管)
9 配管(他の配管)
9a 配管(他の配管)の突出部
S 水源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9