(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】細胞凍結前処理作業用プレート
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20241220BHJP
C12N 1/04 20060101ALN20241220BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12N1/04
(21)【出願番号】P 2021537319
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(86)【国際出願番号】 JP2020029814
(87)【国際公開番号】W WO2021025017
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-06-19
(31)【優先権主張番号】P 2019143967
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509038108
【氏名又は名称】株式会社北里コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003111
【氏名又は名称】あいそう弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】井上 太
(72)【発明者】
【氏名】加藤 恵一
(72)【発明者】
【氏名】上野 智
【審査官】市島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-099547(JP,A)
【文献】特開2015-053876(JP,A)
【文献】特開2017-060428(JP,A)
【文献】J. Clin. Embryologist,2017年,Vol. 19, No. 2,pp.130-133
【文献】"KITAZATO OOCYTE CRYO PLATE",[online], 2019.2.13, 株式会社北里コーポレーション, [2020.9.16検索],インターネット<URL: https://www.kitazato.co.jp/ja/pdf/cryo/Flyer-JPOocyte% 20Cryo%20Plate20190213%20for%20mail.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞凍結前処理作業用プレートであって、前記プレートは、作業用平板部と、細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液収納用の第1の凹部と、細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液収納用の第2の凹部と、細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液収納用の第3の凹部と、廃棄液収納用の第4の凹部とを備え、さらに、前記作業用平板部の表面には、細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液載置用の第1の円状区画部と、前記低濃度処理液載置用の第2の円状区画部と、前記低濃度処理液載置用の第3の円状区画部とを備え、前記第1の円状区画部、前記第2の円状区画部および前記第3の円状区画部は、互いに近接しており、さらに、前記作業用平板部の表面には、前記第1の円状区画部を取り囲む拡大第1円状区画部と、前記第2の円状区画部を取り囲む拡大第2円状区画部と、前記第3の円状区画部を取り囲む拡大第3円状区画部を有して
おり、前記拡大第1円状区画部、前記拡大第2円状区画部および前記拡大第3円状区画部の外縁は、環状溝となっており、前記第1の円状区画部、前記第2の円状区画部および前記拡大第3円状区画部の外縁は、環状溝となっており、前記拡大第1円状区画部は、前記第1の円状区画部を前記拡大第1円状区画部の内側かつ外縁に接する状態にて取り囲むものとなっており、前記拡大第2円状区画部は、前記第2の円状区画部を前記拡大第2円状区画部の内側かつ外縁に接する状態にて取り囲むものとなっており、前記拡大第3円状区画部は、前記第3の円状区画部を前記拡大第3円状区画部の内側かつ外縁に接する状態にて取り囲むものとなっていることを特徴とする細胞凍結前処理作業用プレート。
【請求項2】
前記作業用平板部は、前記第1の円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第1の表示部と、前記第2の円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第2の表示部と、前記第3の円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第3の表示部とを有している請求項1に記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
【請求項3】
前記細胞凍結前処理作業用プレートは、前記第1の凹部に収納される処理液名および収納量表示を有する第4の表示部を有している請求項1または2に記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
【請求項4】
前記作業用平板部の表面には、前記第2の円状区画部より前記第1の円状区画部に向かって延びる第1の矢印表示と、前記第3の円状区画部より前記第1の矢印表示または前記第1の円状区画部に向かって延びる第2の矢印表示を有している請求項1ないし3のいずれかに記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
【請求項5】
前記細胞凍結前処理作業用プレートは、前記作業用平板部、前記第1の凹部、前記第2の凹部および前記第3の凹部を同時に被包する蓋を備えている請求項1ないし4のいずれかに記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
【請求項6】
前記細胞凍結前処理作業用プレートは、底部と、前記底部より上方に延びる環状側壁と、前記底部より上方に突出する突出部を備え、前記突出部に前記第2の凹部または前記第3の凹部を備え、前記突出部の側面と前記環状側壁の内面と前記底部により、前記第4の凹部が形成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
【請求項7】
前記細胞凍結前処理作業用プレートは、底部と、前記底部より上方に延びる環状側壁と、前記底部より上方に突出する第1の突出部と、前記底部より上方に突出する第2の突出部とを備え、前記第1の突出部が、前記第2の凹部を備え、前記第2の突出部が前記第3の凹部を備え、前記突出部の側面と前記環状側壁の内面と前記底部により、前記第4の凹部が形成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
【請求項8】
前記細胞凍結前処理作業用プレートは、第2の平板部を備え、前記第2の平板部に、前記第1の凹部が形成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
【請求項9】
前記作業用平板部は、前記第1の円状区画部および前記拡大第1円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第1の表示部と、前記第2の円状区画部および前記拡大第2円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第2の表示部と、前記第3の円状区画部および前記拡大第3円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第3の表示部とを有している請求項1ないし8のいずれかに記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
【請求項10】
細胞凍結前処理作業用プレートであって、前記プレートは、作業用平板部と、処理液収納用の第1の凹部と、処理液収納用の第2の凹部と、処理液収納用の第3の凹部と、廃棄処理液収納用の第4の凹部とを備え、さらに、前記作業用平板部の表面には、処理液載置用の第1の円状区画部と、処理液載置用の第2の円状区画部と、処理液載置用の第3の円状区画部とを備え、前記第1の円状区画部、前記第2の円状区画部および前記第3の円状区画部は、互いに近接しており、さらに、前記作業用平板部の表面には、前記第1の円状区画部を取り囲む拡大第1円状区画部と、前記第2の円状区画部を取り囲む拡大第2円状区画部と、前記第3の円状区画部を取り囲む拡大第3円状区画部を有して
おり、前記拡大第1円状区画部、前記拡大第2円状区画部および前記拡大第3円状区画部の外縁は、環状溝となっており、前記第1の円状区画部、前記第2の円状区画部および前記拡大第3円状区画部の外縁は、環状溝となっており、前記拡大第1円状区画部は、前記第1の円状区画部を前記拡大第1円状区画部の内側かつ外縁に接する状態にて取り囲むものとなっており、前記拡大第2円状区画部は、前記第2の円状区画部を前記拡大第2円状区画部の内側かつ外縁に接する状態にて取り囲むものとなっており、前記拡大第3円状区画部は、前記第3の円状区画部を前記拡大第3円状区画部の内側かつ外縁に接する状態にて取り囲むものとなっていることを特徴とする細胞凍結前処理作業用プレート。
【請求項11】
前記作業用平板部は、前記第1の円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第1の表示部と、前記第2の円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第2の表示部と、前記第3の円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第3の表示部を有し、前記細胞凍結前処理作業用プレートは、前記第1の凹部に収納される処理液名および収納量表示を有する第4の表示部を有している請求項10に記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
【請求項12】
前記作業用平板部は、前記第1の円状区画部および前記拡大第1円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第1の表示部と、前記第2の円状区画部および前記拡大第2円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第2の表示部と、前記第3の円状区画部および前記拡大第3円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第3の表示部とを有している請求項10または11に記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
【請求項13】
前記作業用平板部の表面には、前記第2の円状区画部より前記第1の円状区画部に向かって延びる第1の矢印表示と、前記第3の円状区画部より前記第1の矢印表示または前記第1の円状区画部に向かって延びる第2の矢印表示を有している請求項10ないし12のいずれかに記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
【請求項14】
前記拡大第1円状区画部の直径は、前記第1の円状区画部の直径の1.5倍~3倍であり、前記拡大第2円状区画部の直径は、前記第2の円状区画部の直径の1.5倍~3倍であり、前記拡大第3円状区画部の直径は、前記第3の円状区画部の直径の1.5倍~3倍である請求項1ないし
13のいずれかに記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物の卵子、胚などの卵、精子、造血幹細胞、多能性幹細胞等の幹細胞などの生体細胞を凍結保存する際に使用する細胞凍結前処理作業用プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物胚の凍結保存は、特定の系統や品種の遺伝資源の保存を可能とする。また、絶滅の危機に瀕している動物種の維持にも有効である。さらに、ヒトの不妊治療においても有用である。
【0003】
哺乳動物胚の凍結保存方法としては、特開2000-189155公報(特許文献1)において、哺乳動物胚または卵子を滅菌処理した凍結ストロー、凍結バイアルまたは凍結チューブ等の凍結保存用容器の内面に、これらの胚または卵子を包被するに充分な最少量のガラス化液で貼り付け、この凍結保存用容器を密封し、そしてこの容器を液体窒素に接触させて急速に冷却することが提案されている。
【0004】
また、本願発明者は、特許文献2(特開2002-315573、WO 02-085110 A1)を提案している。特許文献2の卵凍結保存具1は、耐寒性材料により形成された本体部2と、本体部2の一端に取り付けられ、可撓性かつ透明性かつ液体窒素耐性材料により形成された卵付着保持用ストリップ3と、卵付着保持用ストリップ3を被包可能に本体部2に着脱自在に取り付けられる一端が封鎖され、かつ耐寒性材料により形成された筒状部材4とからなるものである。
【0005】
特開2017-118884(特許文献3)には、移植直前の胚の処理等の、処理液を用いた細胞の処理に用いるための細胞処理容器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-189155
【文献】特開2002-315573(WO 02-085110 A1)
【文献】特開2017-118884(WO 2016-190322 A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そして、上記のような卵の凍結保存では、ガラス化保存法が用いられている。ガラス化保存法とは、グリセロールやエチレングリコールなどの耐凍剤を含む水溶液の凝固点降下により、氷点下でも氷晶ができにくくなる原理を利用するものである。この溶液を急速に液体窒素中で冷却すると、氷晶を生じさせないまま固体化させることができ、水分が結晶化することなくガラス状の固体になるもので、ガラス化と呼ばれている。ガラス化法により、卵を凍結するためには、卵の前処理が必要である。特許文献3の処理容器は、ガラス化凍結のための前処理用のものではなく、移植直前の胚の処理等のための容器である。
【0008】
上述のガラス化凍結のための前処理を行うための専用の容器は従来提供されていない。そこで各クリニックは、通常のシャーレやマルチウェルシャーレ、センターウェルディッシュ等を用いてなるべく作業ミスがなく、移植作業の短時間処理ができるような対応を行っている現状がある。
【0009】
本発明の目的は、ガラス化凍結のための前処理を手順間違いが少なく、かつ、容易に行うことができる細胞凍結前処理作業用プレートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
細胞凍結前処理作業用プレートであって、前記プレートは、作業用平板部と、細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液収納用の第1の凹部と、細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液収納用の第2の凹部と、細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液収納用の第3の凹部と、廃棄液収納用の第4の凹部とを備え、さらに、前記作業用平板部の表面には、細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液載置用の第1の円状区画部と、前記低濃度処理液載置用の第2の円状区画部と、前記低濃度処理液載置用の第3の円状区画部とを備え、前記第1の円状区画部、前記第2の円状区画部および前記第3の円状区画部は、互いに近接しており、さらに、前記作業用平板部の表面には、前記第1の円状区画部を取り囲む拡大第1円状区画部と、前記第2の円状区画部を取り囲む拡大第2円状区画部と、前記第3の円状区画部を取り囲む拡大第3円状区画部を有しており、前記拡大第1円状区画部、前記拡大第2円状区画部および前記拡大第3円状区画部の外縁は、環状溝となっており、前記第1の円状区画部、前記第2の円状区画部および前記拡大第3円状区画部の外縁は、環状溝となっており、前記拡大第1円状区画部は、前記第1の円状区画部を前記拡大第1円状区画部の内側かつ外縁に接する状態にて取り囲むものとなっており、前記拡大第2円状区画部は、前記第2の円状区画部を前記拡大第2円状区画部の内側かつ外縁に接する状態にて取り囲むものとなっており、前記拡大第3円状区画部は、前記第3の円状区画部を前記拡大第3円状区画部の内側かつ外縁に接する状態にて取り囲むものとなっている細胞凍結前処理作業用プレート。
【0011】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
細胞凍結前処理作業用プレートであって、前記プレートは、作業用平板部と、処理液収納用の第1の凹部と、処理液収納用の第2の凹部と、処理液収納用の第3の凹部と、廃棄処理液収納用の第4の凹部とを備え、さらに、前記作業用平板部の表面には、処理液載置用の第1の円状区画部と、処理液載置用の第2の円状区画部と、処理液載置用の第3の円状区画部とを備え、前記第1の円状区画部、前記第2の円状区画部および前記第3の円状区画部は、互いに近接しており、さらに、前記作業用平板部の表面には、前記第1の円状区画部を取り囲む拡大第1円状区画部と、前記第2の円状区画部を取り囲む拡大第2円状区画部と、前記第3の円状区画部を取り囲む拡大第3円状区画部を有しており、前記拡大第1円状区画部、前記拡大第2円状区画部および前記拡大第3円状区画部の外縁は、環状溝となっており、前記第1の円状区画部、前記第2の円状区画部および前記拡大第3円状区画部の外縁は、環状溝となっており、前記拡大第1円状区画部は、前記第1の円状区画部を前記拡大第1円状区画部の内側かつ外縁に接する状態にて取り囲むものとなっており、前記拡大第2円状区画部は、前記第2の円状区画部を前記拡大第2円状区画部の内側かつ外縁に接する状態にて取り囲むものとなっており、前記拡大第3円状区画部は、前記第3の円状区画部を前記拡大第3円状区画部の内側かつ外縁に接する状態にて取り囲むものとなっている細胞凍結前処理作業用プレート。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の細胞凍結前処理作業用プレートの基本的構成を備えた細胞凍結前処理作業用プレートの正面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した細胞凍結前処理作業用プレートの斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示した細胞凍結前処理作業用プレートに蓋を被せた状態の正面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示した細胞凍結前処理作業用プレートに被せられた蓋の斜視図である。
【
図7】
図7は、
図1に示した細胞凍結前処理作業用プレートの平板部の拡大図である。
【
図10】
図10は、本発明の細胞凍結前処理作業用プレートの基本的構成を備えた他の例の細胞凍結前処理作業用プレートの正面図である。
【
図11】
図11は、本発明の細胞凍結前処理作業用プレートの基本的構成を備えた他の例の細胞凍結前処理作業用プレートの正面図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施例の細胞凍結前処理作業用プレートの正面図である。
【
図13】
図13は、本発明の他の実施例の細胞凍結前処理作業用プレートの正面図である。
【
図14】
図14は、本発明の他の実施例の細胞凍結前処理作業用プレートの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の細胞凍結前処理作業用プレートを図面に示す実施例を用いて説明する。
【0014】
本発明の細胞凍結前処理作業用プレートの基本的構成を備えた細胞凍結前処理作業用プレートは、作業用平板部2と、細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液収納用の第1の凹部14と、細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液収納用の第2の凹部15と、細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液収納用の第3の凹部16と、廃棄液収納用の第4の凹部18とを備え、さらに、作業用平板部2の表面には、細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液載置用の第1の円状区画部21と、低濃度処理液載置用の第2の円状区画部と、低濃度処理液載置用の第3の円状区画部とを備え、第1の円状区画部21、第2の円状区画部22および第3の円状区画部23は、互いに近接したものとなっている。
【0015】
また、本発明の細胞凍結前処理作業用プレートの基本的構成を備えた細胞凍結前処理作業用プレートは、以下のようなものであってもよい。
この実施形態の細胞凍結前処理作業用プレートは、作業用平板部2と、処理液収納用の第1の凹部14と、処理液収納用の第2の凹部15と、処理液収納用の第3の凹部16と、廃棄処理液収納用の第4の凹部18とを備え、さらに、作業用平板部2の表面には、処理液載置用の第1の円状区画部21と、処理液載置用の第2の円状区画部22と、処理液載置用の第3の円状区画部23とを備え、第1の円状区画部21、第2の円状区画部22および第3の円状区画部23は、互いに近接したものとなっている。
【0016】
また、本発明の細胞凍結前処理作業用プレートの基本的構成を備えた細胞凍結前処理作業用プレートは、以下のようなものであってもよい。
【0017】
この細胞凍結前処理作業用プレートは、作業用平板部2と、処理液収納用の第1の凹部14と、処理液収納用の第2の凹部15と、処理液収納用の第3の凹部16と、廃棄処理液収納用の第4の凹部18とを備え、さらに、作業用平板部2の表面には、処理液載置用の第1の円状区画部21と、処理液載置用の第2の円状区画部22と、処理液載置用の第3の円状区画部23とを備え、第1の円状区画部21、第2の円状区画部22および第3の円状区画部23は、互いに近接しており、さらに、作業用平板部2は、第1の円状区画部21に載置される処理液名および載置量表示を有する第1の表示部26と、第2の円状区画部22に載置される処理液名および載置量表示を有する第2の表示部27と、第3の円状区画部23に載置される処理液名および載置量表示を有する第3の表示部28とを備え、さらに、細胞凍結前処理作業用プレート1は、第1の凹部14に収納される処理液名および収納量表示を有する第4の表示部29を有している。
【0018】
図1ないし
図4に示す細胞凍結前処理作業用プレート1は、下部環状壁4と、下部環状壁4より上方に延びる環状側壁3と、環状側壁3内に位置する底部6と、下部環状壁4の一端部に設けられた上面部12とを備えている。また、この実施例のプレート1では、下部環状壁4は、略矩形状のものとなっており、環状側壁3より大きく、環状側壁3より突出した部分の下部環状壁4の上面に、横長の上記の上面部12と、環状側壁3の両側部および奥側の下端と下部環状壁4の上端を繋ぐ幅の狭いコの字型の平坦部13が設けられている。
【0019】
下部環状壁4は、角部が湾曲した矩形状の環状壁となっている。下部環状壁の一端部、具体的には、
図1における下端部(手前側)には、下部環状壁4の上端と連接した上面部12が設けられている。上面部12は、平坦部となっており、その表面に筆記具にて、文字等を記載可能となっている。また、上面部12の表面は、粗面、具体的には、梨地表面となっていることが好ましい。このようにすることにより、筆記具等による記載がより容易となり、かつ、記載した文字等の視認も容易となる。
【0020】
また、細胞凍結前処理作業用プレート1は、上面部12を除く部分の下部環状壁4より上方に延びる環状側壁3を有している。また、環状側壁3の両側部および奥側の下端と下部環状壁4の上端を繋ぐ幅の狭いコの字型の平坦部13が設けられている。このため、下部環状壁4と環状側壁3間には、上面部12および平坦部13により段部が形成されている。この段部の上面が蓋5の載置部となっている。
図3に示すように、環状側壁3は、上面部12よりも高く形成されている。この実施例では、環状側壁3は、
図1ないし
図4に示すように、角部が湾曲した矩形状の環状壁となっている。
そして、環状側壁3の内部に、作業用平板部2と、処理液収納用の第1の凹部14と、処理液収納用の第2の凹部15と、処理液収納用の第3の凹部16と、廃棄処理液収納用の第4の凹部18が設けられている。
【0021】
この細胞凍結前処理作業用プレート1では、
図4に示すように、作業用平板部2は、環状側壁3の上端より、若干下方となる位置に設けられており、略矩形状の平板部となっている。また、この実施例では、第2の平板部17を備え、第2の平板部17に、第1の凹部14が形成されている。具体的には、第2の平板部17は、作業用平板部2と隣り合うように、形成されており、その上面は、作業用平板部2の上面とほぼ同じ高さとなっている。
【0022】
そして、第2の平板部17の中央部には、第1の凹部14が形成されている。第1の凹部14は、平坦かつ小円上の底面と、底面に向かって縮径するテーパ状側面を有するものとなっている。このため、第1の凹部14は、逆円錐台状(底面に向かって断面積が減少する)となっている。第1の凹部14は、細胞処理液収納用の凹部であり、具体的には、細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液収納用の凹部である。
【0023】
また、この細胞凍結前処理作業用プレート1では、
図1ないし
図4に示すように、環状側壁3の内部の底部6より上方に突出する第1の突出部41を備え、第1の突出部41に第2の凹部15が形成されている。さらに、この実施例の細胞凍結前処理作業用プレート1では、環状側壁3の内部の底部6より上方に突出する第2の突出部42を備え、第2の突出部42に第3の凹部16が形成されている。第2の凹部15および第3の凹部16は、平坦かつ小円上の底面と、底面に向かって縮径するテーパ状側面を有するものとなっている。このため、第2の凹部15および第3の凹部16は、逆円錐台状(底面に向かって断面積が減少する)となっている。
環状側壁3の高さ、言い換えれば、環状側壁3の上端と、作業用平板部2,第2の平板部17、第1の突出部41(第1の凹部15)の上端、第2の突出部42(第1の凹部16)の上端間の距離は、1~5mmが好ましく、特に、1.5~4mmが好ましい。
【0024】
第2の凹部15は、細胞処理液収納用の凹部であり、具体的には、細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液収納用の凹部である。同様に、第3の凹部16は、細胞処理液収納用の凹部であり、具体的には、細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液収納用の凹部である。なお、第2の凹部15および第3の凹部16に収納される処理液における細胞膜透過性凍結保護物質の濃度は、異なるものであってもよい。
【0025】
さらに、この細胞凍結前処理作業用プレート1では、
図1ないし
図4に示すように、廃棄液収納用の第4の凹部18を備えている。具体的には、突出部41、42の側面と環状側壁の内面と底部6により形成された凹部が、第4の凹部18となっている。
そして、作業用平板部2の表面には、
図7に示すように、処理液載置用の第1の円状区画部21と、処理液載置用の第2の円状区画部22と、処理液載置用の第3の円状区画部23とを備えている。
【0026】
第1の円状区画部21は、細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液載置用の円状区画部であり、第2の円状区画部22は、細胞膜透過性凍結保護物質低濃度処理液載置用の円状区画部であり、第3の円状区画部23は、細胞膜透過性凍結保護物質低濃度処理液載置用の円状区画部である。各円状区画部21,22,23の大きさ(直径)は、3~8mmが好ましく、特に、4~7mmが好ましい。また、各円状区画部21,22,23の面積は、7~50mm2が好ましく、特に、12~40mm2が好ましい。
【0027】
各円状区画部21,22,23は、ほぼ同じ大きさであることが好ましいが、個々に異なるものであってもよい。また、各円状区画部21,22,23には、所定量の処理液が載置可能であることが好ましい。載置可能処理液量としては、10~50μLが好ましく、特に、15~25μLが好ましい。
【0028】
また、第1の円状区画部21、第2の円状区画部22および第3の円状区画部23は、互いに近接したものとなっている。第1の円状区画部21と第2の円状区画部22間の距離は、1~5mmが好ましく、特に、1.5~3mmが好ましい。また、第3の円状区画部23は、
図7に示すように、第1の円状区画部21および第2の円状区画部22に近接するとともに、それらよりほぼ等距離離間していることが好ましい。具体的には、
図7に示すように、第1の円状区画部21と第2の円状区画部22の中間部の手前側に位置することが好ましい。第1の円状区画部21および第2の円状区画部22と第3の円状区画部23間の距離は、1~5mmが好ましく、特に、1.5~3mmが好ましい。
【0029】
また、
図7ないし
図9に示すように、第1の円状区画部21の外縁21a、第2の円状区画部22の外縁22a、第3の円状区画部23の外縁23aは、環状溝となっていることが好ましい。なお、上記の外縁21a,22a,23aは、環状リブであってもよい。
【0030】
さらに、この細胞凍結前処理作業用プレート1では、
図1および
図7に示すように、作業用平板部2は、第1の円状区画部21に載置される処理液名および載置量表示を有する第1の表示部26を有している。表示部26における「BS」は、「Basic Solution」簡略表示で、細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液を示しており、第1の円状区画部21に載置される処理液が、細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液であることを作業者に伝える表示となっており、その横に付された「20μL」は、載置量を作業者に伝える表示となっている。
【0031】
BS(細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液)としては、従来より用いられているものが好適に使用される。例えば、細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液としては、細胞培養基礎液(例えば、HEPES[4-(2-HydroxyEthyl)-1-PiperazineEthaneSulfonic acid]含有細胞培養液)に、細胞膜透過性凍結保護物質を含有させず、必要と考える化合物、例えば、シュークロース、トレハロース、パーコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ウシ血清アルブミン、フィコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースからなる群より選択された少なくとも一種の水溶性セルロースなどから選択される1種または2種以上の細胞膜非透過性凍結保護物質、ゲンタマイシンのような抗生物質を含有するものが好適である。
【0032】
また、この細胞凍結前処理作業用プレート1では、
図1および
図7に示すように、第2の円状区画部22に載置される処理液名および載置量表示を有する第2の表示部27を有している。表示部27における「ES」は、「Equilibration Solution」簡略表示で、細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液を示しており、第2の円状区画部22に載置される処理液が、低濃度処理液であることを作業者に伝える表示となっており、その横に付された「20μL」は、載置量を作業者に伝える表示となっている。
【0033】
また、この細胞凍結前処理作業用プレート1では、
図1および
図7に示すように、第3の円状区画部23に載置される処理液名および載置量表示を有する第3の表示部28を有している。表示部28における「ES」は、「Equilibration Solution」簡略表示で、細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液を示しており、第3の円状区画部23に載置される処理液が、低濃度処理液であることを作業者に伝える表示となっており、その横に付された「20μL」は、載置量を作業者に伝える表示となっている。
【0034】
ES(細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液)としては、従来より用いられているものが好適に使用される。例えば、細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液としては、細胞培養基礎液(例えば、HEPES[4-(2-HydroxyEthyl)-1-PiperazineEthaneSulfonic acid]含有細胞培養液)に、グリセロール、プロピレングリコール、ジメチルスルホサイド(DMSO)、エチレングリコール、ブタンジオールなどの細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度となるように添加するとともに、シュークロース、トレハロース、パーコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ウシ血清アルブミン、フィコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどの細胞膜非透過性凍結保護物質を含有するものが好適である。さらに、このESにおいても、ゲンタマイシンのような抗生物質を含有してもよい。なお、このESにおける細胞膜透過性凍結保護物質の含有率は、後述する「VS」(細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液)における細胞膜透過性凍結保護物質の含有率の20~70%であることが好ましく、特に、30~60%であることが好ましい。
【0035】
また、この細胞凍結前処理作業用プレート1では、
図1に示すように、第1の凹部14に収納される処理液名および収納量表示を有する第4の表示部29を有している。表示部29における「ES」は、「Equilibration Solution」簡略表示で、細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液を示しており、第1の凹部14に収納(注入)される処理液が、低濃度処理液であることを作業者に伝える表示となっており、その横に付された「300μL」は、注入量を作業者に伝える表示となっている。
【0036】
また、細胞凍結前処理作業用プレートは、
図10に示すプレート1aのように、第2の凹部15に収納される処理液名および収納量表示を有する第5の表示部43、第3の凹部16に収納される処理液名および収納量表示を有する第6の表示部44を有するものであってもよい。
【0037】
また、細胞凍結前処理作業用プレートは、
図10に示すプレート1aのように、第4の凹部は、仕切部46により、第2の凹部側となる凹部18aと、第3の凹部側となる凹部18bに区分されていてもよい。
【0038】
表示部43,44における「VS」は、「Vitrification Solution」簡略表示で、細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液を示しており、第2の凹部15,第3の凹部16に収納(注入)される処理液が、高濃度処理液であることを作業者に伝える表示となっており、その横に付された「300μL」は、注入量を作業者に伝える表示となっている。
【0039】
VS(細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液)としては、従来より用いられているものが好適に使用される。例えば、細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液としては、細胞培養基礎液(例えば、HEPES[4-(2-HydroxyEthyl)-1-PiperazineEthaneSulfonic acid]含有細胞培養液)に、グリセロール、プロピレングリコール、ジメチルスルホサイド(DMSO)、エチレングリコール、ブタンジオールなどの細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度となるように添加するとともに、シュークロース、トレハロース、パーコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ウシ血清アルブミン、フィコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどの細胞膜非透過性凍結保護物質を含有するものが好適である。さらに、このVSにおいても、ゲンタマイシンのような抗生物質を含有してもよい。なお、このVSにおける細胞膜透過性凍結保護物質の含有率は、上述した「ES」(細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液)における細胞膜透過性凍結保護物質の含有率の1.5~3倍であることが好ましく、特に、1.7~2.5倍であることが好ましい。
【0040】
また、この細胞凍結前処理作業用プレート1では、
図1および
図7に示すように、作業用平板部2の表面には、第2の円状区画部22より第1の円状区画部21に向かって延びる第1の矢印表示24と、第3の円状区画部23より第1の矢印表示24に向かって延びる第2の矢印表示25を有している。第2の矢印表示25は、第1の円状区画部21に向かって延びるものであってもよい。
【0041】
また、この細胞凍結前処理作業用プレート1では、
図1および
図7に示すように、作業用平板部2の表面には、
図7に示すように、第1の矢印表示付近に、第1のステップ順表示
35(1)を備え、第2の矢印表示付近に第2のステップ順表示
36(2)を備え、さらに、
図1に示すように、第2の平板部17には、第3のステップ順表示(3)を備えている。さらに、この実施例の細胞凍結前処理作業用プレート1では、第1のステップ順表示(1)付近に、第1のステップ時間表示
37を、第2のステップ順表示(2)付近に、第2のステップ時間表示
38を、第3のステップ順表示(3)付近に、第3のステップ時間表示を備えている。
【0042】
そして、この細胞凍結前処理作業用プレート1では、
図1および
図4に示すように、作業用平板部2の隣(右側)に第1の凹部14を備える第2の平板部17が位置し、作業用平板部2および第2の平板部17の手前側に、第2の凹部15,第3の凹部16および第4の凹部18が位置するものとなっており、それらにより、矩形状作業面が形成されている。そして、矩形状作業面の中央部は、作業用平板部2、第1の凹部14、第2の凹部15,第3の凹部16の作業順を示す作業順表示(1,2,3,4)が設けられている。なお、作業順表示の3,4は、逆であってもよい。
【0043】
そして、
細胞凍結前処理作業用プレートは、
図5および
図6に示すように、作業用平板部2、第1の凹部14、第2の凹部15および第3の凹部16を同時に被包する蓋5を備えていることが好ましい。
図6に示すように、この実施例の蓋5は、上述した矩形状作業面の全体を被覆するものとなっており、蓋5を被嵌した状態において、上面部12は露出するものとなっている。このため、蓋5は、上面部12への文字記載などの作業の障害とならない。また、この実施例の蓋5は、天板部51と天板部51のより下方に延びる環状側壁52を有する。環状側壁52には、側面に向かい合う複数の組のスリット53を備えている。さらに、蓋5の内側上面には、向かい合うリブ54が設けられている。
【0044】
細胞凍結前処理作業用プレート1および蓋5は、合成樹脂材料により形成される。細胞凍結前処理作業用プレート1および蓋5は、透明性が高いことが望ましく、透明性硬質合成樹脂が好適である。透明性硬質合成樹脂としては、ポリスチレン,SBSなどのスチレン系樹脂、ポリカーボネート、アクリロニトリル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、PMMA(ポリメチルメタアクリレート)ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂等を用いることが好ましい。
【0045】
次に、
図11に示す細胞凍結前処理作業用プレート1bについて説明する。このプレート1bの基本構成は、上述したプレート1と同じである。両者の相違点は、作業用平板部2および第1の凹部14に対する第2の凹部15、第3の凹部16および第4の凹部18の配置位置である。
【0046】
この細胞凍結前処理作業用プレート1bでは、作業用平板部2の隣(右側)に第1の凹部14を備える第2の平板部17が位置し、第2の平板部17の隣(右側)に、第2の凹部15,第3の凹部16および第4の凹部18が位置するものとなっており、それらにより、横長矩形状作業面が形成されている。このため、プレート1bでは、下部環状壁4a、環状側壁3aも横長矩形状となっており、上面部12も横長のものとなっている。プレート1bにおいても、環状側壁3aの両側部および奥側の下端と下部環状壁4aの上端を繋ぐ幅の狭い平坦部13が設けられている。そして、このプレート1bにおいても、作業用平板部2、第1の凹部14、第2の凹部15,第3の凹部16の作業順を示す作業順表示(1,2,3,4)が設けられている。
【0047】
次に、
図12に示す本発明の実施例の細胞凍結前処理作業用プレート1cについて説明する。このプレート1cの基本構成は、上述したプレート1と同じである。両者の相違点は、作業用平板部2の構成、作業用平板部2、第1の凹部14、第2の凹部15、第3の凹部16および第4の凹部18の配置位置である。
【0048】
この実施例のプレート1cでは、
図12に示すように、作業用平板部2aは、上述したプレート1の作業用平板部2より大きいものとなっている。そして、作業用平板部2aの表面には、第1の円状区画部21、第2の円状区画部22、第3の円状区画部23、第1の円状区画部21を取り囲む拡大第1円状区画部61、第2の円状区画部22を取り囲む拡大第2円状区画部62、第3の円状区画部23を取り囲む拡大第3円状区画部63を有している。第1の円状区画部21、第2の円状区画部22,第3の円状区画部23の大きさ、配置等は、上述したプレート1と同じである。
【0049】
拡大第1円状区画部61は、第1の円状区画部21より直径が大きく、第1の円状区画部21を中心ではなく、第1の円状区画部21を拡大第1円状区画部61の内側かつ外縁に近接もしくは外縁に接する状態にて取り囲むものとなっている。拡大第2円状区画部62も、第2の円状区画部22より直径が大きく、第2の円状区画部22を中心ではなく、第2の円状区画部22を拡大第2円状区画部62の内側かつ外縁に近接もしくは外縁に接する状態にて取り囲むものとなっている。拡大第3円状区画部63も、第3の円状区画部23より直径が大きく、第3の円状区画部23を中心ではなく、第3の円状区画部23を拡大第3円状区画部63の内側かつ外縁に近接もしくは外縁に接する状態にて取り囲むものとなっている。
【0050】
第1の円状区画部21、拡大第1円状区画部61、第2の円状区画部22、拡大第2円状区画部62、第3の円状区画部23、拡大第3円状区画部63の外縁21a,22a,23a,61a,62a,63aは、環状溝となっている。なお、上記の外縁は、環状リブでもよい。
【0051】
拡大第1円状区画部61は、 細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液載置用の円状区画部であり、拡大第2円状区画部62は、細胞膜透過性凍結保護物質低濃度処理液載置用の円状区画部であり、拡大第3円状区画部63は、細胞膜透過性凍結保護物質低濃度処理液載置用の円状区画部である。各拡大円状区画部61,62,63の直径は、各円状区画部21,22,23の直径の1.5倍~3倍であることが好ましく、特に、1.7倍~2.5倍であることが好ましい。同様に、各拡大円状区画部61,62,63の面積は、各円状区画部21,22,23の面積の2倍~10倍であることが好ましく、特に、3倍~7倍であることが好ましい。
【0052】
この実施例の細胞凍結前処理作業用プレート1cは、
図12に示すように、作業用平板部2aには、第1の円状区画部21および拡大第1円状区画部61に載置される処理液名および載置量表示(2つの表示)を有する第1の表示部26aを有している。表示部26aにおける「BS」は、「Basic Solution」簡略表示で、細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液を示しており、その付近に付された「20μL」は第1の円状区画部21への載置量を、「100μL」は、拡大第1円状区画部61への載置量を作業者に伝える表示となっている。複数の細胞を同時に処理する場合には、拡大第1円状区画部61が用いられ、単独細胞処理の場合には、第1の円状区画部21が用いられる。
【0053】
さらに、この実施例の細胞凍結前処理作業用プレート1cは、
図12に示すように、作業用平板部2aには、第2の円状区画部22および拡大第2円状区画部62に載置される処理液名および載置量表示(2つの表示)を有する第2の表示部27aを有している。表示部27aにおける「ES」は、細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液を示しており、その付近に付された「20μL」は、第2の円状区画部22への載置量を、「100μL」は、拡大第2円状区画部62への載置量を作業者に伝える表示となっている。複数の細胞を同時に処理する場合には、拡大第2円状区画部62が用いられ、単独細胞処理の場合には、第2の円状区画部22が用いられる。
【0054】
さらに、この実施例の細胞凍結前処理作業用プレート1cは、
図12に示すように、作業用平板部2aには、第3の円状区画部23および拡大第3円状区画部63に載置される処理液名および載置量表示(2つの表示)を有する第3の表示部28aを有している。表示部28aにおける「ES」は、細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液を示しており、その付近に付された「20μL」は、第3の円状区画部23への載置量を、「100μL」は、拡大第3円状区画部63への載置量を作業者に伝える表示となっている。複数の細胞を同時に処理する場合には、拡大第3円状区画部63が用いられ、単独細胞処理の場合には、第3の円状区画部23が用いられる。
【0055】
そして、この実施例のプレート1cでは、作業用平板部2aの手前側に、第1の凹部14、第2の凹部15、第3の凹部16および第4の凹部18が配置されている。そして、この実施例のプレート1cにおいても、第1の凹部14、第2の凹部15、第3の凹部16に収納(注入)される処理液名および収納量表示を備えている。そして、作業用平板部2、第1の凹部14、第2の凹部15、第3の凹部16および第4の凹部18は、環状側壁3bにより囲まれており、それらの上面は、環状側壁3bの上端より、若干下方に位置するものとなっている。また、この実施例のプレート1cにおいても、下部環状壁4bは、略矩形状のものとなっており、プレート1と同様に、環状側壁3bより大きく、環状側壁3bより突出した部分の下部環状壁4bの上面に、横長の上面部12と、環状側壁3bの両側部および奥側の下端と下部環状壁4bの上端を繋ぐ幅の狭い平坦部13を有している。
【0056】
次に、
図13に示す実施例の細胞凍結前処理作業用プレート1dについて説明する。このプレート1dの基本構成は、上述したプレート1cと同じである。両者の相違点は、作業用平板部2b、第1の凹部14、第2の凹部15、第3の凹部16および第4の凹部18の配置位置である。
【0057】
この実施例のプレート1dでは、作業用平板部2bの側部(具体的には、右側)に、奥側から、第1の凹部14、第2の凹部15、第3の凹部16の順に配置され、第2の凹部15および第3の凹部16を取り囲むように、第4の凹部18が設けられている。この実施例のプレート1dにおいても、第1の凹部14、第2の凹部15、第3の凹部16に収納(注入)される処理液名および収納量表示を備えている。そして、作業用平板部2b、第1の凹部14、第2の凹部15、第3の凹部16および第4の凹部18は、環状側壁3cにより囲まれており、それらの上面は、環状側壁3cの上端より、若干下方に位置するものとなっている。この実施例のプレート1dにおいても、下部環状壁4cは、略矩形状のものとなっており、プレート1と同様に、下部環状壁4cは、環状側壁3cより大きく、環状側壁3cより突出した部分の下部環状壁4cの上面に、横長の上面部12、環状側壁3cの両側部および奥側の下端と下部環状壁4cの上端を繋ぐ幅の狭い平坦部13を有している。
【0058】
次に、
図14に示す実施例の細胞凍結前処理作業用プレート1eについて説明する。このプレート1eの基本構成は、上述したプレート1cと同じである。両者の相違点は、作業用平板部2c、第1の凹部14、第2の凹部15、第3の凹部16および第4の凹部18a,18bの配置位置である。この実施例のプレート1eでは、下部環状壁4dおよび環状側壁3dは、奥側が略三角形状となった略五角形状となっており、プレート1と同様に、下部環状壁4dは、環状側壁3dより大きく、環状側壁3dより突出した部分の下部環状壁4dの上面に、横長の上面部12、環状側壁3bの両側部および奥側の下端と下部環状壁4bの上端を繋ぐ幅の狭い平坦部13を有している。
【0059】
この実施例のプレート1eでは、作業用平板部2cの奥側に、第1の凹部14が配置され、作業用平板部2cの一方(左側)の手前側側部に、第2の凹部15および第4の凹部18aが配置され、作業用平板部2cの他方(右側)の手前側側部に、第3の凹部16および第4の凹部18bが配置されている。
【0060】
この実施例のプレート1eにおいても、第1の凹部14、第2の凹部15、第3の凹部16に収納(注入)される処理液名および収納量表示を備えている。そして、作業用平板部2c、第1の凹部14、第2の凹部15、第3の凹部16および第4の凹部18a,18bは、環状側壁3dにより囲まれており、それらの上面は、環状側壁3dの上端より、若干下方に位置するものとなっている。
【0061】
次に、本発明の細胞凍結前処理作業用プレートを用いた細胞凍結前処理作業について、
図1および
図4を用いて説明する。
最初に、凍結対象細胞(例えば、胚)、BS(細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液)、ES(細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液)、VS(細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液)を準備する。そして、プレート1の第1の凹部14への表示29に従った所定量(300μL)のESを注入、第2の凹部15および第3の凹部16への所定量(300μL)のVSを注入、第1の円状区画部21への表示部26に従った適量(20μL)のBSの載置(ドロップ)、第2の円状区画部22への表示部27に従った適量(20μL)のESの載置(ドロップ)、第3の円状区画部23への表示部28に従った適量(20μL)のESの載置(ドロップ)を行う。これにより、細胞凍結前処理準備が完成する。
【0062】
最初に、マイクロピペット等により、凍結対象細胞を採取し、第1の円状区画部21に載置されたBSに移植する。続いて、
図4に示されている作業用平板部2の表示(1)35および矢印表示24に従い、移植に用いた部材(例えば、ピペット)にて、第2の円状区画部22と第1の円状区画部21を接続する。これにより、第2の円状区画部22と第1の円状区画部21は連通する。そして、表示部37に従い、3分間放置する。この操作により、第1の円状区画部21の細胞が移植されたBSに、ESが徐々に混ざり合い、細胞を取り囲む処理液中の低濃度処理液濃度が増加した混合部となる。
【0063】
続いて、
図4に示されている作業用平板部2の表示(2)36および矢印表示25に従い、移植に用いた部材(例えば、ピペット)にて、第3の円状区画部23を上記の混合部に接続する。これにより、第2の円状区画部22と第1の円状区画部21と第3の円状区画部23が連通する。そして、表示部38に従い、3分間放置する。この操作により、対象細胞を取り囲む処理液の低濃度処理液濃度が徐々にかつさらに増加する。このようにすることにより、凍結対象細胞を取り囲む処理液は、徐々に細胞膜透過性凍結保護物質濃度が上昇するため、細胞に損傷を与えることなく、対象細胞の平衡化処理を進めることができる。上記の操作にて、平衡化第1ステップ処理が完了する。
【0064】
特に、この実施例のプレート1では、作業用平板部2の表面に、細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液載置用の第1の円状区画部21と、低濃度処理液載置用の第2の円状区画部22と、低濃度処理液載置用の第3の円状区画部23とを備え、第1の円状区画部、第2の円状区画部および第3の円状区画部は、互いに近接しているので、上記の平衡化のための準備、さらには、その作業を容易かつ確実に行うことができる。
【0065】
そして、上記のように作業用平板部2での平衡化第1ステップ処理された細胞をマイクロピペット等により吸引採取し、第1の凹部14に注入されているESの液面上に載置した後、9分間放置する。ES表面に置かれた細胞が、胚の場合、30秒以内に沈降しながら収縮していくのが観察でき、さらに、一度大きく収縮した胚の体積が完全に回復するのを待つ。これにより、平衡化第2ステップが完了する。
【0066】
続いて、第1の凹部14内の細胞をマイクロピペット等により吸引採取し、VSが注入されている第2の凹部15の表面に置く。なお、この作業において、ES液の第2の凹部15のVS液への持ちこみを最小なものとする。細胞載置後、マイクロピペット内のESは、廃棄処理液収納用の第4の凹部18に廃棄する。続いて、第2の凹部15の縁部より、新鮮なVSの吸引および廃棄を行い、マイクロピペットを第2の凹部15内のVSによる共洗いを行う。第2の凹部15(VS)内で3箇所ほど場所を変えながら十分なピペッティング(胚をピペットからVS内に勢いよく排出し、胚周辺をすばやく数回かき混ぜる。ESによるかげろうが見えなくなるまで細胞を第2の凹部15内のVSに置換する。これにより、平衡化第3ステップが完了する。
【0067】
続いて、マイクロピペット内のVSを廃棄処理液収納用の第4の凹部18に廃棄し、第3の凹部16に注入されている新鮮なVSを吸引する。そして、新鮮なVSを吸引したマイクロピペットにて、第2の凹部15内の細胞を吸引し、VSが注入されている第3の凹部16に投入する。2箇所ほど場所を変えながら十分なピペッティング(胚をピペットからVS内に勢いよく排出し、胚周辺をすばやく数回かき混ぜる)する。脱水により細胞が扁平に収縮したのを確認する。これにより、平衡化が完了する。
【0068】
続いて、マイクロピペットの先端に凍結対象細胞を採取し、顕微鏡下において、生体細胞凍結保存具(図示せず)の生体細胞保持部(図示せず)を少量のVSとともに配置させる。細胞が付着した生体細胞凍結保存具の生体細胞保持部をあらかじめ準備しておいた液体窒素に浸漬し凍結(ガラス化)させる。そして、筒状部材(図示せず)に、細胞が付着した生体細胞凍結保存具を挿入し、収納容器(図示せず)内に、生体細胞凍結保存具を収納した筒状収納部材を収納させ、続いて、収納容器を液体窒素タンク内に入れ保存する。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の細胞凍結前処理作業用プレートは、以下のものである。
(1) 細胞凍結前処理作業用プレートであって、前記プレートは、作業用平板部と、細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液収納用の第1の凹部と、細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液収納用の第2の凹部と、細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液収納用の第3の凹部と、廃棄液収納用の第4の凹部とを備え、さらに、前記作業用平板部の表面には、細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液載置用の第1の円状区画部と、前記低濃度処理液載置用の第2の円状区画部と、前記低濃度処理液載置用の第3の円状区画部とを備え、前記第1の円状区画部、前記第2の円状区画部および前記第3の円状区画部は、互いに近接しており、さらに、前記作業用平板部の表面には、前記第1の円状区画部を取り囲む拡大第1円状区画部と、前記第2の円状区画部を取り囲む拡大第2円状区画部と、前記第3の円状区画部を取り囲む拡大第3円状区画部を有している細胞凍結前処理作業用プレート。
【0070】
このプレートでは、第1の円状区画部に適量の細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液を載置(ドロップ)し、第2の円状区画部に適量の低濃度処理液を載置(ドロップ)し、第3の円状区画部に適量の低濃度処理液を載置(ドロップ)する。そして、細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液に、凍結対象細胞を移植し、続いて、移植に用いた部材(例えば、ピペット)にて、第2の円状区画部と第1の円状区画部を接続することにより、低濃度処理液が徐々に非含有処理液と混ざり合い、対象細胞を取り囲む処理液中の低濃度処理液濃度が増加する。さらに、移植に用いた部材(例えば、ピペット)にて、第3の円状区画部を上記の非含有液と低濃度処理液の混合部に接続することにより、低濃度処理液が徐々に混合部と混ざり合い、対象細胞を取り囲む処理液の低濃度処理液濃度が徐々に増加する。このようにすることにより、凍結対象細胞を取り囲む処理液は、徐々に細胞膜透過性凍結保護物質濃度が上昇するため、良好な細胞膜透過性凍結保護物質により対象細胞の平衡化処理を行うことができる。
【0071】
特に、作業用平板部の表面に、細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液載置用の第1の円状区画部と、低濃度処理液載置用の第2の円状区画部と、低濃度処理液載置用の第3の円状区画部とを備え、第1の円状区画部、第2の円状区画部および第3の円状区画部は、互いに近接しているので、上記の平衡化のための準備、さらには、良好な平衡化処理を容易かつ確実に行うことができる。
さらに、複数の細胞を同時に処理する場合には、拡大円状区画部が用いられ、単独細胞処理の場合には、拡大円状区画部内に位置する小さい円状区画部が用いられる。このため、処理細胞数によって、使い分けることができる。
【0072】
そして、上記の細胞凍結前処理作業用プレートの実施態様は、以下のものである。
(2) 前記作業用平板部は、前記第1の円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第1の表示部と、前記第2の円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第2の表示部と、前記第3の円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第3の表示部とを有している上記(1)に記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
(3) 前記細胞凍結前処理作業用プレートは、前記第1の凹部に収納される処理液名および収納量表示を有する第4の表示部を有している上記(1)または(2)に記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
(4) 前記作業用平板部の表面には、前記第2の円状区画部より前記第1の円状区画部に向かって延びる第1の矢印表示と、前記第3の円状区画部より前記第1の矢印表示または前記第1の円状区画部に向かって延びる第2の矢印表示を有している上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
(5) 前記細胞凍結前処理作業用プレートは、前記作業用平板部、前記第1の凹部、前記第2の凹部および前記第3の凹部を同時に被包する蓋を備えている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
(6) 前記細胞凍結前処理作業用プレートは、底部と、前記底部より上方に延びる環状側壁と、前記底部より上方に突出する突出部を備え、前記突出部に前記第2の凹部または前記第3の凹部を備え、前記突出部の側面と前記環状側壁の内面と前記底部により、前記第4の凹部が形成されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
(7) 前記細胞凍結前処理作業用プレートは、底部と、前記底部より上方に延びる環状側壁と、前記底部より上方に突出する第1の突出部と、前記底部より上方に突出する第2の突出部とを備え、前記第1の突出部が、前記第2の凹部を備え、前記第2の突出部が前記第3の凹部を備え、前記突出部の側面と前記環状側壁の内面と前記底部により、前記第4の凹部が形成されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
(8) 前記細胞凍結前処理作業用プレートは、第2の平板部を備え、前記第2の平板部に、前記第1の凹部が形成されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
(9) 前記作業用平板部は、前記第1の円状区画部および前記拡大第1円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第1の表示部と、前記第2の円状区画部および前記拡大第2円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第2の表示部と、前記第3の円状区画部および前記拡大第3円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第3の表示部とを有している上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
【0073】
また、本発明の細胞凍結前処理作業用プレートは、以下のものである。
(10) 細胞凍結前処理作業用プレートであって、前記プレートは、作業用平板部と、処理液収納用の第1の凹部と、処理液収納用の第2の凹部と、処理液収納用の第3の凹部と、廃棄処理液収納用の第4の凹部とを備え、さらに、前記作業用平板部の表面には、処理液載置用の第1の円状区画部と、処理液載置用の第2の円状区画部と、処理液載置用の第3の円状区画部とを備え、前記第1の円状区画部、前記第2の円状区画部および前記第3の円状区画部は、互いに近接しており、さらに、前記作業用平板部の表面には、前記第1の円状区画部を取り囲む拡大第1円状区画部と、前記第2の円状区画部を取り囲む拡大第2円状区画部と、前記第3の円状区画部を取り囲む拡大第3円状区画部を有している細胞凍結前処理作業用プレート。
【0074】
そして、上記の細胞凍結前処理作業用プレートの実施態様は、以下のものである。
(11) 前記作業用平板部は、前記第1の円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第1の表示部と、前記第2の円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第2の表示部と、前記第3の円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第3の表示部を有し、前記細胞凍結前処理作業用プレートは、前記第1の凹部に収納される処理液名および収納量表示を有する第4の表示部を有している上記(10)に記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
(12) 前記作業用平板部は、前記第1の円状区画部および前記拡大第1円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第1の表示部と、前記第2の円状区画部および前記拡大第2円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第2の表示部と、前記第3の円状区画部および前記拡大第3円状区画部に載置される処理液名および載置量表示を有する第3の表示部とを有している上記(10)または(11)に記載の細胞凍結前処理作業用プレート。
(13) 前記作業用平板部の表面には、前記第2の円状区画部より前記第1の円状区画部に向かって延びる第1の矢印表示と、前記第3の円状区画部より前記第1の矢印表示または前記第1の円状区画部に向かって延びる第2の矢印表示を有している上記(10)ないし(12)のいずれかに記載の細胞凍結前処理作業用プレート。