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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】搬送ロボット及び荷物搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20241220BHJP
   B60P 1/00 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
B65G61/00 550
B60P1/00 H
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023541192
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 JP2021029776
(87)【国際公開番号】W WO2023017608
(87)【国際公開日】2023-02-16
【審査請求日】2024-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】522175956
【氏名又は名称】LOMBY株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】内山 智晴
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-23639(JP,A)
【文献】特開2020-91571(JP,A)
【文献】特開2021-39644(JP,A)
【文献】特開2019-109847(JP,A)
【文献】特許第6164599(JP,B1)
【文献】特開2021-86291(JP,A)
【文献】国際公開第2021/064862(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
B60P 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を載せる積載部と、
前記荷物の搬送先に走行する走行部と、
前記走行部の走行中に前記荷物を保持する第1位置と、宅配ボックスから前記荷物を受け取る第2位置と、前記荷物を前記搬送先に降ろす第3位置とに、前記積載部を移動させる駆動部と
を備える搬送ロボット。
【請求項2】
前記積載部は、前記第1位置において、前記荷物を略水平に保持する
請求項1に記載の搬送ロボット。
【請求項3】
前記積載部は、前記第2位置において、前記宅配ボックス側に突出して前記荷物を受け取る
請求項1又は2に記載の搬送ロボット。
【請求項4】
前記積載部は、前記第3位置において、前記走行部が接地する面に対して傾斜して前記荷物を降ろす
請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送ロボット。
【請求項5】
前記積載部は、さらに、ベルトコンベアを有し、前記第3位置において、前記ベルトコンベアを回転させ、前記荷物を降ろす
請求項4に記載の搬送ロボット。
【請求項6】
前記駆動部は、前記走行部の前後方向に延びるレールと、前記積載部に連結され、前記レールに沿って移動する可動部とを有し、前記前後方向の前方側にある前記レールの一端の方向に前記可動部を移動させることにより前記積載部を前記第1位置に移動させ、前記前後方向の後方側にある前記レールの他端の方向に前記可動部を移動させることにより前記積載部を前記第3位置に移動させ、前記一端と前記他端との間に前記可動部を移動させることにより前記積載部を前記第2位置に移動させる
請求項1から5のいずれか1項に記載の搬送ロボット。
【請求項7】
前記駆動部は、前記駆動部の移動に伴って軸を中心に回転する支持部材を有し、
前記支持部材は、前記第3位置において、前記積載部の底面が前記走行部の接地する面に対して傾斜し、前記底面の前記後方側の端部が前記面に接する姿勢になるように前記積載部を支持する
請求項6に記載の搬送ロボット。
【請求項8】
前記支持部材は、前記積載部の前記前方側の端部を支持し、前記レールに沿って移動する第1支持部材と、前記積載部の前記後方側の側端部を回転可能に支持する第2支持部材とを含む
請求項7に記載の搬送ロボット。
【請求項9】
前記レールは、前記他端が前記一端よりも前記走行部の接地する面に近づくように前記面に対して傾斜する
請求項6から8のいずれか1項に記載の搬送ロボット。
【請求項10】
前記走行部は、前輪と後輪とを有し、
前記後輪は、前記前輪より外径が小さく、前記第1位置、前記第2位置、及び前記第3位置を移動する前記積載部と接触しない大きさを有する
請求項1から9のいずれか1項に記載の搬送ロボット。
【請求項11】
前記宅配ボックスから前記荷物を取り出す機構をさらに備える
請求項1から10のいずれか1項に記載の搬送ロボット。
【請求項12】
搬送ロボットと、宅配ボックスとを備え、
前記宅配ボックスは、荷物を収容し、
前記搬送ロボットは、
前記宅配ボックスから受け取った前記荷物を載せる積載部と、
前記荷物の搬送先に走行する走行部と、
前記走行部の走行中に前記荷物を保持する第1位置と、前記宅配ボックスから前記荷物を受け取る第2位置と、前記荷物を前記搬送先に降ろす第3位置とに、前記積載部を移動させる駆動部とを有する
荷物搬送システム。
【請求項13】
前記宅配ボックスは、前記荷物を前記搬送ロボットに送り出す機構を有し、
前記積載部は、さらに、ベルトコンベアを有し、前記第2位置において前記ベルトコンベアを回転させて、前記宅配ボックスから送り出された前記荷物を受け取る
請求項12に記載の荷物搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配ボックスに収容された荷物を搬送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送ロボットを用いて配達物の搬送を行う技術がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-108219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、集合住宅に宅配ボックスが設置されている場合、宅配業者により宅配ボックスに荷物が預けられる場合がある。宅配ボックスに荷物が預けられた場合、受取人は宅配ボックスに荷物を取りに行って自宅まで運ばなくてはならない。しかし、例えば宅配ボックスに預けられた荷物が自宅の玄関前等の搬送先に運び置かれると、このような手間が省けて便利である。
【0005】
本発明は、宅配ボックスに預けられた荷物を搬送先に運び置くことができる搬送ロボットを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、荷物を載せる積載部と、前記荷物の搬送先に走行する走行部と、前記走行部の走行中に前記荷物を保持する第1位置と、宅配ボックスから前記荷物を受け取る第2位置と、前記荷物を前記搬送先に降ろす第3位置とに、前記積載部を移動させる駆動部とを備える搬送ロボットを提供する。
【0007】
前記積載部は、前記第1位置において、前記荷物を略水平に保持してもよい。
【0008】
前記積載部は、前記第2位置において、前記宅配ボックス側に突出して前記荷物を受け取ってもよい。
【0009】
前記積載部は、前記第3位置において、前記走行部が接地する面に対して傾斜して前記荷物を降ろしてもよい。
【0010】
前記積載部は、さらに、ベルトコンベアを有し、前記第3位置において、前記ベルトコンベアを回転させ、前記荷物を降ろしてもよい。
【0011】
前記駆動部は、前記走行部の前後方向に延びるレールと、前記積載部に連結され、前記レールに沿って移動する可動部とを有し、前記前後方向の前方側にある前記レールの一端の方向に前記可動部を移動させることにより前記積載部を前記第1位置に移動させ、前記前後方向の後方側にある前記レールの他端の方向に前記可動部を移動させることにより前記積載部を前記第3位置に移動させ、前記一端と前記他端との間に前記可動部を移動させることにより前記積載部を前記第2位置に移動させてもよい。
【0012】
前記駆動部は、前記駆動部の移動に伴って軸を中心に回転する支持部材を有し、前記支持部材は、前記第3位置において、前記積載部の底面が前記走行部の接地する面に対して傾斜し、前記底面の前記後方側の端部が前記面に接する姿勢になるように前記積載部を支持してもよい。
【0013】
前記支持部材は、前記積載部の前記前方側の端部を支持し、前記レールに沿って移動する第1支持部材と、前記積載部の前記後方側の側端部を回転可能に支持する第2支持部材とを含んでもよい。
【0014】
前記レールは、前記他端が前記一端よりも前記走行部の接地する面に近づくように前記面に対して傾斜してもよい。
【0015】
前記走行部は、前輪と後輪とを有し、前記後輪は、前記前輪より外径が小さく、前記第1位置、前記第2位置、及び前記第3位置を移動する前記積載部と接触しない大きさを有してもよい。
【0016】
前記宅配ボックスから前記荷物を取り出す機構をさらに備えてもよい。
【0017】
本発明の別の態様は、搬送ロボットと、宅配ボックスとを備え、前記宅配ボックスは、荷物を収容し、前記搬送ロボットは、前記宅配ボックスから受け取った前記荷物を載せる積載部と、前記荷物の搬送先に走行する走行部と、前記走行部の走行中に前記荷物を保持する第1位置と、前記宅配ボックスから前記荷物を受け取る第2位置と、前記荷物を前記搬送先に降ろす第3位置とに、前記積載部を移動させる駆動部とを有する荷物搬送システムを提供する。
【0018】
前記宅配ボックスは、前記荷物を前記搬送ロボットに送り出す機構を有し、前記積載部は、さらに、ベルトコンベアを有し、前記第2位置において前記ベルトコンベアを回転させて、前記宅配ボックスから送り出された前記荷物を受け取ってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、宅配ボックスに預けられた荷物を搬送先に運び置くことができる搬送ロボットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る荷物搬送システムの一例を示す図である。
図2】搬送ロボットの後方斜視図である。
図3】搬送ロボットの構成の一例を示す図である。
図4】搬送ロボットの内部構成の一例を示す前方斜視図である。
図5】搬送ロボットの第1形態の一例を示す図である。
図6】搬送ロボットの第2形態の一例を示す図である。
図7】搬送ロボットの第3形態の一例を示す図である。
図8】荷物搬送システムの動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。なお、図面においては、発明を理解し易いように、実際の寸法、形状、それらの比率とは異なる場合がある。
【0022】
図1は、実施形態に係る荷物搬送システム1の一例を示す図である。荷物搬送システム1は、宅配ボックス10に預けられた荷物を搬送ロボット20で搬送先に搬送して置き配する自動搬送サービスを提供する。ここでいう「置き配」とは、玄関先等の予め決められた場所に荷物を運び置くことで配送が完了することをいう。荷物搬送システム1は、宅配ボックス10と、搬送ロボット20と、サーバ装置30と、ユーザ端末40とを備える。これらの装置は、ネットワーク50を介して接続されている。ネットワーク50は、例えば無線LAN(Local Area Network)とインターネットとを含む。
【0023】
宅配ボックス10は、例えば集合住宅の出入口付近に設置される。ただし、宅配ボックス10の設置場所は集合住宅に限定されず、オフィスビルの出入口付近であってもよいし、コンビニエンスストアやショッピングセンター等の店舗の前にある屋外の場所であってもよい。宅配ボックス10は、荷物を収容する複数の収容部と、荷物の取出口101とを有する。取出口101は、宅配ボックス10に収容された荷物を搬送ロボット20に引き渡すための開口部である。
【0024】
搬送ロボット20は、宅配ボックス10に収容された荷物を搬送先に置き配する自律走行型のロボットである。搬送ロボット20は、走行中に荷物を保持する第1形態と、宅配ボックス10から荷物を受け取る第2形態と、荷物を搬送先に降ろす第3形態とを有する。
【0025】
サーバ装置30は、例えば自動搬送サービスを提供する事業者により運用及び管理される。サーバ装置30は、宅配ボックス10及び搬送ロボット20の動作を遠隔制御する。
【0026】
ユーザ端末40は、受取人により使用され、各種情報の入出力を行う。ユーザ端末40は、例えばスマートフォン、携帯電話機、タブレット端末、ウェアラブル端末、及びパーソナルコンピュータを含む。
【0027】
図2は、搬送ロボット20の後方斜視図である。なお、以下の説明では、図中のY軸方向を前方、-Y軸方向を後方、X軸方向を右方、-X軸方向を左方、Z軸方向を上方、-Z軸方向を下方とする。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、互いに直交する方向である。-X軸方向、-Y軸方向、及び-Z軸方向は、それぞれ、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向と反対の方向である。
【0028】
搬送ロボット20は、筐体201を有する。筐体201は、搬送ロボット20の前後左右及び上方を覆う。筐体201の下方は開口する。筐体201の後端面には、開口部202が形成される。開口部202には、開口部202を開閉するシャッター203が設けられる。
【0029】
図3は、搬送ロボット20の構成の一例を示す図である。搬送ロボット20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、電源部24と、センサ部25と、走行部26と、積載部27と、駆動部28とを備える。搬送ロボット20の各部は、バス及び電源線を介して接続されている。
【0030】
制御部21は、搬送ロボット20の各部を制御する。制御部21は、例えばCPU等のプロセッサを含む。制御部21の機能は、例えばプロセッサが記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。記憶部22は、制御部21の機能を実現するためのプログラムと、地図データを含む各種のデータとを記憶する。地図データは、LiDAR(Light Detection and Ranging)技術を利用して予め作成された集合住宅の3次元の地図を示す。記憶部22は、例えばROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを含む。通信部23は、ネットワーク50を介して接続されたサーバ装置30と無線で通信を行い、サーバ装置30から各種の指示を受信する。通信部23は、例えば無線LANアダプタを含む。電源部24は、搬送ロボット20の各部に電力を供給する。電源部24は、例えば電池と電源回路を含む。
【0031】
センサ部25は、搬送ロボット20の制御に用いられる各種のセンサを含む。センサ部25は、例えばLiDARセンサと、カメラと、荷物センサとを含む。LiDARセンサは、例えば搬送ロボット20の周囲の空間を認識するとともに、搬送ロボット20の現在位置を測定するのに用いられる。カメラは、例えば搬送ロボット20の周囲を撮影し、撮影した画像に基づいて対象物までの距離を測定するのに用いられる。荷物センサは、積載部27への荷物の積載を検知する。
【0032】
走行部26は、制御部21の制御の下、現在位置から目的地に移動する。この現在位置は、例えばセンサ部25に含まれるLiDARセンサを用いて測定される。目的地は、サーバ装置30から指示される。目的地には、例えば宅配ボックス10及び荷物の搬送先が含まれる。積載部27は、荷物を載せる。積載部27は、制御部21の制御の下、走行部26の走行中に荷物を保持する第1位置と、宅配ボックス10から荷物を受け取る第2位置と、荷物を搬送先に降ろす第3位置とに移動する。駆動部28は、積載部27を第1位置、第2位置、及び第3位置のいずれかに移動させる。
【0033】
図4は、搬送ロボット20の内部構成の一例を示す前方斜視図である。図4では、筐体201を取り外した状態が示されている。なお、図4では、制御部21、記憶部22、通信部23、電源部24、及びセンサ部25の図示が省略されている。走行部26は、無限軌道方式で構成されている。走行部26は、基台261と、一対の前輪262と、一対の後輪263と、モータ264と、ベルト265とを有する。一対の前輪262は、基台261の前方の左右両端部に回転可能に設けられる。一対の後輪263は、基台261の後方の左右両端部に回転可能に設けられる。後輪263は、第1位置、第2位置、及び第3位置の間を移動する積載部27と接触しない大きさを有する。後輪263の外径は前輪262の外径より小さい。モータ264は、前輪262を回転させる。なお、モータ264は、前輪262と後輪263を両方とも回転させてもよい。ベルト265は、無端ベルトであり、右側の前輪262と右側の後輪263、左側の前輪262と左側の後輪263のそれぞれに掛け渡たされる。上述したように後輪263の外径は前輪262の外径より小さいため、ベルト265の上面は側方から見たときに前輪262及び後輪263が接する走行面Gに対して傾斜した状態になる。走行面Gは、例えば集合住宅内の通路の路面である。前輪262が回転されると、この回転に伴ってベルト265が回転移動する。ベルト265の回転に伴って後輪263も回転する。
【0034】
なお、上述した前後方向は、同一の側面側の前輪262と後輪263の並び方向である。上述した左右方向は、一対の前輪262又は後輪263の並び方向である。上述した高さ方向は、前後方向及び左右方向に直交する方向である。
【0035】
積載部27は、枠体271と、ベルトコンベア272とを有する。枠体271は、後方が開口する略直方体形状を有する。枠体271は、前面と、上面と、左側面と、右側面と、底面とにより構成される。枠体271の後端面には開口部273が形成される。ベルトコンベア272は、枠体271の底面上に設けられる。ベルトコンベア272は、回転してベルトコンベア272上に置かれた荷物を前後方向に移動させる。
【0036】
駆動部28は、ボールねじ281と、モータ282と、二軸のガイドレール283と、可動部284と、連結軸285と、一対のアーム286とを有する。ボールねじ281は、基台261の中央部にねじ軸方向が前後方向となるように設けられる。モータ282は、ボールねじ281を回転させる。ガイドレール283は、前後方向に延び、可動部284を案内する。ガイドレール283は、前方側の一端より後方側の他端が走行面Gに近づくように走行面Gに対して傾斜する。可動部284は、ボールねじ281の回転に伴ってガイドレール283に沿って前後方向に移動する。
【0037】
連結軸285は、積載部27の前方側の端部を支持し、可動部284と積載部27とを連結する。連結軸285は棒形状を有する。連結軸285の一端は、積載部27の前面の上方中央部に固定される。連結軸285の他端は、可動部284により回転軸287を中心に回転可能に支持される。連結軸285は、可動部284の移動に伴って前後方向に移動する。また、連結軸285は、積載部27の後方への移動に伴って回転軸287を中心に図中の時計回りに回転する。連結軸285の回転により、積載部27は、走行面Gに対して底面が傾斜した姿勢になる。連結軸285は、本発明に係る「第1支持部材」の一例である。
【0038】
一対のアーム286は、積載部27の後方側の左右側端部を回転可能に支持する。アーム286は棒形状を有する。アーム286の一端は、基台261の後方の側端部により回転軸288を中心に回転可能に支持される。アーム286の他端は、積載部27の左右側面の後上方の角部を回転軸289を中心に回転可能に支持する。アーム286は、積載部27の移動に伴って回転軸288を中心に回転する。アーム286は、本発明に係る「第2支持部材」の一例である。積載部27は、連結軸285及びアーム286により上端部が支持されているが、下端部は自由端になっている。
【0039】
図5は、搬送ロボット20の第1形態の一例を示す図である。なお、図5図8においては搬送ロボット20の左側の構成のみが示されているが、右側も同様の構成になっている。第1形態において、可動部284はガイドレール283の前方側の一端に位置する。可動部284がガイドレール283の一端に位置する場合、積載部27は基台261上の第1位置にある。なお、第1形態において、可動部284は必ずしもガイドレール283の前方側の一端に位置しなくてもよく、前方側の一端の方向に位置すればよい。第1位置にある場合、積載部27は、連結軸285及びアーム286の長さ及び角度によりその底面が走行面Gと略平行になるように支持される。これにより、第1位置において、積載部27は荷物を略水平に保持することができる。なお、ここでいう「略平行」とは、完全に平行でなくてもよい。例えば積載部27は、荷物を保持することができる程度に走行面Gに対して傾斜していてもよい。
【0040】
図6は、搬送ロボット20の第2形態の一例を示す図である。搬送ロボット20が第1形態から第2形態になる場合、モータ282はボールねじ281を回転させて、可動部284をガイドレール283に沿ってその前方側の一端から距離L1だけ後方に離隔した位置に移動させる。可動部284と積載部27とは連結軸285により連結されているため、可動部284が移動すると積載部27も距離L1だけ後方に移動する。これにより、積載部27は、基台261から後方に突出する第2位置に到達する。ここでいう「突出」とは、第1位置よりも後方、例えば宅配ボックス10側に位置することをいい、必ずしも基台261から後方に突き出すことを要さない。すなわち、「突出」とは、第1位置よりも後方に位置すれば足り、基台261から後方に突き出していてもよいし、突き出していなくてもよい。上述したように、ガイドレール283は前方側の一端より後方側の他端が走行面Gに近づくように走行面Gに対して傾斜しているため、第2位置は第1位置よりも後下方にある。
【0041】
積載部27が第2位置に移動すると、積載部27が第1位置にあるときの連結軸285を基準軸R1とすると、アーム286は回転軸288を中心に基準軸R1から図中の時計回りに角度θ1だけ回転する。アーム286の回転により、積載部27の底面がアーム286から後方に突出する。ここで、宅配ボックス10の取出口101は、搬送ロボット20が取出口101の前に移動して第2形態になったときに積載部27の開口部273と対向する位置に設けられている。したがって、搬送ロボット20が取出口101の前に移動して第2形態になると、積載部27は取出口101側に突出する。このとき、積載部27の底面は取出口101の底面に接触してもよいし、積載部27の底面の一部が取出口101の底面上に挿入されてもよい。或いは、積載部27の底面が取出口101の底面に接近してもよい。ここでいう「接近」とは、荷物を受け取ることが可能な位置まで近づくことをいう。積載部27の底面と取出口101の底面との間には間隙があってもよい。
【0042】
また、第2位置にある場合、積載部27は、連結軸285とアーム286の長さ及び角度によりその底面が走行面Gと略平行になるように支持される。これにより、第2位置において、積載部27は荷物を略水平に保持することができる。なお、搬送ロボット20が第2形態から第1形態になる場合、駆動部28及び積載部27は、搬送ロボット20が第1形態から第2形態になる場合と反対の動きをする。
【0043】
図7は、搬送ロボット20の第3形態の一例を示す図である。搬送ロボット20が第1形態から第3形態になる場合、モータ282はボールねじ281を回転させて、可動部284をガイドレール283に沿って後方側の他端に移動させる。なお、第3形態において、可動部284は必ずしもガイドレール283の後方側の他端に位置しなくてもよく、後方側の他端の方向に位置すればよい。可動部284と積載部27とは連結軸285により連結されているため、可動部284が移動すると積載部27も後方に移動する。これにより、積載部27は第2位置よりもさらに基台261から後方に突出する第3位置に到達する。上述したように、ガイドレール283は前方側の一端より後方側の他端が走行面Gに近づくように走行面Gに対して傾斜しているため、第3位置は第1位置及び第2位置よりも後下方にある。
【0044】
積載部27が第3位置に移動すると、アーム286は回転軸288を中心に基準軸R1から図中の時計回りに角度θ2だけ回転する。この角度θ2は、角度θ1より大きい。この回転に伴って、連結軸285は、積載部27が第1位置にあるときのアーム286を基準軸R2とすると、回転軸287を中心に基準軸R2に対して図中の時計回りに角度θ3だけ回転する。第3位置にある場合、積載部27は、連結軸285とアーム286の長さ及び角度によりその底面が走行面Gに対して傾斜し、底面の後方側の端部が走行面Gに接する姿勢になるように支持される。これにより、第3位置において、積載部27は、傾斜して荷物を降ろすことができる。なお、搬送ロボット20が第3形態から第1形態になる場合、駆動部28及び積載部27は、搬送ロボット20が第1形態から第3形態になる場合と反対の動きをする。
【0045】
図8は、荷物搬送システム1の動作の一例を示す図である。ここでは、この動作に先立って、宅配業者により宅配ボックス10に荷物が預けられているものとする。ステップS101において、この荷物の受取人がユーザ端末40を操作して搬送ロボット20による荷物の搬送を要求すると、ユーザ端末40はサーバ装置30に荷物の搬送要求を送信する。ステップS102において、サーバ装置30は、この搬送要求を受信すると、荷物の搬送指示を搬送ロボット20に送信する。この搬送指示には、この荷物が引き渡される取出口101の位置情報と、荷物の配送先の位置情報とが含まれる。
【0046】
ステップS103において、搬送ロボット20は、搬送指示に従って宅配ボックス10の取出口101の前に移動する。具体的には、制御部21は、記憶部22に記憶された地図データと取出口101の位置情報とに基づいて、走行部26が現在位置から宅配ボックス10の取出口101に走行するよう制御する。取出口101の前に移動すると、ステップS104において搬送ロボット20はシャッター203を開ける。シャッター203が開くと、ステップS105において搬送ロボット20は第2形態に変化する。具体的には、制御部21は、モータ282を駆動させてボールねじ281を回転させ、積載部27を第2位置に移動させる。図6に示されるように、第2位置において積載部27は取出口101側に突出する。なお、このとき、搬送ロボット20の位置は、センサ部25のカメラにより撮影された搬送ロボット20の後方の画像に基づいて、積載部27の底面が取出口101の底面と接触するように微調整されてもよい。
【0047】
第2形態になると、ステップS106において搬送ロボット20はベルトコンベア272を駆動して取出口101から荷物を受け取る。ここで、宅配ボックス10には送り出し機構が設けられており、この送り出し機構により取出口101から積載部27に荷物が送り出される。この送り出し機構は、例えば取出口101の奥側から手前側に荷物を移動させるベルトコンベアであってもよいし、棒状の押し出し部材を用いて取出口101の奥側から手前側に荷物を押し出す機構であってもよい。或いは、取出口101の奥側から手前側に荷物を滑らせて移動させるべく、取出口101と連通する収容部の底面を奥側が手前側より高くなるように傾斜させる機構であってもよい。制御部21は、ベルトコンベア272を図6中の反時計回りに回転させる。これにより、取出口101から送り出された荷物がベルトコンベア272により前方向に移動し、積載部27内に収容される。なお、積載部27内に荷物が収容されると、センサ部25の荷物センサにより積載部27への荷物の積載が検知される。これにより、積載部27への荷物の積載の完了が認識される。
【0048】
荷物の積載が完了すると、ステップS107において搬送ロボット20は第1形態に変化する。具体的には、制御部21は、モータ282を駆動してボールねじ281を回転させ、積載部27を第1位置に移動させる。図5に示されるように、第1位置において積載部27は基台261上に位置する。第1形態になると、ステップS108において搬送ロボット20は搬送先に移動する。具体的には、制御部21は、記憶部22に記憶された地図データと配送先の位置情報とに基づいて、走行部26が現在位置から搬送先に走行するよう制御する。この搬送先は、例えば集合住宅において受取人の住宅の玄関前である。
【0049】
搬送先に到着すると、ステップS109において搬送ロボット20は第3形態に変化する。具体的には、制御部21は、モータ282を駆動してボールねじ281を回転させ、積載部27を第3位置に移動させる。図7に示されるように、第3位置において、積載部27は基台261の後方に突出するとともに、その底面が走行面Gに対して傾斜し、底面の後方側の端部が走行面Gに接する姿勢になる。第3形態になると、ステップS110において搬送ロボット20は、ベルトコンベア272を駆動して荷物を搬送先に降ろす。具体的には、制御部21は、ベルトコンベア272を図6中の時計回りに回転させる。これにより、積載部27に載せられた荷物が後方向に移動し、搬送先の走行面Gに降ろされる。搬送先の走行面Gに荷物が降ろされると、搬送先への置き配が完了する。
【0050】
上述した実施形態によれば、宅配ボックス10に預けられた荷物を搬送先に運び置くことができる搬送ロボット20を提供できる。この搬送ロボット20により宅配ボックス10に預けられた荷物を人手を介さずに搬送先に置き運ぶことができる。これにより、受取人は宅配ボックス10に荷物を取りに行かなくても、非対面で荷物を受け取ることができる。
【0051】
特に大規模な集合住宅では、宅配業者が個々の住宅を周って荷物を配達すると、配達に多くの時間を要する。例えば宅配業者が集合住宅に配達する全ての荷物を宅配ボックス10に預け、搬送ロボット20がこれらの荷物を個々の住宅の前に置き配すると、宅配業者が配達に要する時間が削減される。また、中山間地域では、宅配業者により荷物が配達される場所が自宅から離れている場合がある。例えば宅配業者が配達する荷物を宅配ボックス10に預け、搬送ロボット20が宅配ボックス10に預けられた荷物を住宅の前に置き配をすると、受取人が宅配業者により荷物が配達される場所から自宅まで荷物を運ぶ手間が省ける。
【0052】
また、積載部27は第1位置において荷物を略水平に保持するため、走行中に荷物が落下するのを防ぐことができる。さらに、積載部27は第2位置において宅配ボックス10側に突出するため、宅配ボックス10から荷物を受け取り易くなる。さらに、積載部27は第3位置において走行面Gに対して傾斜するとともに、ベルトコンベア272により荷物が後方向に移動するため、搬送先の走行面Gに荷物を降ろし易くなる。さらに、後輪263の外径は前輪262の外径より小さいため、積載部27が第1位置、第2位置、及び第3位置の間を移動したときに、積載部27と後輪263に接触するのを防ぐことができる。
【0053】
変形例
上述した実施形態は本発明の一例であり、本発明はこの実施形態に限定されない。上述した実施形態は以下の変形例のように変形されてもよい。また、以下の2以上の変形例が組み合わせて実施されてもよい。
【0054】
上述した実施形態において、宅配ボックス10から荷物を受け取る機構は、ベルトコンベア272に限定されない。搬送ロボット20は、取出口101から荷物を取り出す取り出し機構を備えてもよい。例えば搬送ロボット20は、取出口101から荷物を取り出すアームを有してもよい。或いは、搬送ロボット20は、荷物を吸引する吸引装置を有し、吸引装置により荷物を吸引して取り出してもよい。この変形例によれば、宅配ボックス10は荷物を送り出す機構を有さなくても、搬送ロボット20は宅配ボックス10から荷物を受け取ることができる。
【0055】
上述した実施形態において、宅配ボックス10の取出口101は、搬送ロボット20より高い位置に設けられている場合がある。そこで、搬送ロボット20は昇降機構を有してもよい。搬送ロボット20は、昇降機構により取出口101の高さまで上方に移動してから荷物を受け取り、荷物の受け取りが完了すると下方に移動する。この変形例によれば、宅配ボックス10の取出口101が搬送ロボット20より高い位置に設けられている場合でも、搬送ロボット20は取出口101から荷物を受け取ることができる。
【0056】
上述した実施形態において、受取人は、置き配に代えて、搬送ロボット20から直接荷物を受け取ってもよい。この変形例では、上述した搬送要求及び搬送指示には、置き配と引き渡しの中から選択された受取方法が含まれる。例えば受取人が搬送ロボット20から直接で荷物を受け取りたい場合、搬送要求及び搬送指示には引き渡しを示す受取方法が含まれる。搬送指示に引き渡しを示す受取方法が含まれる場合、搬送ロボット20は搬送先に到着すると、第3形態に変化せずに、受取人が積載部27から荷物を取り出すまで待機する。受取人が積載部27から荷物を取り出すと、荷物の搬送が完了する。この変形例によれば、受取人は、搬送ロボット20から直接で荷物を受け取ることができる。
【0057】
上述した実施形態において、図4図7に示される搬送ロボット20の構造は一例であり、これに限定されない。例えば走行部26は、必ずしも無限軌道方式で構成されなくてもよく、ベルト265を設けずに前輪262と後輪263で走行してもよい。また、車輪の数は限定されず、例えば六輪であってもよい。要するに、走行部26は、走行する機能を有するものであれば、どのような構造を有していてもよい。また、駆動部28は、ボールねじ281に代えて、リニアガイドウェイ、リニアアクチュエータ、又はリニアモータが用いられてもよい。駆動部28は、積載部27を第1位置、第2位置、及び第3位置に移動させるものであれば、どのような構造を有してもよい。
【0058】
上述した実施形態において、制御部21の機能の少なくとも一部は、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の回路により実現されてもよい。
【0059】
上述した実施形態において、図1に示される荷物搬送システム1の構成は一例であり、これに限定されない。一の装置の機能を複数の装置が分散して有してもよいし、複数の装置の機能を一の装置がまとめて有していてもよい。例えばサーバ装置30は必ずしも設けられなくてもよく、搬送ロボット20がサーバ装置30の機能を有してもよい。
【0060】
上述した実施形態において、荷物搬送システム1の動作は上述した例に限定されない。荷物搬送システム1の処理手順は、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。また、荷物搬送システム1の一部の処理手順が省略されてもよい。
【0061】
本発明の別の形態は、荷物搬送システム1又は搬送ロボット20において行われる処理のステップを有する方法を提供してもよい。また、本発明のさらに別の形態は、搬送ロボット20において実行されるプログラムを提供してもよい。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、インターネット等を介したダウンロードによって提供されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1:荷物搬送システム、10:宅配ボックス、20:搬送ロボット、26:走行部、27:積載部、28:駆動部、30:サーバ装置、40:ユーザ端末、261:基台、262:前輪、263:後輪、264:モータ、265:ベルト、271:枠体、272:ベルトコンベア、281:ボールねじ、282:モータ、283:ガイドレール、284:可動部、285:連結軸、286:アーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8