(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】ガス層抵抗低減船舶に適用される圧力安定化室構造
(51)【国際特許分類】
B63B 1/38 20060101AFI20241220BHJP
【FI】
B63B1/38
(21)【出願番号】P 2023551081
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(86)【国際出願番号】 CN2021079053
(87)【国際公開番号】W WO2022178912
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】202110204228.2
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523316910
【氏名又は名称】中船(上海)節能技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】CSSC SHANGHAI MARINE ENERGY SAVING TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 312, 313, No.189, Gaoxiong Road, Huangpu District Shanghai 200011 China
(74)【代理人】
【識別番号】100128886
【氏名又は名称】横田 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】高麗瑾
(72)【発明者】
【氏名】陳少峰
(72)【発明者】
【氏名】黄国富
(72)【発明者】
【氏名】ウン秋琴
(72)【発明者】
【氏名】夏コウ超
(72)【発明者】
【氏名】厳周広
(72)【発明者】
【氏名】呉賛
(72)【発明者】
【氏名】陳雷強
(72)【発明者】
【氏名】黄樹権
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-301570(JP,A)
【文献】特開2012-153276(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111086599(CN,A)
【文献】特開2000-128063(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108001610(CN,A)
【文献】特開2013-129323(JP,A)
【文献】米国特許第05456201(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス層抵抗低減船舶に適用される圧力安定化室構造であって、
前記船舶の底部に設けられ、
数が複数であり且つ船体の幅方向に沿って延伸し、前記船体の長さ方向に沿って平行であり且つ間隔をあけて分布し、前記船舶の縦骨(100)に穿設され、前記船体の幅方向に沿って延伸する第1の開口が設けられており、前記第1の開口の幅方向における両側がいずれも船底板(200)に接続されて圧力安定化室(11)を形成するポリエチレンPE管(1)と、
前記船体の幅方向に沿って延伸し、耐腐食材質であり且つ前記PE管(1)と前記船底板(200)との間に位置し、前記PE管(1)に密封接続され且つ前記船底板(200)に密封接続されるバッキングプレート(2)と、
前記船体の幅方向に沿って延伸し、且つ、前記船体の幅方向に沿って延伸する第2の開口が設けられており、前記第2の開口の幅方向における両側がいずれも前記船底板(200)に接続される外ケーシング(5)と、を備え、
前記バッキングプレート(2)には、第1の通孔が設けられ、前記船底板(200)には、前記第1の通孔に連通する第2の通孔が設けられており、前記圧力安定化室(11)は、前記第1の通孔及び前記第2の通孔を介して前記船舶の外部に連通
し、
前記PE管(1)及び前記バッキングプレート(2)は、いずれも前記外ケーシング(5)の内部に穿設され、前記外ケーシング(5)の外壁は、前記縦骨(100)に溶接され、且つ前記外ケーシング(5)と前記PE管(1)との間の間隔は、10cmよりも大きい、
圧力安定化室構造。
【請求項2】
前記第1の通孔及び前記第2の通孔に穿設され且つ前記第1の通孔の内壁及び前記第2の通孔の内壁に密封接続される噴射ヘッド(3)をさらに備え、前記噴射ヘッド(3)の内部には、噴孔(31)が設けられており、前記圧力安定化室(11)は、前記噴孔(31)を介して前記船舶の外部に連通し、前記噴射ヘッド(3)は、PE材質又は鋼材質である、
請求項1に記載の圧力安定化室構造。
【請求項3】
前記外ケーシング(5)は、鋼管である、
請求項
1に記載の圧力安定化室構造。
【請求項4】
前記バッキングプレート(2)は、PE材質又は鋼材質である、
請求項1~2のいずれか1項に記載の圧力安定化室構造。
【請求項5】
前記船舶のトン数が十万トンよりも小さい場合、前記バッキングプレート(2)は、PE材質である、
請求項
4に記載の圧力安定化室構造。
【請求項6】
前記バッキングプレート(2)と前記船底板(200)との間は、エポキシ型接着剤により密封接着され、
前記バッキングプレート(2)の前記船体の長さ方向に沿った両端面は、いずれも第1の密封剤(4)により前記船底板(200)に密封接続され、前記第1の密封剤(4)は、エポキシ型接着剤、アノードシールド塗料及びシーラントである、
請求項
5に記載の圧力安定化室構造。
【請求項7】
前記船舶のトン数が十万トンよりも大きい場合、前記バッキングプレート(2)は、鋼材質である、
請求項
4に記載の圧力安定化室構造。
【請求項8】
前記バッキングプレート(2)の前記船体の長さ方向に沿った両端面は、いずれも前記船底板(200)に密封溶接され、
前記PE管(1)と前記バッキングプレート(2)との間は、エポキシ型接着剤により密封接続され、前記PE管(1)の前記第1の開口の幅方向における両端面は、いずれも第2の密封剤(7)により前記バッキングプレート(2)に密封接続され、前記第2の密封剤(7)は、エポキシ型接着剤、アノードシールド塗料及びシーラントである、
請求項
7に記載の圧力安定化室構造。
【請求項9】
締付材(6)をさらに備え、前記PE管(1)の前記第1の開口の幅方向における両端は、いずれも前記締付材(6)により前記バッキングプレート(2)に接続される、
請求項1~2のいずれか1項に記載の圧力安定化室構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年02月23日に中国専利局に出願された、出願番号が202110204228.2である中国特許出願の優先権を主張し、該出願の全ての内容は引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、船舶の省エネ抵抗低減の技術分野に関し、例えばガス層抵抗低減船舶に適用される圧力安定化室構造に関する。
【背景技術】
【0003】
ガス層抵抗低減技術とは、ガス層抵抗低減装置により、船底に適量のガスを噴入し、船舶の底部に薄いガス層を形成して保持し、船底を水から効果的に隔離させ、船底の濡れ表面積を減少させることで、船舶の摩擦抵抗を減少させ、燃料消費及びCO2排出を低減させる1項の新型省エネ技術である。ガス層抵抗低減技術は、実船に応用される場合、1)、気孔の噴流の均一性と、2)、船舶の底部のガス層の形成及び安定の維持といったカギとなる技術に関わっている。圧力安定化室は、ガス層抵抗低減システムにおけるカギとなる部品で、ガスの整流及び圧力安定化技術を具現化しており、ガスを圧力安定化室内で十分に降速、整流、圧力安定化させて、複数の噴気孔から噴出されたガスの速度及び圧力が一致したままであることを保証し、これにより、ガスが均一に噴流して水に入って、船底に均一で安定的なガス層を形成して維持しやすい。
【0004】
関連技術における圧力安定化室の実船の取付けには、バッキングプレート無し型とバッキングプレート重畳型との2つの方式が存在し、航行水域、船舶特徴などの要素に従って異なる取付け方式を選択可能である。圧力安定化室の空間は小さく、この狭い空間内で止水装置を配置できないため、ガス輸送管路に配置されたチェックバルブ及びリモコンバルブだけで、淡水や海水の圧力安定化室への進入を阻止することができる。上記2つの取付け方式において、噴気ヘッド、圧力安定化室の室体、圧力安定化室のバッキングプレート及び単方向遮断弁の前端に位置するガス輸送管路は、いずれも耐海水腐食のステンレス鋼又は耐食鋼を採用して、局所的な耐食空間を構成し、海水の進入による腐食問題を減少させる。しかし、船舶の使用寿命は数十年であるが、耐海水ステンレス鋼又は耐食鋼の有効耐食寿命が船舶の使用寿命と同等であるか又はそれを超えることができるか否かは、材料業界では明確な結論が出せないため、圧力安定化室の防食問題を徹底的に解決することができない。
【発明の概要】
【0005】
本願は、圧力安定化室の防食問題を解決し、海水の圧力安定化室への進入に起因する腐食リスクを途絶することが可能なガス層抵抗低減船舶に適用される圧力安定化室構造を提供する。
【0006】
ガス層抵抗低減船舶に適用される圧力安定化室構造であって、前記船舶の底部に設けられ、
数が複数であり且つ船体の幅方向に沿って延伸し、前記船体の長さ方向に沿って平行であり且つ間隔をあけて分布し、前記船舶の縦骨に穿設され、前記船体の幅方向に沿って延伸する第1の開口が設けられており、前記第1の開口の幅方向における両側がいずれも船底板に接続されて圧力安定化室を形成するポリエチレン(Polyethylene、PE)管と、
前記船体の幅方向に沿って延伸し、耐腐食材質であり且つ前記PE管と前記船底板との間に位置し、前記PE管に密封接続され且つ前記船底板に密封接続されるバッキングプレートと、を備え、
前記バッキングプレートには、第1の通孔が設けられ、前記船底板には、前記第1の通孔に連通する第2の通孔が設けられており、前記圧力安定化室は、前記第1の通孔及び前記第2の通孔を介して前記船舶の外部に連通する、圧力安定化室構造を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本願の実施例に係る1つのガス層抵抗低減船舶に適用される圧力安定化室構造(外ケーシングが設けられず、バッキングプレートがPE材質である)の構造模式図である。
【
図3】本願の実施例に係る他の1つのガス層抵抗低減船舶に適用される圧力安定化室構造(外ケーシングが設けられており、バッキングプレートがPE材質である)の構造模式図である。
【
図4】本願の実施例に係る他の1つのガス層抵抗低減船舶に適用される圧力安定化室構造(外ケーシングが設けられず、バッキングプレートが鋼材である)の構造模式図である。
【符号の説明】
【0008】
100・・・縦骨、200・・・船底板、300・・・補板、
1・・・PE管、11・・・圧力安定化室、
2・・・バッキングプレート、
3・・・噴射ヘッド、31・・・噴孔、
4・・・第1の密封剤、5・・・外ケーシング、6・・・締付材、7・・・第2の密封剤。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本願の実施例の技術案を説明する。
【0010】
本願の説明において、別途規定及び限定されない限り、用語「繋がる」、「接続」、「固定」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよいし、取外し可能な接続であっても、又は一体になってもよく、機械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよく、直接繋がってもよいし、中間媒体を介して間接的に繋がってもよく、2つの素子の内部の連通又は2つの素子の相互作用の関係であってもよい。上記用語の本願における具体的な意味は、状況に応じて理解できる。
【0011】
本願において、別途規定及び限定されない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴とが直接接触することを含んでもよいし、第1特徴と第2特徴が直接接触せず、それらの間の他の特徴を介して接触することを含んでもよい。さらに、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上及び斜め上にあることを含むか、又は単に第1特徴の水平高さが第2特徴よりも高いことを示す。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真下及び斜め下にあることを含むか、又は単に第1特徴の水平高さが第2特徴よりも小さいことを示す。
【0012】
以下、図面を参照して具体的な実施形態により本願の技術案を説明する。
【0013】
図1~
図4に示すように、該ガス層抵抗低減船舶に適用される圧力安定化室構造は、船舶の底部に設けられ、PE管1とバッキングプレート2とを備え、そのうち、PE管1の数は複数であり且つ複数のPE管1はいずれも船体の幅方向に沿って延伸し、複数のPE管1は、船体の長さ方向に沿って平行であり且つ間隔をあけて分布し、PE管1は、船舶の縦骨100に穿設され、PE管1には、第1の開口が設けられており、且つ第1の開口が船体の幅方向に沿って延伸し、PE管1の第1の開口の幅方向における両側は、いずれも船底板200に接続されて圧力安定化室11を形成し、バッキングプレート2は、船体の幅方向に沿って延伸し、バッキングプレート2は、耐腐食材質であり且つPE管1と船底板200との間に位置し、バッキングプレート2は、PE管1に密封接続され且つ船底板200に密封接続され、バッキングプレート2には、第1の通孔が設けられ、船底板200には、第1の通孔に連通する第2の通孔が設けられており、圧力安定化室11は、第1の通孔及び第2の通孔を介して船舶の外部に連通する。PE管1と船底板200との接続により圧力安定化室11が形成され、室壁の材料は、PE材質であり、関連技術における鋼材と比べて、耐腐食効果がより良く、同時に船底板200とPE管1との間にバッキングプレート2を設けて、1つの完全に船底板200から隔絶した独立空間を構成することで、PE管1が船底板200に直接接触することを回避し、船底板200の腐食を回避することができ、同時に、バッキングプレート2は、耐腐食材質であり、耐腐食性能がより良く、且つバッキングプレート2と船底板200及びPE管1との間は、いずれも密封接続が採用され、バッキングプレート2と船底板200との間の接続の密封性が保証され、海水が進入して船底板200に接触することを途絶でき、また、バッキングプレート2には、第1の通孔が設けられ、船底板200には、第2の通孔が設けられており、圧力安定化室11におけるガスは、第1の通孔及び第2の通孔から噴出可能であり、噴射ヘッド3を設けることが回避され、圧力安定化室構造を簡略化できる。
【0014】
船底板200は、鋼板であり、PE管1と船底板200との間にバッキングプレート2を設けることで、海水の船底板200への進入による腐食を回避できる。室壁の材料は、PE材質であり、一般的に1MPaの圧力に耐えることができる。選択使用されたPE材質の型番によって、異なるレベルの圧力に耐えることができ、異なる船型に従ってPE材質の型番の選択を行うことができる。
【0015】
本実施例において、規格のPE管1又はカスタマイズされた形状のPE管1を選択使用することができる。圧力安定化室11の室体は、船幅の方向に沿って配置された狭長型のガス通路であり、セグメント接続の方式を採用してもよく、隣り合う2つのPE管1の間は、熱融着溶接又は電気融着溶接を採用してもよいし、両者を結合させた方式であってもよい。PE管1の断面は、半円形である。他の実施例において、PE管1の断面は、矩形などの他の形状であってもよい。
【0016】
本実施例において、縦骨100の構造の安定を保証するために、縦骨100の延伸方向の両端には、それぞれ1つの補板300が設けられており、PE管1は、補板300に穿設され且つ外壁が補板300に固接される。補板300により縦骨100の構造強度を増加させることができ、縦骨100の安定性が高められる。
【0017】
該ガス層抵抗低減船舶に適用される圧力安定化室構造は、噴射ヘッド3をさらに備えてもよく、噴射ヘッド3は、第1の通孔及び第2の通孔に穿設され且つ第1の通孔の内壁及び第2の通孔の内壁に密封接続され、噴射ヘッド3の内部には、噴孔31が設けられており、圧力安定化室11は、噴孔31を介して船舶の外部に連通し、噴射ヘッド3は、PE材質又は鋼材質である。第1の通孔及び第2の通孔の位置箇所に噴射ヘッド3を設けて、噴射ヘッド3における噴孔31によりガスを噴射してもよく、即ち本実施例において、噴孔31は、直接バッキングプレート2及び船底板200に通孔を開けたものであってもよいし、噴射ヘッド3を設けるとともに、噴射ヘッド3を、第1の通孔及び第2の通孔の内壁のいずれにも密封接続させてもよく、噴射ヘッド3が噴気していないときに、海水が噴射ヘッド3と第1の通孔及び第2の通孔の孔壁との間から進入して船底板200に接触して船底板200の腐食を引き起こすことを回避することができる。噴射ヘッド3の形状及びサイズについては、実際の使用ニーズに応じてカスタマイズすることができ、ここでは限定しない。他の実施例において、噴射ヘッド3の材質は、他の材質を選択使用してもよい。
【0018】
バッキングプレート2は、PE材質又は鋼材質であってもよい。船舶のトン数が十万トンよりも小さい場合、バッキングプレート2は、PE材質である。本実施例において、船舶の航行時に、圧力安定化室11が船長さの方向に沿って覆った領域の船底板200の変形がプリセット値よりも小さい場合、バッキングプレート2もPE材質を選択使用し、プリセット値の判断は、対応する船舶パラメータに従う必要があり、船底板200の厚さ及び船舶の航速は、プリセット値判定のカギとなる船舶パラメータであり、プリセット値は、例えば10mm~20mmであってもよい。
【0019】
本実施例において、バッキングプレート2がPE材質である場合、バッキングプレート2と船底板200との間は、エポキシ型接着剤により密封接着され、バッキングプレート2の船体の長さ方向に沿った両端面は、いずれも第1の密封剤4により船底板200に密封接続され、第1の密封剤4は、エポキシ型接着剤、アノードシールド塗料及びシーラントである。PE材質のバッキングプレート2を採用し、バッキングプレート2と船底板200の対向する面でエポキシ型接着剤により密封接着することで、該圧力安定化室構造が腐食されることを回避でき、同時にエポキシ型接着剤の使用は、バッキングプレート2と船底板200の接続が確実であることを保証すると同時に密封性を保証することができて、海水がバッキングプレート2と船底板200との間に進入して船底板200に接触することを回避して、船底板200が海水に腐食されることを回避することができる。バッキングプレート2の両端面は、第1の密封剤4により船底板200に密封接続され、バッキングプレート2と船底板200との間の密封効果がより良いことを保証でき、海水が進入して船底板200に接触することを回避できる。例えば、エポキシ型接着剤、アノードシールド塗料及びシーラントのうちのそれぞれをバッキングプレート2の両端面と船底板200との接続箇所で1層塗布すれば、3重の密封を実現し、密封効果を保証することができる。他の実施例において、第1の密封剤4の種類及び数は、実際の使用状況に応じて適応的に調整してもよいし、エポキシ型接着剤の代わりに他のタイプの接着剤を使用してもよい。
【0020】
前記船舶のトン数が十万トンよりも大きい場合、バッキングプレート2は、鋼材質である。本実施例において、船舶の航行時に、圧力安定化室11が船長さの方向に沿って覆った領域の船底板200の変形がプリセット値よりも大きい場合、バッキングプレート2は鋼材を選択使用する。超大型船舶については、船舶の尺度が大きすぎ、船の長さが200m以上にも達することができるため、該タイプの船舶は、航行過程において、船底板200が船長さ方向において変形し、変形尺度が船舶トン数の増大につれて徐々に増大する。圧力安定化室11の船長さ方向におけるサイズは数百ミリメートルのレベルであり、船底板200の変形はそれに対してほとんど影響を与えないが、PE材質を採用したバッキングプレート2と船底板200との間の接続には局所的に引き裂かれるリスクがなお存在し、圧力安定化室11の機能及び船舶の安全に一定の影響を与え、鋼材質のバッキングプレート2を採用することにより、船底の変形で圧力安定化室11と船底板200との間の密封に影響を与えることを回避でき、また、鋼材質のバッキングプレート2は、船底板200に対して厚化処理が行われたものに同等し、圧力安定化室11の防食に有利である。
【0021】
他の実施例において、バッキングプレート2は、船舶の異なるサイズ、タイプ及び使用環境の違いに応じて、他の業界で成熟した耐腐食材質を適応的に選出してもよい。
【0022】
本実施例において、バッキングプレート2が鋼材質である場合、バッキングプレート2の船体の長さ方向に沿った両端面は、いずれも船底板200に密封溶接され、PE管1とバッキングプレート2との間は、エポキシ型接着剤により密封接続され、PE管1の第1の開口の幅方向における両端面は、いずれも第2の密封剤7によりバッキングプレート2に密封接続され、第2の密封剤7は、エポキシ型接着剤、アノードシールド塗料及びシーラントである。バッキングプレート2の船体の長さ方向に沿った両端面は、いずれも船底板200に密封溶接され、バッキングプレート2と船底板200との間の密封効果が保証され、PE管1とバッキングプレート2との間の対向する面は、エポキシ型接着剤により密封接続され、PE管1とバッキングプレート2との間の密封効果を保証でき、第2の密封剤7は、PE管1の第1の開口の幅方向における両端面とバッキングプレート2との間の3重密封を実現可能であり、密封効果が保証される。他の実施例において、実際状況に応じて第2の密封剤7の層数及び材料の種類を適応的に調整することができ、バッキングプレート2が他の耐腐食材質を選択使用すると、第1の密封剤4及び第2の密封剤7の種類及び設置位置は、バッキングプレート2の材質の違いに応じて適応的に調整することができる。
【0023】
図3に示すように、該ガス層抵抗低減船舶に適用される圧力安定化室構造は、外ケーシング5をさらに備え、外ケーシング5は、船体の幅方向に沿って延伸し且つ第2の開口が設けられており、第2の開口は、船体の幅方向に沿って延伸し、外ケーシング5の第2の開口の幅方向における両側は、いずれも船底板200に接続され、PE管1及びバッキングプレート2は、いずれも間隔的に外ケーシング5の内部に穿設され、外ケーシング5の外壁は、縦骨100に溶接される。上記の圧力安定化室構造におけるPE管1は、船舶の船室の中に直接露出し、PE材質の耐圧程度が非常に高いが、鋭い物の強打に対しては、損傷されて、圧力安定化室11の密封性が破壊され、ガスが漏れてしまい、圧力安定化室11の機能が損なわれ、さらに圧力安定化室11の海水を損傷点を通って船体の内部に進入させ、船舶の安全に影響を与える可能性がある。外ケーシング5により圧力安定化室11が外に直接露出することを回避でき、圧力安定化室11の水漏れが生じた場合、海水が外ケーシング5に進入し、船体の内部への漏れを回避できる。
【0024】
外ケーシング5は、鋼管である。鋼管の第2の開口の幅方向における両側は、いずれも船底板200に溶接接続される。本実施例において、外ケーシング5の断面も半円形であり、且つ外ケーシング5とPE管1との間の間隔は、10cmよりも大きく、密封プロセスの要求を保証でき、同時に外ケーシング5の溶接のPE管1への影響を回避できる。他の実施例において、外ケーシング5の断面は、矩形などの他の形状であってもよく、同時に材質は、他の強度が良い材質を選択してもよい。
【0025】
他の実施例において、外ケーシング5を設けなくてもよい。異なる船型又は圧力安定化室構造の船舶における設置位置の違いに応じて、外ケーシング5を設けるか否かを適応的に選択することができ、同時に外ケーシング5を設けるか否かは、バッキングプレート2の材質の影響を受けない。
【0026】
図4に示すように、該ガス層抵抗低減船舶に適用される圧力安定化室構造は、締付材6をさらに備え、PE管1の第1の開口における両端は、いずれも締付材6によりバッキングプレート2に接続される。PE管1の第1の開口の幅方向における両側にはいずれも、接続部が外へ延伸しており、2つの接続部は、それぞれ2つの締付材6によりバッキングプレート2に接続され、接続部とバッキングプレート2との間の接着と連携して、2重接続の方式は、PE管1とバッキングプレート2との間の接続をより確実に保証できる。本実施例において、締付材6は、ボルトであり、他の実施例において、締付材6は、ピンなどの他の構造であってもよい。
【0027】
図1及び
図2に示すガス層抵抗低減船舶に適用される圧力安定化室構造において、接続の確実性を保証するために、PE管1において接続部を追加し、接続部とバッキングプレート2を締付材6により接続し、2重の接続方式を形成してもよい。本実施例において、異なる船型による圧力安定化室構造の安定性の要求の違い、及び船舶における異なる位置の圧力安定化室構造の確実性の要求の違いに応じて、締付材6を使用するか否かを適応的に選出することができ、同時に締付材6の設置は、バッキングプレート2の材質及び外ケーシング5が設けられるか否かの影響を受けない。
【0028】
本実施例において、該ガス層抵抗低減船舶に適用される圧力安定化室構造は、いずれも圧力安定化室11の内部に設けられる複数の亜鉛ブロックをさらに備え、圧力安定化室11の防食に有利である。他の実施例において、亜鉛ブロックは設けられなくてもよく、又は、本実施例に係る圧力安定化室構造をもとに耐腐食プロセスの処理を行って、該圧力安定化室構造の耐腐食性を増加させてもよい。
【0029】
本実施例において、PE管1には、入気管がさらに接続されており、入気管は、圧力安定化室11に連通し、入気管には、バルブ群などの構造がさらに設けられており、入気管により圧力安定化室11の中にガスを注入させることができる。入気管及びバルブ群などの構造については、いずれも既に関連技術であり、ここでは繰り返し説明しない。
【0030】
本実施例に係るガス層抵抗低減船舶に適用される圧力安定化室構造は、PE管1を採用し、バッキングプレート2に耐腐食材質を採用し、同時にバッキングプレート2と船底板200及びPE管1との間をいずれも密封接続させることで、圧力安定化室11の防食問題を解決し、海水が進入して船底板200に接触することによる腐食リスクを途絶することができ、同時に、異なる船型及び圧力安定化室構造の船舶における設置位置の違いに応じて、バッキングプレート2の材質をPE材質又は鋼材質又は他の材質に適応的に選出し、外ケーシング5及び締付材6を設けるか否かを適応的に選出し、噴射ヘッド3を採用するか否か、及び噴射ヘッド3の材質を適応的に選出し、様々な構造形式の耐腐食圧力安定化室構造を構成することができ、該圧力安定化室構造が圧力安定化室11の防食問題を解決できることを保証すると同時に、柔軟多様性を高める。