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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 25/00 20060101AFI20241220BHJP
   A61B 5/38 20210101ALI20241220BHJP
【FI】
H04R25/00 Z
A61B5/38
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024001328
(22)【出願日】2024-01-09
(62)【分割の表示】P 2019228992の分割
【原出願日】2019-12-19
(65)【公開番号】P2024041863
(43)【公開日】2024-03-27
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】521110943
【氏名又は名称】株式会社Agama-X
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】得地 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅弘
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-157240(JP,A)
【文献】特表2018-505759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 25/00
A61B 5/05-5/22
A61B 5/24-5/398
H04R 1/10
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
ユーザの生活習慣に関する行動履歴と、前記ユーザの生体情報とに応じて、前記ユーザが難聴であるか否かの判断の結果を出力するステップ、
を含む処理を実行させる、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、平常時は内蔵マイクロフォンで周囲音を集音し、集音した音をイヤフォンに出力する通報装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、外界に配置された補聴用マイクによって集音された音を増幅し、その増幅された音と検査音とを発し、外耳道に配置された測定用マイクによって集音された検査音に基づく検査結果を記憶する補聴器が記載されている。
【0004】
特許文献3には、補聴用音声を第1の増幅率で増幅し、第1の増幅率よりも大きい第2の増幅率で探索用音声を増幅する補聴器が記載されている。
【0005】
特許文献4には、オーディオ信号源を聴取しつつ、周囲音も聴取可能なヘッドフォン装置が記載されている。
【0006】
特許文献5には、集音部が集音した周囲音に補聴処理を施す補聴処理部と、所定信号を生成する特定音生成部と、補聴器の本体が耳に装着されたか否かの判定結果に基づいて、補聴処理部が補聴処理を施した音と、特定音生成部が生成した音と、のいずれかを選択して音出力部へ出力する選択部と、を有する補聴器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-185563号公報
【文献】特開2010-200258号公報
【文献】国際公開第2009/125579号公報
【文献】特開2005-295175号公報
【文献】国際公開第2010/061539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、音を発する機器をユーザが装着している場合に、難聴の有無の判断に応じた処理を実行することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項に係る発明は、コンピュータに、ユーザの生活習慣に関する行動履歴と、前記ユーザの生体情報とに応じて、前記ユーザが難聴であるか否かの判断の結果を出力するステップ、を含む処理を実行させる、情報処理方法である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1係る発明によれば、音を発する機器をユーザが装着している場合に、難聴の有無の判断、及び難聴の有無の判断に応じた処理を実行することができる。
【0014】
請求項1係る発明によれば、ユーザの生体情報のみに基づいてユーザが難聴であるか否かを判断する場合と比べて、ユーザが難聴であるか否かをより高い精度で判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図3】機器の構成を示すブロック図である。
図4】稼働履歴管理テーブルを示す図である。
図5】ユーザ属性管理テーブルを示す情報である。
図6】ユーザ行動履歴管理テーブルを示す図である。
図7】難聴のレベルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照して、本実施形態に係る情報処理システムについて説明する。図1には、本実施形態に係る情報処理システムの構成の一例が示されている。
【0017】
本実施形態に係る情報処理システムは、情報処理装置10と、1又は複数の生体情報測定装置12と、1又は複数の機器14とを含む。図1に示されている各装置の数は一例に過ぎない。情報処理システムは、図1に示されている装置以外の他の装置(例えば、端末装置やサーバ等)を含んでもよい。
【0018】
情報処理システムに含まれている各装置は、他の装置と通信するように構成されている。その通信は、ケーブルを利用する有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。つまり、各装置は、他の装置とケーブルによって物理的に接続されて、情報を互いに送受信してもよいし、無線通信によって互いに情報を送受信してもよい。無線通信として、例えば、近距離無線通信やWi-Fi(登録商標)等が用いられる。これら以外の規格の無線通信が用いられてもよい。近距離無線通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)やRFID(Radio Frequency Identifier)やNFC等である。各装置は、LAN(Local Area Network)やインターネット等の通信経路を介して他の装置と通信してもよい。
【0019】
情報処理装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称する)、タブレットPC、スマートフォン、携帯電話、又は、その他の装置(例えば、サーバやロボットやその他の機器等)である。情報処理装置10は、人が携帯することが可能な端末装置(例えば、タブレットPCやスマートフォンや携帯電話等)であってもよいし、テーブル等に設置されて使用される装置であってもよいし、移動可能な装置(例えば自走式の装置)であってもよいし、作業を行う装置であってもよいし、人と対話することが可能な装置であってもよい。例えば、情報処理装置10は、通信機能とマイクとスピーカとを有するスマートスピーカであってもよいし、人と対話し、作業するロボットであってもよい。情報処理装置10は、人工知能(AI)を搭載した装置であってもよい。
【0020】
生体情報測定装置12は、ユーザの生体情報を測定するように構成されている装置である。例えば、生体情報測定装置12は、各種のセンサや電極等を有し、ユーザの生体情報を測定する。複数の生体情報測定装置12が用いられる場合、各生体情報測定装置12は、異なる種類の生体情報を測定してもよい。複数の生体情報測定装置12の中の一部又は全部は、同じ種類の生体情報を測定してもよい。また、生体情報測定装置12は、1つの種類の生体情報を測定するように構成されてもよいし、複数の種類の生体情報を測定するように構成されてもよい。
【0021】
生体情報測定装置12は、測定した生体情報を情報処理装置10に送信する。生体情報測定装置12は、生体情報を測定する度に生体情報を情報処理装置10に送信してもよいし、生体情報を記憶し、予め定められた時間間隔毎に生体情報を情報処理装置10に送信してもよいし、ユーザが指定したタイミングで生体情報を情報処理装置10に送信してもよい。また、生体情報測定装置12は、他の生体情報測定装置12が測定した生体情報を当該他の生体情報測定装置12から受信し、自身が測定した生体情報と当該他の生体情報測定装置12が測定した生体情報とを情報処理装置10に送信してもよい。
【0022】
生体情報測定装置12は、自装置又は他の生体情報測定装置12が測定した生体情報を解析し、その解析の結果を示す情報を情報処理装置10に送信してもよい。例えば、生体情報測定装置12はプロセッサを含み、当該プロセッサが生体情報を解析してもよい。もちろん、その解析は情報処理装置10又は他の装置によって行われてもよい。
【0023】
生体情報測定装置12は、バッテリを含み、当該バッテリから供給される電力によって駆動してもよいし、他の装置(例えば情報処理装置10等)から電力の供給を受けて駆動してもよい。
【0024】
生体情報測定装置12は、ユーザに設置されてもよい。例えば、生体情報測定装置12は、ユーザに装着されて生体情報を測定するウェアラブル装置であってもよい。具体例を挙げると、生体情報測定装置12は、ユーザの頭部(例えば額等)に装着される装置であってもよいし、ユーザの耳に装着されるヒアラブル装置(例えば、イヤフォンやヘッドフォンや補聴器等)であってもよいし、ユーザの腕や手や手首や指等に装着される装置(例えば、スマートウォッチ等の腕時計型の装置等)であってもよいし、ユーザの首に掛けられる装置であってもよいし、ユーザの胴体(例えば腹部や胸部等)に装着される装置であってもよいし、ユーザの下肢(例えば、大腿、下腿、膝、足、足首等)に装着される装置であってもよい。生体情報測定装置12は、ユーザの腕や手や胴体や下肢に装着される健康器具等であってもよい。生体情報測定装置12は、これら以外の部位に装着されてもよい。また、複数の部位のそれぞれに生体情報測定装置12が装着されてもよい。
【0025】
生体情報は、生体である人から発する様々な生理学的情報や解剖学的情報である。生体情報の概念の範疇には、例えば、脳の活動を示す情報(例えば、脳波、脳の血流量、脳磁場信号等)、脈拍数を示す情報、筋電波形等の筋電情報、唾液に関する情報(例えば唾液量を示す情報)、脈波を示す情報、血圧を示す情報、血流量を示す情報、脈拍を示す情報、心拍数を示す情報、心電波形を示す情報、眼球運動を示す情報、体温を示す情報、発汗量を示す情報、視線を示す情報、音声情報、及び、人の動きを示す情報等が含まれる。また、バイオマーカによって特定される情報が、生体情報として用いられてもよい。これら生体情報の一例に過ぎず、他の生理学的情報や解剖学的情報が生体情報として用いられてもよい。生体情報測定装置12は、これらの生体情報の中の1つの生体情報を測定してもよいし、複数の生体情報を測定してもよい。
【0026】
また、生体情報の概念の範疇には、生体から測定される電位を示す生体電位情報が含まれる。生体電位情報の概念の範疇には、例えば、脳の活動に伴い発生する微小電流の測定結果である脳波、心臓の拍動に伴い発生する微小電流の測定結果である心電図、筋肉の活動に伴い発生する微小電流の測定結果である筋電図、皮膚に生じる微小電流の測定結果である皮膚電位等が含まれる。これらは生体電位情報の一例に過ぎず、これら以外の生体電位情報が用いられてもよい。
【0027】
情報処理装置10は、生体情報測定装置12から生体情報を受け付けて、生体情報の解析、生体情報の記憶、生体情報の出力、生体情報の解析の結果を示す情報の記憶、及び、生体情報の解析の結果を示す情報の出力等を行う。もちろん、生体情報の解析は、生体情報測定装置12又は他の装置によって行われてもよい。生体情報を出力することは、例えば、生体情報を表示することや、生体情報を音声情報として出力すること等である。生体情報の解析の結果を示す情報を出力することは、例えば、解析の結果を示す情報を表示することや、解析の結果を音声情報として出力すること等である。情報処理装置10は、生体情報や解析の結果を示す情報を他の装置に送信してもよい。
【0028】
情報処理装置10は、1又は複数の生体情報測定装置12を含んでもよい。つまり、1又は複数の生体情報測定装置12は、情報処理装置10に組み込まれて、1つの装置が構成されてもよい。1又は複数の生体情報測定装置12を含む情報処理装置10の全体が、ユーザに装着されて生体情報を測定してもよい。つまり、情報処理装置10はウェアラブル装置であってもよい。例えば、情報処理装置10は、ユーザの頭部(例えば額等)に装着される装置であってもよいし、ユーザの耳に装着されるヒアラブル装置(例えば、イヤフォンやヘッドフォンや補聴器等)であってもよいし、ユーザの腕や手や手首や指等に装着される装置(例えば、スマートウォッチ等の腕時計型の装置等)であってもよいし、ユーザの首に掛けられる装置であってもよいし、ユーザの胴体(例えば腹部や胸部等)に装着される装置であってもよいし、ユーザの下肢(例えば、大腿、下腿、膝、足、足首等)に装着される装置であってもよい。情報処理装置10は、ユーザの腕や手や胴体や下肢に装着される健康器具等であってもよい。情報処理装置10は、これら以外の部位に装着されてもよい。
【0029】
情報処理装置10と生体情報測定装置12は、別々の装置であってもよい。例えば、情報処理装置10は、ロボットやスマートスピーカやサーバ等の装置であり、生体情報測定装置12は、ユーザに装着されるウェアラブル装置であってもよい。
【0030】
機器14は、スピーカを有し、音を発する機能を有する。機器14は、更にマイクを有し、集音機能を有してもよい。例えば、機器14は、ユーザに装着されて使用される。1又は複数の機器14がユーザに装着される。例えば、機器14は、ユーザの耳に装着されるヒアラブル装置(例えば、イヤフォンやヘッドフォンや補聴器等)である。補聴器は、デジタル補聴器であってもよいし、アナログ補聴器であってもよい。機器14は、ユーザの耳以外の部位に装着されてもよい。機器14は、ユーザに装着されずに使用されるスピーカ等であってもよい。
【0031】
機器14に1又は複数の生体情報測定装置12が組み込まれて、1つの装置が構成されてもよい。1又は複数の生体情報測定装置12を含む機器14の全体が、ユーザに装着されてもよい。例えば、1又は複数の生体情報測定装置12を含む機器14の全体が、ヒアラブル装置であってもよい。
【0032】
また、情報処理装置10、1又は複数の生体情報測定装置12及び機器14によって、1つの装置が構成されてもよい。情報処理装置10、1又は複数の生体情報測定装置12及び機器14によって構成される1つの装置の全体が、ユーザに装着されてもよい。例えば、情報処理装置10、1又は複数の生体情報測定装置12及び機器14によって構成される1つの装置の全体が、ヒアラブル装置であってもよい。
【0033】
以下、図2を参照して、情報処理装置10の構成について詳しく説明する。図2には、情報処理装置10の構成の一例が示されている。
【0034】
情報処理装置10は、例えば、通信装置16と、UI18と、記憶装置20と、プロセッサ22とを含む。情報処理装置10は、これら以外の構成を含んでもよい。
【0035】
通信装置16は通信インターフェースであり、他の装置にデータを送信する機能、及び、他の装置から送信されてきたデータを受信する機能を有する。通信装置16は、無線通信機能を有してもよいし、有線通信機能を有してもよい。通信装置16は、例えば近距離無線通信を利用することで他の装置と通信してもよいし、LANやインターネット等の通信経路を介して他の装置と通信してもよい。例えば、通信装置16は、生体情報測定装置12から送信されてきた生体情報を受信する。通信装置16は、生体情報測定装置12の動作を制御するための制御情報を生体情報測定装置12に送信してもよい。また、通信装置16は、機器14の動作を制御するための制御情報を機器14に送信してもよいし、機器14から送信されてきた情報を受信してもよい。
【0036】
UI18はユーザインターフェースであり、表示装置及び操作装置の中の少なくとも1つを含む。表示装置は、液晶ディスプレイやELディスプレイ等である。操作装置は、キーボードや入力キーや操作パネル等である。UI18は、表示装置と操作装置とを兼ね備えたタッチパネル等のUIであってもよい。
【0037】
記憶装置20は、データを記憶する1又は複数の記憶領域を構成する装置である。記憶装置20は、例えば、ハードディスクドライブ、各種のメモリ(例えばRAMやDRAMやROM等)、その他の記憶装置(例えば光ディスク等)、又は、それらの組み合わせである。1又は複数の記憶装置20が情報処理装置10に含まれている。
【0038】
記憶装置20には、稼働履歴管理情報、ユーザ属性管理情報、及び、ユーザ行動履歴管理情報が記憶されている。
【0039】
稼働履歴管理情報は、機器14の稼働の履歴を管理するための情報である。例えば、機器14の稼働の履歴は、機器14のスピーカからの音の発生に関する履歴である。機器14の稼働の履歴は、例えば、機器14が稼働した総時間、音量毎の稼働の時間、音量の大小の履歴、音域の設定の履歴(例えば、高音域や低音域を増幅した場合、その増幅の程度)、及び、機器14にて再生された音データ(例えば音楽データ等)の再生の履歴等の中の少なくとも1つである。
【0040】
例えば、機器14毎に、機器14を識別するための情報である機器識別情報と、機器14の稼働の履歴を示す情報である稼働履歴情報とが紐付けられて、稼働履歴管理情報に登録される。機器識別情報は、例えば、機器14のID、名称、型番、又は、アドレス(例えばMACアドレスやIPアドレス等)等である。
【0041】
例えば、機器14が稼働すると、その稼働の履歴を示す稼働履歴情報が、機器14から情報処理装置10に送信されて稼働履歴管理情報に登録される。稼働履歴情報が機器14に記憶され、当該稼働履歴情報が、当該機器14から情報処理装置10に送信されて稼働履歴管理情報に登録されてもよい。例えば、情報処理装置10が、稼働履歴情報の取得を機器14に要求すると、当該機器14は、その要求に応じて稼働履歴情報を情報処理装置10に送信してもよい。また、各機器14の稼働履歴情報がサーバ等の装置によって管理され、情報処理装置10は、当該サーバ等の装置から各機器14の稼働履歴情報を取得してもよい。
【0042】
ユーザ毎に、機器14の稼働の履歴が管理されてもよい。例えば、ユーザ毎に、ユーザを識別するための情報であるユーザ識別情報と、ユーザが使用した機器14の機器識別情報と、当該機器14の稼働の履歴であって当該ユーザが使用したことによる稼働の履歴を示す稼働履歴情報とが紐付けられて、稼働履歴管理情報に登録される。ユーザ識別情報は、例えば、ユーザの氏名、ユーザのID、電子メールアドレス、又は、ユーザアカウント等である。
【0043】
なお、稼働履歴管理情報は、記憶装置20に記憶されずに、又は、記憶装置20に記憶されると共に、情報処理装置10以外の他の装置(例えば機器14やサーバ等の装置)に記憶されてもよい。
【0044】
ユーザ属性管理情報は、ユーザの属性を管理するための情報である。ユーザの属性は、例えば、性別、年齢、病気の経歴、及び、職業の経歴等の中の少なくとも1つである。
【0045】
例えば、ユーザ毎に、ユーザ識別情報と、ユーザの属性を示す情報であるユーザ属性情報とが紐付けられて、ユーザ属性管理情報に登録される。
【0046】
ユーザが手動でユーザ識別情報とユーザ属性情報とを情報処理装置10に入力してもよいし、情報処理装置10が、ユーザ識別情報とユーザ属性情報とを管理する装置(例えばサーバ等)からユーザ識別情報とユーザ属性情報とを取得してもよい。
【0047】
なお、ユーザ属性管理情報は、記憶装置20に記憶されずに、又は、記憶装置20に記憶されると共に、情報処理装置10以外の他の装置(例えば機器14やサーバ等の装置)に記憶されてもよい。
【0048】
ユーザ行動履歴管理情報は、ユーザの行動の履歴を管理するための情報である。ユーザの行動の履歴は、例えば、飲酒の履歴、喫煙の履歴、飲食の履歴、運動の履歴、投薬の履歴、服薬の履歴、睡眠の履歴、及び、その他の生活習慣の履歴等の中の少なくとも1つである。
【0049】
例えば、ユーザ毎に、ユーザ識別情報と、ユーザの行動の履歴を示す情報である行動履歴情報とが紐付けられて、ユーザ行動履歴管理情報に登録される。
【0050】
ユーザが手動でユーザ識別情報と行動履歴情報を情報処理装置10に入力してもよいし、情報処理装置10が、ユーザ識別情報と行動履歴情報とを管理する装置(例えばサーバ等)からユーザ識別情報と行動履歴情報とを取得してもよい。
【0051】
なお、ユーザ行動履歴管理情報は、記憶装置20に記憶されずに、又は、記憶装置20に記憶されると共に、情報処理装置10以外の他の装置(例えば機器14やサーバ等の装置)に記憶されてもよい。
【0052】
プロセッサ22は、情報処理装置10の各部の動作を制御するように構成されている。プロセッサ22は、メモリを含んでもよい。
【0053】
また、プロセッサ22は、機器14の稼働の履歴と、ユーザの生体情報が難聴の条件を満たしているか否かの判断の結果と、に応じた処理を実行するように構成されている。
【0054】
生体情報測定装置12によってユーザから生体情報が測定されると、当該生体情報は生体情報測定装置12から情報処理装置10に送信される。プロセッサ22は、当該生体情報を受け付け、当該生体情報が難聴の条件を満たしているか否かを判断する。
【0055】
プロセッサ22は、機器14の稼働の履歴と、ユーザの生体情報が難聴の条件を満たしているか否かの判断の結果とに基づいて、ユーザが難聴であるか否かを判断し、その判断の結果に応じた処理を実行する。難聴は、例えば、伝音性難聴、感音性難聴、又は、混合性難聴である。
【0056】
難聴の条件は、生体情報に基づいてユーザが難聴であるか否かを判断するための条件である。
【0057】
例えば、難聴の条件は、脳波に基づいてユーザが難聴であるか否かを判断するための条件である。具体例を挙げると、プロセッサ22は、聴性脳幹反応検査(ABR:Auditory Brainstem Response)又は聴性定常反応検査(ASSR:Auditory Steady-State Response)によって、ユーザの脳波が難聴の条件を満たしているか否かを判断する。プロセッサ22は、ユーザの生体情報が難聴の条件を満たしているか否かの判断の結果をユーザに通知してもよい。例えば、プロセッサ22は、その判断の結果を示す情報を表示装置に表示させてもよいし、当該情報を表す音声をスピーカから発生させてもよい。
【0058】
聴性脳幹反応検査は、蝸牛神経及び脳幹部聴覚路に由来する反応を求めることができる検査法である。人が音を聞くと、ピークを持つ反応が蝸牛神経から、脳幹、橋、下丘にかけて発生する。正常な状態では、概ね5つのピークが現れる。ピークは、(第1波)蝸牛神経、(第2波)蝸牛神経核、(第3波)オリーブ核、(第4波)外側毛帯、及び、(第5波)下丘に対応する。これらの波のピークが現れる時間が遅れたり、波形に乱れが発生したり(例えばピークが現れない)した場合には、ユーザは難聴である可能性があると判断される。
【0059】
聴性定常反応検査は、定常状態誘発反応を利用し、音刺激に反応した脳からの電位を記録する検査方法である。聴性定常反応検査は、低音域から高音域までの広い範囲の周波数による検査が可能である。
【0060】
また、プロセッサ22は、機器14が音を発しているときにユーザから測定された脳波を解析し、その解析の結果に基づいて、ユーザの脳波が難聴の条件を満たしているか否かを判断してもよい。例えば、ユーザの脳波が、音が聞こえ難いことを示している場合、プロセッサ22は、ユーザの脳波が難聴の条件を満たしていると判断する。
【0061】
プロセッサ22は、脳波以外の生体情報が難聴の条件を満たしているか否かを判断してもよい。例えば、プロセッサ22は、耳の血流が悪い場合や血圧が正常値ではない場合等に、ユーザの生体情報が難聴の条件を満たしていると判断してもよい。
【0062】
ユーザの生体情報が難聴の条件を満たしている場合であっても(つまり、ユーザの生体情報に基づいて当該ユーザが難聴であると判断された場合であっても)、実際にユーザが難聴であるとは限らない。例えば、聴性脳幹反応検査や聴性定常反応検査によって、ユーザが難聴であると判断された場合であっても、実際にユーザが難聴であるとは限らない。また、ユーザの生体情報が難聴の条件を満たしていない場合であっても(つまり、ユーザの生体情報に基づいて当該ユーザが難聴ではないと判断された場合であっても)、実際は、ユーザは難聴であることがある。
【0063】
本実施形態では、プロセッサ22は、機器14の稼働の履歴と、ユーザの生体情報が難聴の条件を満たしているか否かの判断の結果とに基づいて、ユーザが難聴であるか否かを判断する。こうすることで、ユーザの生体情報のみを用いて、ユーザが難聴であるか否かを判断する場合と比べて、ユーザが難聴であるか否かをより高い精度で判断することができる。例えば、機器14はヒアラブル装置であり、当該機器14の稼働の履歴とユーザの生体情報とに基づいて、ユーザが難聴であるか否かが判断される。
【0064】
プロセッサ22は、ユーザの生体情報が難聴の条件を満たす程度を判断してもよい。つまり、プロセッサ22は、ユーザの生体情報に基づいて難聴の程度(例えば難聴のレベル)を判断してもよい。以下では、ユーザの生体情報に基づいて判断された難聴のレベルを、「第1レベル」と称することとする。例えば、プロセッサ22は、聴性脳幹反応検査又は聴性定常反応検査によって、難聴の第1レベルを判断する。プロセッサ22は、第1レベルをユーザに通知してもよい。例えば、プロセッサ22は、第1レベルを示す情報を表示装置に表示させてもよいし、当該情報を表す音声をスピーカから発生させてもよい。
【0065】
また、プロセッサ22は、機器14の稼働の履歴と、ユーザの生体情報が難聴の条件を満たしているか否かの判断の結果とに基づいて、ユーザの難聴の程度(例えば難聴のレベル)を判断してもよい。例えば、プロセッサ22は、機器14の稼働の履歴と、ユーザの生体情報に基づいて判断された難聴の程度(例えば第1レベル)とに基づいて、ユーザの難聴の程度(例えば難聴のレベル)を判断してもよい。以下では、機器14の稼働の履歴と、ユーザの生体情報に基づいて判断された難聴の第1レベルと、に基づいて判断された難聴のレベルを、「第2レベル」と称することとする。プロセッサ22は、第2レベルをユーザに通知してもよい。例えば、プロセッサ22は、第2レベルを示す情報を表示装置に表示させてもよいし、当該情報を表す音声をスピーカから発生させてもよい。
【0066】
以下、難聴の判断の結果に応じた処理の具体例について説明する。
【0067】
例えば、難聴の判断の結果に応じた処理は、警告を出力する処理である。つまり、プロセッサ22は、機器14の稼働の履歴と、ユーザの生体情報が難聴の条件を満たしているか否かの判断の結果と、に応じて警告を出力するように構成されてもよい。
【0068】
警告を出力することは、例えば、警告を示す情報を表示装置(例えば、UI18の表示装置やユーザの端末装置の表示装置)に表示すること、及び、警告音をスピーカ(例えば、機器14のスピーカや情報処理装置10のスピーカ等)から発すること等の中の少なくとも1つである。例えば、プロセッサ22は、音量が大きい、音量を下げるべきである、ユーザが難聴になる可能性がある、又は、ユーザは難聴である等、といったメッセージを表示装置に表示させてもよいし、当該メッセージを表す音声をスピーカから発生させてもよい。
【0069】
例えば、機器14の稼働の履歴と、ユーザの生体情報が難聴の条件を満たしているか否かの判断の結果とに基づいて、ユーザが難聴であると判断された場合、プロセッサ22は、ユーザは難聴であることを示す警告を出力する。ユーザが難聴になる可能性があると判断された場合、プロセッサ22は、ユーザが難聴の可能性があること示す警告を出力してもよい。また、プロセッサ22は、難聴のレベル(例えば第1レベルや第2レベル)を示す警告を出力してもよい。
【0070】
また、機器14の音量が定常的に閾値以上に設定された場合(例えば、予め定められた時間以上にわたって音量が閾値以上に設定された場合や、予め定められた回数以上にわたって音量が閾値以上の音量に設定された場合等)、プロセッサ22は、音量が大きいことを示す警告や、音量を下げるべきであることを示す警告を出力してもよい。機器14の音量が1回だけ閾値以上に設定された場合、プロセッサ22は、警告を出力しなくてもよい。
【0071】
別の例として、難聴の判断の結果に応じた処理は、機器14の音量を制御する処理である。つまり、プロセッサ22は、機器14の稼働の履歴と、ユーザの生体情報が難聴の条件を満たしているか否かの判断の結果と、に基づいて当該機器14の音量を制御するように構成されてもよい。
【0072】
機器14の音量を制御することは、例えば、音量を大きくすること、音量を小さくすること、特定の音域の出力を制御すること、又は、ミュートにすること等である。
【0073】
例えば、機器14の稼働の履歴と、ユーザの生体情報が難聴の条件を満たしているか否かの判断の結果とに基づいて、ユーザが難聴であると判断された場合、プロセッサ22は、機器14の音量を小さくしたり、機器14の音量をミュートに設定したりする。ユーザが難聴になる可能性があると判断された場合、プロセッサ22は、機器14の音量を小さくしてもよい。また、プロセッサ22は、難聴のレベル(例えば第1レベルや第2レベル)に応じて機器14の音量を制御してもよい。例えば、プロセッサ22は、難聴のレベルが高いほど(つまり、難聴の程度が高いほど)、機器14の音量を小さくする。
【0074】
また、機器14の音量が定常的に閾値以上に設定された場合、プロセッサ22は、機器14の音量を小さくしたり、機器14の音量をミュートに設定したりしてもよい。機器14の音量が1回だけ閾値以上に設定された場合、プロセッサ22は、音量を小さくしなくてもよい。
【0075】
更に別の例として、難聴の判断の結果に応じた処理は、機器14の集音の機能を制御する処理である。つまり、プロセッサ22は、機器14の稼働の履歴と、ユーザの生体情報が難聴の条件を満たしているか否かの判断の結果と、に基づいて当該機器14の集音の機能を制御するように構成されてもよい。
【0076】
機器14の集音の機能を制御することは、例えば、集音の機能をオンにすること、集音の機能をオフにすること、集音の機能のレベルを変えること、ノイズキャンセル機能をオンすること、又は、ノイズキャンセル機能をオフすること等である。
【0077】
例えば、機器14の稼働の履歴と、ユーザの生体情報が難聴の条件を満たしているか否かの判断の結果とに基づいて、ユーザが難聴であると判断された場合、プロセッサ22は、集音の機能をオンにしたり、集音の機能のレベルを上げたりする。また、プロセッサ22は、難聴のレベル(例えば第1レベルや第2レベル)に応じて機器14の集音の機能を制御してもよい。例えば、プロセッサ22は、難聴のレベルが高いほど、機器14の集音の機能のレベルを上げる。
【0078】
プロセッサ22は、警告を出力すること、機器14の音量を制御すること、及び、機器14の集音の機能を制御することの中の少なくとも1つを実行してもよい。つまり、プロセッサ22は、これらの処理の中の1つの処理を実行してもよいし、複数の処理を実行してもよい。例えば、プロセッサ22は、警告を出力すると共に、機器14の音量を制御したり、機器14の集音の機能を制御したりしてもよい。
【0079】
また、機器14の稼働の履歴と、ユーザの生体情報が難聴の条件を満たしているか否かの判断の結果とに基づいて、ユーザが難聴であると判断され、予め定められた時間以上にわたって機器14の音量や集音の機能が制御されても(例えば音量を大きくしたり、集音の機能のレベルを上げたりしても)、ユーザの音の聞き取り易さが改善されない場合がある。この場合、プロセッサ22は、電気信号によって音を伝える機器14を使用することをユーザに促す警告を出力してもよい。プロセッサ22は、ユーザの生体情報に基づいて、ユーザの音の聞き取り易さを判断する。電気信号によって音を伝える機器14は、例えば、内耳(例えば蝸牛等)に挿入された電極を用いて電気信号によって音を伝える機器14(例えば、インプラント方式の補聴器等)である。また、当該機器14として、電気刺激と音響刺激とを組み合わせて音をユーザに伝える機器が用いられてもよい。例えば、当該機器14として、残存聴力活用型人工内耳(EAS:Electric Acoustic Stimulation)等が用いられてもよい。音量を大きくしたり、集音の機能のレベルを上げたりしても、音の歪が大きいために、音を正常に聞き取れない人がある。このような人に対しては、プロセッサ22は、電極を用いて電気信号によって音を伝える機器14を使用することをユーザに促す警告を出力してもよい。
【0080】
また、機器14が、電極を用いて電気信号によって音を伝える機能を有している場合において、ユーザの音の聞き取り易さが改善されない場合、プロセッサ22は、音をユーザに伝える機能を、電極を用いて電気信号によって音を伝える機能に切り替えてもよい。
【0081】
なお、プロセッサ22による処理は、情報処理装置10以外の装置(例えば、端末装置、サーバ、生体情報測定装置12、機器14又はその他の装置等)によって実行されてもよい。また、処理の一部が情報処理装置10によって実行され、処理の別の一部が情報処理装置10以外の装置によって実行されてもよい。例えば、生体情報の解析が情報処理装置10以外の装置によって実行され、機器14の制御が、情報処理装置10によって実行されてもよい。
【0082】
以下、図3を参照して、機器14の構成について詳しく説明する。図3には、機器14の構成の一例が示されている。
【0083】
機器14は、例えば、スピーカ24と、マイク26と、通信装置28と、UI30と、記憶装置32と、プロセッサ34とを含む。機器14は、これら以外の構成を含んでもよい。
【0084】
スピーカ24から、音データに基づく音が発せられてもよいし、マイク26によって集められた音が発せられてもよい。音データは、機器14の記憶装置32に記憶されているデータであってもよいし、情報処理装置10又は他の装置から機器14に送信されてきたデータであってもよい。マイク26は、集音の機能を有し、周囲の音を集める装置である。
【0085】
例えば、機器14は、スピーカ24とマイク26とを含む補聴器やイヤフォンやヘッドフォン等であってもよい。機器14は、マイク26によって集められた音の音量を大きくしてスピーカ24から音を発する補聴器であってもよい。なお、機器14は、マイク26を含まないイヤフォンやヘッドフォン等であってもよい。
【0086】
通信装置28は通信インターフェースであり、他の装置にデータを送信する機能、及び、他の装置から送信されてきたデータを受信する機能を有する。通信装置28は、無線通信機能を有してもよいし、有線通信機能を有してもよい。通信装置28は、例えば近距離無線通信を利用することで他の装置と通信してもよいし、LANやインターネット等の通信経路を介して他の装置と通信してもよい。
【0087】
UI30はユーザインターフェースであり、表示装置及び操作装置の中の少なくとも1つを含む。表示装置は、液晶ディスプレイやELディスプレイ等である。操作装置は、入力キーや操作パネル等である。UI30は、表示装置と操作装置とを兼ね備えたタッチパネル等のUIであってもよい。
【0088】
記憶装置32は、データを記憶する1又は複数の記憶領域を構成する装置である。記憶装置32は、例えば、ハードディスクドライブ、各種のメモリ(例えばRAMやDRAMやROM等)、その他の記憶装置(例えば光ディスク等)、又は、それらの組み合わせである。1又は複数の記憶装置32が機器14に含まれている。例えば、音データ等が記憶装置32に記憶されてもよい。
【0089】
プロセッサ34は、機器14の各部の動作を制御するように構成されている。プロセッサ34は、メモリを含んでもよい。例えば、プロセッサ34は、音データに基づく音をスピーカ24から発生させたり、マイク26によって集められた音の音量を大きくしてスピーカ24から発生させたり、スピーカ24から発せられる音の音量を制御したり、マイク26の集音の機能を制御したりする。なお、音量の制御や集音の機能の制御は、情報処理装置10のプロセッサ22によって行われてもよい。
【0090】
以下、本実施形態に係る情報処理システムについて更に詳しく説明する。
【0091】
図4を参照して、稼働履歴管理情報の一例について説明する。図4には、稼働履歴管理情報の一例である稼働履歴管理テーブルの一例が示されている。例えば、稼働履歴管理テーブルのデータは記憶装置20に記憶されている。稼働履歴管理テーブルのデータは、記憶装置20に記憶されずに、又は、記憶装置20に記憶されると共に、情報処理装置10以外の装置(例えば機器14やサーバ等)に記憶されてもよい。
【0092】
稼働履歴管理テーブルにおいては、例えば、IDと、機器14を識別するための機器識別情報と、当該機器14の稼働の履歴を示す稼働履歴情報とが紐付けられている。
【0093】
例えば、機器14が稼働する度に、その稼働の履歴を示す稼働履歴情報が稼働履歴管理テーブルに登録されてもよいし、予め定められた時間間隔毎に、各機器14の稼働履歴情報が稼働履歴管理テーブルに登録されてもよい。
【0094】
図4に示す例では、機器Aの稼働履歴情報が、ID「1」の稼働履歴情報として稼働履歴管理テーブルに登録されている。例えば、機器Aが稼働した総時間を示す情報、スピーカ24から発せられた音の音量毎の稼働の時間を示す情報、音域の設定の履歴を示す情報、及び、再生内容(例えば再生された音楽等)を示す情報等が、機器Aの稼働履歴情報として稼働履歴管理テーブルに登録されている。なお、ユーザ毎の稼働履歴情報が稼働履歴管理テーブルに登録されてもよい。機器A以外の機器14についての稼働履歴情報も、稼働履歴管理テーブルに登録される。
【0095】
図5を参照して、ユーザ属性管理情報の一例について説明する。図5には、ユーザ属性管理情報の一例であるユーザ属性管理テーブルの一例が示されている。例えば、ユーザ属性管理テーブルのデータは記憶装置20に記憶されている。ユーザ属性管理テーブルのデータは、記憶装置20に記憶されずに、又は、記憶装置20に記憶されると共に、情報処理装置10以外の装置(例えばサーバやユーザの端末装置等)に記憶されてもよい。
【0096】
ユーザ属性管理テーブルにおいては、例えば、IDと、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、当該ユーザの属性を示すユーザ属性情報とが紐付けられている。
【0097】
図5に示す例では、ユーザαのユーザ属性情報が、ID「1」のユーザ属性情報としてユーザ属性管理テーブルに登録されている。例えば、ユーザαの性別、年齢、及び、病歴等を示す情報が、ユーザαのユーザ属性情報として、ユーザ属性管理テーブルに登録されている。ユーザα以外のユーザについてのユーザ属性情報も、ユーザ属性管理テーブルに登録される。
【0098】
図6を参照して、ユーザ行動履歴管理情報の一例について説明する。図6には、ユーザ行動履歴管理情報の一例であるユーザ行動履歴管理テーブルの一例が示されている。例えば、ユーザ行動履歴管理テーブルのデータは記憶装置20に記憶されている。ユーザ行動履歴管理テーブルのデータは、記憶装置20に記憶されずに、又は、記憶装置20に記憶されると共に、情報処理装置10以外の装置(例えばサーバやユーザの端末装置等)に記憶されてもよい。
【0099】
ユーザ行動履歴管理テーブルにおいては、例えば、IDと、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、当該ユーザの行動の履歴を示す行動履歴情報とが紐付けられている。
【0100】
図6に示す例では、ユーザαの行動履歴情報が、ID「1」の行動履歴情報としてユーザ行動履歴管理テーブルに登録されている。例えば、ユーザαの飲酒の履歴、喫煙の履歴、飲食の履歴、及び、投薬の履歴等を示す情報が、ユーザαの行動履歴情報として、ユーザ行動履歴管理テーブルに登録されている。ユーザα以外のユーザについての行動履歴情報も、ユーザ行動履歴管理テーブルに登録される。
【0101】
以下、図7を参照して、難聴のレベルについて説明する。図7には、難聴のレベルが示されている。横軸は、機器14の稼働の履歴の一例である総稼働時間を示している。縦軸は、ユーザの生体情報に基づいて判断された難聴の第1レベルを示している。例えば、第1レベルは、聴性脳幹反応検査又は聴性定常反応検査によって判断されたレベルである。
【0102】
図7中の各値は、総稼働時間と難聴の第1レベルとに基づいて定められる、難聴の第2レベルを示している。大きい数値ほど、難聴の程度が高いことを示している。例えば、第2レベル「0」は、難聴の程度が最も低いことを示している。また、第2レベル「1」は、難聴の程度が第2レベル「0」よりも高く、第2レベル「2」よりも低いことを示している。
【0103】
例えば、総稼働時間が長いほど、難聴の第2レベルは高くなる。つまり、機器14が稼働した総時間が長いほど、難聴の第2レベルは高くなる。また、難聴の第1レベルが高いほど、難聴の第2レベルは高くなる。つまり、ユーザの生体情報に基づいて判断された難聴のレベル(つまり第1レベル)が高いほど、難聴の第2レベルは高くなる。
【0104】
プロセッサ22は、機器14の稼働履歴情報を稼働履歴管理テーブルから取得し、ユーザの生体情報に基づいて難聴の第1レベルを判断し、図7に示されている対応関係を参照することで、当該稼働履歴情報と当該第1レベルとに基づいて、難聴の第2レベルを判断する。例えば、第2レベルが第1閾値未満である場合、プロセッサ22は、ユーザは難聴ではないと判断する。第2レベルが、第1閾値以上であり、かつ、第1閾値よりも大きい第2閾値未満である場合、プロセッサ22は、ユーザは難聴の可能性があると判断する。第2レベルが第2閾値以上である場合、プロセッサ22は、ユーザは難聴であると判断する。これらの判断は一例に過ぎず、別の手法によって、ユーザが難聴であるか否かが判断されてもよい。例えば、第2レベルが「0」である場合、プロセッサ22は、ユーザは難聴ではないと判断する。第2レベルが「1」、「2」又は「3」である場合、プロセッサ22は、ユーザは難聴の可能性があると判断する。第2レベルが「4」以上である場合、プロセッサ22は、ユーザは難聴であると判断する。
【0105】
また、総稼働時間の代わりに、又は、総稼働時間と共に、別の稼働の履歴が用いられてもよい。つまり、図7中の横軸が示すパラメータは、総稼働時間、音量毎の稼働の時間、音量の大小、音域の設定、及び、再生された音データの内容、の中の少なくとも1つであってもよい。
【0106】
例えば、音量の大きさが稼働の履歴として用いられてもよい。音量が大きいほど、難聴の第2レベルは高くなる。
【0107】
また、音域の設定の履歴が稼働の履歴として用いられてもよい。例えば、高音域が増幅されている場合、プロセッサ22は、ユーザは高音域が聞き難いと判断し、高音域についての難聴の第2レベルを判断してもよい。例えば、高音域の増幅の程度が大きいほど、高音域についての難聴の第2レベルは高くなる。低音域についても同様である。
【0108】
また、複数の履歴が用いられてもよい。例えば、総稼働時間と音量の大きさが、稼働の履歴として用いられてもよい。例えば、予め定められた時間以上にわたって、予め定められた大きさ以上の音量で機器14から音を発生させた場合、当該機器14の使用方法は、難聴になり易い使用方法であると推測される。この場合、当該条件に該当しない使用方法と比べて、難聴の第2レベルは高くなる。
【0109】
プロセッサ22は、ユーザの属性と、機器14の稼働の履歴と、ユーザの生体情報が難聴の条件を満たしているか否かの判断の結果とに基づいて、ユーザが難聴であるか否かを判断してもよい。プロセッサ22は、ユーザの属性情報をユーザ属性管理テーブルから取得し、機器14の稼働履歴情報を稼働履歴管理テーブルから取得する。
【0110】
例えば、ユーザの属性は、ユーザの年齢である。例えば、年齢が高いほど、難聴の第2レベルは高くなる。また、プロセッサ22は、ユーザの年齢に基づいて、難聴が加齢による難聴であるか否かを判断してもよい。例えば、ユーザの年齢が、年齢の閾値以上であり、難聴の第2レベルが、レベルの閾値以上である場合、プロセッサ22は、難聴が加齢による難聴であると判断してもよい。
【0111】
また、ユーザの属性は、ユーザの年齢であり、機器14の稼働の履歴は、当該ユーザによる音域の設定の履歴であってもよい。例えば、ユーザの年齢が、年齢の閾値以上であり、高音域が増幅されている場合、プロセッサ22は、高音域について難聴であると判断してもよい。例えば、年齢が50歳以上になると、高音域が聞き難くなることがある。したがって、ユーザの年齢が50歳以上であり、高音域が増幅されている場合、プロセッサ22は、高音域について難聴であると判断する。なお、高音域の周波数は予め定められている。
【0112】
別の例として、ユーザの属性は、ユーザの病気の経歴である。病気の影響によって、難聴(例えば感音性難聴)になる可能性がある。例えば、聴神経腫瘍、真珠腫、メニエール病、髄膜炎、耳硬化症、ダウン症候群、及び、トリーチャーコリンズ症候群等が、難聴になる可能性のある病気である。ユーザが、難聴になる可能性のある病気の経歴を有している場合、難聴になる可能性のある病気の経歴を有していない場合と比べて、第2レベルは高くなる。例えば、難聴になる可能性のある病気の経歴をユーザが有している場合における機器14の稼働の履歴と、難聴になる可能性のある病気の経歴をユーザが有していない場合における機器14の稼働の履歴とが同じであっても、難聴になる可能性のある病気の経歴を有していないユーザについての第2レベルと比べて、難聴になる可能性のある病気の経歴を有しているユーザについての第2レベルは、高くなる。同様に、難聴になる可能性のある病気の経歴をユーザが有している場合における第1レベルと、難聴になる可能性のある病気の経歴をユーザが有していない場合における第1レベルとが同じであっても、難聴になる可能性のある病気の経歴を有していないユーザについての第2レベルと比べて、難聴になる可能性のある病気の経歴を有しているユーザについての第2レベルは、高くなる。
【0113】
プロセッサ22は、ユーザの行動の履歴と、機器14の稼働の履歴と、ユーザの生体情報が難聴の条件を満たしているか否かの判断の結果とに基づいて、ユーザが難聴であるか否かを判断してもよい。プロセッサ22は、ユーザの行動履歴情報をユーザ行動履歴管理テーブルから取得し、機器14の稼働履歴情報を稼働履歴管理テーブルから取得する。
【0114】
例えば、アルコールの摂取や喫煙は血行を悪くし、突発性難聴の原因になる可能性がある。例えば、アルコールの摂取量が多いほど、難聴の第2レベルは高くなり、喫煙の量が多いほど、難聴の第2レベルは高くなる。
【0115】
また、睡眠不足が難聴の原因になる可能性がある。例えば、睡眠時間が、予め定められた時間範囲内に含まれない場合、睡眠時間が、予め定められた時間範囲内に含まれる場合と比べて、第2レベルは高くなる。予め定められた時間範囲は、難聴になる可能性が低いとされる時間範囲である。また、睡眠の質が悪い場合、睡眠の質が良い場合と比べて、第2レベルは高くなる。
【0116】
また、食事の内容が難聴の原因になる可能性がある。例えば、難聴の原因になる可能性のある食事の内容や摂取カロリーや成分等が予め定められており、そのような食事を摂取するほど、第2レベルは高くなる。
【0117】
また、生活習慣が難聴の原因になる可能性がある。例えば、難聴の原因になる可能性のある生活習慣が予め定められており、そのような生活習慣を有していないユーザについての第2レベルと比べて、そのような生活習慣を有するユーザについての第2レベルは高くなる。
【0118】
また、薬が難聴の原因になる可能性がある。例えば、薬が与えられていないユーザや薬を飲んでいないユーザについての第2レベルと比べて、薬が与えられているユーザや薬を飲んでいるユーザについての第2レベルは、高くなる。また、難聴の原因になる可能性のある薬が予め定められており、そのような薬が与えられていないユーザやそのような薬を飲んでいないユーザについての第2レベルと比べて、そのような薬が与えられているユーザやそのような薬を飲んでいるユーザについての第2レベルは、高くなる。
【0119】
なお、図7に示されている第2レベルは一例に過ぎず、図7に示されている対応関係を用いる手法以外の手法によって、第2レベルが決定されてもよい。例えば、関数を用いることで第2レベルが決定されてもよい。例えば、機器14の稼働の履歴と第1レベルとがパラメータとして用いられて、第2レベルを決定する関数が、用いられてもよい。また、ユーザの属性やユーザの行動履歴がパラメータとして用いられる関数が、用いられてもよい。
【0120】
プロセッサ22は、ユーザの聴力を回復するための機能を実行してもよい。例えば、ユーザが難聴であると判断された場合(例えば、第2レベルが閾値以上である場合)、プロセッサ22は、ユーザの聴力を回復するための機能を実行する。もちろん、ユーザが難聴になる可能性があると判断された場合(例えば、第2レベルが閾値未満であるが、難聴になる傾向が検出された場合等)、プロセッサ22は、ユーザの聴力を回復するための機能を実行してもよい。
【0121】
聴力を回復するための機能は、例えば、ストレスや疲労をユーザから取り除くための機能や、ユーザの血行を良好にする機能や、ユーザの行動を見直すことをユーザに促す機能等である。ストレスや疲労をユーザから取り除く機能は、例えば、ユーザがリラックスすると推測される音楽を流す機能や、疲労を回復するための食事をユーザに提案する機能等である。ユーザの血行を良好にする機能は、例えば、ユーザの耳を温める機能や、ユーザの血行を促進する音楽を流す機能や、ユーザの血行を促進する食事をユーザに提案する機能等である。例えば、機器14は、温め機能を有するヒアラブル装置(例えばイヤフォンやヘッドフォンや補聴器)であり、機器14が耳に装着されることで耳が温められる。耳を温めることで、耳の血行を促進する。また、ビタミンB類(例えばB12)は、末梢神経の回復に役立つと考えられるため、プロセッサ22は、ビタミンB類を多く含む食事をユーザに提案してもよい。ユーザの行動を見直すことをユーザに促す機能は、例えば、難聴になる可能性のある生活習慣を止めることをユーザに促す機能や、聴力を回復するための生活習慣をユーザに案内する機能等である。
【0122】
また、ユーザの聴力を回復するための機能は、ノイズキャンセル機能であってもよい。例えば、機器14は、ノイズキャンセル機能を有するヒアラブル装置(例えばイヤフォンやヘッドフォンや補聴器)であり、機器14が耳に装着されて使用される。ノイズキャンセル機能を実行することで、周囲のノイズを除去することができるので、ヒアラブル装置の音量(例えばイヤフォンやヘッドフォンや補聴器の音量)を下げても、ノイズキャンセル機能を実行しない場合と比べて、ヒアラブル装置から発せられる音が聞き易くなる。
【0123】
また、ユーザの聴力を回復するための機能は、ヒアラブル装置(例えばイヤフォンやヘッドフォンや補聴器)の音量を下げる機能である。プロセッサ22は、ノイズキャンセル機能を実行すると共に、音量を下げてもよい。
【0124】
また、自律神経(例えば交感神経や副交感神経)のバランスを正常に保つことで、聴力を維持したり回復したりすることが可能な場合がある。プロセッサ22は、自律神経のバランスを正常に保つ手法をユーザに提案してもよい。
【0125】
プロセッサ22は、聴力を回復するための複数の機能を同時に実行してもよいし、予め定められた時間にわたって1つの機能を実行し、当該機能の実行が終了した後に、予め定められた時間にわたって別の機能を実行してもよい。
【0126】
プロセッサ22は、ユーザの指示に従って、聴力を回復するための機能を実行してもよい。例えば、プロセッサ22は、聴力を回復するための複数の機能を示す情報を、UI18の表示装置や、ユーザの端末装置の表示装置等に表示させる。プロセッサ22は、当該複数の機能の中からユーザによって選択された機能を実行する。もちろん、プロセッサ22は、ユーザの指示を受けずに、聴力を回復するための機能を実行してもよい。
【0127】
プロセッサ22は、ユーザの生体情報に基づいて、ユーザの聴力の回復の具合を推定してもよい。例えば、プロセッサ22は、聴性脳幹反応検査又は聴性定常反応検査によって、聴力の回復の程度(換言すると、難聴の程度)を推定してもよいし、生体情報の一例である脳波が、聞こえ難いことを示しているか否かによって、聴力の回復の程度を推定してもよい。プロセッサ22は、その回復の程度に応じて、聴力を回復するための機能を実行する時間の長さを変えてもよいし、聴力を回復するための同じ機能を繰り返し実行してもよいし、聴力を回復するための機能を変えてもよいし、聴力を回復するための機能を追加で実行してもよい。
【0128】
プロセッサ22は、ユーザの属性、ユーザの行動の履歴、及び、機器14の稼働の履歴に基づいて、ユーザが難聴になった原因を推定し、その原因に応じた、聴力を回復するための機能を実行してもよい。例えば、食事が原因で聴力が衰えていると推定された場合、プロセッサ22は、聴力を回復するための食事をユーザに提案する。また、睡眠不足が原因で聴力が衰えていると推定される場合、プロセッサ22は、睡眠をユーザに促す。また、飲酒や喫煙が原因で聴力が衰えていると推定される場合、プロセッサ22は、飲酒の量や喫煙の量を減らすことをユーザに提案する。
【0129】
また、ユーザが難聴であると判断された場合において、その難聴の種類(例えば、感音性難聴、伝音性難聴、又は、混合性難聴)が推定される場合、プロセッサ22は、難聴の種類を示す情報を表示装置に表示させてもよいし、当該情報を音声として出力してもよい。プロセッサ22は、難聴の種類に応じた、聴力を回復するための機能を実行してもよい。例えば、感音性難聴は、内耳に問題がある場合に発症する場合があるため、プロセッサ22は、ユーザが感音性難聴である場合、内耳に作用する、聴力を回復するための機能を実行してもよい。また、伝音性難聴は、外耳から中耳までの部位に問題があるときに発症する場合があるため、プロセッサ22は、ユーザが伝音性難聴である場合、外耳から中耳までの部位に作用する、聴力を回復するための機能を実行してもよい。プロセッサ22は、難聴の種類に応じた、聴力を回復するための機能をユーザに提示してもよい。
【0130】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0131】
10情報処理装置、12生体情報測定装置、14機器、22プロセッサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7