(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】動画配信システムおよび動画配信装置
(51)【国際特許分類】
H04N 21/239 20110101AFI20241220BHJP
H04N 21/2187 20110101ALI20241220BHJP
H04N 21/854 20110101ALI20241220BHJP
【FI】
H04N21/239
H04N21/2187
H04N21/854
(21)【出願番号】P 2024560219
(86)(22)【出願日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 JP2024028584
【審査請求日】2024-10-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522021468
【氏名又は名称】株式会社TOMODY
(74)【代理人】
【識別番号】100152630
【氏名又は名称】東 智朗
(72)【発明者】
【氏名】冨森 健史
(72)【発明者】
【氏名】倉内 浩昌
(72)【発明者】
【氏名】間形 響平
(72)【発明者】
【氏名】桂 ▲隆▼俊
【審査官】鈴木 順三
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-049561(JP,A)
【文献】特許第6305614(JP,B1)
【文献】特開2015-005064(JP,A)
【文献】特開2009-265744(JP,A)
【文献】特開2018-125027(JP,A)
【文献】特開2005-122637(JP,A)
【文献】特開2011-259184(JP,A)
【文献】特開2018-026152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して商取引に関する動画を配信する動画配信システムであって、
前記動画配信システムは、販売者端末と、購入者端末と、動画配信装置と、
を備えており、
前記販売者端末は、
前記動画を撮像する撮像部と、
前記動画を前記動画配信装置へ送信する動画送信部と、
を有し、
前記動画配信装置は、
前記販売者端末で撮影された前記動画を前記販売者端末から受信する動画受信部と、
前記動画受信部によって受信した前記動画を、前記購入者端末へストリーミング配信する動画配信部と、
前記購入者端末から購入情報を受信する購入情報受信部と、
前記購入情報を記録する購入情報記録部と、
を有し、
前記購入者端末は、
前記動画配信部からストリーミング配信された前記動画を受信するストリーミング受信部と、
前記ストリーミング受信部で受信された前記動画を表示する購入者表示部と、
前記購入者表示部と重畳するタッチパネルによって構成され、前記動画内における購入者が購入を希望する物品の購入指示を、前記購入者による前記タッチパネルの該当する領域へのタッチによって受け付ける入力受付部と、
前記入力受付部で受け付けた前記購入指示による前記動画内のフレームおよび領域に存在する前記物品の輪郭を抽出し、前記輪郭に沿って前記フレームから前記物品の画像を抽出する物品画像生成部と、
前記購入者が前記物品の購入希望価格を含む情報を、前記購入者に入力させるための画面を前記購入者表示部に表示させ、前記情報を受け付ける情報受付部と、
前記物品画像生成部で生成された物品画像と、前記情報受付部で受け付けた前記情報と、前記物品についての取引状況とを、前記購入情報として前記動画配信装置に送信する購入者購入情報送受信部と、
を有し、
前記動画配信部は、前記購入情報記録部の前記物品画像と前記動画の各フレームを比較し、前記動画内における前記物品画像に相当する物品を抽出し、前記抽出された物品の前記動画内における表示態様を変更するとともに、前記購入希望価格と前記取引状況の少なくともいずれかを前記物品に隣接した領域に重畳して表示した動画を生成する機能を有する動画配信システム。
【請求項2】
前記動画配信装置は、
前記購入者端末との間で、前記購入情報を送信する購入情報送信部をさらに有し、
前記販売者端末は、
前記動画配信装置との間で、前記購入情報を送受信する販売者購入情報送受信部と、
前記購入情報を記憶する販売者購入情報記録部と、
前記販売者購入情報送受信部で受信した前記購入情報について、前記購入希望価格での前記物品の販売を承認するかについての判断を入力させるための購入情報確認画面を表示し、販売者からの入力を受け付ける販売者表示部と、
をさらに有し、
前記販売者購入情報送受信部は、前期承認の結果によって前期購入情報の取引状況を更新して前期動画配信装置へ前期購入情報を送信し、
前記動画配信部は、前記動画内における前記物品の表示態様を、前記購入情報内の取引状況に応じて変更した動画を生成する機能を有する請求項1に記載の動画配信システム。
【請求項3】
前記入力受付部は、
前記購入指示を受け付けた時点における前記動画内のフレームにて前記動画を一時停止した状態にて前記購入者表示部に表示させ、前記領域における前記タッチが所定時間継続したことによって前記購入指示が完了したと判断する機能を有する請求項1または2に記載の動画配信システム。
【請求項4】
前記動画配信部における前記物品の表示態様は、前記抽出された物品の輪郭を強調した態様である請求項1または2に記載の動画配信システム。
【請求項5】
商取引に関する動画を配信する動画配信装置であって、
販売者端末で撮影された前記動画を前記販売者端末から受信する動画受信部と、
前記動画受信部によって受信した前記動画を、購入者端末へストリーミング配信する動画配信部と、
購入者が前記購入者端末を介して購入を指示した前記動画中の物品の画像および前記物品の価格を含む購入情報を前記購入者端末から受信する購入情報受信部と、
前記購入情報を記録する購入情報記録部と、
を有し、
前記動画配信部は、前記購入情報記録部の前記物品の画像と前記動画の各フレームとを比較し、前記物品の画像と一致する前記動画内における物品を抽出し、前記抽出された物品の表示態様を変更するとともに、前記購入情報のうち前記
物品の価格を前記物品に隣接した領域に重畳した動画を生成する機能を有する動画配信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子商取引に関するものであり、特にライブストリーミング技術を用いた動画配信システムおよび動画配信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを利用した電子商取引(eコマース)の普及に伴い、消費者がオンラインで商品を購入する機会が増加している。従来の電子商取引は、主にウェブサイトを通じて商品情報を提供し、消費者が商品を選択して購入するという形式で行われていた。
【0003】
例えば、特許文献1には、電子商取引における商品の表示方法およびその装置が開示されている。この技術は、ユーザーインターフェースを介して商品情報を提供し、消費者が商品の詳細を確認できるようにするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたシステムでは、リンク先である販売サイトが存在しない商品、例えば個人の所有物やリサイクル商品、美術品などの1点ものの商品の取引をしたい場合には、リンク先である商品の販売サイトを販売者が用意する必要があった。このことは販売者にとって労力や費用などの面でのコストが大きく、また、販売サイトの準備に時間がかかるため、販売者が商品を即時に売りたい時に対応できず商機を逃すことなどが問題であった。
【0006】
また、商品に対する販売サイトが存在する場合であっても、販売者が動画内でのリンク情報の作成および更新に関してメンテナンス作業をする必要があった。商品情報の変更や新商品の追加、販売リンクのURLの変更などの度にメンテナンス作業を行う必要があり、販売者の大きな負担となっていた。
【0007】
一方で、購入者の視点として、動画内に表示されるリンク情報の正確性が求められる。購入者がリンク切れの商品をクリックした際に、正確な商品ページが表示されなかった場合、購買意欲の喪失を引き起こすおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、販売者が事前に商品の情報を用意することなく、商取引を行うことを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による動画配信システムは、ネットワークを介して商取引に関する動画を配信する動画配信システムであって、前記動画配信システムは、販売者端末と、購入者端末と、動画配信装置と、を備えており、前記販売者端末は、前記動画を撮像する撮像部と、前記動画を前記動画配信装置へ送信する動画送信部と、を有し、前記動画配信装置は、前記販売者端末で撮影された前記動画を前記販売者端末から受信する動画受信部と、前記動画受信部によって受信した前記動画を、前記購入者端末へストリーミング配信する動画配信部と、前記購入者端末から購入情報を受信する購入情報受信部と、前記購入情報を記録する購入情報記録部と、前記購入情報を前記販売者端末へ送信する購入情報送信部と、を有し、前記購入者端末は、前記動画配信部からストリーミング配信された前記動画を受信するストリーミング受信部と、前記ストリーミング受信部で受信された前記動画を表示する購入者表示部と、前記購入者表示部と重畳するタッチパネルによって構成され、前記動画内における前記購入者が購入を希望する物品の購入指示を、前記購入者による前記タッチパネルの該当する領域へのタッチによって受け付ける入力受付部と、前記入力受付部で受け付けた前記購入指示による前記動画内のフレームおよび領域に存在する前記物品の輪郭を抽出し、前記輪郭に沿って前記フレームから前記物品の画像を抽出する物品画像生成部と、前記購入者が物品の購入希望価格を含む情報を、前記購入者に入力させるための画面を前記購入者表示部に表示させ、前記を受け付ける情報受付部と、前記物品画像生成部で生成された物品画像と、前記情報受付部で受け付けた前記情報と、前記物品についての取引状況とを、前記購入情報として前記動画配信装置に送信する購入者購入情報送受信部と、を有し、前記動画配信部は、前記購入情報記録部の前記物品画像と前記動画の各フレームを比較し、前記動画内から前記物品画像に相当する物品を抽出し、前記抽出された物品の前記動画内における表示態様を変更するとともに、前記購入希望価格と前記取引状況の少なくともいずれかを前記物品に隣接した領域に重畳して表示した動画を生成する機能を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明による動画配信システムは、前記動画配信装置の前記購入情報送信部は、前記購入者端末に前記購入情報を送信する機能をさらに有し、前記販売者端末は、前記動画配信装置から前記購入情報を送受信する販売者購入情報送受信部と、前記購入情報を記憶する販売者購入情報記録部と、前記販売者購入情報送受信部で受信した前記購入情報について、前記購入希望価格での前記物品の販売を承認するかについての判断を入力させるための購入情報確認画面を表示し、販売者からの入力を受け付ける販売者表示部と、をさらに有し、 前記販売者購入情報送受信部は、前期承認の結果によって前期購入情報の取引状況を更新して前期動画配信装置へ前期購入情報を送信し、前記動画配信部は、前記動画内における前記物品の表示態様の態様を、前記購入情報内の取引状況に応じて変更した動画を生成する機能を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明による動画配信システムは、前記入力受付部は、前記購入指示を受け付けた時点における前記動画内のフレームにて前記動画を一時停止した状態にて前記購入者表示部に表示させ、前記領域における前記タッチが所定時間継続したことによって前記購入指示が完了したと判断する機能を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明による動画配信システムは、前記動画配信部における物品の表示態様は、前記抽出された物品の輪郭を強調した態様であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明による動画配信装置は、商取引に関する動画を配信する動画配信装置であって、販売者端末で撮影された前記動画を前記販売者端末から受信する動画受信部と、前記動画受信部によって受信した前記動画を、購入者端末へストリーミング配信する動画配信部と、購入者が前記購入者端末を介して購入を指示した前記動画中の物品の画像および前記物品の価格を含む購入情報を前記購入者端末から受信する購入情報受信部と、前記購入情報を記録する購入情報記録部と、前記購入情報記録部の前記購入情報を前記販売者端末へ送信する購入情報送信部と、を有し、前記動画配信部は、前記購入情報記録部の前記画像と前記動画の各フレームを比較し、前記動画に保存している前記画像と一致する前記動画内の物品を抽出し、前記抽出された物品の表示態様を変更するとともに、前記購入情報のうち前記画像情報以外の情報を前記物品に隣接した領域に重畳した動画を生成する機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の動画配信システムおよび動画配信装置によれば、販売者側にて販売する商品に関するリンク情報の事前設定を行うことなく、即座に商取引を開始することができる。また、購入者と販売者がリアルタイムで販売者とインタラクティブなコミュニケーションを取ることで商品取引を成立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態である動画配信システム1の全体図である
【
図2】動画配信システム1の一部を形成する販売者端末2の構成図である
【
図3】動画配信システム1の一部を形成する購入者端末3の構成図である
【
図4】動画配信システム1の一部を形成する動画配信装置4の構成図である
【
図5】動画配信システム1を利用した商取引に関するフローチャートである
【
図6】販売者と購入者間の価格交渉に関するフローチャートである
【
図8】購入者が購入を希望する商品を選択する際の操作を示す一例である
【
図10】購入者が購入情報を入力した後の配信動画の一例である
【
図12】購入者が購入情報を入力した後の配信動画の一例である
【
図15】交渉金額を入力可能な提案承認画面の一例である
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態1]
本発明の一実施形態である動画配信システムについて、図面を用いて以下に説明する。本発明の一実施形態である動画配信システム1の全体図を
図1、
図1に示す動画配信システム1の一部を形成する販売者端末2の構成図を
図2、動画配信システム1の一部を形成する購入者端末3の構成図を
図3、動画配信システム1の一部を形成する動画配信装置4の構成図を
図4にそれぞれ示す。
【0017】
本発明に係る動画配信システム1は、
図1に示す様に商品の販売を行う販売者が操作する販売者端末2と、販売者が販売する商品を購入する購入者が操作する購入者端末3と、販売者と購入者の間の商取引に関する各種情報の取り扱いを行う動画配信装置4から構成されている。販売者端末2、購入者端末3および動画配信装置4は、
図1に示す様にネットワークNTを介して互いに接続されている。以下、販売者端末2、購入者端末3、動画配信装置4の各詳細について説明する。
【0018】
<販売者端末2>
販売者端末2は、販売者が操作することにより商品をリアルタイムで紹介し、購入者との取引を行うためのデバイスである。販売者端末2は、後述する複数の機能部(撮像部21,動画送信部22,購入情報送受信部23,販売者購入情報記憶部24,販売者表示部25)を備える。販売者端末2としては、パソコン、タブレット端末、スマートフォンなどを用いることができる。次に、販売者端末2を形成する各機能部の詳細について以下に説明する。
【0019】
(撮像部21)
撮像部21は、販売者が紹介する商品の映像を撮影するための機能を持つ。撮像部21は、販売者端末2を構成する他の部位と一体になった、例えばスマートフォンのような形態でもよく、配信者端末2にビデオカメラやデジタルカメラなどが接続される形態で撮像部21が構成されてもよい。例えば、撮像部21に撮像の専用装置であるビデオカメラを使用することで、スマートフォンに比して視角やズーム機能が充実させることができ、商品を様々な角度から詳細に紹介することができる。
【0020】
(動画送信部22)
動画送信部22は、撮像部21で撮影された映像(動画)をリアルタイムで動画配信装置40に送信する。動画送信部22は、有線または無線による通信手段によりネットワークNTと接続されている。
【0021】
また、動画送信部22は、種々のデータ圧縮技術を採用することで、高画質の動画データを、回線容量を効率的に使いながらネットワークに送信することができる。販売者端末は複数の撮像部21を備えることができ、動画送信部22は、複数の撮像部21によって撮像された動画を1つの動画に編集して配信したり、複数チャンネルによって複数の動画を同時に送信し、異なる視点からの商品紹介を一度に配信したりしてもよい。
【0022】
(購入情報送受信部23)
購入情報送受信部23は、動画配信装置4との間でネットワークNTを介して購入情報を送受信する。購入情報は、購入者のユーザー情報、購入者が購入を希望する商品の情報や購入を希望する価格、取引状況などから構成される。これにより、販売者は購入者の希望を即座に把握し、適切な対応を取ることができる。
【0023】
また、購入情報送受信部23は、複数の購入者からの情報を同時に処理でき、複数の購入者との取引管理を行う。受信した購入情報を販売者購入情報記録部24に保存し、参照することもできる。
【0024】
また、購入情報には購入者からの質問やリクエストなどの情報を含めることができ、購入情報送受信部23はそれらの情報を受信することで、販売者とのコミュニケーションを行うことができる。
【0025】
(販売者購入情報記録部24)
販売者購入情報記録部24は、受信した購入情報を保存する。販売者購入情報記録部24は、データベースから構成されており、複数の購入情報を記録する。
【0026】
また、販売者購入情報記録部24は、検索機能を持ち、特定の購入情報を抽出することができる。配信中の動画に対応する購入情報を抽出したり、動画配信終了後に商品を出荷する際に、購入情報を参照したりすることができる。販売者購入情報記憶部24は、情報の喪失を防ぐためにバックアップ機能を備える。また、セキュリティやプライバシー保護のため、購入情報は暗号化された状態で記録される。
【0027】
(販売者表示部25)
販売者表示部25は、販売者端末2のディスプレイに動画送信部22によって配信される動画および販売者購入情報記憶部24の購入情報を表示する。販売者表示部25は、購入情報や在庫状況、顧客からのメッセージなどを見やすく配置して表示する。
【0028】
販売者表示部25は、ディスプレイに重畳して構成されたタッチスクリーン機能を備えることもできる。これにより、販売者端末2のディスプレイをタッチして購入情報を表示画面で表示させて確認したり、ソフトウエアキーボードにより文字や数字を入力したりすることができる。
【0029】
さらに、販売者表示部25は販売者の好みに合わせて設定が可能であり、重要な情報を強調表示する機能や、アラート機能を備えることができる。これにより、販売者は重要な情報を見逃すことなく、最適な顧客対応を行うことができる。
【0030】
<購入者端末3>
購入者端末3は、動画配信システム1において購入者が操作するデバイスである。購入者端末3は、ストリーミング受信部31,購入者表示部32,入力受付部33,物品画像生成部34,情報受付部35,購入情報送受信部36,在庫情報受付部37を備える。購入者端末3としては、パソコン、タブレット端末、スマートフォンなどを用いることができる。以下に各機能部について説明する。
【0031】
(ストリーミング受信部31)
ストリーミング受信部31は、動画配信装置4からネットワークNTを介して動画配信装置4からリアルタイムで動画を受信する。
【0032】
(購入者表示部32)
購入者表示部32は、ストリーミング受信部31から受け取った動画および購入情報を購入者端末3のディスプレイ上に表示する。
【0033】
(入力受付部33)
入力受付部33は、購入者が購入者端末3のタッチパネル式の画面を通じて行う購入指示を受け付ける。入力受付部33は、購入者表示部32のディスプレイに重畳されるタッチパネルによって構成される。購入者は動画内における物品の表示箇所をタッチすることにより、購入を希望する物品に該当する動画内の位置を選択する。購入指示においては、購入者は動画内における物品の表示箇所をタッチした時点のフレームにて購入者表示部における表示を静止画にて表示し、当該領域のタッチが所定時間継続していることを入力受付部が検出したことによって、購入指示がされたものと判断してもよい。また、購入者は動画内における物品の表示箇所の周囲を円で囲むように指をスライドさせることにより購入指示をし、入力受付部33が、購入者の指の当該ジェスチャを検出したことによって購入指示がされたものと判断してもよい。
【0034】
(物品画像生成部34)
物品画像生成部34は、入力受付部33で受け付けた購入指示に基づいて、動画内の物品の画像を生成する。物品画像生成部34は、購入者が画面上で選択した動画内の位置に基づき、周辺の輪郭を抽出して、購入者が購入を希望する物品の画像を生成する。輪郭抽出においては、所定の位置の周辺のエッジ検出を行う方法や、パターンマッチング、機械学習による物体認識アルゴリズムなどを用いることができる。
【0035】
(情報受付部35)
情報受付部35は、購入者が希望する価格などの情報を入力するための画面を購入者端末3に表示し、購入者が画面に入力した情報を受け付ける。入力では、画面上に図示しないソフトウエアキーボードを表示し、購入者がタッチパネルによってソフトウエアキーボードを操作することにより文字の入力を受け付ける。購入者が入力する情報には、購入者のユーザー情報、商品の希望購入価格、販売者へのメッセージなどが含まれる。
【0036】
(購入情報送信部36)
購入情報送信部36は、生成された物品画像と受け付けた情報を関連付けて、購入情報として動画配信装置4に送信する。購入情報には、情報受付部35によって受け付けた購入者のユーザー情報、商品の希望購入価格、販売者へのメッセージなどが含まれる。また、購入者端末3の機能により、購入者端末3の電話番号やIPアドレス、メールアドレスなどを購入者情報に付加してもよい。購入情報送信部36は、データの送信においてプライバシーとセキュリティを確保するために、暗号化技術を使用することができる。
【0037】
<動画配信装置4>
動画配信装置4は、前述した販売者端末2と購入者端末3を連携させる装置である。動画配信装置4は、複数の機能部(動画受信部41,動画配信部42,購入情報受信部43,購入情報記録部44,購入情報送信部45)から構成される。動画配信装置4は、
図1に示すようにネットワークNTを介して販売者端末2と購入者端末3に接続されており、1つの販売者端末2からの動画配信につき、複数の購入者端末3が接続され、商取引を行うことができる。以下に各機能部について詳細に説明する。
【0038】
(動画受信部41)
動画受信部41は、販売者端末から送信される動画データを受信する。動画受信部41は、受信した動画データをバッファする機能を有し、バッファした動画のデータを随時動画配信部42に送信する。
【0039】
(動画配信部42)
動画配信部42は、動画受信部41受信した動画データを、リアルタイムでストリーミング配信可能な動画形式にエンコードし、1つないし複数の購入者端末3に対して配信する。エンコードは、HLSやMPEG-DASHなどのストリーミングプロトコルにより動画データを数秒ごとに分割し、エンコーディング基準H.264によりストリーミングに適したファイルサイズに圧縮されることによって行われる。動画配信部42は、ネットワーク管理機能を備えており、ネットワークの通信環境に応じた圧縮率や解像度、フレームレートを選択してエンコードを行って配信を行うことができる。また、ネットワーク状況に応じて、最適な通信環境を選択して配信を行うことができる。
【0040】
さらに、動画配信部42は、後述する購入情報記録部44に記録された購入情報内の物品画像と、動画の各フレームを比較する機能を備える。この比較機能により、動画内における購入者が購入を希望する物品を特定し、該当する物品の表示態様を変更した動画を生成してストリーミング配信する。具体的には、動画内で特定された購入情報内の物品について
図10に例示するように、動画内で該当物品の輪郭が強調され、購入情報内の物品画像以外の情報を該当物品の隣接領域に重畳表示した動画を生成する。この機能により、購入者は動画を視聴しながら、リアルタイムで物品の詳細情報を確認することができ、購買意欲を高めることが可能となる。
【0041】
(購入情報受信部43)
購入情報受信部43は、購入者端末3から送信される購入情報を受信する。購入者が購入を希望する物品の情報、例えば価格や在庫情報などは、この部位で受信される。購入情報受信部43は、受信した情報を購入情報記録部44へ渡す。購入情報の受信については、セキュリティとプライバシー保護のために、暗号化技術を使用して通信を行うこともできる。
【0042】
(購入情報記録部44)
購入情報記録部44は、販売者端末2および購入者端末3から受信した購入情報を記録する。購入情報記録部44は、購入情報受信部43から受信した購入情報をデータベースに保存する。保存された購入情報は、ストリーミング動画の生成や販売者への購入情報の通知のために利用される。また、データの信頼性を維持するために定期的なバックアップとデータ整合性のチェックを行う機能を有する。
【0043】
(購入情報送信部45)
購入情報通知部45は、記録された購入情報を販売者端末2および購入者端末3へ送信する。購入情報通知部45により、購入者から受信した購入希望情報を販売者および購入者に通知することができる。
【0044】
次に、図を参照しながら、本発明の動画配信システムを利用した商取引に関する一連の流れを説明する。まず、
図5を参照しながら、配信が開始されてから、購入者による動画内の購入希望商品が指定されるまでの動作の一例について説明する。
【0045】
<ステップS001:販売者が動画の配信を開始する>
販売者端末2は、動画配信装置4にアクセスし、購入者端末3へのストリーミング配信を開始する。配信先の購入者端末3については、購入者が事前に配信を行う旨を告知して当該動画配信装置4のチャンネルと開始日時等の情報を知らせておき、購入者端末3から動画配信装置4にアクセスすることによって接続が確立される。また、あらかじめストリーミング配信の日時と接続先の購入者端末3の情報が動画配信装置4に記録されており、配信の開始時間になると動画配信装置4から購入者端末3にアクセスして配信が開始されてもよい。
【0046】
<ステップS002:販売者による動画の撮像>
販売者端末2に備えられた撮像部21を使用して、商品が映っている動画を撮影する。撮影される動画の一例としては
図7に示すものが挙げられる。
図7に示す例では、販売者が帽子,腕時計,書籍,コーヒーカップセット,デジタルカメラの5点の商品をテーブル上に陳列した上で撮影されている。これに限らず、販売者が映り込んで商品を手に取りながら動画が撮影されてもよく、また、販売者が販売を意図しない物品が移っていてもよい。撮影された動画は、動画送信部22を通じて動画配信装置へ送信される。動画の送信は撮影中随時行われ、その間ストリーミング配信は継続する。
【0047】
<ステップS003:購入情報有無の判断>
動画配信装置4の動画受信部41は、販売者端末2から送信された動画を受信する。次に、動画配信装置4の動画配信部42は、受信した動画を購入情報記録部44に購入情報が存在するかを判断する。購入情報が存在しない場合、受信した動画をストリーミングに適した形式にエンコードして購入者端末3へストリーミング配信し、ステップS004へ進む。購入情報記録部44に購入情報が存在する場合は、ステップS031へ進む。
【0048】
<ステップS0031:購入情報を重畳した動画の配信>
動画配信部42は、購入情報記録部44から購入情報を取得する。取得した購入情報の物品画像と、動画の各フレームを比較し、動画のフレームに購入情報の物品画像に該当する物品が存在する場合には、該当する物品の表示態様を変更した動画を生成する。具体的には
図10に例示するように、動画内で特定された購入情報に相当する物品について動画内で該当物品の輪郭が強調されるとともに、購入情報内の物品画像以外の情報を該当物品の隣接領域に重畳表示した動画を生成する。表示される情報は具体的には、物品に対する購入者の購入希望価格と、物品に対する取引状況(取引成立、交渉中など)である。動画配信部はそれらの情報を該当する物品の表示個所の周囲であって、表示する情報が物品と重ならない領域に重畳されるように動画を生成する。
図10の例では、帽子と本について輪郭が強調された態様にて表示されており、「帽子」については購入価格が1500円で価格交渉中であり、現在交渉中の価格が「帽子」の左側領域に表示されている。さらに「本」については取引状況が取引成立であり、隣接する右上の領域に「売り切れ」である旨の表示がされている。動画配信部は、生成した動画をストリーミングに適した形式にエンコードして購入者端末へストリーミング配信する。
【0049】
動画内で該当物品の輪郭の強調方法や購入情報内の物品画像以外の情報の表示については、
図10の例に限らない。例えば、
図12に示すように、物品の周囲をカーソルで囲んで強調表示することや、交渉が成立し、売り切れの商品については該当商品をグレーアウトして表示することなどが考えられる。
【0050】
<ステップS004:購入者が動画を視聴する>
購入者端末3は、動画配信装置4からストリーミング配信された動画をストリーミング受信部31により受信し、購入者表示部31に動画を表示する。購入者が視聴する動画の一例を
図7に示す。
図7に示す例は、動画配信装置4の購入情報記録部44に購入情報が存在しなかった場合の例である。動画配信装置4の購入情報記録部44に購入情報が存在する場合は、
図10のように購入情報が存在する物品の表示態様が変化した状態で動画が表示される。
【0051】
購入者は、表示された動画を視聴し、動画内に興味のある物品があるかを確認する。購入者が動画内の物品に興味があり、購入を希望する場合はステップS005に進む。なお、購入者が動画内の物品に興味がない場合は、ステップS001とステップS002による動画の配信処理が継続され、販売者端末からのストリーミング配信が終了した時点で、購入者の動画の視聴も終了する。
【0052】
<ステップS005:購入者が購入を希望する商品を選択する>
購入者は、動画内に購入を希望する商品を見つけた場合、購入者端末3のタッチパネルを使用して、購入したい商品の領域をタッチする。購入者端末3の入力受付部33は、購入者によるタッチを検出し、該当する商品の購入指示を受け付ける。入力受付部33にて購入指示が受け付けられると、物品画像生成部34は、購入指示がされた商品の輪郭を抽出し、物品画像を生成する。
【0053】
購入者が購入を希望する商品を選択する際の一例を
図8に示す。購入者は、動画中のテーブル上に陳列されている帽子,腕時計,書籍,コーヒーカップセット,デジタルカメラの5点の商品の中から、例えば「帽子」を購入したい場合には、スマートフォンなどの購入者端末3の画面上の「帽子」が表示されている領域を指でタッチして購入指示を行う。また、前述のとおり「帽子」が表示されている領域を所定時間継続したり、「帽子」を囲むように指をスライドさせるなどのジェスチャによって購入指示が行われたりしてもよい。
【0054】
<ステップS006:購入者が購入情報を入力する>
購入者端末3の情報受付部35は、購入者が商品を購入するための情報入力画面51を購入者表示部32に表示する。購入者は、この画面を使用して、ユーザー名や購入希望価格などを入力する。購入者購入情報送受信部36は、入力された情報と、物品画像生成部34によって生成された物品画像とともに購入情報としてまとめ、購入情報内の取引状況を「交渉中」として、動画配信装置4に送信する。
【0055】
情報入力画面51の一例を
図9に示す。購入者が、
図8に示す動画中において、購入者端末の画面上で「帽子」を選択した場合、情報入力画面51には「帽子」の物品画像とともにユーザー名、購入希望価格、メッセージの入力欄が表示される。購入者は、情報入力画面51の入力欄に入力受付部33を介して購入者のユーザー名,購入希望価格およびメッセージを入力する。なお、情報入力画面51では、「ユーザー名:カイト」、「購入希望価格:1,500円」、「メッセージ:おねがいします。」という入力例を示しているが、情報入力画面51の項目はその他の項目があってもよい。つまり、購入情報にはユーザー名や購入希望価格、メッセージ以外の項目を含むことができる。
【0056】
また、当該画面の下欄には、「購入する」、「キャンセル」の2つの選択肢が表示されており、いずれかの選択肢をタッチすることで購入者の判断を行うことができる。購入者が「購入する」の選択肢をタッチした場合、情報受付部35は入力された情報を購入情報として受け付ける。「キャンセル」をタッチした場合は、情報入力画面51の表示が消え、購入指示が取り消される。購入指示の取り消し後はストリーミングの視聴が継続される。
【0057】
<ステップS007:販売者への購入情報の通知>
動画配信装置4の購入情報受信部43は、購入者端末3から送信された購入情報を受信する。受信した購入情報は、取引状況を「交渉中」として購入情報記録部44に記録される。次に、購入情報送信部45が、記録された購入情報を販売者端末2へ送信する。販売者端末2の販売者購入情報送受信部23は、動画配信装置4から送信された購入情報を受信し、販売者購入情報記録部24に記憶する。
【0058】
以上ステップS001からステップS007の処理により、購入者の購入希望商品とその購入情報が販売者に通知される。次に、
図6を参照しながら販売者が購入情報を受け取った以後の購入者との取引について説明する。
【0059】
<ステップS008:販売者による購入情報の承認>
販売者表示部25は、販売者購入情報記録部24内の購入情報を取得し、購入情報についての承認を受け付ける購入情報確認画面52を表示する。購入情報確認画面52により販売者は購入者のユーザー名や購入希望価格などの情報を確認し、承認することができる。
【0060】
購入情報確認画面52の一例を
図11に示す。
図11に示すとおり、購入情報確認画面52が販売者端末2の販売者表示部25に表示される。販売者は、購入者が希望する購入希望価格に承認する場合には、画面の下欄に表示される「はい」の選択肢のボタンをタッチすることで、取引が成立する。取引が成立した場合は、ステップS014へ進む。
【0061】
販売者は購入者の入力した購入希望価格に対して承認できない場合には、「いいえ」の選択肢のボタンにタッチし、その後ステップS009に進む。
【0062】
<ステップS009:販売者の価格交渉開始の判断>
購入情報確認画面52において販売者が「いいえ」を選択した場合、販売者表示部25は
図13に示す交渉画面53を表示して、購入者からの購入情報を拒否するか、購入者と交渉するかの判断を受け付ける。
【0063】
交渉画面53に対して、販売者による提案価格、その他の情報の入力が行われ、「はい」ボタンの入力を受け付けると、販売者購入情報送受信部23は、当該商品についての購入情報を、取引状況を「交渉中」、購入希望価格を再提案価格として動画配信装置4に送信し、ステップS010へ進む。
【0064】
「いいえ」を選択した場合は、販売者購入情報送受信部23は、当該商品の購入情報を「交渉不成立」として販売者購入情報記憶部24に記録するとともに、動画配信装置4に送信する。これにより取引は終了する。取引終了後は、ステップS001とステップS002による動画の配信処理が継続され、販売者端末2からのストリーミング配信が終了した時点で、購入者の動画の視聴も終了する。
【0065】
<ステップS010:販売者からの交渉価格の受信>
動画配信装置4の購入情報送信部45は、購入情報を受信し、購入情報の取引状況を「交渉中」として、購入情報記録部44に記録する。購入情報記録部44への記録後、購入情報送信部45は購入情報を購入者端末3に送信する。購入者端末3の購入者購入情報送受信部36は、購入情報を受信する。
【0066】
<ステップS011:購入者による交渉価格の承認>
購入者端末3の購入者表示部32は
図14に示す提案承認画面54を表示する。提案承認画面54は、販売者の提案を承認するか、承認しないかの購入者のいずれかの判断を受け付ける。提案承認画面54において、購入者が販売者の提案を承認する場合は、当該商品の交渉が成立したこととなり、ステップS014へ進む。承認しない場合は、ステップS012へ進む。
【0067】
<ステップS012:購入者の再提案の判断>
購入者表示部32は、提案承認画面53の表示を変更し、価格の再提案を行うか販売者からの購入希望を拒否するかの選択を受け付ける(図示せず)。価格交渉画面53により「価格の再提案」が選択された場合は、ステップS013へ進む。
【0068】
価格交渉画面53により「拒否する」が選択された場合は、購入者端末3の購入者購入情報送受信部は、当該商品についての購入情報の取引状況を「交渉不成立」とし、動画配信装置4へ送信する。動画配信装置4は、購入情報受信部43により購入情報を受け取り、当該商品についての購入情報を購入情報記録部44から削除する。その後価格交渉の取引を終了する。取引終了後は、ステップS001とステップS002による動画の配信処理が継続され、販売者端末2からのストリーミング配信が終了した時点で、購入者の動画の視聴も終了する。
【0069】
<ステップS013:購入価格の再提案>
新たな価格提案をする場合は、価格交渉画面54は、
図15に示すように、提案する購入価格およびメッセージの入力欄を表示し、購入者からの入力を受け受ける。購入者端末3の購入者購入情報送受信部36は、価格交渉画面54で受け付けた情報により当該商品についての購入情報を更新し、当該購入情報の取引状況を「交渉中」として、動画配信装置へ送信する。
【0070】
動画配信装置4は、購入情報受信部43により購入情報を受け付け、購入情報記録部44の情報を更新する。以後ステップS008に戻り、価格交渉が成立するまでステップS008からステップS013の処理を繰り返す。
【0071】
<ステップS014:取引成立処理>
販売者によって、購入情報が承認されると、販売者端末2の販売者購入情報記録部24は、購入情報を更新して取引が成立した旨を記録する。同時に購入者購入情報送受信部から更新された購入情報を動画配信装置4に送信する。動画配信装置4は、購入情報受信部43により購入情報を受信し、購入情報記録部44に当該購入情報の取引状況が「取引成立」として記録する。
【0072】
上記の処理フローにより取引処理が行われる。取引終了後は、ステップS001とステップS002による動画の配信処理が継続され、販売者端末からのストリーミング配信が終了した時点で、購入者の動画の視聴も終了する。
【0073】
ストリーミングの終了後、販売者は、購入者が入力した購入情報にもとづいて所定の方法により、商品の決済処理を行う。決済が完了すると、販売者は商品の発送手続きを行う。購入者端末に表示される購入情報には、購入者の情報、商品の価格に関する情報が含まれており、販売者はこれを参照して注文を処理する。
【0074】
商品の決済については、外部のサービスと動画配信システムが連携して、取引が成立した時点で購入者の商品代金の決済と商品の発送が自動的に手配されるようにしてもよい。
【0075】
以上説明したように、本実施形態によれば、販売者は事前に商品についてのデータベースやリンクを用意することなく、即座に商取引を開始することができる。また、購入者は動画内で目にした物品を直感的に選択することができ、購入者の購買意欲を高めることができる。
【0076】
[実施形態2]
実施形態1では、購入者と販売者が1対1での商取引について説明したが、本実施例では、販売者は、ストリーミング配信されている動画内の複数の商品に対して、それらの商品の購入を希望する複数の購入者と同時進行で商取引を行うことができる。販売者は複数の商品について複数の異なる購入者と商取引を行うことができ、同じ商品について複数の購入者と商取引を行うことができる。この場合、販売者は複数の購入者からの購入情報を受け付けることになるが、販売者が購入情報確認画面52によって承認を行った購入者と取引が成立する。
図10に示す画面の例では、販売者は「帽子」についての取引を行いながら、異なる購入者との間で「本」の購入に関する取引が進められており、「本」に関する取引が成立したことを示している。
【0077】
本実施形態における実施形態1との構成の相違点を以下で説明する。
【0078】
動画配信装置4の購入情報送信部45は、購入情報記録部内の購入情報が更新されると、更新された購入情報をすべての購入者端末3に送信する機能をさらに備える。
【0079】
購入者端末3は購入者購入情報記録部37をさらに備える。購入者購入情報送受信部は、動画配信装置4から送信された購入情報を受信し、購入者購入情報記録部37に記録する機能をさらに備える。
【0080】
販売者端末2の購入者購入情報送受信部23は、購入情報を動画配信装置4に送信する機能をさらに備える。
【0081】
本実施形態における処理の流れは
図5および
図6に示す実施形態1の処理フローと同様である。実施形態1と処理内容の異なるステップについて以下に説明する。
【0082】
<ステップS005:購入者が希望商品を選択する>
購入者端末3の入力受付部33は、動画内で表示態様が変更された物品について購入者のタッチによる指示を受け付ける。動画内で表示態様が変更された物品については、購入情報が存在するため、情報受付部33は、指示された物品に相当する購入情報を購入者購入情報記録部37から取得する。
【0083】
なお、入力受付部33は、取引が成立した物品については新たな取引は行われないため、購入者のタッチによる指示があってもタッチを受け付けない。例えば
図11の本については取引が成立している旨の購入情報として「売り切れ」の文字が表示されるとともに、表示形態が変更されて表示されている。購入者が、本が表示されている領域をタッチされても入力受付部33は、動作は行わない。なお、取引が成立している物品については、物品自体をグレーアウトするなどして、タッチできないことがより視認しやすい形態にて表示してもよい。
【0084】
<S005:購入者が購入情報を入力する>
情報受付部35は、指示された物品についての購入者購入情報記録部37から取得した購入情報とともに、購入者からの新たな購入情報を入力するための画面を購入者端末3に表示して購入者の入力を受け付ける。例えば、
図9の情報入力画面51に現在の交渉中の価格をあらたに表示し、ユーザー情報や購入希望価格、メッセージなどの入力受付項目の入力欄を受け付ける。入力された情報は、指示された物品に相当する購入情報の物品画像とともにあらたな購入情報としてまとめられ、購入者購入情報送受信部36を通じて動画配信装置4に送信される。
【0085】
<S008:販売者端末による購入情報の承認>
販売者表示部2は、販売者購入情報送受信部23により購入情報が受信されると、販売者購入情報記録部内24の購入情報を取得し、購入情報についての承認を受け付ける購入情報確認画面52を表示する。実施形態1では、購入情報確認画面52の「はい」の選択肢をタッチすることで取引が成立していたが、「はい」をタッチした場合、「承認」と「保留」、「交渉する」の3つ選択肢が表示され、販売者の選択を受け付ける。「承認」をタッチした場合は、取引が成立し、ステップS014へ進む。「交渉する」をタッチした場合は、ステップS009に進み、実施形態1と同様に価格交渉が進められる。
【0086】
「保留」をタッチした場合は、購入情報の取引状況を「保留」に更新して販売者購入情報記録部37に記録し、購入者購入情報送受信部36は、更新された購入情報を動画配信装置4に送信する。その後、ステップS002に戻り、ストリーミング配信を継続する。取引状況を「保留」とされた購入情報は、ステップS004にて
図10に示すような「帽子」の周辺領域に「1500円交渉中」の情報が表示された画像が生成されて購入者端末3に配信される。これにより購入者は他の購入者の交渉状況を参照できる。購入者はその商品を購入したい場合、ステップS004およびS005のとおり新たな購入情報を入力することで購入希望を送信することができる。以後購入情報が販売者によって承認され、取引が完了するまで同様のステップを繰り返す。
【0087】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の購入者が本実施形態の商取引に参加することができ、購入者は他の購入者が購入を希望した商品と価格についてリアルタイムで配信動画にて確認することができる。購入者はリアルタイムのオークションに参加する体験ができ、商取引をより楽しむことができる。販売者にとっては、商品をより高額に販売することが期待できる。
【0088】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合、組み合わせた効果が得られる。
【符号の説明】
【0089】
1 動画配信システム
2 販売者端末
21 撮像部
22 動画送信部
23 販売者購入情報送受信部
24 販売者購入情報記録部
25 販売者表示部
3 購入者端末
31 トリーミング受信部
32 購入者表示部
33 入力受付部
34 物品画像生成部
35 情報受付部
36 購入者購入情報送信部
37 購入者購入情報記録部
4 動画配信装置
41 動画受信部
42 動画配信部
43 購入情報受信部
44 購入情報記録部
45 購入情報送信部
46 価格交渉情報受信部
51 情報入力画面
52 購入情報確認画面
53 交渉画面
54 提案承認画面
NT ネットワーク
【要約】
動画配信システム1において、販売者端末2によって撮像された動画が、動画配信装置4によって購入者端末3にストリーミング配信される。購入者端末3は動画内の購入を希望する物品の指示を購入者のタッチ操作による指示を受け付ける入力受付部と、物品の購入希望価格等の入力を受け付ける情報受付部を備え、受け付けた情報を購入情報として購入者購入情報送受信部により動画配信装置4へ送信する。動画配信装置4の動画配信部は、受信した購入情報が存在する物品について、動画内における表示態様を変更してストリーミング配信を行う。