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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】鞍乗型車両用のブレーキ力制御ユニット
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/36 20060101AFI20241220BHJP
   B60T 8/171 20060101ALI20241220BHJP
   G01P 15/18 20130101ALI20241220BHJP
【FI】
B60T8/36
B60T8/171 Z
G01P15/18
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019221051
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021088328
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】池田 祐希
(72)【発明者】
【氏名】大高 順
(72)【発明者】
【氏名】原田 剛
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-056406(JP,A)
【文献】特開2017-013731(JP,A)
【文献】特開2019-196030(JP,A)
【文献】特開2018-131187(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10003832(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0057595(US,A1)
【文献】特開2018-131186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 8/32-8/96
B60T 7/12-8/1769
G01P 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗型車両(100)用のブレーキ力制御ユニット(60)であって、
前記鞍乗型車両(100)に生じさせるブレーキ力を調整するためのブレーキ力調整機構(37、38)と、
ブレーキ液の流路が形成されている基体(61)と、
電子部品(52)が実装されたプリント配線板(51)と、
を備えており、
前記ブレーキ力調整機構は、前記基体(61)に設けられた前記ブレーキ液の調圧機構(37、38)であり、
前記ブレーキ力調整機構(37、38)の動作を司る全ての前記電子部品(52)が、1枚の前記プリント配線板(51)に集約して実装されており、該プリント配線板(51)に、前記鞍乗型車両(100)に生じている少なくとも加速度、角度又は角速度を計測するセンサ(39)が実装されており
前記センサ(39)の出力信号は、シリアル通信によって前記電子部品(52)に受信される、
ブレーキ力制御ユニット。
【請求項2】
前記センサ(39)が実装されている前記プリント配線板(51)以外に、プリント配線板が設けられていない、
請求項1に記載のブレーキ力制御ユニット。
【請求項3】
前記調圧機構(37、38)は、前記流路に設けられたポンプ(31)を駆動するモータ(38)を含む、
請求項1に記載のブレーキ力制御ユニット。
【請求項4】
前記調圧機構(37、38)は、前記流路を開閉する調圧バルブ(36)を駆動するコイル(37)を含む、
請求項1~の何れか一項に記載のブレーキ力制御ユニット。
【請求項5】
更に、前記ブレーキ力調整機構(37、38)を収容するハウジング(70)を備えており、
前記ブレーキ力調整機構(37、38)は、前記ハウジング(70)の外側に突出する複数のピン(76)の少なくとも一部を介して、前記センサ(39)が実装されている前記プリント配線板(51)の前記電子部品(52)に電気的に接続され、
前記センサ(39)が実装されている前記プリント配線板(51)の前記ハウジング(70)から遠ざかる方向への移動が、前記複数のピン(76)のみによって規制されている、
請求項1~の何れか一項に記載のブレーキ力制御ユニット。
【請求項6】
前記センサ(39)は、慣性計測センサである、
請求項1~の何れか一項に記載のブレーキ力制御ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に生じている少なくとも加速度、角度又は角速度を計測するセンサがプリント配線板に実装された鞍乗型車両用のブレーキ力制御ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ブレーキシステムをアンチロックブレーキ動作させるためのブレーキ力制御ユニットが知られている。このブレーキ力制御ユニットは、車両の搭乗者がブレーキ操作部を操作している状態において、ブレーキ力調整機構の動作を制御して、車輪に発生するブレーキ力を調整する。ブレーキ力制御ユニットは、ブレーキ力調整機構の動作を制御するための電子部品が実装されたプリント配線板を備えている。そのプリント配線板に、車両に生じている少なくとも加速度、角度又は角速度を計測するセンサが実装されているものがある。そのようなものにおいては、ブレーキ力調整機構の動作を制御するための電子部品及びセンサが、複数枚のプリント配線板に分かれて実装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-29239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鞍乗型車両用のブレーキ力制御ユニットにおいて、鞍乗型車両に生じている少なくとも加速度、角度又は角速度を計測するセンサをプリント配線板に実装する際、従来のブレーキ力制御ユニットのように、ブレーキ力調整機構の動作を制御するための電子部品及びセンサを複数枚のプリント配線板に分けて実装する構成とした場合、鞍乗型車両の走行が他の車両(例えば、4輪車、トラック等)と比較して極めて不安定であることに起因して、より高速で且つ安定した通信が不可欠となるにも拘わらず、例えば、通信品質及び速度の不足、機械的な接続不良、外乱耐性の不足等が生じて、センサの出力に応じたブレーキ力の制御に支障をきたしかねない。
【0005】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、鞍乗型車両に生じている少なくとも加速度、角度又は角速度を計測するセンサがプリント配線板に実装された鞍乗型車両用のブレーキ力制御ユニットにおける、そのセンサの出力に応じたブレーキ力の制御の高速性及び安定性の確保を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るブレーキ力制御ユニットは、鞍乗型車両用のブレーキ力制御ユニットであって、前記鞍乗型車両に生じさせるブレーキ力を調整するためのブレーキ力調整機構と、電子部品が実装されたプリント配線板と、を備えており、前記ブレーキ力調整機構の動作を司る全ての前記電子部品が、1枚の前記プリント配線板に集約して実装されており、該プリント配線板に、前記鞍乗型車両に生じている少なくとも加速度、角度又は角速度を計測するセンサが実装されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るブレーキ力制御ユニットでは、ブレーキ力調整機構の動作を司る全ての電子部品が、1枚のプリント配線板に集約して実装されており、そのプリント配線板に、鞍乗型車両に生じている少なくとも加速度、角度又は角速度を計測するセンサが実装されている。そのため、例えば、通信品質及び速度の不足、機械的な接続不良、外乱耐性の不足等が抑制されて、そのセンサの出力に応じたブレーキ力の制御の高速性及び安定性の確保が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係るブレーキシステムが搭載される車両の構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係るブレーキシステムの構成を示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係るブレーキ力制御ユニットを側方から見た、一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明について、図面を用いて説明する。
なお、以下では、本発明に係るブレーキ力制御ユニットが自動二輪車に適用される場合を説明するが、本発明に係るブレーキ力制御ユニットは自動二輪車以外の他の鞍乗型車両に適用されてもよい。鞍乗型車両とは、ライダーが跨がって搭乗する車両を意味し、例えば、自転車、自動三輪車、バギー等が含まれる。なお、自転車とは、ペダルに付与される踏力によって路上を推進することが可能な乗物全般を意味している。つまり、自転車には、普通自転車、電動アシスト自転車、電動自転車等が含まれる。また、自動二輪車又は自動三輪車は、いわゆるモータサイクルを意味し、モータサイクルには、オートバイ、スクーター、電動スクーター等が含まれる。また、以下では、鞍乗型車両用のブレーキシステムが2系統の液圧回路を備えている場合を説明しているが、鞍乗型車両用のブレーキシステムの液圧回路の数は2系統に限定されない。鞍乗型車両用のブレーキシステムは、1系統のみの液圧回路を備えていてもよく、また、3系統以上の液圧回路を備えていてもよい。また、鞍乗型車両用のブレーキシステムが、液圧回路を備えておらず、鞍乗型車両に生じさせるブレーキ力を液圧の制御によらずに調整するものであってもよい。
【0010】
また、以下で説明する構成、動作等は、一例であり、本発明に係るブレーキ力制御ユニットは、そのような構成、動作等である場合に限定されない。また、各図においては、同一の又は類似する部材又は部分に対して、同一の符号を付している場合又は符号を付すことを省略している場合がある。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
【0011】
実施の形態.
以下に、実施の形態に係る鞍乗型車両用のブレーキシステムを説明する。
【0012】
<鞍乗型車両用のブレーキシステムの構成及び動作>
実施の形態に係るブレーキシステムの構成及び動作について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るブレーキシステムが搭載される車両の構成を示す図である。図2は、本発明の実施の形態に係るブレーキシステムの構成を示す図である。
【0013】
図1及び図2に示されるように、ブレーキシステム10は、自動二輪車等の鞍乗型車両100に搭載される。鞍乗型車両100は、胴体1と、胴体1に旋回自在に保持されているハンドル2と、胴体1にハンドル2と共に旋回自在に保持されている前輪3と、胴体1に回動自在に保持されている後輪4と、を含む。
【0014】
ブレーキシステム10は、ブレーキレバー11と、ブレーキ液が充填されている第1液圧回路12と、ブレーキペダル13と、ブレーキ液が充填されている第2液圧回路14と、を含む。ブレーキレバー11は、ハンドル2に設けられており、使用者の手によって操作される。第1液圧回路12は、前輪3と共に回動するロータ3aに、ブレーキレバー11の操作量に応じたブレーキ力を生じさせるものである。ブレーキペダル13は、胴体1の下部に設けられており、使用者の足によって操作される。第2液圧回路14は、後輪4と共に回動するロータ4aに、ブレーキペダル13の操作量に応じたブレーキ力を生じさせるものである。
【0015】
例えば、第1液圧回路12と第2液圧回路14とは、同じ構成になっている。そのため、以下では、代表して、第1液圧回路12の構成を説明する。
【0016】
第1液圧回路12は、ピストン(図示省略)を内蔵しているマスタシリンダ21と、マスタシリンダ21に付設されているリザーバ22と、胴体1に保持され、ブレーキパッド(図示省略)を有しているブレーキキャリパ23と、ブレーキキャリパ23のブレーキパッド(図示省略)を動作させるホイールシリンダ24と、を含む。
【0017】
第1液圧回路12において、マスタシリンダ21及びホイールシリンダ24は、マスタシリンダ21と基体61に形成されているマスタシリンダポートMPとの間に接続される液管、基体61に形成されている主流路25、及び、ホイールシリンダ24と基体61に形成されているホイールシリンダポートWPとの間に接続される液管を介して連通する。また、基体61には、副流路26が形成されている。ホイールシリンダ24のブレーキ液は、その副流路26を介して、主流路25の途中部である主流路途中部25aに逃がされる。また、基体61には、増圧流路27が形成されている。マスタシリンダ21のブレーキ液は、その増圧流路27を介して、副流路26の途中部である副流路途中部26aに供給される。
【0018】
主流路25のうちの主流路途中部25aよりもホイールシリンダ24側の領域には、インレットバルブ28が設けられている。副流路26のうちの副流路途中部26aよりも上流側の領域には、上流側から順に、アウトレットバルブ29と、ブレーキ液を貯留するアキュムレータ30と、が設けられている。また、副流路26のうちの副流路途中部26aよりも下流側の領域には、ポンプ31が設けられている。主流路25のうちの主流路途中部25aよりもマスタシリンダ21側の領域には、切換バルブ32が設けられている。増圧流路27には、増圧バルブ33が設けられている。なお、以下では、インレットバルブ28、アウトレットバルブ29、切換バルブ32及び増圧バルブ33を区別せずに総称する場合、調圧バルブ36と称する。
【0019】
また、主流路25のうちの切換バルブ32よりもマスタシリンダ21側の領域には、マスタシリンダ21のブレーキ液の液圧を検出するためのマスタシリンダ液圧センサ34が設けられている。また、主流路25のうちのインレットバルブ28よりもホイールシリンダ24側の領域には、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を検出するためのホイールシリンダ液圧センサ35が設けられている。
【0020】
つまり、主流路25は、インレットバルブ28を介してマスタシリンダポートMP及びホイールシリンダポートWPを連通させるものである。また、副流路26は、ホイールシリンダ24のブレーキ液を、アウトレットバルブ29を介してマスタシリンダ21に逃がす流路の一部又は全てと定義される流路である。また、増圧流路27は、マスタシリンダ21のブレーキ液を、増圧バルブ33を介して副流路26のうちのポンプ31の上流側に供給する流路の一部又は全てと定義される流路である。
【0021】
インレットバルブ28は、例えば、非通電状態から通電状態になると、その設置個所でのブレーキ液の流通を開放から閉鎖に切り替える電磁バルブである。アウトレットバルブ29は、例えば、非通電状態から通電状態になると、その設置個所を介して副流路途中部26aへ向かうブレーキ液の流通を閉鎖から開放に切り替える電磁バルブである。切換バルブ32は、例えば、非通電状態から通電状態になると、その設置個所でのブレーキ液の流通を開放から閉鎖に切り替える電磁バルブである。増圧バルブ33は、例えば、非通電状態から通電状態になると、その設置個所を介して副流路途中部26aへ向かうブレーキ液の流通を閉鎖から開放に切り替える電磁バルブである。
【0022】
第1液圧回路12のポンプ31と、第2液圧回路14のポンプ31とは、共通のモータ38によって駆動される。モータ38は、本発明における「ブレーキ力調整機構」及び「調圧機構」に相当する。
【0023】
基体61、基体61に設けられている各部材(インレットバルブ28、アウトレットバルブ29、アキュムレータ30、ポンプ31、切換バルブ32、増圧バルブ33、マスタシリンダ液圧センサ34、ホイールシリンダ液圧センサ35、モータ38等)、センサ39、制御装置(ECU)50の後述されるプリント配線板51等によって、ブレーキ力制御ユニット60が構成される。
【0024】
センサ39は、鞍乗型車両100に生じている少なくとも加速度、角度又は角速度を計測するものである。センサ39は、好ましくは、3軸の角度又は角速度、及び、3軸の加速度を計測する慣性計測センサである。3軸の角度又は角速度、及び、3軸の加速度の全てが検知されてもよく、また、3軸の角度又は角速度、及び、3軸の加速度の一部のみが検知され、残りの検知されない物理量が演算によって取得されてもよい。また、センサ39は、加速度、角度又は角速度に実質的に換算可能な他の物理量を計測するものであってもよい。
【0025】
制御装置50は、1つであってもよく、また、複数に分かれていてもよい。また、制御装置50の一部は、例えば、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されてもよく、また、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。なお、ブレーキ力制御ユニット60では、制御装置50の少なくとも一部が、後述されるプリント配線板51で構成されている。
【0026】
例えば、通常状態では、制御装置50によって、インレットバルブ28、アウトレットバルブ29、切換バルブ32、及び増圧バルブ33が非通電状態に制御される。その状態で、ブレーキレバー11が操作されると、第1液圧回路12において、マスタシリンダ21のピストン(図示省略)が押し込まれてホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が増加し、ブレーキキャリパ23のブレーキパッド(図示省略)が前輪3のロータ3aに押し付けられて、前輪3が制動される。また、ブレーキペダル13が操作されると、第2液圧回路14において、マスタシリンダ21のピストン(図示省略)が押し込まれてホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が増加し、ブレーキキャリパ23のブレーキパッド(図示省略)が後輪4のロータ4aに押し付けられて、後輪4が制動される。
【0027】
制御装置50には、各センサ(マスタシリンダ液圧センサ34、ホイールシリンダ液圧センサ35、車輪速センサ、センサ39等)の出力が入力される。制御装置50は、その出力に応じて、調圧バルブ36に付設された後述されるコイル37、モータ38等の動作を司る指令を出力して、少なくともアンチロックブレーキ動作を実行する。
【0028】
例えば、制御装置50は、第1液圧回路12のホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧の過剰又は過剰の可能性が生じた場合に、第1液圧回路12のホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を減少させる動作を実行する。その際、制御装置50は、第1液圧回路12において、インレットバルブ28を通電状態に制御し、アウトレットバルブ29を通電状態に制御し、切換バルブ32を非通電状態に制御し、増圧バルブ33を非通電状態に制御しつつ、モータ38を駆動する。また、制御装置50は、第2液圧回路14のホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧の過剰又は過剰の可能性が生じた場合に、第2液圧回路14のホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を減少させる動作を実行する。その際、制御装置50は、第2液圧回路14において、インレットバルブ28を通電状態に制御し、アウトレットバルブ29を通電状態に制御し、切換バルブ32を非通電状態に制御し、増圧バルブ33を非通電状態に制御しつつ、モータ38を駆動する。
【0029】
また、例えば、制御装置50は、第1液圧回路12のホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧の不足又は不足の可能性が生じた場合に、第1液圧回路12のホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を増加させる動作を実行する。その際、制御装置50は、第1液圧回路12において、インレットバルブ28を非通電状態に制御し、アウトレットバルブ29を非通電状態に制御し、切換バルブ32を通電状態に制御し、増圧バルブ33を通電状態に制御しつつ、モータ38を駆動する。また、制御装置50は、第2液圧回路14のホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧の不足又は不足の可能性が生じた場合に、第2液圧回路14のホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を増加させる動作を実行する。その際、制御装置50は、第2液圧回路14において、インレットバルブ28を非通電状態に制御し、アウトレットバルブ29を非通電状態に制御し、切換バルブ32を通電状態に制御し、増圧バルブ33を通電状態に制御しつつ、モータ38を駆動する。
【0030】
また、制御装置50は、センサ39の出力に基づく制御信号を、例えば、ブレーキ力制御ユニット60、鞍乗型車両100の推進力を制御する制御ユニット(図示省略)等に出力して、鞍乗型車両100の挙動を制御する。制御装置50は、センサ39の出力に応じて、例えば、走行中の鞍乗型車両100に生じている進行方向加速度又は車幅方向加速度に応じたブレーキ力をブレーキ力制御ユニット60に生じさせる制御信号を出力してもよく、また、走行中の鞍乗型車両100に生じているロール角又はロール角速度に応じたブレーキ力をブレーキ力制御ユニット60に生じさせる制御信号を出力してもよく、また、走行中の鞍乗型車両100に生じているピッチ角又はピッチ角速度に応じたブレーキ力をブレーキ力制御ユニット60に生じさせる制御信号を出力してもよい。また、制御装置50は、センサ39の出力に応じて、例えば、鞍乗型車両100が停止する路面の勾配に応じたブレーキ力をブレーキ力制御ユニット60に生じさせる制御信号を出力してもよい。
【0031】
<ブレーキ力制御ユニットの構成>
実施の形態に係るブレーキシステムのブレーキ力制御ユニットの構成について説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係るブレーキ力制御ユニットを側方から見た、一部断面図である。
【0032】
基体61は、例えばアルミニウム等の金属で形成されており、例えば略直方体の形状をしている。なお、基体61の各面は、段差部を含んでいてもよく、また、曲面部を含んでいてもよい。
【0033】
図3に示されるように、基体61には、モータ38が取り付けられている。このモータ38の出力軸41には、モータ38の出力軸41と共に回転する偏心体42が取り付けられている。偏心体42が回転すると、偏心体42の外周面に押し付けられているポンプ31のプランジャが往復動することで、ブレーキ液がポンプ31の吸込側から吐出側に搬送される。
【0034】
また、基体61には、ハウジング70が取り付けられている。ハウジング70は、例えば樹脂で形成されており、例えば略直方体の形状をしている。ハウジング70は、開口部が基体61に閉塞された状態で基体61に取り付けられ、内部にモータ38を収納している。モータ38は、出力軸41が設けられている側とは反対側の端部に、端子43を備えている。端子43は、ハウジング70の底面を貫通し、ハウジング70に立設されているピン76に電気的に接続され、そのピン76を介して、ハウジング70の外側に配置されたプリント配線板51に電気的に接続される。なお、モータ38が取り付けられる部材は、基体61に限定されない。例えば、モータ38がハウジング70に取り付けられていてもよい。
【0035】
ハウジング70の底面には、固定部材90が挿入される貫通孔71が形成されている。固定部材90は、例えば、基体61に形成された雌ネジに結合するボルトであってもよく、また、基体61に形成された穴に圧入されるピンであってもよい。固定部材90は、一端が貫通孔71に挿入されて基体61に結合され、他端がハウジング70の外側、つまり、ハウジング70とプリント配線板51との間に突出する状態で取り付けられる。その他端には、貫通孔71より大径の膨出部91が形成されており、その膨出部91が、ハウジング70の底面を直接、又は、ワッシャ等を介して間接的に基体61に向かって押圧することで、ハウジング70が基体61に固定される。ハウジング70の開口部と基体61とが接着されていてもよい。
【0036】
また、基体61には、調圧バルブ36を駆動するコイル37が、調圧バルブ36毎に取り付けられている。調圧バルブ36は、基体61に形成された流路を開閉するための弁体(図示省略)と、その弁体と連動して往復動作するプランジャ(図示省略)と、を含む。コイル37は、そのプランジャが挿入される開口部が基体61に対向する状態で、つまり、立てられた状態で基体61に取り付けられる。コイル37への通電によって磁力が発生すると、図3に示される状態において、そのプランジャが上下方向に移動し、それに伴う弁体の動作によって流路が開閉される。コイル37は、本発明における「ブレーキ力調整機構」及び「調圧機構」に相当する。
【0037】
コイル37は、ハウジング70に収納されている。ハウジング70の内面には、突起72が形成されている。固定部材90によって基体61にハウジング70が固定されると、突起72がコイル37の頂部を基体61に向かって押圧することで、コイル37が基体61に固定される。基体61とコイル37とが接着されていてもよい。コイル37の基体61に遠い側の端部には、ピン76が立設されている。ピン76は、ハウジング70の底面を貫通し、ハウジング70の外側に配置されたプリント配線板51に電気的に接続される。
【0038】
プリント配線板51は、表面に銅等で形成された金属製配線と、その金属製配線に電気的に接続するように表面に実装された電子部品52と、を備えている。そして、金属製配線及び電子部品52等によって電子回路が構成されている。コイル37及びモータ38の動作を司る全ての電子部品52は、1枚のプリント配線板51に集約して実装されている。また、そのプリント配線板51には、センサ39が実装されている。センサ39の出力信号は、シリアル通信によって電子部品52に受信される。センサ39が実装されているプリント配線板51以外に、プリント配線板が設けられていないとよい。
【0039】
プリント配線板51には、貫通孔53が形成されている。貫通孔53には、ハウジング70の外側に突出するピン76の先端が挿入される。これにより、コイル37及びモータ38がプリント配線板51の電子回路に電気的に接続される。また、その挿入により、プリント配線板51がピン76に保持されることとなって、プリント配線板51が固定される。なお、ハウジング70に、更に、電気的な導通部として機能しないピン76が立設され、そのピン76の貫通孔53への挿入によって、プリント配線板51の固定が補助されてもよい。ブレーキ力制御ユニット60では、プリント配線板51のハウジング70から遠ざかる方向への移動が、ピン76のプリント配線板51への係合のみによって規制されている。
【0040】
ハウジング70の外側には、プリント配線板51を覆うプリント配線板カバー80が取り付けられる。プリント配線板カバー80は、開口部がハウジング70の底面によって閉塞された状態でハウジング70に固定される。その固定は、機械的な係合であってもよく、また、接着であってもよい。
【0041】
<ブレーキ力制御ユニットの効果>
実施の形態に係るブレーキシステムのブレーキ力制御ユニットの効果について説明する。
【0042】
ブレーキ力制御ユニット60は、鞍乗型車両100に生じさせるブレーキ力を調整するためのブレーキ力調整機構(例えば、コイル37、モータ38等)と、電子部品52が実装されたプリント配線板51と、を備えている。また、ブレーキ力調整機構の動作を司る全ての電子部品52が、1枚のプリント配線板51に集約して実装されており、そのプリント配線板51に、鞍乗型車両100に生じている少なくとも加速度、角度又は角速度を計測するセンサ39が実装されている。そのため、例えば、通信品質及び速度の不足、機械的な接続不良、外乱耐性の不足等が抑制されて、センサ39の出力に応じたブレーキ力の制御の高速性及び安定性の確保が可能となる。
【0043】
好ましくは、センサ39の出力信号は、シリアル通信によって電子部品52に受信される。そのように構成されることで、安定性の確保が確実化される。
【0044】
好ましくは、ブレーキ力制御ユニット60には、センサ39が実装されているプリント配線板51以外に、プリント配線板が設けられていない。そのように構成されることで、ブレーキ力制御ユニット60の鞍乗型車両100への搭載性、コスト性、組立性等が格段向上する。
【0045】
好ましくは、ブレーキ力制御ユニット60は、ブレーキ液の流路が形成されている基体61を備えており、ブレーキ力調整機構は、基体61に設けられたブレーキ液の調圧機構(例えば、コイル37、モータ38等)である。鞍乗型車両100に生じさせるブレーキ力を液圧の制御によって調整する構成では、通信の高速性が特段要求される。つまり、上述の構成は、そのようなブレーキ力制御ユニット60において、特に有用である。
【0046】
好ましくは、ブレーキ力制御ユニット60は、ブレーキ力調整機構(例えば、コイル37、モータ38等)を収容するハウジング70を備えている。また、ブレーキ力調整機構は、ハウジング70の外側に突出する複数のピン76の少なくとも一部を介して、センサ39が実装されているプリント配線板51の電子部品52に電気的に接続されている。また、センサ39が実装されているプリント配線板51のハウジング70から遠ざかる方向への移動が、複数のピン76のみによって規制されている。プリント配線板51のハウジング70から遠ざかる方向への移動が、複数のピン76のみによって規制される構成を採用することで、ブレーキ力制御ユニット60の組立性を向上することが可能である。そして、そのような構成では、外乱耐性が懸念される。つまり、上述の構成は、そのようなブレーキ力制御ユニット60において、特に有用である。
【0047】
以上、実施の形態に係るブレーキ力制御ユニットついて説明したが、本発明に係るブレーキ力制御ユニットは、実施の形態の説明に限定されない。例えば、実施の形態の一部のみが実施されてもよい。
【0048】
例えば、以上では、ハウジング70にコイル37及びモータ38が収納される場合を説明したが、ハウジング70にコイル37及びモータ38の一方のみが収納されていてもよく、また、他の調圧機構が収納されていてもよい。
【0049】
例えば、図3では、センサ39が、プリント配線板51を基準とするハウジング70の反対側に実装されている場合を図示したが、センサ39が、プリント配線板51を基準とするハウジング70と同じ側に実装されていてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 ブレーキシステム、12 第1液圧回路、14 第2液圧回路、31 ポンプ、36 調圧バルブ、37 コイル、38 モータ、39 センサ、50 制御装置、51 プリント配線板、52 電子部品、53 貫通孔、60 ブレーキ力制御ユニット、61 基体、70 ハウジング、71 貫通孔、72 突起、76 ピン、80 プリント配線板カバー、90 固定部材、91 膨出部、100 鞍乗型車両。
図1
図2
図3