(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】フィルム積層体の検査装置および検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20241220BHJP
G01N 21/89 20060101ALI20241220BHJP
B07C 5/342 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
G01N21/892 A
G01N21/89 T
B07C5/342
(21)【出願番号】P 2020009815
(22)【出願日】2020-01-24
【審査請求日】2022-11-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100157325
【氏名又は名称】伊藤 太一
(72)【発明者】
【氏名】野田 圭介
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-292368(JP,A)
【文献】特開2018-149703(JP,A)
【文献】特開2011-242330(JP,A)
【文献】特開2008-116437(JP,A)
【文献】特開2001-061450(JP,A)
【文献】特開平02-040542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/10 - G01B 11/30
B07C 5/342
B32B 41/00 - B32B 41/02
B65B 57/00 - B65B 57/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚葉で供給されるフィルム積層体の検査装置であって、
フィルム積層体を吸着することで保持して搬送する第1搬送部および第2搬送部と、
前記第1搬送部により搬送されるフィルム積層体の第1の面側から、透過光による第1の透過画像を取得する第1の透過画像取得部と、
前記第2搬送部により搬送されるフィルム積層体の前記第1の面と背向する第2の面の側から、透過光による
第2の透過画像を取得する第2の透過画像取得部と、
前記フィルム積層体を前記第1の面を周外方に向けて周面上に載置して回転する第1回転搬送部と、前記フィルム積層体を前記第2の面を周外方に向けて周面上に載置して回転する第2回転搬送部と、
前記第1回転搬送部により周搬送される前記フィルム積層体の前記第1の面の側から、反射光による
第1の反射画像を取得する第1の反射画像取得部と、
前記第2回転搬送部により周搬送される前記フィルム積層体の前記第2の面の側から、反射光による
第2の反射画像を取得する第2の反射画像取得部と、
を備え、
前記第1搬送部は、複数の搬送ベルトが搬送方向に所定の隙間を介して存在することにより搬送方向に直列に配置されて構成されており、搬送方向における前記第1の透過画像取得部による前記第1の透過画像の撮像場所は、搬送方向に直列に配された前記複数の搬送ベルトの間の搬送ベルトが存在しない場所であり、前記第1の透過画像の前記撮像場所における前記フィルム積層体は前記隙間を介して存在する前記複数の搬送ベルトと、前記搬送方向に垂直な方向の位置が等しく構成されており、
前記第2搬送部は、複数の搬送ベルトが搬送方向に所定の隙間を介して存在することにより搬送方向に直列に配置されて構成されており、搬送方向における前記第2の透過画像取得部による前記第2の透過画像の撮像場所は、搬送方向に直列に配された前記複数の搬送ベルトの間の搬送ベルトが存在しない場所であり、前記第2の透過画像の前記撮像場所における前記フィルム積層体は前記隙間を介して存在する前記複数の搬送ベルトと、前記搬送方向に垂直な方向の位置が等しく構成されており、
前記第1搬送部及び前記第2搬送部は、それぞれ、前記所定の隙間の搬送方向の下流側に、前記複数の搬送ベルト間での前記フィルム積層体の受け渡しの際に、搬送ベルト上にて前記フィルム積層体を保持する押さえローラを有し、
前記第1の透過画像、前記第1の反射画像、前記第2の透過画像、及び前記第2の反射画像に基づき、欠陥部に相当する異常画像部を検出する
フィルム積層体の検査装置。
【請求項2】
枚葉で供給されるフィルム積層体の検査方法であって、
フィルム積層体を第1搬送部および第2搬送部により吸着することで保持して搬送する工程と、
前記第1搬送部により搬送されるフィルム積層体の第1の面側から、透過光による第1の透過画像を第1の透過画像取得部により取得する工程と、
前記第2搬送部により搬送されるフィルム積層体の前記第1の面と背向する第2の面の側から、透過光による
第2の透過画像を第2の透過画像取得部により取得する工程と、
第1回転搬送部により前記フィルム積層体を前記第1の面を周外方に向けて周面上に載置して回転する工程と、第2回転搬送部により前記フィルム積層体を前記第2の面を周外方に向けて周面上に載置して回転する工程と、
前記第1回転搬送部により周搬送される前記フィルム積層体の前記第1の面の側から、反射光による
第1の反射画像を第1の反射画像取得部により取得する工程と、
前記第2回転搬送部により周搬送される前記フィルム積層体の前記第2の面の側から、反射光による
第2の反射画像を第2の反射画像取得部により取得する工程と、
を備え、
前記第1の透過画像を第1の透過画像取得部により取得する工程では、前記第1搬送部において、搬送方向に所定の隙間を介して存在することにより搬送方向に直列に配された複数の搬送ベルトの間の搬送ベルトが存在しない場所を撮像場所として、前記撮像場所における前記フィルム積層体は前記隙間を介して存在する前記複数の搬送ベルトと前記搬送方向に垂直な方向の位置が等しい状態で、前記第1の透過画像を取得し、
前記第2の透過画像を第2の透過画像取得部により取得する工程では、前記第2搬送部において、搬送方向に所定の隙間を介して存在することにより搬送方向に直列に配された複数の搬送ベルトの間の搬送ベルトが存在しない場所を撮像場所として、前記撮像場所における前記フィルム積層体は前記隙間を介して存在する前記複数の搬送ベルトと前記搬送方向に垂直な方向の位置が等しい状態で、前記第2の透過画像を取得し、
前記フィルム積層体を第1搬送部および第2搬送部により搬送する工程では、それぞれ、前記所定の隙間の搬送方向の下流側に配された押さえローラよって、前記複数の搬送ベルト間での前記フィルム積層体の受け渡しの際に、搬送ベルト上にて前記フィルム積層体を保持し、
前記第1の透過画像、前記第1の反射画像、前記第2の透過画像、及び前記第2の反射画像に基づき、欠陥部に相当する異常画像部を検出する
フィルム積層体の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば三方袋のような、フィルムが積層した構造の「フィルム積層体」の検査装置および検査方法に関し、特に、枚葉で供給されるフィルム積層体に存在する欠陥部を検出する検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医薬品、医療器具、加工食品、菓子、日用品等の包装用部材として、樹脂フィルム等の可撓性部材により構成され、包装体の両側縁及び低縁の3方がヒートシール等により接合された三方袋が広く用いられている(例えば、特許文献1)。この三方袋は、外表面に印刷がされた2枚の樹脂フィルムを重ねた状態で3方をヒートシールにより接合した後、個別に切断することにより製造される。例えば、特許文献1には、表と裏に異なったデザインが施された三方シール袋の製袋方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-111483号公報
【文献】特開2018-12250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような三方袋を例とする、フィルムが積層した構造であるフィルム積層体には、ピンホール、傷、表面に付着した異物、といった欠陥部が存在する場合がある。また、印刷工程において生じる、微細な印刷ムラや、環状抜けである「フィッシュアイ」、といった欠陥部もあり、検査工程においてはこれらの欠陥部を確実に検出することが求められる。
【0005】
しかしながら、特に三方袋のような枚葉の形態の場合、それ自身に「うねり」や「反り」等といった、フラットな形状から逸脱した変形形状を伴う場合が多く、そのような変形形状を有する検査対象に対して、ピンホール、傷、異物、印刷ムラ、フィッシュアイ、といった欠陥部を精度良く画像検査することは非常に困難であり、これまでは検査は主に目視で行われていた。
【0006】
さらには、フィルムのそれぞれで異なるデザインの印刷が付されるといった場合には、印刷の重なりの微妙なズレと欠陥部とを区別することも難しくなるため、欠陥部の検出がより一層困難になるという課題もあった。
【0007】
本開示は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、枚葉で供給される、三方袋のようなフィルム積層体に存在する欠陥部を精度良く検出することができるフィルム積層体の検査装置及び検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係るフィルム積層体の検査装置は、枚葉で供給されるフィルム積層体の検査装置であって、フィルム積層体を吸着することで保持して搬送する第1搬送部および第2搬送部と、前記第1搬送部により搬送されるフィルム積層体の第1の面側から、透過光による第1の透過画像を取得する第1の透過画像取得部と、前記第2搬送部により搬送されるフィルム積層体の前記第1の面と背向する第2の面の側から、透過光による第2の透過画像を取得する第2の透過画像取得部と、前記フィルム積層体を前記第1の面を周外方に向けて周面上に載置して回転する第1回転搬送部と、前記フィルム積層体を前記第2の面を周外方に向けて周面上に載置して回転する第2回転搬送部と、前記第1回転搬送部により周搬送される前記フィルム積層体の前記第1の面の側から、反射光による第1の反射画像を取得する第1の反射画像取得部と、前記第2回転搬送部により周搬送される前記フィルム積層体の前記第2の面の側から、反射光による第2の反射画像を取得する第2の反射画像取得部と、を備え、前記第1搬送部は、複数の搬送ベルトが搬送方向に所定の隙間を介して存在することにより搬送方向に直列に配置されて構成されており、搬送方向における前記第1の透過画像取得部による前記第1の透過画像の撮像場所は、搬送方向に直列に配された前記複数の搬送ベルトの間の搬送ベルトが存在しない場所であり、前記第1の透過画像の前記撮像場所における前記フィルム積層体は前記隙間を介して存在する前記複数の搬送ベルトと、前記搬送方向に垂直な方向の位置が等しく構成されており、前記第2搬送部は、複数の搬送ベルトが搬送方向に所定の隙間を介して存在することにより搬送方向に直列に配置されて構成されており、搬送方向における前記第2の透過画像取得部による前記第2の透過画像の撮像場所は、搬送方向に直列に配された前記複数の搬送ベルトの間の搬送ベルトが存在しない場所であり、前記第2の透過画像の前記撮像場所における前記フィルム積層体は前記隙間を介して存在する前記複数の搬送ベルトと、前記搬送方向に垂直な方向の位置が等しく構成されており、前記第1搬送部及び前記第2搬送部は、それぞれ、前記所定の隙間の搬送方向の下流側に、前記複数の搬送ベルト間での前記フィルム積層体の受け渡しの際に、搬送ベルト上にて前記フィルム積層体を保持する押さえローラを有し、前記第1の透過画像、前記第1の反射画像、前記第2の透過画像、及び前記第2の反射画像に基づき、欠陥部に相当する異常画像部を検出することを特徴とする。
【0009】
また、本開示の一態様に係るフィルム積層体の検査方法は、枚葉で供給されるフィルム積層体の検査方法であって、フィルム積層体を第1搬送部および第2搬送部により吸着することで保持して搬送する工程と、前記第1搬送部により搬送されるフィルム積層体の第1の面側から、透過光による第1の透過画像を第1の透過画像取得部により取得する工程と、前記第2搬送部により搬送されるフィルム積層体の前記第1の面と背向する第2の面の側から、透過光による第2の透過画像を第2の透過画像取得部により取得する工程と、第1回転搬送部により前記フィルム積層体を前記第1の面を周外方に向けて周面上に載置して回転する工程と、第2回転搬送部により前記フィルム積層体を前記第2の面を周外方に向けて周面上に載置して回転する工程と、前記第1回転搬送部により周搬送される前記フィルム積層体の前記第1の面の側から、反射光による第1の反射画像を第1の反射画像取得部により取得する工程と、前記第2回転搬送部により周搬送される前記フィルム積層体の前記第2の面の側から、反射光による第2の反射画像を第2の反射画像取得部により取得する工程と、を備え、前記第1の透過画像を第1の透過画像取得部により取得する工程では、前記第1搬送部において、搬送方向に所定の隙間を介して存在することにより搬送方向に直列に配された複数の搬送ベルトの間の搬送ベルトが存在しない場所を撮像場所として、前記撮像場所における前記フィルム積層体は前記隙間を介して存在する前記複数の搬送ベルトと前記搬送方向に垂直な方向の位置が等しい状態で、前記第1の透過画像を取得し、前記第2の透過画像を第2の透過画像取得部により取得する工程では、前記第2搬送部において、搬送方向に所定の隙間を介して存在することにより搬送方向に直列に配された複数の搬送ベルトの間の搬送ベルトが存在しない場所を撮像場所として、前記撮像場所における前記フィルム積層体は前記隙間を介して存在する前記複数の搬送ベルトと前記搬送方向に垂直な方向の位置が等しい状態で、前記第2の透過画像を取得し、前記フィルム積層体を第1搬送部および第2搬送部により搬送する工程では、それぞれ、前記所定の隙間の搬送方向の下流側に配された押さえローラよって、前記複数の搬送ベルト間での前記フィルム積層体の受け渡しの際に、搬送ベルト上にて前記フィルム積層体を保持し、前記第1の透過画像、前記第1の反射画像、前記第2の透過画像、及び前記第2の反射画像に基づき、欠陥部に相当する異常画像部を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様に係るフィルム積層体の検査装置および検査方法によれば、枚葉で供給される、三方袋のようなフィルム積層体に存在する欠陥部を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施の形態に係るフィルム積層体の検査装置の概略構成を示す正面図である。
【
図2】本開示の実施の形態に係るフィルム積層体の検査装置の、吸着ベルト、回転ドラム、三方袋、を直上から見た際の概略構成を示す上面図である。
【
図3】本開示の実施の形態の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
≪実施の形態≫
本開示の実施の形態に係るフィルム積層体の検査装置の構成について、2枚の樹脂フィルムを重ねた状態で3方をヒートシールにより接合した三方袋を例に、以下、図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、実施の形態1に係る検査装置1の概略構成を示す正面図、
図2は、検査装置1において、吸着ベルト211(A、B、C)、回転ドラム311、三方袋ST、を直上から見た際の概略構成を示す上面図である。
【0014】
検査装置1は、枚葉の形態の三方袋STを搬送する、第1搬送部210、第2搬送部220、第3搬送部710、欠陥袋排出部720、完成品搬出部730、を有する。
【0015】
また、第1搬送部210と第2搬送部220との間には三方袋STを周搬送する第1回転搬送部310を、第2搬送部220と第3搬送部710との間には三方袋STを周搬送する第2回転搬送部320を、有する。
【0016】
また、第1搬送部210の搬送領域内には、搬送される三方袋STを撮像する、カラー透過画像取得部410およびモノクロ透過画像取得部510を、また、第2搬送部220の搬送領域内には、搬送される三方袋STを撮像する、カラー透過画像取得部420およびモノクロ透過画像取得部520を、また、第1回転搬送部310の搬送領域内には、回転搬送される三方袋STを撮像する反射画像取得部610を、また、第2回転搬送部320の搬送領域内には、回転搬送される三方袋STを撮像する反射画像取得部620を、有する。
【0017】
さらに、検査装置1の駆動・制御を行う、装置駆動制御部(不図示)を有する。
【0018】
三方袋STは、医薬品、医療器具、加工食品、菓子、日用品等、一般に流通する商品であり、例えば2枚の樹脂フィルムが重ねられ(積層され)、その三方の縁が接合されることで袋体となった構成である。なお、樹脂フィルムは、透光性であっても、不透明な印刷や、アルミニウム等が蒸着されることで遮光性となっていてもよい。また、2枚の樹脂フィルムの外表面には文字やデザインが付されていてもよい。
【0019】
ここで、検査装置1による、検出対象となる三方袋STの欠陥部としては、ピンホール、傷、異物、印刷ムラ、フィッシュアイ、繊維・毛髪等の混入、等が挙げられる。
【0020】
次に、検査装置1の各部について説明する。
【0021】
第1搬送部210は、搬送手段210A、搬送手段210B、搬送手段210C、が、所定の隙間を介して搬送方向に直列に配置された構成であり、第2搬送部220は、搬送手段220A、搬送手段220B、搬送手段220C、が、同じく、所定の隙間を介して搬送方向に直列に配置された構成である。
【0022】
搬送手段210A、210B、210C、は連動して動作することにより、三方袋STをM1方向に、第1回転搬送部310の回転ドラム311の周面(円筒面)にまで搬送し、搬送手段220A、220B、220C、は連動して動作することにより、三方袋STをM2方向に、第2回転搬送部320の回転ドラム321の周面(円筒面)にまで搬送する。
【0023】
さらに第1搬送部210は、搬送ベルト211A、211B、211C(以下、まとめて「搬送ベルト211」とも記す)、プーリ212A、212B、212C(以下、まとめて「プーリ212」とも記す)、213A、213B、213C(以下、まとめて「プーリ213」とも記す)、押さえローラ214A、214B、214C(以下、まとめて「押さえローラ214」とも記す)、を備える。
【0024】
同様に、搬送部220は、搬送ベルト221A、221B、221C(以下、まとめて「搬送ベルト221」とも記す)、プーリ222A、222B、222C(以下、まとめて「プーリ222」とも記す)、223A、223B、223C(以下、まとめて「プーリ223」とも記す)、押さえローラ224A、224B、224C(以下、まとめて「押さえローラ224」とも記す)、を備える。
【0025】
搬送ベルト211、221、は、上面に三方袋STを保持して搬送するベルトであり、プーリ212と213との間、および、プーリ222と223との間にそれぞれ懸架され、プーリ212、213、222、223、が、装置駆動制御部(不図示)により駆動制御されることで、三方袋STを搬送する。
【0026】
ここで、搬送ベルト211、221での三方袋STの保持を確実にするために、例えば、搬送べルトに複数の吸気孔(不図示)と、この吸気口から空気を吸引する吸引装置(不図示)と、を設けることにより、搬送ベルト211、221に載置された三方袋STを吸引吸着することで確実に保持して搬送する、という構成であっても良い。
【0027】
また、押さえローラ214、224はそれぞれ、搬送ベルト間での三方袋STの受け渡しの際に、搬送ベルト上での三方袋STの保持を良好に行わしめるためのものであり、必要に応じて適宜、設ければ良い。
【0028】
次に、第1回転搬送部310は、第1搬送部210から三方袋STを受け取り、M3方向に周搬送して第2搬送部220に受け渡す機構であり、第2回転搬送部320は、第2搬送部220から三方袋STを受け取り、M4方向に周搬送して第3搬送部710に受け渡す機構である。
【0029】
第1回転搬送部310は、回転ドラム311、押さえローラ312を、また、第2回転搬送部320は、回転ドラム321、押さえローラ322を、備える。回転ドラム311、321は、表面(周面)に三方袋STを、例えば吸引吸着することで保持して回転搬送する回転ドラムである。回転ドラム311、321には、その周面に複数の吸気孔(不図示)が設けられ、回転ドラム311、321の内方から吸気孔(不図示)を介して周面上の気体を吸引することにより、周面上の三方袋STを吸引吸着し保持する。
【0030】
押さえローラ312、322は、搬送部ベルト211C、221Cから回転ドラム311、321に三方袋STが受け渡される際に、回転ドラム311、321の周面上での三方袋STの保持を良好に行わしめるためのものであり、必要に応じて適宜、設ければ良い。
【0031】
次に、カラー透過画像取得部410、420は、搬送部210、220の搬送範囲内おいて、搬送される三方袋STを撮像対象としてカラー透過画像を取得する画像取得手段であり、所定の隙間を介して搬送方向に直列に配置された、搬送手段210Aと搬送手段210Bとの間にはカラー透過画像取得部410が、搬送手段220Aと搬送手段220Bとの間にはカラー透過画像取得部420が、それぞれ設けられている。
【0032】
カラー透過画像取得部410は、カラー光源部411、撮像部412を備え、搬送手段210Aと210Bとの間の位置(Lx1)において搬送部210を挟んで対峙して設けられている。
【0033】
カラー透過画像取得部420は、カラー光源部421、撮像部422を備え、搬送手段220Aと220Bとの間の位置(Lx2)において搬送部220を挟んで対峙して設けられている。 以上の構成によれば、カラー透過画像取得部410と420とは、三方袋STに対し異なる面側からの透過画像を取得することとなる。
【0034】
また、モノクロ透過画像取得部510、520は、搬送部210、220の搬送範囲内おいて、搬送される三方袋STを撮像対象として、モノクロ透過画像を取得する画像取得手段であり、所定の隙間を介して搬送方向に直列に配置された、搬送手段210Aと搬送手段210Bとの間にはモノクロ透過画像取得部510が、搬送手段220Aと搬送手段220Bとの間にはモノクロ透過画像取得部520が、それぞれ設けられている。
【0035】
モノクロ透過画像取得部510は、モノクロ光源部511、撮像部512を備え、搬送手段210Bと210Cとの間の位置(Ly1)において搬送部210を挟んで対峙して設けられている。
【0036】
モノクロ透過画像取得部520は、モノクロ光源部521、撮像部522を備え、搬送手段220Bと220Cとの間の位置(Ly2)において搬送部220を挟んで対峙して設けられている。
【0037】
以上の構成によれば、モノクロ透過画像取得部510と520とは、三方袋STに対し異なる面側からの透過画像を取得することとなる。
【0038】
ここで、カラー透過画像取得部410、420、および、モノクロ透過画像取得部510、520、による透過画像の撮像場所は、所定の隙間を介して搬送方向に直列に配置された搬送ベルトと搬送ベルトとの間の場所(Lx1、Ly1、Lx2、Ly2)であり、そこには搬送ベルトが存在せず、すなわち、搬送ベルトの「切れ目」である。
【0039】
したがって、Lx1、Ly1、Lx2、Ly2、それぞれの場所での撮像を良好に行うためには、搬送ベルト間での三方袋STの受け渡しが良好に、つまり、上流側の搬送ベルトによって保持された三方袋STが、その先端が切れ目(前記、所定の隙間)を通過し、下流側の搬送ベルトに到達した後、引き続き、下流側の搬送ベルトにおいても良好に吸着保持されることが必要である。
【0040】
なぜならば、三方袋STのような枚葉式の形態の場合、それ自身の形状に「うねり」や「反り」といった変形形状を伴うため、搬送ベルトの「切れ目」を通過した際に、下流側の搬送ベルトでの吸着保持が良好に維持されないと、撮像場所(Lx1、Ly1、Lx2、Ly2)での三方袋STの位置がばらつき、透過画像を取得する上で支障となってしまう場合があるからである。
【0041】
しかしながら、上述した実施の形態によれば、上流側の搬送ベルトから下流側の搬送ベルトに三方袋STの受け渡しが行われる際には、押さえローラ214、224が存在することから、下流側の搬送ベルトにおいても三方袋STは良好に保持されることとなり、したがって、三方袋STの撮像位置(Lx1、Ly1、Lx2、Ly2)でのZ方向の位置は、ばらつきが抑制された安定な状態、すなわち搬送ベルトの位置とほぼ等しい位置となり、もって良好な透過画像の撮像が可能となる。 次に、反射画像取得部610、620、について説明する。反射画像取得部610、620は、光源部611、621、および、撮像部621、622、を有し、第1回転搬送部310、第2回転搬送部320、の搬送範囲内おいて搬送される三方袋STを撮像対象として、モノクロ反射画像、もしくはカラー反射画像を撮像位置(L3、L4)において取得する手段であり、光源部611、621、の光軸と撮像部612、622、の撮像軸とがなす角θを、鋭角に近い角度だけ傾けて配置すると光を正反射させた状態として撮像することができ、鈍角に近い角度だけ傾けて配置すると拡散光を照射した状態として撮像することができる。
【0042】
ここで三方袋STは、特に枚葉式で供給される場合には、それ自身の形状に、うねりや反りといった、反射画像を取得する上で支障となる要因が包含されるのであるが、上述した実施の形態によれば、三方袋STは回転ドラム311、321、の周面である円柱面に吸着・保持されることから、三方袋STの形状は回転ドラム311、321、の円柱面に倣うことになり、したがって、三方袋ST自身のうねりや反りは、反射画像を取得することに支障が生じない程度に軽減されることとなり、また、反射画像取得部610、620との間隔も、回転ドラム311、321、と反射画像取得部610、620、との「それぞれの間隔に、ほぼ安定することとなり、もって良好な反射画像の撮像が可能となる。
【0043】
そして、上述した構成の検査装置1により三方袋STを撮像して得られた画像(モノクロ、カラー、透過、反射)に対し、公知の手法(例えば、フィルタリング処理や差分処理、等)を適用することにより、欠陥部(ピンホール、傷、異物、フィッシュアイ、等)を検出(特に、三方袋STに施された印刷デザインと区別した上での検出)を行い、その上で欠陥部を有する三方袋を特定し、欠陥部のない良品と分別すれば良い。
【0044】
具体的には、第3搬送部710は、搬送ベルト711、プーリ712、713、を備え、プーリ712、713間に懸架された搬送ベルト711が装置駆動制御部(不図示)により駆動制御されることで、三方袋STを欠陥袋排出部720に搬送する。欠陥袋排出部720は、搬送ベルト721、プーリ722、723、を備え、装置駆動制御部(不図示)により駆動制御されることで、三方袋STが欠陥を含まない場合には、三方袋STを完成品搬出部730に搬送する。他方、三方袋STが欠陥を含む欠陥袋である場合に、プーリ724を回転中心としてプーリ723が下方に移動して搬送経路を変更し、欠陥袋をトレイ724に排出する。そして完成品搬出部730は、搬送ベルト731、プーリ732、733、を備え、装置駆動制御部(不図示)により駆動制御されることで、良品の完成品をトレイ734に排出する。
【0045】
ここで、以上の説明における、透過画像取得部410、510、420、520、および、反射画像取得部610、620、としては、例えば、シーシーエス株式会社製の1トリガー3スキャンシステムを用いることができる。これは、3つの光源をラインカメラの1スキャンごとに高速で切り替え点灯して撮像するシステムであり、従来、3つの検査ステージで3台のカメラが必要であった撮像を、1ステージ1台のカメラで、ほぼ同時(たかだかラインカメラ1スキャンの時間内での時間遅れ)に実現することができる、というものである。3つの光源として、R・G・Bの3光源を用いたり、モノクロ光源部の輝度を3段階に異ならせる、ことにより、ほぼ同時のタイミングで撮像した、R・G・Bのカラー別の画像や、明るさが3段階に異なるモノクロ画像、を得ることができる。これにより得られた画像を用いれば、欠陥部の検出を精度良く行うことに好適である。
【0046】
≪変形例≫
上述した実施の形態では明るさが何段階かに異なるモノクロ画像を得るために、ラインカメラの1スキャン内で、W光源の輝度を異ならせて撮像する、という例を示したが、本開示の実施の形態の変形例は、別の態様を示すものである。
【0047】
すなわち、
図3(a)は、トリガー信号(Tr)によりラインカメラの1スキャンが開始されると、そのトリガー信号(Tr)に同期してラインカメラの1スキャンの間に、モノクロ光源部の輝度(V1)・発光時間(T1)は変化させずにラインカメラの露光時間を異ならせる(T1、T2、T3)ことで、明るさが3段階に異なるモノクロ画像を得る、という態様を示すものであり、
図3(b)は、トリガー信号(Tr)によりラインカメラの1スキャンが開始されると、そのトリガー信号(Tr)に同期してラインカメラの1スキャンの間に、モノクロ光源部の輝度(V1)は変化しないが、発光時間(T1、T2、T3)とラインカメラの露光時間(T1、T2、T3)とを同期させて異ならせて撮像することで、明るさが3段階に異なるモノクロ画像を得る、という態様を示すものである。
【0048】
以上の態様によれば、モノクロ光源部の輝度を異ならせて撮像するという態様に比べ、明るさが何段階かに異なるモノクロ画像を得るという効果を、一般的なモノクロ光源を用いても実現できることから、より低コストで実現することが可能となる。
【0049】
なお、上述した、本開示の実施の形態および変形例に係るフィルム積層体の検査装置および検査方法は、その本質的な特徴的構成要素を除き、上述した実施の形態および変形例に何ら限定を受けるものではない。例えば、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示の一態様に係るフィルム積層体の検査装置および検査方法は、例えば、医薬品、医療器具、加工食品、菓子、日用品等を包装するための三方袋の製造工程に広く利用可能である。また、三方袋のような、フィルム積層体を用いた包装装置の一部としても好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 フィルム積層体の検査装置
210 第1搬送部
210A、210B、210C 搬送手段、搬送手段、搬送手段
211A、211B、211C 搬送吸着ベルト
212A、212B、212C プーリ
213A、213B、213C プーリ
214A、214B、214C 押さえローラ
220 第2搬送部
220A、220B、220C 搬送手段、搬送手段、搬送手段
221A、221B、221C 搬送吸着ベルト
222A、222B、222C プーリ
223A、223B、223C プーリ
224A、224B、224C 押さえローラ
310 第1回転搬送部
311 回転ドラム
312 押さえローラ
320 第2回転搬送部
321 回転ドラム
322 押さえローラ
410 カラー透過画像取得部
411 カラー光源部
412 撮像部
420 カラー透過画像取得部
421 カラー光源部
422 撮像部
510 モノクロ透過画像取得部
511 モノクロ光源部
512 撮像部
520 モノクロ透過画像取得部
521 モノクロ光源部
522 撮像部
610 反射画像取得部
611 光源部
612 撮像部
620 反射画像取得部
621 光源部
622 撮像部
710 搬送部
711 吸着ベルト
712 プーリ
713 プーリ
720 欠陥袋排出部
721 吸着ベルト
722 プーリ
723 プーリ
724 トレイ
730 完成品搬出部
731 吸着ベルト
732 プーリ
733 プーリ
734 トレイ