(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】光電変換素子とセンサ及び電子装置
(51)【国際特許分類】
H10K 30/60 20230101AFI20241220BHJP
H10K 30/30 20230101ALI20241220BHJP
H10K 39/32 20230101ALI20241220BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20241220BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20241220BHJP
H10K 101/30 20230101ALN20241220BHJP
【FI】
H10K30/60
H10K30/30
H10K39/32
H01L27/146 E
H10K85/60
H10K101:30
(21)【出願番号】P 2020177939
(22)【出願日】2020-10-23
【審査請求日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0140289
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 太規
(72)【発明者】
【氏名】尹 晟 榮
(72)【発明者】
【氏名】朴 敬 培
(72)【発明者】
【氏名】朴 性 俊
(72)【発明者】
【氏名】許 哲 準
【審査官】丸橋 凌
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0161596(US,A1)
【文献】特開2018-129505(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105669954(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0123285(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03451400(EP,A1)
【文献】特開2013-254912(JP,A)
【文献】国際公開第2018/154039(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 30/00-30/89
H10K 50/00-50/88
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に位置する光電変換層を備え、
前記光電変換層は、pn接合を形成する第1物質
及び第2物質、並びに前記第1物質及び前記第2物質と
はそれぞれ異なり前記第1物質又は前記第2物質のエネルギー準位の分布を変形させる第3物質を含
み、
前記第3物質の双極子モーメント(dipole moment)は、5.5Debye以上であり、
前記エネルギー準位の分布を変形させる第3物質は、p型物質である前記第1物質のHOMOエネルギー準位の分布を深い方向に移動させることを特徴とする光電変換素子。
【請求項2】
前記第3物質のHOMOエネルギー準位は、前記第1物質のHOMOエネルギー準位よりも深いか又は0.3eV以下の範囲内で浅いことを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項3】
前記第3物質のHOMOエネルギー準位は、4.7eV~6.2eVであり、
前記第1物質のHOMOエネルギー準位は、5.0eV~5.8eVであることを特徴とする請求項
2に記載の光電変換素子。
【請求項4】
前記第3物質のHOMOエネルギー準位は、5.1eV~6.0eVであり、
前記第1物質のHOMOエネルギー準位は、5.0eV~5.8eVであることを特徴とする請求項
2に記載の光電変換素子。
【請求項5】
前記第1物質の変形されたHOMOエネルギー準位は、前記第1物質のHOMOエネルギー準位と前記第2物質のHOMOエネルギー準位との間に位置することを特徴とする請求項
2に記載の光電変換素子。
【請求項6】
前記光電変換層の吸光スペクトルは、青色波長領域、緑色波長領域、赤色波長領域、及び赤外線波長領域のうちのいずれか一つの第1波長領域で最大吸収波長を有し、
前記第1物質及び前記第3物質は、それぞれ前記第1波長領域で最大吸収波長を有する吸光物質であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項7】
前記第3物質は、前記第1物質及び前記第3物質の総体積に対して30体積%で含まれることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項8】
前記光電変換層は、前記第1物質、前記第2物質、及び前記第3物質の混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項9】
前記光電変換層のHOMOエネルギー準位の分布は、前記第1物質及び前記第2物質からなる薄膜のHOMOエネルギー準位の分布と
は異なることを特徴とする請求項
7に記載の光電変換素子。
【請求項10】
前記光電変換層のHOMOエネルギー準位は、前記第1物質及び前記第2物質からなる薄膜のHOMOエネルギー準位よりも深いことを特徴とする請求項
9に記載の光電変換素子。
【請求項11】
前記光電変換層のHOMOエネルギー準位は、前記第1物質及び前記第2物質からなる薄膜のHOMOエネルギー準位よりも0.001eV~1.2eV深いことを特徴とする請求項
10に記載の光電変換素子。
【請求項12】
前記第3物質は、有機物であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項13】
前記第1物質及び前記第2物質のうちの少なくとも一つは、有機物であることを特徴とする請求項
12に記載の光電変換素子。
【請求項14】
前記第1物質は、下記化学式A-1で表されることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
【化A-1】
前記化学式A-1中、
X
1は、O、S、Se、Te、SO、SO
2、SiR
aR
b、又はGeR
cR
dであり、
Ar
1は、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、又はこれらの中から選択される2以上の縮合環であり、
Ar
1a及びAr
2aは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基であり、
Ar
1a及びAr
2aは、それぞれ独立して存在するか、又は互いに結合して縮合環を形成し、
R
1~R
3及びR
a~R
dは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、又はシアノ基である。
【請求項15】
前記第2物質は、無機物、チオフェン若しくはチオフェン誘導体、フラーレン若しくはフラーレン誘導体、又はこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項
14に記載の光電変換素子。
【請求項16】
前記第3物質は、下記化学式1-1で表されることを特徴とする請求項
15に記載の光電変換素子。
【化1-1】
前記化学式1-1中、
X
2は、O、S、Se、Te、SO、SO
2、SiR
aR
b、又はGeR
cR
dであり、
Ar
2は、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、又はこれらの中から選択される2以上の縮合環であり、
Ar
1b及びAr
2bは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基であり、
Ar
1b及びAr
2bは、それぞれ独立して存在するか、又は互いに結合して縮合環を形成し、
R
4~R
6及びR
a~R
dは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、又はシアノ基である。
【請求項17】
請求項1乃至
16のいずれか一項に記載の光電変換素子を含むことを特徴とするセンサ。
【請求項18】
請求項
17に記載のセンサを含むことを特徴とする電子装置。
【請求項19】
請求項1乃至
16のいずれか一項に記載の光電変換素子を含むことを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子とセンサ及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光電変換素子は、光を受けて電気信号に変換する素子であって、フォトダイオード及びフォトトランジスターなどを含み、センサ又は光検出器に適用される。
【0003】
センサは日増しに高い解像度が要求されており、これによって画素サイズが小さくなっている。現在主に使用するシリコンフォトダイオードの場合、画素サイズが小さくなりながら吸収面積が減るため、感度低下が発生する。これにより、シリコンを代替する有機物質の研究が行われている。
【0004】
有機物質は、吸光係数が大きく、分子構造によって特定波長領域の光を選択的に吸収することができるため、フォトダイオード及び色フィルターを同時に代替できて高集積化に有利である。
【0005】
しかし、有機物質は、高い結合エネルギー(binding energy)及び再結合(recombination)挙動によりシリコンと異なる特性を示すことがあり、有機物質の特性を正確に予測しにくく、光電変換素子で要求される物性を容易に制御しにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、残留電荷を減らして電荷抽出特性を改善させた光電変換素子と光電変換素子を含むセンサ、及び光電変換素子又はセンサを含む電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による光電変換素子は、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に位置する光電変換層を備え、前記光電変換層は、pn接合を形成する第1物質、第2物質、並びに前記第1物質及び前記第2物質とそれぞれ異なり前記第1物質又は前記第2物質のエネルギー準位の分布を変形させる第3物質を含む。
【0009】
前記第3物質の双極子モーメント(dipole moment)は、約5.5Debye以上であり得る。
前記第3物質は、前記第1物質のHOMOエネルギー準位の分布を変形させ、前記第3物質のHOMOエネルギー準位は、前記第1物質のHOMOエネルギー準位よりも深いか又は0.3eV以下の範囲内で浅くあり得る。
前記第3物質のHOMOエネルギー準位は、約4.7eV~6.2eVであり、前記第1物質のHOMOエネルギー準位は、約5.0eV~5.8eVであり得る。
前記第3物質のHOMOエネルギー準位は、約5.1eV~6.0eVであり、前記第1物質のHOMOエネルギー準位は、約5.0eV~5.8eVであり得る。
前記第1物質の変形されたHOMOエネルギー準位は、前記第1物質のHOMOエネルギー準位よりも深くあり得る。
前記第1物質の変形されたHOMOエネルギー準位は、前記第1物質のHOMOエネルギー準位と前記第2物質のHOMOエネルギー準位との間に位置し得る。
前記光電変換層の吸光スペクトルは、青色波長領域、緑色波長領域、赤色波長領域、及び赤外線波長領域のうちのいずれか一つの第1波長領域で最大吸収波長を有し、前記第1物質及び前記第3物質は、それぞれ前記第1波長領域で最大吸収波長を有する吸光物質であり得る。
前記第3物質は、前記第1物質及び前記第3物質の総体積に対して約30体積%以下で含まれ得る。
前記光電変換層は、前記第1物質、前記第2物質、及び前記第3物質の混合物を含み得る。
前記光電変換層のHOMOエネルギー準位の分布は、前記第1物質及び前記第2物質からなる薄膜のHOMOエネルギー準位の分布と異なり得る。
前記光電変換層のHOMOエネルギー準位は、前記第1物質及び前記第2物質からなる薄膜のHOMOエネルギー準位よりも深くあり得る。
前記光電変換層のHOMOエネルギー準位は、前記第1物質及び前記第2物質からなる薄膜のHOMOエネルギー準位よりも約0.001eV~1.2eV深くあり得る。
前記第3物質は、有機物であり得る。
前記第1物質及び前記第2物質のうちの少なくとも一つは、有機物であり得る。
前記第1物質は、下記化学式A-1で表され得る。
【化A-1】
前記化学式A-1中、
X
1は、O、S、Se、Te、SO、SO
2、SiR
aR
b、又はGeR
cR
dであり、
Ar
1は、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、又はこれらの中から選択される2以上の縮合環であり、
Ar
1a及びAr
2aは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基であり、
Ar
1a及びAr
2aは、それぞれ独立して存在するか、又は互いに結合して縮合環を形成し、
R
1~R
3及びR
a~R
dは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、又はシアノ基である。
前記第2物質は、無機物、チオフェン若しくはチオフェン誘導体、フラーレン若しくはフラーレン誘導体、又はこれらの組み合わせを含み得る。
前記第3物質は、下記化学式1-1で表され得る。
【化1-1】
前記化学式1-1中、
X
2は、O、S、Se、Te、SO、SO
2、SiR
aR
b、又はGeR
cR
dであり、
Ar
2は、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、又はこれらの中から選択される2以上の縮合環であり、
Ar
1b及びAr
2bは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基であり、
Ar
1b及びAr
2bは、それぞれ独立して存在するか、又は互いに結合して縮合環を形成し、
R
4~R
6及びR
a~R
dは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、又はシアノ基である。
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の他の態様による光電変換素子は、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に位置する光電変換層を備え、前記光電変換層は、それぞれ異なる第1物質、第2物質、及び第3物質の混合物を含み、前記第1物質及び前記第3物質は、青色波長領域、緑色波長領域、赤色波長領域、及び赤外線波長領域のうちのいずれか一つの第1波長領域で最大吸収波長を有する吸光物質であり、前記第3物質の双極子モーメントは、約5.5Debye以上であり、前記第3物質は、前記第1物質及び前記第3物質の総体積に対して約30体積%以下で含まれる。
【0011】
前記第1物質及び前記第3物質は、p型物質であり、前記第2物質は、n型物質であり得る。
前記第3物質のHOMOエネルギー準位は、前記第1物質のHOMOエネルギー準位よりも深いか又は約0.3eV以下の範囲内で浅くあり得る。
前記第3物質のHOMOエネルギー準位は、約4.7eV~6.2eVであり、前記第1物質のHOMOエネルギー準位は、約5.0eV~5.8eVであり得る。
前記第3物質のHOMOエネルギー準位は、約5.1eV~6.0eVであり、前記第1物質のHOMOエネルギー準位は、約5.0eV~5.8eVであり得る。
前記第3物質は、前記第1物質及び前記第3物質の総体積に対して約1~10体積%で含まれ得る。
前記光電変換層は、前記第1物質、前記第2物質、及び前記第3物質からなる3成分系であり得る。
【0012】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によるセンサは、前記光電変換素子を含む。
【0013】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による電子装置は、前記光電変換素子又は前記センサを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光電変換素子は、残留電荷を減らして電荷抽出特性を改善させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態による光電変換素子の一例を示す断面図である。
【
図2】一実施形態による光電変換素子の他の例を示す断面図である。
【
図3】一実施形態によるイメージセンサの一例を示す断面図である。
【
図4】一実施形態によるイメージセンサの一例を示す平面図である。
【
図5】
図4のイメージセンサの一例を示す断面図である。
【
図6】
図4のイメージセンサの他の例を示す断面図である。
【
図7】一実施形態によるイメージセンサの他の例を示す平面図である。
【
図8】
図7のイメージセンサの一例を示す断面図である。
【
図9】一実施形態によるイメージセンサの他の例を示す平面図である。
【
図10】
図9のイメージセンサの一例を示す断面図である。
【
図11】一実施形態によるイメージセンサの一例を示す断面図である。
【
図12】一実施形態によるイメージセンサの他の例を示す断面図である。
【
図13】一実施形態による電子装置の概略的なダイアグラムである。
【
図14】第1物質のHOMOエネルギー準位の分布の変化を示すグラフである。
【
図15】第1物質のHOMOエネルギー準位の分布の変化に応じた残留電荷の変化を示すグラフである。
【
図16】第1物質のHOMOエネルギー準位の分布の変化に応じた残留電荷の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。しかし、実際に適用される構造は、様々な異なる形態で具現され、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0017】
図面では、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示す。
【0018】
層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるという場合、これは他の部分の「直上に」ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上」にあるという場合は、その中間に他の部分がないことを意味する。
【0019】
以下で別途の定義がない限り、「置換」とは、化合物中の水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、燐酸又はその塩、シリル基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリール基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、及びこれらの組み合わせから選択される置換基で置換されたことを意味する。
【0020】
以下で別途の定義がない限り、「ヘテロ」とは、N、O、S、Se、Te、Si、及びPから選択されるヘテロ原子を1個~4個含有したものを意味する。
【0021】
以下で「組み合わせ」とは、混合及び2つ以上の積層構造を含む。
【0022】
以下で別途の定義がない限り、エネルギー準位(energy level)は、最高被占軌道(highest occupied molecular orbital:HOMO)エネルギー準位又は最低空軌道(lowest unoccupied molecular orbital:LUMO)エネルギー準位である。
【0023】
以下で別途の定義がない限り、仕事関数(work function)又はエネルギー準位は、真空レベル(vacuum level)からの絶対値で表される。また、仕事関数又はエネルギー準位が深い、高い、又は大きいということは真空レベルを「0eV」として絶対値が大きいことを意味し、仕事関数又はエネルギー準位が浅い、低い、又は小さいということは真空レベルを「0eV」として絶対値が小さいことを意味する。
【0024】
以下で別途の定義がない限り、仕事関数及びエネルギー準位は、B3LYP/def2-SVP basis setを用いてTurbomoleで計算された値である。
【0025】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による光電変換素子について説明する。
【0026】
図1は、一実施形態による光電変換素子の一例を示す断面図である。
【0027】
図1を参照すると、本実施形態による光電変換素子100は、第1電極10、第2電極20、及び光電変換層30を含む。
【0028】
基板(図示せず)は、第1電極10側に配置されるか又は第2電極20側に配置される。基板は、例えばガラスなどの無機物質;シリコンウエハ;又はポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、又はこれらの組み合わせなどの有機物質などで作られる。基板は省略することができる。
【0029】
第1電極10及び第2電極20のうちのいずれか1つはアノード(anode)であり、他の1つはカソード(cathode)である。例えば、第1電極10はアノードであり、第2電極20はカソードである。例えば、第1電極10はカソードであり、第2電極20はアノードである。
【0030】
第1電極10及び第2電極20のうちの少なくとも1つは透明電極である。ここで透明電極は約80%以上の高い透過率を有する。透明電極は、例えば酸化物導電体、炭素導電体、及び金属薄膜のうちの少なくとも1つを含み、酸化物導電体は、例えばインジウム錫酸化物(indium tin oxide:ITO)、インジウム亜鉛酸化物(indium zinc oxide:IZO)、亜鉛錫酸化物(zinc tin oxide:ZTO)、アルミニウム錫酸化物(Aluminum tin oxide:AlTO)、及びアルミニウム亜鉛酸化物(Aluminum zinc oxide:AZO)の中から選択される1つ以上であり、炭素導電体はグラフェン及び炭素ナノ体から選択される1つ以上であり、金属薄膜はアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、金(Au)、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含む非常に薄い薄膜である。
【0031】
第1電極10及び第2電極20のうちのいずれか1つは反射電極である。反射電極は、例えば約10%未満の光透過率又は約5%以上の反射率を有する。反射電極は、金属などの反射導電体を含み、例えばアルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、又はこれらの合金を含む。
【0032】
一例として、第1電極10及び第2電極20はそれぞれ透明電極であり、第1電極10及び第2電極20のうちのいずれか1つは受光電極(light-receiving electrode)である。
【0033】
一例として、第1電極10は透明電極であり、第2電極20は反射電極であり、第1電極10は受光電極である。
【0034】
一例として、第1電極10は反射電極であり、第2電極20は透明電極であり、第2電極20は受光電極である。
【0035】
光電変換層30は、第1電極10と第2電極20との間に配置される。
【0036】
光電変換層30は、少なくとも一部の波長領域の光を吸収して電気的信号に変換し、例えば青色波長領域の光(以下、「青色光」という)、緑色波長領域の光(以下、「緑色光」という)、赤色波長領域の光(以下、「赤色光」という)、及び赤外線波長領域の光(以下、「赤外光」という)のうちの一部を電気的信号に変換する。
【0037】
一例として、光電変換層30は青色光、緑色光、赤色光、及び赤外光のうちのいずれか1つを選択的に吸収して電気的信号に変換する。ここで青色光、緑色光、赤色光、及び赤外光のうちのいずれか1つを選択的に吸収するということは、吸光スペクトルの最大吸収波長(λmax)が約380nm以上500nm未満、約500nm~600nm、約600nm超700nm以下、及び約700nm超~3,000nm以下の波長領域のうちのいずれか1つに存在し、当該波長領域内の吸光スペクトルがその他の波長領域の吸光スペクトルよりも顕著に高いことを意味し、ここで顕著に高いということは、吸光スペクトルの総面積に対して例えば約70%~100%、約75%~100%、約80%~100%、約85%~100%、約90%~100%、又は約95%~100%が当該波長領域に属するものである。
【0038】
光電変換層30は、pn接合(pn junction)を形成する第1物質及び第2物質を含み、第1物質及び第2物質は外部から光を受けてエキシトン(exciton)を生成した後、生成されたエキシトンを正孔と電子とに分離する。例えば、第1物質はp型物質であり、第2物質はn型物質である。
【0039】
一例として、第1物質及び第2物質はそれぞれ吸光物質であり、例えば第1物質及び第2物質のうちの少なくとも一つは有機吸光物質である。一例として、第1物質及び第2物質のうちの少なくとも一つは所定の波長領域の光を選択的に吸収する波長選択性吸光物質であり、例えば第1物質及び第2物質のうちの少なくとも一つは波長選択性有機吸光物質である。第1物質及び第2物質の吸光スペクトルは、互いに同一又は異なる波長領域で最大吸収波長(λmax)を有する。
【0040】
一例として、第1物質及び第2物質の吸光スペクトルは、それぞれ独立して、青色光、緑色光、赤色光、及び赤外光のうちのいずれか一つを選択的に吸収し、第1物質又は第2物質の吸光スペクトルの最大吸収波長(λmax)は、約380nm以上500nm未満、約500nm~600nm、約600nm超700nm以下、及び約700nm超~3,000nm以下の波長領域のうちのいずれか一つに存在する。
【0041】
一例として、第1物質及び/又は第2物質は有機物質である。
【0042】
一例として、第1物質及び/又は第2物質は低分子化合物である。
【0043】
一例として、第1物質及び/又は第2物質は蒸着性化合物である。
【0044】
一例として、第1物質は、電子供与モイエティ(electron donating moiety:EDM)、π共役連結モイエティ(π-conjugated linking moiety)、及び電子受容モイエティ(electron accepting moiety:EAM)を含むコア構造を有する有機物である。
【0045】
第1物質は、例えば下記化学式Aで表されるが、これに限定されるものではない。
【0046】
[化学式A]
EDM1-HA1-EAM1
【0047】
上記化学式A中、
HA1は、π共役連結モイエティであって、置換若しくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基であり、
EDM1は、電子供与モイエティであり、
EAM1は、電子受容モイエティである。
【0048】
一例として、化学式Aで表される第1物質は、例えば下記化学式A-1で表されるが、これに限定されるものではない。
【0049】
【0050】
上記化学式A-1中、
X1は、O、S、Se、Te、SO、SO2、SiRaRb、又はGeRcRdであり、
Ar1は、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、又はこれらの中から選択される2以上の縮合環であり、
Ar1a及びAr2aは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基であり、
Ar1a及びAr2aは、それぞれ独立して存在するか、又は互いに結合して縮合環を形成し、
R1~R3及びRa~Rdは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、又はシアノ基である。
【0051】
一例として、化学式A-1中のAr1a及びAr2aは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のフェニル基、置換若しくは非置換のナフチル基、置換若しくは非置換のアントラセニル基、置換若しくは非置換のフェナントレニル基、置換若しくは非置換のピリジニル(pyridinyl)基、置換若しくは非置換のピリダジニル(pyridazinyl)基、置換若しくは非置換のピリミジニル(pyrimidinyl)基、置換若しくは非置換のピラジニル(pyrazinyl)基、置換若しくは非置換のキノリニル(quinolinyl)基、置換若しくは非置換のイソキノリニル(isoquinolinyl)基、置換若しくは非置換のナフチリジニル(naphthyridinyl)基、置換若しくは非置換のシノリニル(cinnolinyl)基、置換若しくは非置換のキナゾリニル(quinazolinyl)基、置換若しくは非置換のフタラジニル(phthalazinyl)基、置換若しくは非置換のベンゾトリアジニル(benzotriazinyl)基、置換若しくは非置換のピリドピラジニル(pyridopyrazinyl)基、置換若しくは非置換のピリドピリミジニル(pyridopyrimidinyl)基、又は置換若しくは非置換のピリドピリダジニル(pyridopyridazinyl)基である。
【0052】
一例として、化学式A-1中のAr1a及びAr2aは、互いに縮合して環を形成し、Ar1a及びAr2aは、例えば単結合、-O-、-S-、-Se-、-Te-、-N=、-NRe-、-(CRfRg)n2-(n2は1又は2)、-SiRhRi-、-GeRjRk-、-(C(Rl)=C(Rm))-、又はSnRnRoで連結されて環を形成する。ここでRe~Roは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、又はシアノ基であり、RfとRg、RhとRi、RjとRk、RlとRm、及びRnとRoは、それぞれ独立して存在するか、又は互いに連結されて環を形成する。
【0053】
一例として、化学式A-1で表される第1物質は、例えば下記化学式A-2~A-5で表されるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
【0055】
上記化学式A-2~A-5中、
X1及びR1~R3は、上述した通りであり、
Ar3は、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、又はこれらの中から選択される2以上の縮合環であり、
Gは、単結合、-O-、-S-、-Se-、-Te-、-N=、-NRe-、-(CRfRg)n2-(n2は1又は2)、-SiRhRi-、-GeRjRk-、-(C(Rl)=C(Rm))-、又はSnRnRoであり、ここでRe~Roは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、又はシアノ基であり、RfとRg、RhとRi、RjとRk、RlとRm、及びRnとRoは、それぞれ独立して存在するか、又は互いに連結されて環を形成し、
Y2は、O、S、Se、Te、又はC(Rp)(CN)(ここでRpは水素、シアノ基(-CN)又は炭素数1~10のアルキル基)であり、
R6a~R6e、R7a~R7e、R16及びR17は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、又はシアノ基であり、
R6a~R6eは、それぞれ独立して存在するか、又は互いに隣接する2個が互いに連結されて縮合環を形成し、
R7a~R7eは、それぞれ独立して存在するか、又は互いに隣接する2個が互いに連結されて縮合環を形成する。
【0056】
一例として、化学式A-2又はA-4中のAr3は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、チオフェン、セレノフェン、テルロフェン、ピリジン、ピリミジン、又はこれらの中から選択される2以上の縮合環である。
【0057】
第2物質は、例えば有機物、無機物、及び/又は有機-無機物を含み、例えば、チオフェン又はチオフェン誘導体、フラーレン又はフラーレン誘導体であるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
光電変換層30は第3物質を更に含む。第3物質は、第1物質及び第2物質とそれぞれ異なる物質であり、光電変換層30内で第1物質及び/又は第2物質の物性を改質するドーパント(dopant)である。
【0059】
第3物質は、第1物質及び第2物質と混合され、原子スケール(atomic scale)で第1物質及び/又は第2物質に接するように配置されてpn接合をなす第1物質及び/又は第2物質のモルフォロジー(morphology)又は第1物質と第2物質との分子形態(molecule conformation)を変形させる。これにより、第1物質、第2物質、及び第3物質を含む光電変換層30のモルフォロジー及び分子形態の多様性は、第1物質及び第2物質からなる薄膜のモルフォロジー及び分子形態の多様性と異なる。
【0060】
このようなモルフォロジーに基づいた量子計算(quantum calculation)によると、高い双極子モーメント(dipole moment)を有する第3物質は、第1物質及び/又は第2物質のエネルギー準位の分布を変形させる。一例として、高い双極子モーメントを有する第3物質は、第1物質又は第2物質のHOMOエネルギー準位の分布又はLUMOエネルギー準位の分布を変形させる。これにより、第1物質、第2物質、及び第3物質を含む光電変換層30のHOMOエネルギー準位の分布又はLUMOエネルギー準位の分布(第3物質なし)は、第1物質及び第2物質からなる薄膜のHOMOエネルギー準位の分布又はLUMOエネルギー準位の分布と異なる。
【0061】
第3物質の双極子モーメントは、例えば約5.5Debye以上であり、上記の範囲内で約6Debye以上、約8Debye以上、約10Debye以上、又は約12Debye以上であり、上記の範囲内で約5.5~15Debye、約6~15Debye、約8~15Debye、約10~15Debye、又は約12~15Debyeであるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
光電変換層30は、ドーパントとして高い双極子モーメントを有する第3物質を含むことによって、第1物質又は第2物質が所望の領域でHOMOエネルギー準位の分布又はLUMOエネルギー準位の分布を有するように調整するか、又は所望しない領域でHOMOエネルギー準位の分布又はLUMOエネルギー準位の分布を有さないように調整する。
【0063】
一例として、第1物質がp型物質であり、第2物質がn型物質である場合、第3物質は第1物質のHOMOエネルギー準位の分布を変形させるp型物質である。一例として、第3物質によって変形された第1物質のHOMOエネルギー準位の分布は、第1物質の本来のHOMOエネルギー準位の分布に比べて深いHOMOエネルギー準位方向に移動(shift)する。
【0064】
このように、p型半導体のHOMOエネルギー準位の分布が移動することによって、HOMOエネルギー準位の分布内の所望の領域を増やすか、或いはHOMOエネルギー準位の分布内の所望しない領域を減らすか又は排除することができる。例えば、p型物質のHOMOエネルギー準位の分布領域中の電荷(例えば正孔)のトラップサイト(trap site)が相対的に多く存在する浅いHOMOエネルギー準位の領域を減らすか又は排除することができ、例えば、p型半導体のHOMOエネルギー準位の分布のうち、約5.2eVよりも浅いHOMOエネルギー準位の領域を減らすか又は排除することができる。
【0065】
一例として、第3物質によって変形された第1物質のHOMOエネルギー準位の分布は、深いHOMOエネルギー準位方向に移動する。この時、第3物質のHOMOエネルギー準位は、第1物質のHOMOエネルギー準位よりも深いか又は浅い。例えば、第3物質のHOMOエネルギー準位は、第1物質のHOMOエネルギー準位よりも深いか又は約0.3eV以下の範囲内で浅く、例えば、第3物質のHOMOエネルギー準位は、第1物質のHOMOエネルギー準位に比べて約-0.3eV~1.2eV(0eVは排除)の範囲に属する。例えば、第1物質の本来のHOMOエネルギー準位は約5.0eV~5.8eVであり、第3物質のHOMOエネルギー準位は約4.7eV~6.2eVである。例えば、第3物質のHOMOエネルギー準位は第1物質のHOMOエネルギー準位よりも深く、例えば第1物質の本来のHOMOエネルギー準位は約5.0eV~5.8eVであり、第3物質のHOMOエネルギー準位は約5.1eV~6.2eVである。第3物質によって変形された第1物質のHOMOエネルギー準位は第1物質のHOMOエネルギー準位よりも深い。例えば、第3物質によって変形された第1物質のHOMOエネルギー準位は第1物質のHOMOエネルギー準位よりも0.001eV更に深く、上記範囲内で約0.001eV~1.2eV、約0.002eV~0.8eV、約0.003eV~0.4eV、約0.004eV~0.1eV、約0.005eV~0.08eV、約0.005eV~0.04eV、約0.005eV~0.03eV、約0.005eV~0.0eV、又は約0.005eV~0.018eV更に深い。
【0066】
例えば、n型物質である第2物質のHOMOエネルギー準位は約6.2eVよりも更に深く、第3物質のHOMOエネルギー準位は第1物質のHOMOエネルギー準位と第2物質のHOMOエネルギー準位との間に位置する。例えば、第3物質のHOMOエネルギー準位と第2物質のHOMOエネルギー準位との差は、第1物質のHOMOエネルギー準位と第2物質のHOMOエネルギー準位との差よりも小さい。例えば、第1物質の本来のHOMOエネルギー準位は約5.0eV~5.8eVであり、第2物質のHOMOエネルギー準位は約6.3eV~7.2eVであり、第3物質のHOMOエネルギー準位は約5.1eV~6.2eVである。
【0067】
これにより、第1物質、第2物質、及び第3物質を含む光電変換層30のHOMOエネルギー準位(第3物質なし)は、第1物質及び第2物質からなる薄膜のHOMOエネルギー準位よりも深く、例えば光電変換層30のHOMOエネルギー準位(第3物質なし)は、第1物質及び第2物質からなる薄膜のHOMOエネルギー準位よりも約0.001eV以上更に深く、例えば約0.001eV~1.2eV、約0.002eV~0.8eV、約0.003eV~0.4eV、約0.004eV~0.1eV、約0.005eV~0.08eV、約0.005eV~0.04eV、約0.005eV~0.03eV、約0.005eV~0.02eV、約0.005eV~0.018eV更に深い。
【0068】
第3物質は、上述した特性を示す有機物、無機物、及び/又は有機-無機物であり、例えば有機物であり、例えば低分子化合物であり、例えば蒸着性有機化合物である。一例として、光電変換層30は第1物質、第2物質、及び第3物質の共蒸着薄膜である。
【0069】
第3物質は、例えば吸光物質であり、例えば青色波長領域、緑色波長領域、赤色波長領域、及び赤外線波長領域の光のうちのいずれか一つを選択的に吸収する吸光物質である。
【0070】
一例として、第1物質及び第3物質の吸光スペクトルは、青色波長領域、緑色波長領域、赤色波長領域、及び赤外線波長領域のうちの一つに共通的に属する最大吸収波長(λmax)を有する。一例として、第1物質及び第3物質の吸光スペクトルは、それぞれ約380nm以上500nm未満の青色波長領域で最大吸収波長(λmax)を有する。一例として、第1物質及び第3物質の吸光スペクトルは、それぞれ約500nm~600nmの緑色波長領域で最大吸収波長(λmax)を有する。一例として、第1物質及び第3物質の吸光スペクトルは、それぞれ約600nm超700nm以下の赤色波長領域で最大吸収波長(λmax)を有する。一例として、第1物質及び第3物質の吸光スペクトルは、それぞれ約700nm超~3,000nm以下の赤外線波長領域で最大吸収波長(λmax)を有する。
【0071】
第3物質は、例えば下記化学式1で表されるが、これに限定されるものではない。
【0072】
[化学式1]
EDM3-HA3-EAM3
【0073】
上記化学式1中、
HA3は、π共役連結モイエティであって、置換若しくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基であり、
EDM3は、電子供与モイエティであり、
EAM3は、電子受容モイエティである。
【0074】
一例として、HA3は上述したHA1と同一又は異なり、EDM3は上述したEDM1と同一又は異なり、EAM3は上述したEAM1と同一又は異なる。但し、HA3、EDM3、及びEAM3のうちの少なくとも一つはHA1、EDM1、又はEAM1と異なる。
【0075】
一例として、化学式1で表される第3物質は、例えば下記化学式1-1で表されるが、これに限定されるものではない。
【0076】
【0077】
上記化学式1-1中、
X2は、O、S、Se、Te、SO、SO2、SiRaRb、又はGeRcRdであり、
Ar2は、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、又はこれらの中から選択される2以上の縮合環であり、
Ar1b及びAr2bは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基であり、
Ar1b及びAr2bは、それぞれ独立して存在するか、又は互いに結合して縮合環を形成し、
R4~R6及びRa~Rdは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、又はシアノ基である。
【0078】
一例として、化学式1-1中のAr1b及びAr2bは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のフェニル基、置換若しくは非置換のナフチル基、置換若しくは非置換のアントラセニル基、置換若しくは非置換のフェナントレニル基、置換若しくは非置換のピリジニル基、置換若しくは非置換のピリダジニル基、置換若しくは非置換のピリミジニル基、置換若しくは非置換のピラジニル基、置換若しくは非置換のキノリニル基、置換若しくは非置換のイソキノリニル基、置換若しくは非置換のナフチリジニル基、置換若しくは非置換のシノリニル基、置換若しくは非置換のキナゾリニル基、置換若しくは非置換のフタラジニル基、置換若しくは非置換のベンゾトリアジニル基、置換若しくは非置換のピリドピラジニル基、置換若しくは非置換のピリドピリミジニル基、又は置換若しくは非置換のピリドピリダジニル基から選択される。
【0079】
一例として、化学式1-1中のAr1b及びAr2bは、互いに縮合して環を形成し、Ar1b及びAr2bは、例えば単結合、-O-、-S-、-Se-、-Te-、-N=、-NRe-、-(CRfRg)n2-(n2は1又は2)、-SiRhRi-、-GeRjRk-、-(C(Rl)=C(Rm))-、又はSnRnRoで連結されて環を形成する。ここで、Re~Roは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、又はシアノ基であり、RfとRg、RhとRi、RjとRk、RlとRm、及びRnとRoは、それぞれ独立して存在するか、又は互いに連結されて環を形成する。
【0080】
一例として、化学式1-1で表される第3物質は、例えば下記化学式1-2~1-7で表されるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
【0082】
上記化学式1-2~1-7中、
X2及びR4~R6は、上述した通りであり、
Ar4は、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、又はこれらの中から選択される2以上の縮合環であり、
Ar5は、置換若しくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基であり、
Zは、単結合、-O-、-S-、-Se-、-Te-、-N=、-NRe-、-(CRfRg)n2-(n2は1又は2)、-SiRhRi-、-GeRjRk-、-(C(Rl)=C(Rm))-、又はSnRnRoであり、ここでRe~Roは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数6~12のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、又はシアノ基であり、RfとRg、RhとRi、RjとRk、RlとRm及びRnとRoは、それぞれ独立して存在するか、又は互いに連結されて環を形成し、
Y3は、O、S、Se、Te、又はC(Rp)(CN)(ここでRpは水素、シアノ基(-CN)又は炭素数1~10のアルキル基)であり、
R6f~R6j、R7f~R7j、R18及びR19は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、又はシアノ基であり、
R6f~R6jは、それぞれ独立して存在するか、又は互いに隣接する2個が互いに連結されて縮合環を形成し、
R7f~R7jは、それぞれ独立して存在するか、又は互いに隣接する2個が互いに連結されて縮合環を形成する。
【0083】
一例として、化学式1-2、1-4、又は1-6中のAr4は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、チオフェン、セレノフェン、テルロフェン、ピリジン、ピリミジン、又はこれらの中から選択される2以上の縮合環である。
【0084】
光電変換層30は、上述した第1物質、第2物質、及び第3物質がバルクヘテロ接合(bulk heterojunction)形態で混合された真性層(intrinsic layer、I層)である。
【0085】
第1物質と第2物質とは、約1:9~9:1の体積比で混合され、上記の範囲内で、例えば約2:8~8:2の体積比で混合され、上記の範囲内で、例えば約3:7~7:3、例えば約4:6~6:4、又は約5:5の体積比で混合される。
【0086】
第3物質は、上述した第1物質及び/又は第2物質の物性を改質するほかに、第1物質及び第2物質の分子の安定性及び光電変換層30に要求される他の物性に影響を与えない含有量で含まれ、例えば第1物質又は第2物質よりも少なく含まれる。例えば、第3物質は、第1物質及び第3物質の総体積に対して約30体積%以下で含まれ、上記の範囲内で約1~30体積%、約1~25体積%、約1~20体積%、約1~15体積%、又は約1~10体積%で含まれる。
【0087】
一例として、光電変換層30は、上述した第1物質、第2物質、及び第3物質からなる3成分系(ternary system)である。
【0088】
光電変換素子100は、第1電極10又は第2電極20の一面に配置される反射防止層(図示せず)を更に含む。反射防止層は、光が入射する側に配置されて入射光の反射度を下げることによって光吸収度を更に改善することができる。例えば、第1電極10側に光が入射する場合に反射防止層は第1電極10の一面に配置され、第2電極20側に光が入射する場合に反射防止層は第2電極20の一面に配置される。
【0089】
反射防止層は、例えば約1.6~2.5の屈折率を有する物質を含み、例えば、上記の範囲の屈折率を有する金属酸化物、金属硫化物、及び有機物のうちの少なくとも1つを含む。反射防止層としては、例えばアルミニウム含有酸化物、モリブデン含有酸化物、タングステン含有酸化物、バナジウム含有酸化物、レニウム含有酸化物、ニオブ含有酸化物、タンタル含有酸化物、チタン含有酸化物、ニッケル含有酸化物、銅含有酸化物、コバルト含有酸化物、マンガン含有酸化物、クロム含有酸化物、テルル含有酸化物、又はこれらの組み合わせなどの金属酸化物;亜鉛スルフィドなどの金属硫化物;又はアミン誘導体などの有機物を含むが、これらに限定されるものではない。
【0090】
光電変換素子100は、第1電極10又は第2電極20側から光が入射して、光電変換層30が所定の波長領域の光を吸収すると内部でエキシトンが生成される。エキシトンは光電変換層30で正孔と電子とに分離され、分離された正孔は第1電極10及び第2電極20のうちの一方のアノードに移動し、分離された電子は第1電極10及び第2電極20のうちの他方のカソードに移動して電流が流れるようになる。
【0091】
この時、上述のように、光電変換層30は、pn接合を形成する第1物質及び第2物質以外にも、第1物質及び/又は第2物質の物性を改質する第3物質を更に含むことによって所望の物性を実現したり、所望しない物性を排除したりすることができる。これにより、光電変換素子100の光学的電気的特性を改善することができる。一例として、上述のように、光電変換層30で電荷のトラップサイトが相対的に多く存在するエネルギー準位の領域(例えば、浅いHOMOエネルギー準位の領域)を減らすか又は排除するように第1物質又は第2物質のエネルギー準位の分布を調整することによって、光電変換層30から第1電極10及び/又は第2電極20に移動する電荷中のトラップサイトに留まる残留電荷(remaining charges)を減らすか又は防止することができる。このように、光電変換層30内に累積した残留電荷によるイメージ残像を減らすか又は防止することができるため、光電変換素子100の電気的性能を改善することができる。
【0092】
図2は、一実施形態による光電変換素子の他の例を示す断面図である。
【0093】
図2を参照すると、本実施形態による光電変換素子100は、上述した実施形態と同様に、第1電極10、第2電極20、及び光電変換層30を含む。しかし、本実施形態による光電変換素子100は、上述した実施形態とは異なり、第1電極10と光電変換層30との間、及び第2電極20と光電変換層30との間に補助層(40、50)を更に含む。
【0094】
補助層(40、50)は、正孔の注入を容易にする正孔注入層(hole injecting layer:HIL)、正孔の輸送を容易にする正孔輸送層(hole transporting layer:HTL)、電子の移動を阻止する電子遮断層(electron blocking layer:EBL)、電子の注入を容易にする電子注入層(electron injecting layer:EIL)、電子の輸送を容易にする電子輸送層(electron transporting layer:ETL)、及び/又は正孔の移動を阻止する正孔遮断層(hole blocking layer:HBL)であるが、これらに限定されるものではない。
【0095】
補助層(40、50)はそれぞれ独立して、有機物、無機物、及び/又は有機-無機物を含む。
【0096】
一例として、補助層(40、50)のうちのいずれか一つは無機補助層を含む。無機補助層は、例えばランタン族元素、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、アルミニウム(Al)、又はこれらの合金を含み、ランタン族元素は、例えばイッテルビウム(Yb)を含む。無機補助層の厚さは約5nm以下である。
【0097】
一例として、補助層(40、50)のうちのいずれか一つは有機補助層を含む。有機補助層は、例えば下記化学式2A又は2Bで表される化合物を含むが、これらに限定されるものではない。
【0098】
【0099】
上記化学式2A又は2B中、
M1及びM2は、それぞれ独立して、O、S、Se、Te、CRqRr、SiRsRt、又はNRuであり、
Ar1c、Ar2c、Ar3c、及びAr4cは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基又は置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基であり、
G2及びG3は、それぞれ独立して、単結合、-(CRvRw)n3-、-O-、-S-、-Se-、-Te、-N=、-NRx-、又は-SiRyRz-であり、ここでn3は、1又は2であり、
R30~R37及びRq~Rzは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、ハロゲン、又はシアノ基である。
【0100】
一例として、有機補助層は、下記化学式2A-1又は2B-1で表される化合物であるが、これらに限定されるものではない。
【0101】
【0102】
上記化学式2A-1又は2B-1中、
M1、M2、G2、G3、R30~R37は、上述した通りであり、
R38~R45は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、又はシアノ基である。
【0103】
一例として、有機補助層は、下記化学式2A-1a又は2B-1aで表される化合物であるが、これらに限定されるものではない。
【0104】
【0105】
上記化学式2A-1a及び2B-1a中、
R38~R45は、上記化学式2A-1及び2B-1で説明した通りであり、
Rn~Roは、上記化学式2A及び2Bにおいて、Rq及びRrで説明した通りである。
【0106】
一例として、補助層(40、50)のうちのいずれか一方は無機補助層であり、補助層(40、50)のうちの他方は有機補助層である。
一例として、補助層(40、50)のうちのいずれか一つは省略することができる。
【0107】
上述した光電変換素子100は、例えばセンサに適用され、センサは、例えばイメージセンサである。上述した光電変換素子100が適用されたイメージセンサは、残留電荷によるイメージ残像を減らすことによって、高速撮影に適したイメージセンサに適用される。
【0108】
以下、上述した素子を適用したイメージセンサの一例について図面を参照して説明する。ここでイメージセンサの一例として、有機CMOSイメージセンサについて説明する。
【0109】
図3は、一実施形態によるイメージセンサの一例を示す断面図である。
【0110】
図3を参照すると、本実施形態によるイメージセンサ300は、半導体基板110、絶縁層80、光電変換素子100、及び色フィルター層70を含む。
【0111】
半導体基板110は、シリコン基板であり、伝送トランジスタ(図示せず)及び電荷貯蔵所155が集積される。伝送トランジスタ及び/又は電荷貯蔵所155は画素毎に集積される。電荷貯蔵所155は、光電変換素子100に電気的に連結される。
【0112】
また、半導体基板110の上には金属配線(図示せず)及びパッド(図示せず)が形成される。金属配線及びパッドは、信号遅延を減らすために低い比抵抗を有する金属、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、及びこれらの合金で作られるが、これらに限定されるものではない。
【0113】
金属配線及びパッドの上には絶縁層80が形成される。絶縁層80は、酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素などの無機絶縁物質、或いはSiC、SiCOH、SiCO、及びSiOFなどの低誘電率(low K)物質で作られる。絶縁層80は、電荷貯蔵所155を露出するトレンチ85を有する。トレンチ85は充填材で満たされる。
【0114】
絶縁層80の上には光電変換素子100が形成される。光電変換素子100は、
図1又は
図2に示す構造であり、具体的な説明は上述した通りである。光電変換素子100の第1電極10及び第2電極20のうちの一方は受光電極であり、光電変換素子100の第1電極10及び第2電極20のうちの他方は電荷貯蔵所155に連結される。
【0115】
光電変換素子100の上には色フィルター層70が形成される。色フィルター層70は、青色画素に形成された青色フィルター70a、赤色画素に形成された赤色フィルター70b、及び緑色画素に形成された緑色フィルター70cを含む。しかし、これらに限定されず、シアンフィルター、マゼンタフィルター、及び/又はイエローフィルターを代わりとして、又は追加的に含むことができる。
【0116】
光電変換素子100と色フィルター層70との間には絶縁膜180が形成される。絶縁膜180は省略することができる。
【0117】
色フィルター層70の上には集光レンズ(図示せず)が更に形成される。集光レンズは、入射光の方向を制御して光を1つの地点に集める。集光レンズは、例えばシリンダー状又は半球状であるが、これらに限定されるものではない。
【0118】
図4は、一実施形態によるイメージセンサの一例を示す平面図であり、
図5は、
図4のイメージセンサの一例を示す断面図である。
【0119】
図4及び
図5を参照すると、本実施形態によるイメージセンサ400は、光感知素子(150a、150b)、伝送トランジスタ(図示せず)、及び電荷貯蔵所155が集積された半導体基板110、下部絶縁層60、色フィルター層70、上部絶縁層80、及び光電変換素子100を含む。
【0120】
半導体基板110は、シリコン基板であり、光感知素子(150a、150b)、伝送トランジスタ(図示せず)、及び電荷貯蔵所155が集積される。光感知素子(150a、150b)は、フォトダイオード(photo diode)である。
【0121】
光感知素子(150a、150b)、伝送トランジスタ、及び/又は電荷貯蔵所155は画素毎に集積され、一例として図面から見られるように、光感知素子(150a、150b)は青色画素及び赤色画素にそれぞれ含まれ、電荷貯蔵所155は緑色画素に含まれる。
【0122】
光感知素子(150a、150b)は光をセンシングし、センシングされた情報は伝送トランジスタによって伝えられ、電荷貯蔵所155は光電変換素子100に電気的に連結され、電荷貯蔵所155の情報は伝送トランジスタによって伝えられる。
【0123】
また、半導体基板110の上には金属配線(図示せず)及びパッド(図示せず)が形成される。金属配線及びパッドは、信号遅延を減らすために低い比抵抗を有する金属、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、及びこれらの合金で作られるが、これらに限定されるものではない。しかし、上記構造に限定されず、金属配線及びパッドが光感知素子(150a、150b)の下部に位置することもできる。
【0124】
金属配線及びパッドの上には下部絶縁層60が形成される。下部絶縁層60は、酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素などの無機絶縁物質、或いはSiC、SiCOH、SiCO、及びSiOFなどの低誘電率(low K)物質で作られる。下部絶縁層60は、電荷貯蔵所155を露出するトレンチ85を有する。トレンチ85は充填材で満たされる。
【0125】
下部絶縁膜60の上には色フィルター層70が形成される。色フィルター層70は、青色画素に形成された青色フィルター70a及び赤色画素に形成された赤色フィルター70bを含む。しかし、これに限定されず、シアンフィルター、マゼンタフィルター、及び/又はイエローフィルターを代わりとして、又は追加的に含むことができる。本実施形態では緑色フィルターを備えていない例について説明するが、場合によっては緑色フィルターを備えることもできる。
【0126】
色フィルター層70の上には上部絶縁層80が形成される。上部絶縁層80は、色フィルター層70による段差を除去して平坦化する。上部絶縁層80及び下部絶縁層60は、パッドを露出する接触孔(図示せず)及び緑色画素の電荷貯蔵所155を露出するトレンチ85を有する。
【0127】
上部絶縁層80の上には光電変換素子100が形成される。光電変換素子100は
図1又は
図2に示す構造であり、具体的な説明は上述した通りである。光電変換素子100の第1電極10及び第2電極20のうちの一方は受光電極であり、光電変換素子100の第1電極10及び第2電極20のうちの他方は電荷貯蔵所155に連結される。
【0128】
光電変換素子100の上には集光レンズ(図示せず)が更に形成される。集光レンズは、入射光の方向を制御して光を1つの地点に集める。集光レンズは、例えばシリンダー状又は半球状であるが、これらに限定されるものではない。
【0129】
図6は、
図4のイメージセンサの他の例を示す断面図である。
【0130】
図6を参照すると、本実施形態によるイメージセンサ500は、上述した実施形態と類似して、光感知素子(150a、150b)、伝送トランジスタ(図示せず)、及び電荷貯蔵所155が集積された半導体基板110、上部絶縁層80、及び光電変換素子100を含む。
【0131】
しかし、本実施形態によるイメージセンサ500は、上述した実施形態とは異なり、光感知素子(150a、150b)が垂直方向に積層され、下部絶縁層60及び色フィルター層70は省略される。光感知素子(150a、150b)は、電荷貯蔵所(図示せず)に電気的に連結され、伝送トランジスタによって伝えられる。光感知素子(150a、150b)は、積層深さにより各波長領域の光を選択的に吸収する。
【0132】
光電変換素子100は
図1又は
図2に示す構造であり、具体的な説明は上述した通りである。光電変換素子100の第1電極10及び第2電極20のうちの一方は受光電極であり、光電変換素子100の第1電極10及び第2電極20のうちの他方は電荷貯蔵所155に連結される。
【0133】
図7は、一実施形態によるイメージセンサの他の例を示す平面図であり、
図8は、
図7のイメージセンサの一例を示す断面図である。
【0134】
本実施形態によるイメージセンサ600は、緑色波長領域の光を選択的に吸収する緑色素子、青色波長領域の光を選択的に吸収する青色素子、及び赤色波長領域の光を選択的に吸収する赤色素子が積層された構造である。
【0135】
本実施形態によるイメージセンサ600は、半導体基板110、下部絶縁層60、中間絶縁層65、上部絶縁層80、第1光電変換素子100a、第2光電変換素子100b、及び第3光電変換素子100cを含む。
【0136】
半導体基板110は、シリコン基板であり、伝送トランジスタ(図示せず)及び電荷貯蔵所(155a、155b、155c)が集積される。
【0137】
半導体基板110の上には金属配線(図示せず)及びパッド(図示せず)が形成され、金属配線及びパッドの上には下部絶縁層60が形成される。
【0138】
下部絶縁層60の上には第1光電変換素子100a、第2光電変換素子100b、及び第3光電変換素子100cが順次形成される。
【0139】
第1、第2、及び第3光電変換素子(100a、100b、100c)は、それぞれ独立して
図1又は
図2に示す構造であり、具体的な説明は上述した通りである。第1、第2、及び第3光電変換素子(100a、100b、100c)の第1電極10及び第2電極20のうちの一方は受光電極であり、第1、第2、及び第3光電変換素子(100a、100b、100c)の第1電極10及び第2電極20のうちの他方は電荷貯蔵所(155a、155b、155c)に連結される。
【0140】
第1光電変換素子100aは、赤色、青色、及び緑色のうちのいずれか1つの波長領域の光を選択的に吸収して光電変換する。例えば、第1光電変換素子100aは赤色光電変換素子である。第1光電変換素子100aの上には中間絶縁層65が形成される。
【0141】
中間絶縁層65の上には第2光電変換素子100bが形成される。
【0142】
第2光電変換素子100bは、赤色、青色、及び緑色のうちのいずれか1つの波長領域の光を選択的に吸収して光電変換する。例えば、第2光電変換素子100bは青色の光電変換素子である。
【0143】
第2光電変換素子100bの上には上部絶縁層80が形成される。下部絶縁層60、中間絶縁層65、及び上部絶縁層80は、電荷貯蔵所(155a、155b、155c)を露出する複数のトレンチ(85a、85b、85c)を有する。
【0144】
上部絶縁層80の上には第3光電変換素子100cが形成される。第3光電変換素子100cは、赤色、青色、及び緑色のうちのいずれか1つの波長領域の光を選択的に吸収して光電変換する。例えば、第3光電変換素子100cは緑色の光電変換素子である。
【0145】
第3光電変換素子100cの上には集光レンズ(図示せず)が更に形成される。集光レンズは、入射光の方向を制御して光を1つの地点に集める。集光レンズは、例えばシリンダー状又は半球状であるが、これらに限定されるものではない。
【0146】
図面では、第1光電変換素子100a、第2光電変換素子100b、及び第3光電変換素子100cが順次積層された構造を示したが、これに限定されず、積層順序は多様に変更可能である。
【0147】
上記のようにそれぞれ異なる波長領域の光を吸収する第1光電変換素子100a、第2光電変換素子100b、及び第3光電変換素子100cが積層された構造を有することで、イメージセンサのサイズを更に縮小してイメージセンサの小型化を実現することができる。
【0148】
図9は、一実施形態によるイメージセンサの他の例を示す平面図であり、
図10は、
図9のイメージセンサの一例を示す断面図である。
【0149】
図9及び
図10を参照すると、イメージセンサ1100は、半導体基板110の上に配置された光電変換素子90を含み、光電変換素子90は、複数の光電変換素子(90-1、90-2、90-3)を含む。複数の光電変換素子(90-1、90-2、90-3)は、それぞれ異なる波長領域の光(例えば青色光、緑色光、又は赤色光)を電気的信号に変換する。
図10を参照すると、複数の光電変換素子(90-1、90-2、90-3)は、半導体基板110上で水平方向に並んで配列され、半導体基板110の表面110aに平行に伸びた方向に互いに部分的又は全体的に重なる。各光電変換素子(90-1、90-2、90-3)は、トレンチ85を通して半導体基板110内に集積された電荷貯蔵所155に連結される。
【0150】
各光電変換素子(90-1、90-2、90-3)は、上述した光電変換素子(100、200)のうちの1つである。一例として、2つ以上の光電変換素子(90-1、90-2、90-3)は、光電変換素子(90-1、90-2、90-3)の間で連続して伸びる共通の連続層の異なる部分を含む。一例として、複数の光電変換素子(90-1、90-2、90-3)は共通の第1電極10及び/又は共通の第2電極20を共有する。一例として、2つ以上の光電変換素子(90-1、90-2、90-3)は、入射光の異なる波長領域の光を吸収する異なる光電変換層30を有する。イメージセンサ1100のその他の構造は、
図3~
図8で説明したイメージセンサのうちの1つ以上と同様である。
【0151】
図11は、一実施形態によるイメージセンサの一例を示す断面図である。
【0152】
図11を参照すると、イメージセンサ1200は、半導体基板110と半導体基板110の上に積層された光電変換素子(90-1、91)とを含む。光電変換素子91は複数の光電変換素子(90-2、90-3)を含み、複数の光電変換素子(90-2、90-3)は、半導体基板110の表面110aに平行に伸びる方向に重畳するように配列される。複数の光電変換素子(90-1、90-2、90-3)は、それぞれ異なる波長領域の光(例えば青色光、緑色光、又は赤色光)を電気的信号に光電変換する。
【0153】
一例として、光電変換素子91は、互いに異なる波長領域の光を吸収する水平方向に配列された複数の光電変換素子を含む。一例として、光電変換素子91は青色光、緑色光、及び赤色光から選択される1つの波長領域の光を光電変換する。一例として、光電変換素子91は、光電変換素子90-1に全体的又は部分的に重なる。イメージセンサ1200のその他の構造は、
図3~
図8で説明したイメージセンサのうちの1つ以上と同様である。
【0154】
図12は、一実施形態によるイメージセンサの他の例を示す断面図である。
【0155】
図12を参照すると、イメージセンサ1300は、光感知素子(150a、150b)、伝送トランジスタ(図示せず)、及び電荷貯蔵所155が集積された半導体基板110;半導体基板110の上部に位置する上部絶縁層80及び色フィルター層70;半導体基板110の下部に位置する下部絶縁層60及び光電変換素子90を含む。光電変換素子90は、上述した光電変換素子(100、200)である。
図12において、光電変換素子90は半導体基板110の下部に配置されることで、光感知素子(150a、150b)に対して光電変換素子90と色フィルター層70とは分離配置される。イメージセンサ1300のその他の構造は、
図3~
図8で説明したイメージセンサのうちの1つ以上と同様である。
【0156】
上述した光電変換素子及びセンサは、それぞれ多様な電子装置に適用され、例えば携帯電話、カメラ、生体認識装置、及び/又は自動車電装部品などに適用されるが、これらに限定されるものではない。
【0157】
図13は、一実施形態による電子装置の概略的なダイアグラムである。
【0158】
図13を参照すると、電子装置1700は、バス(bus)1710を介して互いに電気的に連結されたプロセッサー1720、メモリ1730、及びイメージセンサ1740を含む。イメージセンサ1740は、上述した実施形態によるいずれか1つである。非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体のメモリ1730には指示プログラムが保存される。メモリ1730は、フラッシュメモリ(flash memory)、相変化メモリ(phase-change random access memory:PRAM)、磁気抵抗変化メモリ(magneto-resistive RAM:MRAM)、抵抗変化メモリ(resistive RAM:ReRAM)、強誘電体メモリ(ferro-electric RAM:FeRAM)などの不揮発性メモリ;SRAM、DRAM、又はSDRAMなどの揮発性メモリである。プロセッサー1720は、1つ以上の機能を行うために保存された指示プログラムを実行する。一例として、プロセッサー1720は、イメージセンサ1740によって生成された電気的信号を処理する。プロセッサー1720は、このような処理に基づいて出力(例えば、ディスプレイインターフェース上に表示されるイメージ)を生成する。
【0159】
以下、実施例を通じて上述した実施形態をより詳細に説明する。但し、下記の実施例は単に説明のためのものであって、本発明の権利範囲を制限するものではない。
【0160】
≪シミュレーション評価≫
【0161】
(1)実施例及び比較例
【0162】
シミュレーション評価のために、第1物質としては下記化合物B;第2物質としてはフラーレン(C60);及び第3物質としては下記化合物C-1~C-5のうちの一つと仮定し、下記表1の通り、第1物質、第2物質、及び第3物質を含む薄膜で第1物質、第2物質、及び第3物質の分子構造に基づいて原子モルフォロジー(atomistic morphology)を分子動力学によって予測し、モルフォロジーに含まれる全ての分子に対して量子計算を行い、エネルギー準位の分布を評価した。この時、第1物質と第2物質とは1:1(体積比)で含まれ、第3物質は、第1物質及び第3物質の総体積に対して5体積%で含まれると仮定する。
【0163】
量子計算は、モルフォロジーの各分子の形態(conformation)及び周辺環境を考慮して計算される。これにより、第3物質の影響に応じた第1物質の形態変化又は分子の環境変化を考慮したエネルギー準位の分布を評価する。
【0164】
【0165】
【0166】
(2)物質の物性評価
【0167】
第1物質、第2物質、及び第3物質の物性は表2の通りである。
【0168】
HOMOエネルギー準位の分布のシミュレーション計算はQuantumpatch software(Nanomatch GmbH製)を用いて行い、分子の双極子モーメントのシミュレーション計算はJaguar software(Schrodinger,LLC.製、Materials science suite)を用いて行う。但し、Quantumpatch softwareはB3LYP/def2-SVP、Jaguar_softwareはLACV3P**basis setでDensity Functional Theory(DFT)calculationを行う。
【0169】
【0170】
(3)シミュレーション結果I
【0171】
第1物質のHOMOエネルギー準位の分布の変化に応じた残留電荷の変化をシミュレーションで評価した。
【0172】
図14は、第1物質のHOMOエネルギー準位の分布の変化を示すグラフであり、
図15及び
図16は、第1物質のHOMOエネルギー準位の分布の変化に応じた残留電荷の変化を示すグラフである。
【0173】
図14~
図16を参照すると、第1物質のHOMOエネルギー準位の分布が深い方向に移動するほど残留電荷の特性が改善されることを予想することができる。
【0174】
(4)シミュレーション結果II
【0175】
第1物質のエネルギー準位の変化、及びそれに伴う残留電荷の変化をシミュレーションで評価した。
【0176】
その結果は表3の通りである。
【0177】
【0178】
上記表3を参照すると、第1物質のHOMOエネルギー準位が深くなるほど残留電荷の特性が改善されると予想され、第1物質のHOMOエネルギー準位の変化が大きいほど残留電荷の特性が更に改善されることを予想することができる。
【0179】
≪素子評価≫
【0180】
(1)素子の製作
【0181】
下記の光電変換素子を製作してシミュレーション評価を実験的に検証する。
【0182】
<素子実施例1>
【0183】
ガラス基板上にITOをスパッタリングで積層して150nm厚さのアノードを形成した。次に、アノードの上に下記化合物Aを蒸着して5nm厚さの電荷遮断層を形成した。次に、電荷遮断層上に化学式B(第1物質)(λmax:545nm)、フラーレン(C60)(第2物質)、及び化合物C-1(第3物質)(λmax:551nm)を共蒸着して100nm厚さの光電変換層を形成した。この時、第1物質と第2物質とは1:1の体積(かさ)比で共蒸着し、第3物質は、第1物質及び第3物質の総体積に対して5体積%となるように共蒸着した。光電変換層内の第1物質の変形されたHOMOエネルギー準位は5.495eVであり、フラーレンのLUMOエネルギー準位は3.563eVである。次に、光電変換層上にYbを熱蒸着して1.5nm厚さの電子バッファー層(WF:2.6eV)を形成した。次に、電子バッファー層上にITOをスパッタリングして7nm厚さのカソードを形成した。次に、カソードの上に酸化アルミニウム(Al2O3)を蒸着して50nm厚さの反射防止層を形成し、ガラス板で封止して光電変換素子を製作した。
【0184】
【0185】
<素子実施例2>
【0186】
第3物質として化合物C-1の代わりに化合物C-2(λmax:538nm)を使用して光電変換層を形成したことを除いて、素子実施例1と同様の方法で、光電変換素子を製造した。光電変換層内の第1物質の変形されたHOMOエネルギー準位は5.502eVである。
【0187】
<素子実施例3>
【0188】
第3物質として化合物C-1の代わりに化合物C-3(λmax:540nm)を使用して光電変換層を形成したことを除いて、素子実施例1と同様の方法で、光電変換素子を製造した。光電変換層内の第1物質の変形されたHOMOエネルギー準位は5.508eVである。
【0189】
<素子比較例1>
【0190】
第3物質を含まず、第1物質と第2物質とを共蒸着して光電変換層を形成したことを除いて、素子実施例1と同様の方法で、光電変換素子を製造した。光電変換層内の第1物質の変形されたHOMOエネルギー準位は5.490eVである。
【0191】
<素子比較例2>
【0192】
第3物質として化合物C-1の代わりに化合物C-4(λmax:534nm)を使用して光電変換層を形成したことを除いて、素子実施例1と同様の方法で、光電変換素子を製造した。光電変換層内の第1物質の変形されたHOMOエネルギー準位は5.479eVである。
【0193】
<素子比較例3>
【0194】
第3物質として化合物C-1の代わりに化合物C-5を使用して光電変換層を形成したことを除いて、素子実施例1と同様の方法で、光電変換素子を製造した。光電変換層内の第1物質の変形されたHOMOエネルギー準位は5.482eVである。
【0195】
(3)評価
【0196】
素子実施例及び素子比較例による光電変換素子の残留電荷(remaining charges)特性を評価した。
【0197】
残留電荷特性は、1フレーム(frame)で光電変換された電荷が信号処理に使用されずに残っていて、次のフレームで前フレームの電荷が読み取られる電荷の量をいい、実施例及び比較例による素子に光電変換が起こる緑色波長領域の光を33milliseconds間照射し、光を消した後、Keithley2400装置により10-6秒単位で測定される電流量から評価する。残留電子の量は5,000luxでh+/s/μm2単位で評価する。
【0198】
その結果は表4の通りである。
【0199】
【0200】
上記表4を参照すると、素子実施例による素子は、素子比較例による素子に比べて残留電子特性が改善されたことを確認することができた。また、素子実施例では上述したシミュレーション結果と実質的に同様の結果が出たことを確認することができた。
【0201】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0202】
10 第1電極
20 第2電極
30 光電変換層
40、50 補助層
60 下部絶縁層
65 中間絶縁層
70 色フィルター層
70a、70b、70c 青、赤、緑色フィルター
80 (上部)絶縁層
85、85a、85b、85c トレンチ
90、90-1、90-2、90-3、91、100 光電変換素子
100a、100b、100c 第1~第3光電変換素子
110 半導体基板
110a 表面
150a、150b、150c 光感知素子
155、155a、155b、155c 電荷貯蔵所
180 絶縁膜
300、400、500、600、1100、1200、1300 イメージセンサ
1700 電子装置
1710 バス(bus)
1720 プロセッサー
1730 メモリ
1740 イメージセンサ