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特許7607434車両用フロアサイレンサーとその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】車両用フロアサイレンサーとその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/08 20060101AFI20241220BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20241220BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20241220BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20241220BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20241220BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20241220BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20241220BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20241220BHJP
【FI】
B60R13/08
C08G18/00 F
C08G18/48 004
B32B27/40
B32B5/18
B32B27/30 B
B32B27/32 Z
C08G101:00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020178741
(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公開番号】P2022069848
(43)【公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-02-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 弘和
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-039321(JP,A)
【文献】特開2020-100101(JP,A)
【文献】特開2020-160311(JP,A)
【文献】特開2019-211493(JP,A)
【文献】特開2019-035821(JP,A)
【文献】特開2007-314160(JP,A)
【文献】特開2013-086639(JP,A)
【文献】特開2019-051749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/08
C08G 18/00
C08G 18/48
B32B 27/40
B32B 5/18
B32B 27/30
B32B 27/32
C08G 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンフォームを備える車両用フロアサイレンサーにおいて、
前記ポリウレタンフォームは、ポリオール(但し、ポリマーポリオールを除く)、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含むポリウレタンフォーム原料から金型内で成形されるものであり、
前記ポリオールは、分子量3000~12000、EO率5~20%のポリエーテルポリオールからなるメインポリオールと、分子量2000~7000、EO率50~90%のポリエーテルポリオールからなるサブポリオールとを含み、
前記発泡剤は水であり、
前記ポリウレタンフォームの密度が40~60kg/m であり、
前記ポリウレタンフォームの25%圧縮硬さが30~200Nであり、
前記ポリウレタンフォームのJIS A1441-1:2007に基づいて測定された1~4kHzの平均透過損失が60~65dBであることを特徴とする車両用フロアサイレンサー。
【請求項2】
ポリウレタンフォームを備える車両用フロアサイレンサーにおいて、
前記ポリウレタンフォームは、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含むポリウレタンフォーム原料から金型内で成形されるものであり、
前記ポリオールは、分子量3000~12000、EO率5~20%のポリエーテルポリオールからなるメインポリオールと、分子量2000~7000、EO率50~90%のポリエーテルポリオールからなるサブポリオールとを含み、
前記発泡剤は水であり、
前記ポリウレタンフォームのJIS A1441-1:2007に基づいて測定された1~4kHzの平均透過損失が60~65dBであることを特徴とする車両用フロアサイレンサー。
【請求項3】
ポリウレタンフォームを備える車両用フロアサイレンサーにおいて、
前記ポリウレタンフォームの密度が40~50kg/mであり、
前記ポリウレタンフォームの25%圧縮硬さが30~40Nであり、
前記ポリウレタンフォームは、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含むポリウレタンフォーム原料から金型内で成形されるものであり、
前記ポリオールは、分子量3000~12000、EO率5~20%のポリエーテルポリオールからなるメインポリオールと、分子量2000~7000、EO率50~90%のポリエーテルポリオールからなるサブポリオールとを含み、
前記発泡剤は水であることを特徴とする車両用フロアサイレンサー。
【請求項4】
発泡ポリスチレンまたは発泡ポリプロピレン乃至ポリスチレン・ポリオレフィン複合発泡材料からなる硬度アップ材と、ポリウレタンフォームとを備える車両用フロアサイレンサーにおいて、
前記ポリウレタンフォームは、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含むポリウレタンフォーム原料から金型内で成形されるものであり、
前記ポリオールは、分子量3000~12000、EO率5~20%のポリエーテルポリオールからなるメインポリオールと、分子量2000~7000、EO率50~90%のポリエーテルポリオールからなるサブポリオールとを含み、
前記発泡剤は水であり、
前記硬度アップ材の上面全体に前記ポリウレタンフォームが積層されていることを特徴とする車両用フロアサイレンサー。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の車両用フロアサイレンサーの製造方法であって、
ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含むポリウレタンフォーム原料を金型に注入して発泡させることにより、ポリウレタンフォームを成形する工程を含むことを特徴とする車両用フロアサイレンサーの製造方法。
【請求項6】
ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含むポリウレタンフォーム原料を金型に注入して発泡させることにより、ポリウレタンフォームを備える車両用フロアサイレンサーを製造する方法において、
前記ポリウレタンフォーム原料は、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含み、
前記ポリオールは、分子量3000~12000、EO率5~20%のポリエーテルポリオールからなるメインポリオールと、分子量2000~7000、EO率50~90%のポリエーテルポリオールからなるサブポリオールとを含み、
前記発泡剤は水であり、
イソシアネートインデックスが65~75であることを特徴とする車両用フロアサイレンサーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用フロアサイレンサーとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のフロアパネルに載置されるフロアサイレンサー(フロアスペーサーの場合もある)として、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含むポリウレタンフォーム原料を金型内に注入し、発泡させるモールド成形により形成されたポリウレタンフォームからなるものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-86639
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両用フロアサイレンサーは、踏み心地性を良好とするため、ポリウレタンフォームを硬めにして、乗員が踏んだ際の沈み込みが少なくなるようにされている。しかし、硬めのポリウレタンフォームは、車両用フロアサイレンサーが載置されるフロアパネルからの固体伝搬音が、そのまま振動騒音となって車室内に伝わり易い問題がある。
【0005】
また、車両用フロアサイレンサーには軽量化が求められており、軽量化実現のためには、ポリウレタンフォーム原料に含まれる発泡剤としての水の量を増やす必要がある。しかし、水の量を増やすと、ポリウレタンフォーム原料中の活性水素基と反応するポリイソシアネートの比率が上昇し、形成されるポリウレタンフォームが硬めになるため、水の量を増やす軽量化では、固体伝搬音を抑えることができなくなる。
【0006】
なお、ポリウレタンフォームを低硬度化する方法として、イソシアネートインデックスを下げる方法が存在するが、単にイソシアネートインデックスを下げるだけでは、得られる遮音効果が小さいものである。
イソシアネートインデックスは、ポリウルタンフォーム原料中の活性水素基(例えばポリオール類の水酸基及び発泡剤としての水等の活性水素基等に含まれる活性水素基)に対するイソシアネートのイソシアネート基の当量比を百分率で表した数値である。
また、イソシアネートインデックスを下げて、ポリウレタンフォームを低硬度化していくと、車両用フロアサイレンサーは、踏んだ際の沈み込みが大きくなって踏み心地性が悪くなってしまう。
【0007】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、軽量性、遮音性、踏み心地性が良好な車両用フロアサイレンサーとその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、ポリウレタンフォームからなる車両用フロアサイレンサーにおいて、前記ポリウレタンフォームは、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含むポリウレタンフォーム原料から金型内で成形されるものであり、前記ポリオールは、分子量3000~12000、EO率5~20%のポリエーテルポリオールからなるメインポリオールと、分子量2000~7000、EO率50~90%のポリエーテルポリオールからなるサブポリオールとを含み、前記発泡剤は水であることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記ポリウレタンフォームは、密度が40~60kg/mであることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2において、25%圧縮硬さが30~200Nであることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、JIS A1441-1:2007に基づいて測定された1~4kHzの平均透過損失が60~65dBであることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1から4の何れか一項において、前記ポリウレタンフォームの少なくとも一部に、発泡ポリスチレンまたは発泡ポリプロピレン乃至ポリスチレン・ポリオレフィン複合発泡材料からなる硬度アップ材が積層されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含むポリウレタンフォーム原料を金型に注入して発泡させることにより、ポリウレタンフォームからなる車両用フロアサイレンサーを製造する方法において、前記ポリウレタンフォーム原料は、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含み、前記ポリオールは、分子量3000~12000、EO率5~20%のポリエーテルポリオールからなるメインポリオールと、分子量2000~7000、EO率50~90%のポリエーテルポリオールからなるサブポリオールとを含み、前記発泡剤は水であり、イソシアネートインデックスが65~85であることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6において、前記サブポリオールは、前記メインポリオール100重量部に対して2.5~10重量部であることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項6または7において、前記金型の内面に、発泡ポリスチレンまたは発泡ポリプロピレン乃至ポリスチレン・ポリオレフィン複合発泡材料からなる硬度アップ材を配置し、前記ポリウレタンフォーム原料を金型に注入して発泡させることにより、前記ポリウレタンフォームの少なくとも一部に前記硬度アップ材を積層することを特徴とする請求項6または7に記載の車両用フロアサイレンサーの製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、密度が40~60kg/m、25%圧縮硬さが30~200N、JIS A1441-1:2007に基づいて測定された1~4kHzの平均透過損失が60~65dBからなる、軽量性、踏み心地性、及び遮音性が良好な車両用フロアサイレンサーを得ることができる。
【0017】
また、硬さを高めたい部分に、発泡ポリスチレンまたは発泡ポリプロピレン乃至ポリスチレン・ポリオレフィン複合発泡材料からなる硬度アップ材を積層することにより、所望の部分を他部分よりも硬くした車両用フロアサイレンサーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態の車両用フロアサイレンサーの断面図である。
図2】第1実施形態の車両用フロアサイレンサーの製造時を示す金型の断面図である。
図3】第2実施形態の車両用フロアサイレンサーの断面図である。
図4】第2実施形態の車両用フロアサイレンサーの製造時を示す金型の断面図である。
図5】各実施例と各比較例の構成と物性・遮音性の測定結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1に示す第1実施形態の車両用フロアサイレンサー10は、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含むポリウレタンフォーム原料から金型内で成形されたポリウレタンフォーム11からなる。ポリウレタンフォーム11の形状は、載置される車両のフロアパネルに応じた平面形状及び立体(凹凸)形状とされる。
【0020】
ポリオールは、メインポリオールとサブポリオールとを含む。主となるメインポリオールは、エチレンオキサイド含有量(「EO率」と略記する)が5~20%、好ましくは12~20%、であり、サブポリオールは、EO率が50~90%、好ましくは60~80%である。メインポリオールとサブポリオールの全ポリオールに対する割合は、全ポリオール100質量%に対して、メインポリオールは50~98質量%であり、サブポリオールはメインポリオールに比べ少なく50質量%未満であり、2~20質量%が好ましい。
メインポリオールは、分子量(数平均分子量)3000~12000、より好ましくは4000~7000、EO率(エチレンオキサイド含有率)5~20%、より好ましくは12~20%のポリエーテルポリオールが用いられる。ポリエーテルポリオールのEO率は、1つの原料組成単位の全量を100重量%とした場合のエチレンオキサイド単位の含有率である。メインポリオールの官能基数は2~4が好ましい。ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコール、またはその多価アルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールを挙げることができる。メインポリオールは、一種類に限られず、複数種類を併用してもよい。
【0021】
本発明では、メインポリオールにポリマーポリオールを含まないのが好ましい。ポリマーポリオールをメインポリオールに含むことにより遮音性が低下する。ポリマーポリオールは、ポリエーテルポリオール中でエチレン性不飽和化合物を重合させて得られるものである。
【0022】
サブポリオールは、分子量2000~7000、より好ましくは3000~5000、EO率50~90%、より好ましくは60~80%のポリエーテルポリオールが用いられる。サブポリオールの官能基数は2~4が好ましい。本発明において、サブポリオールは、セルオープナー(破泡剤)として作用し、ポリウレタンフォームの遮音性を向上させる。サブポリオールの量は、メインポリオール100重量部に対して2.5~10重量部が好ましい。サブポリオールの量が少なすぎると遮音効果が小さくなり、多すぎると硬さが柔らかくなり、踏み心地性が悪くなる。サブポリオールは、一種類に限られず、複数種類を併用してもよい。
【0023】
触媒は、ポリウレタンフォーム用として公知の泡化触媒と樹脂化触媒を用いることができる。
泡化触媒は、ポリイソシアネートと水の反応を促進して炭酸ガスを発生させるアミン系触媒であり、ポリウレタンフォームの反応時における流動性に影響を与える。泡化触媒は限定されるものではなく、例えば、トリエチルアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル等を挙げることができる。
【0024】
樹脂化触媒は、ポリオールとポリイソシアネートとのウレタン化反応(樹脂化反応)を促進させるアミン系触媒である。樹脂化触媒は限定されるものではなく、例えば、1,2-ジメチルイミダゾール、N・(N’,N’-ジメチルアミノエチル)-モルホリン、テトラメチルグアニジン、ジメチルアミノエタノール、トリエチレンジアミン、N-メチル-N’-(2ヒドロキシエチル)-ピペラジン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロパン1,3-ジアミン、N,N’-ジメチルピペラジン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレン-トリアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、エチレングリコールビス(3-ジメチル)-アミノプロピルエーテル、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチル-N’-(2ジメチルアミノ)エチルピペラジン等を挙げることができる。
泡化触媒と樹脂化触媒の割合は、泡化触媒量/樹脂化触媒量=3/100~3/10が好ましい。
また、泡化触媒及び樹脂化触媒と共に、助触媒として他のアミン化合物や有機金属化合物を用いてもよい。
【0025】
発泡剤は、水が好適である。発泡剤としての水の量は、メインポリオール100重量部に対して3~7が好ましく、より好ましくは5~6重量部である。水の量が少なすぎると発泡倍率が上がらず密度が高くなり、多すぎるとポリウレタンフォーム原料中の活性水素基と反応するポリイソシアネートの比率が上昇し、形成されるポリウレタンフォームが硬めになるため、固体伝搬音を抑えることができなくなる。
【0026】
ポリイソシアネートは、芳香族系、脂環式、脂肪族系の何れでもよく、また、1分子中に2個のイソシアネート基を有する2官能のイソシアネートであっても、あるいは1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する3官能以上のイソシアネートであってもよく、それらを単独であるいは複数組み合わせて使用してもよい。
【0027】
例えば、2官能のイソシアネートとしては、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネートなどの芳香族系のもの、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式のもの、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンイソシアネートなどの脂肪族系のものを挙げることができる。
【0028】
また、3官能以上のイソシアネートとしては、1-メチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、1,3,5-トリメチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、ビフェニル-2,4,4’-トリイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4,4’-トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン-4,6,4’-トリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’テトライソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、ポリメリックMDI等を挙げることができる。なお、その他ウレタンプレポリマーも使用することができる。また、イソシアネートは、それぞれ一種類に限られず一種類以上であってもよい。例えば、脂肪族系イソシアネートの一種類と芳香族系イソシアネートの二種類を用いたり、芳香族系イソシアネートとウレタンプレポリマーの二種類を用いたり、三種類以上のイソシアネートを用いたりしてもよい。
【0029】
イソシアネートインデックスは65~85が好ましく、70~80がより好ましい。イソシアネートインデックスは、ポリウレタンの分野で使用される指数であって、原料中の活性水素基(例えばポリオール類の水酸基及び発泡剤としての水等の活性水素基等に含まれる活性水素基)に対するイソシアネートのイソシアネート基の当量比を百分率で表した数値である。
【0030】
ポリウレタンフォーム原料には、適宜含まれる成分として、整泡剤と添加剤が挙げられる。
整泡剤は、ポリウレタンフォームに用いられるものであればよく、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤および公知の界面活性剤を挙げることができる。整泡剤の配合量は、メインポリオール100重量部に対して0~1.0重量部が好ましい。
【0031】
添加剤は、架橋剤、顔料、充填材(フィラー)、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を挙げることができる。
架橋剤としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,4-ブタントリオール、2-メチル-2,3,4-ブタントリオール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール等を挙げることができ、一種または複数併用してもよい。架橋剤の配合量は、メインポリオール100重量部に対して0~1.5重量部が好ましい。
【0032】
顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン等を挙げることができる。
充填材(フィラー)としては、黒鉛、アルミナ、メラミン等を挙げることができる。
【0033】
難燃剤としては、例えば、デガブロムジフェニルエーテル、オクタブロムジフェニルエーテルなどのハロゲン化ジフェニルエーテル、例えば、ハロゲン化ポリカーボネートなどのハロゲン化合物、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、ピロアンチモン酸ソーダ、水酸化アルミニウムなどの無機化合物、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤、ホスフェート系難燃剤、無機リン系難燃剤、ジアルキルホスフィン酸塩、シリコーン系難燃剤、金属酸化物、ホウ酸化合物、膨張性黒鉛等を挙げることができる。
【0034】
酸化防止剤としては、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、p-フェニルジアミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体、モノフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダートフェノール系、亜リン酸エステル系等を挙げることができる。
【0035】
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、5,5’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)等の2-ヒドロキシベンゾフェノン類;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ第三ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-3’-第三ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-5’-第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2,2’-メチレンビス(4-第三オクチル-6-(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-第三ブチル-5’-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ第三ブチルフェニル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2,4-ジ第三アミルフェニル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2-エチル-2’-エトキシオキザニリド、2-エトキシ-4’-ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル-α-シアノ-β、β-ジフェニルアクリレート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシ-5-メチルフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)-s-トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。
【0036】
車両用フロアサイレンサー10の製造例を示す。車両用フロアサイレンサー10は、図2の金型20を用いるモールド成形によって行うことができる。金型20の型面は、車両用フロアサイレンサー10に求められる形状に応じたものとされる。金型20の型面に離型剤を塗布した後、ポリウレタンフォーム原料11aを混合して金型20内に注入し、閉型して下型21と上型33の型面間の成形空間でポリウレタンフォーム原料10aを発泡させて、前記ポリウレタンフォーム11を形成する。その後、金型20を開けて、前記ポリウレタンフォーム11からなる車両用フロアサイレンサー10を脱型する。
【0037】
なお、ポリウレタンフォーム原料10aの金型内への注入は、金型20を開けて行うオープン注入式に限られず、金型20の一部に原料注入口を形成しておき、閉型状態で原料注入口から金型内にポリウレタンフォーム原料を注入する、いわゆるクローズド注入式のものであってもよい。
【0038】
ポリウレタンフォーム11の厚みは、2~50mmが好ましい。厚みが薄いと遮音性が低くなり、厚いと車室内空間が狭くなる。
【0039】
ポリウレタンフォーム11の密度(JIS K7222:2005)は、40~60kg/mが好ましい。ポリウレタンフォーム11の密度が40~60kg/mであることにより、車両用フロアサイレンサー10の軽量性を良好なものにできる。なお、第1実施形態においては、ポリウレタンフォーム11の密度は、車両用フロアサイレンサー10の全体密度に相当する。
【0040】
ポリウレタンフォーム11の25%圧縮硬さは、30~200Nが好ましく、より好ましくは30~70Nである。圧縮硬さは、荷重測定法の1種であるILD(Indentation Load Deflection:負荷重たわみ値)を基準として測定している。具体的には、200mm×200mmの面を有し、高さ20mmの試験片を、直径80mmの円形プレート(加圧子)によって、速度50mm/minで圧縮する。圧縮によって、試料片が圧縮前の試料片の高さ(20mm)の25%となった際の円形プレートに作用する荷重(N)の値が25%圧縮硬さである。ポリウレタンフォーム11の25%圧縮硬さを前記範囲とすることにより、車両用フロアサイレンサー11は、乗員が踏んだ際の沈み込みが少なくなって、踏み心地性が良好なものになる。なお、第1実施形態においては、ポリウレタンフォーム11の25%圧縮硬さは、車両用フロアサイレンサー10の25%圧縮硬さに相当する。
【0041】
ポリウレタンフォーム11の1~4kHzの平均透過損失(JIS A1441-1:2007)は、60~65dBである。ポリウレタンフォーム11の1~4kHzの平均透過損失が60~65dBであることにより、車両用フロアサイレンサー11は、フロアパネルからの固体伝搬音を小さくすることができ、遮音性が良好なものになる。なお、第1実施形態においては、ポリウレタンフォーム11の1~4kHzの平均透過損失は、車両用フロアサイレンサー10の1~4kHzの平均透過損失に相当する。
【0042】
図3に示す第2実施形態の車両用フロアサイレンサー30について説明する。第2実施形態の車両用フロアサイレンサー30は、ポリウレタンフォーム31の少なくとも一部に硬度アップ材35が積層されている。
【0043】
ポリウレタンフォーム31は、第1実施形態におけるポリウレタンフォーム11と同様の構成である。
【0044】
硬度アップ材35は、車両用フロアサイレンサー30において硬度アップが求められる部位に積層される。
硬度アップ材35は、ポリウレタンフォーム31よりも硬い発泡体からなり、硬度(JIS K6767:1999)100~500kPaが好ましい。
また、硬度アップ材35は、車両用フロアサイレンサー30の軽量性を損なわないように、ポリウレタンフォーム31よりも軽量(密度が小)のものが好ましく、密度(JIS K6767:1999)16~50kg/mのものが好ましい。硬度アップ材35を構成する発泡体としては、発泡ポリスチレン(EPS)または発泡ポリプロピレン(EPP)乃至ポリスチレン・ポリオレフィン複合発泡材料を挙げる。
【0045】
車両用フロアサイレンサー30の厚みは2~50mmが好ましい。また、ポリウレタンフォーム31の厚みと硬度アップ材35の厚みの比は1:1~4:1が好ましい。ポリウレタンフォーム31の厚みの割合が低くなりすぎると、車両用フロアサイレンサー30の遮音性が低下する。
【0046】
車両用フロアサイレンサー30の25%圧縮硬さは、30~200Nが好ましい。なお、硬度アップ材35が積層されていないポリウレタンフォーム31のみの部分における25%圧縮硬さは、30~70N、ポリウレタンフォーム31と硬度アップ材35との積層部分における25%圧縮硬さは、70~200Nが好ましい。
【0047】
車両用フロアサイレンサー30の1~4kHzの平均透過損失(JIS A1441-1:2007)は、60~65dBであり、前記積層部分でもフロアパネルからの固体伝搬音を小さくでき、車両用フロアサイレンサー30の遮音性を良好なものにできる。
【0048】
車両用フロアサイレンサー30の製造例を示す。車両用フロアサイレンサー30は、図4の金型40を用いるモールド成形によって行うことができる。金型40の型面は、車両用フロアサイレンサー30に求められる形状に応じたものとされる。
【0049】
金型40の型面に離型剤を塗布した後、金型40の型面(下型41または上型43の型面)に硬度アップ材35を配置する。硬度アップ材35を配置する型面には、硬度アップ材35を取り外し可能に保持するための係止ピン等からなる係止手段が設けられる。
【0050】
硬度アップ材35の配置後、ポリウレタンフォーム原料31aを混合して金型40内に注入し、閉型する。下型41と上型43の型面との間の成形空間でポリウレタンフォーム原料30aを発泡させ、前記ポリウレタンフォーム31を硬度アップ材35と一体に形成する。ポリウレタンフォーム原料31aは、第1実施形態で説明したポリウレタンフォーム原料11aと同様である。
その後、金型40を開けて、前記ポリウレタンフォーム31と硬度アップ材35との積層一体品からなる車両用フロアサイレンサー30を脱型する。
【実施例
【0051】
図5に示す配合のポリウレタンフォーム原料を用い、図2及び図4の金型を用いるモールド成形により、500mm角×厚み20mmの実施例及び比較例の車両用フロアサイレンサーを製造した。図5に示す配合における各成分の数値は重量部である。金型の加熱は温水により行い、加熱温度を65℃にした。
【0052】
実施例1~実施例9及び比較例1~比較例4は、ポリウレタンフォーム単体からなる車両用フロアサイレンサーであり、図2の金型を用いて製造した。
実施例10及び実施例11は、ポリウレタンフォームとEPS(硬度アップ材)との積層からなる車両用フロアサイレンサーであり、図4の金型を用いてEPSと一体にポリウレタンフォームを成形した。使用したEPSは、密度が33kg/mであり、サイズが実施例10では厚み10mm×450×450mm、実施例11では厚み10mm×350×250mmである。
【0053】
図5に示す配合の各成分は次のとおりである。
・メインポリオール-1:ポリエーテルポリオール、官能基数3、数平均分子量7000、EO率14%、品名;KC-737、三洋化成工業社製
・メインポリオール-2:ポリエーテルポリオール、官能基数3、数平均分子量5000、EO率14%、品名;FA-703、三洋化成工業社製
ポリマーポリオール:官能基数およそ3、数平均分子量5000、品名;FM-5704、三洋化成工業社製
・泡化触媒:アミン系、品名;BL-11、エボニック社製
・樹脂化触媒:アミン系、品名;33LSI、エボニック社製
・助触媒:アミン系、品名;TOYOCAT-D60、東ソー社製
・架橋剤:ジエタノールアミン
・整泡剤:シリコーン系、品名;B8738LF2、エボニック社製
・サブポリオール:ポリエーテルポリオール、官能基数3、数平均分子量4800、PO/EO=30/70(EO率70%)、品名;CP1421、ダウ・ケミカル社製
・発泡剤:水
・イソシアネート:M5S、NCO%:31.5%、BASF INOAC ポリウレタン社製
【0054】
各実施例及び各比較例について、PU(ポリウレタンフォーム)密度、25%圧縮硬さ、及び遮音性について判定した。
【0055】
ポリウレタンフォーム密度(PU密度)は、車両用フロアサイレンサーがポリウレタンフォーム単体からなる場合、100mm角×厚み20mmに裁断して得られたサンプルに対し、JIS K7222:2005に基づいて密度を測定した。
一方、ポリウレタンフォームとEPSと積層の場合は、100mm角×厚み20mmに裁断して得られた裁断片からEPSを除去し、残ったポリウレタンフォームからなるサンプルに対し、JIS K7222:2005に基づいてポリウレタンフォーム密度(PU密度)を測定した。
【0056】
密度の判定は、ポリウレタンフォーム単体からなる場合は、ポリウレタンフォーム密度(=全体密度)に対して行った。
一方、ポリウレタンフォームとEPSの積層の場合における密度の判定は、ポリウレタンフォームとEPSとからなる全体密度を試験片の合計質量を試験片の体積で割った式で算出し、得られた全体密度に対して判定を行った。
密度の判定基準は、全体密度が50kg/m未満の場合に「◎」、50~70kg/m未満の場合に「〇」、70kg/m以上の場合に「△」とした。
【0057】
25%硬さは、200mm角×厚み20mmに裁断したサンプルを、ポリウレタンフォーム単体の場合は何れか一面を上面とし、一方、ポリウレタンフォームとEPSの積層の場合はEPSが上面になるように設置し、φ80mmの圧縮治具によって圧縮スピード50mm/minで、変位量が厚みの80%(サンプルの変位量16mm、サンプルの残り厚み4mm)となるまで圧縮し、その際の25%圧縮時の荷重を25%圧縮硬さとして読み取った。
【0058】
硬さの判定基準は、25%圧縮硬さが100N以上の場合に「◎」、30N~1000N未満の場合に「〇」、30N未満の場合に「△」とした。なお、硬さの判定は、踏み心地性の判定に相当する。
【0059】
遮音性の判定は、JIS A1441-1:2007に基づいて透過損失を測定し、得られた透過損失の値で判定を行った。
透過損失の測定は、使用した音源残響室が36m、受音無響室が20m、測定面積が400×400mm(0.16m)である。車両用フロアサイレンサーがポリウレタンフォーム単体及びEPS積層の何れの場合も、音源側となるポリウレタンフォームの表面に厚み0.8mmの鉄板(遮音材)を重ね、反対の非音源側となる表面(ポリウレタンフォーム単体の場合はポリウレタンフォーム表面、EPS積層の場合はEPS表面)に厚み1mmのゴムシート(遮音材)(1700g/m)を重ね、車両用フロアサイレンサーの周囲を50mm幅の枠で固定した状態でさらに隙間を粘土でシールした。鉄板側を音源として音を入射させ、非音源側のゴムシートの表面から100mm離れた位置で中央分離散点4箇所(100mmピッチ)における400Hz-6.3kHzにおける数値を測定し、1kHz-4kHzの平均値と、400Hz-6.3kHの平均値を算出した。
【0060】
遮音性の判定基準は、1kHz-4kHzの平均値が64dB以上の場合に「◎」、60dB~64dB未満の場合に「〇」、60dB未満の場合に「△」とした。
【0061】
実施例1~実施例3は、サブポリオールの量を2.5重量部、5重量部、10重量部と変化させた例である。メインポリオール1とメインポリオール2の量は50重量部で一定とし、金型への注入量も一定(密度一定)とした。
実施例1~実施例3の判定は、密度判定「〇」、硬さ判定「〇」、遮音性判定「◎」であり、軽量性、硬さ(踏み心地性)及び遮音性の何れも良好なものであった。
【0062】
実施例4~実施例6は、ポリウレタンフォーム原料を実施例1と同じ配合とし、金型への注入量変化によりポリウレタンフォーム密度を45kg/m、50kg/m、55kg/mと変化させた例である。なお、実施例5は実施例1と同じ例である。
実施例4~実施例6の判定は、密度判定「◎」または「〇」、硬さ判定「〇」、遮音性判定「◎」であり、軽量性、硬さ(踏み心地性)及び遮音性の何れも良好なものであった。
【0063】
実施例7~実施例9は、サブポリオールを10重量部とし、イソシアネートインデックスを70、75、80と変化させ、ポリウレタンフォーム密度は一定にした例である。なお、実施例7は実施例3と同じ例である。
実施例7~実施例9の判定は、密度判定「〇」、硬さ判定「〇」、遮音性判定「◎」であり、軽量性、硬さ(踏み心地性)及び遮音性の何れも良好なものであった。
【0064】
実施例10及び実施例11は、ポリウレタンフォームとEPSの積層体からなり、積層するEPSを厚み10mm×450×450mm(実施例10)と、厚み10mm×350×250mm(実施例11)の2種類用いた例である。
実施例10及び実施例11の判定は、密度判定「◎」、硬さ判定「◎」、遮音性判定「〇」であった。
実施例10及び実施例11は、ポリウレタンフォーム単体の他の実施例と比べ、密度判定及び硬さ(踏み心地性)判定が「〇」から「◎」へ向上し、遮音性判定については「◎」から「〇」へ幾分低下した。
【0065】
比較例1~比較例3は、サブポリオールを配合せず、メインポリオール1を15重量部、メインポリオール2を75重量部、ポリマーポリオールを10重量部とし、イソシアネートインデックスを80、85、90と変化させ、ポリウレタンフォーム密度を50kg/mとした例である。
比較例1~比較例3の判定は、密度判定「〇」、硬さ判定「◎」、遮音性判定「△」であり、サブポリオールが配合されている実施例1~実施例11と比べると、遮音性に劣っていた。
【0066】
比較例4は、メインポリオール1、メインポリオール2、ポリマーポリオールの配合量を比較例1~比較例3と同一とし、イソシアネートインデックスとポリウレタンフォーム密度を比較例1~比較例3及び他の実施例よりも高くした例である。比較例4の判定は、密度判定「△」、硬さ判定「◎」、遮音性判定「◎」であり、遮音性を向上させることができたが、密度が大であるために軽量性に劣っていた。
【0067】
このように、本発明は、軽量性、遮音性、踏み心地性(硬さ)が良好な車両用フロアサイレンサーが得られる。
【符号の説明】
【0068】
10、30 車両用フロアサイレンサー
11、31 ポリウレタンフォーム
11a、31a ポリウレタンフォーム原料
20、40 金型
21、41 下型
23、43 上型
35 硬度アップ材
図1
図2
図3
図4
図5